●グリモアベース
「ついにドクターオロチの拠点が判明したわ。……なんか、いつにも増してやる気満々ね?」
一部、おそらくはシルバーレイン世界をルーツとする猟兵から漂う気魄に、詳細を知らない田抜・ユウナ(狸っていうな・f05049)は首を傾げつつ世界地図を投影した。
「場所はメンフィス灼熱草原の中央部。今もなお燃え続ける黒い炎を越えた先にある『影の城』がそれよ。グリモアのテレポートで城まで直接飛んでいけるから、炎の対処は考えずに戦闘だけに集中してちょうだい」
話しながら、ユウナは映写機を操作して戦うべき敵の情報を映し出す。
「みんなが戦うのは、ドクターオロチと風魔小太郎。両者ともにフィールド・オブ・ナインが一角『プレジデント』の力を得ていて、ボクシング風の戦闘スタイルを取るみたい。簡単に言うと、握った拳、それもナックルパートのみを使って戦うのね」
自らに厳しい制限を課した戦闘スタイル。不利を負う代わりに得られるパワーは非常に強力で、苛烈な戦いになることが予想された。
「今回の相手はいわゆる『先制攻撃』を使ってくることはない、普通レベルのボス級オブリビオンだけど、油断すれば手痛いしっぺ返しを食らうことになるわ。みんな、くれぐれも気を付けて」
●メンフィス灼熱草原中央部・影の城
『来たか、猟兵どもよ』
グリモアの転移門をくぐった猟兵たちの前に、異形の化生忍者が立ち塞がった。
彼の後ろには固く閉ざされた漆黒の城門。わざわざ語る必要もない。城の中に入りたければ戦って勝利してから、というわけだ。
『知らぬならば問われる前に、知る者には今一度改めて名乗るとしよう。己は織田信長様が直下、魔軍将、『百面鬼』風魔小太郎。義によってドクターオロチに助太刀せん。――見よ、風魔忍法奥義「百面鬼の術」!』
小太郎が両手を組んで印を結ぶや否や、身に着けていた無数の仮面が竜巻のように舞い上がった。彼の巨体が面の嵐に覆い隠されて、次の瞬間には全くの別人がそこにいた。
豊満な肢体に刺々しい装飾のビキニアーマー。そして艶めかしい装いとは対照的に、両の肘から先が凶悪な巨大機械腕に換装された女拳士である。
『こ奴は己が面としたオブリビオンが一体、拳将「シドウ」。機甲拳当主を名乗る戦狂いよ。ドクターオロチより借り受けた【プレジデント・ナックル】と相性が良いのでな。この姿にて相手つかまつる』
小太郎は変化した体の具合を確かめるように軽くストレッチをして、最後に機械の拳を撃ち合わせた。ガシャァン! と響き渡る轟音、それが開戦のゴングと悟った猟兵たちは戦闘態勢を取る。
●影の城・城内
『まさかこんなに早く、我が城にたどり着くなんてね』
調度の一つもない、だだっ広いだけの広間の真ん中で、ドクターオロチは城外で戦闘が始まった気配を感じて顔を上げた。
『ヤレヤレ、さすがの私も大ピンチだ。敵ながら天晴と言わざるを得ないね』
ため息交じりに肩を竦める。アメリカンな香り漂う仕草は、普段の彼とはかけ離れたものであった。ついでに言うなら、華奢な少年のようだったはずの小柄な体が隆々とした筋肉によって肥大化している。特徴的な脳みそ頭がなければ、ドクターオロチと判別することすらできなかったかもしれない。
性格と容姿の変貌。
最強のソーシャルディーヴァにして「昔大統領だった事がある」という肩書だけが自慢のナイスガイ、『プレジデント』の魂を自らに憑依させた副作用であった。
『風魔小太郎クンが追い払ってくれればいいんだが、まあ勝てないだろうな。猟兵たちが城の中まで入ってくるのも時間の問題だろう。全力でおもてなしできるよう、今から体を温めておくか』
来る戦いに備えて、ドクターオロチは黙々とシャドーボクシングを続けるのだった。
黒姫小旅
殴り合いが書きたいです。
どうも、黒姫小旅でございます。
皆さま愛着のある敵キャラと伺っておりますれば、しっかり歯ごたえのある戦闘を描けるよう頑張ります。
●一章
ボス敵に化けた風魔小太郎と、城の外で戦います。
小太郎は設定されているユーベルコードに加えて、下記の能力を有しています。
【プレジデント・ナックル】
両腕が巨大機械化している。この機械拳は、ボクシングで戦う際の攻撃力・攻撃回数・攻撃範囲を超強化する。
●二章
城の中で、魔軍転生の術で「プレジデント」を憑依させたドクターオロチと戦います。
先制攻撃など特殊ルールは存在しません。
なお、最終決戦シナリオの成功本数が20本に達した日で結果が変わります。以下コピペ。
5月1日午前中まで:ドクター・オロチを完全撃破し、影の城からオロチが何度でも蘇っていた原因とみられる「コンクリ塊」を回収、猟兵達で保存します。
5月15日午前中まで:ドクター・オロチを撃退し、何も持ち帰らせません。
それ以降:ドクター・オロチは、すんでのところで残る3体のフィールド・オブ・ナインを発見します!そのうち2体を連れ帰り、1体をアポカリプスヘルに残していきます。
第1章 ボス戦
『拳将『シドウ』』
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POW : 絶奥義・滅龍破断拳
【龍のようなオーラをまとった拳】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 絶奥義・紅蓮覇王拳
敵を【灼熱の炎をまとった拳】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。
WIZ : 縛鎖戦術『喧嘩の流儀』
【竜のような闘気を収束した衝撃波】が命中した対象を爆破し、更に互いを【闘気の鎖】で繋ぐ。
イラスト:さいばし
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「ガイ・レックウ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
四軒屋・綴
一転突破か、浪漫に敵する側になるとはな。
愚痴も言っては居られない、始めるとしようじゃあないかッ!
先ずはガードを固めボクシングに付き合うとしようッ!巨大な機械腕とは悪手だろうッ!防戦に徹すればむしろ見切りやすいッ!『ジョウキングバリア』を纏わせた拳でパリィングを狙い防御に専念ッ!
敵のユーベルコードに合わせてこちらもユーベルコード発動ッ!『竜のような衝撃波』を狙い相殺させるッ!
ところで気になるんだがな、貴様が無法に投げ出したこの鎖、これがボクシングと言えるか?いや言えないだろうなァッ!!
出現した鎖を掴み『ジョークコート』の推進力で加速ッ!勢いをつけてジャイアントスイングに移行し地面に叩きつけるッ!
●
思いの外、戦いの始まりは静かだった。
向かい合った四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)と風魔小太郎は互いに徒手空拳。防御重視の構えで距離を取るアウトボクシングスタイルだ。
トントンとステップを踏みながら反時計回りに移動。まるで棒の両端に繋がっているかのように付かず離れずの距離を保ち、次第に空気が張り詰めていく。
『シィリャァ!!』
先に仕掛けたのは風魔小太郎。極限まで高まった緊張を破って間合いに踏み込むと、その超巨大機械腕に竜のごとき闘気をまとわせて殴りかかった。
速い! 腕が増えたのかと錯覚するほどの手数で、しかも一撃一撃が必殺の威力を宿している。
「……だが、大きさ故に初動を見切りやすい。受けに徹すれば防げないこともないッ!」
僅かでも誤れば粉々になるような剛拳のラッシュを前に、綴は恐れ知らずにも脱力。手袋をはめたような白掌を柔軟に構え、渦巻く蒸気でプレジデントナックルを迎え撃った。
正面からではなく、内角斜めに弾いて拳撃軌道を外側へと逸らす。隙間なく撃ち込まれる連撃に無理やり隙間をこじ開けて、死地に活路を見出だしたところにユーベルコード【炉勁列車】! 腕に装着した蒸気機関車型装備をぶちかまし、敵拳に付随する圧縮衝撃波を相殺してのけた。
爆発。
獲物に食らいついた闘気は鎖に変じて遣い手と繋げる……のだが、綴を捕らえるはずだった鎖は相殺されたことで繋ぐべき相手を見失い、むなしく地面に落ちるのみ。綴はその先端を拾い上げて、ニヤと笑う。
「気になるんだがな、貴様が無法に投げ出したこの鎖、これがボクシングと言えるか? いや言えないだろうなァッ!!」
腰部装備『蒸噴轟進ジョークコート』が唸りを上げる。可偏向推進機が白い煙を吐き出して、綴は竜巻になった。
猛回転。柔かなパリィングとは正反対の剛力に、小太郎は反応できず巻き込まれて地面に叩きつけられた。
『がっ……!?』
バウンドした体から血飛沫が散って、砕けた鎖の破片を赤く濡らした。
成功
🔵🔵🔴
夜刀神・鏡介
プレジデント本人と戦った時はボクシングで戦う事になったが、今回はそういう訳じゃないのか
まあ、俺の本分はあくまで剣士。その方がやりやすくはある
神刀を抜いて、神気を纏う事で身体能力を強化
敵の攻撃手段は基本的には拳闘。基本は幾らか距離を取りつつ斬撃波で牽制していく
ただしこれだと俺も決め手には欠けるが……これは敵を焦らせるのが目的
敵が一気に殴りかかってきた所で、神刀を上空に放り投げて手を空ける
そして神器化した左腕の拳によるカウンター。無の型【赤手】で敵の拳を殴り返して、片腕を破壊してやろう
元の性能はどうあれ、借り物の装備に頼るべきじゃなかったな?
落ちてきた神刀をキャッチしてから直接斬撃を叩き込もう
●
かつてプレジデント本人と戦った際にはボクシングで戦うことになったが、今回は相手にまでルールを強要することはないらしい。
「まあ、俺の本分はあくまで剣士。その方がやりやすくはある」
夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)はそう言って、神刀【無仭】を上段に構えた。
刃から溢れ出るオーラを身にまとい、強化した身体能力でもって振り下ろす。
斬!
刃の軌跡が物理的切断力を持ち、鏡介が斬るべしと定めた悪を目掛けて飛翔した。
『なんの!』
遠間から放たれた斬撃波を、風魔小太郎は正面から殴り返した。因果法則を越えて森羅万象を絶つ神気がガラス細工のように霧散。機械の拳には傷ひとつなく、小太郎はそのまま一気呵成に突撃する。鏡介は冷静に斬撃波を連射して距離を取ろうとするが、攻撃の威力と手数を超強化するプレジデントナックルは左片手のみでことごとくを殴り砕き、右手は腰に溜めたまま龍のようなオーラを練り続けている。
……絶奥義が来る!
うなじが粟立つ感覚に、鏡介は直観した。
まだ近接の間合いには遠いが、プレジデントナックルは攻撃範囲を拡大することができる。この距離からでも届いておかしくはない。
超速、極大威力の拳撃を迎えるべく、鏡介は神刀の刃を返して――
空に放り投げた。
『なっ……剣士が刀を捨てた!?』
まさに攻撃を放とうとしていた小太郎は目を瞠った。
予想外の行動に、思考が硬直する。眼前の猟兵と上空の刀とに意識が分散される。1秒にも満たない空白、1mmにも満たないブレ。しかしその、僅少ながらも確固たる”隙”が勝敗を分けた。
「――無の型【赤手】!」
精彩にいっぺんの曇りが生じた右ストレートを、鏡介の左拳がはたき落とした。神器化した神腕【無涯】はプレジデントナックルの機構をも破壊し、小太郎は拳から地面に激突。鏡介は反動をもらって宙に跳ぶ。
「人差し指破壊、といったところか? 完全に壊してやるつもりだったが、さすがに良い性能をしている。……とはいえ、物が良いからと借り物の装備に頼るべきじゃなかったな」
鏡介は空中で神刀をキャッチ。着地ざまにオブリビオンの背中に斬撃を浴びせて、剥き出しの素肌に血線を刻んだ。
成功
🔵🔵🔴
ガイ・レックウ
【SPD】で判定
『オロチを倒すために…まずはてめぇを倒す!!機甲拳は…お前が使っていい技じゃねぇ!!正義のための技だ!!』
【オーラ防御】のオーラを両腕にまとい、【フェイント】と【残像】を織り交ぜながら突撃。【怪力】での【鎧砕き】と【なぎ払い】の【二回攻撃】で攻め立て、隙をついてユーベルコード【氷竜奥義『アブソリュート・ゼロエンド』】を叩き込んでやるぜ!!
●
「オロチを倒すために……まずはてめぇを倒す!!」
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は力強く宣言し、オーラ防御をグローブ代わりに両手にまとわせると、拳将『シドウ』に変化した風魔小太郎へと突撃した。
飛んでくる巨大機械拳をフットワークで躱し、続けざまの二撃三撃が胴体を抉るもザンネンでした残像だ。大きさからは想像もつかないような連続攻撃を、ガイは技能を尽くして凌ぎに凌ぎ、鎧をも砕く強打と薙ぎ払うような大振りを使い分けて攻め返す。
おや? と、彼の拳筋を目の当たりにした小太郎は片眉を持ち上げた。
『なんだ貴様、己と同じような拳を振るうな。さてはこの女と同流か?』
「機甲拳をお前が語るんじゃねぇ! こいつはお前なんかが使っていいものじゃない、正義のための技だ!!」
『笑止! シドウ然り、機甲拳然り、この風魔小太郎のが面と化したからには、どう使おうと己の勝手。貴様の物差しで我が義を止められるいわれはないわ!』
互いに譲れぬものを背負う拳士は互いに弾き合い、雌雄を決するべく同時にユーベルコードを発動した。
ガイのガントレット、深蒼拳『アイスサファイア』を真なる氷竜の力が包み込み、絶対零度の蒼に煌めく。
小太郎は紅き蓮の花にも似た焔を掌中に握り、プレジデントナックルが煌々と赤熱する。
「心火を燃やしてぶっ潰す……【氷竜奥義『アブソリュート・ゼロエンド』】!!!」
『灰も残さず燃え尽きろ……【絶奥義・紅蓮覇王拳】!!!』
蒼と紅が激突。衝撃は純白の光を生んで、眩んだ視界が戻るとそこには、拳を振り終えた二人が背中合わせに立っており、
「…………」
『…………。……ぐはっ!?』
果たして、膝をついたのは小太郎であった。蒼く凍てついた女の柔肌には蜘蛛の巣状の亀裂が走っており、拳将『シドウ』というオブリビオンの本質が砕けたことが窺える。
「宿敵の因果を断った。あとはお前とオロチを倒しさえすれば、シドウは完全に滅びる」
奥義の撃ち合いを制したガイは、手応えを握りしめて残心を取った。
成功
🔵🔵🔴
数宮・多喜
【アドリブ改変大歓迎】
ボクシング?
なるほどねぇ、要はステゴロすりゃいいんだろ?
面白れぇ、その誘い乗った!
あの戦争ん時ゃ挑む間もなかったんでね、
存分に闘り合わせてもらおうじゃないのさ!
とにかく右のジャブを軸にして、牽制しながら左手にオーラを練り上げる。
全身にもサイキックの『オーラ防御』を纏いつつ、
『グラップル』の心得も併せて『気合い』入れて拳を『見切り』、
『フェイント』を織り交ぜてインファイトと洒落込むよ。
小太郎サンよ、その姿になってるんなら分かるだろう?
このサイキックオーラを込めて輝く左拳の意味が。
アンタの拳とこのアタシの『挑発』じみた【壁裂く霊光】、
どっちが上かぶつけ合おうじゃないか!
●
「ボクシング? 要はステゴロ=素手喧嘩すりゃいいんだろ? 面白れぇ、その誘い乗った!」
『ずいぶんと血の気の多い女だ。この体の持ち主、拳将「シドウ」とは馬が合いそうだな』
「そりゃどうも。……あの戦争じゃ、プレジデントに挑む間もなかったんでね、存分に闘り合わせてもらおうじゃないのさ!」
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は好戦的な笑みを浮かべて右半身のサウスポースタイルに構えた。
気合い十分、一気にインファイトの間合いに踏み込むと、虚実織り交ぜた右のジャブで攻め立てながら左手にオーラを練り上げる。
『ふん。ジャブで牽制しつつ力を溜めて大当たりを狙うか。だがサイキックエナジーが光るせいで攻撃が見え見えだぞ』
「分かってんなら話が早い。アンタの拳とこのアタシの【壁裂く霊光】、どっちが上かぶつけ合おうじゃないか!」
『ぬけぬけと……良かろう、受けて立つ!』
多喜の挑発に、おそらくそうと理解した上で相手は乗ってきた。冗談のように巨大な機械腕に龍のごときオーラを宿し、怒涛の勢いで殴りかかる。
さながら絨毯爆撃だ。プレジデントナックルの効果で超強化された【絶奥義・滅龍破断拳】の連撃に、多喜はたちまち飲み込まれた。その威力、スピード、手数に攻撃範囲、どれを取っても凄まじく、見切りでクリーンヒットを避けているのに全身を包むオーラ防御がゴリゴリ削れていく。
「いいねぇ、盛り上がってきた!」
拳閃と爆音で前後不覚に陥りながら、多喜は獰猛に八重歯を剥いてユーベルコードを解放した。左拳に溜め込んだサイキックエナジーが流星のごとく走り、かつてフィールド・オブ・ナインの一角を担った剛拳と激突する。
拮抗。
ぶつかり合った拳と拳の押し合いが周辺の磁場を歪め、耐えかねた地面が崩壊を始めて……バギィィン!!
耳をつんざく破砕音がして、プレジデントナックルの指パーツが消し飛んだ。先の猟兵によって部分破壊されていた右拳。それが限界を迎えたのだ。
『ぐあああ!?』
小太郎は壊れた手を抱えて、痛みと驚愕に絶叫した。
成功
🔵🔵🔴
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『しぶてぇな……なら…仕方ねぇよな!!』
【オーラ防御】のオーラをさらに厚く纏い、【フェイント】と【見切り】でギリギリで避けつつ、【怪力】での【鎧砕き】を叩き込む
『てめぇを倒し、オロチを倒す!!』
ユーベルコード【ドラゴニック・オーバーエンド】を発動。相手の攻撃にカウンター気味に打ち込み、そのまま打ち込み続けるぜ!!
【アドリブ可】
燈夜・偽葉(サポート)
★これはお任せプレイングです★
『ぶった斬ってあげます!』
妖狐の剣豪 × スカイダンサー
年齢 13歳 女
外見 黄昏色の瞳 白い髪
特徴 長髪 とんでもない甘党 柔和な表情 いつも笑顔 胸が大きい
口調 元気な少女妖狐(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)
性格:
天真爛漫年下系ムードメーカー(あざとい)
武器:
刀9本
黄昏の太刀(サムライブレイド)を手に持ち
場合によっては念動力で残り8本を同時に操る
ユーベルコードはどれでもいい感じで使います
敵の動きは見切りや第六感を生かして回避
避けられなければ武器受けで対処します
多彩な技能を持っていて、問題に対していい感じで組み合わせて対処します
●
猟兵たちの猛攻を受けた風魔小太郎は満身創痍でありながら、未だに殺気は衰えていなかった。
「しぶてぇな……なら……仕方ねぇよな!!」
ガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)は手負いの獣の牙元に身を晒す決断をした。
猪突よろしく愚直に全速前進……からの急ブレーキ。プレジデントナックルが鼻先を掠めて、竜巻のごとき拳風に巻かれてきりきり舞いながら側面に回り込むと、鎧を砕く怪力で脇腹を打ちぬく。
『効かぬわっ!』
逆襲の裏拳。
もはや痛覚を忘れているのか、小太郎は目を血走らせて巨大機械腕をぶん回した。ガイはオーラ防御で身を守ったものの、竜の突進もかくやというパワーは凄まじく、空高くに吹っ飛ばされてしまう。
『もらった!』
空中に上がったガイに小太郎はロックオン、左拳に闘気を圧縮して衝撃波を放とうとした、その時だった。
「そうはさせませんよ!」
燈夜・偽葉(黄昏は偽らない・f01006)が駆け付けざま、黄昏の太刀を抜き打った。
草を薙ぐように低空一閃、鍛え澄まされた切っ先が脛を刈り、敵の姿勢が崩れる。小太郎は足に力を込め直してすぐに修正するが、その時にはすでに偽葉の念動力が彼女の所持する残り8本のサムライブレイドを展開していた。
両手持ちにした太刀と合わせて9刀が、超近接の間合いでオブリビオンを取り囲み、各々の刃を妖しく煌めく。
「ぶった斬ってあげます!」
連撃。正面からの目潰しと喉突きと、敢えて先と同じ脛斬りを牽制に、死角から背中と脇腹と膝裏を狙うと見せかけて、応じようとするプレジデントナックルに刻まれた内部機関剥き出しの破壊跡が本当の狙いだ。
バチバチバチッ!!
鋼の刃が機械腕に刺し込まれ、内部の電導がショートを起こして火花が散った。今までの戦いで損傷していた右腕が黒煙を上げて完全沈黙。同時に偽葉のユーベルコード【剣よ、力を戒めて】が発動し、斬撃命中という条件を満たしたことで捕縛とユーベルコード封印の状態異常を付与する。
「あなたの力、絶たせていただきました」
『がっ、ぐぐぐ……おのれ、小娘が……!』
小太郎は体を軋ませながら健在な左腕を持ち上げるが、しかしそれが振り下ろされることはついぞなく。
「余所見してるんじゃねえぞ! 全てを砕け、【ドラゴニック・オ-バーエンド】!!」
上空より、ガイのユーベルコードから放たれた二頭のドラゴンが襲いかかった。太陽のように熱い紅蓮と夜より黒い雷を纏いし双竜は右と左から挟撃。迅雷業火でもってオブリビオンを焼き尽くす。
『お、オオ――――アアアアアア!!?』
断末魔の叫びのなか、ついに拳将『シドウ』の変化が砕けた。細い女の容姿が風魔小太郎本来の異形へと戻り、それもすぐに灰となって跡形もなく崩れ落ちる。
「よし、前哨戦はクリアですね!」
「次はオロチだ。行くぞ!」
猟兵たちは勝利を噛み締めることもなく、『影の城』で待つ本命を目指して閉ざされた城門押し開くのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『ドクター・オロチwithプレジデント』
|
POW : ロケット・ナックル
【恐るべき筋力】で超加速した武器を振るい、近接範囲内の全員を20m吹き飛ばし、しばらく行動不能にする。
SPD : プライド・オブ・プレジデント
全身を【大統領のオーラ】で覆い、自身の【大統領魂】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ : プレジデント・フェイタル
【華麗なステップ】で敵の間合いに踏み込み、【衝撃波】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
イラスト:みやこなぎ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
風魔小太郎を倒し『影の城』内部へと踏み入った猟兵たち。彼らの前に現れたのは、見覚えのある脳みそ頭……が乗っかった筋肉の塊であった。
『やあやあ猟兵諸君、ようこそ我が城へ』
プレジデントを憑依させたことでマッチョな巨漢へと変わり果てたドクター・オロチは悠然とした態度で猟兵たちを出迎える。
『本来ならコーヒーでも淹れて歓迎するところだが、アポもなく突然訪ねてくるものだから、この通り椅子すら用意できていないんだ。できれば後日、そう一か月ばかりしてから出直してくれるとありがたいんだが……そんなつもりはないようだね? では仕方ない。この身一つでおもてなししようじゃないか。何もない殺風景な広間でも、ボクシングくらいはできるだろう』
重厚な気魄がほとばしり、城全体が緊張に震えているような錯覚が猟兵たちを襲った。
いよいよ、最終決戦の火蓋が切って落とされる。
四軒屋・綴
【アドリブ絡み歓迎】
あんなオフィスを構えておいて、『来客を予想できませんでした』はないだろうッ!
付き合うとするかッ!ボクシングッ!!
幸いにしてリーチは法外なほど長い訳ではない、ヒットマンスタイルに構え回避を優先にフリッカージャブを打ち込むッ!
だが所詮は付け焼き刃、いずれは壁際"コーナー"に追い込まれる……故にユーベルコードを発動ッ!跳躍から拳を打ち下ろすッ!当たれば形成は逆転、外しても敵の『フットワーク』は破壊された"床面"では発揮できず、そして俺ならば『走破』できるッ!舞い上がり降り注ぐ礫を目眩ましに急接近ッ!右ストレートを相手に叩き込むッ!
●
「付き合うとするかッ! ボクシングッ!!」
拳を構えるドクター・オロチに応えたのは四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)。左腕のガードを腹の位置まで下げて、発条仕掛けのように軽く揺らして打突の気配を読みづらくさせる。
『ヒットマンスタイルとは、味なことをするじゃないか』
オロチは好ましそうに笑い、華麗なステップで突っ込んできた。巨体に見合わない軽妙で俊敏な入身である。
綴は左腕を鞭のようにしならせて迎撃。脱力を意識したジャブは重さこそない代わりに素早く、軌道がブレるために見切りづらい。
『とはいえ、所詮は付け焼き刃。基礎がなっていないね!』
フリッカー=明滅と呼ばれる、まさしくフラッシュの瞬きのように峻烈な連打を、オロチは巧みに防ぎ躱して懐に入るとボディブローを見舞った。
ズゥン! と背中にまで浸透するような打撃。……いきなり一発もらってしまった。残りは三発。4コンボ繋がったら最後、綴の命はそこで終わる。
「クソッ!」
何とか引きはなそうとするが、オロチはしつこく喰い下がり、二撃、三撃と命中。綴は後退するしかなく、気づけば広間の角にまで追い込まれていた。
ついに四撃目。確実な死をもたらすフィニッシュブローが唸って……空を切る。
『なにっ!?』
驚愕だった。
前方はオロチ自身が塞ぎ、左右と後ろは壁で逃げ場などどこにも……いや、一つだけあるではないか。
『上か!』
見上げれば、まさに背面飛びで頭上を越えていく綴の姿があった。
「試式特急拳弐式ッ! 遥場特急ッ! ――発動、【特急爆装・遥場特急】!!」
蒸気機関車系ヒーローはユーベルコードにより新幹線フォームへと変身。その跳躍力で死神の拳を飛び越えると、背後に着地ざま床を殴り砕いた。
爆塵!
巻き上げられた土砂が津波のごとくオロチを襲い、瓦礫で打ちのめしながらコーナー際へと追いやる。
技一つ。それだけで両者の立ち位置が完全に入れ替わった。
『なんと……! まさか最初からこれが狙いで!?』
気づいたところでもう遅い。綴の右ストレートが煙幕をぶち抜いてオロチを捉え、その脳ミソ頭を壁にめり込ませた。
成功
🔵🔵🔴
ガイ・レックウ
【POW】で判定
『悪いがボクシングには付き合えねぇな…俺の流儀でたたっ斬る!!』
二本のヴァジュラを抜刀し、【オーラ防御】を纏い、【フェイント】と【残像】を織り交ぜつつ突撃。相手の攻撃を【戦闘知識】で見極め、【見切り】で避けるか【武器受け】でガードしつつ【怪力】での【鎧無視攻撃】と【鎧砕き】の【二回攻撃】で攻撃し、ユーベルコード【獄・紅蓮開放『ヴリトラ・ファンタズム』】で焼き尽くすぜ!!
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抜き放たれし二振りの刀。
オブリビオンの手で鍛えられた百花獄炎刀、退魔の百鬼雷迅刀、ともに『ヴァジュラ』の名を冠する刃が、合わせ鏡のように左右からガイ・レックウ(明日切り開く流浪人・f01997)の横顔を映した。
「ボクシングに付き合えなくて悪いが……俺の流儀でたたっ斬る!!」
突撃しながら、ガイは注意深くドクター・オロチを観察する。
……相手が使用するユーベルコードは、範囲内の全員を吹き飛ばした上で行動不能にする効果を持つ。高速の剛拳を見切れるか? ガードは可能? どちらを選んでも勝てそうであり負けそうであり。
「結局のところは賽の目次第。いくぜ勝負だ!!」
「いい度胸だ。くらいたまえ【ロケット・ナックル】!!」
大統領の筋肉が唸りを上げた。VI2エンジンでも付いているのかというような超加速で音速を突破し、空間まるごと抉りとるようなパンチから生じるソニックブームが広間に嵐を巻き起こす。
「――避けたぜ!」
果たして、ガイは無傷で切り抜けた。
忍者の長たる風魔小太郎をも翻弄した残像を生むフェイント交じりのフットワークにより、辛くも被弾を免れたガイは、大技直後で隙だらけのオロチに斬りかかる。
踏み込みざまの左太刀。サッと敵の体表に斬傷が横一文字が走る。浅い――しかし痛みで筋肉の鎧が緩んだ瞬間、本命の右太刀。守りを無視する刺突が斬傷を貫いて、骨にまで到達した感触が手に伝わった。
『ぐっ!? な、なんという二連撃……!』
「二連? もう一発、とっておきが残ってるぜ。――我が刀に封じられし、獄炎竜の魂よ。荒ぶる紅蓮の炎となりて、すべてを灰燼と化せ。【獄・紅蓮開放『ヴリトラ・ファンタズム』】!!」
仕上げとばかりに、二刀『ヴァジュラ』の片割れである妖刀から、真紅の火柱が噴き上がった。百花獄炎刀の象徴、刀に封じられた炎竜の魂が、九つの首でオロチへと喰らいつく。
『ぐあああ!? 焼ける、焼けるぅぅぅぅ!!』
灼熱の業火に包まれて、剥き出しの脳ミソが泡立ちながら焼滅していった。
成功
🔵🔵🔴
ミルディア・ディスティン(サポート)
「サポート?請われれば頑張るのにゃ!」
UDCでメカニックして生計を立ててるのにゃ。
『俺が傭兵で出撃して少し足しにしてるがな?』
※自己催眠でお人好しで好戦的な男性人格に切り替わりますがデータは変わりません。
ユーベルコードはシナリオで必要としたものをどれでも使用します。
痛いことに対する忌避感はかなり低く、また痛みに性的興奮を覚えるタイプなので、命に関わらなければ積極的に行動します。
公序良俗は理解しており、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。むしろ積極的に助ける方です。
記載の無い箇所はお任せします。よろしくおねがいします。
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「さて、請われたからには働くとしようか」
自己催眠により男性人格へと切り替わったミルディア・ディスティン(UDCの不可思議メカニック・f04581)は瞳を好戦的に煌めかせ、夜走獣のような身のこなしでドクター・オロチへと飛びかかった。
叩きつけたクランケヴァッフェは、しかし命中する数センチ手前で、不可視の力場によって防がれてしまう。
「これは……オーラ防御か!」
『いい動きをするが、私の【プライド・オブ・プレジデント】を貫くにはいささか物足りないな』
プレジデントが憑依したオロチの中では熱い大統領魂が燃えたぎっており、溢れでるオーラに直で触れたミルディアの体は炎で炙られたかのように焼けただれた。熱くて、痛くて、苦しくて、なんと……なんと素晴らしいことか!
潤んだ瞳に紅潮した頬、ミルディアの顔は発情期でも迎えたかのように蕩けきっていた。苦痛によってのみもたらされる倒錯した性的快楽に酔いしれながら、ミルディアは予め脳にインプットしていた【プログラムド・ジェノサイド】を発動する。
ギャリギャリギャリギャリギャリ!!!
さながら、生きた電動のこぎり。全身をフル稼働させて猛回転するミルディアは、オロチの高速飛翔能力をも上回るスピードで大統領オーラを削って削って削って削って削りまくった果ての果て。ついに攻撃が届き、肥大化した筋肉をクランケヴァッフェが穿って、広間の床に血飛沫が散った。
成功
🔵🔵🔴
夜刀神・鏡介
1ヶ月何もせずに大人しく引きこもっていてくれるのなら、再訪するに吝かでない……等と言ってみるが
どうせお互いに信用しないだろうし、諦めてやり合うとしようじゃないか
引き続き神刀を抜き、神気によって戦闘能力を強化
大統領本人じゃないのにオーラ云々というのはおかしな話……とか言って揺さぶられる相手じゃないよな
俺に超高速で飛翔する相手を捉える手段はない。精々相手の動きを先読みして斬撃波を飛ばすくらいだが、これが決定打に欠けるのは先程と同じ
だが、奴の攻撃は拳闘。即ち、攻撃を仕掛けてくるなら必ず接近してくる
交差する瞬を見極めて、澪式・肆の型【玉輪】。素早く刀を振るって体勢を崩した上で、追撃を叩き込もう
数宮・多喜
はっ、好き勝手言ってくれちゃって。
1ヶ月も経ってたら用意なんざしないで、
とっととトンズラこいてる腹積もりだったろうにさ!
そんだけ自分の人気に気付いてるんなら上等さ。
そろそろ大人しく滅ぼされやがれってんだ!
『コミュ力』マシマシで『挑発』し、
オロチの少しでも冷静さを無くそうとするよ。
第一、憑依させてるだけで本人じゃないプレジデントなら、
その大統領魂なんかも知れたもんだろ!
そもそもその大統領さんはよ、任期は「なんどきだったんだい?」
わざとオロチを逆上させて相手から突っ込ませるように仕向け、
その突進中に【時縛る糸】で意識の隙を作るよ。
そこに『カウンター』で脳みそ揺らすアッパーカットをぶち込んでやらぁ!
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「はっ、好き勝手言ってくれちゃってさ」
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が吐き捨てれば、肩を並べる夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)も皮肉げに、
「1ヶ月何もせずに大人しく引きこもっていてくれるのなら、再訪するに吝かでないんだがな」
「どうせ用意なんざしないで、とっととトンズラこいてる腹積もりだったろうに! そろそろ大人しく滅ぼされやがれってんだ!」
『失敬な。私は大統領だよ? マニフェストには責任を持つ。何もしないと言えば、指一本だって動かしはしないさ』
露ほども信頼されていないドクター・オロチはいかにも心外そうに肩を竦めて、【プライド・オブ・プレジデント】を発動した。
燃える大統領魂がオーラとなってその身を包み、筋肉まみれの巨体が無重力のように浮き上がる。
『……まあ、風魔小太郎を始めとした配下オブリビオン達が何をするかまでは知らないけどね』
いけしゃあしゃあと付け加えたのを最後に、オロチの姿はかき消える。初速から時速1000kmを超えようかという高速飛翔は、猟兵たちの動体視力をしても目で追うのが困難で――だから先読みして合わせにいく。
斬!
小太郎戦に続き神刀の力で肉体を強化した鏡介が刃を振るい、斬撃波を放った。
四方八方へ乱れ撃ち。いくつかは命中した手応えがあるが、だからといって安心はしない。あの程度の牽制で得られるのは秒単位の猶予と考えるべきだろう。さあ、次の瞬間には来るぞ。神気を練れ、タイミングを見極めろ。
「崩れろ――【澪式・肆の型【玉輪】】」
自分の体を軸にして、刀で糸を巻き取るような独特の太刀廻しと重なって、鏡介の耳元を重たい風切り音が通りすぎ、ズゴォン! と交通事故みたいな勢いでオロチが壁に激突した。
「……考えてみれば、大統領本人じゃないのにオーラ云々というのもおかしな話だ」
「第一、部下に責任を押し付けるようなことを言うプレジデントなら、その大統領魂なんかも知れたもんだね」
『う、ぐ……言ってくれるじゃないか』
オロチは血まみれになりながらフラフラと立ち上がる。この時、猟兵たちの憎まれ口に応えたのは大統領然としたサービス精神のためか、それとも多喜が演出する応答せざるを得ないような雰囲気によるものか。どちらにしても、ここでオロチは選択を誤った。鏡介のユーベルコードにより崩された体勢を立て直して、一目散に逃げでもすれば挽回のチャンスがあったかもしれない。しかしオロチは挑発に応じて、そうと気づくこともなく魔法の呪文を聴いてしまう。
「そもそもその大統領さんはよ、任期は『なんどきだったんだい?』」
――詠唱完了。ユーベルコード【時縛る糸】発動。
会話に紛れてオロチの意識に滑り込んだ思念波が、彼の『時間』を縛り停止させる。当人の主観にして124秒。死闘の中で引き延ばされた体感時間だ、現実に換算すればもっと短いだろう。10秒か、1秒か……生憎、確かめる手段は存在しない。
「脳みそ揺らしてぶっ飛びなぁ!」
フリーズしたオロチの顎を、多喜のアッパーカットがカウンター気味に捉えて、その首級を千切り飛ばしたのだ。マッチョな胴体と泣き別れした脳ミソ頭は熟しきった柿みたいにベチャリと落下して、それっきり一言も発することはなかった。
ドクター・オロチ討伐!
多喜は会心の手応えを噛み締めながら拳を解き、鏡介も用意していた追撃の必要はなくなったと判断して神刀を鞘に収めた。
【END】
大成功
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最終結果:成功
完成日:2022年04月28日
宿敵
『拳将『シドウ』』
を撃破!
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