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【サポート優先】生ける屍は囮となるか?(作者 キラキラオモチ
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#ダークセイヴァー  #プレイング受付中  #第一章のプレイング受付は5/29の23:59まで 


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#ダークセイヴァー
#プレイング受付中
#第一章のプレイング受付は5/29の23:59まで


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

「うーん、間違いないよねぇ……」
 天導・鈴音(世話焼き狐巫女・f36489)は首を傾げていた。どこか納得いかないような、それでいてどうしようもないような表情でウロウロしていた。
「あっ! ごめんね! みんな集まってたんだね!」
 猟兵達の姿に気づくと鈴音は身体を直角に折り曲げてお辞儀をする。再び上げられた顔は、いつもの元気いっぱいな鈴音だった。

「今回の予知はダークセイヴァーにある集落に関するものだよ」
 夜と闇に覆われしダークセイヴァー。他の世界よりもオブリビオンによる支配が盤石であり、人々は長年虐げられていると言う。恐らくこの集落も、そんな虐げられた人類達が逃げ出して肩を寄せ合って生きているのだろう。
「この集落では今疫病が流行っている。感染して発症すると皮膚が黒い痣となり死に至るという恐ろしい病なの」
 鈴音によると感染者の九割は苦しみぬいた上に死んでしまうと言う。せっかくヴァンパイアの支配から逃げ出したのに、その先で病に苦しめられるとはとんだ災難だ。
「そこにやってきた一人の村医者。彼が治療をすると立ちどころに皮膚の色は元通りになり全快するの」
 かくして集落は救われてめでたしめでたし――であれば猟兵が呼ばれるはずも無い。鈴音は片手で頭を抑えると、小さな声で続けた。
「……ところが村医者が集落を離れてから一週間。彼から貰った薬湯を飲み続けた村人は次第に身体が腐り落ち……生ける屍となってしまった。そう、集落全てね」
 村医者の正体はオブリビオンだったのだ。もしかしたら最初に広まった疫病とやらも彼の仕業だったのかもしれない。
「今回は幸い予知が間に合った……今オブリビオンである『嘆きの医師』が集落で治療をしているところなの。彼が村を離れる前に討伐し、薬湯が村人の手に渡らないようにしてほしい」
 鈴音はゆっくりと神楽を舞い始めた。

「……ただね、これはちょっと話半分に聞いてほしいのだけど……」
 鈴の音を鳴らしながら鈴音が口を開く。
「嫌な予感がするの。村人を生ける屍にするのが本当に彼らの狙いなのかどうか」
 神楽が終わり、猟兵の身体が転送されていく。
「どうか、気を付けて……」
 鈴音は天を仰いで猟兵の無事を祈った。


キラキラオモチ
 二本目のサポート優先シナリオ、キラキラオモチです。
 本シナリオは三章仕立てとなっておりますが、現時点では一章の敵しか判明しておりません。果たして敵の真の目的が何なのか、是非探ってみてください。

『第一章・嘆きの医師』
 オブリビオンである嘆きの医師が最後の村人を治療して宿屋に帰りました。
 宿屋の主人には話をつけてあるので嘆きの医師を襲撃して下さい。
 襲撃の際に宿屋が多少壊れても構いません、全てが終わった後にグリモア猟兵がお小遣いで弁償します。

『第二章』
 詳細不明です。
 もし事前に情報を得ることが出来れば有利に戦えるかもしれません。

『第三章』
 詳細不明です。
 もし事前に情報を得ることが出来れば有利に戦えるかもしれません。

 本シナリオはダークセイヴァーが舞台となるのでダイス判定は少し厳しめです。
 またサポート優先シナリオですので進行がゆっくりになります、それでも良いという方は是非ご参加くださいませ。

 一章のプレイング受け付けはOP公開時点から、二章と三章は断章公開時点からとします。猟兵の皆様が無事に帰還できますことを。
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第1章 ボス戦 『嘆きの医師』

POW ●大丈夫、怖くないよ
【注射】【手術道具】【拘束ロープ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD ●君の未練を聴かせておくれ
【この世に未練を残した死者】の霊を召喚する。これは【精神汚染】や【毒】で攻撃する能力を持つ。
WIZ ●――今、楽にしてあげよう
自身と武装を【ウイルス】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[ウイルス]に触れた敵からは【生命力】を奪う。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はクラウン・メリーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「人が生ける屍になる薬ですか。
入手すれば我が社の細菌兵器の開発に役立ちそうですね。
フォスさん、特殊渉外課出動です」

村医者が細菌兵器を配っているところに病人のふりをして潜入し、薬湯――細菌兵器を入手しましょう。

「え、私だけ別の部屋で治療ですか……?」

言われた通りについていくと……拘束ロープでベッドに縛られて!?
そのまま怪しい薬を注射され、メスで衣服を斬り裂かれ半裸にされ……

「な、なんで私が巨大企業のカンパニーマンだとわかったのですか!?
……え、服が豪華すぎ?」

フォスさんに助けてもらったら【一斉蜂起】で村人たちを蜂起させて、村医者をやっつけてあげます!
乙女の肌を見た者は許しませんっ!


フォス・オネイロス
【ブラック】

自作自演って可能性まであるなら、
その技術は手に入れておきたいところだね。

って、その衣装!?
ペルセポネさんの思う村娘って、どうなってるのかな?

とはいえ、ここまで来たら着替えも出来ず、
そのまま薬湯をもらったら、ペルセポネさんだけ別に連れて行かれてしまいます。

これはさすがにバレたよね。
でも別行動していたのを考えれば、逆にチャンスかも。

そう思い、宿屋の屋根裏から潜入してみると、
ペルセポネさんが半裸で拘束されていて……。

くっ、こんな卑怯なことを。
もうちょっと遅く来ればよか……。

といいかけ、頭をぶんぶん。

村医者が部屋をでた隙を見て、ペルセポネさんを助け出すよ。
写真だけはしっかり撮るけどね!


 ダークセイヴァーの一部では人類側が砦を築き反攻の兆しを見せるなどの吉報が届き始めている。しかし、未だオブリビオンに苦しめられ虐げられている人々がいることを忘れてはならない。
 ペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)とフォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)が降り立ったのも、そんな悲しき人々が集う集落の一つであった。

「人が生ける屍になる薬ですか。入手すれば我が社の細菌兵器の開発に役立ちそうですね。フォスさん、特殊渉外課出動です」
「自作自演って可能性まであるなら、その技術は手に入れておきたいところだね」
 彼女達はサイバーザナドゥのメガコーポの一つ『ブラック・カンパニー』からやってきた特殊渉外課だ。今回は病人のふりをして村医者に接近、薬湯を入手しようと考えてやってきたのだ。
 幸い村医者は外からやってきたらしい、恐らく村人全ての顔を把握はしていないだろう。故に村娘に変装すれば欺くのは容易に違いない、二人はそう考えていた。
「それじゃペルセポネさん、早速……って、えっ!?」
「どうかしましたか、フォスさん」
 フォスは己の目を疑った。そこには広がるフレアスカートにコルセット、白いレースが煌びやかについた青地に金刺繍のドレスを身に纏ったペルセポネがいたからだ。
「ペルセポネさん、村娘って……」
 思わず出かけた言葉を飲み込むと、フォスは下を向いた。もう宿屋は目の前だ、今更着替えに戻る訳にもいかない。
「大丈夫ですか? あっ、体調が悪いふりをしてるのですね、さすがフォスさんです」
 ペルセポネが宿の扉を開けると、そこには話に聞いていた背格好の村医者がいた。

「あ、あの……村医者の方ですか? 私たち何だか調子が悪くって……」
「おや、それは大変ですね。身体に痣ができたりしていますか?」
 村医者は実に親切だった。あらかじめこれがオブリビオンだとわかっていなければ、騙されてしまうのも無理はないだろう。
 彼は一通り二人の様子を確認すると、懐から小袋を取り出してフォスに手渡した。
「そちらの銀髪が美しいお嬢さん、これを寝る前に煎じて飲んでください。七日もすればたちどころに良くなるはずです」
「ありがとう、村医者さん」
「そして麗しい青髪のお嬢さん、あなたは薬湯の前に少し治療が必要です。私の部屋に器具が揃っているのでついてきてください」
「え、私だけ別の部屋で治療ですか……?」
 不安にかられたペルセポネであるが、ここで治療を拒否して疑われたら元も子もない。観念したかのように村医者の後についていったのであった。

「それではそこのベッドの上に寝てください。大丈夫、私は医者ですから」
 恐る恐るベッドの上に寝ると、村医者はあっと言う間に拘束ロープでペルセポネの手足を縛り付けた。
「あの……これって本当に治療に必要なのですか……?」
「えぇ、みなさんやってますから大丈夫ですよ」
 身動き一つ取れなくなったのを確認すると、村医者はペルセポネに緑色の怪しい液体を注射した。途端に全身の力が抜け、筋肉が弛緩していく。
 村医者は続けざまにメスを取り出すと、豪華なドレスを乱暴に切り裂いていった。ペルセポネの白い肢体が露わになっていく。
「……やはり、黒い痣はないか。最初から村娘ではないと疑っていたが……お前、猟兵だろう?」
 これまでずっと笑みを絶やしていなかった村医者の顔が豹変する。眉間に皺を寄せ、口を一文字にしたその顔からは優しさが消え去っていた。
「な、なんで私が村娘ではないとわかったのですか!?」
「……この世界にそんな豪華な服を着た村娘などいない。覚えておけ」
「……豪華……?」
 ペルセポネは村医者の言葉の意味が良くわからなかった。なんならちょっと地味すぎたかなと思う位の衣服を選んだつもりだったからだ。
「しかし猟兵が自ら飛び込んでくるとは……くくく、これは面白い実験が出来そうだ」
 村医者が注射器を片手に机の上を漁りだした。
「うん? 診療所に置いてきたか……」
 そう言い残すと、彼は部屋の扉を開けてどこかに消えた。この隙に何とか逃げ出そうとするペルセポネであったが、先ほどの注射の影響で力が入らない。このままではオブリビオンに人体実験されてしまう。
「フォスさん……」
 ペルセポネの呟きが、力無く診療所に響いた。

「これはさすがにバレたよね」
 ペルセポネが村医者と共に部屋に入ったのを見て、フォスはすぐさま状況を理解した。
「でも、逆にチャンスかも」
 二人揃って連れて行かれた場合、怪しい行動は出来るだけ控えなければならなくなる。しかし、別行動が取れるのならばその様な心配は不要となるからだ。
 そう考えたフォスは隣りの部屋に忍び込むと、静かに天井を切り開いた。そのまま屋根裏に忍び込み、村医者の部屋の真上まで匍匐前進をする。
「少し時間かかっちゃったかな……」
 天井の隙間から部屋の中を覗くと、そこには豪華な衣服を切り刻まれた半裸のペルセポネの姿があった。
「くっ、こんな卑怯なことを」
 フォスが拳を握って震わせた。その声からは怒りと言うより悔しさのようなものが滲み出ている。
「もうちょっと遅く来ればよか……」
 出かかった言葉を手で遮ると、フォスは頭を二度振った。もしかしたらまだチャンスがあるかもしれない。
『しかし猟兵が自ら飛び込んでくるとは……くくく、これは面白い実験が出来そうだ』
 村医者がペルセポネを見ながら不穏な発言をする。状況的に考えて、これは何らかの細菌を使った実験を行おうとしているのだろう。
『うん? 診療所に置いてきたか……』
 そう言い残し村医者が部屋を出て行った。これ以上ここに留まっていても何も得られないだろう。フォスはすぐさま天井に穴を開けてペルセポネの隣りへと降り立った。
「ペルセポネさん、今助けますよ」
「フォスさん、待ってました……何か変な音しませんか?」
「気のせいです」
 フォスの右目から何か小さな機械音がする。首を傾げるペルセポネを上手く言いくるめながら、フォスは無事に彼女を助け出した。
「これからどうしようか?」
「私に良い考えがあります。フォスさん、村人をこの部屋に集めてください」
 フォスに用意してもらった服に着替えると、ペルセポネは不敵に笑った。

「とりあえず三種類あれば良いだろう」
 村医者が宿屋に戻ってきた。その手には青、赤、黄の薬剤が満たされた注射器が握られている。
「くくく、猟兵は丈夫だからな……色々な実験が出来るに違いない」
 これから起こることを想像しながら村医者は自分の部屋の扉を開けた。
「みなさん、今です! あいつこそが敵なのです!」
 部屋の中で隠れていた村人たちが武器を片手に村医者に襲い掛かる。村医者は完全に不意を突かれて袋叩きにあってしまった。
「くっ!」
 隙をついて包囲から抜け出すと、村医者は宿屋から走り出た。
「村人にもバレてしまったか……くそっ!」
 これでは薬湯で生ける屍を創る計画も台無しだろう、村医者は忌々しそうに宿屋を見ると歯ぎしりをした。
「ならば……力づくでやってみせるのみ……!」

「ふっふっふ、乙女の肌を見た者は許しませんっ!」
 一方、ペルセポネは策が完全に上手くいったことで上機嫌であった。
「さすがです、ペルセポネさん」
 一方、フォスはペルセポネの恥ずかしい写真をしっかり撮れたことで上機嫌であった。

 こうして猟兵と嘆きの医師の戦いは幕を開けたのだ。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。

基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。

シリアス以外ならいたずら好きの面も。


ジェイソン・スカイフォール(サポート)
おもに「正当防衛」「衛生小隊」を使ってメイン参加者の援護を行います。

▼行動例

「下がってください!」
メイン参加者が不利な状況に登場し、かばう。ボス敵の相手を引き受け、味方が態勢を立て直すための機会をつくる。

「救護します!」
衛生小隊にボス敵の牽制を命じ、その隙に、負傷したメイン参加者を安全圏に撤退させ、応急手当を行う。必要に応じて「生まれながらの光」で治療する。


 オブリビオンである嘆きの医師が宿屋で戦いを繰り広げてる間、こっそりと診療所へ向かった二人の猟兵がいた。二人は診療所の扉を開けると、そこに置いてある薬品を手に取る。軍人風の格好をした金髪の衛生兵、ジェイソン・スカイフォール(界境なきメディック・f05228)が青い液体の入った試験管を眺めながら話し始めた。
「遙さん。グリモア猟兵から聞いた話から考えるに、この集落で流行っている疫病は『黒死病』……すなわちペストであると自分は思うのですが、どうでありますか?」
 白衣を纏った小児科医の春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は診療所の顕微鏡を覗きながらジェイソンに返事をした。
「えぇ、恐らく間違いないです。ですが、この集落には家畜らしい家畜がいません。さきほど地下の倉庫も確認しましたがネズミ一匹すらいませんでした」
「なるほど。ということは集落の人は自然感染したのではなく、オブリビオンによるものだとお考えでありますか?」
 遙は顕微鏡から顔をあげると、ジェイソンに向かって頷いた。ジェイソンは腕を組むと天井を仰ぎながら言葉を紡ぐ。
「そしてペストによる犠牲者が出た頃にふらっとこの集落に現れ抗生物質で治療、人々の信用を得た上で改めてゾンビ化する何らかの毒を盛った……こういう流れでありますね」
 一見、筋の通った話だ。しかし遙はそこに何らかの違和感を覚えた。
「……本当にそうでしょうか?」
「と、言いますと?」
「集落の誰一人に気づかれずペスト菌をばらまける能力があるのなら、なぜ最初からゾンビ化させなかったのですか? わざわざ人々の信頼を得て潜り込む必要性を感じません」
 ジェイソンはハッとした。確かに遙の言う通りだ。
「オブリビオンには何か別の目的がある……?」
 その時だった。診療所の扉が乱暴に開け放たれ嘆きの医師が現れた。

「ここにも猟兵の手が入っていたか……!」
 予想外だったのだろう。嘆きの医師は明らかに動揺を見せた。ジェイソンはその隙を見逃さず、アサルトウェポンの銃弾を医師の足元目掛けて撃ち込んだ。
「くっ、やってくれる!」
 嘆きの医師は手にしていた注射器を取り落した。床に落ちた注射器は割れ、青、赤、黄の薬剤が混ざりあい紫色の煙が立ち昇る。
「ジェイソンさん、下がって!」
 ジェイソンが飛び退き、遙が煙の後ろ目掛けて拳銃のトリガーを引く。しかし、手応えがない。
「消えたでありますか……!?」
 嘆きの医師の姿が消えた。辺りを見回しても、注意深く耳をそばだてても、彼の気配はどこにも無い。
「それなら!」
 遙は木の杖を手にすると先端に手を触れながら、身を翻して詠唱を開始する。
「風に舞う薄紅の嬰児よ……惑う命の導きと成れ!」
 杖から螺旋状に薄紅色の花びらが舞い散る。それは遙の周りをしばらく名残惜しそうに舞っていたかと思うと、診療所全体へと広がった。そして嘆きの医師の身体に付着することで、その居場所を明らかにした――そう、遙の目の前だ。
「くっくっく、遅い。今、楽にしてあげよう……」
 嘆きの医師が持つ身の丈ほどの大きさのメスが遙の首目掛けて振り下ろされる。
「そうはさせないであります!」
 あっと言う間だった。ジェイソンは遙と嘆きの医師の間に割り込むと、メスを持つ腕の根元を左腕で開くように制す。そのまま体勢を崩した医師の左頬へ右ストレートを放った。
 嘆きの医師は大きく吹き飛ぶとそのまま床に叩きつけられた。医師は二人を睨みつけると起き上がり診療所から脱兎の如く逃げ出す。

「待つであります!」
 後を追おうとしたジェイソンの肩に遙が手を置く。振り向くとそこには小さな袋を手にした遙の姿があった。
「待って、ジェイソンさん。これ、多分例のゾンビ化する薬湯に使う何かだと思います。私たちでこれを分析し、飲んでしまった人への治療法を見つけませんか?」
 ジェイソンは頷いた。嘆きの医師を倒すべく送り込まれた猟兵は多々いるが、ゾンビ化を治療できる医療知識を持ったものは、そう多くないはずだ。幸い、ここにはそれが出来る二人がいる。ならばそこに尽力することこそ自分の仕事だと思ったのだ。
「徹夜覚悟になりそうでありますな。大丈夫ですか、遙さん」
 遙は小袋を開けると、苦笑しながら答えた。
「レポートに追われながら実習をしてた頃を思い出しますね……」

 二人の活躍により、ゾンビ化する薬湯の治療薬という光が見え始めた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴