●誰かの記憶
「すまない」
「ごめんなさい」
いいんだよ。わたしは大丈夫だからあやまらないで。だから泣かないで。
「何があっても、俺たちはお前を愛してる」
「次に目を覚ました時は、きっと皆で幸せに生きられるようになっているわ。だから、安心して眠っていて?」
わかってるよ。みんなの事、信じてるから。
「それじゃあ……おやすみなさい。いい夢を……!」
「おやすみ……」
おやすみなさい。
●グリモアベースにて
アリス・トゥジュルクラルテ(白鳥兎の博愛者・f27150)は集まった猟兵たちに微笑んだ。
「ブルーアルカディアで、宝物を、探す、です!」
アリスの予知によればとある浮島に人の子ども程もある天使核が見つかったのだという。
「誰かに、悪用、される、かも、なので、その、前に、回収、したい、です。ただ、その、浮島の、周り、には、黒空藻、という、空域に、極稀に、群生、する、空を、飛ぶ、藻が、ある、です」
黒空藻は天使核に引き寄せられる性質があるため浮島の周囲に引き寄せられたようだ。当然飛空艇にも天使核が使われているため付近を通れば飛空艇にくっつく。大量にくっつかれれば雲海に沈没してしまうだろう。
「なので、黒空藻を、避ける、したり、駆除、したり、しながら、浮島に、向かう、して、ください。宝物は、浮島の、神殿に、ある、です、けど、オブリビオンが、守る、してる、ので、倒す、必要が、ある、です」
神殿の周囲にはゴツメウサギの群れがおり神殿内では主天魔怪獣ドミニオンが天使核を守っているらしい。
ゴツメウサギは名前の通り二足歩行する兎型のオブリビオンでその脚力は侮れない。
ドミニオンは天使戦争時に帝竜に対抗すべく造られたと言われている巨大魔獣である。天候操作や洗脳など厄介な攻撃を行う強敵だ。
「それらを、倒す、できれば、天使核を、回収、できる、です! ただ……普通の、天使核、とは、違う、気が、する、です。天使核を、予知で、見る、した、時に、誰かの、記憶が、ぼんやりと、見えた、です、けど……。一体、誰の、記憶、なのか……」
オブリビオンが闊歩している状態で人が生き残るとは考えにくい。しかしその場にいない者の記憶が見えるとも思えないためアリスは首を傾げた。
「……何にしろ、宝物を、放置、できる、ない、ので、よろしく、お願い、します!」
グリモア猟兵は深々と頭を下げたのだった。
彌厘
ブルーアルカディアでのお宝探しです!
一章は冒険。飛空艇はすでに用意されているので持っていない方もご参加いただけます。黒空藻をどうにかして浮島にたどり着きましょう!
二章は集団戦、三章はボス戦になります。三章は難易度高めかもしれません。
プレイングの受け付けは一章はオープニング公開直後から、二章と三章は断章投稿後から受け付けます。締め切りはタグとマスターページ上部にてお知らせしますので、ご確認をお願いします。
それでは、素敵なプレイングお待ちしております!
第1章 冒険
『黒空藻、襲来』
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POW : 黒空藻をあらゆる手段で取り除く
SPD : 黒空藻が絡みつくことを覚悟して強行突破を試みる
WIZ : 黒空藻の進行を予測し極力接触しないルートへ進行する
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ティティス・ティファーナ
SPDで判定
*アドリブ歓迎
「黒空藻、厄介な存在…警戒は最大限に」
『アプロディーテ・フューチャーサイト』で1分先の未来を見ながら『アテネ・ニケ・パルスフラッシュ』で識別パルスを照射し『マルチスタイル・サイコミュ・ファンネルビット』でファンネルビットを創造して展開し接触の少ないルートを記憶・記録し進みながら変事があれば『サイコミュ・ファンネルビット・テレポート』で空間飛翔してファンネルビットを先行させながら『アストラル・エレメント・トランスフォーメーション』で状況を見ながら最適化させて慎重に進んで行きます。
未来視を駆使しトランスフォームを繰り返してより効果的に進んで行きます。
「厄介な黒空藻だ…」
●未来視
宝物があるという浮島へ向かう飛空艇。
ティティス・ティファーナ(召喚獣「アストラル・エレメント(幽魔月精)」・f35555)はその操縦を他の者に任せて甲板に出た。
浮島は黒空藻に覆われていてその姿がほとんど見えない。
「黒空藻、厄介な存在……警戒は最大限に」
ティティスは様々なユーベルコードを用いて黒空藻への対処を考えた。だがユーベルコード自体に他のユーベルコードを発動させるような能力がない限り複数を同時に使用することはできない。
しかし相手はオブリビオンではない。ただの空を漂う藻である。一つのユーベルコードで十分な対処ができるだろう。
彼女はそう考えてこの状況に最適だと判断したユーベルコードを発動した。
「その行程動作は把握できている」
浮島からこちらへと近寄ってくる黒空藻の動きを完璧に予測する。そして飛空艇にくっついてくるであろう藻を割り出す。それに向けて超小型の浮遊型涙粒状のレーザー砲台『サイコミュ・ファンネルビット』のレーザーを放ち素早く焼き落としていく。
「厄介な黒空藻だ……」
何しろ数が多い。すべてを焼き尽くすことは不可能だがレーザー射撃のおかげで飛空艇が沈没することはないだろう。
猟兵を乗せた飛空艇は順調に目的地へと進んでいる。
成功
🔵🔵🔴
クゥ・クラウ
飛空挺に乗せてもらう。
群生地に近づくまでは、飛空挺の舳先で風を感じながら景色をじっと眺める。
「どこまでもつづく空と……雲の、海?」
『興味深い。クロムキャバリアでは考えられない光景だね』
AI、ジョン・ドゥの声が端末を通して話し掛けてくる
出番が来たら、舳先から飛び降りてブレスレットからアインベルを召喚、搭乗。天翼を起動して飛行する
『僕らの世界とは環境がまるで違う。ひとまずは慎重にね』
周辺空域の探索開始
UC【名無し男は手を伸ばす】
偵察ドローン、ゲイザー発射。比較的安全なルートを選定。飛空挺を誘導する
(索敵、情報収集、道案内)
避けられない黒空藻はレーザー撃つ
これ、どうやって飛んでいるんだろう……?
●人工知能とキャバリアと
クゥ・クラウ(レプリカントのクロムキャバリア・f36345)は飛空艇の甲板から見渡す限りに広がる雲海を呆然と眺めた。
「どこまでもつづく空と……雲の、海?」
『興味深い。クロムキャバリアでは考えられない光景だね』
一見髪飾りに見える結晶状の有機接続式端末機・オラクルから妙に人間臭い声がする。これは人工知能でクゥの相棒でもあるAI『ジョン・ドゥ』の声だ。
クゥはクロムキャバリア世界の出身である。その世界では飛行物体は暴走衛星『殲禍炎剣(ホーリー・グレイル)』に無差別砲撃される。そのため彼女は雲の上の景色を初めて見たのだ。
『もっとゆっくり観察したいのは山々だけど、例の藻が来たみたいだよ』
ジョンに促されて見れば他の猟兵がすでに押し寄せる黒空藻に向けてレーザーを放っていた。
「ワタシもやらなきゃ……!」
クゥは舳先から雲海へと飛び降りる。落下しながら装備品を収納しているE・ブレスレットから魔導型クロムキャバリア『アインベル』を呼び出しコックピットへと滑り込む。エンジンを起動させれば白い装甲にエメラルド色の魔力光が浮かび上がり背部から光翼を展開し浮上した。
『僕らの世界とは環境がまるで違う。ひとまずは慎重にね』
無言でうなずき偵察用ドローンのEP観測機・ゲイザーを射出。
それの情報を元にジョンが比較的安全なルートを選定する。
クゥはそれに従い飛空艇より先行しその航路を誘導し始めた。
「黒空藻って、どうやって飛んでいるんだろう……?」
『さあ? そういう魔力でも持っているんじゃないかな』
そんな話をしながら黒空藻を避けて進んでいく。件の浮島までの距離はあと半分程となった。
大成功
🔵🔵🔵
アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」
楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷
神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する
バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ
戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる
ユーリィ・ミニットマン(サポート)
招集に応じ馳せ参じた。魔獣狩人のユーリィだ、宜しく頼む。
相手は魔獣か?それともそれ以外か?
いずれにせよ、全力を以てこの狩りに臨もう。
オレの主な武器は、鋸鉈に散弾銃──一般的な狩人の装備だな。何方も射程は短いが、補う為の狩道具もある。
例えば、この小型天使核を内蔵した変形式の罠は浮遊させることが出来る。飛ぶ相手に対しては空中機雷の形として運用することが多いな。
それに、攻撃が届かないなら近づけばいいだけの話さ。そうだろう、皆?
……紹介が遅れたが、この群狼たちはオレの仲間、家族とも呼べる存在だ。共に狩場を駆け、狩猟を行う。
つまり、オレは獣と共に魔獣を狩る狩人だということだ。覚えておいて貰えると助かる。
●零號魔獣と光合成
「わー、あれが黒空藻? 本当に飛んでるんだね!」
飛空艇の甲板の手すりから身を乗り出して無邪気に言ったのはアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)。
その隣ではユーリィ・ミニットマン(寄る辺無き民・f33966)が空に浮かびながらこちらに迫ってくる黒空藻を眺めている。
「今回の相手は魔獣ではないが、全力で臨む事に変わりはない」
そう言うとユーリィは彼の連れる群狼の内の一頭にまたがる。
するとその大狼は甲板の上で垂直にジャンプした。
更に大狼の背でユーリィがジャンプ。そしてすぐ近くまできていた黒空藻へと刃が駆動するチェーンソー剣『鋸鉈』を振り下ろす。
鋸鉈に切り裂かれて黒空藻だったものが辺りに飛び散った。
ユーリィはその一かけらを鷲掴みにするとためらいなく口に放り込んだ。途端に彼の体は天使核のない有翼の零號魔獣へと変化。その翼で飛空艇の周囲を飛び回り鋸鉈で黒空藻を切り刻んでいく。その様は狩りをしているように荒々しかった。
それを甲板から眺めていたアウルは大きく伸びをする。
「さて、わたしもそろそろ行こうかな」
彼女は何もしていなかった訳ではない。植物性のバイオモンスターであるため光合成をしていたのだ。それにより次の行動の成功率が上昇するのである。
成功率が上昇した状態でアウルは他猟兵のさばききれなかった黒空藻を聖なる傷跡がある聖痕右腕と魔術装置が埋め込まれた刻印左腕で掴み取る。二メートルを超える長身とはいえ彼女は飛べる訳ではない。それでも藻がアウルの腕に収まったのは光合成のおかげだろう。
「いただきまーす!」
そしてその黒空藻に獣のように野生的にかじりつく。可愛らしい見た目とは真逆なその行動はまさに怪物のようであった。
ぺろりと藻を食べ終えたアウルは無邪気に感想を述べる。
「……うーん、味が薄くてあんまり美味しくないかも。敵と戦う方が楽しいかな?」
そうこうしている間に飛空艇は無事目的の浮島へとたどり着いたのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『ゴツメウサギ』
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POW : ゴツメウサギ流解錠術
【鍵による刺突】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 空を跳躍する者
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ : 恐怖感染
【なす術もなく墜ちていく恐怖心】によって【胸からモザイクの濁流】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
イラスト:猫家式ぱな子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
浮島にはすでに滅んでしまった町があった。猟兵たちはその町の一番奥に件の天使核があるという神殿を発見する。
しかし予知で言われていた通りにその周囲にはオブリビオンであるゴツメウサギたちが取り囲んでいる。無視して神殿に入ることはできないだろう。
「クソ、あの魔獣厄介だな……」
「でもあの天使核は利用できるぞ」
「全員でかかればなんとならないか?」
猟兵たちが物陰から様子をうかがっていればそんな会話が聞こえてきた。どうやらゴツメウサギたちも天使核が目的らしい。
彼らはまだこちらには気づいていない。今の内に奇襲を仕掛けて討伐し神殿へと入ろう。
バルタン・ノーヴェ(サポート)
「バトルの時間デース!」
雇われメイド、バルタン! 参上デース!
アドリブ連携歓迎デース!
普段の口調:片言口調(ワタシor我輩、アナタ&~殿、デス、マス、デショーカ? デース!)
得意な技能:【一斉発射・焼却・武器受け・残像・カウンター・受け流し】デスネ!
遠距離ならば、銃火器類の一斉発射や各種UCによる攻撃が有効デース!
近距離戦闘なら、ファルシオンで白兵戦を挑みマース!
敵の数が多いor護衛対象がいるならば、バルタンズをお勧めしマース! 数の有利は得られるデショー!
状況に応じて行動して、他の猟兵のサポートに回っても大丈夫デス!
迎撃、防衛、襲撃、撤退戦。どのような戦場でも参戦OKデース!
頑張りマース!
●荷電粒子体
支援要請を受け駆けつけたバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は物陰から敵の背後に回るとユーベルコードを発動させた。
「六式武装展開、雷の番!」
ほとばしる電撃が彼女の全身を覆う。さらに気合により戦闘力を上げると肉切り包丁のように武骨なファルシオン風サムライソードを構え手近なゴツメウサギに斬りかかる。
「がッ!」
「な、何だお前は!?」
仲間が倒れてようやくゴツメウサギたちは猟兵の存在に気がついた。
「ワタシは戦場メイドのバルタンデース! この神殿のお宝はワタシたちがいただきマース!」
「あれはオレたちの物だ!」
そう言ったゴツメウサギが渡すものかとばかりに素早く跳躍し一瞬でバルタンの目前に迫る。そして巨大な鍵の先端で彼女を貫こうとした。
バルタンはそれをサムライソードで受け止めた。しかし敵の攻撃の威力は高く頑丈に作られた刀が半分に折られてしまう。
「ぎゃああ!」
だが悲鳴を上げたのは彼女ではなくゴツメウサギだった。バルタンのまとう電撃が刀と鍵を伝い敵を感電させたのだ。
電撃を食らったゴツメウサギは倒れ骸の海へと還ったのだった。
成功
🔵🔵🔴
アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。
●蒼きスナイパー
手が足りないと聞いて支援に来たアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)。彼は他の猟兵がゴツメウサギの注意を引きつけている隙に忍び足で敵の百二十一メートル以内に接近した。そして崩れた壁の影に隠れてそこから蒼い熱線銃ブルーブラスターで狙いを定める。アスが引き金を引けば狙い通りにゴツメウサギの眉間を撃ち抜いた。
撃たれたゴツメウサギは悲鳴も上げずに絶命し地に伏した。
「何だ!?」
「敵か! どこにいる!?」
ゴツメウサギたちが慌てて周囲を見回しても襲撃者の姿は見つからない。すると彼らは地面を蹴って高く跳ぶ。さらに空を蹴って高く跳び上がると空中から浮島を見下ろした。
「――そこか!」
アスを見つけると空を蹴って素早く地上へと向かう。その間に体勢を立て直し落下しながらもアスへと蹴りを放つ。
彼はそれを二丁のブルーブラスターで受け止めるもその勢いに吹き飛ばされる。
「……っ! 逃がしはしない!」
受け身を取りすぐさま片膝を立てた状態で起き上がる。起き上がり様にブルーブラスターから熱線を撃ち出した。
「ぐああ!」
胸のモザイクにそれを受けてそのゴツメウサギも骸の海へと還るのだった。
成功
🔵🔵🔴
クゥ・クラウ
探索のためにキャバリアからは降りている。
『いや驚いたね。あの怪物が人語を話すとは』
端末を通じてAIのジョン・ドゥの声が聞こえてくる。
『さて、キャバリアを喚ぶかい?』
「……そうすると奇襲にならないから、このままいく」
キャバリア無しでの実戦は初めてだけど、訓練通りにすれば、だいじょうぶ。
思考を加速。(瞬間思考力5)
光翼を起動。光の粒子の翼で高速移動。
UC【光成武装】攻撃回数重視。サーベルを形成して次々と斬付けていく。
相手の反撃に対して回避を試みると同時に、光の粒子で生み出した残像で攪乱する。
(空中機動2、推力移動2、残像3)
『このオブリビオンからも天使核が出るらしいね。研究用に回収をお願いするよ』
●光の粒子
クゥ・クラウ(レプリカントのクロムキャバリア・f36345)は乗っていたキャバリア『アインベル』から降りて神殿前までやって来ていた。キャバリアは大きすぎるため乗ったままでは敵に発見されて警戒心を強めてしまうからだ。
『いや驚いたね。あの怪物が人語を話すとは』
頭に着けた端末機・オラクルからAIのジョン・ドゥの声がする。
クロムキャバリア世界のオブリビオンはキャバリアであり生物ではない。そのためしゃべることはまずないのだ。だから仲間同士で会話しているゴツメウサギの姿はクゥたちにとっては珍しいものだった。
『さて、キャバリアを喚ぶかい?』
それではすぐに敵に見つかってしまうだろう。
「……そうすると奇襲にならないから、このままいく」
キャバリア乗りである彼女がキャバリアなしで戦うのは今回が初めてだ。
(「訓練通りにすれば、だいじょうぶ」)
自分に言い聞かせるように心の中で呟く。そして背中の空中機動装備・光翼から光の粒子でできた翼を展開。敵がスナイパーに気を取られている間に浮上して彼の周囲を囲もうとするゴツメウサギに肉薄する。
「収束、形成……」
ユーベルコードの力で光の粒子を集めてサーベルを形成。残像が残る程の素早さでサーベルを振るい次々と敵を薙ぎ払っていく。
「ぎゃああ!」
「何ィ!?」
そのゴツメウサギたちは巨大な鍵で反撃する暇もなく骸の海へと還った。
『お見事! ところで、このオブリビオンからも天使核が出るらしいね。研究用に回収をお願いするよ』
「……余裕があれば」
何しろ敵はまだまだいるのだ。それができるのは当分先だろう。
大成功
🔵🔵🔵
ベアータ・ベルトット
天使核も気になるけど、その前に…丁度良い獲物がいるみたいね
栞蛙に囮役を命じるわ
敵の傍で挑発するように動き回って、なるべくたくさんの兎をおびき寄せなさい
私は物陰に隠れて動向を観察。…なるほど。あの鍵が武器ってワケね
兎達がひと固まりになった頃合いを見計らい、ブーストダッシュで接近
蛙を手元に戻してFBを起動。放出した赤霧で兎達の視界を奪って野生に狂わせ…これで奴らはマトモに武器を振るえないでしょ
私も暗視デバイスを作動してから霧の中に飛び込み、UCを発動。跳躍に頼られたら厄介だから…まずは脚を切り裂いておきましょうか
機餓獣爪を振るい、解体した傍から即座に血肉を捕食(分解吸収)してエネルギーを充填するわ
●飢えた獣
(「天使核も気になるけど、その前に……丁度良い獲物がいるみたいね」)
神殿に遅れてやって来たベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)はカエルをかたどった式神の栞蛙に囮役を命じた。
「敵のそばで挑発するように動き回って、なるべくたくさんの兎をおびき寄せなさい」
ベアータ自身は朽ちた建物の影に隠れて様子をうかがう。
栞蛙はゴツメウサギたちに近づくとピョンピョンと高く飛び跳ねて注意を引きつけた。
「……何だこのカエル?」
ゴツメウサギたちは最初こそ大して気に留めていなかった。だが栞蛙が彼らの周りを執拗に飛び跳ねながら回り始めれば苛立って怒鳴る。
「だあもう、うっとおしい!」
そして栞蛙を踏みつぶそうと足を振り下ろした。
しかしカエルはちょこまかと飛び跳ねて逃げ回る。
ゴツメウサギたちがそれを追いかけるのに躍起になっている間にベアータはその内の一体に近づいた。
(「跳躍に頼られたら厄介だから……まずは脚を切り裂いておきましょうか」)
サイボーグである彼女の機腕に仕込まれた機餓獣爪で敵の足を解体するかのように切り刻んだ。それと同時に切断した血肉を分解吸収し鮮血色の霧を周囲に発生させる。
「ぎゃああ!」
「何だ!? 何があった!」
「この霧はなんだ!?」
カエルを追いかけ集まっていたゴツメウサギたちは霧のせいで状況を把握できずに混乱する。
そんな彼らをベアータは容赦なく切り裂いていった。
「ふふふ……もっと食べたい……!」
今の彼女はユーベルコードの影響で飢餓感と喰殺衝動が激化している。敵を攻撃するその姿はさながら兎を狩る狼だ。
ゴツメウサギたちは何も理解できないまま捕食されていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ユーリィ・ミニットマン(サポート)
招集に応じ馳せ参じた。魔獣狩人のユーリィだ、宜しく頼む。
相手は魔獣か?それともそれ以外か?
いずれにせよ、全力を以てこの狩りに臨もう。
オレの主な武器は、鋸鉈に散弾銃──一般的な狩人の装備だな。何方も射程は短いが、補う為の狩道具もある。
例えば、この小型天使核を内蔵した変形式の罠は浮遊させることが出来る。飛ぶ相手に対しては空中機雷の形として運用することが多いな。
それに、攻撃が届かないなら近づけばいいだけの話さ。そうだろう、皆?
……紹介が遅れたが、この群狼たちはオレの仲間、家族とも呼べる存在だ。共に狩場を駆け、狩猟を行う。
つまり、オレは獣と共に魔獣を狩る狩人だということだ。覚えておいて貰えると助かる。
●魔獣狩人
「魔獣か」
ユーリィ・ミニットマン(寄る辺無き民・f33966)は魔獣狩人を自称している。そのため魔獣の扱いは心得ていた。かなり数の減ったゴツメウサギを物陰から確認して低く口笛を吹く。
すると群れを成す狼たちが敵の四方から現れ取り囲んだ。
「狼!? 一体どこから……!」
群狼は見事な連携で一斉にゴツメウサギの四肢に噛みつく。
「ぎゃああ!」
「クソッ、ただの動物なんかにやられてたまるかよ!」
生き残ったゴツメウサギは地を蹴り空を蹴って狼では届かぬ空高くへと逃げる。そこから急降下して狼を蹴りつけた。
「キャン!」
「へっ、こうすりゃ手も足も出ねぇだろ!」
そしてまた空高く跳び上がる。
確かにこれでは狼たちは攻撃できない。だがゴツメウサギを狙っているのは彼らだけではないのだ。
ゴツメウサギが狼を攻撃しようと高度を下げたタイミングでユーリィは駆け寄る。鋸鉈の刃を駆動させ背後から敵を切断した。
気づけばすべてのゴツメウサギを狩り終えていた。
「皆、お疲れ様だ」
ユーリィは相棒である群狼をなで労ったのだった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『主天魔怪獣ドミニオン』
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POW : コールオブドミネーター
自身が装備する【大杖】から【破壊衝撃波と支配感応波】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【洗脳】の状態異常を与える。
SPD : パーフェクトドミネーション
【口から黒雲を吐き、嵐を引き起こす。雨】が命中した部位に【障害を無視して浸透する体を支配する水】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
WIZ : ドミニオンクラッシュ
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【眼】から【支配洗脳効果を持つ破壊光弾】を放つ。
イラスト:柴一子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ビードット・ワイワイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ゴツメウサギを全滅させた猟兵たちは神殿内へと足を踏み入れた。
神殿も街と同じように大半が崩れていた。大聖堂の天井に大穴が開き光が差し込んでいる。その光の中に件の天使核があった。
天使核は一般的に核を白い翼が覆うような形になっている。その天使核も同じように翼で覆われていた。
猟兵たちがそれに近づこうとすれば足が何かに当たる。足元を見ればそこには二人分の人骨が折り重なっていた。まるで天使核を守るように。
彼らを踏まないように注意して天使核の目前まで近づく。
すると突然天使核の翼がゆっくりと動き出し核の姿をさらした。それは少女の姿をしていたのだ。
腰まであるふわふわの髪は金色。少女を覆っていた翼は彼女の背中から生えている。ゆっくりと開かれた瞳はアメジストのような紫色だった。
「――おはようございます。あの、あなたたちは……?」
十歳くらいに見えるその少女は猟兵たちを見て不思議そうな顔をした。そして朽ちた神殿と人骨を見て目を見開く。
「そんな……! お父さん、お母さん!?」
少女は顔を蒼白にして呆然と立ち尽くした。
おそらくその人骨は彼女の両親だったのだろう。ショックを受けるのは当然のことだ。
猟兵たちが彼女に言葉を掛けようとしたその時。
まるで最初からそこにいたかのように唐突に少女と猟兵の間に巨大な魔獣が現れた。これが主天魔怪獣ドミニオンである。
「守護対象を確保。敵は排除します」
感情のない声でドミニオンはそう言うと少女に背を向けこちらに向き直る。どうやら少女を攻撃する意思はないようだ。
少女は気にかかるがドミニオンを倒さなければまともな会話はできそうにない。相手は帝竜を倒すために造られたと言われている程の強敵だ。ユーベルコードへの対策は必須だろう。
覚悟を決めた猟兵たちは戦闘態勢を取る。
リン・ベルナット(サポート)
「ヒーロー参上!悪党は覚悟してね!」
方針
仲間と協力できる時は協力するよ!
冒険の場合は考えるより行動するよ!なせばなる!
日常の時も体を動かせるような事をしたいね。
戦闘の時は身体能力を生かしてアクティブに戦うよ!
敵の攻撃はダッシュしたりジャンプで回避するか、バトンロッドを使った武器受けでの防御で対処するね。
ユーベルコードは敵によって適時使い分けて戦うよ!
集団戦なら纏めてドーン!って感じで戦うし、ボス戦なら強力な一撃をドカン!と叩き込んだりするね!
NG
犯罪とか他人が嫌がる行為はしないよ。ヒーロー的にも絶対にNGだもんね。後、公序良俗に反するようなこともNGだよ。
●ヒーローとして
「私たちは悪党じゃないよ! その子を傷つけたりしないから、戦う必要はないんだよ!」
人手不足で困っていると聞いて駆けつけたリン・ベルナット(スポーツヒーロー・f17042)がドミニオンに呼びかける。
しかし相手に止まる様子はなかった。
「……戦わないとわかり合えないみたいだね。それなら私はヒーローとして、あなたと戦うよ!」
アスリートでもあるリンは鍛え抜かれて武器と化した身体で敵に肉薄。相手の目の前で高く跳び上がる。そして空中でヒーロー活動のために作られたスプリントシューズを履いた右足を高く振り上げた。
「すっごく痛いよ! 覚悟してね!」
落下する勢いに合わせて右足を一気に振り下ろす。それは強烈なかかと落としとなりドミニオンの頭に叩きつけた。
「――」
ドミニオンは体勢を崩しながらも巨大な手が持つ白い大杖から破壊衝撃波と支配感応波を放つ。
リンはもう一度高く跳んで支配感応波を避けた。だが破壊衝撃波は避けきれず後方へと吹き飛ばされる。
「くっ……!」
正義の心から生まれるライトネスオーラで重傷は避けた。しかし無理は禁物だ。
「ヒーローが倒れたら、子どもたちが悲しむよね……」
ヒーローたる者引き際は心得ている。
リンは戦場から退避して他の猟兵たちに後を託したのだった。
成功
🔵🔵🔴
クゥ・クラウ
支障がなければアインベルに搭乗
「……天使核には、うごくものもあるのね」
よく知らないけど、こういうこともあるのだろう。
『とても興味深くはあるけど詮索は後だ。まずは安全を確保しよう』
AIのジョン・ドゥが言葉を放つ。
相手の放つ嵐は光の粒子の壁で防御。(オーラ防御3)
雨水は防御しきれないかも知れない。爆破はどうしようもないけど、部位の操作には抵抗。
UC【茨棘の返礼】光の茨として反射する。
光の翼を広げて加速、突撃。魔獣の口にサブマシンガンをねじ込む。
……あ、いちおう天使核の子に確認しておかないと。
「この魔獣は、アナタの知り合い?」
知ってる人ならどうするか困るけど、そうじゃないなら問題ない。
引き金を引く。
●少女とドミニオン
呆然と両親らしき白骨遺体のそばに立ち尽くす少女。
それを見てクゥ・クラウ(レプリカントのクロムキャバリア・f36345)は思わずつぶやく。
「……天使核には、うごくものもあるのね」
そんな話は聞いた事がなかった。しかしクゥはブルーアルカディアの事情に詳しい訳ではない。そういう事もあるのかもしれないと考えた。
『とても興味深くはあるけど詮索は後だ。まずは安全を確保しよう』
髪飾り型端末機・オラクルからAIの相棒であるジョン・ドゥの声が聞こえる。クゥはそれにうなずき装備品を亜空間に収納しているE・ブレスレットから魔導型クロムキャバリア『アインベル』を呼び出し搭乗する。
ドミニオンは突然現れたアインベルに警戒の色を強めた。巨大な顔にある口から黒雲を吐き出す。それは嵐を引き起こし対象の体を支配する雨を降らせる。
クゥはアインベルの背部装備であるBX-B天翼の光の粒子を翼ではなく機体を覆う盾として展開。上手く雨を防ぐことができた。もしも防ぎきれないようならば状態異常や行動制限を反射するユーベルコードを使用しようと思っていたが運良く使わずに済んだ。
アインベルは盾を展開したままドミニオンへと突撃。そして雲を吐き出す口へとRSサブマシンガン・アンタレスをねじ込んだ。引き金を引く寸前。
「この魔獣は、アナタの知り合い?」
一応確認しておこうと少女の方をちらりと見る。
「……え?」
少女は一瞬何を言われたのかわからない様子できょとんとした。そして言われてから初めて気がついたという表情でドミニオンを見る。
「――っ! その子は……! 待って、どうしてそんなことしてるんですか!?」
少女が慌てて駆け寄って来たのでクゥは困惑した。
「どうしてって……。アナタを守ると言って襲ってきたから、迎撃したの」
「え!? ……あなたたちは、悪い人ではないですよね?」
「ええ。猟兵――いえ、勇士よ」
「そうですか!」
少女は安心した表情になるとドミニオンに向き直る。
「ドミニオンさん! わたしは大丈夫です! この人たちは敵ではないですから!」
彼女はドミニオンの巨大で不気味な顔を真っ直ぐに見つめた。
すると黒雲は消え嵐と雨も霧散した。
そしてドミニオン自身も跡形もなく消え去ってしまったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
少女は猟兵たちに深々と頭を下げた。
「勇士様たち、ご迷惑をかけてしまって本当にごめんなさい!」
大丈夫だと言えば彼女は気を取り直して自己紹介してくれた。
「わたしはこの島で生まれ育ったアリス・ティリアと言います。勇士様たちはどうしてここに来たんですか? もしかして、攻めてきてた敵を倒してくれたんですか?」
敵とは何のことだろうか。ゴツメウサギの事かあるいはもっと別の何かか。
幸いこの浮島にはもう戦うべきオブリビオンはいない。ゴツメウサギは全て倒したしドミニオンも何故かは不明だが消えてしまった。少女――アリスからゆっくりと話を聞くことができるだろう。
彼女は遺体を気にしつつも気丈にもこちらの話を聞いてくれるようだ。気になる事を聞いてもいいし遺体の埋葬を手伝ってもいい。危険はないため浮島内の散歩もできるが崩れた神殿と廃墟の街しかないため楽しめるかどうかは個人の価値観によるだろう。何はともあれここからは自由行動だ。
クゥ・クラウ
「……ワタシはクゥ・クラウ。アナタを、回収しにきた」
アリスに用件を話す
『この島にあるという天使核を探していたら君を見つけたんだ。僕たちにも分からないことだらけで少々困惑しているんだよ』
端末のスピーカーからAIが慌てたように説明する。
「この声はジョン・ドゥ。ワタシのトモダチ。……さっきの魔獣、ドミニオンもアナタのトモダチだったの?」
他は後回しにしてアリスの両親の埋葬を手伝う
彼女は天使核だけれども、それでも、たぶん「人」なんだと、思う。人には亡くなった相手を弔う儀式が必要らしいから、協力する。
キャバリアで穴を掘って、墓石代わりの石を置く
この世界の祈りの言葉はわからないから、あとは静かにアリスを待つ
ベアータ・ベルトット
大物の肉にはありつけなかったか
…でも、今回ばかりはそれで良かったかもしれないわね
さて。アリスに聞かなきゃいけない事は色々あるわ
消えたドミニオンとの関係、人骨の身元とこの状況に至った経緯、アリスの言う敵とは何か、そしてアリス自身について……
でもまずは――
「その人達をこのままにしておけないでしょ?お墓を作ってあげるなら、手伝うわよ」
大切な死者を悼む「人間」らしい感情。何よりもまず、その思いに応えたい
墓地は何処が相応しいのかしら。神殿の周辺?亡くなった彼らのお気に入りの場所?アリスに尋ねてみましょ
花でも見つけられたら、僅かばかりの手向けに供え
彼女が心を慰められて、ついでに少しでも情報が聞けたら最良ね
●楽園の悲劇
ドミニオンが消えたのを見てベアータ・ベルトット(餓獣機関BB10・f05212)は少し残念に思った。
(「大物の肉にはありつけなかったか……でも、今回ばかりはそれで良かったかもしれないわね」)
どうやらアリスと名乗った少女はドミニオンと面識があったらしい。それなのに食べてしまっては彼女を悲しませてしまったかもしれない。そうならなかったのは不幸中の幸いだった。
ベアータは安堵しつつ自己紹介中のアリスとキャバリアから降りたクゥ・クラウ(レプリカントのクロムキャバリア・f36345)に歩み寄る。
「……ワタシはクゥ・クラウ。アナタを、回収しにきた」
「回収?」
きょとんとするアリスにクゥの頭に着けられた髪飾りのような端末機・オラクルからAIの慌てた声が説明する。
『この島にあるという天使核を探していたら君を見つけたんだ。僕たちにも分からないことだらけで少々困惑しているんだよ』
「この声はジョン・ドゥ。ワタシのトモダチ。……さっきの魔獣、ドミニオンもアナタのトモダチだったの?」
「友達……とは、ちょっと違うかもしれないです。わたしがお母さんの……力を受け継いで……」
そう言ったアリスは瞳を潤ませて遺体を見た。
話の続きは気になるが。
「その人たちをこのままにしておけないでしょ? 私はベアータ・ベルトットよ。お墓を作ってあげるなら、手伝うわよ」
何よりもベアータは大切な人の死を悼む『人間』らしい想いに応えたかった。
彼女は生き血に飢えた機械を装着されたサイボーグである。それ故に常に獣のように血肉を求めながらも人でいるためにそれに抗い続けているのだ。だからこそ人としての感情を誰よりも大切にしている。
一方クゥも人に造られたレプリカントだ。肉体年齢は十五歳だがまだ稼働を始めて一年程しか経っていない。だから気丈に振舞うアリスに対して自分が抱いている感情が何なのかわかっていなかった。それでも人には亡くなった相手を弔う儀式が必要だと聞いていたから協力したい気持ちはベアータと同じだ。だから無言でうなずいた。
「……ありがとうございます」
アリスは涙ぐみながらも笑って二人にお礼を言った。
ベアータがどこに墓を建てるか問えばアリスは自宅の庭がいいと答えた。そこで三人は遺骨を抱えて神殿を出る。
神殿の外の様子を見たアリスは息をのんで立ち止まった。
「……やっぱり、もう誰もいないんですね」
神殿の惨状から察していたのだろう。それでも彼女はすぐに歩き出し二人を先導してくれた。
アリスの家は神殿のすぐそばにあった。しかしそこも当然崩れかけており人が住める状態ではない。以前は綺麗だったであろう庭もがれきに埋もれていた。このままでは墓穴を掘ることすら難しい。
「……大丈夫」
人力ではどうしようもない様子に途方に暮れていたアリスにクゥが言う。
クゥは三度キャバリア『アインベル』を呼び出すと脳波コントロールによりそれを遠隔操作する。キャバリアは巨大な機体だ。がれきを取り除くのも穴を掘る事も難なくこなした。
その間にベアータたちは周囲を探索し花を摘んできた。
アインベルが掘った穴に丁寧に二人分の遺体を寝かせる。土を被せて大きめの石を墓標にして花を手向けた。
アリスは両親の結婚指輪を握りしめ目を閉じて祈る。
クゥとベアータはそれを静かに見守った。
ゆっくりと目を開けたアリスは墓を見つめたままおもむろに語り始める。
「ここはホワイトガーデンと呼ばれる町で、自然豊かで気候も穏やかで、楽園見たいって言われたこともあったんですよ。それなのに突然、敵が襲ってきて……」
敵が何者なのかはアリス自身も知らないという。だが両親や一部の町の人は知っている様子だったそうだ。
「人が魔獣を操って町を壊させて、人を殺して……中でもドミニオンさんは、とても強くて……」
猟兵ではない者にはあの洗脳に抗う術はない。仲間同士の殺し合いはあまりにも惨かった。
「ティリア家は代々この町の領主だったんです。だからなのか特別な力があって、自分の体を天使核にする事で魔獣と心を通わせる事ができるんです。わたしはお母さんからその力を受け継いでいたから、天使核になってドミニオンさんに仲間になってもらったんです。ただ、力を使うと三年から五年くらい眠ってしまうので、わたしも眠ってしまって……目が覚めたら、みんなでまた一緒に暮らせるはずだったんですけど……」
眠ってしまった後に何があったのかはやはりわからないようだ。
おそらくその特別な力とはユーベルコードの事だと思われる。勇士であれば猟兵でなくても使える者もいるだろう。
「それでアリスは、ついさっき目が覚めたって事?」
ベアータの質問にアリスは涙を拭いながらうなずいた。
クゥも気になっていた事を口にする。
「ドミニオンはどこに行ったの?」
「わたしの中……というか、天使核の中だと思います。たぶん敵に襲われたらまた守ってくれると思います」
「そう……」
敵の正体も目的もわからないとなればアリスが狙われないとも限らない。なによりこの廃墟になった浮島でたった一人で生活するのは難しいだろう。
そこで猟兵たちをここまで運んでくれた飛空艇の艦長に事情を説明して彼女を匿える場所に心当たりはないか尋ねた。すると彼は自分がアリスを保護すると名乗り出てくれたのだ。
「ありがとうございます! クゥさんとベアータさんも、こんなに良くしてくれて……本当にありがとうございました!」
こうして猟兵たちは天使核となった少女を無事保護した。深々と頭を下げたアリスは年相応にはにかんで猟兵たちに心からの感謝を伝えたのだった。
大成功
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