7
長き因縁に終止符を・米の巻

#アポカリプスヘル #戦後 #ドクター・オロチ #プレジデント #風魔小太郎 #魔軍転生 #宿敵撃破

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル
🔒
#戦後
🔒
#ドクター・オロチ
🔒
#プレジデント
🔒
#風魔小太郎
🔒
#魔軍転生
#宿敵撃破


0





 頭部全てが脳になった子供というまさに『異形』と呼ぶべき何か。その名はドクター・オロチ。スペースシップワールドで、アックス&ウィザーズで、そして違う名を持ってシルバーレインで、幾度討ち果たされても蘇り続けた生ある者全ての敵。
 今、彼はアポカリプスヘルにおいて己が配下を従え、フィールド・オブ・ナインの生存者奪取という目的を持って暗躍していた。
「これはなんと! まさかこの私が一年も持たず引き出されるとは! これは彼らの力を認めざるを得まい!」
 メンフィス灼熱草原にあるホワイトハウス……もといブラックキャッスルで堂々と言うその口調は、まごうことなきナイスガイのもの。その言葉とは対極にあるはずの彼が一体どうしたというのか。
 口調だけではない。子どもの様なサイズだったその肉体は筋肉で膨れ上がり、ラガーマンかボクサーかというほどのマッチョボディとなっていたのだ。
 そんな彼が目の前に侍るもう一人のマッチョマンに爽やかに告げる。
「こうなっては仕方ないね。君がその歪みねぇアメリカンスピリッツを持って彼らを迎え撃ってきてくれ。決してだらしねぇ戦いは見せないでくれ給えよ」
 その言葉に、股間の炎を灯した全裸のマッチョマン『『征服者』アダムス』……に変身した風魔小太郎は堂々と城門を出ていく。
「己は、亜米利加人ではない……」
 言ったところで今の主には届かないだろうその言葉を胸に秘めたままで。


「あなたのメルでございます。ドクター・オロチとの決戦にございます」
 メル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)がそう言いながら猟兵たちにライスバーガーを配る。
 アポカリプス・ランページが終結してからまだ半年ほど。他のオウガ・フォーミュラたちの跳梁している期間と比べれば異例と言えるほどの速さであろう。
「今回は彼の居城である「メンフィス灼熱草原」の中心部にある漆黒の『影の城』へ乗り込んでいただきます。聞き覚えのある方もいらっしゃるのでは?」
 影の城、多くの猟兵には耳馴染みない言葉だが、その言葉を聞いた瞬間表情をこわばらせたものも数人いた。だがそれはそれとし、ドクター・オロチは何度倒しても別の世界で復活を遂げており、彼自身それを前提に倒される事すら恐れていないような言動を見せてもいた。此度もまた一時しのぎにしかならないのでは。その危惧は多くの猟兵が抱くところであろう。
「そして覚えがあると言えば、どうせ倒したところで逃げるんじゃって思ってる方もいらっしゃるでしょう。ですが今回はこの影の城の中に彼の本体『コンクリ塊』があるらしく、それを抑えれば彼を完全に滅することも可能かもしれないとか」
 今回も逃げる算段は付けているが、一方でそれをついに阻止することもできるということだ。今まで余裕の態度を見せていた相手が本気を出す。それはつまりそれだけ相手を追い詰めているということでもあり、同時に最大級の抵抗をかけてくるということでもある。
「ただ、当然ながら彼も黙ってそれをされるつもりはありません。城の中、最初にあるホールには風魔小太郎が化けたボス級オブリビオンが待ち受けています。彼は『『征服者』アダムス』という全裸に蒼い炎を灯したマッチョマンとなっており、筋肉と炎、さらに【プレジデント・ナックル】という機械腕の超剛腕によるパンチで攻撃してきます」
 まさにアメリカンマッチョイムズを形にしたかのような相手。なお風魔小太郎は忍びらしく頑張って己のジャパニーズニンジャソウルは封印しているらしい。
「で、小太郎さんを倒せば大統領執務室……もとり城主の部屋でドクター・オロチとの対決です。彼は『魔軍転生』であの『プレジデント』を憑装しています」
 己の暗躍した世界のみならず、サムライエンパイアのフォーミュラ信長、さらにクルセイダーの奥義まで真似るとは。しかもオブリビオン・フォーミュラたるフィールド・オブ・ナイン、その首席さえもを。
「ただまあ所詮真似というか憑装した相手が悪かったというか、どうやらプレジデントの影響を心身ともに受けてしまってまして、まず体がプレジデント級の筋肉モリモリマッチョマンに変態しており、さらに性格もアメリカナイズされたナイスガイとなってしまっております」
 色んな意味で真逆の存在である彼に影響されまくったその体は、最早色んな意味で『異形』と言うしかないだろう。
「彼はそのマッスルボディを用い、正々堂々ボクシングスタイルでファイとしてきます。さらにその体から溢れる大統領魂で空を飛ぶこともできます」
 深く突っ込んではいけない。アメリカ大統領に不可能はなく、大統領の前では道理や常識さえ道を開けるのだ。
「彼とは相当長い付き合いの方もいらっしゃるでしょう。私も正直、あの顔はもう見たくありません。というわけで皆様、あの腐れ脳みそを叩き潰してきてくださいませ」
 そう言ってメルはグリモアを起動し、猟兵をアポカリプスヘルへと送り出した。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。彼と10年越しの決着を。

『注意!』
 今回は5月1日午前中までの完結を目指し、文字数、参加者少な目でお送りする予定です。プレイングを頂いてもリプレイは短めになります。ご参加の場合ご了承の上プレイングをご送信ください。

 第一章では『『征服者』アダムス』とのボス戦。彼は本物ではなく風魔小太郎が『百面鬼の術』によって化けた存在です。全裸に炎という哲学的スタイルで、筋肉と炎によって攻めてきます。なお中身の風魔小太郎は当然ながらアメリカンスピリッツなど理解していません。本来の能力の他【プレジデント・ナックル】(https://tw6.jp/html/world/441_worldxx_ogre11.htm)を使用してきます。

 第二章では『ドクター・オロチwithプレジデント』とのボス戦。彼はプレジデントを魔軍転生で憑装していますが、その性格に引っ張られ大変アメリカナイズされた清々しい大統領となっています。また体も彼と同様のアメリカ式マッチョマンとなっていますが、服装などはあのままです。とてもナイスガイな性格ですが、目的や自我を失くしているわけではないのであくまで本来の目的のため行動します。戦闘力はそこそこ高いですが、先制攻撃や特殊ギミックはありません。

 シナリオが20本完結した時期により展開が異なり、5月1日午前中まででドクター・オロチの本体奪取可能(完全撃破の可能性有)、5月15日午前中まででドクター・オロチは撃破するも本体行方不明(つまりまたどこかで湧いてくる可能性大)、それ以降で生存中のフィールド・オブ・ナインのうち2体をオロチが持ち帰り、残り1体をアポカリプスヘルに置いていくこととなります。
 また、時期に関わらず20回倒せば風魔小太郎は完全撃破できます。

 以上、時間がない戦いとなりますが、決して倒せない強さではありません。長きにわたる因縁に終止符を打ちましょう。

 それでは、よろしくお願いします。
138




第1章 ボス戦 『『征服者』アダムス』

POW   :    筋肉こそ相手をねじ伏せ奪う、我が力だ!
敵より【鍛えられた圧倒的筋肉にて抑え込んだ】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
SPD   :    筋肉に我が魔性宿る具現化した蒼き炎、絡め尽くせ!
対象の【燃え盛る蒼き炎】に【無数の蒼き炎の触手】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[燃え盛る蒼き炎]を自在に操作できる。
WIZ   :    筋肉に宿りし我が魔性の力、更に猛々しく燃えろ!
【征服・屈服したい、されたい情念の魔力】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[征服・屈服したい、されたい情念の魔力]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠郁芽・瑞莉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
無茶振りされ続けている小太郎さんが、少々憐れになってきましたねぇ。

『抑え込み』『ナックル』の何方も『接近戦用の能力』である以上、『接近させない』ことで対処可能ですぅ。
【銀翼袍】を発動し飛行、『崩壊の波動』を放射し位置の認識を阻害すると共に、可能な限りの速度で上方へ退避しますねぇ。
『建造物を利用した跳躍』等、接近を狙われた場合は『FGS』の重力結界と『FBS』による[カウンター]で、『投擲』等の遠距離攻撃は『FMS』のバリアと『FAS』の障壁で防ぎつつ、速度を活かし回避を行えば問題有りません。
後は、強化した『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]で叩きますぅ。


鈴乃宮・影華
『アレ』に酷似したドクター・オロチ、そして影の城にコンクリ塊……
シルバーレイン出身者としては嫌な予感しかしません
手が届く所にいる内に、速やかに討伐しましょう

で、その前に倒さねばならないのが
……何あれ、生理的に近づきたくないんですけど!?
背中に装着した『轟蘭華』に『ウルカヌスⅡ』『R.I.P』を搭載したので
とにかく銃撃で始末しましょう
炎や機械拳、筋肉でねじ伏せようとしてくるのでしょうが
「えぇ、捕まったらただではすまないんでしょうね――貴方が思った位置に私がいるなら、ですが」
指定UC起動で、奴の後方とかへと蟲達に運んでもらい
立派なケツに容赦なくレーザーや砲弾をぶち込んでやります



 ドクター・オロチは猟兵にとっては三年に及ぶ因縁の相手である。だが、それ以上長く彼に幾度となく煮え湯を飲まされてきた者がいた。
「『アレ』に酷似したドクター・オロチ、そして影の城にコンクリ塊……シルバーレイン出身者としては嫌な予感しかしません」
 猟兵にも匹敵する大きな乱を幾度となく経験してきた世界シルバーレイン、その世界の最大最悪の敵として、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は別の名で同じ外見の存在を思い出さずにはいられなかった。あまりにも合致する特徴が多すぎるし、向こうも最早それを隠す気もないように見える。
 恐らく予感で片付くようなものではないそれを元に考えれば、一手遅れればそれだけで相手は何をしてくるか想像もつかない。それこそこちらの内部崩壊や協力組織の洗脳、籠絡さえ仕掛けてきても何らおかしくないのだ。
「手が届く所にいる内に、速やかに討伐しましょう」
 まさに今こそ千載一遇のチャンス。だがもちろん黙ってそれを指せる相手ではない。
「で、その前に倒さねばならないのが……何あれ、生理的に近づきたくないんですけど!?」
 ドクター・オロチが猟兵を迎え撃つべく放った配下。それは全裸に股間だけ焔の灯されたマッチョマンという、彼とは全く別方向に『異形』と呼べる存在であった。
 その名は『『征服者』アダムス』。ただし、厳密にいえばそれそのものではない。
「無茶振りされ続けている小太郎さんが、少々憐れになってきましたねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の言う通り、彼は風魔小太郎が既存のオブリビオンを元に変じた姿。彼の完璧な変身は外見のみならず能力までも完璧にコピーできるが、その精神はあくまで小太郎本人のままである。
「ヘイ、構わねぇ、殺すぞ」
 なので自信たっぷりに言っているこの言葉も、変化の完成度を高めるため自分を殺し言っているにすぎないのだ。
 これに限らずドクター・オロチの命によりとんでもないオブリビオンに何度も変身しては、言動までそれになり切ることを強いられている風魔小太郎。その心にあるのはまさに『忍』の一文字であろうか。
 ともあれ小太郎、そしてアダムスが強敵であることには変わりはない。影華は大きく距離を取って銃を構えた。
「結構すぐ逃げるんだね、仕方ないね」
 見るからにパワーファイトを好む己から距離を取ったことを、アダムスはそうなじる。レスリングをするわけではないのだからわざわざ相手の得意間合いに入る必要などないのは彼も分かっていようが、その上であえて言っている挑発なのだろう。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、その御印たる裳を此処に」
 それを聞かず、るこるは【豊乳女神の加護・銀翼袍】を発動、これまた飛行して距離を取り、崩壊の波動を放射し認識を誤魔化しつつ相手にゆさぶりをかけた。
「イクぞオラァ!」
 それに対し、スプリングのような足の筋肉を収縮させ一気に跳躍するアダムス。その筋力はすさまじくまるで妖精の羽でも生えているかの如く宙を舞うが、そう言った筋力自慢が力で宙を制してくるのはこのアポカリプスヘルで学んだこと。浮遊戦輪を前に置いて自ら底に突っ込むようにしつつ、重力場で叩き落とすことで届かせない。
「仕方ないね、ならグラウンドだ!」
 ならばとターゲットを切り替え、地上の影華に突っ込んでいくアダムス。その堂々たる突進は、銃弾程度討たれたところで弾き返せるという肉体への自信から来るものか。
 抑え込みか、アメリカン機械パンチか、いずれにせよ恐るべき威力が迫ってくることに変わりはない。それは一度嵌れば昇天間違いなしだろう。
「えぇ、捕まったらただではすまないんでしょうね――貴方が思った位置に私がいるなら、ですが」
 その太い腕が影華を捕らえる、その瞬間。
「彼の力を以て世界を開く――皆、私を連れて行って!」
 影華の体が黒い巨大中に飲み込まれた。そしてその一瞬後、アダムスの後ろにその身が現れる。【蟲喰孔・瞬間転移】、寿命と引き換えに世界内ならどこにでも一瞬で移動できる新たな蟲の力。言い方を変えれば『触られたくないから命削って逃げた』とも言えるのだが。
 ともあれグラップリング特化の相手の全力を外したのだ。今こそこの距離から仕留める時。
「砲撃と爆撃で……あ、念のためバリアと障壁も張っておきましょう」
「立派なケツに容赦なくレーザーや砲弾をぶち込んでやります……だからこっち来ないで!」
 1ミリでも遠くに押し返せとばかりに滅多打ちにされる二人の飛び道具。それは攻撃を外し前のめりになった関係で突き出された、肉厚のよく締まった尻を中心に貫かんばかりの勢いで炸裂した。
「ア゛ッーーーーーー!? アワワワワワ、アワワワ……」
 野太い悲鳴を上げそのまま倒れるアダムス。これをやらされている風魔小太郎に一抹の憐みを覚えつつも、二人は絶対にこっちに近づいてこないよう念入りかつ執拗に、ありったけの射撃を叩き込むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

死絡・送
SPD
アドリブ絡み共闘OK
ノーブルバットに変身して参戦、火炎耐性と念動力を組み合わせて
炎の触手を弾くなどして防ぎつつ、ノーブルアンカーで重量攻撃と貫通攻撃を組み合わせて格闘する。
タイミングを計りながら「その炎もエネルギーなら喰らい尽くす!」
と言いノーブルストームを発動する。



 一度地に倒れた『『征服者』アダムス』。だが彼の命と股間の炎はまだ消えていなかった。
 再び立ち上がりその炎を燃え上がらせたところに、新たな挑戦者が現れる。
「あぁん? お客さん?」
 その姿にアダムスは人差し指を立て、相手を招くように動かす。今度の相手は死絡・送(ノーブルバット・f00528)。男性である。だから何だという話だが、男性なのである。
 急ぎの先頭ということで、送は早々に相手にかかる。もちろんレスリング等に付き合うつもりもなく、武器を構えての攻撃だ。
「スタイリッシュにいかなアカン、な?」
 重量級の武器である『ノーブルアンカー』を素手で受け止めるアダムス。その筋力は流石という他ないが、送の筋肉も中々のもの。そこに武器の重量が加わるのだから、当然アダムスの方が押されていく。
「おー激しい……ならば、肉に我が魔性宿る具現化した蒼き炎、絡め尽くせ!」
 突然流暢な言葉で叫ぶと、アダムスの股間の炎が触手となって伸び、送に絡みつこうとした。はっきり言って誰得……いや一部の人には大いに得なのかもしれないが、ともあれこの攻撃は炎属性。服とかが燃えてしまうかもしれないし、そうでなくても炎に絡みつかれればそれはただ火炎放射をされるよりはるかに執拗にやけどを負わされる。そう考えればかなり危険な攻撃と言わざるを得ないだろう。
 だがだからこそ、送はきちんと対策を考えていた。
「その炎もエネルギーなら喰らい尽くす!」
 【ノーブルストーム】、吸血蝙蝠の群れを放ち、範囲内のエネルギーを吸い尽くす技だ。当然炎は大量の熱エネルギーを持っている。影の城とは言え視界良好な明かりはあるので強化条件は満たさないが、それでも十分だろう。
 だが一つ、ここには他の人間がいない故に地の文で突っ込ませてもらおう。
 それ吸うの? 本当に吸うの? その炎の出所分かってるの?
 もちろん作戦としては大当たりである。どのような動きをしようが本質は炎なんだからエネルギー吸収からは逃れられまい。だが、多分その炎はその根元にあるところから出ている。そして吸収されれば、その炎は小さくなるわけで。
「何だあのでっかいモノ……」
 自分の炎からはみ出たものにアダムスが動揺する。それは紛れもない隙であるが、ちょっと突いていいのか分からない隙である。
 だがそこは送も躊躇しない。ちょっとそこを外しつつがら空きになったボディにノーブルアンカーを叩き込み、アダムスをダウンさせる。
「お前人のモノを……!」
 ダメージを受けた辺りを抑え蹲るアダムス。この行動をとる風魔小太郎の心の内は、最早誰にも理解できるものではないだろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

郁芽・瑞莉
ッ……、アダムス……!?
はっ、ふう……落ち着いて。あれは本物ではないです……。
風魔小太郎、貴方が化けているだけで攻撃とは違うあれやこれやは無いでしょう。
その姿を取ったことを後悔してください、存分にやらせて貰います!
そして、銀雨時代の先輩方が残した宿題、ここで果す為に!

敵の攻撃はジャンプにステップ、スライディングに加えて、
残像や迷彩を絡めたフェイントで回避。
回避が難しい場合は第六感に従って武器で受け流しつつ前へ。
こちらの間合いに入ったら封印を解除して以前の私へ。
更にリミッターを外して相手の攻撃を利用してカウンターで串刺し。
さらに傷口を抉る様にして衝撃波を出しながら鎧無視攻撃2回目の攻撃で追撃。



 この『征服者』アダムスは風魔小太郎が変じたものである。だが、それに使った『百面鬼の術』はただの変装ではない。己の『面』とした者にその姿のみならず、能力や戦法まで一切を真似るコピー術である。
 その『面』自体は自ら作り出すことのできるものではない。あくまで元となる『実物』があってこそのものなのだ。つまり、この世界の何処かに、面ではない本物のオブリビオンが存在するということである。
 そして、それと運命の糸で繋がれた者もまた。
「ッ……、アダムス……!?」
 郁芽・瑞莉(陽炎の神和・f00305)は、目の前に現れた己の宿敵に息をのんだ。
 だが、どんな依頼を受けてここに来たのか、グリモア猟兵から如何な説明を受けたかを思い出して自分を落ち着かせる。
「はっ、ふう……落ち着いて。あれは本物ではないです……」
 彼は風魔小太郎、ドクター・オロチの命によって彼を守護するため別のオブリビオンに変じこの前を守っている者。それを思い出し、改めて自身の宿敵に化けた風魔小太郎に向き合う。
「風魔小太郎、貴方が化けているだけで攻撃とは違うあれやこれやは無いでしょう。その姿を取ったことを後悔してください、存分にやらせて貰います!」
 姿、能力は完璧にコピーしているが、その精神はあくまで風魔小太郎のもの。戦いのさなかそれっぽい発言を繰り返してはいたが、あくまでそれも変化の完成度を上げるために真似をしているだけの事。決して本心からの発言ではあるまいし、何なら後悔なんてとっくにしている可能性すら大いにある。
「ほう、まさか此奴と縁深き者がここに来ようとは。全く奴はどれほどに恨みを撒いたのだかな」
 小太郎は瑞莉がアダムスと関係のあるものだと知り、あえて自分本来の口調で喋る。相手の士気を下げ、熱意を削ぐためか。だが、その程度で瑞莉の心を揺らがせることなど出来なかった。
「そして、銀雨時代の先輩方が残した宿題、ここで果す為に!」
 真に討つべき敵はドクター・オロチ。かつて敵となったもの全てを討ち果たしてきた銀誓館が、唯一滅すると決めて滅ぼせなかった相手。曖昧だった己の出自がそこにあると知った今、彼はアダムスと同等、あるいはそれ以上に瑞莉にとって討つべき因縁の相手となったのだ。
 逞しい筋肉から繰り出される掴みかかりを、駆け、跳ね、滑り込んでかわす。自らの宿敵なのだ、その肉体に捕らわれた時の恐ろしさはよく分かっている。それ故に、決して相手の制御下に入ってはならぬと全力で敵の攻撃をかわし続ける瑞莉。
「素晴らしい。だがこの男が……俺が掴むだけと思うな!」
 今度はナックルからの蹴りつけと言う打撃に切り替えるアダムス。それは残像を残すほどの動きと、周囲の背景に自分の輪郭をぼかすことで狙いを乱れさせて避けていく。
 だが、余りにも重く、早いその連撃は動いて避け続けるには限界があった。とっさに十束剣を振り上げその刀身で拳を逸らす。それは、受けてなお強い衝撃で瑞莉の足を下がらせて、さらに鋼でできているかのように相手の拳には一筋の傷もつかなかった。
「下がってばかりか? もし本物と出会ったらどうするつもりだったのだかな」
 嘲るように言う風魔小太郎。だが、一歩下げられた、それは決して劣勢ではなかった。
「昔の私、申し訳ありませんが今一度お力を借りますね」
 その間合いを詰められる一瞬の間に、十束剣に語り掛ける。
「……良いんだよ私。謝らなくて。選ばれし者の力、ご覧あれ……ってね!!」
 それに対し、その中の記憶、かつてシルバーレインで能力者であった自分が答えた。
 あの日の忘れ物を片付けるため、あの時の瑞莉が今ここに覚醒した。
「筋肉こそ相手をねじ伏せ奪う、我が力だ!」
 それに今の瑞莉の宿敵であるアダムスの力を全開にし、小太郎が掴みかかる。太い腕と分厚い胸を開いて迫るそれが自分を包むその一瞬。そこを瑞莉は見切った。
「ぐおぉぉぉぉ!?」
 胸板の真ん中に、十束剣が突き刺さる。だが凝縮された筋肉はまるで鎧の如く固く締まり、急所へ刃を届かせない。
「今のは私の分……そしてこれが、私の分!」
 その傷口を抉るように剣を回し、力の衝撃をアダムスの体内に放った。いかに頑健な肉体であろうと中からの破壊には耐え切れず、その巨大な体が切り開かれる。
「ふ……過去から来た者同士が今に殺し合うか……くくく……ならば手向けよ。今の縁、奪い去ってやろう……!」
 アダムスの姿のまま、風魔小太郎が崩れ落ちた。その消滅と共に瑞莉は今の瑞莉に戻り、そしてその身が察する。一つの宿縁、運命の糸が切れていくことを。
「すぐ、そこに送ってあげます……!」
 それを思うのは己に絡みつくもう一つの縁を切ってからだ。その思いを胸に、瑞莉は忌まわしく懐かしい城の中へと進むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ドクター・オロチwithプレジデント』

POW   :    ロケット・ナックル
【恐るべき筋力】で超加速した武器を振るい、近接範囲内の全員を20m吹き飛ばし、しばらく行動不能にする。
SPD   :    プライド・オブ・プレジデント
全身を【大統領のオーラ】で覆い、自身の【大統領魂】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    プレジデント・フェイタル
【華麗なステップ】で敵の間合いに踏み込み、【衝撃波】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。

イラスト:みやこなぎ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
中々インパクトの強い姿ですぅ。

【晶翼袿】を発動し『祭器の衣』を纏い飛行、高速で距離を開きますねぇ。
同時に『極めて高い隠密性』を得られますから、相手の動きに注視、間合いに入らないことを優先し『速度』と併せて飛び回れば、私を『狙って叩く』のは極めて困難ですぅ。
後は、天井に配置した『F●S』各種による[範囲攻撃]を降らせ、破壊を狙われた場合は『衣』に隠した『FTS』の光線で回収&放出し疑似転移させて別の場所に再配置、自身も捕捉されない様移動し交戦を継続しますぅ。
更に、最大威力で展開した『概念崩壊域』でオロチさん自身を対象とし、徐々に『崩壊』を招きますねぇ。
着実に叩きましょう。



「おお、よく来たね諸君! 我が影の城へようこそ!」
 影の城へと突入した猟兵を出迎えたのは、筋肉モリモリマッチョマンの変態であった。
 その名はドクター・オロチ。数多の世界で生命を玩弄した猟兵の宿敵だが、今の彼は身長が2メートル近くまで伸び、分厚い胸板や広い肩幅の上にフードを被った脳髄が乗っているという普段以上の異形の体と化していた。
 これは彼が憑装したフィールド・オブ・ナイン第1席プレジデントの影響だが、やはりその中でも最もキャラの濃かった男なだけありその効果は色々と桁違いだ。
「中々インパクトの強い姿ですぅ」
 これにはさすがの夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も困惑気味だ。
 とはいえ戦わないわけにもいかない。先制はないということで、るこるは早速ユーベルコードを使用する。
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、その身を隠せし羽衣を此処に」
 【豊乳女神の加護・晶翼袿】で浮かび上がるるこる。それと同時に隠密状態に入るが、流石に目の前で消えたとあってはいかに今のドクター・オロチが些事にこだわらないと言えど大まかな場所は分かる。
「ステルスかい! 残念だが大体の場所が分かればいいのさ!」
 その丸太の様な腕を超高速に振るい、るこるが消えた辺りにパンチを繰り出すドクター・オロチ。それは拳の通った近辺を丸ごと吹き飛ばし、自室の天井に大穴を開けた。
 本来ロケット機構で出す出力を筋力で無理矢理出してるパンチはまさにアメリカンドリームの体現。天井に穴が開こうが最悪城が崩壊しようが敵を倒せればそれでいいという考え方も、ある種豪快なアメリカン思想なのかもしれない。
 冗談の様ではあるがその移植は圧巻。高速移動で躱そうとするも近接範囲内全てを吹き飛ばす衝撃ははその体を揺らがし、その圧だけで部屋外まで吹き飛ばされそうになる。
「私の近接距離から逃げるつもりかね? 残念だが、このアメリカ全土が私の懐の内だよ! なんたって私は、大統領だからね!」
 爽やかにアメリカンジョークを放つドクター・オロチ。そのナイスガイぶりには無いはずの歯がきらりと光ってるようにさえ見えてくる。
 さすがにアメリカ全土は無かろうが、今のドクター・オロチの巨躯からすれば部屋のほとんどが近接距離というのはあながち冗談とも言い切れない。それに対しては各種兵装を天井に配置、さらに転移を繰り返すことで破壊されないように広範囲での攻撃を繰り返した。
「言っただろう、全てが我が懐の内!」
 それに対し、部屋そのものまで破壊せんばかりに拳を滅多打ちにするドクター・オロチ。立派な執務室が形無しだが、その無差別攻撃は意外なほどに効果的だ。
 物理でのぶつかり合いは不利。るこるはならばともう一つの力で、『概念崩壊域』を形成しドクター・オロチの概念を壊しにかかった。
「私の自己を壊そうというのかね? 残念だが私は大統領、私こそアメリカ! 私を崩したかったらアメリカ全てを崩壊させるつもりで来たまえ!」
 あまりにも強すぎるプレジデントの自我。この手の概念系への攻撃耐性はフィールド・オブ・ナイン随一と言えるかもしれない。だが、本人ならともかくこれは影響を受けただけのドクター・オロチであり、また大統領であるという強すぎるもの一つにて立つ以上それが揺らげばあとは何もない。
 本物なら最後まで抗しえたかもしれないそれは、しかしドクター・オロチから徐々に憑装を引き剥がしていく。
 豪快なファイトの合間を縫ってを削るように地道に、着実に崩壊を進めていくるこる。
「いい加減に……したまえムシュ!」
 一瞬ドクター・オロチの素が見えた。そこを逃さず兵装を一気に叩き込むるこる。それはプレジデントの裏に見えたドクター・オロチ本人の意思と肉体を叩き、その身に膝をつかせる。
「参ったな……憑装つけなおしだよ!」
 どちらのものか判然としない口調で言いながら、ドクター・オロチは崩れかけた筋肉を震わせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴乃宮・影華
ドーモ、お久しぶりねトビアス
……いや初めましてですね、そんなマッチョは記憶に無いです

というかホントに飛んだ!?
「凄いですね大統領魂……これなら、自重しなくてもいいか」
私を対象に指定UC起動
諸々の[リミッター解除]の上、[対空戦闘]の要領で『伍光』を照射し飛行を制限
『クッルスイーレ』に搭載した『ウルカヌスⅡ』『ラドン』で[自動射撃]しまくりです
ボクシングは[見切り]回避で何とか……保険で[オーラ防御]全開
後は『閃閃狂鋏』を飛ばし、ご立派な肉体を切り刻み[部位破壊]を試みます

「貴方そもそもアメリカ人じゃないから被選挙権も無いくせに、何がプレジデントですか」
リコールです、貴方はクビ!



 ドクター・オロチ。彼らしき存在が初めて確認されたのは3年前の銀河帝国攻略戦であった。だが、その時はまだ猟兵の辿り着いていなかった世界であるシルバーレインにおいてはそれよりずっと前、10年前には彼と思しき存在と激しい戦いを繰り広げた記録が残されていたのだ。
 そしてその時、彼は別の名を名乗っていた。
「ドーモ、お久しぶりねトビアス」
 忌々しいその名を、鈴乃宮・影華(暗がりにて咲く影の華・f35699)は呼んだ。
 それに対し、呼ばれた方は大きく手を広げて答える。
「おお、これは懐かしい名前を! そう、あれはたしか、私がまだ若手だったころの話!」
 こいつの生きてきた年数を考えれば10年ぽっち瞬き程度の時間にもならないだろうが、まさに若かりし日の自分を知る相手に出会ったかの如く懐かしむような声を出すドクター・オロチ。
「……いや初めましてですね、そんなマッチョは記憶に無いです」
 その自分の記憶にある相手とあまりに違う態度、そして肉体を前に、影華は早々に前言を撤回する。こんなもんと知り合いと思われる方が嫌だ。それは先の戦いから続く偽らざる感情であった。
「はっはっは、あれから色々あったからねぇ。おかげで私も立派なアメリカ大統領だよ。とうっ!」
 両手で力こぶを作ったマッスルポーズを決めたまま、ドクター・オロチはおもむろに空を飛んだ。その体からは大統領魂がジェットの如く吹きあがり、彼を天へと押し上げている。
「というかホントに飛んだ!?」
 まあ、相手は腐ってもあの異形であり今は上級オブリビオンなのだから飛ぶこと自体は不思議ではない。ただ、その原動力が大統領魂という訳の分からないものだということで影華にとってはそれは半信半疑の話であった。
「凄いですね大統領魂……これなら、自重しなくてもいいか」
 目の前で見せられてしまったのだから信じるも信じないもない。
「彼の力を以て世界が変わる――我等の進軍、最早止まらず」
 【黒燐憑依法(即席改造型)】、いつでも使える代わりに戦闘向きではなかった力を、極限まで高めることで技能強化効果まで付与した技。その為に代償としたのは、憑依相手との共存性と何より見た目か。
 影華の体を食い破るように黒い蟲が無数に生えてくる。その虫、黒燐蟲は影華の身体能力を限界を遠く置き去りにするところまで開放し、地上にいながらマッハで跳ぶマッチョを捕捉する光を剣から放たせる。
「おおっと、土がつくとは縁起が悪い! アメリカ大統領は世界最高の称号さ!」
 その重力を操作するに捕らわれぬよう、器用にその間を塗って跳ぶオロチ。もちろん飛んでいるだけではない。光の隙間を見切り、大統領魂を全開にして一直線に影華へ突っ込んできた。
「こないでください」
 それを『クッルスイーレ』に搭載した『ウルカヌスⅡ』『ラドン』……つまり戦車からガトリングガンと多連装ランチャーを滅多打ちにして叩き落とさんとする。無数の銃撃と砲撃は間違いなくドクター・オロチの体を捕らえるも、その大統領オーラを削り切るには至らない。
「こいつはアメリカ男子の嗜みだよ」
 隕石の如く着陸しクッルスイーレを押し返したのち、太い脚で華麗なステップを踏みながらインファイトをかけるオロチ。それをどうにか躱していくが、理論上躱せないとされる完璧なプロ級のジャブやそこからのボディブローなどについてはこちらもオーラを全開にして影華は防ぐ。
 このまま防戦一方となっては相手のパワーにすぐ押し切られてしまう。だから影華は、曰くつきの鋏『閃閃狂鋏』を飛ばしその今にもはち切れそうな服に収められた分厚い筋肉を切り裂いた。
「おおっと、凶器とはいけないね! ボクシングはハングリーであると同時にフェアでなければならない! アメリカンドリームはそこにこそ輝くのだよ!」
 その凶器攻撃を避難しながら、極太の腕でコークスクリューを繰り出すドクター・オロチ。最も今の彼はフェアプレイ精神で武器を使っていないのではなく、ただ下手な武器に頼るより己の肉体をぶつけた方がよほど強いからそうしているだけ。
 だからそれにはこちらも最大限取れる手を取って対抗するのが道理と、その長い腕の内側に咄嗟に入り込み刃により筋肉を切り落としにかかった。
「おおっ……まさか、私の肉体に!?」
 自慢の体が切り裂かれたことに驚愕するドクター・オロチ。過去の彼を知る者にとってはまさに悪夢のような冗談と化したその姿に、影華は強く冷たく言い放つ。
「貴方そもそもアメリカ人じゃないから被選挙権も無いくせに、何がプレジデントですか」
「……そう言えばそうだった!」
 今初めて気づいたと言わんばかりに大袈裟にのけ反るドクター・オロチ。正直本気かポーズかも判然としない仕草だが、今この場ではそんなものどうでもいい。
「リコールです、貴方はクビ!」
 色々な感情を込めた刃が、ドクター・オロチのぶっとい首に突き立てられた。
「大統領は国家への大きな背信を行うか、死なない限り任期中に退位することはないのだよ……!」
 そう言って立つドクター・オロチ。だが後者の理由での退場には、影華の刃により着実に近づいているのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
因みにトランプを使った手品が得意で、必要に応じて皆を楽しませます。
 あとはお任せします。宜しくお願いします。



 アポカリプスヘル、それは滅びた世界。だが、人々はそれさえ乗り越え、荒野の上に新しい世界を築こうとしている。アポカリプス・ランページの勝利は、まさにその輝かしい道の始まりと言うべきものでもあっただろう。
「楽しい世界が待っていたらいいなぁ」
 シフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)のその願いは、きっといつかこのアポカリプスヘルで叶うはずのもの。
 だから、せっかく始まったその道を阻む者は決して許しておくわけにはいかない。
「ならば来るといい、我がアメリカへ! 君の来訪を心から歓迎しよう!」
 ドクター・オロチが両手を広げ、分厚い胸を開いて歓迎の姿勢を取る。だが、元のプレジデントとて誇るのは全ての命の消えた滅びのアメリカ。ましてや目の前の相手はそれに人格を引きずられただけの全ての生命の敵、ドクター・オロチなのだ。彼の招きに応じる理由などない。
 シフォンは三叉の鉾『時詠みのトライデント』を構え、ドクター・オロチと向かい合う。それに対し、ドクター・オロチは両の拳を握りボクシングスタイルを取った。
 しばし向き合い、互いににらみ合う二人。
 そして一瞬後、ドクター・オロチが巨体を感じさせぬ軽やかな動きで素早く踏み込んだ。
「私の拳は、槍より長く、強い!」
 素早いジャブ、そしてフック。それをシフォンは槍で受けるが、その衝撃だけでも手は痺れ、そして巻き起こる衝撃波がその身を傷つけていく。
「ぐっ……!」
 相手の言葉は嘘ではない。武器を持ってやっと対等、下手をすればそれでも不利を取るかもしれないほどの圧倒的肉体から繰り出されるパンチが防御の上からでも命を削ってくる。
 さらに踏み込みながら体を沈め、大きく伸びあがりながらのアッパーがガードを砕き、三叉鉾をシフォンの手から弾き飛ばした。
「さあ、これがフィニッシュブローだ!」
 おおきく振りかぶってのストレートナックルでシフォンの命を刈り取らんとするドクター・オロチ。当たれば間違いなく体を貫く致命傷。四撃必殺のコンビネーションの最後がシフォンの体を粉砕する、正にその瞬間。
「白き蓮の花々よ、吹雪の様に舞いなさい!」
 宙を舞っていた鉾が、無数の白い蓮の花びらへと変わりドクター・オロチを取り巻いた。白に染まる視界を打ち砕かんとそのまま強引にパンチを繰り出すが、その拳は何も貫かない。
「これは手品じゃないよ」
 【白蓮の吹雪】がドクター・オロチの肉体を細かく刻み、少しずつその生命力を削っていく。
「おおっと、これは……だが大統領の拳は、ユーベルコードでなくとも強い!」
 ユーベルコードの乗らぬ単なる剛拳、それを持ってシフォンを砕こうと強引に踏み出すドクター・オロチ。それに対し、シフォンは合わせるように一歩下がる。
「あなたが……あの人が敵じゃなければ、いい国を作ってくれたかもしれないけど」
 生命を弄ぶ異形さえ侵食した、誰よりもアメリカを愛するナイスガイ。彼がフィールド・オブ・ナインでさえ……オブリビオンでさえなければここを本当に楽しい世界にしてくれたかもと思いながら、シフォンはドクター・オロチの分厚い胸を『姫君の小銃』で撃ちぬいたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
それでは、もう一手。
お見せ致しますねぇ。

『FAS』を障壁に使用、『FMS』のバリアを展開、守りを固めますねぇ。
そして『FMS』で守れる位置に残る『F●S』全てを展開、【讎堡】を発動し『帳』を纏いましょう。
『X=20』、不足するなら更に高い値を指定すれば、彼の攻撃も通りませんし、相応の大火力を用意可能ですぅ。
その分当たり辛くはなりますが、『帳』は「カウンター時に限り命中補正を相殺可能」ですので、相手の仕掛けて来るタイミングに合わせ、『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FDS』の[爆撃]、『FBS』の斬撃に『FGS』の重力弾、全てを[カウンター]に集中させ一気に叩きますねぇ。



 魔軍転生で表装したプレジデントの影響により、圧倒的な筋肉の塊と化したドクター・オロチの体。だがその底なしに見えるマッスルボディにも、ついに体力の限界が訪れ始めていた。
 その前に現れるのは、彼とはまた違った方向に恵まれた体を持つ者。
「おっと、これはこれは……」
 その相手を見てドクター・オロチは声を上げる。現れたのは夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。先に一度彼と交戦した猟兵であった。
「それでは、もう一手。お見せ致しますねぇ」
 るこるは経験豊富な猟兵だが、同じ場所で同じ相手と二度戦うことはまずないと言ってよかった。そのような彼女がここに再び現れたは、偏にドクター・オロチとの早期完全決着のため。
「そのガッツは買うが、大統領の任期は二度までというのがお約束だ。次はないと思いたまえ」
 それに対しファイティングポーズをとるドクター・オロチ。だが、既に自我を全て残したフルスロットル・ヴォーテックスを含めた全ての憑装を、るこるは倒している。恐らく次がないというのは自分に向けた言葉でもあるのだろう。
 そのドクター・オロチの前で、るこるは二種の兵装による防御をかける。それに対し、ドクター・オロチは大きく拳を引き、強烈なストレートを放った。
 それは兵装二枚を揺らがし、その守りさえ一撃で消し飛びかける。恐らく、もう次は耐えられまい。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その塁塞の理をここに」
 その次が来る前に、るこるは【豊乳女神の加護・讎堡】を発動した。守りの兵装が『帳』に覆われ、その厚さを一気に増していく。
「ほう、私の拳を真っ向から耐えようというのかね? 素晴らしい! そのチャレンジスピリットには敬意を表しよう! だが……」
 大きく拳を引くドクター・オロチ。
「何をもってしても大統領の道を防ぐことはできん!」
 さらに力を籠め、近接範囲内の全てを吹き飛ばさんばかり勢いでパンチが放たれた。
 その拳が、厚くなった防御さえ貫いた。否、そうではない。
「なら、こちらもぉ」
 防ぐことは出来ぬ、その言葉を肯定するかのように、防御兵装は自ら道を開けた。その後ろから代わって出てくるのは、ありったけに並べられた攻撃用兵装。
 『帳』はただ防御を上げるだけではない。命中、回避、移動を激減させる代わりに、それと同等の倍率で攻撃と防御を強化するもの。そしてカウンター時に乗せることで、その時に限り命中不足を相殺できるもの。
 もちろんユーベルコードの代償をただで踏み倒せるわけがない。カウンターを取る以上防御は捨てる姿勢を取らざるを得ないし、あくまで『相殺』なのだから、それを埋めるため守りの帳は消え失せる。
 だが、それらと引き換えに施した強化は圧巻の20倍。奇しくもドクター・オロチの……プレジデントの拳が相手を吹き飛ばす距離と同じ数字である。
 伸び来る長く太い腕とすれ違い、全ての兵装とその攻撃が、ドクター・オロチに向けて叩き込まれた。
 大統領の拳が豊かな体に届くまで、あと数ミリ。そこまで行った瞬間に、砲撃、爆撃、斬撃、重力波、その全てが分厚い筋肉の上に乗る剥き出しの脳髄にすべてぶつけられた。
 ボクシングの花形にして最大のギャンブル、クロスカウンター。それが今、確かにアメリカの象徴を宿した脳髄に届けられた。
 ぐちゃりと脳が半分以上潰れ、ドクター・オロチの太い腕が力なく落ちていく。
 そのまま前のめりに倒れ込むドクター・オロチ。その体が地面に伏した時、雄々しく逞しい肉体は小さな子供のようなものへと変わっていた。
「あ、あ、あ……い……いやだ……ボクは……ボクは異形だぞ……宇宙の本当の……命ごときに……!」
 小さな体を引きずり、逃げようとするドクター・オロチ。最早その姿にプレジデントの如き威容や誇りなど欠片も残ってはいない。
 これこそが本当のドクター・オロチ。これを滅するため、るこるは数多の技を揃え、何度となくこのメンフィス灼熱草原、影の城へと訪れたのだ。
 最後に言葉なく脳波の指示を受け、兵装たちが動く。それらは一片の躊躇も慈悲もなく、ドクター・オロチの体を跡形もなく破壊しつくした。
 はるか昔から幾度となく繰り返された光景。だが、それはもう終わり。るこるの、そして数多の猟兵の活躍により、『コンクリ塊』はついに猟兵の手に落ちた。彼にはもう、『次』はないのだ。
 今度こそ本当に『明日』が始まることを願い、るこるはメンフィス灼熱草原を後にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年05月03日
宿敵 『『征服者』アダムス』 を撃破!


挿絵イラスト