●
あの人と出会ったのは、夏祭りの夜だった。
あの人が持ってたきらきらのビー玉がとても可愛くて、欲しくなっちゃって。
こっそり手を伸ばしたら、見つかっちゃって。
いっぱい怒られて、いっぱいお話して、「これ以上悪いことしないなら」って約束でビー玉を貰って。
その次の年も、お祭りであの人と会うことが出来た。
またいっぱいお話して、来年も、って思ったけれど――あの人は遠くの街に引っ越すことになっちゃったんだって。
だから約束したんだ。
「貴方の代わりに私がずっと故郷を見守ってるよ」って。
いつか帰ってきてくれるって、思ってたのもあるけど。
でも、あの人は何年経っても戻ってこなかった。
夏祭りの度に遊びに行ってみたけれど、あの人はいなかった。
でも、でも。
いつか戻ってくるかもって。約束もしたから。私、ずっとこの村にいるんだ。
けど、なんだかおかしいな。
あの人の顔が、もう思い出せないの。
思い出のビー玉も、もうボロボロになっちゃってる。
でも、でも。
ずっとこの村を、見守らなくちゃ。
約束、したから。
●
「集まってくれてありがとう。今回はUDCアースで妖怪絡みの事件を解決してきて欲しいんだ」
猟兵達の姿を確認し、レン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)が口を開く。
「妖怪といってもUDC怪物ではないよ。元々UDCアースにいた妖怪はカクリヨファンタズムへと渡っていったけれど、一部の妖怪達はまだ此方に残っているみたいでね」
UDC組織もカクリヨの存在は知っているが、姿も見えず危険もない妖怪については『UDC-Null』として放置しているような状態だ。
けれど此度の予知では、危険な存在と化してしまいそうな妖怪が見えたらしい。
「そういう妖怪は『UDC怪物を喰らう』ことでどうにか此方の世界に留まっているんだって。けれどそれにも限界があって、怪物を喰らい続けた妖怪は『骸魂に飲み込まれた状態』……つまりオブリビオンに近しい存在になってしまう。そんな妖怪の存在を予知出来たから、彼女を助けに行って欲しい。彼女を完全な怪物になる前に退治できれば、危険な怪物から無害な妖怪に戻すことが出来るだろうから」
今回の救出対象である妖怪は、戦うことでしか止められない。
相手は頑丈な存在だから、普通に戦う分には殺してしまう心配もないだろう。
「なんで妖怪がUDCアースに留まっているか、なんだけど。件の妖怪『ドドメキョンシー』はずっと昔に、ある人間と小さな約束をしていてね。それを守るために此方に留まろうとしていたんだけど……約束をした人間は、とっくの昔に亡くなってしまっている」
妖怪だって人間は自分達よりもよっぽど早く死ぬことも分かっているだろう。
それでも約束を果たしたいと願ってしまうからこそ、彼女はカクリヨへと渡れなかった。怪物を喰らい理性を失っても、約束を諦めきれなかったのだ。
「彼女はその人間に『故郷の村を見守っていて欲しい』とお願いされたみたいだね。その村も過疎化からの合併とかでどんどん姿を変えているけれど……それでも妖怪は見守ることを選んだんだ。けれどこれ以上は妖怪の方が保たない。悲しいかもしれないけれど、約束はここで終わらせないといけないんだ」
妖怪が理性なき怪物になってしまうことは、約束した人間も望んでいないだろう。
悲劇を食い止めるには、猟兵の力が必要なのだ。
「それで、何をして欲しいかを説明するね。まず転送された地点には、妖怪の放つ妖気に引かれたUDC怪物達が集まっている。これは普通に危険なオブリビオンだから、さくっと蹴散らして欲しい」
オブリビオンを放置することも問題だが、これらの怪物を妖怪が喰らってしまうことにも危険が伴う。ここで現れた敵は殲滅しなければならないだろう。
「怪物が倒せたら次はドドメキョンシーだ。彼女は多くのオブリビオンを喰らってきた影響で、とても強力な存在になっている。だからただ立ち向かうより、理性を取り戻させながら戦った方がいいだろうね」
約束に関する話題を振れば、妖怪も反応するだろう。
既に約束した人間が亡くなっているだろうこと、見守るべき村も変わっていくこと、他にも思いつくことがあれば。
何か彼女の琴線に触れるものがあれば、理性を取り戻して攻撃の手を緩めさせることも出来るはずだ。
「無事に妖怪を倒せば、彼女は理性を取り戻すだろう。そうしたら次は『宴』を開いて欲しいんだ。宴といっても宴会とかじゃなくて……小規模な縁日なんだけれど」
妖怪をカクリヨへと送るためには、楽しい『宴』が必要になるらしい。
そこで利用するのが、妖怪が見守っていた村での縁日だ。
縁日のスタッフにはUDC職員が何人か入り込み、上手く取り計らってくれる。妖怪の姿も普通の人には見えないため、彼女の存在を隠す必要もないだろう。
「小規模な縁日といっても、みんながイメージするようなものは大体揃ってるよ。焼きそばやかき氷なんかの屋台とか、射的や型抜きみたいなゲームとか、あとは紐引きクジとかもあるみたいだね」
小規模な影響か縁日の内容は少しレトロだが、それでも面白いものは沢山あるだろう。
妖怪も自由気ままに縁日を満喫しているため、彼女と一緒に遊んで見るのも一興だろうか。
楽しい雰囲気を満喫すれば、妖怪もそれを感じ取って満足し、カクリヨへと渡れるはずだ。
「説明はこれくらいかな。UDC怪物の殲滅、妖怪の救出、それから少し早い夏祭り。色々お願いすることになるけれど、皆の力が必要なんだ。だから今回もよろしくお願いするよ」
レンは話を締めくくると、猟兵達へと頭を下げた。
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
色褪せても、きらきらだけは忘れない。
●一章『『エラー』』
妖気に引かれたUDC怪物の群れです。
妖怪に喰らわせないためにも殲滅しましょう。
●二章『ドドメキョンシー』
人間と交わした約束を守るため、UDCアースに留まり続けた妖怪です。
怪物を喰らい続けた影響で理性を失いかけており、とても強力です。
何か彼女の琴線に触れるような行動をすることでプレイングボーナスになります。
どうにか止めてあげましょう。
●三章『祭囃子に誘われて』
妖怪が見守り続けた村で開かれる縁日です。
一般的な縁日にありそうなものならだいたい揃っています。
これを楽しむことで妖怪を送り出すことが出来るでしょう。
詳細は断章にて。
●
どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。
締め切りの告知もそちらで行っているので確認していただけると幸いです。
それでは今回もよろしくお願いします。
第1章 集団戦
『『エラー』』
|
POW : ■、1あ■アオ、蒼、青い■あァあ、%2■3屍%蒼
【■アl■%あ、蒼い跳ぶ、頭■%、■格闘技】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : %2あ、か■赤血赤赤、■ア垢か、ぁ■赤い、%1■
【紅、?■2閼伽■紅い紅い紅い紅い紅い紅い】【紅い、紅い■■あああ■、紅い%貴方、四肢】【屍%、4赤■■、■ぁ■死あァぁ7。%呪術】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : キき■%、4■黄イ生ぇ膿キ■徽き、君、君■■%4
【■%黄い脳m、キ嬉々、黄%■未来、予知で】対象の攻撃を予想し、回避する。
イラスト:鴇田ケイ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
時刻は夕暮れ時。
転移した先は開けた空き地のような場所だ。
本来ならば穏やかな時間が流れているだろう状況だが、ここには招かれざる客がいる。
ノイズに塗れ奇妙な言葉を発し続ける異形の存在。
彼らは間違いなくUDC怪物だ。
怪物達の行う攻撃は格闘技や呪術、簡単な未来予知。
不気味な見た目や声に惑わされないように気を付けつつ、まずは怪物達を倒していこう。
その先に壊れかけの妖怪が待っているのだから。
雪・兼光
●SPD/アドリブとかお任せ
…これ以上、妖怪にUDCを喰わせる訳にはいかないか
基本は相手が攻撃力と状態異常力の重視の状態だった場合は、範囲攻撃、2回攻撃を利用しつつユーベルコードでUDCを蹴散らす
防御力重視の状態になって近距離に来たら、零距離射撃と部位破壊のユーベルコードを利用して関節部等を狙ってさっさと倒せるか試す
邪魔だ!どきなァ!
効率悪いなら間合いを取って範囲攻撃と2回攻撃のユーベルコード
敵からの攻撃は敵を盾にする近くに無謀な敵が居たらそいつの襟とか掴んで盾にする
無理そうなら第六感と見切りで避けまくる
避けきれない場合は盾受けを使って自分のキャリーバッグで防ぐ
●
戦場に辿り着いて、すぐに雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)が気付いたのはひりついた気配だ。
UDC怪物の気配も、妖怪の気配も知っている。けれどそれが混ざりあったこの戦場は、酷い緊張感を帯びている。
「……これ以上、妖怪にUDCを喰わせる訳にはいかないか」
悲劇が起こりそうだというのなら、止めに行かなくては。
決意と共に兼光が顔を上げれば、立ち塞がるように現れたのはノイズ塗れの怪物達だ。
『あ、アァ、紅紅紅%紅紅■■――!』
怪物達は得体の知れない声を発しながら、兼光目掛けて走り出す。
その異様な様子に一瞬気圧されそうになったけれど、落ち着いて見れば相手の行動は簡単に理解出来た。
敵の四肢には禍々しい力が宿り、相手の構えは素人が武術を真似したもの。今までの戦いで得た経験を活かせば、難しい相手ではないはずだ。
「自己強化してからの殴る蹴る、がアンタ達の得意戦法なんだろ? それじゃあ……」
兼光は愛用のブラスターを構え、迫る敵を更にしっかりと見定める。
相手の姿勢は防御を優先しているようには見えない。純粋に殴って殺しにくるつもりなら、此方も相応の姿勢で挑むだけ!
「邪魔だ! どきなァ!」
グリップをしっかり握り、埒外の力を籠めて引き金を引いて。
目にも留まらない速さで放たれた熱光線は、迫る敵を次々に撃ち抜いていく。
扇状に攻撃を放ったから、これである程度の数は減らせたはず。
それでも全ての個体を倒せたとは思っていない、兼光はすぐにキャリーバックを構え体勢を整えた。
予想通り。生き残った個体は我武者羅に兼光へと迫り、滅茶苦茶な体勢から攻撃を繰り出して来たようだ。
「ッと……そんな攻撃、効かねェんだよ!」
キャリーバッグを盾にして、なるべく衝撃を受け流すように兼光は立ち回る。
魔法と科学力によって強化されたキャリーバッグは見た目よりも頑丈だ。全力で拳や蹴りを放った怪物達は、予想外の反動に姿勢を崩している様子。
だから兼光は手近な相手の身体を掴み、そのまま他の敵の方へと投げ飛ばす。
聞こえてきたのは怪物達のぶつかる音と、やはり得体の知れない悲鳴。
UDC怪物らしい光景と言えばそうなのだけれど、この状況が生まれたきっかけを思い兼光は少しだけ目を伏せる。
早く、止めなければ。
「だからアンタ達に時間はかけてられないな」
再び埒外の力を籠めて、ブラスターの引き金を引いて。
流星のように溢れた光は、見事に怪物達を焼き払っていった。
成功
🔵🔵🔴
御園・桜花
「惹かれただけ、ではあるのでしょうけれど。貴方達が、此の地に留まるのは見過ごせません。形崩れた貴方達には1度では難しいでしょうけれど。いつか此の地でも、転生を願われますよう」
UC「侵食・幻朧桜」使用
自分と敵の間に幻朧桜の林を召喚し転生の概念侵食を行う
「回避しようとしても無駄です。予知しようとすればするほど、目にする前から貴方達は幻朧桜を見てしまう。後はただ、壊れた貴方達の意識すら転生の概念に飲み込まれて行くだけです」
幻朧桜の林の中に佇んで、敵の自滅を見守る
敵が林の中まで到達し攻撃を加えようとすれば第六感や見切りで躱し高速・多重詠唱で召喚した雷の精霊に属性攻撃させる
戦闘後は鎮魂歌歌い送る
●
戦場となる空き地には怪物の気配と妖気以外に、特に人の気配はない。
それでも遠くから聞こえる車の音や、周囲に置かれた看板等。ここが人々の暮らす場所であることは十分に理解出来る。
だからこそ御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は溢れる怪物達を見据え、言葉を紡ぐ。
「惹かれただけ、ではあるのでしょうけれど。貴方達が、此の地に留まるのは見過ごせません」
ノイズ塗れの怪物達は、ここにいるべき存在ではない。
けれど人ならざる者だからこそ、桜花は真っ直ぐに手を伸ばす。
「形崩れた貴方達には1度では難しいでしょうけれど。いつか此の地でも、転生を願われますよう」
祈りを籠めて一歩前に踏み出せば、桜花を中心に世界が広がる。
殺風景だった空き地はあっという間に暖かな気配に包まれ、姿を現した幻朧桜がふわりと花弁を舞い踊らせる。
怪物達も突如現れた光景には驚いているようだが、彼らから戦意や殺意は衰えていないようだ。
「貴方達が戦うというのなら、そのように。けれど幻朧桜は、貴方達に世界の真実を見せますから」
雷の精霊を側へと呼び寄せつつも、桜花の様子は穏やかなものだ。
怪物達が奇妙な声を上げながら拳を構えても、決して恐れたりはしない。
祈りが届くと、信じているから。
「●キき■%、4■黄イ生ぇ――」
怪物達は早速拳を振りかざし、幻朧桜の林の中を駆け抜ける。
彼らからすれば幻朧桜は脅威に見えているのだろう。花弁を避けつつ少しずつ肉薄しているようだが――。
「回避しようとしても無駄です。貴方達が行っているのは、未来予知でしょう?」
桜花の言葉通り、怪物達は迫る花弁を予知しつつ進んでいる。だから花弁そのものの回避はかなりしっかり行えているようだ。
けれど、だからこそ。彼らの視線は、終始この桜並木へと注がれているはず。
「予知しようとすればするほど、目にする前から貴方達は幻朧桜を見てしまう。後はただ、壊れた貴方達の意識すら転生の概念に飲み込まれて行くだけです」
どうしても接近してきたものは精霊に牽制してもらいつつも、桜花が期待するのは桜による導きだ。
実際、彼女の想定通り――殆どの怪物は桜の花弁に包まれるように足を止め、少しずつ景色の中に溶け込んでいる。
「今、貴方の魂が、叫んでいるでしょう? 貴方も転生出来るのだと……だから、大丈夫」
背中を押すように桜花が捧げるのは、柔らかな鎮魂歌。
その温かい旋律に包まれて、怪物達は還るべき場所へと還っていく。
いつかまた、彼らが望む土地へと巡ることが出来るように、祈りを籠めて、桜花はゆっくりと瞳を閉じた。
成功
🔵🔵🔴
佐々木・ひなた
人との約束を守り続けてる妖怪か。
よっぽど、その人と友達になれたのが
嬉しかったんだね。夏祭り、
私も一緒に楽しめたらいいな。
私の地元にも、昔は沢山妖怪が住んでたんだって。
UDCの集団を発見…!
まずはこいつらを、これから撃破するよ。
武器を抜いて《切り込み》、素早く
1体ずつ斬り倒し、《武器受け》で反撃をしのぎながら路地の狭い場所まで後退して、少しずつ集まってくる敵を
《おびき寄せ》るよ。うまく敵が密集する状況を作ったら、【ブレイブソード】で《範囲攻撃》、まとめて光の斬撃でなぎ払うよ。
●
佐々木・ひなた(人間の神器遣い・f34720)にとって、妖怪というのは身近な存在だ。
子供の頃から「地元にも昔は沢山妖怪が住んでた」なんて聞いていたし、猟兵になったきっかけだって妖怪との出会いだった。
だからこそ此度の依頼にも、ひなたは思いを籠めて足を運ぶ。
「人との約束を守り続けてる妖怪か。よっぽど、その人と友達になれたのが嬉しかったんだね」
それだけ人との縁を大切にしている子なら、きっと優しい子なのだろう。
全部が解決したら、一緒に夏祭りを楽しみたいな。そのためにも、まずは彼女を救わなければ。
意を決して足を踏み出せば、出迎えたのはノイズ塗れの怪物の集団だ。
「UDCの集団を発見……! 行くよ、陽炎。力を貸して」
ひなたは神器『陽炎』の柄を握り、敵の姿を見据える。
UDC組織の外部協力者としてもあのような怪物は放っておけない。だからまずは、あいつらを撃破しなくては。
ひなたが前へと駆け出すと同時に、怪物達の叫び声をあげつつ此方へ迫る。
「あ■アオ、蒼、青い■あァあ――!」
ノイズを帯びた雄叫びを聞けば身が竦みそうになるし、精神ががりがりと削られる感覚もある。
でも、ここで怖がってなどいられるものか。
「はぁぁッ!」
ひなたは勢いよく敵陣の中へと突っ込んで、素早く陽炎を振るう。
的確に放たれた斬撃は手近な敵を一気に斬り伏せ、骸の海へと叩き込んだ。けれど油断は禁物、敵はまだまだ多いのだ。
「囲まれる訳にはいかないね。それじゃあ……」
周囲の様子を見定めて、進行方向を決めたなら――ひなたは敢えて、狭い路地へと後退していく。
その背を追うように、怪物達の走る音がどたどたと鳴り響いていた。
怪物達の行動はシンプルだ。彼らはただ生者を恨み、害そうとしてくる。
だから彼らにとっては、逃げるひなたも格好の獲物にしか見えていなかっただろう。路地の行き止まりまで辿り着いたのを確認し、ひなたは陽炎を鞘へと収めた。
「私の武器は陽炎だけじゃないんだ。キミ達みたいに誰かを傷付ける怪物には――こういう武器もあるんだよ!」
じりじり迫る怪物達へ向け、ひなたが翳したのは――煌めく勇者の剣!
そのまま勇気を籠めて剣を振りかぶれば、光の斬撃は怪物達を一気に薙ぎ払う。
ひなたは怪物達が思ったような、逃げ惑う獲物ではない。むしろその逆、弱きを助け強きを挫く勇ましい猟兵なのだ。
「キミ達には誰も……待ってる妖怪だって傷つけさせないよ」
剣も鞘に収めつつ、ひなたは来た道を駆け抜ける。
助けを待っている人が、この先にいるはずだから。
成功
🔵🔵🔴
エイベル・シュテンレー
えー?! それってサービス残業みたいなもんじゃないすか!
……いや、ちゃんと約束してるしちょっと違うかもしれないっすけど! でも妖怪さん当人が壊れちゃうなんてダメっすよ! 止めるっす!
わあ、ごちゃごちゃしててよく分からない敵さんっすね! 嫌な感じもするっす! 攻撃防御状態異常を上げてくる……なら、あっしは【スピードスター★ライトシャワー】を使うっす!
スピードの方は敵さんも上げられないっすよね? なら得意の【空中機動】も活かして攻撃を避けまくりながらビームっす!
素早くキラキラーって感じに敵さんを片付けていって、妖怪さんを助けに行くっすよ!
●
この地に残った妖怪さんは、いつでもカクリヨへ向かって良かったはずだ。
けれど彼女はずっとずーっとこの土地に残って、怪物を喰らい続けて。
エイベル・シュテンレー(きらきら光る星蝙蝠・f37371)にとって、そんな彼女の行動は――。
「それってサービス残業みたいなもんじゃないすか!」
こういう風に捉えられた。悪しきメガコーポで真っ黒な労働を強いられ続けたエイベルにとっては、決して笑い事ではないのだけれど。
「……いや、ちゃんと約束してるしちょっと違うかもしれないっすけど! でも妖怪さん当人が壊れちゃうなんてダメっすよ、止めるっす!」
本人が望んで行っているとしても、報われない行動で壊れかけた相手ならば見過ごせない。
だからエイベルは覚悟を決めて、戦場へと躍り出る。
そんな彼を出迎えるのは、ノイズに塗れたスーツ姿の男性達だ。その様子はサイバーザナドゥにも居そうではあるのだけど、纏う気配は全くの別物だろう。
「わあ、ごちゃごちゃしててよく分からない敵さんっすね! 嫌な感じもするっす、でも負けないっす!」
背中に流れるゾクリとした気配を押し殺すように、エイベルは敢えて明るい声で笑い飛ばす。
愛用の詠唱ハンググライダーでふわりと空を飛んで、夕焼け空の下から見下ろせば怪物だってちっぽけだ。
相手の攻撃は自己強化からの単純な殴る蹴る。それなら相手よりも優れたもので圧倒してやればいい。
エイベルは意気揚々と空を飛び回りつつ、自身の側に煌めく星――シューティングスター・ディスクを呼び寄せた。
「ふふん、あっしのスピードに着いてこれるっすか?」
ひゅんひゅんと空を飛び回りつつ、エイベルが放つのはディスクによる星の光線。
煌めく光は不気味な怪物達を撃ち抜き、次々と骸の海へと送り返していく。
時折敢えて地上まで降りて、敵を引きつけることも忘れない。
「■ア垢か、ぁ■赤い赤い赤い――!」
「っとと、近くで見るとホラームービーみたいっすね……でも!」
怖いものも悲しいものも、きらきらの星に飲み込ませてしまえばいい。
エイベルは引きつけた敵の側を一瞬で離脱し、代わりに星の光線を敵目掛けて送り出す。
再び煌めく星は怪物を飲み込んで、綺麗な光だけがその場に残って。
幾つもの星の軌跡を残しつつ、エイベルが目指すのはより強い気配――きっと妖怪のいる方角だ。
「気合入れて妖怪さんを助けに行くっすよ! もっときらきらーっす!」
少し早い夕焼け空の中に瞬く星は、きっとすぐに助けを待つ人の元へと届くだろう。
成功
🔵🔵🔴
御簾森・藍夜
ひとりは寂しい。分かるとも。
……だからこそ、雑音に等しい有象無象にはお帰り願おう
お前達が煩くては何も聞こえなくなってしまう
確実に仕留めるためにUC雨垂で各個撃破を
近付かれたなら鴉を広げガードと突き、至近距離に間で入られた場合は黒鷹で打ち据え怯まず戦う
怪物は、いらないんだ
造られていいはずがない
寂しさで目を曇らせる子供がいるなら、声を掛けてやれば良い――……俺が、あの時祖父にしてもらったように
声を届かせたい
届けねばならない
だからこそ、UDCの雑音共は蹴散らす
手早く好きなくを心掛けつつ囲まれないように気をつける
UDCの怪物達の攻撃にはスーツの【呪詛耐性】【狂気耐性】【見切り】等で対応
●
戦場に漂う妖気は苛烈そのもので、発生源となっている妖怪はそれほど強い思いを抱えているのだろう。
そこから御簾森・藍夜(雨の濫觴・f35359)が感じ取ったのは、小さく、けれど確かな声。
それはきっと、小さな子供の泣きじゃくる声に似ている。
「ひとりは寂しい。分かるとも」
少し目を伏せ、言葉を零し。早く彼女の元へ向かいたいけれど、その道行きは無数のノイズに覆われている。
「……だからこそ、雑音に等しい有象無象にはお帰り願おう。お前達が煩くては何も聞こえなくなってしまう」
黒装の狙撃銃を構え、藍夜は静かに戦場を進む。
自身の気配に応じるように群がるノイズ達にも、決して遅れを取らないように。
そこから先の進行は、夕暮れ時に相応しい淡々としたものだった。
響くのは怪物が叫ぶノイズ塗れの叫びくらいで、けれどそれらは乾いた銃声があっさりと打ち砕いていく。
藍夜はひたすら迫る敵へと愛銃『梟葬』を向け、不可視の弾丸にて怪物達を黙らせていた。
相手の数は多い。時折接近してくる個体には、慌てず黒い傘で道行きを阻み警棒で打ち払う。
多少の暴力や雑音は、纏ったスーツが受け止めてくれる。逸る気持ちを抑えつつ、一歩一歩を着実に進んでいこう。
怯んだ相手にはやはり銃弾を。少しでも早く、雑音を周囲から消し去りたいから。
「怪物は、いらないんだ。造られていいはずがない」
藍夜の振るう武器達は、夕暮れの時の世界の中で淡々と翼を広げ、悪しき者をお繰り返していた。
進む藍夜の表情は静かだけれど、黒い瞳には迷わない決意の色が滲んでいる。
思い出すのは自分の祖父のこと。寂しさを抱える自分に伸ばされた、暖かな声と手のこと。
俺も、祖父と同じように。寂しさで目を曇らせる子供がいるなら、声を届かせたい――届けねばならない。
「だからこそ、ここに怪物は要らない。雑音も、要らない」
誰かの寂しさを掻き消す存在がいるならば、それを蹴散らすのも自分の仕事だ。
この無数の雑音の雨から、溢れる苦しさと寂しさから。守ってやらなければいけない存在が、すぐ側に待っているのだから。
「……早く行ってやらないといけないんだ。俺も、彼女の気持ちはよく知っているから」
だから、静かに引き金を引いて。
迫る怪物へと武器を振るい、ひらすら道を切り拓いて。
藍夜の戦いは効率的でありつつも、どこか我武者羅なようでもあった。
その内に秘められた強い強い決意のように、黒鴉は夕暮れの中を突き進むのだ。
成功
🔵🔵🔴
城野・いばら
この世界はまだ慣れてなくて
見かけるもの新鮮だけど
アナタ達は一等、不思議さんね
お話し…良くわからないけど
食べられて仕舞う前に、在るべき場所へお帰り
黒薔薇のくちづけで送りましょう
予知の力で花弁の攻撃は避けられても
香りは如何かしら?
トロイメライで縒り起こした魔法の風で属性攻撃
UDCさん達を包むように香りを拡げ、眠り速度を上げるの
夢路もお願い
予知しないようUDCさんの視線をお誘いし乍ら飛んでね
うとうと、動きが鈍くなった所を
不思議な薔薇の挿し木を伸ばして捕縛
生命力吸収で追加ダメージを狙うわ
キラキラな約束
大切にしたいキモチはわかるの
でも、このままだと
きっとだれも笑顔になれないから
いばらは妖怪さんを止めたい
●
踏みしめた土や雑草の感触や、あちらこちらに見える人工物の形跡。
それらは城野・いばら(白夜の揺籃・f20406)にとって新鮮なものだけれど、胸に抱く気持ちはいつもと同じ。
ゆらゆら揺れるノイズ混じりの怪物達の姿を見遣り、いばらは小さく首を傾げる。
「アナタ達は一等、不思議さんね」
投げかけた言葉に返ってきたのは、やはり雑音塗れの譫言で。
残念、彼らとお話するのは難しそうだ。けれどやってやるべきことは、十分に分かってる。
「食べられて仕舞う前に、在るべき場所へお帰り」
時刻は夕暮れ時。少し早い眠りも、きっと彼らには相応しい。
いばらは薔薇の挿し木を取り出すと、土の柔らかいところへ突き刺す。
そこから広がるのは――艶やかな黒薔薇の花弁と香りだ。
「4■黄イ生ぇ膿キ……」
怪物達も目の前で繰り広げられる光景には驚いているのか、顔らしき部分を広がる花々へ向け暫し様子を窺っているようだ。
ならば先に動いてしまおう。次にいばらが取り出したのは、夕日を受けてきらり輝く魔法の紡錘だ。
「夢路もお願い。一緒に黒薔薇を広げましょう」
美しく舞う夢先案内蝶と共に、ふわりと風を起こせば戦場いっぱいに薔薇は広がる。
しかし――怪物達は奇妙な動きで花弁を回避し、少しずつ此方へ向かっている様子。
彼らはただ佇んでいたのではなく、何かしらの能力で薔薇の軌道を予測していたのだろう。
けれどいばらの顔に焦りの色は滲まない。彼女の顔にあるのは、穏やかな笑みだ。
「未来が見えればお花の様子は分かるものね。けれど……香りは如何かしら?」
ふわふわ、そよそよ。夢路に敵の視線を誘導してもらいつつ、いばらは更に優しい風を紡いでいく。
それに乗って甘い香りが広がっていけば、怪物達の動きは次第にゆっくりとしたものへ変わり――最後には地面へと倒れ伏した。
眠りの入り口まで導けたのなら、あと少し。いばらは挿し木を拾い上げ、そこに魔法の力を籠める。
「おやすみのキスを、アナタに」
いばらを中心に展開された黒薔薇の蔓は、次々に眠る怪物達を包み込む。
そしてゆっくりと彼らの生命を吸い取れば、眠りは完全なものへと変わるだろう。
すっかり静かになった戦場をちらりと見遣り、そのままいばらは進み出す。
目指すのは、強い強い妖気が感じられる方向だ。
「……キラキラな約束、大切にしたいキモチはわかるの」
いばらも、沢山のアリスとの出会いと、交わしたことを覚えている。
妖怪さんも、きっとあの時の自分と同じように嬉しさや暖かさを覚えたはずだ。
けれど今の状態では、きっとだれも笑顔になれない。そんな終わりは、迎えさせたくない。
「いばらは妖怪さんを止めたい。だから、行きましょう」
決意を胸に、夢先案内蝶と共に。いばらは足早に目的地へと進むのだった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『ドドメキョンシー』
|
POW : いただきます!
自身の【身体や服の袖の口】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[身体や服の袖の口]から何度でも発動できる。
SPD : 盗んじゃうもんね!
【振り回した袖】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【服の袖】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
WIZ : ゆらゆらぴょんぴょん
【ゆらゆら揺れつつ楽しげに跳ね回る様子】を披露した指定の全対象に【「この子に自分の持ち物を渡したい」という】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:pico
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠雨谷・境」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
猟兵達は無事に怪物を退け、妖気を追いつつ奥へと進む。
そこに待ち受けていたのは――うめき声を上げつつ手元を見つめる、小さな妖怪の少女だ。
「う、うゥ……やくそく、守らないと、なのに……」
妖怪ドドメキョンシーはぼろぼろになったビー玉を握りしめつつ、同じように濁った瞳で周囲を見遣る。
人の気配がしたけれど、この人達は違う。あの人じゃない。
あの人じゃないなら、まだ待たないと。見守るって、約束したんだから。
「あ、ああア、約束、ヤクソクしてるから……邪魔、しないで!!」
叫びと共に放たれるのは、圧倒的な妖気だ。
ドドメキョンシーは怪物を喰らい続けた影響で、凄まじい量の妖気を得ている。
同時に理性も失いかけているため、ただ戦うだけなら相当厄介な相手になるだろう。
けれど――彼女も本当は分かっている。
約束した相手が帰ってこないことも。自分が帰るべき場所も。
だからこそ、きっと届く言葉があるはずだ。
悲しいお話はここでおしまい。
約束が、終わる時が来た。
エイベル・シュテンレー
退勤時間のお知らせに来ましたーっす! 俺が出せるのホタルじゃなくて星っすけど!
おおっと、なんか凄い怖い感じがするっす! これがヨウキ?ってやつっすか! ……どうせなら、陽気な気持ちになってくれたらいいのに……そうだ!
【ショウタイム★アワーイーター】! オレンジシルクハットからキラキラの星さんを出したり、【空中機動】を活かしてハングライダーでくるくる飛び回って【パフォーマンス】を見せるっす! あ、妖怪さんの動きを遅くして、袖を避けるためって意味もあるっすよ!
ちょっとかすってキラキラな星さんが盗まれちゃっても平気っす! むしろ貰ってください! 綺麗っしょ?
……妖怪さんが壊れちゃうのはきっと悲しいことっす。辛い事っす。少なくとも俺は……壊れて行った人達を見てそう感じたっす(自分が癒した/壊した人達を思い出してちょっとしょぼんな顔になりながら)
……ねえ、アンタが待ってる人も、今のアンタを見たらそう感じるんじゃないかなって、思うんすけど……妖怪さんは、どう思うっすか?
●
夕暮れ時だった空は、次第に夜の闇に沈んでいく。
つまり良い子も悪い子も、子供も大人も家へと帰る時間だ。
だからエイベル・シュテンレーは、努めて明るく妖怪の前に姿を現す。
「退勤時間のお知らせに来ましたーっす! 俺が出せるのホタルじゃなくて星っすけど!」
「っ……まだ、帰らないよ……!」
ぶわり。全身が総毛立つのは、妖怪が声と共に凄まじい妖気を放ったから。
流石に焦りの表情を浮かべつつ、エイベルはオレンジシルクハットを握りしめる。
「おおっと、なんか凄い怖い感じがするっす! これがヨウキ? ってやつっすか!」
同じヨウキでも、どうせなら陽気な気持ちになってくれたらいいのに。
怒りと焦りを滲ませる妖怪の少女に、自分なら何をしてやれるだろうか。
一瞬だけ考え込んで、出した結論は――。
「ほらほら、カリカリしないで楽しいことでも見てましょ?」
精一杯楽しく愉快に。エイベルは笑顔と共に――無数の星を周囲へと振りまいていく。
オレンジシルクハットからはきらきらの星が生まれ、薄暗がりの世界を眩く照らす。
その合間をハングライダーで飛び回りつつ、エイベルが手を振るのは妖怪の方だ。
「見て見て! きらきらのぐるぐるっす!」
予想外の展開に、妖怪はどちらかといえば驚いている様子。
けれど彼女も散らばる星には興味を示しているのか、幾つか手にとって袖へとしまい込んでいいるようだ。
「気に入ってくれたっすか?」
「きらきらは好き、だけど……でもあなた、約束の邪魔をしに来たんでしょ?」
パフォーマンスは気に入ってもらえたようだが、妖怪の殺気は未だ健在。
時折接近してくるエイベルにも、容赦なく袖をぶつけようとしているようだ。
「っとと、暴れちゃ駄目っすよ!」
「だって約束の邪魔するんだもん! 私はもっと怪物を食べて、この世界に残って……」
悔しそうに妖怪が言葉を紡ぐなら、あえて彼女の方に星を降らせてそれを遮る。
そのまま驚く妖怪の元に、ぐぐっとエイベルは近寄った。
「……妖怪さんが怪物を食べれば、妖怪さんが怪物に近くなっちゃうっす。壊れちゃうっす」
「それでも……」
「妖怪さんが壊れちゃうのはきっと悲しいことっす。辛い事っす。少なくとも俺は……壊れて行った人達を見てそう感じたっす」
エイベルの言葉を受けて、妖怪がはっと顔を上げる。
目と目が合えば、その一瞬だけは張り詰めた空気が緩んだ気がした。
それはきっと、妖怪がエイベルの瞳の奥の悲しさを見つけたからだろう。
サイバーザナドゥでは、メガコーポによって多くの人が壊されてきた。
自分もその一端を担わされていたから。壊れた人がどうなるか、どうなったかはよく知っていたから。
だからこの妖怪にも、同じような目に遭って欲しくない。そう思うから、エイベルは更に言葉を紡ぐ。
「……ねえ、アンタが待ってる人も、今のアンタを見たらそう感じるんじゃないかなって、思うんすけど……」
「……あの人が、どう思うか?」
「約束は大事っす。でもそれと同じくらい大切なものがあって……妖怪さんは、どう思うっすか?」
その言葉に、妖怪は静かに俯く。
ぱっつんの前髪から覗く瞳は、あどけない少女のものに見えて。
そこに宿っていた狂気や殺意は、少しずつ薄れている。
その様子を見遣り、エイベルは小さく安堵の息を吐いた。
壊す側から、治す側へ。そうなっている自分にも、少し安心できたから。
大成功
🔵🔵🔵
雪・兼光
●アドリブとかお任せ
ちィッ!こっちの妖怪も相当UDCを食らっているな
…理性はギリギリか
アンタ、悪いが誰かとの約束は破らせてもらうぜ
あの妖怪の持っているビー玉…
破壊しない方がいいな
大事なもの壊されたら嫌だもんな
(髪飾りやメダル見つつ)
ならばビー玉を持っている
部位以外に部位破壊、誘導弾、2回攻撃を利用したブラスターでの攻撃でダメージを与える
ブラスターを奪われたらロングボウで他の猟兵を掩護射撃しながら零距離へ近づいてブラスターと同じ技能で攻撃
ロングボウを奪われたら、最終手段のユーベルコードで相手の攻撃を攻撃する頼むから、ロングボウ奪うなよ
相手からの攻撃は見切りと第六感で避ける
袖への攻撃は絶対しない
●
少しずつ理性を取り戻し始めた妖怪だが、彼女が纏う妖気はまだまだ強烈だ。
「うぅ、やっぱり……まだ、駄目。約束、守らなきゃ……」
呻き声を上げる妖怪の姿を見遣り、雪・兼光の顔に滲むのは険しい色。思わず舌打ちをしつつ、兼光はブラスターを取り出し臨戦態勢へと入る。
これだけ強い妖気を放っているのだ。あの妖怪はどのくらいのUDCを喰らって来たのだろう。
けれどまだ。まだ間に合う。妖怪の瞳に微かに宿った理性の光が、残された希望だ。
「アンタ、悪いが誰かとの約束は破らせてもらうぜ」
「っ……邪魔しないで!」
怒りの形相で妖怪が振り回すのは大きな袖だ。
その内の左側で、何かが夕日を反射して煌めく。そこにあるのは――くすんだ小さなビー玉だ。
(あのビー玉……破壊しない方がいいな。だって大事なもの壊されたら嫌だもんな)
兼光もポケットに手を入れて、中に入っていたものを取り出す。
掌に乗せたのはパンダを模した可愛らしい髪飾り。それときらきら輝くクリスタルのメダル。
俺もあの子と同じ。誰かから貰った大切なものが、今の自分を支えてくれている。
その繋がりまで断つ必要はない。断ち切るべきは――悲しみを生む執着だけだ。
大切なものをポケットへと再び仕舞い、兼光は静かにブラスターを構える。
「アンタの大切なものは壊さない。けど……少しだけ、戦わせてもらう」
兼光が引き金を引くと同時に、妖怪も前へと駆け出す。さあ、戦いの始まりだ。
「その武器大切なんだよね? それをちょうだい!」
妖怪はブラスターを奪うべく、兼光との距離を詰めようとしているようだ。
そのくらいは想定内。兼光はなるべく冷静になるよう意識しつつ、次々に光線を放っていく。
「っと、素早いな……!」
なるべく相手の動きについていけるよう、先読みしつつ次々と攻撃を。
妖怪の動きは素早いが、誘導弾で動きを操ればある程度はコントロール出来る。
そしてビー玉が仕舞われた袖を狙わないよう少しずつダメージを与えていくが――。
「それ、ちょうだい!」
妖怪が大きく踏み込むと同時に、思いきり袖を振るう。
その衝撃がブラスターに触れれば、あっという間に奪われてしまったようだ。
これで決着はついただろうか。妖怪はにやりと笑みを浮かべるが――笑っているのは兼光も同じ。
「……武器は一つだけじゃないんだぜ」
驚く妖怪の瞳に映るのは、兼光が咄嗟に構えたロングボウの弓の輝き。
そして鋭い音と共に、放たれた矢は妖怪の身体を吹き飛ばす!
けれど彼女に届いたのは、攻撃の痛みだけではない。同じ思いを持つ者同士、兼光の妖怪を救いたい気持ちだってしっかりと届いたはずだ。
大成功
🔵🔵🔵
佐々木・ひなた
居た。あの子が例の妖怪なんだね
私のお祖母ちゃんも、昔妖怪に会ったことがあるんだって。
私とあの子も、友達になれるかな?
この刀『陽炎』も、妖怪から譲り受けたものなんだ
君も感じる?彼の遺した気配を…。
人も町も、時と共に移ろいゆくもの。それは仕方ない…
だけど、モノに込められた想いというのは
簡単には消えないと思うんだ。
ねえ、そのビー玉を私にも見せて?
…うん、古くなってるけど綺麗な色
きっと磨けば、またピカピカになるよ
彼女が理性を取り戻すように頑張れるようになったら
私は彼女に憑いた骸魂の気配を断ち切るよ。
陽炎を抜いて、《属性攻撃》《浄化》《破魔》の力を
込めた【炎刀一閃】。
どこからか祭り囃子が聞こえる――
●
妖怪を止めるための戦いはまだまだ続く。
佐々木・ひなたも戦場へと訪れると同時に、強烈な妖気の方へと視線を向け――救うべき相手をじっと見つめる。
「居た。あの子が例の妖怪なんだね」
緊迫した戦いの気配を感じつつ、ひなたが思い出すのは祖母の話。
お祖母ちゃんも、昔妖怪に会ったことがあるって言っていた。彼らは本当にこの世界にいて、人と仲良くしようとしていて。
だから私とあの子も、友達になれるかな?
そのためにも、まずは妖怪の正気を取り戻さなければ。
「陽炎、力を貸して」
愛刀・陽炎を握りしめ、ひなたは妖怪の元へと駆け出す。
けれど身体に纏わせるのは殺気ではなく、強い決意だ。
「! あなたも邪魔しに来たの……?」
「ううん、違う。話をしにきたんだ」
鋭い視線を向ける妖怪に対し、ひなたは笑顔と共に刀を掲げる。夕日を反射した刀身が、きらりと鮮やかに輝いた。
「この刀『陽炎』も、妖怪から譲り受けたものなんだ。君も感じる? 彼の遺した気配を……」
「……本当だ。暖かい気配で……」
予想外の出来事に、妖怪は少し目を丸める。その様子は子供のようで、そこにある理性の色にひなたはこっそりと安堵していた。
「人も町も、時と共に移ろいゆくもの。それは仕方ない……。だけど、モノに込められた想いというのは簡単には消えないと思うんだ。君も、きっと分かると思う」
ひなたの紡ぐ言葉に合わせ、妖怪は自身の左袖をじっと覗き込む。
そこに輝くのは――くすんだビー玉だ。
「ねえ、私にも見せて?」
「……いいよ」
妖怪が恐る恐るビー玉を差し出せば、ひなたが返すのは優しい笑みだ。
「……うん、古くなってるけど綺麗な色。きっと磨けば、またピカピカになるよ」
「そうだね……そうだったらいいな」
小さく微笑む妖怪の姿に、ひなたは再び安堵の息を零す。
大丈夫。この子はまだ元に戻れる。だから今は――この子に纏わり付く悪いものだけを断ち切ろう。
「妖怪さん。君に憑いた骸魂の気配だけを断ち切らせて。大丈夫、必ず助けるから」
決意を浄化の力に変えて、ひなたは陽炎をしっかりと構える。それに対し、妖怪は逃げたりしなかった。
君が頑張るなら、私も。ひなたが勢いよく陽炎を振りかぶれば、溢れる浄化の炎が妖怪を包み込む。
遠く、遠く。祭り囃子が聞こえる。
その音に包み込まれながら、浄化の炎は骸魂の力を弱め――その中で笑い合うのは、きっと友達になれる女の子二人。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
UC「古木の宿」
飴細工の花とびぃどろのポッペン取り出しそっと差出す
「両方貴女に差し上げます。キラキラしたものがお好きでしょう?お花の飴を舐めながら、少し話を聞いていただけませんか」
「始まりがあれば終わりがあります。貴女の持っている其のビー玉で始まったお約束。新しい約束を結んで、其のお約束を終わりにしませんか」
「貴女とお約束した人は、残念ながらお亡くなりになりました。此の儘独りで此処を見守り続けたら、貴女もお亡くなりになってしまいます。そんな約束の終わらせ方は哀しいでしょう?貴女を独りにしない約束を、貴女の友達が沢山居る場所で暮らす約束を、私達と新しく結び直しませんか?」
更に花飴とトンボ玉差出す
●
妖怪が纏う狂気は少しずつ薄れてきている。その影響か、彼女が元々宿していた性質――欲張りな妖怪としての面も出てきているようだ。
「皆から武器とかを奪っちゃえば邪魔されないかな……それなら!」
妖怪はぴょんぴょんと跳ね回り、猟兵達を敢えて誘う。
それは御園・桜花にとっても丁度いい機会であった。相手が誘ってくれるのなら、それに乗るまで。
「年経る古木は人を招くと言いますもの。妖怪さん、それならこちらにどうぞ」
桜花は妖怪の手を取って、自身の方へと引き寄せる。
予想外の出来事に妖怪はぱちくりと瞬きをして――次の瞬間彼女が目にしたのは、穏やかなコテージの景色だ。
気付けば桜花と妖怪は、並んで椅子に腰掛けていた。
まだ驚いている妖怪へ向けて、桜花はそっと掌を差し出す。そこに煌めいていたのは、飴細工の花とびぃどろのポッペンだ。
「わぁ、なんだか懐かしい……」
「両方貴女に差し上げます。キラキラしたものがお好きでしょう? お花の飴を舐めながら、少し話を聞いていただけませんか」
「……じゃあこれは貰うね。ありがとう」
きらきらした美味しいものを差し出され、妖怪は少しだけ微笑む。
桜花の行動はより強く妖怪の本来の気質を呼び起こし、彼女を落ち着かせている。話をするなら今がチャンスだ。
妖怪は貰った飴を舐めながら、袖から小さなビー玉を取り出す。抱いた懐かしさから、きっと宝物も恋しくなったのだろう。
その様子を見守りつつ、桜花は静かに言葉を紡ぐ。
「始まりがあれば終わりがあります。貴女の持っている其のビー玉で始まったお約束。新しい約束を結んで、其のお約束を終わりにしませんか」
「っ……それは駄目!」
真っ直ぐに投げた言葉に返ってくるのは、強い拒絶。
此方を鋭く睨む妖怪を、桜花は更にじっと見つめる。
思っていた通りだ。妖怪は桜花の言葉を拒絶しつつも、迷っている。
この子も本当は、どうすべきなのか分かっているはずなのだ。
「貴女とお約束した人は、残念ながらお亡くなりになりました。此の儘独りで此処を見守り続けたら、貴女もお亡くなりになってしまいます。そんな約束の終わらせ方は哀しいでしょう?」
妖怪が約束を守り続けること。そして生まれる悲劇。それはきっとこの場にいる誰もが、十分に理解している。
「貴女を独りにしない約束を、貴女の友達が沢山居る場所で暮らす約束を、私達と新しく結び直しませんか?」
桜花は花飴とトンボ玉を差し出して、そのまま妖怪の手にそれらを握らせる。
それに対して返ってくる視線は――まだ狂気も滲んでいるが、それよりも幼い子供のようで。
妖怪がしっかりと渡した品を握りしめたのを確認し、桜花はゆるりと微笑む。
「……約束、するかは分からない。けど、これはありがとう」
「ええ、構いませんよ」
桜花が渡したものは、きっとこの子に伝わっている。そしてそれは、狂気を掻き消す一歩となったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
城野・いばら
ずっと、ずっと、がんばったんだね
大切を、守るために
がんばったね
私は貴女の大切を奪うつもりはないのよ
…先ずは、お話しが出来るように
落ち着いてもらわなきゃ
【子守歌】で妖怪さんが溜め込んでしまった狂気を浄化
本当の貴女に、気付いてもらえるまで声をかけるわ
強い攻撃には、
伸ばした不思議な薔薇の挿し木で捕縛して時間稼ぎしたり
武器受けて、直撃からかばうの
子守歌をコピーされても平気
だっていばらは、貴女と争うキモチはないもの
大切を守りたいキモチ、わかるの
いばらもね、
迷子のアリス達と交わした『またね』を
叶えたいと思っているから
でも、このままだと…
貴女は、貴女ではなくなってしまう
そうしたら、本当に消えてしまうのよ
貴女が交わした約束も、
見守りたいと想った故郷の景色も
貴女の約束は叶えてあげられない
けれど、
大切な思い出を守るお手伝いはできるはず
ごきげんよう、妖怪さん
いばらは、お喋りバラのいばら
ね、貴女のお名前教えてほしいな?
●
狂気と理性、約束と現実の間に立つ妖怪を、城野・いばらはじっと見つめる。
いばらが貴女に出来ることは。少し目を伏せ考えて、思いが決まれば顔を再び彼女の方へ。
「ずっと、ずっと、がんばったんだね」
柔らかな笑顔を浮かべ、いばらは静かに言葉を紡ぐ。それに対して返ってきたのは、妖怪の揺れる瞳だ。
「大切を、守るためにがんばったね」
いばらは恐れることなく妖怪の方へ歩を進める。妖怪も逃げたりはしないようだが、残された狂気が彼女を苛んでいるようだ。
「私は貴女の大切を奪うつもりはないのよ。でも……先ずは、お話をしないとね」
自分達は傷つけ合うためにここに立っているんじゃない。それはきっとあの子も理解している。
だから狂気を、骸魂の気配だけを食い止めよう。いばらは不思議な薔薇の挿し木を握りしめ、祈る。
本当の貴女に、気付いて。祈りに応えるように挿し木が生長すれば、夕闇の中で鮮やかな薔薇の花々が広がっていく。
伸びる蔓は武器ではなく、受け止める手として。優しい薔薇の香りは、狂気を消し去る癒やしとして。
「っ……邪魔だよ!」
妖怪は忌々しげに薔薇の花を振り払い、その力を取り込もうとするが――すぐにはっとした表情を浮かべ、いばらを見つめた。
薔薇に籠められた力には、争うキモチは一切籠められていない。ただ、貴女に言葉を届けたい――いばらのそんな思いが、ユーベルコードを通しても伝わったのだろう。
その瞬間を皮切りに、妖怪から悪しき力はどんどん抜けていく。
言葉を重ねるなら今だ。いばらは再び妖怪の元へ、一歩一歩進んでいく。
「妖怪さん。いばらは猟兵だから此処に来たのもあるけれど、貴女とお話したかったのよ」
妖怪の瞳がしっかりと此方を見ているのを確認し、また一歩。
柔らかな薔薇の香りに包まれながら、いばらは更に言葉を紡ぐ。
「大切を守りたいキモチ、わかるの。いばらもね、迷子のアリス達と交わした『またね』を叶えたいと思っているから」
思い出すのは出会ってきた様々なアリス達の顔。
あの子達と笑い合って、おしゃべりしてる時はとっても幸せで。でもアリス達には帰る家があるのだから、何度も見送ることにもなった。
別れの時は出来るだけ笑顔で、『またね』って約束して。
その時の嬉しさと寂しさを、きっとこの妖怪だって知っている。それを手放すことの怖さも、知っている。
けれど――。
「でも、このままだと……貴女は、貴女ではなくなってしまう。そうしたら、本当に消えてしまうのよ」
「私が、消える……でも、約束、守らないと……」
思わず妖怪は目を伏せるが、その様子から伺えたのは強い迷いだ。
この子にとって約束を反故にすることは何よりも恐ろしいのだろう。
でもそれより辛いことを、いばらはよく知っていた。
「ううん、違うの。貴女が消えてしまったら。貴女が交わした約束も、見守りたいと想った故郷の景色も、一緒に消えてしまうの」
いばらは妖怪のすぐ傍まで辿り着くと、戸惑う彼女の手をそっと握る。
「貴女の約束は叶えてあげられない。けれど、大切な思い出を守るお手伝いはできるはず」
そうだ、一番大切なのは――妖怪は顔を上げて、はっきりとした言葉を紡いだ。
「……忘れたくない。あの人のことも、思い出も、忘れたくない。消したくない」
ああ、これでもう大丈夫。いばらは安堵の息を零し、妖怪の顔を見つめた。
目の前にいる女の子は、正真正銘カクリヨの妖怪だ。きっともう、迷うことはないだろう。
「キモチを教えてくれてありがとう。そして改めてごきげんよう、妖怪さん。いばらは、お喋りバラのいばら。ね、貴女のお名前教えてほしいな?」
「私……モモコって言うの。ありがとう、いばらさん。そして猟兵さん」
にっこり笑顔を向け合う頃には、日も殆ど沈んでいた。
けれどこの夜闇の中には、悪いお化けなんかいない。そこにいたのは猟兵達と、人間が好きな妖怪だけだ。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『祭囃子に誘われて』
|
POW : 食べ歩いて楽しむ
SPD : ゲームで楽しむ
WIZ : 運試しで楽しむ
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
日はすっかり沈み、気付けば星と月が夜空に輝く。
そんな空を一瞥してから、妖怪の少女・モモコは猟兵達へと視線を向けた。
「本当にありがとう。猟兵さんのおかけで助かったし……決心もついた。私、カクリヨに帰るよ」
正気を取り戻したモモコは約束に区切りをつけて、故郷へ帰ると決めたようだ。
しかし猟兵ではない彼女はグリモアの力に頼れない。ならば妖怪らしい方法で――宴によって道を開くことにした。
戦場から少し離れた広場にて、ぼんやり明かりを灯すのは幾つもの屋台。
モモコの望む宴は、かつての約束を交わした時のような夏祭りらしい。
暫く祭りを堪能すれば、モモコの帰り道は自然と開かれる。それまでは猟兵達も自由に遊ぶといいだろう。
戦いと夏の熱気を吹き飛ばすかき氷に、味付け濃いめの焼きそばといった食べ物の屋台。
あるいはレトロな射的や型抜き、輪投げといったゲームの屋台。
もっとシンプルな紐引きくじのような運試しで遊ぶのも楽しいだろうか。
モモコも適当なものを見て回り、時が来るまで楽しむ予定のようだ。
「私の姿は普通の人間からは見れないし、それがちょっと寂しいけど……猟兵さんが一緒だから大丈夫。それじゃあ、時間まで楽しもうね」
そう話し、モモコも屋台の方へと進んでいく。
彼女と言葉を交わすのも、またひとつの過ごし方かもしれない。
祭り囃子と笑い声が響く中、現世と幽世の境は少しずつ曖昧になっていく。
そんな不可思議な気配の中で、あとは夏祭りを楽しもう。
佐々木・ひなた
これで、モモコが骸魂になることは防げた。
あとは、あの子がカクリヨに渡れるようにしてあげないと。
せっかくだし、私もお祭りを楽しんでいこうかな。
お腹が減ったし、何か食べ物を買おうか。
屋台で、焼きそばとフランクフルトを買ってくるよ。
え、お稲荷様も食べたい?しょうがないな。はい、あーん。
こっそりと物陰に隠れて、お稲荷様に焼きそばを食べさせてあげるよ。
お稲荷様、亡くなったお祖父ちゃんに声が似てる気がする。
あ、モモコ。お祭り楽しんでる?
もしかして、君の友達と出会った日のことを思い出してるのかな。
ここから去るのが不安?
大丈夫、モモコならカクリヨでもすぐに友達ができるよ。
その証拠に、私ももう君の友達でしょ?
●
涼しい夜風を受け止めながら、佐々木・ひなたは祭りの会場へと足を運ぶ。
胸にあるのは妖怪の少女、モモコを救えたという安堵。
あの子が骸魂になることを防げて本当に良かった。あとはカクリヨへの帰り道を繋ぐだけだ。
そのためにもまずはお祭りを楽しもうか。
そう思案を巡らせているうちに、ひなたの目に飛び込むは――眩しくも優しい屋台の灯りだ。
(こういう空気、やっぱり馴染むよね)
屋台を見回しつつ、ひなたはどんどん足を進める。
お祭りの光景は日本どこでもある程度共通で、馴染みの深いもの。
輪投げや射的といった遊びも楽しそうだけれど、まず楽しむのは美味しい食べ物。
先程まで激しい戦いの中にいたのだ。身体を動かした分お腹だって空いてるし、そういう時は何か食べるのが一番だ。
ひなたは早速財布を取り出し、目についた屋台を巡っていく。
そうして購入したのは、ソースの香りが香ばしい焼きそばにあつあつのフランクフルト。
飲食用のスペースに腰掛けて、それじゃあ早速いただきます。
「……ん、この濃いめの味付けが染みる……!」
戦い疲れた身体に、味の濃い屋台の食べ物がとっても嬉しい。
どんどん食べ進めようとするひなただが――ちょいちょいと、誰から首筋を叩いた。
『なあひなた、わしも一口食べたいぞ』
「わっ、びっくりした。お稲荷様か」
叩かれた方に視線を向ければ、そこに笑顔を浮かべるのは連れ立ったお稲荷様。
おじいちゃんみたいな声で頼まれれば、なんだか断る気は起きなかった。
しょうがない。ひなたは食べ物片手に、人通りの少ない場所へと移動していく。
「はい、あーん」
『ありがとう、美味しいなぁ』
焼きそばを一口分け与えれば、お稲荷様はもっと上機嫌に。
こういうのも悪くないかな、なんて思っていると、そこに通りがかったのはモモコだ。
「あ、モモコ。お祭り楽しんでる?」
「うん。お祭り、今も昔も変わらないんだね」
邪気が抜けたモモコは少女のようにゆるりと笑う。けれどその笑顔には、どこか含みがあった。
「……ここから去るのが不安?」
「……うん。ちょっとだけ。カクリヨに戻るの久々だし、他の妖怪とも長い間顔を合わせてないから」
「大丈夫、モモコならカクリヨでもすぐに友達ができるよ」
そう言葉を紡ぎつつ、ひなたはモモコへ向けて手を差し出す。
「その証拠に、私ももう君の友達でしょ?」
「……ありがとう、猟兵さん……じゃなくてひなたちゃん。人間の友達との思い出があれば、きっとまた頑張れるよね」
ぎゅっと握り返された手は少し冷たいけど、それが今は心地いい。
人間と妖怪だって友達になれるんだから、怖いことなんてなにもない。
だから二人が交わす別れの言葉は、きっと「またね」で。
そんな二人を見守りながら、お稲荷様が小さく鳴いた。
大成功
🔵🔵🔵
雪・兼光
凄い、いつの間にこんなに屋台が…。
現実なのか?
それとも…?
一応、写真に取ってみるか
生身は騙せても機械は騙せないしな
結果がどうであれ、屋台を楽しむとしますか
……ここって日本円ツカエマス?(
いい歳になっちまった
屋台を
素(輪投げを楽しみ)
直(型抜きをしておやっさんのルールキルに頭を抱え)
に(かき氷左手に焼きそば右手に)
…楽しい!
お姉(モモコ)さん
よければ一緒に射的なんて如何かな?
そういえば、さっきは済まなかったな
皆が呼びかけていた中、考えみたら俺は戦ってばっかりだったよなぁ…
最後に紐でも引いていくか
果たして何がでるんだろうか
あ、あと、最後写真いいかい?
ちょっと試してみたくてさ
…やっぱり例外は無しか
●
「凄い、いつの間にこんなに屋台が……」
目の前に広がる縁日の光景を見遣り、雪・兼光は小さく息を吐く。
さっきまで戦場にいて、その後は夜闇の中にいて、そして今は縁日の灯火が自分を包み込んでいる。
だから兼光はスマホを取り出し、目の前の光景に向けシャッターを切る。
画面に映し出されたのは――やっぱりお祭りの様子と、行き交う人々の笑顔。
「……生身は騙せても機械は騙せないしな。どうせなら楽しんでいきますか」
さてさて、ここって日本円は使えるだろうか。
いやカクリヨも結構俗っぽかったし、万が一ここがそうだとしてもきっと大丈夫だろう。
なんてことを考えつつ、兼光はふらりと人々の輪に飛び込んでいく。
それから暫く経って。
「……いやぁ、こういうのは何年ぶりかねぇ」
そう呟く兼光の腕には、幾つものお菓子や食べ物が収められていた。
兼光も言ってしまえば結構いい歳。それでも屋台があるのだから――素直に、そして全力でエンジョイしなければ損だ。
久々にやる輪投げは意外と難しくて楽しくて。型抜きはおやっさんのルールキルがえげつなかったが、そういうのもまた楽しい。
あつあつの焼きそばとひんやりかき氷を一度に楽しめるのも、こういう祭りの醍醐味だろう。
そしてこういう時には――一緒に遊ぶ人がいればなお楽しい。
兼光はのんびり歩くモモコを見かけると、彼女へ明るく声をかける。
「やあお姉さん。よければ一緒に射的なんて如何かな?」
「楽しそう! やろうやろう!」
二人が選んだのはUDC職員が担当している射的の屋台。ここならモモコも安心して遊ぶことが出来るだろう。
早速専用の銃に弾を籠め、一発、二発――的が倒れる。
そんな兼光の活躍を眺めモモコは嬉しそうにはしゃいでいた。そんな彼女の姿を見て、兼光は静かに言葉を紡ぐ。
「……そういえば、さっきは済まなかったな。戦ってばっかで、あんまり呼びかけてやれなくて」
「ううん、兼光さんの気持ちはすごく伝わってきてたから。こちらこそごめんね、ありがとう」
戦いは大変だったけれど、全ては丸く収まった。だから今は二人共笑顔でいて。
「っと、結構良い時間だな。最後に……紐でも引いていくか」
「うん、いいよ」
二人並んで紐引きくじを引けば、出てきたのはきらきら光る玩具のブレスレットだ。
兼光のは緑色、モモコのはピンク色。こういう偶然はなんだか嬉しい。
「わっ、かわいいのが引けた……兼光さん、ありがと!」
「こちらこそ。そうだな……最後写真いいかい? ちょっと試してみたくてさ」
「ん? いいよ」
ブレスレットを付けたモモコはピースサインを浮かべ、笑顔で撮影に応じる。
兼光も穏やかな笑みを浮かべてシャッターを切れば――やっぱり機械は嘘を吐かない。
そこには確かに、小さな妖怪の友人の姿があった。
小さく安堵する兼光の手を、モモコが小さく引く。
「今度は一緒に撮ろうよ!」
「ああ、分かった。それじゃあ撮るか」
祭りが終わる時まで、思い出は積み重なっていく。兼光の胸にも、スマホの中にも。
それはきっと、間違いのない真実だ。
大成功
🔵🔵🔵
御園・桜花
「楽しい事で道が開くなら。うんと楽しまないといけませんね」
「モモコさん、食べるのもキラキラしたものはどうでしょう?」
りんご飴やキラキラした袋入りの綿菓子、かき氷を一緒に食べないか誘うんだ
かき氷は自分は抹茶かメロン味頼む
「カクリヨにも夏祭りはあるそうですから、彼方で仲良くなったお友達と回って歩いたら楽しいでしょうね。そうだ、紐引き籤もやってみませんか?うちの方だと飴引き籤もあったんですけど」
2つ頼んでモモコと1つずつ引いてみる
「薄荷笛(甘い薄荷の粉が入った笛の玩具)!モモコさんも1つどうですか」
2人分買う
スーパーボール掬いもあったら誘う
「今度はカクリヨでお会いしましょう、何時かまた」
歌って見送る
●
祭りには一般の客も遊びに来ているようで、小規模ながら賑わいはそれなりだ。
行き交う人々の笑顔を見守りつつ、御園・桜花もまたその輪の中に加わっていく。
「楽しい事で道が開くなら。うんと楽しまないといけませんね」
それなら饗す相手の元へ向かおう。桜花はぴょこぴょこ歩くモモコの元へと向かい、優しく声をかける。
「こんばんは、モモコさん。お祭り、楽しんでいらっしゃいますか?」
「うん! でも昔のお祭りより物も増えてt、ちょっと目移りしちゃってる……!」
モモコはちょっぴり混乱気味だ。せっかく楽しいお祭りなのに、慌ただしくしていては勿体ない。
それなら桜花オススメの楽しみ方を伝えてみようか。
「モモコさん、食べるのもキラキラしたものはどうでしょう?」
そう言って桜花が指差すのは甘味の屋台。
りんご飴やきらきらした袋入りの綿菓子なんかはきっと彼女好みだろう。ひんやり美味しいかき氷は、疲れだって癒やしてくれるはず。
「わぁ、素敵だね。それなら買ってこようかな」
「私もかき氷が食べたいです。一緒に行きましょう」
二人で手を繋いで、UDC職員が運営するかき氷屋台の元へ。
桜花が選んだのは抹茶味、モモコが選んだのはブルーハワイ。二人で一緒にいただきますして、鮮やかな色になった舌を笑い合ったりして。
美味しいものを満喫したら、次は楽しいものを見に行こう。
「カクリヨにも夏祭りはあるそうですから、彼方で仲良くなったお友達と回って歩いたら楽しいでしょうね」
「うん、妖怪の皆もこういうの好きだから……でもこうやって猟兵さんと遊ぶのも楽しいよ!」
「そう言っていただけると嬉しいです。そうだ、紐引き籤もやってみませんか? うちの方だと飴引き籤もあったんですけど」
今度は一緒に糸を引いて、さてさて何が出るだろうか。
「……っと、こういうものが出てくるんですね」
桜花が釣り上げたのは小さな犬のマスコットだ。モモコの方も同じシリーズの猫を釣り上げている様子。
「おそろいだね。かわいい!」
「ええ、おそろいです。それでしたら……もう少しおそろいのものを手に入れませんか?」
そう言って少し先を指差す桜花の表情はどこか弾んでいるように見えた。
「薄荷笛です! モモコさんも1つどうですか」
「面白そう! 買おう、買おう!」
二人並んで、どんどん素敵なものをお揃いに。あとはスーパーボールもいっぱい掬って、その数だけ思い出を重ねていこう。
そうすれば、別れの時が来ても寂しくない。それに別れの言葉は――。
「今度はカクリヨでお会いしましょう、何時かまた」
「うん、またね!」
送るのは、桜花が紡ぐ歌と再会の約束。
生まれた世界が違っても、種族が違っても。桜花が紡いだ縁は、決して消え去ったりしない。
大成功
🔵🔵🔵
城野・いばら
モモコ、お腹空いてない?
たこ焼き、鯛焼き、綿あめ、かき氷
両手で抱えた品見せて、
一緒に食べようってお誘いするの
貴女が好きなの何かなって考えたら
みてみて両手がいっぱいになっちゃった!
ね、モモコしってる?
陸上の鯛さんはね、甘いのよ…!
はじめて食べた時の驚きは忘れられない
美味しいも、分け合ったらもっと素敵になるのも
いばらね故郷を出て教えて貰ったの
さぁ、食べたら
遊べる屋台に行ってみよう
私ね夏のお祭りはじめて
遊び方教えてくれる?
叶えられない約束もあるけれど
大切は大事に私の中に
だから、後悔はしてないわ
貴女もそうであったら良い
モモコの道行きに
幸運が沢山咲きますように
橙色のバラを差出して
カクリヨで、また遊ぼうね
●
縁日の会場の片隅、少し薄暗い休憩スペースにて。
モモコは適当な椅子に腰掛けて、ぼんやりと空を眺めていた。
そんな彼女の元に、ぱたぱたと足音が駆け寄ってくる。
そちらに視線を向ければ――現れたのはにこにこ笑顔の城野・いばらだ。
「モモコ、お腹空いてない?」
「うん、そろそろ何か食べようかなって……わっ」
いばらの様子を見た瞬間、モモコは思わず目を丸くする。
白い腕の中には焼きそばにわたあめ、かき氷に鯛焼きと――多種多様な食べ物が収められていたのだから。
「貴女が好きなの何かなって考えたら……みてみて両手がいっぱいになっちゃった!」
「すごいすごい! どれも好きだよ、嬉しいなぁ。ありがとう!」
いっぱいの美味しいものと並ぶのは、朗らかな少女の笑み二つ。
それじゃあどれも美味しい内に、一緒にいただきます!
まずはあつあつの焼きそばに元気を貰ったら、次は可愛らしい鯛焼きさんをはんぶんこ。
いばらは鯛焼きの半身を片手に、モモコへ嬉しそうに声をかける。
「ね、モモコしってる? 陸上の鯛さんはね、甘いのよ……!」
「色んな味があるんだよね。甘くて美味しいよね!」
「ええ。はじめて食べた時のこと、ずっと忘れられないわ」
故郷を出て知った多くのことが、今のいばらを支えてくれている。
そしてそれを新しい友達と分け合えば、もっともっと素敵になる。
鯛焼きもはんぶんこはしたけれど、それでもお腹いっぱい満足な気がして。それはモモコも同じ気持ちだ。
「ふふ、わたあめのふかふかも嬉しいわ」
「かき氷で頭キーンってなるのも楽しいよね」
どんどん言葉を重ねつつ、美味しいものを分け合って。お腹も十分満たされたなら、次は――。
「モモコ。実は私ね、夏のお祭りはじめてなの。だから……遊び方教えてくれる?」
「勿論だよ! 輪投げとか金魚掬いとか……色々あるんだ!」
二人で手を繋いで、今度は遊びの屋台の方へ。
暖かな灯火の中を進みつつ、楽しい時間は過ぎていく。
いっぱいいっぱい満足する頃には、周囲の空気が少しずつ変化していた。
夜道の先に見えるのは、現世じゃない幽世の景色。そろそろ道が開くようだ。
「……そろそろ、帰らないと」
決心した表情を浮かべ、モモコが幽世を見つめる。そんな彼女を支えるように、いばらは手を差し出した。
そこに咲くのは――愛らしい橙色のバラの花だ。
「さっきしたいばらの話の続きだけれど……私にも叶えられない約束もあるけれど、大切は大事に私の中に。だから、後悔はしてないわ」
貴女もそうであったら良い。そう願いを籠めて、いばらはモモコの手の中へとバラを差し出す。
「モモコの道行きに幸運が沢山咲きますように。カクリヨで、また遊ぼうね」
「うん、ありがとう……約束ね」
モモコが笑顔でバラを受け取ったのを見遣り、いばらも優しく笑みを深める。
交わした『またね』も、大事な約束も。美しい花のように、ずっと心の中に咲くはずだ。
●
「それじゃあ猟兵さん、本当にありがとう……またね!」
憑き物が落ちたような笑顔を浮かべ、モモコはカクリヨへの道を辿っていく。
彼女の胸の中にあるのは嘗てのきらきらと、今日積み重なった沢山の言葉や思い出。
祭りはいつか終わるし、交わした約束が消え去ることもある。
けれどそこで生まれたものは、決して消えない。
その輝きは、いつまでも皆の心を照らし出してくれるだろう。
大成功
🔵🔵🔵