7thKING WAR㉔~咲くやこの花、散りてなお
●グリモアベースにて
「やあやあ猟兵諸君。くるるちゃんの召集に集まってくれて感謝するねっ」
グリモアベースに集まった猟兵達を前に腕を広げ、鏡繰・くるる(属性過積載型バーチャル男の娘・f00144)は愛らしい笑顔と共に元気よく切り出した。
「今回も『7thKING WAR』。ガチデビルの召喚した異世界の魔王、『ゼルデギロス』を撃破してもらうよ!」
このゼルデギロスは、山よりも遥かに巨大な身体を持つ、強大な魔王。その姿はこの戦争が開戦した時から、すでにその視界に入っていた。
いや、正確に言えば、『その巨体を持つ女性を、何らかの形で乗っ取った』魔王のようだ。女性――ゼルデギロス曰く、『若津姫』と言うらしい――とゼルデギロスの意思は別であり、今回の戦場では、女性の方が主導権を握っている。
「まあ握っていると言っても、完全に自由が効く訳じゃないみたいだけどね。だから、キミ達が戦場に向かえば、否応無しに戦う事になる。彼女は、それを憂いてはいないようだけど」
相手の事情は良くわからないが、とにかく、倒さなければならない事に変わりはない。若津姫の方は、その事実を決然と受け入れている。
いろいろ思う所は有るかもしれないが、ここは彼女の思いに応え、全力で戦うのが筋、と言うものだろう。
「若津姫は、さっきも言った通り、山よりも遥かに巨大な身体を持っている。そして、都市一つに匹敵しようかと言う、巨大な『天槍』を振るって攻撃してくるんだ」
彼女のリーチの前では、確実に先制攻撃を許す事になるだろう。そのため、まずは相手のユーベルコードに対応する必要がある。
そしてその際、一つ、極めて重要な事がある。それは、相手の巨体を『利用してはいけない』と言う事だ。
「若津姫は、自分より小さな者との戦闘に非常に長けている。小さな身体を生かして戦おうとするのは、むしろ危険が大きいんだ。例えば、懐に潜り込めば攻撃されない――なんて思ってると、あっさりと撃ち落とされて、叩き潰されちゃうだろうね」
とはいえもちろん、真っ向から戦っても戦闘力は高い。特に、巨体に見合った破壊力を受け止めるのは、非常に難しいだろう。
それでも、先制攻撃に対処しなければ、攻撃の機会を得る事は不可能だ。極めて難しい戦いになるだろう。
「顔にある仮面を破壊すれば、ゼルデギロスもろとも、滅ぼす事ができるみたい。耐久力も当然に体格相応だし、こっちをお勧めするよ。まあ当然、容易な事じゃないけど」
何しろ相手は、山よりも大きい。足元から顔を見上げれば、仮面を見る事も難しいだろう。
「見た目通りの強力な相手だ。大分骨が折れる戦いになると思う。けど、若津姫の思いに応えて、全力を尽くして戦って欲しい」
くるるはそう言うと、わざとらしい可愛らしくポーズを取って猟兵達を見渡す。
「それじゃ、ばっちり解決してきてね。良い知らせを待ってるよ!」
●此花、誇り高く咲き
『おのれ若津姫! 我に従え! 言う事を聞いて戦え!』
「いいえ、ゼルデギロス。私は私の意志で、六番目の猟兵と戦いましょう!」
『おのれ、おのれ……おの、れ――』
見上げてなお上が見えぬ程の、山より大きな女性の巨体。その中から、2つの声が、辺りに響き渡る。
いや、一方の声は徐々に衰え、一方の声はより力強さを増していく。主導権を握ったのは、女性――若津姫の方だ。
「さあ、六番目の猟兵よ。顔の仮面を破壊すれば私は死にます。私は操られていますが、すでに滅んだ身……どうか、お気になさらず!」
若津姫はそう言って、巨大すぎる槍を構えて見せる。猟兵との敵対姿勢は崩さないが、そこには猟兵への、信頼と好意がある。
猟兵達なら、自分を倒してくれると言う、強い信頼。
「捨て身の戦いによって、みなさんに教えられる事もあるはず。さあ……いざ尋常に、勝負! あなた方の力を、見せてください!」
一二三四五六
実はエンドブレイカーは序盤しか知らない。
ごきげんよう。超巨大ボス戦をお届けします。一二三四五六です。
久々の先制攻撃ギミックです。若津姫は、『猟兵の使用したユーベルコードに対応する能力値のユーベルコード』を使用して来ます。対抗策をプレイングに記載しましょう。
ユーベルコードを複数個/複数回使用すれば、それに対応した数のユーベルコードの相手にする必要があるので、お勧めしません。
また、重要なポイントとして、相手の巨体を利用『してはいけません』。体格差を利用した戦術を取れば、判定が大幅に不利になります。
もちろん、だからと言って『真っ向から力だけで槍を受け止める!』とかやっても、ぷちっと潰されるでしょう。
プレイングでうまい事工夫しましょう。
若津姫に質問した場合、それが彼女の知り得る内容なら、答えてくれます。
が、その回答については、リプレイで描写はされません。
もし質問プレイングが採用された場合、一二三がグリモアベースの専用スレに持っていって、トミーウォーカーの判定を経て、戦争後に情報まとめが公開される……と言う過程を経ます。よろしくお願いします。
なお、『猟兵はエンドブレイカーについては知らない』ので、過去作メタ知識での質問は不採用になります。
あと、あくまで戦いがメイン、質問はそのついで、と言う事でお願いします。質問だけのプレイングは流します。
それでは、皆様のプレイングを楽しみにお待ちしています。
第1章 ボス戦
『魔王ゼルデギロス・此華咲夜態』
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POW : ジェットランページ
【天槍から噴出する強烈なオーラ】によりレベル×100km/hで飛翔し、【身長】×【武器の大きさ】に比例した激突ダメージを与える。
SPD : 天槍乱舞
【貫通衝撃波「フォーススティンガー」】【螺旋回転突撃「ドリルインパクト」】【神速連続突き「ミラージュランス」】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。
WIZ : ジャッジメントランス
【天高く天槍を投げ上げるの】を合図に、予め仕掛けておいた複数の【オーラで構築した天槍の分身】で囲まれた内部に【裁きの雷】を落とし、極大ダメージを与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『でかいな…だが、臆することはなし!!いざ、参る!!』
相手の先制攻撃を【戦闘知識】で見極め、【見切り】と【オーラ防御】、【拠点防御】スキルの重ねがけと槍に向けての機動戦艦『天龍』での砲撃により最小の被害になるように、少しでもずらす。
そして、ユーベルコード【獄・紅蓮開放『ヴリトラ・ファンタズム】を発動し、乾坤一擲の気概で相手の仮面を狙って放つぜ
ティオレンシア・シーディア
うっわあ…大きさを利用「しない」って、パッと浮かぶ手筋が粗方消えるんだけど。勘弁してほしいわねぇ…
あたしこの手の相手はあんまり得意じゃないんだけどなぁ…
防御してどうこうってのはどう考えても無理筋だし、なんとか躱すしかないわねぇ。
ラド(車輪)と韋駄天印(迅速)で機動力を底上げ、エオロー(結界)と風天印(風)で耐衝撃〇オーラ防御を展開。●轢殺起動して流紋にマルガリータを直結、機体制御と軌道演算任せて――全速でバック。焼け石に水でしょうけど少しでも相対速度合わせてギリギリ〇見切ってバレルロール回避。○カウンターで仮面に流鏑馬ブチ当てるわぁ。
特に聞きたいこともないし、登るよりこっちのが現実的でしょ。
「でかいな……」
改めて、若津姫の巨大な身体を見上げ、感嘆の声を漏らすガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)。まさしく山よりも巨大な、常識外れの相手だ。
「だが、臆することはなし!! いざ、参る!!」
「ええ。いきますよっ!」
その上、それが天槍から噴き上がるオーラで、宙へと舞い上がる。それはまさに、空が埋め尽くされ、そして墜ちてくるような光景。
それでもガイは堂々とそれを見上げ――その一方で、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は、うんざりとした声を上げる。
「うっわあ……大きさを利用『しない』って、パッと浮かぶ手筋が粗方消えるんだけど」
大型の敵を相手に、体格差を利用して戦わない。戦術の常道に反するその制約に、勘弁して欲しいと、嘆息と共に嘆く。
「あたしこの手の相手はあんまり得意じゃないんだけどなぁ……」
まあそうは言っても、諦めて潰されるつもりなどある筈もない。バイク型のUFO・ミッドナイトレースに跨ると、『ラド(車輪)』のルーンと『韋駄天』の真言を刻み、機動力を向上させる。
準備を整え、空を見上げるこちらへと、降り注ぐは鋭い槍の一撃。
「さあ、これを凌ぐ事ができますかっ!」
「……マルガリータ、機体制御、お願いねっ!」
相手への返答に変わってAIに呼びかけ、全力のバックで回避を図るティオレンシア。若津姫の槍は攻撃範囲も広く、それでいて、狙いは正確無比。
(「間に合うかしらねぇっ……!」)
限界まで加速するUFOと、それを追いかける槍のスピード。緊張を表情に滲ませつつ、その切っ先から目を反らさず――。
「『天龍』ッ! 砲撃だっ!」
「っ……!」
その横合いから槍に叩きつけられるのは、砲撃。ガイの所有する特式機動戦艦の、三連衝撃砲3基9門が、火を噴き、巨大槍を狙い撃つ。
いかに巨大な若津姫といえど、その衝撃には、槍の軌道を僅かに逸してしまい。
「――今っ!」
「っ……!!?」
その、逸れる方向とは逆方向に、咄嗟にバレルロールを仕掛けるミッドナイトレース。『エオロー(結界)』と『風天』印で突きの余波も受け流し、空中に舞い上がりながら、構えるのはクレインクィン――ハンドル式のクロスボウ。
「そこよぉっ!」
「くぅぅぅぅぅっ!?」
細い糸目を僅かに開き、射出するのはグレネードの弾丸。華麗な流鏑馬で正確に仮面を撃ち抜けば、爆発が起こり、身体を反らす若津姫。
「見事、ですっ……ですがまだっ」
「こちらもまだだっ!」
それでも次の瞬間には立て直し、次の槍を繰り出そうとしてくるが……それよりも、ガイの追撃が早い。
こちらも余波に巻き込まれてはいたが、身に纏うオーラで踏み留まっている。獄炎の妖刀を両手で握り、その切っ先を真っ直ぐに突き出して。
「獄炎竜の魂よ! あの仮面を撃てっ!!」
「っ……ああああっ!!」
解き放たれるは、九つ首の竜。それを模した獄炎が、若津姫の仮面を撃つ。度重なる攻撃に、さしもの若津姫も悲鳴を上げ、追撃から逃れるように後ろに下がった。
「流石は六番目の猟兵……見事な武士(もののふ)です」
だが、下がりながらも、若津姫の声には喜びがある。猟兵達の強さを称えると共に、より闘志を昂らせていく。
大成功
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プフェルトラム・メーベルナッハ
不本意な状態であれ、私達の為に何かを残そうとするその在り方。
まさに『母』…ですね。
──分かりました。貴女のその意志に報いる為に、私の全てを──どうか、ご覧くださいませ。
(一礼し、魔法剣を構える)
敵の先制攻撃は怒涛の連続攻撃。
【ダッシュ】しつつ【ダンス】の如き動きに【フェイント】を織り混ぜ、以て少しでも狙いを絞らせぬよう試みつつ回避致しましょう。
被弾した所でダンスの動きは止めません。それが私の戦い方で、在り方なのですから。
ある程度接近次第、スカイステッパーを交えた【ジャンプ】で彼女の顔の高さを目指し跳躍。
この際も跳躍軌道を不規則なものとし回避を試み。
顔に迫り次第、仮面へ魔法剣で斬りつけます。
ユニ・バンディッド
アドリブ歓迎
え、ダメなの?(体格差の注意に)詰んだかも……あ!
操る、即ちゼルデギロスにとってもその肉体は武器ということだよね!
自慢の視力で敵の動きを盗み予測回避、鏡の様に改造した空飛ぶ金貨達にも協力して貰い鏡像や目晦ましの攪乱。
隙をみて【デモン・フェイカー】その巨体も武器もそっくり盗んだ、精巧なる贋作「偽若津姫」を生やし、鏡の様に盗んだ動きで敵の連続攻撃に対応するよ。
ボクのユーベルコードはニセモノを作るだけじゃないよ?それは贋作対象となった「本物」の操作権を盗むこと!反撃の好機作りにゼルデギロスと若津姫の、操作権を巡る争奪戦に割り込み掻っ攫うよ
だってボクはあくまで魔界盗賊!盗むのがおしごとだよ
空葉・千種
アドリブ歓迎
私ね、六番目の猟兵って言葉を聞いたときから考えていたことがあるの…
『予兆の人達も、あなた達も、私達を六番目の猟兵と呼んでるけど…
1から5の猟兵は、すでにオブリビオンになっているの…!?』
敵UCの雨に対して家族共用の自家用車で突入
アクセルベタ踏みで速度を出し少しでも時間を稼ぐよ!
自家用車が大破したら丸太で相手の攻撃をガード
UC発動まで時間を稼げたら、指定UCで若津姫の身体にダメージを与えながら顔にある仮面を目指すよ!
骸の海の存在を知った時から、私達もいつか過去(オブリビオン)になるかもしれないと考えてはいた…
でも、それが前にすすむことを辞める理由にはならないから…!
「え、体格を利用しちゃダメなの!? 詰んだかも……」
若津姫の山を越える巨体を見上げ、思わず弱音を漏らすユニ・バンディッド(贋作の悪魔・f31473)。まあ、それも無理からぬ体格差ではある。
『ぐ……そうだ、若津姫。この巨体で、叩き潰してやれ……ぐ、ぁぁ!』
「無駄な事です、ゼルデギロス。彼らは、そんな力押しで倒せる相手ではありません」
その弱音に反応してか、一瞬、ゼルデギロスが声を漏らす。すぐに若津姫がそれを抑え込むが……そんな光景を見た瞬間、ユニの脳裏に走る閃き。
「そっか、ゼルデギロスにとって、その肉体も武器って事だね!」
「なるほど、そう解釈も出来ましょう……それで、どうしますかっ!」
そんなユニへと繰り出される、鋭く繰り出される突きの一撃。衝撃波すら伴う、渾身の一撃。それすらも、流れるような連撃の予兆でしかない。
「はああああっ!!」
「わ、わっ……お願いっ!」
閃きを実行に移すにしても、まずはこの槍を凌いでからだ。空飛ぶ金貨をばら撒いて、鏡像や光の屈折による撹乱を仕掛けて回避するユニ。
「まだまだっ!!」
一方で若津姫は、避けられても構わずに、次撃の為に槍を引く。その、狙う相手はユニだけではない。
「当たったら、ただじゃすまないわね……!」
そんな槍から逃れるべく、自家用車のアクセルを全力でベタ踏みするのは、空葉・千種(新聞購読25社達成の改造人間・f16500)。追いかけて来るその槍から、ハンドルを左右にぶん回して、必死に逃げ続ける。
キャバリア装備輸送用の改造車ではあるが、あんな巨大な槍を喰らったら、間違いなくスクラップだろう。家族共用の車なので、おしゃかになったらとても困る。
まあ、そうなった時は、自分も潰れている可能性が高いが――どちらにしろ困る事にはかわらないので、必死に避け続ける。
「見事です。ですが、まだまだっ!! 凌いでみなさいっ!」
「ああ。不本意な状態であれ、私達の為に何かを残そうとするその在り方……」
避け続ける猟兵へ、槍を振るい続ける若津姫。プフェルトラム・メーベルナッハ(千夜の踊り手・f00012)は、その姿に、『母』としての矜持を感じ取る。
相手の素性は知らない。だが、それに応えないなど、彼女にとっては有り得ない事で。
「貴女のその意志に報いる為に、私の全てを──どうか、ご覧くださいませ」
「ええ、見せてください……六番目の猟兵の、その全てを!」
魔法剣を手に、優雅に一礼。その挨拶を見届けた直後、若津姫はこちらにも、槍を繰り出してくる。
それを、踊り手として、ダンスの動きで回避するプッフィ。もちろん、ただ踊るだけでは回避しきれない……不規則なステップ、幻惑するような動き。相手の狙いを絞らせず、少しでも逸していく。
「私も、見せましょう。あなた方に届くように、私の全てをっ!」
「っ……ええ、応えましょう……!」
対して、若津姫の槍の動きが、変わる。螺旋を描くドリルのように、鋭く穿つ必殺の一撃。地面が抉られ、足場が悪くなる。それでも、プッフィは踊りを絶やさない。千種の自動車も全力で、悪路を踏破していく。
「っ、追いつかれるぅ……きゃあっ!?」
「そこですっ!!」
だが、神速の連続突きに切り替わると、ますます避け難くなり……ついに追いつかれた自動車が、大破し、横転する。咄嗟にドアから飛び出した千種を襲う、さらなる突きの連打。
「ま、まだっ……潰される訳にはいかないんだからっ!!」
一緒に車から転げ落ちた丸太で、それを必死に凌いでいく。だが、それでも槍は繰り出され続け――そして、突然に停止した。
「む、何が……?」
「その『武器』っ! そっくり盗ませてもらうよっ!」
全ての技を出し切った若津姫。その前に現れるのは、ユニが生み出した、贋作の偽若津姫。それが天槍の乱舞を模倣し、真なる若津姫めがけて、繰り出していく。
だが、このユーベルコードの本領は、ただの模倣ではない。
「――魔王ゼルデギロスから、若津姫って言う、武器をね!」
『ぐっ……何をする……!?』
贋作を生み出す事で、真作の存在を貶しむる事。それこそ、贋作の悪魔の――魔界盗賊の、悪魔の御業。
制御権の争奪に乱入し、若津姫の動きを阻害する。完全に止めるには至らずとも、その鋭さを鈍らせて……そして、その槍を遡るように駆けるプッフィ。
「これが、私の戦い方で、在り方です……!」
踊り続けた彼女の身体には、無数の傷。直撃こそ受けてはいないが、掠めるだけでも、十分なダメージだ。
だがそれが、踊りを止める理由にはならない。空を、槍を蹴って、舞うようなステップで、若津姫の顔まで駆け上がり。
「私もっ――!」
「ぐっ!」
千種もまた、攻撃を凌ぎ切ると、若津姫の身体を侵食しながら顔を目指す。仮面に力が届けば、若津姫の顔が苦悶に歪み――。
「どうぞ……ご覧くださいっ!」
「あああっ!!」
そうして、プッフィが叩きつける魔法剣の一撃が、若津姫を大きく後退させた。苦痛に声を漏らす若津姫。
それでも立ち上がろうとする彼女に、千種は問いを投げかける。
「予兆の人達も、あなた達も、私達を六番目の猟兵と呼んでるけど……一番目から五番目の猟兵は、すでにオブリビオンになっているの……!?」
骸の海を知った時から、ずっと考えていた。自分達もいつか過去(オブリビオン)になるかもしれないと。
それでも歩みを止めないために、投げかけた、その問い。若津姫はそれに、真摯に答えを返した――。
大成功
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葛葉・御前
連携も即興劇も自由にするがよいぞ
妾には問い質したい事はない
戦場でまみえたならば礼を尽くして、全霊を賭けて、打ち倒すのみぞ
妾は高速詠唱と多重詠唱により、攻防一体の隙のない立ち回りを可能とする
己の身を結界術で護りつつ、同時に攻撃を行えるのじゃ
まして天槍を投げ上げて、更には攻撃地点を事前に天槍の分身で囲むなど、言わば二重に攻撃の予兆が存在する技であろう
そのような技、たとえ先手をとられたとしても、避けるのは容易い事じゃ
妾の尾に宿る日曜星の神氣が、勝利と栄光の暁をもって武士たちを照らし上げるじゃろう
力を振り絞り、結集させるのじゃ
妾が立つ戦場に敗北の文字はない
天宮・紫苑
真正面からと言うのは私のやり方では無いのですが、
この体格差だと姿隠して一撃入れても意味なさそうですし……しかたありません。
「正面から行かせていただきます」
戦い方が普段と違いますが、相手の挙動に最大限の注意を払うという意味では大差ありません。
相手の動きを良く見て、UCの発動を感知し、UC【虚影の破断】を相手のUCに打ち込み相殺します。
他の攻撃に関しても、体格差から防御も厳しいでしょうから回避を重視し、一気に顔の仮面目指して突っ込みます。
UCを相殺し、攻撃を回避しながら、仮面に向かって突撃する。
私に出来る戦い方はこんなものでしょう。
「さて、それなり程度ではありますが、やれるだけやりましょう」
露木・鬼燈
回避とかほぼムリっぽい
だったら受け止めるしかないよね
防御で可能な限りダメージを減らして耐える
分の悪い賭けだけどやるしかないっぽい!
裁きの雷だからきっと雷対策でいけるはず
高出力だと熱対策も必要となるかな
電流を誘導する水の結界・耐電耐熱結界・生体装甲に氷のルーン
さらに雷避けといえばこれ『くわばらくわばら』ってね
可能なら土遁で土のドームをも追加したいところ
まぁ、耐えたところで反撃する余裕はなさそうだけど
そーゆー時は味方の支援に回るとゆーのもありだよね
<再起回生陣>
死んでなければ戦えるからね
攻撃は仲間に任せるですよ
「戦場でまみえたならば礼を尽くして、全霊を賭けて、打ち倒すのみぞ」
「ええ。そのつもりで、どうぞ、来てくださいっ!」
若津姫の、見上げるような巨体を前にしても、悠然と立ち、真っ直ぐに相手を見据える葛葉・御前(千年狐狸精・f36990)。その身に纏う大妖怪の威風は、身体の大きさで劣るものではない。
「……こう言うのは、私のやり方では無いのですが」
もっとも、そんな堂々とした態度を見せられる猟兵ばかりではないが。天宮・紫苑(人間の魔剣士・f35977)などは、本来は姿を隠しての闇討ちが得手。だが、この巨体相手では、それも意味があるとは思えない。
「仕方ありません……正面から行かせていただきます」
「では私は、それを打ち砕きましょう……!」
それでも覚悟を決めれば、若津姫はその槍を握り――それを天へと投じていく。雲に穴を開けるほどの、豪槍の投擲。
同時に、周囲に張り巡らされていくオーラ。巨体のスケールで展開されるそれは、一瞬で猟兵達を取り囲んでいく。
「なるほど、思ったより厄介じゃな……じゃが、二重の攻撃の予兆、見逃さぬ」
だが、その時にはすでに一切の迷いなく、全速力で下がっている御前。攻撃の予兆を見逃さず、その範囲から逃れていく。
「そのような技など、避けるのは容易い事じゃ!」
「うーん、反応が速い。でも僕にはムリっぽいのです」
一方で露木・鬼燈(竜喰・f01316)には、そのように逃れる事は不可能だ。いや、本気で逃げを図れば、決して不可能ではないが……それでは、相手に反撃する事が出来ない。
自分の間合いから外れぬままに攻撃を凌がなくては、意味がない。
「だったら、受け止めるしかないよね……分の悪い賭けだけどやるしかないっぽい!」
「では、受け止めてみてください……天雷よ、降り注げっ!」
そうして、体勢を整えた鬼燈へと、降り注ぐ雷。一発でも喰らえばこちらを消し炭に変えるような裁きが、情け容赦無く戦場を満たしていく。
「全力で耐えきるのです……!」
それを、ありとあらゆる手段で防ぎにかかる。電撃を絶縁し、電流を誘導し、熱を遮断し、生体の強度を向上させる。
さらには土遁で土のドームを作り、雷に対する傘にして。
「あとは、くわばらくわばら、ってね……!」
ついでにまじないまで口にして。とにかく雷を耐える事に、専念する。
そして雷を耐えようとするのは、紫苑も同じ。ただしこちらは、一つの手段に全力で集中するが。
「相殺します……!」
その手段は、闇――やはり、それが彼女の本領。大太刀に纏わせた闇のオーラが、斬撃となって空に飛ぶ。
それは、降り注ぐ雷を飲み込み、断ち切る、虚影の刃。そうして仮面への道を開き、若津姫の身体を駆け上がっていく。
「見事です、ですがまだ……!」
各々の手段で裁きの雷を凌ぐ猟兵達を、讃える若津姫。だが、雷はなおも、降り注ぎ続け、戦場を満たしていく。
……だが、戦場を満たすのは、雷だけではない。燦然たる神氣が、辺りを照らし出す。
「む、この光は――」
「日曜星よ。勝利と栄光の暁をもって、武士たちを照らし上げるが良い!」
それを放つのは、御前。九尾のうちの一本が眩く光り輝き、そこに宿る力が、周囲を照らし出す。
天から地を照らす太陽の光輝は、戦場から遠くとも、その距離を物ともしない。この力があればこそ、先ほどは全速力で戦場から離れたのだ。
「さあ、力を振り絞り、結集させるのじゃ!」
「うんうん、こーゆー時は味方の支援に回るとゆーのもありだよね」
そうして檄を送る御前に応じるように、鬼燈は、地面に手を当てる。雷を耐えるのに専念し続けながら、仙術のエネルギーによって、巨大な陣を描く。
「あっちが空から照らすなら、こっちは地上から照らすっぽい!」
回生の陣から生じるのは、眩い光球。それは高純度の、エネルギーの塊だ。触れた者の傷を癒やし、力を与える。
「死んでなければ戦えるからね。あとは仲間に任せるですよ」
「妾が立つ戦場に敗北の文字はない! さあ、行くが良い!」
太陽の光、仙術の光。2つの輝きは、雷光にも劣らない。むしろ、それをかき消さんばかりに、眩く、強く輝いて。
「こういうのは、本当に私のやり方ではないのですが……」
――そして、光が強い程に、影もまた、濃く、強く。2つの光から力を得た紫苑は、若津姫の二の腕を蹴り、顔面へ真っ直ぐに突き進む。
直撃は受けずとも、多少の傷は得る。だが、それもすぐに塞がり、彼女の走りを止める事はない。闇纏う太刀を構え、振りかぶり。
「まあ、これだけ力を受けたのです、やれるだけやりましょう、か……!」
「っ……あああああっ!?」
そのまま振るわれる刃は、三度。一度は自身の力、二度は仲間の力で。闇は仮面を蝕んで、劣化させ、裂け目を広げていく。
「託し託されし、その連携……やはり、見事です……!」
叩きつけられた力に声を漏らし、顔を抑えて後退する若津姫。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アリス・フェアリィハート
アドリブ連携歓迎
ゼルデギロスさん…?
いえ…
若津姫さん…なんですね…?
若津姫さん
貴女のお覚悟に
私の様な未熟者が
お応えしきれるかどうか…
けど
精一杯お応えします…!
【SPD】
味方とも連携
翼で飛翔
【空中機動】【空中戦】で
立体的に立回り
敵の先制攻撃は
【第六感】【見切り】【早業】
等
総動員し
UC発動
防御・回避行動とも併せ
その場ごとなぎ払い
相殺・回避を試みます
(敵味方を区別しない攻撃の為、敵の攻撃に合わせ最大3回まで攻撃、出来れば真っ先に
味方のいない所まで移動し発動)
何とか
敵の先制攻撃を
凌げたら
ヴォーパルソードで
【破魔】を込めての
光焔の【斬撃波】を放ち
【切断】【なぎ払い】等の
剣戟や
【ハートのA(アリス)】も
展開
【破魔】の【属性攻撃】魔法の【誘導弾】を【一斉発射】や
UC(こちらは味方を巻き込まない様に)で
仮面を狙い攻撃
敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】
【結界術】【オーラ防御】で
防御・回避
※質問
『ゼルデギロスさんは貴女のお身体を乗っ取ってる様ですけど…ゼルデギロスさんとは一体…貴女の過去に一体何が…?』
嘉納・武道
此処まで巨大になると、恐れより感心が先立つものだな。
何やら事情がありそうだが……問うのは野暮だな。貴女の想い、武人として受け止めさせてもらう!(太い笑み
「姓は嘉納。名は武道。号は柔道番長。推して参る!!」
巨大な敵と戦う[覚悟]を決め、[気合]と[根性]を入れて立ち向かう。
【大雪山雪崩落】使用
若津姫への対策は、攻撃の的を絞らせぬよう不規則な律動を伴った軌道を繰り返し、同時に[殺気]と[威圧]を纏った気配のみの[残像]を移動跡にばら撒いて攪乱。
コロの原理で身体を横回転させ攻撃を[受け流し]、隙あらば[体勢を崩す]。巨大であっても二本足でヒト型ならば問題なし!
上記を含め、他の行動・言動は委ねます。
「ゼルデギロスさん……? いえ……若津姫さん……なんですね……?」
若津姫の巨体を見上げ、それを気遣うように見つめるアリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)。
「ゼルデギロスさんは貴女のお身体を乗っ取ってる様ですけど……ゼルデギロスさんとは一体……貴女の過去に一体何が……?」
「それは――」
若津姫はその問いには真摯に答えてくれたが、首を振り、槍を構える。その切っ先に宿る、鋭い殺気。
「どちらにせよ、関係ない事です。私があなた方の敵、それに代わりはないのですから」
「貴女のお覚悟に、私の様な未熟者がお応えしきれるかどうか……」
その殺気を身に受け、だがアリスは、目を反らす事はない。空色の光焔を纏うその剣を構え、真っ直ぐに相手を見据え続けて。
「けど、精一杯お応えします……!」
「ええ、では、応えてください……!」
そこに繰り出されるのは、衝撃波を伴う槍撃。それに対して翼を広げ、宙に舞い上がって回避して。
「まだですっ!」
「っ……!」
それを、追いかけて来る切っ先。巨体ながらに槍捌きは正確で、それでいて、巨体に見合った威力。受けるのも、避けるのも、難しい。
「でしたらっ……これでっ!」
「むっ……!」
しかして、巨大化させた剣で受け止め切るアリス。ヴォーパルソードの蒼焔に宿るは、オーバーロードの力だ。真なる力が天槍と拮抗し……それでも弾き飛ばされそうにはなるが、空中で姿勢を制御し、留まって見せる。
「此処まで巨大になると、恐れより感心が先立つものだな……」
そんな、空中での戦いを、感嘆の声と共に見上げるのは、嘉納・武道(柔道整復師にして青龍拳士・f36325)。柔よく剛を制すが旨の柔道家といえど、流石に、山より大きい相手は規格外に過ぎる。
「だが、貴女の想い、武人として受け止めさせてもらう!」
「……ええ!」
そんな相手に対し、堂々と構えを取って見せる武道。何やら事情はあるようだが、問うのは野暮と、聞きはしない。
若津姫もその意気を感じ、真っ直ぐに槍を構える。切っ先に籠もるその殺気に、岩のように揺るがぬ構えで応じ。
「姓は嘉納。名は武道。号は柔道番長。推して参る!!」
「では、いきますよ……!」
そこに繰り出される槍。いかに武道の身体が強靭であっても、受ければひとたまりもないだろう。それを避けるべく、巧みな……そして不規則な足捌きで撹乱し。
「……ぬぅんっ!」
「見事な、ものです……!」
触れれば巻き込まれそうな螺旋の槍も、残像を囮に、狙いを逸らす。槍は当然、空のアリスにも繰り出されているが、巨大な剣で、撃ち合って。
「重い、です……けど……!」
オーバーロードの力なくば、とうに打ち負けているであろう、鋭く重い天槍。だがアリスはそこに、殺気だけではなく、若津姫の想いを感じ取る。
だとすれば、引く事は出来ない。翼を広げ、三度目の刃を振りかぶる。
「負けません……その想い、受け止めてみせますっ……っ!」
「ならば、受け止めて下さい。容赦はしませんっ!!」
そこに繰り出される、神速の連続突き。それを、渾身の斬撃で受け止めていくアリス。
四度目はない。無数の突きを、この一刀だけで受けきり、押し返す。その覚悟をもって刃を振るい――振り切って。
「っ、見事っ……!」
全ての突きはアリスには届かず、感嘆の声を漏らす若津姫。その一方、連続突きは、地上の武道へも雨のごとく降り注いでおり――。
「ここだっ!!」
だが、アリスと撃ち合ったその切っ先は、僅かにぶれている。それを感じ取った瞬間、武道は前に出て、槍に指を立てた。
もちろん、抱える事も出来ぬ、巨大な槍。されど――。
「巨大であっても、二本足でヒト型ならば問題なし!」
「っ、きゃあっ!?」
身体を横回転させ、突きを巻き込むようにして引き込む。それは柔道家の、極限まで研ぎ澄まされた技量による、渾身の投げだ。
文字通り、山すら揺るがす雪崩落とし。若津姫の身体がつんのめり、バランスを崩す。
「今ですっ!」
「っ……くぅぅぅっっ!」
その隙を逃さず、アリスは全力で、ジュエルのハートを解き放つ。今の若津姫に、それを防御する手段はない。仮面を撃つ衝撃に、身体を仰け反らせていき、そして。
「どうか……私の、想いも、受け取ってください……!」
「っ、あああっ!!」
そこに間合いを詰め、渾身の斬撃を、仮面に叩き込んだ。大きくよろめきながら後ろに下がる若津姫。
「見事……あなた方の想いも、強く感じました」
仮面についた傷を抑える、その表情には、笑みが浮かぶ。自らの滅びが間近に迫ろうとも、毅然と立つその姿。猟兵達はそれに、深い感銘と敬意を覚えていく。
大成功
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アウル・トールフォレスト
すごい大きいね…!これはわたしも負けてられないや
さぁ楽しもう!やるなら全力でぶつかるよ!
【深緑、底知れぬ恐怖を育め】
『高き森の怪物』に変身して、彼女と同じくらいに大きくなって戦うよ
この身体なら、あなたと力比べだって出来る
突撃だって受け止めてみせるんだから
槍を受け止められたのなら、それだけ彼女との距離は近いはず
手を伸ばして仮面を掴むのなんて、今のわたしには簡単な事だよ
あなたが誰かは知らないけれど
終わるのならば、それは楽しいものにしたいよね
叶えてみせるよ。わたしだって、負けるのはつまらないもの!
アルテミシア・アガメムノン
……オブリビオンと化してなお誇り高き方の様ですね。
わたくしも全力でお相手いたしましょう!
キャバリア『フリズスキャルヴ』に搭乗して対峙。
先制対策
敵POWUCによる初撃、音速を容易く超える一撃は発動してからでは回避は困難。ランスの構え、足の位置から攻撃の軌跡を瞬時に見切り(瞬間思考×見切り)、発動時には既に回避行動に移ることで凌ぎます。
しかる後に『機神降臨』を発動。
巨大化して戦闘力マシマシとなったキャバリアを駆り、手に持つ『黄金の神剣』(魔力で巨大化)で仮面を破壊するべく斬撃を放ちましょう!
『……オブリビオンと化してなお、誇り高き方の様ですね』
黄金のクロムキャバリア・フリズスキャルヴのコクピットで、若津姫の姿を見やるアルテミシア・アガメムノン(黄金の女帝・f31382)。その毅然とした態度に、深い敬意を覚える。
『なれば、わたくしも全力でお相手いたしましょう!』
「ええ――」
若津姫は天槍からオーラを放ち、飛翔の準備を整えて。だがその瞬間にはすでに、フリズスキャルヴは回避行動を始めている。
(「攻撃が繰り出されてからでは、回避は困難……ならばっ!」)
相手の槍の切っ先、足の踏み込み、膝の撓み。どれほど大きな相手でも、見るべき場所は変わらない。
そして彼女のキャバリアは、魔力感応により、その意のままに動く。なあば、見切る事さえ出来れば。
「――いきますよっ!」
『っ……当たりませんわ!』
そうして、一瞬前までいた場所を、若津姫の槍が貫いた。完全に回避してみせると、光の翼で姿勢を制御するフリズスキャルヴ。
「見事です、しかし、まだ……むっ!?」
攻撃を回避された若津姫もまた、すぐに姿勢を制御し、振り向いて。だが、次撃を放とうとする彼女の前に、堂々と立ちはだかる、アウル・トールフォレスト(高き森の怪物・f16860)。
「すごい大きいね……! これはわたしも負けてられないや」
そう、彼女は、若津姫の――山より大きな相手を前に、立ちはだかって見せる。ダークセイヴァーに伝わりし御伽噺の怪物は、異界の魔王にも、引けを取らず。
「さぁ楽しもう! やるなら全力でぶつかるよ!」
「ええ。私も全力でいきますよ!!」
そうして山と、高き森が、ぶつかり合う。繰り出される天の槍……その切っ先は回避しつつも、全身での突撃に、真っ向から立ち向かう。
「ふ、んっ……!!」
「む、ぅっ……!!」
拮抗する力、重さ。流石にずずっ、と足が滑り、後退する。それでも、倒れる事なく若津姫を受け切って見せるアウル。
「あなたが誰かは知らないけれど。終わるのならば、それは楽しいものにしたいよね!」
「く……ああああっ!?」
そしてそのまま、相手の仮面を鷲掴みにしてみせた。全力で引きちぎらんと、その力を篭める。若津姫はそれに、苦痛の声を上げて。
「叶えてみせるよ。わたしだって、負けるのはつまらないもの!」
「っ……ですが、私も、手は抜きませんよっ!」
それでも相手は、最期の瞬間まで、全力を尽くす。その槍を振りかぶり、アウルに突き立てようとする。
アウルもその槍から、目を反らさない。その手に、全力を籠め続け。
『さあ、今こそ……断ち切りますわっ!』
「っ!?」
その仮面めがけ、飛翔するフリズスキャルヴ。運命の力をその身に宿し、進化したその機体が、真っ直ぐに突き進む。
若津姫は咄嗟に、槍の軌道を変え、こちらを迎え撃ってくる。だがその切っ先に、怯む事はなく。
『あなたに、安らかなる滅びを与えましょう……!』
「終わり、だよっ!!」
期待に合わせて巨大化した神剣が、仮面に叩きつけられ、真っ直ぐに断ち切っていく。その部分から、一気に引き剥がして見せるアウル。
『おのれ、おのれ、猟兵っ……おのれ、若津姫ぇ……!』
若津姫から分かれた仮面は、音を立てて砕けていく。まずはゼルデギロスの断末魔が、戦場へと引き渡り。
「ああ、やはり――あなた方は素晴らしき武士でした。これで、なんの悔いもなく――」
素顔を晒した若津姫は、安らかに、猟兵達に微笑んで。
骸の海へと――あるべき過去(ばしょ)へと、還っていった。
大成功
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