5
暴走メトロ異界線

#UDCアース

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#UDCアース


0




「来たれ……我がもとへ……」
 いずこともしれぬ場所で、それは呼ばわった。
 そのものの言葉は力である。呼び声に応えて、車輪は不気味に軋んだ。
 ごう――、と、高い空を風が渡ってゆく。その音に混じって聞こえてくるのは、列車の走行音だ。発車を知らせるメロディと、アナウンス。ややあって……人々の悲鳴と怒号とが聞こえると、そのものは唇に満足げな笑みを浮かべる。
「恐れを乗り越えよ。捧げられし血によりて、祝福は与えられるだろう……」


「UDCアースの予知情報をお伝えします」
 グリモア猟兵、ユージ・スペンサー(f14224)がグリモアベースに集う猟兵たちに告げた。

「ある地下鉄の列車が、突如、制御不能状態に陥り、停車予定の駅を通過します。その後、列車は速度を上げながら線路を走行していきます。列車は8両編成で、乗員・乗客合わせて約300名程度が乗車しており、大変危険な状況ですので、猟兵による対処が望まれます」
 300名を乗せたままの列車の暴走だ。脱線や衝突などが起これば大惨事となってしまうだろう。
「暴走の原因は機械的な故障や人為的なミスではありません。邪神復活を意図した、なんらかの呪術的な儀式の影響と考えられます」
 猟兵たちは暴走が始まる直前に、この列車に乗り込むことができる。
 まずはどうにかして暴走を止めるのが課せられた使命だ。車内はパニックになると予想されるので、乗客を落ち着かせたり、万一に備えて安全を確保することも必要かもしれない。また、原因が呪術的なものだとすれば、その執行者が車内に潜んでいる可能性が高い。かれらを見つけ出して無力化しなければ、事態は収束しないだろう。

「暴走を止めることに成功した場合も、引き続き、十分な警戒をお願いします。UDCによる攻撃が予想されます」
 事件の背後に邪神の存在があるならば、列車の暴走を止めたとしても、その後、どのような状況が待ち受けているかわからない。予期せぬ異変を覚悟しておいたほうがいいだろう。邪神が顕現した場合には、その存在と闘い、勝利することが任務となる。
「オブリビオンである邪神はUDCアースとその住人にとっての災厄です。犠牲が未然に防がれ、UDCが撃破されることを期待します」


墜落星
 UDCアースの冒険へご案内します。
 暴走列車の行く先には、なにが待ち受けているのでしょうか。

 第1章では、暴走事故への対処をお願いします。
 第2章では、その後の展開に応じた行動を。
 第3章では、事件の背後にいた存在と対決していただきます。

 みなさんのプレイングをお待ちしております。よろしくお願いします!
16




第1章 冒険 『暴走列車』

POW   :    力技でなんとか電車を停めようとする

SPD   :    人をかき分け運転席に行って電車を停めようとする

WIZ   :    どうにかして乗客を電車内から避難させる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

雛河・燐
うーん、制御不能なんだから運転席行ってもなーって感じだけど。
いや、運転手助けないとダメか。
制御を試すのはそのついでか。

最悪、先頭車両を切り離せばそれ以降のは止まるだろうし。
けれど問題が一つ、俺じゃそれをやるには力不足ってとこかなーあっはっは。

という訳で、まず運転席に行く。
人ごみは【逃げ足】で抜けれないかな?
いや、暴走前に着けるなら混乱前に近くまで行っちゃうか。
(暴走後)運転席のところまでいけたら【鍵開け・早業】で鍵開けて
【コミュ力】で丸め込む。
で、速度落としたいんだけど…どう?
出来なければとっとと運転手と乗客を先頭車両から後ろにやる。
暴走の原因は外部とか仕込まれたとかで【時間稼ぎ】



 停車するべき駅を、列車は通過してしまう。
 窓の向こうでは、乗り込むためプラットフォームに並んでいた客たちの、あっけにとられた顔が後方へと流れていった。
 車内に困惑が広がったが、釈明のアナウンスは流れない。車掌も混乱しているのだろう。
 いよいよこれはおかしいぞと、客たちがざわめきだした頃……、先頭車両にいた雛河・燐(f05039)はすっと席を立ち、運転席へ近づいていった。
 すでに何人かの客がガラスを叩いて運転手の注意を引こうとしていたが、「ちょっと失礼」とそこへ割り込んだ燐は、どうやったものか、事もなげに運転席のドアを開けてしまう。
「!? こ、困ります、お客様!」
 外から開くはずのないドアが開いて驚く運転手へ、
「困ってるのはそちらでしょ。速度落としたいんだけど……どう?」
 と、友達に声をかけるような気軽さで話しかけた。
「そ、それが、ブレーキが効かなくて……って、なんですか、あなた」
「いいからもう一度やってみて」
 燐のペースにのまれて、思わず応えてしまう運転手。彼がブレーキを操作すると、悲鳴のように金属がこすれる音が車外であがったが、列車の走行が止まる気配はない。
「やっぱムリかー。仕方ないな。ここからは逃げた逃げた。さあさあ」
「!?」
 予想できたことだが、機械の操作では対処できそうにない。ならば運転手も含めた一般人の安全確保が優先事項である。ここ先頭車両は事故が起これば甚大な被害を受ける箇所なのだから。
 燐は謎の丸め込み力を発揮して、なかば強引に運転手を運転席からひっぱりだしてしまう。
「全員、うしろの車両へ逃げて!」
 その呼びかけに、人々はわっと動き出す。それを横目に燐は、
「……さて。最悪、この車両を切り離せばいいように思うが……けれど問題が一つ、俺じゃそれをやるには力不足ってとこかなー。あっはっは」
 と、笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロ・ネコノ
[SPD]
暴走列車か…早く止めないと不味いね、乗客を落ち着かせるのも必要だろうけど私は原因の方に当たろうか。
呪術的な儀式が原因らしいから、また邪教の類がいるんだろう、車内を探そう。
【ゴム体質】[目立たない][情報収集][聞き耳]
そんなに乗客の数は多くないようだけど、状況が状況だし、皆悠長に座ったりしてないだろうから混みそうだね、人をかき分けながら進むよ。
まあ狭くても【ゴム体質】だから通れるんじゃないかな、多分。
とりあえず怪しい人物を探そう、車内がパニックになってるなら逆に落ち着いてる人なんか怪しいよね。
あとは聞き耳を立てて何か怪しい事を言ってる人はいないか調べていこう。
<アドリブ・絡み歓迎!>


ニトロ・トリニィ
【POW】を選択

【心境】
おー。 これが列車か… 初めて乗ったけど、良いものだね。…この混乱が無ければだけど… って呑気な事考えてる暇はなさそうだね!

【行動】
おや? 先頭車両から人がどんどん来るね。うーん… 我先に後ろの車両に行こうとしてるようだね。安全の為に〈救助活動/礼儀作法/鼓舞/優しさ〉を使って、優しく丁寧に避難誘導を行おうかな! 〈医術〉を使って怪我をした人の手当てをするのも良いかも?
避難誘導が大体終わったら《念動力》を使ってみようかな。列車を止める… のは無理そうだね… 出来ても列車の速度を落とすくらいかな。でも、やらないよりはマシだよね。

アドリブ・協力歓迎です!



「慌てないで! 落ち着いて行動してね」
 ニトロ・トリニィ(f07375)が人々に声をかける。
 初めて乗る列車というものに胸を躍らせていたニトロだが、先頭車両から逃げる人々が後ろの車両へあふれ、車内にいっそうの混乱が広がってゆくのをまえに行動を開始した。
 走行中の列車であるから、逃げるといっても後方の車両に行くしかなく、すべての人が最後尾の車両に入れるわけでもないから、気休めと言わざるを得ない面もある。それでも、ニトロの避難誘導は、人々を落ち着かせ、これ以上のパニックを起こさせないことに一役買っていた。
(そして肝心の、列車の止め方だけど)
 ニトロは思案する。
 念動力で止められるだろうか? 止めることはできなくても、少しでもスピードを落とせれば……。

「ムダなことを」

 低い声が、ぼそり、と言った。
 それはごく小さく、誰かが口中でつぶやいた独り言に過ぎなかったのだが。

「それ、どういう意味かな!」
「っ!?」
 混雑した車両の、後ろへ後ろへと動く人の流れに逆らって、するりと滑り込んできた影は、クロ・ネコノ(f06406)だった。
 誰にもぶつかることなく、この人ごみのなかをすり抜けてこられるのは、ユーベルコード「ゴム体質」の力を発揮した彼女だからこそ。
 そしてそのネコ耳は、かすかなつぶやきさえ、聞き逃しはしなかったのだ。
「もしかして、暴走の原因を知ってる、とか?」
 ずい、と、クロは、呟きの主――コート姿の男に近づく。
「し、知るかっ!」
 男をのぞきこむクロの黒い瞳は、すべてを見透かすように輝いている。男は彼女から目をそらすと、足早に人ごみの中にまぎれていこうとした。
「待ったっ!」
 クロは暴走の原因を探るべく、車内に目を光らせていたのだ。この男はあからさまにあやしい。クロが背後から男を取り押さえようとし、男がそれを振り払おうとしたとき、男のコートの内側から、なにかが床に落ちた。
「あっ!」
 慌ててそれを拾うとする男。その手が品物を掴むより早く、状況のゆくすえを見守っていたニトロが、反射的に念動力を行使していた。
 男の手の届かぬ先へ、列車の床を滑ってゆくのは、鎖のついた首飾り状の護符のようなものであるらしかった。表面に刻まれた文様が、あやしい青い燐光を放ち、生きているかのごとく明滅している。
 ニトロと同じく一幕のギャラリーとなっていた人ごみのなかから、幾人かの男女が、目に見えて殺気だち、護符へ向かって動き出した。邪教の徒は複数人、列車に乗り込んでいたのだ。

「動けぇ!」
 護符が目に見えぬ力によって宙を飛ぶ。わっと邪教徒たちがそれを追う。すると護符は急旋回して天井すれすれに弧を描き、
「いただきっ!」
 にゅう、と伸びたクロの手がそれを奪った。
「返せぇっ!」
「それは神聖なものだぞっ!」
「へえ、そうなんだ」
 ぱっと姿勢を低くすると、誰かの股のあいだをくぐりぬけ、クロは逃げた。そこへ飛び掛かってきた邪教徒が、彼女を抑え込んだと見えたが、にゅるりと抜け出すと、座席の支柱をポールダンスのように伝って網棚の上へ。
 邪教徒たちとクロのおいかけっこは、当人たちは真剣だが、どこかカートゥーンめいた可笑しな場面でもあった。

 しかしその間も、列車は走り続けている。
 ニトロはふと、窓の外を見遣った。気のせいか、外の闇が濃くなってきているように思えた――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

空雨・かがり灯
POW
アドリブ・共闘歓迎

儀式を止めてしまえばオールオッケー、ということで
まずはあの怪しい護符の破壊を試みます。
楽しそうな鬼ごっこ、私も混ぜてくださいね!

既に護符が猟兵さんの手にあれば、そのまま護符を破壊。
追いかけっこが続いているなら邪教徒を峰打ちでもして無力化し、確実に護符を入手します。
乗客の方には危ないので下がっておくよう声をかけておきましょうか。
一筋縄でいかなければ【残像】で撹乱してみます。
…鬼を倒すのは鬼ごっこじゃない?細かいことは気にしないのです!



 ぽん――、と、何度目かに、護符が宙を舞った。

「楽しそうな鬼ごっこ、私も混ぜてくださいね!」

 空雨・かがり灯(f04684)が、護符をキャッチする。
 当然、彼女が邪教徒の標的になるも、簡単に捕まるかがり灯では、むろん、なかった。
 残像を残すほどの素早さで、敵の腕をくぐり抜けると、身をひるがえして、刀で一撃。彼女の所持する名刀『夜斬』は、立てた刃に触れた落ち葉さえ切れるほどの切れ味だが、これは峰打ちだ。意識だけを失わせる。
「無関係の方は下がってください」
 凛としたたたずまいで声を発すれば、潮のように人々は引いてゆく。
 踏みとどまっているのは邪教徒の一団だけだが、今の腕前を見て襲ってくるのはかなりの自信か無謀さを必要とするだろう。
 それでも、かれらにはかれらなりの矜持や覚悟があると見える。あるいは破れかぶれにか、ひとりが声をあげながら駆け出すと、数を頼みに攻勢に出る。
 それは鬼ごっこ、というよりは、時代劇の剣戟シーンだ。かがり灯の太刀筋と、銀の髪が視界に軌跡を残し、襲い来る邪教徒たちを斬り伏せ――いや、打ち倒してゆく。
 これまでの連中の様子からも明らかなように、この護符こそが、儀式の中心にある。
 なんらかのUDCの力を、いわば中継している呪物なのであろう。それが列車暴走の原因であるならば、やるべきことはひとつだ。

 かがり灯の手から、今また、護符が放られる。
「ハァッ――!」
 気合一閃! 『夜斬』が真一文字に空を裂く。
 まだ意識のある邪教徒たちが息を呑むなか、護符は空中で真っ二つになった。

 がくん、と、列車が揺れた。
 列車全体を牽引していたなにか大きな力が、その大元を断ち切られたことが明白であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神籬・イソラ
電車を暴走させれば、己の命も危険にさらす
そうと知りながら、あの方々は邪神復活を望むのでございますか

一両目と二両目の間へ赴き【降魔化身法】を使用
超強化した身で、列車の連結部分を破壊すべく試みましょう

うまく切り離せれば先頭車両を押し蹴り、後続の減速を狙う
減速も停止も叶わなかった場合はナノマシンアーマーを飲用し
この身をブレーキとする覚悟にございます

もし、衝撃などで一般人に被害が及ぶ場合は「かばう」

邪教徒が危険行動をとろうとした場合は、忍者手裏剣を投げ「暗殺」
ただし、命まで奪う必要はございません

神とも鬼とも称されるこの身をさらし、邪教徒たちに伝えましょう
みなさまの想念は
わたくしが、すべて頂戴いたします


アルファルド・リヤ
暴走列車ですか。
とても嫌な予感がします……。
何か原因があると思うのですが、さて。

リザレクト・オブリビオンでオブリビオンを召喚。
乗客を落ち着かせてオブリビオンたちに乗客を運んでもらいましょう。
あまりにも多く、不可能であればどなたかに協力を願いたい。

オブリビオンたちが無理であるならば乗客の避難している車両をオブリビオンたちに切り離してもらいましょう。
彼らなら大丈夫。

皆と協力することはおしまない。
今回は一人でやるよりも協力をしなければ、解決出来ないように思いました。



 護符が破壊されたことで、邪教徒たちのもくろみは潰えたようだった。
 しかもここは逃げ出すこともできぬ走る密室。がくりとうなだれて望みを失うものが大半だった。それでもなお、最後のあがきとばかりに動き出したものもいるにはいたが……、飛来した忍者手裏剣の一撃で列車の床を舐めることとなる。
 暴走する列車に乗り込めば退路はなく、自らをも危険にさらす。それでいてなお、かれが復活を目指した邪神とは何なのだろう。神籬・イソラ(f11232)は、もう動くことのできる邪教徒がいないことを確認しながら、そう考えた。

「列車を止めましょう」

 アルファルド・リヤ(f12668)が、イソラに協力をもちかけた。
 列車を牽引していた呪力は断たれたが、車両は慣性のままに走り続けている。
「できるだけ後方車両へお願いします」
 アルファルドは乗客に呼びかけると、自身は意識を集中し、ユーベルコードを行使した。
 リザレクト・オブリビオン。召喚された死霊騎士が、すぐには動けない高齢者や子どもらを抱えあげ、運んでゆく。
 アルファルドの意図を解して、イソラもまた乗客の誘導を始めた。
 できるだけ多くの乗客を後方へ移動させることで、前方の車両を空にする。そして車両の連結を切り離せば、乗客は地下鉄線内に残すことができる。あとはUDC組織が救助してくれることだろう。

「われわれ……は……」

 ふいに、倒れ伏していた邪教徒が言葉を発したので、イソラはその前に割って入った。相手は動けるほどなかったようだが、リザレクト・オブリビオンを使用中のアルファルドは動くことができないため、かばう必要がある。
「われわれ……は……招かれているのだ……」
「何に招かれているというのです」
 イソラは問うた。
「恐怖山脈を支配するもの……大いなる試練を勇気もて切り拓くものに力を与えしものに……」

「避難させました。車両を切り離しましょう」
 アルファルドが言った。
 死霊騎士に加えて死霊蛇竜が、後続車両の外へ出て、それを止めようとしている。
 イソラは頷いてきびすを返し……最後に、邪教徒に一瞥をくれる。

「みなさまの想念はわたくしが、すべて頂戴いたします」
 イソラの身が、降魔化身法により鬼神のごとき姿へと変じる。それはかれらの信じる邪神にも似た神々しさと、人の心の根源的な畏怖をよびさますような霊圧をまとっており、邪教徒を圧倒するに容易であった。
 イソラは車両連結部を破壊すると、後続車両を後方へ押し蹴った。
 地下鉄路線の闇のなかへ後方の車両が消えてゆく。
 車輪が軋む、耳障りな音――
 やがて、窓の外がぱっと明るくなった。
 猟兵たちは、車両が次の駅についたものと思ったが、果たして、窓の外に広がる光景は、信じがたいものであった――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『恐怖山脈を踏破せよ』

POW   :    急峻な壁をクライミングする。

SPD   :    暴風吹き荒れる尾根を縦走する。

WIZ   :    雪崩や落石が集中する谷から攻略する。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ごう――、と風が唸った。

 それは驚くべきことだった。
 地下鉄を走っていたはずの車両が到着したのは、駅でない。そこは、切り立った断崖だった。
 雪まじりの冷たい風が車窓をガタガタとふるわす。
 灰色の曇天のもと、どこまでも続く岩肌の尾根。さらに遠くには、天を衝くような頂がいくつも見える。
 ここが、UDCアースのどこか別の場所なのか、あるいはそうですらない異空間のようなものなのかはわからなかった。

「来たれ……我がもとへ……」

 なにものかの声が、天より響いた。

「恐れを乗り越えよ」

 啓示のごとく、その声は告げた。
 切り離した後方車両の姿はない。乗客は地下鉄路線内に残してきた形となり、人々の安全は守られた。今、ここにいるのは猟兵たちだけだ。
 この場所を支配するなにものか……むろんそれはUDCであり、オブリビオンなのだろう……は、この山脈を踏破した先で、招き入れた猟兵たちが来るのを、待っているようだった。
ニトロ・トリニィ
【WIZ】を選択

【心境】
…え! 何これ! ドユコト!?
まぁ… 考えても仕方ないか…
それにしても、この山を登るのかー…
あぁ… これは骨が折れそうだなぁ…
まぁ、僕には骨がないんだけどね。
…あれ?スベった?

【行動】
ちょっと危険だけど、雪崩や落石が起きそうな所から登ろうかな。
僕らが進む前に、《蛸の追跡者の召喚》を使って、先に危険がないか〈情報収集〉を使いながら調べてもらおうかな。
進む際は〈忍び足/地形の利用/鼓舞〉を活用しながら慎重に進むよ!
もし仲間がピンチだったら、〈救助活動/医術/手をつなぐ〉で助けようかな?
一緒に行動する仲間とは〈優しさ/礼儀作法〉で丁寧に接するよ。

アドリブ・協力歓迎です!


クロ・ネコノ
[WIZ]
…まさかこんな所にでるとはね、でもオブリビオンを倒すためには進むしかないか。
尾根は風がきつそうだし、谷を進もうかな。
【ゴム体質】[地形の利用][目立たない][スナイパー]
ここが何所かも分からないし、何が出るかも分からない、前方を警戒しながら弓を構えて進もう。
相手が生き物なら矢が通るだろうけど、それ以外なら避けて通るしかないかな、まあ慎重に進もう。


アルファルド・リヤ
ここは……どこでしょうか。
寒さはとても心地が良いものです。
ですが、先へと進むためにはここを突破しなければならないのですね。

谷から行きましょう。
雪崩は巻き込まれないように気を付け
落石などは腕を変形させヴァリアブル・ウェポンで凌ぎます。
命中率を重視させれば落石も自分に落ちることなく進めるのでは無いでしょうか。

破壊した落石を足場に先に進む事ができましたら
足場にして先に進みます。
また、味方で困っている方がおりしたら協力をして先に進みたいですね



「まさかこんな所に出るとはね」
 と肩をすくめるクロ・ネコノ(f06406)。
「……でもオブリビオンを倒すためには進むしかないか」
 彼女に続いて、おずおずと車外へ出たニトロ・トリニィ(f07375)は、それが幻などでないと知るや、いったいどういうことだという表情を隠せないでいる。
 アルファルド・リヤ(f12668)は、気温がずいぶん低いことに気づいて、わずかに表情をゆるめた。

 予測外の展開で、峻険な山の中に連れてこられた猟兵たち。かれらはしばしの相談ののち、二手に分かれて、異なるルートから頂上を目指すことにした。

 ニトロとクロ、アルファルドらは谷側のルートを選ぶ。
 吹きっさらしの稜線より、風の影響が少ないだろうというのがクロの意見だ。
 しかし影になる谷の岩肌には雪が積もっており、雪崩には注意する必要があった。
「……」
 アルファルドは行く手を見上げ、ほう、と息をつく。
 氷の中で目覚めたサイボーグである彼にとって、肌を刺すような風の冷たさは、むしろ心地よく、懐かしささえ感じるものだ。
 しかし並んで同じ方角を見たニトロは、まったく違う感想を持つ。
「あぁ……。これは骨が折れそうだなぁ……」
 雪の積もった斜面を、これからどれほど登ってゆかねばならないのだろう。考えただけでも重労働だし、万一、滑落でもしようものなら――
「まぁ、僕には骨がないんだけどね」
「……」
「……あれ? スベった?」
「?」
 アルファルドの灰色の瞳がきょとんとしている。ニトロのブラック(タール)ジョークを理解しなかったようだ。

「さ、行こうか。油断はしないで」
 クロが弓を手に歩き出した。
 ここがどういう場所か、まったくわかっていないのだ。オブリビオンが関与しているなら、どんな危険があるか予測がつかない。いつでも矢を放てるよう準備しながら、クロは地形を読んでなるべく自分たちが目立ちにくいルートで進んでいこうとする。
「先の様子を偵察してみよう」
 ニトロはユーベルコード「蛸の追跡者の召喚(オクトパスチェイサー)」により、タコの様な宇宙生物を召喚する。
 それはうねうねと触手を器用に使い、斜面をするすると登っていった。その五感はニトロと共有されているので、先に何かあればいち早く知ることができる。
 しばらく、一同は谷の斜面をひたすらに登り続けた。
 ――と、そのときだ。
「……ん」
 ニトロが、足を止めた。
 彼の……いや、彼が感覚を共有する《蛸の追跡者》の足元を、コロコロと小さな石が転がっていったのだ。
 ひとつ、ふたつ……それからもっと。転がってくる石は次第に大きなものになり。
 やがてもっと大きな――明らかに危険なサイズの岩が斜面を雪煙をあげながら転がってくる……!
「落石だ!」
 ニトロの警告に、クロは素早く動いた。生き物に襲われたなら矢を放てばよかったが、この場合、退避が最善である。
 同時に、アルファルドは、ヴァリアブル・ウェポンによりその腕を変形させ、あらわになった内蔵兵器からの攻撃で落石の破壊を試みた。見事、大きな岩を粉砕することに成功する。
 しかし危機はそれだけで終わらなかったようだ。
 落石の振動のためか、今度は雪の層が雪崩となって斜面を猛然と滑り落ちてくる。
 クロはゴム体質の腕を伸ばしてニトロとアルファルドを掴むと、雪崩の範囲外を目指してまっしぐらに駆ける。
 再び、アルファルドが攻撃を放った。砲撃が地面を穿ち、散った岩石の破片がバリアのように雪崩の勢いを殺す。その一瞬の時間稼ぎで、クロたちは斜面から突き出た岩の上に退避し、雪崩に呑み込まれることを免れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

空雨・かがり灯
ここは尾根から攻めることにしましょう。
私の直感がそう言っています。
せっかくお招きいただいたのですから、せめてご挨拶には伺わないといけませんもの。

風が強いので【力を溜め】てしっかり踏ん張って進みます。
突風が吹いたら無理に進まずやり過ごし、落ち着いたら再開です。
急いては事を仕損じる、ともいいますし!
地面に刀が刺さるようでしたら、刀を支えにしてみても良いかもしれませんね。
風が止む場面があれば、思い切って足を踏み外さない程度に【ダッシュ】です!

※アドリブ・共闘歓迎


雛河・燐
あっはっはっはっはっは常識ねぇなー。
にしても恐怖山脈かー…知っているのか?知らね。

つーかこんな肉体労働になるとか想定してないなー。
お兄さん超人じゃないんだけどなー。

レプリカクラフトで防寒着作成。とりあえず要る人には渡す。
後はハーケン、アイゼン、頑丈なロープ。少し雑なつくりになるのが怖いけど。
用意してちゃんと装着したら【クライミング・地形の利用・ロープワーク】で登っていく。

登山、しかも雪山のなんてあんまり経験ないなー。



 地下鉄の暴走を止めろと言われて電車に乗り込んでいたはずなのに、いつのまにか登山をするはめになっている。
 あまりにも常識を超越した状況を思い返すたび、雛河・燐(f05039)は笑いそうになってしまう。事実、最初は笑ってしまった。
 こちらは尾根をゆく縦走ルートだ。
 燐はユーベルコード「レプリカクラフト」により防寒着などの登山用具を作成し、猟兵たちに配布した。このユーベルコードで作られたものはあくまで紛い物であるが、ないよりははるかにましだった。
「つーか、こんな肉体労働になるとか想定してないなー。お兄さん超人じゃないんだけどなー」
 などと言いながら歩いていると、
「ですがせっかくお招きいただいたのですから、せめてご挨拶には伺わないといけませんもの」
 と、空雨・かがり灯(f04684)が言った。
 その瞳が、まっすぐに、山頂を見据える。
 あそこに倒すべき強敵が待っている――、その直感の赴くまま、歩みを進めた。

 尾根は歩きやすいが、風が強い。
 空では風の音がびょうびょうと鳴り、身を切るような冷たさが絶え間なく襲い掛かってくる。
 ふいに、ひときわ強い突風が猟兵たちを襲った。

「っ!」
 かがり灯は刀を、燐はハーケンを地面に突き立てて飛ばされるのを防いだ。
 なんの対策もなく挑んでいたらそのままバランスを崩して滑落しかねないほどの強風だ。
「雪山の登山はやっぱきびしいなー」
 文句を言う割には、道具の扱いにも慣れているふうな燐だったが、この山行が容易なものでないことは今まさに身に染みて味わっている。
「もう少しおさまるのを待ちましょう」
 かがり灯の提案により、岩陰に腰を下ろす。
「恐怖山脈……か」
 燐はつぶやいた。
 列車で倒された邪教徒が言ったのだ。「恐怖山脈を支配するものに招かれている」と。
「ここがそういう名の山なのでしょうか」
「さ……知らね」
 関係のないことだ、と燐は思う。重要なのは、「恐怖山脈を支配するもの」に対峙することだ。
 いくぶん、風がやわらいだと見て、かがり灯は立ち上がった。
「参りましょうか」
「やれやれ、あとどれくらいかかるんだか」
「千里の道も一歩よりですよ。焦らぬことです。急いては事を仕損じる、ともいいますし!」
 かがり灯はにこりと微笑むと、風が弱い今が好機とばかりに、ダッシュで駆けてゆくのだった。


 そうして……、それぞれのルートから猟兵たちは恐怖山脈を踏破していった。やがて、導かれるようにして、かれらは山の頂へと集う。
 そここそがこの旅の終着点。決戦の地であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『白羊卿』アリエス』

POW   :    輝け我がハマル
【頭の角に火の魔力が宿り、巨大】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    輝け我がシェラタン
【手にしたトライデント】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    輝け我が白羊の庭
【足元から生え続ける植物】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アルム・サフィレットです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 風が、ますます強くなってきているようだった。
 山の頂に、そのものは立ち、猟兵たちを睥睨している。

「よくぞ来た。恐怖を乗り越えしものたちよ」

 声音には、おのれが万物の支配者であることを微塵も疑わぬ傲岸さがにじんでいた。
 冷たい風のなかにあってさえ、彫刻のような肉体を誇らしげにさらし、金色に輝く三叉の槍を携えているもの。捻じれた黄金の角を見るまでもなく、それがヒトでないことは明らかだ。

「我こそは『白羊卿』アリエス。恐怖を乗り越え、我に帰依するものに勇者の魂を与えよう。……おまえたちは、そうではないようだな? 神に刃向かうというのなら、その報いを受けることになるが」

 地下鉄の邪教徒たちは、恐怖山脈の険しい道を経てこの邪神に拝謁し、なんらかの力を授かろうとしたのだろう。列車の乗客の生命が、いわば手土産として、捧げられるはずだったのだ。
 猟兵たちの活躍によりそれが叶わなかった今、邪神は贄を得ておらず、邪教徒たちが願ったほどの大きな力は持っていないはずである。すなわち、このオブリビオンを倒すには、今このときが絶好の機会というわけだ。
ニトロ・トリニィ
おや? あれが今回の邪神か…
邪神? と言うことは神? つまり、勝てば神殺しの称号が得られる訳だね!
神殺し… 履歴書には…書けないか。

【行動】
今回は、みんなを支援するよ!
あの槍は危険だね… でも、長い物を振り回すには広い空間が必要なはず…
なら、槍を使おうとした時に、《複製武器ノ召喚》で増やしたクランクソードを使って邪魔をしようかな。 攻撃の阻害だけじゃなく〈かばう〉を合わせて防御にも使えば、より味方が動きやすくなるね!…もちろん、隙があれば攻撃にも参加するよ!クランクソードは全部浮かべてるから使うならククリナイフかな?
〈地形の利用/目潰し〉を使って攻撃しても良さそうだね。

アドリブ・協力歓迎です!


アルファルド・リヤ
あなたが……。
問題ありません。行きます。

ヴァリアブル・ウェポンで腕を変形させます。
回転切りのごとく攻撃回数を優先させ複数回、己の刃を敵に当てることが出来ましたら。

敵の攻撃は咄嗟に避ける事が出来るように敵の動きを見ておきます。
それから攻撃を受けたら生命力吸収を使い己の傷を癒しましょう。
こう見えて、しぶといんですよね。

それにしても、このような場所で神の真似事とは。
いいえ、既に神でしたか。
理解出来ませんね。理解しようとも思いませんが。

もちろん味方と協力をして倒したいと思います。


雛河・燐
え、あんなクソザコ信者に信仰されてるのがなに言ってるの?
(倒されるとこ見てないけど)
自分の信者がしょーもなくみっともなく何も出来ずに鎮圧されていながら大仰に言っててかっこわるーい。
(挑発です)


まぁ俺は戦いには役立たないんだけどねー。
戦いにかんする手札が少なすぎる。

ま、そうだなー
【逃げ足】で逃げ回りながら【氷の矢】を放って、隙と言うかチャンスが来たら【地形の利用】で隠れよう。
で、アリエスが8割がた俺の存在を忘れる程度に追い詰められた時に、【忍び足、騙し討ち、早業、暗殺、二回攻撃】で足につけてるアイゼンで蹴り付ける。



「え、あんなクソザコ信者に信仰されてるのがなに言ってるの? 自分の信者がしょーもなくみっともなく何も出来ずに鎮圧されてい
ながら大仰に言っててかっこわるーい」
 雛河・燐(f05039)の挑発が、神を名乗るものに通じたのかどうか。少なくとも、不敬なものとは受け取っただろう。
「輝け我が白羊の庭」
 だん!と、槍の石突が地面を打てば、『白羊卿』の足元にだけ不自然に生い茂る植物が、急激にその範囲を広げながら成長し、猟兵たちに襲いかかってきた。
「……っと!」
 燐は伸びてくる植物からひたすら逃げ回る。
 やわらかに見える植物は、猟兵たちに触れる寸前、刃のように鋭く尖ってその身を貫く凶器に変じる。アルファルド・リヤ(f12668)はその攻撃をいくつか受けてしまったが、逆に生命力吸収を行い、果敢に生い茂る植物の領域へ踏み込んでゆく。
 ヴァリアブル・ウェポンで変形した腕が回転し、まとわりつく植物をひきちぎってゆく。
「このような場所で神の真似事とは。いいえ、すでに神でしたか」
「左様。神に手向かうことを恐れぬと見える」
 アリエスの角に、炎が灯った。
 その肉体が徐々に大きくなっていくように見えたのは、錯覚ではないようだ。
「神とは果たしてこのようなものなのでしょうか」
 アルファルドのちいさな呟きは、素朴な疑問のようにも、神を僭称するものへの皮肉のようにも聞こえた。
「輝け我がシェラタン」
 アリエスとともにその大きさを増した三叉の槍が、アルファルドを狙って繰り出される。
 だが、鋭く飛び込んできたものが、その一撃を受け止める。
 それはニトロ・トリニィ(f07375)がユーベルコード「複製武器ノ召喚(サモン・レプリカウェポン)」によって複製したクランクソードだった。念動力によって操られる剣が飛び回り、アリエスの攻撃を妨げる。
 アリエスが大きくなったことで、相対的にニトロの剣は小さくなり、かえってうるさい羽虫のように、捉えづらく、迷惑な妨害になっているようだった。
 槍を振り回す所作に、どこか苛立ちが感じられる。神も、苛立つということがあるのだろうか?――などと考えながら、ニトロは隙を見て近づき、ククリナイフで攻撃を試みる。もしこれで神が倒せたら、「神殺し」を名乗れるだろう。
 だが、神の名も伊達ではなかった。
 アリエスの槍が空を斬り、間一髪、ニトロは刃でそれを受け止めるも、押し負ける寸前まで後退せざるをえなかった。相手の膂力は尋常ではなく、多対一の戦闘に疲弊する様子もない。
 アルファルドが飛び込んできたが、植物が槍ぶすまのように鋭く伸びて彼を牽制する。
 そのときだ。
「!?」
 逃げ回っていたはずの燐が、ほかの猟兵たちに注意が向いた隙に、背後に忍び寄っていたのだ。
 アイゼンを履いた足で、的確な蹴りを叩き込む。それは、ダメージ源にはならなかったかもしれないが、足場の悪い山頂の岩場にあって、アリエスのバランスを崩すに十分だった。
「なに……ィ!?」
 今度こそ、明白な屈辱の色を帯びた声音だった。
 神を名乗りしものが、土にまみれたのだ。
「この……、虫けらどもが!」
 アリエスは咆える。
 その角の炎がごう、と音を立てて吹き上がった。その身体が、いよいよ巨人と言えるほどに膨れ上がってゆく。
「輝け我がハマル」
 アリエスの憤怒に呼応するように、恐怖山脈の空で風が荒れ狂う。
 足元の植物が、瞬時に繁茂して猟兵たちに絡みつき、締めあげた。
「わが贄となるか」
 神なるものは、槍をかかげた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

空雨・かがり灯
敵のユーベルコードは強力ですが、
その体の大きさでは遠くは見渡せても足元はお留守になる…そこを狙います。

敵が他の猟兵さんに気を取られている間に距離を詰め、懐に潜り込みます。
隙が見当たらない場合はわざと相手に見えるようにアサルトウェポンを発射、弾丸に攻撃を向けさせられるかチャレンジです。
自分が攻撃対象になったら【残像】で躱すか【武器受け】でガードを。

懐に潜り込めたらすかさず剣刃一閃、続けて【2回攻撃】。
魔の力に呑まれたその姿…むしろ悪魔とお呼びする方が相応しいでしょう。
いくら己を強化したとしても、この刃に斬れぬものなどございません!

※アドリブ・共闘歓迎


クロ・ネコノ
[WIZ]
いかにも神様ですって感じのが出てきたね。まあ、オブリビオンだし倒すだけなんだけどさ。
【爆発する矢】【降り注ぐ矢の雨】[範囲攻撃][破壊工作]
こんな雪山であいつの足元だけあんなに草が生えてるの怪しいよね、懐から【爆発する矢】を取り出して、この矢で【降り注ぐ矢の雨】を放つよ。
オブリビオンの立ってる辺り一帯を破壊するつもりでいこう、…もちろん味方に当てないように声かけしてからね。
<アドリブ・絡み歓迎!>



 突如、爆発が起こった。
 アリエスの足元でなにかが爆発したのだ。炎が、猟兵たちを縛めていた植物を焼き切ってゆく。
「熱かったらごめんね!」
 クロ・ネコノ(f06406)の放った《爆発する矢》だったようだ。
 アリエスが足踏みするたびに、新たな植物が生え出し、火をも呑み込んでいこうとしたが、その間に、とらわれの猟兵が解放される。そして、くすぶる煙のなかに、影がひとつ。 
「足元がお留守です……!」
 空雨・かがり灯(f04684)だ。
 巨大化したことで、自身の足元は死角となってしまう。かがり灯はそこに飛び込んだ。
 斬り上げる剣刃一閃。アリエスの脚を深々と裂いた。
 悲鳴とも怒号ともつかぬ叫びとともに、反撃の槍が襲い掛かる。巨大化した槍に貫かれれば致命的だ。
 かがり灯は小鹿のように身をかわし、すぐさま放たれたさらなる第二撃は刀で弾く。アリエスの槍に比べれば心許ないほど細く見えるかがり灯の剣は、しかし、しっかりとその一撃を受け止めていた。
 うしろざまに跳び、間合いをとりながら、アサルトウェポンを発射する。放たれた弾丸が、それ以上の反撃を許さない。
「神を名乗れど、その邪悪さ……魔性は隠しようがございません。魔の力に呑まれたその姿……むしろ悪魔とお呼びする方が相応しいでしょう」
 かがり灯は再び、剣を構える。
 彼女の剣は、悪を断ち、魔を斬り滅ぼすものだ。
 一息に、間合いを詰めた。切っ先が描くは真一文字。横なぎに脚を斬られてアリエスが片膝をついたところへ、返す刀が燕のように斬り上がる。
 信じられない、という表情が、邪神のおもてに浮かんだ。
 まさか、神なるこの身が、人間によって斃されるのか。
「避けて!」
 クロの声が元気よく弾むのを聞いて、かがり灯は退く。
 空を裂く音の群れに、かがり灯とアリエスはともに上を見上げた。きらめきとともにクロのユーベルコード「降り注ぐ矢の雨(レインアロー)」が飛来する。むろんその矢は、「白羊の庭」の植物を焼き尽くした爆発する矢なのだろう。
 神を名乗るものは、なにか言ったのだろうか。
 悲鳴をあげたのか、呪いの言葉を吐いたのか……いずれにせよ、それらはすべて轟音にかき消された。
 爆発する矢の群れは地形を破壊するほどの威力だ。爆風の熱を頬に感じながら、猟兵たちはアリエスを呑み込みながら山肌が崩れてゆくのを見た。

 恐怖山脈の空を、風が渡る。
 しかし、その音は、次第に遠くなってゆき――警笛と、列車の走行音が戻ってきた。
 猟兵たちは、地下鉄の路線に立つ自分たちに気づく。反対車線を通り過ぎてゆく列車の灯りに照らされながら、オブリビオンの一体が確かに滅び去ったことを確信するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月27日


挿絵イラスト