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7thKING WAR㉓〜過去から来たイケメン

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #召喚魔王『パラダルク』

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#召喚魔王『パラダルク』


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「ガールズよ、お前たちは私の力だ。水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇、この世界を構成するすべてからお前たちは生まれる。それがたとえ私と敵する者であったとしてもだ」
 相貌整った男が、傍らに侍る少女達を撫でながら言う。角を生やし黒い薄衣を纏った少女たちは、ただそれだけで濃厚な愛撫をされたかの如くその身を震わせ、男にしなだれかかった。
「だがお前たちは、そして私は敗れた。遥か遠い過去、最早顔も思い出せぬがあの忌々しい小僧……『成長』などというものを扱う青二才に!」
 熱を帯びる男の声。顔も知らぬと言いながら相手が年少であることを当然のように言うのは、その過去が紛れもない真実だからか。
「過去の恥は過去の力で雪ごう。かつてはただの見た目と性格の揺らぎ程度だったが、黒きガールズよ、お前たちは過去の力を司るものとなった。この若き力で! 今度こそあの忌まわしい餓鬼……碎輝を殺す!」
 こことは異なる世界の支配者の一人を、恨みぬぐえぬ大敵のように吐き捨てる男。
「……だが、それを邪魔する者がいるようだ。私をここに召喚したガチデビルには感謝するが、どうやら奴が買っている恨みまでこちらにかぶせられてしまったらしい。第六の猟兵よ、私はお前たちに積極的に敵するつもりはない……と言っても恐らく聞くまい。私を倒さねば連鎖的に奴を止めることもできず、何より……この手の連中は帰れと言って帰った試しなどないからな」
 まるでそれを身を持って知っているかのように言うのは、やはり忘れかけた遠い過去が彼に何かを教えているからか。
「まあ良い、どうせ奴らに私は倒せない。だが、それだからと言ってむざむざ殺されてやるつもりもない。ガールズよ、知っているだろう? 若い私は……あまり優しくない」
 そう言って男は少女を乱暴に、力強く抱き寄せる。
「私の力を知っても向かってくるならば……碎輝と同じく奴らも、私が乗り越えるべき『試練』という事だ! 『試練』を乗り越えてこそ強くなる! あの糞餓鬼が、私に屈辱と共に刻み込んでくれたことだ!」
 抱き潰さんばかりの抱擁。だがそこに込める力は、少女ではなく宿敵に向けた熱。
 それを分かっていても少女は主に栄光あれかしというように、その身を彼に寄せるのであった。


「こんにちは、7thKING WARの依頼です……」
 アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)が集まった猟兵たちに一礼する。どうやら猟兵が来るまで読書していたらしく傍らには本が置かれているが、なぜかカバーが裏返しにかけてあり本の内容は一切伺い知れない。
「今回の敵は『召喚魔王『パラダルク』』。ガチデビルが特級契約書で呼び寄せた「異世界の魔王」です」
 あらゆる悪魔、魔王を従わせることができる特級契約書。その契約には魔王とて逆らえない。
「彼は銀河帝国攻略戦にあった『実験戦艦ガルベリオン』と同一艦と見られる戦艦を拠点とし、その中で何らかの「儀式」を行っているようです……」
 異世界のものをオブリビオンが操る。最早上級オブリビオン相手となれば驚くにも値しないことだ。
「彼は遠い過去、碎輝さんに殺されたことがあるようで、彼の事を片時も忘れられないほどその身に色々と刻まれてしまったようです。儀式も、恐らくは、何らかの手段で碎輝さんを殺すためじゃないかと……」
 カクリヨファンタズムの竜神親分、碎輝。最弱にして最強たる彼を倒すため、パラダルクは魔王として蘇ったのか。
「なので、儀式を止めるため彼と戦うことになります。彼は水・光・土・火・樹・薬・風・毒・氷・闇の十属性に纏わる全てを、『ドラグナーガール』という女の子に代えてきます。これは呼吸する空気やユーベルコードであったも例外ではありません」
 これらの属性に一切抵触しないもの、それを探すのはかなり骨だろう。
「ですが、これは大昔に碎輝さんと戦った時からあった力。今の彼はそれに加え、過去属性と未来属性……つまり『時間』さえ操る能力を持っています」
 復讐のため新たな力を得た、その執念は本物のようだ。
「今回のパラダルクは過去属性を持つ、黒い服を着たドラグナーガールを主に使役してきます。その影響か、彼の姿も若いイケメンとなっています……碎輝さんよりは、それでも年上ですが」
 アレクサンドラの顔がちょっとにやついたように見えるのは多分気のせいではあるまい。だが、その表情はすぐに引き締められる。
「彼はドラグナーガールを用いたユーベルコードを必ず先制で用いてきます。もしこれに対処できなければ、その瞬間に皆さんの負けが確定します」
 そう、まさにスペースシップワールドで未来の白と過去の黒が用いてきた、対処せねばそれで終わりとなる絶対先制。その力を、彼もまた持つということだ。
「それともう一つ、彼はほぼ間違いなく、倒せません。無敵とかではないです。ただひたすら、強すぎるからです」
 無敵の力を持つ敵は今までもいた。だが特殊能力に類するそれと違い、パラダルクは単純な実力により、今の猟兵では倒し得ぬ存在ということだ。
「彼の後ろには、召喚した者とは別に『儀式』のために踊り続けるドラグナーガールが大勢います。彼女たちを全滅させれば、パラダルクはここでの儀式を諦め撤退します。これが、今回の勝利条件です。踊っているガールズは、パラダルクのため文字通りに『何があっても』踊りをやめません。戦闘用ガールズとパラダルク本人を抜ければ、やりようはいくらでもあるでしょう……」
 死ねと命じられれば喜んで死ぬ、それほどまでの忠義ということか。
「彼は猟兵をそこまで目の仇にはしていません。ただ、碎輝さんへの思いを邪魔する者に対しては容赦しませんし、『試練』として乗り越えるため猟兵との戦いには躊躇ないようです……憎みながらも、碎輝さんと同じような思考をしてしまっていますね……」
 敗北した以上当時の力そのままでは勝てない。それ故修行や儀式を積むのは間違っていないはず……なのだが、なぜかさっきからアレクサンドラの言い回しがおかしい気がするのはなぜだろうか。
「条件が多く大変な敵ですが、きっと突破口はあるはずです。そうなれば、いつかは彼の思いをきちんと砕く日も……そのために、よろしくお願いします……」
 そう言ってアレクサンドラはグリモアを起動し、猟兵をガルベリオン内部へ送り出すのであった。

 猟兵が去った後、アレクサンドラは閉じていた本を再び開いて読み始める。
「熱血ショタの真っ直ぐな心に多数の女性を囲うイケメンが消えないものを心身に刻まれる……」
 ぶつぶつ言いながら本を読むその顔は、普段の彼女から創造もできないほどのにやけ顔であった。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。公式が最大手。
 今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス……敵の先制攻撃ユーベルコードに対処する(しない限り必ず苦戦か失敗になる)/踊るドラグナーガール達を倒す』

 まず強敵おなじみの先制攻撃ですが、これに対処しない、あるいは対処不十分だった場合、それ以外の行動に関わらず必ず判定は『苦戦』か『失敗』になります。このためプレイングは成功以上のものを優先的に採用していきます。
 また、パラダルクは超強敵のため、基本的に倒せません。無敵とかではなく、ステータスが桁違いに高すぎるだけです。その代わり、彼の後ろで踊る『ドラグナーガール』が全滅することで彼が行っている儀式が失敗となり、そのまま撤退します。ドラグナーガール自体はさほど強くありませんし、儀式の完遂だけを考え死ぬまで踊り続けます。もちろんパラダルクも妨害をかけてくるので、それを躱して踊るガールズを攻撃してください。
 一応倒せないだけで攻撃事態の効果はあるので、足止めや攪乱のためパラダルクを攻撃するのは普通にありです。

 今回主に召喚されるドラグナーガールは『アンヘルブラック』と名付けられた、過去属性を持つ黒い服の方です。一見イケイケだけど物凄い尽くすタイプが多めです。

 ちなみにアレクサンドラはあんな言い回しをしていますが、パラダルクが碎輝に向けているのは純粋に憎しみだけです……多分。
 そしてこんな紹介の仕方していますが、『やや難』かつまず倒せないレベルの相手です。判定は普通に厳しめなのでお気を付けください。

 それでは、過去の侵攻をせき止めるプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『召喚魔王『パラダルク』アンヘルブラック』

POW   :    パスト・ガールズ
レベルm半径内を【ドラグナーガールの大軍】で覆い、[ドラグナーガールの大軍]に触れた敵から【ユーベルコードの使い方の記憶】を吸収する。
SPD   :    リピートコード
【戦場内のドラグナーガールのいずれか】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、戦場内のドラグナーガールのいずれかから何度でも発動できる。
WIZ   :    パラダルク・パラダイム
【水光土火樹薬風毒氷闇の十属性】によって【ドラグナーガールの軍勢】を発生させ、自身からレベルm半径内の味方全員の負傷を回復し、再行動させる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
ええ、お相手願いますぅ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、『FIS』の瞬間移動で壁際まで移動し攻撃の来る方向を制限、『FMS』のバリアと『FGS』の重力壁、『FTS』半数と『FAS』の障壁に『FXS』の結界を多重展開しましょう。
相手の強さ故破られるのは想定済、性質の違う多重の守りを破る為に必要な手数と時間を利用し【UC】発動まで時間を稼ぎますねぇ。
残る『FIS』は緊急回避&攻撃時の移動に。

そして【乳霹宙】を発動、限界まで『反動』を許容し『乳白色の雷』を放射、軍団と踊り手を一気に狙いますぅ。
『雷球』に捕えて彼女達の攻撃と儀式を阻害、[砲撃]による[追撃]で踊り手を叩きましょう。


シャルロッテ・ヴェイロン
まぁた銀河帝国幹部絡みですか。最近このネタ多いですねぇ…。

バイオリュウグウノツカイを【操縦】してエントリー。敵【先制攻撃】で現れた兵士の動向を【第六感・野生の勘】で【見切り】、光線銃で【弾幕】を張りながら【ダッシュ】で回避しつつ【時間稼ぎ】。そして隙を伺って――

さすがにこの【属性攻撃】はないでしょう。「無属性(属性がない+すべてを無に帰す)」の【指定UC】の【一斉発射】で【蹂躙】しちゃいましょう!(【誘導弾・2回攻撃・制圧射撃・乱れ撃ち】)

そしてその勢いで敵陣に突撃、敵本体の攻撃を【電脳転身】ですり抜け、踊り子たちにも無属性【指定UC】で撃破しましょう!

※アドリブ・連携歓迎



 グリモアの転移を抜けた先、そこはデビルキングワールドではあまり見ることのない、機械に囲まれた場所だった。
 その光景を見て、シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)は嘆息する。
「まぁた銀河帝国幹部絡みですか。最近このネタ多いですねぇ……」
 7thKING WAR開戦前、アポカリプスヘルで倒されたドクター・オロチが最初にオブリビオンとして姿を現したのが銀河帝国攻略戦であった。さらに少し遡れば未来視の力を持った四の王笏カルロス・グリードなど、銀河帝国の力を利用する異世界のオブリビオンは存外多くいる。
「さて、私は忙しいしお前たちに恨みもない。ここは行き止まりだ、他の奴らを当たれ」
 その銀河帝国が用いた『実験戦艦ガルベリオン』の中で、多数の少女を侍らせた男が猟兵たちを出迎えた。その男の後ろでは、薄衣の少女達が一心不乱に舞いを舞っている。男の名はパラダルク。特級契約書で呼び出された異世界の魔王であり、かつて彼を殺したという竜神親分、碎輝に殺意を燃やす復讐鬼であった。
「……と言って帰ってくれたら苦労はない。どうせお前たちも、私を阻まねば気が済まないのだろう?」
「ええ、お相手願いますぅ」
 最初から交渉の余地など双方見ていなかったとばかりに、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も彼の言葉を受ける。そしてそれと同時に、無数の少女……ドラグナーガールたちが猟兵を取り囲んだ。
 彼女たちはパラダルクのユーベルコードによって生み出された存在。そしてその包囲は、猟兵のあらゆる行動に先んじてなされる。それは生み出し、指揮するパラダルクの圧倒的な実力によるものだ。
 そしてそれにユーベルコードを用いず対抗しなければならないのは、二人にとって初めての事ではない。
 るこるは浮遊戦輪を四肢に嵌め飛行し、短距離での瞬間移動で距離を稼ぎながらその前に防御を敷き詰めていく。バリア、重力、障壁、結界、さらには物体収納用の空間まで広げ、ドラグナーガールたちの追撃をかわそうとするるこる。
 その防御にドラグナーガールたちは殺到するが、一人一人はそこまで強くないという前評判通り突破にはそれなりに手間取っているようだ。
「小器用なものだ。少し手伝おう」
 それを見て、パラダルク自身が前に進み出る。パラダルクはバリアに手を当てると、それが薄紙か何かでしかないかのように苦も無くその壁を押し破った。
「やはり、相当な……」
 彼が決して倒し得ない圧倒的強者だということは聞いていた。だから破られることを前提に、多重の防御と回避でドラグナーガールたちの接触を拒んだのだ。
「おっと、こちらも逃げさせてもらいますよ!」
 シャルロッテもまた、巨大深海魚、『バイオリュウグウノツカイ』に騎乗し逃げ回る。
「そちらにも人手を割く必要はあるか。だが動けば風は起こり、その下には影という闇がある」
 バイオリュウグウノツカイの軌跡をなぞるように、そこからドラグナーガールたちが発生しシャルロッテを追い回す。相手の追撃をかわしながら、光線銃を撃ちかけて相手を押し返すシャルロッテ。光線銃の光からもドラグナーガールは生まれるし、パラダルクに当たってもまるでダメージを受けているようにも見えない。
 それでも、二人は逃げ続ける。相手のユーベルコードを使う記憶さえ奪うドラグナーガールに触れてしまえば、それだけで一気に負けも同然のところまで追い込まれるのだ。だから、あらゆる手を持って接近を拒み続ける。そしてパラダルクがいかに強かろうと、彼は一人しかいない。二人を同時に追い込むことはいかに彼とて出来ないのだ。
 そして、ドラグナーガールの攻勢が緩んだ一瞬。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その裁きの御印をここに」
「攻撃プログラム展開。敵に直接コマンド入力といきますよ!」
 二人は【豊乳女神の加護・乳霹宙】と【ATTACK COMMAND】を発動。乳白色の波動が辺りを包み、攻撃プログラムがドラグナーガールたちに襲い掛かった。
「これで私を止められると?」
 波動の雷球が当たっても、パラダルクは身じろぎ一つしない。だが、それも想定の内。るこるが限界まで反動を許容し狙うもの、それは後ろで儀式のために踊るドラグナーガールたちの方だ。
「なるほど、確かにこいつらが倒れれば私がここにいる意味はなくなる……だが、雷、そしてそちらの技からもドラグナーガールは生まれるぞ」
 パラダルクは二人の放ったユーベルコードからもドラグナーガールを生み出そうとする。しかしそれもまた、シャルロッテは予想していたことであった。
「さすがにこの【属性攻撃】はないでしょう。『無属性』!」
 ドラグナーガールが生まれ得ぬ属性。その矢と共に、一気に踊るガールズへ駆け寄るシャルロッテ。流石にパラダルクも止めようとするが、一瞬体を電脳に代えてそれをすり抜ける。
「あとは時間まで!」
「はいぃ」
 シャルロッテの至近距離からの乱れ打ちと、るこるの差し向けた兵装が踊るドラグナーガールたちを殲滅していく。何があっても踊ることを止めないという話の通り、彼女たちは踊り続けるまま無抵抗に倒され続けていく。
 そしてパラダルクが僅かに本気を出し、二人を一瞬にして跳ね除ける。その瞬間を迎える僅かな間までに、二人は眼に見えるほどの数のドラグナーガールを殲滅することに成功するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
あんたの因縁にはとりあえず興味がないし、邪魔はしないから通してくれ……が通ればお互い苦労しないか
ともあれ、時間をかけていられないんだ。押し通らせてもらうぞ

神刀を抜いてドラグナーガールの元へ
まずはダッシュで移動、一部に斬撃波を放って牽制する事で囲まれないように位置を調整して方位を突破
大量の配下を相手にまともに戦っても仕方ないので、基本は牽制のみに留めて強行突破を

突破した所で素早く、肆の秘剣【黒衝閃】。地面に刀を突き立てて黒い衝撃波を発生させる
再度迫ってくる敵を吹き飛ばしつつ、土煙などを起こして僅かに身を隠してから儀式担当のドラグナーガールの元へ

邪魔をされるまえに、一気に斬り込んで倒してしまおう


キング・ノーライフ
万物を篭絡して配下にする美丈夫…か、よもや我と似た敵が現われるか。しかも勝ちきれん相手と来たか。悔しいがここは目的だけ果たそう。

【ヴァーハナ】に乗り込み、【運転】で敵の攻撃を【見切り】ながら【目潰し】の煙幕を放つ。我は機械の神、古代よりある属性の後進とはまた別の者なり。故に奴の実体験に無い見せない触れさせない手など幾らでもあるわ。

先制攻撃を凌いだら【弾幕】と【制圧射撃】で当たったガールズ全てに【王への供物】で美少年に変えてやろう。これでガールズとしての力は使えん。変え直すも一瞬では済まんし、二撃目の誘惑が効けばぶつけ合わせれば良し、ダメでも生命力を吸い取って倒し切ってしまおう。神を舐めるなよ。



 召喚魔王『パラダルク』。彼はオブリビオンではあるが、猟兵に対してそこまで強い敵意を持っているわけではない。彼の目的は自らの仇である少年の捜索と殺害であり、如何な行動をとるかはすべてそこに集約されていると言っても良かった。
「あんたの因縁にはとりあえず興味がないし、邪魔はしないから通してくれ……が通ればお互い苦労しないか」
 そんな彼に対し夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)が戦闘回避を申し出つつも、すぐに自らそれを取り下げた。
「その通り。残念だがここを行き止まりとせねば私の望みは叶わない。そしてお前たちも、帰ってくれと言ったところで帰らないのだろう」
 そしてパラダルクも同じ様に、適うなら戦いを回避しても構わぬと言いすぐに自らそれを否定した。直接敵する理由はなくても、互いの到達点に至るための手段が衝突している以上ここで戦うしか道は無いのだ。
「万物を篭絡して配下にする美丈夫……か、よもや我と似た敵が現われるか。しかも勝ちきれん相手と来たか。悔しいがここは目的だけ果たそう」
 パラダルクは例え熟練の猟兵であっても倒すこと能わぬ敵。それであってもキング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)は相手を自身と同じ属性を持つものとみて怖じることなく相手に向き合った。
「同じとは、大きく出たものだ。奴に殺された己を最強などと自惚れてはいないが、お前たちが私を倒し得ぬということは分かっている。その自信の根源、奪わせてもらおう」
 パラダルクの指示の元、ドラグナーガールたちが戦場を埋め尽くすほどに発生し、猟兵へと群がり始めた。パラダルクの言通り、彼女たちに触れればそれだけでユーベルコードを使うための記憶が奪われる。
 その少女たちの軍勢に、男たちはまず距離を取った。
「我は機械の神、古代よりある属性の後進とはまた別の者なり。故に奴の実体験に無い見せない触れさせない手など幾らでもあるわ」
 キングは鳥を模した外観を持つ装甲車、『ヴァーハナ』に乗り込み、急ぎ距離を取る。巧みに車体を操りドラグナーガールたちから離れていくが、あらゆる属性から発生できる彼女たちは先回りするかのようにヴァーハナの前、あるいは下に湧きだし、無理矢理に車を止めて乗り込もうとまでしてきた。
「生憎だが乗車拒否だ」
 それに対し、煙幕を張ることでドラグナーガールたちの視界を塞ぎさらに距離を取るキング。あらゆるものから発生できることこそ強みだが、特別な感知手段などは持たない彼女たちは闇でも光でもない目潰しにたちまちキングの居場所を見失った。
「触れてはいけないなら」
 その煙の中、『神刀』を抜きつつ走って距離をとった鏡介は勢いよく刀を振り、斬撃波を巻き起こす。キングの撒いた煙さえも断つほどの鋭い衝撃が鏡介の正面を切り裂き、そこにあるものを両断した。触れずして敵を切るその技術ならば、個々の能力はさほどでもないドラグナーガールを押し返し、切り裂いていくこともできる。
 そうしてそこだけに穴の開いたかのごとき空間に、鏡介は体を滑り込ませる。全てのドラグナーガールをまともに相手取っても仕方がない。今倒すべきは、自身に群がってきている者たちではないのだ。
「神刀解放。剛刃に依って地を穿つ――肆の秘剣【黒衝閃】」
 そしてその開いた空間こそ敵の先制を凌いだ証。鏡介は肆の秘剣【黒衝閃】を放ち、黒き衝撃波を発生させた。
 それが狙うのは穴を埋め、自らに追いすがろうとしていたドラグナーガールたち。そして、自らも動こうとしたパラダルク。
「ほう、こちらに技を撃つか……!」
 単純で重い衝撃波が、戦艦の床を破壊し周囲に煙を巻き起こす。奪われなかったこの技を用いてさえ、パラダルクの足を一時止めることがやっとだ。
 だが、本当に切るべき相手にはこの力は大きすぎでもある。一瞬にして鏡介は踵を返し、戦艦の奥側、儀式のために踊るドラグナーガールたちの群れへと切り込んだ。
「そこが狙い、分かってはいた……」
 そこにドラグナーガールたちを引き連れ攻め込もうとするパラダルク。だが、後ろからそれを止める王の声が響いた。
「我への贄に相応しい姿になるがいい」
 煙を貫きヴァーハナから放たれるガトリング砲の弾。それがパラダルクに従うドラグナーガールたちを次々打ち倒していく。
「死体でも欲するか? どうせいくらでも湧く者だ」
 それに構わず、パラダルクは次のガールズを発生させようとする。だが、その目の前で倒れたガールズは消えず、別の者へと姿を変えていく。
「言っただろう、似た敵が現われるかと」
 ガールズが姿を変えたもの、それは神に捧げられるに相応しい美しい少年であった。敵さえもを見眼麗しいものに変える。そう類を見ない能力でありながらここに邂逅したは、キングにとってはまさに奇縁と言えることであった。
「さあ、この王のため戦うのだ」
 キングの指示の元、美少年となったドラグナーガールはそうでないものを止めにかかる。パラダルクがドラグナーガールを元に戻そうとするが、流石の彼も『ドラグナーガールをドラグナーガールに変える』などということは経験がなくそれにも手間取る。
 最大の障害であるパラダルクが手を取られた。その瞬間を切り開くは研ぎ澄まされた刃。
 鏡介は儀式の場に一気に斬り込んでいき、踊るドラグナーガールたちを切り捨てた。一切の抵抗をしない彼女たちは、鋭き剣の前に瞬く間に散っていく。
 さらにそこにキングもガトリングの弾を向け、外縁のドラグナーガールたちの生命を吸って倒していく。
 倒せぬ相手、なれど挑まざるを得ない。そして、屈せず己の目的を達するためには何を斬り、撃てばよいか。
 倒せぬとされた敵に勝利するその技巧は、ユーベルコードの記憶以上の猟兵の力であった。
「神を舐めるなよ」
「人間もな」
 その力がいずれこの男をも食い破る。それを示すかの如く、二人は儀式を破壊していくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

外地・瑞希
僕の使おうとしているユーベルコードはPOW。
しかし相手はその使い方を忘れさせてくる……
裏を返せばそれは『ユーベルコードが使えなくなるだけ』になりますよね?
それなら僕のスルガの機動力と出力を生かしてドラグナーガールの大軍を相手すればいいだけです。
僕のスルガは伊達ではない、ということを見せてあげます!


荒谷・つかさ
●POW対抗

よくわかってるじゃない。
そう、『試練』なのよ。私にとってはお前達がね。
正直恨みは無いんだけれど、乗り越えさせて貰うわよ!

敵先制コードの効果はこちらのコードの記憶の吸収
下手をすれば、吸われた記憶を元にこちらのコードを使われる可能性もある
であれば、私の取るべき対策は一つ
「ユーベルコードを使わない」ことよ
普通であれば、己の埒外の象徴たるコードを封じて挑むなど愚の骨頂
でも、生憎と私は普通じゃない
鍛錬の末に獲得し未だ成長を続ける私の「怪力」は、生半可なユーベルコードを凌駕する
この「怪力」を活かした近接格闘術にて、呼び出された大軍も儀式中の連中も悉く粉砕するわよ



 パラダルクは碎輝、そして猟兵を『試練』と呼んだ。その『試練』を乗り越えることで己はより高みへと至り、やがて宿願を達するのだと。それは皮肉にも彼が憎悪を燃やす碎輝と似た思考であり、そしてそれに復讐するための力を得た原動力となっていた。
「よくわかってるじゃない。そう、『試練』なのよ。私にとってはお前達がね」
 そして、そのパラダルクもまた、猟兵にとっては今の実力では決して倒せないと明言された高き壁である。
 それでこそ挑む価値ありと、荒谷・つかさ(逸鬼闘閃・f02032)はパラダルクに正面から向かい合った。
「正直恨みは無いんだけれど、乗り越えさせて貰うわよ!」
 その挑戦に、パラダルクは多数のドラグナーガールを差し向けることで応える。
「恨みがないのはこちらも同じ。良かろう。いかに私を抜くか、それを見せてみろ」
 ドラグナーガールたちの動きは決して見切れぬほどではないが、その数は圧巻。そして何より、彼女たちはその体そのものが今までにない驚異的な武器なのであった。
「僕の使おうとしているユーベルコードはPOW。しかし相手はその使い方を忘れさせてくる……」
 猟兵を始めとし、多くの異能の者が使う世界の理さえ書き換える力、ユーベルコード。それはしばしば様々な手段で無効化や反射されることもあるものだが、策を持ってその守りを抜くのも戦いの常道だ。だがそれの使い方そのものを忘れてしまえば、如何な強力な技、緻密な策とて意味をなさない。外地・瑞希(人機一体の鬼神・f36226)はそのかつてない敵の力に、己のユーベルコードが恐らく使い物にならなくなるであろうことを危惧する。
 さらには記憶を吸収するということは、その使い方が相手のものになるということ。知っていれば真似できるというほど単純なものではないだろうが、パラダルクの圧倒的な実力ならそれを可能にしてしまうかもしれない。
「裏を返せばそれは『ユーベルコードが使えなくなるだけ』になりますよね?」
「であれば、私の取るべき対策は一つ」
 そこで二人は、余りにも思い切った策に出た。それは。
「『ユーベルコードを使わない』ことよ」
 真正面から、ドラグナーガールの大群へとつかさが組み合った。その体から何かが消えていくような気がするが、つかさはそんなことは気にしない。自分と組み合ったドラグナーガールを、まるで枯れ木かのように容易くへし折った。
 さらに横では、瑞希が『スルガ』を駆りドラグナーガールの群れを蹴散らしていく。これもまた取り付いたドラグナーガールによって機体越しに何かが奪われていくが、それも気にせず鋼鉄の体を持って強引に相手を跳ね飛ばしていく。
「ほう! これは……!」
 あまりにも思い切った奇策。だがドラグナーガールの身体能力そのものは決して高いとは言い難く、また彼女たち自身は攻撃用のユーベルコードを持っているわけではない。小細工なしの真っ向勝負、それは存外彼女たちへの対策としては有効だったのだ。
「普通であれば、己の埒外の象徴たるコードを封じて挑むなど愚の骨頂」
 つかさ自身も自覚している通り、ユーベルコードを使わないというのは本来それだけで大きすぎるハンデ。勝てる戦いをむざむざ落とす愚行でしかない。
 だがユーベルコード以上に、頼みにするものが二人にはあった。
「それなら僕のスルガの機動力と出力を生かしてドラグナーガールの大軍を相手すればいいだけです」
 瑞希は絶対の信頼を寄せるスルガを持って、ドラグナーガールたちを高速で蹴散らしていく。その早すぎる動きにガールズはついていくことができず、右往左往しては跳ね飛ばされるばかりだ。
「でも、生憎と私は普通じゃない」
 そしてつかさは、ドラグナーガール一人ずつに指を引っかけるだけで、数人を纏めて持ち上げた。
「鍛錬の末に獲得し未だ成長を続ける私の「怪力」は、生半可なユーベルコードを凌駕する」
 ただ力強い、それだけでユーベルコードに能うとばかりに、そのドラグナーガールたちを投げ飛ばし儀式の方へ投げつける。肉の砲弾となったガールズは儀式の中に着弾し、辺りを巻き込みながらぐちゃぐちゃの肉塊と成り果てた。
「僕のスルガは伊達ではない、ということを見せてあげます!」
 そして儀式の場に乗り込み、大暴れする瑞希。
 速さと強さ、ユーベルコードだけが力ではないとばかりに振るわれるそれは、その単純な暴力で儀式を破壊していく。
「これは確かに驚いた。学ぶべきがあったと言おう」
 その儀式の場に、パラダルクが近づく。その足取りは一見緩やかだが、決して近くない距離にいたはずのその身は一瞬で猟兵に肉薄していた。
「そしてこれもまた、乗り越えるべき『試練』だと!」
 そうして左右の手でつかさとスルガを掴み、強引に自分の方に引き寄せてしまった。
 これもユーベルコードでも何でもない。パラダルクの、如何な猟兵をもってしても倒せぬと言われた単純な地力だ。それはただ掴むだけでつかさも振りほどくことができず、スルガも一切の機能を止められたかのごとく動けない。
「属性……そしてユーベルコードを扱えるだけでいい気になっていた私を戒めてくれた。それに感謝しよう」
 一人と一機が徐々に持ち上げられていく。抵抗していないのではない。してもまるで効果がないのだ。
「そして私の儀式と可愛いガールズを破壊してくれた……それも合わせ礼をさせてもらう。授業料だ、受け取れ!」
 パラダルクはそのまま両者を思い切り振り回し、自分の真正面で衝突させた。強烈な破壊音が鳴り響き、両者が床に投げ出される。
「この戦い方……確かに学ばせてもらった」
 二人の後ろには破壊されたガールズの骸が散らばっている。学んだ代償は大きかった。パラダルク恐らく本心からそう思っていよう。
「なるほど、『試練』ね……!」
「僕のスルガは、きっと彼にだって負けない……!」
 策も何もない、単純な力のぶつかり合い。その勝者が誰であったかはこの状態では分からない。だがこの試練において得るべき、越えるべきものが確かにあることは、誰の胸にも確かに刻まれていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アノン・カノン
わー、かわいい女の子がいっぱいだー。
えっと、やっつけるのは、あの真ん中のおじちゃん…じゃなくて、向こうで踊ってる女の子だね。
よっし、アノンもがんばるよー!

先制UCは、Jumpin'Rumpのジェット(【推力移動】)で【空中機動】して避けるよ。
女の子達、空は飛べないみたいだから、空中までは女の子いっぱいにはならないと思うんだけど、どーかな。

反撃はUCで呼んだパパにお願い!
パパは無敵だから、女の子になんてされないし、おじちゃんに攻撃されてもやられないもんね!
そのまま女の子達を【蹂躙】して、踊ってるコもやっつけてもらうよ。


シエナ・リーレイ
■アドリブ可
わたしも混ぜて!とシエナは舞踏会に飛び込みます。

少女達が楽しく踊る場へと舞い降りたシエナ、己が目的を果たす為に踊りに混ざり始めます
踊りの最中、シエナは少女達と触れる事になりますが今回のシエナが奮うユーベルは使い方を忘れても少女達と仲良くなるという目的で踊っている時点で自然と発動条件を満たしてしまいます

テンポを上げていくよ!とシエナは舞い踊ります。

少女達に親愛と好意を向けながらも[暗殺]者の如き身のこなしで男性の攻撃を避ける内にシエナは気分を高揚とさせてゆきます
そして、高揚に伴いシエナは無意識の内に少女達へ[怪力]による凶行に及び始め、男性の攻撃を少女を盾にして防ぎ始めます



 ガルベリオンの中で、ドラグナーガールは踊り続ける。それは享楽のためではなく、主の望む『儀式』を命がけで完遂するため。それは何があっても止めることが許されず、そして彼女たちにそのつもりもない。主がためのその死の舞踏会は、しかし踊り手の姿ゆえに美しく妖艶であった。
「わー、かわいい女の子がいっぱいだー」
 アノン・カノン(零の堕とし仔・f20149)がその光景を見て、無邪気にそう言った。そしてその光景の前に立ちはだかるのは、また別の少女を従えた一人の美丈夫。
「えっと、やっつけるのは、あの真ん中のおじちゃん……じゃなくて、向こうで踊ってる女の子だね。よっし、アノンもがんばるよー!」
 幼い仕草で豊かな体を揺らすアノンに、パラダルクは自分の周りに侍る少女達を差し向けた。
「未来の私を見たらどう評するのだかな。だが私の儀式は止めさせぬ。すべて忘れ、そのまま去れ」
 パラダルクに侍る多数のドラグナーガールたちが、一気にアノンに向けて殺到する。それに囲まれる前に、アノンは背負った赤いランドセル『Jumpin'Rump』からジェットを噴き出し、空中へと退避した。ジェットの勢いで短いスカートが舞い上がり丸い尻が露になるが、それも気にせずアノンは空中を飛び回る。
 ドラグナーガールたちはそれに飛びつこうとするが、飛行能力がないことも相まって飛び跳ねても手は届かず、結局互いが邪魔になってその場で重なり崩れていくばかりだ。
「地にいるもので足りないか、だがドラグナーガールはどこからでも生まれ得る」
 ジェットの炎から発生したドラグナーガールが、アノンを掴もうと手を伸ばす。だがアノン自身が高速で移動している故に、それは叶わずそのまま落ちていくばかりであった。
 空中までは少女で満たせない。アノンの予想は確かに当たり、そこがドラグナーガールで埋め尽くされることはなかった。パラダルクはそれを、絶え間なくドラグナーガールを発生させることで埋めようとする。
「それもいつまで持つか……」
「わたしも混ぜて! とシエナは舞踏会に飛び込みます」
 その見上げるパラダルクの横を通り過ぎ、シエナ・リーレイ(取り扱い注意の年代物呪殺人形・f04107)が踊るドラグナーガールの中へ飛び込もうとした。
 だが、その動きはパラダルクに捕まれ簡単に止められる。
「何もせず私を抜けると思ったか? 甘く見られたものだ。ガールズ、適当にこれを処分しておけ」
 地に倒れるドラグナーガールの群れの中にシエナを放り込むパラダルク。ガールズは立ち上がり、シエナに纏わりついてユーベルコードの記憶を奪っていく。
 そのままなぜか踊りだすシエナをもう脅威はないとしたか、再びパラダルクはアノンの方へ視線を移す。だがそこにいたのは、筋骨隆々の体を持つ中年の男だった。
「パパ、あのひとたちをやっつけて!」
 空中からのアノンのお願いに答え、彼女の【無敵のパパ】はパラダルクを通り過ぎ踊るガールズの方へと向かった。パラダルクはシエナと同じようにそれを掴んで止めようとするが、猟兵を遥かに超えるはずのその力を男は容易く振り切りガールズへと向かって行く。
「な、なぜだ! 私の力がこの男より劣るというのか!?」
 パパの力はアノンが信じる限り文字通りに無限大。いかにパラダルクが桁違いの強さを持つとはいえ、無限に比べればその力は小さいのだ。
 そのまま踊るドラグナーガールを掴み上げ、軽々と叩き潰すパパ。
「わたしと一緒に遊びましょう! とシエナはお友達候補との交流を始めます」
 それに混ざるように、いつの間にかシエナも踊りの場に紛れ込んでいた。彼女を止めていたドラグナーガールはどうしたか。パラダルクがそちらを見れば、彼女たちは既に物言わぬ骸となってそこに倒れ伏していた。
「何故……お前の力は確かに奪われたはず!」
「テンポを上げていくよ! とシエナは舞い踊ります」
 パラダルクの問いにシエナは答えない。その体をパラダルクが殴りつけるが、確かに当たったそれはしかし致命傷を与えるには至らなかった。
 シエナの持ち込んだユーベルコードは、不利な行動をすれば自己強化として発動するもの。そしてシエナは気に入った相手とは戦闘を放棄してまで戯れだすことも多い。
 ドラグナーガールはあくまで使い方の記憶を奪うだけで、ユーベルコードそのものを封じるわけではない。発動条件が緩く満たしやすいものを持ち込むことで、シエナは記憶をなくしても高確率で発動するよう予め仕込んでおいたのだ。
 そして不利な行動で強化された力で、【ジュリエッタ・リーレイの願い】を叶えるようにドラグナーガールたちと戯れだす。それはつまり、相手を『お人形』に変えてしまうこと。
 まるで人形を破壊するように、手足をもぎ、中身を引きずりだし始めるシエナ。
「おのれ、やめろ!」
 パラダルクはシエナを殺してでもそれを止めようとするが、シエナはドラグナーガールを盾にするように動いて隠れ、さらに無敵の続くパパがそれを受け止め跳ね返す。
「パパ、凄ぉい……❤」
 パパの活躍にアノンもうっとりと頬を染める。彼女の想像が続く限り無敵のパパ。記憶を失えばたちどころにその無敵は消えることだろう。だがそう言った条件が付くことで、そうならない限りの無敵はより強固となるのだ。
 パパはアノン本人ではなく、シエナは記憶がなくても勝手に動いていればユーベルコードが発動し続ける。
 そしてこの状況であっても、ドラグナーガールは絶対に踊りを止めなかった。逃げることも、主に縋ることもせず、ただただ市の瞬間まで愚直に命令を遂行し続け、やがては全員が主命の中に息絶えていった。
 全てのドラグナーガールが斃れたところで、パラダルクは攻撃の手を止める。
「私のドラグナーガールたちが……こうなればもうここにいる意味もない」
 顔を顰め、吐き捨てるように言うパラダルク。
「お前たちをこのまま殺すことは恐らく容易い。だが、私にはそうしている暇もない。なれど私にこれほどの屈辱を刻んだ者は碎輝以来だ。それは忘れぬ!」
 怒りを滲ませパラダルクは言う。
「猟兵よ、やはりお前たちは『試練』だ……恐らくまた会うこととなろう。その時は……超えてくれる!」
 そのまま残った戦闘用ドラグナーガールと共に去っていくパラダルク。猟兵でも倒し得ぬとされた彼を追うことは今は出来ない。だが、その強者もまた猟兵を『強敵』と認めた。これが後にいかな宿縁を残すのか。それはまだわからない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月15日


挿絵イラスト