●あめがふる
きらきら輝く宝石たち。それは掌に転がったりするものもあれば空から降ってくるものもあった。
時にはころん、と頭にぶつかって。時にはぺちん、と頬にぶつかって。からん、と口の中に放り込めば甘い味が広がって、学生たちは頬を紅潮させて大はしゃぎ。
「甘い宝石だ!」
「キラキラしてて可愛いけど……食べるの勿体なーい」
でもどうして空から宝石の形をした飴が降っているの?
空を見上げると宝石を吊り下げた大樹が其処に居た。
「こんなの学園にあったっけ?」
「さあ……」
「ねえお嬢さんたち、究極の宝石を知らない?」
その声に振りむいた学生たちはこう言った。宝石が煌めいて光を放って。甘美な香りをさせていた、と。
●飴が振る
「アルダワ魔法学園で超有名なキャンディー屋さんがあるの知ってる? 何でもそこではキャンディーが振るんだって!」
一年・彩(エイプリルラビット・f16169)は手にしたピンクと白のマーブル模様のロリポップをぺろりと舐めて嬉しそうに喋った。
「飴が振る? 雨じゃなく? って思ったでしょ? 彩もそう思う。でもそんな不思議な事が起きちゃうんだなあ」
フッフッフー、と不敵な笑みを浮かべながら背中に背負った兎のぬいぐるみ型リュックサックの脇腹にあるファスナーを下して、パンフレットを出す。
「じゃーん! アルダワ魔法学園にあるキャンディー屋さんなんだけどね、目の前でキャンデイーを作って貰えて、色んなキャンディーを試食できて、掌の上にキャンディーを振らせる事ができるんだよ。飴なのに雨みたいに降るなんて小さな魔法体験でドキドキしちゃうよね……わかる……」
片手を紅潮させた頬に当てて目を閉じてふふっと微笑む彩は口にロリポップを入れて頬を膨らませた。
「何でもそのお店、売りはズバリ! 宝石の形したキャンディーなんだって! 大きさは指先ぐらいの小さいのから、掌に載るくらいの大きなものまで! たかがキャンディーでしょ? って思うじゃん……それがさあ、めちゃくちゃ綺麗でさあ、本物の宝石みたいなんだわ……食べる事は叶わないけど、加工してアクセサリーにする事もできるんだって! 昔食べたでっかいキャンディーついた指輪とかできちゃうよね……」
ほわん、と空想に想いを馳せる彩はハッと我に返っててへ、と頭を拳で小突いた。
「いっけねこれ言うの忘れてた。色んなキャンディーができるし、お願いすれば好きな食べ物を入れて作ってくれると思うけど、お酒とかね? 大人になってない子はできないからね!」
ぶっぶー! なんだよ! と手を交差させて言う彩の頭上に輝くのは眼鏡を掛けた兎のグリモア。くるりと回って、猟兵達を導いていく。
さけもり
さけもりです。りんご飴が好きです。
プレイングの受付日時、断章の追加の有無はタグ及びMSページ、Twitterなどをご確認下さい。
尚、今回は締切は物理的に締まるまでを考えております。
●1章:できること
・キャンディーを振らせる(掌の上のみとなります)
・好きなものを使ってキャンディーを作って貰ったり(固体、液体、瓶詰、宝石etc)
・キャンディーを加工してアクセサリーやアイテムを作って貰う(アイテム発行はありません)
・その他色々(ご自由な発想でどうぞ)
又、仕上がるキャンディーがどんなものでもいいよ! お任せしますという場合には下記のマークを使用してプレイングの文字数節約にお役立ててください。
お任せマーク→「🍬」(「」無しで大丈夫です)
但し、どのような場合でも「何をするか」だけはご指定頂ければ幸いでございます。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『キャンディファクトリー』
|
POW : 好きな味のキャンディを見たり選んだりする
SPD : 好きな形のキャンディを見たり選んだりする
WIZ : 好きな色のキャンディを見たら選んだりする
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
カラフルなアルダワ魔法学園の北方帝国に店舗を構えるキャンディショップ「リトル・ボンボン アルダワ魔法学園支店」。ステンドグラスに見える天窓はキャンディに樹脂を塗り固め、陽が差せば差す程硬化していく優れもの。マシュマロの中に小さなチョコレート、ナッツ、ドライフルーツが入った様に見える壁はロッキーロードを模したバラバラの色と形で積み上げられた石畳の壁。ピンクと白の縞模様の吹き出しでハローのご挨拶をしたキャンディーのドアノブ。軽く捻って、艶々のキャンディーベースの扉を開けば――。
「ようこそ、リトル・ボンボンへ!」
キャンディーを練り上げ、規則正しくカットしていくドワーフ達は透明なガラスの向こう側、熱気とランプの熱が篭もる熱い工房で忙しなく動き続けている。
小さなケットシー達は店内で無くなった商品の補充をし、オリジナルのキャンディのオーダーを承り、滞りなくラッピングを行っていた。
陽気なフェアリーたちも店内を飛び回り、あめをどうぞ! と作る過程で商品には至らなかった小さな欠片たちが詰まった瓶に紐を括り付けて引っ張っていく。
「それでは皆様お待ちかねイベント――あめがふる。どうぞお楽しみください」
ミレナリィドールの店員が空へと人差し指をすう、と滑らかに上げればぱらぱら、ぱらぱら。あまいあめがふる。
練れば練る程艶を持つ飴の欠片は様々な色があるものの透き通っていて、ステンドグラス調の天窓ガラスからの陽射しを受けて、きらきらきらきら輝く雨が降っていた。
口を開けてその飴を食べようとする子供たち。掌に載せて何色があるか、その色で様々な占いを行うアルダワ魔法学園の女学生たち。
お店も名前も店員たちも小さきものたちでつくられているお店。さああなたは何をする?
ヴィズ・フレアイデア
光を飴に変える技をもつあたしだが
其れを抜きにしても飴は好き
だって一度食べたら暫く甘いし
何より、宝石みたいにキラキラしてるから
掌にキャンディを振らせてみる
さあお兄さん、魔法の指を振るっておくれ
其処にあって欲しいのはクリームソーダの翠色と
あの子の髪色、こがね色
あ、瓶を貰おうかな
インク瓶みたいな、余り高さのない奴で良い
掌に降った飴を其処にいれて、保存しておく
試しに一つ食べてみよ
指でつまんで一粒口に入れる
……うむ
なんとなく、しゅわしゅわするような…
不思議だな
そういえばあの子と出会ったのも
こんな太陽のまばゆい日だった
赤いストール着て暑くないのかって?
ふふ
今日は一人だから、あの子の代わりに連れてきたんだ
●はじめてだったまほう
ヴィズ・フレアイデア(ニガヨモギ・f28146)が最初に覚えた魔法。誰も傷つけない魔法は、光を飴に変える魔法だった。其れを抜きにしても飴は好きである。何故ならば一度食べたら暫く甘い。
何より宝石みたいにキラキラしてるから。だから形の無い光、きらきらした輝きが掌に載った飴に変わった時は嬉しかった。甘くて美味しい、可愛い物が乗っていたのだから。
赤いストール、青いドレスの裾をゆるり揺らして、飴を振らせてくれるという店員の前に両手を差し出す。
「さあお兄さん、魔法の指を振るっておくれ」
「何がでるかな。何が出て欲しいか、考えてごらん」
「そうだな……」
ヴィズの掌の上で宙を描いた。
其処に在って欲しいのは、翠色。大好きなクリームソーダの緑。
――脳裏に浮かんだあの子の髪色、こがね色。二色の飴がヴィズの掌の上でぱらぱらころころと落ちていく。
「お嬢さん、これをどうする?」
「あ、瓶を貰おうかな。インク瓶みたいな、余り高さのない奴で良い」
「そしたらこれかな。はい、どうぞこちらにお詰め下さい」
背の低い硝子瓶にヴィズはさらさらと振ってきた飴を入れていく。見た目は綺麗だけれども、肝心の味は如何なのだろうと試しに翠色のものを一粒摘まんで口に入れてみた。
「……うむ。なんとなく、しゅわしゅわするような……」
ころころと口の中で転がすと舌先でじゅわ、と弾ける感じは炭酸の弾ける感覚に似ている気がする。
「不思議だな」
「魔法の飴ですからね、何でもありますよ」
飴なのに口の中で弾ける感覚にもごり、と頬を膨らませてヴィズは硝子瓶に詰めた飴に蓋をした。店内の天窓から差し込む陽射しが硝子瓶に反射してきらきらと光る。
そういえばあの子と出会ったのもこんな太陽の眩い日だった。――あの子の髪色みたいな飴はどんな味がするのだろう。今はしゅわりとする飴を一粒含んでいるから今は食べられない。もう暫くしたら食べてやろうとヴィズの唇が弧を描いた。
「そういえばお姉さん、赤いストール着て暑くないのかい? よくお似合いだけれども……」
紙袋に入れた飴瓶を抱え、ヴィズは微笑みながら赤いストールを翻して店のドアノブに手を掛けた。
「今日は一人だから、あの子の代わりに連れてきたんだ」
何処かで自分の事を待っているかもしれないあの子のところに、さあ行こう。
大成功
🔵🔵🔵
キィ・ガラリエグス
ドルデンザ(f36930)と
🍬
あまい匂い、かわいい形
きらきらしてて、素敵だね
指輪?ふふ、楽しみ
ドルデンザもなにか作ってもらお
ネクタイピンかカフスボタンがいいかな
それなら、ピアノを弾く時に邪魔にならないでしょ?
きっと似合うもの
出来上がりを待つまで
お店の中を見たいな
いろんな飴が並んでるもの
全部味が違うんだって
内装も、ラッピングの作業もかわいいね
なんにも思い出せないけど
ドルデンザが居るもの
キャンディーの雨降る光景は
思い出せないけど、きっと生まれてはじめての体験
眺めてるだけで
絵本の世界に居るみたいな気分
ドルデンザ、楽しいね
あなたは楽しい?
ふふ、そう
二人で重ねていくあたらしい記憶が
今一番大切なもの
ドルデンザ・ガラリエグス
キィ(f36931)と共に
🍬
おや……綺麗な
ふふ、つまらない宝石よりもキィは此方の方がお好きかな……?
折角だ、この“宝石”でキィの指に合うリングを。
キィの細い指にはどんな形が似合うのでしょう
どんな宝石も、霞んでしまいそうなのですが……
私がキィの世界を広げられるなら、これほど嬉しいことはありません。
高いところのものが見たいと言えば私が抱いて、
キィの目線の高さで見つけたものがあればしゃがんで一緒に見ましょう
キィの興味がある味、色、見た目……危なくない物は全て試せるのなら
体験して、記憶すればいい
忘れても何度でも
無いのなら重ねましょう、私と――……一緒でも、いいのでしょうか
こんなに綺麗な場所に……私が
●ふたりでつむぐきせき
キィ・ガラリエグス(異電詞・f36931)がドルデンザ・ガラリエグス(拳盤・f36930)に扉を開けてもらい、わあ、と荒いノイズ交じりの感嘆の声を漏らした。ゆっくり、くるりと周囲を見回すと甘い匂い、可愛い形が溢れており、楽しそうなキィの表情にドルデンザも笑みを零す。
「きらきらしてて、素敵だね」
「おや……綺麗な。ふふ、つまらない宝石よりもキィは此方の方がお好きかな……?」
ドルデンザが目に留めたのは宝石の飴が硝子のショーケースに陳列された棚。さあ、と彼に手招かれるままキィの小さな足取りは軽やかに進んでいく。
「折角だ、この宝石でキィの指に似合うリングを」
自分よりも白く、柔く、細く、小さなキィの手を取り、ドルデンザは彼女の目線を合わせてしゃがみ込んだ。
「指輪? ふふ、楽しみ」
「キィの細い指にはどんな形が似合うのでしょう。どんな宝石も、霞んでしまいそうなのですが……」
何が良い? とドルデンザが問うてもキィは微笑むだけ。
「ドルデンザが選んでくれるものならなんだって」
「それでは……オパールなんてどうでしょう」
真白の楕円の中にきらきらと輝く虹色の虹彩。小さなキィの手に落ちた虹はどんな雨空が去った後のものよりも美しいだろう。
「ドルデンザもなにか作ってもらお。ネクタイピンかカフスボタンがいいかな」
「いえ私は――」
「それなら、ピアノを弾く時に邪魔にならないでしょ? きっと似合うもの」
ね、と首をこてりと傾けたキィにドルデンザはそれならば……と頷いた。
「ふふ、ドルデンザにはこれ。サファイア」
「少々派手じゃないでしょうか……」
困惑するドルデンザにキィは微笑む。そんなことないよ、と言えば彼の困った顔は解けていく。ピアノを弾く時に見える青の空は晴れの日も、雨の日も、嵐の日も。どんなときでも包んでくれるだろうから。
「出来上がりまでには少々お時間頂きますので、店内をご覧ください」
「キィ、あそこ見たいな」
「何処ですか?」
ドルデンザの袖を引っ張り、キィが指をさしたのは二色の飴で出来上がった大きな飴のリボン。店内用のディスプレイ用で非売品故に買う事はできないが、あれを近くに見たいと言えば彼は彼女を抱えて近くまで見せる。その下には袋に詰められた彩り豊かな飴たちが見たいと彼女が言えば、彼はゆっくり優しくおろし、しゃがんで目線を合わせて一緒に見た。自分が彼女の世界を広げられているならばとこれほど嬉しいことはないと彼の表情は柔らかく微笑んでいた。
「全部味が違うんだって」
「色んな味を試したくなりますね」
「内装も、ラッピングの作業も可愛いね」
キィが辺りを見回せばガラス窓越しにケットシー達がしゅるり、とラッピングを施し、店内では飴が掌の上に振っていた。
「――なんにも思い出せないけど、ドルデンザが居るもの」
キャンディーの雨降る光景は思い出せないけど、きっと生まれて初めての体験。眺めてるだけで絵本の世界に居るみたいな気分で、足元が何処かふわふわする。
「キィの興味がある味、色、見た目……危なくない物は全て試せるのなら体験して、記憶すればいい」
ドルデンザの方へと顔を向ければ彼もまたキィを見ていた。驚いて、目を丸くしてしまったけれど、直ぐに目を細めて微笑む。
「無いのなら重ねましょう、私と――……一緒でも、いいのでしょうか」
あなたがいい。ドルデンザが良い。言葉にはしないけれど、彼の袖口をきゅ、と掴んでキィは目を細めて微笑んだ。
「ドルデンザ、楽しいね。あなたは楽しい?」
「こんな綺麗な場所に……私が」
小さきものたちでできた小さなお店。その中で巨体な自分が、入るなど少々目立っているけれども、彼女が、この子が楽しそうだから。満更でもないと笑った。
何もない昔。けれども二人で重ねていくあたらしい記憶が、今一番大切なもの。
指先と、袖口と、これからを、彩っていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ローズ・ベルシュタイン
アドリブや他猟兵との連携歓迎
■心情
キャンディが降るなんて、凄く幻想的でロマンチックなんでしょう。
折角ですから、私もキャンディを頂きたいと思いますわ。
■行動
キャンディは、指先サイズの小さな、色とりどりのキャンディを選んで
小瓶に詰めて貰いますわね。
「まるで宝石みたいで食べるのが勿体ないですわ、こうやって飾っておくのも
また趣深いと思いますわね。」
小瓶に入らなかったキャンディは、1つ口の中に含めて味わってみますわね。
「んー、程よい甘みと、幸せを感じそうな不思議な味わいが
また絶妙ですわね。」
皆にも、このキャンディの甘味の様な幸せが広まります様に。
●さんさんとかがやく
キャンディが降るなんて、凄く幻想的でロマンチックなんでしょう。ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)は胸を躍らせながら甘い香りの漂う店内へと足を踏み入れた。
「折角ですから、私もキャンディを頂きたいと思いますわ」
お勧めはありますかしら、と商品を品出ししているケットシーに尋ねると、此方にどうぞと招かれていく。
「何に致しましょうか……」
彩りが沢山。此れ一つというのは選べないし、大は小を兼ねるとはいうけれどもそんなに量が入らないだろうから。指先サイズの小さな、色とりどりのキャンディをローズは選んだ。
「此方のキャンディを瓶に詰めて頂けますか?」
「はい、瓶はどんなのを選びますか?」
「此方の小さな瓶を」
丸いドーム状の小さな瓶にざらざらと詰められていく飴たちは艶々としていて、光を反射してぴかぴか光っていた。
「まるで宝石みたいですわ、こうやって飾っておくのもまた趣き深いと思いますわね」
「中には賞味期限ぎりぎりまで飾っておいて、最後に食べるっていう方もいらっしゃるんですよ。……あれ?」
ざらざらと入れた飴たちは小瓶の中にみっちりと入ったものの、全部が全部入りきれたわけではなかった。
「全部入りきらなかったんですけどもどうします? 別の容器に入れます?」
「いえ、大丈夫ですわ。その代わり、お一つ今食べても大丈夫ですの?」
どうぞ、と差し出された飴の中からローズは橙色の飴を一つ摘まんで口の中に入れる。
「んー、程よい甘みと、幸せを感じそうな不思議な味わいがまた絶妙ですわね」
ころころと口の中で転がして、広がって行くのは太陽の陽射しをたっぷりと浴びたオレンジの豊潤な香りだった。片頬を抑えてローズの顔は綻んでいく。
皆にも、このキャンディの甘味の様な幸せが広まります様に。そう願うローズの周囲は笑顔の客人が多く、彼女自身もまた微笑みを携えていた。
大成功
🔵🔵🔵
ネェル・ユピカ
藤色のキャンディはないかな?まぁるいブローチに加工してもらいたいんだ。食べて楽しむだけでなく、ずっと見て楽しみ続けられるのも面白そうだし……相棒に、この色を持っていてほしかったんだ。ねぇ、相棒。食べることができなくても、共有できるというのはずいぶんと心の慰めになるものなんだね。
ちょっとセンチメンタルな気分になりながら、ブローチができたら相棒を模した【からくり人形】に付けてあげたいな。……このからくり人形が僕にとって一種の供養なら、ブローチはお供えものに該当するのかな?
さて、つけ終わったら気持ちを切り替えて頭上の景色を楽しんじゃおうか。目にも口にもごちそうってこういうことを言うんだろうね。
●しをおもう
「藤色のキャンディはないかな? まぁるいブローチに加工してもらいたいんだ」
藤色。丸いブローチ。加工受付のカウンターに立つケットシーは傍らに絡繰人形を携えたネェル・ユピカ(何処までも旅人なエルフ・f25697)の言葉にペンを走らせていた。
「食べて楽しむだけでなく、ずっと見て楽しみ続けられるのも面白そうだし……」
「でしたら、この時期ですから紫陽花の絵柄が入っているものは如何でしょう?」
ぱらり、カタログをめくった先に映し出された紫陽花の絵は青の他にも紫がある。けれど、違う、とネェルは首を横に振った。
「相棒に、この色を持っていてほしかったんだ。ねぇ、相棒」
傍らの絡繰人形へと顔を向けたネェルにその相棒は答えない。顎に手を当てながらケットシーは目を丸くしたが成る程、と首を縦に頷いた。
「食べることができなくても、共有できるというのはずいぶんと心の慰めになるものなんだね」
「……それならば、此方は如何でしょう」
さらさらとスケッチブックに書いた物を愁いの表情を帯びたネェルに見せると、お願いします、と返答を受けてケットシーは奥の工房へと駆けて行った。
――少々センチメンタルな気分になってしまったな。けれど絡繰人形の相棒は何も言わずに傍に居てくれる。冷たい身体ではあるけれど、亡骸ではない。
「お待たせしました!」
ぴょん、とカウンターの台座に載ったケットシーがネェルに見せたのは藤色の楕円にラベンダーの花が飾られていた。ふわり香る花の香りは、徐々に薄れて行ってしまうものだけれども、中の飴が溶けだしたり、加工が剥がれたりするまでは途切れない魔法の香りらしい。但し、中の飴や加工がした樹脂が壊れる際には一際弾けた様に香って、持ち主に別れを告げるのだとか。
ネェルがぱちん、と相棒の服へと針を留めてあげるとケットシーはよくお似合いですよ、と呟いていて静かに去っていく。
「……このからくり人形が僕にとって一種の供養なら、ブローチはお供えものに該当するのかな?」
ラベンダーが飾られているこのブローチはもしかしたら供花かもしれないね、そう思いながら天を見上げた。陽が通って透けたステンドガラス調の天窓に、フェアリーたちが飛び交って飴を振らしている。
「変な感じだね、相棒。晴れなのにあめがふっているよ」
ふ、と笑みを零したネェルは傍らの相棒にも見えるように首を見上げさせた。
「目にも口にもごちそうってこういうことを言うんだろうね」
君は食べられないかもしれないけれど、でも目で美味しくいただけただろう? と二人は天を見上げていた。
大成功
🔵🔵🔵
籠野・つぼみ
キャンディーを加工してもらえるなんて、とても素敵ね。どれもきらきらしていて綺麗だわ。
そうね、わたしは、宝石の形にしてもらいましょうか。
一瞬の輝きをなくさないように閉じ込めて。大切に大切にしまっておくことにしましょう。可愛くて食べるのが勿体ないもの。このままにすることができるのなら、それでいいわ。
ああ、本当に綺麗。ずっと眺めていたくなるわ。それに良い香り。宝物にするわ。
見せたいひとが側にいないのは、ええ、悲しいことだわ。あの人もわたしがこうして楽しんでいることを、喜んでくるといいのだけれど。あら嫌だ、わたしってば、もう。何でもないわ。
●こころはそこに
「キャンディーを加工してもらえるなんて、とても素敵ね」
辺りをきょろりと見回した籠野・つぼみ(いつか花開く・f34063)の目に映る飴はどれも鮮やかで、目移りしてしまうものばかりだった。
「どれもきらきらしていて綺麗だわ」
けれどもつぼみの目が、心が、一際奪われたのは宝石の形に切り取られ、飾られた飴。
「お決まりですか?」
エルフの店員がつぼみに声を掛けると、彼女はゆっくりと振り返り、ええと静かに頷いた。
「そうね、わたしは、宝石の形にしてもらいましょうか」
一瞬の輝き。それは永久に瞬く輝きよりも尊く、儚く、人によっては価値があると考えるものを失くさない様に閉じ込めて――。
「大切に大切にしまっておくことにしましょう」
「お客様は、大事に仕舞われる方なのですね」
「可愛くて食べるのが勿体ないもの。このままにすることができるのなら、それでいいわ」
「でしたら、こちらのギフトボックスは如何でしょう?」
店員の掌から出されたのは紅の天鵞絨。金色のフリンジが付いた宝石の玉座に相応しいケースだった。
「遮光性もばっちりで、飴の酸化などを防ぐことができますよ?」
にこにこと笑う店員の表情は何処か胡散臭さはあるものの、折角だし、と首を縦に振るった。
――つぼみの手のには宝石の玉座に鎮座したダイヤモンドが眩く光っていた。此れが砂糖で練り上げたもの? 本当に? と何度も開けては眺め、閉じては開けを繰り返して眺める。やがて彼女は目を細めて頬を桃色に染めて、見惚れていた。
「ああ、本当に綺麗。ずっと眺めていたくなるわ。それに良い香り。宝物にするわ」
「お気に召して頂けたようで何よりです」
天鵞絨の玉座を閉じ、懐に仕舞い込んでつぼみは呟く。
「見せたいひとが傍にいないのは、ええ、悲しいことだわ。あの人もわたしがこうして楽しんでいることを、喜んでくれるといいのだけれど」
「お客様?」
はた、とつぼみは気づく。そんなひと、何処にもいないというのに。
「……あら嫌だ、わたしってあ、もう」
何でもないわ、と微笑むつぼみに店員は首を傾げていた。
――何時まで経っても、心は何処に。
大成功
🔵🔵🔵
ウィリアム・バークリー
オリビア(f28150)と
『リトル・ボンボン』のアルダワ店か。久しぶりに来るなぁ。飴玉はもう卒業しちゃったし。
でも、案内くらいなら出来るよ。それに今日は特別な日みたいだし、ぼくも楽しんでみようかな。
ぼくは、氷砂糖で水晶を作ってもらいたい。
中心にオーバル・ブリリアントカット、周囲にそれより小さな半球型の氷砂糖を囲むように配置した、金の首飾り。お願い出来るかな?
出来上がるまでは、その辺の飴をもらって、オリビアや店員さんたちと世間話に興じよう。
うん、さすがいい出来。オリビア、着けてみて。ぼくも指輪をはめてみる。
よく似合ってるよ、オリビア。気に入ってくれた?
指輪もいい具合。早く左手の薬指にはめたいね。
オリビア・ドースティン
【同行者:ウィリアム・バークリー(f01788)】
キャンディのお店ですが素敵な雰囲気のお店ですね、これは期待できそうです
私が作って貰うのは綺麗な飴細工の指輪です、デザインは氷の結晶のようなものを希望します
「このようにしたいのですが大丈夫でしょうか?」
注文したらウィリアム様と完成するまで飴をいただきながら談笑します
「この飴も美味しいですね、お茶請けにもできそうです」
完成したらウィリアム様にお渡しします
「せっかくなので指輪にしていただいたのですがどうでしょうか?」
そしてウィリアム様からは首飾りをいただき身につけます
「綺麗ですし嬉しいですね、似合ってますでしょうか?」
●むすびましょう
「リトル・ボンボンのアルダワ店か。久しぶりに来るなぁ。飴玉はもう卒業しちゃったし。でも、案内くらいなら出来るよ」
昔と変わっていなければ、とオリビア・ドースティン(西洋妖怪のパーラーメイド・f28150)に呟いたのはウィリアム・バークリー(“ホーリーウィッシュ”/氷聖・f01788)だった。
「キャンディのお店ですが素敵な雰囲気のお店ですね、これは期待できそうです」
「それに今日は特別な日みたいだし、ぼくも楽しんでみようかな」
「では共に、楽しんで参りましょう」
二人の目的と仕上げてもらいたいものは決まっていた。ゆっくりとした足取りで、向かう先は確と加工受付のカウンターへと向かう。
「内容をお伺い致します」
「ぼくは、氷砂糖で水晶を作ってもらいたい」
――オーバル・ブリリアントカット、周囲にそれよりも小さな半球型の氷砂糖を囲む様に配置した、金の首飾り。其れは、隣にいる彼女、オリビアへと送るもの。一切の妥協はせず、拘り抜いたものを挙げたいと思ったから其れは出来るかとケットシーへと尋ねた。
「お願い出来るかな?」
ウィリアムのオーダーを受けてスケッチブックにざかざかと描いていくケットシーはこのような感じでしょうか、と彼に見せる。大丈夫です、と了承をウィリアムから得ればケットシーは身体をオリビアの方へと回転椅子ごと向けた。
「其方のお客様の内容をお伺い致します」
「このようなものをご用意したのですが……」
言葉で話すよりも、絵にしてみた方が早いだろうとオリビアは一枚の紙を取り出した。
「飴細工の指輪です。デザインは氷の結晶のようなものを希望します」
「ふうむ」
「このようにしたのですが大丈夫でしょうか?」
「時間は掛かるが、できるとも」
暫しお待ちを。オーダーシートを2枚持って奥へと消えて行ったケットシーを二人は見送り、身近にあった飴を摘まんで二人は顔を見合わせた。
「この飴美味しいですね、お茶請けにもできそうです」
「じゃあこれも買っていこうか。今度のお茶請けに出してくれるかな」
「はい、ウィリアム様がそう仰るなら」
「――お会計は併せてでよろしいですかな?」
暫し、と言われたのも束の間。先程奥へと去ったケットシーが二つのアクセサリーを黒の天鵞絨トレイに載せて戻ってきた。御手に取ってご確認ください、と二人に差し出すとウィリアムはそれを見上げるとケットシーはお会計の準備をしてまいりますと下がって行く。
「うん、さすがいい出来。オリビア、着けてみて」
「はい。それでは此方も着けて頂けますか?」
右手の薬指に嵌めた銀色の指輪は氷の結晶の意匠がきらりと輝いて眩い。
「せっかくなので指輪にしていただいたのですがどうでしょうか」
ウィリアムの様子を窺うオリビアの首元には彼から貰った首飾り。彼女の金色の髪と、金色が眩くて美しく見えた。
「綺麗ですし嬉しいですね、似合ってますでしょうか?」
「よく似合ってるよ、オリビア。気に入ってくれた?」
ええ、と頷いたオリビアの頬は紅く染まって。ウィリアムの左手を握って、肩を寄せた。
「指輪も良い具合」
――早く左手の薬指にはめたいね。頬が赤く染まっている彼女の耳元で囁けば、ええ、と確とした静かな答えが返ってきた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ミルナ・シャイン
ジゼル(f34967)と。
まあ、宝石が降ってくるみたい…!
雨の季節に誕生日を迎えるジゼルと一緒に来れてよかったですわ、と楽しそうに歌い出すジゼルを眺めて微笑む。
合いの手を入れるように「わたくしはチョコミント(味)!」
チョコミント大好きですの!
ミントとチョコレートのマーブル模様がとっても綺麗…まるでターコイズ(トルコ石)のようですわ。
このまま食べてもよいのですけれど、ティアドロップの形にしていただいて、指輪を2つ作っていただけます?
見栄えがするように少し大きめの飴で…
一つはジゼルにプレゼント。お友達の印ですわ。ふふ、お揃いですわね。
たしかにもとは飴ですけれど、食べてはいけませんわよ?
ジゼル・サンドル
ミルナ(f34969)と。
飴が、降る…!
しかも好きな味のキャンディも作ってもらえるのか!
ときめきのあまり歌い出す「飴に歌えば♪」
『キャンディ美味しいな〜キラキラ光る甘い宝石〜色んな味があるよ、何を食べよう?』
「わたしはチョコレート(味)!」
チョコレート大好きだからな!
できたら大きいキャンディにしてもらえると嬉しいのだが(そわそわ)
(チョコレートキャンディコロコロ)チョコレートが長く味わえるみたいで嬉しい…
ミルナはチョコミントか、それも美味しそうだな。
む、指輪にしてしまうのか?
なるほど、友達の印か。お揃いの指輪…可愛いな。
…しかしあれだな、こうして指に嵌めていると食べたくなってしまうぞ。
●なないろのかがやきはそらに
「飴が、降る……!」
「まあ、宝石が降ってくるみたい……!」
フェアリーたちがあめの欠片をぱらぱらと空から落とし、天窓からの陽射しを受けてキラキラ輝いているのをジゼル・サンドル(歌うサンドリヨン・f34967)とミルナ・シャイン(トロピカルラグーン・f34969)は目を輝かせて見上げていた。魔法みたいな出来事が本当に目の当たりにできるだなんて、夢の様だと思っていた。しかも、好きな味のキャンディも作って貰えるとくればジゼルの胸はときめいて音が、言葉が自然に溢れてくる。
曲の名は「飴に歌えば」。雨の季節に誕生日を迎えるジゼルと一緒に来られて良かったとミルナは歌い出した彼女の嬉しそうな顔を眺めて微笑む。
「キャンディ美味しいな~キラキラ光る甘い宝石~色んな味があるよ、何を食べよう?」
ミルナに顔を見合わせてみれば、笑顔でこう答えた。
「私はチョコレート!」
「わたくしはチョコミント!」
合いの手を入れて答えてくれたミルナにジゼルの笑みが深まる。それはいきなり歌い出した自分に答えてくれたのもあるけれど、自分の好きなチョコレート。そして彼女が答えてくれたチョコミントもまたチョコレートで、同じチョコレートの仲間だったから。
「チョコレートとチョコミントですね~、チョコレート味とチョコミント味って好みが分かれるのですがお二人はお好きなんですね~?」
のんびり屋のケットシーがオーダーシートに書いて、ゆっくりと顔を上げたのちに首を傾げた。
「チョコレート大好きだからな!」
「チョコミント大好きですの!」
「あ、できたら大きいキャンディにしてもらえると嬉しいのだが……」
そわそわと落ち着かない様子のジゼルに向かったケットシーは柔く微笑む。
「お口に入るサイズにはなりますができるだけ大きいのをお願いしておきますね~」
暫しお待ちを~。そう言われたものの、其れは直ぐにやって来た。
ジゼルのチョコレート味は茶色と銀色の艶やかな飴。口に入れるには少々大きかったけれども、出来立て故にまだ柔らかい飴をかり、と噛んでしまえば中からはチョコレートがとろりと溶けだす飴で、口の中でころころと転がしていた。
「チョコレートが長く味わえるみたいで嬉しい……」
ミルナのチョコミントはミントとチョコレートのマーブル模様になっているもの。まるで宝石、ターコイズのようですわと彼女は目を輝かせていた。そのまま食べるのも良い――けれど彼女は躊躇っていた。
「ミルナはチョコミントか、それも美味しそうだな」
「……このまま食べてもよいのですけれど、ティアドロップの形にしていただいて、指輪を二つ作っていただけます? 見栄えがするように少し大きめの飴で……」
「む、指輪にしてしまうのか?」
「ふふ、折角ですもの」
「できますよ~少々お待ちを~」
――此方は時間が掛かったものの、本当に少々。天鵞絨のアクセサリートレイに乗せられた指輪は大きめなティアドロップのターコイズが乗った指輪。その一つをミルナはジゼルへと手渡し、もう一つは自分の指に嵌めて見せた。
「お友達の印ですわ」
「なるほど、友達の印か」
「ふふ、お揃いですわね」
「お揃いの指輪……可愛いな」
飴と言えばジゼルの中では食べるものだったけれども、こうして指に嵌めて、友とお揃いなのも悪くないと微笑む。けれどもじい、と彼女が見つめる視線は――。
「……しかしあれだな、こうして指に嵌めていると食べたくなってしまうぞ」
「たしかにもとは飴ですけれど、食べてはいけませんわよ?」
友情は食べても消えやしないけれども、できる事なら食べて欲しくは無いとその指先の輝きをミルナは見つめていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『『宝石』煌めきの頂点』
|
POW : ジェムバレット・ファランクス+不死の紅玉
【1秒間にLv×千発の、目標に確実に命中す】【る。超威力の宝石で攻撃する。又、不死(死】【亡後に敵の身体を燃やし尽くし復活)の効果】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 煌めきのダイヤモンズ
自身が操縦する【宝石人形を1秒間に50体を連続創造し、そ】の【宝石を強化する事で、人形の剣による攻撃力】と【あらゆる攻撃にほぼ無敵の防御力・耐久力】を増強する。
WIZ : 廻天と星罪の宝石
全身を【偶然的な幸運で、敵の行動を失敗させる術】で覆い、自身が敵から受けた【敵意に応じ、傷として敵の身体に刻み、敵意】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
イラスト:久蒼穹
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アララギ・イチイ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
リトル・ボンボンの天窓から陽射しが差さなくなり、陽が傾いて顔を隠してしまえば今日はもう店仕舞い。太陽の煌めきで輝いていた宝石の煌めきは人の目に触れない様に。密かに月光を受けて更なる輝きを増すため夜はお店を閉じるそうだ。
扉は閉ざされ、店内には誰もいない。静寂な暗闇と小さな煌めきだけが漂っている――筈だった。
「ああ、美しい……。闇夜に輝く宝石の煌めき。私が求める最高の宝石。至高の宝石。……それはこれかしら」
ゆっくりとその扉を開けて、出てきた女の手には掌大のダイヤモンドを手にしてうっとりと微笑んでいた。数多の宝石を身に着けた服、背からゆっくりと伸びる樹木には宝石が実り、その煌めきは周囲が闇夜にも関わらずに明るく灯される。
「太陽の下で輝く宝石も美しいが闇夜でも煌く宝石もいっとう美しい……おや?」
猟兵達の手元に抱えられた数多の煌めきを女は目にした。――欲しい、その輝きを手にしたい。自分のものにしてしまいたいと手を伸ばす。
「ふふ、その宝石は食べられるのかい? ならば口に含んでしまうのも悪くないね。至高にして最上の宝石とは誰にも手に入らないから美しく、眩く、手を伸ばしてしまうのだろうね」
女は手にしたダイヤモンドを空に放り、眩い灯りをともした。
「君たちの其れにも興味がある。ゆっくりと聞かせておくれ。――それとも、私を宝石泥棒として、戦うかい?」
まあどちらでも良い。そう呟いた女の背には数多の煌めく宝石達が空に浮かんでその矛先を猟兵達に向けていた。
「手を出されれば手を出す。それまで。口を出されれば口を差し出す。何も悪い話ではないだろう?」
女――「宝石」煌めきの頂点は杖を構え、唇には弧を描いて猟兵達の返答を待っている。
ウィリアム・バークリー
オリビア(f28150)と
美しい宝石を沢山お持ちですね。閉店した薄暗い店内より、月光の元でこそ一際妖艶に輝くと思いますが、いかがですか?
では、討滅を始めましょう。
「全力魔法」氷の「属性攻撃」「範囲攻撃」でIce Blast! 広範囲の地面から突き上げる氷の刃、どういなしますか?
ああ、ちょっと痛みが返ってきた。大した傷じゃないけど。
ぼくは猟兵ですが、敵意に乏しいって安倍晴明公に指摘されたこともありまして。
「氷結耐性」で凍土に適応。場を味方につけました。あなたの『幸運』とぼくの魔術、どちらが勝るか、試してみませんか?
オリビアと分身の突撃時は、突き上げる氷刃で逃げ場を塞ぎ。
オリビア、足下気をつけて。
オリビア・ドースティン
【同行者:ウィリアム・バークリー(f01788)】
「ウィリアム様に同感です、月光のある外へ行きませんか?」
「主人の為にあなたを排除します」
ウィリアム様の攻撃を援護する為、心からの援護で別人格の私を呼び出します(黒メイド服のキキーモラ)
「厄介な効果が多いみたいですが連携でカバーしましょう」
別人格が発射した追尾弾を追うように氷の刃と連携しつつ息の合ったコンビネーションで攻撃します(氷刃を障害物として追い込みつつ可能ならば生命力吸収でダメージを軽減します)
相手の攻撃は見切り・第六感・オーラ防御などで対処します
敵意に反応したカウンターなので敵意よりも職業意識(忠誠心)で行動していきます
●
「美しい宝石をお持ちですね。閉店した薄暗い店内より、月光の元でこそ一際妖艶に輝くと思いますが、いかがですか?」
「ウィリアム様に同感です、月光のある外へ行きませんか?」
静かに開いた扉から姿を現したウィリアム・バークリーとオリビア・ドースティンの言葉に『宝石』煌めきの頂点はおや、と声を漏らした。
「それはそれは。宝石の浄化も時に必要なものだものねえ。どれ」
二人に誘われるまま『宝石』煌めきの頂点はその姿を月光に晒す。自身の背に生えた大樹は扉を潜り抜ける際にひとときは縮んだものの、月光の下ではその大樹を伸ばし、枝先の宝石達は煌いていた。
「では、討滅を始めましょう」
「主人の為にあなたを排除します」
ウィリアムがとんとん、と爪先と踵を地面に軽く叩いて。オリビアが瞼を伏せて手を組み合わせれば。周囲の空気は冷ややかなものへと変わり、白き冷気が漂い地面から黒いメイド服のキキーモラの霊が浮遊していた。彼が膝を軽く上げてどん、と先程よりも強く爪先で地面を叩けば足元から空気中の水分が凍り、冷気が走って行く。黒いメイド服のキキーモラも其れに追う様に追尾弾を放ち、全力魔氷による無数の鋭利な刃が広がって、爆発によって魔氷は硝子の様に飛び散らせた。其れらは『宝石』煌めきの頂点の服を、体を切り裂き、燃やして行く。
「ふふ、痛い。痛いなあ。そうするのであれば、私はそれ相応に君に還すだけさ」
『宝石』煌めきの頂点の辺りに煌くのは幸運を示すペリドットの翠の煌めき。
「これにて示すは幸運の煌めき。如何なる不運も通さないさあさお還り。君らのもとへ!」
「!」
確かに『宝石』煌めきの頂点の体を傷つけた。けれども其れと同じ位置に、傷が、痛みが二人の身体を走る。
「ああ、ちょっと痛みが返ってきた。大した傷じゃないけど」
嘗ての敵にもウィリアムは言われた事がある「敵意に乏しい」と。敵意を傷に返還して返すのであればそのような傷を受けても別に大したものではない。
「厄介な効果が多いみたいですが連携でカバーしましょう」
確かにオリビアも傷ついている。けれどもこの方となら何も痛くない。地面から生えた魔氷の刃とその欠片は『宝石』煌めきの頂点を囲い込み逃げ場を失くし、彼女は生命力吸収でダメージを容易に軽減させていた。
「ほう? だがこの凍土にも似た地を貴殿らはどう過ごす?」
杖を振るい上げて、オリビアの方へと投げられる。
「凍土ならぼくらの味方さ」
「何だと?」
「あなたの『幸運』とぼくの魔術、どちらが勝るか、試してみませんか?」
「ふん。だとしても彼女はどうかな!」
寒さ故に悴んだ手と体による力の緩み、手を滑らせたかのように投げられた杖はオリビアの顔の横を通り抜けていくだけ。
「ウィリアム様、あの方の攻撃はもう見切りました。――寒さよりも、暖かなものがありますから」
隣にいるあなた。傷ついても尚力強く立っているあなたを護る為に。黒いメイド服のキキーモラと共にオリビアは『宝石』煌めきの頂点に向かって突撃しようとしていた。去ろうにも氷刃は『宝石』煌めきの頂点の体を刺して逃げ場がない。その衝撃が襲い掛かって、より一層氷刃は『宝石』煌めきの頂点の体に突き刺さる。一歩下がって、ウィリアムの元へと戻った彼女は彼の顔を見上げる。
「お怪我はございませんか?」
「僕は無いよ。それよりもオリビア、足下気を付けて。今日はいつもよりも冷えるから」
「お気遣いに感謝致します、ウィリアムさま」
嗚呼だって。あなたとなら永久凍土の上でもダンスを踊れますもの。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ローズ・ベルシュタイン
アドリブや他猟兵との連携歓迎
■心情
宝石を手に入れたい、ですか。
綺麗な物を集めたい気持は分かりますけど
他人の物にまで手を出してはいけませんわ。
幸福は横取りするものではありませんわよ。
■行動
風嵐薔薇矢雨(UC)を使用して戦いますわね。
【属性攻撃】で風と樹属性を強化し、【破魔】を込めてUCを放ちますわね。
【スナイパー】で狙いを定めて矢を放ち、攻撃していきますわ。
【マヒ攻撃】も織り交ぜて攻撃していき、敵の動きを封じていく様にしながら
戦いますわね。
敵のUCに対しては、私の方も【幸運】で対処して
行動が失敗しない様に注意していきますわね。
「さぁ、盗んだ宝石は返させて頂きますわね」
●
宝石を手に入れたい。ローズ・ベルシュタインにとって其の気持ちは理解できるものだけれども他人の物にまで手を出す程ではないし、其れはやはり理解できないものだった。
幸福は横取りするものではなく、与えられる者が与えれば良い。それを求める者が与えられれば良い。――ノブレスオブリージュ。高貴なる者、ローズにとってはそうあるべきものだと思っているからこそ、『宝石』煌めきの頂点の行いは到底許せる筈もなかった。
「貴方の行いは間違っていますわ」
「至高のものを手に入れるためなら私はどんな事だってするだけさ。それの何が悪いのかしら?」
「宝石という高貴な物を身に纏うのに貴方は相応しくありませんわ!」
「私を否定するというのなら、それ相応の覚悟はできているのかしら」
敵意を露わにしたというのならば敵意を返すまで。『宝石』煌めきの頂点は杖を構えてくるうりと円を描いて自分の身を守る宝石を纏う。翠のペリドット、不運から跳ね除ける幸運の輝石であった。
――風が吹き、木の葉は揺れる。芽吹きの雨を届ける風と蔦葉の新緑を纏い、邪を払う気を纏った六百二十五本の矢が『宝石』煌めきの頂点に向かって放たれる。ローズの狙いは『宝石』煌めきの頂点の心の臓。一点に狙いを定めて放つその矢は強固なものとなった。
「そんなもので私を倒せると、……?」
不思議な感覚に『宝石』煌めきの頂点は違和感を抱いた。杖を振るった『宝石』煌めきの頂点の指先が痺れて動かない。其れはローズの風と新緑に織り交ぜられた痺れを纏ったものが『宝石』煌めきの頂点の体を侵食していた。
「いくら不運を跳ね返す輝石も、状態異常には適応していないようですわね!」
「小癪な……!」
それでも向けられた敵意を跳ね返す力は残っている。ローズが『宝石』煌めきの頂点に向けた敵意はそのまま体に刻まれていくけれども、相手が幸運ならばと自身の運を持って手を滑らせない様に、確実に矢を射た。
「さぁ、盗んだ宝石は返させて頂きますわね」
「はは、渡さない。この輝きは、私だけのものさ……!」
既に膝を突いてしまいそうなのに。杖に頼らないと立っていられない程なのに。それでも往生際が悪い『宝石』煌めきの頂点をローズは見下ろしていた。その手から零れ落ちる宝石の輝きが落ちるまで、あと僅か。
大成功
🔵🔵🔵
ネェル・ユピカ
アドリブや他猟兵との連携歓迎
うーん、困ったなぁ。ボクの元にある飴は、故人に捧げる為に頼んだものだ。分け合うことはできない。お供え物には手を出すべきじゃないだろう?
一応、相棒に付けていたブローチを相手の気をひくために手に持っておこう。
お店のものが壊れるのは良くないよね。宝石を壊したくなければこの人も移動してくれるかな?
相手の目的である宝石のようなブローチをおとりにして相棒の「不意打ち」を狙ってみるよ。反撃は「受け流し」と「見切り」で対応。正直戦闘は得意じゃないからあんまり戦いたくはないかなぁ。奪いにくいとかで諦めてくれたら助かるんだけれど。いっそ誰かの手を借りたいくらいだよ。ね、相棒?
●
「うーん、困ったなぁ。これは貴方にあげられるものじゃないんだよね。これはお供え物なんだ」
ネェル・ユピカの元にある飴は、故人に捧げる為に頼んだものだ。それを頂戴、と言われて渡せやしないし、分け合うことはできない。相棒と呼ぶ絡繰人形から優しくブローチを取り、手にしておくと『宝石』煌めきの頂点の視線は其の掌の中へと動く。
「――お供え物には手を出すべきじゃないだろう?」
そう学ばなかったのかな、と首を傾げると『宝石』煌めきの頂点ははは、と笑みを零した。
「至高のものはその価値を知っている者が手にしているべきだと、そう思わないかい?」
「分からない、かな」
店の物が壊れるのは良くない。店から距離を取る様に後退りしたネェルと相棒に、彼等に近付くために『宝石』煌めきの頂点は店から離れていく。
「でもさ、本当に欲しいなら頑張ってその手を伸ばしてみてみてもいいんじゃないかな?」
手にしたブローチを空に放って、『宝石』煌めきの頂点の視線を空へと移させた。――そのブローチは囮。ネェルは糸を手繰り、相棒は『宝石』煌めきの頂点の足元に滑り込んで足を払っていく。
「何ぃ……!」
手にした杖の先端で相棒の足を攻撃するも彼はその杖を見切らして、受け流していった。本来、戦闘は得意ではない。故にあまり戦いたくは無かったけれど話を聞いているだけだと埒が明かなさそうだったから戦いをしたまで。空に放ったブローチは再びネェルの手の中へと転がって行く。いっそ誰かの手を借りたかったけれども、それも叶わないならば。
「僕たちでなんとかするしかないね。ね、相棒?」
頷きもしない相棒に視線を向けても返事は無い。既に傷だらけで、目には宝石しか映っていない『宝石』煌めきの頂点は相棒の手に因って崩れ落ちていく。
きらきら輝く宝石達はぼろぼろと零れ落ちて。その大樹は萎びて枯れて崩れ落ちて。
石ころと、枯れ葉になっていく。
砂の様に散り、去っていく『宝石』煌めきの頂点の姿をネェルと相棒の瞳はただ見つめていた。
成功
🔵🔵🔴