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7thKING WAR㉕〜デストロイ・ザ・コア

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『デストロイキングボス』

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#召喚魔王『デストロイキングボス』


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『デェェェェストロォォォォイ!!』
 凄まじい雄叫びと共に、召喚魔王『デストロイキングボス』の拳が大地を穿ち、地盤を砕く。
 もはや周囲の環境など構った話ではなく、本能の赴くままに、その破壊衝動の向くままに全てを破壊せんと暴れる。
 ユーベルコードではない、純粋な暴力によって齎される圧倒的破壊空間に、もはや耐えられるものなど一人もおらず、張り詰めるような空気の中には、爆ぜて浮かび上がる地盤が飛び交う。
『足りぬ……足りぬぞ……! まだだ、まだ破壊し足りぬ。来い、来いよ、もっと壊し甲斐のある……そう、猟兵どもよ!』
 狂気に染まるその目が、虚空を睨みつける。
 もはや召喚された本来の役目など忘れてしまったかのように、破壊の事しか頭にない。
 だがその一念こそが、世界を破壊せしめる。
 それを成さんと、デストロイキングボスは地を穿つのであった。

「敵幹部の話は、もう聞いているだろうか。この戦争でカタストロフは起きないという話だが、あまり気を抜いても居られない。こいつはパワーだけでそれをやりかねない」
 グリモアベースはその一角、青灰色の板金コートにファーハットがトレードマークのリリィ・リリウムは、シンプル極まる予知の光景を説明すべく、自らがまとめた資料をめくる。
「今回の相手は、ガチデビルが呼び込んだ召喚魔王の一体、デストロイキングボスだ。
 ……名前の時点で頭が悪そうだが、こいつはどうもそういう次元の相手ではなさそうだ」
 舞台となるのは、謎の岩場。カラフルな戦隊がいつの間にか戦いの場にしていそうな採掘現場に似ているが、魔王が大暴れするために、そこいらの環境は、一瞬にして大地が裂けて溶岩が噴き出し、焦土と化しているようだ。
「なにしろ相手は巨体だからな。50メートルはありそうだ。それでいて、とても好戦的で、猟兵を見かけたら大地を破壊しながら爆裂する地面を突っ切って一直線にやってくる筈だ」
 地面のコンディションは極めて悪く、いつ魔王の一撃で地面が爆ぜ、亀裂と共に溶岩が噴出するとも限らない。
 戦うならば、空中戦を仕掛けるか、或は、浮き上がる岩石を足場に利用するなどの工夫が必要かもしれない。
「が、悪い事ばかりでもない。奴を脅威足らしめている、配下のビューティスパイダーだがな。デストロイキングボスはこの蜘蛛の下へ一瞬でワープする力を、今回は使えないようだ。
 何故かって? 最初の一撃でみんな吹き飛んでしまうからだよ」
 なんというか、本当に知性すら暴力で吹き飛ばしてしまったようだが、むしろそこは、並の悪魔ですらも一撃で全滅させるパワーをこそ恐れるべきなのだろう。
 そう、かの魔王の攻撃は全てが範囲攻撃。
「あの巨体相手に、先制攻撃ができるとは思わない方がいい。まずは、相手の攻撃を凌ぐことを考えたほうが建設的だろうな」
 そういえば、異世界の魔王という触れ込みだが、デビルキングワールドのデストロイキングさんの一族とはどういう関係なんだろう。
 と、思案するところだが、今回の話ではあまり関係ありそうにない。
「とにかく、これまでの面白悪魔とは一線を画す相手には違いない。だが、全力でぶん殴れる相手とも言える。気兼ねなく殴りに行ってほしい」
 一通りの説明を終えると、帽子を脱いで一礼し、リリィは猟兵たちを送り出す準備に取り掛かるのであった。


みろりじ
 どうもこんばんは。流浪の文章書き、みろりじと申します。
 幹部戦とても人気でどれを選んだものか迷うところでしたが、どうせならクッキングのお話でちょこっとだけ出てきたカオスさんがいいかなーと、覗いてみたのですが、どうやらこちらのフラグメントのほうが少なかったので、じゃあ少ない方を取ろうと思って、キングボスさんにご登場願いました。
 そんな話は置いておいて、例によってボスキャラなので相手が先制してきます。
 敵のユーベルコードに対応する感じの内容をプレイングに盛り込んでみると、いい事があるかもしれません。
 また、今回の地面は戦うためのコンディションが悪いです。
 キングボスさんが地面を爆裂させながら突っ込んでくるので、大変危険です。
 なんとかしてみましょう。
 このシナリオは戦争シナリオですので、1章完結となっております。
 また、断章やプレイング募集期間なども用意しないので、お好きなタイミングでプレイングを送ってくださっても大丈夫です。
 それでは、皆さんと一緒に楽しいリプレイを作ってまいりましょう。
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第1章 ボス戦 『デストロイキングボス・大地殲滅』

POW   :    デストロイブラスター
自身の【敵の至近距離に移動して】から極大威力の【デストロイエネルギー】を放つ。使用後は【エネルギーチャージ】状態となり、一定時間行動できない。
SPD   :    デストロイサンダー
【デストロイしたい!という気持ち】のチャージ時間に応じ、無限に攻撃対象数が増加する【デストロイサンダー】を放つ。
WIZ   :    アルティメットデストロイ
自身の【肉体が究極デストロイモード】になり、【自分の受ける攻撃全てをデストロイする】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メサイア・エルネイジェ
デストロイ…良い響きですわ
障害はデストロイして進むに限るのですわ
デストロイキングとやら!どちらがよりデストロイか勝負でしてよ!
ヴリちゃん!デストロイするのですわ!

今回は搭乗ではなく騎乗して出撃ですわ
いきなり素晴らしいデストロイっぷりですわ
ですがそう易々とデストロイされるわたくしとヴリちゃんではなくってよ
ゲイルカイゼルでお空を駆けて、デストロイされて舞い上がった岩石を盾にしてやり過ごすのですわ

エネルギー切れで動けなくなった瞬間がデストロイのチャンスですわ
ヴリちゃん!一気に接近して喰らい付くのですわ!
トドメのデストロイはわたくしが直々にデストロイですわ!
ディバインハンマー!
光に…おなりなさぁーい!


ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
悪魔的視力で敵の動きを盗み、魔力やその辺のものも視て、雷撃の軌道を先読み。浮き上がる岩石を盾にだけじゃ貫通するかも。咄嗟に避雷針特性をつけた武器改造品のダガーを錬成・投擲して敵の攻撃を凌ぎ、宙に錬成したダガーを足場に蹴って空を駆けるね。
隙を見て【スキルマスター「スティール」】投擲したカードの中へ溜まりに溜まった「デストロイしたい気持ち」をチャージ時間ごと盗って詰め込みゼロに。デストロイサンダーの不発か弱体化、好機作りを狙うよ。
盗らぬ狸の皮算用。盗った「デストロイしたい気持ち」をダガーに変えて魔刃デストロイダガー。お手軽にワルい子になれそう。ワルに踏みきれない良い子に売れるかなー



『ぬをぉぉぉん、デストロォォォォォイ!!』
 空間を炸裂させるかのような激しい衝撃が、音となり波となってこの区域のなにもかもをもビリビリと痺れさせる。
 全長50メートル強。その巨体が力の限り大地を穿つ。ただそれだけで、地面はビスケットの様に亀裂を描いて砕け、その衝撃は地中深くのマグマをも噴出させる。
 それはまさに生ける天災と言っていいのか。その巨体による暴力は、空間の物理法則をもどうにかしてしまうのか、それとも浮き上がった地盤があまりにも大質量な為なのか、地を打ってめくれ上がった岩盤は周囲に浮遊して、あたかもここは浮遊する巨石の空間であるかのようでもあった。
「うう、なんという破壊力……ですの!」
 遠目にその光景を見ていても、事の異常事態がわかるほどに、それは圧倒的な存在感であった。
 衝撃の余波で吹き荒ぶ砂塵を身に受けながら、しかしメサイア・エルネイジェ(放浪皇女・f34656)は勝ち気に笑う。
 クロムキャバリア出身の、実は王族のメサイアの傍らには、その王家に伝わる国宝でもあるキャバリア、ヴリトラが頭を低く、しかしその獰猛な恐竜じみたシルエットの頭部に光る赤い目をギラギラと輝かせている。
「デストロイ……いい響きですわ。障害はデストロイして突き進むに限るのですわ」
 血に飢えた獣の如きヴリトラの横顔を撫でつつ、もう片手は硬く握る。
 その手しか知らぬというかのように。
 相手にとって不足無し。よりどちらがデストロイか。ちょっとおバカなお姫様は、デストロイしかお脳が働かないデストロイキングボスと、ちょっとだけ感覚が近いのかもしれない。
 故に、彼女は自罰的だとか、懸命だとか、そういう意識など全くなく、真正面からぶつかるべく、自らの姿を敵に晒そうとするのであった。
 が、
「ちょいちょい、待ちなよ~。まさかそんまま突っ込む気?」
 ヴリトラの背に跨り、そのまま突撃しようとするメサイアを、物陰で様子を伺っていたらしいもう一人の猟兵が声をかける。
 こんな状況ですら余裕綽々と言った様子で、お団子をもっちゃらもっちゃらしているのは、ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)。
 彼女は、決め手にこそやや欠けるものの、そこは悪知恵と機転でどうにかするつもりだった。
 ただ、あの巨大な相手にキャバリア同伴とはいえ真っ向から勝負を仕掛けようとするメサイアには、流石に心配になったらしい。
「ふっ、当然ですわ。デストロイにはデストロイ。強すぎる力は、二つも必要ありませんわ。排除、排除、排除くんでーすわ!」
「あ、全然考えてない、この人ー! ……じゃあ、しょーがない。せいぜい感覚で、なんとかやってちょうだいよ。でかい一発のための隙は、必ず用意してあげるからさ!」
 てこでも曲がらないスタンスのメサイアが、思った以上の脳筋……もとい、意志の強さを感じ、ユニはならば仕方ないとばかり、発破をかけつつも囮を任せるよう仕向けるのであった。
 まあ、キャバリアも一緒なら多分大丈夫じゃないかなぁ。たぶん。
 かくして、作戦とも言えぬようなメサイアの正面突破を見送りつつ、ユニは密かに隠れながら、飛び交う岩場を目指す。
「デストロイキングとやら! どちらがよりデストロイか勝負でしてよ!」
『なにィ!? 我はデストロイキングボス! 間違えるなよ、小娘ぇ!!』
 切れるところが何かおかしいが、ヴリトラの機上から大声を張り上げるメサイアの声は、遠くからでも聞こえたらしい。
 怒りに吊り上がった眼差しを、黒い尾を引いて疾走するヴリトラに向けると、猛然とこちらからもダッシュ。
 50メートルを超えるその巨体が、岩盤の浮かび上がるその空域を破壊しながら突撃する様は恐怖以外のなにものでもないが、そこから振り下ろされる拳は、まさしく巨大な建造物が倒壊するような迫力である。
「ヴリちゃん! デストロイするのですわ!」
 メサイアの掛け声に応じるかの如く一声鳴くヴリトラが、その背に負ったブースターを吹かすと、デストロイキングボスの鉄槌に巻き上がる岩盤と共に、ヴリトラは空を飛ぶ。
『ヌウゥ、小癪な! ならば、これを食らえぃ!!』
 ばちんばちん、と巨体の周囲を迸る雷が、高速で飛翔するヴリトラを追ってその矛先を向ける。
 不規則ながら意志を持つかのような雷が、その周囲の岩場を破壊していく。
「くっ、いきなり素晴らしいデストロイっぷりですわ」
 激しい雷に追われる中で、それらを何とか切り抜けているのが不思議であったが、よくよく見ていると、周囲にがすん、がすんと、なにかが突き刺さる様な音も聞こえてくる。
「いいよ、いいよー、もっとあいつを怒らせてー!」
「はっ、ユニちゃん! そういうことでしたの!?」
 浮遊する岩盤のあちこちにがすんがすんと突き刺さるダガーを投擲するのは、姿を潜ませていたユニであった。
 贋作の悪魔である彼女は、悪魔的視力を用いてデストロイキングボスの動きを盗み、先読みして、その辺の瓦礫片から通電性の高いダガーを錬成し避雷針とすることでメサイアに降りかかる雷を逸らしていたのだった。
 デストロイキングボスの攻撃は、ただ岩場を盾にするくらいじゃ凌ぎきれない。
 なら当たりにくく知恵を絞ればいい。
 だが、ワンパターンになれば、すぐにでも察知されてしまいかねない。
 多大な暴力性によって考えが浅くなっていようと、彼は魔王なのである。
『ウヌヌヌ、さては、仲間が居るなァ! ででこーい、デストロイさせろぉ!!』
「っ、今だ!」
 どちらかといえば、焦れた末にでた結論から、デストロイキングボスは、自身のデストロイしたい気持ちを炸裂させんと周囲に多数の雷を発生させる。
 それをこそユニは待っていた。
 【スキルマスター「スティール」】盗賊魔術。魔界盗賊の真骨頂とばかり、宙に浮かべたダガーを足場に、とととーんっと飛び上がると、どことなくニンジャっぽい意匠の胸元に手を突っ込んで取り出したカードを投げつける。
「その気持ち、貰った!」
『なにっ!? グオオオッ!?』
 急速に周囲の雷がしおれて消えていくと、今まさに爆発せんとしていた「デストロイしたい気持ち」をかすめ取ったカードがユニの手元に帰っていく。
「よし、チャンスだ、メサイアさん!」
「やーってやりまーすわ!」
『グヌゥ、我の、心を盗んだというのか、み、認めぬゥゥゥ!!』
 頭上から飛び掛かるヴリトラが、その巨体の首筋に食らいつく。
 トドメとばかり、機上でメサイアが振り上げる王笏に光が収束する。
 が、それと連動するかのように、デストロイキングボスの腹の口にも邪悪な光が集まっていく。
 まずい、ブラスターを撃つ気だ!
 このままでは相打ち、いや、体格差でメサイアが押し負けかねない。
 相手が巨大すぎて、メサイアは攻撃の挙動に気づいていない。
 ユニが助けに行けるような状況ではない。
 しかし、その手元には、勝利の鍵が握られている。
 取らぬ狸の……「デストロイしたい気持ち」が多量に含まれたこのカードを、仮にダガーに変換したら、差し詰めそれは「魔刃デストロイダガー」とでも名付けようか。
 いったい幾らになるだろう。お手軽にワルい子になれそう。ワルに踏みきれない良い子に売れるかなー……なんて悪い事が思いついてしまうが。
「ええい、仕方ない。ほら、これがお前の気持ちだよぉー!」
『ヌッ、まだ仲間が居るのか!? そこかぁ!!』
 邪悪な光が光線となってあらぬ方向に発射される。
 正確には、デストロイダガーを放った先なのだが、広範囲に向けたデストロイキングボス本人の『破壊衝動』に反応せざるを得なかったその攻撃は、当然虚空に散ったダガーを粉砕したに過ぎない。
「あぁ、綺麗さっぱり消えちゃったぁ……まあいいや! 決めちゃえ!」
「ディバインハンマー、発動ォ承認!」
 了解! 【超天極光断罪神罰聖皇姫槌】セーフティドライブ、リリーブ!
 本来は色々ボタンやらコネクトパーツやらぶっ壊したりする必要があるようだが、この際プライドは抜きだ。
「光に……おなりなさぁーい!」
 凝縮した重力波を光のスピードでぶつけることで、なんやかんやぶっ飛ばす光の王笏による鉄槌が、デストロイキングボスの脳天に撃ち付けられる。
 この一撃で、さしもの巨体も光に……はならなかった。
 しかし、強力な一撃には変わりなく、その巨体は焦土と化した大地に倒れ込んだ。
 あの魔王からダウンを奪ったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リューイン・ランサード
でかいわ強いわ怖いわで、もうたまりません<涙目>。
ってこぼしていたら来たァッ~!

全力で避けなきゃ!
死ぬ間際の時間が伸びた感覚の中、第六感・瞬間思考力・見切りで最適な回避ルートを見出し、自分の翼による限界突破した逃げ足・空中戦でその場を離れる。
尚、仙術で分身を置いておく。

そしてエネルギーチャージ中のデストロイキングボスの背中にペタッと張り付き、光の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱・エネルギー充填でパワーを最大限貯めての竜闘気波動砲を、背中から胸部中央を貫通攻撃する形で至近距離から発射!

撃った後は眩しくて目が、目がぁ~状態になるので、仙術の千里眼で状況把握し、結界術で身を隠し、翼と空中戦で飛んで離脱。


朱鷺透・小枝子
お前の破壊はここまでにしてやる!
壊すのは…

ディスポーザブル01を【操縦】
スラスターで【推力移動】パルスアトラクターに溜めた電撃音波を放射し、雷の通り道を形勢、デストロイサンダーを【受け流し】UC『燎原の劫火』を発動する!

自分だ!!

超能力高速移動の【残像】で拳を回避、RX騎兵刀をデストロイキングボスへ突き立てる!1回目
超能力テレポートで01から魔王の肩へ転移し【早業】偽神霊物質の剣を突き立て【貫通攻撃】再転移!2回目
01が突き立てたRX騎兵刀を【念動力】で捩る!3回目!

…4回目はもう打った!さぁ、喰い尽くせ!!
肩に撃ち込んだ剣を偽神霊物質に戻し【捕食】攻撃!
喰らって増えて貪り尽くすまで。



『ぬをぉぉぉ!! おのれぇ、この我からダウンを奪うとは……! どこだ、どこへ行ったぁ、猟兵どもォ!!』
 大地を竦み上がらせるような激しい咆哮が響き渡り、周囲に浮遊する岩盤が、その叫びだけでグラグラと振動する。
 その声はどこまで届くのか。
 ひたすらに巨大なその身体から繰り出される絶大な暴力が、その魔王の頑健さ、破壊への執着を強く存在させている。
 それは、かなーり離れた場所に待機する猟兵すらも竦み上がらせる。
「ひ、ひぃ……!! コワイッ……あんなの、どうやって……」
 リューイン・ランサード(波濤踏破せし若龍・f13950)は、胃の腑を揺さぶる様な恐ろしいデストロイキングボスの叫び声を遠巻きに耳にするだけで肩に震えを覚えていた。
 幾多の戦場を駆け抜けてきた、もはや歴戦といってもいい筈の彼だが、慎重極まるその性格の臆病さは抜けない。
 他の猟兵の士気を落としかねないビビり方だが、彼を知る者は、追い詰められた瞬間にこそ、彼の本領がある事を知っている。
 ただ、
「だ、大丈夫でありますか? ご気分がすぐれぬようでしたら、戦線から引いた方が……」
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は、戦う瞬間でこそ死に物狂いでその身を投じるが、その性分は心優しい素朴な少女である。
 その身は儚く戦場で使いつぶされる前提のお安い粗製乱造のクローン人間とはいえ、猟兵となってしまったからには、安易に倒れる事も許されない。
 早死にする筈のその肉体は死して朽ちる事も忘れ、シンプルな命題を突き付けられた賢いとは言えぬ容量の頭は、己が既に悪霊と化している事にすら気づかぬ。
 だが戦場でさえなければ、目の前のオブリビオンが倒れるまで戦い続ける少女は、ひと時普通の少女になる。
 そして、心優しい小枝子は、ガチビビりのリューインが震える様を見過ごすことはできなかった。
「ああ、いえ、その……こ、これでも、僕はそこそこのお家に生まれてますから……だ、大丈夫、大丈夫です。や、やりますよぉ!」
「涙目で震えているではありませんか。お偉いのでしたら、尚更に即時撤退を。戦いは私の様な木っ端戦闘員に任せて、お偉方は後方でふんぞり返っていらっしゃればよろしいのです」
「い、嫌味ですかっ!? そういう訳にはいきませんよ! それに、女の子ばかり前に立たせるなんて……僕にはできない!」
「いや、しかしですね……」
『ええい、何をしとるか、おのれらぁ!! 煩わしいわぁぁい!!』
 なんやかんや、フォローしてるような、気遣っているような、別にそうでないようなやり取りをしている内に、気が付けばデストロイキングボスに二人とも捕捉されていた。
 調子にのって掛け合いなんか入れるからですよ!
「来たァッ~! 近づかれるのはまずいですっ。ですが、でかい攻撃の後には、必ず隙ができる! そこを狙いま……うわぁー!!」
「リューイン殿ッ、くっ!!」
『デストロォォォォイ!!』
 大地を穿つ両の拳が、焼き過ぎたパウンドケーキのような亀裂を生み、吹き上がるマグマと共に地盤を吹き飛ばし、巻き込まれたリューインと小枝子は離れ離れになる。
 ツッコミを入れるためなのか、その攻撃自体は狙いが雑であり、直接潰されるようなことは無かったが、辛くも戦闘態勢に入った二人は、即席で戦う準備を整える。
 瓦礫片と共に吹き飛ばされながら小枝子は、いつの間にやらその場に現れる霊体のような量産型キャバリアに搭乗する。
 ディスポーザブル01。量産型ながら、その装甲は厚く頑丈。
 流石に魔王の拳を一身に受ける程ではないだろうが、細かな岩石程度ならびくともしない筈だ。
 そして、この機体の長い手足に見合う長大な実体剣、RX騎兵刀を手に、飛び交う岩を切り払いつつ飛び込んでいく。
「おおおっ!!」
 小枝子の行動原理に従うままに、目の前の巨大なオブリビオンを破壊せんと突撃する姿は、やはりキャバリア故にか魔王の目にも留まりやすい。
『人形が出てきたか! 壊し甲斐がある! この技を食らえィ!!』
 デストロイキングボスの周囲に迸る雷がその輝きを増して、ディスポーザブル01へ目がけて意志を持ったかのように襲い掛かってくる。
 この空域を切り開けるほどのスラスター出力と装甲。しかし、魔王の雷を食らえばただでは済むまい。
 しかし、対策は十分である。
 キャバリア胸部装甲に埋め込まれたキューブ型電磁音響兵器パルスアトラクターによる電磁誘導により、雷の指向性を機体から逸れるよう促す事で、あたかもデストロイサンダーが偶然外れたかのように見せた。
『なにっ、おのれぇ~、偶然がそういつまでも続くと思うなァ!! くらえぃ!!』
 しかし何度雷を撃ち付けられても、その指向性は電撃音波に遮られて着弾を逸らされてしまう。
「お前の破壊は、ここまでにしてやる!」
 そのまま回避し続けてもよかったが、あまりにも偶然が続いてはネタが割れてしまいかねない。
 それに、いつまでも電磁音波を使い続けては稼働時間が持つかどうかも怪しい。
 どこかへ吹き飛ばされてしまったらしいリューインは心配だが、ここいらでさっさと勝負を決めてしまおう。
 戦闘状態に入った小枝子は思考を簡略化し、ある程度の感情を排してドライに判断する。
 目標を、ただ、倒すためだけに。
 機体のみならず、小枝子自身の潜在的な能力を全て引き出すべく、埋め込まれた人工魔眼が出力を上昇させて輝くと激しい熱を伴う。
 無理矢理に植え付けた超能力などの異能を行使するため、火の炉の如く輝きが炎の様に煌めくことで【燎原の劫火】は成る。
「壊すのは……自分だ!!」
 機体操縦はもとより、超能力によるアシストが加わったディスポーザブル01の機動性は飛躍的に上昇し、残像を残す勢いで、一気に間合いを詰めると、RX騎兵刀をデストロイキングボスへと突き立てた。
『なにっ、急に速く……だが、それでは我のみを裂くには足らぬぞ!』
「二発目……!」
 今度は小枝子自身がコクピット外へテレポート。その姿は次の瞬間には、デストロイキングボスの肩に着地し、その身に埋め込まれた偽神霊物質から形成した剣を突き立てる。
 霊物質であるそれは、魔王の強固な筋肉の装甲をもすり抜けるかのように突き刺さった。
『く、今度は肩かっ、いつの間に人形から降りた! 離れよっ!!』
「三度、目……!」
 掴みかからんとする魔王の手から逃れる様に再びテレポート。コクピットに戻ったところで、小枝子の頭がハンマーで殴られたかのような痛みを訴える。
 度重なる超能力の連続使用で、激しい頭痛と共に、人工魔眼の熱量が小枝子の眼窩を焼き始める。
 熱に茹る血液と神経がぶちぶちと筋肉と神経を焼き切って焦げ臭さと鉄臭さをまき散らすが、まだ戦闘中だ。まだ止まるんじゃない。
「もっと、深く……!」
 念動。突き刺してすぐに距離を取った。刺したままの騎兵刀を念動でさらに深く突き入れ、捻じ込み傷口を抉る。
『ヌグググッ!』
「四度目、四、度目はもう、撃った」
 後は命じるだけ。しかし、レッドアウトする視界が、食いしばる歯にこびりつく唇がうまく動かない。
『おのれぇ、かくなる上は、このブラスターで……!』
 魔王の腹の口が邪悪な光を湛える。
 まずい。最後の一撃を加えないと、技は成立しない。
 【燎原の劫火】によって増幅した攻撃は、四度で成立する。最後の一手を打てば、倒せるはずなのに。
 目前に迫るその攻撃を回避に回すほどの余力が無い。
 しかし、小枝子の機体を狙っていた筈の魔王の腹の口だが、唐突に真上から降り注いだ呪符による攻撃によって、その注意は逸らされる。
「ああ……なんで、こんなタイミングに間に合ってしまうんだろう。
 やだなぁ。でも、やるしかないもんな……あーあ……」
 大量の術符を手にしたリューインが、そのドラゴニアンの翼を広げ、魔王の直上に居た。
『ヌゥ、いつの間に踏み込んだ!?』
「貴方が、相手を絞ってくれていましたからね。ここまで来るのはけっこう簡単でした。さぁ、こちらと勝負しましょう!」
 その両目が竜闘気を溜めて激しい光を放ち始める。目だけ光ると、まるでマ〇ルさんみたいでかっこいいぞ!
 両目に竜闘気を溜めるだけ溜めて放つ大技は、デストロイキングボスのそのブラスターに勝るとも劣らない輝きである。きっと眩しいことこの上ないだろう。
 ただ、それははったりである。だいたい、サイズが違い過ぎる。
 だが啖呵を切るタイミングはここしかなかった。小枝子が撃たれる瞬間を外すには、自分に狙いを向けさせるこのタイミングしか!
『笑止! 我の技を見よォォォォ!!』
「うおおお、い、いやだぁぁぁぁぁ!!」
 馬鹿みたいに広範囲のごんぶとブラスターを前に、リューインは今度こそ死を直感した。
 だが、死を覚悟したその一瞬。滝の飛沫、その一滴を見たかのように、リューインの思考は無限に引き延ばされる。
 いや、当たったら流石に死ぬ! 全力で避けねば!
 決死の思いが、リューインの翼の限界を突破し、引き延ばされた思考がこのブラスターの熱波を回避するための効率的なルートを構築していく。
 生きる。生きるのだ。何か、功績を残すために。愛しいあの人にもう一度会うために。
「あ、ああ……リューイン殿……、自分などの為に……いや! 生体反応! 避けたのでありますか!」
 光の彼方に炭と消えたかに思われたリューインの姿は見えなかったが、コクピットのレーダーはリューインと思しき生命反応を示していた。
『フハハハ!! やはり、デストロイ。破壊はいいものだ。さて、残りの人形をば……なにっ!?』
 哄笑するのも束の間、今しがた消し飛ばしたかのように思われたリューインは、いつの間にか魔王の背中にぺたっと張り付いていた。
 これも仙術のちょっとした応用だ。
 全速力で移動したリューインの翼はとっくに限界を超えて早くも筋肉痛を訴えていたが、魔王が巨大な技を使いちょっといい気分で気落ちしている今がチャンスである。
「エネルギー充填120%……【竜闘気波動砲】発射ァ!!」
『ウグワァァァァッ!!』
 両目に湛えた竜闘気を一気に放出する輝きが、その背を穿つ。
 背中から胸を貫かん勢いで放たれるその輝きは、長時間照射すればそれも可能であろうはずだが、
「うううっ、め、目、目がぁ、目がぁ~!!」
 頑張って耐えていたが、あまりの眩しい光のために、リューインは目を抑えて即座に撤退する。
 なんで目から出す仕様にしたんですか。
「い、今だ……! 喰らい尽くせッ!」
 その隙に余力を得た小枝子は、事前に打ち込んであった最後の一撃、偽神霊物質の剣を元の偽神霊物質に還元し、その本性のままにデストロイキングボスの肉体を食らわせる。
『グヌッ!? こんなものを打ち込んでおったか! ウググ、おのれぇ!』
 突き刺さった剣から牙を剥き、その肉体に食らいつく霊物質。
「貪り尽くすまで、喰らって……!」
『舐めるなよ、羽虫風情がァ!』
 放し飼い状態の偽神物質が最後の4撃目。それが命中すれば、魔王は倒れる筈。
 だというのに、ぐしゃりという自身の肉ごと偽神細胞を握り潰す魔王は健在であった。
 そんなことがあり得るのか。
 まさか、ユーベルコードの法則を『破壊』でもしない限りは、そんなことは不可能なはずだが。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜久・灯火
【黒猫】
大地を力だけで崩壊させるってとんでもないなぁ
でもまあ、空中戦なら任せてよ。
有栖ちゃんもよろしくね。

今回は飛空艇「スカイホエール」に搭乗して出撃するよ。
周囲には黒猫式・サーチドローン10体、シールドドローン6体も展開。

浮き上がる岩石をサーチドローンの【索敵】と【野生の勘】で察知して【空中機動】を使って【運転】して避けていくよ。
敵の先制攻撃は回避を優先しつつ、いざという時は飛空艇やシールドドローンの【結界術】を利用して防御。
危ないようなら有栖ちゃんの援護も行うよ。

そして、先制攻撃のお返しにロボの鉄拳や小型ミサイルを使った連続攻撃で反撃していくよ。
パワーは兎も角、手数だったら負けてないよー!


結城・有栖
【黒猫】
このままだと、この世界が滅茶苦茶になっちゃいますね…。

「なら、此処で倒さないとネ。準備は出来てるカナ?」

ええ、灯火さんも一緒ですし大丈夫ですよ。
行きましょう、オオカミさん。

私はウィンドボードに乗って出撃です。
宙に飛んでる大地や敵の先制攻撃を【野生の勘】で【見切り】、【軽業と空中機動】を使って上手く【操縦】して避けて進みます。
避け切れないならウィンドボードの風の【オーラ防御】で防ぎましょう。

そして、UCで雷の魔鳥さんを呼んで雷の鉤爪で攻撃してもらいましょう。
雷の【マヒ攻撃】で敵の動きを阻害し、灯火さんの攻撃をサポートします。
灯火さんの連続攻撃が終わったら雷の魔鳥さんで更に【追撃】です。



 低く猛々しい声が、焦土と化した大地を轟かせていた。
 いや、それはもはや、魔王の声なのか大地の鳴動する音なのかすら判別がつかない。
 巨大な異世界の魔王、デストロイキングボスの腕力によって、大地は裂け、地表はめくれ上がり、岩盤が宙を舞い、亀裂を帯びた大地からは赤熱する溶岩が吹き上がる。
 粉塵を上げる空は黒く暗雲を呼び、大気が悲鳴を上げて雷を迸らせる。
「すごいな。まるで世界の終わりだ。大地を力だけで崩壊させるってとんでもないなぁ」
 パワーだけで世界を破壊し尽くしてしまいかねない圧倒的な暴力。
 その渦中に向かうは、クジラを模した一隻の飛空艇。スカイホエール。
 艦橋から望む世界は、おどろおどろしくもどこか抜けているようなデビルキングワールドのコミカルな雰囲気は感じ取れない。
 やや気だるげな黒猫のキマイラ、夜久・灯火(キマイラの電脳魔術士・f04331)は、船の舵をとりつつ、オブリビオン程の力を持ちながらも気の優しい悪魔たちの事を考える。
 デストロイキングボスが、どことなくデビルキングワールドの悪魔に似ているようにも思えたが、やはり異世界の魔王というのには違いない。この際限のない破壊は、この世界に住まう悪魔とは性質が違うように思えてならないのである。
「このままだと、この世界が滅茶苦茶になっちゃいますね……」
 惨状というにも、あまりにも規模が大きい破壊。スカイホエールに同乗していた結城・有栖(狼の旅人・f34711)も、周囲の様子を見てやや呆然とした面持ちのまま、この破壊の渦中にいるであろう魔王の力の片鱗をまざまざと肌で感じる。
『なら、ここで倒さないとネ。準備はできてるカナ?』
 有栖の内なるオウガ、オオカミさんは、いつでも戦えるとばかりにその獣の猛りを鼓動の様にして有栖に伝える。
 宿主の心を奪ってしまいかねないオウガを宿す有栖だが、肝心のオオカミさんの気性は優しく、有栖にとって友好的だ。しかしながら、その力がオウガブラッド足り得ぬかと言われれば、それは大きな間違いである。
 有栖が望みさえすれば、オオカミさんは存分にその凶暴性を振るうであろう。彼女の正気と引き換えに。
「ええ、灯火さんも一緒ですし、大丈夫ですよ」
「そろそろ見えてくる。向こうからも見つかる筈だよ。有栖ちゃん……」
「わかってますよ」
 何かを言いかける灯火の言葉を遮り、皆まで言うなとその意図を汲む。
 猫と狼。その絆はなかなかに強固である。戦いになった場合にどうすべきかは、事前に打ち合わせ済みだ。
 空の世界をも駆けることができる飛空艇スカイホエールは、AI搭載の小回りが利く船である。
 しかしながら、この巨石の空域を多数の索敵ドローンやシールドドローンを展開しながら操舵するとなると、その外観は嫌でも目立つ。
 空戦を繰り広げることに対して灯火はそれなりの自信はあるものの、船上で有栖の手を遊ばせているのは効果的とは言い難い。
 船は一人でも動かせる。なんなら、AIによってある程度の自動航行だって可能だが、この空域に限っては細かな制動が必要であろう。
 とにかく、ここは、二人で一緒に船を駆るよりも、分担して手数を稼ぐ方が効率的と判断したのだった。
「さ、行きましょう、オオカミさん」
『大丈夫だと思うけど、浮遊する岩石に気を付けてネ!』
 そうして有栖は、甲板からウインドボードに乗りつけて、船尾の方へと飛び立っていく。
 風の魔力で宙に浮くウインドボードから別行動に移りながら、破壊の渦中へ回遊するように進路を取るスカイホエールを見送りながら、
「後で落ち合いましょう……!」
 遠く声の届かぬ灯火へと向けた言葉は、ゴロゴロとうなりを上げる暗雲に掻き消される。
『ヌゥゥゥ……また、餌がのこのことやって来たか。いいぞ! 破壊、デストロイ、させろぉぉぉ!!』
 近づくにつれて、灯火の駆るスカイホエールは、すぐにデストロイキングボスに捕捉される。
 猟兵一人ならいざ知らず、空を泳ぐようなその機影はこの巨石の舞う空域でも一目で判別がついてしまう。
 まして猟兵のその規格外の力を、まるで波動でも感じているのか、魔王は既に交戦を重ねて傷ついた身体をも厭わず、身の内から生じる破壊衝動の赴くままに、周囲の雷を操り始める。
「……来る!」
 大気の摩擦によるその兆しを、ネコ特有の口髭にパリパリと感じる静電気で察知しつつ、灯火は舵を切る。
 浮遊する巨石を躱し、蛇のようにのたうちながら迸る魔王の雷を、その兆しを読んで回避していく。
 時には巨石を盾に、時にはシールドドローンによるエネルギーフィールドを展開し、ダメージを最小限に、船速を上げて器用に直撃を避けていく。
「灯火さん……」
『こっちにも飛んでくるヨ! 暗礁を利用しヨウ!』
 ほぼ全方位にばら撒かれる激しい雷の奔流。それに追われるスカイホエールをついつい見てしまう有栖だったが、雷は別方向から回り込む有栖のほうにも及んでくる。
 ガレオンならば多少のダメージで怯むことはないだろうが、身一つの有栖は、雷に打たれればひとたまりもない。
 しかし、その代わりに彼女は小柄で捕捉されにくい筈だ。
 動物的な勘と、ウインドボードによる変則的な飛行で雷を躱し、更にはオオカミさんの指示もあって細かな岩石の漂う岩礁に滑り込むように逃げ込んで、狙いを逸らしていく。
「よ、ほ、あぶ、あぶない……」
 ボードの先端を掴んで身を屈めると共に、ぶつかりそうな岩石に空いた手足で強引に制動を利かせ、スケートボードのトリックをきめるかのような軽業で狭い隙間を抜ける。
 まだまだ油断はできないが、魔王が文字通りに大きな魚を狙っている以上は、有栖が集中攻撃を受ける事はあるまい。
『仕掛けるなら今だネ!』
「はい、どうせなら、彼の力を利用してみましょう」
 そうして有栖は、この空域に迸る雷から着想を得て、想像魔法による獣の姿を思い描く。
 【想像具現・雷の魔鳥】は、美しい女性の肢体を思わせるシルエットをもつ雷のハーピーであった。
「雷の魔鳥さん。獲物はあちらですよ」
 甲高い嬌声と共に、猛禽類のようなするどい鉤爪が魔王に襲い掛かる。
『ウッ!? な、なに、我の雷が、何故、ち、違う! これは……おのれ、謀ったなぁ!?』
 魔鳥の一撃を不意に受けたデストロイキングボスの身体が、雷に纏われひと時だけ鈍る。
「よし、今度はこっちの番だ。空中戦の本領、見せてあげようねぇ!」
 魔王の動きが鈍ったその瞬間を見逃さず、灯火も一気に攻勢に転じる。
 スカイホエール自身に多くの武装は積んでいないものの、それを操る灯火は電脳魔術士、そしてバトルゲーマーでもある。
 重さのかさむ武装は、電脳から具象化すればいい。
 射撃ドローン、レーザードローン、小型ミサイルに、極めつけはお気に入りのゲームからロボットの鉄拳をお見舞いだ。
 それら【電脳兵器群】は、たとえ一撃一撃は軽くとも、数の暴力で魔王の巨体に襲い掛かる。
『ぐ、おおっ!? ど、どこにこんな兵器を積み込んで……やめ、やめんか! いだだだっ』
 その猛攻、ダメ押しとばかり虚空より繰り出されるロボットのストレートパンチが顎をとらえ、ついに魔王の上体がぐらりと傾ぐ。
「魔鳥さん、更にダメ押しのダメ押しです」
 雷の魔鳥が怯んだ魔王へとさらに攻勢を仕掛ける。
 体当たりと共にその身は収束された雷へと還元されていく。
『グオオオーーッ!!』
 まばゆい輝きと、焦げた臭いが、恐ろしい悲鳴とともに周囲の巨石、そして有栖と灯火とを揺るがしていく。
 悲鳴を上げるだけで、なんという恐ろしい波動だろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
異世界の魔王……こんなとんでもない力を持った奴が闊歩する世界とか魔境が過ぎるというか
いつかはその世界にも行く事があるのかね

飛行手段はないので基本はダッシュとジャンプで破壊された岩盤を足場にしていく
先制攻撃にあわせて神刀を抜き、足場を切り崩して敵の体勢を崩す
一瞬だけ攻撃を遅らせてその隙に別の足場へ飛び移って退避。敵が大きいのでできれば上へ

すぐに動けるようになるだろうが、しかし動けない今を逃す手はない
飛び降りながら、参の型【天火】で一閃。叩き込んだらデストロイキングボスの身体を足場に蹴って離脱……とはいえ瞬間移動を考えれば下手に距離をとっても仕方ない
敢えて踏み込み、死中に活を求めていこうか



 大地は裂け、空気は罅割れ、吹き荒ぶ風にすら熱気が乗るほど地表は荒れ果てていた。
 ただの一人。一柱の魔王という存在が、その身と衝動の赴くままに暴虐を晒すのみで、魔界の大地は荒れ果て、その存在そのものが、世界を終わりへと導かんとしている。
 なんという存在だろう。
 なんという在り方だろう。
 魔王と、その破壊の衝動とは、かくも恐ろしく、悲しい。
『ヌウウウウウ……この破壊力。この力。何物をも恐れず、ただただ衝動に任せるままに、全てを破壊し尽くす我が命題をも、覆さんとする……これが、このデストロイ! これが、猟兵というものなのか……認めぬ、認めぬゥ!!』
 激しい気性の発露。生命が生まれもって、何かを消耗し、エネルギーとするのと同じように、デストロイキングボスは、その身に消えぬ傷を帯びながらも、なお破壊衝動の赴くままに大地を穿つ。
 何者をも破壊する情動。それは、自らの存在証明であるかのようでもあった。
 空気が割れるような、痺れすら感じる空気の中に、魔王を見据える様にして、その男はいつの間にか佇んでいた。
「異世界の魔王……こんなとんでもない力を持った奴が闊歩する世界とか魔境が過ぎるというか……。
 いつかはその世界にも行く事があるのかね」
 浮遊する巨石の一端に両足をつき、杖のように手を置くのは白い鞘の白い刀。
 鳴動する空気にか、それとも目の前の巨大な存在にか、その白塗りの鞘は、神気を帯びる刀を封じから開け放たんとその鯉口をじりじりと押し上げようとしていた。
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)にとって、倒すべき強大な敵にのみ抜刀すべきそれは、命を削る行為に他ならない。
 猟兵として幾多の戦場を駆けるという事。
 それは即ち、恐るべき強敵と日常的に遭遇する危険性を伴っていたし……、恐るべきことにここ数年で神刀に手をかけ、ともに強敵を討ったことは、珍しい事でもなくなっていた。
 恐怖を伴うほどの神気を帯びた刀を使い続けるということは、その身の変質を招くことに他ならず、事実、鏡介の片腕は神の器になりつつある。
 猟兵という世界にとって慮外の存在にあらねば、とっくに正気を失っていたかもしれない。
 世界にとって異質であるからこそ、鏡介は自分自身という個を保っているのではないのか。
 それでも、この力に頼らざるを得ないほどの強敵と対峙する戦いは続いていく。
 破壊を司る魔王。このような馬鹿げた存在がうようよと湧いて出るような異世界があるというのか。
 ぞっとしない。
『感じるぞ、小童。破壊への恐怖。自らの器が侵され、何かにすげ変わらんとする、その変化への怖れ。満身創痍の我と、万全に見える貴様と、どうして脆さが同じように思えよう』
「どうやら、これまでに随分痛めつけられたみたいだな。殴られ過ぎて、ちょっと冷静になったんじゃないのか」
『笑止なり。人も魔も、世界に生きる者は、何かを捨て、破壊し、消耗し、生きているではないか。踏みつけて壊す事を恐れていては、外も歩けまい』
 葛藤に対して切り込みを入れてくる魔王の言葉には驚くものがあった鏡介だが、いつまでも禅問答に堪え切れるほど、お互いに落ち着いた性格をしてはいまい。
 もう、正対した時から戦いは始まり、確実に終幕へと近づいているのだ。
 ただ、今は、兆しを待つ。
 相手は巨体。どう足掻いたところで、鏡介の初太刀が届くよりも、デストロイキングボスの攻撃の方が速い。
 ならば、その攻撃の瞬間を見極めるのみ。
「正論を吐くもんだから、ちょっと納得しそうになってしまうな。
 だが、言わせてもらえば、その理屈だと目に映る者すべてを壊してしまってもいいことになる」
『可能だろう。貴様ら猟兵ならば! 破壊、破壊! それしか無い。この世の摂理とは、即ちそれよ! デストロイ。世界滅すべし! デストロォォォォォイ!!』
 既に体のあちこちが崩れ始めているデストロイキングボス。その腹部の巨大な口の中に邪悪な輝きが湛えられる。
 この場にいる者が何度も見ることになった、デストロイブラスター。
 その輝きの奔流に飲み込まれれば、何者も分子レベルにまで粉砕破壊されて、何も残らないだろう。
 だが、そろそろその技も見飽きてきたところだ。
 その光線。今日だけで、何度撃ったか。
 応じる構えの鏡介の行動は、その兆しを見てからは素早かった。
 足場にしていた浮遊岩石を蹴りつけその身を翻すと、腰だめの神刀を抜刀、抜き付けに一閃する。
 切ったのは岩石……いや、それだけではなく、その先の沸き立つマグマ。だけでもなく、更にその奥、まだ貴重に残っている焦土と化した大地。もっと言えば、デストロイキングボスが足場としているところであった。
 概念すら斬るという剣豪。その一閃が断つのは、かの魔王が足場としている地面という、ささやかなものである。
『ムウッ!?』
 攻撃の機先。相手の先制にこそ及ばぬものの、ブラスターの発射にやや遅れて抜き付けられた一閃が足場を崩し、体勢をやや崩した魔王の閃光は、そのためにやや射線をずらす事となり、飛び上がった鏡介は難を逃れると共に、絶妙なる飛び込みの好機を得たのである。
 ブラスターの発射の反動、そして足場を悪くしたことでよろめいた体勢。
 この機を逃す鏡介ではなく、跳躍はそのまま攻勢へと転ずる。
 最上段からの一刀。それ即ち──、
「剛刃一閃――参の型【天火】」
 森羅万象、その悉くを断つ刃。神刀は、その名の如く神を弑する力を秘めている。
 白く尾を引く剣閃が、魔王の肩を抉り、心の臓腑を割った手応えがあった。
『ウ、オオ……ビューティスパイダー、よ……我を』
「くっ、転移するつもりか」
 確実にとった筈だったが、呻く魔王の言葉に、鏡介はその肩口から飛び退り、周囲を見回しつつ、手近な巨石に着地する。
 が、警戒するのもそれまでだった。
 月の輝く夜には星が見えにくくなるように、恐ろしく巨大な魔王の気配が薄れると共に、そういえば配下のビューティスパイダーの気配も無い事に気づいたのだ。
 魔王の力は強すぎる。配下の悪魔たちをも、破壊してしまうほどに。
『……たまらぬ、な。我がデストロイを、破壊せしめるとは……』
 持ち上げた手がだらりと脱力するのを皮切りに、デストロイキングボスの身体が崩れ落ち、焦土に倒れていく。
 最早その身に一切の破壊力を持つこともなく、今度こそ魔王はその身を横たえたまま、起き上がる事は無かった。
 それを確認すると、鏡介は刀を鞘に納め、大きく息をつく。
「全てのものは、壊れる運命を持っている。けどな。壊してばかりが命じゃない筈だろう」
 無機物の様に感覚を失いつつあるその身と心に、荒涼たる風が撫でつける。
 熱くも寒くも思う、その感覚があるうちに、この場を去ることにした。
 破壊し尽くされたこの空域だが、いずれはまた、何かが芽吹くに違いない。
 土煙と溶岩の乾いた匂いが、緑の青々とした匂いに変わる事を願いつつ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月18日


挿絵イラスト