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エキシビジョンマッチ~再現KING宝珠で決戦ですわー!

#デビルキングワールド #戦後 #7thKING決定戦 #西のラスボス『アイスエイジクイーン』

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#戦後
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#西のラスボス『アイスエイジクイーン』


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「料理に特化した悪魔はここへ……植物に特化した悪魔は……」
 怪しげな研究所。
 装備している氷の鎧を溶かしたアイスエイジクイーンは、中に封じ込めていた絶滅悪魔軍団を整理していた。
 特定の能力に特化した悪魔が、怪しげな機械で混ぜ込まれ、融合され、一つの宝珠となっていく。
「お~っほっほっほ……!数々の悪魔達と協力して遂に完成しましたわ……!」
 出来上がった、悪魔が凝縮された6つの意思を持つ宝珠を見て西のラスボス、アイスエイジクイーンは微笑んだ。
「見てなさいませ猟兵の皆様方。8thKINGの座はわたくしが頂きますわ!」
 アイスエイジクイーンの周囲には、6つの輝く宝珠が浮いていた。


 ここはグリモアベース。
「アイスエイジクイーンお姉さんから招待状?が届いたの」
 グリモア猟兵のポーラリア・ベル(冬告精・f06947)は画面に内容文を映し出す。

『デビルキングワールドの戦争を勝ち抜き7thKINGの座を手にした猟兵の皆様方へ。
 この度はわたくしの絶滅悪魔軍団を改良に改良を重ねて『KING宝珠』の力を再現することに成功しましたわ。
 覚えてますかしら。1stKINGの『ガチデビル』様方を。彼の者が他のデビルキングの力を解析してその力を宝珠として身に纏っていたアレですわ。アレをわたくしも取り入れたのですわ。
 この力で色々ワルワルしたいので、どこまで魔界の悪魔達に脅威たらしめられるか、手始めに7thKINGである猟兵様方とエキシビジョンマッチ(特別戦闘)をして手応えを感じたく挑戦状を叩きつけますわね。
 魔界はバスジャック平原の辺りでこの世の終焉めいた氷河期にしながらお待ちしておりますわ。
 P.S.カシオリを持ってきなさい。良いカシオリを持ってきなさい。』

「つまり戦闘の招待状みたいなの。もしよかったら戦いに行ってくれる?」
 ポーラリアはそう言うと、グリモアを展開して光を放ち、猟兵を転送していく……。
「以前倒したラスボスさんだけど、ガチデビルさんの時のギミックを持ってるならつよつよかもしれないわ!特に世界の危機とかじゃないけど、気をつけてね!」


「お~っほっほっほ!猟兵達が来るのが待ち遠しい事ですわ!」
 氷漬けの野生バスが無数に突き立てられた、吹雪吹きすさぶ氷河期の様な氷の世界と化した大地…………。
 否。
 まるで氷で出来た薔薇園の様な冷たき色の茨の庭と化した大地の中心で。
 アイスエイジクイーンは光る宝珠を纏って佇んでいる。
 きらきら舞う雪の中、氷の花が絶えず氷の茨の中から咲き続けている。

「引用元のガチデビルを倒した猟兵故に油断は致しませんが……今のわたくしにはあの『KING宝珠』がついていると思うと心強くて仕方がありませんわ。」
 そう言いながらアイスエイジクイーンの口元においしそうなかき氷が宝珠から運ばれる。
「2ndKINGの『料理』3rdKINGの『植物』4thKINGの『頭脳』5thKINGの『守護』6thKINGの『ビーム』」
「……そして、お忘れかもしれませんがガチデビルもまたデビルキング。
 1stKINGの『契約』の再現KING宝珠もまたここに……!」
 そう、ガチデビルの時と違い、今のアイスエイジクイーンには6つのKING宝珠が展開されているのだ。
「この力を持って猟兵達の力さえも従えてしまいますわ!その展開を思うと……わたくし……わたくし……」
「お腹からビームが出てしまいますわー!」
 凄まじい轟音と共に破壊力満点のビームがアイスエイジクイーンのお腹から放たれた。
 戦場を一時見事に吹き飛ばし、向こうの方にあった山とかが爆ぜ飛び、氷の花びらが舞う。
「さあ、さあ、来てくださいまし猟兵の皆様方!ラスボスと化したラスボス、ガチアイスエイジクイーンとなったわたくしと勝負ですわよ!」
 再び氷の薔薇園が作り出される静かな氷原の中で、これから猟兵が来るであろう方向へアイスエイジクイーンは決めポーズを取るのであった。


古塔
 古塔と申します。宜しくお願いします。
 目的:アイスエイジクイーンをしばく。

●行程
 1章は中二病な堕天使っぽい悪魔との集団戦です。
 どうやら決戦のにおいを嗅ぎつけ戦いの割り込みに来ているようです。
 彼女らはアイスエイジクイーンの『四天王』を名乗っており、超ワルカッコいいものをひたすら自慢し、四天王しぐさを使ってきます。
 四天王しぐさに則る為、彼女らは集団戦にも関わらず1対1で戦おうとしてきます。
 その分素の実力はボス戦級に強いです。

 2章にてアイスエイジクイーンとの決戦になります。
 戦場は氷の薔薇園と化したバスジャック平原です。

●今回のアイスエイジクイーン
 アイスエイジクイーンの『絶滅悪魔軍団』の力によって、ガチデビルのKING宝珠を再現しています。
 ・絶滅悪魔軍団が凝縮された宝珠はアイスエイジクイーンの周囲を飛び回り、アイスエイジクイーンを全力でサポートしています。これらを1つでも破壊しないとえらく強いアイスエイジクイーンと戦う事になります。
 ・宝珠を壊しても猟兵の味方にはつきません。
 ・宝珠の能力はアイスエイジクイーン風にアレンジされています。
 ・(重要)アイスエイジクイーンは1stKING『ガチデビル』のKING宝珠まで再現しています!

●宝珠の内容
 1stKINGの『契約』
 「仲間になってくれたら魔界の半分をやろう」等の美味そうな『悪魔契約の声』が、戦場全員の脳内に流れ込んできます。
 少しでも心が揺らぐと『契約』となり、アイスエイジクイーンに寝返ってしまいます!
 2ndKINGの『料理』
 冷たくて美味しい料理を絶え間なくアイスエイジクイーンの口に運んできます。
 料理を食べてる限りアイスエイジクイーンのダメージは回復し続けます。
 3rdKINGの『植物』
 戦場に凍てつく氷の茨が、庭園の様に生い茂り続けます。
 この氷の茨はアイスエイジクイーンにはノーダメージです。
 4thKINGの『頭脳』
 アイスエイジクイーンは、この宝珠がある限り常に頭が冷え続け冷静でいられます。
 その為精神攻撃系の一切を防ぎます。洗脳とかも効きません。
 5thKINGの『守護』
 率先してこの宝珠が猟兵からの攻撃を防ぎ続けます。
 他の宝珠よりも格段に硬いです。
 6thKINGの『ビーム』
 お腹からビームが出ます!!!
 高精度、高威力。破壊光線と冷凍ビームを撃ち分け可能です。
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第1章 集団戦 『黒光輪秘密話術教団』

POW   :    私のダークネスクロニクルに触れさせてやろう
自身が【当人にしか意味の通じない日常話をして】いる間、レベルm半径内の対象全てに【理解しようとすること】によるダメージか【雑な相槌で受け流して休憩すること】による治癒を与え続ける。
SPD   :    良くお聞きなさい、わたくしこそは~
【自身の考えたできるだけ難解な名乗り口上の】時間に応じて、攻撃や推理を含めた「次の行動」の成功率を上昇させる。
WIZ   :    我々の崇高なる言葉はわからぬだろう……多分
【ごく普通の辞書や辞典】から、対象の【聞いた者を困惑させたい】という願いを叶える【謎用語】を創造する。[謎用語]をうまく使わないと願いは叶わない。

イラスト:透人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 絶望を予感させる様な氷河期の如く凍り付いたバスジャック平原の中で、漆黒の堕天使の様な悪魔が降り立った。
「ラスボスがラスボスの力を手に入れた……終焉なる最終定理の道は開かれた」
 彼女らは漆黒の際どい衣装を風に振りながら次々と口上を垂れる。
「この戦いは我らがダークネスクロニクルの手記の一つとならん。崇高なるラスボスに付き従うは終焉暗黒虚無境界(ダークネスカタストロフィバース)の使途たる崇高なる最強の僕……。」
「かの終焉の絶対零度氷河の姫の足元にすら及ばぬ事をその身で分からせてあげよう!」
 紅く染め上がる漆黒の翼を羽ばたかせながら、堕天使の悪魔は猟兵達に立ちはだかった。
「汝らの敗北は必定。だか戦いとは常に様式を持つもの。」
「これよりは四天王儀式(エリート・プライマル・デュエル)の掟に則り、双方1対1との戦いで受けて立とう!」
 ……1体ずつかかってくるようだ!

※こんな事言ってますがちゃんとデビルキングワールドの住人です。オブリビオンでは無いです。
輪道・骸丸
まさか拙者の初任務がオブリビオンでもない者との戦いになるとは・・・・これは拙者の力を試す絶好の機会でござるな。
1対1となると拙者の能力を活かせる好機・・・・今回は「骸の加護」でがしゃどくろを呼び出し、纏い、鬼火で迎え撃つとしよう。鬼火は僅かながら「誘導弾」の技能によって若干誘導能力が高くなっているのでござる。ひとまずはこの鬼火攻撃で小手調べでござる。その後のアイスエイジクイーン殿との戦いに参加できるかはまだ分からぬでござるが、ひとまずはこの者どもの相手をせねば・・・・!




「1対1となると拙者の能力を活かせる好機‥‥一番矢として拙者が相手にござる。」
 極彩色の如き緑のフード付きの忍び装束を纏う、蝙蝠の翼と狐の耳尻尾を生やしたキマイラの少年の忍者が現れた。
「いいだろう。我は黒光輪秘密話の……」
 それに呼応して堕天使の悪魔が一人進み出る。
「拙者は輪道・骸丸(髑髏鎧う忍者少年・f36180)。参る!」
 骸丸はその身に巨大な骸骨の妖怪『がしゃどくろ』を纏い、戦闘を開始した。

「まさか拙者の初任務がオブリビオンでもない者との戦いになるとは‥‥」
「これは拙者の力を試す絶好の機会でござるな。」
 骸丸は大量の鬼火を弾幕の様に放つ。
 堕天使の悪魔は何らかの本を懐から取り出すと、
 弾幕に呼応して暗黒に輝く、邪悪そうな槍を無数に宙に浮かべて放つ。
「これなるはマスアブソリュートクロノカオスブリンガー……渾沌を時空振動により空間に固定し指向性を与える事で絶対的な軌道を起こし対象と遮蔽物を完全に貫通する暗黒渾沌の無数槍……貫かれた者は存在を湾曲されこの世の果てに到達した後宇宙の果ての対消滅を起こし」
 邪悪な槍と鬼火の弾幕がかち合う。
 色々言っていたその暗黒槍は特に貫く事も無く、猟兵の放った炎と相殺されると派手な爆発を起こして消滅。空に無数の爆発が生まれる。
「ひとまずはこの鬼火攻撃で小手調べでござる。」
 その内鬼火は槍の弾幕を押しのけて、堕天使の悪魔に命中しようとする。
 しかし、堕天使の悪魔の周囲の空間が歪み、鬼火の弾丸は歪んで消えた。
「無駄だ……我が永久黄昏領域(エターナルレクイエムスペース)はあらゆるものが消滅するまで永遠の時間を引き延ばされて我に届く事は無い……」
「厄介でござるな‥‥ならば!」
 骸丸は先程同様、しかし爆発力を強めた鬼火弾幕をラッシュで放つ。
「爆発による拡散超越範囲(ホーネットトランセンエンゲージ)で我が槍を超えるつもりか……!だが我の永久黄昏領域(エターナルレクイエムスペース)と渾沌(ミキシング)することによりその爆発は永遠に届く事は」
 等と言っている内に骸丸が直接、堕天使の悪魔に飛び込み切迫する。
「そのスペースとやらを超えた本体に拙者の鬼火を発生させれば如何に!」
「考えたな……!だが見えるか、我が身に纏う見える事無き鎖を。これなるは力を制御し増幅させる」
 邪悪な鎖を纏い始める堕天使の悪魔の声も聞かず放たれる鬼火。
 だがそれは堕天使の悪魔を狙ったものではない。

 その鬼火は悪魔の持つ辞書に命中し、焼き落とした。
「しまった!私の伝説全能魔導呪文紀文書(マクスウェルマスター)が」
 そう、その手に持つ色々とかっこよさそうな単語が乗っている辞書こそがその堕天使の悪魔の力の源。
 何やらよく分からない鎖や領域が消えていく。
「御免!」
 骸丸はその身に纏うがしゃどくろの骨の手を歪な形で伸ばし、堕天使の悪魔を縛っていく。
「忍法・光国縛りの術!」
「ぐああああ!!」
 堕天使の悪魔は骨によって縛り付けられた後、中心に鬼火の爆発を引き起こされ、爆散。
 螺旋を描いて投げ飛ばす長き骨の手によりきりもみ回転しながら焼け焦げた堕天使の悪魔が五体満足で地に落ちて動かなくなった。
「オブリビオンでないがゆえに爆散しても無事とは、奇怪な……。」
 デビルキングワールドの住人は基本的に頑丈なのだ。
 ともあれ、骸丸は障害となる悪魔を倒していったのだった。

「その後のアイスエイジクイーン殿との戦いに参加できるかはまだ分からぬでござるが、ひとまずはこの場を切り抜けたでござる!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

エドゥアルト・ルーデル
ゼハハハハ!かかってこい!この"黒ヒゲ"エドゥアルト様が貴様らを一人ずつ血祭りに上げてくれるわ!

誰にでもそういう時期はあるからな、ノッてあげるのも優しさでござる
という訳でとりあえず【名乗り口上】を腕組みしながら意味深にじっくり聞いてあげるでござ…ご…長くない?

待てぬわ!ある程度聞いた所で視線をスイと向けて【グラビティ】発射!突然発生する爆発!避けられても当たるまで追撃すればよろしい!
ダハハハハッ!何やら大層な詠唱の大技がきそうだからよぉ止めさせてもらったぜェ~拙者は悪党だからなァ~
拙者のこの魔眼がある限り貴様らに拙者は止められねぇ!全てを壊し!飲み込んでやる!


いや魔眼でもなんでもないけどな




 現代。現代。
 ある魔界にパンジャンドラムに寝そべりながら、堕天使の悪魔に切迫するエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)が居りました。
「え……な……?」
 困惑する堕天使の悪魔に、ぱんじゃらこ、ぱんじゃらことカウチポテト体勢でサムズアップしながら迫り来るエドゥアルトは言いました。
「エッドゥなリプレイはお好きですかな?」
「エ、エッドゥ……?」
「エッドゥ」
「エッドゥ……」

「それは一体、どういうリプレイに」
 するとエドゥは親指を目前にかざして大きく目を……
「エッドゥはエッドゥでもEDOの方だがなぁー---っ!!!」
 いや自身の服を引き裂いた!
「何ぃー--っ!!」
 何という事か!服の中からはサムライエンパイア風の殿様服がお目見えしましたぞ!
「何故だ!?」
 何故だ!?
「いや何故でござるか!?」
 何故だ……!

「貴様、何者だ!」
 気を取り直して堕天使の悪魔が男に問うたでは無いか。
「ゼハハハハ!かかってこい!この"黒ヒゲ"(f10354)エドゥアルト様が貴様らを一人ずつ血祭りに上げてくれるわ!」
 迷彩服姿に着替え直したエドゥアルトがパンジャンドラムをその辺に投げ飛ばしながら啖呵を切った。
「ではかかって来てやろう!我が名は」
『グラビティ!』
 エドゥの目が光ると堕天使の悪魔は爆発した!
「ぐわああああ!?」
「口上が長い!」
「タイミングが早いが!!?」
 四天王を自称していた堕天使の悪魔はあまりの展開に膝をつき涙を流した。
「くっ……だが我が力と存在を説明せねば戦う式も立てられぬ」
「そうでござるかぁ~?」
 エドゥはうざたらしく両手をサムズアップで上下しながら堕天使の悪魔にすり寄った。
「そうなのでござる……!」
「では聞いてあげましょう。心行くまで口上を続けなさい」
 正座するエドゥの前で堕天使の悪魔は翼を広げて名乗り出る。
「では改めて。我が名は四天王が一人『常闇漆黒』のサマエル。太古は魔界史1800万年前程に遡るグリマテス神話に連なる神々の転生体。それは12の渾沌(ケイオス)と36の超時空(ハイパーディメンジョン)を従え」
『グラビティ!』
「ぐわああああ!!」
 エドゥの目が光ると堕天使の悪魔は爆発した!
「口上が長い!待てぬわ!」
「くそっさっきからこの爆発は一体!」
「知りたいでござるかぁ~?」
 エドゥはうざたらしく両手をサムズアップで上下しながら堕天使の悪魔にすり寄った。
「知りたいでござる……!」
「では教えて差し上げましょう。これは……『魔眼!』」
「『魔眼』!?」
「『魔眼!』」
「『魔眼』……」
「…………」
「…………」
「どういう『魔眼』だ……?」
「いや……『魔眼!』」
「いやだから、どういう『魔眼』なのだそれは」
『グラビティ!』
「ぐわああああ!!」
 エドゥの目が光ると堕天使の悪魔は爆発した!
「拙者のターンは!!!終わらねぇ!!!」
 エドゥの目が光ると堕天使の悪魔は爆発した!
「拙者のこの魔眼がある限り貴様らに拙者は止められねぇ!!!!」
 エドゥの目が光ると堕天使の悪魔は爆発した!
「全てを壊し!!!!!飲み込んでやる!!!!!」
 エドゥの目が光ると堕天使の悪魔は爆発した!

「し…しかしグラビティとは一体!」
 よろめきながら堕天使の悪魔が立ち上がる。
「グラビティはグラビティなんだよ。知らんのか」
「知らん…!」
「そうか。『グラビティ!』」
 エドゥの目が光ると堕天使の悪魔は爆発した!
「ぐわああああ!!」
 駄目だ!止められん!

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・燦
アタシ達に会う口実作る為に新作開発してるんじゃねーかな
高飛車の裏側の本心を暴くべく、今日もクイーンに付き合うよ
カシオリは夢匣に隠して二章のお楽しみだぜ

そんで今日の四天王は…成程、催眠術の達人だと見切った!
買い被っているとは気づかず、やられる前にやれってことで大理石の剣でチクっとやっておきます
石化の呪詛で大理石像になぁれ!

一応、攻撃行動をされたら武器受けてっと…
戯言は右耳から左耳へと受け流す

聞き入るとヤバい気はするんで心を無にしてバーサーク
待機中の四天王の列に突撃だ
順番待ちを攪乱し、混沌としている内に暴れてやるよ

正気に戻れば仕上げに氷華艶舞で氷の華も咲かせるぜ
んふ、戦が終わるまで氷原を飾ってな♪




「アタシ達に会う口実作る為に新作開発してるんじゃねーかな」
 四王天・燦(月夜の翼・f04448)が現れた。
「カシオリはとりあえずここに隠しておいて……と。高飛車の裏側の本心を暴くべく、今日もクイーンに付き合うよ」
「よくぞ参られた……私はこの終焉の地に舞い降りし新たなデビルキング四天王の一人『万年慟哭のクライア』……!アルティメットギガソロモンに連なる我がスペリオル・ビブリオグリモアブックから奏でられる言霊(ソナタ)を聞くが良い……!」
 開幕から長文で口上を垂れ流す堕天使の悪魔に。
「…成程、催眠術の達人だと見切った!」
 燦はそのような解釈をして相槌を打った。
「貴様、私がただの悪魔詐欺師にでも見えているのか……!?私の(ページをめくる音)ええと、完全言霊(パーフェクト・フルボイス)を聞いた者は五感をこの魔界の空気中に流れる原初の魔力(マナ)と接続されて」
「よくわかんないけど」
 そのような口上を垂れ流している堕天使の悪魔は隙だらけだったのでその隙に燦は近づき。
「石化の呪詛で大理石像になぁれ!」
「なっ……!?」
 チクリと大理石の剣が刺されると、堕天使の悪魔はどんどんその身体を大理石へと変貌させていく。
「……ま……!!」
 あっという間に堕天使の悪魔は大理石の像と化したのだった。

「堕天使四天王の一角、『万年慟哭のクライア』がやられたようだな……」
 氷の薔薇園の戦場で、律儀に列を作っている四天王達がいた。
「だが奴は四天王の中でも一番の小物」
「控えにはまだ97人もの我々が居る。」
「哀れにも大理石の像と化しこの世の『固定万象(フィクス・アペレンス)』と成り魔界を見守る性に目覚めるとは……四天王の恥さら……何っこれは!」
 四天王しぐさで盛り上がっている四天王こと堕天使の悪魔達にも異変が起きる。
 周囲に氷河期の如き冷たい氷の花弁が舞い囲んできたのだ。
「否、待て!これなるは『KING』の力を得たアイスエイジクイーン様の第三の『植物』ではないか!?」
「だ……だが!我らには目通しが済み効かないという事では……裏切られ……!?」
「否、否!アイスエイジクイーン様は我々をも『固定万象(フィクス・アペレンス)』としてこの世の『贄』にしようとしているのでは」
「いやまあ全部ハズレなんだけどね。アタシの氷河期魔法を喰らいな」
 並んでいる四天王達に向けた燦のユーベルコードだ!
 全てを凍てつかせる花弁が堕天使達の身体に付くと、そこから氷の花を咲かせていく。
「ま、待て!待ってくれ!我々は全て火曜星の子にあれば」
「そんな催眠術、聞いてかかる前にやっつけるってね!」
「……!」
「…………!」
 なすすべもなく堕天使の悪魔達は凍てつき、次々と氷の花が咲く氷像へと変わっていったのだった。

「んふ、戦が終わるまで氷原を飾ってな♪」
 そうして燦は戦場の先へ行く……。

成功 🔵​🔵​🔴​

テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

か…かなり癖のある住人さんなのです…!?
しかし、ここは負けていられません!
【全てを凍てつかせる小さな妖精】さんをこっそり召喚…相手には悪いですが長ったらしいセリフを言い終わる前に隠れていた妖精さんの奇襲で氷像に変えてしまいましょう!
…その程度なら死にはしませんし、しばらくは静かにしてましょうね~?

と、何度も同じことばかりして暇を持て余した妖精さん…やはり悪戯好きなのかおもむろに私に触れて…ひぁっ!?寒っ…ぁ…
(氷像と化す兎、ついでに相手もちゃっかり凍らせてしまう妖精さん)




「か…かなり癖のある住人さんなのです…!?」
 テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)はその朱と漆黒の堕天使達に困惑する。

「しかし、ここは負けていられません!」
 するとテフラは手のひらから『全てを凍てつかせる小さな妖精(アイシング・フリーズ・フェアリー)』を召喚した。
「来たな選ばれし猟兵(イェーガー)の者達よ。だが我々も悪魔王(デビルキング)の礎となる第423悪魔王国よりの使途。ひいては氷河期女王へと自ら体を馳せ参じさせる四天王の……うひゃあっ!?」
 四天王である堕天使の悪魔がスペルブック(辞書)で何やら唱えていたが、その隙にフリーズフェアリーは悪魔に抱き着き、その身を凍らせていった。
「な、なんだこれは!やめろ!くすぐるな!つ、冷た…凍ってる!?うわ!た、助け――」
 瞬く間に内側から、堕天使の悪魔の身体はカチコチの氷漬けになって言った。
 噴き出る冷気。堕天使の悪魔の服の隙間から、ひょっこりと氷の妖精が顔を覗かせ、てへっと微笑みをテフラに返した。
「…その程度なら死にはしませんし、しばらくは静かにしてましょうね~?」
「四天王は『夜空』のグラナダがやられたようだな……だがこの僕はうひゃんっ!?」
 次に現れた堕天使の悪魔にも氷の妖精が入っていき、ぷしゅうと冷気が体から吹き上がると、瞬く間に冷え上がって氷像と化した。
「どんどん凍らせていきましょう~」
 その次の四天王も。
 その次の四天王も。
 テフラが指示するままにアイシング・フリーズ・フェアリーは堕天使の悪魔を凍らせていった。

 次第に、飽きたような表情を妖精は見せた。
「流石ね!でも私はそうはいかないわ!私は四天王の――」
「さあ今回もお願いします妖精さ――ひゃあっ!?」
 突然テフラは後ろから押されたような衝撃と共に、堕天使の悪魔に抱き着いた。
「えっ、何急…に…!?」
「…ひぁっ!?寒っ…ぁ…」
 氷の妖精の悪戯だ!
 いつの間にか増えていた氷の妖精が、二人を両側から触って冷気を放ち、凍らせていっている。
「…………」
「…………」
 たちまち出来上がった、魔界で抱き合う堕天使と兎獣人の氷像。
 次の戦いになるまでの間、溶ける事無くその場で凍り続け。
 その傍で氷の妖精達がくすくすと微笑んでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!

いかに強かろうが四天王さんで魔王に勝つことなどできないということをその身に刻んで差し上げましょう!
(堕天使の視線を{ゲイズ・パワー}に変換し身に纏い身構える、と見せかけてUC【梟悪!穢瞳瞬刻禍】で攻撃を行う)
先手必勝!このまま畳みかけてあげます!
(UCで攻撃後{ダーティグリーヴ}で虚空を回し蹴りして『斬撃波』を堕天使に向けて放つ)




「いかに強かろうが四天王さんで魔王に勝つことなどできないということをその身に刻んで差し上げましょう!」
「何だ!?」
 四天王である堕天使の悪魔がふと見上げると、髑髏を積み重ねた塔の上に立つ女がいた。
「私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
 金髪のサキュバスのような装いで現れたのはダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)。
「よくぞ名乗った!私は四天王が一人ダンケトス!その名は幼き頃に焼かれた故郷の負の念を集めたもので――」
 堕天使の悪魔こと四天王が長ったらしい名乗りを申し出る。
「さあ私を見て!見なさい!私こそは視線誘導の魔王。あなたの視線がダーティ・ゲイズ・パワーとなって私のエネルギーに変換されて――」
 それに負けじか、ダーティも長ったらしい名乗りを申し出たではないか。
 ダーティは自身に向けられた視線をゲイズ・パワーと呼ばれる不思議な力に変換して溜める事が出来、それを狙っているのだが。
「――そして【業孜時々(カモンエイジ)】の組織から禍つ力を手に入れた私の身体からは禍(カルマ)と呼ばれるエネルギーを常に漏出させこれを封じるために――」
「――万象を侵せし拭えぬ穢れ【穢瞳瞬刻禍(アイドウシュンコクカ)】によって私の身体から迸る赤紫色の矢印があなたを貫くでしょう!これは厳密には矢印の姿をしたオーラの矢で――」
 双方共に自分語りが止まらない。

「と見せかけて先手必勝!」
 ダーティは突如虚空に向かって回し蹴りを始めた!
 すると何もない所から斬撃が発生し四天王に襲い掛かる!
「穢蹴脚斬撃波(ダーティグリーヴ・スラッシャー)!このまま畳みかけてあげます!」
 だが斬撃波は四天王を包む漆黒の闇が竜巻の様にバリアを貼って防いでいく。
「無駄だ……先程名乗った通り私は業罪禍断層(カルマフォート)を纏っている。全ての攻撃は私が背負う負のエネルギーに変換され吸収する……」
 すると四天王はよく見ると目や腕に巻いていた包帯を引き裂くように解き落としていく。
「そして業罪禍封装々(アンチカルマリバレート)を解く事により内包される負のエネルギーは破壊エネルギーとして使役できるようになり、今私に凝縮された罪禍の奔流でお前を倒す!」
 禍々しく巨大な赤黒い翼を広げながら龍の姿に似た漆黒の闇のドラゴンを四天王は両腕から解き放った!
 その時、四天王は説明の最中からダーティの目をしっかりと見ていた。
「私を見ましたね?その視線が私のエネルギーとなる」
 ダーティはその身に四天王の視線から吸収した視線の力【ゲイズ・パワー】を溜め込んで、それを両目に込め、放つ。
「宣言通りの力で破らせて頂きましょう!【梟悪(きょうあく)!】」
 ダーティの目から赤紫の矢印のオーラがビームの様になって連射される!
「【穢瞳瞬刻禍(アイドウシュンコクカ)!】」
「な、何ぃっ……!」
 その矢印オーラ矢の連射は闇のドラゴンのエネルギーをたちまち押していき、四天王の両手の前で、潰す!
「わ、私の業罪禍断層(カルマフォート)が…否、攻撃エネルギーに転換してしまった為に防御がおろそかに!しまっ――」
 矢印オーラの執拗な連射は四天王さえも飲み込んで直撃。
 跳ね飛ばすように吹き飛ばしていったのだった。

「もう一度言いますね……。私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!」
 びしりと顔を手で隠し指の隙間から睨む様な目を見せた決めポーズを取るダーティ。
「凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王の力にひれ伏しなさい!」

成功 🔵​🔵​🔴​

カシム・ディーン
機神搭乗
一対一ならこのモードがいいでしょうし
「ご主人サマとメルシーは一心同体だぞ☆」(鶏立体映像
ほざきやがれ

【情報収集・視力・戦闘知識】
相手の動きと攻撃の癖
攻撃の性質を分析

名乗りに対しては
分かりづらいから50文字で説明しろ!(鬼畜

【迷彩】
今回は光学迷彩は使わねーですがそれでも手はある
立ち回りと動きから距離感を乱す

【空中戦・念動力・スナイパー】
念動障壁展開
高速で飛び回りながら念動光弾を乱射してその動きを止めて

そこで一気に距離を詰めて
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み・属性攻撃】
UC発動!
各属性を強化
超高速の連続斬撃蹴撃波動弾を叩き込み
序でに金目の物も根こそぎ強奪しつくす鬼畜攻撃!!




 凍てつく戦場を輝く黄金と白銀の光で照らすような、巨大な天使のような機械のロボットが降り立った。
 それはキャバリアである。
 黄金の翼を広げた白銀のキャバリア。名を、界導神機『メルクリウス』。
 魔術盗賊の、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)が搭乗していた。

「一対一ならこのモードがいいでしょうし」
 そう呟くカシムのコクピット内に鶏の立体映像が浮かぶと、少女の声のアナウンスが響く。
「ご主人サマとメルシーは一心同体だぞ☆」と。
「ほざきやがれ」
 一人(二人)ごちながらカシムはキャバリアに搭載されたセンサー機器の操作をして敵の情報を探る。

「よくぞ参られました月と太陽を思わせる白銀の天使よ。例え体格差があろうとも怯む事はございません。わたくしこそは四天王の一人、【哀愁の奏者(ソローウィングプレイヤー)】ウェザビア=グラス・ペルスター・アグン・デジェスト・ザ・グレモリス・マスクル・エネス・ルー・グ。大気中に流れるエーテルと共に生きそれと同調して操る者。このエーテルは元素変換を起こしてあらゆる現象を引き起こし」
「分かりづらいから50文字で説明しろ!」
 メルクリウスから怒号が聞こえる。
「何と。50文字も使って宜しいのですか!」
「なんでそんな得意気なんだ」
「では改めて。わたくしはウェザビア=グラス(中略)ルー・グ。魔界エーテルの大気使いです。」
「鍵括弧含めて45文字で要約しやがって。」
「説明や設定など後から無限に増えていくもの。あなたもそうでしょう?」
「メルシーはメルシーだ。それ以上でもそれ以下でもない」
「そうでしょうか?では逆に。あなたとあなたの中の人の紹介を50文字で説明して頂」
「これ以上は冗長になるからもう初めていいかな☆」
 鶏の鳴き声と共にメルシーのアナウンスが聞こえた。(大音量で)

 紅い輪のようなオーラを纏って、堕天使の悪魔は飛んだ。
 同時にメルクリウスは黄金の翼を広げ、念動障壁を展開しながら、虹色のような様々な属性のオーラを纏う。
「万色炸裂烈光刃(スティンギング・レイ)!」
 両手を広げて空中で回転する堕天使の悪魔から様々な属性の虹色のレーザーが全方位に放たれた!
 メルクリウスに全然当たらない軌道を描いたレーザーからは空気中の分子を超振動させた属性の水素爆発を引き起こし、何もない所からも光が通った場所から様々な爆発が起きている。
 その爆風の中をメルクリウスは高速で飛翔する。
 堕天使の悪魔という的は、キャバリアにおいては小さい。
 そして堕天使の悪魔から放たれる爆風とレーザーの弾幕は、キャバリアにおいては避け辛い。幾度も被弾する。
「いけるなメルシー。頼りにしてる」
「わー♪ご主人サマがメルシーを頼りにしてる!もっと頼って頼って!家事全般にお風呂にお供。なんでもこなしちゃうぞ☆」
「いいから分析を頼む。」
 するとカシムの目に様々な計測画面が飛び込んだ。
「言ってる事は伊達じゃないみたい。色んな属性の魔導レーザーをやたらめったらに撃ってるよ!直接隙を突くより、相殺した所で強行突破がいいかも☆」
「それじゃ、強奪と行きますか。」
 メルクリウスの砲撃兵装『カドゥケウス』の魔杖から念動光弾が乱射され、放たれるレーザーと爆風を相殺していく。
 全部を相殺する事はできないが、狭い範囲を相殺していき、その穴に全力で飛翔、突撃。
 メルクリウスは堕天使の悪魔の懐に飛び込んだ。

「甘いですわ。わたくしの奥の手を受けなさい。」
 大気が歪みだし、飴の様になって堕天使の悪魔を包むと、堕天使の悪魔は虹色の柔らかいふにゃふにゃとした巨大な天使へと変貌していく。
「万色大天使降臨(ルシフェルシージグラビティ)。私自身が大気中の超魔界エーテルの塊となる……!」
「つまりでかい魔力を纏ったって事か。」
 盗りがいがある。な。
 カシムはそう言って意を決した。
「ならこっちも奥の手だ。メルシー!」
「いくよご主人サマ!『万物の根源よ…帝竜眼よ…そしてヴァルギリオスよ…その力…我が術技として顕現せよ…!』」
 メルクリウスの身体に8色の強力な竜のオーラが纏われる。
「これは…!?」
「帝竜大乱舞(ヴァルギリオス・アーツ)!」
 波動、斬撃、蹴撃。
 8色の龍が飛び交う様々な超高速連続攻撃が虹色の巨大天使を襲う。
「わたくしとて万の属性を司る四天王。このようなもの…っ!?」
「8色で充分だ。まずはその虹を」
 堕天使の悪魔が纏うだ虹色のオーラが突如凍り付く。
 氷+土の『触れた者を凍結する波動』。
「次はその身体を。」
 様々な斬撃に引き裂かれ、堕天使の身体に仕込んでいた呪具や防具が溶ける様に切り取られ奪われていく。
 毒+水+闇の『当たった者を毒にする斬撃』。
「そしてその命を…強奪し尽くす!」
「ば、馬鹿なああぁぁ!!」
 ダメ押しの様に伸び放たれる蹴りが堕天使の悪魔を吹き飛ばしながら業炎に包んで蹴り落とした。
 炎+雷+光の『当たった者を燃やす蹴撃』。

「きゅう……」
 回収された魔力と呪具はメルクリウスに収納されていく。
 メルクリウスとカシムはこうして四天王を突破していったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

槐・白羅
機神搭乗
おお!モルスよ!闇と死に魅入られた悲しき存在がいるぞ!
今こそ死と冥府の化身であるモルスの力を魅せる時だ
「いや、何か違和感があるのだが…何で此奴等あんなに嬉しそうなのだ?」

【戦闘知識】
相手の四天王の戦い方や動きを把握

敵を知り己を知れば百戦危うからずという言葉もあるからな

UC発動
【空中戦・弾幕・属性攻撃】
高速で飛び回り超高熱熱線を黄金の矢から発射
そのまま焼き尽くし

敵の攻撃は【受け流し】

【重量攻撃・貫通攻撃】
死の運命による重厚で重い一撃を叩き込む

うむ!お前達の言い回しも中々に格好良い
この未来のデビルキングへと至る俺に仕える気はないか?
「(いや…既に猟兵全員がデビルキングでは…?まぁいいか)」




 凍てつく戦場に死神のような機械のロボットが降り立った。
 それはキャバリアである。
 死の眠りを司るとされる。神機シリーズの一機。名を、冥導神機『モルス』。
 クロムキャバリアの魔剣使い、槐・白羅(白雷・f30750)が搭乗していた。

「おお!モルスよ!闇と死に魅入られた悲しき存在がいるぞ!今こそ死と冥府の化身であるモルスの力を魅せる時だ」
 そう高らかに声を張る白羅に鴉の様な立体映像が浮かぶと、キャバリアのアナウンスが響く。
「いや、何か違和感があるのだが…何で此奴等あんなに嬉しそうなのだ?」
「決まっている。この未来のデビルキングへと至る俺へと寄せる期待そのものだ」
「(いや…既に猟兵全員がデビルキングでは…?まぁいいか)」
 何かぎこちない感情をデータ内に抱きながらも、モルスは戦闘態勢を取った。
 
「ふん……我がダークネス・クロニクルのサリィアムに触れようとする者よ。自らをこの先の大者と同格として挑むその意気や良し。だが我とてメサイアの住人にしてその身に宿りし「選ばれたスパイラル・メス」の誇りにかけても此処でお前達を倒さなければならない。我がスパイラルのファンザーの壱、ローグハウザーにてその巨大な人の塊を切り裂いてくれよう。」
 そう言うと堕天使の悪魔の手には、青白いエネルギーで出来たかのような巨大な鎌が握られた。デスサイズである。
 白羅は彼女こと堕天使の悪魔の声を目を輝かせて聞いていた。普段からその手の話には興味があり過ぎたようで困惑も何も起こさず受け入れている。
「行くぞ!」
 堕天使の悪魔が飛び上がる。モルスもブーストで飛翔し、空中戦が開始された。
「展開せよ『死の翼』。穿てよ『黄金の矢』!」
 冥導神機『モルス』に備え付けられた三次元高速飛行ユニットで飛び回りながら、『ロクシアス』の残骸より回収して修復した超高熱熱線を主とした光線を放つライフルで堕天使の悪魔を撃ち続ける。
 堕天使の悪魔はそれを跳躍魔王『ヤェルマー』の力が込められたローグハウザーの冥灯蒼星の刃にて宇宙ごと切り裂くとその空間の中に光線を吸収し、打ち消しながら切迫する。
「果てしなき闇の冥府の宙(そら)へと永久に落ち続けるが良い!」
 スパイラルの力を纏うローグハウザーのファンザーの刃が2次元を超越して無限に縦に伸び、モルスをこの世から分断しようと差し迫る!
 それをモルスは蒼く光るキャバリアの魔剣によって受けると、ずらして受け流し、斬撃を遥か空の下の地面へと逸らした。
「まだだ!我がオキュイラスのスペクモルトルはまだ残っている!」
 体勢を整えながら堕天使の悪魔の更なる分断の刃がモルスへと迫り来る。
 だが魔剣の光が刃を受け止め、次々と宙へと逸らしていき、堕天使の悪魔に隙を生ませていく。
「こちらの番だ。『死の運命』を受け入れるが良い!」
 ローグハウザーを大きく振りかぶりながら横に回転していた堕天使の悪魔の脇に、巨大なキャバリアの魔剣が撃ち降ろされた。
「がっ……!」
 その一撃は凝縮された呪詛のオーラと、キャバリアの魔剣の元々の超重さによって爆発的な破壊力を生み。
 堕天使の悪魔を一撃で地面に撃ち落とし、めり込ませた。

「(これで生きているというのだから少し嫌になるな…死の運命も悪魔には戦闘不能程度か。)」
 モルスがごちる中、もう動かない堕天使の悪魔を見下ろしながら、モルスと白羅は先へと向かった。
「うむ!お前達の言い回しも中々に格好良い。だがこの俺の高みにはまだ至らんな。」
「さて俺がデビルキングの高みへと至る為に、いざアイスエイジクイーンへと挑ませて頂こう!」
「(いや…だから既に猟兵全員が…いいか。口上の様なものとして受け入れよう)」

 目指すは宝珠をその身に纏う、氷の薔薇園の女王へと。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『西のラスボス『アイスエイジクイーン』解』

POW   :    氷河期召喚術『ジュデッカ』
レベル×1体の【絶滅悪魔軍】を召喚する。[絶滅悪魔軍]は【氷】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    氷河期魔法『アイスエイジ』
戦場全体に【悪魔も凍てつく氷河期の寒波と吹雪】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【量産型「絶晶」の装着】による攻撃力と防御力の強化を与える。
WIZ   :    合体氷河期魔法『ディノホロボシータ』
自身と仲間達の【放つ、氷属性の攻撃魔法】が合体する。[放つ、氷属性の攻撃魔法]の大きさは合体数×1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。

イラスト:屮方

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「お~っほっほっほ!来ましたわね猟兵の皆様方!」
 生きているかのような冷たき氷の茨が無数に生い茂り、猟兵の行く手を塞ぎながら、その向こうに居るアイスエイジクイーンが高笑いを響かせた。
 その周囲には輝くKING宝珠……に見える、凝縮された悪魔の塊が浮かんでいる。
「ガチデビルが行ったKING宝珠は今やこのわたくしが再現致しました。6つのデビルキングと1つのラスボスに果たしてどこまで叶うかこの目で凍てつかせてご覧に入れますわ~!」
 そう言いながら横から出てきたアイスパフェを口に入れて微笑むアイスエイジクイーン。
「しかしここまでで四天王の悪魔を退けたのも見事。今一度わたくしの軍門に下りません事?この魔界をわたくしが統治すれば7thKINGの代表決めにも揉めずに円滑に済むかもしれませんわよ……!」
 優しく手をかざしながら、魔界を氷河期に包まんとする吹雪が猟兵の身体に吹き付けられていった……!

●※おさらい
 ・アイスエイジクイーンは『絶滅悪魔軍団』の力によって、ガチデビルのKING宝珠を再現しています。
 ・KING宝珠はアイスエイジクイーンの周囲を飛び回り、アイスエイジクイーンを全力でサポートしています。これらを1つでも破壊しないとえらく強いアイスエイジクイーンと戦う事になります。
 ・宝珠を壊しても猟兵の味方にはつきません。
 ・宝珠の能力はアイスエイジクイーン風にアレンジされています。
 ・(重要)アイスエイジクイーンは1stKING『ガチデビル』のKING宝珠まで再現しています!

●宝珠の内容
 1stKINGの『契約』
 「仲間になってくれたら魔界の半分をやろう」等の美味そうな『悪魔契約の声』が、戦場全員の脳内に流れ込んできます。
(つまり猟兵でないユーベルコードや召喚物等にも声がきます)
 少しでも心が揺らぐと『契約』となり、アイスエイジクイーンに寝返ってしまいます!
 2ndKINGの『料理』
 冷たくて美味しい料理を絶え間なくアイスエイジクイーンの口に運んできます。
 料理を食べてる限りアイスエイジクイーンのダメージは回復し続けます。
 3rdKINGの『植物』
 戦場に凍てつく氷の茨が、庭園の様に生い茂り続けます。
 この氷の茨はアイスエイジクイーンにはノーダメージです。
 4thKINGの『頭脳』
 アイスエイジクイーンは、この宝珠がある限り常に頭が冷え続け冷静でいられます。
 その為精神攻撃系の一切を防ぎます。洗脳とかも効きません。
 5thKINGの『守護』
 率先してこの宝珠が猟兵からの攻撃を防ぎ続けます。
 他の宝珠よりも格段に硬いです。
 6thKINGの『ビーム』
 お腹からビームが出ます!!!
 高精度、高威力。破壊光線と冷凍ビームを撃ち分け可能です。
●※補足
 ・先制攻撃はしてきません。
 ・アイスエイジクイーンはオブリビオンではない、デビルキングワールドのラスボスの一体です。
 ・宝珠とは別にちゃんと氷河期魔法も絶滅悪魔軍も放ってきます。(この際の絶滅悪魔軍は普通の絶滅悪魔軍です。)
四王天・燦
ちょりっすと軽く挨拶
夢匣に手作りの黒蜜抹茶稲荷餡蜜があることを伝えて戦場の脇に置いておくよ

対等な友人に相応しい実力を見せたいんだ
故に安易な契約には乗れないぜ

神鳴抜刀
四王天・燦推して参る
茨を切り払い、絶滅悪魔軍を時限爆弾『カウントダウン』の爆発で牽制しながら間合いを詰めるぜ
吹雪は氷結耐性で切り抜ける

遮るものがなくなりゃ有りっ丈の稲荷符を用いて火属性攻撃と範囲攻撃を組み合わせた爆裂火球を乱れ撃ちだ
クイーンと宝珠に無差別攻撃をぶち込んでやる
ビームの的にならないよう、弾幕が効いているうちに移動するよ

宝珠が減ってくりゃ真の姿『慈悲と赦しの稲荷巫女』となり破魔力で神鳴を武器強化し、クイーンの魔術を斬って肉薄すっぜ
初めて見せる侍の威圧感と猿叫で剣に意識を向けさせ…神鳴を捨てグラップルで組み伏せ騙し討ち

うなじに八重歯を突き立て魂喰らいの接吻で吸血して精気を頂戴する
魂に触れりゃあ不断の努力も知れるかな
推しのラスボスだけど…今日は勝つ為に失神するまで零距離で吸血タイムだ
悔しけりゃ自爆覚悟で氷漬けにしてみな♪


プリ・ミョート
能力が多すぎる! 欲張りすぎるアイスエイジクイーンに一言言ってやるために飛び入り参戦しに来たんだけど、ちょっと能力が多すぎる! まあラスボスだからいいか。いいよな? ワルだし。

ちゅーわけで《ブギブギワールドワイドアワード》で行くべ。どんなに能力が多くても、クイーンが使うことは変わんねえからな。生粋のラスボスである女王様が下賎な四天王しぐさはせんべよな。さっき散々部下にやらせてたし。

隙をついてガトリングで撃ち抜くべ。手練れの猟兵皆さんが手を下す間でもねえ。ここは四天王がおらにお任せを! にしし!


ダーティ・ゲイズコレクター
軍門に下れ?お断りです!
なぜなら私は超ワルの魔王!ダーティ・ゲイズコレクター!
他人の輝く未来は全力で邪魔します!
(アイスエイジクイーンの視線を{ゲイズ・パワー}に変換し身に纏い『オーラ防御』して戦闘態勢をとる)

ではいきます!必勝戦法!
煉獄もぐら叩きの陣!
(『地形破壊』と『トンネル堀り』で無数のモグラ穴を作り身を隠すとUC【姦悪!穢憎憐恋火】を発動する)
陽炎で作った『残像』を囮にしながら
オーラの矢でまずはKING宝珠の
料理と守護と頭脳を優先して攻撃し
全ての宝珠を破壊しましょう!

その後はUCを延焼させて火責めにし
弱ったところを地中から近寄り
『衝撃波』を纏ったアッパーカットをお見舞いします!


エドゥアルト・ルーデル
軍門だのなんだのは拙者に勝ってから抜かしてもらおうか!

宝珠再現は単純に凄いがそれで拙者は止められねぇ!UC発動!領ォ域展開!
どこからでも来なさい!
所で呼び出した配下の転倒対策とかしてるでござるか?違反してるんじゃない?
もし悪魔軍団の一人が地面が凍結していたため他を巻き込むような転倒をしビームや合体攻撃魔法の軌道が変わってしまったら?
もし軌道の変わったビームや合体魔法が運悪くビームの宝珠に当り破壊してしまったら?
ほら見ろ大惨事でござる

調子乗ってやるとバチが当たるんでござるよ!よく言うだろ?事故は起こるさ、まあ本当は起こしてるんだが…
ちゃんと対策とか声掛けしないと事故りますぞ!手榴弾投擲!ヨシ!


テフラ・カルデラ
※絡み・アドリブ可

冷凍ビーム…こちらも本気でやらなければなのです…!
【氷結の指輪】と【全てを凍てつかせる小さな妖精】さんを組み合わせて最大出力の冷気魔力を相手の冷凍ビームの対抗として真っ向からぶつけます!
こちらも本気なので退く気はありませんっ!

宝珠だけでも破壊できれば御の字!
例え自身が凍り付いても妖精さんが上手くやってくれる…はず!


槐・白羅
対契約
「白羅!我が操作は全てお前に託すぞ!」
承知した
そして魔界半分だと?全部寄越して我が家臣とならんか!(強欲

【戦闘知識】
宝珠の動きを分析
2か5の宝珠を優先して捕捉
UC発動
【空中戦・弾幕・属性攻撃】
超高速で飛び回りながら超高熱熱線の弾幕を放ち宝珠の撃墜狙

2の宝珠が壊されればクィーンを巻き込む形で死の閃光を放ち続ける
可能ならクィーンだけではなく宝珠達のエネルギーも根こそぎ強奪狙

俺達の攻撃にとって厄介なのはあの料理だったからな
優先で狙わせてもらった
そもそも常に回復し続けるとは卑怯だろう?
「いや、我らがそれ言うのおかしくない?」(エネルギー回復中
ふっ…これも王の戦術という奴だ

「そ、そうか…?」


サーマ・マルヴァス
ここは酷く寒い…こたつこた…はっ、いけない今は仕事中。
西のラスボスと相対するのは初めてですがこれ程とは…私も全力を尽くさないと、ですね。

基本的に支援中心に行動。服装は白系統で氷雪に紛れやすいように。
氷魔法の範囲を見切りできるだけ気配を消しつつ絶滅悪魔軍の近くに接近。
できるだけ多くの悪魔達を射程に取れる位置に移動しUC発動。
不死鳥の歌は悪魔達を何もできない位の悲嘆へと導く…アイスエイジクイーン自身に効かずとも動ける部下を減らす事ができれば。
もし可能なら4thKINGや狙える位置に見える宝珠にトランペットの音響弾をぶつけ破壊を狙いますね。
吹雪の中でも歌声は届くもの、ですよ。

※アドリブ絡み等お任せ


カシム・ディーン
対契約
おめー僕の下僕になった癖に全然命令効かなかったじゃねーか!(以前の本来のガチデビル戦を思い出して立腹
寧ろ僕の下僕として他の宝珠共々こっちで働けこら!
後デビルキングには僕がならせて頂きます

後メルシー…キャバリア化して全ての操作を現時点で譲渡しろ
「メルシーがヤられた時の対策だね☆」

と言う訳で機神搭乗

【情報収集・視力・戦闘知識】
現状の宝珠の動きとクィーンと悪魔軍団の立ち位置の把握

【属性攻撃・念動力】
炎属性を機体に付与して念動障壁展開し吹雪を防ぎ

UC発動
【弾幕・スナイパー】
超高熱熱線を乱射して悪魔軍を薙ぎ払い
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
超連続斬撃で宝珠5を優先し破壊を狙う!!




「軍門に下れ?お断りです!」
「なぜなら私は超ワルの魔王!ダーティ・ゲイズコレクター!他人の輝く未来は全力で邪魔します!」
 先行したのはダーティ・ゲイズコレクター。ダーティが啖呵を切ってアイスエイジクイーンへと飛び出した。

「見せて頂きましたわよ先程の戦い。」
 冷たい紅茶を啜るアイスエイジクイーン。
「視線を集めた力で戦うようですわね」

 ダーティの隣では白羅の駆るキャバリア・モルスが。
 中に居る白羅はキャバリア本機の意識を一時的にシャットダウンさせていた。
 1stKINGの宝珠効果による寝返り対策だ。
「白羅!我が操作は全てお前に託すぞ!」
「承知した」
 これよりモルスは全てが手動操作。白羅によるフルマニュアルでの突撃を認可した後、白羅は操縦桿を握りモルスを起動する。
(但し声だけは聞こえる。モルス.AI.が勝手に操作しての同士討ちを防ぐ為である。)
 死神の翼の様に展開されたブースト光と共に空を飛ぶ。

「まずは2ndKINGの宝珠による回復を潰してやろう。俺達の攻撃にとって厄介なのはあの料理だからな」
 黒きキャバリアと視線誘導の悪魔がエネルギーを纏って氷の薔薇園に佇むアイスエイジクイーンへと切迫しようとする。

「お~っほっほっほ。それではわからせてあげますわ。わたくしの纏う宝珠で何が一番厄介なのか。」

 アイスエイジクイーンの周囲に太い氷の茨が何重にも生い茂り、壁となる。
「わたくしが動くまでも無いですわ。やりなさい」
 無限に生い茂り続ける氷の茨が猟兵達の接近を阻んできたのだ。
「くっ、相手からの視線を塞がれた!」
 ダーティの目の前には視線の影響も無い氷の茨しか見えなくなった。
「そんなもので!」
 それをダーティは衝撃波を起こす徒手空拳で、白羅はキャバリアの魔剣で切り裂いていく。
 だが無限に繁殖して攻撃を塞ぎ続けていく。
「地上で駄目なら地下でいきます!【必勝戦法!煉獄もぐら叩きの陣!】」
 ダーティはあらかじめ決めていた作戦を展開。
 突如足元の地面をものすごい衝撃波で破壊し、くりぬくように穴を掘っていく。
 アイスエイジクイーンへとつながるトンネルを作っての地下攻撃だ。

「植物は根を張る生物でしてよ?」
 茨の向こうでアイスエイジクイーンがウインクして指を下に向けた。
 掘った穴、地面の中から無数の氷の茨が次々と飛び出る様に発生!
「しまった!」
 ダーティは瞬く間に四肢を氷の茨で絡めとられ、そのままぐぐとせり上がっていく茨と共に地上へ引きずり出されてしまう。
「誰か茨にかかったようですわね。では早速。」
 茨の向こうで。
 アイスエイジクイーンのお腹が光り。
 突如極太の青白い巨大な……。
「おビィィィィイイイイィイイイム!!!ですわああぁあああぁああああ!!!」
 巨大な冷凍ビームがダーティに放たれた!

「っ!」
 そのビームは茨ごと厚い氷で戦場を閉じ込めていく。
「仕方ありません防御と行きましょう!【姦悪!穢憎憐恋火】」
 ダーティは己の身から突如として陽炎をにじみ出すと、その炎を一カ所に集めて防御する。
 凄まじい冷凍エネルギーが襲い掛かるが、ダーティはゲイズパワーの不十分な陽炎を上手い事操作し、ギリギリだがエネルギーの光帯を自身の身体から逸らす。
 防御に沿った丸い氷が周囲に出来上がらせていく。
「あら、防ぎましたわね。では次。」
 次いでアイスエイジクイーンのお腹が赤白に光輝き。
「破壊……おビイイィィイィィィィィイイィイム!!!ですわあああぁあぁぁあああぁああ!!!」
 巨大な破壊光線が戦場を薙ぎ払う様に放たれた!
「なっあっ!」
 横薙ぎに飛んでくるビームが戦場を破壊しながら飛んでくる。
 冷凍ビームを防ぐのだけでもギリだったのにこの追撃は大変危険だった。

「くっ!」
 そこへ白羅のキャバリア、モルスが、ダーティを庇い防御したのだった。
 モルスの『死神の衣』によるバリア機構が全力で破壊光線を防ぐ。
 防いだが、その破壊力はすさまじい。
「すまん、モルスよ…!」
「2撃3撃は耐えられる。心配するな」
 モルスはかなりきしんでいた。
「では3発目。」
 無慈悲にアイスエイジクイーンのお腹が赤く光り輝いた。

「おおっと。そんなに闇雲にはしゃいで大丈夫でござるか?」
 その時である。アイスエイジクイーンの視界の横からひょっこり緑黒いおじさんが現れた。
 エドゥアルトだ。エドゥアルトが現れたではないか。
「宝珠再現は単純に凄いがそれで拙者は止められねぇ!UC発動!領ォ域展開!」
 エドゥアルト特製の電脳魔術がどの様にしてか戦場を覆いだす。
 パッと見では何も変わらないように見えたが。
「!?」
 アイスエイジクイーンは突如足を滑らせた。
「所でその細い足でビーム支え切れるでござるか?反動きつくない?対策なしの仁王立ち発射とか違反してるんじゃない?」
 そして破壊光線の軌道はおかしな方向に逸れていく。
「もし地面が凍結していたために他を巻き込む様な転倒をし軌道が変わってしまったら?」
 その軌道はありえないことに白羅やダーティに命中する事は無く、うわずって変な射角になっていき。
「もし軌道の変わったビームが運悪く宝珠に当たり破壊してしまったら」
 ビームの矛先が宝珠に届こうとした瞬間、ビームが消えた。
「おろ」

「対策としては2つ。他の宝珠に矛先が向かおうとも5thKING『守護』の宝珠が防いでくれますわ。もう一つはこの様に。事故が起きる条件が揃ったら自発的にビームが止まる様になっていますの。」
 アイスエイジクイーンは涼し気な顔で答えた。
「そして対策の甘さの指摘ありがとうございました。次回の事故を起こさぬ様しっかりと固定氷を作ってから発射しますわね。」
 アイスエイジクイーンの腰から地面をしっかり固定するような氷の杭が生み出されて地形に突き刺さり、射角を決めた時に姿勢が固定される様になっていく。
「はぁ~?ちょっと御宅都合よすぎない?拙者のプレイングに嫉妬してそんなメタ起こしたでござるか?」
「何を言っているかは分かりませんが。」
 エドゥアルトのユーベルコードによって、可能性がある限り事故の起きやすいマーフィーの法則の世界となった領域。
 アイスエイジクイーンがこれを普通に処理してきたのは理由があった。
「ラスボスとて安全は最優先。事故が起きればしっかり見直して保全に努めるは必定でしてよ!」
 アイスエイジクイーンの頭上で輝くは4thKING『頭脳』の宝珠!
 これによって頭が冷静になり続けるアイスエイジクイーンは、事故が起きようと冷静に対処と対策を練ってくるのだ!
「Ouch!ですがまあ全部に対処しようなんて土台無理がありましたですからな」
「さあこちらの番でしてよ!」
 アイスエイジクイーンは3rdKINGの宝珠を輝かせて再び氷茨を展開し、猟兵達を津波の如くに押し流した。
「これではらちがあきません!」
「せめて貫通性のあるものを持ってくるべきだったか……否、泣き言を言っても始まらん。掴まれ!そこの悪魔!」
 白羅はモルスを操縦してダーティを拾う。
 エドゥアルトも拾いたかったが急に何処かへ行ってしまい申し訳ないがちょっと回収できなかった。

「どうして私を?」
「ふっ。レディをエスコートするのも王の務め…ではなくてだな。どうもこの状況下で万全を発揮できる|性質《たち》ではないとお見受けした。今は我がモルスを盾にしているが良い。」
「それでしたら私を見続けて頂けませんか?」
「何?」
「私は魔王、ダーティ・ゲイズコレクター!あなたの視線が私の力となるのです!」
「む、むむ。今はアイスエイジクイーンにも集中しなければならない身でどこまでやれるかは分からないが…!」
 そうこうしている内に、キャバリアをも包まんと氷の茨が押しつぶしにかかる。
 白羅のモルスは魔剣を構え、徹底抗戦を見せようとした。

「何だお前、そんな所でもたついてたのか?」
 その時、隣から銀のキャバリアが現れた。
 カシム・ディーンのメルクリウスだ。
 メルクリウスはキャバリアに流れるサイキックパワーで炎の念動障壁を纏い、炎の蛇を纏わせた杖を鈍器の如く振るって氷の茨をかき消していく。
「アタシも加勢させてもらうぜ。神鳴抜刀。四王天・燦、推して参る」
 次いで飛び出してきたのは燦だ。
 神鳴の刀を振るって次々と氷の茨を爆ぜ壊していく。
 メルクリウスと燦、二人の炎の攻撃が生い茂り続ける氷茨を破壊して回ると、アイスエイジクイーンへの道が開けだしたのだった。

「それでは。洗礼を受けてくださいませ。猟兵様方。」
 開けたその瞬間、アイスエイジクイーンの持つ氷の三又槍が輝き、猛烈な吹雪が猟兵達を襲った。
 氷河期魔法『コキュートス』だ!
 ホワイトアウトがたちまち起こり、猟兵達の視界は白一色に変わっていく……。


「ん…ここは…」
 白羅は気がつくと夢の中に居た。
 おぼろげな眼で、宙に浮いている。
 眼下には魔界かと思われる広大な大地があった。
 ふと、頭に声が響き渡る。
 ガチデビルの様な声だ。
「契約し、仲間となるのだ。猟兵よ。」
「断る」
 白羅は二つ返事だ。
「魔界の半分を統治させてやるぞ。」
「魔界半分だと?全部寄越して我が家臣とならんか!」
「……いい心構えである。しかしだ」
 白羅は魔界に落下する。
「汝一人で統治する事はできるのか?」

「だからこその家来だ。俺が出来ない事はみんなにやらせる。」
「武力で従わせ他者に委ねる手は大いに結構。だとするならば」
 眼下の魔界に居る悪魔達の矛先が白羅に向けられた。
「でくの棒の王としてすぐに処断されるであろうな。」

「王の仕事は采配である。手にした部下をどの様に采配するか……食べ物はどう分け合うか……どのような城を作り軍略は……方針は……」
 声の主は国を背負った者がどの様な仕事を携えるかを白羅に説いている。
「短絡的な務めは早々の滅びを迎える。故に半分と言った。白羅よ、我と対等に在れ。そして協力して支え合っていくための『契約』を結ぶのだ……」
「そうか……魔界を手にしたならば統治せねば……だが……」
 白羅は徐々に丸め込まれていた。


「ここは……」
 ダーティは気がつくと夢の中に居た。
 おぼろげな目を開けると真っ暗な世界だった。
「どこです?」
 ふと気づくと闇の一角にスポットライトが照らされた。
 ステージだ。
 アイドルがステージの上で歌い踊り、それを見ている観客達が湧いている光景だ。
「みんなの注目があのアイドルに集められている……」
「御機嫌よう」
 後ろからアイスエイジクイーンの幻覚が現れた。
 だがガチデビルの様な声をしていた。

「こんなものを見せて何のつもりですか?」
「視線の力で強くなる能力とは恐れ入った。しかして我はその視線を、より強く目立たせるプランを用意できる。」
 ひいては、目の前のあのアイドルのステージ光景なのだろう。
「自分の能力で無理矢理目立たせるのも結構。しかしてより刺激的で強いものを用意できればもっと集められる事だろう!アイドルになるのだ。ダーティ・ゲイズコレクター。」
「なるほどスカウトに来たのですか?でもお断りです!私は超ワルの魔王!魔王であれば誰もが私に目を向けるのは必然!」
「その魔王が光り輝いてネットで配信を行い、更に歌って踊る様になればどうなると思う?」
「そんなの」

「サブジョブをソーシャルディーヴァかライブストリーマーに変えるのをお勧めしよう。映像を常時配信すれば、闇の中でも世界中から視線を集める事が可能となる。今、汝が、我のKING宝珠によってこうして苦戦する事もいささか緩和された事だろうよ。
「例えばテロ予告の様な。誰もがダーティを見なければならない世界……魔王以上の視線誘導。その術を我は知る。契約するのだダーティ・ゲイズコレクター。されば魔界アイドルのプロデュースを我が執り行おう……!」
「……っ!ジョブチェンジに関しては茶々を入れて欲しくないですが……!」
 ダーティは少しゆらぎかけようとしていた。


「おや、ここはどこですかな?」
 エドゥは気がつくと夢の中に居た。
 おぼろげな目を開けると真っ白な世界だった。
「んーどこかで見たような世界ですな。もしかして視界の上側か下側に。」
 エドゥは泳ぐような目であちこちを見ると、視線の上や下にエディットメニュー画面が見えた。
 そこには様々な兵器の動力や火器等のパーツのボタンが。
 押すような真似をすると真っ白な世界にそれらが顕現した。
 それらのパーツはやろうと思えばくっつける事が出来た。
「コりゃアレだ……自分だけの兵器作るタイプのゲームだ!」
 エドゥは何かの確信を得た。

「お気に召したかな?」
 ガチデビルの様な声だ。
「今なら我と契約するだけでこの世界がユーベルコードに!自由にパンジャンドラムやヌカ兵器を作り放題、現世にも投影できるぞ!」
「おっとそういう手できたかよガハハ。でもお高いんでしょう?見え見えの契約に誰が引っかかるんですかね。」
 ロケット火薬を組み合わせて手始めにパンジャンドラムを作りながらエドゥは言った。
「それが……今なら契約抜き!タダで自由に使わせてあげよう!10分の間だけだがな!」
「なにぃ~!?」
「10分!それ以上行使した場合は契約が結ばれる。10分……戦闘終了までたっぷりあるこの時間を超えずに作り込めばこの空間で爆発を起こし放題。いかがかな」
「お、おお!?いいのかよ太っ腹だなよくわかんねぇ声!」
「超えない限りは好きに作ると良い……!」

 ワナだ!
 そもそもここは夢の中でしかない。作った所で目覚めた魔界には持ち越せない!
 そしてタダの時間制限は夢中になり、あと少しとごねた所で過ぎ去ってしまうもの。
 時間切れと共に確認すらなく強制契約されるこの状況は余りにも危険だ!
 だがエドゥは夢中になってピタゴラな感じの連鎖仕掛けパンジャンドラム罠を嬉々として作ろうとしている。
 まずいぞ!そうこうしている内に10分などあっという間に。


「ちぇすとっ!」
 エドゥの頭が斜め45度にチョップされる。
「ほげぁ!痛ってえぇ!」
「大丈夫だべ!?遭難しかかってなかっただか!?」
 吹雪が弱まったタイミングでやってきた、猟兵の増援に叩き起こされたエドゥアルト。
 チョップした主は白いおばけな知恵布を被ったブギーモンスターの四天王、プリ・ミョート(怪物着取り・f31555)。
「オゥフ。いけませんなこれは。仕事中の居眠りなど事故を起こしてくださいと言わんやな。」
「悪いけど手を貸してくれ!そっちのキャバリアがやばそうだぁ!」
 ふと横を見るとキャバリアのモルスは立ち尽くしたまま凍り付いていた。
 どうやら同じように夢を見せられて中の人が動かせないでいるらしい。

「しゃあねえな全く。じゃあこの虎の子の手榴弾を!コクピットに投擲!ヨシ」
 エドゥは手榴弾をモルスの胸に投げつけて爆発させる。
 破壊されない程度の衝撃が機体に着いていた雪や氷を剥がし、中に振動を伝える。

「はっ!起きろ!起きるのだ白羅!」
 白羅のキャバリア、モルスの中。
 衝撃の振動によって音声プログラムが再起動したモルスの声。
「う……?ここは」
 回収されて一緒にいたダーティが先に目を覚ます。
 コクピットの中も危なく、半分ほど雪で埋もれ、凍り付いていた。
 遭難したかの様におぼろげな半眠り状態で目を開けて呻く白羅が目の前にいる。
「ちょっと!起きなさい!そして私を見なさい!」
 ぺちぺちと叩いて白羅を起こす。
「だ、駄目だ。モルスが見てい……はっ!」
「吹雪は止んだみたいです。いけますか?」
「……くそっ、あの二人は。」
 辺りを見回すと同じように吹雪に晒されていた筈の燦とカシムのメルクリウスが居ない。
「確か内部のゴミを廃棄する機能があった筈」
「ダストエスケープ機能だな。今我は起動できぬ。そこのレバーだ白羅」
 白羅はモルスの中の、排熱口から勢いよく雪を放った後、エドゥらと共に飛翔。
 恐らくは2体の猟兵が切迫しに行っているであろうアイスエイジクイーンへと急ぐ。


「さ、寒い…こたつ…こたつは…」
 そのすぐ近くにて、雪と氷の茨に埋もれながらも迫る二人の猟兵が居た。
「こ、ここまで寒いなんて流石はアイスエイジクイーンささささ……」
 一人は震えながらも進むドМウサギギマイラの男の娘、テフラ。
 もう一人は角の生えた、獅子獣人めいた男、サーマ・マルヴァス(華やかな獅子王・f37974)。
 自慢のラスボスアーマーを布団の様に包みながらの追加参戦である。
「西のラスボスと相対するのは初めてですがこれ程とは…私も全力を尽くさない…と…。」
 まだ吹雪く場所での、気づかれない様に雪に紛れての進軍だった為、その吹雪を一身に受けてしまっていた。
「で、でででも、ここで凍るよりやっぱりあの技で凍りたいいぃぃ……」
「うわっ!?ま、待って。私に抱き着かれても寒い」
 テフラは毛皮がある分暖かいとサーマに寄りながら進む。
 色合い的には二人とも雪に紛れるには適していた。
「兎に角然るべきタイミングで」
「ボク達は出なければ……あっ」
「なんです?」
 吹雪の中から何か声が聞こえた。
 それは甘い、勧誘の声。

「この吹雪が優しく暖かく、慣らす事ができるとしたら。」
「貴方達は――」

「っ!いけない!駄目だ!」
 それが洗脳的な声と判断したサーマは咄嗟に耳を塞ぎながらテフラに注意を促す。
「! だ、大丈夫です!今のってもしかして」
「アイスエイジクイーンが用意したっていうガチデビルの宝珠かな……」
「大丈夫、大丈夫です。暖かい吹雪とか吹雪じゃないですし。冷たくひんやり、無慈悲に凍らせるのが吹雪と言うものなのです!」
 えっへん!とするテフラに。

「――そのような心構えをしているというのに」
「隣の方は凍らせないのですかしら?」

「え」

「むやみやたらに味方である猟兵を凍らせてはいけないばかりに敵ばかり固めていらっしゃるようですが」
「いいのですのよ?欲望は」
「解放される、ものですから――」
 アイスエイジクイーンとガチデビルが混ざったような声がした。

「っ」
 目が虚ろになって。
 テフラは吹雪の中を、回答を得たかのようにずんずんと進んでいった。
「え、まさか。待って!耳を貸しちゃだめだ!ちょっと!」
 サーマは咄嗟にコードを紡ぎテフラを戻そうとしたが、作戦上、それはアイスエイジクイーンの姿が見えてからにしたかった。
 テフラは吹雪の中へと消えていく。


「小癪ですわね!そんな熱でわたくしの吹雪を突破するなんて!」
 遂にアイスエイジクイーンとの切迫だ!
 1stKING宝珠対策としてメルシーと言う少女の操作権を取りフルマニュアルにしたキャバリア・メルクリウスを駆るカシムと、燦が躍り出た。
「そこまでの力がありながらわたくしのもとにつかないなんて勿体ない!」
「何言ってんだてめー。おめー僕の下僕になった癖に全然命令効かなかったじゃねーか!」
 カシムがまくしたてる。
「寧ろ僕の下僕として他の宝珠共々こっちで働けこら!後デビルキングには僕がならせて頂きます」
 そう言いながらカシムのメルクリウスが巨大な炎の杖を振るってアイスエイジクイーンの氷河期の三又槍と打ち合いにかかる。
 アイスエイジクイーンは既に巨大な自動鎧『量産型絶晶』に乗っているが、この攻撃は5thKINGの再現宝珠が飛んできて、防いだ。
「一体何の話をしているのかしら……ほむ」
 そう言ってアイスエイジクイーンはスマホを取り出し、カシムのこれまでのシナリオ記録を回覧しにかかった。
 唐突にメタな事をし出したかと思われるが、アイスエイジクイーンはオブリビオンではない。猟兵の情報はニュースに流れて来るので検索もできる。ギリギリの手である。

「ちょりっす。よそ見はいけませんぜ」
 そこに燦が切迫した。
「あなたも配下になりはしないのですわね」
「対等な友人に相応しい実力を見せたいんだ。故に安易な契約には乗れないぜ。あとカシオリ持ってきた。手作りの黒蜜抹茶稲荷餡蜜が戦場の脇に。」
「まあ!ありがとうございます。今すぐに頂かせて頂きますわね。」
 燦とカシムのメルクリウスの背後から突如氷の茨が伸びて2体を絡め取ると。
 氷河期魔法の魔力を込めた氷の三又槍を横薙ぎに振るい、猛吹雪を起こして一人と一機を吹き飛ばす。
「動作自体は既に予測済みだ。茨など溶かし尽くしてやる」
 カシムのメルクリウスが炎を纏って茨を溶かしつつ、追撃に来るであろうビームを横飛びに避けようとする。
「お~っほっほっほ!わたくし一人では埒があきませんわね?」
 その眼下、アイスエイジクイーンの足元には無数の絶滅悪魔軍団が生み出されていた。
『ディノ・ホロボシータ!』
 アイスエイジクイーンと絶滅悪魔軍団達が一斉に手を掲げた瞬間。
 悪魔全員の力が込められた極大の冷気が一人と一機の中心で巻き起こり。
 宙に飛んでいた燦とカシムのメルクリウスは、一瞬で巨大な氷山に閉じ込められた。

「わたくしがカシム様の情報を検索する間、そこで転がって居てくださいませ。」
 ごろんと、巨大氷山が後ろに転がり倒れた。
 その下に氷の茨が波の様に押し迫り、氷山を転がし、一人と一機をアイスエイジクイーンから遠ざける。
 そこに氷山を貫通する氷の槍を手にした絶滅悪魔軍団達が押し寄せた。

「油断した。そういえば氷河期魔法も使うんだったな。」
 コックピットまで氷漬けにならなかったカシムは炎の出力を上げ、氷山を溶かしながらなんとか離脱しようとする。
「ひゅう。氷漬けにされたのはこれで何度目だったかな。」
 同じく氷山の中に閉じ込められた燦は体中に忍ばせていた爆弾と火の稲荷符を燃やし、爆破して、氷山を崩しながら脱出する。


「おいっス!呼びましたか」
 ポニーテールの可愛らしい氷の悪魔が配下としてアイスエイジクイーンの隣に呼び寄せられた。
「あそこにあるカシオリを持ってきてくださいませ。あと情報検索のお手伝いを」
「はいはいっス。でもそっちのスマホ弄りは一人でやればいいんじゃないっスか?」
「カシム様が言いました事はブラフの可能性もありますから、客観的に見切れる方が欲しいのですわ。」
 それを承諾して氷の悪魔はカシオリを拾いに飛んで行った。
「猟兵達が来るまで少々時間が出来ましたわね」
 それっぽいサイトのカシムのシナリオ履歴を回覧するアイスエイジクイーン。
「まあぶっちゃけ、1stKINGの力は契約では無いですわよね。アレは侵略蔵書とかいうものの力ですし。」
 アイスエイジクイーンは独り言のようにぶっちゃけた。
「かつての戦いで一番目立っていたから再現宝珠として成らせましたけど、もし本来の1stKINGの力であれば……『大罪』か『邪悪』辺りですかしらね?」
「大罪になぞらえた攻撃でサポートします。だと、もう少し戦闘が複雑化致しますし……あと猟兵以外も契約する様にしたのはラスボス的にいささかやり過ぎましたかし」
「持ってきたっスよー!ちょっと重いっスね色々と」
 氷の翼を羽ばたかせて戻ってきた氷の悪魔の口元には黒蜜の跡がついていた。
「ありがとうございますわ。あら貴女、その口の蜜は何かしら?」
「毒味っス!」
「殊勝な心掛けですわね……!」
 アイスエイジクイーンは氷の悪魔の頭をぐわしと掴み、ギリギリと締め付けた。
「ああっ」


 カシムの駆るメルクリウスと燦は押し寄せる絶滅悪魔軍団と氷茨に炎弾と爆弾を投げて次々と破壊していったが、数が多すぎて対処しきれない。
「ラスボスだからか半端なくなってきたな。」
 徐々に押し返されていく。
「フハハハハ!先行された時は焦ったがどうやら追いついたようだな。」
 そこに白羅の駆るモルスやエドゥ、プリらの猟兵達も出揃って来た。
「さあ行くが良い!視線達のお目見えぞ!」
「視界を塞がれ続けてたまっていたこの鬱憤、ここで晴らさせて頂きます!」
 モルスのコクピットの中からダーティが現れると、絶滅悪魔軍団達は一斉に彼女に視線を向けてしまう。
 ダーティはその際の視線エネルギーをゲイズパワーに変換すると、巨大な陽炎に包まれた。
『姦悪ゥ!穢憎憐恋火!』
「よっしゃ、一気に攻めるぜ!」
 メルクリウスの炎弾、エドゥと燦の爆弾投擲、プリのガトリングに続いて。
 ダーティの巨大で多数の、127発ものダーティの姿をした炎がラッシュをかけると、どんどんと氷茨は爆ぜ消え、絶滅悪魔軍団達を押しのけていった。


「このシナリオでもない、このシナリオでも……宝珠に関して物申しつつ、あんまり代わり映えしない攻略法が目立ちますわね。」
「光学迷彩と立体映像からの水槍、そして鎌剣でやたらビーム宝珠を狙って来る、と。」
 猟兵達が軍勢を押しのけている最中にアイスエイジクイーンはスマホでカシムのシナリオ履歴を見ていた。
「肝心のガチデビルを手籠めにしていたというシナリオはどこかしら?見つかりませんわ」
「あ、ちょっと。このイケメンな鮫悪魔の人間型四天王がサムネ乗っ取ってる奴、これももしかしてガチデビルの戦闘記録じゃないっスか?」
 隣からにゅっと出てきた氷の悪魔が指し示す。
「これもガチデビルのシナリオですの?本当ですわ!よくやりましたわ。」
「ではさっきの毒見で全部食べちゃった件は」
「不問には致しませんわよ」
「えーっス」
「食べ物の恨みは恐ろしくてですわね。と。ビンゴっぽいですわねこれ」
「シリアスがどうとか言いつつ一方的な契約を……それを詭弁と機転で受け入れて、味方にならないとはいえ契約してしまったのですわね。そして言いがかりからの数の暴力で後は都合的な……なるほどですわ。」
「参考になったっスか?」
「ギャグロールして無理矢理こじつける真似をするワルな輩なのは理解できましたわ」
「そんな彼ら、もう突破してきたみたいっスよ!」
「まあ!」

 目前で、いの一番に躍り出たのはカシムのメルクリウスだった。
「おめー、1stKING宝珠、僕の下僕になった癖に全然命令効かなかったじゃねーか!寧ろ僕の下僕として他の宝珠共々こっちで働けこら!後デビルキングには僕がならせて頂きます」
「お~っほっほっほ!策謀は悪魔の華ですからね!そんな事で起こるより更に丸め込む策をもう一度謀ってみてはいかがかしら!あと宝珠と言ってもわたくしの悪魔を詰め込んだ再現物なので味方にするのは勘弁して頂けないかしら。」
「あとデビルキングにはもうなってますわよね。8thKINGはわたくしがなるとしても妥協しても良いのでは無くて?」
「ふざけるな後代も後々代も僕の物だ。覚悟しろアイスエイジクイーン」
「いいふざけ具合ですわね!その様な小さき体を鎧で補う者であるというに!」
「言えた事か。鏡を見ろよアイスエイジクイーン。」

「鏡はいつも見てますわ。そんなわたくしの美貌を見た貴方達は……」
 アイスエイジクイーンのお腹から冷凍エネルギーが溜まり。
「おビイイイィィイィイイィィィィイムを喰らうのが相応しいですわああああぁあああぁああぁああぁああ!!!!」
 強大な冷凍ビームが猟兵達へ放たれた!
「させません!」
 そこにダーティが飛び込んだ。
 絶滅悪魔軍団によって溜められたゲイズパワー(視線力)を陽炎に変え、ダーティの手に集約されていく。
『姦ゥ悪!穢憎憐恋閃光!』
 纏っていた陽炎を両手から放ち、極大のビームの様に放たれる!
 巨大な冷凍ビームと巨大な赤紫の炎ビームが打ち合う!
 数秒の閃光を以て、爆発と共にビームが相殺された!

「まだまだ。第二発行きますわよ!」
 アイスエイジクイーンのお腹から更なる破壊のビームが溜まっていく。
「お破壊!ビイイィイイイイィィィムですわああぁああぁあああぁあ!!!」
「ここは俺に任せたまえ!」
 白羅の駆るモルスが飛び込むと、その巨大な呪詛の魔剣から生命力やエネルギーを奪う死の閃光ビームが放たれた!
 赤き破壊と青黒き死のビームが衝突し合う!
「おおおぉおおあっ!」
 幾度かの閃光と爆発の後、爆発と共にビームが相殺された!

「では第三発行きますわよ」
 更にアイスエイジクイーンがビームを放とうとする。
 そこにダーティと燦が飛び掛かろうとする。
「流石に何度も相殺されてちゃ隙も生まれるってな!」
「ビームはもう飽きました。懐での殴り合いと行きましょう!」
「――あら。良いのですかしら?特に燦様。」
 そんな二人の眼前に突如飛び出して阻んできた影があった。
「これからビームを放つのは貴女様の縁者の様ですのに。」

「!?」
 洗脳されたテフラ・カルデラが現れた!
 テフラは召喚した『全てを凍てつかせる小さな妖精(アイシング・フリーズ・フェアリー)』達に掴まれて宙に浮き、指にはめた氷結の指輪の指先を猟兵達に向けている。
 その指の周りに更にアイシングフェアリー達が円を描くように集まり、円の中心に極大の冷気が集まっていく。
「ふふふふふ……みんなカチコチに凍り付くといいぃいのですぅぅぅ!」
 アイスエイジクイーンの前に立ちはだかったテフラから、極大の冷凍ビームが放たれた!
「下がって!『姦ゥ悪!穢憎憐恋閃光!』」
 再びダーティが陽炎の極大ビームを放ち、冷凍ビームと相殺しにかかる。
 だが放たれた陽炎はビームと打ち合った傍からたちまち氷に変えられていき、ものすごい冷気と共にビームを伝ってダーティを凍らせようとしていく。
「うっっ!?」
 触れるだけでも瞬く間に凍り付く、全てを凍てつかせる妖精の力が込められた冷凍ビームである。
 そんな形容詞を入れるものだから、ダーティの姦悪なる陽炎さえも一方的に凍らせてしまうのだ。
「氷像になって公園やお城、雪まつり会場なんかに飾られたら、みんなの視線が釘付けになりますよおぉぉ……!見事な氷像になって、そういうピンナップ作りませんかああぁああぁ……!」
「そういうものはちゃんと氷で削った氷像でやるものであって私でされるのは……!」
「みんなが見てくれますよおおぉお……!さあ!さあ……!」
 あっという間にダーティを押して、ダーティは凍り付いていこうとする。まずい!
「お~っほっほっほ!仲間割れして同士討ちで凍り付くがいいですわー!」

「所でそんなに仁王立ちして大丈夫ですかな?」
 アイスエイジクイーンの傍でいつの間にかエドゥが囁く。
「あら?見てるだけで何か問題でも?」
「そんな所に突っ立ってて邪魔になっちゃあいけねえんじゃねえかなぁ?ほら!」
「うっ!?」
 アイスエイジクイーンは突如バランスを崩した。
 崩した?
 そんな筈があるものか!
 アイスエイジクイーンはビームを放つ際にバランスを崩さぬ様、氷の杭を氷鎧の腰辺りから放ち体勢を固定していた。
 …………。
 その氷の杭の1つに絶滅悪魔軍団が閉じ込められているではないか!?
「拙者言ったよねえ!言ったよねえ!配下諸共転倒対策してるでござるかってさぁ!」
「1つだけそんななら重量バランスとかおかしくなってさぁ!」
「あっ――」
 アイスエイジクイーンを固定する後ろの氷杭がばきりと一つ壊れたと同時に、思いっきり残りの杭も壊れ始め、勢いよく後ろに転倒するアイスエイジクイーン!
「もしその際に跳ね上がった足がテフラ殿に当たったら?」
 サマーソルトキックを放つように跳ね上がったアイスエイジクイーンの足が……テフラに激突!跳ね上がった!
「あうーっ!?」
 蹴り上げられたテフラはビームの軌道をおかしな方向に放ってしまう!
「おら見ろよぉぉぉ~っ!!大惨事でござるなぁあぁぁあぁ~~~っ!!!調子乗ってるとバチが当たるんでござるよ!」

「ぜぇ、はぁ……び、ビームが……あれは!?」
 ダーティは半身凍りながらも陽炎を切らし、地面に落ちた後見上げる。
 テフラが逸らしてしまった冷凍ビームは……空中のKING宝珠に命中!
 あれは!守護の宝珠だ!
 一番硬いと噂の宝珠が凍り付いて落ちて来る!
「隙ありだぜええっ!」
 燦の神鳴の刀斬撃が、カシムの炎弾幕が、白羅の魔剣斬撃が、守護宝珠に連続で衝撃を与える。

 5thKINGの守護宝珠は、花火の如く散り破壊された……!


「やってくれますわね。次はこれですわ!」
 体勢を整えたアイスエイジクイーンは更に絶滅悪魔軍団と、氷茨と、テフラを差し向ける。
「くそっテフラめ美味しいポジション入りやがって」
 そんな悪態をつく燦がテフラに切迫する。
「ふふふふふ。燦さんだって何度も凍った仲じゃないですかぁ~♪」
 テフラの契約は解けそうになさそうだ。
「どうやら寝返った猟兵がいるようですが、今こそ私の出番みたいですね。」
 絶滅悪魔軍団を押しのけて、突如戦場の雪中から現れた白いライオンの魔王。
 サーマだ!
「我が歌は甘き幻想。『悲嘆のさえずり(フェネクス)に、あなたは何を思う?』」
 サーマは様々な管楽器を突如召喚したかと思うと、そこから吹雪にも勝る音楽を奏でる。
 それと同時に不死鳥型の四天王が召喚され、悲嘆の歌を放ったでは無いか。
「あ……ぅ……!?ボク、なんで、こんな……許可なく固めたら、あ、ああっあっ」
 悲しい感情を突如撫でられたテフラは地に落ち、アイスエイジクイーンの仲間になって良いかを自問する様になった。
「なっ」
「不死鳥の歌は悪魔達を何もできない位の悲嘆へと導く…アイスエイジクイーンに聞かなくても配下の悪魔にはそれはもう効くでしょう。」
「しょうがないですわね。再教育ですわ!ひとまず絶晶にテフラ様ごと閉じ込めて……」

「おっと、まだラスボス気取りでいるだべか?」
 そこに更に現れたのはプリ・ミョートだ。
「おらもあんたも四天王!領域展開!『ブギブギワールドワイドアワード』で行くべー!」
 プリはユーベルコードを展開し、戦場を善意に満ちた悪魔犇めくデビルファンタジーに変えていく。
「アイスエイジクイーン!あんた能力が多すぎるべよ!欲張り過ぎ!いや……これ言いに来たくて飛び入り参加したんだけども、いや……ちょっと能力多すぎ!」
「でももう関係ないべ。どんなに能力が多くても、クイーンが使うことは変わんねえからな。」
 ブギブギワールドワイドアワードはどなたも四天王しぐさをしなければ大幅に弱体化してしまう領域なのだ。
「生粋のラスボスである女王様が下賎な四天王しぐさはせんべよな?さっき散々部下にやらせてたしな。にししし。」

『ディノ・ホロボシータ!』
 突如アイスエイジクイーンは周囲を氷結させると、よくわからない領域が一瞬で凍り付き、氷の世界に上塗りされた。
「わたくしの氷河期魔法もまた、応用すれば世界を作り出せますわ……!エドゥアルト様を出し抜く切り札的手段でしたけど、ここで切らせて頂きますわね。」
「!? そ、そんなの反則だべ!」
「反則上等!ラスボスを何と心得るのかしら!?」
「くっそ~…!でも一度は変えられたんだ!何度でも上書きしてやるべ!」
 プリは何度もブギブギワールドを展開する。
 しかしその度にアイスエイジクイーンが氷河期魔法でアイスエイジワールドに変えてしまうのだ。
 凍ったり、悪魔っぽくなったり。世界は渾沌の如き変化を幾度も起こしていた。

 更にアイスエイジクイーンは料理の宝珠から様々な美味しいアイスを戦場に雨の様に降らせた。
「悲しい時はご飯が一番ですわ。さあお食べなさい!わたくしからのカシオリですわ!」
 降り注ぐアイスを魚の様に食べる絶滅悪魔軍団は、たちまち精神を回復していき、サーマの音楽の力に抵抗をつけようとしていた!
「お~っほっほっほ!そしてそうやって世界を変え続けている今こそが隙ですわね!おビィイイイィィイィイィイイィィィィィイムを喰らうといいですわあああぁああぁぁあぁあああぁぁぁああ!!!」
 サーマとプリに冷凍ビームが放たれようとする!

「――ありがとうございます。おかげで思い出しました。」
 そこにテフラが飛び込んでいった。
「ボク、この戦いで、アイスエイジクイーンさんの冷凍ビームと撃ち合いたかったのですよ…!」
 テフラが全力の冷気を指先に込め、アイシング・フリーズ・フェアリー達がレンズを形成するかの様にテフラの目の前で輪を作った。
 全てを凍てつかせる極大の冷凍ビームと、アイスエイジクイーンの極大の冷凍ビームが同時に放たれた。
「冷凍ビーム…こちらも本気でやらなければなのです…!」
 最大出力の冷気魔力が真っ向からぶつけられる。
「全てを凍てつかせるビームなど…わたくしのそれも同じものですのよ!?」
 しかしテフラの冷気も強い。なんたって全てを凍らせる冷気なのだから。
 冷気と冷気がぶつかり合い、戦場に極冷の嵐が吹きすさび、大地を凍らせていく。
 ビキビキと、アイスエイジクイーンの近くで音が鳴った。
「なっ」
 相殺し合うビーム宝珠がテフラのビームのパワーに合わせようとした為に無理がたたり、エネルギーの出し過ぎで自壊しようとしていたのだ。
「そんな事が、あり得るの!」
 テフラ・カルデラはドМウサギキマイラにして、固めて動けなくなる者を量産したい欲にかられる固めフェチ(一般語としては石化フェチ)。
 つまり冷凍などの固めに関してはプロフェッショナル。悪魔よりも場数と欲望の大きさが違う。
 負けずと出力を引き上げ続けたビーム宝珠が、それでもアイスエイジクイーンを凍らせまいと無理をした結果、ひび割れていき……。

 ビーム宝珠がひとりでに凍り付き、爆散したのであった!

「や、やった!ボクの勝」
 そう言った瞬間気を緩めたテフラが、まだ残る冷凍ビームに一瞬で押し負ける。
「――――」 
 お互いのビームが放たれ終わり、白い冷気が辺りを包んだ後、ごとん、と鈍い音が地面に響く。
 やり切った満面の笑顔で氷塊に閉じ込められた、氷漬けのテフラがアイスエイジクイーンの足元に転がったのだった。


「手駒が減りましたわね…であれば再びの吹雪を喰らうといいですわ!『コキュートス』!」
 守護とビームを失ったアイスエイジクイーンは真っ白な吹雪を勢いよく全方位に放ち、猟兵達を凍えさせにいく!
「んだばばばばばば!?」
「くっ、これは……!」
 特に対策をしていなかったサーマとプリの視界が白く染め上がる。

「(……?ここは……?)」
 プリは気がつくと白い世界の中に居た。
 どこまでも続く雪原。
 向こうにはなんだか賑わう悪魔達の姿。
 どこか特徴的でいかつい奴らばっかりだ。
「(四天王だべか……?)」
 そんな四天王達のコミュに入ろうとプリは動こうとした。
 ちょっと揺れて、身体に付いていた雪が落ちるだけだった。
「(ん……)」
 気がつくとプリは雪だるまになっていた。
 白い布がそのまま地面と同化するようななだらかな雪の山みたいな形の小さな雪だるま。引き裂いたような口のある黒い顔が可愛らしい。
「(動けんだべな……そっか……おらさ雪だるま……)」

「そうとも。雪だるまの四天王には誰も見向きもしない。」
 ガチデビルの様な声がどこからか。
「だが我ならば、アイスエイジクイーンならばお主を見捨てる事は無い。様々な雪と可愛らしさに溢れた四天王をアイスエイジクイーンは見捨てる事は無い」
 恐ろしくも優しい声に感じてしまう。
「(あぁ……そうだべか……四天王さ)」
「其方は野良の四天王から、誰かの魔王やラスボスの下に従事する四天王になるのだ」
 優しそうな手が後ろから差し伸べられようとする。
「さあ、我の下へ」
「(おらは……おらは……)」


「しっかりしろ!大丈夫か!」
 アイスエイジクイーンの猛吹雪の中から掬ってきたキャバリアがいた。
 カシムのメルクリウスだ。
「はっ!?あ、危なかったべ!姑息で普段ならまるで引っかからねぇ手なのに!」
 これが1stKINGガチデビルの再現契約か。もう少しすればテフラの様になっていただろう。
「ご主人サマったらだいた~ん☆メルシーと言うものがありながら」
「何の気を起こした様に見えてるんだ。あとさっきから喋らなかったからちょっと心配してたぞ」
「きゃー☆ご主人サマ!メルシーはまだ大丈夫だよ!炎の結界が役に立ってるみたい」
「炎……?うあっ!焼ける燃える!?」
 メルクリウスの全身は炎で包まれていた。
 その熱で、雪まみれになっていたプリの身体は何とか溶けていた。
「その布が焼けないように調整はしてる。……悪いが火力が足りないんだ。そのガトリングに炎を付与する。いけるか?」
「はっ!オラさ誰だ思ってるべ!四天王プリ・ミョート、協力プレイもやむなしだべさ!」

「ふっ……く……!」
 がちがちと歯を鳴らしながら、雪で覆われてきた氷の庭園の一角でひたすら楽器を鳴らし、その衝撃波と音で吹雪と洗脳に抗う者がいた。
 サーマだ。
「お~っほっほっほ!宝珠なしでのわたくしの氷河期魔法も素敵でしょう?いかが?この寒さにひれ伏したくなければわたくしのもとに回っても宜しくてよ!」
「お断りします…!」
「暖かいこたつもありますわよ!」
「うっ!?いえ今は仕事中ですので!」
 一瞬の揺らぎも許されない。いや今のはややアウトめいていた気がするがともかく。
「吹雪の中でも歌声は届くもの。その頭脳、その想い、私が引き下げ、乗り越えます。」
「お~っほっほっほ!貴方は聞こえまして?」
 すっと目を閉じて両手を広げるアイスエイジクイーンから、更に勢いの強い吹雪が巻き起こり、サーマを凍らせていく。
「雪と風の奏で、大らかで、悲哀で、透き通る歌声が。」
「……それを緩くして溶かし、更なる悲哀で塗りつぶすのが私の仕事ですので。」
 氷の芸術に暖かな色を、光を。アクセントを。更なる芸術を。
 サーマ・マルヴァス、魔王であるならば、と。
 彼は魔王の力で更に楽器を増やした。
 背中にはまるで聖堂の超豪華で巨大なパイプオルガンの如きトランペットの多重奏を展開し。
 悲嘆の鳴き声を奏でる不死鳥が何羽も巻き上がる様に、竜巻の様にサーマを取り囲み、重厚で悲しい音を引き起こし。
「……!」
 それによる音の爆発をアイスエイジクイーンに向け、放ち続けていた。
 しかし音の爆発は、アイスエイジクイーンが指揮棒を振るう様に手をかざすだけで、吹雪を込めた音の爆発を起こされ、相殺されている。
 魔王とラスボス、戦力は五分。
 何しろそこから更に追撃するはずの、配下の絶滅悪魔軍団や、氷の茨は、今やサーマの楽器の力によって悲嘆の超重力を起こされ、潰れるようにその場で倒れ動かなくなっているからだ。
 だが……アイスエイジクイーンの吹雪が、響く音の様に、確実に、確実に、サーマを凍らせていっている。
 このままでは見事な管楽器を携え奏でる、舞い踊る不死鳥の氷像に囲まれた魔王獣人サーマの氷像が出来上がってしまうのも、時間の問題の様に見えた……!


「「「うおおおおおお!!!」」」
 猟兵達がアイスエイジクイーンに切迫する!
 飛び掛かって爆裂火球を乱れ討つ燦。
 そして確実に撃ち抜くようにして『カドゥケウス』のスナイパー砲弾を片手で連射するカシムのメルクリウス。
 そしてそして更に、メルクリウスのもう片方の手に乗るプリが、炎を纏ったガトリングガンを乱射してアイスエイジクイーンを溶かし倒そうとする。
 破壊力の高い3人の猟兵の弾幕は、その猟兵達がアイスエイジクイーンの周りを回る様にして撃ち続けられていた。
「手の数を増やしてきたとはいいですわね!わたくしも応えましてよ!」
 アイスエイジクイーンは氷鎧の巨椀と、氷の三又槍を振るい続けてその弾幕に対抗する。
 振るう度に強力な氷河期魔法が発動し、無数の氷柱、氷塊、冷凍気弾などが現れて放射され、3人の弾幕を凍らせて爆ぜさせていっている。
「2人から3人に増えた弾幕はどうだ……!」
 アイスエイジクイーンの腕は氷鎧と合わせて4本ある。だが今や猟兵は3人。腕が6本ある。数の差では有利を取った。
「まだまだですわ」
「なんて言ってるけど弾幕の隙を見つけたぜ!隙あり!」
 振るう腕の隙を見つけた燦がアイスエイジクイーンの弾幕を掻い潜って飛び込んだ!
「僕もパターンが読めてきたぞ。メルシー……じゃない。今は手動か!」
「がんばれがんばれダーリン☆」
 カシムのメルクリウスも続けて弾幕とアイスエイジクイーンの巨腕を掻い潜り懐に飛び込んだ!
「サポ頼む!」
「んだべな!?」
 プリを上空に投げたメルクリウスは輝く巨大な鎌剣『ハルペー』を手に取り、高速回転。
 斬り揉むようにアイスエイジクイーンに切迫!
 アイスエイジクイーンは氷の壁を幾度も展開して防御。
 それを超える斬撃でアイスエイジクイーンをひっかきに行く。アイスエイジクイーンの氷の装飾や衣服に鎌剣を引っかけて引きはがそうとする!
「連続切断盗み攻撃でお前の金目になりそうなものを全て奪う!」
「わたくしの氷河期装備を奪おうと言うのかしら!溶かしてお贈りしてあげましょうかしら!」
「嫌がらせを急に思いつくな。」

 そう言ってる間にアイスエイジクイーンの後頭部目掛けて燦が落ちてくる。
 刀を振りかぶり。
「キエエエエエエエエッー--!」
 猿叫(えんきょう)と呼ばれる威圧のある侍の雄叫びと共にアイスエイジクイーンの頭を魔術ごとかち割ろうとする。
「来まして。」
 アイスエイジクイーンは冷たい目をして燦を見据えた。構えもしていない。
「(流石だ……アタシの推しのラスボスなだけはある。)」
 アイスエイジクイーンは刀に目を行ってる。今だ!
 そう確信した晶は『神鳴』の刀を捨て、組み付いて頭に歯を立てようとする。
 存在を取り込むユーベルコード『魂喰らいの接吻』だ!
 ……だ、大丈夫なのか!?ラスボスとはいえオブリビオンでない彼女にそんなポーシュポスめいた事をするのはちょっと倫理が危ないのではないか!
 しかし突き立てようとした燦の歯は頭に刺さったと思った瞬間、滑った!
「!?!」
「落ちなさい。滑る氷瀑の様に。解け征く氷山の様に。」
 アイスエイジクイーンの体はギザギザの透明な氷でコーティングされる様に覆われていた。氷河期魔法だ。
 このギザギザはまるで刃の様に鋭い。つまり例え刀で来ようとも刃の様な氷の鎧が斬撃も噛撃も食い止めて、斬り捌きいなす様に滑り落とさせる。
「吸血……だめかっ ぐ!」
 アイスエイジクイーンの氷鎧の巨椀が落ちて隙を生んだ燦に繰り出され、燦を吹き飛ばしていった。
「終焉に導く氷河期の血は思ったより高くつきましてよ!」

「じゃあその装備と宝珠は安いんだな。渡せよおら全部僕に渡せよ」
 巨椀の隙を見て更に飛び込んできたメルクリウス。
 アイスエイジクイーンの頭の氷装飾が引っかかり、ズレ、視界を塞ぐ。
「この戦いは模擬戦。持ち帰るのは戦果だけに致して頂きたいですわね。」
 しかし見えない状況からでもアイスエイジクイーンは氷の大剣をその(本体の)手に生み出すと、メルクリウスのハルぺーと激突。鍔ぜり合う。
 そうして動きを止めたメルクリウスに巨椀が振るわれる。
 だがメルクリウスはそれを見ていたし、更に上から炎の弾丸が乱射されアイスエイジクイーンを撃ち抜きに来る。プリの仕業だ。
 アイスエイジクイーンの氷装飾がはじけ飛ぶ。
 その氷装飾をメルクリウスは……キャッチすることはできなかった。
「っ!?」
「直に喰らうと……中々溶けないものでしょう……?」
 アイスエイジクイーンが微笑む。
 氷の巨椀はメルクリウスを吹き飛ばすのでなく、腕から氷河期魔法を放ったのだ。
 一瞬で強力な冷気がぶわっと放たれ、瞬時に視界が白くなると、巨大なアイスバーの様な長方形の氷に包まれてメルクリウスは氷漬けになった。
 氷の大剣と撃ち合う鎌を振り下ろしたままの姿だ。
「くそっ……最大火力はどうやる!メルシー!」
「オーバヒート機能はそこのレバーをこう引いてこのボタンを……ああでも氷より先にメルシーが溶けちゃうかも!」
「動け、動けメルクリウス!動け……!」
 恐るべき対応!猟兵達をいなすかアイスエイジクイーン!
 4thKINGが与える頭脳の冷静さは思ったより理不尽な立ち回りをアイスエイジクイーンに可能とさせていた!

「さあ次は」
 氷鎧は手を離し、メルクリウスの氷塊が地面に落下する。
「うおっ!」
 アイスエイジクイーンの冷ややかな視線は上空に居るプリを見据えた。

 その時である。
「アイスエイジクイーン!」
 吹雪で積もった雪の中から姿を現す悪魔がいた。
 ダーティだ!
「サブジョブ変えろなどよくも悪しきご意見をありがとうございます。でも今のサブジョブ……『力持ち』なら」
 その隣にある氷塊をぐっと持ち上げ、力を込める。
「どういう事が出来るかわからせてあげます!【潰ィ悪】(カイアク)!屠壊爆砕擲(トカイバクサイテキ)!」
 勢いよく巨大な氷塊をぶん投げたダーティ!
「そんなもの……!?」
 アイスエイジクイーンが氷の壁で阻んで止めようとしたが、氷の壁を砕き、砕いた氷の破片を雪球の様に巻き込んで更に巨大な氷塊となって飛んでくる。
「氷塊に何かされたかしら……?ですが、当たった所でわたくしには痛くも痒くもない事を証明して差し上げ……しまった」
 先程まで本体との戦いばかりを強いられていたアイスエイジクイーンは一瞬思考から外されていた。
 氷塊はKING宝珠の方へ飛んでいる!
 そしてその氷塊は!氷塊の中には!
 先程冷凍ビームを浴びて氷漬けになったテフラが!
 ダーティは凍ったテフラを力いっぱいにぶん投げたのだ!

 全てを凍らせる氷塊で出来たテフラが1stKING『契約』の宝珠にぶつかると、一瞬で宝珠は凍り、テフラと共に地面に落下!
「おっと!大変でござるな?」
 その近くには…何だと。エドゥが!
「落下地点に誰かいたらどうするでござるか?氷とかすぐ割れちゃうんだから危険でござるよな?雪の下とかクッションになればいいでござるのにな。そんな事ねぇんだわ現実。」
 都合よく地面にいた氷漬けのメルクリウスに、宝珠が下となって落下。勢いよくかち合う。

 するとその衝撃で1stKINGの再現宝珠は砕かれた……!

 そして同時にメルクリウスの氷が割れ、カシムは戦線に復帰したのだった!
 雪に落ちたアイスエイジクイーンの氷河期の髪飾りを丁寧にしまうメルクリウス。
「よくもやってくれたなこのやろー」
「うおっちょっとまたキャッチしてくんろー!」
 何とか攻撃されずに済んだプリが落ちて来る。メルクリウスは危なげなくキャッチした。大丈夫。動ける。

「しまった…!あの黒い男。」
「いやもうここすっごいすべるからよ。俺ちょっと難儀してたんだわ。氷河期世界改変……他の猟兵に手間取ってる間に上書きさせてもらったぜぇ?」
 そう、今出れたのは事故を起こすユーベルコードがやっとこさ上書きできる隙が出来たからである。
「こんな所で活躍出来て良かったって事で……ほらよ」
 ピンを抜いて、時間を計って、ポイと投げて、伏せるエドゥ。
「手榴弾投擲!ヨシ!」
「その世界、貴方も事故を起こす覚悟はありまして?」
 アイスエイジクイーンは冷徹に氷鎧で手榴弾を弾いた。
 手榴弾は跳ねる。足元ならともかく空中で爆発させるのは技量がいる。
 ちょっと他の物に当てて跳ね返させればむしろ投擲者に返って爆発し大惨事――。

「ふっ…今の男、何見てヨシって言ったと思う?」
 後ろから声がした。
 メルクリウスとは別のもう1機。
 白羅のモルスが魔剣を携えて。
「その厄介な料理……否、それよりもその宝珠が、どれだけ脅威か解った。」

「頭脳の宝珠を破壊させてもらう!」
 アイスエイジクイーンの隙を突いて、モルスの魔剣が頭脳の宝珠を切り裂く!
「これも王の戦術という奴だ」

 4thKINGの再現宝珠は真っ二つに裂かれて砕かれた……!

「お、おのれ、おのれですわ!」
「明晰な氷の頭脳も溶け、姑息な契約の声も聞こえなくなりましたね。」
 そこで氷を振り払い、立ち上がった獅子の魔王がいた。
 彼は指揮棒を手に、背に召喚した巨大なトランペットの山から一斉に音の爆風を発射する。
「フィナーレを奏でましょう!」
 爆発をアイスエイジクイーンは氷の音波とかち合わせて防御する。だが動きが先より機敏ではない。
 連爆の隙を突いて浮遊する宝珠の1つに爆発が伝わっていく。
「ま、待ってくださいませ!カシオリも食べ損ねてしまいましたしああっ!」

 2ndKING、料理の再現宝珠が爆散した……!


「こうなったら最終手段ですわ!」
 アイスエイジクイーンは残った3rd宝珠を抱えると、戦場に茨を立ち込めらせながら、ものすごい勢いでバックジャンプ。
 後退して猟兵達から距離を取った。
「再現KING宝珠は、再現するKING宝珠の能力に応じた絶滅悪魔軍団を大量に詰め込んで完成させた悪魔的宝珠……つまりこれ1つに超大量の絶滅悪魔軍が詰まっているのですわ。」
 3rdKING宝珠に冷気の力が溜まっていき、恐ろしい氷河期魔法の光が陽炎の如く揺らめいた。
「KING宝珠の力を全て氷河期魔法に変換。今までよりも超強力な合体氷河期魔法『ディノ・ホロボシータ』をぶつけて、戦いに終焉を呼び込んでやりますわ!」
 これを最初からしなかったのはKING宝珠を犠牲にする為、一度対処されると後がなくなってしまうからである。
 正真正銘最後の手段なのだ。

 猟兵達がかかってくる。
 雪と絶滅悪魔軍団と氷の茨をかき分けてアイスエイジクイーンに迫ってくる。
 それに合わせてアイスエイジクイーンは、己とKING宝珠の氷河期魔法をミックスさせ、魔界を揺るがすような巨大な冷気の魔力を込めて……。
「これで幕引きと行きますわよー!」
 放った!

【超合体氷河期魔法『キング・ディノ・ホロボシータ』!!!】

 猟兵達の眼前に巨大な白い壁が現れた!
 どこへ逃げてもぶつかる様な、巨大な白い壁が迫ってくる!
 その壁は全てが全てを凍てつかす、極・絶対零度の冷気で出来ている、超凝縮された冷気の壁だ!
 その壁には絶対零度の冷気で出来た茨と薔薇が美しくも絡み合っている!
 その壁が通り過ぎた場所は……見るも一瞬で永遠を閉じ込めたかの様な美しい氷で凍り付き、威圧的な攻撃に反した静寂の氷河期が訪れている。

 そんな氷河期女王(アイスエイジクイーン)の壁が、猟兵達に差し迫る……!

「今まででも突破できた!我々ならやれる!突破するぞ!俺にに続け!」
 白羅のモルスが死の閃光を放つ!
「なんでお前が仕切ってんだよ。まあいいや最大出力だ」
「やっちゃえご主人サマ!」
 カシムのメルクリウスが超高熱熱線を放つ。
「有りっ丈の稲荷符を用いた火と範囲の爆裂火球を乱れ撃ちだ!ここで全部使い切ってやる!」
 燦の爆裂火球が連射される。
「中々にワルな攻撃ですが私は超ワルの魔王!ダーティ・ゲイズコレクター!ゲイズパワーは十分残っていますしトドメもまだです!ぶち抜きます!穢憎憐恋火(アイゾウレンレンカ)!」
 ダーティの全身から湧き出る陽炎がビームのようになって前方に放ち込む!
「うおおおらのガトリングでどうにかなるかわかんねけどやってやるべ!能力がこれで終わりなら尚更だべー!」
 メルクリウスの上でプリのガトリングが火を放つ!
「それが西のラスボスの全力であれば、こちらも全力を尽くすのみです。届け。」
 サーマのトランペットから全力の音響がビームの様になって放たれた!
「……………………」
 氷漬けとなって動けないテフラは真っ先に壁に飲み込まれた!

 各々の猟兵達が全力で氷河期女王の壁に攻撃を仕掛け、穴を開けて突破を試みる!
「……うーむ。こういう時もどかしいですな。持ってきた手榴弾、底を尽いてしまったでござる。」
 猟兵達の隣で腕組みをしながら「やっべ」みたいな顔をして困っているのはエドゥアルトだ。
「世界交換もエンゲージ的な何かでどうも今は離れてるみたいで適用外。困ったでござるなぁ」
 ……
「何か火力のあるものが……」
 ……ジャジャジャジャジャジャ……
「どこかに都合よく……」
 ……パンジャジャジャジャジャ……
「落ちてたりは……何でござるかこの音」
『パンジャジャジャジャジャジャ!!』
「うおぉ!?」
 その時である!エドゥの後ろから音を立ててやってきた!
 こいつは!この車輪は!この火花は見覚えがある!
 1章で何故かエドゥと共にやって来てそのままポイ捨てされた!

 パンジャンドラムだ!!!!
『パンジャアアアアアアア!!!!』

 なんだ!コイツは!
 エドゥアルトのプレイングに入ってもないのになんでやってきたのか!
「そうか……お前、やるんだな!?この最後の瞬間に花咲く為にやってきたんだな!今ならわかるぜオイ!」
 エドゥは全速力でエドゥを轢き潰さんと走ってきたパンジャンドラムの中心部を片手でつかむと。
「パンジャンドラム!投擲!」
 勢いよく攻撃の中心地にぶん投げた!
『パンジャアアアアアアアア!!!!』
「ヨシ!」
 指差し確認も忘れない!

 絶対零度の白い壁に突如投げられたパンジャンドラム。
 それは他の猟兵達が放つ一斉攻撃の戦火に晒された直後、恐ろしく強烈な閃光を放ちながら、潔い大爆発を起こした!
 爆発の衝撃で氷河期に、白き壁に、大きな穴が開いた!


「そんな!馬鹿な!力技で『キング・ディノ・ホロボシータ』をぶち抜かれたのですわー!?」
「「「うおおおおお!!!」」」
 猟兵達が飛び込んで来る!

 この時点で力を使い果たし打ち砕かれた3rdKING宝珠は崩壊!
 凝縮されていた悪魔達はアイスエイジクイーンにちょっと謝りながら散らばる様に戦線を離脱した。

「まだですわ!KING宝珠は破れても余力たっぷりのわたくしが氷河期で終わらせて差し上げますわ!」
 アイスエイジクイーンはガトリングを無数の氷の鏡を宙に浮かせて防ぎ、音響波に吹雪を放って相殺し。
 なぜか逐次やって来るパンジャをパンジャしてくる相手は足元を凍らせて滑らせ事故パンジャさせていなす。
 両側からやって来るキャバリアの魔剣と鎌に、氷鎧に氷河期の三又槍を2刀流で持たせ、片腕ずつで防いでは捌く。

「対等な友人に相応しい実力を見せるぜーっ!」
 そこへ燦が飛び込んできた!
「特別扱いはしません事よーっ!」
 燦の牙がアイスエイジクイーンに向く!
「失神するまで零距離で吸血タイムだ!悔しけりゃ自爆覚悟で氷漬けにしてみな♪」
 がぶりとしてくる牙を本体の方が作り出した氷河期の三又槍で防ぐ!
「分かりやすい攻撃にわざわざかかったりはしなくてよーっ!」

「では分かりにくい攻撃なら喰らうという事ですね!」
「!?どこから」
 それは今、この状況で成立を完了した策だった!
 3rdKINGの宝珠が壊れた今。
「激ぃぃぃ悪ゥ!!!!穢憎!!煉獄!!」
 地中に潜って飛び出してきたダーティを止める者はいない!
「ダーティバッドアッパーカアアァァァアットォォ!!!!」

「ああああぁー--っ!!!!」
 赤紫の陽炎纏いしその渾身の一撃はアイスエイジクイーンに直撃し、空の彼方まで吹っ飛ばし、地に落としたのだった。


「ま……負けてしまいましたわ……ご対戦、ありがとうございました。」
 ボロボロになって白旗を掲げたアイスエイジクイーンは正座して戦いの終わりを告げた。
「強いですわね。本当に強いですわね。ガチデビルの模倣に氷河期魔法が組み合わされば手数の多さでいける!と思った自分が悔しいですわ。」
 しかしアイスエイジクイーンは即座に立ち上がり、ずびしと指さし宣言する。
「でもわたくし諦めません事よ!7th去れども次なる8thKINGの為、なんどでもなんどでも、な・ん・ど・で・も!貴方達に挑戦しますからねーっ!」

「その内7thKING宝珠とか言いだしそうだな……」
 キャバリアから降りてきたカシムはそうごちた。
「まあその時はその時だ。俺に寄越す為の宝珠になるだろうからな!」
 同時に降りてきた白羅が言う。
「なんだとお前アレはおれのもんだしアイスエイジクイーンも僕の下僕だ」
「なに?否、俺のだな」
「僕の」
「メルシーはご主人サマのだよ☆」
「俺の」
「僕の」

 言い争う二人を他所に一息つく猟兵。
「とりあえず今日の所はお開きに致しますけれども。疲れたでしょうしお茶くらい飲んでいきますかしら?」
「あっ、そうそうカシオリなら持ってきたぜ。黒蜜抹茶稲荷餡蜜が確かあっちの方に」
「ああそれは……部下が食べてしまいましたので。」
「えーっそりゃないぜ!フラストレーション溜まってるし、どうだい?お姫様、この後一緒に氷漬けにならない?」
「どういう話題の切り返しかしら。」
「ああもう!毎回そういう流れで来てるんだから、分かろう、ぜっ!」
 燦は再三の飛び掛かりを仕掛けた。グラップルによる吸血行為だ!
 それをアイスエイジクイーンは、ふっと吐息を駆ける様に氷河期魔法を振るうと。
 燐を一瞬で氷結させた。
 氷塊に閉じ込められた燐が、終わった戦場のやけに強い風に煽られて転がっていく。
「……そういえば途中で召喚した悪魔、気がつけば居なくなっていましたけど何処に行ったのかしら。後で捜索隊を出しておかないといけませんわね。」
 そう言いながら、アイスエイジクイーンは氷のイスとテーブルを作り出し、猟兵達が帰還するまでの間、悪魔達による打ち上げ茶会を勧めるのであった。

 吹雪通しだった魔界の戦場に暗黒の太陽が再び登り、照らしていく。
 少し溶けかけた氷の薔薇庭園。雪はまだそれなりに厚く積もっている。
 風と傾斜で転がっていった氷漬けの燐は、ごつんと、別の氷塊にぶつかる。
 それはテフラと、戦いの余波で吹き飛ばされた後、キング・ディノ・ホロボシータに巻き込まれて氷漬けになった氷の悪魔の姿。
 3人は照らされる暗黒太陽の光の下、きらきらと輝く氷の中で、溶けるまで佇んでいたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年08月01日


挿絵イラスト