7thKING WAR⑮〜5月のクリスマスサーカス
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「集合ご苦労。今回も7thKING WARの戦いだ」
臥龍岡・群青(狂瀾怒濤・f30803)は猟兵達を出迎えつつ、手にした何かをばばーんと掲げる。その正体は『クイーンサーカス団』なる団体の宣伝チラシだ。
「今回向かってもらうのはこのゆかいなサーカスだ。ここはアイスエイジクイーンが主催しているサーカスでな。相手の拠点の一つで活躍できれば、悪魔達も猟兵側に傾かせられることが出来るかもしれない。ちょうどお誂え向きのイベントもあるからな、ちょっと出向いて活躍してきて欲しいのだ」
話を続けつつ、群青はチラシの一角を指差す。そこにあったのは――『ゆかいなイベント体験』の文字だった。
「『サーカスの花形、聖夜精クリス・ベルと力比べをしてみませんか?』……というのが今回のイベントの趣旨でな。分かりやすく言うと、サーカスの舞台で強力な悪魔とバトってきて欲しいという訳だ。やっぱり悪魔達って強い者が好きだろうからな、単純明快でいいとは思わないか?」
力こそパワー。華やかな舞台で華麗な勝利を収めれば、悪魔達も大喜び。
やること事態は過酷だけれどシンプルだ。こういうのもある意味この世界らしいだろうか。
「ただ、戦場の状況は少々特殊でな。なんでもこの舞台には『興行魔法』なるものがかけられている。これは観客の声援やブーイングを力に変えてくれるものなのだ。今回の対戦相手であるクリス・ベルは元々ファンも多く、既にいくらかの支援を受けている状態になるだろう。彼女に勝つためには、こちらも声援やブーイングを受けるなりして強化せねばならない」
声援を受けるならばド派手な技を華麗に見せたり、悪魔受けしそうなワルい演技をするのが王道だろうか。
逆にブーイングを受けるなら、じわじわ戦う厭らしい戦法を仕掛けたり、敢えて正義の味方風に振る舞うのもいいかもしれない。
なお悪魔達は根っこの部分は善良なため、あんまり酷い行為をするとドン引きして声援やブーイングどころではなくなる。あくまで公序良俗の範囲で行動するのが大切だ。
「周りを味方につけつつ戦うというのも、なかなか新鮮だろう? 皆が楽しい舞台を繰り広げるのを楽しみにしているぞ!」
そう話を締めくくりつつ、群青は笑顔いっぱいで猟兵達を送り出すのだった。
ささかまかまだ
こんにちは、ささかまかまだです。
サーカス、いいですよね。
●プレイングボーナス
観客の声援またはブーイングを集める。
戦場となるサーカスは満員御礼、彼らの声が『興行魔法』に変わり手助けしてくれます。
華麗なバトルやワルい雰囲気で声援を集めるもよし。
じわじわバトルや正義っぽい雰囲気でブーイングを集めるもよし。
公序良俗の範囲で楽しくいきましょう!
●『聖夜精『クリス・ベル』』
サーカスの花形スター悪魔さんです。
既にファンも多い彼女を倒すため、こちらも『興行魔法』を活用しましょう!
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オープニングが出た時点でプレイングを受付開始します。
シナリオの進行状況などに関しては戦争の詳細ページ、マスターページ等も適宜確認していただければと思います。
また、プレイングの集まり次第で不採用が出てしまうかもしれません。ご了承下さい。
それでは今回もよろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『聖夜精『クリス・ベル』』
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POW : ソルジャー・ブレッドメン
レベル×1体の【ジンジャークッキーの兵士】を召喚する。[ジンジャークッキーの兵士]は【魔】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : スラップ・スティック
対象の【キャンディケイン】に【オーナメント】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[キャンディケイン]を自在に操作できる。
WIZ : パーティー・ピープル
【サンタ帽】から、対象の【何もかも投げ出して遊びたい】という願いを叶える【魔性の魅力を持つパーティーグッズ】を創造する。[魔性の魅力を持つパーティーグッズ]をうまく使わないと願いは叶わない。
イラスト:千草鼠☆
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠大宝寺・朱毘」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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クリスマス風に飾り付けられたステージの中央に、その妖精は佇んでいた。
彼女の名前はクリス・ベル。このサーカスの花形スターだ。
「クリスちゃーん! こっち向いてー!」
「今回も華麗なショーを見せてくれよ!」
悪魔達からの声援に笑顔で応えつつ、クリスは待つ。
今日のイベントはデンジャラス。猟兵達との出たとこ勝負なのだから。
猟兵達もスポットライトの光を浴びつつ、いざステージへ。
その姿を応援してくれる者もいれば、訝しげに見つめる者もいるかもしれない。
勝利のためには何かしらの手段で彼らの心を動かさなくては。
両者の準備が整えば――晴れ舞台の始まりだ!
ダーティ・ゲイズコレクター
私はダーティ!ダーティ・ゲイズコレクター!
沢山の人達に見てもらえると聞いて駆け付けた
凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!
でも私より目立つ人がすでにいるじゃないですか!
むむむ、ならばこの魔王ダーティ、宣言します!
ここから一歩も動かずに、それどころか手も動かさずにクリス・ベルさんを倒してみせましょう!
嘘だと思うなら私を見つめてください!
余すところなく!さぁ早く!もっと!
(観客からの視線に悦に浸りながらUC【改悪!像魂堕鬼纏穢握】を発動しクリス・ベルの瞳に映るダーティを操作し攻撃を行う)
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お客さんで賑わうサーカス。そこは間違いなく多くの人の視線が集まる場所だろう。
話を聞きつけ颯爽とステージに降り立つのは、視線誘導の悪魔ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)だ。
「私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ダーティとは私のことです!」
「凄い名乗りだね。挑戦者さんかな、私はクリス・ベルだよ。よろしくねー」
堂々と胸を張るダーティに、妖精クリスはゆるりと手を振る。
妖精さんの仕草も気になるが、ダーティが気にしているのは観客達の視線だ。
「むむむ、やはりスターは目立っていますね……ならばこの魔王ダーティ、宣言します!」
びしっ! とクリスを指差しながら、ダーティは高らかに声を上げた。
「ここから一歩も動かずに、それどころか手も動かさずにクリス・ベルさんを倒してみせましょう!」
「えー、本当? 猟兵さんも頑丈なのは知ってるけど、遠慮しないよ?」
まさかの宣言にクリスは思わず目を丸める。
けれどやる気は満々らしく、クリスの手にしたキャンディケインは次々にオーナメントに彩られているようだ。
あれはなかなか強力な武器だろう。それ以上に――なんかとっても目立ってるじゃないか!
これは負けていられない、ここからが本番だ。ダーティは両手を高く掲げ、クリスと観客に勝ち気な笑みを向けた。
「嘘だと思うなら私を見つめてください! 余すところなく!」
『うーん、確かにあの悪魔が何をするのかは気になるな』
『クリスちゃんが可愛い系ならダーティちゃんはセクシー系だよね、凄い対決になりそう!』
ダーティの宣言や仕草は人々の注目を集めるのには最適だったようだ。双方を応援する声も上がっていき、高まる魔力がダーティの身体を包み込み始めた。
間違いない。これは視線の力が齎す魔力。思わずうっとりしつつ、ダーティは更に気合を入れる。
「さぁ早く! もっと! 行きますよ……煌く瞳に映りし邪なる王の虚像よ! 拭えぬ穢れに浸りて悪鬼と成れ!」
勢いよく詠唱の言葉を唱えた瞬間、クリスが再び目を丸くする。彼女の視界に――もう一人のダーティが現れたのだから。
「何これ、幻術!?」
「ふふ、ただの夢まぼろしと思わないことです!」
もう一人のダーティは華麗なステップを踏み込みつつ、クリスとの戦いを始めていく。
けれどダーティ本体は宣言通りに動いていない。観客から見てみれば、クリスが一方的に何かを仕掛けられているように見えるだろう。
これぞ『改悪! 像魂堕鬼纏穢握』、視線誘導の悪魔だからこそ為せる戦い。
不思議な、けれど盛り上がる戦いを見つめる視線は、戦いが終わるまでダーティをしっかりと捉えていたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ファルファラ・ガーデンニア
デビキンで大規模な戦争が起きる日が来るなんてねぇ…こんなものはこの世界には似つかわしく無い…さっさと終わらせよう。
サーカスか…
そうだね僕は多分そう言うのは得意だと思うよ
例えばーー
(長い髪を一房手にとって花を咲かせ)
こんな風に花を咲かせるのは得意だからね。
この花をあげるよ。だから応援してくれるね?
(客に花を渡し艶やかに笑んで『誘惑』)
じゃあ、もっと派手に行こうか。
UC【侵食】
花も草も木も僕の手の内
そんな中で君は手出しができる?
植物を操り『生命力吸収』や『毒使い』で毒を使って攻撃。
美しい花には毒があるものだしね
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「デビキンで大規模な戦争が起きる日が来るなんてねぇ……」
そうしみじみ呟くのは花の悪魔ファルファラ・ガーデンニア(花の悪魔の魔王・f31697)だ。
普段は自分の城でガーデニングに勤しむファルファラも、故郷の危機となれば積極的に外へと赴く。
この世界に似つかわしくない戦いを、さっさと終わらせなければ。その決意と共に足を運ぶのは、大きなサーカス団だった。
「サーカスか……凄い人だね」
入場したファルファラを出迎えるのは、綺羅びやかなスポットライトと数多くの観客の視線。
けれど緊張はしていない。このような場なら、自分にも向いていると思ったから。
ファルファラは長い髪を一房手に取り、そこに自分の魔力を籠める。
花開くのは――幸福を告げるカランコエの花だ。
展開される不思議な光景に、観客たちも釘付けになっている様子。ファルファラも彼らの元へ歩み寄り、そのまま花を一輪摘んで。
ファルファラはちょうど目の前にいた悪魔の少女に、そっと艶やかな微笑みを向ける。
「この花をあげるよ。だから応援してくれるね?」
『はっ、はい! 勿論です、ありがとうございます……!』
花を手渡された悪魔はもうメロメロだ。彼女だけでなく周りの悪魔達にも花を振りまけば、すっかりファルファラのファンの出来上がり。
その様子にはステージ上のクリス・ベルも感心しているようだ。ならばそろそろ、勝負本番といこうか。
「素敵な魔王様ー。観客の心は掴めたみたいだけど、私の心は掴めるかなー?」
勝ち気な笑みを浮かべキャンディケインを構えるクリスに、ファルファラが向けるのは優雅な笑みだ。
「じゃあ、もっと派手に行こうか。こういうのは……お好みかな?」
ファルファラがぱちんと指を鳴らすと同時に――サーカスのテントの中に、芳しい花の香りが広がった。
ファルファラは観客達に花を配りつつ、こっそりと植物の種も振りまいていた。
合図に合わせてその種は芽吹き、サーカス内部を森のような環境へと変えていく。
美しく茂る植物達の中にいれば、花の魔王は絶対無敵だ。
「花も草も木も僕の手の内。そんな中で君は手出しができる?」
クリスも負けじとクラッカーやキャンディケインで植物を振り払おうと立ち向かうが、花の壁は彼女の進路をあっという間に阻んでいく。
同時に振りまかれる毒がじわじわクリスを蝕めば、勝負の行方は簡単に予想出来るだろう。
「うう、綺麗なお花なのに恐ろしいー……!」
「美しい花には毒があるものだしね。じっくり味わっていってね」
髪にクリスマスローズを咲かせつつ、ファルファラはゆるり微笑む。
そんな彼の様子に、またしても多くの観客が歓声を上げるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
結城・有栖
サーカスですか。何だか楽しそうですね。
「私達は観客じゃなくて演者だけどネ。
で、どうやって戦うノ?」
折角のサーカスです、観客を魅せて楽しんでもらいましょう。
行きますよ、オオカミさん。
UCでオオカミさんを召喚し、私はウィンドボードに乗ります。
オオカミさんには烈風の竜巻を複数放って、敵の召喚する兵士を巻き込んで攻撃してもらいます。
「強風にご注意をってネ!」
私はオオカミさんの起こした竜巻にサーフィンの要領で【軽業】とウィンドボードを上手く【操縦】して乗り、上昇します。
そして【空中機動】で綺麗に回転しつつ、上から想像暗器(サーカスで使うナイフ)を【念動力】で射出しつつ、咎断ちの大鉈を伸ばして攻撃です。
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猟兵とスターのバトルは大盛りあがり。独特の熱気を感じつつ、結城・有栖(狼の旅人・f34711)もまた目的地へとやって来た。
「サーカスですか。何だか楽しそうですね」
「私達は観客じゃなくて演者だけどネ。で、どうやって戦うノ?」
ウキウキする有栖に対し、冷静な言葉をかけるのは相棒のオオカミさんだ。
けれど心配は無用、有栖は既にしっかりと方針を定めている。
「折角のサーカスです、観客を魅せて楽しんでもらいましょう。そのために力を貸して下さい。行きますよ、オオカミさん」
「あいよー、一緒に暴れましょうカ!」
有栖がステージに足を踏み入れると同時に、彼女そっくりのオオカミさんも姿を現す。
新たな挑戦者にクリス・ベルのテンションも上がっているようだ。
「なるほど、タッグで来るんだねー。それなら……こっちも数で出迎えるよー」
クリスがキャンディケインを一振りすれば、わらわら現れるのはジンジャークッキーの兵士達。
愉快な仲間のような彼らも強力な悪魔の配下だ。甘く見ては大火傷してしまうだろう。
「オオカミさん、曲芸のように行きましょう」
「面白そうだネ。任せておくレ」
クッキー兵士が此方目掛けて駆け出した瞬間、オオカミさんが大きく手を振り上げる。
そこを中心に展開されるのは――烈風の竜巻だ!
「強風にご注意をってネ!」
ぶわり、竜巻は次々に兵士達を巻き込んで彼らの動きを見出していく。
その間を流星のように駆け抜けるのは、ウィンドボードに乗り込んだ有栖だった。
勢いのある戦況に観客達も大盛りあがり。彼らの歓声を受け止めつつ、有栖は軽やかに空を舞う。
時折くるりと回転すれば、聞こえてくるのはさらなる歓声。まるでアクロバットのような有栖の様子はスポットライトに鮮やかに照らされていた。
「むむ、凄いけどー、負けないよ!」
クリスも負けじと翅を羽ばたかせ、有栖の元へと迫りくる。
そんな彼女を出迎えるなら、どんな武器がいいだろうか。有栖の頭の中に浮かんだのは――サーカスで使うド派手なナイフだ。
アリスナイトの想像は本物に変わる。有栖の脳裏に浮かんだナイフは彼女の手元に姿を現し、ライトの光をキラリと反射していた。
「今日の主役は頂きます。ここまでは……飛ばさせません」
ナイフは有栖のイメージ通りに射出され、次々クリスの進路を阻む。
これで彼女の動きは止めた。それなら派手なフィニッシュを叩き込もう!
有栖は咎断ちの大鉈を構え、とびっきりの想像力を刃に籠める。
それに応えるように大鉈が姿を変えれば――大きく伸びた刃が、華麗な軌道を描いてクリスへと叩き込まれた!
その光景を見た観客達は大盛りあがり。此度の派手な戦いを制したのは、空を舞うクリスと地上で笑うオオカミさんだった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
力比べと聞いて最初
腕相撲でもするのか、この対格差でか
と思ったのは秘密です
よろしくお願いします(ぺこり)
一瞬でも観客の気を引くため敢えて上着のパーカー脱ぎます
(下は黒いノースリーブブラウス)
それから翼を広げ【空中戦】と地上戦を臨機応変に
戦場がステージなら利用しなきゃね
自身に【オーラ防御】を張り
クリスさんの攻撃は【ダンス】も交え回避
更に【催眠術】を乗せた【歌唱】でクリスさんの動き、思考力を鈍らせ
同時に観客に流し目と笑顔の【誘惑】
魔力で足場に★花園を生成
歌唱の合間に【高速詠唱】で風魔法を紡ぎ
更に【指定UC】を同時発動
花園から舞い上げた花弁をUCと合体
歌唱で操る事で逃げ場すら与えない花嵐の【範囲攻撃】
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綺羅びやかなステージはライトに照らされ、観客達もテンション高めのようだ。
そんな状況の中で歩を進めつつ、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は思案を巡らせる。
(力比べと聞いて最初腕相撲でもするのか、この対格差でか、と思ったけど……)
視線の先に見えるのはスターであるクリス・ベル。彼女は妖精のような悪魔であり、見た目も相応に小柄だ。
けれどここでやるのはド派手なバトル。体格差だって気にせずに行うことが出来るのだろう。
ならばこちらも正々堂々と。澪はステージへと上り、クリスにぺこりと頭を下げた。
「よろしくお願いします」
「こちらこそー。よろしくね」
クリスはサンタ帽から様々なグッズを取り出し、早速試合を盛り上げようとしている様子。
此方も急いで観客の注目を集めなければ、そこで澪が手を掛けたのは、自分自身の上着だった。
そのまま一気に上着を脱ぎ去り、ライトの下に照らすのは薄桃色の翼だ。
悪魔の前でオラトリオの翼を晒すのは少し心配だったけれど、観客達の反応は上々。普段はあまり目にしないものに、歓声を上げているようだ。
彼らの声を受け止めつつ、澪はふわりと空を舞う。クリスも小さな翅をはためかせ、追いかけるように飛び上がってきたようだ。
「むむ、君も飛べる感じ? それなら……空中戦だー」
「望むところだよ。華麗に戦おう!」
そこから始まったのは、サーカスらしい不思議な戦い。
クリスがクラッカーを銃のように打ち出せば、その間を花弁纏った澪が駆け抜ける。
BGMは澪の奏でる可憐な歌で、観客はうっとりしているようだ。更にその声はクリス自身も魅了して、彼女の動きを少しずつ鈍らせていく。
「むむむ、なんだか眠く……」
「よし、今だね……!」
ここがチャンスとばかりに、澪は一気にステージへと降り立つ。
そのまま舞い踊るようにステップを踏めば、展開されるのは美しい花園だ。
咲き誇る花弁を持ち上げるように風の魔法が周囲に吹き荒れ、その中心にクリスを据えて。
「わ、何これー!」
クリスも慌ててクリスマスツリーを取り出し、どうにか花弁を振り払おうとするが――もう既に準備は整っている。
最後は華麗なフィニッシュを決めよう。澪は大きく息を吸い、そのまま高らかな歌声を紡いでいく。
「幸せのままに眠れ、クリスマスの妖精よ」
歌声と風魔法が花弁を操り、出来上がるのは逃れられない花嵐。
その中央でクリスはぐるぐると目を回し、どんどん力を失っているようだ。
ステージの上で繰り広げられる美しい光景と、その中央に立つ小さな天使。
その光景は、観客を大いに沸かせることになったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
マリア・ルート
注目を浴びればいいのね。なるほど。
じゃあ、とっておきの言葉でも言おうかしら?
サンタなんていない。プレゼントは自分の力で勝ち取るものよ!
(心中:絶対子供辺り泣きそうねこれ…)
歓声かブーイングかわかんないけれどこれで注目を集めたら【指定UC】による範囲攻撃で兵士たちを一掃しつつクリス・ベルを攻撃よ!
そもそもクリスマスにはまだ早いわ。あと半年ほど待ちなさいよ!
ほらほら、うまくいなさないと半年早くプレゼント奪っちゃうわよ?
私だって力づくで手に入れるため必死なんだからね!
(…心痛むのは内緒にしておきましょ。これも一つの演技よ…)
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ステージに向かう最中、少々強張った表情を浮かべるのはマリア・ルート(紅の姫・f15057)だ。
此度の戦いではどんな手段を使っても、観客の注目を集めた者が勝つ。
そのための方法は思いついているのだが、実際に実行するのは少々勇気が必要だった。
「絶対子供辺り泣くでしょう……きっとクリスだって悲しむでしょうね」
きりきり痛む心を抑え、どうにか表情を整えて。意を決して、マリアはステージの上へと向かう。
「新しい挑戦者だねー? よろしくお願いするよー」
笑顔で出迎えるクリスを、マリアはびしっと指差して。大きく息を吸って、吐き出す言葉はシンプルに。
「ええ、よろしくお願いするわ。けれどね……とっておきの言葉でも言おうかしら?」
「ん? 何かな?」
「――サンタなんていない。プレゼントは自分の力で勝ち取るものよ!」
マリアの言葉が響いた瞬間、会場の中に静寂が訪れる。
ある者は戸惑い、怒る。その反応は当然だと思うし、それで落ち込んだりもしない。
けれどまたある者は「その意気だ!」と応援してくれるし、感心する声だって聞こえてきた。
大丈夫。褒め言葉でも怒りの言葉でも、ステージは全部魔法に変えてくれる。
「そっちがそのつもりなら、私だって容赦しないよー」
「望むところよ! さあ、試合を始めましょう!」
この戦い、互いに譲れないものになりそうだ。覚悟を決めて、マリアはユーベルコードの準備を整えていく――。
クリスは何体ものジンジャークッキーの兵士を呼び出し、数で圧倒しようとしているようだ。
けれどこの手の相手ならば、マリアとの相性は良い。
「そもそもクリスマスにはまだ早いわ。あと半年ほど待ちなさいよ! という訳でクッキーは没収ね!」
マリアが大きく腕を構えれば、彼女の背後には無数の武器が生まれていく、
それらは自由自在に戦場を駆け回り、迫る兵士達を次々に砕いていった。
「ああっ、私のクッキー達がー!」
「ほらほら、うまくいなさないと半年早くプレゼント奪っちゃうわよ? 私だって力づくで手に入れるため必死なんだからね!」
敢えてヒールっぽい笑みを浮かべ、マリアは更に手早く武器を展開していく。
その攻撃は波のようにステージ上を進んでいって――最後にはクリス自身も打ち据えたようだ。
ド派手な攻撃には会場も大盛りあがり。クリスも降参したのか、その場にぺたりと座り込んでいた。
けれど彼女の表情に怒りや悲しみはない。むしろマリアに向けて、ウインクなんか返したりしている。
「……もしかして、演技だってバレてたのかしら。結構頑張ったつもりだったんだけど」
恥ずかしそうに頬をかきつつ、マリアはクリスの元へと向かう。
最後に握手を交わす二人に、会場からは拍手が鳴り響いていた。
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これにて演目は無事終了。
観客達は猟兵達の戦いに惜しみない称賛を送っていた。
これで彼らの心も掴めただろう。戦局がまた一つ、大きく動いていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵