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転移性チキソトロピー

#アポカリプスヘル #戦後 #ドクター・オロチ #フルスロットル・ヴォーテックス #風魔小太郎 #魔軍転生

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●死渦と終点
 アポカリプスヘルにおいてメンフィス灼熱草原は、アメリカのテネシー州の最端。
 綿花の集散地として知られる大都市の面影はない。
 今やそこは地下を含めた全域が消えることのない『黒い炎』に覆われた死の草原である。『黒い炎』は杖に揺らめき、幻影のようであり陽炎のようでも在った。
 だが、その中心にあるのは漆黒の『影の城』である。
「ムシュ~ここまでやられちゃうとは……」

 その『影の城』にありて『ドクター・オロチ』は、異形たる姿のままムシュムシュと口癖のようでもあり語尾のような言葉を呟く。
 彼にとって誤算はいくつかあった。
 一つは『アポカリプス・ランページ』においてオブリビオン・フォーミュラが6体も撃破されたことである。
『フィールド・オブ・ナイン』と呼ばれた九柱のオブリビオン・フォーミュラたち。
 もう一つは、蘇っていない残る三体の探索を『風魔小太郎』にまかせているが、それも思わしくない。そして、これが最たる誤算であるが、猟兵たちがすでに己の居城である『影の城』を補足したことである。

「しょうがない。『風魔小太郎』にはとっておきの『百面鬼の術』を使ってもらうとして、ボクも『魔軍転生』で『フィールド・オブ・ナイン』を憑装しておこう!」
 それはかつてサムライエンパイアのオブリビオン・フォーミュラ、第六天魔王『織田信長』の秘術であった。
 己に憑依させたオブリビオン・フォーミュラの力を自在にたぐり、『ドクター・オロチ』は己の自我を完全に保持したまま、オブリビオン・ストームで出来た肉体を髑髏の鎧で覆う。

「ムシュシュ~、『フルスロットル・ヴォーテックス』の憑装に成功! ボクこの術使うと性格引っ張られちゃうんだけど、『フルスロットル・ヴォーテックス』には引っ張られないんだよね~」
 黒き竜巻そのものとなった肉体を見下ろして『ドクター・オロチ』は頷く。
 そして『風魔小太郎』に告げるのだ。その身に宿した『V12エンジン』の力をもって、『百面鬼の術』を使えば、突進攻撃の威力と速度を超強化する赤熱連続攻撃(ランページ)モードに十全以上に使うことができる。
『キルドーザーズ』とは、まさに『V12エンジン』を扱うために生まれたかのようなオブリビオンたちであった。

「ムシュシュ~、とっておきの『百面鬼の術』と『魔軍転生』。この二つのエゲツないコンボってやつだね。大人気ないって言われるかな? でもいいや、ボクだって必死なんだもん!」
 そう、最後まで『フィールド・オブ・ナイン』の探索とスカウトは諦めたくはない。
 そして、ここには『ドクター・オロチ』の本体を持ってきているのだ。
『影の城』には今、これまで『ドクター・オロチ』が何度でも蘇っていた原因と見られる『コンクリ塊』が存在している。

『ドクター・オロチ』にとっても不退転の戦いとなるだろう。
「此処で負けるにしたって、せめて『フィールド・オブ・ナイン』の2体は連れ帰りたいよね!」
 彼にとって最善は戦いを引き伸ばすこと。
 最大限までこのアポカリプスヘルに留まり、多くを持ち帰ること。
 それらを為すために『風魔小太郎』をスカウトしたのだ。圧倒的な数と『V12エンジン』。赤熱する無数のエンジンが唸りを上げ、『影の城』に迫る猟兵達を迎え撃つのだった――。

●追撃
 グリモアベースへと集まってきた猟兵達に頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。これまでアポカリプスヘルに侵略してきた『ドクター・オロチ』との戦いは、ついに彼の居城を突き止めるまでに至りました」
『ドクター・オロチ』はこれまで、アポカリプスヘルにおいて『残り三体のフィールド・オブ・ナインの探索』と『風魔小太郎を利用した彼等の力のダッシュ』を目的として動いていた。
 しかし、猟兵たちによってメンフィス灼熱草原にある居城である『影の城』を補足されたことにより、『ドクター・オロチ』はそれを諦め、軍勢をまとめてどこかに撤退しようとしているのだ。

「追撃です。彼はシルバーレインの世界の皆さんには浅からぬ因縁があると聞き及んでおります。ですが、私達にとっても彼の存在は看過することは出来ない存在です」
 未だ残る三体の『フィールド・オブ・ナイン』の存在を『ドクター・オロチ』はつかめていない。
 ならば、これはロスタイムだ。
 無論、彼にとっての、だ。
「『メンフィス灼熱草原』の中心部にある、漆黒の『影の城』へと乗り込み、彼を打倒しましょう」
 この戦いは速度こそ重要視される。

『ドクター・オロチ』を完全に撃破するためには短期決戦が望ましい。
「ですが、敵も必死です。『風魔小太郎』による『百面鬼の術』によって無数の『V12エンジン』を搭載した『キルドーザーズ』たちが皆さんを待ち受けています」
『風魔小太郎』が軍勢として化けた『キルドーザーズ』たちは元々、突進能力に長けている。
 ここに『V12エンジン』の『突進攻撃の威力と速度を超強化する超赤熱連続攻撃モードに変身する』能力が加われば、言うまでもなく脅威となるだろう。

 さらに『ドクター・オロチ』は『魔軍転生の術』でもって『フルスロットル・ヴォーテックス』を憑装している。
「『髑髏の鎧とオブリビオン・ストーム』で出来た肉体』を持っています。他のオブリビオン・フォーミュラを憑装させた状態とは違うのは『完全に自我を保持』しているということです」
 狡猾であり、これまで数々の暗躍を見せてきた異形たる『ドクター・オロチ』。
 その自我が残った状態でオブリビオン・ストームを自在に扱う力は危険そのものであろう。
 片時も気が抜けぬ戦いの連続。
 その激しさは言うまでもない。猟兵たちにナイアルテは頭を下げ、転移の準備を行う。

 アポカリプスヘルは文明の荒廃した世界である。
 黒き竜巻によってすべてを失っても尚、人々は懸命に生きている。再び、オブリビオンの脅威に彼等が怯えることのないように猟兵たちは戦わなければならない。
 如何に異形の力を手繰る存在であろうとも許しておけない。ナイアルテは爛々と輝く瞳に期待を乗せ、猟兵達を見送るのであった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアポカリプスヘルにおいて『ドクター・オロチ』の目論見を打ち砕く『最終決戦シナリオ』になります。
 何処かへと撤退しようとしている『ドクター・オロチ』を打倒し、禍根を断ち切りましょう。

 ※このシナリオは二章で構成されたシナリオになります。

●第一章
 集団戦です。
 風魔忍法奥義『百面鬼の術』によって無数の『キルドーザーズ』に化けた『風魔小太郎』との決戦になります。
『風魔小太郎』の化けた『キルドーザーズ』は全て『V12エンジン』――『突進攻撃の威力と速度を超強化する超赤熱連続攻撃モードに変身する』能力を有しています。
 この『キルドーザーズ』の群れを倒せば、『ドクター・オロチ』の居城である『影の城』へと乗り込む事ができます。

●第二章
 ボス戦です。
『ドクター・オロチ』は、『魔軍転生』の術で『フルスロットル・ヴォーテックス』を憑装した状態で、『影の城』にて待ち受けています。
 彼は完全に自我を保持した状態です。
 また『髑髏の鎧とオブリビオン・ストーム出できた肉体』を持っています。

 そして、重要なことですが、この最終決戦シナリオが、成功本数が20本に達した日(達成日)で結果が変わります。

 5月1日午前中まで:ドクター・オロチを完全撃破し、影の城からオロチが何度でも蘇っていた原因とみられる「コンクリ塊」を回収、猟兵達で保存します。
 5月15日午前中まで:ドクター・オロチを撃退し、何も持ち帰らせません。
 それ以降:ドクター・オロチは、すんでのところで残る3体のフィールド・オブ・ナインを発見します!そのうち2体を連れ帰り、1体をアポカリプスヘルに残していきます。

 このように結果が変わります。

 それでは、アポカリプスヘルにおける『ドクター・オロチ』の目論見を打破し、世界に再び平穏を取り戻さんとする皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『キルドーザーズ』

POW   :    キルドーザーズ鉄の掟『遅ェ奴はクソ!』
【敵に向けてチキンレースのような集団突進】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD   :    キルドーザーズ鉄の掟『雑魚は死ね!』
自身の【モヒカン】が輝く間、【同士討ちを全く厭わぬ突進】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    キルドーザーズ鉄の掟『敵は轢き殺せ!』
【ドーザーブレードを振り回しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【雄叫びを上げながら無秩序に走り回る仲間】の協力があれば威力が倍増する。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 百面鬼『風魔小太郎』の髑髏面の眼窩が煌めく。
 それは風魔忍法奥義『百面鬼の術』。かの『風魔小太郎』の異名にして奥義。それは無数にある髑髏面を展開することによって生み出される無数の分身。
 さらに髑髏面が次々と姿を変えていく。
 その姿は装甲ドーザーを下半身に接合した異形なるレイダー。『キルドーザーズ』。
 体に無数に備えられた『V12エンジン』が唸りを上げ、振動と轟音をけたたましく気炎を上げるようであった。
「これぞ風魔忍法奥義!『百面鬼の術』である!『V12エンジン』の唸り声を聞くが良い。もはや忍びの戦いはするまでもない。蹂躙し、粉砕し、あらゆるもの全てを鏖殺するのみ」

 赤熱するエキゾーストパイプ。
『メンフィス灼熱草原』を疾駆する『キルドーザーズ』たち。
 その姿は『V12エンジン』の出力の凄まじさを物語るものであったし、また『キルドーザーズ』の下半身に接合されたキャタピラがあらゆるものを走破することをしめしていた。
「『ドクター・オロチ』の座す『影の城』へは行かせはせぬ。猟兵共よ、これより先へは一歩たりとて進めぬと知れ――!」
月夜・玲
やっと尻尾掴んだと思ったら、最後の悪足掻き…かな
早々にケリを付けてしまって、コンクリ塊とやらを回収したい所だね
まずは風魔小太郎だけど…面影無さ過ぎて真面目に誰これなんだけど…
ま、でも忍ぶのをやめた忍びなんかにやられてはあげないよ
ボスだった頃は兎も角、前座扱いに落ちたなら前座らしく蹴散らされてよね


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
V12エンジンで突進力が上がってるなら、そもそも同じ土俵で戦ってなんかあげないよ
【Code:U.G】起動
飛翔し上空より自重で潰れる程の重力を戦場に放射
放射し足が止まったキルドーザーズ目掛けて加速し両剣で突撃して『なぎ払い』トドメを刺していこう



『ドクター・オロチ』の名が確認されたのは猟兵たちにとって初めての大規模な戦い、即ち、『銀河帝国攻略戦』であった。
 いかなる思惑があったのかはわからない。
 けれど、此度のアポカリプスヘルでの暗躍もそうであるように何処かへと何かを持ち帰ろうとしていることだけは、これまでに共通していることであった。
 そもそもオブリビオン・フォーミュラが9体も存在していること事態が、アポカリプスヘルという世界の異常さを示すには十分であった。

 猟兵たちはこれまで6体のオブリビオン・フォーミュラを打倒している。
 しかし、残る3体のオブリビオン・フォーミュラは眠り、その所在も確認されていない。
「だが、何れは発見できること。信義に掛けて、その時間を稼ぐのみ」
『V12エンジン』が唸りを上げ、『メンフィス灼熱草原』に響き渡る。赤熱するエキゾーストパイプは、『風魔小太郎』の『百面鬼の術』によって変貌を遂げた『キルドーザーズ』たちの装甲ドーザーの力を何倍にまでも高めている。
『黒い炎』が噴出する草原を走り抜ける姿は、重戦車そのものであった。

「やっと尻尾掴んだと思ったら、最後の悪あがき……かな」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は模造神器を二振り抜き払う。
 その蒼き刀身の輝きを持って、迫る『キルドーザーズ』たちを見据える。『ドクター・オロチ』は因縁浅からぬ存在である。
 この戦いが長引けば、『ドクター・オロチ』の本体であろう『コンクリ塊』を確保することができない。
 それどころか、このアポカリプスヘルで『ドクター・オロチ』が集めた手勢や、残る『フィールド・オブ・ナイン』の二柱すら持ち帰られてしまう。

「だったら、早々にケリを付けてしまって、『コンクリ塊』とやらを回収したいところだね」
「それをさせぬと言った! 猟兵!!」
 恐るべきは『百面鬼の術』である。
『風魔小太郎』は単体でありながら、群となることが可能であるのだ。しかも、このアポカリプスヘルに置いて『V12エンジン』の力を十全に扱うことができるのに適したレイダーの姿に変貌する。
 それが『キルドーザーズ』である。

 凄まじい突撃能力を前に玲は笑う。
「面影なさすぎて真面目に誰これなんだけど……」
「ぬかせ! このまま轢き潰してくれる!」
「ま、でも偲ぶのをやめた忍びなんかにやられてはあげないよ」
 かつて『エンパイアウォー』の折には強敵として数えられた『風魔小太郎』。しかし、今は玲や力を付けた猟兵たちにとっては前座扱いと同義。
 ならば、玲はその瞳をユーベルコードに輝かせ告げるのだ。

 その背に負うのが『影の城』という『ドクター・オロチ』の居城であるというのならば、目の前に迫る大群の如き『キルドーザーズ』を蹴散らしてこそ突き進む。
「前座らしく蹴散らされてよね――重力制御開始。地の理は今此処に」
 Code:U.G(コード・アンロック・グラビティ)。
 それは模造神器を手にした玲が発露する重力制御権。
 戦場に溢れるのは重力。
 如何に『V12エンジン』を搭載し、突撃能力と速度を超強化されているのだとしても、自重でもって圧し潰すほどの重力を前には突進能力も型なしである。

「ぐうううっ!? 動きを止められる……! これしきの重力で……!」
「そもそも同じ土俵で戦ってなんかあげないよ」
 玲の体はこの重力増す戦場にあっても、飛翔する。重力を制御する形態へと移行した彼女を高重力に対応できない地を這う『キルドーザーズ』は対処できない。
 自重で動けなくなった『キルドーザーズ』へと玲は一気に飛翔し、その蒼き刀身を煌めかせる。
 剣閃の輝き、蒼き残光となって迸り、斬撃が『キルドーザーズ』たちの体を切り裂き、薙ぎ払っていく。

「だがッ! 数こそ我の本領! 百面鬼の名が伊達ではないことを教えてくれるわ!!」
 煌めく『風魔小太郎』の風魔忍法奥義。
 膨れ上がっていく『キルドーザーズ』たち。そのどれもが『風魔小太郎』。だが、それでも玲は重力を制御せしめる恐るべき模造神器の力によって戦場を自在に飛ぶ。
「何言ってくれちゃってるの。格が前座扱いになった時点で……もっと言えば、再生怪人扱いになったっていうんならさ」
 今の己たちの敵ではないと、振るう斬撃波が『キルドーザーズ』たちを吹き飛ばすのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
前座に時間など掛けてやれん

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

破界で掃討
対象は交戦域のオブリビオン及びその全行動
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

原理を廻し高速詠唱を無限に加速、循環
瞬刻で天を覆う数の魔弾を生成、敵勢へ向け斉射
更に射出の瞬間を無限循環し戦域を魔弾の軌跡で埋め尽くす

俺を相手に数は助けにならんぞ
火力と物量で圧殺する

※アドリブ歓迎



 オブリビオンにしてレイダーである『キルドーザーズ』たちは、『百面鬼の術』によって『風魔小太郎』が生み出した大群である。
 その体にいくつも搭載された『V12エンジン』は赤熱化し、凄まじい突進能力と超加速を実現させた。
 下半身に接合された装甲ドーザーは、その力を十全以上に発揮させる。
 ともすれば、冗談めいた姿。
 けれど、この『黒い炎』の満ちる『メンフィス灼熱草原』においては、あらゆるものを走破し蹂躙する力となる。
「風魔忍法奥義たる『百面鬼の術』と『V12エンジン』が組み合わされば、猟兵たちと言えど、容易に突破できまい!」

 そう、『風魔小太郎』にとって、これは時間稼ぎでしかない。
『ドクター・オロチ』の居城である『影の城』が猟兵達によって補足されている時点で、敗北は必定。
 けれど、時間を稼ぐことによって『ドクター・オロチ』の本体と目されている『コンクリ塊』や、これまでアポカリプスヘルの探索によって得た手勢、果ては眠る『フィールド・オブ・ナイン』の二柱すらも『ドクター・オロチ』は持ち帰ることができるだろう。
 それが『風魔小太郎』にとっての勝利に他ならない。
 例え、己が前座に堕したのだとしても、彼の信義が敗れることはない。

「前座に時間など掛けてはやれん」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)は蒼き燐光と共に戦場に降り立つ。
『黒い炎』が満ちる『メンフィス灼熱草原』は異様なる光景であった。
 元の綿花が満ちる草原は何処にもない。この『黒い炎』は恐るべきことに地下にまで炎を伸ばしている。決して消えることのない『黒い炎』の由来がいかなるものであるかを猟兵たちはまだ知らない。

 けれど、十一の原理を無限に回しアルトリウスは、その迫りくる『キルドーザーズ』たちの振り回すドーザーブレードを躱す。
「無駄だ。原理によって否定されている。尚迫るのならば」
 無限加速によって躱し、世界の外側から汲み上げる魔力でもって工程を編み込んでいく。
 煌めくユーベルコードの輝きが世界に満ちる。
『黒い炎』を照らす蒼い輝きは、破界(ハカイ)。
 障害を無視し万象を根源から消去する、影響を受けぬ創世の権能が顕す蒼光の魔弾が満ちる。
「『V12エンジン』の唸りを聞くが良い! かの『フルスロットル・ヴォーテックス』の力! この突進を止めることなどできはしまい!」
 装甲ドーザーと組み合わされた力は、異様なる突進能力を持っている。
 けれど、アルトリウスは灼熱草原に立ち、見据える。

「気止まりだ」
 その物量は、無限に加速し循環する魔力より編み上げられたもの。
 天を覆う数の魔弾は、如何に地を蹂躙する力を持つ『キルドーザーズ』であっても無関係なものであった。
 障害を踏破する力を持つ『キルドーザーズ』。赤熱するエキゾーストパイプから排気音が響き渡る。

 けれど、それらがアルトリウスにまで届くことはなかった。
「俺が相手に数は助けにならんぞ」
 何故ならば、火力と物量で圧殺するからだ。
 煌めく蒼い魔弾が空より降り落ちる。まるで雨のように、地を濡らすかのように、あまねく全てを貫くように魔弾が『キルドーザーズ』たちを上空より討ち滅ぼす。
 疾走る、疾走る、走り抜ける。
 そのためだけに生み出された『キルドーザーズ』たちであっても、空より飛来する雨を躱すことができぬように、蒼の魔弾は尽くを滅ぼし、その進撃を押し止める。

「ぬぅぅぅ! だが、このままで終われぬ! かくなる上は!」
『風魔小太郎』は猟兵達を押し止めることができぬと知れば、さらに『百面鬼の術』でもって数を増やす。
 大波のように『影の城』へと迫る猟兵達を阻むように『キルドーザーズ』たちを展開する。
 全てが『風魔小太郎』であるがゆえに、彼等は一人として残るのならば、次々と『百面鬼の術』で持って増えていく。
 さらに『キルドーザーズ』たちの放つ排気音がけたたましく鳴り響くのだ。
「それも全て無駄だ」
 アルトリウスは大波のように迫る『キルドーザーズ』を討ち滅ぼしながら、悠然と足を踏み出すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリー・マイヤー
オロチとの最終決戦ですか。
侵略だとか正直迷惑ですし、ここできっちり倒しておきたいところですね。
目的達成されたりしたら、何となく悔しいですし。

さて、V12エンジンで突進力が激ヤバなキルドーザーズでしたっけ。
轢かれたらそこそこ死ねそうですね。いやー怖い怖い。
怖いので【念動レビテーション】で移動を封じます。
浮いてしまえば、突進自体出来ないはずですからね。
…もしかしてエンジンから何か噴射して動けたりしますかね?
その場合は念動力で角度を変えて、私に当たらないようにしましょう。

そうして安全を確保したら、そのまま念動力で首を絞めたり捻ったりです。
1体1体丁寧に処理していきましょう。



『ドクター・オロチ』は何度でも復活する。
 これまで猟兵たちとの戦いが始まって以来、『ドクター・オロチ』はいかなる手段を用いてか復活しつづけていた。
『銀河帝国攻略戦』を皮切りに『帝竜戦役』にも姿を表した。
 そして『フィールド・オブ・ナイン』との戦いである『アポカリプス・ランページ』が終結したアポカリプスヘルにもまた『ドクター・オロチ』は姿を表し、残る三体のオブリビオン・フォーミュラの探索と勧誘を始めた。
 それは世界の侵略と言って差し支えのないものであった。
 だからこそ、エリー・マイヤー(被造物・f29376)は、それを迷惑だと言ったのだ。
「『ドクター・オロチ』との最終決戦ですか。ここできっちり倒しておきたい所ですね」
 すでに『ドクター・オロチ』の居城は場所は割れている。

『メンフィス灼熱草原』の中心。
『黒い炎』が燃え続け、さらには配下である『風魔小太郎』の『百面鬼の術』によって大群となった『キルドーザーズ』たち。
 その体に生えた『V12エンジン』のエキゾーストパイプが赤熱し、凄まじい速度で草原を疾駆している。
「例え倒されるのだとしても、時間だけは稼がせてもらおう! 此度の戦において必要なのは、お主ら猟兵の撃破ではない。時だ!」
『風魔小太郎』が変じた『キルドーザーズ』たちは下半身に接合された装甲ドーザーの圧倒的な走破能力と『V12エンジン』の突進と加速能力を合わせて、あらゆるものを踏み潰し蹂躙する力を得ている。

 エリーにとって勝ち負けは大した問題ではない。けれど、なんとなく。そう、なんとなく『ドクター・オロチ』の目的が達成されることは悔しいと感じるのだ。
 だからこそ、彼女の瞳はユーベルコードに輝く。
「確かに、その激ヤバな突進能力は怖いですね。轢かれたらそこそこ死ねそうですね。いやー怖い怖い」
 エリーの言葉の端々からは、とてもそう感じられない。
 けれど、彼女の瞳がユーベルコードに輝き、その念動力を発露する。
 周囲の引力が念動力でもって相殺された状態。
 念動レビテーション(サイ・レビテーション)によって、彼女に突撃する『キルドーザーズ』たちを浮かせるのだ。

「――ッ!? キャタピラが空回りしている!? どういうことだ!?」
『キルドーザーズ』に変じた『風魔小太郎』が呻く。
 それもそうだろう。彼等の強みはキャタピラと地面が接している摩擦によって得られる突進力と加速である。
 地面に設接地していないキャタピラは空回りし、それ以上進まない。
 残るのは、宙に浮かぶ巨体のみである。
「浮いてしまえば、突進事態できないはずですからね。いやー、よかったよかった」
 これで轢き殺されずに済むと、エリーは加えた煙草から紫煙をくゆらせながら、首をかしげる。

「なんのこれしき! なんのための『V12エンジン』か!」
 赤熱するエキゾーストパイプ。
 そこから発せられる黒煙が排気量の分だけ宙に浮いた巨体を強引に突き動かす。でたらめな出力をはじき出す『V12エンジン』でなければ為し得ぬことであった。
 荒唐無稽そのものな試みであったが、規格外の出力を持って、空中よりエリーを襲う『キルドーザーズ』たちの巨体。
「ああ、ですが……宙に浮いているということは、推進力を得ても少しの力で容易に咆哮を転換できるということですよ」
 エリーは落ち着き払っていた。

 宙を舞うようにして突進して切る『キルドーザーズ』たちを念動力でもって容易く方向転換させ、己から逸して大地へと激突させる。
 赤熱していた『V12エンジン』は大地に叩きつけられた衝撃で爆発し、爆炎を上げる。
 接合された装甲ドーザーが爆発しても上半身の『キルドーザーズ』はまだ健在である。
 だが、彼等は見ただろう。
 這いつくばるようにした彼等の眼前に立つ、紫煙くゆらすエリーの姿を。
 その念動力は尋常ならざる力。
「これで私の安全は確保されました。なら、後は――」
 言うまでもない。

 彼女の念動力は『キルドーザーズ』に変じた『風魔小太郎』の首を絞め、捻り、丁寧に処理するようにトドメを指していく。

「無重量体験ツアーの最後はオブリビオンとしての消滅。正直迷惑していたところです。躯の海よりまたにじみ出ることのないように」
 念入りにとエリーは爆炎上がる中、ユーベルコードの輝き宿す瞳を迫りく『キルドーザーズ』に向け、『ドクター・オロチ』の座す『影の城』へと一歩踏み出すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OKです

『多数の敵性勢力を確認』

V12エンジン搭載型か。
その加速が仇となる……!

【プシュパダヌス】
リミッター解除、攻撃領域広範囲化、プシュパダヌス斉射!

愛神の矢で、複数体を同士討ちさせ、隊列を崩す、V 12エンジンの速度で威力が上がっている、損害は必至。

損傷したものから範囲攻撃のラプチャーズグレネードの爆撃、機構剣タービュランスの暴風と衝撃波、より多くの敵を巻きこんで撃破する。

ドクターオロチ、この地に再び災厄を齎すモノ。
この崩壊した世界は、死や災いの埋蔵地ではないという事、お前の誤算は、この地に息づく未来を信じる者の心だと、嵐の剣を以って教えてやろう。



 アポカリプスヘルに『フィールド・オブ・ナイン』は九柱。
 残すは三柱。
 その脅威は言うまでもない。一体一体がオブリビオン・フォーミュラである彼等は、ただの一体であっても世界を滅ぼしうる。
『ドクター・オロチ』は、その三体を探索し、勧誘し、何処かへと連れ帰ろうとしている。この地に満ちていたレイダーたちもそうだ。
 彼等を束ね、軍勢として『ドクター・オロチ』は撤退しようとしている。

「時を稼ぐ。ただそれだけのための捨て石となろうとも、これこそが信義に悖るものなど何一つ無い『風魔小太郎』の忠義なれば!」
『風魔小太郎』は『百面鬼の術』によって『キルドーザーズ』へと姿を変貌させ、大群へと増えていく。
 恐るべき力である。
 単体でありながら多数へと為さしめる力。
 さらには『V12エンジン』を搭載することによって『キルドーザーズ』は下半身に接合された装甲ドーザーの速度は爆発的にまで引き上げている。

『メンフィス灼熱草原』にありて、それは『黒い炎』の揺れる最中を疾駆する暴虐の奔流のようでもあった。
 だが、その凄まじき疾駆を前にしても暴風はただ、そこに在るのだ。
『多数の敵性勢力を確認』
 それはスーツから響く声であった。
 ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)という剣は再び荒野に降り立つ。

 救世の闘神は、その瞳を漲るユーベルコードの輝きの発露とともに戦場を疾駆する『キルドーザーズ』たちをねめつける。
「今、穿つは心の愛憎、神心をも乱す神矢の一撃!」
 放つは、愛神の矢雨(プシュパダヌス)。
 リミッター解除によって放たれる神矢は降り注ぐ雨のように『キルドーザーズ』たちへと打ち込まれる。
 しかし、それは『キルドーザーズ』たちを止めることはできなかった。
 凄まじい突進能力と加速を得た『キルドーザーズ』たちが矢の一撃で止まるわけもなかった。

「無駄無駄! たかが矢程度で止められるものか――!」
「ああ、只の矢であるとならばな……『V12エンジン』搭載型。その加速が仇となる……!」
 打ち込まれた矢は確かに『キルドーザーズ』たちを止めるに値しなかった。
 けれど、その矢は思考を停止させる神矢である。
 ルドラが狙ったのは、矢による撃滅ではない。思考を停止された『キルドーザーズ』たちは加速と突進のままに同士討ちを始める。
 崩れた隊列はドミノ倒しのようにルドラに至るまえに瓦解sていくのだ。

「――……!?!?」
 混乱が『キルドーザーズ』たちの間に広がっていく。
 だが、それらをまたたく間にグレネードの爆撃と、暴風を齎す機構剣が齎す衝撃波が吹き飛ばしていく。
「『ドクター・オロチ』、この地に再び災厄を齎すモノ」
 ルドラが再び、この地に立つのはたった一つの理由ゆえ。
 救世たる力を持つのならば、その使命は唯一。人々を救うという使命のために蘇ったのだ。

 オブリビオンが災厄をもたらし、人々の営みを脅かすというのならば。
「この崩壊した世界は、死や災の埋葬地ではないということ」
 漲る輝きは瞳に光をたたえる。
 今もなお、人々が誰も生きることを諦めないというのならば、己自身が生きることをやめてはならない。
 振るう暴風は、あの爽やかささえ感じさせるようなそよ風が膨れ上がったもの。
「お前の誤算は、この地に息づく未来を信じる者の心だと、嵐の剣を以って教えてやろう」
 生きることはやめられない。
 全うするまで、何一つ止められない。ルドラの放つ暴風は今を生きる人々の営みに降りかかる災いを振り払うことにこそ振るわれる。

『キルドーザーズ』たちが激突し、自滅していく中を駆け抜けていく衝撃波。
 爆炎が立ち上る中をルドラは『影の城』へと疾走る。
 何一つ持ち帰ることはできないと示すように、救世の剣はあらゆる目論見を断ち切るのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴェルンド・ラスリス
鬱陶しいのがわらわらと…急いでいる身としては、面倒だが突破させて貰うぞ。


忍が頭数だけ揃えて突撃とは、無策過ぎないか?

蒼炎を燻らせながらUCを発動させ、物質化させた獄炎の巣を立体的に張り巡らせる。
それだけの巨躯、それだけの速度、カウンター取らせてもらうぜ。
このまま加速して、獄炎の巣に突撃してきな!


そのまま、『炎巣』を足場にして立体機動をしながら『黒焔』で狩っていこう

蜘蛛の巣に捕らわれた蝶…と言うにはむさ苦しい見た目だな

※アドリブ共闘歓迎



 猟兵たちの介入は『ドクター・オロチ』にとっては想定できたものであった。
 ここからは時間との勝負である。
 彼等の目的は多くを持ち帰ることだ。そしてアポカリプスヘルに残された『フィールド・オブ・ナイン』は残す所、三柱。
 よしんば、多く持ち帰ることができたとしても二柱。
 そうでなくても、多くの手勢を『ドクター・オロチ』は持ち帰り、撤退したいと思うだろう。
「それを為すためには、この信義によって己が捨て駒となること!」
『風魔小太郎』が『百面鬼の術』によって変貌し、分裂した『キルドーザーズ』たちが『V12エンジン』のエキゾーストパイプが赤熱し、爆音を奏でながら『メンフィス灼熱草原』を疾駆する。

 凄まじい突進能力と加速を得た『キルドーザーズ』たちの下半身に接合された装甲ドーザーは激突すれば只ではすまないだろう。
 しかし、その数は大波の如き大群である。
 この広い『メンフィス灼熱草原』を埋め尽くすほどである。
「鬱陶しいのがわらわらと……急いでいる身としては、面倒だが突破させて貰うぞ」
 ヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)は『キルドーザーズ』たちが大挙として己に突撃してくる姿を見て呟く。

「忍びが頭数だけ揃えて突撃とは、無策すぎないか?」
「否! これこそが策よ! これより先、『影の城』へとお前たちが到達する時間を遅らせればそれでよい!『ドクター・オロチ』に必要なのは十分な時のみ! ならば、信義によってこれを手助けするのみ!」
 そう、時間だ。
 時間は猟兵たちの敵だ。ここで手こずれば手こずるほどに『ドクター・オロチ』を喜ばせるだけだ。

 ならばとヴェルンドは、その身より発せられる蒼炎を燻らせながら、その瞳にユーベルコードの輝きを発露させる。
「そうかよ、ならよ――捉えた!」
 全身から蜘蛛の巣状の地獄の炎が放たれる。
 それは物質化された獄炎の巣であった。如何に『キルドーザーズ』たちが『V12エンジン』によって突進力と加速を得ていたとしても、張り巡らされた獄炎の巣は躱すことはできない。

 けれど、突進能力によって獄炎の巣は突破されるかもしれない。
「その突進能力は厄介だがな」
 何も獄炎の巣は敵を捉えるだけではない。ヴェルンドは炎巣(エンソウ)を足場にし、三次元の挙動を見せる。
 ただ、直線的に加速し突進するしかない『キルドーザーズ』たちはヴェルンドを捉えることは出来ない。
 彼の背に負った大剣が発火する。
 その銘を『黒焔』。

 ヴェルンドの身を焦がすような復讐心が着火する瞬間に赤熱し、『キルドーザーズ』たちを溶断せしめる。
「蜘蛛の巣に捕らわれた蝶……というにはむさ苦しい見た目だな」
 一刀の元に『キルドーザーズ』が両断される。
 爆炎が『メンフィス灼熱草原』に立ち上る。しかし、さらに迫る『キルドーザーズ』たちを次々とヴェルンドは蜘蛛の巣に捉えていく。
 炎の糸を蹴り、宙を舞う。
 赤熱する刀身が弧を描く。その度に『キルドーザーズ』たちの体が引き裂かれ、その熱を受けて『V12エンジン』に誘爆し彼等は爆発四散していくしかない。

「どれだけ数を揃えようとも、時間を稼ぐのだとしても、止められなければ意味などない。『ドクター・オロチ』の目論見は潰える」
 ヴェルンドは『キルドーザーズ』たちの爆発を背に疾走る。
 この『黒い炎』の立ち上る草原の中心に『影の城』はある。『ドクター・オロチ』はそこに座している。
 これまでもそうであったように何度も蘇ってきた『ドクター・オロチ』。彼との因縁の全てを拭い去るには、今という好機を逃してはならない。

 蒼炎が『黒い炎』を吹き飛ばすようにヴェルンドは一直線に疾駆するのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ツキカ・アシュヴィン
元々突進が得意な奴が突進力を強化した、っちゅうのはなかなか厄介やなぁ。
せやけど、やってやれんコトはあらへんで!

敵は集団で一斉に突撃してくるやろか。
全部元は同じ奴って考えると、単純に避けるコトはできんように動いてきそうやな。
ってぇなら、こっちも勝負といこうやないか!

Voyager02を【運転】して、敵の群れへ真っ直ぐ突撃や。
勿論、そのままぶつかる気はあらへん。
敵がユーベルコードを発動するタイミングを見計らって、バイクをジャンプさせて敵を飛び越えるで!

飛び越えたら、敵の背後は隙だらけ、方向転換もすぐにはできん筈や。
その背中に『従星、群れを成す』で纏めて弾丸叩き込んだるでー☆



『キルドーザーズ』たちの突進能力は元より強力なものであった。
 その本領は大群でもっての圧殺である。
 彼等は決して止まらない。下半身に接合された装甲ドーザーのキャタピラはあらゆるものを踏み潰し、蹂躙して突き進むからだ。
 そこに『V12エンジン』の突進能力と加速力が加わったのならば、彼等を止めることはできない。

『風魔小太郎』の『百面鬼の術』は恐るべき力であった。
 彼一人で群となす事ができる上に、これで集めた手勢の最も効率的な運用をすることを可能としていた。
『ドクター・オロチ』との因縁は猟兵達にとって浅からぬものであったし、また『風魔小太郎』との因縁もまた同様である。
『エンパイアウォー』から続く因縁を払拭するのまた今日である。
「どれだけ転移してこようとも無駄だ! 此度の戦いは時を稼ぐもの! この数と『V12エンジン』さえあれば!『影の城』へと到達する時を稼ぐことができる」
 そう、『風魔小太郎』は己が捨て石になることをいとわない。

『ドクター・オロチ』は時間さえあれば、必ずや本来の目的である『フィールド・オブ・ナイン』を何処かへと連れ帰るだろう。
「ならば、信義によりてお前たちを此処に縫い止めるのみ!」
「なかなか厄介やなぁ。覚悟っちゅうもんが決まってるのは」
 ツキカ・アシュヴィン(星追いの渡り鳥・f24375)は、『メンフィス灼熱草原』を疾駆しながら迫る『キルドーザーズ』たちを見据え呟く。

 集団で一斉に突撃してくる『キルドーザーズ』たちは、確かに厄介であった。
 元々突進が得意なレイダーたちである。それをさらに突出させたとあれば、止めることは容易ではない。
「せやけど、やってやれんコトはあらへんで!」
 ツキカはオフロードバイクにまたがり、逃げるのでもなければ躱すのでもなく真っ直ぐに『キルドーザーズ』へと突っ込んでいく。
「血迷ったか、猟兵!」
「いいや、そんなことはあらへん! 全員おんなじ『風魔小太郎』が化けたっちゅーんなら、こっちも勝負と行こうやないか!」

 ツキカは『風魔小太郎』が変じた『キルドーザーズ』たちは元が同じであれば、同じことを考えていると思った。
 そして、単純な能力を突出させたのならば、それ以上のことをしないであろうことも予測したのだ。それは正解であったことだろう。
『キルドーザーズ』たちは如何に突進するかだけを考えている。下半身が装甲ドーザーであるのならば、躱すことなど必要ないのだ。そのまま押しつぶせばいい。
「ならさ! 纏めていただきやでー☆」
 ツキカのユーベルコードが煌めく。

 オフロードバイクのシートを彼女の足が蹴る。
 空中に舞うツキカが捉えたのは『キルドーザーズ』たちの頭上である。
「飛んだ!?」
 突進能力を突出させたというのならば、直線的な動きしかできないということだ。旋回は元より、頭上に対する備えなどあろうはずもない。
 そして、一度走り出した『キルドーザーズ』たちは容易に止まれない。
 ツキカは彼等を飛び越え、その背後を用意に取ったのだ。
「従星、群れを成す(アルデバラン・スウォーム)」
 アサルトライフルから放たれた弾丸が『キルドーザーズ』たちの背を捉える。

 凄まじい連射速度。
 それに加えて、彼女のユーベルコードはそこで終わらない。
 放たれた弾丸は、多段分裂によって散弾のように広がり『キルドーザーズ』たちの全てを撃ち抜く。
「グアァアア!?」
 背後からの弾丸を受けて『キルドーザーズ』たちは次々と蛇行を始め、集団であったことが仇となるように仲間たちと激突を繰り返し、爆散するしかなかった。

 ツキカは『キルドーザーズ』たちを突っ切ってきたオフロードバイクのシートに再び飛び乗ると、そのまま『影の城』へと向かう。
 未だ敵の数は多い。
 けれど、彼女の瞳は草原の中心を見据えていた。
 目指す先はすでに定まっている。
「なら迷う必要もないやんなー」
 時間との勝負であるというのならば、その時間こそ飛び越えていく。それが空を駆ける星なのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サイモン・マーチバンク
よりによってこの世界らしい姿に変身せずとも良かったのでは?
けどある意味助かりました
人型かつ無謀な相手にはこの戦法が使えます

モヒカン達は同士討ちすら厭わないんでしょう?
つまり周りのことなんて気にせずに猛スピードで動く訳でして
だからモヒカンの輝きを察知したらUCです!
敵の頭部に角を生やして頭を好き勝手に動かしてやりましょう
首を折ったりとかは狙いません
単純に運転に支障が出るくらい視界をぐるぐるさせればいいのです

なんかすごいエンジン、UCによる強化と視界の錯乱
これだけ揃えば仲間同士でガンガンクラッシュし合うでしょう
俺は巻き込まれないように【ダッシュ】で逃げ続けます
流石にあれに轢かれるのは嫌ですからね!



『風魔小太郎』の手繰る『百面鬼の術』は、その姿を『キルドーザーズ』に変え、大群へと為さしめる風魔忍法奥義である。
 その力の凄まじさは言うまでもない。
 けれど、サイモン・マーチバンク(三月ウサギは月を打つ・f36286)は、疑問を持つ。
「よりによって、この世界らしい姿に変身せずともよかったのでは?」
 サイモンは神隠しによってこの世界にやってきた兎の悪魔である。
 これまでこの世界で過ごした時間は長いものであった。
 レイダーたちは厄介極まりないものであったが、それはサイモンも同じであった。奪還者のようなことをしつつ各地を転々としていた。

 こうしたいざこざは慣れっこであったし、『風魔小太郎』の変じた『キルドーザーズ』のような連中だって居たのだ。
「馬鹿め、『V12エンジン』の恐ろしさを味わうがいい!」
『キルドーザーズ』たちに搭載された『V12エンジン』のエキゾーストパイプが赤熱し、凄まじい轟音と共にサイモンへと迫る。
 鶏冠のようなモヒカンが輝く。
 そのモヒカンが輝いた瞬間、『キルドーザーズ』たちは、その攻撃能力まで強化される。

『V12エンジン』の突進能力と加速は言うまでもない。
 さらにユーベルコードによって攻撃能力まで強化されたのならば、数で優る『キルドーザーズ』たちはサイモンをなぶり殺しにさえできたであろう。
 けれど、もう一度言おう。
 サイモンは慣れっこなのだ。
「けど、ある意味助かりました」
 彼の瞳がユーベルコードに輝く。
 デビルズ・ディールは、迫る『キルドーザーズ』たちの頭部に悪魔の角を生やす。そして、その戦闘力をさらに増加させる。

 敵に塩を送るようなユーベルコードの使い方であった。
 だが、サイモンは笑う。
「なんかすごいエンジンなのはわかっているんです。そして――」
「な、なんだ、視界が廻る!? 己が回っているのか!? 世界が回っているのか!?」
 悪魔の角を生やすユーベルコードは、その頭部をサイモンによって自在に操られる。本来であれば、その操作でもってサイモンは『キルドーザーズ』の首をねじ切ることだってできたであろう。

 けれど、彼はそうはしなかった。
 彼がしたのは『キルドーザーズ』たちの下半身に接合した装甲ドーザーの運転に支障が出るくらいの視界阻害であった。
「うおおおお!?」
「これだけ揃えば、あとはもう仲間同士でガンガンクラッシュしちゃうでしょう?」
 サイモンの目論見は達成される。
 視界の錯乱。
 ただそれだけであったのならば、激突しておしまいである。
 けれど、彼等は『V12エンジン』によって突進能力と加速を強化され、さらにはサイモンのユーベルコードによって底上げされている。

 そんな彼等同士が激突すればどうなるか。
「俺は逃げます! ダッシュでね!」
 流石にあの大クラッシュに巻き込まれてしまっては、彼とてひとたまりもない。
 サイモンは『メンフィス灼熱草原』の中心に向かって疾走る。
 そんな彼の背後で『キルドーザーズ』たちが盛大に激突し、轟音とともに爆炎を立ち上らせる。
 激突し、爆発炎上した『キルドーザーズ』たちの破片を躱しながら、草原の中心である『影の城』へ向かう。

「轢かれるのは嫌でしたけど、こうも部品の雨が飛んでくるのは勘弁して欲しいですね!」
 彼を追う『キルドーザーズ』たちは最早存在しない。
 けれど、眼前に再び迫る大群がある。これを切り抜けなければ『ドクター・オロチ』へと到達できない。
 時間を稼がれても、『ドクター・オロチ』の目論見は達成されてしまう。
 ならば、サイモンは跳ねるように走るのだ。
 彼が兎の悪魔である所以のように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
色々と、暗躍するのも此処までだ!!
何もできないよう、貴様ら全て壊してやる!!!!

【念動力】でRXSハルバードとRS-Fサーベルユニットを地面に振り落とし攻撃。当たらずとも、超大質量の威力と崩壊霊物質の【霊障地形破壊】で周囲一帯の大地、自身ごとキルドーザーズを空へと捲り上げる!

『壊物変成』攻撃回数重視。
【天候操作】捲り上げた大地を雷に変化させキルドーザーズへ【属性攻撃】
更に攻撃したキルドーザーズのV12エンジンを、爆弾へと壊物変成。

自身はメガスラスターと変化させなかった大地を足場に更に上へと跳び、爆弾と化したキルドーザーズを地に残るキルドーザーズへと投下。

V12の力、自分で喰らえッ!

起爆する。



『ドクター・オロチ』は猟兵達が初めて大規模なオブリビオンとの戦いにおいて確認された存在である。
『銀河帝国攻略戦』、『帝竜戦役』。
 この二つの戦いにおいて彼は暗躍していた。
 そして、『フィールド・オブ・ナイン』との戦いを繰り広げた『アポカリプス・ランページ』が終結したアポカリプスヘルにあっても残す三体の『フィールド・オブ・ナイン』の探索を行っていた。

 いかなる目的を持っていようとしても、猟兵たちにとって『ドクター・オロチ』は幾度も復活してくる恐るべき敵である。
 単純な力だけではない。
 その策動が世界に与える影響は捨て置くことなど出来はしない。
 そして、その策動を支え、今まさに大いなる時間稼ぎを行うのが『風魔小太郎』である。
「猟兵は此処で足止めする。さすれば、『ドクター・オロチ』は必ずや十分な戦果を上げることであろう。これこそ我が風魔忍法奥義『百面鬼の術』の本領よ!」
『キルドーザーズ』となり、分身によって群体となった『風魔小太郎』が一斉に『メンフィス灼熱草原』へと疾駆する。

『V12エンジン』の爆音は、恐るべき突進能力と加速を得て、猟兵たちへと襲いかかる。
「色々と、暗躍するのも此処までだ!! 何もできないよう、貴様ら全て壊してやる!!!!」
 そんな『キルドーザーズ』たちと真っ向から激突するのは、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)であった。
 彼女は念動力によって制御されたハルバードとサーベルユニットを『キルドーザーズ』へと振り落とし続ける。
「笑止! この程度で止められると思うたか!」

 小枝子の念動力に寄る武装の操作は狙いの甘いものであった。
 加速と突進によって凄まじい速度を得た『キルドーザーズ』たちは直線的な動きしかできないのだとしても、速度でそれらを振り切ることができた。
 けれど、小枝子が手繰る念動力は、崩壊霊物質を媒介として武装の突き立てられた大地を操る。
「壊せ」
 瞳がユーベルコードに煌めく。
 攻撃は当てる必要はない。当てるように放つ必要もない。
 武装が命中した大地が崩壊霊物質によって地面がたわむ。周囲一体の大地が小枝子のユーベルコードによって操作され、大地を疾駆する『キルドーザーズ』と小枝子自身を空へとまくりあげるのだ。

「おおおお――!?」
「壊せ」
「馬鹿な、大地ごと、跳ね上げた、だと!?」
『キルドーザーズ』たちは大地を疾駆することで突進と加速を得る。下半身の装甲ドーザーは大地にあってこそ、その力を十全と発揮する。
 けれど、小枝子のユーベルコードによって跳ね上げられた体は宙に浮いている。
 空中に在っては速度も何もあったものではない。
 どれだけ『V12エンジン』が規格外の出力を有するのだとしても、全てが無意味である。

 空中に共に舞い上げられた小枝子がサーベルユニットを手にする。
「壊せ」
 今の小枝子にはそれしかない。
 壊すしかない。どれだけ己の道を阻むものが強固な存在であったとしても、恐るべき出力を持つものであったとしても、関係ないのである。
 振るったサーベルユニットの斬撃が『キルドーザーズ』たちを瞬時に切り裂く。
 そして、その切りつけた『V12エンジン』は即座に爆弾へと壊物変成(カイブツヘンセイ)される。
「壊せ」
『キルドーザーズ』を掴む。

「何をする!?」
「壊せ」
 己の心から命ずる言葉を発する。爆弾へと変えられた『V12エンジン』を抱えた個体を別個体へと投げつける。
 小枝子は脚部に備えらたメガスラスターの推力のままに空を舞い、たわまぬ大地を蹴って更に飛び上がる。
 爆発が吹き荒れる中、さらに宙に舞い上げられた『キルドーザーズ』たちを掴む。

「V12の力、自分で喰らえッ!」
 敵を、オブリビオンを破壊する。
 ただそれだけの存在となった小枝子は、己へと追いすがり、大地を疾駆する『キルドーザーズ』たちへと爆弾を抱えることとなった敵を投げつけ、起爆する。
 着地し、彼女は背後を振り返ることなどなかった。 
 爆風すらも追い風として、小枝子は『影の城』へと走るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

遠野・路子
ドクターオロチ……異形トビアス
私は直接会った事は無い
それでも悪路王の娘としてこの勝機を逃すわけにはいかない
遠野・路子、参る

どんな攻撃だろうと当たらなければ意味がない
そして地面を走る機械ならば私の【偽・オロチの地裂】から逃れる術は無い
つまり、私に届く前に飲み込む
地面に手を当てて龍脈に干渉
「疾く風の速さで、走れ、飲み込め、大いなる大地よ」
地面を走る衝撃波をキルドーザーズにぶつける
下から突き上げるように当てることが出来れば最高
横転すれば他のキルドーザーズに対する足止めになる
詠唱は程々に質より量で勝負
……ちょっと楽しくなってきた(衝撃波に当たったドーザーズがピンボールみたいに弾き飛び始めたので)



 シルバーレインにおいて異形とは能力者と敵対関係に在った存在であるのだという。
『ドクター・オロチ』――異形『トビアス』。
 その名を覚えている能力者は多いだろう。
「『ドクター・オロチ』……異形『トビアス』。私は直接会った事は無い」
 遠野・路子(悪路王の娘・f37031)は、かつてシルバーレインに在りし『悪路王』と『鈴鹿御前』の間にもうけられた娘である。
 アポカリプスヘルという文明の荒廃した世界に『ドクター・オロチ』の企み在りと聞けば、彼女はこの機会を逃すわけにはいかなかった。

 猟兵に覚醒したのもまた宿命であろう。
「これは大いなる時を稼ぐ術策なれば! 我が風魔忍法奥義『百面鬼の術』によって、猟兵、貴様たちは無駄に時間を費やすのだ!」
『風魔小太郎』が変じた『キルドーザーズ』たちが大地を疾駆する。
 その下半身に接合された装甲ドーザーの走破能力は元より凄まじいものであった。さらにそこに『V12エンジン』が搭載されれば、突進能力と加速を得てしまう。
 止めることは能わず。
 赤熱するエキゾーストパイプとキャタピラがあらゆるものを押しつぶしていく。

 だが、路子の瞳はユーベルコードに輝く。
「それでも『悪路王』の娘として、この勝機を逃すわけにはいかない」
「ならばなんとする!」
「遠野・路子、参る」
 己の名が新しき存在である新世代のゴーストらしからぬ名前であると彼女は一度思ったことが在る。けれど、その名の由来を聞いた時、その名は古い名ではなく大切なものへと成り代わったのだ。
 今、己の心が何を示すか。
 何を欲するのか。
 何をせよと叫ぶのか。
 その心に問いかけ、彼女は、己の名を誇らしく名乗りあげるのだ。

「強過ぎる力は必要無い。でも理想を語るならば、私は力を示す。疾く風の速さで、走れ、飲み込め、大いなる大地よ」
 輝く瞳のユーベルコードが、詠唱と共に威力を底上げしていく。
 それこそが偽・オロチの地裂(モゾウオロチノチレツ)。土の属性を得た衝撃波が『メンフィス灼熱草原』へと走る。

 それは路子がアポカリプスヘルの大地、その龍脈に干渉した証である。
『黒い炎』は、この大地の地下にまで及んでいる。けれど、彼女が探り当てた龍脈はユーベルコードの輝きに答え、衝撃波となって『キルドーザーズ』たちに走るのだ。

「ぬぉおお!? 地面から!」
 迸る衝撃波は大地から、その上を疾駆する彼等を襲う。
 直線上に放たれた凄まじき衝撃は『キルドーザーズ』をかち上げ、その巨体を跳ね上げるのだ。
「待って」
 何を待つのか。いや、何も待つ必要はない。けれど、口癖のように路子は言う。待って、と。
 こんな戦場にあっては、楽しさとは無縁なるものである。
 けれど、詠唱を紡ぎ、衝撃波を迸らせ『キルドーザーズ』をかちあげる行いは、ピンボールのようでもあったのだ。

 あのキラキラとしたゲーム盤。
 ガチャガチャとけたたましく跳ねる音。
 それはちょっと古臭いのではないかと誰かは言うかも知れないけれど、それでも路子は楽しいと思ったのだ。
 楽しくなると口癖が零れてしまうように彼女は、己の感情が心から溢れるのを止められない。
「待って。ちょっと楽しくなってきた」
 表情はあまり変わらない。
 けれど、それでも『キルドーザーズ』たちが跳ね上げられて、空中で激突して爆発する様は、まるジャックポットのようであった。
「さながら今の私のユーベルコードはフリッパーボタンというところ」
 どれだけの高得点が取れただろうか。

 そんなふうに思いながら路子は、『己の心が指す路を進みなさい』という母の言葉に従って『影の城』へと進むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カツミ・イセ
僕の神様は言ったよ。『ドクター・オロチを許すな』と。語気が強いけど、僕の神様は、『無血宰相トビアス』の悪行知ってるからね。
僕だって、知識としてもらったけど…だからこそ、逃がすわけにはいかない。

さて、突進力とか強いんだっけ。でもそれ、『地上では』でしょ?
UC使うよ。僕は、僕の神様の加護(深海適応)によって大丈夫だからね。人形だし。
でも、あなたたちはどうだろうね?ここは深海と同じで…息続く?
そこを伸ばした水流燕刃刀で薙いでいくよ。

小太郎で躓くわけにはいかないんだ。とっとと退いてもらうよ。
ドクター・オロチ、ようやく届いたんだからね!



 カツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)は子機存在である。
 故郷であるシルバーレインの異変を察した神が猟兵を助けるために遣わした存在。それがカツミという猟兵であった。
 ミレナリィドールの体躯が『メンフィス灼熱草原』へと走る。
 何処を見ても『黒い炎』が立ち上る草原。その草原を疾駆するのは、けたたましい『V12エンジン』から気炎を上げる『キルドーザーズ』たちであった。
 彼等は『風魔小太郎』の『百面鬼の術』によって分裂した存在だ。彼等は草原を疾駆し、この中心に在る『影の城』に座す『ドクター・オロチ』のために時間を稼いでいる。

「僕の神様は言ったよ」
『ドクター・オロチを許すな』
 その語気が強いことをカツミは当然のことであると理解していた。
『無血宰相トビアス』――それがシルバーレイン世界にありて、悪行を為してきた存在『ドクター・オロチ』の本来の名であるからだ。
 カツミには知識としてしか、その存在のことを知らない。
 けれど、だからこそである。
 己は猟兵である。猟兵とは世界の悲鳴に応える選ばれた戦士のことを指す。

「だからこそ逃がすわけにはいかない」
「抜かせ! 我が信義のために貴様たちには此処で足止めされてもらう!『百面鬼の術』の本領はこれより!」
 これまで多くの猟兵たちが戦場に降り立ち『キルドーザーズ』たちを打倒してきた。けれど、未だ『影の城』へと到達できていない。
 それは、この大波の如き大群へと変貌した『風魔小太郎』の術によるためであった。

 さらには『V12エンジン』によって突進能力と加速を得た『キルドーザーズ』たちを止めることは容易ではなかったのだ。
「このまますりつぶしてくれる!」
 下半身に接合された装甲ドーザーはキャタピラでもってどんな悪路であっても走破せしめるだろう。
 カツミのように華奢な猟兵であれば、即座に圧し潰す。
 けれど、カツミは瞳をユーベルコードに輝かせる。
 煌めくは、水の権能、六『深海』(シンカイ)。
 無数の水球が『メンフィス灼熱草原』へと降り落ちる。それは、戦場を深海と同じ環境に変化せしめる神の権能そのものであった。

『黒い炎』は立ち消えることはない。
 けれど、深海と同じ水圧、そして空気無き場所にありて『キルドーザーズ』たちは言うまでもなく溺れるようにしてもがくことしかできない。
「確かにあなたたちは強い。けれど、でもそれ『地上では』でしょ?」
 カツミはミレナリィドールである。
 深海にありても息継ぎは必要ない。それに彼女は神の加護を得ている。

「でも、あなたたちは違う。此処は深海と同じ……」
 カツミの掌より水の力を秘めた蛇腹刀が走る。振るわれた蛇腹刀はまるで水蛇のように深海と同じ環境へと成り果てた戦場を縦横無尽に駆け巡り、『キルドーザーズ』たちを切り裂いていく。
 それは最早、『風魔小太郎』が障害になり得ぬことを示していた。
「馬鹿な……! こうも容易く打ち破られるとは……!」
「小太郎で躓くわけにはいかないんだ。とっとと退いてもらうよ」

 思えば『風魔小太郎』との因縁も『エンパイアウォー』以来である。
 アポカリプスヘルにといて暗躍していた彼もまた、今日潰える。『ドクター・オロチ』という存在に組みしたのであれば、彼もまたオブリビオンの策動の一部。
「『ドクター・オロチ』、ようやく届いたんだからね!」
 さらに『風魔小太郎』よりも因縁続く『ドクター・オロチ』。
『銀河帝国攻略戦』より続いた禍根、そしてシルバーレイン世界から連綿と続く因果は、ここで断ち切る。

 その意志を込めた蛇腹刀が『キルドーザーズ』たちを切り裂き、カツミは草原を走る。
 目指すは『影の城』。
 そこに倒さねばならない敵がいるというのならば、カツミは脇目も振らずにまっすぐに目指すのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…ドクター・オロチと決戦か…あいつはそろそろ二度と蘇らないように完膚なまでに叩き潰さないとね…

…で。まずは風魔小太郎……V12エンジンで出力を上げた突進は驚異……なのだけど…
…幾ら出力があっても関係無い方法で対処をしようか…
…【支え能わぬ絆の手】を発動…地面の摩擦係数を0に近づけてキャタピラを空転させてしまうよ…
…そして摩擦という支えを失った地面は砂となりキルドーザーズの重量を支えきれず全てを飲み込んでいく…
…これぞ忍法砂地獄…なんてね…あとは動けないキルドーザーズを術式装填銃【アヌエヌエ】で撃ち抜いていくとしようか…



 これまで幾度か蘇っては猟兵たちの前に姿を現してきた『ドクター・オロチ』。
 彼にいかなる目的があるのかはわからない。
 けれど、彼の為すことが世界に善き影響を与えるとは猟兵たちには考えがたきものであった。
 何故ならば、猟兵は世界の悲鳴に応える者。
 世界に悲鳴を挙げさせる企みを為すのであれば、それは須らく滅ぼさなければならない。

『ドクター・オロチ』は望んでいたのだ。
 この文明の荒廃した世界、アポカリプスヘルに存在する九柱のオブリビオン・フォーミュラ。『フィールド・オブ・ナイン』の残された三柱の探索と勧誘を。
 けれど、それらは猟兵達によって阻まれる。
 今の『ドクター・オロチ』にとって必要なのは時間だ。
「ならばこそ、信義に応えるべく全身全霊を持って、これに当たるべし! 風魔忍法奥義『百面鬼の術』こそ、此度の戦場に相応しき術なれば!」
『風魔小太郎』が『キルドーザーズ』に変じて、戦場を疾駆する。
『V12エンジン』が気炎を上げるように迸り、赤熱した排気音を響かせながら、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)へと迫る。

「……『ドクター・オロチ』……あいつはそろそろ二度と蘇らないように完膚なきまでに叩き潰さないとね……」
 メンカルは冷静であった。
 己が何をしなければならないかを理解していた。確かに『V12エンジン』の出力は凄まじい。
『キルドーザーズ』の下半身に接合された装甲ドーザーは、あらゆるものを押しつぶし蹂躙する突進能力と相性が良いだろう。
 いや、良すぎるのだ。
 脅威と言ってもいい。けれど、メンカルが冷静なのは意味がある。彼女は知識と技術でもってあらゆる状況を打破する猟兵である。

 どれだけ力押しであっても糠に釘を打つのと同じように、彼等の強みは接地していることにある。
 ならば、そのキャタピラが踏みしめる大地との間に生じるのは何か。
「摩擦……だよね。確かに脅威ではあったけれど……幾ら出力があっても関係ない方法で対処できるものだよ……」
 メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
 彼女の手は、支え能わぬ絆の手(フリクション・ゼロ)。
 触れた大地の物理情報を改ざんすることで得られるのは、大地の摩擦抵抗を極限まで減らす力である。

 そう、キャタピラは接地していなければならない。
 大地を踏みしめ、噛合、そして前に進む。そこには膨大な摩擦の力が必要となるのだ。ならば、摩擦抵抗が限りなく0に近づいたのならば、どうなるか。
「空転する……! 前に進まぬ!!」
『キルドーザーズ』たちは摩擦という力を失い、その場に留まり続ける。どれだけ出力を上げ、『V12エンジン』を限界まで高めても尚、進まない。
「そして、摩擦という支えを失った地面は砂となり、その重量を支えきれず全てを飲み込んでいく……」

 メンカルの言葉通り、『キルドーザーズ』たちの巨体は摩擦を失った大地と共に沈み込んでいく。
 その様はまさに蟻地獄に飲み込まれていく蟻のようであったことだろう。
「沈む……! 止まらぬ! 馬鹿な、何故、こんな……! こんな容易いことで!」
 次々と流砂の中に飲み込まれるようにして『キルドーザーズ』たちが落ちていく。
「……これぞ忍法砂地獄……なんてね」
 メンカルは忍者である『風魔小太郎』に意趣返しをするように摩擦を失った大地の上空より飛行術式の編み込まれた箒の上から見下ろす。

 手には術式装填銃『アヌエヌエ』。
「……それじゃあね」
 引き金を引き、身動きの取れぬ『キルドーザーズ』たちを撃ち抜く術式。
『V12エンジン』に引火した術式が盛大に砂地獄の果てで爆発を起こし、『メンフィス灼熱草原』に『黒い炎』以外の炎を立ち上らせる。
 その炎が照らすのは『影の城』である。
 そこに『ドクター・オロチ』は座す。これまで因縁続く戦いにも決着が訪れる。
 敵が時間を欲しているというのならば、その時間こそを与えない。猟兵たちの果敢なる戦いは、まさに佳境を迎えようとしていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

ひゃっほ~~~!
デスレースの始まりだ~~~ッ!!
でも今日は車を用意してないな~…ま、いっか!

[ドリルボール]くんたち!出番だよ!
作戦はー全速順回転で粉砕し、破砕し、爆砕し、塵芥にするとかそんな感じでゴーゴー!吶喊~~~~ん!!
と巨大なドリルボールくんたちにアメリカの大地ごとドーザーくんたちを撹拌していってもらおう!

ボク自身はそのあいだ、ドリルボールくんたちとキルドーザーくんたちのごったがえすあいまを【第六感】でかいくぐりながら…かたっぱしから『ゴッドブロー』でドーーーーンッ!!

フフーン!このままキミのボスのコンクリブロックでパズル遊びをするからそこから見てなよ!



『黒い炎』が常に立ち上る『メンフィス灼熱草原』を疾駆するのは『キルドーザーズ』たちであった。
 下半身に接合された装甲ドーザーを止める事ができるものは存在しない。
 搭載された『V12エンジン』は唸りを上げ、彼等に驚異的な突進能力と加速力を与えた。
「ぬぅ……さすがは猟兵と言うべきか! 此処まで彼奴らの侵攻を許すとは」
『風魔小太郎』が『百面鬼の術』によって変じた『キルドーザーズ』たちは確かに凄まじい力を有していた。
 けれど、それ以上に猟兵たちの攻勢は凄まじいものであったのだ。

 彼等は果敢に戦う。
『ドクター・オロチ』が欲しているのは時間だ。
 ならば、その時間を与えない。時間を与えれば与える程に『ドクター・オロチ』の目論見は実現へと近づいていくのだから。
「ならばこそ、ここで彼奴らを食い止める。それが信義に値するものであるからだ!」
 けれど、それは叶わない。

「ひゃっほ~~~! デス・レースの始まりだ~~~ッ!!」
 ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は掘削刃を高速回転させる『ドリルボール』の球体群を『キルドーザーズ』たちにけしかける。
 特に作戦なんてない。
 あるというのならば、単純な唯一のことであった。
「『ドリルボール』くんたち! 出番だよ!」
 そう、粉砕し、破砕し、爆砕し、塵芥にする。
 ただそれだけである。
 単純すぎるがゆえに『キルドーザーズ』たちは己たちの持つ突進能力を過信していた。正面からかち合うのならば、下半身の装甲ドーザーはあらゆるものを圧し潰す。

 それだけの突進能力を得ているのだ。
「その意気や吉!」
「ゴーゴー! 吶喊~~~~ん!!」
 ロニはいつもと変わらぬ陽気さでもって『ドリルボール』たちと共に『メンフィス灼熱草原』の大地ごと『キルドーザーズ』たちを撹拌するように蹂躙するのだ。
 しかし、『キルドーザーズ』たちも負けては居ない。
 突進によって『ドリルボール』を吹き飛ばし、巻き込まれても爆発の中から次々と吶喊を続ける。
 互いに同じ作戦。
 時間稼ぎをすることこそ目的としていた『風魔小太郎』にとっては順調そのものであると思えたことだろう。

 唯一、ロニが撹拌された大地を縫うようにして己たちに接近している事実を除けば。
「はい、どーんっ!」
 煌めくユーベルコードが『キルドーザーズ』の巨体を打ち据える。
 それは信心無き者にも神々しさを感じさせる拳。
 神撃(ゴッドブロー)の一撃であった。
「ぬうおおお!?」
 大地がかき混ぜられ、ごった返す中であってもロニの第六感は冴え渡る。どのようにして動き、どのようにして拳を震えば『キルドーザーズ』たちの巨体が連鎖反応のように激突していくかを理解しているのだ。

「フフーン! このままキミのボスのコンクリブロックでパズル遊びするから、そこから見てなよ!」 
 連鎖的に爆発する『キルドーザーズ』たちをロニは背に『影の城』へと走る。
 猟兵たちにとっても、時間は惜しいものであった。
 時を重ねれば『ドクター・オロチ』は何処かへと撤退するだろう。そうなれば、また別の世界で今回と同じようなことを繰り返すかもしれない。

 それは世界の危機をまた引き起こすということにもつながるであろう。
「ま、どっちにしたってキミたちは見られないだろうけどね、ボクの華麗なる連鎖は!」
 ロニは笑いながら疾駆する。
 必ずや『ドクター・オロチ』の本体であろう『コンクリ塊』を手に入れ、それでもってパズル遊びをするのだと笑うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
銀河帝国攻略戦より続くドクター・オロチとの因縁、ここで断たねばなりませんね

そして風魔小太郎
命拾われた恩を忠義にて返すその心意気は見事
ですが、この場は押し通らせて頂く!

最早忍びの姿もかなぐり捨てたその姿勢
この武装を使用する躊躇いこそ無礼でしょう

装着したUCにて飛翔
空より照準レーザーを乱れ撃ちしロックオン
両肩のグラビティガンより解放されし重力波にてロケットで空舞うドーザーすら地に叩き落し、動きを縫い留め圧壊させていきます

サムライエンパイア以来の付き合い
この程度で忍の戦意砕けるとは思っておりませんとも!

慣性制御活かし自在に低空を飛翔
交錯しながら振るう剣や盾にて撃破して数を減らしオロチの元へ突破



『ドクター・オロチ』の姿を猟兵たちが初めて認識したのは『銀河帝国攻略戦』であった。
 猟兵にとっても大いなる戦いであった。
 初めての大規模な戦いでもあったのだ。そこに『ドクター・オロチ』の姿はあった。そこより紡がれた因縁もまた『帝竜戦役』において確認されている。
 その因縁を断たねばならない。
 トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は『メンフィス灼熱草原』に降り立ち、そのアイセンサーを輝かせる。

 因縁は断ち切るものである。
 紡がれてきた因果。続く縁。それらをより合わさり、より太く長いものが紡がれるものであるが、ここに続く因縁は世界に危機を及ぼすものである。
 だからこそ、断ち切る。
「そして、『風魔小太郎』。生命拾われた恩を忠義にて返す心意気は見事」
「それが忍びの定めよ。主君のために生命を捧ぐことなど当然のこと。さりとて言うに及ばず!」
『風魔小太郎』は『百面鬼の術』によって『キルドーザーズ』へと変貌し、大群へと成り代わる。

 単体でありながら、風魔忍法奥義によって群へと成り代わる力は凄まじきものだえると言えた。
「これが我が信義よ! 貫かせてもらう!」
「この場は押し通らせて頂く!」
 互いに騎士と忍び。
 決して相容れぬ存在であることは、猟兵とオブリビオンであるがゆえ。『エンパイアウォー』から続く因縁も此処で断ち切らねばならぬと、トリテレイアは戦機猟兵用重力制御兵装装備型強化ユニット(エクステンションパーツ・タイプ・グラビティ)と共に飛翔する。

 重力、慣性制御機構を備えた追加武装。
 それによって彼はアポカリプスヘルの空を飛翔し、レーザーを乱れ打ち、『キルドーザーズ』たちを貫く。
「笑止! この程度の火力で装甲ドーザーを止めようとは!」
 そう、『V12エンジン』の突進能力を得た装甲ドーザーを下半身に持つ『キルドーザーズ』はレーザーでは止められない。
 けれど、トリテレイアは忍びの本懐たる暗躍を捨ててまで信義を全うしようとする姿にこそ敬意を持つ。

「いいえ、私が無礼と感じるのは躊躇うことのみ!」
 両肩より展開されたグラビティガンが重力波を生み出し、大地を疾駆する『キルドーザーズ』たちを圧潰させる。
 軋む巨体。
「ぬおおおお!! だが、まだ!!」
 これだけの重力波で大地に縫い止めても尚、『キルドーザーズ』は、『風魔小太郎』は大いなる時間稼ぎのために己の身命を賭す。
 その姿勢は確かに忍びとしての本懐を遂げるものであったことだろう。

「サムライエンパイア以来の付き合い。この程度で忍びの戦意砕けるとは思っておりませんとも!」
「機械騎士……! 勝負だ!!」
 咆哮する『風魔小太郎』と『キルドーザーズ』に備えられた『V12エンジン』。それらは彼等の信義の激突でもあったことだろう。
 飛翔するトリテレイアが剣を構える。
 忍びと騎士。
 その在り方は違えど、主に捧げる信義は本物であった。オブリビオンと猟兵という立場が違えど、そこにシンパシーを覚える。間違いではなかった。
 だからこそ、重力波に押しつぶされながらもなおもトリテレイアに追いすがろうとする『キルドーザーズ』を剣と盾で撃破しながら突き進む。

 目指すは『影の城』。
 激突する装甲と剣の剣戟。その音が『メンフィス灼熱草原』に響き渡りる。戦いの刹那にありて、互いの信義はどちらかが敗れ去らねばならぬものである。それは戦いの必定。どちらが正しく、誤っているかなどは関係ない。
 今のトリテレイアにとって必要なのは、世界の危機を救うこと。オブリビオンの策動は人々の営みを害するものばかりであるから。だからこそ、トリテレイアは主ではなく、誰かのためにこそ剣を振るう。
 彼のアイセンサーが捉えたのは『ドクター・オロチ』の座す居城である。果敢なる戦いこそが、いつだって得難きものを得るために必要なのだ。
 無理無謀であったとしても、誰かのために走るものにこそ、勝利はいつだって輝くのだ。
 それを知るトリテレイアは迫りくる『キルドーザーズ』達を叩き伏せ、爆風の中を突っ切るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ドクター・オロチwithフルスロットル』

POW   :    フルスロットル・ロード
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【オブリビオン・ストーム】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
SPD   :    フルスロットル・ファントム
敵1体を指定する。レベル秒後にレベル×1体の【レイダーの亡霊】が出現し、指定の敵だけを【武装バギーによる轢き潰し】と【火炎放射】で攻撃する。
WIZ   :    バイオレンス・ストーム
戦場全体に【オブリビオン・ストーム】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【オブリビオン・ストームを纏うこと】による攻撃力と防御力の強化を与える。

イラスト:みやこなぎ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ムシュシュ~……やっぱり来ちゃったか~! でもでも仕方ないよね! あっちを立てればこっちが立たず! ボクがやりたいことは猟兵たちにとっては阻止したいことであるだろうし! ムシュ~!」
『ドクター・オロチ』は『影の城』にありて、その体躯をオブリビオン・ストームへと変貌せしめる。
 髑髏の鎧が辛うじて人型を保つのみであった。
 その身に宿すのは『フィールド・オブ・ナイン』の一柱、『フルスロットル・ヴォーテックス』である。

 かの暴虐たる力。
『魔軍転生』によって憑装されたオブリビオンの人格に引っ張られるはずであったが、『ドクター・オロチ』は『フルスロットル・ヴォーテックス』の人格に引っ張られることなく存在していた。
「こうなったら、『コンクリ塊』だけは死守しないとムシュ。これさえあれば、ボクは何度でも蘇ることができるわけだし。『フィールド・オブ・ナイン』の三体も諦めきれないし、ここで猟兵を返り討ちにして時間を稼がないと。ムシュムシュ~」
 漲る力は黒き竜巻。
 文明一つを容易く滅ぼしたオブリビオン・ストームそのものとなりて、『ドクター・オロチ』は『影の城』にて猟兵達を迎え撃つ。

 これまで因縁続いた相手。
 そして、シルバーレインより紡がれた因果は、ここに収束するか。
 全ては猟兵たちの果敢なる戦いに懸っている。

 今こそ断ち切れ。
 悪逆なる因果を――。
アルトリウス・セレスタイト
時間がないそうだ
速やかに退場しろ

状況は『天光』で逐一把握
守りは煌皇にて
纏う十一の原理を無限に廻し害ある全てを無限に破壊、自身から断絶し否定
尚迫るなら自身を無限加速し回避
要らぬ余波は『無現』にて消去
全行程必要魔力は『超克』で骸の海すら超えた“世界の外”から常時供給

己が本質を呼び込み境界を以て世界を染める
世界を編んだ最初の理は全ての根底に横たわるが故に何によっても阻み得ない
万象の始まりたる全なる空虚に呑まれれば溶け消える以外の結末は無し
その黒い渦も例の外に漏れぬ
全てを賭けねば悔やむ間すら無いぞ

待てば終わるが、自身が人の形を失うとかの姫は機嫌を損ねそうだ
そうなる前には切り上げ

※アドリブ歓迎



『影の城』に満ちるのは黒き竜巻。
 言うまでもない、オブリビオン・ストームである。
 文明を一つ容易に滅ぼしうる力を有した黒き竜巻が『影の城』に満ちて吹き荒れる。かの暴虐の権化たる『フルスロットル・ヴォーテックス』を憑装した『ドクター・オロチ』は、その体躯をオブリビオン・ストームそのものとし、髑髏の鎧を纏て、ようやくに人の姿をしていると理解できるものであった。
「ムシュ~。案外早かったね~。『風魔小太郎』もがんばってはくれたみたいだけど~……やっぱり猟兵の進撃速度は眼を見張るものがあるムシュ~」
『ドクター・オロチ』は溜息をつくように、ムシュムシュといつもの口癖をつぶやきながら、迫る猟兵の姿を見た。

 蒼い燐光を纏い、十一の原理を無限に回してアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)に迫る黒き竜巻を無限にhアカイして、自身から断絶させる。
 尚迫る黒き竜巻を、自身の無限加速にて回避し、余波を消去する。
 必要な魔力の全てを世界の外から組み上げて、アルトリウスは『ドクター・オロチ』に迫る。
「ムシュ~そのやり方、外から汲み上げるやり方」
「無駄話をしている暇はない。時間がないそうだ。速やかに退場しろ」
 アルトリウスは『ドクター・オロチ』と語る理由など何処にも持ち合わせてはいなかった。

 彼にとってオブリビオンは滅ぼすべき存在である。
 そして、此度の戦いにおいて時間は有限。
 もしも『ドクター・オロチ』に時間を与えたのならば、彼は『フィールド・オブ・ナイン』の残る三柱の探索を為さしめ、手勢を率いて何処かへと撤退するだろう。
 それは再び世界に危機を齎すことと同義である。

 だからこそ、彼は境界(キョウカイ)に立つ。
 己の本質を世界外より呼ぶ淡青の光の雪が戦場に降りしきる。戦場全体が『無限料の“全”で万象を飲み込む全なる空虚へと変わり果てる。
「世界を染めるムシュか~無限を超える無限光の彼方まで飛び立とうって勢いムシュ」
『ドクター・オロチ』はオブリビオン・ストームと共にありながら、その竜巻を解き放つ。

 世界の外より境界を染め上げる力。
 万象の始まりたる全成る空虚。それは混沌と同じであったことだろう。飲み込まれれば溶け消える以外の結末はない。
「その黒い渦も例の外に漏れぬ。全てを賭けねば悔やむ間すら無いぞ」
「ボクは常に一生懸命ムシュ。今更って感じムシュ」
『ドクター・オロチ』にとって、余力などはじめから無い。己より強いオブリビオンならばいくらでもいる。
『銀河帝国攻略戦』の折においてもそうであったように。

 けれど、彼はこれまで幾度となく復活してきた。
『帝竜戦役』においてもそうであったように。彼の本体であろう『コンクリ塊』が在る限り、『ドクター・オロチ』は何度でも復活する。
 そして、何度でも己の目的を達成するために暗躍を続けるだろう。
「それは一生懸命ってことムシュ。別にいつも余裕綽々ってわけじゃないムシュ。ムシュムシュ」
 溢れるオブリビオン・ストームと淡青光の雪が力と力を激突し、対消滅していく。

「待てば終わるが……」
 アルトリウスは自身が人の形を失うことを憂うことはない。
 けれど、誰かの機嫌を損ねることになることを思い出すだろう。彼を人の形に留めるのは、彼ではない誰かの想いと願いである。
 それを受け入れて、アルトリウスは己の人の形が喪われぬことをこそ肝要とする。彼は、そこ一点においてのみ人足らしめるものであると自覚していたであろうか。

 それでも『ドクター・オロチ』は止まらない。
 黒き竜巻、オブリビオン・ストームを撒き散らし、『影の城』にて猛威を振るう。時間を得て、猟兵たちの手の届かぬ何処かへと退却するだろう。
 アルトリウスは、その瞳にユーベルコードの輝きを灯し、無限に続くかのような足止めを淡青光の雪と共に行う。
「姫の機嫌を損ねることになる前に切り上げよう」
 漲る力は十一の原理を以って。
 組み上げられた魔力が全なる空虚から、万象を飲み込むべく黒き竜巻そのものである『ドクター・オロチ』を引きずり込む。

「拝せ」
 もはや、アポカリプスヘルに黒き竜巻は必要ない。
 荒廃した世界にありても人々は明日を求めて希望を瞳に宿す。あの黒き竜巻が、それらを曇らせることなどないと知らしめるようにアルトリウスはユーベルコードの輝きでもって暗黒を切り裂くのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
随分と訳知り顔しちゃってさ…
君との縁は無いけど、界渡りとかいう連中は嫌いだからね
その尻尾が掴める可能性があるんなら、ちょっと頑張ってやろうじゃん
と、言う訳で君の本体だとかいうコンクリ塊は回収させて貰うよ
時間は稼がせない、全力で早々に決着を付けさせて貰おうかな!

超克…オーバーロード!
外装展開、全抜刀
オブリビオン・ストームそのものになるんなら、同じくらいの規模でぶった斬るだけ!
【Unite Dual Core】起動
外装の2剣に雷刃展開
最長サイズで刀身形成…そしてストームごと『なぎ払い』、一時的にでもオブリビオン・ストームを『吹き飛ばし』てやる
ついでに『斬撃波』もおまけ!
この刀身から発せられる波はどれだけの物になるだろうね!
そして「浄化の蒼き炎」で散り散りになったストームを浄化していこう

オブリビオン・ストームそれ自体となったんなら、その全てを燃やしてやろう
実体が無いような敵は厄介だなあ…
何度でも何度でも斬り裂いて燃やしてやるから覚悟しておいてよ?
さあさあ、そろそろ年貢の納め時だよ



「ムシュムシュ。やっぱり生命の埒外たる猟兵は、ボクらにとって厄介な存在ムシュ」
 その体躯を全てオブリビオン・ストームに変じた『ドクター・オロチ』は緊張感のない口調で持って『影の城』にて猟兵達を迎え撃っていた。
 黒き竜巻を覆う髑髏の鎧。
 ただそれだけが『ドクター・オロチ』を人型足らしめている要因でしかなかった。
『魔軍転生』によって得られた『フルスロットル・ヴォーテックス』の力。憑装することによって、憑依したものの力を手繰る恐るべき秘術は、本来であれば憑依したオブリビオンの人格に引っ張られるものである。

 けれど、『フルスロットル・ヴォーテックス』を憑装した『ドクター・オロチ』は完全に自我を保った状態である。
「なら、まだまだ時間稼ぎしちゃおうっかな!『フィールド・オブ・ナイン』の残りを探すのもまだまだ掛かりそうだし! ムシュ~とね!」
 戦場に吹き荒れるのは黒き竜巻。
 満ちるオブリビオン・ストームはそれだけで一つの文明を終焉へと導く力である。

 この黒き竜巻によってどれだけの人々が生命を奪われたか知れない。
「随分と訳知り顔しちゃってさ……」
『影の城』に至った月夜・玲(頂の探究者・f01605)は『ドクター・オロチ』に迫る。
 これまで『ドクター・オロチ』は『銀河帝国攻略戦』や『帝竜戦役』と猟兵たちの前に姿を現してきた。
 いわゆる『界渡り』と呼ばれる者達であろう。
「君との縁は無いけど、『界渡り』とか言う連中は嫌いだからね」
 その尻尾をつかめる可能性があるのならば、玲は己の力をみなぎらせる。
『コンクリ塊』が『ドクター・オロチ』が何度も復活する要因であるというのならば、それを回収する。
 時間稼ぎはさせない。

「ならどうするムシュ? 此処でボクは時間を稼げばいい。キミたちを此処にトドメておけばボクの勝ちって寸法さ!」
「全力で早々に決着を付けさせてもらおうかな!」
 玲の瞳に輝くは超克の力。
 外装が展開される。豪腕の如き力。あらゆる障害をねじ伏せる天頂の力。その発露は、外装副腕を合わせた模造神器の四刀。

「全抜刀」
 煌めくはオーバーロードの煌き。
 迸る蒼き残光が『ドクター・オロチ』の視界を埋め尽くしていく。
「無駄ムシュ。どれだけ天頂に至る力であっても、所詮は真似事ムシュ。模造である限り原点を超えることなど無理ムシュ!」
 黒き竜巻が放たれる。
 その一撃は巨大そのものであった。見上げるほどの竜巻。力の奔流。
 それを前にして玲の瞳はオーバーロードの先、ユーベルコードによって模造神器に込められた雷と焔の疑似邪神と己の肉体を合わせる。

「弐神合一プログラム…略してUDC…起動!」
 Unite Dual Core(ユナイトデュアルコア)。
 それは彼女の模造神器にさらなる力を齎す。外装の副腕に握りしめられた模造神器の刀身から雷刃が迸り、長大な剣を形成する。
 その一閃が薙ぎ払うようにオブリビオン・ストームを切り裂く。吹き飛ばされるオブリビオン・ストームは霧消しては、さらにまた形作って玲に迫る。
「無駄無駄! 何度でも過去はにじみ出る。過去を排出して前に時間が進む限り、過去は『今』がある限り何度でも溢れるムシュ~!」
 それは真理であろう。
 オブリビオン・ストームは、過去の集積そのもの。形を変えて、歪めて何度でも溢れ出す。

「だから? どれだけワケを知っているのか知らないけど」
 人は天に手を伸ばすことをやめられない。
 空を飛ぶことを夢見て実現させたように。空より上を目指して宙に至るように。太陽系すら飛び出して銀河の海を征く世界すらあるように。
 玲は知っているからこそ、どれだけ『ドクター・オロチ』が己の知らぬことを知っていようが己の手を伸ばし続ける。
 雷の刃が再び振るわれ、斬撃波と共に雷がオブリビオン・ストームを吹き飛ばしていく。
 雷鳴が轟く。
 音速を超えたが故に、その斬撃は空気の壁すら突き破って轟音を響かせる。

「ムシュ~!」
 溢れるオブリビオン・ストーム。
『ドクター・オロチ』にとって、これは時間稼ぎの戦いでしかない。己が滅びたとしても本体が逃げおおせることができたのならば、再び復活できる。
 そういうオブリビオンなのだ。
 だからこそ、彼は勝つことを目的としていない。
 けれど、目の前の玲はオーバーロードの輝きの中から、さらなる高み手を伸ばす。それが偽りの天頂であっても構わない。

 偽物が本物に負ける理由など、只の一つもないのだ。
「オブリビオン・ストームそれ自体になったんなら、その全てを燃やしてやろう」
 実態がない黒き竜巻そのものとなった『ドクター・オロチ』は厄介そのものであった。
 何度雷刃が切り裂いても、再び戻ってくる。
 ならば、散り散りにして燃やし尽くす。玲の体に一体化したのは雷と焔の疑似邪神である。
「何度でも、何度でも切り裂いて――」
 走る雷刃が『ドクター・オロチ』の体を引き裂き、散り散りにしていく。

 そこへ叩き込まれるのは玲自身の腕に握られた模造神器の発露する蒼炎であった。それはあらゆるものを浄化すうる蒼き焔。
「燃やしてやるから覚悟しておいてよ?」
 叩き込まれる炎。
 それは浄化の蒼き炎。どこに逃げても構わない。この炎は自動追尾して己が滅ぼすべきと定めたものへと追いすがる。
「ムシュ! 偽物如きが、ボクを滅ぼす? 冗談じゃないムシュ!」
 吹き荒れる黒き竜巻。
 けれど、その都度玲の振るう模造神器の雷刃が切り裂く。言ったのだ。そう、彼女は何度でも、と。

 不敵に玲は笑う。
 何故ならば、己は一人ではない。此処で『ドクター・オロチ』を消耗させれば、必ず彼に届く刃がやってくる。
「さあさあ、そろそろ年貢の納め時だよ」
 彼女の炎と雷は、決して『ドクター・オロチ』を逃さない。
 何一つ企みは叶うことがない。それを知らしめるように偽物と断じられた、天頂の力が『ドクター・オロチ』の黒き竜巻の体を一刀の元に切り裂き、燃やすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カツミ・イセ
さて、ドクター・オロチだね。
ん?僕の神様が何か言ってる…『口調が合体しすぎ』。あーうん、なんか『ルルモード』の笑い方(ムシュ)入ってるみたい。
でもね、やっつけなきゃ。逃すわけにはいかないよ。
これは、僕の意思による戦いだ。

ということで、UCによって手数を増やす。全員、展開した水流燕刃刀持ってるから…少しずつタイミングずらしながら薙ぐ。
消費するものが決まっている以上、いつまでも避けることなんてできないよ?
しかも、本体の僕の偽装皮膚もほどいて、水みたいな針にして刺していくからね。
ああ、絡まるなんて愚かなことはしないよ?

ドクター・オロチ。君はここで終わるべきなんだ。



 吹き荒れるは黒き竜巻。
 その体をオブリビオン・ストームそのものへと変じた『ドクター・オロチ』は、暴風を持ってあらゆるものを破壊する力を発露させる。
 本来であれば『魔軍転生』によって憑装させたオブリビオンの人格に引っ張られるものであったが『フルスロットル・ヴォーテックス』を憑装した『ドクター・オロチ』は少しも人格を引っ張られることはなかったようだった。
「ムシュムシュ! ここまで追い込まれるとさすがのボクもムカっとするムシュ~」
『ドクター・オロチ』を知る者たちにとっては、それはこれまで幾度か見えた彼の口癖であったことだろう。

 けれど、シルバーレイン世界の知識を有するカツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)にとってはそうではない。
 彼女は己をつかわせた神の言葉を代弁する。
「『口調が合体しすぎ』。あーうん、なんか『ルルモード』の笑い方入ってるみたい」
 でも、とカツミはユーベルコードの輝きを瞳に灯しながら言うのだ。
 だから何だというのだと。
 どれだけ口調が合体していようが、『ドクター・オロチ』がこれまでしてきたことは言うまでもなく世界を滅ぼす行いであった。

 何処かへ手勢を纏めて持ち帰ることも、『フィールド・オブ・ナイン』の残る三柱を探索しスカウトするのだとしても、それらを許すことはない。
「ああ、ボクたちのことを知っている猟兵もいるようであるけれど、そういう因縁って言うのに興味ないムシュ」
 吹き荒れるオブリビオン・ストームは消費されるだけで『ドクター・オロチ』の目論見を完全に達成させるだろう。
 即ち、此処においては時間稼ぎである。
 猟兵たちにとって時間とは敵であり、『ドクター・オロチ』にとっては味方である。

 時がすぎればすぎるほどに『ドクター・オロチ』は己の目的を達成することが出来る。
 けれど、それをさせぬのが猟兵である。
「でもね、やっつけなきゃ。逃がすわけにはいかないよ。これは」
 そう、カツミの瞳はユーベルコードに輝いている。神から伝えられた使命でもなければ、世界の悲鳴を聞いたからでもない。
「僕の意志による戦いだ」
 だから止める。
 例え、己の姿が水の権能、二『似姿』(ニスガタ)であったとしても、関係ない。
 彼女の思いは、全てが本物だ。
 水がユーベルコードによって形作るのは、神の権能にして己自身の姿であった。
 球体関節人形は浄化の水の力を持ちながら、オブリビオン・ストームへと立ち向かう。

「どれだけ数を増やしても、無駄ムシュ!」
 そう、オブリビオン・ストームを消費する度に水で出来た球体関節人形たちから放たれる蛇腹刀の斬撃を完全に回避せしめるのだ。
 どうあっても斬撃が届かない。
 斬撃が届かないのであれば、『ドクター・オロチ』を倒すのに時間が懸ってしまうということだ。
 けれど。

「消費するものが決まっている以上、いつまでも避けることなんてできないよね?」
「オブリビオン・ストームとは、過去の集積そのもの。滅びの渦ムシュ。それは過去が在る限り有限であれど、無限に近しいものムシュ!」
『ドクター・オロチ』は嗤う。
 だが、それは十全の状態であればの話だ。カツミだけではない、他の猟兵達だっている。彼等の放ったユーベルコードはこれまで『ドクター・オロチ』を散々に消耗させた。
 カツミの行いは斬撃が届かずとも、『ドクター・オロチ』の肉体を構成するオブリビオン・ストームそのものを消耗させる。

「どれだけの過去が『今』ににじみ出てくるのだとしても、僕は諦めないよ」
 カツミの関節を覆っていた偽装皮膚が解かれ、水の針となって迸る。
 それはこれまでオブリビオン・ストームを消費していた『ドクター・オロチ』にとっては躱すことのできない攻撃であった。
「ムシュ!? まだ、そんな隠し玉を! ずっこいムシュ!」
「とっておきの切り札っていうのは、最後までとっておくべきなのさ。ああ、絡まるなんて愚かなことはしないよ?」
 彼女たちの周囲を浄化の水を得た人形たちが取り囲む。
 十分な時間があれば城や街を築く権能。それでもってカツミは『ドクター・オロチ』を囲い込む。

 逃がすことはしない。
 何処へも行かせはしない。その一念において『ドクター・オロチ』は猟兵たちを見くびっていたのだ。
「『ドクター・オロチ』。君は此処で終わるべきなんだ」
 カツミは言う。
 神の言葉ではなく、己自身の言葉で告げる。
 今まで行ってきた行いの全てを精算させる。そのためには、これ以上の所業を為してはならない。
 カツミのはなった水の一撃は『ドクター・オロチ』の体を構成するオブリビオン・ストームを削ぎ落としながら、彼を破滅へと叩き込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OKです

ドクターオロチ……フルスロットルの力を得たか。
死と暴力、皮肉だが、最も貴様には余程相応しいと見える。

貴様が嵐をどれだけ纏おうと、その嵐を破壊するのが俺の剣であり、使命だ!

【破壊の目醒め】
あの嵐を破壊する剣を、オブリビオンを滅ぼす力を、リミッター解除、限界突破!
チャンドラー・エクリプス変形解放!逆巻く嵐のストームブリンガー、そして、死の宿命を刻むデスブリンガー!

黒き嵐は嵐で相殺する、その回転を弛めたなら、死の宿命はいつでも撃ち込める、ドクターオロチ本体に切り込みと共に死の剣で貫き、この世界を覆う滅びの未来を破壊してみせる。

俺がこの世界生まれ、貫き通すと決めた使命なのだから。



 かつて在りし力。
 その暴虐の力が齎すのは死。
 アポカリプスヘルにおいて、『フルスロットル・ヴォーテックス』はこれ以上の発展も繁栄も必要ないと言った。
 此処が終点であると。
 故に黒き竜巻は、あらゆるものを破壊する。人類が積み上げてきた文明すら容易く破壊し、営みを更地にした。

 だが、ルドラ・ヴォルテクス(終末を破壊する剣“嵐闘雷武“・f25181)は知っている。
 人々が明日を望んでいることを。
「『ドクター・オロチ』……フルスロットルの力を得たか」
「ムシュムシュ。そうだよ、ボクが『魔軍転生』で憑装したのは『フルスロットル・ヴォーテックス』さ。かの死渦の象徴たる男の力は今やボクのモノ。ムシュムシュ!」
 その体躯を全て暗黒の竜巻そのものへと変貌させ、オブリビオン・ストームを吹き荒れさせる。
 髑髏の鎧が辛うじて人型を保つものであった。
 恐るべき力の奔流である。これまで猟兵たちが散り散りにして燃やし、水の刃でもって切り裂いても尚、『ドクター・オロチ』は己の力を発露させる。

 オブリビオン・ストームは文明を破壊する力だ。
 全てを過去にする。
 けれど、だからこそルドラは、その瞳はユーベルコードに輝いている。
「死と暴力、皮肉だが、最も貴様には余程ふさわしいと見える。貴様が嵐をどれだけ纏おうと、その嵐を破壊するのが俺の剣であり、使命だ!」
 そう、ルドラは知っている。
 人々は望んでいる。
 全てを失ってもなお、明日を望んでいる。平穏な明日を。なんでもない明日を。ただ、朝日が昇り、嵐が過ぎ去るのを望んでいる。

 ならば、己は嵐の体現者。
 そして、その嵐を破壊するものである。
 破壊の目醒め(マハーカーラー)は、偽神細胞が導き出した答えである。
 此処にあるのは救世主でもなければ、嵐を司る者でもない。
 オブリビオンのは会社。
 嵐さえも喰らう破壊そのもの。
「それは寿命を削るでしょ! ムシュムシュ! 君の寿命がどれだけのものかしらないけれどね! ムシュ!」
 ルドラの行いを『ドクター・オロチ』は嗤う。
 人は己のためにこそ戦う者であるべきであったからだ。『ドクター・オロチ』は己の目的のためにあらゆる犠牲を払う。
 己の体を構成しているオブリビオン・ストームすらも捨て去ることができる。

 けれど、ルドラは、いかなるものも取りこぼさない。
 マシンスーツが告げる。己のリミッターを解除する。限界を超える。羅喉の刃は可変し、二刀へと姿を変える。
「チャンドラー・エクリプス変形開放!」
 振るう斬撃は逆巻く嵐のストームブリンガー。
 そして、死の宿命を刻むデスブリンガー。
 運ぶ者。
 その嵐は、『ドクター・オロチ』の放つオブリビオン・ストームすらも喰らい尽くす。相殺される嵐と嵐。

「相殺したって、ボクの力は弱まることはないムシュ! 君は徒に寿命を削っただけ!」
 放たれる暗黒の竜巻がルドラを襲う。
 だが、二振りの剣は再びオブリビオン・ストームを喰らう。
 逆巻く風は爆発的に増大した戦闘力で持って、黒き竜巻を切り裂いて白星の如きルドラを押し出す。
「例え滅びが必定なのだとしても、それが未来であるのだとしても。俺はそれを破壊してみせる」
 ルドラは咆哮する。
 死の宿命を刻むデスブリンガーの斬撃が『ドクター・オロチ』に叩き込まれる。

 己の生命を賭す行為。
 それは、これまでの彼の戦いの軌跡であった。
 生命の使い所を求めていた。
 どうしようもないほどの現実が襲ってきても、その度にルドラは破壊してきた。死と暴力を齎す存在を破壊してきた。

「どうしてそこまでするムシュ! キミには関係のない人ばっかりなのに!」
『ドクター・オロチ』は何処まで行っても利己でしか動かない。
 けれど、ルドラは違う。
「俺がこの世界に生まれ、貫き通すと決めた使命だからだ!」
 放つ一撃が『ドクター・オロチ』に打ち込まれる。
 死の宿命。
 それは逃れ得ぬ滅び。過去の化身であろうとも、破壊する。それがルドラの剣としのて使命であると、此処に示す――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エリー・マイヤー
出ましたねドクター・ムシュシュ。
…あれ?ムッシュー・オロチ?ムシュッシュ・ムシュー?
まぁ何でもいいです。さっさと滅びてください。

さて、オブリビオン・ストームの影響下で長期戦できる気はしませんね。
ここは【アルジャーノンエフェクト】で速攻をかけますか。
普段防御用の残してる分の念動力も攻撃に注ぎ込んで、
ダメージ覚悟で最大威力を叩きつけます。
まずはオロチを中心に外向きの念動力を展開。
真空状態にして呼吸を封じつつ、ストームはがしを試みます。
そしてそのまま念動力でぶん殴ったり四肢を捻ったり首を絞めたりします。
力を使い果たして気絶してしまうまで、
とりあえず思いつく限りの方法で攻撃し続けましょう。



 嵐の一撃が『ドクター・オロチ』の黒き竜巻に変じた体を散らす。
 しかし、その肉体をオブリビオン・ストームそのもに変じた彼の体は再び形をなす。まるで無尽蔵そのものであった。
 髑髏の鎧があって初めて人型であることを認識できるだけで、かの『ドクター・オロチ』を構成する『フルスロットル・ヴォーテックス』の『魔軍転生』による憑装は、驚異的な破壊の力を持って猟兵たちに相対するのだ。
「ムシュシュ! 無駄! 無駄! どれだけやっても無駄さ! ボクはね、諦めが悪いんだよ。だから、こんなところまで出張ってきているし、目的は絶対に完遂するんだよ!」
 アポカリプスヘルにおいて『ドクター・オロチ』が為さねばならなかったことは二つ。
 一つは『フィールド・オブ・ナイン』の残る三柱の探索と勧誘。
 もう一つは手勢を集めることである。

 そのいずれも猟兵たちは為さしめてはならぬと、この『メンフィス灼熱草原』の中心に存在する『影の城』へと集まってきている。
「でましたね、ドクター・ムシュシュ」
「いや、違うからね。混じってるからね、それ。ムシュ」
 冷静なツッコミ。
 此処まで追い込まれていながら、『ドクター・オロチ』は平静そのものであると、エリー・マイヤー(被造物・f29376)は気がついただろう。
「……あれ? ムッシュー・オロチ? ムシュッシュ・ムシュー?」
 エリーは彼の名前を正確に思い出すことができなかった。
 口癖のせいでごっちゃになっているのだろう。

「どれも不正解ムシュ!」
 吹き荒れるオブリビオン・ストーム。
 黒き竜巻は破壊の力。文明一つを容易に破壊しうる力を持って『ドクター・オロチ』は返答とするだろう。
 満ちるオブリビオン・ストームはそれ自体が『ドクター・オロチ』。
 彼の体が不定形であるのは、恐るべき『フィールド・オブ・ナイン』の力の発露といえるだろう。
「まぁ何でもいいです。さっさと滅びてください」

 このオブリビオン・ストームが満ちる戦場にありて、長期戦は不利。
 それをエリーは理解していたし、時間稼ぎを目的とする『ドクター・オロチ』にとって、この戦いは長引けば長引くほどに彼の求めるところは達成される。
 ならばこそ、このオブリビオン・ストーム満ちる戦場で猟兵達を疲弊させていく。
「簡単に滅びるつもりなんてないムシュ~」
「そうですか」
 エリーの瞳がユーベルコードに煌めく。
 アルジャーノンエフェクト。それは彼女の能力を六倍にまで引き上げるユーベルコードである。

 さらに防御に回していた念動力すらも攻撃のリソースに注ぎ込む。
 黒き竜巻が膨張するようにしてエリーに迫る。けれど、エリーは念動力を針のように鋭く伸ばす。
 あの竜巻の中心にあるであろう『ドクター・オロチ』へと己の念動力を届かせる。普段の彼女の念動力であれば、黒き竜巻に巻き込まれて散り散りにされてしまったことだろう。
 けれど、今は違う。
 彼女の能力は今や六倍にまで高まっている。
 そして、防御を捨てている。そんな彼女の念動力をオブリビオン・ストームの破壊の力は、破壊できない。

「ムシュ!?」
「届いた……! その内側から念動力を展開すれば……!」
 エリーの念動力が『ドクター・オロチ』を中心にして外向きに展開される。念動力で展開されたドームは、その内部を真空にする。
「ボクを窒息させようって腹ムシュ? だけど、そんなもの!」
 例え真空になろうとも彼は動く。吹き荒れるオブリビオン・ストームがエリーを襲う。

 エリーは紫煙をくゆらせる煙草を咥えたまま、それこそが狙いであると瞳をユーベルコードに輝かせる。
「真空になるだけじゃない。ムッシュ。あなたからオブリビオン・ストームを引き剥がす。そのために念動力を展開したのですよ」
 体躯そのものをオブリビオン・ストームに変えたのだとしても、髑髏の鎧に覆われた本体はあるはずだ。

 ならばエリーの念動力は、その核たる『ドクター・オロチ』から彼の力であり守りでもあるオブリビオン・ストームを引き剥がすのだ。
 膨れ上がる念動力。
 引き剥がされたオブリビオン・ストームはまた再び戻るだろう。
「そこに隙が生まれる。私が力を使い果たしてしまうまで、付き合ってもらいます」

『ドクター・オロチ』は見ただろう。
 針のように伸ばされた念動力が膨れ上がり、まとまり拳の形をなすのを。
 それが今のエリーの念動力の全てである。
 鉄槌のように叩き降ろされた一撃が『ドクター・オロチ』を人型たらしめている髑髏の鎧に罅を走らせる。
 エリーは己の限界を超えて、その打撃を続ける。
 時間にして二分に満たない。
 けれど、それでも十分だったのだ。『ドクター・オロチ』は無尽蔵なるオブリビオン・ストームをたぐりながらも、本体が存在している。

 それを砕く。
 エリーは渾身の念動力でもって、『ドクター・オロチ』の表情無き無貌なる大脳の顔を引きつらせたのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
……私達を倒して…時間稼ぎ…ね…
…欲張るとろくなことにならないと思うよ…例えばここで倒されるとか…

…【我が身転じて災魔となる】を発動…そして箒に乗ってオロチへと急接近…
…周囲の時間を遅延するから…亡霊の出現までの時間も遅延していく…
…既定秒数が過ぎても亡霊は現れないよ…
…そして黎明剣【アウローラ】に復元浄化術式【ハラエド】を付与した浄化の刃でオブリビオン・ストームを一閃…
…オブリビオンストームから本体と思しき鎧を露出させて…
…遅発連動術式【クロノス】で同時発動させた重奏強化術式【エコー】により強化した無数の光の槍を叩き込むよ…
…これで三度の邂逅だけど四度目はない…ここで滅ぼすよ…



 念動力の一撃が『ドクター・オロチ』を覆うオブリビオン・ストームを引き剥がし、その核たる髑髏の鎧に覆われた彼自身を打ち据える。
『影の城』での戦いは苛烈を極めた。
 黒き竜巻は、未だ周囲に満ちている。
 それら全てが『ドクター・オロチ』である。彼は『魔軍転生』によって憑装させた『フルスロットル・ヴォーテックス』の力を以って猟兵達を時間稼ぎという泥仕合に引き込む。

 時間だけが『ドクター・オロチ』の味方であった。
 時を稼げば、残された『フィールド・オブ・ナイン』の探索も叶うだろう。時は今や猟兵たちの敵であった。
「ムシュムシュ! 此処まで……! こんなに追い詰められるなんてね! あわよくば猟兵を打倒してしまおうとか考えていたんだけれど!」
「……欲張るとろくなことにならないと思うよ……例えば此処で倒されるとか……」
 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は冷静であった。
 彼女の瞳に映る『ドクター・オロチ』は確かに強大な存在であった。
 これまで幾度かの大きな戦いに『ドクター・オロチ』の影があった。暗躍するものを止める術はなかったが、今日此処に置いては違う。

『ドクター・オロチ』の本体と目される『コンクリ塊』が『影の城』にあるという事実。
 これは紛れもない事実である。
 だからこそ、猟兵たちは立ち止まらない。敵が時間を味方につけるというのならば、自分たちはそれすらも乗り越えていくのだから。
「我が盟友よ、結べ、混ざれ。汝は合身、汝は災禍、魔女が望むは流転を阻む悪食の怪」
 飛行式箒にまたがり、『ドクター・オロチ』へと迫るメンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
 彼女の掌にあるのは『時食み』。
 それは己を一時的にオブリビオン化する力。
 己の周囲の時間を喰らう躯魂。それが『時食み』である。彼女はその力を以って、『ドクター・オロチ』と己の周辺にある時間ごと停滞させるのだ。

「時間を食う躯魂ムシュ!? そんな力が……!」
「……そう、だから、そのユーベルコードの意味はない。どれだけ待っても、亡霊は現れない」
 メンカルの手にあるのは黎明剣『アウローラ』。
 復元浄化術式『ハラエド』を付与した浄化の刃が黒き竜巻を切り裂く。破壊を齎すのならば、それを復元する力を持つ術式であれば、黒き竜巻を切り裂くkとができる。

「……その鎧……それが本体だね」
 暗黒の竜巻が渦巻く空にメンカルの遅発連動術式によって編み込まれた重奏強化術式『エコー』によって生み出された無数の光の槍が顕現する。
 髑髏の鎧は『ドクター・オロチ』を人型足らしめる唯一のもの。
 そこにこそ『ドクター・オロチ』の核が存在する。オブリビオン・ストームを吹き荒らし、攻撃にも防御にも転用しているのならば、その中心にこそ敵を打倒すべき一点が存在している。
「ムシュシュ! そうはさせないってね!」
 ユーベルコードを封じられた『ドクター・オロチ』にとって、猟兵たちが此処まで自分を追い込むことは想定内ではなかった。

 これまで見てきた猟兵たちは個では当然のごとく過去の化身であるオブリビオンには叶わない。
 けれど、『銀河帝国攻略戦』において見せた猟兵たちの強さは個ではない。
 連なるように連綿と紡がれていく戦いの糸。
 その撚り合わされたものが見せる力は、己達を遥かに超えていくものであった。
「侮ったわけではないムシュ。けれど……!」
 オブリビオン・ストームが切り裂かれていく。
 メンカルの編み出した光の槍は、まるで暗澹たる雲海を切り裂く天使の梯子の如く。

 煌めくユーベルコードは時すら喰らう。
 放たれる光の槍が『ドクター・オロチ』を貫く。
 ひび割れた髑髏の鎧にさらなる裂傷を刻む。
「……これで三度の邂逅だけど四度目はない……此処で滅ぼすよ……」
 因縁は断ち切る。
 その思いを乗せた光の槍の一撃を持ってメンカルは、『ドクター・オロチ』の体を『影の城』へと叩きつけるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ツキカ・アシュヴィン
話には聞いとったけど気味の悪いやっちゃな!
(直接会うのは初めて)
これ以上、ウチらの生きとる世界を引っ掻き回させはせぇへんで、覚悟しぃや!

『妖星、万里を滅す』発動、呼び出したプラズマライフルをリミッター全解除して撃ちまくるで!
敵のユーベルコードで援軍が来るまで…長く見積もっても三分ってトコやろから、それまでになるたけダメージを稼ぐつもりや。

充分ダメージが与えられんまま増援のレイダーが来てまっても諦めへん。
【ダッシュ】して敵の狙いを避けたりプラズマライフルでレイダーを攻撃しつつ、オロチを見失わんよう居場所を随時確認、射線が通り次第【スナイパー】で撃ち抜いたるで!



「話には聞いとったけど、気味の悪いやっちゃな!」
 ツキカ・アシュヴィン(星追いの渡り鳥・f24375)は黒き竜巻が吹き荒れる『影の城』の中を走る。
 彼女にとって『ドクター・オロチ』との邂逅はこれが初めてである。
 聞き及ぶ彼の姿は悍ましき姿であった。
 大脳の如き頭部。
 子供のような体躯をしていながら、溢れうるのは無邪気ささえ感じさせる悪意。そのどれもが世界に危機を齎すものであったし、これを止めねば『アポカリプス・ランページ』を制し、明日をもたらした戦いが無意味になってしまう。

 だからこそ、ツキカは走る。
「これ以上、ウチらの生きとる世界をひっかき回させはせぇへんで、覚悟しぃや!」
 彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
 妖星、万理を滅す(フォーマルハウト・アウェイクニング)。それは彼女にとって奥の手であった。
 謎の超技術製プラズマライフル。
 その由来すらツキカは知らない。けれど、呼び出した武装でもって『ドクター・オロチ』を打倒しなければならない。

 今や、『ドクター・オロチ』は猟兵たちの攻撃によってオブリビオン・ストームによる防御を引き剥がされ、その本体ともいえるであろう髑髏の鎧に覆われた体躯をさらけ出している。
「ムシュムシュ! ボクはボクの目的のためにやっているだけムシュ。邪魔をして引っ掻き回しているのはソッチのほうだと思うな!」
 吹き荒れるオブリビオン・ストーム。
 その内部がうごめいているのをツキカは見ただろう。そこにあるのはレイダーの亡霊たち。未だオブリビオン・ストームより溢れることはないが、時間が立てば必ずやツキカを蹂躙するであろう亡霊たちの数は尋常ならざるものであった。

「リミッタ全解除!」
 ツキカはプラズマライフルのリミッターを排する。
 加減は出来ない。威力、射程強化用の出力リミッターを全ての封印を解除し、引き金を引く。
 恐らく、三分後にはツキカはレイダーたちの亡霊によって攻撃されるだろう。
 だから、今のうちに『ドクター・オロチ』に打撃を与える。放たれるプラズマの火球が『ドクター・オロチ』を打ち据える。
 まだ足りない。
 引き金を引く。指がしびれる。高威力の火球は放たれる度に、ツキカの寿命を削る。
 体ではなく魂が痛むのを感じたことだろう。
 
 けれど、アポカリプスヘルに生きる人々の多くがそうであったようにツキカは諦めない。
 諦めてはならない。
 なぜならば、明日を望んでいるからだ。
「無駄無駄! どれだけ、その火球が強くってもね! ムシュムシュ! 君の運命は変わらないよ!」
『ドクター・オロチ』が嗤う。
 火球は確かに強力だ。けれど、吹き荒れるオブリビオン・ストームは無尽蔵だ。過去を排出して時間が進むように、時が進めば『ドクター・オロチ』の力は戻っていく。
 それがオブリビオン・ストームの恐るべきところである。
 どれだけ消耗させても、本体を貫けなければ『ドクター・オロチ』は再び復活する。

「だからってなぁ!」
 諦めることはしない。してはならない。ツキカの瞳がユーベルコードに輝く。
 三分が過ぎていた。オブリビオン・ストームの中から亡霊のレイダーたちが溢れ出す。
 まるで大波のようにツキカに襲いかかる。
 けれど、それらを切り裂くのはプラズマライフルの火球であった。ツキカは生きることを諦めない。
 走る。
 走る。
 決して立ち止まらない。これまで人々がか細い明日の光を求めて手を伸ばしてきたように。彼女もまた生きることに諦めという言葉を持たせない。

 大波のような亡霊レイダーたちを切り裂いてツキカは『ドクター・オロチ』へと走る。
「まだ遠い……やけど!」
 見えた。
『ドクター・オロチ』の髑髏の鎧。
 ツキカは見据える。これが最後の一射となるだろう。これまで積み上げてきた研鑽がある。生きるために必要なこと。
 それは強さだ。
 けれど、同時にそれだけではないことを知っている。人は弱い。けれど、負けるようには出来ていない。

 ツキカ一人では荒野を生きることはできなかった。だから強さがいる。そして、強さだけでもダメだったのだ。
 人と人とが手を取り合うように、優しさこそがツキカの今を突き動かす。
 引き金を引いた瞬間、プラズマライフルから放たれた火球が『ドクター・オロチ』へと吸い込まれていく。
「ウチの、ウチらの勝ちや――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
銀河皇帝や黒白の騎士達のみならず
貴方の積み上げた因縁と悪行は数え切れぬようで

時間稼ぎなどさせません
その企み、今度こそ断たせて頂きます。ドクター・オロチ!

格納銃器を連射しつつ、放たれるストームを盾で受け止め剣で切り裂きオロチへ接近

攻撃に弾丸の防御、更には後退の補助
無限のO・ストームは時間稼ぎにも最適と?

ですが、如何に過去が無限量でも…それを出す蛇口には限度あり
其方の能力を超えずして何が騎士か!

盾を放り怪力で己の胴からコアユニット抉り出し
片手で握る電脳禁忌剣にて電脳魔法陣の仮想砲身をコア前面に展開

必ずやその所業、清算して頂きます
御覚悟を!

全駆動エネルギー込めた砲撃でストームごと一切合切吹き飛ばし



『銀河帝国攻略戦』の折に現れた『ドクター・オロチ』。
 その存在は暗躍を示していた。
 銀河皇帝や黒騎士、白騎士は言うに及ばず。
 積み上げた因縁は宿業となりて、猟兵達との間に因果を結ぶ。
 それが善行であったのならば、猟兵達との間に因果は結ばれなかっただろう。けれど、『ドクター・オロチ』の為してきたことは全てが悪行であるように思えた。
 正義と悪とは、常に反転するものである。

 立場を変えれば正義も変わるものである。
 けれど、世界の悲鳴を聞く猟兵にとって、人の営みを根底から破壊する行いは許されざる行為であったことだろう。
 だからこそ、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は数多の猟兵が切り開いた道を走る。
「時間稼ぎなどさせません。その企み、今度こそ断たせていただきます。『ドクター・オロチ』!」
「ムシュ! 土台無理な話さ! 君たちは確かにこれまでボクを打倒してきただろうさ。ボクより強い敵を倒してきただろう。けれど、今、ボクは此処にいる。その現実は変えようがないムシュ!」

 そう、『ドクター・オロチ』の言う通りであった。
 これまで幾度か『ドクター・オロチ』の存在と猟兵たちは邂逅してきた。打倒してもきた。
 けれど、こうして三度目の邂逅を果たしている。
 復活するのだ。過去の化身であるからこそ、『ドクター・オロチ』と猟兵たちの戦いはいたちごっこのようでもあった。
 格納銃器から放たれる弾丸がオブリビオン・ストームに叩き込まれる。
 けれど、猟兵たちの打撃で散ったはずのオブリビオン・ストームは再び『ドクター・オロチ』へと集結する。

 その中心たる髑髏の鎧は、猟兵たちの打撃によって罅と亀裂を大きくしている。後ひと押し。
 それでもまだ足りない。
 迫りくる黒き竜巻を立てで受け止め、剣で切り裂く。
 けれど、破壊の力を齎す黒き竜巻は、トリテレイアの剣を砕き、盾すらひしゃげさせる。
「無駄だよ! ムシュシュ、オブリビオン・ストームは文明すら破壊してみせるんだからさ!」 
 溢れるオブリビオン・ストームはトリテレイアを弄ぶように吹き荒れ、その躯体を打ち据える。
 機体装甲がひしゃげていく。

 けれど、トリテレイアのアイセンサーは揺らぐことなく輝き続けていた。
「無限のオブリビオン・ストームは時間稼ぎにうってつけなのさ!『フルスロットル・ヴォーテックス』を『魔軍転生』によって憑装させたのは、このためさ!」
『ドクター・オロチ』は嗤う。
 どれだけ猟兵たちが紡ぐ戦いをするのだとしても、過去のように無限に湧き上がり続ける黒き竜巻を猟兵たちは排除することができない。

「ですが、如何に過去が無限であろうとも……それを出す蛇口には限度があり、其方の能力を超えずして何が騎士か!」
 ひしゃげた盾をトリテレイアは放り捨てる。
 自暴自棄に成ったと『ドクター・オロチ』は判断しただろう。けれど、トリテレイアのアイセンサーは煌き続けている。決して歪まず、折れず、そして潰えることのない輝きが其処にはあったのだ。

 ひしゃげた腹部装甲を引き剥がしながらトリテレイアは己のコアユニットをえぐり出す。
 その手には電脳禁忌剣。直結されたコアユニットから膨大な駆動エネルギーが噴出し続けている。
「必ずやその所業、精算して頂きます」
 漲るユーベルコードの輝き。
 仮想砲身が展開されていく。電脳魔法陣に寄る砲身は、その砲口を黒き竜巻を障壁として重ねる『ドクター・オロチ』へと向けられていた。

「――ッ!」
「御覚悟を!」
 禅駆動エネルギーを込めたコアユニット直結の機械騎士の電脳炉心砲(コアユニット・バスター)。
 その煌きは暗黒の竜巻すら切り裂き、一直線に光条を走らせる。
 如何にオブリビオン・ストームが無尽蔵なんれど、トリテレイアの放つ光条の一撃は容易く吹き飛ばしていく。
 今のトリテレイアにあうのは騎士としての矜持。それ以上に、明日を望む荒野を生きる人々の願いを受けた、誰かのための騎士であるという誇り。

 その誇りをこそ『ドクター・オロチ』は甘く見たのだ。
 故に、黒き竜巻は切り裂かれる。
 後に続く者達のためにこそ放たれた一撃は、『ドクター・オロチ』を確実に追い込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

ぱーちぃたーーーいむっ!!
まあこの世界も色々あって一区切りくらいは着いたのもいいけれど…
でもちょっと寂しくもあるかな
だって嵐のように車やバイクが飛び交うのも楽しかったもの!
さぁ最後の荒くれパーティをしよう!

●際限なき暴走の後夜祭(有限)
UC『神の鏡像』でもってボクの分身から際限なく過去のレイダーくんたちを呼び出していって大パーティ!これが最後だよみんな愉しめ~~~~っ!!
そしてボクの【第六感】が冴え渡る!
あ、例のブロックってあっちだね?ほらあのあたり!と指差してドクターくんをからかおうっと

フフーン、タダのコンクリブロックなんて芸が無いよね
まずはピンクに塗って~~♪♪



 凄まじき光条の一撃がオブリビオン・ストームを薙ぎ払い、『ドクター・オロチ』の核たる体を打ち据える。
 焼け焦げた大脳の如き頭部が鳴動する。
「ムシュムシュ。これはたまげたね……無尽蔵たる過去。オブリビオン・ストームすらも吹き飛ばしてくるとは……でも、耐えた……!」
『ドクター・オロチ』にとって必要なのは時間だけであった。
 時間を稼げば、『フィールド・オブ・ナイン』の残る三柱の探索は叶う。それが叶わなくとも、集めた手勢をもって引き上げることだってできるだろう。

 肝要なのは己の本体である『コンクリ塊』を猟兵に奪われないこと。
 今回という機会が喪われても、それさえ残っているのならば、再起は可能なのだから。
 けれど、そんな思惑を切り裂く声が響き渡る。
「ぱーちぃたーーーいむっ!!」
 それはロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)の一声であった。
 彼は暗黒の竜巻を切り裂きながら、無数の分身とともに戦場たる『影の城』へとなだれ込んできていた。
 神の鏡像(ゴッドシャドー)たるユーベルコード。
 それは彼が受け止めたユーベルコードをコピーし、自身から放つことのできる力である。

「まあこの世界も色々あって一区切りくらいはついたのもいいけれど……でもちょっと寂しくもあるかな」
 ロニにとってアポカリプスヘルの荒廃した世界は、人々の信心を集めるには最適であったのかもしれない。
 それ以上に彼は嵐のように車両やバイクが飛び交う光景は楽しいものであったのだ。
『ドクター・オロチ』を撃退すれば、一時とは言え平穏が訪れる。
 そうすれば、あの嵐のような騒々しい時間も鳴りを潜めるだろう。
 それはきっとロニにとって寂しいという感情を想起させるには十分なものであったのだ。
「さぁ最後の荒れくれパーティをしよう!」

 その言葉と共にロニはオブリビオン・ストームより現れる亡霊レイダーたちを受け止める。
「これが最後だよ、みんな愉しめ~~~~っ!!」
 迸るように分身のロニより放たれる亡霊レイダーたち。
 タイムラグはあるものの、無数の分身たちから放たれるレイダーたちは、次々と戦場に満ちていく。

 それは彼の言葉通り荒れ狂うような乱痴気騒ぎそのものであったことだろ。
「あ、例のブロックってあっちだよね? ほらあのあたり!」
「そうやって注意を引きつけようたって、そうは行かないムシュ!」
「フフーン、ただのコンクリブロックなんて芸がないよね。手に入れたら、まずはピンクに塗ってあげるからね!」
 ロニに笑う。
 だって、楽しいのだ。言ってしまえば、今はパーティ。
 最後のパーティなのだ。盛大に盛り上げなければ意味がない。どれだけ『ドクター・オロチ』が呼び出す亡霊レイダーたちが膨大なものであっても、ロニだって負けては居ない。

 これまでアポカリプスヘルで紡がれてきた物語は、ロニにとって、どれもが得難いものであったことだろう。
 悲しみを吹き飛ばすことができるのは楽しさだけだ。
 だから笑えばいい。
 ロニは笑って戦いに赴く。
 どれだけ厳しい現実、いつか時が過ぎ去ってしまえば、悲劇だって喜劇に変わることだってあるだろう。
 だから、ロニは言うのだ。
「ドーンッ!」
 溢れるようにロニから飛び出す亡霊レイダーたちの群れ。次々と激突して霧消していく。
 
 まだまだ戦いという名のパーティは終わらない。
 果のないかのような戦いにも終わりは来る。オブリビオン・ストームは猟兵達によって徐々に引き剥がされる。
『ドクター・オロチ』の暗躍は今日此処で終わらせる。
 そのために集ったのだし、ロニは最後にこそ豪勢な花火を打ち上げようと、その力の発露を持って『ドクター・オロチ』を乱痴気騒ぎの坩堝へと引きずりこむのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

遠野・路子
影の城……メガリスは既に無く、能力者も弱体化している中で
この影の城はどうやって造られた?
昔から在ったモノだとしたら
主人と主人が招いた者しか入れないはず
もしかしてメガリス破壊効果も弱体化している……?

いや、推察は後
今はまずドクターオロチを倒す

今のあなたと戦うならばこれ以上のユーベルコードは無い
【ヘヴンリィ・シルバー・ストーム】
例え世界が違おうとも『銀色の雨(シルバーレイン)』があなたを討つ
死してなお戦わされる亡霊達
あなた達も銀色の雨で還してあげる

銀色の雨の世界から飛び出したが故に
あなたは銀色の雨から逃れる術を持たない
コンクリ塊の中にお還り
そこで大人しくしていればよかったのに、ね



『影の城』――それはメガリス破壊効果。
 そのことを知るのはシルバーレイン世界出身の猟兵たちであった。メガリスとは所持し、破壊することによって種族の効果を得ることができる凄まじき品々。
 今、アポカリプスヘルの『メンフィス灼熱草原』に在りし『影の城』は『ドクター・オロチ』によって生み出されたものであるとするのならば、それは遠野・路子(悪路王の娘・f37031)にとって不可解なことでもあったのだ。
「……メガリスは既に無く、能力者も弱体化している中で、この『影の城』はどうやって造られた?」
 破壊効果は、その種族固有のものであったはずだ。

 路子は首をかしげる。
 気になったことはどうしても、気になってしまう性分なのだろう。
 猟兵たちにとってメガリスとは他の世界由来のものであった。だから、メガリス事態を破壊して得られる効果など知るべくもない。
 もしも、このアポカリプスヘルにおいて『影の城』が元よりあったものならば、主人と主人が招いた者しか入ることが出来ない。
 ならば、メガリス破壊効果もまた能力者が弱体化したのと同じように弱体化しているのではないかと彼女は推察したのだ。

「待って。推察は後」
 今は、と路子は溢れる黒き竜巻に包まれる『ドクター・オロチ』の姿を見上げる。
 その奥には亡霊レイダーたちが蠢いている。時間が立てば、それらが路子を襲うだろう。
 そうなっては数の不利はいなめない。
「今はまず『ドクター・オロチ』を倒す」
「無理さ。どれだけボクを追い詰めたってね! ムシュシュ!『悪路王の娘』!」
 吹き荒れるオブリビオン・ストーム。
 それは『魔軍転生』によって憑装した『フルスロットル・ヴォーテックス』の力でもあった。

 人類史の終点。 
 死渦。その力は、あらゆる文明を破壊するだろう。人の明日を踏みにじる力であると路子は感じたことだろう。
 あらゆる文明の到達する先を定め、滅びという名の暴力でもって蹂躙する力を路子は認めない。
 己の心が言うのだ。
 あれは過ちであると。ならばこそ、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「例え世界が違おうとも『銀色の雨(シルバーレイン)』があなたを討つ」
 ヘヴンリィ・シルバー・ストームがオブリビオン・ストームとかち合う。銀色の雨が戦場に満ち、万色の稲妻が『ドクター・オロチ』を穿つ。

「死してなお戦わされる亡霊たち」
 亡霊レイダーたちは、この世界の残滓だ。
 彼等は欲望のままに戦い、そして死んでいったものたちだ。文明が荒廃し、人と人とが支え合わなければ生きていけない世界に成っても尚、他者から奪うことをやめられなかった者の末路。
 故に、路子は銀色の雨の降りしきる中、一人立つ。

 いや、一人ではない。
 たった一人で戦い抜くことなどできはしない。彼女が定めた路は多くの者達と共に歩む路である。
 誰もが求める明るい未来。
 手を伸ばし、求めてやまぬ未来。かつて、己の先達たちが掴んだ路の先。その光を路子は求める。
「銀色の雨の世界から飛び出したがゆえに、あなたは銀色の雨から逃れる術を持たない」
 放たれる万色の稲妻が亡霊レイダー達を貫き、霧消させながら『ドクター・オロチ』へと迫る。

 髑髏の鎧に覆われた躯体こそが『ドクター・オロチ』の核。
 その核は猟兵達によって罅と亀裂を刻まれている。万色の稲妻が、その亀裂へと走り、其の内部に在りし『ドクター・オロチ』の核を穿つのだ。
「……――ッ! まだ、ボクは諦めきれないムシュ! だって、此処には」
 己の本体があるのだろう、と路子は踏み出す。
 その邪悪なる目論見は全て打破する。路子の見つめる路の先は其処につながっているのだ。

「コンクリ塊の中にお還り。そこでおとなしくしていればよかったのに、ね」
 何もかもが手遅れになるのだとしても。
 それでも其処にこそ『ドクター・オロチ』の安らぎはあったのかもしれない。
 だが、誰かを害することを決めた時、それは最も遠きものとなるだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱鷺透・小枝子
ドクターオロチ…終局、フルスロットル。
猟兵を阻むなら、また壊してやる…!!

『戦塵・偽神断頭』
夥しい出血と、赤黒い皮膚に鋭利な爪、デミウルゴスが如き異形へと変化。
そして、オブリビオン・ストームを喰らい裂き、壊す為の剣を創造する!

貴様が、オブリビオン・ストームそのものなら!
自分はそれを切り裂くストームブレイドだ!!

オーバーロード!!
【継戦能力】偽神化の、絶命に至る激烈な拒絶反応をより強い【闘争心】で超克。異形の、偽神の【怪力】で大剣・偽神断頭剣を振るい、【呪詛】偽神細胞となった霊物質が撒き散らされ、周囲を大地を偽神細胞で汚染。
【エネルギー充填】偽神細胞汚染空間内のオブリビオン・ストームを喰らい、剣を巨大化させる。

今更その程度の暴力でッ…!
自分を、猟兵達を!!止められると思うなぁァアアアアア!!!

人工魔眼の【念動力】で大剣の重量を軽減し【早業なぎ払い】
【斬撃波】に偽神細胞を載せて汚染空間を広げ、オブリビオン・ストームを喰らい尽くす為、オロチにこの剣を、直接叩き込んで断頭する為に振るう!!



 万色の稲妻が『ドクター・オロチ』の髑髏の鎧に刻まれた亀裂へと走る。
 その一撃は彼の本体へと力を届かせるには十分であった。
 数多の猟兵たちが刻み、追い込み、消耗させてきた『ドクター・オロチ』の肉体は限界に近づいていたことだろう。
 しかし、これで終わりではない。
 彼にとって一度の滅びは、二度と戻ることのできない滅びではない。
 過去の化身であるからこそ、何度でも蘇る。本体さえ確保できているのならば、『ドクター・オロチ』にとって一度の滅びはなんてことのない通過点にしか過ぎないのだ。
「本体はまだ残っているムシュ! なら――!」
 そう、何度でも。
 何度でも、己の目論見のために、目的を果たすために暗躍を続ける。

 此度は猟兵に補足されてしまった。
 次はうまくやればいい。
 けれど、それを許さないのが猟兵である。
「『ドクター・オロチ』……終局、フルスロットル」
 猟兵たちは己たちの道を阻む者ではなく、世界の危機を齎す者達を打倒してきた。そして『ドクター・オロチ』が、世界に、人々の危機をもたらすのならば、朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は躊躇いから程遠い存在であった。

 己の生命を使う。
 己が兵士であるから。ゆえに守らねばならないものが在る。破壊しなければならないものが在る。
 壊さねばならない。
 何度でも蘇るというのならば、何度でも壊す。
「ァァアアアアアア!!!」
 咆哮が轟く。
 それは、戦塵・偽神断頭(テオギロティナ)。凄まじい痛みが小枝子の中に走り抜ける。拒絶反応。
 偽神化による拒絶反応である。それは夥しい出血と、皮膚を変色させる痛み、そして鋭利なる爪。

「それはデミウルゴスの……! 偽神細胞ムシュ!?」
『ドクター・オロチ』にとって、それは生命を削るものであると知っている自殺行為そのものであった。
 己のように何度も復活できるのならばともあれ、小枝子の尋常ならざる出血はそれだけで戦闘不能に陥るものであったはずだ。
 けれど、小枝子は咆哮する。
 異形に姿を変えても、その破壊の意志だけは変わらない。
 迫りくるオブリビオン・ストームうらも食い破るように爪が引き裂き、偽神細胞による変異によって生み出された大剣が煌めく。
 それは切っ先のない剣であった。

 丸められた刀身の先端。
 それは突きを想定しないものであった。断頭のための剣。即ち、処刑人の剣である。全てを断ち切るためにある大剣はユーベルコードの煌きを受けて、小枝子の痛みを発露させる。
「貴様が、オブリビオン・ストームそのものなら! 自分はそれを切り裂く――」

 ストームブレイド。

 そう、世界を救うために生み出された者たち。
 痛みと嘆き。
 偽りの救世主。
 されど、その痛みは偽物などではなかったのだ。痛みはすでに体の許容を超えている。小枝子はユーベルコードの向う側にある光を見た。
 超克。
 オーバーロードの輝きを標に小枝子は走る。激烈にして苛烈なる痛みが体の中を走り抜ける。
「ァァアアアアア!!!」
 咆哮が迸る。拒絶反応は、闘争心で抑え込む。いや、乗り超える。大剣を掲げ、その一閃がオブリビオン・ストームを切り裂く。
 叩き伏せられた大剣が大地を割り、迸る偽神細胞が大地を汚染していく。それは地に満ちるオブリビオン・ストームすらも侵食するものであった。

「オブリビオン・ストームをエネルギーに変えているムシュ!? こんなことが!」
 エネルギーが足りないというのならば、喰らえばいい。
 大地を侵食し、過去を侵食し、あらゆるものを喰らう力。
 それが偽神細胞のもたらした力であるというのならば、小枝子は叫ぶのだ。
「今更その程度の暴力でッ……!」
 煌めくオーバーロードの輝く。
 標は其処に在る。いつだって己が超えなければならないのは、己自身である。
 超克とはそういうものだ。

 己の真なる姿をも乗り越える。
 そのために在る力だ。その輝きを小枝子は何度も見てきただろう。己の中に、他者の中に。
「自分を、猟兵達を!!」
 いつだって標は在る。
 己の中にも、他者の中にも。ゆえに、超えていく。
 迫る暗黒の竜巻。
 文明すら破壊せしめるオブリビオン・ストーム。

「止められると思うなぁァアアアアア!!!」
 人工魔眼が燃える。
 念動力が迸り、侵食し食らったエネルギーを受けて質量の増した大剣を振るう。
 斬撃波は偽神細胞と共に空間を汚染し、オブリビオン・ストームを切り裂き食らっていく。
 走る。
 一歩踏み出す度に痛みが神経を破壊していく。
 けれど、これは己だけの力ではない。他者があったからこそ踏み出すことのできた一歩であると知る。

「――、こんなっ、終わりが!」
 振るう一撃は断頭の一撃。
 髑髏の鎧が猟兵たちの打撃を受けて砕け散った瞬間、その『魔軍転生』の憑装は霧散する。
 人型となった大脳の如き頭部。
 そこへ振り下ろされる一撃は、過つことのない断頭剣。

 嵐の中に一塊が回転しながら飛んで大地に落ちた。
 それは猟兵たちが為した『ドクター・オロチ』との因縁を断ち切る一撃。
 嵐が過ぎ去った後、残るは暗雲を切り裂く光の梯子。
 明日を望む人々の手に、再び掴まれることを望む光こそが、荒廃した世界に差し込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年04月21日


挿絵イラスト