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7thKING WAR㉕〜異世界から来た暴れん坊

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『デストロイキングボス』

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#召喚魔王『デストロイキングボス』


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 荒涼とした原野に巨人が直立していた。
 青銅色の肌をした筋骨隆隆(きんこつりゅうりゅう)たる巨人だ。
 身の丈は五〇メートルを超えていた。
 巨人の全身から放出される闘気は、大気を威圧して、大地を震撼させていた。
 空には厚い暗雲が垂れ込めていた。
 時折、雲間を走る雷光の明滅が巨人の威容を照らし出していた。
 それから僅かに遅れて響く雷鳴は獅子の咆哮めいていた。
 異世界から召喚された魔王。デストロイキングボスの飽くなき闘争心は強敵との闘いを求めて灼熱の溶岩のごとく煮え滾っていた。

「デェェストロォォォォイ!! 足りぬ、デストロイが足りぬ! 我が力を奮うに相応しい宿敵が足りぬ! 猟兵(イェーガー)とやらは何処にいるのだ! 我がデストロイするに相応しい相手は!!」

 青銅色の巨人が落雷の轟音さえも掻き消す大声量で吼えた。
 その声の音圧だけで大地がひび割れていく。

「さぁ。我は此処にいるぞ! 猟兵よ。我がもとに来るが良い! 心ゆくまで闘うとしよう! 我はデストロイキングボス! 全てをデストロイする魔王である!!」

 異世界の魔王が闘気を纏う巨岩のごとき拳を振り上げた。
 振り上げた拳に渾身の力を込めて振り下ろす。
 それだけの動作は、しかし、周辺一帯の大地を崩壊させるのに充分なだけの威力を秘めていた。
 巨人の拳の一撃に無数の岩塊が天高く舞い上がり、噴出する溶岩が大気を灼熱と焦がした。

「まずは大地をデストロイした! 決戦の場は拵えたぞ! さぁ。今こそ集うがいい。猟兵たち! 我は何人の挑戦でも真向から受けて立つ!!」



 葛葉・御前(千年狐狸精・f36990)はグリモアベースに歴戦の猟兵たちを集結させた。

「ほう。見事な益荒男(ますらお)じゃの。敵ながら天晴(あっぱれ)じゃ。この挑戦、逃げる訳にはゆかぬぞ」

 拳の一撃で大地さえも崩壊させる巨人。異世界の魔王が猟兵(イェーガー)との闘いを望んでいる。
 葛葉御前の予知に尋常ならざる強敵が出現したと察した猟兵たちの間に緊張が漲った。

「敵の名はデストロイキングボス。身の丈は五〇メートルを超える巨躯の持ち主じゃ。自身の力には絶対の自信を持っておるようじゃの。猟兵との正正堂堂(せいせいどうどう)とした闘いを欲しておる。此度の戦場は彼奴の一撃で崩壊する大地の上じゃ。空中に吹き飛ばされた無数の岩塊。噴出する溶岩。それらの只中での空中戦となる。此の戦場に、まともな足場はひとつとして存在せぬ。飛び交う岩床と溶岩の中で、大地を砕く力を持つ巨人と闘い、これに打ち勝たねばならぬ」

 たとえ歴戦の猟兵であっても苦戦が予想される強敵だ。
 更に五〇メートルという巨躯からは想像ができないほどに俊敏な動きも持ち合せている。
 対策もなく軽軽(けいけい)に勝負を挑む愚を犯せば、敵に先手を奪われるは必定だろう。

「御主たちに有利なことがあるとすれば、デストロイキングボスは瞬間移動のユーベルコードを駆使する難敵であるが、今回に限り、それを使用される心配は絶無であるという点じゃろうな。どうやら配下である人面蜘蛛がいる場所に瞬間移動する業であるようじゃからの。その人面蜘蛛は、奴自身の一撃の余波に耐え切れずに全滅しておる」

 しかし瞬間移動というユーベルコードを除いても強敵であることに疑いの余地はない。
 恐るべきことに、天を衝く巨体も、地を砕く圧倒的な力も、厳密に言えばユーベルコードですらないのだ。

「御主たちの武運を祈るぞ。ゆくが良い。大地を割る巨人が御主たちの訪れを待っておる」

 葛葉御前のグリモアが霊験あらたかな光輝を放ち、猟兵たちの姿を照らしあげた。


能登葉月
 能登葉月です。
 よろしく御願い致します。

 これは『7thKING WAR』に関係するシナリオになります。
 特別ルールとして『敵の先制攻撃に対処する』『崩壊した大地の上で空中戦を展開する』とプレイングボーナスが発生いたします。

 山田・二十五郎(人間の探索者・f01591)様。
 一名のフラグメントを採用させて頂きました。

 この場を御借りして御礼を申し上げます。
 皆様の御参加を御待ちしております。
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第1章 ボス戦 『デストロイキングボス・大地殲滅』

POW   :    デストロイブラスター
自身の【敵の至近距離に移動して】から極大威力の【デストロイエネルギー】を放つ。使用後は【エネルギーチャージ】状態となり、一定時間行動できない。
SPD   :    デストロイサンダー
【デストロイしたい!という気持ち】のチャージ時間に応じ、無限に攻撃対象数が増加する【デストロイサンダー】を放つ。
WIZ   :    アルティメットデストロイ
自身の【肉体が究極デストロイモード】になり、【自分の受ける攻撃全てをデストロイする】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

木常野・都月
でっかいな。
やる気も満タンだな。
しかも正々堂々?
まともにやればペシャンコだな。

とはいえ、仕事だし。
俺の最善を尽くすか。

とりあえず、風の精霊様に頼んで空を飛ぼう。空中戦を挑もうかな。
ついでに俺の周囲の空気抵抗を減らしてもらおう。きっと早く動けるようになる。
加えて野生の勘、第六勘でうまく立ち回れればいいな。

敵の先制攻撃は、カウンターと高速詠唱で対処しよう。
雷の精霊様、敵の雷を電磁障壁で弾いて受け流しを頼む。少しでも威力を削いで欲しい。
ダメなら激痛耐性で我慢しよう。
致命傷にならなければ充分だ。

こちらも頑張らないと勝てないかも。
UC精霊おろしで、近場にいる誰かを呼ぼう。
魔王って王様って事だよな?
それならできるだけ高位の…偉い誰かをおろしたいな。魔族の王様と張り合えるようか、強い誰か、いないかな。

あとはご希望通り。俺の全力でぶつけよう。
極力近く、顔面が理想かな。
無理なら柔らかそうな所にめがけて。
全力魔法、属性攻撃をぶつけよう。
これが俺の全力だ!





 妖狐の青年は、崩壊した大地に直立する青銅色の巨人を見上げていた。

「でっかいな。やる気も満タンだな」
 
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)の素直な感想に、デストロイキングボスは分厚い筋肉の鎧を誇示するように姿勢をとった。
 巨木のように太い四肢を支える筋肉が、音を立てて膨張した。

「デストロイ! 貴様が我の相手をするというのか! 構わぬぞ! 心ゆくまで死合おうではないか!」
「……まともにやればペシャンコだな。とはいえ仕事は仕事だ。最善をつくすか」

 都月は溜息を零しながらも愛用のエレメンタルロッドを構えた。
 自然の運行を司る精霊に呼び掛けて、その偉大なる力を借り受ける。
 妖狐の青年の身体が、風の精霊の援(たす)けによって宙に舞い上がった。

「精霊と共に挑むか! 良いぞ! ならば我は、貴様を精霊ごとデストロイするのみだ! ぬぅぅぅぅっ! 灰燼と帰せっ! デストロイサンダー!!」

 デストロイキングボスの内面に滾る闘争心が、雷霆(らいてい)という現象(かたち)を得て、周囲一帯を薙ぎ払う。
 巨躯に似合わぬ敏捷性から繰り出される雷の嵐は、都月の行動に先んじて放たれた。
 妖狐の青年はエレメンタルロッドを高く掲げると、荒天を泳ぐ一柱の精霊へと語り掛けた。

「雷の精霊様。俺を襲う雷に、貴方の力をぶつけて欲しい」

 轟音とともに天空から落ちた一条の雷が、デストロイキングボスの放つ雷と衝突して、これを相殺した。

「ぬぅぅ! よくぞ我がデストロイサンダーを防いだ! いいぞ! 貴様はデストロイのし甲斐がある! 我のデストロイしたいという気持ちが留まることなく高まっていくのを感じるぞ!」
「デストロイしたいという気持ちは良く分からないが。不味いな。先刻の業、感情の昂ぶりで威力が増すのか。雷の精霊様も危ないな。これは頑張らないと勝てないかもだ……」
「フハハ! まだ我に勝つ心算でいるのだな! 良いぞ! 臆病者はデストロイしてもつまらん! 強者を屠ってこそ我が渇望は満たされる!」

 都月は木の葉も同然に宙を舞い飛ぶ岩塊のひとつに着地すると、周囲に存在する精霊の気配を感じ取る。
 敵は異世界の魔王。強大な相手だ。
 生半可な業では対抗することは出来ないだろう。

(けれど雷の精霊様よりも強い存在となると……地の精霊様でも魔王の力の前では砕かれてしまう……誰か。誰かいないだろうか……俺に力を借してくれる存在は……)

 そして、ついに異世界に魔王に対抗し得る存在の気配を感じ取った。
 それは砕かれた大地から噴出する灼熱の血潮。星の体内を煮え滾りながら循環する溶岩の精霊だ。

「火と硫黄の主よ。俺の身に宿ってほしい」

 都月は、力を借り受けるのではなく、自らの肉体に高位の存在を降霊させる精霊術師の奥義を行使した。
 肉体と精神が灼熱に沸騰する感覚の中で、偉大なる存在とひとつになったのだと確信できた。

(……流石に代償は大きいな。硫黄の毒が、俺を蝕んでいく……。長くは持たないな。全力でゆく!)
「ほう! 素晴らしい力だ! ともにデストロイを愉しもう! デストロイサンダー!!」

 再び解き放たれる闘志の雷霆を、しかし、大地から噴出する溶岩の間欠泉が撃ち落とした。
 都月は宙を舞い飛ぶ岩塊の間を駆け抜けて、デストロイキングボスとの間合いを一息に詰めた。

「今度はこっちの番。これが俺の全力(デストロイ)だ!」

 灼熱を纏う青年のエレメンタルロッドが、異世界の魔王の顔面を強かに打ち据えた。

「ぬぉぉぉっ……!? な、なんという見事なデストロイだ……!?」

 青銅色の巨人の身体が、ぐらりと揺れて、崩壊した大地に倒れ伏す。
 まずは猟兵(イェーガー)が、異世界の魔王に対して先制の痛打を与えた。
 大地を崩壊させる力の持ち主であっても、絶対無敵の存在という訳ではないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神楽・鈴音
なんでも壊せば解決……そういう発想、嫌いじゃないけどね

敵の攻撃を回避するのは無理っぽいので、敢えて受けることで後の先を取るわ
雷攻撃して来るなら、賽銭箱ハンマーを避雷針代わりに掲げて、敢えて帯電させる形でね

当然、私は一撃で戦闘不能
でも……戦闘不能になることこそ、私のUCの発動条件
「さて……仕切り直させてもらうわね

『倒される前の完璧な姿をした自分自身』を呼び出して、UCの反動で動けなくなっている敵の頭を【怪力】に任せた賽銭箱ハンマーでブン殴る!
ついでに腹の口の中に『神酒』を注ぎ込んで、火の付いたマッチも放り込むわ
「今日は大判振る舞いよ。神様に捧げる高級酒は、咽が焼けるほど美味しいでしょう?





 神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)は愛用の賽銭箱ハンマーをデストロイキングボスへと突きつけた。
 特性の鋼鉄製賽銭箱に長柄をつけた逸品だ。
 じゃらじゃらと、今日も御賽銭が快い音色を立てていた。
 この素敵な音色、もとい、皆の厚い信仰心が鈴音に力を与えてくれる。

「何でも壊せば解決……そういう発想、嫌いじゃないけどね。うちの神様も、どっちかといえば、そっちよりだし」

 鈴音の祭神。その名を物理ハ女子力ナ姫(ぶつりはおなごちからなひめ)という。
 目の前に佇む異世界の魔王と、きっと、馬が合いそうな予感がするのだ。

「だけど。あなたを放置しておくと碌なことにならないだろうから。倒させて貰うわよ!」
「威勢の良い娘だ! そういう奴ほど、デストロイのし甲斐がある!」

 デストロイキングボスの全身の筋肉が隆起した。
 膨れ上がった闘気が大気中に火花を散らして、凄まじい威力の雷霆と化して迸る。
 音速の四四〇倍にも達するという速度の攻撃を、流石に避ける事は出来ない。
 鈴音は致命傷を避けるため――ではなく、むしろ、自らが更なる傷を負う事を望むかのように、高高と鋼鉄製の賽銭箱ハンマーを天に掲げた。
 人々の信仰心の証である御寄進が一杯に詰まった賽銭箱は、避雷針としての性能も一流だ。
 一億ボルトの電圧と、一ギガジュールにも及ぶエネルギーの塊が、鈴音を強かに打ち据える。
 意識が途切れる間際、異世界の魔王の傲岸不遜な笑みが、鈴音の視界に雷光と共に焼き付いた。

「――ふん。つまらぬ相手よ。この程度か。猟兵とやらは。次の相手はどこだ! どこにいる! 我がデストロイすべき相手は!」
「――それは当然。ここにいるわよ」

 鈴音の言葉に、デストロイキングボスの表情が驚愕に歪む。
 正確には、雷霆の直撃を受けてなお五体満足でいるどころか、傷や焦げ跡のひとつすらない鈴音の姿に。

「貴様は。我がデストロイサンダーの直撃を受けてデストロイしたはず! 避けた……否! 避けられる筈は無い! 我の攻撃を受けて無傷などと……ありえん!」
「無傷じゃないわよ。流石に強敵よね。私には一撃だって耐えられない。そうじゃないと、私のユーベルコードの発動条件は満たせない」
「……何を言っている! 食らえ! 今度こそデストロイだ!」

 再び虚空を薙ぐ雷の奔流が、鈴音の身体を焼き尽くす。
 そして――先刻の光景の焼き直しのように、再び、無傷の鈴音が出現する。

「偽身符・無限転生――にひひ。私は、私が倒されるたびに新しい私になるのよ。永遠に仕切り直させて貰うわよ!」
「フ……フハハハハ……! 小賢しい! しかし面白いぞ! ならば我は、貴様を、永遠にデストロイできるではないか!」

 そこからは互いの根競べの始まりだ。
 幾度も鈴音をデストロイする巨人と、その度に召喚される新しい鈴音。
 その拮抗した状況は、しかし、鈴音の賽銭箱ハンマーが巨人の頭部を痛打した瞬間に崩れ去った。
「ぬ、おぉぉぉ……!?」
「どっせーい! ついでに! これも! 食らうといいわ!」
 脳天への一撃によろめくデストロイキングボスの、腹部に開いた巨大な口の中に、特製の神酒と、火の点いたマッチが投げ入れられた。

「今日は大盤振る舞いよ。神様に捧げる高級酒は、咽が焼けるほど美味しいでしょう?」

 鈴音の言葉と同時に、巨人の腹部が激しい炎に包まれる。

「ぐぅぅ! 確かに、これは……焼ける! この酒は! デストロイの味がするぞ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
悪魔的視力で敵の動きを盗み、魔力やその辺のものも視て、雷撃の軌道を先読み。吹き飛ばされた岩塊を盾に。悪魔ゴムと避雷針特性をつけた武器改造品のダガーを錬成・投擲して雷撃を凌ぎ、宙に錬成したダガーを足場に蹴って空を駆けるね。
隙を見て【スキルマスター「スティール」】投擲したカードの中へ、デストロイサンダーを集束し、溜まりに溜まった「デストロイしたい気持ち」をチャージ時間ごと盗って詰め込みゼロに。デストロイサンダーの強制終了を狙うよ。……どうしよっかな。この呪われそうな危険物……ぁ、手が滑っちゃった(集束された、デストロイサンダーをお返し投擲)





 ユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)はの脚は崩壊した大地の上を軽やかに駆け抜けていた。
 宙を舞い飛ぶ岩塊の向こう、溶岩の熱に揺らめく光景を、悪魔的視力で見通しながら、一瞬たりとも脚を止めることはしない。
 虚空を裂く稲妻の予兆を感じ取れば、即座に身を翻して岩塊の影に退避する。

「ふははは! すばしっこい奴だ! しかし逃げ回っているだけでは我をデストロイすることはできぬぞ!」
「言われなくても分かってるよ。せっかちなんだから。盗賊には盗賊の段取りがあるんだよ……っと!」

 頭上に脅威あり。
 瞬時に判断したユニは、一振りの短剣を錬成すると、ただちにそれを投擲した。
 グリモア猟兵の予知からデストロイキングボスの攻撃手段をあらかじめ予測して、対策をたてておいたのだ。
 今のはそのひとつ。ゴムの絶縁性と避雷針の特性を両立させた特性の改造ダガーだ。
 目論見の通り、異世界の魔王のユーベルコードを引きつけてくれる。

「ついでに……こういう使い方もできるんだよね!」

 ユニの脚が大地を蹴った。
 跳躍に伴う一瞬の浮遊感。重力の戒めを一瞬だけ破り、飛び上がった身体が落下をし始めるその瞬間に、投擲した短剣を足場として再度、跳躍する。
 跳躍した先には岩塊。踏む。加速。
 投擲した短剣。踏む。加速。
 岩塊。短剣。岩塊。岩塊。短剣。短剣。短剣。岩塊。短剣。岩塊。短剣。
 踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。
 加速。加速。加速。加速。加速。加速。加速。加速。加速。加速。加速――。

「お、おぉぉっ……!?」

 もはや目では負い切れずに、視界の端に僅かな残像だけを残して四方八方を跳び回るユニの姿に、デストロイキングボスが翻弄される。

「――そこ!」

 デストロイキングボスの一瞬の隙をついて投擲された無地のカードに、雷霆のユーベルコードが吸い込まれていく。

「莫迦な。我がデストロイサンダーが! それに、どうしたことだ? 貴様をデストロイしたいという気持ちが、まるで湧いてこない!?」

 ユニの得意とする盗賊魔術の技のひとつ。
 雷霆を虚構と入れ替えて、使い手の闘争心ともどもに盗み出す。

「頂き! ……はいいけれど。どうしよっかな。この呪われそうな危険物……」

 デストロイした気持ち共々、ユーベルコードを盗み出したはいいものの、これは、ユニには無用の長物であると言わざるを得ない。

「……うーん。あ。手が滑っちゃった♪」

 うっかりユニの手から投擲された、もとい滑り落ちてしまったカードは、華麗に弧を描きながらデストロイキングボスの脳天に突き刺さった。
 閃光と轟音が異世界の魔王の巨体を灼く。

「グォォォッ!? わ、我ながら、なんというデストロイかっ……! このデストロイは、痺れるぞ……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
こう体格差があってはまともな戦いにならないだろう。と思っていないのはお互い同じか
まあ、俺は今まで通り、どうにか凌いで勝機を見出すだけだ

神刀の封印を解除。神気を纏って身体能力を強化
ダッシュとジャンプで岩盤を飛び移り、距離を取りつつ斬撃波で先制攻撃の勢いを削いでいく
最後は岩盤にぶつけるように誘導して攻撃を散らそう

しかし、これを掻い潜った上で近付くのは楽じゃない。だから相手の力を利用する
デストロイサンダーの流れを。先程観た事を思い出して、神刀を一閃

絶技【無常】でそのまま跳ね返す……尤も、自分の攻撃で倒れるほどヤワじゃあるまい
だが一瞬なりとも怯む筈。その隙を狙って一気に接近。刀を叩き込もう





 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は天を衝くデストロイキングボスの巨体を見上げていた。
 筋骨隆々たる身体の其処彼処には、先だって闘った猟兵たちが付けたと思わしき傷が幾つにも刻まれていた。
 しかし、巨人の闘志は衰えることはなく、今も灼熱の溶岩のように煮え滾っていた。

「良いぞ! 猟兵とやらが、こうも強者揃いとはな! 良いデストロイだ! 貴様は果たして、どのようなデストロイで我を昂らせてくれるのだ?」

 鏡介は腰に帯びた神刀【無仭】を抜き放つことで、その問いへの答えとした。
 白塗りの鞘から抜き放たれた神刀が神気を放ち、荒廃した戦場の空気を清めていく。

「生憎、誰かを愉しませるために闘っている訳じゃない。何時だって自分に出来ることを懸命にやってきただけだ」
「驕るでもなく。昂ぶるでもなく。己がデストロイを真摯に追及するか! そういう手合いが一番怖い! そして強い! 良いぞ! 貴様は我が全力をもってデストロイする!」

 デストロイキングボスの闘志が一条の雷霆と化して虚空を奔った。
 音速を超える閃光が放たれる刹那。鏡介の身体は神気を纏って疾走した。
 踏み締める大地。振り解く重力。高速の世界では音という鈍重な存在は遥かな背後へと置き去りとされる。
 目前には宙を舞う岩塊。足場として蹴りつけることで加速した肉体を強引に方向転換させる。
 一瞬前まで鏡介が存在した空間を薙ぐように雷霆が奔った。
 鏡介の振るう神刀の一閃が大気を裂いて距離を隔てた巨人の肉体に刃傷を刻む。

「離れていても、我の肉体に届くか! 面白い!」

 強敵の絶技に歓喜の声を上げる巨人とは対照的に、鏡介の心は冷たく冴え渡っていく。
 神刀【無仭】は神羅万象を断つ刃。その刃圏に捉えさえすれば、あらゆる存在を切って捨てる。
 問題は、闘志に応じて際限なく膨れ上げる雷霆の嵐を掻い潜り、デストロイキングボスへと接近できるか否かに尽きる。

「ならば、これだ」

 鏡介は神刀を白鞘に収めると、デストロイキングボスへと向けて真直ぐに駆け出した。

「今! 我がデストロイは天元を突破する! デストロイサンダー! 灰燼と帰せ!」
「今。我が一刀は雷霆を斬る――絶技【無常】」

 驟雨のごとくに降り注ぐ雷霆。それらが収束する虚空の一点を、神速の抜刀術で斬り裂いた。
 鏡のような刀身が青い稲妻の閃きを照り返し、虚空を奔った軌跡を遡って、無数の雷霆が巨人の肉体を打ち据える。

「グ、オォォォ……!? 我がデストロイサンダーを……!? だが、これしきにことで、我は……!」
「――いいや。これで終わりだ」

 斬。
 その音と共にデストロイキングボスの首が落ちた。
 迅速。そして正確に生命を断ち切る刃の一閃。
 首を絶たれたデストロイキングボスの肉体が、地響きとともに崩壊した大地へと崩れ落ちる。
 霊験あらたかな神刀の煌めきの前に、長く過酷な闘いは決着の時を迎えたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月20日


挿絵イラスト