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【サポート優先】生ける屍は囮となるか?

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

「うーん、間違いないよねぇ……」
 天導・鈴音(世話焼き狐巫女・f36489)は首を傾げていた。どこか納得いかないような、それでいてどうしようもないような表情でウロウロしていた。
「あっ! ごめんね! みんな集まってたんだね!」
 猟兵達の姿に気づくと鈴音は身体を直角に折り曲げてお辞儀をする。再び上げられた顔は、いつもの元気いっぱいな鈴音だった。

「今回の予知はダークセイヴァーにある集落に関するものだよ」
 夜と闇に覆われしダークセイヴァー。他の世界よりもオブリビオンによる支配が盤石であり、人々は長年虐げられていると言う。恐らくこの集落も、そんな虐げられた人類達が逃げ出して肩を寄せ合って生きているのだろう。
「この集落では今疫病が流行っている。感染して発症すると皮膚が黒い痣となり死に至るという恐ろしい病なの」
 鈴音によると感染者の九割は苦しみぬいた上に死んでしまうと言う。せっかくヴァンパイアの支配から逃げ出したのに、その先で病に苦しめられるとはとんだ災難だ。
「そこにやってきた一人の村医者。彼が治療をすると立ちどころに皮膚の色は元通りになり全快するの」
 かくして集落は救われてめでたしめでたし――であれば猟兵が呼ばれるはずも無い。鈴音は片手で頭を抑えると、小さな声で続けた。
「……ところが村医者が集落を離れてから一週間。彼から貰った薬湯を飲み続けた村人は次第に身体が腐り落ち……生ける屍となってしまった。そう、集落全てね」
 村医者の正体はオブリビオンだったのだ。もしかしたら最初に広まった疫病とやらも彼の仕業だったのかもしれない。
「今回は幸い予知が間に合った……今オブリビオンである『嘆きの医師』が集落で治療をしているところなの。彼が村を離れる前に討伐し、薬湯が村人の手に渡らないようにしてほしい」
 鈴音はゆっくりと神楽を舞い始めた。

「……ただね、これはちょっと話半分に聞いてほしいのだけど……」
 鈴の音を鳴らしながら鈴音が口を開く。
「嫌な予感がするの。村人を生ける屍にするのが本当に彼らの狙いなのかどうか」
 神楽が終わり、猟兵の身体が転送されていく。
「どうか、気を付けて……」
 鈴音は天を仰いで猟兵の無事を祈った。


キラキラオモチ
 二本目のサポート優先シナリオ、キラキラオモチです。
 本シナリオは三章仕立てとなっておりますが、現時点では一章の敵しか判明しておりません。果たして敵の真の目的が何なのか、是非探ってみてください。

『第一章・嘆きの医師』
 オブリビオンである嘆きの医師が最後の村人を治療して宿屋に帰りました。
 宿屋の主人には話をつけてあるので嘆きの医師を襲撃して下さい。
 襲撃の際に宿屋が多少壊れても構いません、全てが終わった後にグリモア猟兵がお小遣いで弁償します。

『第二章』
 詳細不明です。
 もし事前に情報を得ることが出来れば有利に戦えるかもしれません。

『第三章』
 詳細不明です。
 もし事前に情報を得ることが出来れば有利に戦えるかもしれません。

 本シナリオはダークセイヴァーが舞台となるのでダイス判定は少し厳しめです。
 またサポート優先シナリオですので進行がゆっくりになります、それでも良いという方は是非ご参加くださいませ。

 一章のプレイング受け付けはOP公開時点から、二章と三章は断章公開時点からとします。猟兵の皆様が無事に帰還できますことを。
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第1章 ボス戦 『嘆きの医師』

POW   :    大丈夫、怖くないよ
【注射】【手術道具】【拘束ロープ】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
SPD   :    君の未練を聴かせておくれ
【この世に未練を残した死者】の霊を召喚する。これは【精神汚染】や【毒】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    ――今、楽にしてあげよう
自身と武装を【ウイルス】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[ウイルス]に触れた敵からは【生命力】を奪う。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はクラウン・メリーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ペルセポネ・エレウシス
【ブラック】
「人が生ける屍になる薬ですか。
入手すれば我が社の細菌兵器の開発に役立ちそうですね。
フォスさん、特殊渉外課出動です」

村医者が細菌兵器を配っているところに病人のふりをして潜入し、薬湯――細菌兵器を入手しましょう。

「え、私だけ別の部屋で治療ですか……?」

言われた通りについていくと……拘束ロープでベッドに縛られて!?
そのまま怪しい薬を注射され、メスで衣服を斬り裂かれ半裸にされ……

「な、なんで私が巨大企業のカンパニーマンだとわかったのですか!?
……え、服が豪華すぎ?」

フォスさんに助けてもらったら【一斉蜂起】で村人たちを蜂起させて、村医者をやっつけてあげます!
乙女の肌を見た者は許しませんっ!


フォス・オネイロス
【ブラック】

自作自演って可能性まであるなら、
その技術は手に入れておきたいところだね。

って、その衣装!?
ペルセポネさんの思う村娘って、どうなってるのかな?

とはいえ、ここまで来たら着替えも出来ず、
そのまま薬湯をもらったら、ペルセポネさんだけ別に連れて行かれてしまいます。

これはさすがにバレたよね。
でも別行動していたのを考えれば、逆にチャンスかも。

そう思い、宿屋の屋根裏から潜入してみると、
ペルセポネさんが半裸で拘束されていて……。

くっ、こんな卑怯なことを。
もうちょっと遅く来ればよか……。

といいかけ、頭をぶんぶん。

村医者が部屋をでた隙を見て、ペルセポネさんを助け出すよ。
写真だけはしっかり撮るけどね!



 ダークセイヴァーの一部では人類側が砦を築き反攻の兆しを見せるなどの吉報が届き始めている。しかし、未だオブリビオンに苦しめられ虐げられている人々がいることを忘れてはならない。
 ペルセポネ・エレウシス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属・f36683)とフォス・オネイロス(『ブラック・カンパニー』特殊渉外課所属、腕力担当・f36684)が降り立ったのも、そんな悲しき人々が集う集落の一つであった。

「人が生ける屍になる薬ですか。入手すれば我が社の細菌兵器の開発に役立ちそうですね。フォスさん、特殊渉外課出動です」
「自作自演って可能性まであるなら、その技術は手に入れておきたいところだね」
 彼女達はサイバーザナドゥのメガコーポの一つ『ブラック・カンパニー』からやってきた特殊渉外課だ。今回は病人のふりをして村医者に接近、薬湯を入手しようと考えてやってきたのだ。
 幸い村医者は外からやってきたらしい、恐らく村人全ての顔を把握はしていないだろう。故に村娘に変装すれば欺くのは容易に違いない、二人はそう考えていた。
「それじゃペルセポネさん、早速……って、えっ!?」
「どうかしましたか、フォスさん」
 フォスは己の目を疑った。そこには広がるフレアスカートにコルセット、白いレースが煌びやかについた青地に金刺繍のドレスを身に纏ったペルセポネがいたからだ。
「ペルセポネさん、村娘って……」
 思わず出かけた言葉を飲み込むと、フォスは下を向いた。もう宿屋は目の前だ、今更着替えに戻る訳にもいかない。
「大丈夫ですか? あっ、体調が悪いふりをしてるのですね、さすがフォスさんです」
 ペルセポネが宿の扉を開けると、そこには話に聞いていた背格好の村医者がいた。

「あ、あの……村医者の方ですか? 私たち何だか調子が悪くって……」
「おや、それは大変ですね。身体に痣ができたりしていますか?」
 村医者は実に親切だった。あらかじめこれがオブリビオンだとわかっていなければ、騙されてしまうのも無理はないだろう。
 彼は一通り二人の様子を確認すると、懐から小袋を取り出してフォスに手渡した。
「そちらの銀髪が美しいお嬢さん、これを寝る前に煎じて飲んでください。七日もすればたちどころに良くなるはずです」
「ありがとう、村医者さん」
「そして麗しい青髪のお嬢さん、あなたは薬湯の前に少し治療が必要です。私の部屋に器具が揃っているのでついてきてください」
「え、私だけ別の部屋で治療ですか……?」
 不安にかられたペルセポネであるが、ここで治療を拒否して疑われたら元も子もない。観念したかのように村医者の後についていったのであった。

「それではそこのベッドの上に寝てください。大丈夫、私は医者ですから」
 恐る恐るベッドの上に寝ると、村医者はあっと言う間に拘束ロープでペルセポネの手足を縛り付けた。
「あの……これって本当に治療に必要なのですか……?」
「えぇ、みなさんやってますから大丈夫ですよ」
 身動き一つ取れなくなったのを確認すると、村医者はペルセポネに緑色の怪しい液体を注射した。途端に全身の力が抜け、筋肉が弛緩していく。
 村医者は続けざまにメスを取り出すと、豪華なドレスを乱暴に切り裂いていった。ペルセポネの白い肢体が露わになっていく。
「……やはり、黒い痣はないか。最初から村娘ではないと疑っていたが……お前、猟兵だろう?」
 これまでずっと笑みを絶やしていなかった村医者の顔が豹変する。眉間に皺を寄せ、口を一文字にしたその顔からは優しさが消え去っていた。
「な、なんで私が村娘ではないとわかったのですか!?」
「……この世界にそんな豪華な服を着た村娘などいない。覚えておけ」
「……豪華……?」
 ペルセポネは村医者の言葉の意味が良くわからなかった。なんならちょっと地味すぎたかなと思う位の衣服を選んだつもりだったからだ。
「しかし猟兵が自ら飛び込んでくるとは……くくく、これは面白い実験が出来そうだ」
 村医者が注射器を片手に机の上を漁りだした。
「うん? 診療所に置いてきたか……」
 そう言い残すと、彼は部屋の扉を開けてどこかに消えた。この隙に何とか逃げ出そうとするペルセポネであったが、先ほどの注射の影響で力が入らない。このままではオブリビオンに人体実験されてしまう。
「フォスさん……」
 ペルセポネの呟きが、力無く診療所に響いた。

「これはさすがにバレたよね」
 ペルセポネが村医者と共に部屋に入ったのを見て、フォスはすぐさま状況を理解した。
「でも、逆にチャンスかも」
 二人揃って連れて行かれた場合、怪しい行動は出来るだけ控えなければならなくなる。しかし、別行動が取れるのならばその様な心配は不要となるからだ。
 そう考えたフォスは隣りの部屋に忍び込むと、静かに天井を切り開いた。そのまま屋根裏に忍び込み、村医者の部屋の真上まで匍匐前進をする。
「少し時間かかっちゃったかな……」
 天井の隙間から部屋の中を覗くと、そこには豪華な衣服を切り刻まれた半裸のペルセポネの姿があった。
「くっ、こんな卑怯なことを」
 フォスが拳を握って震わせた。その声からは怒りと言うより悔しさのようなものが滲み出ている。
「もうちょっと遅く来ればよか……」
 出かかった言葉を手で遮ると、フォスは頭を二度振った。もしかしたらまだチャンスがあるかもしれない。
『しかし猟兵が自ら飛び込んでくるとは……くくく、これは面白い実験が出来そうだ』
 村医者がペルセポネを見ながら不穏な発言をする。状況的に考えて、これは何らかの細菌を使った実験を行おうとしているのだろう。
『うん? 診療所に置いてきたか……』
 そう言い残し村医者が部屋を出て行った。これ以上ここに留まっていても何も得られないだろう。フォスはすぐさま天井に穴を開けてペルセポネの隣りへと降り立った。
「ペルセポネさん、今助けますよ」
「フォスさん、待ってました……何か変な音しませんか?」
「気のせいです」
 フォスの右目から何か小さな機械音がする。首を傾げるペルセポネを上手く言いくるめながら、フォスは無事に彼女を助け出した。
「これからどうしようか?」
「私に良い考えがあります。フォスさん、村人をこの部屋に集めてください」
 フォスに用意してもらった服に着替えると、ペルセポネは不敵に笑った。

「とりあえず三種類あれば良いだろう」
 村医者が宿屋に戻ってきた。その手には青、赤、黄の薬剤が満たされた注射器が握られている。
「くくく、猟兵は丈夫だからな……色々な実験が出来るに違いない」
 これから起こることを想像しながら村医者は自分の部屋の扉を開けた。
「みなさん、今です! あいつこそが敵なのです!」
 部屋の中で隠れていた村人たちが武器を片手に村医者に襲い掛かる。村医者は完全に不意を突かれて袋叩きにあってしまった。
「くっ!」
 隙をついて包囲から抜け出すと、村医者は宿屋から走り出た。
「村人にもバレてしまったか……くそっ!」
 これでは薬湯で生ける屍を創る計画も台無しだろう、村医者は忌々しそうに宿屋を見ると歯ぎしりをした。
「ならば……力づくでやってみせるのみ……!」

「ふっふっふ、乙女の肌を見た者は許しませんっ!」
 一方、ペルセポネは策が完全に上手くいったことで上機嫌であった。
「さすがです、ペルセポネさん」
 一方、フォスはペルセポネの恥ずかしい写真をしっかり撮れたことで上機嫌であった。

 こうして猟兵と嘆きの医師の戦いは幕を開けたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。

基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。

シリアス以外ならいたずら好きの面も。


ジェイソン・スカイフォール(サポート)
おもに「正当防衛」「衛生小隊」を使ってメイン参加者の援護を行います。

▼行動例

「下がってください!」
メイン参加者が不利な状況に登場し、かばう。ボス敵の相手を引き受け、味方が態勢を立て直すための機会をつくる。

「救護します!」
衛生小隊にボス敵の牽制を命じ、その隙に、負傷したメイン参加者を安全圏に撤退させ、応急手当を行う。必要に応じて「生まれながらの光」で治療する。



 オブリビオンである嘆きの医師が宿屋で戦いを繰り広げてる間、こっそりと診療所へ向かった二人の猟兵がいた。二人は診療所の扉を開けると、そこに置いてある薬品を手に取る。軍人風の格好をした金髪の衛生兵、ジェイソン・スカイフォール(界境なきメディック・f05228)が青い液体の入った試験管を眺めながら話し始めた。
「遙さん。グリモア猟兵から聞いた話から考えるに、この集落で流行っている疫病は『黒死病』……すなわちペストであると自分は思うのですが、どうでありますか?」
 白衣を纏った小児科医の春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は診療所の顕微鏡を覗きながらジェイソンに返事をした。
「えぇ、恐らく間違いないです。ですが、この集落には家畜らしい家畜がいません。さきほど地下の倉庫も確認しましたがネズミ一匹すらいませんでした」
「なるほど。ということは集落の人は自然感染したのではなく、オブリビオンによるものだとお考えでありますか?」
 遙は顕微鏡から顔をあげると、ジェイソンに向かって頷いた。ジェイソンは腕を組むと天井を仰ぎながら言葉を紡ぐ。
「そしてペストによる犠牲者が出た頃にふらっとこの集落に現れ抗生物質で治療、人々の信用を得た上で改めてゾンビ化する何らかの毒を盛った……こういう流れでありますね」
 一見、筋の通った話だ。しかし遙はそこに何らかの違和感を覚えた。
「……本当にそうでしょうか?」
「と、言いますと?」
「集落の誰一人に気づかれずペスト菌をばらまける能力があるのなら、なぜ最初からゾンビ化させなかったのですか? わざわざ人々の信頼を得て潜り込む必要性を感じません」
 ジェイソンはハッとした。確かに遙の言う通りだ。
「オブリビオンには何か別の目的がある……?」
 その時だった。診療所の扉が乱暴に開け放たれ嘆きの医師が現れた。

「ここにも猟兵の手が入っていたか……!」
 予想外だったのだろう。嘆きの医師は明らかに動揺を見せた。ジェイソンはその隙を見逃さず、アサルトウェポンの銃弾を医師の足元目掛けて撃ち込んだ。
「くっ、やってくれる!」
 嘆きの医師は手にしていた注射器を取り落した。床に落ちた注射器は割れ、青、赤、黄の薬剤が混ざりあい紫色の煙が立ち昇る。
「ジェイソンさん、下がって!」
 ジェイソンが飛び退き、遙が煙の後ろ目掛けて拳銃のトリガーを引く。しかし、手応えがない。
「消えたでありますか……!?」
 嘆きの医師の姿が消えた。辺りを見回しても、注意深く耳をそばだてても、彼の気配はどこにも無い。
「それなら!」
 遙は木の杖を手にすると先端に手を触れながら、身を翻して詠唱を開始する。
「風に舞う薄紅の嬰児よ……惑う命の導きと成れ!」
 杖から螺旋状に薄紅色の花びらが舞い散る。それは遙の周りをしばらく名残惜しそうに舞っていたかと思うと、診療所全体へと広がった。そして嘆きの医師の身体に付着することで、その居場所を明らかにした――そう、遙の目の前だ。
「くっくっく、遅い。今、楽にしてあげよう……」
 嘆きの医師が持つ身の丈ほどの大きさのメスが遙の首目掛けて振り下ろされる。
「そうはさせないであります!」
 あっと言う間だった。ジェイソンは遙と嘆きの医師の間に割り込むと、メスを持つ腕の根元を左腕で開くように制す。そのまま体勢を崩した医師の左頬へ右ストレートを放った。
 嘆きの医師は大きく吹き飛ぶとそのまま床に叩きつけられた。医師は二人を睨みつけると起き上がり診療所から脱兎の如く逃げ出す。

「待つであります!」
 後を追おうとしたジェイソンの肩に遙が手を置く。振り向くとそこには小さな袋を手にした遙の姿があった。
「待って、ジェイソンさん。これ、多分例のゾンビ化する薬湯に使う何かだと思います。私たちでこれを分析し、飲んでしまった人への治療法を見つけませんか?」
 ジェイソンは頷いた。嘆きの医師を倒すべく送り込まれた猟兵は多々いるが、ゾンビ化を治療できる医療知識を持ったものは、そう多くないはずだ。幸い、ここにはそれが出来る二人がいる。ならばそこに尽力することこそ自分の仕事だと思ったのだ。
「徹夜覚悟になりそうでありますな。大丈夫ですか、遙さん」
 遙は小袋を開けると、苦笑しながら答えた。
「レポートに追われながら実習をしてた頃を思い出しますね……」

 二人の活躍により、ゾンビ化する薬湯の治療薬という光が見え始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アリステル・ブルー(サポート)
この状況、さてどうしたもんかな
僕は、周囲をよく見て状況を判断して行動するよ
もし保護が必要な人や死守しなくてはいけないものがあるならそれを優先的に守るよ
他の人がやってくれるなら僕は戦闘かな!

基本的に黒剣を細身の剣にして戦うけど状況に合わせるよ
戦闘でも味方の支援でも僕にまかせて!
UCは攻撃/回復問わずその場で一番有効そうなものを使うね
状況の好転等有益だと判断すれば多少の怪我は厭わず積極的に行動するよ

もしも連携してくれる猟兵さんがいたり味方が指示を出してくれるなら、僕はそれが有益である限り従います

(記載に関わらず、不足している役割等MS様のご都合に合わせてご自由に利用してください)


筒石・トオル(サポート)
「邪魔をしないでくれるかな」
「油断大敵ってね」
「ここは任せて」
正面切って戦うよりも、敵の動きを封じたり、属性防御を固めて盾や囮となったり、味方が倒し切れなかった敵にトドメを刺して確実に倒すなど、味方の安全性を高めるように動く。
ユーベルコード使用はお任せ。
使用しない場合は、熱線銃での援護射撃を主に行う。
人見知りではあるが人嫌いではないし、味方が傷付くのは凄く嫌。
戦うのも本当は好きではないが、誰かを守る為には戦う。
もふもふに弱い。敵がもふもふだと気が緩みがちになるが、仕事はきちんと行う……ホントだよ?


ハロ・シエラ(サポート)
私はハロ・シエラ。
戦う事以外は不得手です。
また、オブリビオンによる問題に対しては説得などより戦いで蹴りをつけるのを好みます。

口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)。
基本的には誰に対しても敬語です。
戦術としては【第六感】と【見切り】を駆使して勝機を見出し【カウンター】や【鎧無視攻撃】で敵を仕留めるスタイルです。
真面目に戦いますが、強敵が相手なら【毒使い】や【投擲】、【物を隠す】による【だまし討ち】も視野に入れましょう。

ユーベルコードは戦況に応じて何でも使用しますが、味方や一般人は巻き込まない様に努力します。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「ボクたち、ゾンビになっちゃうの? 嫌だ、怖いよ……」
 集落の人たちを治療していたのがオブリビオンであったことは既に周知されている。無論、それは子供であっても例外ではない。彼の薬を飲んでしまった少年が脅えて泣いていた。
 そこに人の好さそうな赤髪の人狼が通りがかる。彼はしゃがむと、泣いている子供に目線を合わせながら優しく語りかけた。
「大丈夫だよ。僕の仲間が治療薬を作ってくれている。ここは危ないから僕と一緒に避難しよう」
 そのまま鞄を何やら探っていたかと思うと、彼は飴を二つ取り出した。魚の形と、猫の形をした二粒だ。その可愛らしい形に少年の視線は釘付けとなる。
「良かったら、君もおひとついかが?」
 アリステル・ブルー(果てなき青を望む・f27826)、それが彼の名だ。アリステルは今回、集落の人たちの避難を行うことにした。オブリビオンだとバレた嘆きの医師が人々に何をするか、わからないからだ。
「二人は上手くやっているかな?」
 アリステルは宿屋がある方をじっと見つめた。

「来ませんね、本当にここであっているのでしょうか」
 手を後ろで組み、宿屋の前で佇んでいるのはハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)だ。漆黒の髪が風に揺られ、身体をより大きく見せている。
「診療所は仲間が封鎖したって聞いたよ。そうなると医療器具が残る宿屋に戻ってくると思う」
 眼鏡のずれを直しながら筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)が冷静に分析する。微妙にハロと距離があるのは緊張のためだろうか。
「アリステルさんが敵とかちあっていなければ良いのですが」
 ハロが辺りを見回すと何やら診療所の方から走ってくる人影が見えた。それは水色の髪で、緑色のコートに茶色のマントを羽織った――グリモア猟兵から聞いていた嘆きの医師そっくりの格好をしていた。
 無言でレイピアを抜くハロを見て、トオルも嘆きの医師に気づく。いつでも抜けるようにルーンソードと熱線銃の位置を確認し、嘆きの医師の動向を注意深く観察する。
 嘆きの医師もまた、二人に気づいた。先回りされていたことに驚いたのだろう、彼は目を見開くと苛立ったように地面を蹴った。そのまま顔を伏せたかと思うと、次の瞬間、意外なほどにこやかな顔を二人に見せた。
「取引を、しませんか?」
 思ってもみなかった言葉に、トオルは思わずハロの顔を見た。ハロは何も言わず、次の言葉を待つかのように同じ格好で立っている。その態度を『可』と見たのか、嘆きの医師は笑顔を崩さずに話を続けた。
「私がここに差し向けられた本当の理由をお話しましょう。もちろん、見逃して頂ければですが……」
 嘆きの医師の言葉が終わるのを待たずにハロが動いた。地を蹴り一気に距離を詰めるとリトルフォックスの切っ先を、嘆きの医師の胸目掛けて繰り出す。医師は手にしていたカルテを盾に切っ先を受け流すと、そのまま大きく後ろに飛び跳ねた。同時にオブリビオンの着地点に向かってトオルが熱線銃のトリガーを引く。熱線が糸を引くように銃口から放たれ、医師のマントを焼き切った。
「くそっ! こうなれば集落の人々を今すぐ生ける屍にして戦うのみ!」
 嘆きの医師は焼け焦げたマントを取り去ると、すぐ近くまで迫っていたハロにそれを投げつけた。視界を覆われたことで一瞬オブリビオンの位置を見失うハロ。マントを振り払った時には、すでに距離を開けられてしまっていた。
「くくく……遅い遅い!」
「遅いのは、お前だ」
 嘆きの医師の頭上から、アリステルが黒の大鎌を振りかぶりながら現れた。彼は集落の人々を避難させた後に空をジャンプしながらここまで駆けつけてきたのだ。鎌と化した黒剣の刃が、嘆きの医師の背中を大きく切り裂く。
「ぐああああああ!」
 悶絶する医師の前で黒剣を細身の剣へと変形させるアリステルの元に、ハロとトオルが追い付く。トオルは息を切らせながら、少し申し訳なさそうにアリステルへと言った。
「ありがとうございます、助かりました」
「とんでもない。あなた達が時間を稼いでくれたお陰で人々はみんな避難できたんだよ。お礼を言うのは僕の方さ」
 これで後顧の憂いは断った。三人の猟兵が改めて嘆きの医師へと対峙する。

 背中を切り裂かれた嘆きの医師は地面に突っ伏している。様子を窺うべくトオルが近づくと、医師のコートが泡立ち霧を放ち始めた。次第にその姿が薄れ、視認出来なくなっていく。ハロがリトルフォックスを構えたまま口を開いた。
「倒した……わけではなさそうです。私の第六感がそう言っています」
 既に人々は避難を終えている。よって彼らの元へオブリビオンが向かうことは無いだろう。そうなると彼の狙いは猟兵の誰かとなる。瞬時にそう把握したトオルが鞘からルーンソードを抜いた。
「それなら僕に任せて」
 トオルはルーンソードを空中へと放り投げる。ほんの一瞬だけ彼の瞳が金色に輝いたかと思うと、ルーンソードが四散し美しき極楽鳥花の花びらと化した。花びらはアリステルの背後へと舞い降りると、再び剣と化し鋭く地面に突き刺さる。
「くそっ!」
 剣先が嘆きの医師の靴を貫いていた。視覚、聴覚、嗅覚での感知が不可能な状態になった彼のユーベルコードがなぜ破られたのか。それは恐らく兄のトールが弟を守る為に力を貸したのだろう。
 真後ろに突如現れた医師に対し、アリステルは身を翻しながら黒剣で振り払った。医師もまた、それに対し医療用のノコギリで応戦する。お互いの刃が交錯し、火花を散らす。
「死者の嘆きを聞くが良い……」
 嘆きの医師が怪しく囁くとアリステルの横に霊が現れた。霊は慟哭しながらアリステルにとり憑こうとするが、彼は余裕の笑みを見せる。
「クレリックの僕に霊で対抗しようなんて無駄な足掻きさ。……あなたはこの世に何の未練があるのかな?」
 霊は自身に声が届いたことに驚くと、アリステルの顔を見て言葉を交わす。
「妻を残したまま吸血鬼に殺されたんだ……いずれ彼女も同じ目にあうのかと思うと無念で……」
 吸血鬼という言葉を聞いてアリステルの顔つきが少し険しくなった。しかし、彼は頭を一度振ると優しく霊に語りかける。
「大丈夫、妻の無事を強く願うんだ。そうすれば必ず叶う。僕が吸血鬼を倒す」
 その言葉を聞くと霊は安心したかのように消えていった。同時にアリステルの両腕に力がみなぎる。それは、あるいは霊が貸してくれた力なのだろうか。嘆きの医師のノコギリが音を立てて軋み、ついには破砕した。
「バカなっ!」
 嘆きの医師は歯ぎしりをしながらノコギリを捨てると、踵を返してハロへと向かった。トオルの熱線銃をその背後に受けつつ、一直線に走る嘆きの医師。ハロはその一挙手一投足を見つめながら動かない。医師は身の丈ほどもある医療用バサミを手に取ると、再び泡立ちその姿を消そうとした。
「同じ技が通用すると思わないでください!」
 ハロは先ほど自分に投げつけられたマントを、今度は医師目掛けて投げつける。姿が消えた医師をマントが包み、その輪郭をはっきりと映し出している。
「その技、その力全て……断ち斬ります!」
 リトルフォックスがマントごと医師を貫いた。確かな手応えを感じたが、医師の姿はそこにはない。よく見ると血らしきものが点々とマントの下から集落の奥へと続いている。

「逃げ足の早いオブリビオンですね」
 ハロはリトルフォックスの血飛沫を振り払うと鞘に納めた。トオルが先ほどよりは少しだけ距離を詰めてハロの隣へと立つ。アリステルはにこやかに笑いながら二人へと歩み寄った。
「後を追うのは他の仲間に任せて、僕たちは避難所の警備をしよう。それと、これは二人へのご褒美だよ」
 鞄の中から金平糖が出てきた。トオルはアリステルの尻尾を見ながら遠慮がちに金平糖を受け取り、ハロは先ほどまでの大人びた様子から一変して嬉しそうに金平糖を手に取る。

 奇しくもこの三人は各々が大事に思うものを失った過去があった。もしかしたら金平糖の甘さは、その悲しみを少しでも癒やすことが出来たのかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

土御門・泰花(サポート)
※アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱変更・その他歓迎

「あらあら……。大変な事態です。微力ながらお手伝い致します」

一人称:私
口調:基本的に敬語。柔和な印象を与える口ぶり。
表情:基本的に柔和な笑みを湛え、義憤もその下に隠す。
性格:普段はおっとりだが「陰陽師の家系の当主」という自覚があり、凛々しくみせる時も。

先ずは私や仲間へ【オーラ防御/結界術】展開、守りを。

【早業/軽業/地形の利用】で移動。

敵の攻撃は防御結界で弾き、物理攻撃は薙刀で【武器受け】し薙刀or式神の黒揚羽で【咄嗟の一撃/カウンター/2回攻撃】。

UCは戦況と効果次第で適切なものを使用。
可能な限り【早業】で敵のUC発動前に発動。

後はお任せ。


徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!


四王天・焔(サポート)
『こんにちは、焔だよー。』
 妖狐の人形遣い×ガジェッティアの女の子です。
 普段の口調は「無邪気(自分の名前、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」、家族には「甘えん坊(自分の名前、相手の名前+ちゃん、だね、だよ、だよね、なのかな? )」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

無邪気で感情の起伏が激しい性格の少女、
武器はからくり人形とドラゴンランスを主に使います。
植物、特に花が好きです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 集落の奥深くには見晴らしの良い高台がある。ヴァンパイアが攻めてきた時にいち早く察知できるようにと築かれた人工物だ。その高台に今、三人の猟兵が陣取っている。正確には三人と『二頭』だ。
「……と言う訳で、オブリビオンはいずれこの高台の方へ逃げてくると思います」
 土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)によると、嘆きの医師は既に診療所と宿屋という集落における拠点を両方失ったという。積極的に攻勢に出ずに逃げ回る彼は、必ず高台に上がってから包囲の手薄な所を探しに来る。それが泰花の考えだった。
 徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)は話を聞き終えると頷き、手をポンと叩いた。
「そして僕が火産霊丸で逆落としをする。なるほど、地の利を活かした良い作戦だし、何よりわかりやすい」
 火産霊丸とは家光が撫でている馬のことだ。焔の底から現れし火産霊丸は燃える白馬として名を馳せている。
「私も朱雀で空から援護します。陸と空からならオブリビオンを見失うこともないでしょう」
「うんうん……って、あれ? 焔は何するのかな?」
 これには四王天・焔(妖の薔薇・f04438)も突っ込まざるを得ない。このままでは二人と二頭で作戦が完了してしまう。泰花は笑いながら焔に近づくとこっそりと耳打ちをした。
「一番重要なのは焔さんなんです。良いですか……」
「……ふんふん……おぉー!」
 泰花の言葉をしばらく聞いていた焔は感嘆の声をあげて耳を動かした。

「こっちだ……こっちに逃げれば猟兵も追ってこないだろう……!」
 嘆きの医師は集落の奥を目指して走っていた。計画が頓挫した上に診療所と宿屋が封鎖された今、集落の人々を生ける屍にするのはもう絶望的だ。かくなる上はなんとかここから逃げ出さなくてはならない。そうしなくてはならない理由が彼にはあった。
「ここを登れば集落が一望できるはず……!」
 坂を駆けあがれば、あとはもう思い通り。包囲の手薄なところを探して一気に突破する。嘆きの医師はそう考えていた。しかし、坂道も半ばまで来た時、ダークセイヴァーとは思えぬ明るさに医師は怯んだ。
「忌々しい光だ……いったい何が……」
 嘆きの医師は思わず高台を見上げる。そこには神々しく光り輝く日輪のような白馬に乗った家光の姿があった。既に先回りされていた絶望と、眩しい忌々しさが嘆きの医師を襲う。家光はそんなオブリビオンに向かって笑顔で言った。
「やあ、ここまでお疲れ様です。そして、さようなら」
 火産霊丸が嘶く。家光が大天狗正宗を抜くと火産霊丸が坂を駆けた。駆ける、駆ける。あっと言う間に嘆きの医師に肉薄すると政宗で撫で切った。コートが裂け、血飛沫が上がる。嘆きの医師は逃げた。逃げる、逃げる。獅子に追われる子兎のように左右に跳びながら逃げる。
「おっと、これは火産霊丸では追いにくいですね」
 馬は急激な方向転換には対応できない。徐々に距離が開くが家光に焦りは無い。まるでこうなることも織り込み済みのように。

「はぁはぁ……逃げ切ったか?」
 嘆きの医師は肩で息をしながら身を潜めていた。場所としては集落の東側、立ち並ぶあばら家の影だ。このまま外まで駆けたいところだが、そうはいかない。集落はヴァンパイアの襲撃に備えて深い堀と柵が備え付けてあるので、内と外との行き来は容易ではない。故に高台から防備の手薄なところを狙いたかった。
「どうしたものか……」
 考えあぐねている嘆きの医師の周囲が徐々に明るくなってゆく。もしや先ほどの猟兵かと物陰から様子を窺うが、彼の気配はない。じんわりと汗ばむほどの熱気が近づいてくる。汗を拭って何の気なしに上を見た時、嘆きの医師はすべてを理解した。そこには燃え盛る朱雀に乗った泰花の姿があったのだ。
「あらあら……上からは丸見えですよ」
「おやおや、ここに隠れていたんですね」
 泰花の朱雀を目印に家光も合流した。上空から朱雀、陸上では火産霊丸。事ここに至って嘆きの医師は逃げるのは不可能だと判断した。生き物というのは窮地に至った時に三つの手段を取るという。逃げる、隠れる、そしてそれらが叶わぬ場合に戦う。それはオブリビオンとて例外ではない。
「良いだろう。予定とは違うが……ここで貴様らを葬ってくれる!」
 嘆きの医師がカルテを手に取り、足元に投げ捨てた。それに呼応してこの地で未練を残した死者の霊が呼び起こされる。その数、実に十を超えるだろうか。各々が泰花と家光にとり憑き、その身体を毒で蝕んでいく……はずだった。
「くそっ、なぜだ! なぜ効かない!」
 しかし泰花と家光はそれをものともせずに武器を振るう。泰花の薙刀が、家光の正宗が、嘆きの医師を襲う。医師は身の丈ほどもある医療バサミでそれを受けながら注意深く観察をした。二人がこれだけの霊に憑かれながら戦える理由を探る。
「うん……?」
 そしてついに気づいた。二人の身体に何やら符が貼られていることに。それは二人が毒で蝕まれる度に淡く光り、瞬時に癒やしている。間違いない、これこそが鍵だ。嘆きの医師は二人の攻撃をいなしながら、符から漂う癒しの力の源を辿った。それはここからさほど遠くない、祠の裏から漂っている。
 医師は懐から薬品の入った瓶を取り出すと地面に叩きつけた。たちどころに煙幕が辺りを包み、視界が悪くなる。
「くっ、泰花さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫です!」
 泰花が咄嗟に式神を放つ。白揚羽が衝撃波で煙幕をかき消すが、そこには既に医師の姿は無かった。医師はウイルスで全身を覆い、その姿を視認できなくしていたのだ。

「見つけた! 見つけたぞ!」
 嘆きの医師は歓喜していた。先ほどから苦戦を強いられていた元凶をついに見つけたからだ。癒しの術というのは効果が強力であればあるほど反動が大きい。ましてや二人と二頭を同時に癒やしていたのなら猶更だ。祠の影から青色のウェーブした髪が見える。嘆きの医師は医療バサミを大きく開き、その首筋目掛けて突進した。
「これで俺の勝ちだ!!」
 力を込めてハサミの柄を閉じる。それは首筋まであと少しのところまで迫り、そこで止まった。想像もしていなかった強い力に抵抗され医師は困惑する。焔はゆっくり目を開けると、悪戦苦闘している嘆きの医師に言った。
「ふふ、そこにいるでしょー」
「なっ……!」
 ウイルスで覆われた身体は視覚、聴覚、嗅覚で追うことは不可能なはずだ。しかし、焔には妖狐ならではの勘というものが備わっている。嘆きの医師は渾身の力でハサミを閉じようとする。このままでは二人の猟兵に追い付かれてしまう。
「無駄だと思うよー。泰花さんと家光さんが焔にオーラと結界を貼ってくれたからねー。ところでちょっと周り見てみたらどうかなー?」
 言われるがままに周りを見渡す嘆きの医師。そこには焔を中心に積まれた乾燥した木材に火薬、そしてそれをじっと見ているゴシックな衣服を身に纏った道化人形。道化人形は嘆きの医師を見ると口を開き、木材に火炎のブレスを浴びせた。
 燃え上がる木材、爆発する火薬。オーラと結界に守られた焔は無事だが、嘆きの医師はそうはいかない。身に纏ったウイルスは高温で死滅し、ついにはその姿を曝け出すことになった。焔は立ち上がると『フローレ』を呼び寄せる。小さな青いドラゴンはその姿をランスに変え、彼女の手に収まった。
「焔さん、ご無事でしょうか?」
「見たところ大丈夫そうだね。これ以上ないくらい完璧な囮役、ありがとう」
 囮役。そうだ、嘆きの医師は完全に策にはまっていたのだ。泰花と家光は撒き餌、焔は囮、そしてまんまと誘い出された嘆きの医師は獲物だ。姿を晒した獲物は狩られるしかない。
「家光さん、焔さん、参りましょう!」
「ご覚悟召されよ!」
「そーれ、いっくよー!」

 巴形薙刀【菫】が、大天狗正宗が、ドラゴンランス【フローレ】が、綺麗に交差し、嘆きの医師の身体を切り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

風薙・澪(サポート)
戦闘は剣、ポンプアクション散弾銃、魔法を主に使って戦う。
近距離は剣、中距離は銃、遠距離は魔法が主な攻撃手段だが、
状況に応じて距離に拘らず扱う時もある。
敵が少ないときは、逆に剣、銃で隙を作り魔法で止めを刺す。

剣も銃も基本は両手で扱う為、右手に剣、左手銃のような二刀流的なことはほぼしない。
剣は両手持ちではあるものの軽快に扱い、フットワークを軽くして戦う。

銃はほぼ9粒装弾の散弾を使っているが、対象を打ち抜けないときなどはスラッグ(一粒弾)も使う。
いずれにせよ射程はあまり長くない。
弾倉はチューブマガジンで後入先出。(最後に込めた弾薬が最初に撃ち出される)
弾薬入手はUDCではなく別世界から入手している


アウル・トールフォレスト(サポート)
(基本好きにお任せします)
「今日はどんなところに行けるのかな?」

楽観的で感情豊か、夢見る乙女な性格の少女
年相応に無邪気であり、根本が人でない故に残酷

神出鬼没に出現し、気まぐれに歩き回り、楽しげに爪を振るう
猟兵の役割は理解し依頼も一応遵守しようとするが、それはそれとして楽しそう、面白そうで物事を判断し、それを優先して行動する

バイオモンスターの特徴として、肉体は植物の性質を持つ

戦闘では怪力の発揮や身体の巨大化、鋭い爪での引き裂き、捕食等の野性味溢れる攻撃スタイル
理力の扱いも得意で、体表で自生する蔓や苔植物を操り、防御や隠密に罠等サポートも行わせる


カツミ・イセ(サポート)
「僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
「僕に出来ることだからね」

神様に作られたミレナリィドール、勝ち気で大人びた僕娘。イメージは水。
口癖が「僕の神様は言ったよ」
『偽装皮膚』の影響で、球体関節が普通の関節に見えるよ。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。加護で治るから、大怪我しようと厭わず積極的に行動するよ。
遠距離は『水流燕刃刀』を伸ばすよ。
近接戦では『偽装皮膚』を水のような刃にして、咄嗟の一撃を放つことがあるよ。このときは球体関節が見えるんだ。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないんだ。
あとはおまかせするから、よろしくね!



「うーん、めんどくさいわ……」
 何とも気だるげに話すのは漆黒の髪が美しい風薙・澪(ウィザードウォーリア・f17869)、オールレンジで戦えるマジックナイトだ。実家の古武術道場で、祖父に師事していたが、ある時突然めんどくさなって全寮制の学校に逃げたエピソードを持つ。
「そう? なんだか楽しそうなことが起きそうな気がするよ。わくわく」
 そんな澪と対照的に、この状況を楽しもうとしているのはバイオモンスターのアウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)だ。良い意味でも悪い意味でも無邪気な彼女の肉体は植物の性質を併せ持っている。
「僕の神様は言ったよ。やりたいことをやりなさい、って。だから、僕は僕のやりたいようにやる。澪さんも自分のやりたいようにやればいいんだよ」
 小柄な身体から考えられないほどの自信に溢れた表情でそう言ったのはカツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)、ミレナリィドールの魔王だ。彼女は神となった人が故郷を救うべく遣わした子機のような存在。故にその言動はどこか達観し、どこか説得力がある。
「はいはい、そうですね。……大丈夫よ、使命はちゃんと果たすから」
 氷魔狼の牙が埋め込まれた長剣の鞘を見ながら、澪は答えた。

 戦いは突如として起こった。「なんか面白そうだから」という理由で木に擬態していたアウルの前を嘆きの医師が通りがかったのだ。有無を言わせず爪を振るうアウル、不意を突かれた嘆きの医師、同じく意表を突かれた澪とカツミ。四者四様の混沌とした戦いの始まりだ。
「ちょっと、合図くらいしなさいよ……!」
 澪が氷魔剣を手に詠唱を開始する。氷の礫が瞬時に現れ、嘆きの医師目掛けて飛び出した。彼は礫を躱すと、手にした注射器を投げて牽制をするが、 澪は氷魔剣でそれを叩き斬る。
「合図したら面白くないと思うんだよね!」
  澪に意識がいった嘆きの医師を至近距離から爪で襲うアウル。その巨躯から放たれるリーチは嘆きの医師と言えど躱し切れるものではない。コートが引き裂かれ、鮮血がほとばしった。アウルの左腕は鮮血を浴びると拍動し、より大きく巨大になってゆく。
「ふふ、アウルさんは本当にやりたいことをやるね」
 カツミは付かず離れずの距離を保ちながら水流燕刃刀を振るう。蛇の様に伸びる刀身が嘆きの医師の周囲を飛び交い、彼の行動を阻害する。近距離のアウル、中距離のカツミ、遠距離の澪、あらゆる距離から絶え間なく放たれる攻撃に嘆きの医師は何も出来ないでいた。

「一番厄介なのはこいつか……!」
 嘆きの医師を最も苦しめていたのはアウルだ。鋭い爪が身体を掠めて鮮血が飛ぶごとに彼女は強くなっていく。加えて隙あらば医師の身体を掴もうとしている、もしも掴まったら捕食されかねない恐怖があった。
「バイオモンスターよ、死者の声を聞け!」
 嘆きの医師がアウルに瓶を投げつける。瓶はアウルの身体に当たると割れ、中からこの世に未練を残した死者の霊が現れた。
「う……?」
 霊はアウルにとり憑くと耳元で何事かを呟く。あるいは、それはアウルが今までに『無邪気』にやらかした何かを非難するような内容だったのかもしれない。アウルは戦うのをやめ、その場に佇んでしまった。
「次は貴様だ!」
 嘆きの医師は続けて澪の元へと迫った。澪は魔法を詠唱するのを止めると、手にした氷魔剣で応戦する。医師は鉈のような巨大メスを手に取ると、斬撃を放った。
「へえ、意外にやるわねぇ」
 剣術とメス捌きはどこか通じるのがあるのだろうか。澪と嘆きの医師の腕はほぼ互角であった。しかし、この場にはもう一人剣の遣い手がいる。
「僕を忘れてはいけないよ」
 伸縮自在の蛇腹剣『水流燕刃刀』が踊る。気を取られた嘆きの医師の隙を逃さず、澪が氷魔剣を振り抜く。医師の横っ腹が裂け、血飛沫が上がった。
「くそっ、うざったい……!」
 嘆きの医師は小瓶を取り出すと一気に飲み干した。身体がウイルスで覆われ、その姿が消えてゆく。突如消えた嘆きの医師に、澪は困惑した。
「ど、どこ?」
 慌てて辺りを見渡す澪。右には身動き一つせず立ち尽くすアウルの姿、左には胸に手を当て何かを呟くカツミの姿。いない。嘆きの医師がいない。
「うわっ!」
 カツミの声だ。視線を向けるとそこには脚を大きく切り裂かれ、球体関節が見えているカツミの姿があった。嘆きの医師はそこにいる、でも見えない。
「当たって!」
 思わず澪は氷魔剣を投げつけた。もしかしたらそこに嘆きの医師がいるかもしれない。しかし、氷魔剣は虚しく地に転がり横たわった。見えない敵の恐怖が澪を襲う。

「僕の神様は言ったよ。使える手は全て使いなさい、って。澪さん、あなたに託したよ」
 神様に作られたミレナリィドールのカツミはこのくらいの怪我は平気だ。澪は自身の周囲に白燐蟲が漂っていることに気づいた。
「貰ったぁああああああ!」
 勝ちを確信してしまったが故なのか、もしくはカツミの白燐蟲が引き起こした事故なのか。嘆きの医師はうっかり言葉を発してしまった。澪は声のした方を向くと散弾銃を手にする。白燐蟲の力が流れ込み、いつも以上の魔力がみなぎってきた。散弾銃が氷で覆われ美しき彫刻のようになる。
「終末を待ちて微睡む魔狼に率いられし、凍れる白き雪の乙女よ。其の力……」
 銃口に冷気が吸い込まれていく。只ならぬ気配に嘆きの医師は思わず飛び退こうとした。しかし、凛とした、それでいて地の底から響くような、まるで恐ろしい怪物かのような声がそれを遮った。
「行って暴れなさい。エンキドゥ」
 死角から飛び出した光の槍が嘆きの医師の足を貫く。それは医師を地面に縛り付ける楔となった。アウルはこの一手を放つためにその場から動かなかったのだ。
「……其の力、鋭き散弾と成し、敵を貫け!」

 澪の詠唱が終わると同時に、銃口から氷の散弾が飛び出す。至近距離から放たれたそれは嘆きの医師の身体を大きく穿ったのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。


大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
単純戦闘の場合
強力な一撃を叩き出せそうなUCか、形勢逆転が狙えそうなUCを

味方や護衛・救助対象への援護や支援が必要な場合
味方や護衛・救助対象へのサポートとなるようなUCを

戦闘のみ
所持している武器・アイテムを効果的に使い戦局を有利にするよう行動(所持アイテム等を駆使し攪乱や敵の隙をつくる等)

救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密に

常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
地形の利用
世界知識
咄嗟の一撃
情報収集
早業

護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳

C-BA使用
運転
操縦
運搬
騎乗


ルイズ・ペレンナ(サポート)
『お代は結構ですわよ。けれど懐には注意なさいませね?』
ブラックタールのシーフ × スターライダー
特徴 金目の物が好き 錠前マニア グルメ 快楽主義者 実は恋をしていた
口調 貴婦人(わたくし、あなた、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)
敵には 高慢(わたくし、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

・金目の物をお宝と認識し獲得するのが行動理念
 直接の機会でなくても獲得出来るかも知れないと思えば動きます

・愛情や人助けのような金銭にならない価値は興味ないですが
 それを大事にする人を貶めもしません。趣味の相違

・利害が一致すれば他人との共闘やサポートはむしろ積極的です



「あなたヴァンパイアハンターらしいですわね。それってどれくらい稼げるんですの?」
「……俺は金を貰うためにやっているわけではない。故に報酬が発生する方が稀、だな」
 現地で合流するや否や、ルイズ・ペレンナ(怪盗淑女・f06141)が風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)に問いかけた。顕吉はその問いかけに対し、特に嫌な顔も良い顔もせず淡々と返す。ルイズは露骨にがっかりした顔を見せると、宇宙バイク『JET-WIDOW』の黒いシートを撫でながら言った。
「それじゃ、もしかして今日の任務も報酬は発生しないんですの?」
 壁に背を預け、腕を組んで二人のやり取りを聞いていた大神・零児(魂から別れたもう一人の令二・f01283)が目を閉じたまま口を開いた。
「今回対峙する敵は医師だ。医療技術の発達していない世界では奴の持つ薬や器具は貴重だろう」
「あら、それは良いことを聞きましたわ」
 誰が呼んだか怪盗淑女。彼女の目がキラリと輝いた。

「はぁはぁ……くっ!」
 嘆きの医師はオブリビオンでありながられっきとした医師でもある。これまで猟兵により大きなダメージを受けてきたが、すぐさま応急処置、治療を施すことで何とか致命傷を避けてきた。しかし、それにも限度がある。何より治療に使う貴重な薬の大半は診療所と宿屋に置いてきてしまった。
「何とか取り返せないものか……」
 それが危険な賭けであることはわかっていた。とは言え、このまま戦いを続けていたらいずれ薬品が尽きやられてしまう。この集落の構造に関しては猟兵より嘆きの医師の方が遥かに詳しい。診療所へと繋がる隠し通路があることも知っている。その通路が猟兵に気づかれていなければ彼の勝ちだ。
「やってみる価値は、あるか……」
 嘆きの医師は周囲を警戒しながら集落の古井戸の中に飛び込む。水の枯れた古井戸の中にある、細く狭い抜け穴を腹ばいになって進む。その通路は次第に大きくなり、立って歩けるほどになった。暗闇の中、探り探り進む彼の手が木製の何かに突き当たる。扉だ。診療所の隠し扉だ。
「頼む……開け……!」
 封鎖されていないことを祈りつつ、扉に力を込める。それは予想に反して意外にも軽く開き、診療所の明かりが彼を暖かく迎え入れた。嘆きの医師は急いで治療薬の置かれた棚に向かう。
「無い、無い、どこだっ!」
 見つからない。棚に置いてあった即効性の治療薬が見当たらない。違う棚に置いたかと思い、手あたり次第漁るが、無い。治療薬どころかあらゆる薬品が無い。
「ごめん遊ばせ。もしかしてこれをお探しですの?」
 艶やかな声がした方を振り向くと、そこにはブラックタールのシーフ、ルイズの姿があった。彼女は指の間で薬品の入った瓶を挟むと、揺らしながら嘆きの医師に見せつける。逆上した医師はルイズに飛び掛かるが、彼女の身のこなしの方が上だ。ひらりひらりと身を躱しながらルイズは診療所の外へと飛び出した。
「おのれ……!」
 続けざまに嘆きの医師も扉から外へ出る。その刹那、横から目にも止まらぬ太刀筋が飛んできた。零児だ。零児はあらかじめ扉の後ろで待機し、医師が飛び出してきた瞬間に妖刀『魂喰』を浴びせたのだ。不意を突かれた医師は身体の側面を斬られたが、分厚いコートがクッションとなり深手は避けられた。
 嘆きの医師は鉈のような医療メスを構えると零児に向かって薙ぎ払う。零児は魂喰でそれを弾くと、流れる様に上段へ構え打ち下ろす。医師は紙一重で躱し、腕を伸ばしてメスの突きを繰り出す。零児の心は高ぶっていた。医師の癖に意外に鋭い剣捌きのオブリビオンとの戦いに心躍らせた。
「零児。俺にもやらせてくれ」
 顕吉がドラクリヤを手に割って入る。嘆きの医師がメスで袈裟斬りを行うが顕吉はマントを翻しながらそれを避ける。ドラクリヤの突きを見た医師は躱そうとしたが、顕吉は途中で両手持ちに切り替えると大きく水平に振り抜いた。避け切れなかった医師のコートが真一文字に切り裂かれる。
 零児と顕吉の戦い方は対照的だった。力と速さで圧倒する零児の戦い方に対し、フェイントを織り交ぜながら技能を駆使する顕吉。代わる代わる現れては攻撃を加える二人に嘆きの医師は次第に押され、劣勢になっていった。

「形勢不利か……ならば!」
 嘆きの医師が懐から小瓶を取り出す。これは大地に注ぐことで未練を残して死んだ霊を無理やり呼び起こす劇薬だ。しかし、それをルイズが見逃すはずがない。
「追うも逃げるも戦うも盗むも自在な怪盗のvision、貴方の目に映るかしら?」
 一瞬の早業だった。宇宙バイクに跨ったルイズが高速ですれ違いざまに小瓶を奪い取った。それどころか懐にあったいくつかの瓶も持っていかれた。
 そこに生まれた隙を零児は見逃さなかった。ルイズに気を取られた嘆きの医師の左腕がを舞う。零児は速さの最終到達地点とも言うべき無双の域に達したのだ。
「ぐぅうう……!」
 嘆きの医師が唸る。何か一矢報いねば。医師の目が顕吉の姿を捉えた。拘束ロープを手にすると残った右腕で振り回し始める。顕吉はその様子を横目に嘆息していた。
「お前……囮だな?」
 嘆きの医師の腕が止まる。目を見開いたその顔を見て、顕吉は鼻で笑った。
「この世界でそういう策を弄する奴は珍しい。高位のヴァンパイアの暇つぶしか、それに類するオブリビオンの遊びか。どの道、お前は捨て駒にされたんだ」
「違う、違う違う違う!」
 薄々気づいていた。本来なら猟兵が現れた時点で援軍が駆けつける予定だったのだ。だが、いくら逃げ回って時間を稼いでも彼らが来る様子はない。そう、彼は猟兵を集めて疲弊させるための捨て駒にされたのだ。
「うわああああああああ!」
 嘆きの医師が拘束ロープを投げる。しかし、顕吉の姿は闇に解けるように消えていった。捉えるべき対象を失ったロープは力無く地上に身を投じ、それを持つ医師の手が緩む。
「時に忘れ去られた者は、静かに滅びを受け入れろ」

 顕吉のドラクリヤが嘆きの医師の身体を貫いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。
逆恨みで怒ってる?…気のせいデスヨ。UCの逆恨みじゃアルマイシ。

戦闘は、範囲系ユーベルコードなら集中砲火、単体攻撃なら可能な限りの連続使用。
必要に応じて、カウンターでタイミングをずらしたり、鎧破壊で次の人を有利にしておく。

……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)


リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能

接近戦で戦う場合は鎖鎌や鎖分銅の【ロープワーク】による攻撃がメインだが、プロレスっぽい格闘技や忍者っぽい技もいける
遠距離戦では宇宙バイク内臓の武装による射撃攻撃やキャバリアによる【結界術】
その他状況によって魔術による【属性攻撃】や【破魔】等使用。

猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる。

基本的にチャラい上辺ですが、人々の笑顔のため、依頼自体には真面目に取り組みます


ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ

知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね

防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー

そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです



「……えっと、依頼でご一緒する事になったミスティです。皆を護る為の後方支援と回復役として、精霊さん達と私にお任せくださいなのですよ」
 丁寧にお辞儀をしながら自己紹介をしたのは、まだ年端もいかない少女のミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)、オラトリオの聖者だ。白い髪を結んだツーサイドアップが実に可愛らしい。
「チャラにちわ~っす。自分リカルドっす。可愛いっすね~」
 宇宙バイクに貼り付いた狐のお面が喋りだす。彼はリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)、ちょっぴり女好きのチャラいヒーローマスクだ。しかし、そのチャラさは人々の笑顔のために戦うという本心を隠すための仮面なのかもしれない。
「疫病が発生して……医師がそれを治療しにきて……住民がゾンビになったってことは……なるほど、犯人がわかった! ……犯人は、誰?」
 唐突に状況を理解し、一厘も理解してなかったのは城田・紗希(人間の探索者・f01927)だ。当人は脳筋じゃないと自称しているが、今の発言から見るに少々怪しいところだ。
 そんなリカルドと紗希を見ながら、一番幼いはずのミスティが小さく呟いた。
「私がしっかりしなくちゃ……私が……」

「見つけた! あなたが犯人です!」
 物陰に隠れていた嘆きの医師を見つけるや否や紗希が大声を上げた。これには嘆きの医師はびっくり、ミスティもびっくり。
「不意を突かれた方が、よろしかったのでは……」
「ん? ……ああー! いや、そういうのは良くないデス。正々堂々戦おうと思ったんデス。嘘じゃナイデスヨ?」
「いいじゃん、いいじゃん。正々堂々の方がヒーローらしいっすよ」
 露骨に目が泳ぐ紗希をさりげなくフォローするリカルド。ヒーローとして心底そう思ったのか、大人の余裕なのかは彼のみぞ知るところだ。
 一方、嘆きの医師は黙ってその様子を見ていた。そして何事かを呟くと、そのまま物陰から飛び出し集落の広場へと向かう。当然三人の猟兵もそれを追うが、ミスティの足取りが重い。紗希が声をかけた。
「あれ? ミスティさん大丈夫でしょうか?」
「なんだか……大きな羊さんが頭の中で暴れて……」
「あいつ、今の間になんかしやがったっすね。紗希、ミスティを自分に乗せて貰ってもいいっすか?」
 紗希は慎重にミスティを抱え上げると、リカルドの座席に乗せた。リカルドは即座に結界を展開する。紗希が何かに気づいたかのように声を発した。
「霊の仕業ですかね、なんか私の第六感がそう言ってる気がします」
「紗希が言うと本当なのか適当なのかわからないっすね……とりあえず、結界と破魔でミスティを守りつつ、あいつを追うっす」

 二人が広場へと躍り出ると、そこには天を仰ぐ嘆きの医師の姿があった。左腕を失い、様々な薬品を失って尚まだ立ち続けている。そこにあるのはオブリビオンとしての矜持なのか、または意地なのか。
「解体だ」
 嘆きの医師が呟いた。
「解体してやる……」
 医師の周囲に様々な戦闘用医療器具が浮かび上がる。それを見た紗希が動いた。紅時雨を抜くと一気に斬りかかる。医師はそれをカルテで受け流しつつ、医療器具を飛ばす。メスが、ノコギリが、注射器が、雨あられと降り注ぐが、紗希はその全てを刀身で受け流した。
「紗希にだけ良いかっこさせないっすよ!」
 リカルドが続く。宇宙バイクから飛び出したミサイルランチャーが浮遊する医療器具を次々と撃ち落とす。嘆きの医師は舌打ちをすると狙いをリカルドに変えて地を蹴った。早い。早すぎる。医師が手にした巨大なメスがリカルド目掛けて降り下ろされる。
「と、とんでっ!」
「おわっ!?」
 リカルドの身体が宙に浮く。座席に座っていたミスティの念動力だ。医師のメスは虚しく空を斬り、体勢が崩れる。その背中を紗希の紅時雨が捉えた。
「ぐぅうううう!」
 見事な連携だった。それぞれの持ち味を活かして戦う三人に嘆きの医師は手も足も出ない。しかし、医師は薄ら笑いを浮かべると挑発するように手招きをした。
「くくく……良いだろう。見えぬ恐怖というものを味わうが良い……」
 嘆きの医師の身体が泡立ち、消えた。見えない、聞こえない。闇と静寂だけが辺りを包み込んだ。

「か、隠れても無駄です! 見エテマスヨ」
 嘘だ。見えていない。それでも牽制の効果くらいはあるだろう。紗希が紅時雨を前方に突き出しながら強がる。
「とりあえず撃てば当たるっす!」
 宇宙バイクに搭載されている武装を片っ端から撃つリカルド。しかし、当っているかどうかは定かでない。わからない。
 そんな二人の様子を見ながらミスティは考えていた。視覚も聴覚も効かない相手に対抗する策を。
「トリさん……来てくださいっ」
 巻き起こる風。降り注ぐスノードロップの花びら。そして飛び交う丸っこいニワトリ。ニワトリはミスティの周囲をぐるぐると回っていたかと思うと、紗希の真後ろ目掛けて急降下を始めた。それは恐らく精霊のみに感知できる第六感のようなものなのだろう。
「なるほど、そこにいると。ならば私の隠し武器の出番です!」
 ニワトリの羽毛から苦無が、手裏剣が、暗器の数々が飛び交う。思わぬ展開にミスティは驚き、紗希は頭を掻く。
「いやはや、いつもどこから何が出てくるかわからないんですが、まさかニワトリから出てくるとは……ところで、ニワトリって飛べるんでしょうか?」
 突き刺さった暗器が嘆きの医師の居場所を明らかにした。リカルドがそれを見逃すはずがない。宇宙バイク『アルタイル』にエネルギーが収束してゆく。
「すごいとこ見せてやるっすよ!」
 集まったエネルギーが一本の極太レーザーとなり嘆きの医師を穿つ。そのまま高速で紗希を回収するとミスティの後ろに乗せ、リカルドは一気にアクセルをふかせた。
「よっし、このままレッツパーリィっす!」
「ちょいちょい、ちゃんとジュースあるんでしょうね」
「わ、私が参加しても大丈夫……?」

 不安そうな声とは裏腹に、ミスティの背中はどこか楽し気だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ティエル・ティエリエル(サポート)
◆キャラ特徴
ボクっ娘で天真爛漫、お転婆なフェアリーのお姫様です。
王家に伝わる細身のレイピアを使った空中からのヒット&アウェイで戦うのが得意な女の子です。
・冒険大好きお姫様
・珍しいものにも興味津々
・ノブレス・オブリージュの精神で弱者を放っておけないよ
・ドヤ顔がよく似合う
・困ったら動物さんに協力を!

◆戦闘方法
・背中の翅で羽ばたいて「空中戦」や「空中浮遊」で空から攻撃するよ
・レイピアに風を纏わせて「属性攻撃」でチクチクするよ
・対空攻撃が激しそうなら【ライオンライド】
・レイピアでの攻撃が効かない敵には【お姫様ビーム】でどかーんと攻撃


アリス・セカンドカラー(サポート)
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい♥

ヴィジランテの説明と初期UCを根拠に技能値100以上の技能はUC並に鍛え上げたと主張。
サポートとして狂言回し。あると便利な舞台装置、高い幸運の技能で御都合主義を押し通すデウス・エクス・マーキナー。

己の裡の世界観を瞬間的に切り替える魔術的パラダイムシフト(瞬間思考力)をコンセプトとする混沌魔術(多重詠唱結界術)の使い手。既存の技術を実在フィクション問わず借用(Sampling)し組み合わせ(MIX)自作(DIY)することで白兵戦、魔術戦、諜報戦とマルチに動けます。

依頼の成功を大前提に、あわよくば己の欲望を満たそうとするかも?
えっちなのうみそおいしいです♥


レパル・リオン(サポート)
こんにちは!あたしはレパル!またの名を『魔法猟兵イェーガー・レパル』よ!よろしくね!

お祭りとかイベントとか友達と遊んだりとか、とにかく楽しい事大好き!

あたしが戦うのは、怪人(オブリビオン)から人々と平和を守るため!そのためなら、ケガをしたってかまわないわ!
(強敵相手だと少し怯えるが、表には出さないように努める)

得意なのは肉弾戦!ダッシュで切り込んだり、ジャンプやオーラ防御でよけたり、激痛耐性でガマンしたり、怪力パンチ&キックでぶっ飛ばしたりするわ!
ユーベルコードに怪人の弱点属性を組み合わせてパワーアップさせたりもするわよ!

頭を使うのは苦手かな。でも、パワーとスピードでなんとかするわ!



「とりゃーっ! レパルちゃんパーンチ! レパルちゃんキーック!」
 レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)の余りにも早いラッシュに嘆きの医師は防戦一方だった。ただでさえ肉弾戦が得意なレパルが相手なのに、医師は左腕を失っているのだ。たまらず彼は後方に飛び退き、距離を取ろうと試みる。
「そこにはボクがいるんだぞー☆」
 すかさず空中からティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)が舞い降りてレイピアで一突きする。そこでティエルに気を取られると、レパルが一気に距離を詰めて肉弾戦を仕掛ける。絶え間なく仕掛けられる連撃に嘆きの医師は完全に翻弄されていた。
 このままいけば二人の手で嘆きの医師は骸の海に還ると思われた矢先、思いもよらない出来事が起こる。

「今、どんな様子なのかな……?」
 避難所に隠れていたはずの少年がふらりと広場に現れたのだ。人々を生ける屍に仕立て上げようと目論んでいた嘆きの医師がそれを見逃すはずがない。懐に手を入れると、何やら怪しげな薬を少年目掛けて投げつけた。
「だめー!」
 ティエルが慌てて追いかけるが間に合わない。薬は少年の口に――。
「いただきまーす♪ ん、おいし♪」
 突如飛び出したアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)が薬を口でキャッチ、そのまま飲み込んでしまった。途端にアリスは小刻みに震え、どこか艶めかしい声を上げ始める。それを見た純真な少年はアリスが苦しんでいると勘違いしたのだろう、彼女に駆け寄りその肩に手を置いた。
「あの、だ、大丈夫ですか? 僕のせいで……」
「んっ、く、苦しい♪ どこか休めるところはない? 出来れば人がいなくて二人っきりになれると・こ・ろ♪」
 心配そうにする少年に手を引かれ広場を後にするアリス。一部始終を間近で見ていたティエルがぽつりと呟いた。
「だ、大丈夫なのかな? すごく苦しそうだったよ」
「そうだね……ティエルちゃんはそのままのティエルちゃんでいてね……」
「え? どゆこと?」
 あくまで純粋にアリスを心配するティエルの顔が眩しい。レパルは少し頬を赤らめると目線を外した。
 一方、嘆きの医師は困惑していた。自身の投げた薬にあのような効果は無い。どういうことなのか。
「考えても始まらんか……」
 今するべきことは目の前の猟兵の排除だ。しかし、まともに当たっても勝ち目はない。二人がアリスと少年に気を取られているのを確認すると、嘆きの医師は踵を返し闇夜に溶けるように走り出す。
「あれ? オブリビオンはどこ行ったの?」
 レパルが気づいた時にはもう遅かった。広場のどこにも嘆きの医師の姿がない。地上はレパル、空中はティエルと分担して医師を探すことにした。

 嘆きの医師は集落の外へ向かって走り出していた。防御が手薄なところがどこか結局わからないままだが、もう一か八か賭けるしかなかった。あわよくばそのまま集落から逃げ出し、救援にくるはずだった仲間と共にあの猟兵たちを倒してやるのだ、と。
「見えてきたぞ……。よし、柵はあるが守備してる者はいない!」
 集落の西側の外には川が流れている。故に守りを固める必要は無いと判断されたのだろう。賭けに勝ったと拳を握ると、嘆きの医師は跳躍して柵を越えようとした。
「ぐわっ!」
 弾かれた。柵の上で何かに弾かれた。慌てて起き上がり手で探ると、再び激しい拒絶が嘆きの医師を襲う。そこには高度な、そして強固な結界が貼られていたのだ。少し離れた柵の上を触るが結果は同じ。医師の手に凄まじい衝撃が走る。
「集落全体に貼られてるというのか……!?」
 それほどの力の持ち主がいることに嘆きの医師は内心震えた。
「あー! みーつけたー!」
 ティエルがドヤ顔で嘆きの医師を指差す。歯ぎしりをする医師であったが、よくよく考えるとこれは都合が良い。目の前にはティエルしかいないのだ。一対一ならまだ御しようがある。

 医師は死者のカルテを手に取るとティエルの下へと投げつけた。たちまちこの世に未練を残した死者の霊が現れ慟哭をする。勝った。このまま奴がとり憑けば猟兵は精神汚染と毒で苦しむのだ。そんな思いで医師は舌なめずりをする。
「ふーん。それってどんなユーベルコードなのかな? ぜんぜん効かないよー☆」
「なん……だと……」
 ティエルはそのままレイピアを構えると嘆きの医師へとヒット&アウェイを繰り返す。しかし、医師は意外にも鋭いメス捌きを持っている。繰り出されるレイピアをメスで受け流すと、そのまま外側に強く腕を振り払った。
「きゃっ」
 思わずレイピアを取り落してしまった。加えて身体が外側に流れる。その無防備な胴目掛けて医師がメスを突きだそうとした。
「レパルちゃんターックルッ!」
 火の玉の様なレパルが全身のバネを使って飛び出してきた。予想もしていなかった攻撃に嘆きの医師の身体は吹き飛ばされ、結界に当たり更なる衝撃を受ける。悶絶する医師を余所に、レパルはレイピアを拾うとティエルの手を取った。
「ごめん! 大丈夫だった?」
「ありがと! えへへ、お姫様みたいに助けられちゃった☆」
 実はティエルは本当にお姫様なのだが、レパルはそれを知る由もない。二人は再び嘆きの医師へと立ちはだかった。このままでは先の二の舞だ。医師は死者のカルテを取り出すと、レパルの足元へと投げつける。再び亡者の霊が現れ、二人へとり憑こうとする。
「なぜだ……なぜとり憑かない!」
 駄目だった。霊は二人の近くへ行くのだが、とり憑こうとする直前に弾かれ消滅してしまう。その理由は思わぬ者の口から語られた。

「ふふ、無駄無駄♪ わたしの結界術を舐めて貰っちゃ困るわよ」
 アリスだ。彼女は少年と姿を消したと見せかけて集落全体と二人に強力な結界を貼っていたのだ。
「貴様……さっきのアレは演技だったのか……」
「汝がそう思うなら、そう思えば良い。どうだろねー?」
 口に人差し指を当てながら挑発するように答えるアリス。彼女はそのままレパルへと目で合図を送った。レパルは頷くと左足を力強く一歩踏み出す。溢れる闘気。巻き起こる旋風。彼女の気合いが周囲の空気さえも変えてゆく。
 何か危険な気配を察知したのだろう。嘆きの医師はメスを手に、レパルへと駆け寄った。しかし、それは同時にティエルへの意識が完全に逸れてしまったことを意味する。
「ボクのこと忘れてるでしょー? 狙った場所は外さないぞー!」
 レイピアが音を奏でるように空気を切り裂き、嘆きの医師の右腕を貫いた。医師は思わずメスを取り落とし、目の前の光景に絶望する。そこには吹き荒れる炎の嵐をバックに拳を腰だめに構えるレパルの姿があった。
「でりゃーっ!」
 レパルの正拳突きが嘆きの医師の身体を捉えた。同時にそこからビームのような衝撃波が轟き、彼を穿ったのだ。

「今度はあたしが助けられちゃったね!」
「ふふん、すごいでしょー♪」
 ハイタッチする二人を見ながら、アリスは妖しい笑みを浮かべて集落の奥へと消えていった。彼女が向かう先がどこなのか、それは誰にもわからない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

中村・裕美(サポート)
副人格のシルヴァーナで行動します
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で近接戦闘特化。性格は享楽的な戦闘狂
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】を【早業】で繰り出す
ドラゴンランスを使うことがあれば、相手を【串刺し】にするか、竜に変えて【ブレス攻撃】
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー
電脳魔術が使えないので裕美の能力が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します

あと、虫が苦手


北条・優希斗(サポート)
『敵か』
『アンタの言う事は理解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ』
『遅いな』
左手に『蒼月』、右手に『月下美人』と言う二刀流を好んで戦う剣士です。
自らの過去を夢に見ることがあり、それを自身の罪の証と考えているため、過去に拘りと敬意を持っております。その為オブリビオンに思想や理想があればそれを聞き、自分なりの回答をしてから斬ります。
又、『夕顔』と呼ばれる糸で敵の同士討ちを誘ったり『月桂樹』による騙し討ちを行なったりと絡め手も使います。
一人称は『俺』、口調は年上には『敬語』、それ以外は『男性口調』です。
見切り、残像、ダッシュ等の機動性重視の回避型の戦い方をします。


ニケ・ブレジニィ(サポート)
技能を、フル活用します。

仲間を守りつつサポートし、敵を倒すという戦闘スタイルです。

また、このシナリオ内で戦闘不能になったオブリビオンの肉体と魂を、ユーベルコードの『桜の癒やし』で鎮め、転生できるように祈ります。

「…もう鎮まりたまえ、あなたの名を忘れないように私は憶えておいてあげるから…」

リプレイのために、このキャラクターを自由に扱っていただいて、全く問題ありません。



「アンタはなぜそこまでして戦う。そこに何か思想や理想はあるのか」
 北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)の問いかけに、嘆きの医師は息を飲んだ。思想? 理想? そんなものが自分にあるのだろうかと自問自答する。しばらく間を置いて、医師は静かに口を開いた。
「恐らく俺は仲間に捨て駒にされた。正直そのことは恨んでいる。だからと言ってお前ら猟兵に寝返ったり降ったりも出来ん」
 優希斗の目を見ながら嘆きの医師は言葉を続ける。
「それは俺がオブリビオンだからだ。故に貴様ら猟兵を憎む。それが俺の持つ理念なんだろうよ」

 ――オブリビオンとは失われた過去の化身だ。

 消費された過去が染み出して受肉した存在。彼らは世界を過去で埋め尽くすべく活動する猟兵の天敵。今、嘆きの医師はその本能に従って戦っているに過ぎないのだろう。
 優希斗は目を閉じると、何度か見たあの夢のことを思い返した。自分の知らない過去の記憶。罪の象徴だと考えるあの記憶。その『過去』が何なのかはわからない。わからないが、あるいはそれは過去の象徴たるオブリビオンに通ずるものがあるのかもしれない。
「そうか」
 優希斗が月下美人と蒼月を抜き、両手に持った。
「アンタの言う事は理解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ」
 ゆらりと上体を動かしたかと思うと、優希斗は瞬時に嘆きの医師の目の前に迫っていた。その速さに怯みつつも、医師は鉈のようなメスを取り出し応戦する。始めのうちは良かった。月下美人から放たれる白銀の軌跡を躱しつつ、蒼月から繰り広げられる斬撃をメスで捌く。しかし、既に左腕を失った身だ。徐々に医師は押されていく。

「思想や理想ねぇ……」
 惨殺ナイフを手で弄びながら中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)、いや、副人格のシルヴァーナが呟く。彼女は主人格である裕美が自分の敵になりそうなものを排除しようとこじらせてしまった結果生まれた、お嬢様風猟奇的少女だ。故にその性格は享楽的な戦闘狂である。
「そんなの楽しく気持ちよく戦うだけですわ。優希斗さん、ごめん遊ばせ」
 白い髪をなびかせ、シルヴァーナが二人の間に躍り出る。惨殺ナイフが鮫の様に嘆きの医師を襲い、コートをずたずたに切り裂いてゆく。たまらず距離を取る医師であったが、シルヴァーナは優雅に、それでいて華麗にステップを刻み常に至近距離へと貼り付く。見た目に反して比較的大型の武器を扱う嘆きの医師にとって実にやりにくい相手であった。
「離れろ!」
 医師がコートを開くと、大量の医療器具が飛び出しシルヴァーナを襲う。一つ一つは大した事ないが、あしらうには少し数が多い。

「私にお任せください」
 ニケ・ブレジニィ(桜の精の王子様・f34154)が飛び出し、革命剣で医療器具を相手取る。桜の精が舞い踊り、辺り一面に花びらが散るように戦う。それがニケだ。また、その姿は優希斗とシルヴァーナをも鼓舞した。月下美人が、蒼月が、惨殺ナイフがオーラを纏い、二人の身体に力がみなぎる。
 このままではせっかくの医療器具も一瞬で破壊されてしまう。そう考えた嘆きの医師は死者のカルテを取り出すと地面に突き立てた。怪しい霧と共に立ち昇る霊が慟哭し、優希斗とシルヴァーナへとり憑こうとする。しかし、そこへニケが立ちはだかった。
「あなたたちの苦しみ、辛さ、わかります……でも、もう鎮まってください」
 美しく舞うニケ。ダークセイヴァーではまず見られない桜の花びらが舞い上がり、霊の周囲を漂う。続けて優希斗が桜の花びら降りしきる中、剣舞を始めた。漆黒の闇夜の中に舞う花びらの中で舞い踊る美しき男女。霊たちは静かに涙を流すと、再び眠りについた。
「くっ、そんな手があるのか……!」
 悔しがる嘆きの医師であったが、目の前で舞い踊る二人は今無防備だ。メスで切り裂こうと一歩足を踏み出そうとする。動かない。思うように足が動かない。何事かと気だけが逸る。その姿を見ながら優希斗は剣舞の手を止めずに言った。
「どうやらアンタは剣舞を楽しんでくれていないようだ、な」
「ふふふ、わたくしは楽しんでいますわ」
 シルヴァーナが嘆きの医師の真横でそう囁く。医師は恐れおののいた。シルヴァーナが何をする気なのか勘づいたのだ。
「逃げたくても逃げられないのですわね。良いですわ……すべて切り裂いて差し上げます」
 身体の自由が効かない嘆きの医師を惨殺ナイフが襲う。それは的確に急所を狙い、その傷口を広げていった。
「眠るが良い」
 優希斗の蒼月が嘆きの医師を切り伏せる。血飛沫が桜の花びらのように舞い上がり、散っていった。

「……聞こえていますか?」
 ニケが嘆きの医師へと語りかける。
「……もう鎮まりたまえ、あなたの名を忘れないように私は憶えておいてあげるから……」
 桜の花びらが医師へと降り注ぐ。ニケは一礼すると、そのまま去っていった。
「……くっ……」
 医師は這い上がり、何とか立ち上がる。まだ彼は生きている。
「憶えておいてあげるだと……俺は……自分の名もよく知らぬのだ……」
 嘆きの医師。彼はそう呼ばれている。気づけばそう呼ばれていたが、彼自身何を嘆いているのかを理解はしていなかった。
「よく、知らぬのだ……」

 嘆きの医師は地面に落ちた桜の花びらをじっと見ていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
 オラトリオのシンフォニア×聖者の女の子です。
 普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
 独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ラムダ・ツァオ(サポート)
ラムダよ、よろしく。
相手が強いのなら、削れる機会は逃さず、相手に隙は見せず、
長期戦を覚悟して着実に狙うのがいいわね。
勿論、隙があれば見逃したくないけど。
見切ったり足には自信があるけど、過信せずに落ち着いて戦況を見極めるわ。

行動指針としては以下の3通りが主。
1.囮役としてボスの注意を引き付け、味方の攻撃を当てやすくする。
2.ボスの移動手段→攻撃手段の優先順で奪っていく。
3.仕留められそうな場合は積極的に仕留めに行く。
 (他に仕留めたい人がいればその手助け)

台詞回しや立ち位置などは無理のない範囲でご随意に。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
アドリブ・連携歓迎


ヒース・アーベル(サポート)
*性的表現のあるシナリオは不可
アドリブ・共闘:可
UC:ご自由に
メイン武器:各種投擲用ダガー

「さて、“掃除”を始めましょうか」
基本的には、相手の隙を作る方に特化しています。
主に呪文付の投擲武器を【武器複製】で複製しつつ戦うことが多いです。それらを投擲して対象に当たったら呪文発動、という感じです。それ以外の使い方でも構いません。
また、【霧の街】で敵の視界を塞ぎつつ味方を回復するなど、他の方を支援することもあります。
仕込み杖はいざという時か、暗殺など騙し討ちをする時くらいしか使いませんね。

怪我をすることは特に気にしません。また、他の猟兵さんに迷惑をかけること等は致しません。
どうぞ宜しくお願いします。



「相変わらずこの地には植物が少ないのね……」
 悲しそうに呟いたのはオラトリオの月詠・莉愛(銀の月を謳う・f16320)だ。夜と闇に覆われたダークセイヴァーには豊かな自然と言うものは基本的に存在しない。以前訪れた時に見た花畑は、そういう意味では奇跡の産物であったのだ。
「それがダークセイヴァーというものです。ですが、以前と比べればこれでも芽が出てきたものですよ」
 そう答えたのはダークセイヴァー出身のダンピール、ヒース・アーベル(胡散臭い掃除屋・f35538)だ。彼のいう芽というのは文字通りの意味なのか、それとも最近この地に芽生え始めた希望のことなのか。
「嘆きの医師とやらは随分弱っているらしいね。奴が芽を潰さない様に迅速に、でも慎重に戦おうね」
 黒刃を丹念に手入れしながらラムダ・ツァオ(影・f00001)が言った。彼女は入念な準備に加え、臨機応変に動く堅実な猟兵だ。戦況の見極めに関しては随一の腕前を持つと言われている。

 嘆きの医師はついに覚悟を決めた。自分が捨て駒であったことも受け入れた。かくなる上は一人でも多くの猟兵と戦い抜くのだと。
 もはや左腕も無く、足元もややおぼつかないが、覚悟が彼を強くした。鉈のようなメスを持つ手に力が宿る。
「おっと、聞いていたよりも大分強そうだね」
 黒刃を逆手に持ちながらラムダは考える。まだ仕留めに行くのは些か早そうだ。足元のおぼつかなさを見るに機動力は既に無いと思って良い。ならば己の取る行動は――。
「行くよ!」
 地を蹴るとラムダは嘆きの医師の正面へと向かう。医師は力強くメスを振るうが、ラムダはそれを見切ると、左右に跳んで軽やかに躱していく。
 その動きを見たヒースはラムダの意図を読んだ。彼女は囮となろうとしているのだ、と。
「ならば、私が掃除をして差し上げましょう」
 ヒースの周囲を投擲用ダガーが埋め尽くす。複製されたそれは嘆きの医師のメスをロックオンすると、空気を切り裂きながら射出された。次々と迫りくるダガーの衝撃に、医師は思わずメスを手放してしまった。
「そしてこれが仕上げです」
 ヒースが指を鳴らすと地面に突き刺さったダガーから一斉に火柱が吹き荒れる。業火に焼かれた医師は地を転がり、なんとかそれを消火した。

「ああ、またお花が……」
 莉愛が呟く。嘆きの医師は今自分が転がった地面に一輪の花が咲いていたことに気づいた。その花は彼によって茎が折れ、花びらは散ってしまっていた。
「……すまない」
 自分でも驚くほど素直に出た言葉に嘆きの医師は驚いた。

 すまない? なぜ?

 心の奥底に湧いた感情が何なのかわからない。
 その隙をラムダは見逃さなかった。黒刃と白刃を空中に放り投げると嘆きの医師を指差す。途端に刃が無数に分裂し、その刃先を医師へと向けた。
「くっ……!」
 このままやられる訳にはいかない。医師は自身の身体をウイルスで覆うと、その姿を消し去った。同時に地の底から死者の霊が這い上がり、慟哭を始める。
「おっと、どうしようかね」
「私に任せてください」
 莉愛は一歩前に出ると、その手を胸の前で合わせた。彼女を中心に月光が広がり、それは次第に細く、一本の柱の様に収束していく。ムーンピラー。それは天から莉愛へと降り注ぐ月光の柱。
「月よ、自然よ、森羅万象よ、私の声に従いその力を解放せよ!」
 月光の柱が弾けた。それは死者の霊を浄化し、嘆きの医師のウイルスをも消滅させ、その姿を明らかにした。ラムダはその姿をしっかりと見ながら、ただ一言だけ呟く。
「刻め」
 無数の刃が嘆きの医師を切り刻む。仕留めるまではいかなかったが、医師の身体は崩れ落ち、地に倒れ伏した。

「あぁ……」
 倒れた嘆きの医師の顔の横に、先ほどの折れた花の姿があった。
「すまない……」
 医師の頬に一筋の涙が流れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。


隠神・華蘭(サポート)
※えっちなのはよろしくないと思いますぅ。それ以外でしたら割となんでも。

化け狸の華蘭と申しますぅ。
一人称はわたくし、お名前呼びは〇〇様で口調は丁寧語、カタカナ表記の単語は人名以外はひらがなで喋りますよぉ。

化術や逃げ足を駆使して駆け回りながら攻撃は鉈での切断と小判ばらまきや狸火での範囲攻撃をめいんに使っていきますよぉ。
UCは何でもいけますねぇ、『山口霊神』や『怨み狸』辺りはとっておきですので強敵さんに当たってしまったらそれも使用考えましょう。

他の妖怪さんをはじめ、人間以外は優先的にお優しく接しますよぉ。
普通に接するだけで別に人間にきつく当るというわけではないですのでご安心を。


七星・天華(サポート)
 羅刹のガンナーで元気娘。
 仲良しな人には優しく楽しく。

『一般人に過度な期待はしないでよね。』
自分は才能など無い平凡な存在だと思っているが実は天才。
二丁拳銃「白雷」と「黒雷」をメインにナイフ系も扱える。
二丁拳銃を使った近接戦闘もできる。
遠近両方の距離でも戦闘を成立させる。
装備の影響で帯電しているが自由自在に扱える。
世界を放浪して手に入れたアイテムで出来る事の幅が広い。
少々過酷程度の環境は即座に対応適応するサバイバル能力。
左肩に生まれつき痕がある。
美人な元気娘だが暗殺もするデンジャラスな一面も。
家族のみんなが好きだが特に姉が大好きで姉の一番のファン。
自分にもファンが居るとは微塵にも思っていない。



「よう、アタシのカブに乗りたいやつはいるかい? 一緒に派手にやろうじゃないか!」
 原付と見まごうほどのぼろい宇宙バイクのハンドルを握りながら数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が皆に語りかけた。こう見えてこのカブは無数の姿と多彩な機能を秘めている。
「宇宙かぶ……? どんな妖怪か気にはなるのですけどぉ、わたくしは自分の足で参りますよぉ」
 小さな葉っぱを額にゆったり話すのは東方妖怪の隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)だ。彼女は伊予国の総帥の元に集った八百八の化け狸の封印され損ないだという。
「それじゃ私が乗るよ! あ、でも私、帯電してるけど大丈夫なの?」
 元気に明るく答えたのは羅刹のアーチャー、七星・天華(自覚無き天才・f36513)だ。体術から銃まで幅広いレンジで戦える類まれなる天才である。実は彼女の家族は皆猟兵らしい。
「へーきへーき! 雷はアタシも得意だから対策済みだよ! それじゃ行こっか!」
 多喜に促されて同乗した天華を見て華蘭は気づいてしまった。
「その乗り物が宇宙かぶだったんですねぇ……わたくしてっきり宇宙からやってきた白いかぶの妖怪かと思いましたよぉ……」
 それはそれで見てみたいものである。

 嘆きの医師と対峙した際、多喜は何か違和感を覚えた。どうも彼の心ここにあらずという風に感じたのだ。
「アンタ……嘆きの医師と言ったか? なんか悩んでることでもあるのかい?」
 医師は多喜を見ると、左腕があった箇所を見ながら静かに答えた。
「悩み……悩みか。今の俺は実に空虚な存在だ。自分が何者かさえ良くわからない。ただ……何となく昔は人間だった……そんな気がする」
 オブリビオン化してしまった人間。ふと多喜の脳裏に友の姿が去来する。その様子を見て医師も何か察したのだろう。首を振りながら続けた。
「だからと言って俺に同情したり、見逃したりするな。全力でかかってこい。ただ……」
 残った右手で拳を握ると、それを見つめながら医師は絞りだすように言った。
「嘆きの医師というオブリビオンがいた。それを憶えていてくれ」
 その言葉を合図に多喜が動いた。宇宙カブを走らせ、嘆きの医師の周囲を旋回する。同時に相乗りしている天華が二丁銃のトリガーを引いた。放たれる雷撃を医師はカルテで何とか防ぐ。
 華蘭は自慢の足を使い、多喜と反対方向に旋回しながら小判を投げつける。さすがに天華の巧みな銃撃を捌きながら小判を回避するのは難しいのだろう。それは次々と医師の背中を捉えていく。

 このままでは遠距離から一方的にやられてしまう。そう判断した嘆きの医師は鉈のようなメスを構えると華蘭へと接近し振り抜いた。華蘭は正真正銘本物の鉈で応戦する。メスと鉈がぶつかり合い、鈍い金属音が響き渡る。その音に華蘭は思わず苦笑した。
「竹相手ならいい音が鳴るんですけどねぇ。めすとやらではダメですねぇ」
 本来両手で扱うほどのメスを医師は右腕だけで振るっている。メスに身体を少し持っていかれた瞬間を華蘭は見逃さなかった。
「よっ、とぉ!」
 手首を素早く返すと、華蘭の鉈が医師のメスを叩き落した。得物を失った医師は慌てて懐に手を入れ大型のノコギリを手に取る。彼がそれを投げつけようとした刹那、天華が宇宙カブから飛び降りて目の前に立ちはだかった。
「くっ……」
 天華の攻撃に備えてノコギリをかざし防御に徹する嘆きの医師。しかし、それはあまりにも無謀であった。天華の右拳からバチバチと雷が弾け、次第に大きく轟きはじめる。
「防御なんて貫けばいい!」
 振り抜かれた拳がノコギリを粉々に粉砕し、医師の身体ごと豪快に吹っ飛ばした。

「少し、質問をしてもいいですか?」
 雰囲気の変わった華蘭が青白い炎で出来た弓と共に嘆きの医師へ語りかけた。医師は口を拭いながら、特にそれに答えず、かといって否定もしなかった。
「先ほどから足元がおぼつかないにも関わらず、そこの花を守るように戦ってるように見えますが、それは何故なんです?」
 医師の足元にある折れた花。華蘭は彼の不自然な動きに気づき、そこに何かあるのではないかと考えたのだろう。しばらくの間の後、医師は何とか答えた。
「わからん……俺も知りたいのだ。ただ……」
 医師は花を愛おしそうに撫でると、ゆっくりと立ち上がった。
「死ねば、何かを思い出せそうな気がする……」
「……そうですかぁ」
 弓から矢を外すと、元の華蘭に戻っていた。それが彼女の望んでいた答えなのかはわからないが、少なくとも嘘は言っていないと判断したのかもしれない。

「するってぇとなんだい? アンタは死にたいとでも言うのかい?」
 宇宙カブから降りた多喜が嘆きの医師に歩み寄る。その雰囲気に気圧され、医師は数歩後ずさった。
「全力でかかってこいって言いながら、なんだいそのザマは! 気合入れてやるからそこに立ってな!」
 多喜の左手にサイキックエナジーが収束していく。それは星雲のように渦巻き、轟き始めた。嘆きの医師は覚悟を決めたように目を閉じた。凄まじい音が鳴り響く。その頬に、多喜の平手打ちが思いっきり叩き込まれたからだ。
「……なぜ」
「死んでから思い出したって仕方ないだろ! せめて思いだしてから死にな!」
 そう言うと多喜は足元の花に目をやり、踵を返した。

 三人の猟兵の背中を見ながら、嘆きの医師は何を思ったのだろうか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

桜井・乃愛(サポート)
 桜の精のパーラーメイド×咎人殺しの女の子です。
 普段の口調は「元気(私、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく天真爛漫で、少し天然ボケな感じの少女。
一番好きな花は桜で、その他の植物も好き。
強敵にも怖気づく事は少なく、果敢に挑む。
人と話す事も好きなので、アドリブ歓迎。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)

ヤドリガミの「本体が無事なら再生する」特性を忘れて、なるべく負傷を避けつつ戦います。
オブリビオンに止めを刺すためであれば、猟兵としての責任感が勝り、相討ち覚悟で突撃します。
でも負傷やフレンドファイヤ、代償は避けたいお年頃。


赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可

合わせ等も自由にどうぞ



「ねえねえ、それじゃ明日の天気は何になるのかな?」
「水晶玉で占ってみせましょう。むむむ……見えてきました……お魚をくわえる猫の姿が……恐らくこの魚はイワシでしょう」
「あははは! もう天気ですらないよね、それ!」
 楽しくてたまらないといった表情をしているのはバーチャルキャラクターの赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)だ。彼の特徴と言ったらフリーダムかつアグレシッブ、この二つに尽きる。
 一方、先ほどから水晶玉やカードであれこれ奮闘しているのはヤドリガミのティモシー・レンツ(ヤドリガミのポンコツ占い師・f15854)だ。彼はヤドリガミ化する前の占い師の記憶をもとに頑張っているのだが……その占いの腕は御覧の通りだ。
「桜の精の気配を微かに感じる……?」
 辺りを見回しているのは桜の精のパーラーメイドにして咎人殺し、その名も桜井・乃愛(桜花剣舞・f23024)だ。様々な影朧を転生させる使命を抱いているが、ダークセイヴァーではその任を果たせそうにはない。
 しかし、乃愛は感じ取ったのだ。既に誰かが転生させようとした痕跡を。

「それでは僕から参りましょう。こう見えてやる時はきちんとやるんですよ」
 ティモシーはルーンソードを抜くと炎の属性を付与した。燃え盛る炎が刀身を包み込み、周囲を明るく照らす。普通ならここで駆け出し嘆きの医師へ一閃、というところだが、ティモシーはそうはしない。ゆっくりと着実に地を踏み締めながら迫る。そのどこか強者感溢れる余裕に医師は怯んだ。
「怪我しないようにしないと……」
 だが、別にティモシーに余裕がある訳ではない。彼はヤドリガミでありながら自身が負傷するのを避けているだけなのだ。ちなみに本体は袱紗で丁寧に包まれた占いのカードだ。「くっ……」
 しかし、そうとは知らない嘆きの医師はジリジリと後退する。前進するティモシー、後退する医師。強い緊張感が二人を襲う。
「ふはははははー、私さんじょーう!」
 それはあまりにも唐突だった。ティモシーの目の前で七色の爆発が巻き起こったかと思うと、その中から緋色が現れたのだ。緋色はそのまま蒸気ガトリングガンを手にすると嘆きの医師目掛けてトリガーを引く。あらゆる属性の弾が混ざりあいながら医師の身体に襲いかかる。
「やってくれる!」
 嘆きの医師もやられっ放しではない。コートから大量の注射器を取り出すと、緋色目掛けて投げつけた。
「おお! 今日の僕のラッキーアイテムではないですか!」
 ティモシーは嬉々として緋色の前に出ると、注射器を次々とルーンソードで叩き斬る。カッコイイところを見せつけたティモシーであるが、彼の本当のラッキーアイテムは傘である。掠りもしていない。

「お二人とも! オブリビオンの姿が消えました!」
 乃愛の声が響き渡る。注射器に気を取られた一瞬の隙に医師は忽然と消えたのだ。
「あぁ……あぁあああ……」
 地の底から呻くような声が聞こえてきた。それは次第に地上へと近づき、青白い姿となって現れた。彼らはこの世に未練を残した死者の霊。誰かにとり憑き、恨み言を延々と言わなくては気が済まない。
 しかし、嘆きの医師にとって、この場に乃愛がいたことは実に不幸であった。彼女は桜の古木から作られたステッキを手に取ると、指揮をとるように空中をなぞり出す。
「この地に眠る霊よ、私の力になってね!」
 嘆きの死者によって呼び出された霊たちの表情が安らいでいき、乃愛の元へと寄り添う。彼らは今や彼女の神霊となったのだ。
「しかし……オブリビオンの姿は消えたままですな……」
 ティモシーは不安そうに辺りを見回すが、嘆きの医師は気配は感じられない。緋色はそんなティモシーの様子を見ながら何気なく言った。
「居場所占ってみたら? 当たったらバズるよ~きっと」
「なるほど!」
 当たるも八卦、当たらぬも八卦。思い切って引いてみたタロットカードは『ペンタクルの9』だった。
「北から悪い事がやってきます! すなわち僕が逃げるべきは南!」
 ティモシーが大きく飛び退いた瞬間、彼が先ほどまでいた場所に凄まじい数のメスが突き刺さった。占いが当たったのか。そもそも跳んだ方角は本当に南だったのか。それらはわからないままであるが、確かなのはティモシーが無事であったことと、彼の持つ白紙のカードに何やら刻まれたことだ。
「そのままお返しさせていただきます!」
 ティモシーの姿が闇に溶け、消えていく。同じ姿となった彼には嘆きの医師の姿がはっきりと見て取れた。ルーンソードを構えると、ティモシーは今度は地を蹴り一気に医師へと駆け寄った。自身の姿が見えていると思っていなかった医師はその斬撃を躱せず、再び姿を現してしまった。
「よーし、みんな行こうね!」
「なんだか今日の占い、いい感じです!」
「ふはははは、再び私さんじょーう!」 
 乃愛のブルーミング・ファイアが、ティモシーのルーンソードが、緋色のミニさんが、同時に嘆きの医師の身体を捉え、彼を穿った。医師は力無く地面へと倒れた。

「……そうなんだ」
 その場を去ろうとした乃愛が小さく呟く。彼女は先ほど呼び出された霊と話をしていた。
「あなたたちは過去の……生前の嘆きの医師を知っているんだね」

 霊は言った。
 彼は生前、数々の集落を渡り歩く放浪の医師であったと。
 とある集落に辿り着き、彼はそこにいた少女と恋に落ちた。

 しかし、少女は病にかかった。
 当時は治すことの叶わなかった重い病に。
 医師は懸命に手を尽くしたが、彼女は還らぬ人となった。

 医師は彼女を埋葬すると、小さな花を添えた。
 そして小さく「すまない」と呟くと、己の無力さを嘆きながら命を断った。

「影朧だったら、助けてあげられたのに……」
 乃愛は集落を振り返る。その表情はどこか寂しそうであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

天日・叶恵(サポート)
私なりの、お狐さまの矜持としてささやかなお願いがあればついでで積極的に叶えたいです
例えば、探しものを見つけたり、忘れ物をこっそり届けたり、道をこっそり綺麗にしたり、といったものです
それ以外では、オブリビオン退治に必要であればできるだけ違法ではない範囲でお手伝いしたいと思いまーす

戦闘については、昔は銀誓館学園で能力者として戦っていたので心得はありますー
補助や妨害といった動きが得意ですねぇ
あとは、白燐蟲へ力を与えて体当たりしてもらったり…術扇で妖力を込めたマヒ効果の衝撃波を出したり、でしょうか?

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行為はしません。



 驚くほど静かだった。本当にここにオブリビオンがいるとは思えないほど静かだった。
「もう終わってしまったのでしょうか?」
 白い髪を揺らしながら天日・叶恵(小さな神社のお狐様・f35376)が集落を歩く。終わってしまったのなら、それはそれでいつも通りささやかなお願いを叶えれば良い。そう思っていた。
 ところが集落の広場に差し掛かった所、叶恵はオブリビオンの姿を見つけた。彼は仰向けに倒れ、もはや骸の海に還ろうとしているように見えた。
「猟兵か……」
 オブリビオン――嘆きの医師は叶恵を見ると呟いた。まだ生きてはいるようだ。
「俺は思い出した……あの子を救えずに命を絶ったのだ」
 あの子とは生前、彼がまだ人間であった頃に救えなかった少女のことだ。重病に冒された彼女を医師であった彼は救えなかった。己の無力さを嘆き、そのまま彼もまた死を選んだ。何の因果か、その過去が再び受肉し、嘆きの医師というオブリビオンを生んだ。

「あんたに頼みがある……ある薬品を破棄して欲しい……」
 嘆きの医師はコートの内ポケットに手を入れると、小さな鍵を取り出した。
「直にこの集落にオブリビオンの集団がやってくる……そして俺が作った薬品で巨大化し、やってきた猟兵を蹂躙しようとするはずだ……薬品は集落の外にある小屋の中だ……場所は……」
 医師の言う場所をメモしながら、叶恵は頭に浮かんだ疑問を口にした。
「どうしてそれを破棄して欲しいのですか? 例えあなたが倒れても後続の方たちがそれを使うことはできるのでしょう?」
 嘆きの医師は傍らにある折れた花を指差すと、叶恵の顔を見て言った。
「あの子が好きだった花がこの集落には咲いている……それを踏みにじられるのは……我慢ならなかったからだ……」
 叶恵は頷くと、医師から鍵を受け取った。そして蟲籠を開けると白燐蟲を解き放つ。白燐蟲は医師の周囲を蛍のように舞い始めた。
「少し、目を閉じていてください」
 言われるがままに目を閉じる嘆きの医師。すると、そこにあの少女の姿が浮かび上がった。彼女は医師に微笑むと、その手をそっと差し出す。医師はその手を取り、彼女を抱き寄せると涙を流した。
「……助けられなくて、すまない」
「謝らないでください。私はあなたに感謝しているのですから」
 それは白燐蟲が見せた夢なのか、あるいは本当に少女を呼び起こしたのか。しかし、医師にとってはどちらでも良かった。再び彼女に会うことができたのだ。

「猟兵よ……ありがとう」
 そう言い残すと嘆きの医師は消えていった。彼は骸の海へと還っていったのだ。全てを見届けた叶恵は広場を後にした。これから小屋へと向かうのだ。

 ――彼が消えゆく瞬間に見せた笑顔を、叶恵はどんな思いで見ていたのだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『疫病楽団の幽霊楽師』

POW   :    その疫病と演奏は人々の感情を狂わせ
【狂気に陥らせる演奏と疫病】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    世界を憎み蹂躙させる
【疫病を振りまく演奏】を披露した指定の全対象に【猟兵や世界に対し強い敵対】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    そして虜になった者は人を止め、肉の怪物と化す
【疫病にかかりつつ、狂気に陥った人々】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 『それ』は荒野を埋め尽くすように行進していた。
 あるものは笛を吹き、あるものは楽器を弾いていた。
 彼らは集落の近くにある小屋に入ると、何かを探し始めた。

「見当たらないな」
「おかしいな」
「裏切ったのかな」
「きっとそうだな」

 淡々と話しながら、彼らは小屋を後にする。
 彼らが次に目指すのは集落だ。

「猟兵は罠に喰いついただろうか」
「きっと喰いついただろうよ」
「生ける屍は囮であると気づいただろうか」
「まだ気づいてないだろうよ」

 ――疫病楽団の幽霊楽師。

 その演奏を聴くとたちまち疫病に冒されると言われている。
 そう、聴くとたちまち冒されるのだ。

「奴の薬があれば猟兵も一網打尽だったのにな」
「惜しいな」
「でもこの数ならやれるに違いない」
「そうに違いない」

 嘆きの医師により彼らの強化は阻止された。
 次は猟兵の番だ、奴らに慈悲は必要ない。

 根絶やしにするのだ。
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。


石森・ユリ(サポート)
「たとえ私がどうなったとしても、必ず道を切り開きます」
味方のために動き、敵を倒すことを目的に動きます。
敵を倒すためならば、また味方を守るためならば、犠牲は厭いません。
そのため肉を切らせて骨を断つ戦法を好みます。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせで、よろしくおねがいします。


虚偽・うつろぎ(サポート)
世界問わず大歓迎
世界を超えて自爆活動さ
アドリブ連携等ご自由に

登場即自爆
自爆できれば台詞も活躍もいらぬ!
速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
そう、自爆だ
僕に自爆をさせるんだ!
僕もろとも鏖殺だ
これぞ鏖殺領域なり

ただ自爆するためだけに現れる存在
何かいきなり自爆する怪奇現象
もはや災害である

技能:捨て身の一撃を用いての
メッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆

射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
大事なのは自爆までのスピード
有無言わせぬスピードで自爆する
これ最重要だね

捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能



「すごい数……ただの集落を潰すのにこんなに戦力がいるのでしょうか?」
 集落の高台から見ても全容がはっきりとわからない程の大軍を見て、石森・ユリ(強化人間のスーパーヒーロー・f27532)は疑問を呈した。風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)は懐中時計に目をやりながら、その疑問に淡々と答える。
「いらないだろう、な。この戦力は俺たち猟兵を潰すために編成されたものだ」
「私たちを……」
 再び外に視線を向けるユリ。疫病楽団の幽霊楽師が集落の四方から迫ってきていた。

「集落を出るぞ、ユリ」
「え? 柵や堀に結界もあるここで戦う方が楽ではないのでしょうか?」
 ユリの考えは至極もっともなものであったが、顕吉は帽子を深く被りなおすと歩きながら返した。
「あの軍勢で完全に包囲されたら水を必要とする村人や猟兵は飢えるのみだ。少なくとも集落の西側の川だけは死守せねばならないだろう」
「そういえば川が近いからか、集落内に井戸はないのですね」
 包囲戦は本来攻める側の補給線も重要になる。しかし相手は幽霊だ、食糧や水はおろか武器すら不要。そうなると防衛してる側は絶対的に不利な状態に陥る。ヴァンパイアの使役するオブリビオンに詳しい顕吉の洞察力が光った。

「足のある相手なら集落側の川べりで迎え撃つところだが……」
 川を渡河した顕吉は懐中時計を見ながら呟いた。顔をあげると、辺り一面幽霊楽師の大軍だ。ユリはそれを見て身体を震わせた。恐れでは無い、武者震いだ。
「これだけの数を一度に相手するのは初めてかもしれません。でも、私が必ず道を切り開きます」
「その意気だ、ユリ。二人で派手に暴れて出来るだけ大軍を引き付けるんだ。そして俺が合図したら川上のあそこに行け」
 顕吉が指さした方を見てユリは頷く。いよいよ猟兵と大軍との一大決戦が始まるのだ。

「猟兵がいるね」
「二人いるね」
「二人で何ができるんだろうね」
「何もできないだろうね」
 幽霊楽師たちは顕吉とユリを見ると演奏を始めた。生者にとってはあまりにも不快な不協和音だが、それは幽霊を強く鼓舞する。たちまち彼らの目が赤く光り、各々が血塗られた鎌を手にした。
「行くぞ」
 顕吉が地を蹴る。すれ違いざまにドラクリヤを抜き放つと、幽霊楽師が三体倒れた。幽霊楽師は顕吉を囲むと四方から鎌を振り下ろすが、彼の一閃で鎌ごと真っ二つになる。いつしか顕吉の目は深紅に染まり、ヴァンパイアの血が体内で沸騰しているがのことく熱くなっていた。
「死して尚この世に縛りつづけられる者たちよ、静かに滅びを受け入れろ」
 圧巻だった。顕吉が腕を振るう度に幽霊楽師がその数を減らしていく。当然楽師もやられっぱなしではない。耳を引き裂くような演奏で顕吉を攻撃するが、その全てを躱しドラクリヤを叩き込んでいく。そこには凡そ百年前、ダークセイヴァーで人類が敗北して以来、ヴァンパイアと死闘を繰り広げ続けてきたダンピールとしての誇りが間違いなくあった。

 一方、ユリは幽霊楽師の大軍に囲まれていた。ジリジリと包囲を狭める彼らを見ながらユリはゆっくり右手を掲げる。
「行きます!」
 その指が鳴らされた瞬間、ユリの姿が消えた。いや、違う。消えたのではない。ユリのあまりの速さに幽霊楽師たちの目が追い付いていないのだ。目標を失い辺りを見回す幽霊楽師が一人、また一人と倒れていく。
「たとえ私がどうなったとしても……!」
 ユリのユーベルコード『クロックアップ・スピード』、尋常ならざるスピートと反応速度を得るのと引き換えに寿命を削る奥義。しかし、ユリはそれを使うことに迷いはなかった。全ては集落の人々を守る為なのだ。
「はぁああああ!」
 ユリの拳が、足が、幽霊楽師の急所を的確に捉えていく。演奏で強化されたが幽霊楽師たちではあるが、その鎌は全くユリのスピードに追い付いていない。虚しく空を切り、そして倒れ伏すのだ。

 二人の猟兵が仲間を蹂躙している。その報せを聞いた西側の幽霊楽師たちは集落の包囲より先に二人を倒すことに決めた。倒しても倒しても雲霞の如く押し寄せる楽師たちに、さすがの顕吉とユリもやや押され始める。
「顕吉さん! 後詰も投入されたみたいです!」
「そのようだな。予定の場所へ走るぞ」
 走り出した二人を見て幽霊楽師たちは勝ちを確信した。追い打ちをしてここで息の根を止めれば自軍の士気は上がり、猟兵たちの士気は下がるだろう。
「逃げだしたね」
「大したことは無かったね」
「追いかけよう」
「ああ、追いかけよう」
 無表情のまま幽霊楽師の大軍が二人を追う。身を削るユーベルコードの反動で顕吉とユリの足取りがやや重くなり、徐々にその距離が詰められていく。
「ユリ、あの場所から川に飛び込むんだ」
「飛び込むんですか? でもそれって……」
 退却する際に川を渡河するのは下策だ。まず間違いなく討ち取られるだろう。しかし、顕吉が迷わず飛び込んだのを見てユリも覚悟を決めた。
「えーい!」
「お疲れ様だよ! あとは僕に任せてくれ!」
 ユリが川に飛び込む瞬間、入れ替わりに何かが飛び出してきた。それは幽霊楽師たちの大軍に突っ込むとブラックタールの身体を震わせ、轟音と共に大爆発をした。

 川から上がったユリが見た光景は凄まじいものであった。自分たちを追っていた大軍が跡形も無く消し飛んでいたのだ。顕吉は懐中時計を見ると頷き、ドラクリヤを鞘に納めた。
「さすがだな。時間通りの爆発だ」
「顕吉さん、今のは一体……?」
「そういえばユリには言っていなかったな。紹介しよう、今回俺たちと共に戦ってくれた虚偽だ」

 虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)。彼の自爆によって幽霊楽師たちは西側へ陣取ることは諦めた。これで集落の人々と猟兵たちの水源は守られたのだ。勿論そのことについて、うつろぎ本人も何かしらの喜びはあるかもしれない。しかし、即自爆できたことに比べれば、取るに足らないことだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。


雛里・かすみ(サポート)
 バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
 普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 無事に集落の西側を確保した風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)が次に向かったのは、北に陣取る幽霊楽師の方であった。現地へ向かう途中、一人の猟兵が彼へと歩み寄り声をかける。
「あ、もしかして顕吉さん? 先に現場に行ってるって聞いたから急いで来たよ!」
「それはありがたいな。丁度今から攻撃を仕掛けるところだ、共に行こう」
 顕吉の言葉に頷くと駆け出した黒髪のバーチャルキャラクターの名は雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)だ。その明るく朗らかな性格で誰とでもフレンドリーに打ち解けられる自由人である。

「ほらほら! 私が相手してあげるからかかってきてよ!」
 かすみはアサルトライフルを手にすると幽霊楽師の大軍へと突撃を敢行した。集落の中からではなく、西側の陣地から猟兵が来たことで楽師たちは混乱に陥った。
「猟兵が来たらしいよ」
「どこから来たんだろう」
「西の陣からだよ」
「西には仲間がいたはずだよ」
 しかし、かすみは彼らに考える時間など与えてくれなかった。銃弾が漆黒の彗星のように幽霊楽師に降り注ぐ。次々と倒れていく楽師たちであったが、次第に落ち着きを取り戻していった。
「よく見たら猟兵は一人じゃないか」
「一人のようだね」
「包み込んで押し潰してしまおう」
「それは良い考えだ」
 幽霊楽師たちが笛を吹く。疫病にかかり、狂気に陥ったまま死んでいった人々の嘆きを歌う。気づけば楽師たちの身体は膨れ上がり、巨人のようになっていった。
「ちょっと! そんなの聞いてないよ!」
 かすみが後退しながらアサルトライフルの銃弾をばら撒く。しかし、彼らの身体はそれを弾きビクともしない。ついに弾薬がつき、彼女はアサルトライフルを楽師へと投げつけた。
「そんなもの投げても痛くないよ」
「かゆくもないよ」
「これで君は終わりだよ」
「終わらせてあげるよ」
「いいや、終わるのはお前たちだ」
 突如幽霊楽師たちに浴びせられる声。彼らが振り返るとそこには顕吉の姿があった。その目が妖しく光り、楽師たちを釘付けにする。
「突出してしまったことにまだ気づいていないようだな。そのままそこで待機するが良い」
 待機しろと言われてする者はいない。すぐさま顕吉に攻撃を仕掛けようとした幽霊楽師たちであったが、その身体が思うように動かなかった。
「幽霊に効くか多少疑問であったが……自然現象の範疇なんだろう、な」

 ――寵姫の瞳。

 魅惑の視線が命中した生命体・無機物・自然現象は無意識に友好的な行動を取ってしまうユーベルコードだ。
「かすみ、後は任せた」
「まっかせて!」
 かすみは旋風刃を握ると、それをバトンのように振り回し始めた。周囲に蓮の香りが漂い、風が巻き起こる。
「私がなんでブラックコメットを投げつけたか、わかる?」
 幽霊楽師の足元に転がっていたアサルトライフルが蓮の花びらへと姿を変え、螺旋状に彼らの身体を巻いていく。逃げようにも身体が自由に動かない楽師たち。
「蓮の花々よ……私に力を貸してね!」
 かすみの声を聞き入れた蓮の花びらは七色に光り輝くと、浄化の力を放った。幽霊楽師たちが断末魔を上げながら次々と消えていく。後には美しく散りばめられた花びらだけが残されたのだ。

「さて、後に続く者たちの為に敵の陣容を書き残して置くか」
「なになに? 楽しそうね。私も見て良い?」
「好きにすると良い」
 色々なことに関心があるかすみは、顕吉が書く陣立て図を興味深そうに覗き込むのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

雛里・かすみ(サポート)
 バーチャルキャラクターの戦巫女×UDCメカニックの女性です。
 普段の口調は「明るく朗らか(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
寝起きは「元気ない時もある(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

明るく朗らかな性格の為、
男女分け隔てなくフレンドリーに会話を楽しみます。
どんな状況でも、真面目に取り組み
逆境にも屈しない前向きな性格です。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


シフィル・エルドラド(サポート)
『皆に元気を分け与えにやって来たよ!』 

ハイカラさんの勇者×国民的スタアの女の子。
 普段の口調:明るい(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
 嬉しい時の口調:ハイテンション(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

元気一杯で天真爛漫な性格をしていて、ポジティブな思考の持ち主。
困っている人や危機に陥っている人は放ってはおけず
積極的に助ける主義です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


桜井・乃愛(サポート)
 桜の精のパーラーメイド×咎人殺しの女の子です。
 普段の口調は「元気(私、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく天真爛漫で、少し天然ボケな感じの少女。
一番好きな花は桜で、その他の植物も好き。
強敵にも怖気づく事は少なく、果敢に挑む。
人と話す事も好きなので、アドリブ歓迎。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 共に戦った猟兵から受け取った敵軍の陣形図を手に戦場を駆け巡っていたのはバーチャルキャラクターの戦巫女にしてUDCメカニックの雛里・かすみ(幻想の案内人・f24096)だ。陣形図によると敵の大半は集落の東側から押し寄せている、眩しく輝く後光で覆われたかすみはその真っ只中で一人奮戦していた。
「絶対にあなたたちを集落に近づけさせない! ここから離れさなさーい!」
 かすみは空を飛翔しながら敵陣の手薄なところ目掛けて滑空する。地上に降り立つや否や薙刀で周囲の敵を一掃し再び飛翔、武器をアサルトライフルに持ち替えて銃撃をお見舞いするという見事なヒットアンドアウェイを繰り返していた。

 やられる一方であった幽霊楽師たちであったが、彼らは楽器を取り出すと不敵な笑みを浮かべて演奏を開始する。楽器から放たれる禍々しい闇。それは周囲を覆い尽くし、ただでさえ漆黒に覆われているダークセイヴァーの空が更に重く淀んでいく。
「これは……いったい……?」
 かすみが疑問を抱いたその時であった。身体中に重く抗いがたい狂気が迸ったのだ。空から落下し、地上に叩きつけられたかすみは痛みに耐えながら薙刀を構える。隙をついて幽霊楽師たちが襲ってくると考えたからであるが、意外にもそういう事態にはならなかった。
「同士討ち……」
 幽霊楽師の演奏は周囲のものを無差別に攻撃するユーベルコードであった。彼らはかすみ一人を倒そうとするために仲間をも犠牲にしようと考えたのだ。狂気に陥った楽師は仲間に襲い掛かり、その身体を我が物へとしていく。数十いた幽霊楽師たちは気づけばただ一人の強力なオブリビオンとなり果て、かすみの方へと歩み出した。
「君も我々の仲間にしてあげよう」
 幽霊楽師は楽器を取り出すと新たに演奏を始めた。旋律に乗って疫病が具現化し、かすみへとじわじわ迫りくる。

「くぅ……でも、でも私は諦めないよ!」
 動けない、落下の衝撃で足を痛めてしまったようだ。それでもかすみは最後のその一瞬まで諦めない。そんな彼女の背後から光り輝く手枷と猿轡、そして拘束ロープが通りすぎ幽霊楽師を縛り上げた。途端に演奏が止み、具現化した疫病が雲散霧消する。
「えへへ、お待たせしました。桜井乃愛ただいま参上!」
 かすみの背後から現れたのは桜の精のパーラーメイドにして咎人殺しの桜井・乃愛(桜花剣舞・f23024)であった。その手から放たれた拘束具は聖属性を纏い、幽霊楽師のユーベルコードを完全に封じた。
「あなたは影朧じゃないし、このまま浄化させちゃうね!」
 乃愛は片手用の軽機関銃を取り出すと幽霊楽師に近づきながらトリガーを引く。桜の花びらが舞い散るが如く飛び出した銃弾がオブリビオンの身体を穿った。乃愛は機関銃の銃口を上に向けて構えると、かすみへと振り向いて笑顔を見せる。安堵の表情を見せたかすみであったが、その顔は即座に険しいものへと変わった。
「乃愛さん! まだです!」
「えっ?」
 再び振り向いた乃愛の視界に映ったのは新たに迫りくる幽霊楽師たちの姿であった。彼らは楽器を手に取ると不協和音混じりの曲を奏でる。疫病が具現化し、波のようにうねりをあげながら乃愛へと迫った。

「なんて数なんだろう……でも、私も諦めないんだから!」
 乃愛は再び拘束具を取り出すと幽霊楽師目掛けて投げつけた。彼女に魔力に呼応して光輝いたそれは一体の幽霊楽師を拘束することに成功した。だが、それだけだ。周囲には雲霞の如く奴らがいるのだ。
「くっ……!」
 迫りくる疫病から距離を取り逃げ出す乃愛であったが、徐々にその差は縮まっていく。ついに彼女の足が捉えられ、引きずり倒されたその時であった。
「轟け、雷鳴よ!全てを痺れさせ破壊してしまえー!」
 拘束具に掴まっていた幽霊楽師に激しく光り輝く雷鳴が落ちた。それは轟音と共に拡散すると、周囲のオブリビオンごと辺りを一掃したのだ。乃愛の足を捉えた疫病も霧のように消え去っていく。
「あなたの光り輝く拘束具のお陰で敵の位置がわかったよ、ありがとう!」
 笑顔を見せて乃愛に手を差し出したのはハイカラさんの勇者にして国民的スタアのシフィル・エルドラド(ハイカラさんの勇者・f32945)であった。彼女は乃愛の手を取って立たせると、そのままかすみの元に行き陣形図の写しを取り出した。
「これを書いたのはあなたなのよね? 敵の手薄なところがわかったからすぐに駆けつけられたよ!」
 かすみは共に戦った猟兵が書いた陣形図の写しを大量に作り集落に残していたのだ。それにしてもシフィルは実に明るく、ポジティブである。彼女の言葉は聞いている者の心までも前向きにする力があるように感じた。
「あれ? 足が動く……」
 気づけばかすみの足は元の通りに動くようになっていた。シフィルは満面の笑みを見せるとくるりと向き直り、聖剣エデンを高らかに掲げた。
「まだまだ敵はたくさんこちらに向かってきているよ。私たちで押し返そう!」
 かすみと乃愛は顔を見合わせて頷くと、薙刀と軽機関銃を手に取った。彼方から押し寄せてくる幽霊楽師たちは限りが無いのではという程の大群だ。しかし、三人の力を合わせれば必ずや突破できる。

 根拠は無いが、全員がそう感じた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
かつてオブリビオンに滅ぼされた都市で自分一人だけ生き残ってしまった過去を悔いており、人々を守り、被害を防止することを重視して行動します。

●戦闘において
「露払いは私が努めよう」
(敵に)「貴様らの技で、私が倒せるのか……試してみるがいい」

・牽制攻撃
・敵の攻撃から他の猟兵や一般人を守る
・敵の攻撃を回避してカウンター
・ついでに敵の強さを解説する
など、防御的・補助的な行動を得意とします。

メイン武器は「黒剣」です。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。


高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ

知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね

防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー

そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです



 集落の中は実に静かであった。住民たちは皆オブリビオンに脅え家の中で震えている。人の姿と言えば、かろうじて確保された井戸との行き来をする者がいる程度だ。ギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)はそんな集落内を歩きながら考え事をしていた。そう、いつの日かオブリビオンが襲ってきて自分以外の全てを屠ってしまったあの過去を。
「二度とあのようなことを繰り返してはならない……」
 決意を胸に彼は外へと歩みを進めた。集落の南側は東側に比べると随分敵の数が少なく、しかも攻めてくる気配が一向になかったが、ギャレットはそこに違和感を覚えたのだ。
「東側を一気呵成に攻め続ける。すると当然南側の防備は手薄となるだろう。そろそろ頃合いのはずだ」
 ギャレットは門を出たところで黒剣を抜き放つと、そのまま地面へと突き刺す。しばらくの間様子を見ていると、彼方から幽霊楽師の一軍がやってくるのが見えた。

「どうして猟兵がここにいるんだろう」
「我々は東側から攻め続けていたのに」
「でもたかが一人に何ができるだろう」
「我々はたくさんいるからね」
 幽霊楽師たちは数を頼みに押し寄せてきた。ギャレットは黒剣を巧みに操ると互角以上に立ち回り敵の数を減らしていく。しかし、それはあまりにも多すぎた。如何に歴戦の黒騎士と言えど、視界中を覆い尽くすオブリビオンといつまでも戦い続けられるものではない。
「くっ、一度退いて援軍を頼むか」
 ちらりと集落の門に目をやる。すると、そこには集落の村人と思われる男の子がいたのだ。彼は無数のオブリビオンに脅えて動けなくなっている。幽霊楽師の一人は男の子に気づくと楽器をかき鳴らした。具現化した疫病が悪霊のような姿を伴い、彼に向かっていく。
「そうはさせんっ!」
 ギャレットは即座に男の子の前に立ちはだかると、黒剣の側面を前方に掲げた。彼の周囲が漆黒のオーラで覆われ、あらゆる攻撃を弾く城塞と化す。疫病の悪霊が、幽霊楽師が、次々と迫ってオーラに攻撃を加えるがそれはビクともしない。
「少年! 今すぐここを離れるんだ!」
「で、でもお兄さんが……」
「私は大丈夫だ! さあ、いけ!」
 男の子は震えながら頷くと、そのまま駆けて行った。安堵したギャレットであるが、このままではいずれオーラを破られてしまうだろう。かと言ってここでオーラを解除したらオブリビオンは集落に雪崩れ込むに違いない。
「八方塞がりか……」
 歯ぎしりをする彼の目の前のオーラに、一筋のヒビが入った。

「お兄さん!」
「少年!? なぜ戻ってきた!」
 背後から掛けられた声にギャレットは驚いた。先ほど逃がしたはずの男の子が戻ってきたからだ。オーラは既にヒビだらけとなり、いつ破られてもおかしくない。
「今すぐ退くんだ! 早く!」
 その時だった。ついにオーラが破れ、粉々に打ち砕かれたのだ。オブリビオンはギャレットの横をすり抜け、男の子にその手を伸ばす。
「ひつじさん、いまです!」
 その手が届く直前、かわいい顔をしたデフォルメ調の白羊に乗ったミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)が現れ、男の子の手を取った。寸でのところで助かった彼に安堵するギャレットであったが、獲物を失ったオブリビオンが彼目掛けて殺到する。
「……うん?」
 突如彼の周囲に茉莉の花びらが現れた。それは踊るように彼の周りを舞うと、鋭い刃となって殺到した幽霊楽師たちを切り刻む。何が起きたかわからないギャレットの元に男の子が駆け寄り、抱き着いてきた。
「お兄さん、無事だったんだ、良かった!」
「少年……」
「私たち、彼に呼ばれてきたんですよ」
 魔導書を手にしながら茉莉の香りを纏って現れたのは世界の何処かに存在する「秘密図書館」の司書、高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)であった。ミスティはその横にやってきて羊から降りると、撫でながら口を開く。
「集落に転送された瞬間、この子がやってきて『お兄さんが危ない! 来て!』って言うからびっくりしたのですよー」
「そうだったのか……」
 ギャレットが少年の頭に手を置くと、彼は初めて笑顔を見せた。

「あれ?」
 無事にオブリビオンを倒し、少年と共に集落へ引き上げようとした三人であったが、ミスティが突然立ちどまった。彼女はそのまま背後を向くと、倒れたままの幽霊楽師を見る。
「ミスティさん、どうなさいましたか?」
「なんだか……嫌な予感がするんです」
 彼女の勘は当たった。幽霊楽師たちの死体は震えだすと折り重なり合い、一人の巨大な幽霊楽師へと変貌したのだ。黒剣を抜き放って突撃をしようとしたギャレットを茉莉が押し留める。
「ギャレットさんはその子に付いていてください」
「しかし……」
「今その子を守れるのは貴方だけなんです」
 ギャレットは頷くと男の子の前に立ちはだかった。それを見たミスティと茉莉が門の前へと立ちはだかる。
「我々にたった二人で挑もうと言うのかい」
「実に滑稽だよね」
「我々は慈悲深いから一瞬で終わらせてあげるよ」
「実に慈悲深いね」
 幽霊楽師は一人で会話をするとけたけたと笑い出し、楽器を手に取った。恐らくその手が奏でる曲はこれまでのものとは比較にならない程、強力なのだろう。そうはさせじとミスティが再び白羊を呼び寄せた。
「ひつじさん、ゴーなのですっ」
 白羊は重心を低くすると、そのまま一気に駆け出した。その身体は次第に電気を帯び、大きく膨らんでいく。
「風に舞う茉莉の花々よ、華やかな芳香と共に敵を切り刻みなさい!」
 続けざまに茉莉が魔導書を手に詠唱を開始する。魔導書は瞬く間に花びらと化し、花冠となると白羊の頭におさまった。
 二人の力を一手に引き受けた羊は華やかな芳香と鋭い花びらを纏いながら幽霊楽師に体当たりをした。今まさに曲を奏でんとした楽師は雷で身体の自由を奪われ、茉莉の花びらで切り刻まれていく。哀れにも幽霊楽師は何も出来ずに消え去っていった。

「うわあ、羊さんモフモフだー!」
「そうでしょ、そうでしょー」
 男の子とミスティが白羊を撫でている姿をギャレットは静かに見ていた。茉莉はその近くに歩み寄ると、彼に声をかける。
「あの子から聞きましたよ。ギャレットさんが集落を守ってくれたんですね」
 ギャレットは視線を動かさずにそのまま答えた。
「私だけじゃない。ミスティ、茉莉、そしてあの少年が救ったんだ」
 兜で隠れていて良くわからないが、その顔はどことなく嬉しそうであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

神崎・伽耶(サポート)
『やってみなきゃわかんないしねぇ!』(明るくニヤリ)

アドリブ連携OK。
普段の口調は「庶民的(あたし、キミ、だ、だね、だろう、だよねぇ?)」です。

後先考えず、反射的に行動しますが、他の猟兵に迷惑をかける行為はあまりしません。
姉御肌で、一般人には優しく、時に厳しく接します。

行動原理は好奇心、攻撃よりは防御が得意で、遊撃的なポジションを好みます。
機動力、観察力を生かし、バフやデバフを多用し、トリッキーな攻めを得意とします。

思い付きで動く、常識のある奇人変人ムーヴで描いていただけると大変喜びます。
いっそNPCだと思っていただいてもヨシ!

よろしくお願いします。


ティエル・ティエリエル(サポート)
◆キャラ特徴
ボクっ娘で天真爛漫、お転婆なフェアリーのお姫様です。
王家に伝わる細身のレイピアを使った空中からのヒット&アウェイで戦うのが得意な女の子です。
・冒険大好きお姫様
・珍しいものにも興味津々
・ノブレス・オブリージュの精神で弱者を放っておけないよ
・ドヤ顔がよく似合う
・困ったら動物さんに協力を!

◆戦闘方法
・背中の翅で羽ばたいて「空中戦」や「空中浮遊」で空から攻撃するよ
・レイピアに風を纏わせて「属性攻撃」でチクチクするよ
・対空攻撃が激しそうなら【ライオンライド】
・レイピアでの攻撃が効かない敵には【お姫様ビーム】でどかーんと攻撃


ルーン・エルウィンド(サポート)
 人狼の翔剣士 × マジックナイト、20歳の男です。
 普段の口調は「丁寧(私、相手の名前、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、敵には「無感情…のはず(私、お前、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)」です。
本人は気付きませんが、尻尾に感情がもろに反映されます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 集落から東に十キロメートルほど離れたところに開けた平原がある。幽霊楽師たちはそこで隊列を組んでは攻め寄せてきていたのだが、その動きが突如慌ただしくなってきた。列は乱れ、騒然とした彼らの中心にいたのは猟兵の神崎・伽耶(トラブルシーカー・ギリギリス・f12535)である。彼女は赤くて丸い如何にも自爆しそうなスイッチを手にじりじりと幽霊楽師たちへと向かって歩みを進めていた。
「ほらほらほらほら! 近づいたら押しちゃうよ、ドッカーンだよ!」
 近づいたら押しちゃうよと言いながら彼女の方がにじり寄っていく。幽霊楽師たちはこの破天荒な命知らずの行動にどうすればいいのか困惑していた。
「このままでは集落に攻撃できないよ」
「でもこいつをどうにかしないと何もできないよ」
「じゃあ君が行きなよ」
「君が行って良いよ」
 さしもの幽霊楽師たちも命が惜しいと見えてお互いに譲り合っている。そうこうしている内に彼らは険しい崖の手前まで追い詰められていた。
「おやおやー? もう逃げられないみたいだねー」
 脅える幽霊楽師たちの前で伽耶はニヤリと笑うと、力強くスイッチを右手で押した。途端に彼女の背中から飛び出したフェアリーがレイピアを幽霊楽師たちへと向ける。
「どっかーん! お姫様ビームいっけー!」
 光り輝くビームがレイピアの切っ先から飛び出し幽霊楽師たちを飲み込む。その勢いは凄まじく、オブリビオンは次々と崖から転げ落ちて海中へと落下していった。かろうじてビームを避けた者たちもいたが、彼らは伽耶の体当たりによって不意を突かれて転落していく。
「いえーい! 伽耶、やったね!」
 伽耶とハイタッチをしたフェアリーはティエル・ティエリエル(おてんば妖精姫・f01244)、アックス&ウィザーズ世界の常春の地方にある妖精の国のお姫様だ。二人は先ほどから幽霊楽師たちの拠点を潰し、集落そのものに彼らが行かないように立ち回っていたのだ。

 ひとしきり暴れまわった二人が次の拠点へ向かおうとしたその時、海中から巨大な幽霊楽師が一体飛び出した。それは二人の前に立ちはだかるとゆっくりと口を開く。
「君たちは我々を追い込んでるつもりだったよね。ところが追い込まれたのは君たちだったんだよ」
 気づけば二人は敵陣の奥深く、しかも崖を背にしたところにいた。幽霊楽師の言葉が真実なのか強がりなのかはわからないが、危険地帯にいることは確かである。
「伽耶、どーする?」
「どうしようっかねぇ。まさにギリギリな状況で……ほんっと、ワクワクするね!」
 伽耶は楽しそうに言うと一気に幽霊楽師との距離を詰めた。マスタードイエローに塗られたバスタードソードを抜くと一気に斬りかかる。幽霊楽師はそれを楽器で受け止め、二人の間で壮絶な鍔迫り合いが始まった。
「ふっふーん♪ こっちは二人いるんだよー!」
 すかさずティエルがレイピアを振りかざして飛び出す。ぐんぐんと迫り、あと一歩のところまで来たその時、幽霊楽師の口角が上がった。
「二人なのは自分たちだけだと何故思ったのかい」
 幽霊楽師の上半身が二つに分かれると、新たに現れた半身が楽器をかき鳴らす。狂気にまみれた音が周囲に鳴り響き、伽耶とティエルの感情をかき乱した。
「くぅ! ティエルちゃん、せめてキミだけでも!」
 伽耶がティエルを突き飛ばす。小さな身体はフワリと宙に舞うと、そのまま楽師の攻撃範囲外へと飛び出した。彼女の青い瞳に伽耶が苦しむ姿が映る。

「ボクがなんとかしなくちゃ……でも、どうすれば……!」
「戦場に降り注ぐは慈雨か、あるいは雷鳴か」
 飛び回るティエルの後ろから髪を後ろで纏めた人狼が現れた。彼は青い刀身をした妖刀を抜き放つと、天を斬るようなしぐさをしてみせる。途端に周囲に銀色の雨が降り注ぎ、ティエルの身体を癒していった。
「遅れて済まない。さあ、共に行こう」
 彼の名前はルーン・エルウィンド(風の翔剣士・f10456)。世界の滅亡を阻止するために各地のオブリビオンを倒すことを誓った猟兵だ。ルーンは地を蹴ると、一瞬にして幽霊楽師に肉薄し妖刀を振るった。楽器は音も無く真っ二つとなり、伽耶は苦しみから解放される。幽霊楽師は大きく距離を取ると、再び上半身を分かとうとした。
「そちらが三人なら我々も三人だよ……ぐふっ!」
 分かたれようとした半身に雷鳴が轟く。それは彼が新たな身体を作り出そうとするたびに執拗に落ち、分裂することを一切許さなかった。
「それならばキミたちに世界を憎ませてやろう」
 幽霊楽師が楽器を取り出し、指でかき鳴らそうとする。それを見た伽耶は咄嗟にゴーグルキャップを脱ぐと、投げつけた。楽器を持つ手にゴーグルが当たり、楽師が一瞬彼女を見る。
「ふふん、隙だらけだよー!」
 その一瞬をティエルは見逃さなかった。彼女は火の玉のように飛び出すとレイピアを彼の指目掛けて突き刺す。ついに幽霊楽師は楽器を取り落してしまった。
「お前もヴァンパイアの眷属なんだろう。ならばここで消えるが良い」
 ルーンが妖刀を一閃する。風を斬るような音が辺りに響き渡り、幽霊楽師の身体が崩れ落ちる。

 いつしか雷鳴は止み、暖かな雨だけが降り続けていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

櫟・陽里(サポート)
『操縦が上手いは最高の誉め言葉!』

乗り物が活躍できる場と
レースとサーキットが得意分野
どんな乗り物も乗りこなしてみせる

走りこそが俺の武器!
乗り物と操縦者の総合力で戦う
サイバーアイで路面、相手の動きなど幅広い情報収集
集中力・傭兵の経験・判断速度で攻め所を見極める

シールド展開バイクで体当たり吹き飛ばし
走り回って撹乱・誘導
仲間を運ぶ足になるのも好き
バイクは機動力のある盾にもなる
壊れたらほら、直すついでに新パーツ試せるし!

明るく話しやすい先輩タイプ
補助仕事もドンと来い
乗り物が無い戦場では手数が少ない
普通の拳銃射撃や誘導、挑発など小技を利かせるしかなくテヘペロしてる

過去は過去に還すべき、その辺割と無慈悲


アス・ブリューゲルト(サポート)
「手が足りないなら、力を貸すぞ……」
いつもクールに、事件に参加する流れになります。
戦いや判定では、POWメインで、状況に応じてSPD等クリアしやすい能力を使用します。
「隙を見せるとは……そこだ!」
UCも状況によって、使いやすいものを使います。
主に銃撃UCやヴァリアブル~をメインに使います。剣術は相手が幽霊っぽい相手に使います。
相手が巨大な敵またはキャバリアの場合は、こちらもキャバリアに騎乗して戦います。
戦いにも慣れてきて、同じ猟兵には親しみを覚え始めました。
息を合わせて攻撃したり、庇うようなこともします。
特に女性は家族の事もあり、守ろうとする意欲が高いです。
※アドリブ・絡み大歓迎、18禁NG。


ソリン・クザ(サポート)
 ダンピールの探索者×戦場傭兵、表の顔はルーマニアの警察官な25歳の男です。
 普段の口調は「礼儀正しい(私、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)」、覚醒時は「尊大(我、貴様、~である、だ、~であろう、~であるか?)」です。

 UCはあまり使わず、基本的に自力での解決を優先します。
基本的には、警察官としての職業倫理のもと動きます
直接戦闘よりも謎を解いたり、だれかを守ったり、対象を確保したりという方向で動きます



「へぇ、本当にオブリビオンがうじゃうじゃいるんだな」
 櫟・陽里(スターライダー ヒカリ・f05640)はバイクのシートに手を置きながら集落の外を眺めていた。東側から楽器を手にした幽霊楽師の大軍がゆっくりと迫りくるのが見える。
「数が多いだけだ。俺と陽里が手を組めば簡単に一掃できるだろう」
 サングラスをかけながら答えたのはアス・ブリューゲルト(蒼銀の騎士・f13168)だ。相手が幽霊と聞いた彼はフォースセイバーの柄を手に取り入念なチェックをしている。

「それじゃ行っくぜ!」
 アスを後ろに乗せて陽里がバイクを発進させた。二人は拠点を飛び出ると、ぐんぐんと幽霊楽師たちの大軍へと突っ込んでいく。見慣れない機械に驚いた彼らは一瞬動きを止めた。
「そこだっ!」
 その隙を歴戦のアスが見逃すはずも無い。彼はフォースセイバーは起動させるとすれ違いざまにその光刃を振るう。蒼白い光の軌跡に沿って幽霊楽師たちの姿が次々と消え去っていった。
(ふむ、さすがだな)
 アスが右側の楽師に狙いをつけるとバイクがそちらに傾く、左側の楽師に目をやると途端にバイクがターンする。彼のほんのわずかの重心の変化を捉え、陽里は自由自在にバイクを走らせていた。無論、幽霊楽師もやられっぱなしではなく楽器をかき鳴らすのだが、雷のように速いバイクは全ての音を置き去りにしていく。
「うん?」
 まるで無人の野を行くが如くバイクで駆けていた二人であったが、陽里が何かに気づいたように速度を落とす。辺りを見回すと手を振る警察官らしき者の姿が見えた。彼はソリン・クザ(デイウォーカー・f15556)、れっきとした猟兵だ。
「猟兵のお仲間ですね。私はソリン、集落に戻ってきてない親子がいると聞きましてここまでやってきたのですが、私が駆けつけたときには母親らしき方は事切れる寸前でして……。その時に子供を託されましたので何とか集落までお届けしたいのですが……」
「なるほど。陽里、彼を乗せて集落まで運んでやると良い」
「俺は構わないけど、アスはどうするんだ?」
 アスはバイクから降りるとサングラスを掛け直し、フォースセイバーを構える。
「敵に追われるのには慣れている、問題ない」
 陽里は頷くとソリンを乗せてバイクを走らせた。あっと言う間に彼方に消えていくバイクを見送ると、アスは歩みを進める。いつしか周囲は幽霊楽師で溢れていた。

 尽きない。それがアスの感じた言葉であった。倒せど倒せど幽霊楽師は現れ、一向に尽きる気配がないのだ。
「止むを得んな。こういうときだからこそ使うべきだろう」
 アスのサイキックエナジーが力となり、手にしたフォースセイバーへと注がれていく。刀身はアスの背丈ほどになり、蒼銀の如く光り輝いた。その異様さに気づいたのだろう、幽霊楽師たちは距離を取って演奏を始める。曲が疫病を実体化させ、次々とアス目掛けて突き進むが、彼はその全てを薙ぎ払った。
「悪いが通らせてもらう!」
 彼がフォースセイバーを振るう度に幽霊楽師たちが両手で数えきれない程消し飛ぶ。しかし、オブリビオンの総数が減る様子は一向に無い。何か別の手を打つべきか考えたアスであったが、前方の幽霊楽師たちが何やら騒いでいる様子に気づいた。
「どけどけどけー!」
「公務執行妨害で逮捕しますよ!」
 大軍を押しのけて現れたのはバイクを操る陽里と、その後ろでサブマシンガンをぶっ放すソリンであった。
「早いな。子供は?」
「はい! 無事届けて参りました!」
「へへ、コースさえあれば俺はキャバリアにだって負けねぇぜ!」
 陽里が親指で指し示した方向にはここから集落までの直線コースが出来ていた。そう、コースの上の彼は音速より早く走ってみせるのだ。
「ふっ、言ったな。俺のアクアと競争してみるか?」
「受けて立つぜ!」
「ちょっとちょっと、お二人さん! まずはこいつらを片づけてからですよ!」
 包囲を徐々に狭める幽霊楽師。しかし、陽里は顔色一つ変えずに拳銃を取り出すと言った。
「俺とアスとソリンが手を組めば簡単に一掃できる、だよな?」
「違いないな」
「本官も全力を尽くします!」

 彼らが血路を開いて突破した事実は、後日猟兵たちの間でも語りぐさとなったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

氷咲・雪菜(サポート)
 人間のサイキッカー×文豪、15歳の女です。
 普段の口調は「何となく丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 独り言は「何となく元気ない(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

氷や雪が好きな女の子で、好きな季節は冬。
性格は明るく、フレンドリーで良く人に話しかける。
困っている人は放ってはおけない。
戦闘は主にブリザード・キャノンを使って戦う。
 あとはお任せ。宜しくお願いします!


スフィア・レディアード(サポート)
『皆さん、頑張りましょう!』
 ミレナリィドールの妖剣士×鎧装騎兵、21歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(私、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は元気で、楽しい祭りとかが好きな少女。
武器は剣と銃をメインに使う。
霊感が強く、霊を操って戦う事も出来る(ユーベルコード)
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「すっかり囲まれてしまいましたね」
 氷咲・雪菜(晴天の吹雪・f23461)は腕にはめられたブリザード・キャノンを装着し直すと、周囲を見渡した。そこには視界を埋め尽くさんばかりの幽霊楽師たちで溢れている。
「それでも私たちなら何とかなるよ! 頑張ろう!」
 雪菜と背中合わせで答えたのはミレナリィドールのスフィア・レディアード(魔封騎士・f15947)だ。その手には退魔の紋章が施された長剣が握られている。幽霊楽師たちはその紋章を恐れているのか、あまり積極的に手は出してこない。
「持久戦に持ち込むつもりでしょうか。スフィアさん、どうしますか?」
「向こうから来ないなら、こっちから行くまでだよ!」
 スフィアは大地を蹴ると敢然と幽霊楽師の大軍へと切り込んだ。封魔葬霊剣を一振りする度に幽霊楽師たちがその姿を消してゆく。それを見た雪菜も後に続くように駆けると、右手の人差し指をオブリビオンへと向ける。指先から放たれた氷の弾丸があっと言う間に彼らの身体を凍結し、続けざまに放った彼女の蹴りで砕け散っていった。

「えへへ、楽勝そうだね」
 スフィアが雪菜に向けて笑みを浮かべたその時であった。残った幽霊楽師の一人が頭を抱えて呻くと同時に巨大化する。見上げる程の大きさになったそれは楽器を取り出すと狂気に満ちた演奏を始めた。
「くっ!?」
「きゃあ!」
 彼が奏でた演奏は、これまでに疫病で死んだ人々の怨嗟の声が聞こえるかのようであった。苦しい、辛い、死にたい、負の感情が頭の中に渦巻く。それは周囲にいた幽霊楽師たちも例外ではなかったらしく、スフィアと雪菜と同じように苦しんでいる。
「このままでは……私たちも……」
「ううん、私と……雪菜さんならきっと乗り越えられるよ……!」
 雪菜はスフィアを見た。いつも元気で、楽しいお祭りに積極的に参加する明るい友達。そしてその手には退魔の紋章が施された長剣――。
「スフィアさん……私が何とか隙を作ってみせます」
 雪菜は気力を振り絞ると、両手の掌をパンっと大きく合わせた。途端に彼女の全身から凄まじい高圧の電流が巻き起こる。
「これで!」
 そのまま掌を地面に叩きつけると、そこから走った電流が幽霊楽師へと流れ込んだ。幽霊楽師は身体の自由を奪われ、楽器を取り落とす。演奏の呪縛から解き放たれたスフィアは所持している武装を一気に解き放つと、封魔葬霊剣の切っ先を幽霊楽師へと向けた。
「あるべき所へ還りなさい!」
 彼女から放たれた退魔の力が幽霊楽師へと降り注ぐ。楽師はこの世の者とは思えない程の断末魔をあげると、霧のように消え去った。

 その姿を見届けた二人は思わずハイタッチするのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

サイモン・マーチバンク(サポート)
「あ、どうも。兎の悪魔です」

デビキン出身アポヘル育ちの兎の悪魔
悪魔ですが倫理基準はアポヘル寄り
ワルにはそんなに憧れないけど必要なら悪どいこともやります

「ゾンビハンターとして過去を殺す」
「魔界盗賊として必要なものを取り返す」
この二つをモットーに依頼に挑みます
同情すべき相手でもしっかり向き合った上で戦うことを選択します

サバイバル生活の影響で使えるものは何でも使う感じに
ハンマーでどかどか殴ったり銃火器でばんばん暴れるのも得意です

賑やかな場所はちょっと苦手
引っ込み思案でコミュニケーションも苦手なので、情報収集はひっそり行うタイプ

多少の怪我は厭いませんが公序良俗に反することはしません
よろしくお願いします


姫神・咲夜(サポート)
 桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
 片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。

 あとはおまかせです。よろしくおねがいします!


響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです



 これまでの敵軍の侵攻は南側の一度を除くとほぼ東側からによるものであった。唯一の南側からの侵攻も猟兵の手によって止められたため、再度そちらから攻めてはこないだろうと大方は考えていたが、サイモン・マーチバンク(三月ウサギは月を打つ・f36286)はそうではなかった。
「これもデビキン出身の悪魔故の勘ってやつなんでしょうかね……」
 自身はワルにそこまで憧れていないと言えど、やはりそれを感じ取れる何かを持っているのだろう。すいすいと荒野を進んでいき、気づけば敵の集まる拠点のようなものを見つけた。サイモンはリボルバーに弾を装填すると、上空へ向かってトリガーを引く。銃弾は空中で炸裂すると兎型の花火のように光り輝いた。
 上空から聞こえてきた爆発音は幽霊楽師たちを混乱させるには十分であった。彼らは空から猟兵が襲撃してきたと勘違いし、拠点の門を開けて外に飛び出したのだ。
「搗かせてもらいますよ、っと」
 しかし、そこにはサイモンがハンマーを持って待ち構えていた。彼が一搗きするたびに幽霊楽師は消滅していく。予想外のことに慌てた拠点内の幽霊楽師は拠点の門を閉じ、外に取り残された者たちはあっと言う間にサイモンのハンマーの餌食となったのであった。

「さて、そろそろ気づかれたころでしょうかね……」
 騒然としていた拠点であったが、サイモンが外の敵を一掃し終える頃になるとその喧噪も大分鎮まってきていた。一向に上空からの襲撃は無く、門外には猟兵が一人いるだけ。ついに彼らはこれがサイモン単独の行動だと気づいたのだ。
「よくも騙してくれたね」
「君には絶望を与えてあげよう」
 門を開け放ち、整然と隊列を整えて迫りくる幽霊楽師。それを見たサイモンは脱兎の如く背を向けて逃げ出した。やはり血気に逸った猟兵の単独行動か、幽霊楽師は追う速度を上げる。もう間もなく手が届かん、というところまで来た時、サイモンが突如反転した。
「月って知ってますか?」
 サイモンの問いかけに幽霊楽師たちは戸惑った。この男は何を言っているのだろう。
「月には狂気をもたらす魔力があるんですよ、このように」
 彼の持つハンマーから月明りが溢れだした。

 一方その頃、拠点内は少数の幽霊楽師たちが守っていた。出陣した仲間たちを見送り、いざ門を閉めようとすると、彼方から凄まじい速さで滑る何かが見えた。もし、この時彼らが即座に門を占めていれば悲劇を防げただろう。しかし、彼らはその何かの正体が気になり、少し様子を見てしまった。
「この薔薇のように綺麗に滅して差し上げますわ」
 響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)は滑るように拠点内に乗り込むと、無数の白薔薇の花びらを咲かせた。拠点に残されていた幽霊楽師たちが次々と浄化されていく。
「リズさん、上手くいきましたね」
 続けて滑り込んできた姫神・咲夜(静桜・f24808)が笑みを湛えながらリズに言った。二人はサイモンが上空へ放った合図を見て手薄になった拠点を制圧しに来たのだ。あっと言う間にここまでやってこれたのは咲夜が二人の足元に氷桜を纏わせたからである。
「えぇ、そうですわね。後はサイモン様と挟撃すれば終わりですわ」
 門から外に出ると、サイモンに追い立てられた一人の幽霊楽師の姿が見えた。同様に二人の姿を見た彼は自身の拠点を落とされたことを悟って悔しがるが、時すでに遅しである。
「かくなる上は君たちを道連れにしてあげるよ」
 幽霊楽師の身体が膨れ上がった。彼はそのまま楽器を手に取って疫病を振りまく演奏を奏でようとする。指が弦に触れようかという正にその時、弾丸が命中して爆発し、楽器が桜の花びらへと変化して舞い散った。
「悪足掻きは美しくありませんよ。花びらのように美しく舞いなさい」
 肩に重火器を担ぎながら咲夜がニコリと笑う。幽霊楽師は踵を返そうとしたが、そこには狂気に膨れ上がったハンマーを担ぐサイモンがいた。
「お気づきではございませんこと? あなた様にはもう逃げ場がありませんのですわ」
 ガラスのフルートを手にリズが幽霊楽師へと迫る。

 フルートの音が奏でられると同時に、ハンマーが叩きつけられる音と弾丸が爆発する音とが重なった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レスティ・ルーン(サポート)
僕はエルフのアーチャー
何か事情が無い限り『サポート専用』で活動して、冒険に基づいて技能が成長していく猟兵だよ

僕は色んな世界、色んな自然の営みに興味がある
人だってもちろん自然の営みの一部さ
だからどんな依頼でも、風が導けば僕は何処へでも行くんだ

所持品やUCは全て、出身であるアックス&ウィザーズのもの。それらの助けをどう生かして、色んな世界で何処まで行けるだろう。今から楽しみだ

・UCは自由に
・争いは避けるが必要なら積極的に行動
・PCやグリモア猟兵との連携◎
・牢屋や窮地から救出される役柄◎拷問描写×
・公序良俗に反する行動×

あとはおまかせだ。どうかよろしく
風となって、僕をあっと驚くような所に導いてほしい


嘉納・武道(サポート)
シルバーレイン世界で接骨院を営む元能力者にして現猟兵。

表向きは寡黙な性格。
根は情に脆い熱血正義漢。
己に厳しく他者に甘い。
道を窮めようとする者特有の知識の深さと探求心を持つが、
専門外の事には若干常識が怪しい時がある。

長年の修練の過程で鍛え上げた身体は、ナチュラルサイボーグと
言っても過言ではない発達をしている。

戦闘は[体勢を崩す][グラップル][足払い]を用いた近接格闘主体。
[殺気]を用いた[残像]をよく使う。
敵からの攻撃は[受け流し][武器受け]で対処。
UCは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず目標
完遂の為に積極的に行動します。

●上記を含む、他の言動・行動はマスターに委ねます。


雫石・凛香(サポート)
アドリブ・MSの解釈による下記に沿わない動きも歓迎
貴方の書く雫石凛香が見たいです

オブリビオンへの恐怖で眠れなくなった姉のため戦う妹キャラ
性格はクール枠。冷静に物事を見て、必要そうな行動をとれます
敵への態度は苛烈。相手にどんな事情があろうと容赦はなし

魔剣【鞘】という凛香の意思に従い姿を変える剣を持っており、形状変化による攻め手の多さとスピードと手数で勝負するタイプ。逆に相手の攻撃を剣で受けるような行為は(子供なので)パワー不足、ほぼできないです

UCは基本的に妖剣解放のみ
高い機動力で相手をかく乱し、衝撃波でまとめて敵を薙いでいくのが主な動き方

動きを封じることで先の展開が有利になれば剣戟結界も使用



「……以上だよ。囚われのか弱きエルフより、っと」
 神出鬼没のエルフの狩人、レスティ・ルーン(エルフのアーチャー・f05798)は幽霊楽師の斥候らしき者を見つけるなり果敢に挑むも、逆に捕らえられてしまった。そのまま彼らの拠点内の牢屋に放り込まれていたのだが、牢番の隙を見て針金で錠をこじ開けると脱出。そのまま何かを書きつけて矢の先端へと括りつけたのだ。
「集落は確かこっちだったかな……。えいっ!」
 自身が最初に転送された集落がある方角へ矢を射ると、レスティはそのまま牢屋の中に戻り自身で鍵を掛けた。
「ふふ、後は風の吹くまま身を任せてみようかね」
 笑みを浮かべると彼はそのまま冷たく固い地面に転がり目を閉じたのであった。

「ふんっ!」
 遥か彼方から飛んできた矢を手で掴み取ったのは銀誓館学園第一期卒業生の嘉納・武道(柔道整復師にして青龍拳士・f36325)だ。転送された直後にも関わらず俊敏な身のこなしを見せたのは、さすが元五輪柔道金メダリストと言ったところか。同時に転送されたダンピールの妖剣士、雫石・凛香(鞘の少女・f02364)が眉一つ動かさずに口を開いた。
「矢文ね。何て書いてあるの?」
「不肖、嘉納武道。読ませて頂きます。『うっかり幽霊楽師の拠点に囚われてしまったよ。これを読んだ貴方に是非助けに来て欲しい。集落の東側に小高い丘に囲まれた窪みがあって、彼らはそこから前線に仲間を送りこんでいるんだ。早く来てくれないと僕も彼らのように幽霊になってしまうかもしれない。以上だよ。囚われのか弱きエルフより』……大変です、すぐさま向かいましょう」
 そう言うや否や武道は集落の東門へと走っていった。後を追おうと凛香も駆けだしたが、その時、彼女の赤い瞳に武道が握りしめている矢が映った。
「囚われの身、ねぇ」
 彼女が少し首を傾げたのを、武道は見ていなかった。

「凛香さん、どうやらここが矢文に書かれていた拠点のようです」
「えぇ、そのようね。では、まずエルフの方が囚われている場所を……」
「卑劣なオブリビオンども! 今すぐか弱きエルフを解放しなさい!」
 凛香の提案は武道の大音量の声によってかき消されてしまった。当然幽霊楽師たちが一斉にこちらを見る。予想外の事態ではあるが、凛香は冷静に魔剣の鞘に手を掛けると一気に刀身を引き抜いた。
「【鞘】、応えて! あいつらを打ち滅ぼす力を私に!」
 鞘から放たれた刀身は彼女の瞳のように赤く光り輝くと、瞬時に目の前の幽霊楽師を消し飛ばした。凛香はそのまま敵中に切り込むと、敵に演奏をさせる隙すら与えずに霊体を切り捨てていく。
「幽霊のオビリビオン……。姉さんが眠れるようになるためには、お前たちは、邪魔だ」
 オブリビオンに脅えて眠れない姉のために彼女は刀を振るう。慌てふためいた幽霊楽師の一人が楽器で殴りつけてこようとした。凛香は咄嗟に刀身でそれを受け止めようとする。
「……あっ!」
 常に冷静、そして優れた剣術とスピードを持つ凛香。しかし、彼女は子供なのだ。相手が楽師と言えどその体躯では刀身で攻撃を受け止めることなど出来ようがない。刀を支える手がわずかに震えたその時、楽器の動きが止まった。
「凛香さん、大丈夫ですか」
 武道だ。彼の手が彼女の頭越しに楽器を掴んでいる。彼はそのまま楽器を跳ね上げるとアッパー龍顎拳で楽師の顎を跳ね上げた。続けて宙に浮いた楽師の腕を取るとそのまま背負い投げを決める。霊体すらモノともしない鍛え上げられた肉体がそこにはあった。
「次の相手はどこだ!」
 武道は地を蹴ると牢屋に向かっていった。次から次へと幽霊楽師が現れ、狂気に満ちた演奏を仕掛けてくるが、武道は己の頑強な肉体と強靭な精神力でその全てを受け止める。
「この程度で俺は止まらん!」
 すれ違いざまに足ばらいを繰り出し、飛び掛かってきた楽師の腕を取って投げる。近接格闘では彼の方が圧倒的に上であり、正に無双であった。

 二人はついに牢屋の目前までやってきた。しかし、本来ならば牢番がいるであろう場所には幽霊楽師の死体しかない。それどころか牢の中には誰も囚われていなかった。
「これはどういうことでしょうか」
 武道の問いかけに対し凛香は考え込む。手紙の内容、囚われの身のはずなのに矢を用いたこと、そして目の前の幽霊楽師の死体……。
「もしかして……」
 凛香が牢の扉に手を掛けると、それは金属音を立てながらゆっくりと開いた。粗末な寝具の上に、何やら書置きがある。凛香はそれを手に取ると一瞥し、無言で武道へと手渡した。
「不肖、嘉納武道。読ませて頂きます。『助けに来てくれてありがとう。でも残念なことに僕は新たな拠点へと連れて行かれてしまったんだ。場所は……』」
 読み終わるより先に武道の身体は動いていた。彼の後に付いていきながら凛香は小さく呟く。
「――手紙は嘘。あなたはわざと囚われることで拠点の位置をわたしたちに教えているのよね? いいわ、しばらく乗ってあげる」
「凛香さん、今何かおっしゃいましたか?」
「いいえ、何も」

 凛香は、不敵な笑みを浮かべたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!


緋月・透乃(サポート)
『今日も元気に食べて楽しく戦おうね!』
 人間で22歳の女性です。
いつも元気で、強敵との戦闘、食べる、スリルを味わうことを好みます。

基本的に自分の楽しみのために行動し、敵味方問わず他人の心情等には配慮しません。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用します。
戦闘では真っ正面からの突撃を好み、負傷は気合いで耐えれば良いと考えています。
戦闘以外のことも大体気合いと力でなんとかしようとします。
脳筋です。

武器は主に『重戦斧【緋月】』を使用しますが、他の武器の方が有効そうならそちらを使用することもあります。

クロムキャバリアでも生身で戦います。

不明な点はおまかせします。よろしくお願いします。


アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならなくてもいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。

正直状況とかよくわかってにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。

基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ殺おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」


大豪傑・麗刃(サポート)
一人称は『わたし』『麗ちゃん』

どんなシリアスでも一度はネタをやりたい。一応敵を倒す意思はあるので状況が悪化する行為はさすがにやらない。一見悪化するけどネタとして許されるならむしろやりたい。
超どシリアスのためギャグ絶対不可ならシリアスオンリーも一応できなくはないがその時は頭痛が痛くなるのだ(強調表現としての二重表現肯定派)

大軍に無策で挑むのは無謀といろいろ策を考えるが結論は「正面から突っ込んで全員やっつければ(斬れば)いいのだ!」

ユーベルコードが
近接系:何も考えずに突っ込んでって無双狙い
集団系:なるべく多数引き付けて一網打尽狙い
ギャグ系:お手数かけますがなんとかお願いします!
それ以外:まー適当に



 集落の東から押し寄せる幽霊楽師の大軍。それに対抗するべく実に慎重でかつ合理的な考えを持つ猟兵が四人集まった。
「これだけの大軍に無策で挑むのはさすがに無謀なのだ。みんな何か良い考えが無いか聞かせてはくれないだろうか?」
 彼の名は大豪傑・麗刃(24歳児・f01156)。先祖代々武人の家系である大豪傑家の次期当主である。麗しの刃と名づけられたことからも周囲から大層期待されていることがわかるだろう。
「まとめてぶっ飛ばせば実に効率的だと思いませんか? わたし破壊光線とか得意です」
 涼しい顔をしてとんでもないことを言ったのはアルダワ魔法学園のいち学生、ニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)であった。彼女はいわゆるロマン砲といったタイプの攻撃魔法をこよなく愛するタイプである。
「そんなの真正面からドーンとぶつかって、気合いで頑張れば良いんだよ!」
 鈴のついた和風の斧でぶんぶんと素振りをしながら述べたのはサムライエンパイアの駿河出身、緋月・透乃(もぐもぐ好戦娘・f02760)だ。放っておくと今にも敵軍に突撃しかねない程の戦闘意欲である。
「大軍がどうとかよくわかんにゃいけど、にゃんかあいつらの顔気に入らにゃいからぶっ殺してやりたいに゛ゃ」
 可愛い顔して物騒なことを言い放ったのはドワーフのアイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)である。にゃーにゃー言っているが別に彼女は猫な訳ではない、ただちょっと舌足らずなだけなのだ。
「なるほど、みんなの考えは良くわかったのだ」
 三人の実に理に適った策を聞いた麗刃は目を閉じると大きく息を吐いた。そしてサムライブレイドを抜き放つと号令を放ったのだ。
「つまり正面から突っ込んで全員やっつければいいのだ!」
 この日一番の歓声が湧き起こった。

「わたし一度試してみたかったんですよ。可能な限り詠唱を続けてからぶっ放す破壊光線……ふふふ」
 ニノンは集落の外に立つとエレメンタルロッドを地面に突き立てて詠唱を開始した。そこはかとなく危険なニオイを幽霊楽師も感じ取ったのだろう。彼女目掛けて突撃する。しかし、そこに透乃が颯爽と現れてショルダータックルをお見舞いした。地に転がった幽霊楽師が次に見たのは、嬉々として斧を下段に構える透乃の姿だった。
「くたばれ、消え去れ、あの世の果てまで飛んでいけー! 罷迅滅追昇!!」
 彼女はそのまま大地を抉るように幽霊楽師を打ち上げる。楽師は楽器を演奏する間もなく、遥か彼方へと吹き飛んでいった。
「幽霊は元々あの世の住人な気もしますけど……。良いですね、物理で敵を吹き飛ばすその姿、実に良いです」
 興奮を隠せないニノンの前で透乃が次々と敵を打ち上げていく。それはさながら幽霊楽師の打ち上げ花火のようであった。
 これにはさしもの幽霊楽師も近寄るのを止めて遠巻きに演奏を始める。聞いた者を狂気に陥らせる演奏が辺りを無差別に覆い尽くしたが、それを聞くなり激怒した者がいた。
「に゛ゃに゛ゃに゛ゃ! その演奏を止めるに゛ゃ! ムカつくに゛ゃ!」
 アイクルだ。彼女はその身体が隠れてしまうくらいの巨大な斧を振り上げると、そのまま叩きつけた。大地が隆起し、凄まじい衝撃波が幽霊楽師を襲う。しかし、アイクルは止めない。何度も何度も地面を斧で叩きつけ、ついには巨大なクレーターを作り上げた。
「あぁ、すばらしい! 大地を穿つ巨大なクレーター、是非わたしも作ってみたいものです」
 更にテンションがあがるニノン。手元の魔力はついに限界を超え、凄まじい白炎があがりはじめていた。いよいよだ。いよいよ限界を超えた究極魔法、アルカナ・ブラスターをぶっ放す時がきたのだ。間もなく訪れる歓喜に震えながら杖を手に取り、敵の集団へその先端を向ける。だが、彼女の緑色の瞳にオブリビオン以外の姿が映り込んだ。
「麗刃さん! どうかそこから退いてください! わたしの魔力がもうはち切れそうです!」
 しかし、動かない。麗刃は動かない。それどころか彼は彼女の方に向くと、具現化された謎の赤いスイッチを取り出した。
「ニノンちゃん! 構わないのだ! 麗ちゃんごとぶち抜くのだ!」
「ええっ!? 良いんですか? 本当に撃っちゃいますよ!」
「良いのだ! それで全てが完成するのだー!」
 完成するというのが何なのかわからないが、そんなことはもうどうでも良かった。ニノンは無限に高めた魔力を一気に放出する。杖の先端に展開された魔法陣から飛び出た破壊光線は、その通り道にいる全ての幽霊楽師を巻き込んで蛇のようにうねる。そしてついに麗刃をも巻き込んだ。
「うおおおおおおおおおおお! これで良いのだー!」
 麗刃は爆発に巻き込まれると同時に謎のスイッチを押した。途端に彼自身が大爆発を起こし、周囲の敵が爆散する。後には塵一つ残らなかった。

「あぁ、全力の破壊魔法はなんて気持ちが良いんでしょう! ところで麗刃さんはご無事なのでしょうか」
 麗刃はどこだろうかと辺りを見回すニノンであったが、自身の身体に何か変化が起きていることに気づいた。鬼神の如き力が全身にみなぎっているのだ。
「この力は一体……?」
「ねえねえ! なんか斧をぶん回す力が百倍ぐらいになった気がするよ! 敵もっと来ないかなー!」
「に゛ゃー! ぶち殺してやるに゛ゃー!」
 どうやら身体に起きている変化はニノンだけではないようだ。透乃とアイクルも有り余る力で武器を振り回している。
「あ! 敵が本当にやってきたよ! やったー!」
 透乃が指差した方向を見ると、幽霊楽師の大軍が迫ってきているのが見えた。試したい。更なる力をあの集団で試したい。そんな衝動が身体の奥底から突き上げてくる。
「あっはっはっは! 力こそパワー、パワーこそ力なのだ! 皆の者行くのだー!」
 上空から聞き覚えのある声がした。慌てて見上げるとそこには空を飛翔する麗刃の姿が。彼はサムライブレイドを抜き放ち、そのまま上空から敵軍の真っ只中へと斬り込んでいく。
 それを見た三人はいてもたってもいられず、我先にと敵軍へ向かっていった。
「気合いだ気合いだー!」
「パワーイズジャスティスにゃ!」
「全身全霊でお相手します!」

 この後、実に慎重でかつ合理的な戦いが行われたのは想像に難くないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

メイリン・コスモロード(サポート)
『一緒に頑張りましょうね。』
人間の竜騎士×黒騎士の女の子です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「対人恐怖症(ワタシ、アナタ、デス、マス、デショウ、デスカ?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
人と話すのに慣れていなくて
「えっと……」とか「あの……」とか多様します。
戦闘ではドラゴンランスを使う事が多い。

その他、キャラの台詞はアドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
因みにトランプを使った手品が得意で、必要に応じて皆を楽しませます。
 あとはお任せします。宜しくお願いします。


ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
 人間のマジックナイト×電脳魔術士、女の子です。
 普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


月詠・莉愛(サポート)
『あの……宜しくお願いしますね。』
 オラトリオのシンフォニア×聖者の女の子です。
 普段の口調は「丁寧口調(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」
 独り言は「普通かな(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

大人しくて口数が少ないですけど、心優しく
動物や植物などの自然が好きな少女。
争い事は苦手ですけど、依頼の成功の為なら戦う事も厭わないです。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


轟木・黒夢(サポート)
『私の出番?それじゃ全力で行くわよ。』
 強化人間のヴィジランテ×バトルゲーマー、19歳の女です。
 普段の口調は「素っ気ない(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、偉い人には「それなりに丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格はクールで、あまり感情の起伏は無いです。
戦闘では、格闘技メインで戦い、籠手状の武器を使う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 猟兵の活躍により幽霊楽師の拠点はほぼ制圧された。しかし、彼らとてやられる一方では無い。隙を見て間道から現れた数百にも及ぶ幽霊楽師が集落のすぐ近くに現れたのだ。ほとんどの猟兵は迎撃のために出払っており集落内はかなり手薄な状況であったが、そこで立ち上がった者たちがいる。
「集落の命運は私たちにかかっていますわ。皆さん準備はよろしくて?」
 ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)はロングソードを抜くと円陣の真ん中にその切っ先を向けた。夕焼け色に光り輝く刀身がその場にいる全員の顔を映し出している。
「悲劇の連鎖だけはなんとしても防がなくてはなりません。私も尽力します」
 月のように優しい光をたたえた銃をその切っ先に重ねたのはオラトリオの月詠・莉愛(銀の月を謳う・f16320)であった。恐らく彼女の頭には以前戦った嘆きの医師の姿が浮かんでいたのだろう。
「この戦いが終わったら集落の人たちに手品を見せてあげたいなぁ。心の休息って大事でしょ?」
 金色の時計が装飾されたトライデントを短く持って同じく重ねたのはエルフのプリンセスにしてアリスナイト、シフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)だ。彼女は特にトランプを使った手品が得意らしい。
「えっと、帰るべき家が無くなるのは悲しいと思います。だから私も頑張ります」
 飛びっきり明るい輝きを見せるドラゴンランスを重ねたのは竜騎士のメイリン・コスモロード(飛竜の鉾・f13235)である。幼いころからドラゴンと心を通わせた彼女はいつしかその言葉を理解し、気づけば竜騎士として育ってきた。
「私は私がやれることをする。それだけよ」
 自身の拳を差し出したのは格闘技を得意とする強化人間の轟木・黒夢(モノクローム・f18038)だ。彼女の身体は幼少時から度重なる改造手術を受けたと言われている。
「恐らくこれが幽霊楽師との最後の戦いになりますわ。いざ、薔薇の名にかけて!」
 ローズの号令に合わせて五人が腕を高々と掲げた。ロングソード、銃、トライデント、ドラゴンランス、拳が美しく交差し、薔薇の花びらが舞い散った。

「さすがに数百ともなると壮観ですわね」
 先陣を切ったのはローズだ。彼女は遠距離から銃を撃ち、怯んだ敵に対して接近しロングソードで斬り捨てる戦法を取っている。為す術もなくやられていた幽霊楽師たちであるが、そのあまりの手応えの無さにローズは違和感を抱いた。
「弱すぎますわね……。まさか罠……?」
 その時であった。幽霊楽師の一人が大きく慟哭し、震えだしたのだ。途端に彼の姿は大きくなっていき、ローズの背丈の五倍ほどになる。楽師はそのまま巨木のようなサイズの笛を手にすると吹き始めた。疫病で死んでいった人々の怨嗟の声が笛の音を通してローズに降りかかる。それは徐々に、そして確実に彼女を蝕んでいった。
「くっ……! この程度で……!」
「ローズさん、援護します」
 莉愛から放たれた聖なる光がローズの身体を優しく包んで癒やす。それはまるで彼女の優しさを象徴するかのような光であった。そうはさせじと周囲の幽霊楽師が向かってくるが、莉愛は月明りを纏った銃弾を次々と放ちそれを一掃する。
「どうやら君から倒さないといけないみたいだね」
 巨大化した幽霊楽師はターゲットを莉愛に変えると、鉄の笛を振り下ろした。笛と言えどそれはもはや鉄塊と言っても良いサイズだ。当たればひとたまりもないだろう。
「そうはさせないよ!」
 鉄塊を受け止めたのは豪華絢爛なドレスに身を包んだシフォンのトライデントであった。彼女はそのまま飛翔するように鉄の笛を押し返そうとするが、相手は自分の五倍もの巨躯だ、じりじりと不利な体勢になっていく。勝ちを確信した幽霊楽師がニヤリと笑ったが、それを見たシフォンもまたニッと笑ってみせた。途端に彼女の周囲にハートが現れ、幽霊楽師の周りを踊るように舞い始める。何が起きたかわからず、幽霊楽師は少し戸惑いを見せた。
「あなたたちは楽師です。故にユーベルコードの本質も楽器を演奏することにある……。すなわち、それが無ければ無力なのです」
 その一瞬の隙をついてメイリンがドラゴンランスを投げた。それは鉄の笛に突き刺さると光を放ち、あっと言う間に浄化したのだ。楽器を持たぬ幽霊楽師はユーベルコードを使うことが出来ない。彼は拳を握ると、メイリン目掛けてパンチを繰り出した。
「――そう来ると思ったよ」
 その拳目掛けて黒夢が右ストレートを返す。拳と拳がぶつかり合い火花を散らした。相手は自身より遥かに大きいが、身体能力を強化された黒夢も負けてはいない。徐々にその拳を押し返し始めた。
「これで終わらせてあげる」
 彼女の身体から業火が噴き出し、拳を伝って幽霊楽師へと燃え移る。身体中を這い回る炎に悲鳴をあげる幽霊楽師を黒夢の拳が捉え、彼はそのまま吹っ飛んだ。

「全てを終わらせましょう」
 地面に倒れ伏した幽霊楽師の前にローズが歩み出る。彼を救おうと仲間の幽霊楽師も集まってきたが、彼女はそれを一向に介さずロングソードを掲げた。隙が出来た、と解釈したのだろう。周囲の幽霊楽師がローズ目掛けて飛び掛かった。
「さぁ、数多に咲き誇りなさい!」
 彼女の掛け声とともにロングソードがオレンジ色の薔薇となり、無数の花びらを散らした。それを合図に莉愛が、シフォンが、メイリンが、黒夢が交差するように幽霊楽師たちの身体を穿つ。気づけばオブリビオンは全て骸となり、その身体に薔薇の花びらが舞い落ちていた。

 ローズたちは集落を攻めるオブリビオンを殲滅した。莉愛は傷ついた村人や猟兵を癒し、シフォンは子供たちにトランプの手品を見せて笑顔を取り戻した。その姿を優しく見守っていたローズであったが、集落の外の様子を見ていたメイリンと黒夢が帰ってきたことで事態は一変する。
「強大なオブリビオンが向かってきている……ですって?」

 ――終わっていなかった。
 これからが始まりなのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『『屍塊驍騎』ブラッドスピットナイツ』

POW   :    ブラッドスピットナイツ……ソノ栄光ハ永遠ナリ!
自身の【五つある脳の一つ 】を代償に、【脳の深層に残る『過去』の呪い】を籠めた一撃を放つ。自分にとって五つある脳の一つ を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    コノ騎獣コソ、ワレラガ最強ノ騎士団デアル証
自身の身長の2倍の【空を翔ける怪馬・スレイプニル 】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    ワレラ騎士団ノ全身全霊、ウケテミヨ!
【全方位へ全武装による一斉攻撃 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギ・ヌドゥーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ふはははは! 思ったよりも多くの獲物がやってきたな!」
 集落の前で大声で話したのは異形の騎士であった。巨躯から生える腕は十本、足も十本。腕は様々な武器を握り、身体を覆い尽くさんばかりの盾をも構えている。異形の騎士は集落の中で民の避難誘導をする猟兵を見ると続けた。

「俺は無抵抗な民を一方的に屠るのは飽きたのだ。そこで取るに足らないこの集落を攻める素振りをすれば貴様ら猟兵が来るだろうと思った訳よ……くっくっく」
 先ほどとは微妙に声色の異なる声が兜の中から聞こえてきた。どうやらこの異形の騎士は過去に討たれた黒騎士の過去が混ざりあって生まれたオブリビオンのようだ。

「まあ……本当はその前座としてこの集落の皆様が死に絶えて下さったら、より面白い見世物になったのですけどねぇ」
 突如聞こえてきた抑揚の無い声は実に冷淡に言い放った。異形の騎士はそのまま斧を振りかぶると、地面に鋭く叩きつける。凄まじい衝撃が巻き起こり、固く閉じられた集落の門を突き破る。

「そう言うなよ。先遣隊の嘆きの医師が見せたお涙頂戴ストーリーは実に滑稽だっただろう?」
 お調子者のような声が煽るように続けた。異形の騎士はゆっくりと歩みを進めると、集落の中に足を踏み入れる。

「あーっはっはっは! 違いねぇ! さあ、貴様らはどんな面白い物語をこれから披露してくれるのかなぁ!?」
 大きな笑い声を上げると異形の騎士は広場にあった折れた花を踏みつぶした。彼らにとっては嘆きの医師も幽霊楽師も、所詮猟兵をおびき寄せるための捨て駒でしか無かったのであろう。

 ――己の楽しみのためだけに仲間や民の命すら顧みない元黒騎士の成れの果て、それがブラッドスピットナイツだ。中にいるのは五人。猟兵よ、その全てを討ち滅ぼせ。
七星・彩華(サポート)
 呪詛すらも従える羅刹の妖剣士。
『呪詛で溢れた戦場は私の舞台さ!』
 口調は我が道を行く姐さん、仲間にはフレンドリー。

支配する呪詛も武器として扱う戦闘狂だが、かなりの頭脳派。
武器は魔剣・妖刀とは似ても似つかぬ呪詛刀
戦闘狂だが考えた戦術や戦闘の流れが上手くハマる方が感情が溢れ出る。
闘う事を至高と考える一方で守る者や仲間との共闘も戦闘の重要な要因と考えている。
行動は天上天下唯我独尊を貫く。
猟兵の夫と二人の娘がいる家族4人共が猟兵。


 ユーベルコードは指定した物を怪我は厭わず行動します。
迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはお任せ。よろしくお願いします!


七星・天華(サポート)
 羅刹のガンナーで元気娘。
 基本的にフレンドリーに接する。

『一般人に過度な期待はしないでよね。』

自分は才能など無い平凡な存在だと思っているが実は天才。

二丁拳銃「白雷」と「黒雷」を用いた近距離戦闘も可能で
ナイフや体術も扱える。
装備や戦場の地形を利用した遠近両方の戦闘も可能。
生まれつきの体質と装備の影響で常時帯電している。

世界を放浪して手に入れたアイテムで出来る事の幅が広い。

少々過酷程度の環境は即座に対応適応するサバイバル能力。
美人な元気娘だが暗殺もするデンジャラスな一面も。

家族のみんなが好きだが特に姉が大好きで昔から姉の一番のファン。
出身の隠れ里に自分にもファンが居るとは微塵にも思っていない。



「誰も行かないなら私たちが先陣を切らせて貰おうかねぇ! テン!」
 常闇の呪詛で鍛えられた刀を手にブラッドスピットナイツの前に現れたのは猟兵一家の母、七星・彩華(狂い咲く戦場の華・f32940)であった。彼女にテンと呼ばれた七星・天華(自覚無き天才・f36513)が銃を二丁構えながら後を付いてくる。
「はい、お母さん! 七星家の戦いを見せよー!」
「良い返事だ、さぁ行くよ!」
 そう言うと彩華は呪詛刀を肩に担いで地を蹴った。ブラッドスピットナイツは巨木のような大剣を振り下ろすが、彼女は咄嗟に放った衝撃波で太刀筋をずらすとそのまま懐に跳び込んで刀を振るう。しかし、さすがは黒騎士たちの過去が生み出したオブリビオンだ。呪いに塗れた鎧は呪詛刀の攻撃にビクともせず、容易くそれを弾き返した。
「へぇ、楽しませてくれそうじゃないか」
「ふはははは! 強がりはよせ、猟兵! 本当は泣き叫びたいのだろう!」
「お母さんはそんなことしない!」
 ブラッドスピットナイツの挑発に天華が反応する。彼女は二丁拳銃を続けざまにぶっ放したが、分厚い盾がそれを阻んだ。熱くなって撃ち続けていると、彩華が急に彼女の横に現れて身体を抱えて跳び上がった。
「お母さん!?」
 その瞬間だった。先ほどまで彼女がいたところに鉄塊のような斧が振り下ろされたのだ。彩華はそれを冷静に見ながら着地すると天華を離し、その耳に囁いた。
「良いかい、テン。戦場では決して我を忘れてはならない。そして常に戦闘の流れを頭に入れるんだ」
 彩華の話を聞いた天華は神妙な顔をして力強く頷いた。

「なんだなんだ~? 降参の相談か?」
 再び挑発をするブラッドスピットナイツに対して天華は拳銃を放り投げた。
「うん、そうだよ」
 そのままライトニングダガーナイフを取り出すと、笑って見せる。
「どうしたらキミが降参するのか、ってね!」
 言い終わるや否や天華はブラッドスピットナイツの周囲を走り回る。当然彼は武器を打ち下ろすが、しっかりと周囲を見ている彼女は華麗にその全てを避けていく。
「ふはははは! 逃げ回るだけではないか!」
「逃げ回る? どうやら気づいていないようだね……展開完了!」
 不意に天華が足を止めた。この隙をブラッドスピットナイツが見逃すはずも無い。禍々しい片手剣を一気に横振りする。
「真っ二つにしてくれるわ!!」
「――斬!」
 刃が脇腹に届かんとした直前、天華がライトニングダガーナイフで虚空を切り裂いた。同時にブラッドスピットナイツの装甲の下に展開された無数の斬撃が身体を切り刻む。
「ぐおおぉおおおおお!」
 予想もしなかった攻撃に咆哮して膝を突くブラッドスピットナイツ。彩華はその様子を見ると天華の肩をねぎらうように二度叩き、続けて彼の元へと歩み寄った。
「覚悟しな! その首、叩っ切ってやるよ!」
 彩華が首の近くで呪詛刀を振り上げる。するとブラッドスピットナイツは彼女の方を向き、更に鋭く吼えた。
「ブラッドスピットナイツ……その栄光は永遠なり! 後はお前たちに任せたぞ!」
 兜の中から血が噴き出ると共に、強烈な呪詛が飛び出した。それは兜の中にあった五つある脳の一つを代償にする恐ろしい呪い。生前の黒騎士の姿を象ったそれは黒剣を手に彩華へと迫る。しかし、彼女は全く動揺せずに彼を指差した。
「良い覚悟だ。でもその剣は本当に私を貫けるのかい?」
 途端に彩華の姿が黒い霧に包まれる。黒騎士はその霧目掛けて黒剣を大きく振りかぶった。
「お母さん!」
 天華が大声をあげたその瞬間、黒騎士の手が止まった。彼女の声に怯んだのではない。目の前にいる怪物に恐怖したのだ。
「お、お前は……俺……?」
 黒騎士が最も恐れるのは呪われた武具の力に負けて異形化し元に戻れなくなることだ。今、彼の目の前には正に異形の怪物がいる。
「そうさ。お前はお前自身に喰われるんだよ!」
 怪物と化した彩華がその爪で黒騎士を薙ぎ払う。恐怖によって凍り付いた黒騎士は躱すことが出来ずに切り裂かれた。

「さすがお母さん!」
 見事に五人のうちの一人を倒した彩華を見て天華は大喜びで駆け寄った。彩華は具現化を解くと彼女の頭にポンと手を置き、ニッコリと笑う。
「さすが私の娘だね。テンも良くやったよ」
 天華は嬉しさと恥ずかしさで顔を真っ赤にすると、彩華の胸へと飛び込んだのだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ

知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね

防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー

そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです


高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


中村・裕美(サポート)
副人格のシルヴァーナで行動します
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で近接戦闘特化。性格は享楽的な戦闘狂
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【切断】を【早業】で繰り出す
ドラゴンランスを使うことがあれば、相手を【串刺し】にするか、竜に変えて【ブレス攻撃】
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー
電脳魔術が使えないので裕美の能力が必要な場合は【オルタナティブ・ダブル】で呼び出します

あと、虫が苦手



「くっくっく、一人倒した程度で調子に乗るなよ。やつは我々の中でも最弱……」
 ブラッドスピットナイツはそう言うと盾を地面に叩きつけた。凄まじい衝撃で地面が割れ、足が八本の馬が飛び立つ。彼はヒラリとそれに騎乗すると鉄塊のような大剣を振りかぶり、集落の家に向かった。大剣が住民諸共家を破壊しようとしたその時、一人の影が飛び出す。
「御伽噺の住人たちよ、私をどうかお守り下さいませ」
 凛とした声と共に絵本を開いて立ちはだかったのは高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)であった。一見頼りないその姿にブラッドスピットナイツは笑うと、そのまま力強く大剣を振り抜く。
「なにっ!?」
 彼が驚いたのも無理はない。大剣がまるで絵本に吸い込まれるかのようにその姿を消したのだ。茉莉は絵本を高く掲げると続けて言った。
「御伽噺の住人たちよ、どうかその力をお示し下さいませ」
 彼女の言葉が終わるや否や、絵本のページから大剣が飛び出した。それはブラッドスピットナイツが繰り出した威力には遠く及ばないが、予想だにしていなかった彼のスレイプニルを驚かせるには十分であった。八本足の馬は鋭く嘶くと彼を振り落として天高く駆けて行く。
「ふん。スレイプニルなぞいなくても貴様を殺すことなぞ造作も無い!」
 振り落とされたブラッドスピットナイツは立ち上がると大盾を振り上げて茉莉目掛けて振り下ろした。躱そうと思えば躱せただろう。しかし、茉莉は一瞬背後にある集落の家々のことを考えてしまった。
「死ねい!」
「メェー!」
 大盾が彼女を押し潰そうとしたその時、デフォルメ調の可愛らしい白羊が彼の膝の裏に頭突きをした。如何に強固な鎧と言えど関節部分は稼働しやすく出来ている、故に彼は酷くバランスを崩して後方に倒れ込んだ。
「茉莉さん、今の内にこっちへ来るです!」
「は、はい!」
 茉莉の手を引きながら広場へと誘導したのは幼いオラトリオのミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)だ。先ほど頭突きを繰り出した羊は彼女が呼び出したらしい。
「メェーメェー!」
 羊は起き上がろうとするブラッドスピットナイツに繰り返し体当たりで攻撃をしていたが、ついに彼の大きな手によって捉えられてしまった。苦しそうにもがく羊を見て慌てるミスティをブラッドスピットナイツが見下ろす。
「はっはっは、ついに捕まえたぞ! このまま手の中で捻り潰してくれる!」
「やめてー!」
 何とか押し留めようとするミスティの意思が強いオーラとなってブラッドスピットナイツを襲うが、巨躯を誇る彼はビクともしない。それどころか手に込める力が強く大きくなっていく。
「メェーーー!」
 とりわけ大きな鳴き声があがったその瞬間、羊を掴む彼の腕が根元から断ち切られた。巨木のような腕が轟音を立てながら地面に転がり落ち、解放された羊がミスティへと駆け寄る。
「羊さん! 良かったです……」
「今のは一体……?」
 茉莉が目を凝らすと、そこには切断された腕の上に立つ中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)の副人格シルヴァーナの姿があった。彼女の周りには白い光を纏った虫が漂っている。何が起こったかわかっていないブラッドスピットナイツであったが、切断された腕から噴き出すどす黒い血を見て、全てを理解した。
「貴様ああああああ!」
 我を忘れたブラッドスピットナイツはシルヴァーナへと武器を振り回す。しかし、大ぶりなそれは彼女に当たること無く空を切った。その隙を狙ってミスティの羊が猛スピードで駆けていく。
「同じ手が二度通じると思うなよ!」
 ブラッドスピットナイツは再び羊を捉えようと腕を伸ばすが、突如羊が炎のオーラを纏い火球のようになった。あまりの熱さに掴むことが出来ない彼の手を飛び出し、羊は何度も強烈な頭突きをお見舞いする。
「ふう、間に合いましたね」
 白羊に炎のオーラを纏わせたのは茉莉であった。先ほどのお返しとばかりに何度も突撃を繰り返す羊にミスティは声援を送る。

「くそがっ! 召喚者をぶち殺せば良いんだろう!」
 業を煮やしたブラッドスピットナイツは立ち上がると羊を捨て置いてミスティに向かって走り出した。十本ある足が大地を揺らし、あっという間に彼女に肉薄する。
「死ねっ!」
 血塗られた斧を振りかざして足を踏み込んだその時、ブラッドスピットナイツは大きくよろけてしまった。彼は先ほど切断された自身の腕を踏みつけてしまったのだ。それを見た茉莉が魔法を放ち彼の足元を爆発させる。九本の足が地を離れたが、何とか最後の一本で踏みとどまった。このままでは彼がバランスを取り戻してしまうだろう。
「何とか次の手を……」
「いやああああああ! 蟲ですわ!!!」
 茉莉の思考を中断したのはシルヴァーナの悲鳴だった。声のした方を見ると、シルヴァーナが自身に纏わりつく白燐蟲に対してナイフを振り回している。白燐蟲はのらりくらりとそれを躱すと飛び立ち、ブラッドスピットナイツが何とか倒れまいと踏ん張っていた足へと止まった。
「このわたくしから逃げられるとでも!?」
 シルヴァーナはドラゴンランスを呼び出すと大きく振りかぶって白燐蟲目掛けて投擲した。ドラゴンランスは空を切り裂くように突き進むと、あっと言う間にブラッドスピットナイツの足を貫く。彼は再び地鳴りと共に倒れ込んだ。

「助かりました!」
「ありがとうなのです、シルヴァーナさん!」
「メェー!」
 茉莉とミスティに礼を言われたことでシルヴァーナは正気を取り戻した。ブラッドスピットナイツの腕を切断したところまでは覚えているが、そこから先の記憶が抜け落ちている。辺りを見渡すと、起き上がろうともがくブラッドスピットナイツの姿が見えた。
「あれは……わたくしのドラゴンランス……?」
 いつの間にか彼の足を穿った自身のドラゴンランス。その柄の上で白燐蟲が二度瞬いたことに、彼女は気が付かなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!


シフィル・エルドラド(サポート)
『皆に元気を分け与えにやって来たよ!』 

ハイカラさんの勇者×国民的スタアの女の子。
 普段の口調:明るい(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
 嬉しい時の口調:ハイテンション(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

元気一杯で天真爛漫な性格をしていて、ポジティブな思考の持ち主。
困っている人や危機に陥っている人は放ってはおけず
積極的に助ける主義です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


土御門・泰花(サポート)
※アドリブ・連携・苦戦描写・UC詠唱変更・その他歓迎

「あらあら……。大変な事態です。微力ながらお手伝い致します」

一人称:私
口調:基本的に敬語。柔和な印象を与える口ぶり。
表情:基本的に柔和な笑みを湛え、義憤もその下に隠す。
性格:普段はおっとりだが「陰陽師の家系の当主」という自覚があり、凛々しくみせる時も。

先ずは私や仲間へ【オーラ防御/結界術】展開、守りを。

【早業/軽業/地形の利用】で移動。

敵の攻撃は防御結界で弾き、物理攻撃は薙刀で【武器受け】し薙刀or式神の黒揚羽で【咄嗟の一撃/カウンター/2回攻撃】。

UCは戦況と効果次第で適切なものを使用。
可能な限り【早業】で敵のUC発動前に発動。

後はお任せ。



「よくも俺をコケにしてくれたな! 貴様ら、皆殺しにしてくれる!」
 激昂したブラッドスピットナイツは九本の手で各々武器を握りしめると、辺り構わず振り回し始めた。それは広場の枯れ木をなぎ倒し、廃屋を叩き潰し、そしてついにケットシーのニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)目掛けて振り下ろされた。
「お守りします!」
 瞬時にニノンの周囲に結界が張られ、ブラッドスピットナイツの大剣が弾かれる。ニノンが振り向くと、そこには護符を手にした土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)の姿があった。
「素晴らしい結界です! これならば限界まで詠唱した破壊光線を撃てるに違いありません!」
 ニノンはどこかテンションが上がった様子で言うと、エレメンタルロッドを手に詠唱を開始した。杖の先端で白炎がうねる様に湧き起こり、球体を形成していく。
「させるかぁ!!」
 ブラッドスピットナイツは吼えるとありとあらゆる武器をニノン目掛けて振り下ろした。大剣が、大斧が、斧槍が、次々と結界に当たっては弾かれていくが、大盾が強く叩きつけられたその時ついに結界にヒビが入った。
「ニノンさん、退いてください!」
 再び結界を張ろうとした泰花であったが、ブラッドスピットナイツの猛攻の前に阻まれる。しかし、退かない。ニノンはその場から一切動こうとしない。
「いいえ、退きません! あと少しで詠唱が完了するのです、それまで絶対にここを動くわけにはいかないのです!」
 特大の破壊光線をオブリビオンに撃ち込む。それを至高の喜びとするニノンが退くはずがない。例え目の前の結界に何度も大盾が打ち付けられてヒビが広がっていってもその信念は揺るがない。
「死ねぇ!」
 ブラッドスピットナイツが全体重を乗せた大盾で結界に一撃を加えると、ついに結界が割れて木っ端微塵となった。大盾は勢いそのままにニノン目掛けて突き進む。
「そんなことさせないんだから!」
 ニノンの数センチ手前まで迫ったそれに盾を掲げて受け止めたのは、現地にテレポートされた直後のシフィル・エルドラド(ハイカラさんの勇者・f32945)であった。彼女はそのまま盾に力を込めると、大盾を弾き返す。それを見た泰花は霊符を掲げると力を込めた。
「ふふ、自身の技を受けたことはありますか?」
 彼女がそう言うや否や霊符から九本もの武器が飛び出し、ブラッドスピットナイツ目掛けて振り下ろされた。予想だにしなかった攻撃に怯むと、彼は八本足の馬を召喚して騎乗し、天高く舞い上がる。
 盾を構えながらその様子を見ていたシフィルはニノンへ声を掛けた。
「ニノンさん、魔法の詠唱はあとどれくらいで終わりそう?」
「そうですね……五分……いや、三分でやってみせます!」
「わかったわ、それまで持ちこたえてみせる!」
 シフィルは機関銃を手に取ると上空のブラッドスピットナイツに銃撃を開始した。聖なる弾丸が彼の腕を穿ち、手にしていた武器が地へと落ちる。
「スレイプニルよ、行け! あいつを屠るのだ!」
 怪馬は大きく嘶くとシフィル目掛けて突撃を開始した。背に乗るブラッドスピットナイツが大剣を振りかぶる。
「その程度の動き、手に取るように分かるよ!」
 シフィルはまるでその動きが最初から分かっていたかのように躱すと、返す刀でスレイプニルを斬りあげる。傷ついた怪馬はブラッドスピットナイツを振り落すと天へと駆けあがってしまった。

「さあ、ついに詠唱完了です!」
「くそっ、させるか!」
 詠唱を終えてエレメンタルロッドを掲げたニノン目掛けて、ブラッドスピットナイツがクロスボウを放つ。しかし、それは再び張られた泰花の結界によって虚しく弾かれてしまった。ニノンはニヤリと笑うと、実に楽しそうに続けた。
「ぶっ飛ばしてさしあげます!」
 凄まじい大きさの魔力の球体がエレメンタルロッドの先端に吸い込まれ、極太の光線となって発射された。咄嗟に大盾を構えるブラッドスピットナイツであったが、極限まで高められた魔力にあっさり突き破られる。これまで幾多の攻撃を受け止めてきた要塞のような大盾を、猟兵たちはついに破壊することに成功したのだ。
「ふふふ、盾ごとぶっ飛ばせばどうとでもなるんです」
 一仕事終えた彼女の顔は、どこか誇らしげであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。

亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」

動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。

また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。

なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。

依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。



「大盾など無くても俺にはこの鎧がある!」
 ブラッドスピットナイツは八本の腕で各々武器を握ると立ち上がった。元黒騎士であった頃の防具が五領合わさった鎧は実に強固であり、そう易々と打ち破れそうには無い。
 しかし、厳・範(老當益壮・f32809)はそれを承知で彼の前に立ちはだかると雷公鞭を鋭く振るった。鞭から電撃が蛇のように放たれ、鎧に直撃する。
「ふはははは! 無駄だと言っただろう!」
 ブラッドスピットナイツは大声で笑うと大剣で薙ぎ払った。厳範はその軌跡を見切ると、わずかに身体をずらしてそれを躱して焦熱鎗から炎を飛ばす。炎は鎧にまでは到達するが、中にいるオブリビオンを浄化することは出来なかった。
「なるほど。大言壮語と言うわけでも無さそうだな。ならば、こうするまでよ」
 厳範は麻雀牌を掌に乗せると握り込み、開いた。先ほどまで麻雀牌であったものが無数のスズメバチに姿を変えブラッドスピットナイツの鎧の関節部分に潜り込み、中身へと攻撃を開始する。鎧を頼みの綱にしていた彼はパニックに陥った。
「くそっ! こんな手で……! 貴様も道連れにしてくれる!」
 ブラッドスピットナイツの身体が一瞬だらりとすると兜の中から血が噴き、強烈な呪詛が飛び出した。呪詛は狼へと姿を変えると、牙を剝いて厳範に襲い掛かる。
「それを待っておったのだ」
 厳範は全く慌てずに焦熱鎗を手に取ると、鋭く突いた。槍の先端から炎が噴き出し、狼を呪詛ごと焼き尽す。

 脳を代償にしてまで放った呪いは厳範によって完全に浄化されたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

七星・桜華(サポート)
『天魔流免許皆伝、更なる高みへと!』
『これが闘うための意志と覚悟だよ!』
『一か八かの勝負?必要無いね!私達の勝ちだ!』
『後は派手に騒ぐんだ!誰も倒れないようにね!』

隠れ里に伝わる『天魔流』歴代最年少で派生流派も含めての免許皆伝。

腰に挿している六振りの刀と扇子を振るう。
物理的な技術を異能のUCにまで昇華させた。
闘う姿は艶やかな舞踏が如く空中戦もできる。
殺気や覇気を残像に残し分身と勘違いさせる事も。
防御無視の内部破壊を当たり前に行う。
柔剛の技を扱い両立させる。

第六感による閃きで様々な戦場で勝利に導く。
勝利に辿り着く道筋を最短最善で進む。
優れた第六感で賭け事も強い。
家事も万能。
両親と妹も猟兵である。



「これが闘うための意志と覚悟だよ!」
 七星・桜華(深紅の天魔流免許皆伝・f00653)は崩滅鬼刃・千子村正を握ると、まるで宙を蹴るかのように跳び上がった。十メートルはあろうかという巨躯のブラッドスピットナイツであるが、桜華はその遥か上から刀を真一文字に振り下ろす。既に大盾を失っている彼は頭を守るように腕を差し出したが、千子村正は易々とそれを切断した。
「その太刀筋、同胞を屠った猟兵に似ている……まさか?」
 地面に転がる腕を見ながらブラッドスピットナイツは呟いた。それを聞いた桜華は刀の切っ先を彼に向けると口を開く。
「そのまさか、さ。あんたの中の一人を斬ったのは私のおふくろだよ」
「ほう……やはり……」
 ブラッドスピットナイツは二度三度頷くと身体を震わせ、大きく咆哮した。
「ならば貴方を生きて返す訳にはいかないですね! 同胞の仇、この私の命と引き換えてにしても討たせて貰います!」
 ブラッドスピットナイツは短剣を自身の兜に突き立てた。血と共に漆黒の影が飛び出し、桜華目掛けて襲い掛かる。
「呪詛の類か。と、なると恐らく……」
 すれ違いざまに刀を振るうが全く手応えが無い。漆黒の影は彼女を嘲笑うように飛び回ると分裂し、四方から一気に飛び掛かった。桜華は静かに刀を鞘に納めると、目を閉じる。
「ふふふ、観念しましたか。それでは喰わせて頂きますよ」
 漆黒の影はまるで生き物かのように大きく口を開く。その瞬間、桜華は目を見開くと力強く吼えた。
「闘気を解き放つ!」

 ――刹那。

 彼女を中心に凄まじい爆風が巻き起こり、迫る影全てを消し飛ばしたのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
 人間のスーパーヒーロー×剣豪、女の子です。
 普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「やれやれ、もう三人やられてしまったか。それじゃ次は俺がお相手しよう」
 そう言うとブラッドスピットナイツは身体を起こして斧を握りしめた。複数ある手足の一部が動かないのは、兜の中の脳が二つまでに減少しているからだろうか。優勢な状況ではあるが、星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)は油断せずに聖剣を構えた。

 戦いは一方的であった。杏梨の剣戟に押されたブラッドスピットナイツは距離を取ってクロスボウを放つが、彼女はそれを一瞬で見切って回避する。杏梨はクロスボウの反動でふらついたブラッドスピットナイツに接近すると聖剣を振り抜いた。流星のような軌跡が彼の足を薙ぎ払い、巨躯が音を立てて地面に倒れ込む。このまま追撃すればあっさり討ち取れると思われたが、杏梨はあえて彼に近づかなかった。
「もしかして俺に同情しているのかい? 構わないさ、殺りたまえよ」
「誘っても無駄よ。それが罠だということに私は気づいているわ」
 冷静な杏梨の声を聞いたブラッドスピットナイツはしばらく押し黙ったかと思うと身体を震わせて笑い出した。
「そうかそうか、バレていたのか! 何故気づいた?」
「中身が四人、三人に減少しても全ての手足が動いてたのに、二人になった途端に動かなくなったのは不自然。クロスボウは銃と違って射手が後ろに引っ張られる反動は無い。そして貴方たちは自分を犠牲にして猟兵を道連れにしようとする傾向がある。これで十分かしら?」
「なるほど。それじゃあ見破られた俺がどう動くかも当然わかっているわけだ……。ブラッドスピットナイツ……その栄光は永遠なり!」
 彼は斧を高々と掲げると自身の兜目掛けて振り下ろした。破壊された部位から凄まじい量の呪いが飛び出し、巨大な斧へと実体化していく。斧はまるで意思があるかのように飛び回ると、その残忍な刃を杏梨へと向けた。
「この剣に、私の誓いを込めて」
 杏梨が聖剣を胸の前に掲げると黄金のオーラが揺らめき、髪がなびき始める。

 次の瞬間。
 彼女の聖剣が巨大な斧を捉えて真っ二つにしたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。

悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。

 ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「ふん、どうやら最後に残ったのは俺のようだ」
 ブラッドスピットナイツは大剣を肩に担ぐとぶっきらぼうに言った。兜と鎧から噴き出る血は恐らく彼の同胞の四人のものなのだろう。
「俺たちを罠にハメようとしてこれじゃあザマァねぇな」
 そんな彼の前に立ちはだかり啖呵を切ったのは陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)であった。ところが、最後の一人となったブラッドスピットナイツの中身は実に愉快そうに笑うとそれに答えた。
「そんなことはないぞ。俺は命が失われる様を見るのが大好きだ。それが例え同胞であろうと手駒だろうと関係ない。お前らのお陰で実に面白いものを見させて貰ったわ!」
「へっ、とんだ下衆野郎だぜ。ま、その方がぶっ飛ばし甲斐があらぁな!」
 柳火が抜刀すると同時にマタタビ丸が炎に包まれる。ブラッドスピットナイツの大剣もまた闇に包まれた。両者は同時に地を蹴り、すれ違いざまに一閃する。刀と大剣が擦れあう金属音が辺りに鳴り響き、お互いの腕に重い感触が伝わった。
「ちっ、腕前は本物みてぇだな……」
 わずか一合ではあるが、ブラッドスピットナイツの膂力を感じるには十分であった。腕が痺れ、刀を握る手に力が入らない。他の四人とは明らかに違う実力だ。
「ふはははは! まさか俺と撃ち合って生きてる者がいるとはな! では本気を出させて貰おう!」

 今の一撃は本気ではなかった。

 とんでもない事実が柳火を襲う。ブラッドスピットナイツは大剣を大上段に構えると漆黒のオーラを纏い始めた。渦のように湧き起こるそれに反応して柳火の尻尾がビリビリと震える。
「……ふざけた野郎だぜ」
 柳火はそう呟くと懐から猫用携帯食を取り出して一気に吸った。芳醇なカツオの香りが口中を満たし、全身を魔力が駆け巡る。途端にマタタビ丸が纏っていた炎が膨れあがり、彼女の身長の三倍程の長さへと変貌した。
「これが俺の命を賭した一撃だ。受けてみよ、小童!」
「上等だ! 受けて立つ!」
 辺りをも包み込み闇に覆われた大剣、それが彼女の頭に降り下ろされた。柳火は一切それを避けることなくマタタビ丸で受けると全身の力を込めて押し返えそうとする。力と力がぶつかり合い火花を散らす、それは正に命の削り合いと言っても良い闘いであった。
「くぁおらあああああああ!」
 一際大きく柳火が咆哮する。途端に大剣に亀裂が入り、マタタビ丸の炎が燃え移った。じりじりと亀裂が大きくなり、ついには彼女の膂力が彼を上回る。気づけばマタタビ丸の炎の刀身は大剣ごとブラッドスピットナイツの身体を両断していた。

「はっはっは! 実に見事なり!」
「あ? まだ生きてんのか、てめぇ……」
 仕留めたことを確認しようとした柳火にブラッドスピットナイツの上半身が声を掛けてきた。とどめをさそうとマタタビ丸を振り上げる彼女を手で制すると、彼はそのまま続ける。
「まあ、待て待て。俺はもうじき死ぬ。仮にさっきの戦いで俺が勝ったとしても死ぬ定めであったのだ」
「どういう意味だよ」
「ふっふっふ、言っただろう? 俺の命を賭した一撃だ、とな。文字通り俺は自身の命を賭けたのだ」
 ブラッドスピットナイツは自身の脳を代償にした呪いの一撃を放つ。先ほどの一撃は彼の最後の脳を代償としていたのだ。
「ああ、お陰で俺は俺自身の命が失われる様を味わうことが出来る。貴様には感謝して……」
 そこまで言うとブラッドスピッツナイトの手が地に落ち、辺りに静寂が訪れた。柳火はマタタビ丸を鞘に納めると、再び猫用携帯食を手に取る。
「……ほんっとにふざけた野郎だぜ」

 ニヤリと笑うと、彼女は一気にそれを飲み干したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年10月03日


挿絵イラスト