Decisive battle/PANZER
●わんわん!
燃え盛り続ける黒炎が、風に揺れて盛る。
メンフィス灼熱草原――黒い炎に覆われた死の土地だ。
「……では、ついに行動に移すと」
「うん!とっておきの風魔忍法をお願いするね!」
スーパー戦車を秘術『魔軍転生』でドクター・オロチは自分に憑依させた結果――なんだか口調が可愛らしくなっている。
「拙者の叶うことならば、全力の『百面鬼の術』にてお相手仕ろう」
オブリビオンを『面』として奪い添える忍者が御意と返答する。
「わんわん!なんと、戦闘の方法からなにからなにまで任せてあげるね、頼んだよ!」
「……して、その口調で本当によいのか?」
「ムシュ~勿論だよ!なにがどうおかしいっていうのさ!」
●光の道を我がもとに
「アポカリプスヘルを侵略しようと活動していたドクター・オロチと、今度こそ決着をつけようじゃないか」
狼姫・荒哉(吹雪謳う爪牙・f35761)は笑う。
ようやく見つけた、と獲物を追い詰める絶好の機会に。
「俺達猟兵の猛攻は、オロチにとっていいことがなくてね。そろそろ軍勢ごと纏めて撤退しようとしていたようなんだ」
オロチに付いた配下達、オロチ、風魔小太郎。
軍勢が何処に巣食うのかをついに突き止めた。
「今も尚燃え盛り続ける"メンフィス灼熱草原"の中心に、漆黒の"影の城"の姿を見つけたんだ」
かげのしろ。大きな影のような場所。
沈み込むように踏み込めば、きっと立派な暗闇の中の城を見つけられる。
ありとあらゆるものがゆらめきたつ城だが、それだけだ。
地下も含めて黒い炎が燃える全域の影の中に"その城はある"。
「中心部だよ。そこにあるって、わかってねー。だからさ、もういっそのこと乗り込もう、って?物理突撃ってやつさ」
いい考えでしょう、といいたげな荒哉は至って真面目。
「……そう、だね。オロチと"影の城"はきっても切れない間柄なんだ。今でもコンクリートなんか嫌いでしょう」
だから、城の中に"コンクリ塊"なんてあってみろ。
地縛霊よろしく遊び回ってるオロチがようやく、何度も復活してきたからくりを封殺出来るかも知れない。昔々、敵対した異形を石化させ身体をバラバラに破壊した後、生存の可能性を考慮した上でコンクリートで固め、ばらばらの場所に埋めた学園があるらしい。
「俺達、銀誓館学園の学生としては、影の城を迅速に襲撃することの方が意味があると思うんだよ。『本体』を、守りきれなきゃ今度こそオロチの負けさ」
ふふふ、と人狼騎士は笑う。
「でも一筋縄ではいかないね。『風魔小太郎』が化けた複数の人影が君たちを道を阻むだろうから、君たちはなぎ倒してでも進まないといけない」
いつか写し撮った『面』は楽園を謳う教団の使徒見習い。
黒き死の炎が燃える血を遍く総てを幸福の約束された地だと教えを説き、語る。猟兵達にもまた、手を差し伸べて複数人で集まって聖女のように微笑み、勧誘を試みる。
「大地が死の炎で蝕まれた地に、楽園が如き明るい光が照らすのさ――『スーパー戦車』の持つ能力【スーパー戦車砲】によって。『スーパー戦車砲から超正確な長距離砲撃を放ち続ける』ファイナルウェポンとしてね。それはそれは、白い光があふれると思う!」
つまり、集団敵は――ほぼ確実に聖なる光の雨を何処までも広範囲に降り注がせるだろう。聖なる光が強すぎて、眩しいかもしれない。
「ふふ、君たちはそういう規模の大きな攻撃の対処も得意でしょ?」
光在る所に濃い影は生み出される。
風魔小太郎を倒し、影の城まで踏み込んでしまえば、こちらのものさ。
タテガミ
このシナリオは『最終決戦シナリオ』。
二章編成のシナリオとなります。
●冒頭に置く勝利条件。
成功本数が20本に達した日(達成日)で結果が変わるようです。
5月1日午前中まで:ドクター・オロチを完全撃破し、影の城からオロチが何度でも蘇っていた原因とみられる「コンクリ塊」を回収、猟兵達で保存します。
5月15日午前中まで:ドクター・オロチを撃退し、何も持ち帰らせません。
それ以降:ドクター・オロチは、すんでのところで残る3体のフィールド・オブ・ナインを発見します!そのうち2体を連れ帰り、1体をアポカリプスヘルに残していきます。
●一章
小太郎の化けた集団敵。行く手を遮ります。
集団敵は、【スーパー戦車砲】の力を搭載しています。
ユーベルコードとは別に、スーパー戦車砲から超正確な長距離砲撃を放ち続ける為、攻撃を選ばせるとなんかすごい射程が伸びます。
プレイングには、ユーベルコードとは別に光の光線(聖なる光によるビーム)による対処などがあるといいかもしれません。
●二章
影の城に踏み込んだあと、城の中で待ち受けているドクター・オロチとの戦闘です。
秘術「魔軍転生」でスーパー戦車を憑装している影響か、なんか可愛らしい口調を搭載しています。わんわん。
●その他
一章の断章は特にありません。受付はそのまま開始します。
状況は、変身後の集団敵と出くわした戦闘から始まります。なにかあれば、タグに表記しますが、採用は無理のない範囲で行う場合があるかもしれません。
第1章 集団戦
『使徒見習い』
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POW : 憑装:楽園への使者
【聖祓杖「アルカディア」】に封じた【天使】と合体し、あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になる。ただし解除時にダメージを全て受ける。
SPD : 加護:楽園の天秤
【聖祓杖「アルカディア」】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、聖祓杖「アルカディア」から何度でも発動できる。
WIZ : 加護:楽園の光輝
戦場全体に【楽園に至る聖なる光】を発生させる。敵にはダメージを、味方には【楽園の加護】による攻撃力と防御力の強化を与える。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
四軒屋・綴
聖なる光の光線、か。
呪いの言葉"ユーベルコード"を使う俺たちに、それは悪手と言うものだ。
ユーベルコード発動ッ!『冷気の嵐』を生み出し前方へ全力放出ッ!!
聖なる光の光線、それが光線である以上物理法則には抗えないッ!
冷気によって生まれる微細な結晶は光を乱反射させ拡散し、冷気はそのものがビームとしての熱量を奪い、なにより視界をゼロに閉ざすッ!
この撹乱幕に乗じて突撃ッ!二本の脚に『ジョークコート』の推進力を乗せてダッシュで突っ切るッ!!
勢いのままに顔面を掴み、そのまま地面に叩きつけるッ!
回復とダメージを生命力の吸収で相殺ッ!衝撃波と高熱を零距離で放射し止めだッ!!
●黒の中で輝ける光を
「あれこそが聖なる光の光線、か……」
杖を掲げ、複数人で輝ける光を放つ教団の娘たち。
力を補い合っているのか、複数の存在が手を取り合って光を放つ。
超正確な超長距離砲撃だ、当てると思い描いた対象へ必ず"当たる"。
「厄介なシステムを……しかしッ、しかしだ!呪いの言葉"ユーベルコード"を使う俺たちに、それは悪手と言うものだ!」
四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)は唸る。
呪いを払う聖なる加護を与える彼女たち。
『此処は楽園となるのです。皆様も、共に至りましょう――楽園へと』
輝ける光に目が眩む者も居るかもしれない。
だが綴が選ぶのは、ユーベルコード発動だ。
「属性確認ッ!形状設定――クリア!」
掲げた右手から迸るナノマシンの奔流が作り出すのは、冷気の嵐。
前方へ全力放出し、光と炎を遮蔽し、進む。
此処に――混然列車(イマジネイトレイン)は成った。
『止まってください。そして、この楽園の素晴らしさを語り合いましょう』
少女の声が聞こえる。
それも複数。
楽園の加護を自分たちに与え、攻撃力と防御力を上昇させる最強の布陣の中で光の雨が大量に降る――。
大きな力繰るには、大人数が必要だ。少女たちの願い、語りは大勢で発動されて――聖なる光の雨が、戦場全体に降り注ぐ。
「聖なる光の光線!これが光線である限り、物理法則には抗えないッ!」
冷気によって生まれる微細な結晶は、光と対立し――乱反射させて、光量を拡散。
冷気そのものがビームとしての熱量を奪い――威力を分散、弱体化させることで、視界をゼロに閉ざすのだ。
此処に広がるものは、黒い炎の熱量と、冷気の嵐が二重構造。
「視界に広がる撹乱幕のなかでさえ、的確射撃が出来ようものかッ!」
光が仮に損害を齎そうとも!前進、在るのみだと綴は突き進む。
――必ず複数で行動する様を目視したッ!
――ならば、この速度を更に上げて向かうべしッ!
二本の脚にジョークコート……可偏向推進機群を活性化させることで、噴き出す白煙と轟音が鳴り響く。
――速度を増した敵が眼前に迫ると識れッ!
――そして慌てて、行動を起こすが良いッ!
推進力を増加させてダッシュする脚は、次の瞬間少女の眼前に飛び出してみせた。
『……あっ!』
驚いた使徒見習いの顔面を真っ向から掴み、そのまま地面へと張り倒す。
硬直した周囲の娘たちも、同様に制圧――完了。
回復とダメージを同時に行うユーベルコードを自身の生命力吸収効果で相殺。
「まだ息が在るのならッ!祈れ、自身が幸福であると謳いながらッ!」
放たれる零距離での光熱の衝撃波。
放射を間近で受けたなら、加護を語る彼女たちも輝ける聖なる光を放てない。間近で受けた衝撃と熱量に、バタバタと"楽園へと"召し上げられていくだけだろう。
大成功
🔵🔵🔵
柊・はとり
ドクターオロチね…ぶっちゃけ誰か知らんが
随分早いお帰りになったようだな
ざまあ見ろ
ここが楽園?笑えないギャグだ
俺達は例え地獄と呼ばれようが
この故郷を護る為なら何でもやってきた
荒らすだけ荒らして帰れると思うなよ…!
UC発動
敵を睨んで殺気と威圧感を振り撒き
寄ってくる奴らを散らす
それでも俺の手に触れるなら凍るのみだが
あんたらの信仰が通じるかね
敵は剣を地面に叩きつけ地割れに飲ませたり
なぎ払いで纏めて吹き飛ばしつつ
天候を霧に変え長距離砲撃と聖なる光に対処
霧による光の散乱効果を狙って精度と威力を弱め
第六感で直撃を避けながら戦う
命中しても軽減はできるので短期殲滅を意識
俺達を救えるのは俺達だけだ
黒炎の中を駆ける
●造られた楽園は駄作だ
「ドクターオロチね」
スペースシップワールドでなにかした?
アックス&ウィザーズでもバカでかい存在と共に暴れてた?
「……ぶっちゃけ誰か知らんが」
柊・はとり(死に損ないのニケ・f25213)は真面目に一蹴してやった。
どこでも負けを演じた何かが、この地に逃げ果せていた事は識っていたが――。
「だが、此処でも随分お早い強制退去を願われてるらしいな?」
主に決戦だ、と聞いた猟兵達のやる気といったら気持ちよく笑えそうな気がした。
「ったく、ざまあ見ろ」
はやく出て行け、と言いたげだが、実際その通り。
『ではあなたも楽園へと至りましょう』
『我々は楽園を謳う教団”オラシオン”――此処を楽園とするのです』
はとりは、目の前で演説するように謳う彼女たちを笑わない。
此処を楽園だとは思わない、今は戦場。それだけだ。
「笑えないギャグだな」
一蹴する切れ味もまた、健在。
「俺達は例え地獄と呼ばれようが、この故郷を護る為なら何だってやってきた」
『ですから……』
「荒らすだけ荒らしてるのはそっちだって言ってるんだ」
死の土地?勝手に創り上げて何様だこの野郎。
彼女たち――もとい、"面"を被り演じきる風魔小太郎?知るか。
どちらも知らないがそんな事はどうでも良かった。
「タダで帰れると思うなよ……!」
コォオと音が聞こえるよう――。
ユーベルコードを発動したはとりのキツめな睨みは殺気を孕んだ。
威圧的な重さを存分に与え続ける。
「俺の間合いに入れると思うな」
第三の殺人『十三階段峠』(ジュウサンカイダントウゲノサツジン)。
攻撃を軽減させる殺気を放ち続けることで、光の雨だろうがはとりは思考を断った。蒼い炎を纏った姿で、澄んだ色の瞳がギラつく色で輝いている――。
『でも、だって……きゃあ!』
袖を掴んで立ち止まらせて、それから楽園への宗教活動に没頭しようとした使徒見習いを容易く散らす。
散らされた娘はたちまち氷の中に閉ざされる。
「俺の手に触れたな、信仰も氷には負けるってことか」
じゃあそんなのほんとにいらない。
救いにならず。救いに在らず。不必要な勧誘だ。
『み、みんな一斉に加護の力で大人しくさせるのですよー!』
一人では半人前な姿らしく、複数人が固まって攻撃姿勢を取る。
あれはユーベルコードの発動なのだろう、それ以外は通常攻撃として――超正確に当てる攻撃として放たれる。
予想がつく。
「だが、そんなもの発動を待つわけ無いだろ!」
コキュートスが語り出すより疾く、剣を地面に叩きつけて地割れを起こし、はとりは飛び退いた。
『ひゃわぁあ!?』
「固まっているから、そうなる」
なぎ払いようにして、纏めて吹き飛ばしてやれば哀れにも視える。
「――それから、聖なる光とやらは俺には痛そうだしな」
迫り来るだろう輝きにたいして、凍らせる蒼い炎から発生する露による光の錯乱効果を狙い、攻撃的なビーム精度を下げる。
――質量の在る光なら、拡散させてしまえば威力も落ちるだろ。
「避けるまでもないな、突き進む!」
光の軽減は狙った。
多少なら、聖なる光の痛みも我慢しよう。
吹き飛ばした彼女たちが、黒い炎の中で無様に消えない炎で悶ているのを横目に視つつ、はとりは疾走る。
――俺達を救えるのは俺達だけだ。
楽園を手に入れるべきなのは、俺達で。
――過去に用意されては喜べない。
黒炎の中、デッドマンは駆けていく。
大成功
🔵🔵🔵
瞳ヶ丘・だたら
連携アドリブ等々歓迎だ。
過去の因縁とやらに興味はない。だがスーパー戦車と聞いたなら話は別だ。
往時の彼とは戦い損ねたからな、欲求不満をぶつけさせてもらうぞ。
敵地に乗り込んだなら早速UCを起動。自動操縦の戦車によって戦闘を行おう。
自慢の〈防具改造〉にUCを重ねた防御性能。いかにスーパー戦車の権能といえど突破できんと自負しているが、どうかな。
向こうも防御に自信アリと見たが、時間制限のないぶんこちらが有利だろう。この環境条件ならば〈呪殺弾〉の使用を躊躇う必要もない。
とはいえ殲滅には時間が掛かり過ぎるな。
撤退を決め込まれても仕方ない、多少数を減らしたならばさっさと〈悪路走破〉で城に突入を図るとするか。
ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OKです
『長距離戦能力を確認、警戒を』
ユーベルコードを受け止めるか……厄介だが、やりようはある。
【リグ・ソーマ】
リミッター解除、限界突破。
更にそこへリグ・ソーマを使用、能力を格段に引き上げる。
ヴァーハナ・ヴィマナの機動力で光弾を回避、切り込みと突撃で距離を詰めて吹き飛ばす。
俺へのダメージはソーマの高速修復でなんとかなる、加速にも耐えられるだろう。
身体能力の向上で、全火器を使用して、肉薄と回避、チャンドラー・エクリプスは盾にして、攻撃は極力防ぐように立ち回るか。
しかし、女子供の姿で躊躇うと思ったのなら相手が悪かったな。
嵐の剣は、禍風の輩を例外なく討ち滅ぼす、終末を破壊する剣だ。
月白・雪音
…先の戦に現れた上級オブリビオン、その本体を掴みましたか。
他の世界にも存在が確認された黒い炎。かの黒き城にその全容が在るものかは分かりかねますが…、
今はそこに繋がる道を開くと致しましょう。
風魔小太郎、存在そのものを面とし自らの形を変える忍。
――我が武を以て、推し通らせて頂きます。
UC発動、野生の勘、見切りにて敵の攻撃及び砲撃を予測し、
怪力、グラップル、残像での高速格闘戦にて戦闘展開
我が業を模倣したとて、その在り様を最も知るは己自身。故に遅れる道理は無し
動作の隙を正確に狙い、部位破壊にて武器の破壊も狙ってのカウンター
貴方にはその業を用いた『経験』が無い。
使う業が同じなれば、分があるのは私です。
●楽園は儚きモノであるのだと
「……先の戦より現れた上級オブリビオン、その本体の在処を掴んだと?」
月白・雪音(月輪氷華・f29413)の視線が遠くを見据えるようの細められた。
そして、足元に燃え続ける黒い炎に視線を落とす。
「他の世界にも存在が確認された黒い炎、かの黒き城にその全容が在るかは分かりかねますが……」
同じなら、想像の翼は広がるだろう。
違うならば、どうしてこうも同じ光景が広がるものかと思考が広がる。
「今は、そこに繋がる道を開くと致しましょう」
挑み進みゆくだたらの姿を横目に雪音もまた動く。
「風魔小太郎。存在そのものを面とし、自らの形を変える忍び――我が部を以て、推し通らせて頂きます」
『私たちは伝えます。楽園は此処にあり、あなた方もまた、楽園へ至るべき存在であると』
楽園の使者は、憑装するように杖へと祈りの言葉を強く強く告げる。
『我々は此処に居ます。天使と共にあるのです――楽園は、我々が守ります』
ふわあ、と柔らかそうな羽を広げた光の天使達が、使徒見習い達を抱きしめる。
杖の加護との併用は出来ない。
彼女たちへの無敵さは、楽園の天使達が齎す施し。
「いやね、正直に言えば、あたしは過去の因縁とやらに興味はない」
瞳ヶ丘・だたら(ギークでフリークな単眼少女・f28543)は正直に生きている。
だが、しかしこの場に訪れたのにも理由はあった。
「だが、"スーパー戦車"と聞いたら話は別だ」
幼少からの趣味、機械いじり――ロマンだけが広がる個体の話は心が踊るもの。
「従来の彼とは戦い損ねたからな、その片鱗だけでも見れるなら」
欲求不満の一つだって、晴れるやも知れない。
だんだん気分が上がってきた。
「あれをやるしかないな――さあ、始めようか」
敵地へ踏み込み、だたらは早々にユーベルコードを起動。
全身を覆う戦車を、鉄器迎撃用自動操縦形態に変えて、挑む。
「光と戦う戦車だ。格好いいだろう?」
自慢の防具改造によってUCを重ねた防御性能、それはもう無敵を誇る。
自身は確かに動けないが、自動操縦によって身体が運ばれていくのだ。
「さあ、抵抗するなら全力でするといい、その代わり――」
攻撃性能を発揮するのは、あたし一人ではない事を自覚するべきだな。
『長距離戦能力を確認、各自――警戒を』
煌々と輝く光が、猟兵から遠くで放たれる。
楽園の天秤、聖祓杖"アルカディア"へと祈りを告げる。
『此処は楽園へ至るのです。皆様も、此処で共に祈りましょう』
光を強く灯した杖を持つ彼女たちは、まるで松明を持つ冒険者のような面持ち。
守りに徹する彼女たちと共にありながら、敵対者への教えを受け持つ彼女たち。
どれもがまとまりで動き、単体の娘は居やしない。
彼女たちは――未熟なのだろう。
超正確な長距離砲撃(ビーム)充填をはじめ、ガンガンお構いなしに差し向ける。
『光の捌きを此処に。我らの祈りが届くように――』
「断る」
神は此処に在らず。
彼女たちの主力は相手のユーベルコードを受け止め、発動する力。
ルドラは即座に否定の言葉を口にして、現状を冷静に看破する。
力を発動した娘たちとは別に、長距離砲撃で狙い定める者たちまで居ると来た。
――厄介だ、実に。
「……弱きヒトが至りし闘争の極地こそ、我が戦の粋なれば」
拳武(ヒトナルイクサ)はこの手の内に。
雪音は野生の勘を研ぎ澄ませて、耳を立てる。
駆け出す白虎は停められない。
「例え、いかなる数であろうとも」
光に追尾する力がないのなら、激しく大地を蹴って見切りって躱す事を可能にする。徒手空拳を極限まで練り上げた純粋武術を持ってすれば、容易い。
「我が業を模倣しますか?」
誰よりも疾く、残像を残しながら接近する雪音は思い切り使徒見習いを掴み、怪力任せに張り倒す。
一人、また一人と張り倒し、高速近距離戦闘に持ち込み光の乱舞を封殺する。
『あ、あなたが出来ることなら杖を持つ私達にだって!』
「どうでしょうか、我が業を模倣したとてその在り方を最も知るは己自身」
ぐっ、と拳を握り、静かに雪音は使徒見習い達を睥睨――。
「術士が武術を誇り、戦えますか」
杖で受けたユーベルコードを、杖から発動するということは。
杖から手を、離せない。それは不都合でしか無いだろう。
『えーい!』
闘争の何たるかを知らない拳は、当然不発して終わる。
「息の使い方がなっていません。故に遅れる道理は無し」
身を低くすることで躱し、雪音は攻撃動作の隙を正確に、冷静に落ち着いて狙い澄ました一撃をぶつける。
それは杖で受ける筈――狙いは上々。
部位破壊を狙った攻撃を、彼女たちは自らの手で招いてしまった。
カウンター攻撃により、杖は脆く折れる。
「貴方にはその業を用いた"経験"が無い。使う業が同じならば……」
――分が在るのは私ですよ。
一人、また一人と杖を折り、攻撃手段を奪っていく雪音に対してだ、たらのユーベルコードは身に纏い、目的目掛けて突き進む形態だそのもの。
防御に特化していて、受け止められなければ突き進み続けるものだ。
降り注ぐ光の超正確射撃も何のその、無敵の防御性能を侵す主戦力にだってなりはしない。
「そちらは防御に自信アリなのだよな?」
「防御特化には、俺が対処しよう」
ルドラは自身のリミッターを解除し、限界を超える。
「今これより、神(ヴェーダ)へ至る!」
讃美されし神々の酒盃(リグ・ソーマ)――超高速修復形態へと至り、スピードと反応速度を爆発的に飛躍させる。
それは寿命を削る禁断の術。生命の秘薬。
更に、リグ・ソーマを使用して、能力を更に上げていく。脳内伝達で動くヴァーハナ・ヴィマナの機動力を持ってすれば、光弾を躱すのは容易い。
『ど、どうして当たらないの……!』
少女同様のか弱い声も、写し取られた"面"そのもののようだった。
「光より疾く動くなら、当然届かない」
斬り込みと突撃を同時に行うルドラは一気に距離を詰めて、使徒見習いを見やる。
呆気なくふっとばされる彼女たちは、戦闘員として不向きに過ぎた。
「時間制限がないぶんこちらが圧倒的に有利だろう」
――この環境ならば、呪殺弾の使用を躊躇う必要もない。
誰かのユーベルコードをコピーして、挑んでくるならば抵抗させてもらおう。
真っ先に写して使い出した雪音の"業"は近接戦闘に特化していた。
光の攻撃とは別に、肉弾戦を挑んでくるという。
「……うん、彼女ほどではないが全く向いてないな!」
向かってくるなら撃つぞ。当然だ。
呪殺弾の格好の的になりたいならば、歓迎しよう。
此処には楽園などはない。
此処は楽園などではない。
在るのは消えぬ炎の地獄のような光景ばかり。
「俺へのダメージはソーマの高速修復でなんとかなる。ただ突き進め」
ルドラの防御を度外視した攻め、雪音の武器破壊。
そしてだたらの猛進撃。
楽園を謳う教団”オラシオン”の使徒見習いたちは、宗教活動するべき相手を間違えた。光の導きは、彼・彼女たちには不必要――。
『に、逃げましょう!まだ間に合います!』
『そ、そうですね……徐々に逃げていけば…………!』
「撤退を決め込まれても仕方がないだろう」
だたらはその声に、同意する。
逃げたいのなら逃げてもいいぞ、と。
無敵の防御を手に入れていた者たちは、それを解除した途端絶命を余儀なくされるかもしれない。
それほどのダメージを、受けているのに気がついているのなら。
動ける者たちが率先して、未熟な隣り合う隣人を連れて逃げるが良い。
さあ逃げるが良いのだ。
だたらは考える。
多少数を減らしたならば、さくさく進んでいくのも良いはずだと。
「――まあ、個人的な事を言えば。全滅させるのを悪だとは思わないさ」
突入するべき道を、創り踏みしめていくモノも確かに必要なのだ。
身体能力を向上させることで、全火器を使用し、肉薄と回避果敢に挑むルドラの姿は戦うモノ。
チャンドラー・エクリプスを盾として極力防御を心がけ、牽制していく。
「しかし、だ。女子供の姿で躊躇うと思ったのなら、相手が悪かったな」
「そうですね」
雪音の同意。それから、攻撃の手を緩めない彼らの猛撃。
「嵐の剣は、禍風の輩を例外なく討ち滅ぼす、終末を破壊する剣だ」
この地の楽園は、この世界に生きるものが掴み取るべき――結末。
敵を蹴散らして突き進むならば、きっちり終焉を届けよう。
楽園は、――戦いの終わったこの地から始まるだろうから。
大成功
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第2章 ボス戦
『ドクター・オロチwithスーパー戦車』
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POW : 殺戮形態換装
自身の【スーパー戦車の車体】を【殺戮形態】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
SPD : スーパー戦車砲・インテリジェント
自身が発射した【スーパー戦車砲の砲弾】の軌道を、速度を落とさずレベル回まで曲げる事ができる。
WIZ : スーパー戦車砲・カタストロフ
【万色の稲妻】を降らせる事で、戦場全体が【最終戦争】と同じ環境に変化する。[最終戦争]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●終焉のアルカディア
中心部には深い深い、"影があった"。
そうとしか形容できない。沼のようであったし、湖のようにたゆたう"影"だ。
影は覗き込めば覗くほど、漆黒の色で見つめ返してくる。
沈み込むように意を決して飛び込め。
影の中へ踏み込んだ向こう側には、広大に広がる"影の世界"。
黒く大きい、影の城が君たちを出迎えるだろう。扉を開け、エントランスホールへと踏み込めば、何処に居るのはドクター・オロチただ一人。
『ムシュシュシュ~、風魔小太郎はやられちゃったんだね、もっと残虐に自分らしく遊べばよかったのに~』
心底残念そうで、しかし、楽しいという雰囲気を壊さないオロチは君たちの前に手を差し伸べる。
『みんなもいっぱい遊ぼうよ、……あ、間違えちゃった。いっぱい勝負しようよ!ねえねぇ!わんわん!』
スーパー戦車を憑装したドクター・オロチは、スーパー戦車の雰囲気を色濃く見せてくる。少女のような声色で、見た目よりもなんだか可愛い様子だがその攻撃性は――全く可愛いものではない。
『わんわん!ぜーったい、負けないからね~!』
スーパーなわんわん戦車の砲台は、常に君たちに向けられているのだから。
硝煙のニオイが――徐々に空間を染めていく。
四軒屋・綴
【改変アドリブ歓迎】
ぞっとしないな、被る役割"マスク"は一つにしておけ。
狙うべきは……死角となる零距離ッ!
『ジョークコート』の推進力を以て突撃ッ!武装の一斉発射で隙を作りつつ、同時に砲台の稼働限界をメカニックの知識で見切り安全圏を辿り懐へ潜り込むッ!
広いとは言え室内、機動力を強化することはあるまい、ならば逃がさないッ!
敵の頭部へ一撃を加え隙を作り、ユーベルコード似て弾き飛ばすッ!!
「バース・トゥ・レイン、雨の最中に産まれたのなら。」
「ダスト・トゥ・レイン、塵の如くに流れてしまえよッ!!」
瞳ヶ丘・だたら
素晴らしい。素晴らしいぞドクター・オロチ。
この邂逅に感謝する。ああ、死力を尽くして遊ぼうとも。
向こうは攻撃系統の性能強化を行うと踏んで、一旦は回避の〈操縦〉に専念。
あの火力を叩き付けられてはいかにあたしの戦車といえどぺしゃんこだからな。
折を見てUCによって作成した蒸機獣を散開させ、包囲網を組み立てる。
一体一体は軽々と吹き飛ばされるだろうが、数と素早さによって翻弄。
定期的に戦車からの〈砲撃〉も行って気を惹き付け、蒸機獣が牙を突き立てる隙を作ろう。
捕食に成功したならば、即座に解析されて〈武器改造〉。蒸機獣に「殺戮形態」を再現する。
装甲を半減させ攻撃力を5倍にした鉄獣の群れとともに決戦を仕掛けるぞ。
●犬も歩けば
「ぞっとしないな……被る役割"マスク"は一つにしておけ」
スーパー戦車に影響されて、可愛く素直な要素を獲得したのだろうが殺気は何も隠せていない。
態度が変わらなくても、口調や言動が変わりすぎている。
四軒屋・綴は否、とその言葉の端々に載せて。
素晴らしい。素晴らしいぞドクター・オロチ!」
その魔改造が如き状態を、瞳ヶ丘・だたらは褒め称える。
口元には笑みがこみ上げており、心底彼女はそう思った。
拍手の一つでも送ってやろうか。
ああでも、此処で称えるべきはお前の異形であり偉業な在り方か。
『君たちは色々面白そうなことをしてくれそうだから~う~~ん?』
オロチは自身の傍のスーパー戦車を殺戮武装として、殺戮形態換装させていく。
『すぐに終わったらつまらないもん!じゃあ攻撃力を上げて、防御なんていいや捨てちゃえ!わんわん!』
殺戮形態。そう喚ぶべき武装は、超攻撃型として成立させた。
『スーパー戦車なら絶対当てるし!当たったら終わりだよ!これならボクも遊べる!一石二鳥だよ!』
ね?と脳みその詰まる顔を、こてん、と倒して可愛いポーズをするオロチ。
これにはだたらが笑いだすのもしかたがない。
「まさか、予想通りに攻撃系統の性能を上げてくるとは思わなかったな」
忍び笑いで落とし込もうとした。
だが、あまりの予想通りすぎて、笑いが停まらなかった。
『ちょっと、一人で楽しそうなのはずるいよ!』
「いや、悪い……ふふふ」
『悪い子にはお仕置きだー!』
高火力を搭載したスーパー戦車が突撃体勢に入った。
銃撃を行うではない。砲撃を行うでもない。キャタピラをきゅるきゅる激しく唸らせて、突進してくるのだ。
「お仕置き、か。じゃあそれは回避を選ぶが」
操縦技術は当然だたらだって負けない。
専念の体勢をとれば、いくら巨大な戦車でも。破戒の要素をゴリゴリに伸ばされた戦車でも、怖いものはない
狙ったモノを破戒できない戦車など、ただ通り抜けていく車と大差ない。どがーーん、と壁にぶち当たり、瓦礫の山を造り続ける姿は、全く可愛げもなかった。
「……あの火力を叩きつけられてはいかにあたしの戦車といえとぺしゃんこだな」
『でしょ~~?おにごっこだよ!ボクも参加するね!みんな捕まえちゃうよ~!わんわん!』
「狙うべきは、……死角となる零距離ッ!」
飛びかかってくるオロチを素早く避けジョークコートの推進力を持って、猛スピードにて綴は挑むと心に決めた。単純で、しかし重い一撃がこの場で一番望まれるものであると理解した為だが――。
「了解。ならば、こちらはこちらで、仕掛けていこう。オロチは今任せておく」
「砲台の稼働限界とのやり取りだなッ!委細承知といこうッ!」
キリキリと狙いをつける砲台の稼働音。とてとてと疾走るオロチと殺気の嵐。
きゅるきゅると廻るキャタピラの音でこの場所は騒音まみれ。
影の城なんて、静かそうな場所とは全くかけ離れている。
「必ず当たるというのならッ!逃げてみせよう安 全 圏!」
知識は嘘をつかない。知識は必ず味方する。
綴が選んだこと、それは――メカニック知識が導き出す砲台が向いた向きにオロチを誘い込み、素早く身を逃して難を逃れる事。
自分は流石に穿つまい。自分を狙えば、慌てて路線変更を行うだろう。
『させないよ~!ムシュシュ、ボクを誰だと思ってるの?ドクターオロチさんだぞー!』
敵が二人なら、ボクたちだって!
綴とだたらを別々に撃破しようと動くならば、隙が激しく生じる。
「そうだな。オロチ"さん"はつよそうだ」
わざとそう読んだだたらは、ユーベルコードによって多種多様に作成した者たちを解き放つ。
蹈鞴印の蒸機獣賊徒(ダタラバンデット)。
蒸機獣を散開させ、さらなる撹乱をはじめていく。
――"子犬たち"をからかうなら、この方がいい。
包囲を組み立て、迅速に移動する場所を限定させていくのだが――。
『ん~~!ダメダメ、ボクは強いんだからこの程度じゃ足止めにもならないよ!』
うぅうと唸ってみせるオロチに一体一体はすぐにふっとばされる。
だが、数はとにかくだたらが上回っていた。
数と素早さで翻弄すれば、両者どちらにも平等な隙が生まれる。
「なあに、手札を棄て続けることだけがカードゲームではないさ」
定期的に自身の戦車からの砲撃を行うことで気を引き付け、蒸機獣が牙を突き立てられる瞬間をアシストする。
いけ、そこだ、と内心願いながら――だたらはその瞬間を、待った。待っていた。
『いたっ!?』
「……よし」
蒸機獣は捕食してみせた。多少でも良い。
欠片でも、捕食を成功させたなら――メカニックの解析力をなめてもらっては困る。即座に解析し、改造を施し再度放つ。蒸機獣は殺戮形態を得て、再現される。
「この状態ならどうだ。殺戮されるべき子犬は果たして、誰なのか」
蒸機獣の装甲を半減させ、攻撃力を増強させた5倍に指定した鉄獣の群れ。
数も多く紙装甲だが、押せに押せば、お前たちに勝ち目はあるまい。
「然らば――俺が懐へ全速前進!爆・圧・列・車ッ!いざ行かんッ!!」
広いと言えど此処は室内。
破戒の嵐が巻き起ころうと、現実とはズレた影の城の中。
「機動力を取らなかったことッ!こちらとしては感謝するが、後悔するのは今のうちだッ!」
逃さない。綴の狙いは、初めからこの起点に帰結する――。
鋭く唸った掌底はオロチの頭に当たる。
『おわああ!あたまが揺れる~!』
くちゃりと割れたりせず、揺れるだけで治まるとは構造は不思議に映る。
だが、それよりも。今たしかに隙が生まれた。
頭部へ一撃を加えたとこに次いで叩き込め、最高の場面で打ち込むべきと溜め込んだ最大火力!
「バース・トゥ・レイン、雨の最中に産まれたのなら」
銀の雨振る場から生まれた因縁ならば。
「ダスト・トゥ・レイン、塵の如くに流れてしまえよッ!!」
己こそが雨のように流れて逝け。
腕に蒸気機関車型ユニットを装着した状態で、地面を削りながら更に推進力を増してその腕は胴体を捉えて吹き飛ばす。
ごきゃり、と嫌な音が響いたような――。
『きゃん!?』
犬の悲鳴が聞こえたような――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルドラ・ヴォルテクス
●アドリブ連携OKです
『多数の砲撃が接近』
迎え撃つ!
アストラ、解放!
【アストラ】
限界突破、リミッター解除、広域索敵、砲撃数捕捉、ヴァーハナ・ヴィマナ高速機動。
アストラ、マルチロックオン、一斉射!
アストラの解放は超弩級戦艦級の迎撃&対空砲の体制以上、高速度の接近でアストラのフィールドを纏ったままドクターオロチに突撃を仕掛ける!
覚悟と祈り、全てを力に換えて!
最期に選んだのがそれか。
借り物の技と力でどうにかなると思ったのが貴様の敗因だ。
そして貴様は怒りを買い過ぎた。
世界を掠奪し、自分の為に利用し、己の欲望で穢した罪、最期の瞬間まで噛み締めろ。
月白・雪音
…無垢な幼獣が如き在り様。かの兵器から発せられる音声は私には解読出来かねるものでしたが…、そのような意志を有していたのですね。
その脅威は無垢なればこそ、際限なく振るわれるものなのでしょう。
戦を戯れと楽しむも良いでしょう。
されど此度の戦、負けられざるはこちらもまた同じ。過去の暴威にて今を脅かすとあらば。
――貴方との雌雄、この戦場にて決めさせて頂きます。
UC発動にて、残像で相手の砲弾の軌道を攪乱
継戦能力にて脚を止めることなく動き続け野生の勘、見切りにて軌道を曲げられなくなるタイミングを見極め
敵自身に砲弾を命中させる動きにて回避
隙を見て肉薄、怪力、グラップル、部位破壊による無手格闘にて急所を打ち抜く
●可愛くてもダメ
『いったいなああ、もう!』
わんわん、ではなくプンプン、と素直に感情を露わにするドクター・オロチは頭を振るう。
犬が身についた雫を振るうような動作。
「……無垢な幼獣が如き在り様」
月白・雪音は思う。
――なんだこれは。面妖な。
オロチと共にふっ飛ばされたらしいスーパー戦車の面影だって確かに視えるが。
「あれは元々あちらがこの様に話していた。影響が出ているんだろう」
ルドラ・ヴォルテクスは結果として、機械言語も耳にしている。
記録し、覚えている。俗に言う二進数――プログラム言語がヒトの耳には滑るのも致し方ない。
「意味のある言葉として聞こえた感想はどうだ」
「かの兵器から発せられる音声は私には解読出来かねるものでしたが……、そのような意志を有していたのですね」
少し可愛い生き物にも、雪音にも映るだろうか。
――いえ、どちらも顔に感情が出ないもの。
無に該当するのは敵だけではないが、この場では置いておこう。
『可愛い?ありがとう!』
「いえ、褒めていません」
もしも尻尾まで生えていたならば。死ぬほどブンブンと振られていたのだろうか。
なんて戦いづらい。
『わんわん!んもう素直じゃないんだからぁ~!』
「……。脅威は無垢なればこそ、際限なく振るわれるものなのでしょう」
だって、隠されてない殺意はなんですか。
ダダ漏れの殺気は怒りに溢れていませんか。
『じゃあ砲撃サービスしてあげるね!いっぱい撃つからいっぱい浴びてね!わんわん!』
スーパー戦車砲のスーパーなインテリジェントをみよ。
オロチが剣を頭の傍に掲げれば砲台から大量の砲弾が室内の空気を焼きまくる。
加減を知らず、上限を知らない狙撃を始めるのだから、遊びのレベルを理解しない犬は厄介だ。
「戦いは戯れと楽しむのも良いでしょう」
されど。忘却するなかれ。
「此度の戦、負けられざるはこちらもまた同じ。過去の暴威にて今を脅かすのあらば」
相応の覚悟を持て。遊びは遊びの形を作り変えることだろう。
「――貴方との雌雄、この戦場にて決めさせて頂きます」
『ムシュシュシュ~、死ぬまでいっぱい遊ぼうってことと何が違うのかな~!』
『多数の砲撃が接近』
いち早く動いたのはルドラだった。
「――迎え、撃つ!アストラ、開放!」
自身の生命、仇敵を打倒する意思はその胸に。
リミッターを外し、討滅を体現する力の根源に働きかける。
「広域索敵、砲撃数補足――完了」
ヴァーハナ・ヴィマナ高速機動。
準備を整え、その目をカッ、と開き男は動く。
「アストラ、マルチロックオン――"一斉射"!」
『撃ち落とすぅ~?簡単にできるかな、わんわん!こっちだってトラップを仕掛けてるんだぞぉ!』
オロチが剣を触れば、あら不思議。砲弾は速度を落とさずに機動を曲げた。
アストラの開放。それすなわち、超弩級戦艦級の迎撃なりや。
加えて、対空砲の体制以上を良しとする。
条件はクリアしている――何度曲げて、何度こちらからの掃射を避けようとも。
「問題ない。……そうだな?」
放たれた砲撃を、可能な限りで迎撃したルドラ。
しかし姑息にも逃げ切った砲弾は己の後ろへ流れていく。
「勿論、問題など何処にもないです」
雪音は拳武(ヒトナルイクサ)――ユーベルコードを開放し、残像を残して対応した。相手の砲弾の軌道を撹乱し、着弾させなければいいのだと。
着弾するまで曲げ続ける。あちらはそのつもりだろう。
コレを遊びと称して。人殺しゲームをしながら、自分も命がけで遊ぶ。
――異形にて。異常。
継戦能力にて脚を止めることなく動き続け、尾を揺らし、機敏に動く雪音は駆け続ける。
恐ろしい量の砲弾も、恐怖を彼女に感じさせることはなかった。
野生の勘、見切りに置いてどちらへ曲がるか――どちらに飛び続けるかを見きったならば、何も怖くない。
同じ動きしか無いねこじゃらしでも相手にしているかのようだ。
「……タイミングが、重要ですね」
高速度の接近の弾丸としてルドラはアストラのフィールドを纏ったままドクターオロチに突撃を仕掛ける!
覚悟を胸に、祈りを心に。
全てを力へと換えて、犬の戯れに言葉を投げる。
「最期に選んだのがそれか」
『い、いいでしょぉ~!あげないよ』
「いらない。借り物の技と力で、どうにかなると思った事こそが貴様の敗因だ」
ルドラは単純なしかし、重たい一撃を叩き込む。
目に見えた"顔"らしき部分を殴り飛ばすことに、躊躇はなかった。
「そして貴様は怒りを買い過ぎた。今もだが、おそらく過去からずっと」
ふっとばした方向に、彼女が居る。
「世界を掠奪し、自分の為に利用し、己の欲望で怪我した罪、最期の瞬間まで噛み締めろ」
何も問題はない。
「こちら、お届けものです」
耳があるなら耳元、という表現は正しい。
小柄なオロチの直ぐ側まで接近し、雪音はスレスレで回避し、身を捩る。
『うわぁああ~~~~!?』
レベル分曲げきり、曲げ残ったモノの末路は雪音を追いかけていた全ての被弾。直撃の乱舞。
人形のような服装が、爆風でふわああと宙に投げ出される――。
吹っ飛んだ身体をグラップルで掴み、雪音の瞳がギラリと赤く輝く。
瞬間――あがががが、と打ち込まれる怪力による抑え込みと身体の部位を破壊戦とする力を込める無手格闘。
ヒトと同じ構造だろうと、違おうと関係ない。
折れば砕ける。生物ならば急所など――持っているだろう。
手応えは確かにあった。
何かが、――機能不全になっただろう。吐血する口がなくても、だらん、と垂れ下がった片腕を見れば、分かる事は多いのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
柊・はとり
わんわん吠えても可愛くねぇから
本家に比べたらお前なんかチワワだわ
屍人として蘇ったその日から
俺の故郷は毎日が最終戦争だった
砲撃や雷撃の前兆となる殺気を肌で感じながら
培った第六感で直撃を回避する
多少掠っても継戦能力を活かし戦闘続行
UCで環境を重ね書き
探偵が来たからには影の城も殺人現場だぜ
犯人に指名するまでもない
全てにおいてアウェーのお前は
容疑者の一人ともみなしてやらない
とっとと俺達の世界から出てけ
敵より環境に適応する事で万色の稲妻を味方につけ
カウンターで雷撃を放ち麻痺させる
偽神兵器に全力の氷属性攻撃を乗せ
ダッシュで敵の懐へ斬りこむ
コンクリは嫌いか?
石化じゃないが氷漬けになれよ
跡形もなく粉砕してやる
●恐れぬ死人の事件簿
「おい」
柊・はとりから放たれる一段と冷たい呼びかけ。
『うん?』
素直に反応したドクター・オロチへ向けて、コレだけは言いたい。
「わんわん吠えても可愛くねぇから」
機械言語地味たプログラム言語でも本家は存在感が可愛らしかったぞ。
耳になじまない言葉ではあったが、スーパー戦車は語っていた。
今のこのオロチのように、可愛らしく語っていたと連れは言っていたように思う。
だが、眼前のこいつはともかくあざとく映るのだ。
どこぞのデカイポメを思い出すが、アレは一応可愛いの分類だ。
「本家に比べたらお前なんかチワワだわ!」
『わわん!褒め言葉だねありがと~!』
「褒めてねえ!」
今日は厄日。今日も厄日。はとりのため息は苛立ちに掻き消えた。
――屍人として蘇ったその日から、こんな日ばかりだ。
はとりの故郷は毎日何処かで最終戦争。
毎日生きるのに必死で。
耳を叩く砲撃の雨なんて、当たり前だった。
『んもう、素直じゃないんだからぁ~わんわん!もっと戦いから楽しんだらいいのにねぇ!』
オロチは剣を撫でるようにすると背後のスーパー戦車の砲台が何かを充填し始める。耳を、違和感という言葉が叩く。
――なにか、来る……!
それは半ば直感。弾丸ではなく、エネルギー。
超正確に当てるのだろう、と理解しなくても身体が解ってしまう。
はとりが日々、得てきた危機的日々のリフレインをキャッチしたのだ。
待機を震わす雷撃の前兆。
『じゃあ此処で今すぐ終わりを選ぶといいよ!わんわん!』
言葉と釣り合わない殺気の溢れ方。
培い続けた第六感は、正解を叫ぶ。
「……この場にいる全員、飛び退け!」
直撃回避の合図は、名探偵の名推理から。
――スーパー戦車の拡散力で、絶対に当てる?
「コレがお前のカタストロフ?ハッ、茶番の間違いだろ」
床を爆ぜ、床を焦がした万色の稲妻が、戦場全体に帯電する。
バチッ、と轟音を立てて、次に降り注ぐべき場所を戦場全体が隠してしまう。
ヂヂッ、と疾走る電撃を頬にかすらせたが舌打ちで留める。
"押せ。押し切れ、やれるだろ"。
俺たちなら。仲間の鼓舞のバトンを素直に受けて。
今やるべきは、はとりだから出来ること。
「俺は探偵。そして、この場所がなんだろうが関係ないな、知らないのか」
『ん~なにを~?』
「探偵が来たら、そこはもう殺人現場に成る宿命を負うんだってよ」
事件は現場で起きている(ウォーキングデッド)。
死するべきが誰で、誰が犯人なのかなどもはや指名するまでもない。
「全てに置いてアウェーなお前は、容疑者の一人ともみなしてやらない」
「さあ投降しろ。とっとと俺たちの世界から出てけ」
はとりがいることで、影の城の中はクローズドサークルと同じ現象が起こる――。
戦場と外界は既に遮断され、閉ざされている。
内側にいるのは猟兵と、死人探偵と、お前たちのみ。
『ええ、やだよぉ。むしろボクの城から君たちが滅ぶことで出ていきなよぉ!』
「断る」
環境に環境を重ね、適応条件を上書きすることではとりは万色の稲妻を味方につける。コキュートスを起点に、誘導し、オロチが飛び込んで斬りつけてくるのを見てカウンターで雷撃を放ち、墜落させる。
「勢いだけか?」
全力の氷属性を集めに集めて、コキュートスの刃を余計にきらめかせ、探偵は笑って呟く。
「なんだ、コンクリは嫌いか?」
立ち上がらんとするオロチの首元に、がん、と剣先を叩きつけて、仁王立ちで逃げ場を奪って立つ。
『うぅうう~~~!嫌いだよ!』
「そうかそうか。石化が嫌なら仕方がない」
オロチの身体を徐々に張り巡らせていくモノ――氷。
「氷漬けなら良いだろ」
『よくないよ!わんわん!うわあん、身体がうごか……』
体中が氷漬けになって氷壁に埋もれ、氷像と成り変わるその前に。
「動けばいいんだろ、じゃあな」
懐を狙いのコキュートスを、振り上げて無造作に落とす。
斬りつけたのではない。
はとりは、氷目掛けて勢いよく、コキュートスを叩きつけた。
「こんなに簡単に終わるなら、誰も困らんが」
がしゃんと崩れていくのはオロチだったもの。
氷の中に閉ざされた何かは、氷となっていとも容易く粉砕された。
いずれこの影の城も、無くなるのだろうか――いや。そんな事は後回し。
可愛らしい言葉を吼える言葉さえ跡形なく潰された。
持ち帰るべきコンクリを探し当てて、平和のための奔走を今日も今日として今まで通りに続けるべきだ。此処の炎が、消えぬ黒炎がいつか未来で消えているように。
大成功
🔵🔵🔵