7thKING WAR㉕〜66 memories(作者 井深ロド
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#デビルキングワールド  #7thKING_WAR  #召喚魔王『デストロイキングボス』 


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#召喚魔王『デストロイキングボス』


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「足りぬ!」
 雄叫びが地平を駆け抜けた。
 それは強く、重く、攻撃的な轟き。不満の色を多く含んだ破壊的な響きだ。
「まるで足りぬぞ!」
 足りぬ。まだ足りぬ。丸切り足りぬ。
 周辺一帯を焦土へと変えて、苛立ちの声を遮る一切合切を壊し尽くして尚、こんな程度では全く足りぬと彼は言う。
「デストロイが足りぬ!」

 パワーがあればデストロイできると彼は言った。その持論には依然変わりなく、しかしどうやらそれだけが真理の全てではない。
 自らだけではなく、デストロイする相手にも相応のパワーを求めねばならぬのだ。
 召喚されて訪れたこの異境の地に今こうして更地を作ってみても、己は全く満たされていない。ならば新たに行先を増やしたとて無駄足に終わるだけではないのか。故に。
「やめだ!」
 肝要なのは一点、デストロイに足る相手がいるか否か、ただそれのみ。いないのならば行ける世界が十でも百でも意味はなく、いるのならばこの場の一つで事足りる。
 だから、やめだ。
「猟兵! お前達を我が標的とする!」
 お前達が、きっと我が飢えを満たしてくれる。
 もう護衛などどうでも良い。ガチデビルの目論見も、この戦争の趨勢もどうでも良い。望むデストロイが叶いさえすれば、それ以外は全て些事だ。
 だから早く来い、愛する敵よ。
「真っ向勝負だ!」
 逸る戦意を叩き付けられて、眼下の大地が弾けて舞った。彼の猛り狂う衝動のように。


「一人だけ世界観の違う名前してますよね」
 まあ実際皆それぞれ違うんですけども、と謎の前置きをしてからカルパ・メルカは話を切り出した。一体何の話かと言えば、デビルキングワールドの戦争にて新たに確認された召喚魔王の話である。
 その名もデストロイキングボス。魔王ゼルデギロス、魔王パラダルクらと同じく、魔王ガチデビルが『7thKING WAR』を勝ち抜く為に呼び寄せた異世界の魔王だ。
 そして当然ながらグリモア猟兵が切り出した以上、こんな奴がいるんだってー、ふーん怖いねー、だけで話が終わる筈はなく。その魔王をブッ倒しに行きましょう、と言うのが今日の本題である。

 デストロイキングボスを端的に言い表すならば、巨人だ。より正確に言えば、グリードオーシャンなどで見られる巨人種を遥かに凌ぐ、身の丈五十メートルもの圧倒的な大巨人である。
 破壊の王の親玉と呼ぶに相応しい、見掛け通り、いや、見掛け以上の圧倒的な力をその総身に秘めて。加えて力押し一辺倒ではなく、補助能力として配下の人面蜘蛛を介してのテレポートも使いこなす、正しく難敵。
「……なんですが、テレポートの事は忘れて良いです」
 何故ならば、魔王の超パワーに巻き込まれて件の蜘蛛が纏めて消し飛んだからである。可哀そうに。
 そんな訳で奴さんの手札は結局力押し一辺倒なのだが、しかし油断はならない。何しろ魔王である。いやデビルキングワールドは魔王が多過ぎて脅威の度合いがイメージし難いかと思うが、これは異世界の魔王である。アルダワの戦争の折には一人で何役もこなしていたりしたあの魔王である。いやあの魔王ともまたちょっと背景が異なるのだが、兎も角ガチデビルの前座で済ませて良いレベルではない正真正銘のバケモノである。
 どの程度バケモノかと言うと、その恐るべき力で少しばかり地面を殴ってみれば大地が爆裂し、岩盤が宙を踊り、その下から溶岩が勢い良く顔を出すくらいバケモノである。
「なので、まず注意すべきは、地形」
 魔王の初撃により、戦場はまともに歩ける環境ではなくなる。舞い上がった岩を避け、あるいは足場とするようなトリッキーな立ち回りが要求される事だろう。あちらが地上に立っていたとしても、こちらとしては空中戦に近い状況となる。
「あとはいつものアレですね。先制攻撃への対処」
 猟兵がまともに歩けずとも魔王にとってはそうではない。浮遊する障害をものともせず敵は一直線に襲い掛かってくる。そして圧倒的な力で踏み込んだ時、それは圧倒的な速力となる。テレポートを使わずとも十全に速い。少なくとも猟兵に先んずる程度には。

「その辺を踏まえた上でこう、良い感じに伸しちゃって頂ければ」
 楽に勝てる相手ではないが、かと言って絶対に勝てない相手でもない。他の二体の召喚魔王を打ち倒した時点でガチデビルへの道は開くが、別に多く倒す分には損はない。
 不安を煽るだけ煽ってから娘は緩く締め括ると、やがてグリモアが瞬いた。
 これより、デストロイの時間である。


井深ロド
 デデデデストローイ、キングボース。井深と申します。
 身体が闘争を求めたのでお付き合い下さい。

 プレイングボーナス……敵の先制攻撃に対処する/崩壊した大地の上で空中戦を展開する。
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第1章 ボス戦 『デストロイキングボス・大地殲滅』

POW ●デストロイブラスター
自身の【敵の至近距離に移動して】から極大威力の【デストロイエネルギー】を放つ。使用後は【エネルギーチャージ】状態となり、一定時間行動できない。
SPD ●デストロイサンダー
【デストロイしたい!という気持ち】のチャージ時間に応じ、無限に攻撃対象数が増加する【デストロイサンダー】を放つ。
WIZ ●アルティメットデストロイ
自身の【肉体が究極デストロイモード】になり、【自分の受ける攻撃全てをデストロイする】事で回避率が10倍になり、レベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ライカ・ネーベルラーベ
【OX】
デストロイ?わたしも好きだよ
でもわたしは一度ぶっ壊される方体験したから、2度目は要らないかな
「わたしはオックスメン。還ってきた者オックスリターナー。わたしが、あんたをぶっ壊す!」

デストロイサンダーは攻撃範囲が異常に広いけど、威力は普通のUC
【電撃耐性】で一撃を耐えて、反撃のお時間だよ
【マクスウェルの方程式】で空舞う雷に変身したわたしなら、
足場の崩壊なんか問題にならない!
「お返し、だぁぁぁー!」

周りにはお仲間もいるし
安心して突撃できる
仕掛ける/カバーする
隙を作る/追い打ちを狙う
そういうこと


オックスマン・ポジクラーシャ
【OX】
なんだと! グオオオオオーッ!!!
……なんという事だ、奴の先制攻撃で思いっきり吹き飛ばされてしまうとは。
しかしデストロイヤーを名乗りながら情けない。俺の体は破壊されていないぞ。

……遅れてすまない。状況は理解した。俺の立ち位置は破壊者だ。
この破壊の風はサービスだからまずは受け取って欲しい。
俺を殴り飛ばしたとき、お前はこう思ったのではないか?
「物足りない」と。
だが俺達はOX-MEN。個としての強さも重要だが、チームとしての強さこそが真価。
状況を理解しろ。お前が破壊し巻き上げた大地から現れた俺が、お前の優位を破壊した。

それでは、決着をつけようか。
俺が破壊者という立ち位置を存分に教えてやる。


ミルラ・フラン
【OX】
なんだいなんだいキャラ被りかい?
(オックスマンとデストロイキングボスを見比べて)
いやぁ、オックスマンの方がイケてそうな気がするがねえ

なんだよ究極デストロイモードって!ふざけてんのかい!
いや、ヤバいのが来そうだね……Signorina Torturaを盾に変形させて、オーラ防御を纏って受け流すよ
ああ!そこの奴後ろにお入り!
防御しつつ、ロザリオを握って魔力を溜める

あたしゃ拷問具も得物だが本来は長距離攻撃が得意でね、足元悪くてもケッコーイケるのさ
回避なんてさせないよ!神罰執行!
祈りの光よ!あの敵を串刺しに!
それと……2回攻撃でもう一発!

オックスマン、アンタこそ最高の破壊者だよ!


聖護院・カプラ
【OX】
オックスキャスターこと私もデストロイキングボスの力には目を見張りました。
オックスマン氏に身を挺して庇って頂かなければ今頃どうなっていたか。

私は【台座】で空を飛ぶ事はできますが、究極デストロイモードの速度を捉えるには……我々の連携攻撃で敵が回避しようがない状況を作るしかありませんね。

ならば、皆さんの攻撃の合間に周囲を満たす【存在感】で【功徳】をデストロイキングボスに向けましょう。
今ここで倒される運命という現実。
そこから目を背けていては徳による攻撃を受けた時、どうなるかは自明の理です。

今ですオックスマン!思う存分破壊する事を赦しましょう!


梟別・玲頼
【OX】
デストロイとクラッシュとブレイクの違いがオレにはもう解らない
とりあえずリーダーが対抗心抱いてんのは良く解った

って早速ぶっ飛ばされてんじゃねぇよ!?
ミルラの盾に共に入りつつ風のオーラで防御
地形破壊に伴って舞い上がってる岩や地面は身を隠しながら迫るには向いてる
鳥形態に変じ、隙間を縫う様に移動しては、岩陰で人間態に戻って他の皆の攻撃に合わせて援護射撃を繰り返しつつ近付こう

どでかい威力のブラスターは、オーラ防御で出来る限り直撃避けて受け流し
消し炭寸前からUC発動、真の姿化の全回復から反撃開始
大技を放った反動は大きな隙だ
両翼から打ち込めるだけの矢羽根を撃ち
今だリーダー! 真の破壊を見せてやれ!


●Encounter
 不意を衝こうと狙った訳ではない。ただ、待ち侘びていたのだ。恋焦がれていたのだ。例えるならそれはデートの待ち合わせをする若人の心持ちに近く、だが思春期の青少年のような緊張感も、体裁を取り繕う社会性も彼は持ち合わせていなかったから、その万感の想いは最速最短に常と同じ手段で表現されて、結果的にこういう形となった。
「デェェェストロォォォォイ!!」
「なんだと! グオオオオオーッ!!!」
 大地が裂けて、空が震えた。
 比喩ではない。魔王デストロイキングボスの恐るべき猛撃は現世に地獄を呼び覚まし、旧世紀の宗教家が想像した終末の日が今現実の光景となる。

 オックスキャスターこと聖護院・カプラは“目を見張った”。事前情報として聞いてはいたが、実際に目の当たりにしてみるとやはり得られる知見には雲泥の差がある。百聞は一見に如かずとはよく言ったもの。無論こういう埒外の戦場では眼にも破格の性能が求められるが、カプラの視覚センサーは余人のそれとは次元が違う。民草にはせいぜい紺碧の残像が映るだけに終わっただろうが、彼は更に多くの情報を拾ってみせた。
 例えば、その青色は魔王の山の如き巨体が高速移動する事で描かれた、とか。
 例えば、それによって我々のリーダーが思いっ切り撥ね飛ばされた、とか。
「って早速ぶっ飛ばされてんじゃねぇよ!?」
 オックスウィンドこと梟別・玲頼の口から思わずそんな言葉が零れたが、聖者はそれをやんわりと諫める。
「オックスマン氏に身を挺して庇って頂かなければ、私達とて今頃どうなっていたか」
「庇ってはなかったと思う」
 単に一人だけ前衛にいたから狙われただけでは? と疑問の声が上がったが今は置いておく。ともあれ我らがリーダー、オックスマン・ポジクラーシャの献身によって初手から壊滅の憂き目を見ずに済んだ。とりあえず良しとしよう。良しの一言で片付けるべきではない気もするが。
「……デストロイヤーを名乗りながら……情けない……」
 まだ俺の身体は破壊されていないぞ! と、くぐもった声が健在をアピールしている。今のところ死んではいない。いかにもやられ役っぽい悲鳴を上げていた事を思えば存外に軽傷な方だと思われる。いやはや、ディフェンダーでもないのに頑丈な事だ。

 システムが違う世界の話も今は置いておいて。ではオックスマンが自任するポジションは何かと言えば、それはクラッシャーである。
 ついでに言うとデストロイキングボスはデストロイの王のボスであり、余計な肩書きを削って簡潔に表現すればデストロイヤーである。
「デストロイとクラッシュとブレイクの違いがオレにはもう解らない」
 玲頼が何やら遠い目をしながら呟いた。厳密には別物なのだろうが微妙なニュアンスの違いがイマイチ解らない。ブレイクはエンチャントを解除できる、みたいなシステム的な差異はこの世界にないのだ。だから彼に解る事と言えばリーダー的には前の二つは比較的近い関係にあるという事と、故に対抗心を燃やしていた事くらいである。が。
「早くも格付けが済んでしまったように見えるんだが」
「いやぁ、オックスマンの方がイケてそうな気がしたがねえ」
 やれやれ、目が曇っていたか。手にした盾を拷問形態へと戻しながらミルラ・フランは大きく溜息を吐き、それから問うた。ちなみに彼女はちゃんと仲間を庇っていた。偉い。
「どうするんだい、これ」
 頑張ってリーダーを発掘するか? いやあ、そんな暇はないだろう。何故ならもう既に次なるデストロイを求めてデストロイキングボスがこちらを見ているからだ。
「放っとけばその内勝手に這い出てくるんじゃない?」
 何も悩む事はないのでは? とライカ・ネーベルラーベが応じる。リーダーへの信頼が厚いのは実に素晴らしい事だが、デッドマンの不死身のタフネスを基準に考えていそうな気がしてならない。
 本当に大丈夫か? 暫し皆の視線が語り合い。
「……それで行こうか」
 肝心のオックスマンが不在だが、ひとまずオックスメンが動き出す。

●Phase W
「ふざけてんのかい!」
 吐き捨てるように放たれたミルラの言葉は、怒濤の如く戦場を奔るデストロイの乱舞と糞喧しい魔王の雄叫びによって完全に掻き消された。肺活量では敵う気が全くしなかったから仕方ない、言い直すのは諦めて二度目の訴えは内心でのみ行う事とする。
 なんだよ、究ゥ極! デェェストロォォイモォォォドッ!! って。ふざけてんのか。耳を潰す気かい。いや、ふざけた名前だが多分そこは大真面目なのだろう。敵の言動からはデストロイの一語に絶大な信頼を置いている節が多々見受けられる。
「その辺のセンスに関しては、オックスマンの方がイケてる気がするねえ」
 閑話休題。
 名前はどうでも良いのだ。問題は性能の方である。敵は元より見掛けによらぬ俊敏さを見せていたが、究極何とかモードを宣言して以降更に一段機敏になった。加速しただけでなくデストロイエネルギーとやらの影響力も増したのか、半端な攻撃は本体へ届かずその手前で弾かれている感じもする。
 ――さて、どうしたもんかね。
 衝撃の度次々に浮き上がっては落ちる不安定な足場を乗り継ぎ、薔薇色の長髪を靡かせながらミルラは思索する。オックスサーチャーたる彼女にとって探し物は十八番だ。このような局面であっても適切な逃げ道を見つける程度は造作もない事だったが、攻略するとなると流石に難度が高い。一人では聊か決め手に掛ける。
 手札を探して視線を走らせれば、ひらりひらり、岩陰から岩陰へと軽快に乗り継ぐシマフクロウ――妖怪としての本性を現した玲頼改めレラの姿が目に映った。やはり空中機動は彼の領分か。人と鳥、二つの姿を行き来しつつ、細かな牽制で敵の注意を引いている。
 “風”が囮を担うなら、もう少し攻め手を増やしても良さそうか。
 頭上、神々しい台座に乗ってゆらゆらと浮遊するカプラを見遣れば、心得たとばかりにその後光が瞬いて。直後、背後の石塊に降り立ったライカが、間髪を容れず前に出る。
「援護、よろしく」
「あいよ」
 紅と金とが交差して、戦いは次の局面へ。

 デストロイキングボスは大地すら破壊する超常の力を身に宿している。この荒れ果てた地平が物語っている通り、それは誰の目にも明らかだ。
 だが森羅万象、宇宙の全てを壊し尽くせるかと言うと恐らくそうではない。例えば王の攻撃は幾度か空を切ったが、それでこの場の大気が壊されてはいない。猟兵達は変わらず呼吸を行えている。
 この絶対的な破壊者にも壊せないものはあるのだろう。では、“それ”はどうか。
 召喚魔王の動きが僅かに鈍った。少し、ほんの少し表情が変わる。デストロイの限りを楽しんでいた時とも、デストロイできず落胆していた時とも違う、初めて見せる形。
 困惑のカタチ。
 不可解なものを相手取る感覚。濃密な気配が周囲を満たしているのに、何者かに己が魂を圧されているのに、それが何なのか分からない。彼にはそれを理解できない。
「功徳に触れるのは初めてでしょうか?」
 慇懃な声が王の耳を衝く。言葉を発したウォーマシンが、いやに巨大になって見えた。五十メートルもの巨躯を誇るオブリビオンよりも、更に。だが、それだけの存在感を目の当たりにしても、“それ”の正体を説明されても尚、究極デストロイモードは“それ”を迎撃可能なものと認識できない。
 異常事態。
「……ぬ」
 戸惑いが僅かな隙を生み。
「神罰執行!」
 それは、誰の目にも僅かではない。

 ミルラは咎人殺しであり、咎人殺しの得物は拷問具である。それは事実だ。だがそれは近接戦専門を意味する訳ではない。長距離狙撃用の拷問具がないから披露する機会がないだけだ。あれば問題なく使えるだろう。
 そう、このように。
 天が瞬き、光が落ちた。祈りの光が魔王の肩口を抉り、勢いの儘に胸板を削ぎ落とす。
「本来は長距離攻撃が得意でね」
 この程度ならばどうという事もない、と女は笑う。確かに足元は悪いが、岩盤が意思を持って動き回っている訳ではない。物理法則から逸脱する訳でもない。後は慣れだ。
 皮膚が堅過ぎたか串刺しにはし損ねたが、いかにガタイが良かろうとも柔い部分はあるものだ。故に、次はイケる。加えて、目の前の機会を逃す程に処刑人は愚鈍ではない。
「もう一発、オマケだよ!」
 狙いは腹。馬鹿みたいに巨大な腹の口。あの舌を下顎に縫い付ければ、耳障りな爆音も多少は減るに違いない。
 裁きの光が今一度瞬く。光槍が天と地と、その合間にあるものとを過たず貫いて。
「ならば! 存在そのものを直接デストロイするのみ!!!」
 串刺しは叶ったが、残る半分の願いは届かなかったか。デストロイキングボスは更なる覇気を以て吼えた。消極的な防御の型などに頼るからデストロイできないのだ、と。より能動的に、より積極的に、より暴力的に。攻撃の構えを取った魔王の五体から、昂る感情が雷となって迸る。ほんの一時、しかし確かな忍耐の時を経て更なる脅威へと育った凶光が戦場を照らす。
 そして。
「それを、待ってた」
 致死の距離へと、ライカが踏み込む。

●Phase S
 雷光が爆ぜた。無数の眩いジグザグが視界の全てを埋め尽くす。締めて何発の攻撃か、それぞれの向かう先に誰がいるのか。瞬時には読み取れなかったが、どうやらそこに自分が含まれているという事だけは骨身に染みて理解できた。
「……ッ!」
 死ぬほど痛い、なんて言い回しはよく聞くが、それはこれくらいだろうか。飛びかけた意識でライカは考える。電撃には耐性がある方だと思っていたが意外に効く。それとも、耐性があるからこそ長く苦しむ結果になっているのか。
「デストロォォォイ! サンッダァァァァアッ!!」
 聞くに堪えない騒音が脳を揺らす。ああ、でも潰し合いの最中にしては楽しそうな声色だ。殺意とか憎悪とか、そういうものを感じさせない音。きっと純粋に楽しいのだろう。何となく、分からなくもない。
 ――デストロイ? わたしも好きだよ。
「でも」
 魔女の指抜きが“心臓”に喝を入れる。こんなところで死んでいる場合ではない。意識が覚醒して、活力を取り戻した二色の瞳が敵を捉えた。
「二度目は、要らないかな」
 ぶっ壊される方は一度体験したから、次の機会は逆の側が良い。もっと言えば三度目も四度目もそっちが良い。だから、そうする事にした。お互い雷だ。あちらから届くのならこちらから届かない道理はない。
 バヂリ、と。血と共に巡る雷の魔力が全身から溢れ出した。
 否。全身“が”雷となって溢れ出した。
「わたしが、あんたをぶっ壊す!」
 わたしは帰還者、オックスリターナー。死ぬほど、では壊せない。
 ……デストロイキングボス、あんたはどう?
 二度、雷光が爆ぜた。試してみよう、そう言わんばかりに。
「お返し、だぁぁぁー!!!」
 ――Bolt from the blue.
 稲妻の化身が空を舞い、太陽よりも煌々と、輝きが世界を灼き尽くす。

●Phase P
 飛び交う雷撃が収まって一息吐けるかと思ったが、そんな事は全くなかった。
 光芒の代わりに玲頼の視界を彩ったのは先とは正反対の暗い気配で。だが、それが先と同じ方向性のものだと肌で感じる。
 破壊の力だ。
 より深く、重く、純粋な破壊の波動。別の姿を形作る前のエネルギーそのもの。雷では壊し切れないと見たか、どうやらあれが魔王の切り札。
 つまり、どう考えても今までの最大火力。
「ああ、クソッ!」
 逡巡は一瞬。野生の勘を捩じ伏せて、危地へと“風”が飛び込んだ。
 下手に喰らうと不味い。この上なく理解している。とは言え、単純に避ければ良いかと言われるとそうではないのだ。他の誰が浴びても不味い。いや、全員が上手く凌ごうとも駄目だ。ただでさえ劣悪な環境なのに、あれが地面を抉りでもすればどうなるか。
 故に比較的マシな形で撃たせてしまうのが最善手で、困った事にそれには恐らく自分が最も適しているのだ。そう解ってしまった。
「酷い貧乏籤だな!」
 先刻の反撃がよほど堪えたのか、執拗にライカを追い回す顔面へと矢羽根を撃ち込む。そら、喰い付け。
「良かろう! お前からデストロイだ!」
「後ろにお入り!」
 斜め後方、大盾を構えたミルラが叫ぶ。お言葉に甘えるか、いや共倒れの危険がある、盾だけ借りるか、そう考えて、それから。
 はて、それからどうなったのだったか。
「…………!!」
 オレの身体は予想通り消し炭寸前まで行っていて、何かを言おうとしたが焼けた声帯は機能していなくて、でもこうして思考できているからオーラやら何やらできっとどうにか耐え切ったのだろう。案外やれるものだ。で、その次は何をするんだったか。
 ――反撃か。
「……フ、ハッ!」
 数秒ぶりの呼吸が思いの外に難しく、僅かに咽た。不調を疑ったが、幸いにして支障はない。いや今の状況を幸いと呼びたくはないが。変身と同時に傷を癒せるとは言え同じ事を二度とはやりたくない。
 ともあれ、人と鳥との中間の姿、猟兵としての真の姿へと変じた玲頼が両翼を拡げる。先程までは矢羽根の数が違う、そう誇示するかのように。
 反撃だ。モシリ・コロ・カムイが羽撃いた。荒神の風が巨体を襲う。そして。
「そろそろ出番だぞ、リーダー!」
 そう叫んだ。

●OX-MEN
 散々に破壊されて巻き上げられる大地の中に、礫岩とも溶岩とも異なるものが見えた。黒いもの、硬質なもの、鋭利なもの。質量にものを言わせただけの周囲のそれよりも洗練された凶器。結果的に破壊するのではなく、端から破壊を目的とした道具。
 それは、剣。
「……遅れてすまない。状況は理解した」
 満を持して、地の底からオックスマンが蘇る。遅刻の詫びに振るわれた漆黒剣が唸りを上げて破壊の風を巻き起こした。彼はただの破壊者ではない、埒外の破壊者だ。その剣撃も当然尋常のものではなく、刀身のリーチを無視して敵を刻む。梟の羽根で飾られた大男の肌に別種の彩りを添えて行く。完璧な不意打ち。会心の一打。
 手応えは――ない。
「この程度の攻撃では我をデストロイする事はできぬぞ!」
 こんなものは手傷の数には入らぬと、デストロイキングボスが高らかに吼えた。流石はガチデビルをして最強の魔王と言わしめた怪物。猟兵として埒外の領域に立って尚、暴虐の王の力は遥か高みにある。
 その隔たりを認めて、オックスマンは言った。
「理解している。こう思っているのだろう、物足りない、と」
 今の一撃だけではない。最初に俺を殴り飛ばした時も。見てはいないが、きっと仲間達の攻撃に晒された時も思った筈だ。物足りない。冴えない。呆気ない。つまらない。期待外れだ、と。それなりにデストロイを楽しみつつも、内心少しは感じた筈だ。それだけの戦力差が彼我の間にはある。
 故に、オックスマンは言った。
「だから、お前は敗れるのだ」

 魔王の顔色が、変わった。それは今までに見せなかった類のもの。一度だけ表した困惑の形とも異なるもの。それよりも更に縁遠い筈のもの。
 ――狼狽。
「何だ、これは……ッ!?」
 猟兵達の強さは把握していた筈だ。全くの雑魚などと侮ってはいない。見るべきものはあった。故にデストロイブラスターを放ったのだ。そうでなくてはデストロイできぬと。そして、一時の隙を晒そうともデストロイされる事はないと。ならば何故だ。見誤ってはいない筈だ。敵は強くなどなってはいない。
 黒衣の男は言った。チームとしての強さ、と。だがそれとて限度はある筈だ。連携が個の力を引き上げようともその上からデストロイできる筈だ。今までそうしてきたように。
 それなのに。何故、圧されている?
 地を翔ける雷が胸の傷跡を強かに打ち付けた。天から降り注ぐ光が寸分違わず同じ箇所に突き刺さる。
「状況を理解しろ。お前は、“この程度”にこそ屈するのだ」
 功徳の気配が空間を満たす。梟神が両翼を翻した。
 物足りない“この程度”の積み重ねが、じわりじわりと魔王を蝕む。真綿で首を締めるように。十二分にデストロイを堪能できず、つまらない形で終わりを迎える。決して満足する事はない。それこそが、破壊者が齎す絶望のカタチ。
「馬鹿なッ!? 我はまだ、デストロイを!! デストロイがッ!!!」

「アンタこそ最高の破壊者だよ!」
 ミルラが言った。今度こそ格付けが終わったようだ、と。
「真の破壊を見せてやれ!」
 玲頼が言った。一撃で決めろ。これ以上あのブラスターを浴びるのは御免だ。
「思う存分破壊する事を赦しましょう!」
 カプラが言った。敵はデストロイに感けて現実から目を逸らした。この結末は自明だ。
「それでは、決着をつけようか」
 オックスマンが黒剣を掲げた。
 破壊するものは必ず破壊されるものを生む。二人の破壊者は同じ立ち位置に並べない。

●By-talk
 かくして、真の破壊者がここに決まる。
 決着を見届けて、ライカが言った。
「わたしがぶっ壊したかったのに」
 死闘は終わりを迎えたが、キャラ被り問題はどうやらまだ続いている。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2022年05月16日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵