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7thKING WAR㉒〜竜の頭、3つ揃うとかしましい

#デビルキングワールド #7thKING_WAR #東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』

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#東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』


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●魔界随一の ニ セ 乱暴者ってジャッジメントガールが評しているだけありました
「えー、と……東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』と中継が繋がっています」

 何で????????????????
 招集に応じた猟兵たちは宇宙猫顔になった。
 招集した終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)もちょっとスルーし辛い何ともいえなさを感じる複雑な表情をしながらモニターを切り替える。

『ゲヒャ~ッヒャッヒャッヒャ!
 こうして会話するのは初めてだから初めましてになるカぁ!?
 オレサマが東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』ダぁ!!

 あっそこのグリモア猟兵とかいう奴宛で菓子折り合わせ送っといたからみんなで分けて食えよナぁ。疲れた時には糖分補給、これは悪魔も人間も同じだゼぇ?』
「ああ、はい。届いております。あくまかろん」

 日明は届いたあきらかに量が入っていそうな紙袋からお菓子を取り出して集まった猟兵全員に配る。
 「あくまかろん」はデビルキングワールドでも人気のお菓子だそうで、何でもどら焼きとマカロンが悪魔合体したかのような和洋折衷っぷりである。
 あんこにカスタードクリーム、チョコレートクリームはもちろんのこと各種フルーツソースと生クリームを組み合わせた666種もの味があるとかどうとか。
 これをわざわざ猟兵の人数分、スーパーカオスドラゴンが送り状手書きして宅配便に出したらしい。
 いくらなんでも律儀ってもんじゃねえ。

『オレサマはカオス……「混沌魔法」の具現体!ダレがナニをヤろうともぜ――――んぶカオスにしてやるゼぇ!
 ってぇワケでいつもオレサマは戦う前に予め挨拶に回ってるんだゼぇ。カオスになるってことはご近所にも相当ご迷惑がかかっちまうからナぁ。きちんと段取りってもんは必要だロぉ?
 オレサマに挑む権利を手に入れたテメエらにも当然きっちり挨拶しとかネぇと東のラスボスの名が廃るからナぁ!』

 流石デビルキングワールドでキング候補に選ばれたラスボス、真面目さもスケールが段違いである。

『つーワケでそこのグリモア猟兵とかいう奴があとは説明してくれるだろうからオレサマはそろそろ失礼するゼぇ。テメエらが全力で勝負しにくるのに備えて精神統一して待ってっからヨぉ!』

 ぷつん。通信が切れた。
 猟兵たちの間をしばらく沈黙が支配する。
 いや……だってねえ?いくらなんでも反応困るじゃんね???色々な意味で。

「えー、まあ、はい。彼はそういうお人柄のようですね。
 ニセ乱暴者とはよく言ったもので……それはさておき戦争の話です。
 先程も本人が仰っていたように、スーパーカオスドラゴンに挑むことができるようになりました。
 彼を倒せば、我々猟兵側が7thKINGの暫定候補者となり、ガチデビルの即位を少なくとも一ヶ月程阻止できる見込みです」

 ガチデビルへの牽制という意味でも挑むのは決して悪い選択ではないし、何より自らの実力を試す良い機会とも言える。
 ラスボスだからね。

「で、今回僕が予知したスーパーカオスドラゴンの戦闘法ですが……見た目通りの3頭の竜であることを活かし、この頭それぞれがその時に応じて3つの役割に分かれてきます。
 まずひとつ。『ラスボスらしく真面目に猟兵を挑発する担当』」

 何それ?????
 猟兵たちの宇宙猫な視線にみなまで言うなと言いたげに日明は首を横に振って説明を続ける。

「まあどういうことをするのかは言わずともお察し頂けますでしょうので次いきますね。
 もうひとつは『口からカオスレーザーを放つ担当』。これも説明せずともわかりますので次。

 最後は『デスボイス詠唱担当』」

 なんて???????????????????????

「ご安心ください、残念ながら皆さんの耳がおかしいのではありません」

 そこは、聞き違いって、言って欲しかった――!!!そう切実に叫んだ猟兵もいてもいいしいなくてもいい。
 というかそれ安心して欲しいのか残念なのかどっちなんだよ。流石の少年兵士もデビキンのノリについていけなくなってオーバーヒート寸前か??

「デスボイス詠唱はスーパーカオスドラゴンの混沌魔法『カオスのメロディ』という強化魔法の詠唱です。
 ええ、はい。文字通りデスボイスで歌い続けるんです。
 そして、歌い続けている間、デビルキングワールド中からカオスパワーが彼に注がれ、どこまでもパワーアップするという非常に強力な魔法。
 これら3つの役割を頭がそれぞれ時と場合に応じて担当し、敵を翻弄しつつも激昂させることで冷静さを奪い、着実に各個撃破をするという。色々と聞かなかったことにしたい単語はありますが実に合理的な戦法を用いてきます」

 だが、うまいことそれぞれの頭を対処してどれか一つを封じてしまえばそれだけでも猟兵たちの有利に運ぶことは可能だ。
 挑発を各々のやり方でさらっと流し、あるいは言い返し、デスビームをくぐり抜けて詠唱を止めれば猟兵たちの勝利は間違いなく保証されるだろう。

「まあ、はい。頭が痛くなるような説明をして申し訳ないのですが、こうとしか説明しようがないのでご容赦頂けますと僕としても非常に助かります。ええ。
 とりあえず、準備のできた方から転送しますので備えは万全にしてくださいね。あくまかろんはまだまだあるので持って帰りたい方はどうぞ……」

 日明の背後には、何か今確認されている全猟兵の人数分あるんじゃねえかってぐらいに大量の紙袋が積み上がっていた。
 律儀なんてレベルじゃねえんだよなあ、と遠い目になりながら、これもデビルキングワールドを護る為と割り切った猟兵たちは決戦の地へ向かう――!


御巫咲絢
 タイトルのかしましいは竜の字が3つならんで竜竜竜(かしま)しい、と読みます(謎のこだわり)。
 ルビまではタイトルに入り切らなかったのでMSコメで供養します。
 このシナリオは難易度は「やや難」で、トンチキ度合いは皆様のプレイング次第です。
 というわけでどうも、初めましての方は初めまして御巫咲絢です。
 シナリオ閲覧ありがとうございます!御巫のシナリオが初めてな方はお手数ですがMSページもご一読くださると幸いです。

 戦争シナリオ2本目をお届けします。
 ご丁寧にわざわざご挨拶どころかお菓子まで送ってくれたスーパーカオスドラゴンとの戦いです。
 段取りと挨拶回りに定評があるらしいですがそういうとこやぞデビキン悪魔!!!!!と思いました。
 先程も申しましたが難易度は「やや難」です。
 めちゃくちゃ面白いプレイングでも判定で苦戦や失敗が出てしまったら泣く泣く不採用にさせて頂く可能性がございますので予めご了承ください。

●シナリオについて
 当シナリオは『戦争シナリオ』です。一章で完結する特殊なシナリオとなっています。
 また、当シナリオには以下のプレイングボーナスが存在します。

●プレイングボーナス
 3つの頭部に対応する(どの首の相手をしてもOK)。

●プレイング受付について
 受付開始は『5/11(木)8:31』から、締切は『クリアに必要な🔵の数に達するまで』とさせて頂きます。
 受付開始前に投げられたプレイングに関しましては全てご返却致しますので予めご了承の程をよろしくお願い致します。
 オーバーロードは期間前OKですが、失効日の有無の都合上執筆が後の方になりますのでご容赦ください。

 頂いたプレイングは『5名様は確実にご案内させて頂きます』が、『全員採用のお約束はできません』。
 また、『執筆は先着順ではなく、プレイング内容と判定結果からMSが書きやすいと思ったものを採用』とさせて頂きます。
 以上をご留意頂いた上でプレイングをご投函頂きますようお願い致します。

 それでは長くなってしまいましたが、皆様のプレイングをお待ち致しております!
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第1章 ボス戦 『東のラスボス『スーパーカオスドラゴン』兇』

POW   :    ウルトラカオスレイジ
【湾曲した無数の角や爪を生やしたカオスな姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    ダブルカオスビーム
【詠唱している口以外の2つの口】から、戦場全体に「敵味方を識別する【カオスビーム】」を放ち、ダメージと【ランダムな効果】の状態異常を与える。
WIZ   :    カオティックデスボイス
【『悪魔ならカオスに染まれ』】の主張を込めて歌う事で、レベルm半径内の敵全てに【敵味方識別不能】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

バルタン・ノーヴェ
【ダマスカス】POW
アドリブ連携歓迎!
今回はアディリシア殿とのコンビプレイであります!

あんこたっぷりのあくまかろん、とても美味しかったデース!
お礼に後ほど、デビルカップ麺をお作りしマース! 麺から。
栄養補給も万端!
という訳で全力勝負であります!
いざ、「六式武装展開、金の番!」

アディリシア殿を守る(ほぼ)無敵の防具、バルタン・アーマーと化して装着デース!
ヘイヘイ、挑発担当ヘッド殿! 全然効いていマセンヨー!
と口頭バトルを行いつつ、側面からガトリングガンやらグレネードランチャーやらを展開して支援攻撃を行いマース!

動けないワタシデスガ、防御はお任せを!
遠慮容赦のない暴れっぷりを楽しみにしてマース!


アディリシア・オールドマン
【ダマスカス】POW
アドリブ連携歓迎だ。
今回はバルタンと組むことにしている。
久方ぶりの共闘だが、よろしく頼む。

マカロンか。
うむ。美味い。良い職人が作ったものだな。
感謝する。これほどの気遣いを受けたのだ。
……全力で応えねばなるまい。
気力も体力も有り余っている。いざ、戦おう。

バルタンを装備して、防御と口撃はすべて任せた。
私は口下手でな……殴った方が、良く伝わる!
巨大な敵に効くのは、巨大な武器だ。
マクシモスでたたっ斬り、あるいはロンギヌスで殴り飛ばす。
挑発に耳を傾けず、力任せの……防御も回避も考慮しない全力攻撃を強行する。
カオスドラゴン。貴様の耐久力と私たちの持久力。
どちらか先に尽きるか、根競べだ!



●Power is Power.
「ふむ……マカロンか」

 スーパーカオスドラゴンが送ってきたあくまかろんを、アディリシア・オールドマン(バーサーカーinバーサーカー・f32190)はまじまじと興味深く眺めている。
 サイズはどら焼き、見た目はマカロンのような感じのお菓子で、手にしているのはつぶあん味だ。

「手に持った時の側の感触はマカロンデスネー。では、せっかく頂きましたので勝負飯としていただきマース!」

 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)もまたアディリシアと同じつぶあん味を手に、さっそく一口。

「――!!!」

 瞬間、バルタンに電撃走る!!
 それはとてつもなく奇跡のような絶妙なバランス。
 側の感触はどう触ってもマカロンなのに、いざ一口食べたらマカロンのさくっとした食感の後にすぐどら焼きの皮特有のふわっふわとした食感へと変化。
 甘さ控えめに仕立てているおかげでこしあんの純粋な甘さが尚引き立つ、最早「素晴らしい」以外の語彙がなくなる程の衝撃的でまるでサキュバス級の魔性を備えたお菓子だった。
 アディリシアもその食感と味に目を少し見開いた後、ほっこりとした表情でもぐもぐとその味を噛み締めている。

「これは……!!是非デビルキングワールドのあくまかろん販売店のパティシエ殿にご教授願いたい程デスネー!」
「うむ、美味い」

 かくして、あくまかろん一個をあっという間にぺろりと平らげた二人。
 美味しく、お腹も膨れて心もほくほく。
 このようなものを予め送ってくるということは、真正面から堂々と、ワルーく戦いたいということなのだろう(多分)。
 最後に水分補給をして、お互いに備えを万全にしていざ転移陣へ。

「久方ぶりの共闘だが、よろしく頼む」
「お任せくだサーイ!」

 がし、と硬く握手を交わし、スーパーカオスドラゴンの下へと向かう――!


「ゲヒャ~~~ッヒャッヒャッヒャッヒャァ!!待ってたゼぇ猟兵たち!!」

 スーパーカオスドラゴン――の、挑発担当の頭――は中継でも予兆でも見た特徴的な笑いで二人を出迎える。
 尚、既にデスボイス詠唱は行われており戦場のBGMがどう考えてもデスメタル……なのだが何か時々めちゃくちゃファンシーな魔法少女モノのようなサウンドにデスボイスがついてるとかいうギャップつきで集中力削がれそうになる。

「どうよ、オレサマ直々に送った「あくまかろん」の味はァ!!」
「あんこたっぷりなのを頂きマシタ!とても美味しかったデース!」
「ああ、さぞ良い職人が作ったものなのだろう。感謝する」
「ゲヒャ~~~ッヒャッヒャッヒャァ!そいつぁ重畳って奴ヨぉ!」

 スーパーカオスドラゴン、超ご機嫌である。本当にニセ乱暴者とはよく言ったもので。
 
「お礼に後ほどデビルカップ麺をお作りしマース!麺から」
「「麺から!?!?」」
「(流石バルタン……お前であればあのあくまかろんも再現できそうだな……)」

 尚実際にあくまかろん販売店のパティシエに師事できるかどうかはこのデビルキングワールドの未来がどうなるか次第である。
 つまり、そういう意味でも世界を護らなければならない(?)――ましてや、目の前のラスボスは自分たちを煽りはすれど決して"下に見てはいない"。
 ちゃんと礼儀を尽くした上で挑もうとしているのだ。
 ……ますます乱暴者やカオスという概念って何だっけ?となるがそれは言ってはいけない。

「これ程の気遣いを受けたのだ……全力で応えねばなるまい。気力も体力も有り余っている」
「YES!あくまかろんのおかげで栄養補給も万端!全力勝負であります!」
「ゲヒャヒャッ、いいゼぇかかってこいヨぉ!!オレサマを屍にして山の上に積み上げる覚悟で挑んできやがレぇ!!」

 デスボイス詠唱がサビに突入すると同時に――スーパーカオスドラゴンがレーザーを発射!!

「まずは小手調べで不意打ちしてやるゼぇ!!避けてみナぁ!!」

 流石デビルキングワールドの東のラスボスにして7thKING候補、真っ当な会話から唐突に卑怯な行いへと動きを変えるのも非常に素早い。
 だがここはデビルキングワールドである。郷に入っては郷に従え――バルタンたちもそのワルワルな攻撃に真っ向から対応する為の準備は整えていた!

「いざ!"六式武装展開、金の番"!」

 瞬間、バルタンの姿がアディリシアを包むように变化し、割り込むと同時にデスボイス詠唱で溜め込まれたカオスレーザーの攻撃を防ぐ!
 【金城鉄壁(インバルナラブル)】はバルタン自身をその時の状況に合わせ、仲間が装備できる防具へと変化させるユーベルコード。
 一切動くことができないというデメリットはあるが、仲間が身に纏うのであればそれすらもデメリットにならぬどころか最強にして最硬の盾と化すのである。

「ヘイヘイ!挑発担当ヘッド殿!これぐらいは痒くすらもないデスヨー!」
「ほォ~~~~~言うじゃねえか猟兵!!でもテメエどうやって喋ってんだそレぇ?」
「企業秘密でありマース!」

 そうして変化してスーパーカオスドラゴンの攻撃を凌いだバルタン・アーマーをアディリシアが身に纏う。
 その上で構えるは圧倒的な威力と質量を持つ巨大斧『マクシモス』、そして持ち手の痛覚すら狂わせることで人体の限界を度外視した能力を発揮できるミートハンマー『ロンギヌス』。
 これら二つを手に、防御と口撃を全てバルタンに任せ、アディリシアはゆっくりと真正面から攻める。

「私は口下手でな……殴った方が、良く伝わる……!」
「力 is Powerってカぁ?いいゼぇ、そういう単純なのは嫌いじゃねえどころか大好きダぁ!!真正面からカオスに突っ切ってやろうじゃねえカぁ!!」

 デスサイズ詠唱が二度目のBメロに突入すると同時に、スーパーカオスドラゴンの体から無数の湾曲した角、爪が生える。
 大きな咆吼と共にその獰猛なあらゆる凶器と何ら違いのないそれらを、真正面から猛スピードで接近と同時に振るい、対するアディリシアはそれを真正面からロンギヌスで叩き返す!
 派手な音を立てて鱗が裂け、爪が砕ける。同時にアディリシアの腕も悲鳴を上げるが、『ロンギヌス』は痛覚を狂わせる効果のある諸刃の刃。
 痛みなどないかのように、反動を振り返ることなくガン、ガン!とぶつかり合う!

「ゲヒャ~~ッヒャヒャッ!ずいぶんタフじゃあねえカぁ!?オレサマに真っ向から力で向かって立ってる奴は早々見たことがねえゼぇ」
「貴様の耐久力と私たちの持久力、どちらが先に尽きるか……根比べと行こうかと思ってな!」

 今度は思い切り飛び上がり、『マクシモス』に落下速度補正を載せて、デスボイス詠唱担当の頭から生えた角の一部を斬り落とす!
 いってえ!と言いたげにデスボイス詠唱担当の頭がデスボイスで吼える。器用だなオイ。でも楽しそうにも聞こえる。
 反撃と言わんばかりにレーザーを吐く担当の頭がカオスパワーを充填し、空へ向けて口を開いた。
 放たれたレーザーにより上空の雲にカオスパワーが充填し、光の雨となってアディリシアたちへと襲いかかる。

「バルタン!」
「ハーイ!防御はお任せを!アディリシア殿はガンガン暴れてくだサーイ!」

 バルタン・アーマーの側面のハッチが開き、飛び出したのはガトリング、グレネードランチャー、ミサイルポッド、その他諸々の重火器類。
 サイボーグである彼女だからこそできる芸当の一つだ。
 飛び出していった銃火器の群れがカオスパワーレーザーの雨を相殺し、殺しきれなかったものはバルタン・アーマーの強靭な装甲が全て弾く。
 仮に当たったとしても『ロンギヌス』で痛覚を完全に狂わされている今のアディリシアにとっては痛くも痒くもないのだが、仮にバルタン・アーマーを纏わずに受けていれば間違いなく危険な状態に陥っていたであろう威力だ。
 何故なら近隣の空き家が片っ端からちゅどんちゅどんと小さな煙雲を上げているのだ……!
 流石東のラスボス、カオスの権化なだけはある。

「挑発担当ヘッド殿!全然効いていマセンヨー!東のラスボスはこんなものではないと思うでありマース!」
「ゲヒャッ、あったりメぇだロぉがヨぉ!!そっちこそこれぐらいで根を上げるんじゃネぇだロぉなァ!!」
「もちろんでありマース!アディリシア殿の遠慮容赦なき暴れっぷりはワタシが一番保証しマース!!」
「安心しろ、恐らく倒れそうになっても動く!」

 倒れそうになっても動くのはそれはそれでとんでもなくヤバいのだが、それをやってのけるのがアディリシアという女性である。
 バーサーカーinバーサーカーの二つ名は決して伊達ではないということだ。
 互いに一歩も譲らない根競べ。一段落ついた頃にはスーパーカオスドラゴンとアディリシア、バルタンが硬く握手を交わし合う程の熱い戦いとなったそうな。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ベルベナ・ラウンドディー
何度も貴方とグリベ往復してましてね
その都度菓子折り食って出撃してるからもう送らなくていいですよ
…うえ、少し吐きそう


【騎乗・踏みつけ】【功夫・串刺し】
二つの首からのブレス攻撃、なら首の間で戦います
迂闊に打つと自分に当たりますよ
振り落とされないように体に槍を突き立て支えとし、ブン殴る


【元気・気合い・落ち着き】
対状態異常もフィジカル・メンタルの双方で耐性はあります
更にユーベルコードによる回避術、真の姿となれば身軽になれますしね
効果が薄い相手にリスクを取る戦い方など出来まい?
あ、ですがね、消化不良だけは無理…って暴れんな!
今まで食べた菓子合わせが全部逆流し……!


【ブレス攻撃(ゲロビ】
…。

無 理 で す



●○ロリアスアーチ
「あ、先に言っておきます。もうお菓子は大丈夫です」

 先手を打って攻撃、否、口撃?をするのはベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)。

「あ~~~どっかで見たことある気がすんだよナぁ。その分菓子も送ったカぁ?」
「ええ、何度も貴方とグリベ往復してましてね……その都度菓子折り食って出撃してるからもう送らなくていいですよ……」

 混沌魔法を間近で観察し、参考にする為。
 ベルベナが何度も何度も何度もスーパーカオスドラゴンに挑み続けてかれこれ16回程。多分この報告書は恐らく17枚目の報告書になるだろうか?
 その度にもらった菓子折り合わせを食べては出撃、戻っては食べてまた出撃……いくら戦ってもいくら戦っても送られてくるご挨拶の菓子折り合わせも食べることかれこれ十数回。
 当然猟兵にだって胃袋の限界は存在する。お菓子なら尚更モノによっては胃にくるので、既にもう吐きそうになっているのも致し方なしというものなのである。

「うぇ、少し吐きそう……」
「お、おいおい大丈夫カぁ?胃薬飲んでからくりゃよかったのにヨぉ。今から飲むか?その間ぐらい待つゼぇ?」
「いえ、結構です。これは戦争ですから」

 早いこと決着をつければ、その分休むことに時間を割ける。
 わざわざその為に待ってもらったその僅かな時間がガチデビルの有利にもしかしたら働くかもしれない。
 そういう意味でもせっかく申し出てもらった親切は丁寧にお断りするのは選択肢としてはありだろう。
 というか戦争中なのにそういう人の良さを見せるところが何とも、この東のラスボスは典型的なデビルキングワールドの住人であることを思い知らされもする。

「まあそう言うんなラぁ?思い切りぶつからせてもらうかねェ!!」
『~~~~~~~~!!!!』

 デスボイス詠唱はバイブス絶好調で歌い上げ、カオスパワーを蓄積。
 そのカオスパワーをレーザーを撃つ担当、そして今回は挑発担当もレーザー発射担当に周り、双頭から放たれる混沌の輝き。
 それが光のような速さでこちらを穿たんとする僅かな間にベルベナは高く飛び上がり、レーザーを回避。
 同時に同時に槍をスーパーカオスドラゴンの長い首に突き立てる!!

「いっデぇ!?」
「もう一発!」
「ごハぁッ!?」

 そのまま槍を支えとし、鉄棒のように勢いよく一回転して顎を殴りつける!
 デストロイ詠唱担当が涙目で頭をぶんぶん振る。
 弁慶の泣き所が脛ならば、スーパーカオスドラゴンの泣き所は顎といったところか。
 流石ドラゴニアンなだけあって、一発一発の拳のダメージが段違いだ。
 そのままベルベナは槍の刺す位置を変えながら、ヒットアンドアウェイ戦法でスーパーカオスドラゴンの首の間をひょいひょいと飛びながら翻弄する。
 
「ちっ、ちょこまかちょこまかオレサマの首の間を行き来しやがる……!」
「打ちますか?迂闊に打つと自分に当たりますよ」
「くっ、オレサマの首を人質に取るなんざ何てェワルだ……!」

 まるで舞うようにひょいひょいと首の間を飛んでいくベルベナ。
 何とかスーパーカオスドラゴンは引き剥がそうと試行錯誤するが、自身の損害も考えずに射てばデスボイス詠唱の中断に繋がることは明白だ。
 このカオスパワーの蓄積が少しでも滞れば、圧倒的な総数で挑んでくる猟兵たちに遅れを取る可能性が上がる。
 そして猟兵相手にはそれが非常に命取りになることも理解していたスーパーカオスドラゴンは、3分の1の博打に出るのをためらった。

「効果が薄い相手にリスクを取る戦い方などできまい?」

 当然それが狙いでベルベナはこのような戦法を取っている。10回を余裕で超えるレベルで戦えば、ある程度の相手の行動ルーチンを把握できるというもの。
 ユーベルコードの効果も相まって非常に身軽な身のこなしでスーパーカオスドラゴンを翻弄し、槍を突き刺し、殴り、踏みつけ着実にダメージを与えていく。
 実に合理的かつ効率の良い戦法で、このままベルベナが圧勝するかのように見えた――のだが。

『ヴァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!』

 デスボイス詠唱担当の首に槍を突き刺し移動すると同時にデスボイス詠唱担当の頭がヘッドバンギングを開始!
 振り落とされないよう支えにした槍をしっかり握り、首にしがみつくのをやめないベルベナだが――

「ウ゛ッッッッ」

 激しい動きによりベルベナの胃が逆流をし始めた!
 そう、沢山食べてお腹が膨れた直後のヘドバン程危険なものはない。色々な意味で。

「あっ待って待ってください消化不良だけは流石に無理ですって暴れんな!!!今まで食べた菓子合わせが全部逆流し……ッ!!」
「ハぁ!?おいデスボイス詠唱担当ストップ!一旦ストップ!!!こいつ吐きそうだってヨぉ!?このままだとオレサマたちがやべーことになるから!!!!ストップ!!スト――――――――ップ!!!!!」

 全部自分の首なのに言う事聞かないとはこれいかに。もしやスーパーカオスドラゴンもまた頭の数だけ人格が存在する多重人格者なのだろうか?
 必死に止めるが全然聞いてくれないデスボイス詠唱担当の頭。これ完全にトランス状態入ってんな???

「頼むかラぁ!!!頼むからストップしてくレぇ!!!じゃねえと虹が!!虹がかかるんだよ虹がァ!!!」
「……」
「おぉい猟兵しっかりしロぉ!??!もうちょっと、もうちょっとだけ我慢して!!頼む!!!一旦下ろすからそれまで待って――」
「無 理 で す」
「 」

 ……その日、スーパーカオスドラゴンに綺麗な虹がかかった。
 そしてこの日から、ベルベナはしばらく色々な意味でお菓子が食べられなかったらしい。

成功 🔵​🔵​🔴​

御形・菘
はっはっは、お菓子ありがとう! そしてよろしく頼むぞ!
段取りを重視するその姿勢、実に素晴らしい
お主とは仲良くなれそうだが、戦場で相対した以上やることは一つだ!

右手を上げ、指を鳴らし、スピーカー、カモン!
はーっはっはっは! 素敵リサイタルはまた別の機会にしてもらおうか!
適当な曲を爆音で流して掻き消す、などという無粋はせんよ
マトモに歌おうとしても音程を引っ張られて外してしまう、そんなテクニカルなBGMをオンエアだ!

そもそも妾のバトルスタイルは超接近戦だからのう
識別不能になっても、巻き込みゴメンでとりあえず眼前の標的をボコる!
全力の左腕の一撃でブッ飛ぶがよい!



●配信タイトル「激アツ!邪神VS東のラスボス~デビキンのラスボスと数千本勝負したった~」
「は――っはっはっはっは!!」
「ゲヒャ~~ッヒャッヒャッヒャッヒャ!!」
「は――――――――っはっはっはっはっはっはー!!!!」
「ゲヒャ~~~~~~~~ッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャッヒャァ!!!!」

 高らかに笑い合う御形・菘(オブリビオンではない・f12350)とスーパーカオスドラゴン。
 まさにWラスボスの風格と言ったところか、互いが高笑いする度に天地が鳴動するかのように場の空気が振動する。
 いや、菘はラスボスではなくてキマイラなんだけども、真の蛇神にして邪神ならラスボス級の風格としては十二分だと思います。はい。

「はっはっは!先程はお菓子をありがとう!そしてよろしく頼むぞ!」
「ゲヒャヒャ!オレサマは当然のことをしたまでだゼぇ?」
「お主とは仲良くなれそうだが、戦場で相対した以上やることは一つだ!」
「その通り!さあテメエにオレサマが倒せるかナぁ!?因みにこの戦いは配信してもらって全然大丈夫だゼぇ!!」
「当然既に配信中である!邪神たる妾がお主を派手にボコる瞬間をキマフュとデビキンの全地域に配信だ!!」

 既にデビチューブとキマチューブの配信ページを開けば二人のファンを始めとした多くのキマイラ、悪魔たちの期待のコメントが殺到していた。
『菘様VSラスボスとか最高じゃん』『邪神VSラスボス?胸熱すぎん?』『今回歴代の配信でもトップクラスにスケールでかくて期待』『スーパーカオスドラゴン様VS異世界邪神とかどこのラノベ展開だよ。いいぞもっとやれ』等など。
 コメントを見て互いにっこり笑顔不可避である。もちろんマナーに則り互いのファンをdisることなく尊重する姿勢なのもよくわかっていると笑顔にならざるを得ない。
 ならば期待に応え、いざ派手なバトルを繰り広げようではないかとお互いにテンションは最高潮!

「では勝負開始だ。スピーカー、カモン!!」

 指ぱっちんと共に召喚されるは125台もの超高性能爆音スピーカー。推進装置と機械の羽根がついたとてもスタイリッシュなものである。
 この時点でスーパーカオスドラゴンの中二病を愛する心がくすぐられる。

「ほーん?それでオレサマの詠唱を誤魔化そうってカぁ?」
「ははは、そんな適当な曲を爆音で流して掻き消すなどという無粋はせんよ。妾はキマフュの一番星ぞ?今回お届けするのばこちらだ!」

 ぱちん、と菘が指を再び鳴らし、スピーカーから音楽が流れ始める。
 それはスーパーカオスドラゴンのデスボイスにもよく合う音楽で、非常にテクニカルな技術が求められるのが聴くだけでわかる非常に繊細で、その上でデスボイスに呑まれぬ力を確かに持つ非常に魅力的なBGM。

「ヴァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛……!?」

 魅力的に感じながらも、それに負けぬようにデスボイス詠唱担当は高らかに歌う――が。
 何度歌っても何度歌っても何度歌っても音程を引っ張られてしまい、軌道修正についつい集中してしまう。
 そう、菘が今流しているBGMはテクニカルであるがゆえにまともに歌おうとすればする程音程を引っ張られてしまうのだ!
 キマフュの中でも元々歌唱難易度が高く、歌ってみた動画で完璧に音を外さずに歌いきったらそれだけで万単位の視聴数と5桁ちかいいいねをもらえる程の有名なBGMをバックに、菘はぐっと拳を握る!

「うおっこの曲何ダぁ!?音程がカオスじゃねーか!オレサマですらびっくりする程のカオスたあこいつは驚きだゼぇ……!」
「はっはっは!難易度は高いが非常に聴き心地の良い曲の一つだ!音程に釣られずに歌い切るだけでお主のファン数爆増間違いなし!正直妾もガチめに尊敬できるレベルだぞ!」
「言うじゃねェか!そこまで言うなら歌いきった上で倒してやるゼぇ!!」

 別の見でチャレンジ精神を見せるスーパーカオスドラゴン。
 デスボイス詠唱担当の首はぎらんとやる気を見せ、ますますカオスパワーが募っていく!
 
『悪魔ならァ!!カオスに染まレぇェェェェェえ!!』

 高らかに叫ばれるDEATH VOICE!
 サビに突入する辺りから最早完全ハイテンション!レーザーをとにかく連打連打連打の怒涛のラッシュを放ち、菘もまたそれを自慢の拳でかき消していく!
 最早敵味方を識別する気など互いに皆無である、というかそういう混沌魔法が今歌われている以上配慮しようとしたとて無理である。
 それ故にスーパーカオスドラゴンも予め丁寧に段取りと菓子配りを欠かさないのであろうし、菘もそれ故に配信参加者へのケアやフォローは忘れない心意気で望んでいる。
 そして何より予め巻き込み御免の超至近距離での肉弾戦が菘の十八番である以上、巻き込みは決して免れない運命である。
 むしろ、今ここにやってきているのが猟兵やスーパーカオスドラゴンの傘下でない悪魔や他世界の市民だったらほぼほぼ間違いなく殴れるのをご褒美にきているに違いないのだ。
 スーパーカオスドラゴンもほぼゼロレンジ手前まで近づかれればレーザーを吐こうものなら巻き込まれてしまう。
 デスボイス詠唱担当は今も必死に釣られまいと歌い続けながらも、のこり2頭で菘を一気に攻め立てようとするが、それらも全て織り込み済みの菘は防御なぞ気にせず前ののめって自慢の左拳を防御を捨てて打ち込む!

「ブッ飛ぶが良い!妾の拳は!!世界一ッ!!!!!」
「ゴパァ―――――――ッ!?」

 レーザー吐く担当の頭が顎を思い切り左拳で突き上げられる。
 当然脳震盪がするような直撃でレーザー担当頭はばたんきゅー、ついでに思い切り下から打ち上げた勢いでスーパーカオスドラゴンはびゅーんと空に飛び、お星様と化す。
 しかし未だ響き渡るデスボイス。まだまだ何度でも挑むつもり満々なようだ。
 スーパーカオスドラゴンが地上に戻ってくるまでの間、菘の国民的スタアトークで場を繋ぎつつ「1VS0」とカウントが描かれた。
 え、何ラウンドする気なのかって?そりゃお互いが限界くるまでなので、多分下手すりゃ1000いくかもしれない。多分きっと。そう。めいびー。

 意気投合してしまったばっかりに、今回の配信動画はお互いに今までの自分の動画の中でも最長の再生時間となった。
 そして最終的には二人してデスボイスで歌い始めたり、最早勝負という要素が吹っ飛んでしまった。
 デビルキング法的に勝者を決めるなら、やはりテクニカルなデスボイスBGMを流すことでスーパーカオスドラゴンの音程を狂わせ、カオスパワーの供給を中断させるというワル行動を行った菘にこそ軍配があがるだろう――。

成功 🔵​🔵​🔴​

マヒロ・ゾスティック
キヒヒヒ、混沌魔法とかすっごく面白そうだねー?
どんなのか楽しみになっちゃう♪

挑発する首に対応しよっかなあ
最もボクってそうやってバカにされるのも蔑まれるのも大好きなボクになっちゃったからあ
そういうの平気なんだよねえ
もっと詰っていいんだよぉ♥
惨めなボク、さいってえ♥

気持ちも高ぶったしビームのお相手しよっか
誘いの鳴音を鳴らして◆催眠術で相手の視覚を乱して照準を乱らせて
持ち前の素早さで回避
回避困難なのは悪魔の力で出したベルトの束で受け流し掠ってでも回避

掠ったから状態異常受けちゃったなあ
でもこれでUC発動
混沌魔法に適応した緑の炎の体に変化
受けたランダムの状態異常を反射するね
その隙に接近して『痺切』で斬撃



●典型的なデビキン悪魔VSデビキン法に染まりきった元人間
「キヒヒヒ、混沌魔法とかすっごく面白そうだねー?どんなのか楽しみになっちゃう♪」

 興味津々な様子を見せるマヒロ・ゾスティック(堕ちし快楽の淫魔忍・f31759)。
 そして今回は挑発担当もいるということで早くも期待に胸が膨らんでいる。

「というワケでよろしくね♪」
「ゲヒャヒャヒャ!また物好きがやってきたナぁ?しかもめちゃくちゃ露出の高ェ衣装じゃねえか!誘ってんのカぁ?誰とは言わねえがナぁ!」

 スーパーカオスドラゴン――の、挑発担当の頭がけらけら笑って出迎える。
 誘ってんのか、という言葉にぞくっとしたマヒロはうっとりとした様子を見せる。

「誘ってるのかどうか?んーどうだろうねえ」
「またまタぁ~~~どう考えても誘ってるだロぉ?オレサマだからまだいいけど悪い悪―――――い悪魔に捕まったらおしまいだゼぇ?」
「ああ、それすっごくいいかも。それで嬲ってもらえたり罵ってもらえるんでしょ?絶対気持ちいいじゃん」
「えっ」

 スーパーカオスドラゴン、流石に困惑。

「いや冗談のつもりで言ったんだゼぇ?真に受けられるとオレサマ流石に困るゼぇ」
「えー、だってボクそうやってバカにされるのも蔑まれるのも大好きだし。もっと詰っていいんだよぉ♥」
「オイオイオイオイオイ!!」

 スーパーカオスドラゴン、慌てふためき始める。あれ、もしかしてドMな人に会ったのは初めてだったりします?

「詰っていいって言われても困るゼぇ!?オレサマが変態になっちまうじゃねえか!」
「ああそうそうそんな感じ、もっと詰って♥変態になってしまったらどうなるのかなあ、ねえどうなるのかなぁ♪」
「いやいやいやいやいやいや流石にオレサマがテメエに詰めたら流石にデビキンコンプラ的にもダメな犯罪だロぉ!?」
「えっそれってどんな詰め方してくれるの!?ちょっと聞いていい!?凄く気持ちよくなれそうなんだけど!!!」
「「え゛え゛――――――――――!!!!?」」

 挑発担当とレーザー担当が揃ってハモり、それにバックコーラスのように重なるデスボイス詠唱。
 一方マヒロは詰められる図を想像して気持ちが高ぶりを見せている。真の者とは例え罵られなくても頭の中で妄想を展開し悦に浸るなんて余裕のよっちゃんなのだ。
 挑発担当が逆に挑発、というか詰め寄られる図である。
 そこで開き直ってあんなことやこんなことを言い出すことはせず、真面目に慌てふためく辺り生粋のデビキン悪魔だあ、とマヒロは感じずにはいられないのと、少しスーパーカオスドラゴンが可愛く見えてきた。

「あははっ、ラスボスだけど結構可愛いんだね♥」
「かわっ……!?お、オレサマを言うならカッコいいって言ってほしいんだゼぇ!?」
「やーだ♥」

 ガーン!と強いショックを受けるスーパーカオスドラゴン。
 尚余談だが、実際あの顔のフォルムとか可愛いとは思う。

「あはは、東のラスボスさんは随分素直だねえ。ボクそういうの嫌いじゃあないよ。さて、気持ちも高ぶったし勝負のお相手しよっか」
「お、おう……勝負するなら当然受けて立つんだゼぇ!!」

 スーパーカオスドラゴンも即座に気持ちを切り替え、きりっとした顔つきに変わる。
 マヒロも仕事のスイッチを入れ、忍者としての歴戦のそれへと表情を変えた。
 ちりん、と耳に身に着けている『誘いの鳴音』を指で弾いて慣らすことで催眠術を行使。
 デスボイス詠唱に呑まれかねない細やかな音であるが、だからこそより相手に通すには最適なのだ。
 催眠術を仕掛けてきた、という発想を相手に抱かせないのだから。

「うん!?何か目がやったらしょぼっしょぼしやがるゼぇ……!」

 効果は実に覿面であった。
 スーパーカオスドラゴンは目を細めてターゲットを絞ろうとするが、あまりにもの視覚の不安定さに振り回されている。
 ……目を細めるっつったって目どこよ?と言いたくはなるがそれはさてお気。

「ちっ、マぁいい、識別効果はあるワケだし適当に見切りつけて撃つしかネぇ!さあ、オレサマのスーパーカオスレーザーを喰らいやがレぇッ!!」

 ゴッ――と空気が"押される"ように口から放たれるレーザー。
 だが、ターゲットが定まっていないが故に破茶滅茶な軌道として放たれたそれは逆に回避を困難とさせるものであった――マヒロが元より素早さに優れた忍でなければ。
 どの方向へ飛ぶか、このままレーザーが飛べば着地点はどこになるかをはっきりと見極めてひらりと躱す。
 あまりにも不規則であれば自らの悪魔の力でベルトの束を生み出して受け流し、掠める程度に留める。
 掠めた部分から、緑色の炎がマヒロを徐々に侵蝕し始めていく――

「中々すばしっこいナぁ!だが、一度でも当たればカオスパワーが侵蝕していくゼぇ!?」
「キヒヒ♪安心して、ボクは何だって受け入れるよ♪そしてボクの全てで受け止めて――返すことだってできるようになる」

 にやり、と笑うマヒロの体が一瞬にして緑の炎に包まれる――否、体が緑の炎そのものと化したのだ。
 回避に特化した分、相応の防御力を犠牲にしているのは否めない。それ故の反撃特化ユーベルコードだ。
 【淫魔忍法・異常適応転身の術】によって、自らを侵蝕する緑色の炎と齎す異常に自らを完全適応し、それらを全て跳ね返す――!

「ぐオぉ!?頭がぐわんっぐわんしやがる!!やりやがるナぁ!!」

 緑色の炎がスーパーカオスドラゴンに齎したのは著しい酩酊の症状であった。
 まるで二日酔いどころか三日酔いする勢いで酒を大量に接種した時のような酷いふらつきにデスボイス詠唱している頭も呂律が回らない上、体中の感覚が狂ったような感覚に身悶えるスーパーカオスドラゴン。
 おかげでマヒロが"既に接近し、斬撃を見舞っていた"ことにすら気づかず、体中の力が抜けたかのようにその場にずぅん、と座り込んでしまったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

スティーナ・フキハル
スティーナ口調

一番やばいのって歌う首かな、どんどん強くなるのは困る。
んじゃ邪魔して……いや違うなここはこうだ!

ざっと歌ってる首の前に立つ! マイク装備で!
そして先に歌い始めてUC発動! おいドラゴンアタシとセッションしろ!
曲目は故郷の民謡イ〇ヴァン・ポルッカ、お前アカペラ担当な!
これでデスボイスはとりあえずストップすんだろ!

♪やっつっつぁっぱり……やっべ素で忘れかけてた、一応倒すんだったか。
歌ってる首にはなんか悪いから目標胴体!
氷属性乗せた護符の誘導弾の投擲連打! 歌いながら!
衝撃波もついでにぶち込んどくぞ! 歌いながら!

ちょ、ちょっとタンマ、これ、歌いながら戦うのはキツいわ……ぜぇぜぇ……。



●業界一の過酷と名高いあの戦法
『ヴァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!』

 ここにくるまでに散々殴り合ったり生配信で盛り上がったり何かめっちゃ酔わされたりしているのだが、デスボイスのクオリティは未だ下がるところを知らない。
 竜の躯体でデスボイスで歌うということのインパクトと間近での迫力は想像を絶するに硬くないだろう。いや、ホントに怖いと思う。

「(一番やばいのって歌う首かな……どんどん強くなるのは困る)」
 
 スティーナ・フキハル(羅刹の正義の味方・f30415)はあの迫力あるデスボイス詠唱に戦慄しごくりと唾を飲み込んだ。
 だが、一つわかりやすい弱点もある。
 デスボイス詠唱担当はその都合、戦闘中に歌う頭を変えるワケにはいかない――何故なら、どうしても時間というものの性質上歌い手が変わる間のタイムラグというものが存在するからだ。
 つまり少しでも歌う担当を変えようと一瞬だけでも歌を止めれば、その間のカオスパワーの供給は一時停止される。
 そして、猟兵たちならばその僅かな、それこそ刹那の間を突くことだってできる強者たちの集まりということを考えれば、スーパーカオスドラゴンは決して猟兵たちと戦っている間はデスボイス詠唱担当を変えることはない。
 とどのつまり、デスボイス詠唱担当はめちゃくちゃ狙いやすいということである。ならばやるしかなかろうと早速向かおうと思ったのだが……

「(……いや違うな。ここはこうだ!)」

 真っ当に勝負を挑みに行くのは変わりないが、何かしら物足りなさを感じたのかあるモノを持って戦場に向かった。


「うヒぃ、流石猟兵だゼぇ……流石のオレサマもそろそろ疲れてきたワぁ……」

 と言いながらデスボイス詠唱で集まるカオスパワーをまるで水を飲むようにごっきゅごっきゅと飲み、水分補給(?)を行うスーパーカオスドラゴン。
 いやカオスパワーは飲み物じゃないが???どうやってんだ??

「うっし補給完了。もうひと頑張りするカぁ!」

 よっこらせ、と少し勢いをつけて立ち上がれば地面が揺れ、近くの既にカオスなことになってる空き家がボロボロに崩れていく。
 尚空き家とは表現しているがちゃんと住んでいる人がいるお家であり、その辺りの補償についてもちゃんとしっかり根回しをして、帰ってきた時に問題なく住める手筈はしてあるので何ら気にすることはない、らしい。
 段取りと挨拶回りに定評があると言われるだけあってかなり徹底っぷりだしそういうところがデビキンの善良悪魔感漂わせるところである。

「サぁて次にオレサマに挑む奴はどこのどいつダぁ!?」
「あたしだ!!!」

 ざざあ、と綺麗なスライディングブレーキをかましてスティーナがスーパーカオスドラゴンの前に立つ。
 ……マイク装備で。

「おいドラゴンあたしとセッションしろ!!お前アカペラ担当な!!!」
「おっトぉ今度は歌勝負カぁ!?オレサマのデスボイスの圧倒的歌唱力に見惚れても知ら――」

 \っぱ♪ っぱ♪ っぱ♪ っぱ♪/

 ……スーパーカオスドラゴンが喋り終える前に何かアカペラっぽいバックコーラスが流れ始めた。
 これどこから出てんのって?ユーベルコードは何でもできるんです。いいね?

「ぁやっつぁっつぁーっらりりらりり、らばりっだんりんやんれんらんどー♪」
「「らばりっぱっぱーらりっぱりーぱりりぴりびりびりすてんれんらんどー♪」」

 いかにもどこぞの歌姫がネギを振り兼ねないバックコーラスと共に歌われるはスティーナの故郷に伝わる民謡。
 なんと、スーパーカオスドラゴンデスボイス詠唱をストップ!
 そう、スティーナのユーベルコード【Väinämöinen laulu(デイーヴァスメロディ)】は凡そ109分の間彼女の歌唱力を著しく強化させ、その上で歌唱することによりそれを聞いたありとあらゆるものが彼女に友好的な行動を行ってしまうのだ!
 もちろん抵抗は可能だが、スーパーカオスドラゴンはデビルキングワールドの典型的な悪魔である。
 そう、ノリが良いテンポだとついついノリに乗ってしまう、それが悪魔の性……ッ!!(※個人差はあります)

「やばりんらんれんらんれーやどー……あっやっべ忘れかけてた。一応倒すんだったか」
「わらばだばだばどぅぶどぅぶでーやb……ハッ!?オレサマとしたことが戦闘そのものを忘れちまうとは!?テメエ中々、やベぇ奴だゼぇ……」

 あまりにもリズムに乗って歌いすぎて二人して元々何をする為にきたのかを完全に失念するぐらいには二人して歌唱に没頭していた。
 地味に歌ってみると中毒性がそれなりにある独特な発音が多いのがこのとある民謡。古くから伝わる歌というものは恐ろしいものである。
 
「よ、よし仕切り直すか!」
「お、おう!こいヨぉ!!」
「♪あやっつぁっつぁーりりらりりんッ!!」

 なんとスティーナ、歌いながら戦闘!
 歌うことで出力を高めて動く戦法や装備は確かに名前は知られてるが、まさかそれをやってのける猟兵がいたとはスーパーカオスドラゴンは夢にも思わなかった。
 その戦法は特に過酷と名高い戦法であり、体力を著しく削られてしまうのである。
 スティーナは歌いながら氷の力を載せた護符をとにかく投げて投げて投げまくり、対するスーパーカオスドラゴン、同じように歌いながらレーザーを放って切り返す!
 ……デスボイスではなく民謡で。

「♪やばりんらんれんらんれーやど―――――ッ!!!」
「♪らぱりっぱっぱーらりっぱり――――――ッ!!!」

 当然、デスボイス詠唱が中断されたことによりスーパーカオスドラゴンの力は著しく低下。
 スティーナの怒涛の連続投擲と衝撃波を受けてぴゅーんと何度目かわからない空の向こうへと飛んでいった――。

「ちょ、ちょっと、たんま、これ、ぜぇ、歌いながら、はぁ、戦うのは……ぜぇ、キツいわ……ぜぇ……」 

 その後、しばらくスティーナは呼吸を整えるのにいっぱいいっぱいで動けなかった。
 グリモア猟兵からはのど飴とスポーツドリンクが後で送られたそうな。

成功 🔵​🔵​🔴​

セラフィール・キュベルト
お初にお目にかかります、スーパーカオスドラゴン様。
先程は美味しいあくまかろんを有難うございました。
(丁寧に挨拶から入る)

ですが、私達も貴方に勝つべき理由がございます故。
早速、勝負と参りましょう。

対峙するのはデスボイス担当の頭。
神威降臨・至高天聖を発動し、貴き光を以てその歌を無力化させて頂きます。
…そもそも私は悪魔ではないのですが。

後は時間制限の間に可能な限り攻撃を加えるべく、精霊様(angelus luxis)に魔力を注ぎ【全力魔法】での【レーザー射撃】にて主に攻撃を繰り出して参ります。
私自身も彼へ接近し、光を放っての【目潰し】や、【結界術】にて彼の周囲へ壁を作っての行動阻害で援護致します。



●神聖と混沌、30秒の境目
「お初にお目にかかります、スーパーカオスドラゴン様」

 たおやかに挨拶から入るのはセラフィール・キュベルト(癒し願う聖女・f00816)。
 挨拶は古の書物にも記されている程神聖なる行為であり、どんなにワルい悪魔であってもそれを無碍にしてはならない。
 そう、セラフィ―ルが挨拶をしあのならば、スーパーカオスドラゴンも挨拶を必ず返すのが礼儀なのだ――!

「先程は美味しいあくまかろんをありがとうございました」
「おっと、こいツぁ丁寧に悪ぃナぁ。美味かっただロぉ?」
「はい、とても美味しく、心温まる想いになりました。ですが……私たちも貴方に勝つべき理由がございます故」

 早速、勝負と参りましょう――セラフィ―ルの背後から光り輝く人の形をしたヴィジョンが浮かぶ。
 それはまさしく癒し願う聖女に相応しき後光の姿。
 混沌の権化であるスーパーカオスドラゴンとは対になる属性だ。

「おっトぉ、こいツぁオレサマ特効な属性を引っ提げてきやがったカぁ……だが属性相性だけで揺らぐこのスーパーカオスドラゴン様じゃネぇってことを見せてやるゼぇ?」
『~~~~~~~~!!!!』

 声高に歌い上げられるデスボイス。
 デビルキングワールド中のカオスパワーをかき集めることで再びパワーアップを試みるのだろう。
 このまま能力が上昇してしまえば、いくら属性相性的に有利なセラフィ―ルであっても苦戦は確実、大きな被害は免れない可能性は高い。
 だが、故にセラフィ―ルはこの後光を背負ったのだ。
 一度使いすぎてしまえば命を落としてしまう程の非常に強力な力を使ってでも、世界を護らねばならない時だからこそ。

「"全てを浄めし尊き御方、我が身の光を以て、今、此処に"――!」

 【神威降臨・至高天聖(デウス・アデスト)】。
 セラフィ―ルが背負う後光が著しく輝き、聖なる光がカオスパワーを相殺する――!!

「な、なん、だトぉッ!?オレサマのカオスエネルギーが一瞬にして相殺……そんなバカな!!」

 いくらデスボイスを叫ぼうと、セラフィ―ルがここに顕現せしめた神威の光はカオスパワーそのものを消し去ることでスーパーカオスドラゴンから力を奪う。
 しかし、それが続くのも104秒間という期間限定のものだ。それ以上使えばセラフィ―ルは文字通り死に至る絶対のタイムリミット。
 それまでに畳み掛ける必要がある。

「精霊様。この世界を護る為、どうぞお力をお貸しください……!」

 祈りを捧げ、光の精霊に魔力を注ぐ。
 それはセラフィ―ルと身の丈ほとんどかわらない姿となり、無数の魔法陣を召喚しレーザーを雨と降らせる!
 だがスーパーカオスドラゴンもカオスパワーを相殺された程度で怯むような肝っ玉で東のラスボスと謳われているワケではない。既に蓄積していたカオスパワーを振り絞りレーザーを放って精霊のレーザー光線の雨を薙ぎ払う。
 セラフィ―ル側は近づけさせまいと、スーパーカオスドラゴンは近づこうと一進一退の攻防が続き、ユーベルコードの効果が切れるまで後30秒を切った。
 スーパーカオスドラゴンが獰猛な爪を構え、大きく踏み込み振り上げる――!

「させません!」

 精霊を護るかのように展開されるセラフィ―ルの結界障壁が爪を受け止める。
 とはいえ現在の彼の魔力はほとんど精霊に注ぎ込んでおり、あと数秒と保たずに割られ、無防備に。

「ゲヒャヒャッ、その程度の障壁でオレサマの膂力を抑えようなんざ百年早いゼぇッ!!」

 これを好機とスーパーカオスドラゴンはもう一度爪を振り上げたその刹那、セラフィ―ルの後光がよりまばゆく輝く!

「あ゛―――――――――!!!!!!!!!!!!!!」

 至近距離で閃光弾を食らったような衝撃がスーパーカオスドラゴンを襲う。
 目を潰され――いやだから目どこだよ――、攻撃も防御もままならぬままに精霊のレーザーの嵐をモロに受け、ずぅん、とその場に倒れる。
 同時にセラフィ―ルのユーベルコードの使用時間の限界を迎えた。
 残り30秒の駆け引きに、彼は勝ったのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

九重・白亜
なるほど、厄介な相手ですね。三つの首……ふむ、では『口からカオスビームを放つ担当』を重点的に。
ドラゴンをメイドにします。

指定UCを発動。混沌の焔を彼が纏うものとさせていただきます。全力魔法でなんとかなるだろ。狙いの首に着せるようにドラゴンでも着れるメイド服を着せます。
さらに全力魔法で強引に従わせ、自分の首に向かってカオスビームを撃ってもらいましょうか。

敵か味方かの識別はメイド服越しから肉体改造を施し、誤認させてもらいます。
さあ、ソイツの顎向けてビーム吐きな!

【アドリブ絡み歓迎】



●メイド in スーパーカオス
「……なる程、厄介な相手ですね」

 既に上がっている報告書に記されているスーパーカオスドラゴンの特徴をメモに書き留めながら九重・白亜(今を歩む魔術師・f27782)は思案する。
 やはり東のラスボスにして7thKING候補とされているだけあってその実力は確かだし、デビルキングワールドの一般悪魔の何倍も何十倍も頑丈なようだ。
 とはいえ、やはり3つ頭があるが故に繰り出せる戦法というものは他の戦い方よりも実にわかりやすい弱点とも言える。
 さて、この中で自分が狙いを定めるとするならどうするか。

「……ふむ」

 それなりに時間を要した思案の中、ついに作戦を決めた白亜は転移陣から戦場へとワープ。
 既に何度も猟兵たちが攻撃を与えているおかげか、デスボイス詠唱は続いてはいるものの少なくともグリモア猟兵との中継で見た時よりは勢いが減っていることがわかる。

「次にオレサマと戦うのはテメエカぁ?そんなひらっひらした服で戦ってスカートの中見えても知らネぇゾぉ?」
「ご安心ください、貴方もすぐにこうなりますので」
「ゲヒャヒャッ、そいツぁまたでケぇ口叩く奴だゼぇ!やれるもんならやって見せてもらおうじゃネぇカぁ!!」

 デスボイスが響き渡り、スーパーカオスドラゴンのカオスビームを放つ担当がゆっくり口を開けた。
 挨拶代わりとばかりに放たれるレーザー。
 あえて白亜を外して放ったそれは地面がそこだけモーゼの奇跡かの如き亀裂を発生させる。
 緑色の炎がまるで地獄の門が開いたかのように吹き出し、それらもまたカオスパワーとしてスーパーデビルドラゴンの糧に変換されていくのだ。

「(なる程、術式で強化されているだけでなく竜脈からも力を取り込む、と)」

 冷静に分析しながら白亜は術式を展開し、先手を取ろうと試みる。

「ゲヒャヒャッ、今の一撃でも同じネぇとは中々肝の据わったメイドじゃネぇかぁ!」
「お見事な攻撃にございます。ではこちらも相応のものにてお返しを」

 メイドらしく淑やかに礼をした後、白亜はユーベルコードを発動。
 するとどうしたことか、スーパーカオスドラゴンが纏う混沌の焔がみるみると奴自身を覆っていく!

「オレサマの焔を使うだトぉ……っ!?こいつぁ並の術式じゃネぇ、テメエナニモンだ!?」
「何者も何も、一介のメイドにございます。さあ、貴方も―――

 メイドになーれ☆」

 スーパーカオスドラゴン、真顔になってその場に硬直。
 今なんて????と言いたげな顔をしている。
 だがそれも気に留めず白亜はユーベルコードで混沌の焔をメイド服に変えてしまった!
 口からビームを吐く担当の首が、それはふりっふりで王道なカラーリングのゴシックメイド衣装になり、ここだけ何かやったら絵面が濃い光景ができあがる。

「何ダぁこリゃあ!?!?」

 一本の首だけフリル地獄と化したスーパーカオスドラゴン、思わず目が飛び出した。眼球ホントにあるかは知らんけど。
 だがこのユーベルコードはただメイド服を着せるだけではない。
 その本領は、着せたメイド服を経由して直接魔術的干渉が行えるという点である――!!
 口からビームを吐く担当がゆっくりとデスボイス詠唱担当の頭へとぐぐぐと振り向く。

「げ、まさか」

 スーパーカオスドラゴン、寒気が走る。
 デスボイス詠唱を歌いながらこちらを向いたレーザーを放つ担当はまるで機械のようにグググ、と動き、口をゆっくり開いたのだ。
 もちろん、口の中にはカカオスパワーが充填され輝きを放ち始めている。

「残念ですがその頭には、最早あなた方他2つの頭を正しく認識できる程の思考はありません。――さあ、そいつの顎向けてビーム吐きな!お掃除開始だ!!」
「ちょっ、ま、やめ――」

 ちゅどーん、と激しい爆発音が響く。
 先程海を割るかのような勢いのレーザーを至近距離で、しかも自分自身に放てばダメージは相当なものになるのは至極当然のこと。
 スーパーカオスドラゴンの頭からぷすっぷすと煙が上がり、レーザーを吐ききった後その場にずしぃん……と倒れ込む。
 白亜はぱっぱとホコリを払い、服装を綺麗に整えてからグリモアベースに帰投した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
あやー、ニセ乱暴者さんでっすかー。
なんだかすっごく仲良くなれそうなのでっす!
というわけで狙うのはデスボイス詠唱!
藍ちゃんくんのような時間稼ぎ&挑発も得意でペースをかっさらっていくタイプには、下手な攻撃や挑発よりは、強化しての力押しが一番だと相手も考えるでっしょうし。
デュエットと洒落込もうなのでっす!
識別不能なんのその!
歌に敵味方なんてないのでっす!
最初はデスボイス合わせでちょっとずつUCも織り交ぜながらデスボイス込のメタル→メタルというようにもっていっちゃいましょう!
カオスに染まれ? いいえ、藍に染まるのでっす!
なにせデスボイスで歌い続けれる程の方でっすからねー。
普通に歌も上手いでっすし、お好きかと!
その上真面目ともなれば、UC効果も相まってついつい今度は自分がとこっちに合わせちゃうのではないでっしょかー!
デスボイス詠唱をクリーンボイス詠唱にしてやぶっちゃうのでっす!
あとあと一緒にのりののった他2頭のドラゴンさんも藍ちゃんくんのファンになってくれないでっしょかー!



●全テ、総ジテ、藍ニナレ!!~藍ドルスーパーライブ2022 in デビルキングワールド Feat.ラスボス~
『~~~~~~!!!!♪』

 散々フルボッコにされたスーパーカオスドラゴンだが、それでも詠唱のデスボイスは今なお絶好調である。
 流石東のラスボス、残る体力も桁違いだ。
 何せここまで初っ端から全力の根競べをし、虹がかかり、全力で生配信千本勝負し、詰め寄られて催眠術をかけられ、業界一過酷な歌唱&バトルを繰り広げ、弱点属性をこれでもかとぶつけられ、メイド服を着せられてレーザーで自滅するハメになったというのに喉はどこまでも絶好調であった。
 詠唱により力を蓄えることである程度までリカバリーできるのもあり、まさに無尽蔵の体力とも錯覚し得る程。

「いヤぁ、流石猟兵って奴ぁ骨のある連中ばかりだナぁ!!さあまだくんだロぉ?こいよ、まとめてカオスにしてやるゼぇ!!」

 疲労の色は見えながらも決して隙を見せず、不敵に振る舞うスーパーカオスドラゴンの前に現れた新たな猟兵は――!

「藍ちゃんくんでっすよ――――――――!!!!!!!」

 デスボイスの声量に決して劣らない声量で元気に挨拶!僕らの藍ドル紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)が今華麗にステージオン!

「おおう、めちゃくちゃ元気な猟兵じゃネぇか」
「藍ちゃんくんは元気印1200%なのでっす!ニセ乱暴者さんだと聞いたのでっす!なんだかすっごく仲良くなれそうなのでっす!」
「奇遇だナぁ、オレサマもお前みたいな奴は割と嫌いじゃネぇんだナぁ!だがヨぉ、それはそれとして勝負は勝負だゼぇ?」

 スーパーカオスドラゴンはその元気さに好意を示しながらも、藍という猟兵がどういうスタイルの戦い方をするのかを値踏みするように一挙一動を見逃さない。

「(こいツぁ見た通りの"口で戦う"タイプだロぉナぁ……下手に細々とした手段を使う方が厄介になっちまう。ペースに持っていかれる前に早期決着をつけるのがベターと見たゼ)」

 東のラスボスたるもの、戦闘判断自体は冷静に行うべし。
 そうした堅実さ故にキング候補に選ばれたスーパーカオスドラゴン、そのデスボイス詠唱を担う頭が最初からかっ飛ばしたリズムで歌い始める!

「わーお!素敵なデスボイスなのでっす!藍ドルとしてこれにノらないワケにはいかないのでっす!
 ここはデュエットと洒落込もうなのでっす!」

 Myマイクを取り出し、藍はなんとデスボイスに便乗するように歌唱し始める!
 しかもスーパーカオスドラゴンに負けず劣らずのデスボイスでだ!!

「うおっ!?ほっセぇ体の割に何て声量とデスボイスダぁ!?しかもオレサマのリズムについて来れるなんザぁ相当の技術の持ち主じゃねえか!
 いいゼぇ、オレサマのデスボイスについてこれるもんならついてきナぁ!」
『~~~~~~~~~~~!!!』

 ヘドバンと共に激しくデスボイスを響かせるスーパーカオスドラゴン。
 最早ただの純粋な戦闘ではなく歌唱バトルであるが、藍ドルの姿としては正しい戦い方とも言えるだろう。
 そして何より、この流れに持っていくことこそ藍の狙いなのだ。
 元々藍は真正面から力押しで戦うタイプかと言われると当然否だ。
 藍ドル活動として長い間ステージの上で歌い続けられるタフネスと藍ドルトークで培ったコミュ力が彼の最大の武器であり、相手をとことん自分のペースに乗せることで有利に持ち込んでいくのが彼の戦闘スタイル。
 最初は相手のペースに合わせて後から自分のペースへと塗り替えることだって何のその。
 何たって彼は藍ドルなのだから。
 デュエット力も一流として、皆に最高のエンターテイメントを提供する為に必要なスキルである。

 そして、何より――

「(歌に敵味方なんてないのでっす!楽しいでっすねー!)」

 歌の前には万物全てが平等。
 ラスボスだろうが勇者だろうが、藍ドルだろうが藍ドルでなかろうが。

 歌は、全ての者の心を、一つにするのだ――!!

「~~~~♪」

 ノリにのった藍ちゃんくん、デスボイスから唐突にメタルに切り替えての歌唱を披露!
 スーパーカオスドラゴンのデスボイス詠唱が続く中、デスボイスに重ねる用に紡がれる歌声は決してデスボイスに呑まれることなく、透き通るように響き渡る。

「な、んって声量だゼぇ……!?まさかオレサマのデスボイスに呑まれることなく目立っちまうなんざ只者じゃネぇ……!!だが最高に気持ちいいじゃネぇか!!!」

 段々と場のペース主導権がスーパーカオスドラゴンから藍へと映っていく。
 デスボイス、デスボイス込メタル、メタルへと段々曲調を変え、藍ドルはひたすら、ただただ楽しそうに歌い続ける。
 彼の生粋の藍ドル魂と培った技術は、最早ユーベルコードと何ら変わりのない神業と言っても過言ではない。
 その歌声が、ダンスが、パフォーマンスが、ファンサービスのひとつひとつが、全て藍ちゃんくんの魅力を最大限に引き出し、自然と周りの者は彼に友好的になっていくのだ。
 そしてそれはスーパーカオスドラゴンも例外ではない。元々デスボイスで歌い続けられる程のタフな喉と体力な上そもそもとして普通に歌もはちゃめちゃに上手い。
 つまりどういうことか、元々奴自身歌うことがめちゃくちゃ大好きなのである。
 元々真面目な気質なのもあり、曲調が変わればそれに合わせて声色を変えることも喜んで是とするだろう。
 藍ちゃんくんの歌に合わせてノリノリで歌い上げるが最早それはデスボイスに非ず。

「カオスに染まれ?いいえ――藍に!染まるのでっす!!!」
『『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!』』

 どこからともなく湧き上がる大歓声。
 そう、藍ちゃんくんの藍ドルパフォーマンスにスーパーカオスドラゴンのデスボイス詠唱が原型となったメタルな歌声が避難していたハズの近隣住民の悪魔の皆さんを引き寄せたのだ!!
 最早ここは戦場に非ず、ここは藍ドルとラスボスの最高のステージにして突発的ライブ公演会場に他ならないッ!!!

「ゲヒャヒャッ、やるじゃネぇか藍ドルさんヨぉ……こいツぁオレサマの負けを認めざるを得ネぇゼぇ……」

 悪魔たちの心を魅了し、こうしてここに集わせたその手腕と、歌による平和的な戦闘。
 それもまた7thKING候補に相応しいと言えるだろう――そうスーパーカオスドラゴンは思った。

「ふー!すっごく楽しかったのでっす!」
「ああ、めちゃくちゃ楽しかったゼぇ藍ドルさんヨぉ。流石猟兵、数が多すぎてジャッジメントガールが白羽の矢を立てれなかっただけのことはあるナぁ」

 そう言って負けを認めるスーパーカオスドラゴンの顔は非常に晴れやかだ。

「オレサマの思考パターンを完全に見抜いて、ペースに逆に乗せていくスタイル。見事なワルだったゼぇ。これならガチデビルにも余裕で太刀打ちできるに違ぇネぇ」
「えへへ、褒めてもらえて嬉しいのでっす!せっかくだから藍ちゃんくんのファンになってくれないでっしょかー?」
「ふっ、ナぁに言ってやがるんダぁ。こんなの……ファンにならネぇワケがネぇだロぉ?後でファンクラブ登録申請メールしとくからよろしく頼むゼぇ!」
「わぁい!!ありがとなのでっすよー!!」

 こうして東のラスボスを打ち破った藍ちゃんくん。
 東のラスボスがファンになったという話題から彼を支持していた悪魔たちも興味を示して彼の歌を聴いては次々藍ドルファンクラブに登録していくことになるだろう――。

 そして今回の戦闘という名のライブ、なんと魔界TVがひっそり撮影していたらしい。
 許諾さえ取れれば、7thKING WARの集結後にブルーレイ&DVDとして販売予定らしいので、藍ちゃんくんはよければご検討ください。


 ――7thKING WARの終結まで、あと少し。 果たして悪魔が微笑むのはガチデビルか、猟兵か。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月21日


挿絵イラスト