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【サポート優先】忍び寄る濃い奴ら

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #ミズ・ルチレイテッド #バーチャルキャラクター #シリアスさんが仕事しない #低速で運営中

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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)

●ヤバい奴がやって来た
「ミズ・ルチレイテッド殿の意思を引き継いだ以上、我もその役目を果たさねばならぬと思うのだ!」

「そうでございますね、ご主人様」

 漆黒の漿船(クリスタルシップ)の中で筋肉質の男が、傍に控えた執事よりティーカップを受け取る。しばしのティータイムを楽しんだマッチョは執事に命令を出し、とある場所へと船を向かわせた。

「我が入手した情報では、この先にあるコンサート会場で、アイドルがライブをやっているとの事であったな!」

「はい、そのようです。巷では美少女アイドルとして活動をしている少女らしいですね」

「ふふふ、コンサート会場でライブをやるようなアイドルであれば、その認知度はなかなかなものだろう。手駒に加えれば、我らが野望達成への強力な一歩となるに違いない!」

「そうでございますな」

 執事の合いの手に、実に満足げな表情を浮かべるマッチョ。

「そのアイドルとやらも我が新たに手に入れた宇宙パワーでマッチョに変えてくれる!なよなよとした者など、我の配下には不要である!」

「・・・私め、ここしばらくの侵攻準備のために少々トレーニングが滞っておりました」

 その執事の一言を聞いたマッチョが鬼の形相となる。

「貴様、トレーニングを欠かしておったのか!そう言われてみれば、筋肉が落ちているようではないか!いかん、それは非常にいかんぞ!」

「も、申し訳ございません・・・」

「ならば、貴様も我の宇宙パワーで強化してくれよう!それ~!」

 マッチョの瞳から放たれたビームが執事を貫いた。「ぐおぉぉ」とうめき声をあげた執事はみるみるうちに筋肉が盛り上がったマッチョな姿へと変じた。

「力が漲ってまいりました。ありがとうございます、ご主人様」

「よし、そのパワーアップした力でアイドルを捕獲するのだ!そう言えば、貴様の得意分野は高カロリーの食べ物をたらふく食わせる事であったな!」

「はい、そうして相手を丸々と肥やしてやるのが、私めの本来の戦い方」

「ふっ、ならばそのアイドルも一旦丸々と肥えさせてやってから、我のビームでマッチョへと変えてやろう!一気に見事な筋肉質に変身する姿は非常に見物であろう!」

 マッチョは暗い笑みを浮かべ、非常に悪質な事を宣った。アイドルさん、逃げて~。

●久方ぶりの予知です
「皆さん、ご無沙汰しております。やっとグリモア猟兵として復帰するくらいまでに、なんとか回復はしました」

 鳳凰院・ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は先の封神武侠界での戦いの際に負傷し、しばらく療養していたが・・・やっと回復して動き始める事になったようだ。しかし、その彼はどこかげっそりした表情を浮かべている。どうした、まだ本調子じゃないのか・・・。

「実は・・・ですね、今回は皆さんにキマイラフューチャーへ向かってもらおうと思っているんですが」

 ひりょの話によると、前に討伐された猟書家幹部「ミズ・ルチレイテッド」の後釜となる存在が現れたようだ。となると、狙われるのはバーチャルキャラクター達、か。

「そうなりますね。今回もちょうどコンサート会場でライブを行う事になっている美少女アイドルで名前は『アキ』さん、と仰るらしいんですが・・・。その方がターゲットのようです」

 では、そのアキという少女を守りつつ、猟書家幹部とその配下を倒す形になるのだろう。・・・だが、なんだろう。説明を続けるひりょの表情はどんどんと憔悴していっている気がする。

「今回の相手は・・・、手下は『カロリー執事』っていう奴で、相手に高カロリーの食べ物を食らわせ続けて肥満にしちゃう、というはた迷惑なオブリビオンみたいです」

 それ、美少女アイドルにやっちゃだめだろう、うん。ライブを見に来ていた観衆からも悲鳴が上がりそうだ。

「そして、その主であるオブリビオンが・・・」

 オブリビオンが?どうした、ひりょ。

「マッチョなアルパカなんです」

 マッチョ・・・かぁ。なるほど、ひりょは極度な筋肉質な相手が苦手分野だったはず。憔悴した表情なのはそのせいだろうか。

「はい・・・、安静にしていた所、予知夢みたいな感じでマッチョが、マッチョが・・・」

 あぁ・・・それはご愁傷様。夢の中とはいえ唐突に自分の苦手なマッチョの姿をドアップで延々と見させられたのなら・・・、どんまい。

「と、いう事で・・・すみませんが、そのはた迷惑な奴ら、ひとまずぶっ飛ばしちゃってください」

 疲れ果てた表情のまま、ひりょは集まった猟兵達を現地へと転送開始するのであった。

●ついに女性の敵、現る!
「みんな~、今日はありがとうね!目一杯楽しんでいってね!」

 バーチャルキャラクターの『アキ』の一声で、ライブが開始された。観客が見守る中ラ、ライブはどんどんとヒートアップしていく・・・。しかし、そこへ闖入者が登場したのだ。
 ライブ会場の上空に突如現れた飛行船。その中より一本の光が地上へと降り注ぎ・・・、そこに現れたのはマッチョな執事であった。

「な、なんなの貴方・・・」

 アキは突如現れたマッチョ執事に怯えつつも、気丈に振舞う。

「貴方には恨みはありませんが、ご主人様のご命令です。貴方にはまず・・・丸々と肥えていただきます」

「・・・、・・・・・・。い、いやぁぁぁぁっっっ!」

 アキの絶叫が木霊した。


黄昏空
 MSの黄昏空(たそがれ・そら)です。このシナリオは2章構成でお送りするサポート優先シナリオになります。幹部「ミズ・ルチレイテッド」の後を引き継いだ奴は・・・非常にやばい(ある意味)な奴でした。恐らくシリアスさんはお亡くなりになられるシナリオになるかと思います。マッチョ怖いっす(白目)

 美少女アイドルのコンサート会場に突如現れた怪人アルパカマッスルとその配下のカロリー執事によって、会場は大混乱となります。
 まずはカロリー執事をしばき倒しましょう。その後は怪人アルパカマッスルとの決戦です。

 戦闘中はアイドルが応援してくれる事でしょう(彼女は応援はするものの、戦力としては一切期待出来ません)

 猟書家対応の状況次第で、こちらのシナリオの執筆ペースを調整するつもりでいます。恐らく完結は5月の満月よりも後になる可能性が高そうでしょうか。このシナリオの他に同時進行のシナリオも準備予定ですので、ぼちぼちと進めていきます。
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第1章 ボス戦 『カロリー執事』

POW   :    血糖覚醒
【自らの野望の為 】に覚醒して【全身が高カロリーな食べ物】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    カロリーボム
【口に向けて一日分超の高カロリーな食べ物 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    お食事会
いま戦っている対象に有効な【相手が好みそうな食べ物(カロリー激高) 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロートフラメ・クリーガー(サポート)
「むぅ、大物であるな。相手にとって不足なし!ヌハハハ!」

文字通り、鋼の肉体を活かしてダメージは気にせず、相手に突撃したり、味方をかばいます。味方と協力できればさせてもらいます。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。どんな目に遭っても大丈夫です。よろしくおねがいします!



 パニックになるアキ、そしてそのアキに迫る魔の手…。咄嗟の事にコンサート会場にいた誰しもが動けないその中で…、割って入る一つの影があった。

「っ!?」

「何奴です」

 驚くアキとマッチョ執事の視線が、その乱入者へと集中する。

「ヌハハハ!そこなる悪漢よ、我輩が相手になろう!」

 豪胆な高笑いと共に現れたのは、ロートフラメ・クリーガー(さすらいのストライカー・f36816)であった。

「助けて…くれるの?」

 ロートフラメは縋る視線で彼を見つめるアキに、「安心するように」と大きく頷く。

「うむ、任されよ。我輩が来たからにはもう安心だ!」

「ほぉ…あなたは、この私めの任務を邪魔しようとするのですか?覚悟は出来ているのでしょうね?」

 マッチョ執事が己の筋肉を誇示するようにポージングを取る。ある意味の威圧であろうか?ただでは済まさないぞ?という。

「ヌハハハ!よく言うわ!貴様のその筋肉、借り物であろう?そのような仮初の筋肉に、この我輩の磨き上げた鋼の肉体が負けるわけがないのである!」

 こちらも対抗し、文字通り鋼の肉体でポージングするロートフラメ。「こ、こっちにもいたぁぁぁ」などというアイドルの声が彼の耳に入った気がしたが、きっと気のせいであろう。

「くっ、何故その情報を…」

「悪漢にプライバシーなどないのである!」

 グリモア猟兵の予知によって、執事が今の肉体になる経緯はモロばれなのである。 

「いいでしょう、この私めとあなたの肉体、どちらが上か勝負です」

「勝負であるか!相手にとって不足なし!ヌハハハ!」

 会話だけ聞くと非常に暑苦しそうな一戦が…、今幕を開ける!


 マッチョ執事はアキに食べさせようと手にしていた高カロリー食を、一旦脇に置く。いつの間にか現れていたテーブルは、彼が召喚したのであろうか。まぁ、襲う相手に強制的に食事を摂らせる手合いだから、そのくらいの事は出来るのかもしれない。
 この場にその事にツッコミを入れられるような精神状態の者は、残念ながらいなかった。誰もがマッチョ執事とロートフラメの一戦に釘付けになっていたのだ。
 それもそのはず、キマイラフューチャーの住民にとって、猟兵とはヒーローそのもの。突然のハプニングではあったが、こうして目の前で繰り広げられるであろう猟兵の活躍を固唾をのんで見守るつもりなのだ!


 先手を打ったのはマッチョ執事であった。手ぶらとなった執事は、そのまま優雅な足取りでロートフラメへと間合いを詰め…、豪快な回し蹴りを放った!その一撃は並の相手ならば一撃で粉砕する事が出来るであろう一撃であったが…、その一撃にロートフラメは見事に耐えきる。

「この私めの一撃に耐えますか。なかなかやりますね」

「ヌハハハ、所詮は借り物の筋肉から生み出された一撃。我輩のこの鋼の肉体には効かないのである!」

「くっ、言わせておけば…。いいでしょう、この私めの必殺の一撃、食らってみなさい!」

 マッチョ執事の肉体が変化し始める。全身を高カロリーの食べ物と化した執事は、戦闘能力を爆発的に増大させる。

「ほぉ…、先程までとは比較にならないほどの力の高まりを感じるのである!ならば、貴様のその本気の一撃、見事耐えきってみせるのである!」

 あくまで自分のスタイルを貫き通すロードフラメは、「一撃、打ってこい」と執事を挑発する。


「これで…終わりです!」

 先程までとは比較にならない、電光石火の一撃がロードフラメの顔面に叩き込まれた!思わずその光景に視線を逸らすアキや観衆たち。だが…。

「…、……。ふっ、やはりこの程度であるか。確かに、変身した事で貴様の戦闘力は上がったかもしれぬ。だが…、安易に筋肉を手放す貴様の一撃など、やはり我輩には効かぬのである!」

 執事の放った一撃を、事も無げに耐えきったロードフラメ。

「ば、馬鹿な…」

「これで終いであるか?ならば今度はこちらの番である!」

 ロートフラメの鋼の肉体から繰り出される拳が唸りを上げ…、執事に叩き込まれた!

成功 🔵​🔵​🔴​

星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
 人間のスーパーヒーロー×剣豪、女の子です。
 普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「追撃します」

 星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)が、体勢を崩したマッチョ執事に斬りかかる。杏梨の手に持った聖剣が煌めき、敵を一刀両断しようとする!
 だが…、相手は特殊な力によって肉体を改造されたマッチョ。肉の壁が聖剣の一撃を辛うじて受け止めきり、執事は難を逃れる。

「次は貴方ですか…。その剣の力、厄介なようですね」

「その筋肉も無敵というわけではないようだから、続けていくわね?」

「そうはさせませんよ!クールな女性の貴方には…これはどうです?」

「!?」

 ほんの一瞬だけ目を見開く杏梨。敵が手にしていたのは…抹茶ケーキ!戦闘中に何を…と一瞬動揺しかけた杏梨だが、そこは普段から冷静である事を心掛けている身。杏梨は一瞬にして動揺から立ち直る。

「そんなものを戦闘中に出すなんて…どういうつもりなの?」

「勿論、貴方に食べていただく為ですよ。その誘惑に…抗えないでしょう?」

 不敵な笑みを浮かべる執事。何という事だ、杏梨は自分の視線が執事の持つケーキに釘付けになってしまっている事に気が付いた。ケーキ自体に何か特殊な魔力でも込められているのだろうか?必死に誘惑に抗おうとする杏梨だが…、ついにはふらふらと執事の元へと歩み寄る。

「さぁ、テーブルと椅子もご用意いたしました。ケーキに合う飲み物も準備いたしますよ」

(だめよ、これでは敵の術中に嵌ってしまう…抵抗しなくては。でも体が吸い寄せられる…)

 理性を総動員して杏梨は椅子から立ち上がろうとするが、体がいう事を聞かない。そして…、操られたかのように出されたケーキを一口摘まむ。

「…、……美味しい」

「ふふ、お褒めに預かり恐縮です。さ、まだ沢山ありますよ?」

 適度な甘さ…、それ故に一口、また一口とついつい食べてしまう。一緒に出された紅茶もなかなかのものだ。これはいくらでも食べられるであろう!

 夢中になってケーキを食べ始めた杏梨を見て、執事がほくそ笑む。

(どうやら術中に嵌ってくれたようですね。今のあの方は無防備、たやすく倒せるでしょう。一時はどうなるかと思いましたが…なんとかなりそうですね)

 意識が完全に執事からケーキに移行したように見受けられる杏梨に、ゆっくりと拳を振り上げるマッチョ!しかし、そのマッチョの拳は杏梨へと叩き込まれる事はなかった。
 マッチョの拳は、一体の機械人形が繰り出した剣の一撃によって弾き返されたのだ。

「な、何者です。いつの間に…!」

 さらに別方向からもマッチョへ攻撃が叩き込まれる!

「も、もう一人ですか!?」

 そう、いつの間にか杏梨の身を守るように剣を持った一体の機械人形が、そして杏梨の後方には猟銃を持った機械人形が一体召喚されていたのだ。

「その子達は私の機械人形よ?執事さん、貴方の術中に完全に嵌る前に、この子達を召喚しておいたの」

 体が思うように動かなくなっていった杏梨は、その最中に必死に精神を集中させUCを発動させていたのだ!

「二人とも、私の指揮に従い敵を殲滅しなさい」

「くっ、まさか術中に嵌めるつもりが…、こちらが策に嵌ったというのですか!」

 まぁ、杏梨は未だに席に座ってケーキを食べ続けている状況であるので、策に今も絶賛嵌ってしまっているといえなくもないのだが…。だが、どちらにせよ…。この杏梨のUCは、発動中は自分自身が戦う事は出来ない。そういう意味ではちょうど良かったのかもしれない。

「せっかく執事さんが出してくれたケーキとお茶だもの。どうこの子達の攻撃へ執事さんが対処するのか、ケーキを食べながら観賞させてもらいますわね」

 UC維持には集中力がいる。ケーキは杏梨の体内で、UCの維持エネルギーへと変換される事であろう。なんとも…、執事は自分で自分の首を絞めてしまう行動を取ってしまったのである。

 こうして杏梨は、執事を徐々に追い詰めていくのであった。ケーキを食べながら!

成功 🔵​🔵​🔴​

ニコリネ・ユーリカ(サポート)
あらあら、盛り上がってるわねぇ
お忙しい所、お邪魔しまーす!
新しい販路を求めてやってきた花屋です
宜しくお願いしまーす(ぺこりんこ)

~なの、~なのねぇ、~かしら? そっかぁ
時々語尾がユルくなる柔かい口調
商魂たくましく、がめつい

参考科白
んンッ、あなたって手強いのねぇ
えっあっヤダヤダ圧し潰……ギャー!
私も気合入れて働くわよー!
悪い子にはお仕置きしないとねぇ
さぁお尻出しなさい! 思いっきり叩いてあげる!

乗り物を召喚して切り抜けるサポート派
技能は「運転、操縦、運搬」を駆使します

広域では営業車『Floral Fallal』に乗り込みドリフト系UCを使用
狭域では魔法攻撃や『シャッター棒』をブンブンして戦います



「あらあら、ライブで盛り上がってる会場へ襲撃するなんて、いけない怪人ねぇ」

 ライブ会場へ愛車で乗り付けたニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)は、じろりとマッチョ執事を睨みつけた。

「それに女の子に望まないカロリーの過剰摂取をさせようなんて…。そんな悪い子にはお仕置きしないとねぇ」

「私めはご主人様の命令を果たすのみです。邪魔するのでしたら容赦はしませんよ?」

「そうなのねぇ、そんな命令を与えたあなたのご主人様にもきっちりお仕置きする必要がありそうかしら?」

「させません!せっかくだからあなたに差し上げますよ」

 執事が何かを手に、大きく振りかぶった!筋力が増強されている執事が放ってきたのは高カロリーのホールケーキ!
 そのケーキがニコリネの顔面を直撃せんと迫って来るが…。それを遮るように立ち塞がったドローンが、身を挺してニコリネを守ったのだ。

「あ、あぁっ!?マネギがケーキまみれにっ!?」

 デブ猫姿のドローンはケーキまみれになりながら、地上へと不時着する。ケーキが可動部分に入り込んだことで、動作不良を起こしてしまったのだろう。マネギが無事であればいいが、まずは戦況を立て直すのが先決だ。

「さ、こっちよ!」

「え、ええ…」

 猟兵達の戦いをぼ~と観察していたアキの手を取ると、ニコリネは会場の舞台上を駆け下りた。

「むぅ、逃がしませんよ!」

 自分から距離を取ろうとするニコリネ達を追おうとする執事だが、それを妨害するように今度は浮遊するラッコが行く手を阻んだ。


「…ホタテのおかげで少し相手から距離が取れたみたいね。さ、今のうちにこれに乗り込んで!」

 ラッコのホタテが時間を稼いでくれている間に、ニコリネとアキの二人はニコリネの愛車の元まで辿り着いていた。アキを助手席に押し込めると、ニコリネは運転席へと乗り込み、エンジンを勢いよく掛ける。

「くっ、逃走するつもりですか!そんな事はっ!」

 一歩遅れて執事が二人の前に姿を現す頃には、既にニコリネの愛車『Floral Fallal』は発車準備完了していた!

「待つわけないでしょ!いっくわよぉ、しっかり掴まっていてねぇ」

「え、えぇぇっっっ!?」

 猛スピードで発進した『Floral Fallal』、その反動に思わずアキが悲鳴を上げる。乗り手を選ぶピーキーな仕様の車だけに、乗り慣れていないアキはこの後…えらい目に逢うのであった。


「…追いついて来るわねぇ、流石というしかないかしら」

 ニコリネがミラーで後方を確認すると、物凄い勢いで執事が追いかけて来る姿が視認出来た。

「ま、ち、な、さ、いっ!」

 器用にホールケーキを投擲して、こちらへ攻撃を仕掛けて来る執事。それを華麗なドライビングテクニックで回避し続けるニコリネ。その車の動きに翻弄されて、もはや顔色が真っ白から真っ青へと変色し始めたアキ。これは車を降りた後が大変な事になるであろう。乙女的には他人に見せられないような光景が待ったなしである。

「このままじゃ追いつかれるわねぇ、じゃあ、ここからは反撃しようかしら?」

 相手も必死に追ってくるが、ある程度体力を消耗させられた事だろう。

「は、反撃…って、どうす…ぎゃぁぁぁぁぁっ!」

 アキがとてもファンには聞かせられないような絶叫を上げた。ドリフトし恐ろしい角度でUターンした『Floral Fallal』が、今度は向かってくる執事へと特攻を仕掛ける!

「観念しましたか!受けて立ちましょう!」

 追撃から迎撃へと切り替えた執事が、その場でホールケーキを次々と投擲する!…そういえばこのホールケーキ、どこから生み出しているんだろう。非常に謎である。

「当たらなければ、どうという事はないのよねぇっ!」

「くっ、このままではぶつかるっ!回避せねばっ!」

 恐ろしいテクニックで自分の投擲するケーキを掻い潜りながら猛然と迫って来る車に、流石に危機感を感じ身構える執事。だが…。

「商売道具に傷つけるわけないでしょ!」

 執事を回避するようにドリフトした車から衝撃波が放たれ…、執事が豪快に吹っ飛んだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

隠神・華蘭(サポート)
※えっちなのはよろしくないと思いますぅ。それ以外でしたら割となんでも。

化け狸の華蘭と申しますぅ。
一人称はわたくし、お名前呼びは〇〇様で口調は丁寧語、カタカナ表記の単語は人名以外はひらがなで喋りますよぉ。

化術や逃げ足を駆使して駆け回りながら攻撃は鉈での切断と小判ばらまきや狸火での範囲攻撃をめいんに使っていきますよぉ。
UCは何でもいけますねぇ、『山口霊神』や『怨み狸』辺りはとっておきですので強敵さんに当たってしまったらそれも使用考えましょう。

他の妖怪さんをはじめ、人間以外は優先的にお優しく接しますよぉ。
普通に接するだけで別に人間にきつく当るというわけではないですのでご安心を。



 車からふらつきながら降りてきたアキに、慌てて駆け寄る隠神・華蘭(八百八の末席・f30198)。

「大丈夫ですかアキ様!かなり顔色が悪いみたいですねぇ…」

「…大丈夫…じゃ、ない…かも」

 蹲ってしまったアキを見て、華蘭がマッチョ執事を睨めつける。

「よくもアキ様をこのようなひどい目に逢わせてくれましたねぇ…許しませんよぉ」

「いや、それは私めというよりは…」

「問答無用ですぅ」

 執事のツッコミを一刀両断し、華蘭が鉈を手に執事へと切り掛かる!迎撃する執事は先程食らった衝撃波の影響を受けて、未だ体勢を崩したままだ。

「くっ、なかなかやりますね。ですが、授かったこの筋肉は伊達ではないのですよ!」

 華蘭の鉈による一撃を防御態勢で辛うじて防いだマッチョ執事、カウンターで蹴りを華蘭へと叩き込もうとするが…。ヒット&アウェイで素早く動き回る華蘭は、執事の一撃を難なく回避する。

「俊敏さではこっちの方が上みたいですけれど、あの筋肉のおかげで決定打が叩き込めませんねぇ。非常に厄介ですよぉ」

 相手の動きを上回る俊敏さで一撃一撃確実にダメージを与えていければ、華蘭の勝ちは間違いないだろうが…。それでは長期戦になる事は必至である。


 しかしここで業を煮やした執事が強引な手に出る。

「ちょこまかと…。ならば、こうしてあげましょう!」

 執事が取り出したのは、見るからに超高カロリーの料理が乗った大皿だ。それを次々と四方八方へと投擲し始める!

「えっ!?あれ、今どこから取り出しましたかぁ?っと、このままだとアキ様がまずいですねぇ」

 執事の無差別攻撃を時には回避し、時には鉈で薙ぎ払いつつ…。未だに蹲るアキの元へ、急ぎ駆け付ける華蘭。
 そう、無差別攻撃である以上、戦場にいるアキも被弾する可能性があるのだが…。未だ彼女はダメージから回復していない。動く事が出来ないアキを守る為、必然的に華蘭の動きが制限されてしまった。
 執事の攻撃は苦し紛れの攻撃だったかもしれないが、結果的に華蘭の身動きを封じてしまう事になったのである。

 次々と飛来する大皿を鉈で切り払いながら、華蘭にも若干焦りの表情が浮かび始めた。

「ちょっとこの展開はまずいですねぇ。アキ様が動けない以上、わたくしもここは動けませんしぃ…」

「ご、ごめんなさい私のせいで…。うっぷ」

 青白い表情で謝るアキを安心させる為、華蘭もここで奥の手を使う事にした。

「大丈夫ですよぉアキ様。こちらにもまだ手は残っていますからぁ。アキ様はゆっくり体調を整えてくださいねぇ」

 飛んでくる大皿を切り払いながら、華蘭は神経を集中させる。凄まじい集中力を見せた華蘭は、素早く組み上げた術式を発動させる!

「燃えるがいい、この華蘭の気が済むまで…『怨絵巻・八百八』!」

 普段のゆるい敬語口調が鳴りを潜め、華蘭の口より放たれた言霊。その華蘭の体より、無数の火の玉が生まれ出でた。
 そして生み出された火の玉は、各々が意志を持つかのように次々と執事へと襲い掛かったのだ!

「なっ!?何ですか、この火はっ。か、体が燃えるっ!?」

 自身の体に燃え移った炎を必死に消そうとする執事、だか…その炎は一向に消える気配がない。

「消そうと思っても無駄です。その炎は華蘭の気が済むまで消える事はありませんから」

 執事が火消しに必死になったが為に、攻撃の手を止める事となった。華蘭は気を抜く事なく執事を観察しつつもアキが無事である事を確認し、ホッとした表情を浮かべる。

「ふぅ、起死回生の一手になったみたいですねぇ」

 このUCは相手への質問も発動条件となっている。華蘭は執事に到底正解が出来ないような質問を出しつつ、しばらくアキの体調が回復するまでの時間を稼ぐ事に成功するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

青原・理仁(サポート)
人間
年齢 17歳 男
黒い瞳 金髪
口調 男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)

性格面:
やさぐれ、ぶっきらぼう
積極的な人助けはしないが、見捨てきれずに手を貸してしまう

戦闘:
武器は使わず、殴る・蹴る・投げるなど、技能「グラップル」「怪力」を生かしつつ徒手空拳で戦う
構え方は古武術風

雷属性への適性があり、魔力やら気やらを雷撃に変換し、放出したり徒手空拳の際に纏わせたりします



「アキ、だったか。もう動けるか?」

「え、ええ…貴方達のおかげでだいぶ楽になったわ」

 青原・理仁(青天の雷霆・f03611)から見ても、アキの顔色はだいぶ良くなってきたように思われる。

「じゃあ、少し離れていてくれ。あいつとの戦闘に巻き込みたくないからな」

 まだ燻ぶった煙を纏いながらも立ち上がった執事に向き合うと、理仁は敵を迎撃する為に拳を構える。
 彼の戦い方は徒手空拳、素手による戦闘だ。必然的に相手との接近戦を余儀なくされるが、逆にいえばアキが理仁から距離を取ってくれれば、彼女を戦闘に巻き込まずに済むのだ。

 積極的な人助けはしない理仁ではあるが…この場に居合わせた以上、アキがこれ以上怪我をするような事態は回避するつもりだ。


「くっ、だいぶ消耗させられてしまいましたが…。まだ任務を遂行する事は可能ですよ」

「御託はいい。かかって来るならかかってきな」

 アキが慌てて自分達から離れたのを横目で確認し終えた理仁は、特攻してくる執事の動きをじっくりと観察する。

(だいぶ消耗しているみたいだな。動きがかなり鈍ってきている。十分対応可能だぜ)

 相手は筋肉を増強している分、パワーはあるだろう。だが、相手の動きを見切る事が出来ればその一撃を食らわずに済むのだ。

「ならば望み通り…この筋肉から繰り出される一撃を食らいなさい!」

 執事が繰り出した蹴りを半歩動き紙一重で避けた理仁は、そのままカウンターで執事の腹部へ拳を叩き込む!

「ぐぉぉっ!」

 モロに一撃を受けた執事の体が一瞬、宙に浮いた。畳みかけるように繰り出した理仁の攻撃を、間一髪バックステップで回避する執事。

「な、なかなかやりますね」

「そっちは動きがだいぶ鈍ってみたいだな?」

 執事は長距離を疾走させられたりも含めて、猟兵達との戦いでかなり体を酷使している。その影響が出始めているのであろう。特に足にはかなり負担が来ていると思われる。

(下手に動き回られると厄介だが、それももうなさそうか。それなら、さらに一手。誘い込んでみるか)

 先程理仁の誘いに乗って来た所を見るに、こちらが真っ向勝負を挑もうとすればそれに相対応しようとすると思われる。武術を嗜む自分ならば、一対一の真正面からの殴り合いに持ち込めば勝機はある。
 そう感じ取った理仁は、執事に一つの提案を申し出る。


「俺が得意としているのは素手での格闘だ。真っ向勝負だ!」

 そう言いつつ、理仁は片腕に雷撃を纏わせる。理仁のUC【撃砕雷業拳】だ。

「…いいでしょう。どのみち貴方を排除しない限り、後ろのお嬢さんに近付く事も出来ないようですしね」
 
 腕に纏わせた雷撃が拳へと収束し理仁の攻撃準備が整う頃には、執事の方も高カロリーの食べ物達を全身へと纏わせ終わっていた。互いに必殺の一撃を叩き込むための準備が整ったのだ。
 どちらからともなく間合いを詰めた二人は、互いに打撃戦へと突入した!

 打撃戦へと突入したが、理仁はまだ必殺の一撃を叩き込んでいない。相手はまがい物とはいえ、鎧のような筋肉に覆われた敵だ。決定的な一撃を叩き込むための隙を伺っているのだ。

(…どうやら、相手も同じ考えか。特に肥大化した片腕は温存してやがる)

 執事は肉体を変じさせた段階で両手もフリーにしていた。これで完全真っ向勝負の格闘戦となる。相手の必殺の一撃を警戒し互いに互いの隙を伺いながら、乱打戦を繰り広げる二人。
 それまでの戦いから予測出来たことだが、相手は蹴り技の方が得意なようだ。舞うような蹴りによる連撃で、一瞬だけ理仁の体勢が崩れた。

「もらいましたよ!…なんとっ!?」

 その一瞬の隙を突いて、理仁に執事の必殺の一撃が叩き込まれる。だが、「決まった」と思われたその矢先、理仁の体が掻き消えた。

「…残像だ。さぁ歯ァ食いしばれよっ!」

 必殺の一撃を空振りし、絶対的な隙を生み出してしまった執事。その側面へ回り込んでいた理仁が、今度こそ雷撃を纏った一撃をその身へと叩き込んだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

コーデリア・リンネル(サポート)
 アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーローの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「もう少し、みたいね。最後は私が、頑張って、みます!」

 コーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)が、マッチョ執事へとトドメの一撃を放とうとする。かなり消耗しているとはいえ、執事との接近戦はかなり危険を伴う。コーデリアが構えた銃から光が迸り、執事を直撃する!だが…。

「?!」

「ふっ、この筋肉は伊達ではありません。そのような攻撃など、防御に徹すれば弾く事も可能なのですよ!」

 冗談のような話であるが、コーデリアが放った光線を執事の鎧のような筋肉が防ぎ切ったのだ。なんという筋肉。完全に防御に徹した状態の執事の防御を突破するには、相当な攻撃力が必要となるのだろう。

(相手の防御を貫く破壊力…。チャージしきるまで、時間を稼がないといけないわね)

 コーデリアの銃は、銃の内部で光子を増幅させて放つ形式のものだ。増幅させる時間をしっかり取れば、あるいは執事の防御を突破する事が可能かもしれない。だが、その時間を執事が待ってくれるとは到底思えない。銃のチャージを始めつつ、コーデリアは次の展開を瞬時に頭の中で練り上げようとする。

「…どうやら、何か一手を打とうと思っているようですね。そうはさせませんよ」

 スッと執事が取り出したのは変哲もないケーキだ。その、はずだ。だが、そのケーキに魅入られたかのようにコーデリアの思考が停止した。

(凄く美味しそうです。い、いけない。耐えなきゃ…)

「ふふ、貴方もこのケーキの魅力(カロリー大幅増量中)には勝てないでしょう?さぁ、こちらへ来てください。他にも美味しいお菓子(無論摂取カロリー大幅増量中)もありますし、お茶(糖分マシマシ)も振舞わせてもらいますよ?」

(ど、どうしたらいいの?他にも美味しいお菓子があるなんて!早くあの場へ行かな…、ダメっ!踏みとどまって!)

 コーデリアの内部では激しい戦いが繰り広げられていた。ある種の精神攻撃、抗えない誘惑…。それに必死に抵抗しようとするコーデリアの理性。
 しかし、理性とは裏腹にコーデリアの体は一歩、また一歩と執事の元へと歩みを進めるのであった。


「ふふ…、なんとかなりましたね。一人一人に合わせた、特別な一品です。そうそう抗えるものではありませんよ」

 抵抗を続けていると思われるコーデリアが、しかし徐々に自分へと近付いてくる様子を見て、執事もホッと胸を撫で下ろす。
 これまでの戦闘でかなり消耗してしまったが、最後に起死回生の一手が打てたようだ。目の前の少女に勝利したのを皮切りに、反撃に出るとしよう…そう考えていた執事であったが…。ふと、その近付いてくる少女の様子に不審な点がある事に気が付いた。

「…?何をぶつぶつと言っているのです?聞こえませんよ?」

 そう、コーデリアは何かを呟きながら執事の元へと歩を進めてきているのだ。だが、コーデリアは執事の質問には答えない。答えを聞き出す事は出来なかったが、コーデリアが徐々に自分に近付いてきた事で、その呟きが執事の耳にも微かに聞こえ始めていた。

「…これは…歌、ですか?」

 それはコーデリアが必死に精神攻撃に耐えながら繰り出した奥の手であった。UC【ショウ・マスト・ゴー・オン】、国民的スタアであるコーデリアが紡ぎ出す歌だ。

「これは…なんという心地よい歌声だ…。これは聞いていたくなる…、い、いけません。私には役目が…、で、ですが…少しくらいなら…問題ないですよね?」

 コーデリアの紡ぎ出す歌声に、今度は執事が魅入られてしまった。かなり消耗していた所で起死回生の一手を打てた、そう思って安心した矢先の事だ。一瞬出来た執事の心の隙をコーデリアは逆に突き、状況をひっくり返してしまったのだ。

「チャージ、完了よ。これでお終い」

 歌声がぴたりと止まった事で、その歌声に聞き入っていた執事がハッと我に返る。だがその時には、既に勝敗は決していた。

 無防備の執事の体に突き付けられた銃口。チャージ完了した最大出力のエネルギーが、零距離から放たれ…。執事を深々と貫いた!

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『怪人アルパカマッスル』

POW   :    ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「がはっ…。ま、まさかこんな事が…」

 猟兵達の攻撃により、ついにマッチョ執事が地に倒れ伏す。これで残るはこの執事の主のみだ。

「非常に嘆かわしい出来事である!それでも我の執事であるか!戻ったら地獄の筋トレメニューを一ヵ月である!」

「お、お許しくださいご主人様!」

 コンサート会場の上空に待機している飛行船より、男の声が聞こえてきた。姿こそわからないが、執事の反応から相手が猟書家幹部のマッチョであると予想される。

「…、どこを触ればモニターが付くのであるか。我にはさっぱりわからんのである!」

 何やらごそごそと操作パネルをいじっているようだが、何の進展もない。あぁ、飛行船の操作は執事に任せっきりだったのね。筋トレが忙しかったのだろうか?

「ふ、ふん!我の姿のお披露目は、お前達が我の元まで辿り着いた時の楽しみに取っておくのである!」

 …どうやら諦めたようだ。しかも、相手は飛行船より降りて来る気はないらしい。仕方ない、こちらから出向くより他ないようだ。さて、どこから乗り込めばいいのやら。

「あ、あの…。飛行船の向かって右側の方に搭乗用の梯子がございます…」

 アドバイスの主は地に突っ伏したままの執事。残念な主に付いている執事だが、まぁ、根は良い奴なのかもしれない。怪人だけど。単にこのまま帰還すれば地獄の筋トレメニューとやらが待っているとの事だから、その事が単に嫌なのかもしれないが…。

 戸惑いつつも、執事のアドバイスに従い飛行船へと乗り込んでいく猟兵達。
 しばらく飛行船の中を進むとそれなりに広い空間へと到着した。ここは…トレーニングルームか?部屋の片隅にベンチプレスやらなにやら置いてあるし…。
 その部屋の中心で…、仁王立ちしながらこちらを待ち構えている変態がいた。マッチョな体に円らな瞳のアルパカの仮面を被ったような男。見るからに怪しい奴、通報待ったなしである。
 一瞬思考停止したかのように硬直した猟兵達の様子に、何を勘違いしたのか変態は高らかに自己紹介を始める。ポージングを取り、胸の筋肉をぴくぴくさせながら。

「ふふ、我の姿に驚きを隠せないようだな!我こそはミズ・ルチレイテッド殿の後継者、アルパカマッスルである!」

 なんだか、周囲の温度が何度か上がったかのような暑苦しさ。怪人の名の通り、怪しさ爆発している変態が、よもや後継者とは…。

 とりあえず、この変態をしばき倒して事件を解決するのが先決なようだ。猟兵達は各々武器を構え、戦闘に備えるのであった。
岩倉・鈴音(サポート)
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「…君は悪だね、AI神もそう言ってる」

「我が悪だと?皆をマッチョにする事の、どこが悪だというのであるか?!」

 岩倉・鈴音(【機械天使12番】JKハングマン・f09514)の問いかけに、「意味が分からない」という風に首を振るアルパカマッスル(以下筋肉男もしくは変態)。

「君のそれって、単なる押し付けだよね?」

「何を言うか!我が自らこの筋肉を授けてやろうというのだ!感謝される事はあっても責められる謂れはないのである!そういうお前にもこの筋肉、授けてやるのである!そうすれば、この筋肉のすばらしさがきっと伝わるはずである!」

「…、……。全力で遠慮させてもらうね!」

 スタイルの良い鈴音だが、その肉体がマッチョになってしまったら…。思わず自分が筋骨隆々の姿になった所を想像してしまいそうになり…、げんなりした鈴音はその想像を振り払うように変態へと攻撃を開始するのであった。

 勝虎巣を手に切り込む鈴音は、変態に先制の一撃を浴びせる。しかし、その一撃をなんと変態は素手で受け止めた!

「?!」

「ふふん、こんなものであるか!」

(変態とはいえ猟書家幹部。ワタシの一撃を受け止めるなんてね…)

 鈴音は見た目からは想像もつかないが…、全身をサイボーグ化した怪力の持ち主である。その一撃を素手で受け止めたのだ。
 押し返された勝虎巣を、今度は水平に、変態の胴を切り裂くように一閃する。その一撃は変態の胴へと吸い込まれたが…。鈴音の手に伝わって来た感覚は、まるで大木に小刀の刃を突き入れたかのような、痺れる感じ。

「硬っ!」

「ふふん、執事に出来て我に出来ない筈がないのである!集中すれば、我の筋肉はどんな攻撃も貫く事など出来ないのである!」

(…万全の状態だとこっちが不利だね。まずは消耗させた方が良さそう?)

 鈴音の攻撃が止まったのを良い事に、次々と打撃攻撃を繰り出してくる変態。その一撃一撃をオーラを纏わせた盾で防ぎ、難を逃れる鈴音。

「ふふん、もはや防戦一方であるな!ささ、遠慮する事はない!諦めて我から筋肉を受け取るのである!」

「…返事は、NO!ちょっとこの迷宮の中で、頭冷やして来るんだね!」

「なんとっ!?」

 変態の攻撃を防御しつつ、その間にUCの発動を終えた鈴音。変態をガラスの大迷宮へと閉じ込めてしまうのであった。

「…、相手は攻撃力と防御が高くて、瞬発力もそれなりだけど…。持久力はどうだろうね?」


「…ふむ、閉じ込められてしまったのである!出口はどこであるか!」

 迷路へと閉じ込められた筋肉男はきょろきょろと辺りを見回す。彼の周囲は全てガラス張り、先が見えるのに進めない…もどかしい思いに駆られながら彼はひたすら出口を探す。

「この壁、意外に丈夫なのである!我のマッスルビームも弾いてしまったのである!」

 一度業を煮やした彼が、瞳よりビームを放って壁を破壊しようと試みたが…、びくともしなかったのだ。仕方なしに正攻法で歩き回り出口を探しているのだが…。

「~~~~っ!!我、こういうの物凄く苦手なのである!かくなる上は…」


「…これで、しばらくあの変態を閉じ込められるよね?歩き回って消耗させられるはず。元々ワタシの作った大迷宮は壁は丈夫だけれど、念のためにオーラを纏わせて耐久力もあげておいたし…大丈夫、だよね?」

 言ってて、微妙にフラグが立ってしまったかのような感覚に陥った鈴音。そんなはずはない、と首を振る彼女の元へ…何か華々しい物音が聞こえてきた。しかも徐々に近付いて来る。

「何?ガシャーン、ガシャーンって…。まるでガラスが割れるような…。…、……まさか…」

 その嫌な予想が現実となって鈴音の目の前に現れた。そう、血まみれ・ガラスの破片まみれの筋肉男が迷宮より飛び出して来たのだ!
 元から怪しい変態であったが、今の様子はさらに輪をかけて…お巡りさん、この人です!と思わず通報したくなるような風体であった。

「…、……ま、まぁ…消耗はさせられたから、結果オーライ、だね」

成功 🔵​🔵​🔴​

ベロニカ・サインボード
エネルギー体『ワーニン・フォレスト』(以下W・F)を操る女性
看板をつける能力を駆使する
冷静沈着で、意思が強い

できること
・道案内
・W・Fを一般人に見せる
・W・Fが近距離の敵を殴る
・W・Fが触れたものに看板をつける
・固体の看板をつける
・固体に看板をつける
・看板が伸びる
・看板が縮む
・看板が曲がる
・ベロニカがしゃべる
・グロいこと

できないこと
・料理
・W・Fが別の形になる
・W・Fがベロニカから遠く離れる
・念じただけで看板をつける
・液体の看板をつける
・気体の看板をつける
・気体に看板をつける
・看板が空を飛ぶ
・看板が浮く
・看板がしゃべる
・W・Fがしゃべる
・エロいこと
・おいしい料理

よろしくおねがいします。



「無事に突破出来たのである、筋肉の勝利である!」

「ワーニン・フォレスト!」

 とても無事そうには見えない血まみれ筋肉男に、追撃を仕掛けるベロニカ・サインボード(時計ウサギの道しるべ・f35983)。素早くエネルギー体であるW・F(ワーニン・フォレスト)へ指示を出し攻撃を開始した。
 W・Fは格闘戦が得意であり、エネルギー体である為に機動力も尋常ではないのであろう。W・Fは血まみれ筋肉男へ疾風の如く一気に間合いを詰め、エネルギーを収束させた拳を敵へと叩き込む!

「打撃戦であるか!望むところなのである!」

 迎え撃つ形になった相手も拳を繰り出し、壮絶な打撃戦が開始された!

「傷だらけなのに…思ってた以上にやるみたいね、あんた」

「ふっ、こんな傷など我には痛くも痒くも無いのである!」

 ベロニカはW・Fと打ち合いを繰り広げる敵の状態を冷静に観察する。ベロニカの記憶が正しければ、先程の猟兵が作り出したUCによる迷宮はそれなりの強度を持っていたはず。それを強引に突破してきたとしたら、決して無傷ではいられないはずだ。実際に全身が傷だらけなのだから。…いや。

(意外と…全身の表面を傷つけただけ…だったりしないわよね?)

 先程の敵のセリフはただのやせ我慢…であるはずだ。それとも脳みそまで筋肉で出来ていて、痛覚がマヒでもしているのであろうか?


「どちらにしても…W・Fがわずかに打ち負けてる…このままだとまずいわね」

 W・Fの繰り出す拳は超人的なパワーとスピードを兼ね備えたものだ。だが…、スピードでは上回っているものの、W・Fの一撃一撃が敵の分厚い筋肉の鎧に阻まれて思ったようにダメージを与えられていないようなのだ。
 相手はこちらより手数は少ないが、その分一撃が重いのであろう。有効打を叩き込めていない以上、こちらがやや不利な状況であるといえるだろう。


(思っていた以上に相手は消耗していない…。そんなはずはないわ。何か裏があるはず…)

 必死に突破口を見つけ出そうと、さらに戦闘の様子を注意深く観察するベロニカ。そこで彼女は敵が時折、不自然なタイミングでポージングしているのを発見した。まさか、これは…。

「種が割れたわね!ワーニン・フォレスト、看板で攻撃よ!」

「むぅっ!?何をするつもりであるか!何が来ようとも我には!」

 ベロニカの指示を受けたW・Fが出現させた看板を手に、筋肉男へと躍りかかる!看板による攻撃をその肉体で受け止めた筋肉男は不敵な笑みを浮かべる。

「ふふん、何事かと思ったが…。我には一切効かないのである!」

 全くダメージを受けなかった事に気を良くした筋肉男は、W・Fへ反撃の一撃を繰り出した。唸りを上げる筋肉男の拳が…、難なくW・Fに受け止められた。

「?!どういう事であるか!ぐ、ぐぬぬぬ…この者の力が増しているのである!」

「…違うわね、あんたの力が落ちているのよ。看板をよく見てみるのね」

「どういう事である…!?な、なんであるか、この看板!我の体に張り付いて離れないのである!これでは我の自慢の筋肉が誇示出来ないのである!」

「やっぱり。看板であんたの筋肉が見えないようになれば、異常な身体強化を抑えられるってわけね」

 そうなのだ、筋肉男は先程の戦闘で全く消耗していなかったのではない。消耗していたが、身体強化を施す力を時折付与し自身の力を底上げしまくっていたのだ。


「急いでこの看板を引っぺがすのである!む、むむむっ!」

 慌てた様子の筋肉男のその行動を、勿論ベロニカは見逃すはずはない!

「今よ、ワーニン・フォレスト!」

 身体強化を受けていない、しかも看板を剥がす為に防御特化にも出来ていなかった筋肉男の防御力は著しく低下していた。今やW・Fの拳での一撃は、敵を圧倒的に凌駕する!
 次々と繰り出される一撃が筋肉男へと叩き込まれていった!

「あんたはこの世界の人達の希望の芽を潰そうとしていた。そんな奴は誰であれ許さないから!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

魚目・めだか(サポート)
「戦場の矢面から些細な支援行動まで、めだかになんでもござれだぞ!」

普段の口調は「自分の名前(めだか)、~殿、だ、だな、だろう、なのか?」、適宜敬語も使用可です。

外見は少女ですが、判断基準や倫理観などは若い成人男性相当で、落ち着いた風を装った言動を心掛けていますが、精神が肉体に引っ張られて快活になりがちです。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

その他、連携・アドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
 サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写していただけるとありがたいです。ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的な特徴として「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
 嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
よく使う武器は「大天狗正宗」「千子村正権現」「鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!


七星・龍厳(サポート)
『俺に挑むには10年早いな。』
 羅刹の魔法戦士。
 普段の口調は男性的、仲間にはフレンドリー

行動の基準は戦闘が楽しめるか又は興味を持った事柄に積極的に関わる。
パッと見た印象では自身過剰に見えるかもしれないが戦場を渡り歩いてきた経験からの発言
戦闘は戦場で敵の技術を盗み自身が扱えるものに昇華させるため戦場を探してる竜殺し。
戦場では弱肉強食、故に弱者に手を差し伸べる者への優しさと敬意は無くしていない。
力押しから技術比べまで多彩な戦闘可能。
猟兵の妻と二人の娘がいる。
 ユーベルコードはどれでも使用、怪我は厭わず行動します。
例え依頼の成功のためでも公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしく!



「相手はどうやら弱体化しているようです。一気に勝負に出ようと思うのですが、お二人はどうでしょうか?」

 徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)の提案に、その場にいた七星・龍厳(紅蓮の竜殺し・f14830)と魚目・めだか(偽典の巫女・f36514)の二人が同意するように頷く。

「俺は構わないぜ?まだあいつは何か隠し玉を持っていそうだが、それも一斉にかかれば手の内をみせてくるかもしれないしな」

 戦闘が楽しめるかどうか…、相手が奥の手を出さざるを得ない状況へ持ち込めば、自ずと見えて来るであろう。不敵に龍厳は笑みを浮かべる。

「めだかとしても異論はないのだ!」

 家光が刀を、龍厳が大剣をそれぞれ手にしたのを見ためだかは、手元の武器より銃を選択した。

「二人が切り込むのなら、めだかは援護するのだ!」

「ありがとうございます。では、いきましょう」

「あぁ、ひと暴れするとするか!」

 家光と龍厳が、未だ体に張り付いた看板に悪戦苦闘している筋肉だるまへ向けて一気に切り込んでいく!


「むぅ?!今度は二人がかりであるか!我は一向に構わないのである!不利なら不利の方が、よりこの筋肉が映えるのである!」

 切り込んで来る二人を目視した筋肉男は看板を剥がすのを諦め、迎撃態勢を取ろうとする。だが、そこへ素早く弾丸が撃ち込まれる!

「めだかもいるよ!忘れてもらっちゃ困るのだ!」

 めだかの攻撃に意識を一瞬逸らされた筋肉男へ、二人の猟兵の斬撃が叩き込まれる!

「今のあなたは、その自慢の筋肉を僕らに見せる事も出来ないようですね!」

「それになぁ、動きに無駄がありすぎるんだよ!」

 筋肉男に立ち向かう猟兵3人は、幾多の戦いを経験してきた猛者だ。即席のパーティーとはいえ、互いが互いを援護し合う形で次々と攻撃を繰り出していく。
 筋肉男の繰り出す拳を龍厳が大剣でガード。そして、その隙を突いて一太刀を浴びせる家光。相手の猛攻を逃れようとする筋肉男の退路を銃弾で塞ぐめだか。隙あらばめだかや龍厳も攻撃を繰り出し、次々と筋肉男の肉体に傷を増やしていく。

「どうした!もうこのまま終わりか?…っ!?」

 猟兵3人の猛攻撃にふらついた、と思われた筋肉だるまの肉体へ追撃を食らわせようとした龍厳の攻撃を、なんと敵が受け止めた。

「あっ!?看板が!」

 めだかは後方から攻撃を仕掛けている際、妙な違和感を感じていた。確かに相手は弱体化しているかもしれないが、どうもこちらの攻撃をモロに受けている雰囲気があったのだ。

「…そういう事ですか。僕達の攻撃を受けて、強制的にその張り付いた看板を排除した…というわけですね」

 ただの変態筋肉男ではなかった。相手の狙いに気が付いた家光も、なるほど曲がりなりにも猟書家幹部に抜擢されるだけはあるのか、と考えを改める。

「そういうことなのである!おかげで我の体も軽くなったのだ!」

(これがあいつの隠し玉か?…いや、まだ何か隠してやがるな…)

 好戦的である一方、相手の戦闘技術を盗み自分の物として昇華させる戦い方を好む龍厳は、追撃を仕掛けつつも冷静に相手の動きを分析した。

「ふふん、調子を取り戻した我にかかれば…。貴様達などけちょんけちょんにしてやるのである!その暁にはマッチョビームをくれてやるのである!」

「…俺は多少筋肉がついた所で、そうたいした変化はないだろうが…」

 ちらりと残りの二人を見た龍厳。…うん、物凄く見た目が変わっちゃいそうである。

「た、例え僕の体が変わったとしても、妻達は変わらず僕の事を愛してくれるとは思いますが…。思いますが…、出来れば遠慮したいですね」

 家光には大奥に沢山の妻達がいる。突然筋骨隆々になって顔を出したら…とても心配されてしまうだろうか?

「めだかが筋肉ムキムキになったら、元の体に戻れるかなぁ?う~ん」

 見た目は幼女のめだかだが、その実(本人曰く)「二十代の男性だった」という経歴の持ち主。元の姿に戻るのも一つの目標であるが…今回のは、なんか違うようにも思える。

「無理じゃないですかね…多分」

「俺も同意見だな。それに幼少期に過度な筋肉をつけるのは、後々の体の成長を妨げる場合もあるらしいからな」

 家光は否定するように首を振り…、子供も持つ親としての意見を付け加える龍厳。

「そっかぁ、残念」


 そんな会話をしつつ戦闘を繰り広げる猟兵達に、若干キレ気味の筋肉男。

「意外と余裕そうであるな!そんな余裕も終いには潰えるのである!」

「と、とにかく…。少し調子を取り戻しても、めだか達が優勢なのは変わらないんだ!」

 その場の雰囲気を切り替えるように気持ちを振り払いながら、めだかが弾丸を筋肉だるまへと撃ち込んでいく。


「くっ、流石に消耗しすぎたのである!やむを得ないのである!」

「一体何を!」

 めだかが牽制用に放った弾丸を…、予想外の事に筋肉男はその身で受けた。だが、着弾音がおかしい。続けて切り掛かる家光と龍厳、二人の連撃が棒立ちの筋肉男に叩き込まれる、が…!

「…なんだ、ダメージが通らねぇ、だと?」

「くっ、これは…。先程までの肉体強化とは違うようですね」

 先程まで通用していた猟兵3人の攻撃が、一切通用しなくなった。全てその鋼鉄のような筋肉に阻まれているのだ。

「これは使うつもりがなかったのである!だが、緊急事態なのでやむを得ないのである!」

「こいつが最後の隠し玉ってわけか!面白れぇ!」

 攻撃を無効化されながらも果敢に攻撃を仕掛け続ける龍厳、脳裏ではここからの打開策を必死に練っていた。

(こいつ、バルムンクの一撃も無傷みたいだな。猛毒の付与も出来ないってわけか)

 全ての物理的攻撃・魔法的攻撃を試してみたが、一切ダメージが通った様子がない。

「これは…。逆に僕らの方が消耗させられてしまう展開になりますね。そうなる前になんとかしないと!」

 家光はそこで手札を切る事にした。取り出した鏡に力を注ぎ込むと…、そこには家光の妻達の姿が浮かび上がる。

「ここで勝負をかけます!愛する者達の声が、我が力となるんです!」

 逆境に立たされた家光を応援する声が、彼に力を与えた。身に着けた武具に力が注ぎ込まれ…、より家光の攻撃は激しいものとなる!だが、それでも…。

「肉体的な攻撃は一切通用しなさそうだね。それならめだかの出番だぞ!」

 後方にいためだかが、自身の持つ銃へと力を注ぎ込む。そして一斉に放つフルバーストの弾丸の嵐!

「おりゃぁぁっ!こっちを見ろォッ!!!」

「無駄なのである!我の体には一切の傷がつかないのである!この間に体力の回復を待つのである!」

 家光や龍厳の一撃でさえ無傷の筋肉男は、めだかの攻撃にも一切警戒をしていなかった。当然の如くその鋼の肉体で受け止める。


 だが…そこで…、筋肉男に異変が起こった。急に苦悶の表情を浮かべ始めたのだ。

「…、……。な、何を打ち込んだのであるか!」

「ふふん、とっておきの呪殺弾だよ!精神を蝕むとっておきの!」

「ゆ、許さんのである!我にこんな苦痛を与えるなど、許さんのである!」

 めだかの攻撃は相手の精神を蝕む類も物であった。相手の注意を引くと共に相手の理性を奪うその攻撃は、肉体にこそダメージは与えられなかったものの筋肉男に致命的な一撃を与えたのだ!


 激昂し理性を失った筋肉男が、その怒りのままに硬質化を解いてめだかへと躍りかかる!

「そうはさせません!」

 めだかへと近付けさせまいと果敢に切り掛かる家光。

「邪魔なのである!どくのである!」

 怒りのままに…自分の行動を妨げようとする家光に向けて、瞳からビームを放つ筋肉男。その一撃を手に持った「大天狗正宗」にオーラを纏わせる事で防御する家光。

「くっ…、この一撃、耐えてみせます!」

 妻達の声援によって強化され続ける家光の政宗は、筋肉男の放ったビームをガードし…。遂には押し返すようにしながら、なんと切り払った!


「我のビームを切り払うなど、生意気なのである!」

 頭に血の上った筋肉男はムキになって次のビームを放とうとするが…。

「俺を忘れてもらっちゃ…困るぜっ!」

 大剣から剣へと持ち替えていた龍厳が素早く筋肉男の体を打ち据える!もはや硬質化を解いて、理性も失いつつある筋肉男にはそれを防ぐだけの判断能力も持ち合わせてはいなかった!

「よ~し、どどめだよっ!とぉぉりゃぁぁぁっ!」

 銃から大剣へと持ち替えためだかが、一気に間合いを詰め大振りの一太刀を浴びせる!
 筋肉男の筋肉に傷をつけるが、致命傷には至らない。そこへ追撃を仕掛ける家光!

「この一撃に全てを賭ける!余の渾身の一撃を食らえっ!」

 全力で叩き込んだ家光の刺突攻撃が、めだかの付けた傷をさらに深いものとする。

「俺達に挑むには10年早かったな。あばよっ!」

 トドメとばかりに大剣へと持ち替えた龍厳の鋭い一撃が、二人の付けた傷口へと叩き込まれ…。その傷口を皮切りに…筋肉男の肉体を切断した!


「めだか達の勝利!ぶい!」

「ば、馬鹿な…我が負けるというのか…」

 崩れ落ちる筋肉男を見て、勝利宣言をするめだか。

「攻撃を完全に防がれた時には、正直どうなるかと思いましたが…。なんとかなりましたね」

 ビームを切り払うという紙一重の攻防を繰り広げた家光も、やっと張り詰めていた気持ちを弛緩させた。

「まぁ、防戦に徹した時点で、あいつに勝ち目はなくなったとも言えたが。攻撃は最大の防御ともいうからな」

 大剣に付着した筋肉男の血を振り払い、武器を納めた龍厳。

「これで、任務完了か」

「そうですね、アイドルの方もこれで安全なはずです」

「じゃあ、後は帰還だけだね~」

 そこで、完全に忘れ去られていた件のアイドル、アキの声が猟兵達の元へと届いた。

「皆さん、ありがとうございました!助けていただいた感謝を込めて、皆さんの為に歌わせてもらいますね!」

 グリモア猟兵が帰還の為の準備を終えて猟兵達の元へ顔を出すまでの間、猟兵達はアキのライブを楽しみ時間を過ごすのであった。

【完】

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年07月03日


挿絵イラスト