スーパーカオス艦隊決戦!
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「ゲヒャ〜ッヒャッヒャ! カオスの力がまた高まってきたゼぇ!」
果てしない蒼穹と雲海の世界、ブルーアルカディア。
その辺境に位置する浮島の真ん中で、『スーパーカオスドラゴン』は頭を抱えていた。
「このままだとオレサマの混沌魔法の力が暴走して、この辺一体何もかもカオスになっちまうゼぇ! まだご近所様に挨拶回りもできてネェってのにヨぉ!」
彼が魔界からこの世界に転移して暫く経ったが、帰還の術はまだ見つかっていない。
だが、彼は自分が帰れないことよりも、自分の存在が周囲に悪影響をもたらしてしまいかねない事のほうを気にしているようだった。
「さァて、どうするか……おっ? あれはこの世界の飛空艇(ガレオン)ってヤツか?」
首を捻るカオスドラゴンの3つの頭の1つが、空の彼方から接近する艦隊を目にする。
それは明らかに禍々しい雰囲気を放ちながら、まっすぐ彼の浮島に近付いてきていた。
「性懲りもなくまた来やがったゼぇ、屍人帝国とかいうヤツら……だが丁度いいゼぇ!」
自分のことを捕らえに来たのだろうが、むしろいいタイミングでやって来てくれた。
この事が「アイツら」に伝われば、きっと来てくれるはず――どうやら運動の時間のようだと、スーパーカオスドラゴンは高らかに咆哮を上げる。
「ゲヒャ〜ッヒャッヒャ!」
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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「ブルーアルカディアに転移中の『スーパーカオスドラゴン』様を狙って、屍人帝国の軍団が動き出したようです」
7thKING WARにおいてデビルキング候補の1人にも選ばれた、東のラスボスことスーパーカオスドラゴン。彼は魔王ガチデビルが生前に撒いた「悪魔契約書」の力と自らのカオスの暴走が混ざった影響で、異世界ブルーアルカディアに飛ばされてしまっていた。
「スーパーカオスドラゴン様は、ご自身の『混沌魔法』がブルーアルカディアに混乱をもたらす危険性を察知し、なるべく大人しくしています。ですが、彼を発見した屍人帝国が、その力を見過ごすはずもありません」
屍人帝国は軍勢を派遣してスーパーカオスドラゴンを捕らえ、手勢に加えるつもりだ。
もちろん彼はメチャクチャ強いので簡単には捕まらないだろうが、暴れすぎてカオスの力が暴走してしまったら厄介だ。そこで代わりに猟兵の出番になる。
「帝国の艦隊は既にスーパーカオスドラゴン様が身を潜めている浮島を包囲しています。至急現場に急行し、これを撃破してください」
先の戦争において、猟兵達はデビルキングワールドの新たなキングとして認定された。
異世界に迷い込んだ悪魔を助けるのは王の責務とも言えるし、現在開催中の「7thKING決定戦」の評価にも影響してくるだろう。
「敵は戦列艦型ガレオノイド『ライン・テリブルズ』。無数の砲門で敵を鶴瓶撃ちにし、崩れた所へ人型に戻って切り込む蹂躙戦法を得意としています」
飛空艇形態と人型形態を自在に使い分ける彼女らの練度は高く、一斉砲撃の火力も侮れないため油断は禁物だろう。とはいえ、付け入る隙がまったく無いというわけでもない。
「彼女達の目的は浮島で発見された謎のドラゴンの捕獲ですが、こちらがなぜスーパーカオスドラゴン様を助けようとしているかは分かっていないはずです」
怪しいパワーを発している見るからに邪悪そうなドラゴンを、なぜ猟兵達は守るのか?
疑問を抱いた帝国軍は必ず「裏」を探ろうとしてくるはずだ。そのドラゴンが実はいい人(?)という答えには至れぬまま。その誤解が即時対応力の低下を招くこととなる。
「わざわざ敵の誤解を解く必要もありませんし、その機に乗じれば勝算は高いはずです」
何もわかっていないライン・テリブルズ艦隊を撃沈すれば、無事に一件落着――と言いたいところだが、問題はもうひとつ。そもそもスーパーカオスドラゴンが屍人帝国に目をつけられたのは、彼の混沌魔法の力が強まっているせいである。
「スーパーカオスドラゴン様のいる浮島は、混沌魔法の影響で徐々に『カオス化』が進んでいます」
このまま放置すると良くない事が起きる可能性もあるので、ここは一度カオスドラゴンとも戦っておく必要がある。彼を倒せば混沌魔法の魔力も一時的に弱まり、浮島のカオス化も止まるはずだ。
「お相手はとても強くてとても頑丈な魔界の住人なので、殺してしまう心配もいらないでしょう。と言うより、下手に遠慮するとこちらのほうが危険です」
実際にその力を7thKING WARで体験した猟兵もいるだろう。強豪揃いの魔界の悪魔達の中からデビルキング候補に選ばれた実力は只者ではない。双方合意の上での勝負とはいえ、気を引き締めてかかるべきだ。
「なお、スーパーカオスドラゴン様からは『ゲヒャ〜ッヒャッヒャ! 手加減なんていいからヨぉ! よろしく頼むゼぇ!』との御言葉を頂いております」
流石は暴走前の段取りと挨拶回りに定評があることで知られた東のラスボス。挨拶文を読み上げたリミティアは手のひらにグリモアを浮かべ、ブルーアルカディアへ道を開く。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回の依頼はデビルキングワールドからブルーアルカディアに転移してきた『スーパーカオスドラゴン』を、屍人帝国の魔の手から守る依頼です。
1章は屍人帝国の艦隊『ライン・テリブルズ』との集団戦です。
イラストでは人型ですが、戦闘中は基本的に飛空艇の姿で戦います。
彼女らの目的はスーパーカオスドラゴンの捕獲ですが、なぜ悪そうなドラゴンを猟兵が守っているのかは知りません。裏があるのではないかと変に勘ぐっているのを利用すれば、プレイングボーナスが得られます。
2章は東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』とのボス戦です。
あちらに敵意はありませんが、わざと猟兵に喧嘩をふっかけ、負けて自身の魔力を弱めるために挑んできます。負けても死にませんし、本気で戦っても大丈夫です。
戦闘の詳細については、実際に章が移行してから断章で説明いたします。
これは「7thKING決定戦」の対象依頼です。8/22までに、対象依頼での🔵ベスト10の猟兵が「KING候補者」となります。
詳細はこちら(https://tw6.jp/html/world/osirase/220527_7thkingrule.htm)をご確認ください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『ライン・テリブルズ』
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POW : 単縦陣戦列砲撃
自身の【120門カノン砲】から、戦場の仲間が受けた【損傷】に比例した威力と攻撃範囲の【反撃の一斉砲撃】を放つ。
SPD : 一斉砲蹂躙戦術
【両弦から砲撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 接舷切込突撃戦
戦闘力が増加する【戦列艦形態】、飛翔力が増加する【高速艦形態】、驚かせ力が増加する【ガレオノイド】のいずれかに変身する。
イラスト:純志
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ダーティ・ゲイズコレクター
屍人帝国の皆さん!
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
さっそくですがスーパーカオスドラゴンさんを連れていくことは今すぐ中止してください!
理由?それはですね…あのドラゴンさんの側に居るととんでもないことになるからです!
証拠?私を見れば一目瞭然です!
わかりませんか?ならもっとよく見て!
(敵の視線を{ゲイズ・パワー}に変換しチャージするとUC【醜悪!邪王穢澱烙印槍】でいきなり突撃する)
視線ありがとうございました!
でもとんでもないことになるのは本当なので
ここで私に倒されるのが屍人帝国にとって最良ですよ!
「屍人帝国の皆さん! 私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
浮島に接近する屍人帝国の艦隊に向かって、ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は名乗りを上げる。自らワルであるとことさら強調するのは、いかにも魔界の悪魔らしい口上である。
「さっそくですがスーパーカオスドラゴンさんを連れていくことは今すぐ中止してください!」
「なんだ貴様は。まさか、あのドラゴンを守るつもりだとでも言うのか……?」
帝国艦隊のガレオノイド『ライン・テリブルズ』は、その要請に訝しんだ反応を示す。
スーパーカオスドラゴン――この浮島に潜んでいる、強大なパワーを持った謎の魔獣。
屍人帝国側が掴んでいる情報はせいぜいその程度のものだろう。どうやら、その捕獲を妨害する者が出てくるとは思っていなかったようだ。
「貴様もあのドラゴンを狙っているのか?」「どこの帝国の手の者だ!」
ライン・テリブルズがまず考えたのは、眼前に立ちはだかる女悪魔――ダーティもまたドラゴンの捕獲を狙っている可能性。邪な考えを持った者ほど、相手にも「裏」があるのではないかと考える、典型的な深読みである。
「理由? それはですね……あのドラゴンさんの側に居るととんでもないことになるからです!」
「と、とんでもないこと……?」
対するダーティの返答はフワッとしたものだったが、嘘は言っていない。スーパーカオスドラゴンが引き起こす混沌魔法の暴走は、屍人帝国が想定しているより遥かに危険だ。だからこそ彼はこの島から一歩も出ずに大人しくしているのだから。
「証拠? 私を見れば一目瞭然です!」
「貴様を?」
疑いの眼差しを向けるライン・テリブルズに、自分を見るようアピールするダーティ。
その人目を引きやすい容姿と言動につられて、敵艦はついつい彼女を凝視してしまう。
「わかりませんか? ならもっとよく見て!」
彼女は他者の視線を集めて自らの力に変える能力を持つ、視線誘導の悪魔である。より多くの敵に見つめられるほど、視線の魔力「ゲイズ・パワー」は高まり、赤紫色のオーラが身体の周りにチャージされていく。
「邪なる王に潜む悍ましき穢れの澱よ! 烙印刻む矛と成れ!」
充分にパワーを集めたところで、ダーティは唐突に【醜悪!邪王穢澱烙印槍】を発動。
大きな矢印の姿をしたオーラで全身を多い、自身が一本の巨大な槍となって、敵艦隊に突撃を仕掛けた。
「「なっ……きゃあぁぁぁぁぁっ!!!?!」」
いきなり突っ込んで来られたライン・テリブルズは大混乱。蓄積された視線の魔力は飛空艇の装甲さえ貫く威力を誇り、艦体に風穴を開けられた艦は続々と雲海に沈んでいく。
「視線ありがとうございました! でもとんでもないことになるのは本当なので、ここで私に倒されるのが屍人帝国にとって最良ですよ!」
敵の艦列を一直線に貫いていったダーティは、沈みゆく艦にくるりと振り返って一礼。
もしスーパーカオスドラゴンが屍人帝国に連行されれば、カオスの暴走で色々な意味で大変な事態になるだろう。だから連れて行かせないし暴走も起こさせない――最悪な魔王を名乗っていても、彼女の行動はどこまでも善意であった。
大成功
🔵🔵🔵
桐嶋・水之江
艦隊戦となれば艦艇を持ってる猟兵が出るべきよね
という訳でワダツミ発進よ
始める前に一応忠告してあげましょうか
そのドラゴンを捕まえに来たの?
止めておきなさい
それは異界から降ってきた災厄よ
ご機嫌を損なえば世界が消し飛ぶわ
こっちで処理してあげるから貴方達は帰りなさい
それとも一戦交えるつもり?
世界を滅ぼす邪竜に背を向けて?
何一つ嘘は言ってないわよ
私は常に正直者だもの
まあ、戦闘になるでしょうね
普通の撃ち合いではMLRSを積んでるこっちが有利よね
艦隊戦闘じゃ精々数百mの射程なんて短過ぎるわ
迎撃されても問題無いわ
何せ本命は指向性拡散ハイパーメガビーム砲だもの
さっきの口上も含めてチャージの時間稼ぎだったのよ
「艦隊戦となれば艦艇を持ってる猟兵が出るべきよね。という訳でワダツミ発進よ」
屍人帝国の艦隊を相手取ると聞いて、勇んで出撃するのは桐嶋・水之江(機巧の魔女・f15226)。空海宇宙対応のワダツミ級強襲揚陸艦ネームシップ「ワダツミ」に乗船し、雲海上に展開する敵艦に立ちはだかる。
「始める前に一応忠告してあげましょうか」
「む……なんだ貴様は?」
異世界の産物である見慣れない形状の艦船と、その乗り手に『ライン・テリブルズ』は警戒を示す。辺境の浮島に現れた謎のドラゴンの捕獲――その任務に、まさか猟兵が横槍を入れてくるとは思ってもみなかった様子で。
「そのドラゴンを捕まえに来たの? 止めておきなさい、それは異界から降ってきた災厄よ」
多数の敵艦を前にしても一切揺らがぬ堂々とした態度で、水之江は警告を発する。あのドラゴンは屍人帝国ごときの手に負えるものではない、極めて危険な存在であるのだと。
「ご機嫌を損なえば世界が消し飛ぶわ。こっちで処理してあげるから貴方達は帰りなさい」
「なっ……!? 貴様は何を知っているのだ!」
訳知り顔の偉そうな態度に、ライン・テリブルズの警戒はますます強まる。帝国側ではつい先ごろ発見したばかりのドラゴンについて、ずっと以前から知っていたような態度。物騒な警告内容も含めて「裏」を感じずにはいられない。
「それとも一戦交えるつもり? 世界を滅ぼす邪竜に背を向けて?」
浮島から聞こえる「ゲヒャ~ッヒャッヒャ!」というワルそうな叫び。スーパーカオスドラゴンの咆哮を聞きながら水之江はさらに警告する。今にも暴走しそうなカオスの力、屍人帝国にも感じられない筈があるまい。
(何一つ嘘は言ってないわよ。私は常に正直者だもの)
彼女はただ「あのドラゴンに敵意はなく実は善良である」という情報を省いただけだ。
肝心の部分だけを知らされないまま伝えられた危険な事実は、過剰な警戒を誘導する。敵の初動を遅らせるには充分なものだった。
「むむむ……だが、ここまで来ておめおめと帰れるか!」
「まあ、戦闘になるでしょうね」
ここで敵が大人しく引き下がらないのも水之江にとっては想定内。敵艦の両弦から砲が姿を現し、【一斉砲蹂躙戦術】が開始されると、「ワダツミ」も即座に反撃を開始する。
「普通の撃ち合いではMLRSを積んでるこっちが有利よね。艦隊戦闘じゃ精々数百mの射程なんて短過ぎるわ」
強襲艦に搭載された多連装ランチャーシステムから、ミサイルやロケットの雨が敵艦隊に降り注ぐ。この強襲揚陸艦は猟兵のために開発された、異世界のテクノロジーの結晶。その性能及び武装の射程は並のガレオノイドを遥かに凌いでいる。
「くっ、撃ち落とせ!」
敵艦隊は慌てて砲を上空に向けてミサイルを迎撃するが、水之江は「問題ないわ」と余裕の表情。彼女の本命はこの程度の牽制ではなく、ワダツミに搭載された主砲【指向性拡散ハイパーメガビーム砲】の発動にあった。
「さっきの口上も含めてチャージの時間稼ぎだったのよ」
充分にエネルギーを蓄積した艦前方の主砲が、動揺している敵艦隊をロックオンする。
慌てて回避運動に移ろうがもう遅い。純白のエネルギーの閃光がすべてを塗りつぶす。
「全目標ロック完了……ハイパーメガビーム砲、発射」
「ひっ――……!!!!」
放たれた荷電粒子砲の一撃は電磁波の斥力によって軌道を変更し、湾曲するビームという理不尽な存在となって敵艦隊を薙ぎ払う。悲鳴を上げる暇さえ与えられずに、ライン・テリブルズは雲海の藻屑となり消えていった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:灰遠雷
スーパーカオスドラゴン殿も災難よのぉ…。
それに、身内(陰海月)がファンでな。
さぁて、その陰海月に乗りつつ。ふふ、そのドラゴンはやらぬよ。大切なものを守っておるからのう(ブルーアルカディアのこと。半分くらいは嘘いってない)
そして…視認すればこのUCの効果範囲内よ。その攻撃が届かぬ距離から射てる。
はは、悪霊は逃さぬよ。陰海月も今回ばかりは、俊敏に動いとるしの。
※
スーパーカオスドラゴンファンな陰海月「ぷっきゅ!」
とても張り切っている。しゅばばばばと素早く動くよ!
「スーパーカオスドラゴン殿も災難よのぉ……」
本人には何の落ち度もないにも関わらず、異世界に飛ばされ悪の帝国に狙われる始末。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)を構成する四人の悪霊の一人――『不動なる者』は、その不条理な境遇を慮らずにはおれなかった。
「それに、身内がファンでな」
乗っている巨大なミズクラゲ「陰海月」の傘をぽんぽんと叩き。このクラゲは7thKING WARが開催されていた当時からスーパーカオスドラゴンの大ファンらしい――まあ、そんな訳もあって彼は東のラスボスの助太刀にやって来たのだ。
「ふふ、そのドラゴンはやらぬよ。大切なものを守っておるからのう」
悠然とした笑みを口元に浮かべ、ミズクラゲに乗って敵艦隊の前に立ちはだかる義透。
絵面としては無謀極まりなくも思えるが、彼の放った一言はライン・テリブルズにさらなる疑念を抱かせるものだった。
「大切なもの……? この島にはまだ何か隠されていると言うのか?」
ドラゴンが守る秘宝の伝説は、古今東西ありふれたものだ。あれだけ強大なパワーを感じさせる魔獣が、ただ理由もなく辺境の浮島に留まっているとも考えづらい――深読みをすればするほど、彼女らの思考は真実から遠ざかっていく。
(嘘は言っておらんよ。半分くらいはの)
スーパーカオスドラゴンが守っているのは、ブルーアルカディアという世界そのもの。
自身の混沌魔法がこの世界に悪影響を及ばさないよう、あえて隠れ潜んでいるなんて、邪悪な屍人帝国には至れない発想だろう。
「そして……視認すればこのユーベルコードの効果範囲内よ」
敵が思考の迷子になっている隙を突いて、義透が放つは【四天境地・雷】。呪詛により黒く染まった強弓「灰遠雷」を力一杯引けば、射られた矢は空中で分裂して無数の矢の雨となり、艦隊の頭上より降り注いだ。
「きゃぁっ?!」「やられた!」
考え込むあまり先手を取られてしまったライン・テリブルズは、霊力の矢に射抜かれて体勢を崩す。ただの弓矢と侮るなかれ、達人の業は戦列艦をも轟沈せしめる威力を宿す。
「こちらも撃ち返せ!」
一部の艦は両舷より砲撃を放つものの、連携の乱れた【一斉砲蹂躙戦術】など恐るるに足らず。義透を乗せた陰海月はしゅばばばば! と見た目からは想像もつかない素早い動きで砲弾を避け、敵の攻撃が届かない距離まで間合いを取った。
「はは、悪霊は逃さぬよ。陰海月も今回ばかりは、俊敏に動いとるしの」
「ぷっきゅ!」
いつになく気合いに満ちた友人の働きに応えるべく、義透も矢継ぎ早に攻撃を続ける。
どこへ逃げようが彼の視界に収まっている限り、霊力矢はどこまでも標的を追尾する。一度距離が開きさえすれば、あとの展開は一方的だった。
「よ、よくも……きゃぁっ!!?」
艦体の致命的な箇所を次々に撃ち抜かれ、雲海の底に沈んでいくライン・テリブルズ。
使命を果たすことのできなかった彼女らが、再び浮上する事は二度と無いだろう――。
大成功
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アルテミシア・アガメムノン
ガチデビルさんの置き土産のせいでスーパーカオスドラゴンさんも大変ですわねえ。
混沌魔法の力がブルーアルカディアの世界を侵食するのも律義者の彼としては心苦しいことでしょう。迅速に助けに参ると致しましょう!
屍人帝国さんはごきげんよう!
わたくし達がスーパーカオスドラゴンさんを助けようとする理由が分からないようですわね?
ほほほ、答えは教えません。ですが、よく考えないと貴方達の屍人帝国がどうなるか分かりませんわよ?
とか適当なことを言って混乱を助長させましょう。
その上で先制全力攻撃で攻撃です!
手のひらを掲げて『黄金の暴嵐』を戦場全域に発動。
(先制攻撃×全力魔法)
敵艦隊を神雷と暴風の嵐の中に沈めましょう。
「ガチデビルさんの置き土産のせいでスーパーカオスドラゴンさんも大変ですわねえ」
かの1stKINGが遺した呪いの侵略蔵書『悪魔契約書』。それによる大規模な悪魔輸出計画は阻止できたものの、今だに処分されていない契約書による問題が続いていることに、アルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)はやれやれとため息を吐く。
「混沌魔法の力がブルーアルカディアの世界を侵食するのも律義者の彼としては心苦しいことでしょう。迅速に助けに参ると致しましょう!」
ここは同じ魔界の住人のよしみとして、また天下統一を目指す女帝に相応しき対応を。
金色の翼を翻して堂々出陣した彼女は、浮島の周辺に布陣する『ライン・テリブルズ』艦隊と対峙した。
「屍人帝国さんはごきげんよう! わたくし達がスーパーカオスドラゴンさんを助けようとする理由が分からないようですわね?」
「む……やはり、なにか裏があるのか?」
アルテミシアが大きな声で呼びかけると、敵艦から返ってきたのは困惑と警戒だった。
常識的に考えて、あんなに邪悪でヤバそうなドラゴンを猟兵が助けに来る理由がない。
こちらの作戦を妨害するにしても、先にドラゴンを倒してしまえばいいのではないか? 考えれば考えるほど思考の袋小路に嵌まっているのが現状だ。
「ほほほ、答えは教えません。ですが、よく考えないと貴方達の屍人帝国がどうなるか分かりませんわよ?」
「なっ……我らの帝国が?!」
その混乱を助長させるように、黄金の女帝は適当なことをのたまう。口からでまかせであっても、帝国の危機をほのめかされれば向こうは心穏やかではいられまい。艦隊に緊張が走り、思考の泥沼はますます深くなり――誰の目から見ても、明らかに隙だらけだ。
「答えはあの世で存分にお考えになるとよろしいですわ」
充分に敵を戸惑わせてから、アルテミシアは先制攻撃を開始。さっと手のひらを上空に掲げると、にわかに青空は雷雲に覆われ、【黄金の暴嵐】が戦場全域に引き起こされる。
「なんだ、急に天候が……」「くっ。風が強すぎて舵が!」
激しく逆巻く滅びの暴風は、飛空艇(ガレオン)形態のライン・テリブルズから自由を奪い。その頭上より降り注ぐのは黄金の神雷――魔王国の王にふさわしき絶大な魔力から具現化された神威が、悪しき帝国の軍団に滅びを告げる。
「逆らう存在すべてに終焉を」
「「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!?!」」
アルテミシアが見ている目の前で、神雷に打たれた敵の艦体は真っ二つに裂け、悲鳴を上げて轟沈していく。いくら空を翔ける艇とはいえ、雨のように降りしきる数多の落雷を避けきることはできまい。暴風に捕らわれて身動き取れない状態ならなおさらだ。
「こ、ここまでしてあのドラゴンを守る理由が、あるというのか……」
決してこの先へは進ませぬという強い意志を感じながらも、何故なのかという答えには最期まで至れぬまま。女帝の微笑を瞳に焼き付けて、ライン・テリブルズは沈んでいく。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
艦隊戦!
ひさびさの響きだね。ここはわたしも【ネルトリンゲン】でいっちゃうよー。
相手の戸惑いや疑問は最大限に利用させてもらおう。
『カオス』という言葉のイメージに惑わされているようだけど、
混沌は必ずしも悪とは限らないんだよ!
とか言って、さらに謎を深めてあげたら、その隙に乗じて突撃。
『希』ちゃん、近接戦闘準備!
艦載機(【E.C.O.M.S】)を発艦させたらシールド全開。
主砲は零距離射撃、【M.P.M.S】はCIWSモードで突っ込むよー!
【Octagonal Pyramid】の突撃から一拍遅れてネルトリンゲンも敵陣に突撃。
包囲網を突破したら反転、相手の後ろに陣取って、後方から墜とさせてもらうね!
「艦隊戦! ひさびさの響きだね」
数々の世界で様々な敵と戦ってきた猟兵でも、これほどの大艦隊と激突する機会はそう多くない。菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は相手の規模に怯むどころか、寧ろこちらも実力を披露する機会が来たと、楽しげでさえあった。
「ここはわたしも【ネルトリンゲン】でいっちゃうよー」
彼女がボトルシップの封を開けると、中からミネルヴァ級戦闘空母【ネルトリンゲン】が実物大となって姿を現す。宇宙、海上、海中など場所を選ばす運用可能な、異世界の技術を詰め込んだ万能型戦闘空母だ。
「『カオス』という言葉のイメージに惑わされているようだけど、混沌は必ずしも悪とは限らないんだよ!」
艦橋に立った理緒はまず、空母の通信機能を使って敵の『ライン・テリブルズ』艦隊に呼びかける。相手はまだこちらが何故スーパーカオスドラゴンを守っているのか理解していないはず。その戸惑いや疑問は最大限に利用させてもらおう。
「あのドラゴンが善だとでも言うのか? いや、まさかな……」
その"まさか"が真実だとは思ってもみないまま、深まる一方の謎に惑わされる敵艦隊。
この隙に乗じて理緒は「ネルトリンゲン」を前進させ、タブレットモードの『LVTP-X3rd-van』を介して攻撃システムを起動する。
「『希』ちゃん、近接戦闘準備!」
【E.C.O.M.S】の発動に応じて甲板より飛び立つ、正八角形型の小型艦載機ユニット「Octagonal Pyramid」。その発艦を見届けた直後、理緒はネルトリンゲンの艦体をシールドで包み、そのまま敵艦隊に突撃を仕掛けた。
「っ、止まれ!」「撃て、撃ちまくれ!」
あれだけのサイズの艦に体当たりされたら無事では済まない。敵艦隊は総力をあげて迎え撃つも、その砲弾はシールドに阻まれるか、あるいはCIWS(近接防御)モードで起動されたミサイルランチャー【M.P.M.S】に撃ち落とされ、有効打を与えられない。
「突っ込むよー!」
まずは先に発艦した「Octagonal Pyramid」部隊が突撃し、一拍遅れてネルトリンゲンも敵陣に突入。零距離から火を噴いた主砲の一撃が、ライン・テリブルズの船体をバラバラに吹き飛ばす。
「きゃぁぁぁぁっ?!!」
この世界の技術水準を大幅に超えた火力に、敵艦はとても耐えられない。理緒を乗せた空母は戦列艦の包囲の中を悠々と翔け抜けていき、甚大な損害をその途上にもたらした。
「よし、抜けた!」
そのまま敵陣を突破した理緒はすぐさま反転、相手の後ろに陣取ると追撃を開始する。
空からは艦載機の群れが襲いかかり、雲海上からはネルトリンゲンの砲撃。前方は浮島に塞がれているとなれば、もはや敵に逃げ場はどこにもない。
「このまま後方から墜とさせてもらうね!」
「し、しまっ……うわぁぁぁっ!!!」
為す術なく轟沈していくライン・テリブルズ。結局、彼女らがスーパーカオスドラゴンの真実に辿り着くことはなく――悲鳴と断末魔もろとも雲海の底に沈んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
まあいつも通りボコるだけだが
並んでるの見ると艦隊戦したいでござるのでアレをやるか!【架空兵器】をちょちょいと創造でござる
明言はちょっとアレでなので宇宙戦艦的なサムシングを感じていただければ
よしできたでござるな?今からこいつ単艦で敵陣のど真ん中にぶちかましするんだよ!
相手は今優柔不断らしいでござるからな、すぐには反撃してこないでござろう!単縦陣ってのはその名の通り縦に並ぶので懐に入られたら全艦で中央に反撃は難しいんだよね
まあ撃たれても装甲を信じろ!なんてったってヤ…宇宙戦艦的なサムシングでござるので
後は適当に砲撃でござる!こいつはいいですぞ、どちらを向いても敵ばかりでござる、撃てば当たりますぞ!
「まあいつも通りボコるだけだが。並んでるの見ると艦隊戦したいでござるのでアレをやるか!」
目の前にずらりと布陣した戦列艦の並びを眺めているうちに、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は血が騒いだらしい。折角ならこちらも相応しい船を用意しようと、【例のアレがこの世界に現れたようです】を発動する。
「【架空兵器】をちょちょいと創造でござる」
持ち前のサブカル知識を電脳魔術的に具現化させ、現れるのは巨大なくろがねの戦艦。
版権が危ういので明言は避けるが、運命背負い今とび立ちそうな感じの、いわゆる宇宙戦艦的なサムシングだ。
「よしできたでござるな? 今からこいつ単艦で敵陣のど真ん中にぶちかましするんだよ!」
イメージ通りに出来上がった戦艦に乗り込み、意気揚々と全速前進するエドゥアルト。
屍人帝国の大艦隊に対して単艦での突撃は無謀に思えるが、ただヒャッハーしているように見えて彼には勝算があった。
「相手は今優柔不断らしいでござるからな、すぐには反撃してこないでござろう!」
その読み通り、敵艦隊は猟兵がスーパーカオスドラゴンを護る理由の「裏」を探るのに気を取られ、謎の戦艦の突撃に対応が遅れた。「しまった?!」とライン・テリブルズが叫んだ時にはもう、両者の距離は危険な幅まで近付いていたのだ。
「単縦陣ってのはその名の通り縦に並ぶので懐に入られたら全艦で中央に反撃は難しいんだよね」
艦隊戦の豆知識を披露しつつ、まんまと敵艦隊の懐に潜り込んだエドゥアルトは、主砲を回塔させ砲撃を開始。空想から生まれた無敵の宇宙戦艦パワーが、飛空艇(ガレオン)の横っ腹に容赦なくブチ込まれる。
「あぐっ?!」「くそっ、撃ち返せ!」
ライン・テリブルズも懸命に反撃してくるものの、既にエドゥアルトが解説した通り、この位置関係では彼女らが得意とする【単縦陣戦列砲撃】は十全に機能しない。ご自慢の120門カノン砲も、射角に目標を納められないのではただの鉄の筒だ。
「まあ撃たれても装甲を信じろ! なんてったってヤ……宇宙戦艦的なサムシングでござるので」
一部の敵艦からは砲弾が飛んでくるものの、エドゥアルトが信じている限り架空兵器の装甲は鉄壁の堅牢さを発揮する。何度直撃を喰らっても、艦体には傷一つ付いていない。
「な、なんだあのバカげた硬さは……?!」
人の夢とロマンが生んだ最強の戦艦は、敵にとっては悪夢そのものだった。動揺と混乱は戦列に乱れをもたらし、艦隊運動にも狂いが生じる。こうなればもはや彼女らは雲海に浮かぶただの的同然だった。
「後は適当に砲撃でござる! こいつはいいですぞ、どちらを向いても敵ばかりでござる、撃てば当たりますぞ!」
「や、やめ……うわぁぁぁっ!??」「きゃあぁぁっ!!?」
落雷のような砲声がドカドカと鳴り響き、ライン・テリブルズの悲鳴はかき消される。
終始ノリノリのエドゥアルトの大暴れによって、屍人帝国は大損害を被ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
HAHAHA! 了解デース!
手加減無用全力!
7thKING WARで絆を育んだライバル。スーパーカオスドラゴン殿を倒すべく!
まずは邪魔な屍人帝国の軍勢を蹴散らしマショー!
我輩たち猟兵がスーパーカオスドラゴン殿を守る理由が知りたいデスカ?
それは……秘密デース!
身軽な単騎の空中機動、滑走靴でライン・テリブルズの下に回り込んで、竜骨めがけてUCを起動!
「六式武装展開、炎の番!」
飛空艇の屋台骨に火を放てば致命的であります!
単縦陣で並んでくれているので、放火しやすいデスネー!
カノン砲の砲撃には注意しつつ、デビルキングワールド風のワルなスタイルで焼き払っていきマース!
「HAHAHA! 了解デース! 手加減無用全力!」
依頼を請け負ったバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は、最高にハイテンションな様子で浮島に降り立つ。雲海に陣取った敵の大艦隊を目にしても、臆する様子はカケラもない。
「7thKING WARで絆を育んだライバル。スーパーカオスドラゴン殿を倒すべく! まずは邪魔な屍人帝国の軍勢を蹴散らしマショー!」
言うやいなや「陸海空対応型滑走靴」を履いて走りだした彼女は、雲の上を華麗に滑るように駆ける。他の猟兵のように乗り物を呼び出すのではなく生身での単騎駆け。猟兵ならそれも無謀にはならないとはいえ、なかなかの戦闘民族ぶりである。
「我輩たち猟兵がスーパーカオスドラゴン殿を守る理由が知りたいデスカ?」
「む。ああそうだ、お前達はどうしてあのドラゴンを必死になって助ける?」
滑走しながらバルタンが声をかけると、『ライン・テリブルズ』艦隊は120門カノン砲を彼女に向け、脅すように質問を返してくる。即座に発砲しないのは、猟兵達の行動の裏を探ることを優先しているからだろう。
「それは……秘密デース!」
「なっ。こいつ、舐めた口を!」
だが当然、バルタンが素直に教えるはずがない。身軽な単騎の機動力を活かし、空中と雲海を自在に駆け回るメイドを捉えるのは、【単縦陣戦列砲撃】でも容易ではなかった。そのまま彼女は敵艦の下に回り込んで、竜骨めがけて【火炎放射器】を起動する。
「六式武装展開、炎の番!」
サイボーグであるバルタンのボディに内蔵された火炎放射器が火を噴き、粘着性のある燃料と炎の塊が敵艦にへばり付く。本来は塹壕戦や障害物排除に使用する武装だが、艦船に対する攻撃にも大いに威力を発揮する。
「飛空艇の屋台骨に火を放てば致命的であります!」
「ま、まずい、早く消さないと……!」
ライン・テリブルズは慌てて消火活動を行うものの、一度燃え移った火炎放射器の火は簡単には消えてくれない。敵が混乱しているうちにバルタンは戦列の間を駆け回って、他の船にもどんどん火を放っていく。
「単縦陣で並んでくれているので、放火しやすいデスネー!」
目についた艦船に片っ端から火を付ける、デビルキングワールド風のワルなスタイルで暴れまわるバルタン。ハイテンションな笑みを浮かべる一方で、カノン砲による反撃には注意を払っており、狙われにくいように動き回るのを止めない。
「だめだ、火が、火が!」「くそっ、ちょこまかと!」
損傷に比例して威力と攻撃範囲が強化される【単縦陣戦列砲撃】も、相手に密着された状態では味方を巻き込む諸刃の剣になってしまう。危険かに思われた単騎駆けも、一度懐に入ってしまえば一方的に優位な状況を作り出していた。
「さっさと沈んでもらいマース!」
「「お、おのれぇーーーっ!!」」
絶叫も虚しく、嬉々としたバルタンの火攻めに焼き払われていくライン・テリブルズ。
めらめらと燃え盛る戦列艦の群れが雲海に沈んでいく様は、いっそ壮観でさえあった。
大成功
🔵🔵🔵
アシズ・アナトテ
スーパーカオスドラゴンも難儀な事よな。
屍人帝国との艦隊戦も久しぶりで興味がある。我も参戦しよう。
『魔皇降臨』を発動。巨大化、触手マシマシ、攻撃反射or吸収の鬼畜ラスボスモードで戦場に出現。
攻撃を反射しつつ接近して触手をブンブン振り回して飛空艇を破壊しましょう。そうしながら「邪竜と我等の関係が気になるか。フハハ、奴めは汝等屍人帝国を滅ぼす為に召喚された存在よ。もはや汝等には未来はない。」
とか適当に恐怖を煽っておきます。
UCのクールタイムが終了したら再びの『魔皇降臨』の発動。
6m→12m→24mと戦っている間にどんどん大きくなって最後は怪獣大戦争みたいな感じで暴れましょう。
「スーパーカオスドラゴンも難儀な事よな」
戦争が終わっても厄介事に巻き込まれ続ける、同胞の境遇を慮るのはアシズ・アナトテ(魔皇・f34872)。彼もかつて魔界からブルーアルカディアに召喚された経験があり、経緯は異なれども見て見ぬふりは忍びなかった。
「屍人帝国との艦隊戦も久しぶりで興味がある。我も参戦しよう」
そう言って彼は【魔皇降臨】を発動。巨大な肉と触手の塊のような戦闘形態に変貌して戦場に出現する。見るもおぞましいワルワルなその姿は、魔界の住人である彼の価値観が反映された結果――いわば現代デビュー用の格好でもあった。
「ひっ! な、なんだあの化け物は?!」
謎のドラゴンを捕獲する為にやって来た『ライン・テリブルズ』艦隊からしてみれば、そこでまた別の怪物と遭遇するのはまったくの想定外だっただろう。見るからに邪悪そうな見た目をした触手の化け物を前にして、彼女らは戦慄を隠せない。
「終焉である」
アシズはそんな敵艦隊を睥睨すると厳かに告げ、恐怖を煽るように触手を蠢かせながら接近していく。現在の彼の体長は6メートル弱、戦列艦と比較すればまだ小さい方だが、溢れんばかりのラスボスオーラが一回りも二回りも存在感を大きく見せていた。
「う、撃て、撃てっ!」「く、来るなーっ!!」
ライン・テリブルズは一斉に【単縦陣戦列砲撃】を仕掛けるが、放たれた砲弾はことごとくアシズの肉体に吸収、或いは反射されてしまい、まったくダメージを与えられない。あらゆる攻撃を無効化してしまう、とんでもない鬼畜ラスボスモードである。
「邪竜と我等の関係が気になるか。フハハ、奴めは汝等屍人帝国を滅ぼす為に召喚された存在よ。もはや汝等には未来はない」
とか何とか適当に恐怖を煽りつつ、アシズはそのまま接近すると触手をブンブン振り回して敵の飛空艇を破壊していく。鋼よりも遥かに硬く、それでいてしなりもある「魔皇触手」には、鋼鉄の船を打ちのめすのに充分な威力があった。
「ね、ねえ、アレなんだか大きくなってない……?!」
化け物の攻撃に晒されるライン・テリブルズを、さらなる恐怖が襲う。戦っている間も時間が経つにつれてアシズの体は【魔皇降臨】の重ねがけによって巨大化を続けており、それに伴って触手の数もマシマシの、より異形感のある戦闘形態に変化を遂げていた。
「フハハ。存分に恐れよ」
ユーベルコードのクールタイムが終了するたび、6m、12m、24mと、倍々ゲームでどんどん大きくなっていく魔皇。最終的には戦列艦のサイズも上回り、触手の一巻きでひょいと敵艦を持ち上げ、メキメキと音を立てて捻り潰してみせる。
「い、いやぁぁぁぁぁっ!?」「たすけてぇぇえぇぇっ!!」
怪獣大戦争のような光景に、すっかり戦意を喪失した敵はパニックになって逃げ惑う。
異世界より来たりし『魔』として、存分にその威を示したアシズは、満足げに発光器官をまたたかせながら、情け容赦のない蹂躙を続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
カビパンはマイクを片手にライン・テリブルズに向かって演説していた。
「私も今は人型形態だが、実はスーパーアルティメットスペシャルウルトラミラクルカオスドラゴンだ!カオスなら私の方が上だと自信がある!!よくカオスと言われることに定評があるからだ」
「そのスーパーカオスドラゴンを捕獲して好きにしてもいいが、私が当選した暁にはそのドラゴン以上のカオスを公約として約束しようではないか!」
「えっ捕獲していいの?」ザワザワ
「あっちの方がお得かも…」
「私、あの方に投票しまぁす!」
カビパンはスーパーカオスドラゴンと正々堂々と選挙で戦った。
その影響で徐々にこの選挙区の『カオス化』が違う意味で進んでしまったとか。
「私も今は人型形態だが、実はスーパーアルティメットスペシャルウルトラミラクルカオスドラゴンだ!」
スーパーカオスドラゴンを捕らえにきた『ライン・テリブルズ』に向かって、そう主張するのはカビパン・カピパン(わ た し で す^ o ^・f24111)。マイクで拡大された声が雲海に響き、敵艦へと届く。
「なんだと……!」「あのドラゴンに仲間が? しかも人型になれるって?」
カオスドラゴンについて「未知のパワーを秘めた謎のドラゴン」という程度しか知らない屍人帝国には、カビパンの発言を口からでまかせだと判断する根拠がない。ただでさえ猟兵の妨害に悩まされていた所に余計な情報を吹き込まれれば、混乱が増すのは必至だ。
「カオスなら私の方が上だと自信がある!! よくカオスと言われることに定評があるからだ」
今まさに戦場のカオスを加速させているだけに、カビパンの発言には説得力があった。
【ハリセンで叩かずにはいられない女】の力で戦場はギャグの世界と化し、ボケとツッコミが環境を支配するようになる。それは真面目な者からしてみれば混沌そのものだ。
「そのスーパーカオスドラゴンを捕獲して好きにしてもいいが、私が当選した暁にはそのドラゴン以上のカオスを公約として約束しようではないか!」
そうやって場の空気を掌握しつつ、彼女はまさかの自分を捕らえるようにと敵を唆す。
当選だの公約だのと言っているが、別に選挙をやっている訳ではないのだが。彼女の脳内ではそういう事になっているものとして話を進めよう。
「えっ捕獲していいの?」「だったらあっちの方がお得かも……」
にわかにざわつきだしたライン・テリブルズは、戦列艦形態から人型形態になって相談を始める。彼女らが屍人帝国から受けた命令はスーパーカオスドラゴンの捕獲だが、同種のドラゴン(?)がいるならそっちを連れて行ってもいいのではないか。
「でも、なぜ好きにしてもいいだなんて」「やっぱり裏があるのでは?」
中にはこちらに有益過ぎる条件に疑いを抱く者もいて、議論はすぐには纏まらない。
スーパーカオスドラゴンか、スーパーアルティメットスペシャルウルトラミラクルカオスドラゴン(カビパン)か。どっちにしたって待っているのはカオスである。
「私はあの女を捕らえる方に一票」「なら私は……」
気付けばライン・テリブルズはカビパンの術中に嵌まっていた。正々堂々と選挙(?)で戦うことを望んだ彼女の影響により、徐々にこの空域の『カオス化』が違う意味で進んでしまっていたのだ。
「どうかこの私に清き一票を!」
カビパンは相変わらずカオスを振りまく演説を続け、屍人帝国はまんまと踊らされる。
直接的な損害こそなくとも、この期に及んでで悠長に時間を浪費することが、連中にとって大きな不利益となったのは言うまでもない――。
大成功
🔵🔵🔵
カシム・ディーン
竜眼号搭乗
「ご主人サマ!女の子になれる艦隊だよ☆これはあれの出番だね☆」(銀髪少女こと機神
うぐううう!!
【情報収集・視力・戦闘知識】
敵陣の陣形と動きと連携の癖を把握
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を竜眼号に付与
光学迷彩で存在を隠し…水の障壁で熱源や音を隠蔽
そして…UC発動
「「ヒャッハー☆」」
幼女地獄が始まる…!
【集団戦術・念動力・空中戦・武器受け】
10師団は竜眼号の護衛
念動障壁展開し主を守る
「帝竜の子孫であるあの方に仕えるぞ☆」
敵の砲撃や攻撃が捕捉されれば迎撃
残り
【弾幕・スナイパー】
念動光弾を乱射して敵を蹂躙
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
混乱した所を突撃
切り刻み人なら身包み
船なら資源強奪!!
「ご主人サマ! 女の子になれる艦隊だよ☆ これはあれの出番だね☆」
雲海の上を航行中の帝竜大戦艦『竜眼号』の艦内で、銀髪の少女がニッコニコの笑顔で言う。彼女の名前はメルシー。意志を持つキャバリアである界導神機『メルクリウス』が人間に変身した姿である。
「うぐううう!!」
その「ご主人サマ」であるカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、彼女の提案に頭を抱えて呻いていた。この戦場なら確かに"あれ"が勝つための最適解になるのかもしれないが――本人としては余りやりたくない手段のようだ。
「ほらほら、早くやらないと見つかっちゃうかも☆」
現在『竜眼号』は光の魔術を応用した光学迷彩で存在を隠し、さらに氷の障壁で熱源や音を隠蔽することで完全なステルス状態となっている。これにより屍人帝国の軍勢に発見される事のないまま、敵陣の陣形と動きと連携の癖を充分に把握することができた。
「やるしか……ないのか。しょーがねーな!」
腹を括ったカシムは【対軍撃滅機構『戦争と死の神』】を発動。傍らにはべる銀髪少女をさらに幼くしたような見た目の、大量の幼女の軍団を呼び出し、戦艦より発進させた。
「「ヒャッハー☆」」
かくして始まる幼女地獄。見た目は可愛らしくとも、彼女らは言わば小型のキャバリアである。同スケールに小型化されたキャバリア用武装を手に、師団単位で空を翔ける幼女の軍団は、敵の予想と想像の埒外にあった。
「な……なんだコイツらは!?」
大混乱に陥るライン・テリブルズと対照的に、幼女メルシー軍団は一糸乱れぬ集団戦術で突っ込み、的確な動きで敵艦の連携を崩していく。空飛ぶ幼女の振るう大鎌や刀剣が、戦列艦の装甲をズタズタに斬り裂いていく光景は、いっそシュールでさえあった。
「帝竜の子孫であるあの方に仕えるぞ☆」
前線で活躍する師団とは別に、10師団分の幼女メルシー達は竜眼号の護衛として残り、念動障壁を展開して主であるカシムを守る。もし敵軍にこの戦艦が捕捉されたとしても、確実に迎撃できる体制だ。
「くっ……あの船がこいつらの母艦だ!」「撃て、撃ち落とせっ!」
ライン・テリブルズも必死になって反撃を試みるものの、連携の取れていないカノン砲の火力では、幾層も重ねられた念動障壁は撃ち抜けなかった。そうしている間にも味方艦は次々に撃沈されていき、戦闘可能な艦は残り僅かとなっていた。
「こうなったら……!」
最後の手段としてライン・テリブルズは【接舷切込突撃戦】を敢行。高速艦形態に変形して幼女の猛攻をくぐり抜け、竜眼号に接近すれば更に人型に変身。直接艦内に殴り込みをかけて、艦を制圧してしまうつもりだ。
「残念でしたー☆」
「「なぁっ?!」」
だが、その戦術も既にカシムとメルシーの分析によって把握済み。突撃コースに立ちはだかった幼女軍団が、念動光弾の弾幕を浴びせる。進路を遮られ混乱の極みに達したガレオノイドの少女達に、背後から別働隊が斬り掛かり――。
「確保完了☆」
「「きゃぁぁぁっ!?!!」」
艦船形態であれば資源を、人型であれば身包みごと。敵艦の強奪に成功したメルシー達は満足げな笑顔で母艦に帰投する。果たしてこれで捕まったライン・テリブルズがどんな目にあうのかは、ここで語られる事ではないが――。
「終わったよ、ご主人サマ☆」
「ようやくか……はあ」
戦闘継続の意志がある敵艦の残像数ゼロを確認すると、カシムは大きなため息を吐いてユーベルコードを解除し。悪夢の如き幼女地獄の終了が、同時に戦いの終わりを告げた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』禍』
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POW : ハイパーカオスチャージ
【カオスで予測不能な軌道を描く】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のスーパーカオスドラゴン】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : アンリミテッドカオスファング
【三つの頭の牙による連続噛みつき】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : マッドカオスフレイム
自身が【混沌魔法「カオスヘッダー」を発動して】いる間、レベルm半径内の対象全てに【属性を変え続ける混沌の炎】によるダメージか【肉体を癒やす混沌物質】による治癒を与え続ける。
イラスト:カツハシ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ゲヒャ~ッヒャッヒャ! よくやったなテメエら! 感謝するゼぇ!」
屍人帝国の『ライン・テリブルズ』艦隊を撃破し、空の平和を守った猟兵達。
騒ぎが収まったのに気付いた東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』は、浮島の奥からのそりと姿を現すと、彼らの救援に心から礼を言った。
「流石はデビルキングってところかぁ……ギャハハ! いい機会だ! テメエらとオレサマのどっちが強いかココで決めようゼェ!」
だが、その直後に彼は荒々しい闘志を漲らせ、猟兵達に喧嘩を吹っかけてくる。
これには勿論理由がある。彼の身に宿る混沌魔法のパワーは、既に彼自身でも抑えきれないレベルに達しており、島の『カオス化』を止めるためにはここで猟兵達に倒されて、パワーを弱める必要があるのだ。
「ゲヒャヒャ! オレサマの混沌魔法『カオスヘッダー』は、新たなオレサマを生み出す魔法! 既にこの浮島には何百体というオレサマが存在するゼぇ!」
事前の段取りに定評のあるラスボスらしく、彼は自らの能力を丁寧に猟兵に解説する。
混沌魔法によって生みだされた新たなスーパーカオスドラゴンは、全てがオリジナルとの「完全同一存在」。つまり戦闘能力も使用するユーベルコードもまったく同じである。
さらには新たなスーパーカオスドラゴンがまた「カオスヘッダー」を使用することで、この増殖はねずみ算式に加速していくという寸法だ。
「チンタラ戦ってたらあっという間に、この島はオレサマで埋め尽くされちまうゼぇ!」
カオスの暴走と呼ばれるのも頷けるヤバさだが、弱点がまったく無いわけではない。
先程も言った通り、混沌魔法により生まれたスーパーカオスドラゴンは「完全同一」。
つまり、一体だけでも倒す事ができれば、全てのスーパーカオスドラゴンが同時に倒された事になるのだ。
「ゲヒャ~ッヒャッヒャ! 手がつけられなくなる前にテメエらがオレサマを倒すか! オレサマがぜんぶカオスにしちまうか! 勝負だゼぇ!」
いかにもラスボスっぽいことを言っているが、本音としては倒して欲しいのだろう。
だが手加減を期待することはできない。7代目デビルキングとして挑戦を受けて立ち、そして勝利する――この世界をカオスの暴走から守るため、猟兵達は戦闘態勢に入った。
カシム・ディーン
「ご主人サマ!カオスドラゴン君が増えちゃってるよ!物量攻撃なんて卑怯だぞ☆」
おめーがそれいうのか!?
【情報収集・視力・戦闘知識】
カオスドラゴン達の中で比較的群れから離れてるのを捕捉
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で匂いや熱源隠蔽
UC発動
【空中戦・弾幕・念動力・スナイパー】
一体に狙いを決めて超高速で飛び回りながら念動光弾乱射してブチ当てながら突撃
更に機体に念動障壁も展開して防御強化
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
その状態で一気に体当たりしてぽーんっとふっとばし孤立させ
鎌剣で連続斬撃で切り刻みつつ容赦なく持ってるものの盗み入る
お土産も貰いますよ!!
「ご主人サマ! カオスドラゴン君が増えちゃってるよ! 物量攻撃なんて卑怯だぞ☆」
「おめーがそれいうのか!?」
さっきまで何をやってたのか忘れたのかと、メルシーに鋭い突っ込みを入れるカシム。
その間にもスーパーカオスドラゴンは己を増やし続け、島を埋め尽くそうとしていた。このままだと先刻のメルシー軍団を数で上回りそうな勢いだ。
「とにかく、止めるぞ!」
「はーい☆」
カシムが号令するとメルシーは真の姿――界導神機『メルクリウス』となり、主を乗せて空に飛び立つ。現状まだ対処が可能なうちにあのドラゴンを止めなければ、誰にとっても望まないカオスがこの世界に撒き散らされるだろう。
「狙うのはあいつだ」
カシムは大量のスーパーカオスドラゴン達の中で比較的群れから離れている個体を捕捉し、メルクリウスを接近させる。屍人帝国と戦っていた時の『竜眼号』と同じ様に、かの機体にも光学迷彩と水の障壁による隠蔽の術が施されている。
「加速装置起動……メルクリウス……お前の力を見せてみろ……!」
そのお陰で他の個体に気付かれず接近することができた彼は、ギリギリまで迫った所で【神速戦闘機構『速足で駆ける者』】を発動。足と背に装着されたウィングから推力を噴き出しながら、俊足の神の名に恥じぬスピードで突撃を仕掛けた。
「ゲヒャ~ッヒャッヒャッ! 来やがったゼぇ!」
矢のように迫る白銀の機体に気付いたスーパーカオスドラゴンは、3つの頭の牙による連続噛みつきで迎え討たんとする。この【アンリミテッドカオスファング】はシンプルな攻撃技だが、他の個体と合わせた手数の多さ、そして速度と威力も侮れない。
「回避だ!」
「了解!」
カシムの『メルクリウス』は縦横無尽な三次元機動でドラゴンの牙を躱し、お返しとばかりに光弾を乱射してブチ当てながら、迷彩にかわって念動力の防御障壁を展開させる。
複雑な機動を行いながらも速度は落ちず――むしろ速度を上げて、そのままドラゴンの胴体めがけて一気に突っ込んでいった。
「行きますよ!」
「うおッ?!」
障壁を纏って超高速飛翔するメルクリウスに体当たりされ、スーパーカオスドラゴンの巨体が大きくふっ飛ばされる。カシムの狙いは彼を他の個体から孤立させる事――いかに東のラスボスと呼ばれる強大な竜も単体にしてしまえば勝機はある。他に同じ敵が何百体いようとも、1体を集中攻撃して撃破できれば、こちらの勝ちなのだから。
「出力最大!」
巡行時の三倍に迫るスピードで空を翔け、BX鎌剣『ハルペー』を振るうメルクリウス。不死者をも冥府に送るとされたその切れ味は伊達ではなく、緑色に光るカオスドラゴンの装甲をザクザクと斬り刻んでいく。
「お土産も貰いますよ!!」
「ギャハハ、抜け目ないヤツだゼぇ!」
こぼれ落ちた外殻から価値のありそうな部位を盗み取って、即座にカシムは急速離脱。
その戦闘力に加えて、いかにも盗賊らしい手癖の悪さには、スーパーカオスドラゴンも称賛を禁じ得なかった。
大成功
🔵🔵🔵
槐・白羅
おお!モルスよ!
恐るべきドラゴンがいるぞ!
しかも増えるとはわかめみたいだな!
これを利用して食糧問題に
「ならんだろう?一体倒したら爆発するんだから」
残念だ!やはりサーモンマシンが至高だな
【戦闘知識】
カオスドラゴンの動きと攻撃の癖を把握
【受け流し】
敵の連続噛みつきは受け流しつつあえて吹っ飛ばされ連続攻撃の方向から脱出
UC発動
【空中戦・弾幕・属性攻撃】
超高熱熱線を乱射して打ち込みながら
【重量攻撃・貫通攻撃・殺気】
殺気を放ちつつ突撃して死の運命の一撃を叩き込みつつ死の閃光で生命力強奪
容赦なく搾り取りながら切り刻む
うむ!生命力を絞るとかえっちな響きだな!
「違うわー!!お前何言ってるんだ!!??」
「おお! モルスよ! 恐るべきドラゴンがいるぞ!」
浮島に蔓延るいかにも邪悪そうなスーパーカオスドラゴンの群れを見て、感嘆の声を上げたのは槐・白羅(白雷・f30750)。その話し相手は彼の愛機にして死の眠りを司るとされるキャバリア、冥導神機『モルス』である。
「しかも増えるとはわかめみたいだな! これを利用して食糧問題に」
「ならんだろう? 一体倒したら爆発するんだから」
アグレッシブな提案をする乗り手に比べて、神機のほうはまだ常識的らしい。そもそも食用になるかも怪しいし――いや、魔界には自分の部位を料理して食べさせる牛や豚の悪魔とかもいるらしいが。あのドラゴンがそうではないのは明白だろう。
「残念だ! やはりサーモンマシンが至高だな」
食糧問題の解決はすっぱり諦めた白羅は、既に傷を負っている1体のスーパーカオスドラゴンに狙いを定めて接近する。対するあちらは混沌魔法「カオスヘッダー」で自分自身を増殖させながら、一斉に【アンリミテッドカオスファング】で噛みついてきた。
「「ゲヒャ~ッヒャッヒャ! 食い千切ってやるゼぇ!」」
1頭だけでも煩かった笑い声が、増えたせいでますます喧しく。襲い掛かる幾多の牙を躱しきるのは『モルス』の機動力でも難しかった。そこで白羅は最初の一撃をあえて食らい、剣でダメージを受け流しつつ後方にふっ飛ばされた。
「貴様達の攻撃はもう見切っているぞ!」
この僅かな間に白羅はスーパーカオスドラゴンの動きの癖を把握し、どちらの方向に飛ばされれば連続攻撃から脱出できるか読んでいたのだ。上手く相手の間合いから逃れた彼は【対生物戦殲滅機構『死の眠りの神』】を発動、反撃へと転じる。
「モルスよ……今こそその権能を示せ……死の眠りを与えよ!」
黒き神機の背面に搭載されたブレイドウイング『死の翼』が開かれ、三次元高速起動を開始。プラズマライフル『黄金の矢R』から超高熱熱線を乱射しつつ、再びターゲットに突撃していく。
「グエッ! だが、この程度じゃナぁ……!」
熱線の1発や2発浴びた程度ではスーパーカオスドラゴンは倒れない。だが、殺気を放ちながら接近する『モルス』の手にした剣が禍々しい光を放ち――目にも留まらぬ早業で斬撃が叩き込まれる。
「こやつの放つ死の閃光は、あらゆる存在から生命力を絞り取るのだ!」
「なンだとォ……グワーッ!!?」
キャバリアソード『死の運命』の鋭さも然ることながら、生命力を直接強奪されるのは流石のカオスドラゴンも堪えたらしい。敵が怯んだのを好機とみた白羅は、なおも容赦なく切り刻みながら閃光を浴びせる。
「うむ! 生命力を絞るとかえっちな響きだな!」
「違うわー!! お前何言ってるんだ!!??」
なぜか乗り手から風評被害を受けている神機はともかく、白羅の攻勢はスーパーカオスドラゴンの命を着実に削っていた。元からタフな悪魔なので削り尽くす心配もいるまい。
敵の数は今も増え続けているが、猟兵の集中攻撃は少しずつ功を奏し始めていた――。
大成功
🔵🔵🔵
ダーティ・ゲイズコレクター
勝負を挑まれたならば受けて立つ!
なぜなら私は魔王!ダーティ・ゲイズコレクターだからです!
さて!時間が経てば経つほどスーパーカオスドラゴンさんが
増えて大変なことになりますが…視線を増やすためにあえて待ちます!
そして溜めに溜めた{ゲイズ・パワー}を使ったUC【醜悪!邪王穢澱烙印槍】で全力突撃です!
問題はいつ発動するか!
発動後の私は目で追えないほど高速になり
結果追加の{ゲイズ・パワー}が得られず
逆にピンチになりますからね!
『衝撃波』を使った『ダッシュ』や{ゲイズ・パワー}での『オーラ防御』で
スーパーカオスドラゴンさん達の猛攻に限界まで耐えてみましょう!
『気合い』と『根性』の見せ所です!頑張れ私!
「勝負を挑まれたならば受けて立つ! なぜなら私は魔王! ダーティ・ゲイズコレクターだからです!」
今代のデビルキングを背負って立つ悪魔の一人として、堂々たる態度を示すダーティ。
混沌魔法何するものぞ。自分よりデカくて数も多い(見た目は)邪悪なドラゴンの群れを前にしても、一歩も怯む様子はない。
「ゲヒャ~ッヒャッヒャ! そう来なくっちゃつまらないゼぇ!」
この姿勢は相手も気に入ったようで、ニヤリと笑いつつノリノリで襲い掛かってくる。
最終的には負けるつもりだが、そこまでの段取りに手を抜く気は一切なさそうである。それは猟兵の実力を信用しているからこそ出来る芸風とも言えるが。
「さて! 時間が経てば経つほどスーパーカオスドラゴンさんが増えて大変なことになりますが……」
ここは自分に向けられる視線を増やすために、ダーティはあえて「待ち」を選択する。
中途半端に攻撃してもかのラスボスは倒しきれない。出来る限り「ゲイズ・パワー」を溜めてから、一気に反撃を仕掛ける作戦だ。
「「ゲヒャ~ッヒャッヒャ!!」」
混沌魔法「カオスヘッダー」の力で増えたスーパーカオスドラゴン達は、互いに協力しながら【ハイパーカオスチャージ】を仕掛けてくる。その突撃はカオスで予測不能な軌道を描くため、回避は極めて困難だ。
「よーく見てください! 私はここですよ!」
ダーティは衝撃波を使ったダッシュで直撃を避け、矢印型のオーラでダメージを軽減しつつ、スーパーカオスドラゴンの視線を集めていく。充分にゲイズ・パワーが溜まったら【醜悪!邪王穢澱烙印槍】で反撃するつもりだが――。
(問題はいつ発動するか! 発動後の私は目で追えないほど高速になり、結果追加のゲイズ・パワーが得られず、逆にピンチになりますからね!)
中途半端な状態で突撃して、敵を倒しきる前にパワーが切れてしまうのが最悪の展開。
ゆえに彼女は度重なるドラゴン達の猛攻に晒されても、限界まで耐える必要があった。
「気合いと根性の見せ所です! 頑張れ私!」
「「ゲヘヘ、諦めちまったほうが楽になれるゼぇ?」」
突撃でふっ飛ばされて倒れても、何度でもすぐに立ち上がるダーティに、あえてゲスっぽい言葉を浴びせるスーパーカオスドラゴン。増え続けるラスボス達の視線はこの瞬間、彼女1人に集中しており――それは絶大な量の魔力へと変換させる。
「今です! 邪なる王に潜む悍ましき穢れの澱よ! 烙印刻む矛と成れ!」
溜めに溜めたゲイズ・パワーが一気に解き放たれ、赤紫色のオーラが嵐のように渦を巻く。全スーパーカオスドラゴンが「何ィッ?!」と目を見開くなか、ダーティの姿はその全ての視界から消えた。
「ここからはずっと私の番です!」
文字通りの「目にも留まらぬ」超スピードで浮島中を飛び回り、大きなオーラの矢印を身に纏って突撃するダーティ。全身全霊のパワーを籠めたその突撃は、彼女が受け続けた【ハイパーカオスチャージ】の威力を上回っていた。
「「グギャーーーーッ!!!?!」」
矢印の軌道上にいたスーパーカオスドラゴン達が次々になぎ倒され、吹っ飛んでいく。
もはや相手が倒れるその瞬間まで彼女が止まる事はない。それまで我慢してきたぶん、溜め込んだ魔力を存分に放出するダーティの表情は、実に清々しい笑顔であった。
大成功
🔵🔵🔵
桐嶋・水之江
あーらら
結局こうなるのね
まあ、いいわ
スーパーカオスドラゴン相手の戦闘データも欲しかったし
のんびりしてたら島が埋め尽くされるって話しだし手早く終わらせましょう
作戦は至って単純
囮を食わせて集中砲火するだけよ
ダミーデコイを正面に展開してワダツミは急速後退
スーパーカオスドラゴンが…名前長いわね
超混沌竜がワダツミのダミーに食い付いている間に全砲門の照準合わせを完了するわ
一度連続攻撃を始めたら中止出来ない…この隙を突かない道理は無いわよね
二連装メガビーム砲とMLRSの対艦ミサイル、締めのハイパーメガビーム砲の暴虐の咆哮を浴びせるわ
ついでに残ってるダミーデコイは全部起爆するわ
勿論ターゲットは1匹に集中よ
「あーらら。結局こうなるのね」
助けに来た相手に牙を剥かれるという、見ようによってはあんまりな、だが予想されていた展開。水之江は口ではやれやれといった素振りながらも、落ち着いた態度で増殖する相手の群れを見渡す。
「まあ、いいわ。スーパーカオスドラゴン相手の戦闘データも欲しかったし」
「ゲヒャ~ッヒャッヒャ! 見たけりゃたっぷり見せてやるゼぇ!」
混沌魔法「カオスヘッダー」により生まれたカオスドラゴンは完全同一存在。戦闘力に関してももちろん同一で、だからこそ脅威である。最終的には倒されるつもりとはいえ、彼らはノリノリで水之江に襲い掛かってきた。
「のんびりしてたら島が埋め尽くされるって話しだし、手早く終わらせましょう」
そう言って水之江は正面にダミーデコイを展開しつつ、乗艦「ワダツミ」を急速後退。
彼女の作戦は至って単純。囮を食わせて集中砲火をするだけだ。見境なしのスーパーカオスドラゴンは、的が増えてもいちいち本物を見定めようとはしない。
「「全部食っちまえば同じことだゼぇ!」」
3つ――否、無数の頭の牙による【アンリミテッドカオスファング】が、ワダツミのダミーをあっという間に食い千切っていく。見た目は本物そっくりとはいえ、強度に関しては大したものではない。だがお陰で水之江は貴重な時間とチャンスを得ることができた。
(スーパーカオスドラゴンが……名前長いわね。超混沌竜がダミーに食い付いている今のうちだわ)
カオスの暴走という異名に相応しく暴れ狂うスーパーカオスドラゴンの群れに向けて、水之江はワダツミの全砲門をロック。照準合わせが完了次第、一斉集中攻撃を開始する。
「一度連続攻撃を始めたら中止出来ない……この隙を突かない道理は無いわよね」
「ギャハハ……グワァッ!!?」
二連装メガビーム砲とMLRSの対艦ミサイルが、ドラゴンの三つ首に次々と着弾する。
もちろんターゲットは1番傷ついている1匹に集中。景気よく笑っていたスーパーカオスドラゴンも、これには堪えたようで悲鳴を上げた。
「出し惜しみは厳禁……押し切るわよ」
反撃も防御の隙も与えない全砲一斉射撃はまだ続く。【暴虐の砲哮】の締めを飾るは、ワダツミの主砲たる大口径ハイパーメガビーム砲、通称「水之江キャノン」。拠点攻撃用に開発された戦術級の砲撃が、今回はたった1体のドラゴンを屠る為に発射される。
「「グワアァァァーーーッ!!!?!」」
収束された膨大なエネルギーの奔流に撃ち抜かれ、絶叫するスーパーカオスドラゴン。
これで原型を留めているだけ、魔界の住人の丈夫さをむしろ褒めるべきだろう。周囲の増殖したドラゴンも消えていない――つまりはまだ生きているという事だ。
「だったらダメ押しよ」
水之江はそこで一切のためらいもなく、残っているダミーデコイを一斉起爆。囮として活用されたバルーン達は最後の務めとして爆発と衝撃を撒き散らし、傷ついたスーパーカオスドラゴンに追加のダメージを与えた。
「よ、容赦ね……ギャハァッ!!?」
この圧倒的火力による制圧っぷりには相手も感服したようで、悲鳴に紛れて称賛の声が聞こえてくる。水之江は艦のモニターから爆炎に沈みゆくドラゴンの姿を、余裕のある笑みで見下ろしていた――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
わ……ほんとにカオスっちゃったよー。
なんだろう、さっき『悪』ではない、とか言っちゃったけど、
これ、ぜったい『善』って言っても信じてもらえない光景だよね。
勝機は、どれか一体でも倒せばいいってところだけど……。
とりあえずやってみるか!
『希』ちゃん、周辺のみんなの戦闘状態をチェック。
カオスドラゴンの中で、ダメージのいちばん大きい個体をロック。
【テスカポリトカの鏡】を含んだ全火力を叩きつけるよ。
これで貫けるかどうかは解らないけど、
他のみんなとも連携して攻撃を集中できればなんとかなるはず。
ということで、なるべく派手にいくよ。
主砲および【M.P.M.S】トリガータイミングシンクロ!
全武装斉射、三連!
「わ……ほんとにカオスっちゃったよー」
話に聞いていたのと現実に見るインパクトはやはり違うもので。混沌魔法の力で大増殖を続けるスーパーカオスドラゴンの群れを見た理緒は、先程の発言をすこし訂正したくなってきた。
「なんだろう、さっき『悪』ではない、とか言っちゃったけど、これ、ぜったい『善』って言っても信じてもらえない光景だよね」
あるいは善悪では論じられないからこその『混沌』なのかもしれない。少なくともこれを放置していれば、既存の秩序は全てメチャクチャになってしまう。それはあのドラゴン本人も望まないことだ。
「勝機は、どれか一体でも倒せばいいってところだけど……。とりあえずやってみるか!」
勝ち筋が見えているのなら悲観せずに行動あるのみ。理緒はゴーグルタイプのウェアラブルコンピュータ「Oracle Link」を装着し、搭載されたサポートAIに指示を伝える。
「『希』ちゃん、周辺のみんなの戦闘状態をチェック」
即座に情報収集が行われ、解析されたデータが資格情報としてゴーグルに表示される。
相手は混沌なれども無敵ではなく、猟兵達の攻撃により確かな傷を負っている。その中でもダメージの一番大きい個体はどれか。彼女の電脳魔術はそれを見極める。
「ここは全火力を叩きつけるよ」
目標をロックした理緒は「ネルトリンゲン」に搭載された全武装のセーフティを解除。
再装填を終えたミサイルランチャーが、船体外部に装備された大口径主砲が、全て1体のスーパーカオスドラゴンに向けられる。
「これで貫けるかどうかは解らないけど、他のみんなとも連携して攻撃を集中できればなんとかなるはず」
誰かと打ち合わせるまでもなく、他の猟兵らも大半が同じ作戦を取っているようだ。
完全同一存在であるスーパーカオスドラゴン唯一の弱点。何百体いようがたった一体を倒せば良いのだと、みな分かっているのだ。
「ということで、なるべく派手にいくよ」
味方がスーパーカオスドラゴンに攻撃を行っている間に、理緒は武装システムを操作。
ネルトリンゲンの主砲が音を立てて変形し、発射形態へと移行する。エネルギーを砲身へと送り込み、火力のパラメータを最高値まで上げきって――一気に全てを解き放つ。
「主砲および【M.P.M.S】トリガータイミングシンクロ! 全武装斉射、三連!」
「―――……うぉッ!!!?!」
危機を感じたスーパーカオスドラゴンが振り返った時にはもはや手遅れだった。嵐のようなミサイルの弾幕が降り注ぎ、衝撃から一瞬遅れて爆音が島中に轟き――ダメ押しとばかりに主砲が光を放つ。
「射線クリア。いっちゃえー!」
十全にチャージされた【テスカトリポカの鏡】が、太陽よりも眩き熱と光の砲を放つ。
それは射線上にあった大地や木々を蒸発させながら、過つことなくスーパーカオスドラゴンを直撃し、その胴体に風穴を開けた。
「グオアアアアァァァァッ!!!!?!」
爆音にも勝るほどの大絶叫。大ダメージを負った東のラスボスが大地をのたうち回る。
他のスーパーカオスドラゴンは「やりやがったなァ!?」といきり立つが――その態度は猟兵達の強さを目の当たりにして、むしろ喜んでいるようにも見えた。
大成功
🔵🔵🔵
アルテミシア・アガメムノン
混沌魔法が御せないのは本質が混沌である以上、是非無きことです。
ほほほ、ご心配なく!
スーパーカオスドラゴンさんのお望み通り、戦い、そして勝って良い感じに貴方の魔力を削ってあげますわ!
『氷獄の魔帝』を発現。真の姿となり、無限の魔力に相応しい強さに。
ウジャウジュいるスーパーカオスドラゴンも敵WIZUCの属性を変え続ける混沌の炎も肉体を癒す混沌物質も完全に凍結させて無意味のモノとする絶対零度の氷結魔法(全力魔法×範囲攻撃×属性攻撃:氷結)を無限の魔力を以て放ちましょう!
無限と混沌の勝負ですわよ!
最後は凍結させたスーパーカオスドラゴンさんの一体の首を万物を切り裂く『クロノスの大鎌』で刈り取りましょう!
「混沌魔法が御せないのは本質が混沌である以上、是非無きことです。ほほほ、ご心配なく!」
本人にさえ制御困難な混沌の力に理解を示した上で、アルテミシアは女帝らしく高笑いで応じる。東のラスボス相手とはいえ、天下統一を掲げる者として揺らいではいれない。
「スーパーカオスドラゴンさんのお望み通り、戦い、そして勝って良い感じに貴方の魔力を削ってあげますわ!」
「やれるモンならやってみやがれェ! ゲヒャ~ッヒャッヒャ!」
悪辣な乱暴者っぽい言動をかましながらも、もはや期待と信頼を隠さないスーパーカオスドラゴン。「カオスヘッダー」による増殖は相変わらず続いているが、ダメージも着実に蓄積しつつあった。
「さあ、審判の時です」
アルテミシアは【氷獄の魔帝】を発現し、真の姿である六対十二枚の翼を持つ熾天使に変身する。この姿となった彼女は魔王としての無限の魔力を万全に活かせるようになり、その強さはまさに天井知らずである。
「すべてカオスにしてやるゼぇ!」
対するスーパーカオスドラゴンは【マッドカオスフレイム】を発動。全身から溢れ出る混沌の炎が広がっていき、敵対者にはダメージを、同胞には治癒をもたらす。それを全てのドラゴン達が一斉に行えば、効果範囲はたちまち浮島全体を包んだ。
「無限と混沌の勝負ですわよ!」
燃え盛る混沌の炎を前にして、相手にとって不足はなしと、アルテミシアは絶対零度の氷結魔法を放つ。無限の魔力を以って唱えられたそれは並の悪魔や人間の魔術師とは比べ物にならない威力を発揮し、これまた戦場の全てを巻き込んだ。
「この寒さ、アイスエイジクイーンと同格……いや、それ以上かもしれねえゼぇ!?」
触れたものを完全に凍結させて広がっていく大寒波に、スーパーカオスドラゴンは自身と並び称される西の好敵手の姿を思い出した。ウジャウジャいる同一存在の群れも、絶えず属性を変え続ける混沌の炎も、肉体を癒す混沌物質も、全てが彼女の力の前では全てが無意味のモノと化していく――。
「オレサマも負けていられねえゼェ!」
無限の魔力が巻き起こす凍結に対抗して、スーパーカオスドラゴンも混沌の炎をさらに燃え上がらせる。金色の熾天使と三つ首の魔竜の衝突は、まさに神話の再演を思わせるにふさわしい激しさとなった。
「流石はスーパーカオスドラゴンさん。ですがこの場はわたくしが勝たせて頂きます!」
両者一歩も譲らぬ無限と混沌の攻防は、最終的に僅かに無限に軍配が上がった。猛火を乗り越えた極寒の波動が、一体のドラゴンの身体を凍てつかせていく。
「お覚悟を!」
トドメとばかりにアルテミシアは「クロノスの大鎌」を取り出し、渾身の一閃を放つ。
万物を切り裂くと謳われたその刃は、凍結したスーパーカオスドラゴンの三つ首のうち一つを、根本からすっぱりと刈り取った。
「ウギャァァァーーーッ!!!?!」
胴体に残った二つの首から、耳をつんざくような絶叫が上がる。これでも「やりすぎ」には当たらないのがラスボスの恐るべきところだが。それでも間違いなくダメージは蓄積しており、派手な魔法の打ち合いによって魔力もいい感じに削れつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
アシズ・アナトテ
さて、屍人帝国の艦隊は良き準備運動となった。
スーパーカオスドラゴン。
汝の望み通り存分に暴れ、カオスの力を散らすこととしよう。
再びの『魔皇降臨』。
鬼畜ラスボスモードで、スーパーカオスドラゴン達とがっぷり四つの肉弾戦を演じましょう。
敵POWUCの突進を正面から受けた際はその威力を吸収して力に変えつつ吹き飛ばされますが、その際に触手を敵の首に巻き付けて置き、びよーんと吹き飛んだ後に伸びきったゴムが戻ってくるような超威力タックルを食らわしたり。
1章同様、UCの重ね掛けでドンドン大きくなり、十二分に混沌の発散が成されたタイミングでトドメの触手撃(?)です。
「さて、屍人帝国の艦隊は良き準備運動となった」
ライン・テリブルズを葬り去った際の姿のまま、アシズは巨体をぐるりと反転させる。
もはや何処が頭部にあたるのかも判りはしないが、彼の知覚は浮島で増殖し続ける標的をはっきりと捉えていた。
「スーパーカオスドラゴン。汝の望み通り存分に暴れ、カオスの力を散らすこととしよう」
「ゲヒャ~ッヒャッヒャ! そうこなくちゃ困るゼぇ!」
策や小細工は特にない。ラスボスとラスボスがぶつかり合うのであれば、純粋な力比べこそが相応しかろう。再びの【魔皇降臨】により鬼畜モードに突入したアシズは、触手をぶおんぶおんと振り回してスーパーカオスドラゴン達に挑み掛かった。
「征くぞ」
「来やがれェ!」
屍人帝国との戦いから継続して何度も【魔皇降臨】を使用したアシズの体躯は、もはや小山の如き巨体と化しており。群がるスーパーカオスドラゴンとがっぷり四つに組み合って、激しい肉弾戦を演じ始めた。
「オラァ!」「食らいやがれェ!」
増殖した自分自身と協力して放つ【ハイパーカオスチャージ】は、カオスな軌道を描くがゆえに予測は困難。回避は早々に諦め――というより最初からする気のなかったアシズは正面から突撃を受け止め、その威力を吸収して力に変えることを選んだ。
「「ブッ飛べェ!」」
多数のスーパーカオスドラゴンから同時に体当たりを食らい、巨大な肉塊が吹き飛ぶ。
だが抜け目のないアシズは寸前に触手を相手の首に巻き付けており、びよーんと伸び切ったそれはゴム紐のように伸縮して、彼を元いた場所まで引き戻す。
「お返しだ」
「「グオワァッ!!?」」
相手から喰らった衝撃をそのまま活かした超威力のタックルが、今度はスーパーカオスドラゴン達を吹っ飛ばす。表情など分かる由もないが、その佇まいはどこか得意げに見えた。この間にも彼は【魔皇降臨】を重ね掛けし、さらなるパワーアップを遂げていく。
「やるじゃねェか!」「だが、まだまだァ!」
吹っ飛んでも吹っ飛ばしても「カオスヘッダー」により新たなスーパーカオスドラゴンは次々と襲い掛かってくる。迎え撃つアシズのほうもドンドン大きくなっていき、戦いはますます激しくなる一方だ。
「フハハ、愉快愉快」
暴走するカオスの力を吸い込むことで膨れ上がった「魔皇肉塊」は、大きく体躯を揺すって群がるドラゴンを振り落とす。まだ幾らでも暴れられそうな様相だが、このままでは戦場となった浮島のほうが保たないかもしれない。
「そろそろ混沌の発散も十二分に成されたであろう」
頃合いかと判断したアシズは有り余る力を触手に籠めて、トドメの一撃を叩きつける。
今や雲を突くほどの巨体から振り下ろされるその殴打は、極めてシンプルな破壊力の塊であり。
「ギャッハァーーーーッ!!!?!」
ドゴシャァ! と凄まじい轟音と共に島が揺れ、スーパーカオスドラゴンが大地にめり込む。壮絶なるラスボス同士の戦いは、どうやら魔皇の側に軍配が上がったようだ――。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
ヴァカめ!いくら増えようが対抗策は既に完成しているッ!
カオスに勝つには…拙者もカオスになるしかあるまい!
拙者の身体に【流体金属生命体】をIN!拙者の身体、貴様に貸すぞ!流体金属君が全身に溜まってきただろう!!
これが拙者のハンサム形態!予測不能な軌道であろうが最後は体当たりなら対処可能でござる!スーパーカオスドラゴン達の突進を衝突直前で流体化することで衝撃を受け流すんでござるよ!
むしろもう流体化してるんだから先頭の一体に直接絡みついてもいいのでは?
このまま身体を動かしてスーパーカオスドラゴン氏の背中に陣取り手榴弾のピンを引き抜く
至近距離から爆発物でござるからな…もう助からないゾ❤
「ヴァカめ! いくら増えようが対抗策は既に完成しているッ!」
カオスの暴走により増え続けるスーパーカオスドラゴンに、エドゥアルトは自信満々でそう言い切った。1体1体が完全同一存在という恐るべき混沌魔法「カオスヘッダー」。これに対抗する策とはいったい――。
「カオスに勝つには……拙者もカオスになるしかあるまい!」
「ンだとォ!? テメエも仲間だったとは驚きだゼぇ!」
相手がすべてをカオスにしてくるのなら、こっちはよりカオスになって迎え撃とうという逆転の発想。驚愕するドラゴンの前で、彼は用意した流体金属生命体「オウガメタル・Spitfire」を自分の身体にインさせる。
「拙者の身体、貴様に貸すぞ! 流体金属君が全身に溜まってきただろう!!」
まるでストレッチでもするかのような軽いノリで、自分の肉体を流体金属と融合させるエドゥアルト。【Innovator】の発動により、彼の姿は明らかに他者からは人間やめてる感の漂うもの――通称、メタル黒髭へと変態を遂げる。
「これが拙者のハンサム形態!」
「このヤロウ、ちょっとカッコいいゼぇ!」
ピッカピカのメタリックな格好が琴線に触れたのか、スーパーカオスドラゴンから称賛が送られる。だがそれで手心を加えるつもりは一切ないらしく、他の同一存在と連携して【ハイパーカオスチャージ】を仕掛けてきた。
「予測不能な軌道であろうが最後は体当たりなら対処可能でござる!」
ビュンビュンとカオスに飛び回るドラゴン達に対し、エドゥアルトは仁王立ちで迎え撃つ構え。相手が突っ込んでくると衝突直前で素早くボディを流体化し、衝撃を受け流す。
「「なにぃッ?!」」
まるでスライムのようにダメージを無効化されて、スーパーカオスドラゴン達は驚愕。
ヤバそうなのは決して見た目だけではない。メタル黒髭は状態異常・物理無効、反射・思考速度強化など、様々な特典を持ったスーパー形態なのだ。
「むしろもう流体化してるんだから先頭の一体に直接絡みついてもいいのでは?」
そう考えたエドゥアルトは有言実行とばかりに、突進してきたスーパーカオスドラゴンの身体にぬるりと絡みついた。一度取り付いたが最後、彼のボディは自在に形を変えて姿勢を安定させ、ベストポジションをがっちりキープする。
「うおッ?! 気持ち悪いぜェ!」
液体金属の塊にへばり付かれて不快なのか、スーパーカオスドラゴンはブンブン身体を揺すって振り落とそうとするが、エドゥアルトはピッタリくっついたまま身体を動かして背中側に陣取り、持ってきた「芋煮ハンドグレネード」のピンを引き抜く。
「至近距離から爆発物でござるからな……もう助からないゾ❤」
背筋が寒くなるような猫なで声と同時に、炸裂する手榴弾。ドカンと派手な爆音と衝撃と破片が撒き散らされ、その全てがスーパーカオスドラゴンの背中へと叩きつけられた。
「ウギャアッ!!!?」
プスプスと煙を上げて墜落していくドラゴンに対し、エドゥアルトのほうは物理無効の特性により無傷。カオスにはカオスで対抗するという彼の作戦は見事にハマったようだ。
大成功
🔵🔵🔵
カビパン・カピパン
「この島はオレサマで埋め尽くされちまうゼぇ!」
「どうぞ」
「…オレサマがぜんぶカオスにしちまうか勝負だゼぇ!」
「いいよ、お前スーパーカオスドラゴン。私スーパーアルティメットスペシャルウルトラミラクルカオスドラゴン。はい私の勝ち~」
「なっ!?ではオレサマはスーパー略なんたらインフィニティカオスドラゴンだもんね!!」
「お前X。私X+1。はい私の勝ち~」
「そ、それならオレサマX二乗だし!」
「私X二乗+1。はい私勝ち~」
「じゃ、じゃあオレサマは…」
黒柳カビパンの部屋のゲストとして招かれ、喧嘩を売られたことにより島の『カオス化』は止まった。確かに止まったのだが違うギャグによる『カオス化』として舵を切った。
「オラオラァ! 早くしねえとこの島はオレサマで埋め尽くされちまうゼぇ!」
混沌魔法「カオスヘッダー」の効果は今だ止まらず、猟兵達を煽り散らすスーパーカオスドラゴンの大群。その言動の裏を読むなら、早く自分を倒して欲しいのだろう。この島だけにまだ影響が留まっている内に、カオスの暴走を止めてほしいと。
「どうぞ」
が、それにカビパンはたった一言。空気が読めない芸人のような梯子外しをやらかす。
彼女の場合は本気で言っている可能性が1ミリでもありそうなのが困る。相手もさぞや困惑したことだろう。
「……オレサマがぜんぶカオスにしちまうか勝負だゼぇ!」
「いいよ、お前スーパーカオスドラゴン。私スーパーアルティメットスペシャルウルトラミラクルカオスドラゴン。はい私の勝ち~」
気を取り直して喧嘩をふっかけるスーパーカオスドラゴンに、カビパンは子供みたいな理屈で対抗する。べつに名前が長いほうが強いとか偉いとかそういう問題ではないと思うのだが、なんか強そうな言葉をとにかく並べるのは小学生とかにありがち。
「なっ!? ではオレサマはスーパーゴッドミラクルハイパー……(略)……なんたらインフィニティカオスドラゴンだゼぇ!」
問題はスーパーカオスドラゴン、というか魔界民にも割とそういう感性があることで。
こちらも負けずに名前を長くして対抗。たぶんもう1度言ってみろと言われたら無理。
さらに対抗してカビパンもまた名前を長くするという、不毛な言い争いが始まった。
「お前X。私X+1。はい私の勝ち~」
「そ、それならオレサマX二乗だゼぇ!」
長くなりすぎた名前合戦はとうとう数式表記に変わり、1文字でも長い方が偉いという完全に本題を無視した方向に発展する。こうなるともはや言い争いは無限に終わらない。
「私X二乗+1。はい私勝ち~」
「じゃ、じゃあオレサマは……」
姑息に数字を相手より1増やし続けるカビパンに、さらにデカい数で対抗するスーパーカオスドラゴン。こんな事をしている間にもカオスの暴走が――と思われたが、ふと気がつけばドラゴンの数は言い争いを始めた頃から変わってない。これはどうしたことか。
「Xの三乗!」
「Xの三乗+1~」
この論争が始まった当初からカビパンは【黒柳カビパンの部屋】を発動しており、自身のギャグ空間にゲストとしてスーパーカオスドラゴンを招いていた。これによりカオスの暴走はギャグの力で中和され、島の『カオス化』が一時的に止まったようだ。
「Xの四乗!」
「Xの四乗+1~」
――確かに止まりはしたのだが、引き換えに違う意味でのカオスとして舵を切った気もするが。終わりの見えないグダグダの争いは、結局どちらも飽きるまで続いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『不動なる者』にて
武器:『黒曜山』
陰海月「ぷーきゅぷきゅぷっきゅ!」(これもスーパーカオスドラゴンさんの優しさだよね!)
汲み取っておるの…陰海月。
ま、その考えを無駄にせぬためにも参ろうか!
引き続き、陰海月に乗っておるよ。
はは、わしの攻撃は見切れぬよ。何せ未来への『置き斬撃』であるからな…必ず通る場所に設置してあるのよ。
その混沌たる突撃は、素早く見切って上に回避しよう。
念のために、重力属性の結界も張っておいて、当たったら沈みこませもするが。
※
まだまだしゅばばばばと動く陰海月。望みを汲んで動くのも、ファンのできること!
「「ゲヒャ~ッヒャッヒャ!!」」
「ぷーきゅぷきゅぷっきゅ!」
島に響き渡るスーパーカオスドラゴンの笑い声と、共鳴するように「陰海月」が鳴く。
人語に翻訳するのなら(これもスーパーカオスドラゴンさんの優しさだよね!)という所か。あちらが本気で悪い乱暴者ではなく、猟兵が気兼ねなく殴ってこれるようにわざとワルぶっていることを、このクラゲはちゃんと見抜いていた。
「汲み取っておるの……陰海月」
推しの気持ちを第一に考えるファンの鑑といえる察しの良さを、微笑ましげに見守るのは義透。屍人帝国との戦いから引き続き、表に出ている人格は『不動なる者』のようだ。
「ま、その考えを無駄にせぬためにも参ろうか!」
いつも陰海月には癒しを貰っているし、ここで島をカオスに沈むのを見ている訳にもいくまいと、義透は愛剣「黒曜山」を抜く。そしてやる気に満ち溢れる陰海月の傘に乗り、スーパーカオスドラゴンの群れに立ち向かっていく。
「「そうだ、かかって来やがれェ!」」
混沌魔法の力で増えたドラゴンの大群は、完全同一存在であるがゆえの一糸乱れぬ連携で【ハイパーカオスチャージ】を仕掛けてくる。その突進はカオスで予測不可能な軌道を描き、回避は極めて困難だが――。
「上に昇れ、陰海月」
「ぷきゅ!」
歴戦の古強者である『不動なる者』の見切りと、本気になった陰海月の俊敏さがカオスの突撃を躱す。一体どういった原理で加速しているのかは不明だが、しゅばばばと空中を飛び回るミズクラゲの動きは、カオスの権化にも負けない予測のしづらさがあった。
「ゲヒャ~ッヒャッヒャッ! そうこなくちゃつまらないゼぇ……うおッ?!」
なおも追撃しようとするスーパーカオスドラゴンであったが、不意に動きが鈍くなる。
回避に合わせて義透が張っていた、不可視の重力結界に引っかかったのだ。即席の重力井戸はあらゆるものを引き込み、沈み込ませ、不注意な犠牲者から自由を奪う。
「好機到来よの」
すかさず義透は陰海月を反転させ、動きの止まったスーパーカオスドラゴン達に接近。
群れの中でも一番負傷の激しい個体に狙いを定めて、漆黒の剣を大上段に振りかぶる。
「こりゃマズいゼぇ……!!」
スーパーカオスドラゴンは慌てて間合いから離脱しようとするが、その刹那に放たれた斬撃が体躯を切り裂く。攻撃の挙動は間違いなく見切っていたはずなのに――まるで彼が逃げる先に直接刃が現れたような現象だった。
「はは、わしの攻撃は見切れぬよ。何せ未来への『置き斬撃』であるからな……必ず通る場所に設置してあるのよ」
それが『不動なる者』のユーベルコード【四天境地・山】。黒曜山の柄に埋め込まれた黒曜石の破片に秘められた力か、その刀身は未来を写すと謂われる。彼はこの力を自身の剣技と合わせて、視認不可能な必中の斬撃として昇華させたのだ。
「ゲフッ……やるじゃねえかァ……!!」
スーパーカオスドラゴンがどんなにカオスな動きで翻弄しようとしても、未来への斬撃は決して逃さない。その巨体に刀傷が増えるたび、混沌の力は徐々に弱まりつつあった。
大成功
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バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
オーライ! スーパーカオスドラゴン殿!
全身全霊で勝負させていただきマース!
7th KINGの実力をご覧に入れマース!
すなわち御身の混沌魔法を!
取り出したるは、カオスの権化!
「カオスメモリ、ロゴスイグニッション!」
ヒャッハー!
混沌魔法『カオスヘッダー』をワタシも行使して、ねずみ算に増殖しマース!
しかもこらちは変身する度に図体も倍々になっていくので、パワーも増大していきマスヨー!
……島が、持ちマスカナ?
島が混沌で埋め尽くされる前に、一人のスーパーカオスドラゴン殿に狙いを定めてワタシたちの暴力で攻撃デース!
みんな、丸太(チェインハンマー)は持ったな! 行くぞ! であります!
「オーライ! スーパーカオスドラゴン殿! 全身全霊で勝負させていただきマース!」
カオスの暴走を阻止するために自分を倒せという相手の心意気に、バルタンは全力で応じる構えでいた。魔界でも屈指のラスボスからこれだけの期待をかけられて、おめおめと尻尾を巻いては名が廃るというものだ。
「7th KINGの実力をご覧に入れマース! すなわち御身の混沌魔法を!」
そう言って取り出したるはカオスの権化。戦争中にもスーパーカオスドラゴンと戦った経験のある彼女は、その過程で混沌魔法に関する知見をインストールしていた。カオスを以てカオスを制す――これが次代のキングたる猟兵の力だ。
「カオスメモリ、ロゴスイグニッション!」
【模倣様式・混沌魔法】により、カオスを具現させる混沌魔術師に変身するバルタン。
使用するのは今目の前で暴走しているのと同じ魔法――すなわち「カオスヘッダー」。
1バルタンが2バルタンに、2バルタンが4バルタンに、ねずみ算式に増殖していく。
「「ヒャッハー!」」
「「へぇ! まさか自分からカオスになるなんて、面白えヤツだゼぇ!」」
ノリノリで増えていくバルタン軍団を目にして、スーパーカオスドラゴン達も愉快そうに笑う。長くラスボスとして君臨してきたが、自分と同じ魔法の使い手に会うのは稀有な経験だろう。最終的には負ける前提とはいえ、ここは存分に腕比べをしようではないか。
「「ゲヒャ~ッヒャッヒャ!!」」
いかにも乱暴者っぽい笑い声と共に、カオスな軌道で突進するスーパーカオスドラゴンの群れ。対するバルタン軍団は「カオスヘッダー」の行使を続けながらこれを迎え撃つ。
「こらちは変身する度に図体も倍々になっていくので、パワーも増大していきマスヨー!」
巨大化したバルタンが【ハイパーカオスチャージ】をがっぷり四つに受け止める様は、まるで怪獣映画のワンシーンだ。動くたびにズシンズシンと足音が響き、暴風がうねり、大地が揺れる。両者一歩も譲らぬカオスとカオスの大激戦であった。
「……島が、持ちマスカナ?」
カオスの暴走を止めるはずが逆に加速してしまっている気もするが、島が混沌で埋め尽くされる前に勝ってしまえば問題はなし。でっかくなったバルタン達はダメージが一番溜まっている一人のスーパーカオスドラゴンに狙いを定めて、一斉攻撃を仕掛ける。
「みんな、丸太は持ったな! 行くぞ! であります!」
「「おぉー! であります!」」
振るうのはキャバリアの武装をサイボーグ用に改造した「換装式チェインハンマー」。
鎖に繋がれた馬鹿でかい鉄球がブオンブオンと唸りを上げて、パワー、遠心力、質量の全てを乗せた打撃が標的に叩きつけられた。
「グオワァァーーーーッ!!!?!!」
ゴメシャアという鈍い音が断続的に鳴り響き、スーパーカオスドラゴンの悲鳴が轟く。
カオスの力を味方につけた数の暴力による袋叩きには、東のラスボスとて耐えきれなかったようで――ボコボコにされた彼は天を仰いで叫ぶ。
「「み、見事だゼぇ……グワーーーーッ!!!!!」」
その直後、島にいた全てのスーパーカオスドラゴンが、全員同時に大爆発を起こした。
完全同一存在である彼らは、1体が倒れれば全てが力尽きる。すなわちそれは、猟兵達の勝利を意味していた――。
「フゥ、なんとかパワーダウンできたゼぇ。感謝するゼぇ!」
爆発の後に残ったのは、さっきより大分小さくなった1体のスーパーカオスドラゴン。
あれで何故死んでいないのかは分からないが、ひとまずは暴走の危機は去ったらしい。ワルそうな面構えもいくらか清々しい表情に見える。
「流石はデビルキング、オレサマの完敗だゼぇ!」
打ち合わせ済みの事だったとはいえ、自身のカオスを完全に打ち破ってみせた猟兵達にドラゴンは惜しみない賛辞を送り。ブルーアルカディアをカオスが埋め尽くすような災害は、これでまた当分は訪れないだろう――。
大成功
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