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殺戮フードデリバリー

#サイバーザナドゥ #迅雷運輸

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#サイバーザナドゥ
#迅雷運輸


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♪~
 義体疾走らせ 風のごとく
 満たすよ 食欲 早くて 安い
 疾風 迅雷 届くよ 夕飯
 ほかほかご飯と お肉の香り
 あゝ 迅雷運輸 迅雷運輸

●お届け物です
「代金は振込済みっすね~。そしたら電子署名だけいただけますかぁ?」
 使い込まれた義体を軋ませ、配達員が担いできたそれを置く。高性能小型バッテリーを搭載し、低い唸りを上げるそれは、迅雷運輸特製万能運搬BOXだ。中に入った物品は決して傷付くことなく、鮮度もそのままお届けできるという優れもの――と、少なくとも会社の広報はそう言っている。
「まずは中身を確認させてくれよ。いやーしかし腹が減っ」
 受取人が冷蔵庫のようなその蓋を開けた瞬間、咆哮と共に赤い塊が飛び出した。
「おわあ」
 配達員が思わず間抜けな声を漏らす。今回のお届け物は食品事業部の作る合成肉。安価で食い出のある庶民の味方……なのだが、どうやら手違いで加工前のモノを持って来てしまったらしい。
 合成肉の素材となる培養生物、真っ赤な肉塊のように見えるそれは、巨大な口で受取人を噛み砕き、咀嚼していく。
「あ~……やっぱり署名は要らないっすわ~」
 次の配達がありますんで、ボクはこれで失礼しますね。上半身のなくなった受取人と、増殖を始めた肉塊にそう言い置いて、配達員は部屋の扉を閉めた。

●暴れ出す食品
「――と言う流れで、この一帯は暴走、増殖した合成肉生物によって食い荒らされてしまうのだよ」
 食材に逆に喰われてしまうとは、何とも因果な話ではないか。そんな風に溜息を吐きつつ、八津崎・くくり(虫食む心音・f13839)は猟兵達に説明を続ける。彼女の予知によれば、この怪物は人と建物を食い潰し、やがては自壊していくようだが。
「さすがにそれまで待っては居られない。諸君等の手で、どうにかこの場を収めてきてくれたまえ」
 現場となるのは庶民向けの集合住宅。既に幾人かの被害者が出ており、それを餌に、合成肉生物は増殖を開始している。まずはその連中を蹴散らすことで増殖を抑えつつ、一人でも多くの住人を救ってほしいと彼女は言う。ある程度の避難が進めば、心置きなく敵の殲滅に乗り出せるはず。
「ただ、ある程度時間が経つと、この生物は食べた人間の義体や廃棄物を糧に、自らを強化してしまうだろう」
 そうなると殲滅には一手間かかるかもしれない――が、油断さえしなければさして苦戦はしない、と思われる。
「無為な犠牲を防げる上に、この人助けは今後の足掛かりにもなるだろう。是非、協力してもらいたい」
 頼んだよ、と付け加えて、グリモア猟兵は一同に頭を下げた。


つじ
 どうも、つじです。今回の舞台はサイバーザナドゥ。人々を救い、敵を倒すシンプルめなシナリオになります。早めの完結を目指していきたい気持ちです。

●舞台
 庶民向け集合住宅になっている高層建築物です。老朽化が進んでおり、あまり丈夫ではありません。敵は増殖しながらあちこちの部屋を食い進んでいます。

●第一章
 集合住宅のあちこちで暴れる合成肉生物を倒し、増殖を抑えると共に住人を救出してください。
 合成肉生物は人間くらいの大きさで、鋭い牙の生えた巨大な口を持っています。何でも食べる上に、一定まで大きくなると分裂して増えます。主に嗅覚を用いて周囲を認識しており、『甘い匂い』に釣られやすいようです。

●第二章、集団戦『ダスト・ナーガ』
 生き残った合成肉生物が、廃棄物や犠牲者の義体を取り込んだ姿です。撃破、殲滅してください。

●第三章、ガラクタ探し
 戦闘後は建物の瓦礫と敵の残骸が残ります。片付けを手伝ってあげたり、生存者の奪われた義体を見つけてあげたりすると、今後この世界の住人の協力を得やすくなります。
 ほかにも探せば面白いものが見つかるかも知れません。

●メガコーポ『迅雷運輸』
 その名の通り物流を主業務としている企業です。扱う物品も恋文から破壊兵器まで多岐に及び、それに応じた無数の部署が存在しています。今回は食品関係部署がやらかしたようです。

 以上になります。それでは、ご参加お待ちしています。
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第1章 冒険 『逆襲の合成肉』

POW   :    この程度の生き物力で対抗できるさ

SPD   :    生き物なんだし弱点をつければ

WIZ   :    生き物だし燃やせばいいんじゃない?

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シキ・ジルモント
敵を探して現場を走る
携帯食料からドライフルーツを取り出して口に放り込みつつ
敵は甘い匂いに釣られるそうだからな

今回の敵は合成肉生物…一応、生き物なのか
何でも食べるらしい、間違えても銃を食われる事のないように注意しておく

姿を見つけたら改めて“肉”を観察
見た目があまり良いとは言えないこの赤い塊の、一体どこを狙うべきか
適当に撃ってみて反応を確認してみるか
打撃への耐性を見る為に蹴り飛ばしても良いだろう
…反応があるのかすら分からないが情報収集は重要だ

ある程度調べたら殲滅に移る
手応えのある部位へ攻撃を加えて隙を作り、牙の生えた口の中を狙ってユーベルコードで弾を惜しまず攻撃
銃弾を食う隙を与えず完全に破壊したい



●銃弾のごちそう
 飾り気のない廊下を駆けつつ、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は口に入れたドライフルーツを噛み砕く。口の中に広がる甘ったるい味と香り、けれどそれを味わう暇もなく、彼は聞こえた悲鳴に反応して急制動、間近の扉を蹴破った。
 乱暴な手段ではあるが、非常事態だからやむを得ない。飛び込んだその部屋で、シキは住人らしき男と謎の肉塊が対峙しているのを発見する。
「無事か?」
「見りゃわかるだろ、コイツ、俺の義体を……!」
 確かに、機械化された左腕の、肘から先が無くなっている。そして肉塊の半ばにある口らしきものが、もぐもぐと蠢いており……。
「何でも食べる、というのは本当らしいな……」
 一瞬銃を抜く手が止まる。機械化義体を食えるというのなら、この銃だって食べられるということになるのだが……。合成肉の素材となっている生物、ということで良いのだろうか、皮の無い肉塊のような気味の悪いそれは、シキの噛み砕いたフルーツの香りに反応して、こちらを振り返った。
 大きく裂けた口の端から、零れる機械部品と誰かの血。壁に開いた大穴、強制的に繋げられた隣室からも、同じ血の臭いが漂ってきている。
「――!」
 そこからの反応は早かった。相手がこちらに飛び掛かろうとするより先に、シキの放った銃弾がその身を叩く。連続する銃声と共に肉へと食い込む弾丸。衝撃に身を捩らせる敵の動きを観察しながら、シキはそのまま接近し、鼻面と思われる場所を蹴り飛ばした。
「目でもあればわかりやすいんだがな」
 撥ね飛ばされた敵が壁にぶつかり、床を這う。手応えはあった。衝撃を無効化するような能力はなさそうだが、この反応からすると痛みを感じていない? そう当たりをつけながら弾倉を交換する。合成肉生物はなおもシキを狙い、大口を開けて蛇のように飛び掛かった。
 赤々とした肉の裂け目、そこに並ぶ幾重もの濡れた歯列。その奥にある赤黒い『喉』を睨み、シキは突進してくる敵の下顎を踏みつけた。上顎を手で支え、それが閉じ来る前に、口の中へと銃口を向ける。
「くれてやる」
 腹が減っているんだろう? そんな言葉と共に、弾倉のそれを一息で空に。切れ間の無い銃声に続いて、幾つもの銃弾が喉から尻へ、敵の身体を貫通した。びくんと跳ねて動かなくなったそれを床に転がし――。
「た……助かったぜ。やるなアンタ」
「ああ……」
 だが、ゆっくり解体検分している時間はなさそうだ。階上から響く新たな悲鳴を捉えて、シキはそちらへと走り出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼノン・サイネスト
嗜好品として肉は好むが…色々な意味で頂けない状況だな
ともあれ、人命救出に尽力しよう

建物内で肉生物の対処をしつつ、
目視&強化した聴覚機能を用いての生存者捜索優先で行動
人の姿が見えない場合
「助けに来た、誰か居ないか!」と声上げ

生存者を発見次第、救出開始
鴉に強い甘い香りを纏わせ囮として飛ばし、
敵が囮に気を取られている間に住人確保
住人はUCの分身1体に護衛させ、その場から速やかに離脱させる

肉生物への対処は、赤光で斬り落としたり
凍結弾を仕込んだクナイを投擲、凍らせて増殖抑制を試みる
敵が口を開けている状況なら、そこに凍結クナイを投げ込んでみようか

…肉自体が食欲を満たそうとしてどうするのだ
本当に残念な肉だな



●『食べる物』
 横一文字に走る赤光。フォトンセイバーの剣閃に伴い、上下に両断された肉塊が折り重なって地面に落ちた。集合住宅の外廊下、べちゃりと音を立てて動かなくなったそれを見下ろして、ゼノン・サイネスト(赤き残光・f36685)は目を細める。
「嗜好品として肉は好むが……」
 これは流石に、色々な意味で『頂けない』。食い破られた壁から中を覗けば、荒らされた室内に食い散らかされた家電の残骸が目に入る。幸いここの住人は留守だったようだが、時間的な余裕はなさそうだ。
「助けに来た、誰か居ないか!」
 声を張り上げ、聴覚機能の感度を上げる。幸いと言って良いものか、この建物の防音性は大したことが無いようで。
「――誰か」
 助けて、と。ほんの小さなそれを察知し、ゼノンは室内へと駆け込み、部屋の奥の窓を破り――。

 そこから三つ上の階では、その部屋の住人の女性が、床にへたり込んでいた。彼女の目の前に鎮座した合成肉生物は、その巨大な口でフードプロセッサーを齧り取り、呑み込む。そのまま次の獲物として、彼女の方へと向き直り――窓を突き破って侵入してきた一羽の鴉、もとい高性能ロボットに反応を見せる。
 あらかじめ纏わせてあった甘い匂いに引き付けられるまま、天井近くを旋回する鴉へと食って掛かる。鋭い歯列の隙間を鴉が擦り抜けている内に、ゼノンもまたその場に駆け付けていた。
「今の内に避難を」
「あ、ありがと……えっ二人? えっ?」
 腰を抜かしていた住人を支え起こして、一人のゼノンが室外に逃れる。カゲブンシン・フェノメノン、残ったもう一人のゼノンは、牙剥く肉の塊へと凍結クナイを投擲、床に、壁に、その身を縫い付ける。
「これならば、増殖もできないだろう」
 大きく膨らみ分裂しようとするそれを、凍結し、固めることで阻む。自由にならぬ身体をどうにかしようともがく合成肉生物は、なおも精一杯その身を伸ばして、鴉を口の中に捕えようとしていた。
 そんな様子から溢れんばかりの食欲を感じ取り、ゼノンは呆れたように溜息を吐く。
「……肉自体が食欲を満たそうとしてどうするのだ」
 本当に残念な肉だな。そんな小さな呟きと共に、再度の赤光が閃いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

肉が人を襲う…?肉が人を…?
色んな肉がいるんだね…ともかく肉退治と行こうか…
私は処刑人だ…!

適当に買った甘い缶ジュースを道端にぶちまけて
肉生物共を引き寄せよう

肉生物共が集まって来たら妖刀を抜き振るい
[鎧無視攻撃で切断]して攻撃しよう

切ったら増えるか…面倒だな…ならば…!

【ブレイズフレイム】を発動し
地獄の炎で肉生物を[焼却]してゆき
建物を焼かぬように[範囲攻撃]で炎を広めて
肉生物だけを焼き尽して[蹂躙]してゆこう…

肉生物…見た目は気持ち悪いけど…
肉の焼けるいい匂いが………お腹が空いてきた……
食いたいけど見た目が気持ち悪いし…あぁ…炭になってゆく…
…お腹空いたなぁ……



●お外で焼肉
 悲鳴を上げて飛び出してきた住人を追って、肉の塊にしか見えない生き物が姿を現す。
 肉が人を襲い、肉が人を喰らおうとしている。この集合住宅で起きている事態を前に、仇死原・アンナ(地獄の炎の花嫁御 或いは 処刑人の娘・f09978)がこめかみを押さえた。状況を飲み込むのに少々時間はかかったが、どうやら世界には色んな肉が居るようだ。
「ともかく肉退治と行こうか……」
 そう、処刑人として。逃げる住人を庇うようにしながら、彼女はその場に、缶ジュースの中身をぶちまけた。屋外に出てきた合成肉生物達は漂う甘い香りに引かれてこちらを向く。
 ここで逃すと被害はどこまでも広がりかねない、速やかに、確実に処理すべきだろう。アンナの引き抜いたサーベルは、ジュースの零れた床を齧り取ろうとしている生き物の首(だと思われる)を狙い――。
 刃が閃くその瞬間に、十分な大きさに成長していたその個体は、分裂増殖することでアンナの斬撃から逃れてみせた。
「面倒だな……ならば……!」
 二つに分かれ、それぞれまた新たな獲物を狙おうとするそれらに対し、アンナは自らの腕へと刃を這わせる。赤く生じた一筋の傷から、血飛沫の代わりに地獄の炎が噴き出した。猛るそれは脂の乗った合成肉生物へと燃え移り、大きく火勢を上げていく。この生き物に痛覚は無いのか反応は鈍いままだが、焼けて固まり行く肉に合わせて、のたうつようにその身を捩る。赤く濡れた身体はくすんだ色へと変わっていき――。
「なんだか、良い匂いが……」
 脂の焼ける香ばしい匂いに、アンナがそんな呟きを零す。なんだかお腹が空いてきた。見た目はかなり気持ち悪いけれど、さすが食用に作られているだけある、といったところだろうか。
「食べてみようかな……けど……」
 やっぱり見た目がなぁ。などと言っている内に炎は周り、謎肉生物を灰色に焦がしていってしまう。
 あぁ、炭になっていく。こうなれば食べるどころではないだろう。とにかく、敵は動かなくなった……けれど。
「……お腹空いたなぁ……」
 炭化していく肉から上がる黒い煙と共に、アンナの声が風に乗って消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星海・冴香
ぴんぽんぴんぽーん
デリヘルサービスから派遣されてきた地獄配達人です
返品交換は一切無用、神妙に受け取ってもらいます

でも、お肉に罪はないわ
住民を『救助活動』した後で、ちゃんと楽にしてあげる

救助活動では、UCを用いて万物を友とする事で、
今まさに危険が迫っている住人の情報を『野生の勘』で感じ取る、
敵を『誘惑』で無害化して住人が逃げる時間を稼ぐ、
住人への避難指示や『慰め』を通す、
『幸運』の形で万物の助力を得る、といった活動を試みます

必要なら『魂狩のクロ』を操って戦うけれど
UCで戦闘が回避できるものなら、広い場所にまとめて燃やすのがいいかしら

ちなみに甘い匂いといえば香水くらい
制服コスに合わせた甘酸っぱい系



●HELLの方
 天井を食い破り、落下してきた合成肉生物を前に、住人の男は何が起きたか分からないまま死を覚悟した。赤くぬめった体に、裂けた口から覗く無数の歯列。明らかにこちらを狙っているそれから、少しでも離れようと後退ったところで、来客を告げる音色が部屋に響いた。
 ぴんぽーん。
「どうも、デリヘルサービスです」
 頼んでない。とはいえ少しでも状況が変わるならと、住人は後ろ手にロックの解除操作を行った。
「お取込み中失礼します。デリヘルサービスから派遣されてきた地獄配達人です」
 返品交換は一切無用、等しく凄惨な地獄を此処に。星海・冴香(地獄配達人・f36316)と名乗った彼女は、平然と部屋に入り込み、合成肉生物と対峙した。
 ……とはいえ、ただただ食欲で動くお肉に罪はない。冴香の纏う甘い香水に引かれたか、住人から意識を外したその生物は、戸惑うように動きを止めている。
「ちゃんと楽にしてあげるから、そこで大人しくしていなさい」
 声が届いているとは思えないが、彼女のオーラにあてられたようで、合成肉生物は歯をガチガチと鳴らすものの、言われた通りその場に寝そべった。今の内に、と手招きして、冴香はへたり込んでいた住人の男を逃がす。彼が部屋を横切ったところで、天井の穴からさらなる個体が降って来て、男が小さく悲鳴を上げた。
「ヒッ」
「上の階で増えてましたか……」
 上階で増殖していたものが、冴香に引かれて集まってきたらしい。他所に行く前に引っ張れたのは幸運と言うべきだろうか。できることなら広い場所に集めて燃やしてしまいたいところだが、ユーベルコードにも時間制限はある、そうなれば彼女の魅力に誘惑されるまま、襲い掛かってくる可能性だって――。
「ああ、我慢できないみたいですね」
 だらだらと涎を零していた最初の個体がにじり寄ってくるのを察して、冴香は使い魔をその手に這わせる。
 広がる闇が形を成し、死神のそれを思わせる大鎌が、彼女の手の内に生じた。光を映さぬ黒い刃が、迫る肉塊を迎え討つ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロジャー・カニンガム
加工前の危険な『原料』の混入、
それをチェックもせず顧客に配達し、
あげく『事故』が起きても何ら対処せず
迅雷運輸の姿勢は非難されるべきですが、
騒ぎに乗じて宣伝活動に勤しむ我が社も……おっと。
では、『清掃業務』を開始します

・住民の避難が終わっていない現状では、迂闊な砲撃は危険と判断
万一の場合は多少の犠牲に目を瞑って撃つ選択肢は残しつつも、
基本はディスクガンで地道に焼却処理
・並行して安全な避難経路を逐一把握し、残された住民にそれを提示して避難を呼びかける
・瓦礫等に挟まれ身動きが取れない原因物の撤去、それが難しければ手足程度は切断してでも救助
・歩行が困難な住民は1名程度なら背中に搭載して安全な場所へ移送



●PR成功?
 歩行戦車の『紳士的な』アクセスに応じて、住宅の一室の扉が開く。聴覚に該当するセンサが悲鳴を拾い、頭部メインカメラが散らかった部屋の奥、荒らされたと形容するのも憚られるような惨状を捉えた。
「加工前の危険な『原料』の混入、それをチェックもせず顧客に配達し、あげく『事故』が起きても何ら対処せず……ですか」
 ばりばりと冷蔵庫を咀嚼している合成肉生物を前に、ロジャー・カニンガム(兎型歩行戦車RIT-17/S・f36800)は現状が事前情報通りであることを確認する。迅雷運輸のそのやり口は倫理にもとる……と、彼の判断基準ならそう言ってしまえるのだが。
 ここでの働きは、ともすれば歩行戦車カニンガムシリーズの売れ行きに繋がり、我が社、カツラギ・アーマメンツの印象も株価もアップ――などと広報担当は考えているかもしれない。そうなると余りとやかく言わない方が安全だろう。
「――では、『清掃業務』を開始します」
 室内、かつ救出対象が近くに居ることを加味し、ディスクガンを選択。赤黒く肥大化を始めたその個体へ、ロジャーは熱線を撃ち込んだ。ぶすぶすと脂の焦げる煙が上がり、合成肉生物が苦しむようにのたうつ。痛覚があるようには見えないが、身体の変調はさすがに分かるのだろうか? 大口を開けて襲い掛かってきた合成肉生物をいなすように跳躍したロジャーは、敵の頭らしき部分の上に着地、そのまま熱線を照射し続け、その身体を焼いていく。
「焼却処理を完了」
 やがて動かなくなったそれから飛び降りて、部屋の隅で震えていた住人のために避難経路を提示した。
「速やかに避難を。この建物からできるだけ離れていてください」
 あの生物が侵入する際に破壊されたと思しき、崩れた壁の瓦礫を押し退けると、外への道が開ける。助けられた住人からすれば、希望の光に見えただろうか。
「ママ、ウサギさんが助けてくれたよ?」
「え? ええ、そうね……お礼を言いましょう」
 ありがとう、という声に、ロジャーは頭部のセンサパーツを動かし、周囲を探りながら応じた。

 それは耳を振っているようにも見えて、母親に抱かれた子供が手を振り返す。……そう、歩行戦車の中でも、この型は非常に子供受けが良い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
ふぅん? おかしな生き物
まるで愉快な仲間のようね
これが喰われる側の復讐なら応援してあげたいところだけれど……
残念。そういうわけにもいかないかしら

【狼殺し】を発動し
甘い香りと蜜を纏い
合成肉たちを【誘惑】する

それにしてもこの集合住宅
九龍城砦に似ているかしら?
だったらちょっとは慣れたもの
【ジャンプ】【軽業】軽やかに
【逃げ足】活かして立ち回り
住人たちから引き離す

ああ、それにしてもあなた達
本能のままに喰い漁り
喰った分だけ肥え太る
復讐なんて考えてもいない!
良いわ、だったらアリスを食べてご覧なさい?

そうして程よく惹き付けたなら
わざと追いつかれ喰いつかせ
喰われる側の復讐を味わわせてあげる!



●甘い毒
「ふぅん、おかしな生き物ね」
 壁や床を、時には廃棄物や義体などを食い進む赤黒い生き物に、メアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)はそんな感想を抱く。アリスラビリンスまで行けばこの手の生き物もいくつか見つけられるだろう、ということで彼女の反応もいまいち鈍い。むしろ『喰われる側の反抗』という視点で見れば、応援してあげたいくらいだ。
 とはいえ、今回はそういうわけにもいかない。仕方ないとばかりに腰を上げて、彼女はユーベルコードで甘い香りと蜜を纏う。嗅覚で周囲を認識しているらしい彼等には効果覿面、付近に居た一匹が、明らかに反応を見せた。
「ほら、食べたいならこっちまで来てみなさい」
 蛇のように這うその肉塊から、かろやかなステップでメアリーが逃れる。この老朽化した集合住宅の様子は、九龍城砦にも通じる者が在る。それならば、ある種彼女にとっては慣れたもの。牙剥くそれらからひらりと身を躱して、住人達を襲う前に、引き寄せる。
 屋外に出ている者がそう多くないのなら、連中の空けた穴を潜って、出来る限り室内を進む者達を誘う。食欲のままについてくる者達を見下ろして、メアリーはがっかりしたような声を上げた。
「あなた達、復讐なんて考えてもいないみたいね」
 肩入れしたい思いもあったが、どうやらこの生き物達は期待外れ。喰らい、肥え太り、増える……在るのはただただ本能ばかりのようだ。
「良いわ、だったらアリスを食べてご覧なさい?」
 そうとなれば、手加減してやる必要もない。ある程度敵を集めた頃合いで、メアリーはステップを止めて、誘うようにその足を差し出した。ぎちぎちと裂けるように合成肉たちが口を開き、唾液でぬめった歯列が覗く。誘われるまま、食欲のまま、彼等はメアリーへと齧りつき――。
 『狼殺し』、猛毒の名を冠したその味を、思い知る事になるのだ。
「喰われる側の復讐を味わわせてあげる!」
 欲求を満たすはずの食事の末に、内側から機能不全に陥り、合成肉生物達は次々と動かなくなっていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カルマ・ヴィローシャナ
うわ、肉が暴れてる……
って食べられちゃうの!? 食べるならいいけど
いや、あれ食べたらヴィジュアル的にチャンネル登録減少!
駄目よ、こうなったら奥の手を使うわ

救済の終末時計で甘い匂いのする害獣退治用の罠を
骸の海の過去の記憶から呼び出せるわ
そう、甘ったるい匂いのキラー・ドローンとか!
空を飛んで奴らを呼び寄せて重火器で制圧射撃よっ!
大きくなって分裂するなら千切って細切れにしてあげるわ

そうすればカルマちゃんのドローンでもバッチリやれるっしょ
同時にフォトン・カラテ――ドミネーションを広域展開して斬撃波
これで合成肉の侵食を食い止める!

そしてヤバイ事件は撮影するよ
少しでもメガコーポの悪事を知って貰う為にもね!



●撮れ高
「食べられちゃうのは困るよね、食べるならいいけど……」
 食欲旺盛な合成肉生物が暴れるのを遠目に見ながら、カルマ・ヴィローシャナ(波羅破螺都計・f36625)はそんな呟きを零す。食べ物に食べられるというのもネタにはなるかも知れないが、よく見ると相手のヴィジュアルが如何ともしがたい。あれを食べても、食べられても、チャンネル登録者数は増えるどころか減る一方になるだろう。
 とはいえこういうメガコーポの悪事は今後の為にも記録しておきたい。企業が絡んでいるという証拠が見つかれば最高だが、暴れるあの生物達の様子だけでもインパクトはある。巨大な口で壁をぶち抜いた合成肉生物は、避難しようとしていた住人の一人をあーあーあー見ていられない。
「はいはい、そこまでー!」
 ユーベルコード、『救済の終末時計』。身の内の骸の海からこの場に相応しい罠、誘因性の匂いを放つ害獣駆除用のドローンを展開、敵の鼻先を飛ばして注意をそちらへ引き付ける。
「今の内に避難してねー」
 できればこの建物から離れて、付け加える内にも、展開したドローンは周辺を飛び、屋外まで出ていた合成肉生物達を呼び寄せていく。大口を開けた彼等はそれに食いつこうと体を伸ばすが、当然飛行するドローンに届くはずもなく。目に付く数体を引き寄せたところで、ドローンは逆に重火器による射撃を見舞い、その身を引き裂いていった。
「これなら分裂どころじゃないでしょ?」
 さすがカルマちゃんの奥の手、と自分で頷く。こうなればユーベルコードに頼らずとも、自前のドローンでも事態を収拾できるだろう。デウス重工製のドローンに援護を任せ、カルマは一連の制圧射撃で動きの鈍った敵達の元へと降り立つ。
「さあ、ここから先には行かせないからね!」
 フォトン・カラテ――光の粒子をその身に纏い、一閃。光の波が牙剥く者どもを吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ダスト・ナーガ』

POW   :    ザナドゥ・ファング
自身の【サイバーザナドゥに開いた「牙の生えた口」】が捕食した対象のユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、[サイバーザナドゥに開いた「牙の生えた口」]から何度でも発動できる。
SPD   :    ダスト・シュート
自分の体を【構成するパーツを一斉射出し、再度合体】させる攻撃で、近接範囲内の全員にダメージと【麻痺毒】の状態異常を与える。
WIZ   :    ナーガ・エボリューション
【肉体を構成するサイバーザナドゥ】から、対象の【さらなる進化を遂げたい】という願いを叶える【捕食用サイバーザナドゥ】を創造する。[捕食用サイバーザナドゥ]をうまく使わないと願いは叶わない。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●義体化合成肉生物
 猟兵達の尽力により、迅雷運輸の置き土産――食欲旺盛な合成肉生物達の増殖は防がれた。被害に遭った住人達も、概ねこの建物から避難を終えている。とりあえずは、これ以上外部に被害が広がることはなくなった……ように思われた。
 だが、そのタイミングで、集合住宅となっているビルの壁面が崩れ始め、『食い破られた』場所を中心に半壊、一同の前にもうもうと砂埃が立ち込める。

 やがて視界を塞ぐ砂埃が収まったそこに、瓦礫をかき分けるようにして、『生き残り』達が姿を現した。

 食欲のままに人々の義体を、この建物の建材を、いくつもの家電を、廃棄物を。喰らい、取り込み、生き残った合成肉生物達は、各々に特殊な進化を遂げていた。
 柔らかな肉が、機械部品で出来た硬質なボディを繋ぎ、ある者は巨大な腕を、ある者は外界を認識するセンサーを、そしてある者はAIによるさらなる知能を得て、それら全てをさらなる食欲へと捧げる。
 放っておけば、それは今度こそ『外』へと被害を広げていくだろう。幸い、数はさして多くない。向かい来る者、隠れている者、それらをまとめて、この場で殲滅しなくては――。
ロジャー・カニンガム
集合住宅の一部崩壊を確認
住民の避難が概ね済んでいたのが不幸中の幸い――

まだ駆除しそびれた個体がいましたか
しかも見た所可食部分はほとんど残っていないようです
これでは再利用は難しそうですね。…今のはジョークです。
しかし無機物すら取り込みここまで進化するとは、製造工場の安全面にも疑問を呈さざるを得ませんね

・UC【戦闘支援要請】により機銃ドローンを召喚。半数を隠れている個体の捜索に当てる
・残りの半数のドローンが現在姿を確認出来ている敵に先行して攻撃を行い、敵がそちらに気を取られている所に砲撃を撃ち込んでいく



●貪欲なる者
「集合住宅の一部崩壊を確認」
 事前に倒壊を察知し、逃げ遅れた住人を乗せて建物を抜け出したところで、ロジャーはガラガラと崩れていく瓦礫の様子を探る。スキャン結果は完全ではないが、倒壊した近辺の部屋は既に猟兵達が回った後であることが分かった。
 ――不幸中の幸いと言うべきか、住民の避難は概ね済んでいるはず。生き埋めになっている者は居ないかと生体反応を探ろうとしたそこで、瓦礫の山から這い出して来るそれらに直面した。
「まだ駆除しそびれた個体がいましたか」
 しかしながら、現れたそれらは先程までと違い、義体や家電を取り込んだ、金属の肉体を得ていた。
「見た所、可食部分はほとんど残っていないようです。これでは再利用は難しそうですね」
「再利用……?」
 そういえば住人を一人背負ったままだった。発言内容に問題があったか、彼は半眼になってこちらを見ている。
「今のはジョークです」
「……ああ」
 納得された感じはあまりない。が、この程度なら社の評判への影響は軽微だろう。安全な場所にその住人を下ろすと、ロジャーは社へと通信を繋ぐ。
「無人兵器による支援を要請します」
 それは程無く受理され、速やかにカツラギ・アーマメンツのロゴ入りドローンが駆けつけた。それらの指揮権を得たロジャーは、半数をさらなる敵の捜索に、もう半分を目前の敵群への攻撃に充てる。統制の取れた動きで列を組み、機銃を展開したドローン達が一斉に射撃を開始。廃棄物の蛇……ダスト・ナーガと化した敵のボディで無数の火花が散り、隙間の肉を裂かれた彼等は痛みに苦しむように体をくねらせる。しかし、連中は即座にその身を組み替えて、蛇の顎のような捕食用部位を形成、身体を撓ませドローン達へと反撃に出た。
 建材を組み合わせた歪な牙がドローンを噛み砕き、呑み込み、それを身体の一部へと取り込む。
「無機物すら取り込みここまで進化するとは……」
 半ば感心するように、ロジャーが言う。こうなると、製造工場の安全面にも疑問を呈さざるを得ないのだが。とにかく、空中のドローンに食いつくことで身体の伸び切ったタイミングを逃さず、ロジャーの背負った砲塔が火を吹いた。
 ドローンの機銃とは一線を画す威力のそれは、ダスト・ナーガの金属部をもゆうに貫く。真っ二つに引き裂かれた敵は、少しの間地面を跳ねて、やがて動かなくなった。
「次弾装填」
 囮と複数の『目』を駆使して、ロジャーは次々と敵を撃ち抜いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼノン・サイネスト
たった一つの荷物から酷い有様になってしまったな
節操ないその動き、未だ食欲衰えず…といった所か

取り込まれない為にも、まずは敵センサーの感応距離を把握するため
敵との距離を取りつつクナイを投擲&牽制を試みる
同時に鴉を頭上に旋回させ視覚情報を共有、自分の死角に敵が居ないかも警戒しよう
敵センサー範囲内に入ってしまったら、アクセラレッグで加速し敵攻撃範囲外に離脱

UC範囲内に敵を誘導するように動き、
ある程度の数が集まったタイミングで閃穿(UC)を投擲
敵センサーを無効化次第、近接攻撃を実行
炉心を燃やし、最大出力を伴った加速で戦場を駆け巡り、
可能な限りの敵を赤光で一刀両断

迅雷運輸には肉処理代を請求せねばなるまい



●一網打尽
 半ば崩れた建物に、這い出してきた『蛇』の群れ。控えめに言って大惨事なこの状況を見下ろし、ゼノンが嘆息する。
「たった一つの荷物から酷い有様になってしまったな」
 民間人にさほど被害が出ていないのは幸いだが、このまま放っておけばそれも無駄に終わってしまうだろう――そう考えられるほどに、ダスト・ナーガと化した合成肉生物達は、貪欲に次の獲物を求めていた。転がる家電や瓦礫程度ならまだいいだろうが、サイボーグであるゼノンの身体も間違いなく的になる。ならば、とゼノンは現れた蛇達へと向けて、クナイを投擲、牽制を試みる。
 装甲部に突き刺さるそれらから、ダスト・ナーガは攻撃してきた相手を探る。その反応の仕方を、上空の『鴉』と視覚を共有しながら観察し、ゼノンはそれぞれの知覚を絞り込んで行った。
 嗅覚に相当するものは最初から備えているはず、それに加えてある者はカメラ、ある者はマイクを駆使して周囲を認識している。その形を、範囲を探り――。
「節操ないその動き、未だ食欲衰えず……といった所か」
 牙を剥いて飛び掛かってきた個体をいなし、アクセラレッグで加速し、離脱。ある程度情報が集まったところで、彼は自らを囮に、敵の探知範囲へと踏み込んで行った。複数体の敵による知覚の網を、巧みにくすぐり、擦り抜けながら彼は踊る。瓦礫を踏み越え、かろうじて残った壁を背にしたところで、それを砕くようにして別のダスト・ナーガが現れるが、その動きさえも鴉の瞳が捉えている。飛び掛かる敵の身体を蹴り付け、跳躍したゼノンは、空中から一本のクナイを投げ放った。
 『閃穿』、ここまで誘導されてきた敵群の中心にクナイが突き立ち、爆ぜて、その場へと轟音と光を撒き散らす。敵が新たに得た聴覚と視覚をそのまま隙へと変える一手。激しい光と音に混乱し、彼等はただその場に立ち尽くすことしか出来ない。サイボーグの炉心が燃える鼓動も、閃く赤い刃も、彼等は捉えられぬまま。
 風がその場を駆け抜けると、両断されたダスト・ナーガ達の身体が瓦礫の上へと倒れ込んでいった。
「――迅雷運輸には肉処理代を請求せねばなるまい」
 赤い刀身が掻き消えた後、ゼノンの呟きだけが小さく響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

ぞろぞろと来たか…
もはや原型を留めてないな…
ならば全員さっさと屠るだけだ…!
私はアンナ…処刑人が娘…!

鉄塊剣抜き振るい牙生える口に目掛け[鎧砕きで串刺し]
[怪力でなぎ払い]敵群を一掃しよう

そんなに腹が空いているか…暴食の権化め…!
ならば…地獄の炎でも喰らえッ!!!

地獄の炎を全身に纏い
【暗黒不死鳥炎獄破】を放ち敵群を[範囲攻撃で焼却]
敵が地獄の炎を放とうが[火炎耐性]で吸収し
自身の纏う地獄の炎を[力溜め]て強化
さらに燃え盛る地獄の炎の[継続ダメージと鎧無視攻撃]で
焼き尽して[蹂躙]してやろう…!

肉じゃなくて何かが焼き焦げる嫌な臭いがする……
なんだか食欲が失せてきたな…はぁ……



●それが燃え尽きるまで
 瓦礫の中から這い出るようにして現れた合成肉生物は、義体をはじめとした様々な無機物を喰らったことで、より捕食に向いた形へと姿を変えていた。建材や圧し折れた金属部品を並べた歪な歯列が口内に覗く。迫るそれらを、アンナは鉄塊剣を抜き放ち、迎え撃った。
 たとえ原型を留めぬほどに進化しようが、頭数が多かろうが、『処刑人』として、やるべきことは変わらない。
「全員さっさと屠るだけだ……!」
 大口を開けて飛び掛かってきた先頭の個体に、アンナは得物を振るい、叩き付ける。装甲のように配された義体ではなく、口の中から体内を貫くような一撃。串刺しになったそれを振り払うように、剣を大きく振るえば、斬撃の勢いに負け、両断された蛇の身体が宙を舞う。しかしその剣さえも喰らおうとしていたのか、刀身に突き立てられていた敵の牙が滑り、軋んだ音色が辺りに響いた。
「そんなに腹が空いているか……暴食の権化め……!」
 不快気に眉を寄せて、アンナはさらに迫る敵群を薙ぎ払うため、闇色の炎をその身に纏う。
「ならば……地獄の炎でも喰らえッ!!!」
 『暗黒不死鳥炎獄破』、暗褐色に燃える不死鳥がその翼を振るい、熱風がダスト・ナーガの群れを炙る。先程よりも強い火勢は金属部を繋ぐ肉を焼き、一瞬のうちに黒く焦げ付かせていく。たまらず力尽きていく蛇達、だが死した前衛を風除けにして、後続の個体がその炎へと喰らい付いた。金属製の牙と口でそれを呑みこむと、ダスト・ナーガは取り込んだそれを我が物とし、アンナと同じ技を反撃として放つ。
 炎を伴う二条の旋風がぶつかり合い、吹き荒れる中を、構わずアンナは前へと踏み出した。
「この程度で私を燃やせるとでも……?」
 たとえ技を真似ようとも、その威力も炎への耐性も、彼女には遠く及ばない。自らを焼く炎をさらに熱源へと変えて、より強く燃え盛る炎を手に、彼女は敵を掴み取る。
「焼き尽して蹂躙してやろう……!」
 装甲代わりの金属部さえも、高熱を浴びてひしゃげていく。巻き起こる炎の嵐の中、立っていられたのは彼女一人だった。
 食用にもされている肉は焼け落ち、ぶすぶすと黒い煙を上げて、そこに焦げた金属の鼻を突く臭いが混ざる。
「なんだか食欲が失せてきたな……はぁ……」
 難儀なものである。力尽きた残骸を離して、アンナは一つ溜息を吐いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
合成肉生物が変化したものなら痛覚による行動制限は期待できない
今回も速やかに機能を停止させる必要があると意識
付け入る隙はパーツを射出した後、再度合体される直前か
独立したパーツを各個撃破できるかもしれない

敵に接近した状態で交戦し攻撃を誘う
パーツを射出する様子を確認次第、ユーベルコードで増大した速度で即座に近接範囲から離脱したい
間合いの広さならこちらの方が上、範囲外へ退避し銃で反撃を試みる
合体前に敵の機能を停止させる為、なるべく頭部や元の肉塊に近いパーツを狙って破壊したい

手早く敵を倒す為でもあるが、あまり無闇に壊してしまうと住人の奪われた義体まで損なう可能性がある
出来るだけ無事に戻してやれたら、と



●最小限の被害
 瓦礫を押し退けるようにして現れた『蛇』の群れと対峙する。義体さえも取り込んで、金属部を多く含んだその見た目はダスト・ナーガの名に相応しいもの。しかしそれら部品を繋ぐ肉、そして即座に巨大な口を形作る本能が、見た目は変われど先程戦った合成肉生物と同じ物であることを物語っている。
 前回の交戦の際の手応えから、今回も痛覚による行動制限は望み薄だと推理できる。ならば戦いの方向性も前と同じだ。――攻撃を誘い、そこに決定的な一撃を見舞う。
 無造作に一歩踏み出し、シキは敵の間合いへと踏み込んだ。
「――!」
 変化は劇的、噛みつきかかるには遠いそこで、ダスト・ナーガ達がその身を膨らませる。そう見えたのは一瞬、その身は弾けるようにして、ばらばらに飛び散る。身体を構成するパーツを散弾のように射出したのだ。
 初見では躱すのが難しい不意打ちの攻撃、だが獣の反射神経はそれを凌駕してみせる。
 『イクシードリミット』、秘めた獣性を解放するこの一手により、シキは肉体限界を超えた速度を得る。今回は接近、攪乱ではなく後退にそれを用いて、射出されたパーツ群と張り合う速度でそれを視る。見切り躱すだけでなく、獲物を求める青い瞳は飛び交うパーツの中で目的のものを捉えた。
 狙うべきは知能を得たと思しき頭部、そして義体同士を繋ぐ『肉』の部位。銃口がそれぞれを順にポイントし、瞬く間に放たれた銃弾は、狙ったそれらを食い破り、貫く。攻撃の為に射出されたダスト・ナーガ達の身体は、次の瞬間再集結し、元の姿に戻る――はずだったのだが。シキの射撃によって頭脳を、身体を継ぐための肉を破壊されればそれが叶うはずもない。
 がらんがらんと音を立てて、射出されたパーツはばらばらに、瓦礫の上を転がった。

「……上手くいったか」
 敵が起き上がって来ないことを確認し、シキは拳銃を収める。これは手早く効果的な討伐方法、というだけではない。彼が見下ろすダスト・ナーガの残骸は、そのまま誰かの義体の一部分でもある。こうして最小限の傷で済ませてやれば、持ち主にも返してやれるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カルマ・ヴィローシャナ
随分と沢山出て来たけれど……容赦はしないよ
ドローンで戦場を撮影し実況しつつ戦闘開始!
うわ、食べられたらコピーされちゃうなんて何たる違法行為!
だったらバレない様に動くにゃん。ニンジャっぽく
マッコウで臭いを隠し存在感を消してアンブッシュ重点
早業で忍び寄りいい位置(カメラ的に)狙う
アングルは要注意だかんね! それじゃ行くよ!

奇襲で功夫(カラテ)、直突きで吹っ飛ばす!
ドーモ、迅雷運輸=サン。カルマちゃんです
それにしてもキモイにゃん……でも
ドローンの制圧射撃で敵を分断し
飛ばしたドミネーションのフォトン斬撃波で動きを止めて
追い詰めた所を私のカラテで各個撃破! イヤーッ!
パフォーマンスでチャンネル登録重点!



●サツバツ
「うわ、食べられたらコピーされちゃうの?」
 撮影したその光景、仲間達の戦う動画をチェックしていたカルマは、敵が猟兵の放った攻撃を捕食し、同じ技を使ってくることを確認する。一撃で全て倒せるのならば話は別だろうが、それが叶わぬ恐れがあるなら、一工夫足してやる必要があるだろう。
「だったらバレない様に動くにゃん」
 ということでここからはニンジャメソッド。先程までと同様敵は嗅覚を備えているだろうと判断し、マッコウのナノマシンを駆使して匂いを薄める。敵に認識される前に仕留めていく構えだ。瓦礫から這い出してきた合成肉生物――ダスト・ナーガと化したそれらの位置を把握し、彼女はそれに取り掛かる。
「随分と沢山出て来たけれど……容赦はしないよ」
 ドローン配置ヨシ、アングルもヨシ。どうせやるならアクロバティックに、そしてその動きが最大限映えるようにと調整してから、カルマは敵前へと飛び出していった。

 如何に身を隠そうとも、臭いがあればこちらの居場所は割れる。だがそれすらも偽装して、敵の認識外を縫うように駆けると、カルマは隙だらけの敵の身体に直突きを見舞った。避けようのない鋭い一撃を受け、吹き飛ぶダスト・ナーガの肉体から視線を切って、決めの角度でカメラを覗く。
「ドーモ、迅雷運輸=サン。カルマちゃんです」
 未だ周囲に健在の蛇達へ、そしてカメラの向こう、いずれこれを見ることになるであろう迅雷運輸の人間へ、丁寧に一礼。嗅覚のみならず様々なセンサを得たダスト・ナーガ達もすぐに彼女を認識し、喰らい付こうと動き出すが、先に展開していたドローン達の機銃が、その機先を制する。
「イヤーッ!」
 そうして動きを乱したところに放たれる、さらなるカラテの一撃。振り下ろされたカルマの手刀はダスト・ナーガの首らしき部位を捉え、叩き伏せる。地に叩き付けられた敵は、なおも彼女へ牙を向けようとするが。
「そして時は動く、終末に向けて……」
 『業斗終焉拳』、今の一撃と共に流し込まれた骸の海が、敵の体内で蠢く――。

 そんな戦いを捉えたドローンカメラの向こう、配信された動画には、チャンネル登録を誘う大きな文字列と、その後ろで派手に爆ぜ飛ぶダスト・ナーガ達の様子が映し出されていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
皮を被って、殻に籠って
立派になったと言ってあげるべきかしら?
それでもまだまだ食べ足りないだなんて!

いいわ、だったら甘い物を貪った後だもの
次はスパイシーなものなんてどうかしら?

こうも殻が硬いと歯が立たないと
【逃げ足】活かして立ち回り
【軽業】【野生の勘】で身を躱す
捕食用~がどんな形をしていても
アリスを食べたがる以上、大きなお口を開くはず?
そこへ目掛けて【胡椒挽きの短銃】撃ち込み殻の中
お肉に直接香り付け!
……この子たちもくしゃみをするのかしら?

さっきまでのように鼻が良いままなら
こうして【誘惑】してやれば
隠れている子たちも釣られる筈だから
共食いさせて数減らし
傷付いたところへ【鎧無視攻撃】でトドメ指す!



●坩堝
 生き残り、進化を遂げた合成肉生物――ダスト・ナーガと化した彼等が周囲を取り囲んでいくのを、メアリーは特に動じる事もなく観察していた。
「皮を被って、殻に籠って、立派になったと言ってあげるべきかしら?」
 より強力に、禍々しい見た目に変わりながらも、なおも食欲のまま動く姿。しかしながらそれは、オウガを相手取ることに慣れた彼女にしてみれば、『よくあること』に他ならない。慌てるどころかどこか好まし気に反応して見せて、メアリーは襲い掛かる蛇の群れに笑顔を向けた。
「いいわ、だったら甘い物を貪った後だもの。次はスパイシーなものなんてどうかしら?」
 義体を駆使して作った無機物の『口』が相手では、先程と同じ手は効きが悪い恐れがある。かと言って先制攻撃するには装甲が厚いか。早速背を向けて逃れながら、彼女は自分を狙う敵群の動きを視線で追う。本能に従う彼等の動きは素直なもので、メアリーの狩られる者特有の『誘い』に、それらは簡単に引っ掛かる。
 開いた大口の中、渦を描くように並んだ歪な金属の歯を眺めながら、そのど真ん中に向けて、メアリーは短銃の引き金を引いた。
「たっぷり、胡椒をきかせてあげ……くしゅん!」
 『胡椒挽きの短銃』、銃口から盛大に飛び出した胡椒が、ダスト・ナーガの口の中を染め上げる。広がるスパイスの風味に驚いたように身体を震わせた敵は、より食欲を掻き立てられたかのように、強く地を蹴ろうとする。
 が、その動きは、瓦礫の中に潜んでいた別のダスト・ナーガに遮られた。
「――!!」
 メアリーの撒き散らした芳しい香りに誘い出され、その個体は美味しそうに香る肉――胡椒で味付けされた先程のダスト・ナーガへと喰らい付く。敵の鼻の良さと、絶える事ない貪欲さが噛み合い、共喰いが始まった。
 隠れていた個体も誘き出されて、肉欲のままに喰らい合う。ちょっと自分が蚊帳の外になってしまったことに、拗ねたわけでもあるまいが。
「いっぱい食べて、満足できたかしら?」
 残った最後の一体を、メアリーの刃が切り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星海・冴香
速やかに残りの個体を殲滅しましょう
クロ、行くわよ

巨大鎌形態の『魂狩のクロ』を操って
まず外界に意識が向いている個体から倒します

そして知能を得た個体や隠れている個体も、逃げようとするかもしれない
それは阻止したいけれど、逃走ルートが通信や配管……と、色々ありそうね

その辺りに一番詳しいのは建物自体かしら、そう考えて
UCを使って集合住宅を要塞化して、協力してもらいます
敵位置の把握、逃走ルートの封鎖、瓦礫や障害物を利用しやすい足場に変換
といった操作を試みます。敵との区別がつかなくなるから自律迎撃はさせない

戦意旺盛な個体もいると思うから、その相手も忘れないけれど
共闘してくれる仲間がいれば感謝してお任せします



●袋の鼠
 銃弾が歌い、炎が吹き荒れ、光と爆音に彩られながらユーベルコードが飛び交う。猟兵達の戦いにより、増殖した合成肉生物――ダスト・ナーガの群れは順調に数を減らしていた。このままいけば、ほどなく殲滅することができるだろう。巨大な鎌を駆使して敵を仕留めていた冴香も、そう見込んではいるのだが。
「向かってくる者ばかりではない……ですよね?」
 残っていた一抹の不安、懸念材料を口にする。大半の敵は食欲任せに出てきたが、ここまでに、隠れていたのを『誘い出す』必要があった個体も確認できている。つまるところ、まだ隠れている者や、もしかしたら知恵を得て逃げようとしている者も居るのでは?
 だとすれば、厄介な事になる。無機物を取り込んだダスト・ナーガはこの場では見分けを付けにくく、瓦礫の影や埋もれた配管など、目立たぬ逃走経路も豊富にあるだろう。
「それなら――」
 味方に付けるべきは、このフィールドそのもの、ということになるだろうか。『魅惑』のオーラを解き放ち、冴香は半壊したこの集合住宅に働きかける。魅了し、自我を目覚めさせ協力を仰げば、この建造物は彼女にとっての要塞へと在り方を変えた。

「まずは逃げ場を塞いで、敵を引きずり出してもらえますか?」
 建物が俄かに身震いし、配管の先に格子が降りる。続けて蠢く『蛇』の隠れた瓦礫の山が、沈み込むようにして敵の姿を露にした。
「私達はこちらの個体を殲滅しましょう」
 行くわよ、と手元の大鎌――『魂狩のクロ』へと告げて、冴香は残敵の掃討にかかる。戦意旺盛な個体と違い、背を向けて逃げようとする彼等だが、この場そのものを味方に付けた冴香から逃げられるはずもない。彼等の前には瓦礫の壁が立ちふさがり、逆に冴香の歩みに合わせて道が開く。
 踏み出す一歩に合わせて階段まで出来上がる勢いで、軽やかに駆け上がった彼女は、あっという間に逃げるダスト・ナーガの背へと追い付いた。
 闇の色の刃が閃き、敵の命を刈り取る。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ガラクタ探し』

POW   :    探す

SPD   :    探す

WIZ   :    探す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●片付けの時間
 迅雷運輸の不手際に端を発したこの騒ぎは、猟兵達の活躍により収められた。増殖し、大暴れしていた合成肉生物は悉く討ち取られ、後には動かなくなった合成肉と、彼等が取り込んでいた家電や義体が、半壊した集合住宅の瓦礫に埋もれて残されることとなった。
「おお、収まってる……?」
「あの怪物ども、派手にやっていったなあ……」
 ぽつぽつと戻ってきた住人達が、安心したような、惨状を嘆くような、複雑な感情の乗った溜息を吐く。
「食われた俺の義体、残ってるかなあ」
「部屋が残ってるか心配した方が良くない?」
 メガコーポの暗躍するこの世界では、これもありふれた惨事の一つに過ぎないのかもしれないが。逞しい住人達は、各々残された瓦礫へと向かっていった。
 こうして行き会ったのも何かの縁、そんな彼等を、手伝ってあげるのも良いかも知れない。
仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

終わった…か…
いや…まだだ…後片づけしないとね…
行こうか…私は処刑人…!

【巨人力】による[怪力]を使って瓦礫を運び出してゆこう
住人達に[優しく]接して[慰め]よう

…これは…さっきの肉生物が食ってた金属か…
地獄の炎で熔けてるけど…え…これあなたのぱーつ…?
……ごめんね…なんだか悪い事しちゃった……

……まだこんなに瓦礫がある…
[覚悟]を決めて片づけ続けよう…

お腹空いたなぁ……
どこか食べられる店はないのかな……
出来れば肉以外の食べ物……



●後片付け
「終わった……か……」
 静寂が戻った……わけではないが、少なくともこの場を侵す破砕音は止んだ。戦闘の終わったその場所で、アンナは改めて周囲を見回す。被害ゼロとはいえないが、平和は戻ったと言って良いだろう。ただちょっと、散らかっているだけで。
「いや……まだだ……」
 これにて依頼は完遂、と行きたいところだが、彼女は自らそれを否定する。目を逸らすわけには、いかない。
「行こうか……私は処刑人……!」
 処刑人にとっては、後片付けだって大事な仕事だ。たぶん。
 持ち前の怪力を駆使して瓦礫をどかし始めると、住人の一人もまたそれに倣い、義体化した腕を駆使して作業を始めた。
「いっそのこと綺麗さっぱりなくなってくれてれば、な……」
「ああ、この部屋に住んでたんだ……?」
 住むところが無くなった上に瓦礫ばかりが残っている。嘆きの声に、同情の目線を返しつつ、アンナはせっせと瓦礫を動かす。せめて、役に立つようなものが掘り出せればいいのだが……。
「……これは……さっきの肉生物が食ってた金属か……」
 手応えあった、と思って引っ張り出したそれは、先程の戦闘時に見かけた物。ひしゃげ、歪んで見えるのはアンナの放った地獄の炎に炙られた結果だろう。
「あ、それ俺の替えの腕……」
「あー……ごめんね……?」
 なんだか悪いことしちゃったかな、というアンナの表情を察したか、住人の彼も気まずい雰囲気を出しながら首を横に振った。
「いやいいんだ、あんたらは俺達を救ってくれたわけだしな……」
 改めて、感謝の言葉を告げられる。元をただせば悪いのは事件を起こした側だ、とそんな事を言いつつ、二人は後片付けを――。

「終わらない……まだこんなに瓦礫が……」
 結構時間をかけたはずだが、まだ一向に終わりは見えない。軽く途方に暮れながら、アンナは小さく呟いた。
「お腹空いたなぁ……」
 どこか食べられる店はないのか、というそれに、一緒に片付けを行っていた住人達も顔を見合わせる。
「ああ、そうだな。肉でよければ――」
「いや……出来れば肉以外で……」
 今日はもう肉は見たくない。苦笑交じりに言って、彼女は引っ張り出した合成肉だったものを放り投げた。
 後片付けが終わるまで、まだ暫くかかるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロジャー・カニンガム
――さて、困った事になりました。
被災住民の安否確認の名目で、迅雷運輸に関する“有益な情報”が残っていないか確かめるつもりでしたが。
おそらく倒壊した建物の住民でしょう、私は現在、複数名の子供に取り囲まれています。
よくあるケースですが、どうも彼らに気に入られてしまったようです。
邪険に扱う訳にもいきませんし、瓦礫の中にまだ危険が潜んでいないとも限りません。
仕方ありません。彼らの気が済むまで相手をする事にします。
ああ!セーフティは掛けていますが、あまり砲塔には触らないでください。
万が一暴発したら危険ですから!

…何か“有益な情報”を得た猟兵がいれば、後でその方から情報提供していただくとしましょう。



●PR業務?
 ――さて、困った事になりました。
 頭脳戦車、ロジャーのAIが目の前の難問に挑む。人命救助および騒ぎの鎮圧という当初の目的は果たした。あとは被災住民の安否確認の名目で、事の発端である迅雷運輸に迫れる情報を探す予定である。市民へのPRも兼ね、さらにメガコーポの情報を得るという、今後の布石として的確な行動、のはずだったが。
「ね? ウサギさんいたでしょ?」
「ほんとだ、かわいい~」
 先程助けた子供が、友達を連れて来たものらしい。ロジャーは幼い子供達に完全に包囲されていた。
 わざわざ動物に寄せた外見に、兵器としての合理性を見出すことは難しいが、こういうことがよくあるのもまた事実。業務外というか用途外というか、そんな言葉が思い浮かぶが、経験上この場合の対処法は、まあ。
「でもウサギだろー? つえーの?」
「つよいよー、ぼくとママのこと、たすけてくれたもん」
 されるがままに任せるまで。邪険に扱うわけにもいかないだろうし、ただでさえ瓦礫だらけのこの場所で、怪我でもされたら問題である。さらに言うなら、仕留め損ねた者が潜んでいる恐れもわずかながら、あるわけで――。
「でっけー大砲!」
「かっこいいよなー」
「ああ! あまり砲塔には触らないでください!」
 セーフティは掛けているけれど、万が一暴発したら危ない。機体の駆動部で指を挟まないように、意図せぬ排熱で火傷させないように――先程までのダスト・ナーガよりも、余程気を遣う相手と言えなくもない。
 登らないで。ああ、出来ればぶら下がるのもやめてほしい。話しかけてくる子供達に何とか返事をしつつ、ロジャーはしばらく遊び相手に徹することになった。

「……何か“有益な情報”を得た猟兵がいれば、後でその方から情報提供していただくとしましょう」
 半ば諦めの境地で、ロジャーはそう呟いた。
「ウサギさん、ニンジンたべる?」
「食べないです……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼノン・サイネスト
最初に救助した女性を見かけたなら声掛け
「先程は手荒に扱い申し訳なかった。
探す物があるなら助力させては貰えないだろうか」

とはいえ、当てもなく探すのは
物探しに適切なシステムを搭載していない自分には向かず
彼女の部屋で撃破した肉が取り込んでいると良いのだが

サイバーアイの移動履歴を検索
彼女の部屋座標に移動、捜索開始
瓦礫は腕の出力を上げて持ち上げたり、赤光で細かくしたり
…このままでは埒が開かないな
UC発動前に彼女へ宣言
「人手を増やす為に分身を出現させる。驚かせたらすまない」
まず5人、足りないなら追加で分身召喚

…猟兵とは、戦うだけでなく人の心に寄り添う事も大切なのだな
少しでも、日常に戻る切掛になれたら幸いだ



●日常への一歩
 半ば廃墟となった建物の瓦礫を、住人達は各々の目的で掘り返し始めていた。まだ無事な部屋への道作りや、残った家具の捜索、もちろん純粋に善意で後片付けを手伝っている者も居るだろう。そんな中に先程救助した女性を見つけ、ゼノンは彼女に声をかけた。
「先程は手荒に扱い申し訳なかった。探す物があるなら助力させては貰えないだろうか」
「え、いいの?」
 助けてもらった上に頼みごとをするなんて気が引ける……と唸っていた彼女だが、猫の手も借りたい状況ではあるのだろう。彼女の部屋が崩落範囲にあったことはゼノンも把握しているため、彼はその頼みを快く引き受けることにした。
「襲われた時に、机に置いてた商売道具を食べられちゃって」
「……商売道具?」
 ゼノンの問いに、彼女は義体化した『眼』の辺りを指先で示してみせる。彼女の言っているのはそこに接続するオプション部品、カメラか外付けのサイバーアイの類らしい。職業は記者か何かだろうか。
「食べられたのなら、あの時の肉が取り込んでると思うのだが……」
 それも残っているとすれば、だが。物探しが専門ではないゼノンには、そこまで精密なシステムは搭載されていない。とはいえ手は尽くすべきだろうと、サイバーアイの移動履歴に検索をかける。先程の戦闘を追って、彼女の部屋の位置を再確認。そこから崩れたであろう真下の位置を見定めて、そちらへと向かった。
「見つかるかな……?」
「そう願おう」
 若干途方に暮れた様子の彼女にそう告げて、ゼノンは早速瓦礫に手を伸ばす。腕の出力を上げて目立つものからどけていき、巨大なものに関しては赤光で分断、運びやすいよう細かくしていく。が、いくらか掘り進んでみたところで、「これは埒が開かない」と頷いた。
「人手を増やす為に分身を出現させる。驚かせたらすまない」
 使う技は彼女を救った時と同様。『カゲブンシン・フェノメノン』を駆使して、実体ある写し身を生み出す。一度見ているためか、記者の彼女も面食らうことはなかったようだが。
「すごいわねえ、それ」
 二人以上にも増えるのね、と感嘆の声を上げる。上の階の住人や、手伝ってくれる人々とも手を組んで、ゼノンはしばし皆と共に後片付けに勤しんだ。
「無事見つかったら、良い感じの記事にしてあげる」
「……そうか」
 猟兵とは、戦うだけでなく人の心に寄り添う事も大切なのだろう。そんな実感を胸に抱きながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カルマ・ヴィローシャナ
やー無事に終わってヨカッタヨカッタ
って、これ全部片づけるのよね……こうなったら

ドーモ、皆さん。カルマちゃん'sデス
分身して片っ端から住民の皆さんのお手伝い!
重い荷物を運んだり、一緒に探し物したり
折角だからやっつけた合成肉生物をチョット調べてみようかな?
あ、ダメージ倍々だからケガにはキヲツケテー!

てか、みんなずいぶん落ち着いてるよねぇ……
こんなのしょっちゅう起こってるわけ? と住人に質問
そもそも迅雷運輸って何なのさぁ!
誰が呼んだのかしら。フードデリバリーか何か?
質問しつつカメラを回してドキュメンタリー風に
社会派っぽくチャンネル登録重点よ!

どちらにせよメガコーポ許すまじの姿勢は変わらないのであった



●社会派番組
「やー無事に終わってヨカッタヨカッタ」
 合成肉生物の暴走を食い止め、義体を喰らうダスト・ナーガの鎮圧にも成功、これにて一件落着といいたいところだが、この半壊した建物の瓦礫の山は、「それでは済まない」と盛大に主張していた。
「これ全部片づけないと……駄目?」
「いや、さすがにそこまでは……」
 命を助けてもらっただけでも十分、と住人達は言うが、それで帰っても寝覚めが悪い。こうなったら、と思い立ち、カルマはユーベルコードを発動した。
「ドーモ、皆さん。カルマちゃん'sデス」
 生み出された実体を持つ分身、見分けのつかないずらっと並んだカルマ達が揃ってお辞儀をしてみせる。頭数はこれで十分だろうか、分身達は早速役割を分担し、各住人の手伝いに入る。
「いやあ、助かるよ」
「便利だなあ、それ」
 重いものを代わりに運んだり、探し物を手伝ったり。ただ増えた分だけダメージには弱くなっているので、転ばないように十分注意して、働いていく。
「それじゃ私は、今の内に――」
 合成肉生物はどうなっているのかな、と調査の方へと移る。ちょっとグロくて生配信はできないが、力尽きたそれらは皆、義体を剥がせば元の食用生肉と言った様相を呈している。ここで増殖したものがほとんどである以上、製造元の情報はほとんど得られなかったが……。
「こんなのしょっちゅう起こってるわけ?」
「どうかなぁ、ここまで酷いのはあんまり聞かないけど……」
 そうなれば、有効なのは聞き込みの方か。ドキュメンタリー風にカメラを回しつつ話を聞いていくと、ぽつぽつとメガコーポによる被害の話が出てくる。情報が広がらないよう工作されている可能性もあり、詳細まで知って居る者はほとんどいない。しかしながら今回の件については、配達人の目撃情報がいくつかあった。
「へー、迅雷運輸っていうの?」
「あー、配達業者だろ。フードデリバリーもやってるよな」
 住人達の中にも、そこのサービスを利用したことがある者は多く居た。
「今回のは、誰が呼んだのかわかる?」
「さあ、どうかな……」
「死んでるんじゃないか……?」
 特定は難しい、というか『最初の被害者』になった可能性も高く、今回の調査ではこの付近で活動しているという迅雷運輸の伝票が得られた程度。とにもかくにもそれをカメラに向けて、「これからも追跡を続けて、メガコーポの悪事を暴いていくからね!」と彼女は番組を締め括った。
 よければチャンネル登録もお願いしまーす。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星海・冴香
住んでいた人は災難でしたね
後始末、協力してもいいですよ

不要な物は片づけるとして、合成肉を捨ててしまうのは勿体ないと思うので
焼いて食べてしまいましょう
さっきまで元気に蠢いていた新鮮な肉ですから、きっと大丈夫ですよ
責任は持てないけど

電気が使えないなら、火を起せばいいかしら
キッチンや器具を探して、住民と相談しながら調理します

定番といえばサイコロステーキでしょうか
四角く切断した合成肉を火で炙って
よく油を落としながら、しっかり火を通していく

その匂いにつられて人が集まれば
捜索の人手も増えるというもの
しっかり食べさせて、しっかり手伝ってもらいます



●焼肉
「住んでいた人は災難でしたね……」
 敵を討伐し、騒ぎは収めた。けれど半壊した建物がそれで元通りなるわけでもない。というわけで、冴香もまた後始末への協力を申し出た。何しろこの建物には戦闘時に協力してもらった経緯もあるわけで――。
「不要なものは片付けるとして、合成肉はどうしましょうか」
 住人達も瓦礫をどける作業に取り掛かっているが、先程まで暴れていたこの合成肉生物に関しては、どうしたものかと扱いを決めあぐねているようだった。
「勿体なくないですか……?」
「いや、それはそうなんだけど……」
 冴香の問いに、住人達は悩まし気に返答する。言わんとすることは伝わっているようだが、どうも抵抗があるらしい。命を狙われたり自宅を食い荒らされたりしたのだから、当然と言えば当然か。
「焼いて食べてしまいましょう。さっきまで元気に蠢いていた新鮮な肉ですから、きっと大丈夫ですよ」
「本気か?」
「いやでも……元々食べるつもりで届けてもらったんだよな……?」
 少々住人の間で議論にはなったが、結局「とりあえずやってみよう」という結論になったようだ。
「火を起こせるところってありますか?」
「そっちの部屋のキッチンはまだ無事だろ」
「調理器具残ってるといいんだけどな……」
 住人達の協力を得て、冴香は早速合成肉の調理を始める。義体と同化した部分は……まあ食べない方が良いだろう、切り分けて、少しでも見た目の抵抗が薄くなるようサイコロ状に切断していく。一応食用と言うだけあり、加工はしやすく感じられる。
 熱したプレートの上に乗せて……できるだけ念入りに火を入れていけば、サイコロステーキとして見れる形のものは出来上がった。落ちた脂の焼ける匂いにつられて、腹を空かせた者達が自然と手を止め、寄ってくる。
「いけそう……か……?」
「こうなっちまえばいつもの合成肉と変わらないよな……?」
「では、試しに食べてみましょうか」
 ということで、焼けたものから皿に移して、ちょっとしたご近所同士のお食事会みたいなものが始まった。冴香も一つ頂いてみると、何の肉とも言い難い不思議な食感が口の中に広がった。悪くはない、ような気はする。
「しっかり食べたら、しっかり働きましょうね」
 冴香の言葉に、ご相伴に預かっていた住人達は「そうだな」と快く頷いてくれた。
 ――まあ、これを食べて何かあっても責任は持てないのだけど。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メアリー・ベスレム
良くも悪くも荒事に慣れたこの感じ
住人まで九龍城砦によく似てる
たくましいって言うのかしら?

それにしても……
辺り一面ひっくり返したおもちゃ箱
機械じゃ獣の鼻も効きゃしない!
そもそもどれが使えてどれが使えないんだか
不貞腐れたながら適当な瓦礫をひっくり返し
覗いてみてもわからないったら!

あら?
そうしてふと見つけたのは
まだ辛うじて生きていた合成肉生物
肉塊と言うよりもう肉片で
暴れる力も残ってない

ああ、だけど
まだ喰らおうと、まだ生きようと
必死で何かに齧りつくその姿
まるで哀れなアリスのようで……

いけないわ。こういうの傲慢って言うのよね
……けど、今この子を殺しても愉しくないし
今さら食欲だってわかないもの

瓦礫からその子を摘まみ上げ
【誘う獲物】で食欲と戦闘力(生命力)を強化する
もちろん、さっきまでみたいに食欲が暴走しないよう操作しながら
アリスの血肉を少しだけ食べさせる
もう、こんなの今回だけなんだから

ねぇ、この子
メアリが連れて帰ってもいいでしょう?
ちゃんとお世話するし
もしまた人に牙を剥く時は
メアリがちゃんと殺すから



●捕食者と被捕食者
 騒ぎは収まり、ひとまず人命の危機は去った。とはいえ住処を失った者も多いだろうに、ここの住人達はどこか平然として見える。それは慣れによるものか、諦めによるものか、ただ嘆き悲しむでもなく、「それでも」と前を向けるのは、メアリーの知る九龍城の人々に通じるものがあった。戦えずとも逞しく強かな、そんな彼等に、メアリーとしても手を貸してあげたいところなのだが。
「ああ、もう。機械じゃ獣の鼻も効きゃしない!」
 好き放題にとっ散らかった破壊跡から、有用なものを探すのは至難の業。そもそもこの手のモノに馴染みのない彼女にしてみれば、『使える義体』と『壊れた家電』の区別がつかない。
 それでも、重い瓦礫を引っくり返していけば住人達の捜索の助けにはなるだろうと、彼女は彼女なりに尽力していた。
「あ! ストップ!!」
「これ私の脚のスペアじゃない!?」
 作業の合間にも時々住人の声でストップがかかる。「どれが?」と覗き込んではみても、やっぱりどれが特別かなどわかりようもなく。引っくり返したおもちゃ箱のようなこの光景も、これでは面白みが半減である。半ば不貞腐れながら作業を進め、建物の一角にさしかかったところで、彼女はそれを発見した。
「……あら?」
 元は建材であっただろう瓦礫の下、丁度窪みの様になった場所に、赤黒い物体が蠢いていた。色合いと質感、先程戦った合成肉生物であると一目で分かるが、それは肉塊と言うより肉片とでも言うべき、指先で摘まめる程度の大きさだ。実際、誰かが戦った後の破片に過ぎないであろうそれは、暴れる事すら叶わず力無く蠢いていた。
 それでもなお、喰らい取り込むために、残った体を裂くようにして生じた小さな口を、必死に開いている。踏み潰せば労せず終わる、もしくは摘まみ上げて食べてしまえばいい。けれど無力ながら、本能のまま生を求めるそんな様は、メアリーの琴線を僅かに擽る。
「――いけないわ。こういうの傲慢って言うのよね」
 脳裏を過ぎった姿、哀れなアリスを思わせるそれに、彼女は首を横に振る。絶対的な立ち位置から他を見る――そんな敵と相対したこともあっただろう、驕りであると分かりながらも、彼女は思わず手を伸ばしてしまう。気まぐれか、情愛か、何にせよ、それ等が理性に劣るとは限らない。
 だって、今この子を殺しても愉しくないだろう。それに、今更食欲だって湧かないし。言い訳にも似た理屈を並べて、瓦礫の隙間からその子を摘まみ上げた。
「もう、こんなの今回だけなんだから……」
 合成肉だったものが牙を剥き、小さな口を開いたところで、メアリーはユーベルコードを発動、向けられた『食欲』を元に、衰弱死しないよう、暴れ出さないようにと操作する。
 少しだけ、自らの血肉を分け与える形で飢えを満たしてやる。少しだけ色艶がよくなったような気がするそれを、じっと観察して。
「……大きくなったらさっきみたいに増殖するのかしら」
 もはや力の大半を失ったようにも見えるが、放っておけばまた食欲のままに暴走を始めるのかもしれない。けれど。
「もし人に牙を剥くことがあったら、メアリがちゃんと殺すから」
 通じているかはわからないが、この小さな生き物に彼女はそう釘を刺す。少なくとも猟兵の管理下にあれば、安全……だろう。たぶん。
「ねぇ、この子メアリが連れて帰ってもいいでしょう?」
 ちゃんと自分でお世話するから。
 そうねだる彼女の姿は、無邪気な少女に相応しいものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
集合住宅の半壊は建物まで食べた結果なのだから、奴等の底なしの食欲には呆れを通り越して感心する
住人達はあまり動じていないようだが…慣れているのだろうか

とりあえず、破壊したダスト・ナーガから取り戻した義体を回収して住人へ返却しよう
それでも瓦礫に埋まっている分も考えるとまだ足りないか
…あまり気は進まないが、やむを得ない
探している間は狼の姿に変身し、嗅覚を利用して義体を探す
鼻が利くのは合成肉生物の専売特許では無い

機械化義体の仕組みには詳しくないが、機械であれば独特の匂いを纏っている事が多い
例えば、グリスの類を使ってはいないだろうか
ユーベルコードで更に五感を研ぎ澄ませてそれらの匂いを追跡、瓦礫に埋もれてしまった義体を探してみよう

人の血の匂いを感じたら、念の為にその場へ向かって確認しておきたい
逃げ遅れた怪我人か犠牲者の遺体か…どちらにしても放置は出来ないからな

その他、気になる物が出てきたら掘り出しておく
この世界には特殊な道具や武具も多く興味は尽きない
住人との交流がてら、探してみるのも良いかもしれない



●発掘作業
 半ば倒壊した集合住宅の様子を改めて確認し、シキは溜息を吐く。これが食欲によるもの、そして元を辿れば一体の合成肉生物がやらかしたというのだから、呆れを通り越して感心するレベルだ。事態に巻き込まれた形の住人達にさして動揺が見られないのは面倒が無くていいが……。
「慣れているのか……?」
「まあ……嘆いていてもどうにもならないでしょう?」
 メガコーポ関係の『事故』ならもっと酷い噂もある、などと感覚がマヒした話を聞きながら、シキはとりあえず自らの倒したダスト・ナーガの遺骸を拾い上げた。最低限の負傷で済むように戦ったおかげで、その個体の取り込んでいた義体は比較的元の形を保っている。
「まさか、戻ってくるとはなあ……」
 食べられた時はもう終わりだと思ったのに、などと言いながら、住人はその左腕だったものを受け取る。
「また使えそうか?」
「調整は要るだろうが……」
 少なくとも部品の流用は効く。感謝の言葉を述べる住人達に頷いて返し、シキは再度足元を見る。この調子だと瓦礫の中にも多数の義体が埋まっているだろう。それを探している者は多く居るはず、と考えれば、「気が進まない」などとは言い難い。
 仕方あるまいと溜息を一つ吐いて、彼は狼の姿を取った。この姿の利点は、人間のそれに比べて格段に鼻が利くこと。欠点は、匂いを嗅いでいる姿が何かこう、アレなことだ。
 とにかく探すべきは瓦礫ではない義体の匂い。同じ金属ではあっても、経験上機械であれば独特の匂いを纏っていることが多いのだ。
 ユーベルコードでさらに五感を研ぎ澄まし、匂いを追って、当たりをつけた部分の瓦礫をどける。機会ならば駆動部の潤滑油、グリスの類の匂いを追えるし、ダスト・ナーガ化していたものなら例の肉の匂いがこびりついているはず。彼の捜索は順調に進み、住人達にいくつもの義体を届ける事が出来た。
「……これは」
 そんな中で、嗅ぎ取った僅かなそれに眉根を寄せる。間違えようもない、それは人間の血の匂いだった。逃げ遅れた怪我人ならばすぐにでも救助が必要で、そうなかったとしても……とにかく放ってはおけないだろう。
 鼻先で感じるそれを追って、瓦礫の山を掻き分ける。協力を申し出た住民数名と共に、大きな柱のような部分を端へと寄せれば、小さな空洞のようになっていたそこへの道が拓けた。
「おい、誰か居るか!?」
「いや……」
 掘り起こす途中から、シキにはわかっていたことだ。言葉を濁して、彼等に先立ち匂いの元へと降りる。そこには、血に塗れた片腕だけが転がっていた。
「……食われたか」
 歪な断面は恐らく連中の歯形だろう。擬態ではなく生身であり、この様子では腕の主はもう生きてはいまい。せめて弔いを、とそれに手を伸ばしたところで、シキはそれが握り締めていたものに気付いた。
「……何かの、タグ?」
 何かから引きちぎったような、血に汚れたそれには、識別用らしきナンバーが記されていた。あの合成肉生物に付けられていたものなのだろうか。偶然ではないのなら、やはりこの腕は最初の被害者のものであり――。
「メガコーポ、か」
 タグに印刷された稲妻のような印章、この世界に蔓延るメガコーポの一つを示すマークに、シキは目を細めた。

●完了
 こうして今回の事件は幕を閉じ、猟兵達は住人達から感謝の言葉と共に見送られた。
 迅雷運輸のみならず、メガコーポはなおもこの世界に様々な事件をもたらすだろう。いずれその根を絶たねばならないと、彼等は改めて認識した。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年04月09日


挿絵イラスト