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目指せSSR!? 強襲のエルフ帝国

#ブルーアルカディア #レリックウェポン #宿敵撃破

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 森に囲まれた神殿跡を、勇士達のパーティが訪れていた。
「これが『天上の虹』かぁ」
「ええ、召喚獣や武器を授ける、喋る水晶だったそうよ」
 彼等の足元には、人の背丈ほどの大きさの、石の塊が転がっている。
「もっとも、魔力の源は生命力か召喚石での。無料キャンペを謳って射幸心を煽っとったそうじゃ。そうやって力に溺れさせ、徐々に破滅していく様を楽しむ。つまり愉悦家じゃな」
「たくさんの勇士達が召喚石を稼ぐために無理をしたり、冒険に必要な生命力を捧げちゃったりして、破滅に追い込まれたんですって。まぁ、そうでない勇士がこの街を広げてきた訳だけど……」
「見かねた者達が破壊を企ててのう」
「で、その前夜にただの石ころになっちまったって訳か……」

 しかし刹那、背後から殺気。
 勇士達が振り返った時には、多くの耳長族――エルフ達に取り囲まれていた。
『『『ホールドアップ! ご案内、そして情報ありがとうございます!』』』
「な、なんだてめーら!」
 銃口を向ける賊を掻き分け、司祭姿のエルフがひょっこり顔を出す。
『よっ……と、申し遅れました! 私達はエルフ帝国! その石は――いえ、超高位召喚石(レリックウェポン)は自ら仮死の眠りにつき、あなたたちを欺いたのです!』
「なんですって!?」
『復活の代償は先程の会話でわかりました! 儀式魔術、展開! ――はぁっ!!』
 気合と共に司祭エルフが大魔法陣を展開すれば、あたりが濃厚な魔力の気配に満たされる。
 同時に数隻の飛空艇が空を埋め、そこから空賊エルフ達が市街地へと乗り込み始めた。
『みなさん! 生贄と財宝はここに集めておきなさい!』
『『『あいさー司祭様! 必ずやご期待に応えて見せますとも!』』』
『目指せSSRエルフ王にして私のお婿さん排出! あっ弓の神器でも風の大精霊でも良いですよ!』
「離せー!」
 欲望にオッドアイを輝かせる司祭を余所に、エルフ達は勇士達を縄でグルグル巻きにするのだった――。


「集まってくれてありがとう。ブルーアルカディアの浮遊大陸に、屍人帝国の軍勢が攻勢をかけているの。誰か手を貸してくれないかしら」
 グリモアベースの片隅に集まった猟兵達を前に、アメリア・バーナード(量産型キャバリア乗り・f14050)はそう切り出した。
「島の奥地には『遺骸兵器(レリックウェポン)』が眠っていて、『エルフ帝国』はその復活を試みているの」
 遺骸兵器。今は眠りについた強力な存在の総称。
 大魔獣の骨、眠り続ける召喚獣、大量の天使核を埋め込んだ魔導兵器……その種類は数あれど、遥か昔の「天使戦争」よりブルーアルカディアの人々は天使核文明を紡いできた。その過程で時にそういった存在が生まれうるのだと。

「屍人帝国は街の人たちを生贄に捧げる大規模ユーベルコードを行使して、オブリビオン化の儀式を行おうとしているわ」
 狙いは遺骸兵器をオブリビオン化して戦力に加えること。
 そして住民のいなくなった浮遊大陸を足掛かりとして、更に周辺の侵攻に乗り出すこと。何としても阻止すべきだろう。

「今は襲撃部隊が街を襲っているわ」
 銃器と縄を手に暴れるエルフ達、その数は多い。勇士達が抗戦しているが、いずれ押し切られてしまうことは明白だ。
「広い街のあちこちで戦いが起きてるから、全てを追い切るのは難しいんだけど……戦闘規模の割に死者が少ないのが救いかしらね」
 生きた人間の生命力こそが『石』への生贄になる。そう聞いたエルフ達は、極力住民や勇士達を生け捕りにし、片っ端から神殿跡に押し込んでいるようだ。

「中央広場からは十字に広い道が広がっていて……他の部分は錯綜しているわ」
 宿屋の上階や店舗の屋根、橋や路地裏、鐘楼など、勇士達は高低差や遮蔽を利用して戦っている。
 大切な街の人々を、自分達の街を守るためだ。
 彼等との連携が勝利の鍵になるだろう。

「まずは空賊を蹴散らしてしまいましょう。その後は儀式を行う司祭エルフを止めるのよ。屍人帝国の作戦に終止符を打つために、どうかよろしくね」
 最後にそう言ってアメリアは転送の準備を始めるのだった。


白妙
 オープニングをご覧いただき、誠にありがとうございます。白妙です。
 今回ブルーアルカディアのとある浮島に、屍人帝国の大軍勢が攻勢をかけています。
 その目的はレリックウェポン『超高位召喚石』のオブリビオン化と浮遊大陸の占拠。
 まずは広い街のあちこちで交戦に加わり、空賊の大部分を蹴散らしてしまいましょう。

●第一章【集団戦】
 空賊エルフの軍勢が街の全土に攻め寄せています。
 エルフ達は住民や勇士の殺害より捕縛を狙っており、進軍は遅々として進んでいませんが、数の差で押し切られてしまうのは時間の問題といった状況。
 周りで戦う勇士たちと協力し、勝利を目指しましょう。

●第二章【ボス戦】
 街の外れの神殿跡で、儀式を行おうとしているエルフ司祭をやっつけます。
 集めた財宝を使ったUCも所持しているようです。

●第三章【???】
 どうやら儀式を中断させることに成功した後も何かが起こる様子……?
 第二章をクリアした時点でオブリビオン化が完遂されることはなくなりますが、それでもレリックウェポン。暴走の危険は否めないでしょう。

●浮遊大陸『空の盾』
 まん丸な島のほぼ全土を、中世ヨーロッパを思わせる街並みが覆い尽くしています。
 島の中央に円形広場。そこから十字に石畳の大通りが伸び、無数の小道へと繋がっています。
 遺骸兵器のかつての力を目当てに勇士達が集った街であり、今も多くの勇士達が停泊する要衝でもあります。
 市街戦でも起ころうものなら、どこに居ても目当ての武器を使った支援が飛んでくるでしょう。
 島の隅に森と遺跡があり、司祭はここで儀式を行おうとしているようです。

●その他
 プレイング受付は第一章は公開直後。
 二章・三章は断章投下後となります。
 また、サポートさんの力を借りて進行させることもあります。
 長々と失礼しました。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『空賊エルフ』

POW   :    ペネトレイトショット
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【貫通】属性の【魔術装填弾】を、レベル×5mの直線上に放つ。
SPD   :    アサシネイトバレット
【敵の視覚を惑わす魔法の木の葉纏った歩法】で敵の間合いに踏み込み、【呪・影・闇・魔の弾丸】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    ダブルトリガー
【天使核マスケットと天使核リボルバー】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。

イラスト:にこなす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルゥ・アイシテ
SSR至高の恋に熟れた脳味噌。魔獣狩りしてもドロップしなさそうだけど、ここでなら排出するかもしれないわ。

みんな元気そうだし、生命力を少しずつもらって一回だけ引いてみよう!もちろんただでとは言わないよ♡

みんなー!ルゥの虹石ステージライブに来てくてありがとー!

諦めなければきっと手に入る。
夢の果てに触れた確かな真実。
此の飢えを満たすための、排出率は100%、今この瞬間に100年の恋も実を結ぶの♪

UCの歌に聞き入ってる間分のみんな(空賊エルフ含む)の生命力で奇跡の神引きをするよ!

歌が終わる頃には、空賊エルフ達は満身創痍になってるかもだけど、みんなみんな愛してルゥ!



 るん、るん、るん、と、可愛らしい歌声が聞こえた。
 未だ喧騒に包まれた中央広場に向けて、ルゥ・アイシテ(愛してルゥ!・f36388)が石の大通りを小気味良いステップで辿る。
 艶やかな黒髪の上でバニー耳が揺れる。黒とワインレッドの衣装を纏った姿はまさにスタァ。
 集まる注目を引っ張るようにして、ルゥはネイルと腕輪でおめかしした左掌を天へと掲げた。
 そこには道中一人の|勇士《クリスタルサモナー》から受け取った、ハートの形をした召喚石がひとつ。
「みんなー! ルゥの虹石ステージライブに来てくてありがとー!」
 明るい声に虹色の煌きが震える。
 ぱっちりとした瞳でルゥが辺りを見回せば、此方を見つめるのは戦いの手を止めた空賊エルフと勇士達。
(「魔獣狩りしてもドロップしなさそうだけど、ここでなら排出するかもしれないわ」)
 そう。ルゥが試みるのは、召喚術。
 この世界の召喚石の種類は多い。中には『超高位召喚石』と同じく、代償として体力が必要なものもある。
 ルゥはその代償を、この場の全員から賄おうというのだ。
 頭数が多い上に敵も味方も体力は十分という、特殊な状況下でこそ成立する妙案であった。
「みんな元気そうだし、生命力を少しずつもらって一回だけ引いてみよう! もちろんただでとは言わないよ♪」
 愛らしい笑顔を振り撒けば、呼応するように手の石がきらりと輝きを増した。
「諦めなければきっと手に入る。夢の果てに触れた確かな真実♪」
 くるり、くるり、ターン、スキップ。
 可愛らしくフリルを揺らし、珠のような声で歌い始める。
「此の飢えを満たすための、排出率は100%、今この瞬間に100年の恋も実を結ぶの♪」
 青空の下、虹色の輝きの中で舞い踊るルゥに、勇士達もエルフも釘付けになっていた。
 誰一人動けない。何故なら曲目はショウ・マスト・ゴー・オン。この歌を聴き続けていたいという感情は理屈ではないのだ。
 この刹那に全てを懸けるルゥの願いは、まさに歌が終わるその直前、|神引き《SSR》という形で結実した。
 ぱん、と輝石が砕け――虚空に現れたのは、神々しい天使のような姿をした、愛の大精霊。
『『『んぎゃーっ!?』』』
 刹那迸ったのは溢れんばかりの光の奔流。それは空賊エルフ達を中央広場から押し流し、その大半を消し飛ばした。
「みんなみんな愛してルゥ!」
 そして最後にハートを作ってフィニッシュ。
 既に満身創痍のエルフ軍に向けて、ルゥはウィンクを送ったのであった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

レプリカ・レグナント
うーむ素晴らしい、我が故郷も昔はこのような美しい街並みだった
自らの故郷を守る為命懸けで戦う誇り高き勇士達よ、その意気や良しオレ様が加勢しよう!
さてオレ様の宮殿に招待してやる
この宮殿は弱者に力を与え反抗の意志を持つ者達を優勢にする
エルフ共の武器は強力だが宮殿の力で威力や射程が大きく弱体化する
敵は突然のアクシデントで戸惑っている、大軍であればある程混乱を収束させるのに時間を要する
この機を逃してはならん、一気に攻め立てよ
こちらには反抗の加護がある、敵の武器の性能は今低下しているその為武器の性能や射程は今はこちらに分がある
焦って突出するなよ、壁を利用し射程外から攻撃しつつジリジリ戦線を押し上げて行け!



 青空を照り返し輝く白い石壁。
 整然とした区画。
 並木は青々と茂り、そこに商店や宿屋が色彩を添えている。
「うーむ、素晴らしい――我が故郷も昔はこのような美しい街並みだった」
 街の光景を前に、レプリカ・レグナント(亡国の王女・f32620)は思わず唸る。
 国を統べ、民にも慕われた身であったからこそ、目の前の光景がどれほどに貴重なものであるかがわかる。
 加えてこの世界の人類が屍人帝国という巨大な敵を持っている事を思えば、浮遊大陸を要衝と化した人々の努力は如何ばかりだっただろう。
 そしてそれは間違いなく、今この瞬間も続いていた。
「こっちだ!」
『『『撃て撃てー!』』』
 戦いの音にレプリカが向き直れば、そこには抗戦を行う勇士達の姿があった。
 大通りを中心にワンパターンな進軍を行う敵軍に対し、ある者は高所から射撃し、またある者は隘路を活かして横から斬り込んでいる。
 本当によく防いでいる。
 勇士達の戦いぶりは、レプリカの目にもそう映った。
 だが銃を手にしたエルフ達は数を盾に、傷ついた勇士達を片っ端から捕らえている。このままでは押し切られてしまうに違いない。
 その流れに歯止めをかけるべく、レプリカは朗々と声を上げた。
「自らの故郷を守る為、命懸けで戦う誇り高き勇士達よ、その意気や良し! オレ様が加勢しよう!」
 たちまち勇士達は奮い立つ。王族の威光を纏い、大斧を携えた彼女は、頼もしい救援に映っただろう。
 だがエルフにとっては新たな獲物に過ぎない。
『なになに? カワイイ子~』『捕まえちゃいますよ~』
 天使核マスケットとリボルバーがレプリカへと向けられる。だが彼女は微動だにせず。
「功を焦ったな――オレ様の宮殿に招待してやる」
 合図とばかりに、大斧の石突で石畳を突いた。
『な、なになに!?』
 はじめに動揺を見せたのはオブリビオン達だった。
 自身等を取り巻いていた明るい街並みが、昏く広大な王宮の廊下を思わせる場所へと変貌を遂げる。
 それだけではない。強烈な違和感が場を浸していた。
 明らかな優勢が、それ故に自分達を窮地に追い込んだかのような予感に、エルフ達は互いの顔を見合わせる。
 逆に劣勢に陥っていた勇士達にとって――それは不思議と戦い辛い環境では無かった。
「――この宮殿は弱者に味方する。機を逃してはならん、一気に攻め立てよ!」
 窓から。屋根から。柱から。
 レプリカの宣言に弾かれるように、勇士達が一斉射撃を開始する。
 すかさず反撃するエルフ達。だが彼女達の銃は先程とは射程も威力も大きく弱体化しており、一人の勇士も傷付けることが出来なかった。
「この機を逃してはならん、一気に攻め立てよ!」
 レプリカは決して押し所を見誤らない。敵は大軍であればこそ統率は難しく、混乱の収束にも時間を要するものだ。
 再度降り注ぐ銃弾の雨。性能を保った勇士達の武器を前に、エルフ達は一方的に撃たれ続ける形となった。
『……!?』
 銃声。
 一体のエルフがレプリカを狙撃したのだ。
 だが銃弾が青い柔肌を掠める事は無く、虚空へと消滅した。
 それまでの一瞬は、レプリカが肉薄するに十分な時間だった。
「――」
 風鳴りの音と共に大斧が振るわれ、エルフの体を上下に両断した。
『ひゃあ!?』『隠れろ!』
 悲鳴を上げて飛び退くエルフ達の目前で、とん、と石畳を蹴り、レプリカは近くの柱の陰へと身を隠す。
「焦って突出するなよ、壁を利用し、射程外から攻撃しつつ、ジリジリ戦線を押し上げて行け!」
 とはいえ、銃の利点を完全に失ったエルフの攻撃は勇士達を穿つ事は無く――程無く後退を始めた彼女達に、レプリカと勇士達は、手痛い損害を与えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水心子・真峰(サポート)
水心子真峰、推参
さて、真剣勝負といこうか

太刀のヤドリガミだ
本体は佩いているが抜刀することはない
戦うときは錬成カミヤドリの一振りか
脇差静柄(抜かない/鞘が超硬質)や茶室刀を使うぞ

正面きっての勝負が好みだが、試合ではないからな
乱舞させた複製刀で撹乱、目や足を斬り付け隙ができたところを死角から貫く、束にしたものを周囲で高速回転させ近付いてきた者から殴りつける
相手の頭上や後ろに密かに回り込ませた複製刀で奇襲、残像やフェイントで目眩まし背後から斬る、なんて手を使う
まあ最後は大体直接斬るがな

それと外来語が苦手だ
氏名や猟兵用語以外は大体平仮名表記になってしまうらしい
なうでやんぐな最近の文化も勉強中だ



 ふらり、と。
 路地裏の物影から、ひとりの少女が姿を現した。
 端正な顔立ち。白磁が如き肌。宝石のような色合いの髪と瞳。
 その美貌に、時が止まる。
「水心子真峰、推参――さて、真剣勝負といこうか」
『何奴っ』『出会え出会えー!』
 果たして、交戦する勇士達とオブリビオン達の間に割って入ったのは、水心子・真峰(ヤドリガミの剣豪・f05970)であった。
 その手で輝きを放つのは、錬成した自身の分身、水心子真峰のうちの一振りだ。
『私達エルフ帝国の軍勢に楯突こうなんていい度胸ですね! ですが! 私達は真剣勝負なんかより搦手が得意なんですよ!』
 はっ、と我に返り、包囲を開始する空賊エルフ達。だが遥かに数で勝る彼女達を前にしても、真峰は泰然とした態度を崩さない。
「まぁ、試合では無いからな」
 真峰がそう言った時、エルフ達が動いた。
 舞い散る木の葉、巧みな足捌き。それらが変則的な軌道を以て、真峰の体に銃口へと届かせる、寸前。
「――」
 ひゅんひゅん。
 ひゅんひゅんひゅんひゅん。
 先程真峰が姿を現した物陰から、今度は高速回転する大量の白刃が飛来し、彼女とエルフ達の間に割り込んだ。
 錬成カミヤドリ。
 123本もの複製刀が、玉鋼の輝きを散らしながら蒼空の下を乱舞する。
『ッ!?』
 血飛沫。銃声。明後日の方向に放たれる呪いの銃弾。
 怒涛が如き白刃の旋風が消え去った時、立っていた一人がすぐさま気付く。
『い、居ない!?』
 自分達が取り囲んでいた筈の真峰が、目の前に居ない事に。
 そして、彼女以外のエルフ達は全て背中や頭を斬られ、斃れたまま身動き一つしない事に。
『ど、どこに行ったの!?』
 瞼を斬られ、片目が塞がれた彼女が、不安げな声を上げて周囲を見回す。
 すると。
「ここだ」
 背後から言葉。
 ほぼ同時に、エルフの胸から、刃が生えた。
 回り込んだ真峰の奇襲。
 崩れ落ちる空賊エルフをそっと地面に下ろし、目を閉じてやると、真峰は周囲で見ていた勇士達に声を掛けた。
「どうした? 君たちの仲間は戦っているのだろう。ひとつ救援に行ってやろうじゃないか」
 真峰が踵を返せば、たちまち路地裏の空気が弛緩する。
 一人の勇士を案内に立て、他の場所へと歩みを進める彼女は、道中、ぽつりと独り言ちるのだった。

「|えるふ《・・・》、か。なるほど。良い腕試しになった」

成功 🔵​🔵​🔴​

島津・有紗(サポート)
絡み・アドリブ歓迎
「じゃあ、始めましょうか」
戦闘前にイグニッションカードから装備を展開して装着します。
味方と連携しつつ索敵しながら行動し、相手との距離に合わせてなぎなた、強弓、ガンナイフを使い分けて戦います。
味方と連係する場合は、攻撃より味方の支援を優先します。
UCは状況に合わせた物を選択して使用します。


高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「|起動《イグニッション》」
 島津・有紗(人間の戦巫女・f04210)が手にした一枚のカードから光が迸れば、巫女装束と大人数張りの強弓がその身に装着される。
 発生する魔法風の余波。それは側に居た高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)の纏う司書服をはためかせ、書杖『ブライク』の先端に嵌めた魔導書の数ページを捲った。
「じゃあ、始めましょうか。茉莉さん」
「はい。有紗さん」
 二人が戦いの準備を終えた事に気付いた者はいない。
 なぜなら。
「魔法を使って、地上の皆さんを支援しようかと」
「ならば、私は狙撃に徹しましょう」
 二人が白い手摺の下を見下ろせば、そこからは浮遊大陸の南西部に広がる市街地が一望出来た。
 そう。二人が今居る場所は、鐘楼の最上階。
 地上で戦う者達が気が付かない、遥か高い場所だ。
「有紗さん、あれ、見えますか?」
「ええ、何とか」
 遠くを見る事の出来る茉莉のアンダーリム眼鏡。そのレンズを通してみれば、銃と縄を手に路地裏を駆け回る|オブリビオン《エルフ達》の一隊がはっきりと見て取れた。
「私はあの連中を狙います。茉莉さんは別の敵を」
「はい」
 別の方向を向いた茉莉の背中で、有紗の身体から、黒い何かが迸った。
 ――|影の追跡者《シャドウチェイサー》。それは誰にも気取られないままに塔を駆け下り、路地裏を通り、先程のエルフ達の背後にぴたりとついた。
 本来見えない筈の距離に居る敵に向け、弓をきりりと引き絞る有紗。
 一方で、茉莉もまた、今にも詠唱を完成させようとしていた。
「太古の呪文よ――」
 そして、時が満ち、有紗が宣言する。
「……支援射撃、開始です」
「――その力で邪悪なるものを退けなさい!」
 魔導書の文字から放たれる光が、限界まで絞られた矢が、地上目がけて同時に放たれた。
 数秒の間を置き、街からは微かな悲鳴が聞こえて来る。おそらくエルフ達が此方に気付いたのだろう。
 半数は身を隠そうとするも、有紗の追跡者と茉莉の遠視を前に容易く発見され、狙撃により、たちまちその進路を阻まれる。
「ここまで登って来ますね――茉莉さん」
「はい。私にお任せください」
 近付くエルフ達をなおも射抜きながらも、残り半数の動きに有紗が気付けば、茉莉は柔らかな声でそれに応じた。
 わかっている。今の二人はエルフ達にとって大きな障害。かと言って天使核マスケットや天使核リボルバーが届くような場所に居るわけでもない。
 ならば遅かれ早かれ塔を駆け上がり、至近距離からの銃撃を叩き込もうとするに決まっている。
「……風に舞う茉莉の花々よ」
 ぶわり、と風が吹いた。
 そのタイミングに合わせ、茉莉は自身の魔導書とロッドを、仄蒼いジャスミンの花弁へと変える。
 強風は足元の階段へと花びらを運び――螺旋階段のすぐ下まで来ていたエルフ達を散々に打ち据えた。
「お疲れさまでした、茉莉さん。塔内の敵は私が全滅させましょう」
「私も行きます」
 手負いの敵をひとまず鐘楼から追い出すべく、二人は静かに階段を降り始めるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

劉・涼鈴
人のお金……もとい命でガチャし放題なんてズルっ子だぞ!!

天覇強弓でシュバババって援護射撃しながら合流だ!
むぉー! 手伝いに来たよ!

【軽業】で屋根の上に登って、高所から敵の位置を【大声】でみんなに知らせながら戦う!(地形の利用・集団戦術)
南の街道から5人! それを囮に斜め後ろから伏兵!
東の商店、パン屋の影にリロードしてるヤツがいるから畳みかけて!

むぉ? 葉っぱで狙いがブレるやつがいるぞ!
間合いに入られる前に射落とす!
視覚が惑わされるなら目を瞑ればいい!
目を瞑ってしゅーちゅーしゅーちゅー……【野生の勘】と鍛えてきた【功夫】を信じて!
【劉家奥義・鳳翼天翔】! ブチ抜けぇ!!



 南のメインストリートより東に位置する第三区画。
 市民の住宅が密集する居住区でも戦いは続いている。
 勇士達の多くは柱や建物の陰から魔法や銃器を放ち、地の利を生かした抗戦を試みていた。
 だが四方八方から撃ち返される天使核銃の発砲音は、彼等が放ったそれらよりも遥かに多い。
『『『そこだー!』』』
「うわわっ!」
 割れるガラス、砕かれる看板。
 圧倒的なエルフ達の数を前に、勇士達は例外なくストリートの端へと押し込まれていく。
 だがその時、飛来した矢の群れが、数体のエルフを射抜いて沈黙させた。
『!』
「だ、誰っ!?」
「むぉー! 手伝いに来たよ!」
 大音声に全員が上を見れば、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)が、まさに勇士達との合流を果たそうとしていた。
 まるで軽業の如く屋根の上を飛び移りながら、手に持つ『天覇強弓』を操り援護射撃。その巧みな手捌き、遠くからもシュバババという音が聞こえてきそうだ。
 降り注ぐ矢の雨に敵方が躊躇する気配を後方に置き去りにし、涼鈴はその場の勇士達と共闘を図る。
「こっちこっち!」
 路地中に反響する涼鈴の声を追い、十人ほどの勇士達のパーティがついて来る。
 その気配を確かめた涼鈴はなおも射撃と跳躍を繰り返し――最後に、一際高い建物に飛び移った。
 着地。同時にぶわりと顔面に吹きつける風。一気に開ける視界。
 大きな宿屋のようなその建物の屋上からは、区画全体を見渡す事が出来た。
 呼吸を整え、肺一杯に空気を吸い込む。
「――南の街道から5人! それを囮に斜め後ろから伏兵!」
 背筋を伸ばして涼鈴が叫んだのは、高所からの敵群の動き。
 応じて勇士達も動く。土地勘を活かし、空賊達の横合いから斧錨を持ったアタッカーと剣士が斬り込めば、慌てる伏兵をレンジャーが物陰へと静かに引き込む。
 立ち込める砂煙の奥で別の敵の動きを捉える。そちらへ向けて弓を引き絞り、涼鈴は再び叫んだ。
「東の商店、パン屋の影にリロードしてるヤツがいるから畳みかけて!」
 隠れていたエルフがぎょっとした仕草を見せるも、それは一瞬の事。
 涼鈴の放った矢に続くように、あちこちから大量の天使核弾と風魔法が降り注いだ。
 炸裂する光。巻き起こる旋風。
 思わぬ一斉射を受けたエルフは倒れると、未だ装填の済んでいない銃をその場に残し、消滅した。
 的確な状況判断を下しながら、勇士達と共闘を続ける涼鈴。
 そんな彼女の背後に、気配が現れた。
 静かな気配だ。まるで闇に溶け込んだかのような。
「むぉ?」
 それでも察知し振り向けば、果たしてそこには、一体のエルフが居た。
 致命の間合いよりもずっと遠く、しかし戦いは避けられない距離まで近寄られていた。
「葉っぱで狙いがブレるやつがいるぞ!」
『気付かれた!? でももう遅い……!』
 涼鈴の視界の中央では、既にエルフの姿がぶれ始めている。
 アサシネイトバレット。視覚を惑わすこの方法で、彼女は勇士の目を欺き、ここまで登って来たのだろう。
「人のお金……もとい命でガチャし放題なんてズルっ子だぞ!!」
『ズルだからこそ、空賊冥利に尽きるってモノなのです! 神引きで儲けが出ればなお良し!』
 渾身の力で弓を引き絞る涼鈴。だが臆さずエルフは近寄る。
 屋根に刻まれる謎めいた歩み。舞い踊る魔法の木の葉。
 それらに続く連撃を涼鈴が確実に避けるためには、もはや視力は役に立たないだろう。
「……それならっ!」
 涼鈴の判断は、早かった。
『!?』
 思わずエルフが硬直する。
 涼鈴は目を閉じていた。
 視覚を遮断し、他の感覚を研ぎ澄まそうとしていた。
『……』
 それを半ばハッタリと見たか、暗闇の中でエルフの足音が再開される。
 だが涼鈴は信じていた。自身の勘を。何より、鍛えてきた功夫は嘘をつかないのだ。
(「しゅーちゅーしゅーちゅー……」)
 視界を覆う暗闇の中、徐々に見えて来る世界の中で――ちかり、と光が瞬いた。
 殺気。
「――――ブチ抜けぇ!!」
 勇士達の頭上で響いたのは、裂帛の気合と、凄風が如き弓弦の音。
 続の瞬間、路上に降って来たのは、心臓を射抜かれたエルフの体。
 驚愕の表情を浮かべる彼女を見下ろし、涼鈴は目をぱちくり。安堵するように額の汗を拭った。
 劉家奥義・鳳翼天翔。その神髄は心眼にあり。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
エルフ帝国、かあ
何らかの手段でこの世界に降り立った一団がいたんだろうね
異世界でやりたい放題

異界の武器を研究して侵略国家として成立した国のお姫様としては身につまされるね
きっちり止めとかなきゃ

しかし、遺骸兵器かあ
シェル姉みたいな凄いのも出たりするのかな

『それで出るような武器と一緒にされるのは心外ね』
シェル姉…相棒の魔剣は不機嫌そう

ごめんって!
さ、まずは街を助けなきゃ!

【フォースマシン総突撃】
回復用、近接、防御、射撃仕様など用途のゴーレム達を呼び出して、街を襲うエルフ達と勇士たちの戦闘を援護する

自身は街を見渡せる場所から、その場で戦う有志達に足りない要素を持つゴーレムを派遣し、協力して街を防衛する



 浮遊大陸『空の盾』の街並みは建物が密集しており、その間を網目状に道が走っている。
 起伏に富んだ複雑な地形は見通しが悪く、そのあちこちで戦いが繰り広げられているのが現状だ。
 だがそれを見渡せる場所は存在する。
「エルフ帝国、かあ」
 北西区画の中央に建つ鐘楼、その最上階にて。
 セフィリカ・ランブレイ(鉄エルフの蒼鋼姫・f00633)は、上空の風にブロンドの長髪を揺らしていた。
「……」
 身を乗り出し眼下を見下ろせば、あちこちの道を駆けまわるオブリビオン達を、少数の勇士達が相手している様子が見える。
 念のためセフィリカが目を凝らせば、確かに揃いの制服を着たオブリビオン達の耳には、もれなくエルフである事を示す長耳が付いていた。
 エルフと言えば、その由来はブルーアルカディアとはまた別の世界である。
「何らかの手段でこの世界に降り立った一団がいたんだろうね」
 確かに神隠しの如き『世界間テレポート』は昔から数多く存在した。よって、この世界にエルフが居てもおかしくはない。
 だが。それにしても多い。
 彼女達が纏まってオブリビオンとして蘇ったのであれば、屍人帝国を名乗り、侵攻を開始するのは当然の流れではあるが――。
『まてまてー!!』
「うおー!」
「……やりたい放題だね」
 嘆息するセフィリカ。そんな彼女の顔の横にもまた、エルフの長い耳が付いている。
 セフィリカはエルフの国の姫である。
 ただし、鉄エルフの国とまで称される、軍事国家の、だ。
 政務を行うセフィリカ自身は善性かつ真面目な少女だが、結局、国の方は侵略国家として成立した。
 その過程で異界の武器の研究まで行ってきた軍部の様子は、強力な兵器を求めるエルフ帝国と何処か重なるようでもある。
 空賊に対するセフィリカの思いは複雑だ。あるいは、身につまされる、と言えるかも知れない。
「……きっちり止めとかなきゃ、ね。しかし、遺骸兵器かあ」
 軽く視線を遠くにやれば、市街に覆われた浮島の隅っこに、小さな森のような区画がある。
 おそらくはあの場所に遺骸兵器が眠っているのだろう。
「シェル姉みたいな凄いのも出たりするのかな」
『それで出るような武器と一緒にされるのは心外ね』
 即座に腰のあたりから声が返って来る。
 それはシェル姉と呼ばれた存在――セフィリカが腰に佩いた相棒の魔剣『魔剣シェルファ』から発されたものであった。
 その声には……ほんの少しだけ不機嫌そうな響きが混じっている。
 やはりかの遺骸兵器から生み出されるものは、意思を持つ魔剣である彼女とは、大きく違う存在なのだろう。
「ご、ごめんって! さ、まずは街を助けなきゃ!」
 それを聴いたセフィリカは慌てて謝ると、改めて意識を市街地の方へと向け直すのだった。

「……」
 高所から戦況を俯瞰するセフィリカ。彼女の目は交戦するエルフと勇士だけでなく、仲間の猟兵をも捉えていた。
 皆、街の全土に散らばっており、自身の今居る北西区画にはセフィリカしか居ないようだ。
 まずはこの区画を解放する必要がある。セフィリカは早速手を打つ。
「――混成部隊に告ぐ。北と西のストリートより進軍。この区画の敵を包囲しなさい」
 すると大量のゴーレムが道に現れ、道を埋めつつエルフ達を後退させ始めた。
 フォースマシン総突撃。近接、防御、射撃、回復。様々な機能を持った、量産型の戦闘機械達だ。
 動く戦況。強力な支援を受けて往来に出た勇士達。その陣容を見定め、セフィリカは彼等に足りない役目を補うように、さらなるゴーレムを配置していく。
「あそこで戦っているのは盗賊ギルドかな。盾役と回復役を派遣してみようか」
『あのポイントを堅守しているのは王国騎士の駐屯部隊ね』
「射撃役を派遣して、追撃を支援させてみるよ」
 的確なセフィリカの支援。
 それによって勇士達はオブリビオンを押し返し――遂には北西区画の大部分を駆逐したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『エルフの帝国司祭』

POW   :    サモン・インペリアル
200G(万円)相当の【帝国の財宝】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【死霊】族の【帝国騎士】をx体召喚する。
SPD   :    ラグナロク・ジャッジメント
【極大魔力が秘められたオッドアイ】から、戦場全体に「敵味方を識別する【黄昏の光】」を放ち、ダメージと【深淵の眠り】の状態異常を与える。
WIZ   :    アブソリュート・ヒーリング
【両手から放たれた治癒魔法】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。

イラスト:水登うみ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リリスフィア・スターライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 どれほど悪行を働こうとも、数の利を失えば烏合の衆。
 襲撃が始まって暫く経った頃、数を頼みに浮遊大陸へと攻め寄せた空賊エルフ達は、今やすっかり数を減らし、あちこちで撃退の憂き目に遭い始めた。
 市街地のあちこちで勇士達が反撃を始める。彼等に見送られるようにして、猟兵達は橋を渡り、石畳を駆け、屋根を飛び移り……やがて、街の外れへと至った。

 神殿跡。
 古びた列柱と緑の木々に囲まれた場所。
 そこに、一人のエルフがいた。
 どうやら縄で縛られた人々を前に、今まさに生贄の儀式を始めようとしているようだった。
『ふんふんふ~ん♪』
 おそらくは街で奪ったのだろう。エルフは側に積み上げた財宝を漁って召喚石を選び出すと、それを片っ端から魔法陣へと放り込むという作業を繰り返していた。
 魔法陣の中央には大きな石の塊が寝そべっている。おそらくはあれがレリックウェポン。その証拠に、召喚石が魔法陣に吸い込まれる度に、それは徐々に虹色の輝きを強めていくのだった。
 儀式は始まってしまった。だが一方で、少し離れた場所でグルグル巻きにされている街の人達が捧げられた様子は無い。
 阻止は可能だ。猟兵達がそう目配せし合った時。

『『『司祭様ー!!』』』
『ギャー!!』
 猟兵達の脇を抜けて、ボロボロの空賊エルフ達が駆けて来た。
『ちょっ、なんですか貴方達その恰好! というか生贄はどうしたんですか!?』
『『『もうじき全滅です司祭様! 私達、もう逃げます! どうかお元気でー!』』』
『あっ、待ちなさい!』
 司祭が止めるのも聞かず、すたこらさっさと逃げ去っていく空賊エルフ達。
 たった一人、その場に残された司祭に向けて、猟兵達は攻撃を仕掛けた。
ジン・マキハラ(サポート)
サイボーグのゴッドハンド×ブレイズキャリバー

胸に永久機関を持つ

口調は「俺、呼び捨て、だ、だな」

標的に事情があるなら同情する事もあるが手加減はしない(できる限り殺さない様にする)ただの悪人とオブリビオンには一切容赦しない

戦闘スタイルは前衛型
一撃重視か広範囲の殲滅に長けている
武器は両手剣クロックヘイズとアサルトライフルのレイジングストームと蒼炎覇気を纏った格闘術

探索時には自身の視覚同調型演算機器による解析やハッキングツールによる情報収集を行う他使える物は全て使う

ユーベルコードは指定した物を使用する

公序良俗に反する行動はせず猟兵達との連携を重視する

アドリブOK
複数リプレイOK


ユーリィ・ミニットマン(サポート)
招集に応じ馳せ参じた。魔獣狩人のユーリィだ、宜しく頼む。
相手は魔獣か?それともそれ以外か?
いずれにせよ、全力を以てこの狩りに臨もう。

オレの主な武器は、鋸鉈に散弾銃──一般的な狩人の装備だな。何方も射程は短いが、補う為の狩道具もある。
例えば、この小型天使核を内蔵した変形式の罠は浮遊させることが出来る。飛ぶ相手に対しては空中機雷の形として運用することが多いな。

それに、攻撃が届かないなら近づけばいいだけの話さ。そうだろう、皆?
……紹介が遅れたが、この群狼たちはオレの仲間、家族とも呼べる存在だ。共に狩場を駆け、狩猟を行う。
つまり、オレは獣と共に魔獣を狩る狩人だということだ。覚えておいて貰えると助かる。


赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
 人間のパラディン×シーフの女の子です。
 普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 一度は遺骸兵器のオブリビオン化の儀式を中断されたエルフの司祭だが、立ち直りは早かった。
 遺跡跡の一角に積み上がるのは、浮遊大陸『空の盾』の街から強奪した無尽蔵の財宝。それらを使い、彼女は別の術を繰り始める。
『よ~し、帝国騎士団、猟兵達を蹂躙しなさ~い!』
 放り込まれた金銀財宝が魔法陣へと吸い込まれて消えれば、たちまちその中から、黒い甲冑と両手剣で身を固めた軍勢が現れる。
「来るか」
「そうだな……」
 その光景を、風に揺れる灰髪の奥から見据えつつ、ユーリィ・ミニットマン(寄る辺無き民・f33966)が呟けば、ジン・マキハラ(ブレイズ・オブ・マキナ・f36251)が応じる。
 す、と背筋を伸ばし、散弾銃の銃口を風に流すユーリィ。狙いの先には騎士達の頭部。
 この世界――ブルーアルカディアで魔獣を狩るのがユーリィの生業。とはいえその過程で、幾度と無く屍人帝国そのものを相手に戦ってきた。
 自身等の敵、オブリビオンであれば、人の姿を借りていても撃つのに躊躇いは無い。
「……」
 一方ジンは、なおも形成される敵の黒い戦列を、腕組みしたまま睨みつけていた。
「――|脅威度《レベル》MAXから最低値までが混在しているな。いちいち選んで相手してもいられないか」
 ジンの眼球に装着された高度演算デバイスによる分析は、帝国騎士達の個々の能力に幅がある事を伝えていた。
 広範囲の殲滅を得意とするジンだが、考え無しに突っ込めば生き残りに包囲されてしまうだろう。
 隣のユーリィとて搦手は得意なものの、射程は決して長い方ではない。
 騎士達もそれは承知済み。装甲の防御力と数を頼みに、猟兵達を追い詰め、包囲してしまうだろう。
「それなら、私が盾になるわ」
 そう言って新たに騎士達と対峙したのは、赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)。
 二振りのバスタードソードを構え、ハートの意匠が凝らされたビキニアーマーを纏っている。
 ――聖騎士、パラディン。
 これから始まるのは正面からのぶつかり合い。体力の削り合いになるであろうこの会戦において、彼女の存在は大きい。
 そしてそれは、愛の目配せに頷いたユーリィとジンも同じ。
 三人が全力を出したと仮定すれば、エルフには剣が届かずとも、騎士達を半壊させる事も可能だろう。
『突撃ー!!』
「来るよ!」
 愛の言葉と共に飛び出すジン。一歩飛び退くユーリィ。
 一瞬遅れて、凄まじい激突音が空気を震わせた。


『やっちゃいなさーい!』
「左手には愛の力を、右手には正義の力を、二つの力を受けてみよ!」
 横殴りの剣を愛が巧みに往なせば、次の瞬間にはバスタードソードによる反撃の二閃が、相手の胴へと吸い込まれた。
 ガラン、と音を立てて崩れ落ちる鎧。それを肩で跳ね飛ばし、ジンが敵戦列の穴へと身を滑り込ませる。
「――ぬん!!」
 裂帛の気合と共に蒼暗色の円弧が宙に描かれ、ジンの両脇二体の騎士の首を纏めて刎ね飛ばす。
 数の力でジンを包囲しようとする帝国騎士達。だが両者の間に愛が割り込む。
「させるか」
 ドンドンッ!!
 轟音と共に放たれるユーリィの散弾銃が火を噴き、愛の目前の騎士の装甲を抜いて絶命させた。
 猟兵達は数で大きく劣るものの、物理的な戦闘能力に秀でている者が多く、個々の戦闘力も高い。
 拮抗する戦況。その中で猟兵達は、勝機を掴みつつあった。
「終焉炎獄式永久機関、起動。罪深き者よ、蒼き焔に焼かれ、鎮魂の歌を奏でるべし」
 ジンの胸元の永久機関から噴き出る蒼い焔。それはたちまち奔流となって帝国騎士達へと殺到し、焼き焦がす。
 縦横無尽に形を変えて襲い掛かるその炎は、ジンの意志に従い動く。一撃の威力と広範囲殲滅を共にこなす彼は、まさにメンバーの剣だ。
 そして愛もまた常にジンと並び、前衛で戦っている。
 ただしその立ち回りは防御的だ。防ぎ、受け流し、時に反撃を加えていく。
 剣士としての訓練を積んだ愛にとって、味方と歩調を合わせて盾役を担う事など造作も無い。
 双方ほぼ同じ練度の二人を、ユーリィが散弾銃で支援する。
 結果出来上がったのは前衛二人と後衛一人のスリーマンセル。その基本的な戦い方が、数で勝る筈の騎士達を押し返し始めたのだ。
『くっ、どうして押し切れないんですか!?』
「お前には一生判らない。人たらんとする意志を持たないお前には」
 動揺を見せるエルフ。その遥か頭上から声が掛けられる。
 そこではいつの間にか、両腕を巨鳥『ブレイドホーク』の翼に変えたユーリィが飛翔していた。
 騎士達の頭上を悠々と迂回し、そのままユーリィはエルフに向けて急降下を開始する。
 口に咥えられていたのは――鋸鉈。
『うわぁ!』
 咄嗟の防御。だがユーリィの速度に合わせるには至らず転倒。浅い斬撃が司祭の肩に紅の華を咲かす。
 主の負傷に動揺を見せる騎士達。彼等の隙を突き、前衛の二人がユーリィに呼応する。
「私達は諦めない! この美しい世界を守るために!!」
「終わりだ」
 後退する黒い戦列。そこへ向けて叩き込まれる鉄の斬閃。
 三人の猟兵達によって重ねられた攻撃は、数で勝っていた筈の騎士達の数を大きく減らし――潰走に追い込んだのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ティエル・ティエリエル(サポート)
◆キャラ特徴
ボクっ娘で天真爛漫、お転婆なフェアリーのお姫様です。
王家に伝わる細身のレイピアを使った空中からのヒット&アウェイで戦うのが得意な女の子です。
・冒険大好きお姫様
・珍しいものにも興味津々
・ノブレス・オブリージュの精神で弱者を放っておけないよ
・ドヤ顔がよく似合う
・困ったら動物さんに協力を!

◆戦闘方法
・背中の翅で羽ばたいて「空中戦」や「空中浮遊」で空から攻撃するよ
・レイピアに風を纏わせて「属性攻撃」でチクチクするよ
・対空攻撃が激しそうなら【ライオンライド】
・レイピアでの攻撃が効かない敵には【お姫様ビーム】でどかーんと攻撃



 猟兵達の波状攻撃。その隙間を縫うように、エルフの帝国司祭は、しぶとく儀式を再開しようとする。
 だが今度は、頭上から声が響いた。
「王国の人々を生贄に捧げるなんて、許せない!」
 幼い少女の声だった。
 それでいて芯の強さを感じさせる、快活で良く通る声だ。
 一瞬遅れて、今度は甲高い風鳴り音が近付いて来る。
 思わずそちらを仰ぎ見た司祭の頭上からは、ティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が猛スピードで突っ込んで来ていた。
『ほあっ!? な、なんですかあなたは!』
「遺骸兵器のオブリビオン化儀式、悪いけどボク達が阻止させてもらうね!」
 薫風を纏い、小さな翼を懸命に動かし、地上に向けた一本の矢と化したティエルが、レイピアを構えて急迫する。
「いっくよー♪」
 交差する二人の影。エルフが瞬時に回避行動を取れば、胴を狙ったティエルの一撃は脇腹を掠めて左腕を貫く。
『……っ!!』
「へへ~ん☆ 当たらないよ~」
 ヴンッ、と唸りを上げて振るわれたのは、エルフが持っていた魔力の板。だが虚空に描かれた桃色の軌道を、ティエルは虚空でふわりと回避する。
 スカイステッパー。自身の戦闘スタイルに極めて合致したこのユーベルコードを起点に、ティエルは攻勢に移る。
『あ、あなた、私の目を……!』
 ティエルはしきりにエルフの頭上を跳ね回りながら、レイピアを突き出し攻撃し始める。
 その先端は幾度もエルフのオッドアイを掠め、まさにそこから放たれようとしていたユーベルコードを防いでいた。
「囚われた人々に被害が出ちゃう! だからそのユーベルコードだけは絶対に使わせないよ!!」
 積極的に目を狙うティエルを前に、司祭エルフは必死で防御を繰り返す。
 それでもチクチクと突き出されるレイピアは風を纏い、反射的に閉じる瞼を、無防備な頭を、魔力板を構えた掌を傷付ける。
 一撃は浅くとも、重ねられたダメージは決して小さくは無い。
 空中からのヒットアンドアウェイ。これこそがお転婆フェアリー、ティエル・ティエリエルの得意とする戦い方だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

セフィリカ・ランブレイ
部下達とは信頼関係がなかったみたいだね

状況はギリギリセーフってとこかな

でも…
(司祭が大事にしてるあの石…何処かでみたような…)

『セリカ、気でも抜けた?集中力切れてるけど』
シェル姉の言葉で我に帰る
『注意力散漫で勝てるつもり?見た目程甘い相手ではなさそうだけど』

謎の既視感は置いといてまずは目の前の事だね

魔法じゃ分が悪いし、数を出しても薙ぎ払われる…接近戦しかないね
久しぶりにアレでいこうか、シェル姉

【魔神姫】
魔剣と融合に近い程深く同調する事で感覚、魔力、身体能力の全てが跳ね上がる状態

発動の際は髪が青色に染まる

広大な範囲の魔法攻撃の隙間を縫うように悠然と歩いて司祭に近寄り、渾身の一撃をお見舞いだよ



『『『ひゃああ~! お助け~!』』』
 情けない声を上げ、猟兵達や勇士達の手で数を減らされた空賊エルフ達が、島のあちこちから脱出を図る。
 上司である司祭を見捨てて逃げ去っていく彼女達の姿を見て、セフィリカ・ランブレイ(鉄エルフの蒼鋼姫・f00633)はひとまず胸を撫で下ろす。
「……部下達とは信頼関係がなかったみたいだね」
 国を名乗ってこそいるが、互いの連帯の強さはセフィリカの属する王家とは大違い。やはり数は多くとも賊は賊なのだろう。
 だがそのおかげで、オブリビオン化の儀式に割り込む事は、セフィリカにも十分に可能そうな状況に見える。
「状況はギリギリセーフってとこかな。でも……」
『あなたたち! ちゃんと戦いなさーい!』
 セフィリカの紅の双眸は、部下に対してぷんすこと怒り散らす司祭エルフ……ではなく、その足元にある大きな石に注がれていた。
「(あの石……)」
 遺骸兵器の成れの果て、とは聞いている。
 だがその紡錘形のフォルムに対し、セフィリカは、違和感を感じていた。
 ――正確に言うならば、既視感。
 儀式が進んだ今、それは乾いた岩では無くなっており、虹色にきらめく水晶のような見た目に変わりつつあった。
 だが、その急激な変化を受け止めるだけの心の余裕が、セフィリカの胸中には存在していた。
 その理由は、かつて彼女自身が、輝く『それ』を見たことがあるから……そんな気すらしてしまう程に、セフィリカは、平静だった。
「(何処かで見たような……)」
『セリカ、気でも抜けた?集中力切れてるけど』
 は、と我に返るセフィリカ。
 声の主は、意志持つ魔剣、シェルファであった。
『注意力散漫で勝てるつもり? 見た目程甘い相手ではなさそうだけど』
「わかってるよ。まずは目の前の事だね」
 正直なところ、セフィリカは確信すら帯びていた。だが戦場では余計な思考が命取りになるものだ。
 一呼吸。セフィリカが意識を敵に向け直したちょうどそのタイミングで、司祭のオッドアイに、極大の魔力が集中し始めた。
『あなたたち、まとめて深淵の眠りに墜ちなさ~い!!』
 攻撃の前兆。
 黄昏色に輝く瞳から放たれようとするのは、この場の全員を眠りに落とす、必殺の大魔法であった。
「(魔法じゃ分が悪いし、数を出しても薙ぎ払われる……)」
 剣技、魔法、ゴーレム。様々な戦術に精通したセフィリカだからこそ、熟達した魔法使いの怖さを理解してもいる。
 たった一発の状態異常付き広範囲魔法が、驚く程に相手の動きを制限するのだ。少なくとも先程のような人海戦術は分が悪いだろう。
 ならば。
(「接近戦しかないね」)
 水晶色の柄に力を籠め、切っ先を風に流す。
「久しぶりにアレでいこうか、シェル姉」
 そう言って手元に意識を深く沈み込ませれば、応えるように魔剣シェルファも自身の魔力の流れを伝えて来る。
 次第に同調していく互いの意識。それは研ぎ澄まされる感覚と魔力の共鳴を生み――身体能力すらも爆発的に増加させていった。
 ――|魔神姫《セカンドステージ》。二人が融合とすら呼べる程の完全同調を果たした時、セフィリカの金色の髪は海が如き蒼へと染まっていた。
 その途端、エルフが破壊力を爆発させた。
『受けなさい! 奥義! |終末の裁定《ラグナロク・ジャッジメント》!!』
 迫り来る光の奔流を目前に、セフィリカは――一歩を踏み出した。
 ざっ。
 当たらない。
『なんですって!?』
 ざっ。もう一歩。当たらない。
「……視える」
 悠然と歩むセフィリカに、『光』が当たらない。
 ――否。回避していた。
 この技の正体は、戦場全体に放たれた光の放射だ。
 完全同調を果たしたセフィリカには、無数の光の線が手に取るように見えていた。
 その『黄昏の矢』の弾幕は、想像以上に隙間だらけで――今のセフィリカの身体能力なら、その間を予測し『縫って歩く』ことが出来る。
 ざっ。
『ひっ……!?』
 悠然と、無傷のセフィリカが足を止めた。
「――行くよ、シェル姉!」
 間合いに入ったことを確かめ――渾身の袈裟切り。
 たちまち虚空に描かれたのは蒼き斬閃。
 それは魔力の燐光を散らしながら黄昏を切り裂き――飛び退く寸前で直撃を受けた司祭の胴から、夥しい鮮血を迸らせるのだった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳳凰院・ひりょ(サポート)
アドリブ・連携〇

同伴者がいる場合は同伴者を支援するよう行動
戦い方は遠近両用
接近戦→【破魔】を付与した破魔刀
遠距離→精霊の護符の【乱れ撃ち】
同伴者が苦手な方を受け持ちます
単独で戦う場合は相手の苦手とする方での戦い方を主軸に
護衛対象がいる場合は自分の身を挺して【かばう】
何より周りの誰かが傷付く事を嫌う為、仲間達に危害を加えるような行動はまず取らず
誰かを傷付けるくらいならば自分が傷付く方を選ぶ性格です
任務に関わる人達の笑顔を取り戻す為に全力を尽くします

敵の攻撃を掻い潜り護符を敵の周囲へ投擲、UCを発動させて一気に勝負に出ます
指定したUC以外で状況に合うものがあればそちらを使っていただいても構いません



 浮遊大陸の外れで待ち受ける『エルフの帝国司祭』と、猟兵達との遭遇戦。
 その余波は、島の住民にも及ぼうとしていた。
「っ!?」
 戦いの中、司祭の召喚した帝国騎士が放った流れ矢が、遺跡の片隅で縛られて動けない住民の下へと飛来する。
 ひゅんひゅんと音を立て、次第に近付いて来る矢群。そのうちの一つが、少女の胸へと吸い込まれる。
 その寸前。
「やらせない!」
「!」
 瞳を閉じ切る寸前、視界の闇を切り裂き、斬線が奔る。
 そして少女が再び目を開けた時、彼女の視界は、破魔刀を振り切った姿勢の、鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)の背中に覆われていた。
「だいじょうぶかい!?」
 ば、と振り返り、笑顔を見せるひりょ。
 暖かく、誠実で、懸命なその表情に、少女は思わず涙を目に溜めて胸を撫で下ろす。
 だが、それに気が付いた者が居た。
 数体の騎士がひりょのほうへと向き、連続で弓を放った。
「!」
 反射的にひりょは玉鋼の輝きを散らして破魔刀を舞わし、飛来する矢を数本まとめて斬り飛ばす。
 矢伏せだ。
『――』
 なおも無慈悲に矢を注ぎ込む騎士達を前に、ひりょは防戦に徹していた。
 風音が耳元を過ぎる度に、ひりょの後方では悲鳴が上がる。だが未だ囚われた人々の中に傷付いた者は居ない。
(「――今は、目の前の事に集中するんだ」)
 時間と共に、少しずつ増えていく騎士達。
 だが、ひりょの矢伏せは、その精度と反射速度を増していた。
 精霊の祝福。
 自身を人々を守る盾と化し、あまつさえ矢の雨を押し返しつつあるひりょ。その力の根源を騎士達は知る術も無い。
 そして。
「――今!!」
 矢の雨が尽きた一瞬を狙い、ひりょは懐に手を伸ばすと、そこに仕込んでいた精霊の護符を一斉に投擲した。
 ぶわりと風に乗り、乱れ飛ぶ護符の群れ。
 それらが騎士達の鎧に張り付いた瞬間、様々な精霊の力が炸裂する。
 鎧の中まで浸透する炎、張り付くような冷気、麻痺させる雷撃。次々に発生したそれらは帝国騎士達の戦列を乱し――決定的な隙を作り上げた。
「よし、いくよ!」
 単身、破魔刀を手にひりょは斬り込み、敵の戦列を切り崩しにかかる。
 何度踏まれても、決して挫けない。
 人々が傷付くのであれば、その代わりに自身が傷ついてでも庇い切る。
 ひりょの強さの根幹を支える、雑草根性の勝利であった――。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、可能なら末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。

正直よくわかんにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。

基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ殺おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!


氷咲・雪菜(サポート)
 人間のサイキッカー×文豪、15歳の女です。
 普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にブリザード・キャノンを使って戦う。
 あとはお任せ。宜しくお願いします!



『何が出るかな~♪』
 サモン・インペリアル。『エルフの帝国司祭』の召喚魔術は甘くない。
 彼女が200G(万円)相当の財宝を惜しげも無く魔法陣に放り込めば、そこから生み出されるのは甲冑に身を固めた帝国騎士達。
 強さも装備も鎧のデザインもバラバラ。しかし数を揃えてしまえば、これがどうしてなかなか厄介な壁なのだ。
 だがその厄介極まりない戦列に、真正面から挑みかかる、一人の少女が居た。
「ぶっ殺おおおおおおす! ●ぁぁぁぁぁぁっく!!」
 猟兵達を街へと押し返そうとした鎧の騎士達。その戦列を、アイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)の突進が、逆に乱す。
 アイクルが殺気を漲らせている理由は自分でもよくわからない。本当に何となく気に入らなかったからなのか。それともオブリビオンの敵たる猟兵の性か。
 だがいずれにせよアイクルは、ドワーフの怪力を込めて、身の丈ほどもある|ウォー《戦》|ハンマー《槌》の一撃を、地面に叩き付けた。
『――』
 轟音。
 有り余る威力が地を揺らす。
 打撃点に形成された小クレーターが弱兵を瞬く間に飲み込み、残る全ての騎士を転倒させた。
 そしてアイクルは一人ではない。彼女の奮戦を見ていた者も居る。
「残るは強兵のみ――雪菜さん、私達も参りましょう」
「ええ、咲夜さん」
 起き上がろうとする彼等のうち一体を吹き飛ばし、舞い散る桜花の下に沈黙させたのは重火器による爆風。そこへさらに追い打ちとばかりに、連続で放たれた氷弾が戦列を叩き、乱す。
 姫神・咲夜(静桜・f24808)と氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)の支援射撃が始まったのだ。
「おぉ!? お前気に入らない顔してるから叩き潰してやるに゛ゃ!!」
 敵の戦列の只中で、デフォルメされた動物のようなデザインのヘルムを身に付けた騎士を、今度はアイクルはいつの間にか取り出したバトルアックスで脳天から両断する。
 完全に火が付いてしまったアイクルはたった一人の前衛ではあるが、それでも騎士達を圧倒している。
 その戦況を前に、咲夜と雪菜は、互いに頷き合う。
 共に端正な顔立ち。だがその奥に、咲夜は避け得ぬ戦いを恐れない果敢さを、雪菜は困った人物を見捨てられない優しさを秘めている。
 二人が見るに、相手は事態の急変に浮き足立ち、後衛である自分達に仕掛けて来る余裕も無いようだ。後方では指示を出せずにオロオロしている司祭の姿も見える。
 すなわち、好機。
「黒き桜よ、周囲を滅ぼしなさい……」
「――トリニティ、エンハンス」
 咲夜の手にある白桜の杖が、みるみるうちに漆黒へと塗り替わっていく。
 一方、雪菜の腕を覆う増幅器の周囲には、鮮やかな魔力が渦巻き始めた。
 そして次の刹那――風と冷気が戦場を制圧した。
『んぎゃー!!』
 三色の魔力が螺旋を描き、核となる氷弾と共に戦場を切り裂けば、少し遅れて、咲夜の手から桜の花弁の形を取った魔力が、凄まじい風と共に殺到する。
 貫かれ、吹き飛ばされ、そのまま後退を始める帝国騎士の戦列。
「逃がすにゃ!」
 その下敷きになったエルフの少女に向けて、止めとばかりにアイクルは、手に持つバトルアックスを思い切り振り下ろすのだった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レプリカ・レグナント
部下に逃げられるとは大した司祭だな
しかし貴様は己の我欲の為に罪無き人々の暮らしを脅かしあまつさえ生け贄にしようとした、同情の余地無き大悪党だ覚悟するが良い!
成る程財宝を消費して雑兵共を呼び出したか、しかしそんな烏合の衆でオレは倒せん
滅びの果てより来たれ、我が忠実なる兵士達よ
さあ行くぞ、蹂躙だ!
貴様の呼び出した帝国騎士は外見だけでなく強さも装備もバラバラそんな軍では連携など執れまい
強さと装備は部隊別に統一するから連携が執れるし指揮も執り易いのだ、成る程司祭殿は軍勢を使っての戦いは不得手と見える、まぁ得意ならばここまで追い詰められはしなかっただろうが
オレ様が戦いを教えてやる
火竜は空中から火炎で攻め立てよ、敵は玉石混淆故に全体の歩調が噛み合っておらん必ず動きに乱れが生ずる
乱れて出来た軍の亀裂に騎馬を突撃させ分断しそこに歩兵を送り分断されて混乱する敵を迅速に各個撃破せよ、てこずるならば火竜も空から支援せよ
敵の強さはランダムだ、まずは弱兵から順にそして強兵を孤立させ叩け
さて司祭殿御覚悟は出来たか?



 勇士達の反撃により、エルフ帝国の軍勢は次々駆逐されていく。
 撤退に移る空賊達が空を翔け、飛空艇に乗り込み、次々と浮遊大陸の上空を飛び去っていく。
『『『司祭様、お元気でー!!』』』
『あなたたちーっ!!』
 その時、背後から声が掛けられる。
「部下に逃げられるとは大した司祭だな」
 はっ、とした表情でエルフが振り向けば、そこには巨大な大斧を携えた蒼肌の少女。
 レプリカ・レグナント(亡国の王女・f32620)。先程の空賊エルフ達を蹴散らし、司祭をこうして窮地に追い込んだ猟兵の一人である。
「しかし貴様は、己の我欲の為に罪無き人々の暮らしを脅かし、あまつさえ生け贄にしようとした。同情の余地無き大悪党だ」
 覚悟するがいい。朗々とした声でそう結ぶレプリカに対し、エルフは悔しげに口元を歪ませる。
『くっ……! 無辜の民の命が何ですか! あなたたちさえ居なければ、私達エルフ帝国はここより雄飛する予定だったのに……!』
 そう言ってエルフが財宝を魔法陣へと投げ込んでいけば、そこから魔力の輝きと共に、帝国騎士の軍勢が生み出される。
 だがレプリカは、その光景を静かに見つめていた。
「成る程。財宝を消費して雑兵共を呼び出したか」
 レプリカにはわかっている。エルフの呼び出した帝国騎士達はその装備は勿論、練度に至るまでバラバラである事を。
「しかしそんな烏合の衆でオレは倒せん――滅びの果てより来たれ、我が忠実なる兵士達よ――」
 たちまちレプリカの背後に最初に出現したのは、その身に幽気を纏った兵団だった。
 だがそれだけではない。その後ろに巨大な影が現れ、みるみるうちに緋色の火竜として帝国騎士達を睥睨した。
 最後に現れた黒紫の肌を持った軍馬にレプリカが乗った時――戦端が切られる。
『帝国騎士団!! やーっておしまい!!』
「さあ行くぞ、蹂躙だ!」
 数多くの騎士と、兵士達の壁。
 二つの軍勢が、正面から激突した。


 軍勢同士の戦いの趨勢は、あっけなくレプリカの方へと傾いた。
 無数の槍が騎士を持ち上げて沈黙させ、一糸乱れぬ歩調が残された鎧を踏みつけにする。
 そして。
『――』
 突出した帝国騎士達に向けて、上空から降って来るのは火竜の吐く灼熱の炎。その高熱は鉄の装備を歪に溶けさせ、消滅させていく。
「貴様の呼び出した帝国騎士は外見だけでなく、強さも装備もバラバラ……そんな軍では連携など執れまい」
 装備、練度、士気。いかなる方法であれ、それらを統一してこそ軍は軍としての強さを発揮できる。レプリカに従う軍勢は、まさにその体現と言える。
 それに引き換え、エルフの帝国騎士達は統率を個人的な武力に依存しているようにも見える。肝心の指揮官である司祭も彼等を統率する術を持っていない以上、内実は武装した烏合の衆に過ぎない。
『ぐぐぐ……!』
「強さと装備は部隊別に統一するから、連携が執れるし指揮も執り易いのだ……まぁ得意ならばここまで追い詰められはしなかっただろうが」
 馬上で溜息一つ、馬上から戦況を見遣る。
「ひとつオレ様が戦いを教えてやるとしよう」
 レプリカの指揮もあり、『軍勢』の隊列は盤石。対するエルフの軍勢は、全体の歩調が合っていないのか、やや伸び切った形となっていた。
 ――戦略眼のある者ならば、ここで命ずるのはただ一つ。
「分断からの各個撃破を開始する。火竜、敵軍中央に向けて空中から攻め立てよ」
 応えるように火竜が咆哮すれば、灼熱のブレスで攻撃を再開する。
 玉石混交故に生じたのは敵戦列の亀裂。それを待っていたかのように、槍兵隊の一角が左右に割れ、そこから騎兵の軍団が突進を開始した。
「歩兵隊、続け。敵軍に楔を打ち込み、各個撃破せよ」
 素早く戦列を分断する馬蹄の音。そこに剣戟の音と火竜のブレスが加わり、戦場は阿鼻叫喚の様相を呈し始めた。
 分断された帝国騎士達は、その多くが混乱に陥っている。中には抵抗を続ける者も居るが、レプリカにとってその行為は、自らを強兵であると宣言するだけのものだ。
 数と連携で勝った軍に、たった一人の兵が敵う筈も無いのだから。
「孤立したところを叩けば良い。まずは弱兵から順に落とせ――さて」
『ひえっ……!?』
 レプリカが悠々と進めていた騎獣の歩みが止まる。
 彼女の眼下には、涙目のエルフの司祭が居た。
「司祭殿、御覚悟は出来たか?」
 逃げようとする司祭の背中に向けて、レプリカは表情一つ変えず、斧の一撃を見舞うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
目指せSSR? ふふー、これを見ろ!

じゃじゃーん! と取り出したのは「嵐の騎士王」のカード!(ドヤ顔で自慢げ)
…………あれ? 驚かない?
カードデュエルの激レアカードだよ? LR(レジェンド・レア)だよ?
むぷー! いいもんいいもん! やっつけてやる!

練り上げられた【覇気】は燃え盛る炎と化す!
【軽業】【ジャンプ】で跳び上がって、一部を推進力として放出!
残りのほとんどを拳に纏って突撃!! 【劉家奥義・魔猴炎襲拳】!!

召喚された死霊騎士なんて、炎で【なぎ払う】!! おらおらおらー!
魔法使いっぽくて近接戦闘は苦手っぽいけど容赦しないぞ!
【功夫】【怪力】で炎の拳を叩っ込む!! どりゃー!!



 みんなエルフの騎士ガチャの出具合とか、そのへんに気を取られているが、戦闘はそれなりに順調だ。
『おりゃー! 一体でも多く出ろ私のSSR騎士ー!』
「目指せSSR? ふふー、これを見ろ!」
『むっ!?』
 じゃじゃーん! とばかりに劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)が帝国司祭に向けて突き出したのは、一枚のカードだった。
 だがそれは唯のカードではなかった。見るからに強そうな騎士がカッコいい角度で描かれており、その上からキラッキラのレインボーな加工まで施されている。
 UDCアースやアスリートアースなどでよく見る形式の、いわゆるトレーディンクカードと言うやつである。
「これが伝説の激レアカード、『嵐の騎士王』!!」
 控えおろう、とばかりに、涼鈴は胸を張ってドヤ顔を見せる。
 当然、エルフの司祭はその輝きを前に平服する……ことはなく、引き攣った表情でカードを凝視していた。
『な、何これ……? 魔道具?』
「あれ? 驚かない!? 激レアだよ!? LR(レジェンド・レア)だよ?」
 カードの隅っこを見れば、そこには最高価値を示すLRのニ文字が燦然と光っている。
 正真正銘、本物。とんでもない入手難度を誇る超激レアカード。見る者が見れば喉から手が出る程欲しくなるお宝だ。
 それでも司祭は紙面を凝視したままオッドアイを細めている。非常に残念ではあるが、やはりレアリティという価値も全世界共通ではないのだろうか。
「むぷー! いいもんいいもん! やっつけてやる!」
『!?』
 もう見せてやんない! とばかりに激レアカードを懐に仕舞うや、涼鈴は裂帛の気合と共に大跳躍を果たしていた。
 一方、じわじわとその価値を判りかけて来たのか、司祭は目の前で消えたカードに目を見開き、決定的な隙を作ってしまった。やはりレアリティは仕事をしていた。
 その間も涼鈴の体はぐんぐんと急降下して来る。
 超高度からの勢いを纏い、炎の拳を撃ち下ろす体勢だ。
「これぞ、劉家奥義・魔猴炎襲拳!!」
『た、盾になりなさい!!』
 反射的に司祭は死霊騎士達を展開する司祭エルフ。
 近接戦闘に優れた涼鈴に接近されれば、後衛専門の術者である自身は余りにも分が悪いと判断すればこそだ。
 だがそれでも涼鈴は真正面から突っ込むと、凄まじい衝撃で騎士の戦列を揺らし始めた。
「おらおらおらー!」
『ひえ~……』
 拳打が鉄板をへこませる音が。薙がれた炎の爆ぜる音が。徐々に司祭の方へと近づいていく。
 練り上げられた覇気の一部を推進力に、しかし残りほとんどを燃え盛る闘気と化した涼鈴の攻撃は長く、鋭い。
「どりゃー!!」
『どへぇっ!?』
 そして顔面に炎の拳打が叩き込まれた瞬間、司祭の体は派手に吹っ飛んだ。
 魔力の燐光と化して消滅する体。飛び散る眼鏡の破片がさらさらと風に乗る光景を前に、ようやく涼鈴の拳から炎が消え去る。
 かくして、屍人帝国『エルフ帝国』は総大将を討ち取られ、その目論見を打ち砕かれたのだった――。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『天上の虹』

POW   :    リミテッドナイツ
自身の【これまでに蒐集した生命力】を代償に、【最上級に輝く煌びやかな召喚獣達】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【環境に対応した連携の力】で戦う。
SPD   :    無尽の回転
200G(万円)相当の【無料召喚石】をx個消費し、ランダムな強さ・外見を持つ【戦闘に長け、魅力的な外見を持った様々な種】族の【自身の指示に忠実な仲間達】をx体召喚する。
WIZ   :    沼の底の怨嗟
【破滅した犠牲者達】の霊を召喚する。これは【魂に響く呪詛や物理現象となった呪い】や【圧倒的な数による包囲】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:烏鷺山

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はセフィリカ・ランブレイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 首魁である司祭が斃れた、その直後。
 それまで晴れ渡っていた空が掻き曇り、暗雲の隙間から、幾本もの稲妻が浮遊大陸へと降り注いだ。
 雷鳴と閃光。大気を揺るがし、無数の光が一箇所に収束したのは他でもない、神殿跡の遺骸兵器、その残骸であった。
 雷撃に打たれる度に、いまや透き通った石の内部が、規格外の魔力に満たされていく。おそらくそれは、儀式を中断された事による、暴走によるものだろう。
 そして最後の雷鳴が消えた時、そこには虹色の輝きを放つ、巨大な水晶塊が浮かんでいた。

『■■■■■■――』
 澄んだ笑い声が聞こえた。
 理性を全く感じさせない、堰を切って溢れ出したかのような響きだ。
 もしレリックウェポンが人の姿を取っていれば、発狂、あるいは暴走したと、その場にいる者全員が確信しただろう。
 復活を喜ぶあまり、精神の均衡を崩したのか。それとも、昔日の栄光を取り戻すべく、儀式で得た魔力を暴走させているのか、それはわからない。
 だが確かなのは、オブリビオン化の儀式を阻止した事で、この石に不完全な生命が宿ってしまった事だ。
 それを示すように、巨大な水晶の奥には、神々しさを感じさせる、エルフ耳を備えた人物の影が出現していた。

 応戦の構えを見せる猟兵達。だが見越していたかのようにオブリビオンが虹色の輝きを放てば、積み上がっていた財宝の山から廉価な召喚石が選り分けられ、ジャラジャラと傍に積み上がっていく。
 その水晶の体を取り巻く白い輝きは、かつて勇士達から蒐集した生命力の具現だろうか。一方、森の奥からは怨嗟の声が響いて来る。
 もはや『天上の虹』に生贄など必要ない。単独で召喚獣を呼び出し、彼等に守られながら、この島の人々を無差別に殺害する事も出来るのだ。

 ――だが。全てが予知通りとは限らない。

 後方からの風が、前方で衝撃を生む。
 空飛ぶ大剣が、フックショットが、魔力の砲弾が。殺到した無数の兵器が、水晶を大きく後退させたのだ。
 振り返った先には、いつの間にか自身の拘束を解いた、浮遊大陸の勇士達。
 そして猟兵達の中でも目敏いものは、直撃の瞬間、石の内部の人影が、僅かに身じろぎするのを見逃さなかった。
 ……勝機はある。虹の輝石を砕き、この浮遊大陸を救おう。

●MSアナウンス●
・『天上の虹』は理性を失っている状態です。
・『天上の虹』のどこかに吹き込まれた「核」を攻撃することで、極大ダメージを与えられます。
・勇士達が加勢します。ただし実力は猟兵に劣り、全員扱う武器は遠隔武器のみとなります。
日下・彼方(サポート)
人間のUDCエージェント × 月のエアライダーの女です

戦闘での役割はレガリアスシューズを使っての空中戦、
影の狼を使役して斥候・偵察ができます
武器は通常大型ナイフを使用しますが
強敵には太刀・槍を持ち出す事もあります

普段は(私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
機嫌が悪いと (私、~様、です、ます、でしょう、ですか?)

性格は受けた仕事はキッチリこなす仕事人のような感じです
仕事から抜けると一転惚けた風になります

ユーベルコードは必要に応じて、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「むっ」
 浮遊大陸『空の盾』、森の上空にて、哨戒任務を行っていた日下・彼方(舞う灰の追跡者・f14654)の下方で、キラリと何かが光った。
 反射的に薙がれた大型ナイフが濃紺の軌跡を描き、超高速で迫る存在を斬り払う。
 そのまま翔け過ぎる存在を無視し、彼方は一度レガリアスシューズを傾け、空中で体勢を制動。
 上方に視線をやれば、そこではきらびやかな輝きを纏った数体の鳥型魔獣が蒼空を旋回し、此方に向けて舞い戻りつつあった。
「召喚獣……気付かれていたか」
 油断なく身構える彼方。『天上の虹』の召喚獣は、何処で戦おうとも環境に対応した連携を発揮する。
 互いに得意な地形同士の戦いとなるだろう。そうなれば、不利なのは彼方の方だ。
「頼んだぞ」
 途端に、森の木々に映る彼方の影が、揺らいだ。
 そしてその場所から、漆黒の狼が大量に生み出され始める。
 影狼。無尽蔵に生み出され、今も浮遊大陸中に散っている、彼方の内なる獣の影法師だ。
「先頭は私だ。皆は後から続け」
 そう言って、『Managarmr』で空を蹴り込む。月追う狼の名を冠する翔靴の出力は凄まじく、生み出された推力は彼方を空に放たれた一本の矢と化した。
 凶暴な怪鳥達と、無数の影狼を率いた彼方。
 高速で突進する両者が中空で交錯する、その寸前、高速を纏ったナイフに突きに合わせて、影狼が脇から殺到する。
『――』
 激突と共に後退する鳥達。それを追い、数体を彼方が屠る。
 そこへ影狼が畳みかけ、空中で残りを食い千切り、殲滅する。
「……ふぅ、バイトとしては十分だったな」
 舞い散る羽根の中で、彼方はそう言って汗を拭うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

コノカ・ハギリガワ(サポート)
『やるわ。私に任せなさい!』
 サイボーグの鎧装騎兵×戦巫女、18歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
出身世界:スペースシップワールド

性格:勇敢
戦場では積極的に前線に切り込み、敵の注意や攻撃を引き受けます

・戦闘
勇翠の薙刀を主に使って戦います
また、エメラルドアームから発生させた障壁で仲間を庇います

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 不完全な復活を果たしたレリックウェポン『天上の虹』に向けて、武器を構えた勇士達。
 その背後にある樹々の隙間から、この世のものとは思えない呻き声が聞こえて来た。
「――危ない!」
 だが接近を果たす寸前、勇士達との間に、コノカ・ハギリガワ(勇を示す翠・f06389)が割り込む。
 左腕に嵌めた長手袋から展開された翠色の障壁を透かして、ぼんやりと人の顔のようなものが映り込んでいるのを、コノカとその場の勇士達は目撃した。
「霊体だ! 多いぞ!」
「くっ!」
 魂すらも凍らせる呪詛と、障壁にビタビタと張り付いていく無数の手形が、コノカの腕をびりびりと震わせる。
 それでもぐるりと右腕一本で機械薙刀を回せば、ヴンッと音を立てて翠色のフォースが弧を描き、不可視の霊体を纏めて両断する。
「私に任せなさい!」
 閃きのままに、木陰の続く場所へと奔るコノカ。不可視の怨霊もそれに続く。
 その身に纏う黒い薄型のボディースーツは栄えある鎧装騎兵の証。闇の中で白銀の装甲が揺れ、翠光のラインが躍る。
 だが幾度樹間を翔け抜けても、呪詛を込めた怨嗟はコノカの周囲を離れない。
 レリックウェポン『天上の虹』。彼に破滅させられた犠牲者は思った以上に多いらしい。
 そしてその数もまた武器なのだとしたら、この暗い森は彼等の庭のようなものだと言っても良いだろう。
 だが、それこそがコノカの目的だった。
「……|エメラルド・ラビリンス《翠壁迷宮》、展開」
 刹那森に現れたのは、エメラルドのレーザー砲台で形成された、複雑な迷宮。
 今まさにコノカを包み込もうとしていた霊体達は、今やそれぞれが迷宮の各所に分断されていた。
 その彼等に、一斉に砲口が向けられる。
「斉射開始!」
 開始される攻撃。きらめく翡翠色のレーザーが、透明なエメラルドを通して壁越しに怨霊たちを消滅させていくのが見える。
「さぁ、この迷宮を抜け出せるかしら?」
 浮き足立つ目の前の霊体たちに向けて、ざ、とコノカは踏み込み、勢いのままに薙刀を一閃させるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レプリカ・レグナント
不完全な復活と不完全に宿った生命か・・・哀れだな、とはいえ災いを振り撒く存在を放置は出来んここで砕けてもらうぞ!
生命力を代償に召喚獣を生み出したか、今度は一筋縄ではいかないようだな?
勇士達よ力を貸せ、召喚獣とはいえ獣だ眼と鼻先は召喚非召喚にかかわらず獣にとっては攻撃されたくない急所だ、そこを狙い遠隔から攻撃し足止めをしてくれ、その間にオレがアレを破壊する
見逃しはしないぞ、先程の勇士達の攻撃で後退した時に貴様の中で人影が有ったのを
つまりそれこそが貴様の核であり本体だ、そこに超振動を叩き込んでやる
これで終わりだ、その災厄を踏みつけて叩き潰してやる!



『■■■――』
 レリックウェポン『天上の虹』が嗤う度、凄まじい魔力が大気を震わせる。
「不完全な復活と不完全に宿った生命か……哀れだな」
 今は無き国の王女として、レプリカ・レグナント(亡国の王女・f32620)は様々なものを見て来た。だが、目の前の存在には憐憫の情を示さざるを得ない。
 均衡を崩した精神と、その身深くに人為的に刻まれた生命。その在り様は、間違いなく歪と言えた。
「とはいえ、災いを振り撒く存在を放置は出来ん――ここで砕けてもらうぞ!」
『■■■■■■――』
 身の丈を越える大斧を担ぎ、突進するレプリカ。
 だがその動きに反応するように、輝石もくるりと自身の体を回転させた。
 構わず一気に踏み込み、重刃を振り落とした瞬間――輝石との間に何者かが割り込む。
 飛び退くレプリカの攻撃を受け止めたのは、大きな角を生やした、眩い輝きを放つ白い牡鹿のような存在だった。
「召喚獣か……」
 斧を構え直すレプリカに向けて、もう一体、純白の獅子が立ち塞がり、唸り声を上げた。
 蒼ざめた肌を持ち、死の気配を漂わせるレプリカとは対照的に、煌びやかな純白の毛皮を持った彼等は、紛れも無く『天上の虹』が召喚した、最上級の召喚獣たちだった。
 そしてレプリカにはわかる。彼等は個々の技量の高さは勿論、互いの連携を狙える知能の高さをも備えている事に。
「今度は一筋縄ではいかないようだな? ならば勇士達よ」
 ――力を貸せ。
「!」
 まるで弾かれたように、あるいは打たれたように、全ての勇士達が同時に武器を構えた。
 レプリカの言葉は先程と同じ抑揚と声の高さであるにもかかわらず、その響きは突如として威を帯びたものと化していた。
「足止めだ。目と鼻先――獣の弱点だ」
 一斉射。
 炸裂する天使核エネルギーの弾丸と、飛来する鉄の刃が、召喚獣の顔面に向けて放たれた。
『グァッ!!』
 如何に強力な存在であれ、獣の姿を取れば獣の理に縛られるもの。勇士達の遠隔射撃を前に、二体の獣が大きく怯む。
「よくやった。オレがアレを破壊する――見逃しはしないぞ」
 上体を低く。
 足裏で地面を掴み、レプリカが一気に踏み切る。
 狙い澄ましたタイミングでの突進。対する召喚獣達は勇士達を釘付けにされ、反応すら許されない。
 弾幕を突っ切り、両獣の間を抜け――大斧を振り翳した状態で、今度こそレプリカは輝石へと迫る。
「はぁっ!!」 
 裂帛の気合を込めた袈裟切り。その凄まじい重みに、巨大な石の体が、どすん、と横倒しに地面に叩き付けられる。
 派手に上がる土煙、浮力を保ちつつも地面に横たわった状態の水晶の奥で、レプリカは先程と同じように、人影が微かな動揺を示すのを見た。
「見逃しはしないぞ」
 確信した。間違いなく核であり本体。その心臓に当たる部分に向けて、レプリカは自身の脚を持ち上げ。そして。
「これで終わりだ、その災厄を踏みつけて叩き潰してやる!」
 踏み下ろす。
 たったそれだけの動作で、凄まじい衝撃が神殿跡を揺らした。
 単純にして強力な振動を纏ったレプリカの踏み下ろしは、硬い水晶の表面に大きな罅を刻み――その内部で蠢く核にすら振動を通し、極大級のダメージを与えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
ふぇー、虹演出の塊じゃん
なんかご利益ありそうだし、やっつける前にガチャ回していい?
今やってるゲームが周年記念で激つよ限定キャラが……ダメ? はぁ~い

本気も本気! 真の姿に変身!
大人になった私は止められないぞ!

【軽業】と【功夫】の体捌きで召喚獣の攻撃を躱す!
獣の爪牙を覇王方天戟で【受け流し】、【体勢を崩した】ところへ【踏み付け】!
束になって掛かってきたら――【劉家奥義・暴虎無双乱舞】!!
邪魔するヤツは片っ端から方天戟で【なぎ払って】突き進む!
おらおらおらー! どけー!!

虹演出に辿り着いたら、【怪力】で方天戟をどっかんどっかん叩き付ける(鎧砕き)!!
ぶっ壊れろー!!



『■■■■――』
 透明な水晶の体を持つ『天上の虹』。その内側で七色の光がぐるぐると回転し、不意に、目映い閃光が周囲を満たす。
 やがて光が晴れた時、ゆっくりと目を開けた勇士達の目の前には、大型の狼のような姿をした召喚獣が姿を現していた。
 3体。鋭利な爪と牙を備え、森を思わせる翡翠色の毛皮を纏っている。その上きらきらと輝いており、全員強そうだ。
 ざ、と警戒を示す勇士達の隣で、劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)は思わず呟く。
「ふぇー、虹演出の塊じゃん」
 そう。涼鈴にとって、この光景は初めてでは無かった。
 と言うのも、ちょうど彼女が昨今遊んでいるゲーム――おそらくはネット環境が必要なタイプだろう――において、周年記念のキャンペーンが行われていたのだった。
 それには環境に合わせた限定キャラの排出確率上昇ガチャがつきもの。全くの偶然ではあるが、強大なレリックウェポンも、涼鈴を含む数人にとっては、射幸心を煽る演出にしか見えなかった。
「やっつける前にガチャ回していい?」
「!?」
『■■■■■■――』
 涼鈴の呟きに勇士の少女が慌てるような様子を見せる。一方、肯定を示して誘うかのように、『天井の虹』はバチバチと虹色の稲妻を体表に走らせながら、一際甲高い嗤い声を立てた。
 おそらくガチャを回すという単語に反応しただけなのだろうが、それでも見た目はキラキラ光っていて、拝むとご利益ありそうなあたり性質が悪い。
「……ダメ? はぁ~い」
 積み上がった召喚石に向いていた涼鈴の視線を少女がわたわたと全身で塞げば、素直に涼鈴は、獣たちへと向き直った。
 どうやら彼等の実力は本物らしい。油断なく涼鈴を睨みつけ、唸り声を上げている。
 牽制までは勇士達にも可能だとしても、正面戦闘を抜いて本丸に肉薄できるのは、涼鈴ただひとり。
「――ならば、本気の私を見せてやる!」
 涼鈴が目を閉じ覇王方天戟を地面に突くや、気が凝って渦を巻き、鮮やかな深紅のチャイナドレスを靡かせる。
 ゆらゆら揺れつつも一層豊かになる銀髪。その下で涼鈴の体は成長してゆき、遂には二回りほど大きくなった。 ――これこそが涼鈴の真の姿である。
「よし、来い! 大人になった私は止められないぞ!」
『――』
 咆哮を上げた先頭の一体に涼鈴が接近を果たす。
 ハイレベルな軽功。召喚獣達が連携を駆使するよりも早い。
 合わせて振り下ろされた爪を方天戟の柄で受け流せば獣は横転。無防備に晒された腹部に向けて、渾身の足裏を踏み下ろす。
 だがそれはただの踏みつけではない。カンフーの基本動作である震脚。その上に涼鈴自身の超人的な身体能力が乗っているのだ。
『ギャウンッ!?』
「行くぞ!!」
 まず1匹。残る狼達は涼鈴を容易ならぬ相手と取ったのか、連携を重視した動きを取ろうとする。
 だが既に気圧された彼等は涼鈴に先制を許す。その判断が勝敗を決した。
 果たして2匹の目前で繰り出されたのは――劉家奥義・暴虎無双乱舞。
「どりゃー!!」
 裂帛の気合と共に叩き込まれるのは、息をもつかせぬ渾身の乱打。得物の重さを全く感じさせない薙ぎ払いの連続。
 剛力を纏った刃が獣たちを幾度も殴りつける。その暴風が如き勢いを前に、遂に獣たちが耐え切れずに体勢を崩した。
「おらおらおらー! どけー!!」
 涼鈴、一閃。
 獣たちを大きく吹き飛ばすと、真っ直ぐ本命である虹塊の下へ駆け寄り、渾身の横薙ぎを喰らわせた。
『■■――』
「どぉおおおおりゃああああ!!!」
 ガキン、と手応え。確かに硬い。だが真の姿に目覚めた今ならば、徹せる。
 飛び散る輝石の破片に構わず、さらなる召喚を予感させる虹演出を衝撃で無理矢理キャンセルさせ。涼鈴はどっかんどっかんと派手な音を立てて、重い刃を叩き込み続けた。
「ぶっ壊れろー!!」
 そして最後に渾身の一撃を叩き付けた時、みしりと異音。
 鎧が如き硬度の水晶の中で、人影がぐらりと揺らぐ。それこそは涼鈴の重ねたダメージが、内部まで浸透した事の証であった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
マズったな
魔神姫の状態は結構消耗が激しくて休憩が欲しい所だね

『セリカは見通しが甘いのよ』
今回は反論しないよ、シェル姉

でも放っておけば無尽蔵に変なのが出てくる!叩くなら今のうちだね!
狙うべきはコア1点、それを守るのが多種多様な戦士達
此方も協力して当たるべきだ

勇士の皆、出てきた奴らを射撃で牽制して!

深呼吸。
辿るべきコースを見切れ…作られる隙を見逃さず、一気に踏み込んで……残る力で全力をぶつける!

【月詠ノ祓】


……ああ、そっか
既視感の理由、思い出した

同じものを昔に見たんだ。旧王城の宝物庫……今は軍が拠点に使ってる場所で
ランブレイに異界の武器を与えたのはこの石と同種のものだったのかもね……



『■■■■■■――』
 喧しい嗤い声の中、虹色の回転が激しさを増す。
 そこへジャラジャラと大量の召喚石が吸い込まれ、無数の戦士たちがそこから生成されていく。
「マズったな」
 みるみるうちに形成される敵の戦列と対峙しつつ、セフィリカ・ランブレイ(鉄エルフの蒼鋼姫・f00633)は、柄を握る掌に疲労感を滲ませていた。
「休憩が欲しい所だね。そうはいかないけど」
『セリカは見通しが甘いのよ』
 先程エルフの司祭に深手を負わせた動きは、魔剣シェルファとの完全同調の果てに為されたものだ。
 紛れも無い大技である『魔神姫』の消耗はやはり激しく、今も心と体のリズムが同調していないのを、セフィリカは自覚している。
「今回は反論しないよ、シェル姉。でも……」
 諫めるようなシェルファの声に肩を竦めつつも、セフィリカは前方を見据えていた。
 石の周囲に増えていく召喚獣達。その増殖スピードは凄まじい
 ヒューマン、エルフ、獣人、魔族、マーメイド……種族も外見も多種多様。しかし全員が魅力的な容姿と煌びやかな装束を纏っており、個体差は在れど戦闘力にも長けているように見える。
「……放っておけば無尽蔵に変なのが出てくる! 叩くなら今のうちだね!」
 セフィリカの言う通り、時間をかけてしまえば彼等は厚い壁を形成してしまうだろう。そうなれば打開はいよいよ難しくなる。
 ならば一撃――それならば今のセフィリカの体力でも放てる。
 そして狙うべき場所はただ一点。虹色の輝石、その核心部だ。
「勇士の皆、出てきた奴らを射撃で牽制して!」
 即時の判断。セフィリカの声に弾かれ、勇士達が無数の遠隔攻撃を送り込む。
 散開を許されず、爆風に包まれた戦士達の一角が消滅する。
 それでも構わず次を吐き出そうとする『天上の虹』から一旦視線を外し、セフィリカは深呼吸。
「……」
 森の木々の爽快さが肺を満たせば、次第に動悸と精神が整って来る。
 そこに体のリズムを乗せつつ、セフィリカは静かに、油断なく観察を続ける。
 味方の牽制射撃と、絶えず揺れ動く敵の動きから、辿るべきコースを見極める事だけに集中する。
 そして、一つの最適解を導き出した瞬間――セフィリカは一気に踏み込んだ。
「一式――」
 驚異的なまでの瞬発力が、マントを翻したセフィリカの体を、風纏う深紅の弾丸と化す。
 たったの数歩で間合いを食らい尽くし、目前のエルフを相手取ると見せかけ、奥のレリックウェポンに狙いを絞り込む。
 夕凪神無式剣術が基礎にして奥義、|月詠ノ祓《ツクヨミノハラエ》。
 多対一を想定したその戦技を前に、召喚獣達は反応を一瞬遅らせた。
『――』
 持てる全力を込めた蒼刃の横薙ぎが『天上の虹』の巨体を駆け抜けた。
 頑丈な体表を砕き、核である人影すらも横断したその威力を前に、遺骸兵器は断末魔を上げる事すらままならない。
 巨大な水晶の体をごろりと地に墜とすと、すぅ、と虹色の光を消し、そのまま沈黙した。


 浮遊大陸『空の盾』の戦いは、勇士側が防衛を成功させた
 大規模な侵攻ではあったにもかかわらず、島の損害は家屋等が中心であり、死傷者も少数。対するエルフ帝国は手勢の大半と首魁を失い、もはや復活は難しいであろうとの事だ。
「……ああ、そっか」
『どうしたの?』
 忙しく勇士達が動き回る神殿跡にて、セフィリカがぽつりと呟いた。
「既視感の理由、思い出した」
 戦いが終わった今、セフィリカは改めて、自身の記憶の糸を辿り終えていた。
「同じものを昔に見たんだ。場所は確か旧王城の宝物庫……今は軍が拠点に使ってる場所で」
『――』
 王族であるセフィリカだからこそ近付けたその場所は、今は対抗する軍部が掌握している。
 彼等はもしかすると『それ』を利用したのかも知れない。
「ランブレイに異界の武器を与えたのは、この石と同種のものだったのかもね……」
 目的の善悪を問わず、異界の技術すらも与える『天上の虹』に類する存在であれば、それは可能だろう。おそらくは、相応の代償と引き換えに。
 溜息一つ、セフィリカは足元に目を落とす。そこには巨大な水晶塊が横たわっていた。
 二つに両断され、綺麗な切り口を晒すそれは、この浮遊大陸に大きな災厄を齎す可能性を秘めていた。
 だがその憂いはもはや断たれた。他ならぬ猟兵達の手によって。
「……」
 街の被害を確かめるために、踵を返すセフィリカ。
 遠ざかっていく彼女の背中と輝石とを、折しも吹いて来た、砂交じりの風が隔てるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年08月11日
宿敵 『天上の虹』 を撃破!


挿絵イラスト