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7thKING WAR㉕〜地壊/Dキングボス強襲戦

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『デストロイキングボス』

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#召喚魔王『デストロイキングボス』


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「まずは地面を……、デェェェストロォォォォイ!!」

 噴火か、津波か、はたまた轟雷か。
 鼓膜を震わすその怒号が響いた瞬間を、グリモア猟兵の未来予知が切り取った。
 聳え立つ青銅色の巨人が筋骨隆々の腕を振り上げ、渾身の力をもって大地に叩きつける。その拳に籠められた『破壊』のオーラが、ミキサーの如く大地を内側から掻き回す。
 崩壊は一瞬だった。荒涼たる大地が蜘蛛の巣のようにひび割れ、溶岩の噴出とともに地盤を吹き飛ばす。マグマの熱波と砂塵が嵐のように吹き荒れる。連鎖する大地の爆裂が空気さえも破壊し尽くし、爆ぜた音の暴力が居合わせた者の聴覚を容赦なく奪い取った。

「我こそは、デストロイキングボス! 真っ向勝負だ、猟兵よ……!」

 しかし、それでも君たちは聞くだろう。
 破壊の化身の咆哮を。迫りくる悪意の確かな気配を。
 ――そして、倒すべき敵の宣戦布告を。



「召喚魔王・デストロイキングボス。ガチデビルが呼び寄せた『異世界の魔王』のひとりだね。見てもらった通り……、ガッチガチのパワータイプの強敵だよ」
 グリモアベースに集った猟兵たちに向かって、京奈院・伏籠は元から細い目をさらに眇めてそう言った。
 予知情報を共有した君たち猟兵は表情を引き締める。剛腕の一振りで大地が丸ごと破壊し尽くされるシーンは、はっきりと脳裏に焼き付いている。凡百の怪力自慢とは一線を画する破壊力だ。その脅威を前にして、油断などできるはずもない。

「身長50mの超巨体に備わった圧倒的なパワー。そして、配下である人面蜘蛛の居場所にテレポートする能力。このふたつを組み合わせた『パワー+瞬間移動』による蹂躙がデストロイキングボスの基本戦法だ」
 グリモア猟兵はそこで一旦言葉を切り、「もっとも」と口元を傾けた。
「配下の人面蜘蛛は、大地への破壊行為に巻き込まれて全滅する運命にあるみたいだね。よって今回の交戦ではテレポート能力は使用不可。攻勢を仕掛ける好機だよ」

 とはいえ、理不尽な移動手段はなしにしても、敵の常軌を逸した破壊力は健在だ。
 グリモア猟兵の予知でも、『至近距離での激烈なエネルギー放射』と『チャージから放たれる超範囲の雷撃』、そして『肉体の超強化による飛翔と猛攻撃』が確認されている。デストロイキングボスと真っ向から対峙するには、これらの攻撃への対抗策を練る必要があるだろう。

「戦場の大地は破壊されている。まともな足場は存在しないと考えて欲しい。まず間違いなく、吹き飛ばされた岩盤が飛び交う空間での空中戦になると思う。しかも、崩落した地面からはひっきりなしに溶岩が噴き出してくるオマケつきだ」
 ゾッとしないね、と伏籠が肩をすくめる。パチリと彼が指を鳴らすと、戦場へのゲートが開いた。
 瞬間、君たちの肌が粟立った。空間を隔てていてもわかる。ゲートの向こうに存在する比類なき暴虐の化身。召喚された異世界の魔王が、自らの『敵』を今か今かと待ち構えている。
 けれども、そのプレッシャーを静かに受け止めて、君たち猟兵は戦場へと踏み出した。最後に聞こえたグリモア猟兵の柔らかい声が、戦地に向かうその背を押した。

「向こうさんも真っ向勝負を希望しているらしいね。大丈夫、みんなの実力なら十分に勝算はあるよ。――お望み通り、思いっきりぶちかましてやろう!」


灰色梟
 デェェストロォォイ! こんにちは、灰色梟です。
 今回のシナリオは強敵とのガチバトルです。力こそパワー!な魔王を打ち倒してください。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃に対処する/崩壊した大地の上で空中戦を展開する。

 ロケーションは暗雲渦巻く果てなき荒野。……なのですが、地面が完全破壊されているため、元々の地形はほとんど意味を持ちません。
 岩盤が飛び交い、眼下からは溶岩が噴き上がる危険な空間が今回の戦場です。
 まともな足場のない戦場で障害物を回避ないし利用しつつ、敵の先制攻撃に対処してください。

 ちなみに50mがどのくらいかというと、ビルにして15~20階ほどらしいです。
 ……サイズだけでもヤバいですね! もはや怪獣ですよ、怪獣!
 この怪物にどうやって対抗するか、皆さんのプレイングをお待ちしています。勝利を目指して、一緒に頑張りましょう。
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第1章 ボス戦 『デストロイキングボス・大地殲滅』

POW   :    デストロイブラスター
自身の【敵の至近距離に移動して】から極大威力の【デストロイエネルギー】を放つ。使用後は【エネルギーチャージ】状態となり、一定時間行動できない。
SPD   :    デストロイサンダー
【デストロイしたい!という気持ち】のチャージ時間に応じ、無限に攻撃対象数が増加する【デストロイサンダー】を放つ。
WIZ   :    アルティメットデストロイ
自身の【肉体が究極デストロイモード】になり、【自分の受ける攻撃全てをデストロイする】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

朱酉・逢真
心情)サテどォしようか。この宿(*カラダ)は非力でね、殴り合いなぞとても出来ん。さいわい俺はヒトではない、宿が砕けても死ではない。そこを利用しようか…。
行動)転送されてすぐ、この宿を解いて病毒の霧と戻そう。その中で僅かな部分だけを結界で覆い守る。攻撃によって移動する空気に乗って、わずかでも残す。以上を先制対処とする。宿は砕かれた。然様、ならばお別れだ。回避力が上がったなら、戦場すべてに影響し汚染しよう。《過去》たるお前さんの腕を一瞬操って、自分を殴らせる。病は宿主を利用するものだろう。操作は攻撃ではないし、攻撃をデストロイすれば自分の腕が壊れる。それ以上は望まない、すぐに撤退して次へ繋げよう。



 例えるなら、階段を一歩踏み外す感覚が近いかもしれない。
 常と変わらぬ自然体で転移ゲートを潜った朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)の右足は、ものの見事にを空を切った。平衡を失った身体が前のめりに倒れ込む。毒と病で出来た宿(カラダ)が重力に引かれて落ちていく。ぐるりと反転した視界に、崩壊した大地が逆さまに映る。頭上に見えたのは赤い溶岩と底の見えない暗闇ばかり。暗雲と雷鳴渦巻く足元の空と、果たしてどちらが深いのやら。

 皮肉げに口の端を持ち上げた逢真の瞳が荒野の彼方に敵を見る。足場を失っているのは敵も同じ。50m超の巨大魔王は、血のように赤い外套を風に膨らませて、ゆったりと宙に浮いていた。
 ……否、動きが緩慢に見えるのは、単純に距離とスケールの問題か。数kmは離れている彼我の距離と圧倒的なまでのサイズ差が錯覚させているだけで、実際の敵の速度は途方もなく速いはず。

「サテ、どォしようか」
 自由落下を続けながら逢真が呟く。気のせいでなければ、さっきから魔王の視線がビシビシと全身に叩きつけられている。どうやら転移した瞬間に捕捉されたらしい。あれこれと考えを巡らせている時間はなさそうだ。

「喜べ、猟兵よ。お前が最初の標的だ……!」
 デストロイキングボスの腹部に開いた大口が喉を震わせた。魔王の外套が翻る。青銅色の巨体が崩壊した大地の上を飛翔する。振りかぶった剛腕の筋肉が隆起するのが見えた。小細工なし、ミエミエの右ストレートの構え。それがこんなにも恐ろしい。
「わかっちゃいたが、殴り合いなぞとても出来んね」
 ふっと息を吐いて、逢真はカラダの軛を解く。口から漏れたのは吐息だけではない。目にも見えない病毒の霧……、すなわち逢真という『神』の本質がヒトのカタチをした器から拡散していく。

「何人たりとも、我がパワーに耐えること能わず! デストロォォイ!」
 魔王の飛翔は音速であり、その拳はさらに速かった。音さえ置き去りにした急速接近からそのまま放たれたストレート。ソニックウェーブを伴ったパンチが、精確に『逢真のカラダ』を打ち抜いた。
 しかし、そのヒトガタは既に抜け殻。魔王もすぐに手応えのおかしさに気づく。一拍遅れてパンチを振り抜いた轟音が荒野に響く。そのときには既に、病毒の霧は風に乗り、戦場の大気に浸透していた。

「然様、ならばお別れだ」
 その囁きは、耳にも届かぬ神のもの。
 理外の怪力に砕かれたヒトガタが、パッと朱色の羽根へと変わる。まるで、小さな小さな花火のよう。飛び散った羽根の根元が魔王の腕にちくちくと刺さる。無論、この程度の傷はデストロイキングボスにとって痛痒にもならない。だが、その傷からほんの僅かな『毒』が魔王の腕に注ぎ込まれた。

「むっ、ぬおぉお!?」
 魔王の伸ばした右腕が、主の意思に反して跳ね上がる。拳の行き先は持ち主の顔面。攻撃とも言えないような単純な動きだったが、大きすぎる質量と速すぎる飛翔速度が仇となった。
 飛び出すな、魔王は急に止まれない。
 要するに、進路上に突如として出現した鉄塊に激突したようなものだ。低く、鈍く、そして大きい打撃音が空を揺らす。首を引っこ抜くような衝撃に、魔王がぐるりと空中でスピンした。

「ッカ! ……小癪なれど見事! だが、我をデストロイするにはまるで足らんぞ!」
 衝撃に顔を凹ませた魔王の声には、しかし、喜色さえあった。
 折れた牙を吐き捨てて、魔王が獰猛に笑う。凶相だ。
 体勢を立て直したデストロイキングボスがマントを振り払う。それだけで嵐のような暴風が巻き起こり、熱気を帯びた戦場の空気が一息に薙ぎ払われた。

「科戸の風でもあるまいに。……っても、これじゃすぐには戻れねェなぁ」
 病毒の霧となった逢真もまた、激しい強風に逆らうことができず、魔王の傍から一気に遠ざけられた。敵の周囲に満ちていた毒素も一瞬で薄まっている。これでは再び魔王を侵食することは叶わないだろう。
「マ、これ以上を望むのは欲張りだな。次に繋がるだけ良しとしようか」
 風の流れに逆らわず、病毒の気配が戦場から潮のように退いていく。
 大地の砕けた荒野には、油断なく拳を構える魔王が唯独り浮遊している。

 ……あとは頼んだぜ、と幽かな囁きがどこからか聞こえた気がした。

成功 🔵​🔵​🔴​

仰木・弥鶴
飛翔を伴なう猛攻撃、ね
索敵の要領で身を隠せそうな岩盤を見つけてかくれんぼといこうか
ディバインデバイスで空中浮遊、迷彩を纏い敵の目を誤魔化して先制攻撃をやり過ごす

飛び交う障害物は『World order』で対処
できるだけ大きな岩盤を背に死角をなくして視界に入る無機物、溶岩などの自然現象にはこちらを避けてもらえると助かるね

あとは回避能力の高い相手にどうやって攻撃を当てるかだけど…
知ってる? 大気中の音速は約1,200km/h
これならあなたの飛翔能力とも十分に渡り合える

力に力で対抗するほどの自信はないのでね、真っ向勝負はお断りするよ
ピンマイクを通した音声攻撃を相手の鼓膜を破るつもりで戦場中に響かせる



「感じる、感じるぞ! 次なる標的はそこにいると、我が破壊直感《デストロイ・センス》が叫んでおるわ!」

 縦横無尽。デストロイキングボスの飛翔を表現するにはその言葉に尽きた。
 飛び交う岩盤を力任せに押しのけながら、50mの巨躯が空中を飛翔する。血管を浮かばせて膨れ上がった筋肉と炎を彷彿とさせる赤いオーラは、まさに『究極デストロイモード』の名に相応しい威圧感を放っていた。己を阻むものなど何もないと言わんばかりに突き進むその姿に、仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)も思わず息を呑んだ。

「アルティメェェットデストロォォイ!」
「視線は遮れているはずなのだけど……、っと!」
 崩壊した大地の破片、浮遊する岩盤からチラリと顔を覗かせた弥鶴は、一直線に迫り来る魔王を認めて左右非対称の表情を作った。思考は刹那。遮蔽にしていた岩盤を蹴り、即座にその場を離脱する。加速の瞬間にディバインデバイスを起動。背中を押す浮遊感と加速感に身を任せる。

「それじゃ、かくれんぼといこうか」
 呟き、周囲を索敵。見つけた。ひとひとりをすっぽりと隠せそうな岩盤。距離にしておよそ100m。そのまま魔王の視界を避けて移動できるルートを計算する。
 迷彩を纏ってはいるが、それでも目立つのは避けたい。発光を伴うディバインデバイスによる軌道修正は最低限に。慣性と自由落下を利用して空を滑っていく。
 選んだのは目的物への最短ルート。その途上を、噴き上がった溶岩が塞いでいる。熱せられた空気が弥鶴の顔を舐める。このまま突っ込めば火傷では済まないのは確実だ。
「ああ、けれど。――どうぞ、おかまいなく」
 小さく笑みを浮かべ、弥鶴はハーフリムの眼鏡をズラした。グラスから顕になった彼の裸眼が、天を衝く溶岩の河を『視る』。

 その異能を、弥鶴は【World order】と呼んでいた。
 彼の裸眼に見つめられたモノは、無意識に彼に対して友好的な行動を行ってしまう。強制ではない。しかし、意思を持った生命体であるかを問わず、である。無機物や自然現象であってもその効力の範疇だ。
 燃え盛る溶岩に意思があるのかはわからない。だが、事実として、弥鶴に見つめられた溶岩はぐにゃりと流れを変え、人間大の『中洲』を彼の眼前に作り出した。
 ぽっかりと空いた空洞に躊躇なく飛び込む。通過の瞬間に振り返るが、デストロイキングボスがこちらに気づいた様子はない。高温による空気の歪みも迷彩の一助になっているのかもしれない。

「あとはどうやって攻撃を当てるかだけど……」
 溶岩に空いた空洞は、弥鶴が潜り抜けた直後に閉じた。お目当ての岩盤の陰に滑り込めば、溶岩と岩盤で二重の遮蔽だ。魔王の巨体からすればこちらは蟻のようなサイズ。破壊直感なる謎の感覚はさておき、通常の五感でこちらの位置を正確に察知するのは難しいだろう。
 対して、弥鶴が魔王を見失うことは絶対にない。いかにこの戦場が浮遊する岩盤で満たされているといっても、あの巨体を隠しきれるサイズの大地は存在しないのだから。

「知ってる? 大気中の音速は約1,200km/h、これならあなたの飛翔能力とも十分に渡り合える」
 聞こえてはいないだろうけど、と胸中で呟き、襟に挿したピンマイクを口元に運ぶ。
 岩盤の陰から顔を半分だけ覗かせて、デストロイキングボスの正確な位置を捉える。
 まさにその瞬間、魔王の剛腕が先刻まで弥鶴が隠れていた岩盤を打ち砕いた。
 爆音とともに弾けた大地の欠片が、礫となって周囲にばら撒かれる。
 拳を振り抜いた魔王が、ほんの一瞬、小さな隙を見せた。
 ……ここしかない!

「――~~ッ!」
 ピンマイクを引っ掴んで叫ぶ。変換された指向性の攻性音波が、不可視の刃となって戦場を駆けた。射線上の溶岩が波打ち、浮遊している砂塵が共鳴する。
 魔王がこちらを振り向いた。強者の持つ直感によるものか。だが、守りを固めるよりも音のほうが速い。
 直後、見えない一撃に貫かれ、デストロイキングボスの身体が傾いた。

「お、ぐ、おぉう!?」
「力に力で対抗するほどの自信はないのでね、真っ向勝負はお断りするよ」
 よろめいた魔王が掌で耳を抑える。その内側から、青銅色の肌を伝ってどろりと血液が流れるのが見えた。鼓膜に傷を負ったのだ。
 聴覚と平衡感覚の一部を欠いた魔王は、しかし、炎を湛えた瞳で弥鶴の潜む領域を睨み返している。正確な位置まではバレていないだろう。だが、長居は危険だ。
 戦果は十分。次なる仲間にバトンを託し、弥鶴は戦場を離脱した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シズホ・トヒソズマ
スゴいことになってますね……ですがその強烈なデストロイを逆に利用させて貰います

からくり人形は◆早業で◆操縦

ライダを飛行形態に変形
◆騎乗し飛翔
クロスリベルの効果で反応速度を上げて早業の操縦テクニックで障害物や飛んでくるボスを回避
回避困難な時はクロノを使用し
自分を加速
障害物やボスの速度を遅くして回避
またはデザイアキメラの◆オーラ防御で受け流すように防御
ボスの攻撃には障害物を遮蔽にするのも考え

UCが使えるようになったら
ボスが攻撃してきた所で使用
壁にするようにボス自身の幻影を出す
当然邪魔だと幻影をデストロイする
その瞬間
過去を通し
デストロイモードを貫通し
ボス自身にその攻撃が直撃します
これが因果応報です



「これはまた、スゴいことになってますね……」
 グリモアベースからの転移の直後、眼下に広がった光景にシズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)は息を漏らした。
 地上から100mほどの空中である。通常であっても目が眩むような高さだが、大地さえ砕けたこの景色にはいつも以上に感覚が狂いそうだ。底の見えない黒い大穴からは、呻き声のような風音が聞こえていた。吹き抜ける砂の混じった強風が、スーツの上からざらついた感触を伝えてくる。

「ほぅ、次は人形師か。操者が矢面に立つとは、その意気や良し! わかるぞ、上に立つ者といえども、やはり破壊《デストロイ》の快感は己の肌で感じてこそよな!」
「ついさっき見境なしに配下を吹き飛ばしたヒトに言われても……、ですよ!」
 戦場で待ち構える魔王が、猟兵の転移を感知してシズホの姿を捉える。
 高度はシズホの側が高い。青銅色の巨人がすぐさま飛翔する。まるでさかしまの彗星。轟々と風を巻き込んで迫る巨星に、シズホはからくり人形を展開して立ち向かう。

「ライダ、飛行形態に変形。クロスリベル、反応速度向上支援開始。クロノ、デザイア・キメラは接触に備えて待機。……さぁ、いきますよ!」
 騎乗機械変形人形に颯爽と跨るシズホ。その背に巨腕の人形クロスリベルが続き、操者の反応速度を強化支援する。左右にはさらに二体の人形が並走している。
 魔王と人形遣い、両者の距離が急速に近づいていく。
 勝負は一瞬だ。まばたきの瞬間さえ惜しい。先制攻撃を放ったのは体躯で勝るデストロイキングボス。挨拶代わりとばかりに、手近に浮いていた岩盤を掴んで猟兵へと投げつける。メートル単位の巨大砲弾だ。進路を塞ぐ突然の障害物に、シズホは即座に進路を変える。ライダのすぐ真横を岩盤がすり抜けた。風圧が鋭利な砂塵をシズホたちに叩きつける。ここで怯めば相手の思う壺。奥歯を噛んで速度を上げる。

「捉えたぞ、人形師ッ! デェェストロォォイ!!」
 シズホの眼前にはデストロイキングボスの巨体。右肩を斜めに構えたタックルの姿勢だ。ずば抜けた質量と速度によりその威力は規格外。オマケに『潰される』範囲がデタラメに広いときた。抜ける隙間は針の穴。シズホは回避に全神経を集中させる。
「クロノ、時間制御! デザイア・キメラ、防御展開!」
 彼女に並走する一体の人形が両腕を回転させて竜巻を発生させる。時間質量理論を用いて生み出された竜巻が、周囲の時間軸に干渉を与える。シズホを速く、デストロイキングボスを遅く。カチリ、とひとつの時計の針が二重に音を鳴らす感覚。それと同時に、もう一体の人形が耐打特性の防御バリアを展開した。

「……こ、っのぉ!」
 シズホの主観時間が引き伸ばされる。指先の微かな動き、操糸の揺らぎ、人形たちの内部機巧の連動……、その一工程ずつを体感しながら、彼女は騎乗機械を走らせた。
 膨れ上がった肩の筋肉をすんでのところで躱し、炎のオーラのゆらめきを抜け、巨岩の如き体躯とすれ違う。コンマ秒の神業。その果てに、彼女はついに魔王の背中を取った。

「それで逃れたつもりか! 受けよ、さらなるデェストロォォイ!」
「骸海を放つ怨みし創世、此処に顕現! 骸の海は此処に在りて、過去の幻影を此処に生み出さん……」
 敵の反応は早い。急ブレーキを掛けた魔王が身体を回す。超反応によるノールックのバックブロー。だが、それこそがシズホの待ち望んだ『雑な』攻撃だった。
「過去の傷は現在へと還る! ――幻影装身・極:骸海を放つ叫喚の創世!」
「ぬぅっ!?」
 シズホのユーベルコードが起動する。
 両者の間に割り込むように生み出されたのは、『デストロイキングボスの過去』である幻影だった。
 突如として出現した自分自身の似姿。だが、それを目の当たりにしたとして、振りかぶった拳を止めるようではデストロイキングボスは名乗れない。「面妖な!」と愉しそうに表情を歪めた魔王は、躊躇いなくバックブローを幻影の顔面に叩き込んだ。

 ミシリ、と肉が潰れる音が『二箇所』から聞こえた。
 殴られた幻影はデストロイキングボスの過去……、すなわち、究極デストロイモードを発動する前の魔王の写し身である。その無防備な顔面にデストロイモードのパワーが加算された一撃が叩き込まれたのだ。それがどのような結果を生むかは自明だろう。理外の破壊力が直撃し、魔王の幻影は一瞬で消し飛ばされた。
 ……だが、過去の傷が現在にリンクするのも、また世界の理だ。

「うぐおぉッ!?」
「これが、因果応報です」
 幻影は消えても傷は消えない。
 空中でライダを反転させたシズホが見たのは、顔面を大きく陥没させて呻く魔王の姿だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

オリヴィア・ローゼンタール
単純な破壊能力ならば、フォーミュラにも匹敵、或いは凌駕しそうですね……

白き翼の姿に変身して参戦
炎の力に特化したこの姿ならば、溶岩の熱も気にすることはない(地形耐性・環境耐性・オーラ防御)
飛翔して【空中戦】を仕掛ける

向かって来るデストロイキングボスに岩盤を蹴り飛ばす(吹き飛ばし)
その破壊にエネルギーを無駄遣いしてくれれば儲けものですが……

エネルギー放射の瞬間に飛翔速度を【限界突破】、全速力で攻撃圏内から離脱
然る後に方向転換、【気合い】と【全力魔法】により更に超加速した【烈煌天翔翼】で、行動不能状態のデストロイキングボスへ吶喊!



『強さ』のバロメーターは決してひとつではない。
 それは、ユーベルコードという理外の力を持つ猟兵とオブリビオンにとってこそ、重たい事実だろう。時を操る、天候を変える、傷を癒やす、心を奪う……、何をもって『強者』だと定めるのか、その考え方は人それぞれだ。
 だが、それでも。眼下に広がる惨憺たる破壊の爪痕を見れば、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)はこう思わずにいられない。

「単純な破壊能力ならば、フォーミュラにも匹敵、或いは凌駕しそうですね……」
 デストロイキングボス……、すなわち、破壊の王の首領。大地を破壊し尽くすこの所業は、まさしくその名に相応しい。
 されども戦士よ、恐れるなかれ。深く息を吐きだし、表情を固く引き締め、オリヴィアは空中に飛び出した。浮遊する岩盤を蹴って加速したその背中に、白き翼が顕現する。
 無窮の光はここにあり。戦場の風を掴んだ白翼が力強く羽ばたき、オリヴィアを敵の元へと運んでいく。

「炎の力をここに……! 出し惜しみなし、全力でいきます!」
「クハハハ! ガチデビルの護衛など放り出して正解だったわ! 来るがいい、稀なる強者よ! お前たちを破壊し尽くしたとき、我のデストロイは新たな領域へと至るのだ!」
 青銅色の魔王が飛翔する。その姿をオリヴィアは捉えた。彼我の間には数kmの距離。だが、そんなものは十秒と待たずにゼロとなるだろう。互いにそういう速度だ。
 破邪の聖槍を握る指に力が籠もる。猟兵と魔王、両者の気迫が空を震わせる。呼応するかのように大地の虚ろから噴き上がる溶岩の渦。構うものか。炎熱の加護を頼りにオリヴィアは真正面から灼熱の河を突き抜けた。
 続けざま、視界の外から岩盤が飛来する。判断は直感。眼前に迫る壁のような岩の塊を、彼女は両の脚で受け止めた。

「はぁッ!」
 飛翔速度をエネルギーに変えて、巨大な岩盤を蹴り飛ばす。勢いよく放たれる岩石の弾丸。巖の凶器が真正面から魔王を狙う。
「その程度、目眩ましにもならんわ!」
 魔王の怪腕が無造作に振るわれる。迎撃された岩塊は、あっけなく粉々に砕け散った。
 言うまでもなく、魔王は無傷。ほんの僅かな速度を落とすことすらない。その腹部の口が牙を剥き、ホース状の大舌がぐねりとうねった。オリヴィアの瞳が鋭くそれを見据える。舌先の空間が歪んで見えた。膨大なエネルギーが凝集している証拠だ。

「受けよ、我が全霊! デェェストロイ! ブラスタァァッ!」
「ッ、ここです!」
 戦場から音が消えた。黄金色の閃光がほとばしり、荒野のすべてを塗りつぶす。
 魔王の腹部から発射された極大威力のデストロイエネルギーが、目に映るものを片っ端から破壊していく。飛び交う岩盤は塵に還り、噴き上がる溶岩さえもが蒸発する。
 閃光の中から哄笑が聞こえた。青い巨人が笑っている。破壊こそが彼を動かす原理。足りぬ、足りぬ、と笑いながら、異世界の魔王は破壊の閃光を撒き散らし続けている。

「……天翔ける祝福の翼よ!」
 その狂乱を、聖女の声が貫いた。
 オリヴィアの位置は魔王の頭上。デストロイブラスターが発射される、その刹那、限界を超えた出力で攻撃圏を離脱した彼女が、聖槍を携えて反転、魔王の脳天へと吶喊する。
「不滅の炎を纏い、邪悪を焼き尽くせ!」
 天使の翼が身体を持ち上げ、猛烈な魔力放出が背中を押す。瞬間加速。到達したのは時速12,000kmの領域。視界の四隅が後方に吹き飛び、ただ一点に意識が集中していく。
 黄金の穂先には輝く魔力。小細工は要らない。愚直なまでのランスチャージ。必要なのは魔力と速度、そして漲る気力だけ!

「――烈煌天翔翼!」
「ぬぐっ!?」
 耀光一迅。冠するは光明神の御名。
 音さえも置き去りにした黄金の炎が、魔王の右胸を貫いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

茜崎・トヲル
うーん、まちがいなく悪い人だね!でも、あんたみてーな人、おれはけっこー好きだよ!
でも悪い人だから、倒すぜ!

力こそパワーで、まっこーしょーぶ!いいよ、がんばるぜ!
肉体改造と化術で、背中から羽はやして飛びます!対空戦闘!
岩が多い場所に避難!できるだけ地面とか、マグマとかが近いところでね!
そんでハンマーのつかを上にして、そのうえから自分ごと、纐纈血閃爪の血で覆う!
すげーサンダー用の、アースになるかんじ!ハンマーは、つかまで金属だから!

まー防ぎきれなくってもへーき!半分も残ってれば、あっとゆーまに再生できるからね!そーゆー呪い、聖印があるから。
やり過ごした瞬間に飛び込んで、肉体再構築!あんた用に最適化した、怪力自慢のデストロイボディで、真っ向からぶん殴りにいくよ!

あんたみてーな戦士とは、まっすぐぶつかりたい!せっかく異世界から来てくれたんだもの、楽しませてあげてーな、あんたのこと!



「よもや、我がここまで追い詰められようとはな……!」
 ハ、と魔王・デストロイキングボスは獰猛な笑みを溢した。
 力とパワーの信奉者である魔王にとって、デストロイすることは食欲にも等しい基本的な欲求だ。魔王として生きるための根源と言ってもいい。
 彼から見れば、猟兵たちはまさしく極上のご馳走だった。彼は知っている。強いもの、壊しにくいものほど、デストロイしたときの充足感が大きいものなのだと。なのに、そのご馳走にさっきからオアズケばかり食らっているのである。
 なんという試練か! 目の前の最高の獲物をデストロイできないとは!
 デストロイへの欲求が魔王を焦がす。期待と焦燥が彼の胸を騒がせている。……だが、存外、不快ではない。

「デェェストロォォイ! クハハ、滾ってきたわ! 我の衝動は極限まで高まっておる! もはやお前たちをデストロイし尽くすまで、我が止まることはないと思え!」
「うーん、まちがいなく悪い人だね、あんた!」
 呵呵と声を張り上げた巨大な魔王。戦場に転移してきた茜崎・トヲル(Life_goes_on・f18631)は、その威容に相対してガシガシと白い髪を掻いた。
「……でも、あんたみてーな人、おれはけっこー好きだよ!」
 感じ取ったのは、あけっぴろげで真っ直ぐな敵意だった。肌が震えるほどの威圧感を撒き散らしているくせに、そこに暗い感情はまるで含まれていない。ここまでくるといっそ清々しいかもしれない。

「でも悪い人だから、倒すぜ!」
「やれるものならな! ゆくぞ、猟兵ッ!」
 へらへらとした笑みを浮かべながら、トヲルはぺろりと唇を湿らせた。化術発動、同時に、肉体改造。ミシリと音を立てて背中が膨れ上がる。開花の如くに形成されたのは身の丈ほどの大翼。猛禽を彷彿とさせる力強さで、トヲルは空中に飛び出した。

「小細工など不要! 今こそ、我の全力を解き放つッ!」
「まっこーしょうぶ! いいよ、がんばるぜ!」
 魔王が両手を天に掲げ、左右の掌の間にエネルギーをチャージし始める。バチバチと破壊の雷撃が産声を上げた。増殖する雷の群れは球状の塊となって徐々にサイズを増していく。かつてないほどのデストロイの予兆に、大地が怯え空が哭いた。
 膨れ上がる脅威を目の当たりにして、しかし、トヲルは恐れひとつ見せなかった。大翼を羽ばたかせて飛翔した白髪のキマイラは、魔王の顔面の高さを目指して一気に高度を上げていく。

「……決めた! このへんにしよう!」
 上昇の途中で、トヲルは浮遊岩の密集する領域に出くわした。岩盤の数が多く、マグマの噴流も断続的に掠めるような危険地帯だ。その中でももっともサイズの大きい岩盤に目をつけた彼は、軌道を修正して、迷うことなくその足場に降り立った。
 両足でしっかりと踏ん張りを効かせて、肩に担いだ金属製のウォーハンマーを巖に突き立てる。イメージは嵐の中の大木だ。常と変わらぬ笑みのまま、トヲルは自らの親指の腹を噛み切る。滲み出た血液には寄生型の宝貝、纐纈血閃爪が宿っている。意のままにカタチを変えるその血液を、トヲルはハンマーの柄を軸にしてぶち撒けた。
 ばさりと広がった赤色が、傘のように広がりハンマーごとトヲルを包む。即席のシェルター兼避雷針である。準備を終えたトヲルが見上げれば、血液の傘を透かして魔王が腕を振り下ろす瞬間が見えた。ギリギリのタイミング。思わず喉の奥が鳴る。

「無尽の破壊を受けるがいい! デェェストロイッサンダァァッ!」
 破壊の雷球はもはや太陽と見紛うばかりだった。
 裁決を告げるが如く魔王の腕が落ちた瞬間、蓄えられた破壊のエネルギーが爆発する。
 暗雲の荒野が瞬時に白光に染められる。戦場を突き抜けた爆音さえも凶器に等しい。
 四方八方に拡散した稲妻は、そのひとつひとつに必殺の破壊力が籠められていた。トヲルの視界を埋め尽くす雷撃の流星雨。やはり、回避は不可能。わかってはいたが、こうなったら耐えるしかない。

「……っ、ぐ……」
 身構える間もなく、一条の稲妻がトヲルを包んだ。
 痛みはない。そういう体質だ。
 けれど、まず耳が死んだ。何も聞こえない。さっきまでの爆音も嘘のよう。
 ほぼ同時に、目が潰れる。まっくらやみだ。もしかしたら、頭ごと消し飛んだのかも。
 手足の感覚はある……、と思う。錯覚じゃなければ、だけど。
 何秒くらい経っただろう?
 なんとなく、浮遊感。多分、足場にしてた岩盤が砕け散ったのかな。
 空中に放り出されたんだ。このままだと、地面にまっさかさまだ。

(……それは困るよ、な!)

 声は出なかったが、思考はできた。
 どうやら頭は無事らしい。いや、壊されて、『再生』したのかもしれない。
 五感は曖昧なくせに、己の呪い……、聖印の存在だけははっきりと感じられる。
 むず痒いような感覚とともに神経が再生して末端へと接続されていく。気合を入れて目を開いた。真っ白なホワイトアウトから、徐々に視界が輪郭を取り戻していく。
 ……直上に、魔王の顔面!

(羽!)
 迷いはなかった。意志の力で再生の順序を入れ替えて、飛翔のための器官を最優先で復活させる。ぼろぼろの身体を無理やり引き連れて、トヲルの翼が風を掴んで翔け上がる。
 不格好な飛翔に視界がぐらぐらと揺れる。構うものかと速度を上げ、同時に再生中の肉体を再構築していく。
 より強く、さらに強く、ひたすらに強く――。脇目もふらずに一点特化。尖りに尖った身体能力が証明するのは、ただひとつ!

「力こそが、パワーだ!」
「っぐが!?」
 直下からの垂直突撃が、魔王の顎を跳ね上げた。全身全霊のアッパーカットだ。
 50mの巨体がぐらりとよろめく。バランスを崩した魔王は、斜めになった視界で猟兵の姿を認識。そのままノータイムで反撃に打って出る。
 腰のねじりをパワーに変えて、右フック。極太の腕から伸びる拳はまるで装甲列車。翼でホバリングしたトヲルが、笑みを崩さずそれを迎え撃つ。

「なんとっ!」
「……っ!」
 小さな拳と大きな拳がぶつかり合い、激しい激突音とともに互いが弾き飛ばされた。
 自身の腕を貫いた痺れに魔王が目を見開く。――あの小兵のなんたる怪力か!
 身体ごと弾かれたトヲルが、ぐるりと一回転して体勢を立て直した。魔王の目の前で、白い猟兵がぐるんぐるんと右腕を回す。「こいつでぶん殴る」と言ってるようなものだ。
 面白い! 魔王が獰猛な笑みの色を濃くする。痺れる腕を気合で握り直し、魔王は再度のデストロイ・パンチを敢行した。

「ぬぅん!」
「せっかく異世界から来てくれたんだものな!」
 両者の拳が再びぶつかり合い、弾かれる。
 空気が破裂して震えるさなか、今度は即座に追撃が繰り出された。
 魔王が巨大な膝を打ち上げ、トヲルが両手を槌にしてそれに叩きつける。
 隕石のようなチョッピングライトが、嵐のような回し蹴りに阻まれる。
 魔王もトヲルも、回避の素振りさえ見せない。ガッチガチの殴り合いである。

「楽しませてあげてーよ、あんたのこと!」
「楽しませるだとっ? 何を言うかと思えば!」
 吐き捨てた魔王の語気に、嘲りはない。トヲルの言葉に偽りはないと理解したからだ。
 おかしな男だ、と魔王は笑う。そして、おかしなことをのたまうに相応しい強さがある、とも。この男をデストロイすることは、まさしく魔王の覇業のひとつに相応しいだろう。

 七度目の激突で、互いの体勢が大きく崩れた。
 どちらも満身創痍だ。だが、痛みなどという無粋なものはどちらもまるで感じていない。
 魔王が右腕を振りかぶる。力強く握った拳には、全身全霊のパワーが籠められていた。
 トヲルもまた、対魔王用に最適化されたデストロイボディに気力を漲らせている。弓を引くように構えられた怪腕には、ありったけのエネルギーが凝縮されていた。

 ――この一撃で、勝負を決める。

「っらぁあ!!」
「デェェストロオォイ!!」
 その瞬間、空が割れた。
 戦場に立ち込める暗雲が吹き飛び、デビルキングワールドの赤い空が顔を出す。
 浮遊していた岩盤の群れは、軒並み彼方へと吹き飛んでいった。血のように湧き上がっていた溶岩も、激突点からの圧力に流れを捻じ曲げられている。
 静寂。パラパラと岩の欠片が落ちていく音だけが小さく聞こえている。
 やがて聞こえたのは、低い掠れた末期の声だった。

「……最後にデストロイされたのは、我だった……、か……」

 青い何かが宙に舞った。
 ぐわんと回転した巨大なそれが大地の穴に落下していく。
 無限の奈落に消えていったのは、根本から吹き飛んだ魔王の右腕だった。
 最後の最後で、全力の力比べに競り勝ったのはトヲルだったのだ。
 一拍遅れて、腕の主も同じ運命を辿る。
 片腕を失い、すべてのエネルギーを使い果たした魔王・デストロイキングボスは、最後までその獰猛な笑みを崩すことなく、戦場の空から堕ちていった。

 異世界の魔王が大地の割れ目に完全に呑み込まれて消えるまで……、茜崎・トヲルは、ずっとずっと、その姿を見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年05月17日


挿絵イラスト