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荊棘の忘却

#ダークセイヴァー #月光城 #グリモアエフェクト #月の眼の紋章

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●更なる地下
 『グリモアエフェクト』発動により、ダークセイヴァーに『大いなる危機』が起こる前に、予知する事が叶った。
 メトゥ・ヴィルガ(優しい彷徨い砂・f33096)が、少し困惑した様子で話し出す。
 今まで、自分達がダークセイヴァーにおいて地上だと疑わなかった場所は、『第4層』だったと。
「そして今回、皆様にお願いする場所は『第5層』に残る『旧市街地』の調査及び、廃墟となった『月光城』の主……いえ、その中に巣食う『外敵』の討伐でございます」

 月の満ち欠けに呼応して輝く城塞『月光城』。
 それは、地下世界であるダークセイヴァーの『月』にまつわる真実に近付くもの。
「今回行く場所の城主、『星空を詠む者』にもう理性は無く、意思疎通は不可能でしょう」
 自身が死ぬか、この地に踏み入った者全員殺すまでひたすらに攻撃を続ける、という性質がある。
 また、『月と眼の紋章』を持つが、エネルギー供給に必要な人間が居ない為、『66倍』にも及ぶ強化は無い。
 あるのは『紋章から飛び出す棘鞭』のみ。
「そして、『星空を詠む者』を倒した後、その背から……まるで、羽化する様に何かが……」
 詳しい姿は分からなかったが、その『何か』が月光城と市街地を壊滅させた『外敵』なのだろうとメトゥは語った。

 今から向かうその旧市街地には、無人の廃墟と化しても尚、赤黒く咲き続ける薔薇園があるらしい。
 かつて城主が、領民の血を薔薇に与え続け、人々が枯れ果てて久しい今も、瑞々しく赤黒い薔薇。
「私が予知した薔薇園は、迷い込んだ人を茨の棘が貫く……意思が無い筈の薔薇が、自ら血を求める様子です」
 この広い薔薇の生垣は、廃墟の城を囲む様に何重もの円になっており、何通りかの道が存在する。
 また、この生垣は月光城に最も近い街の区画から配置されており、廃屋の影から棘で奇襲される可能性もある。
 そんな中を、棘に襲われない様に抜けるも良し、斬り裂きながら行くも良し。
 いずれにしても、中央へと向かう事が目的だ。
 そして、地下世界に満ち欠けする『月』の真実を探る。
「まずは、棘に気を付けながら薔薇園を抜けましょう。皆様、どうか気を付けて下さい」


神森みくに
 こんにちは、神森みくにです!
 『ダークセイヴァー・第5層』かつて『月光城』があった場所を囲う様に存在する、無人の旧市街地と薔薇園を抜けて、城主と内側に潜む外敵を討伐しましょう。

 【 第1章:冒険】『血の薔薇園』
 薔薇の生垣自体は1m程の低い物で、道の広さは大人1.5人分程。
 また、無人の廃墟となった市街地の一部から、薔薇園の入口がある様子。
 瓦礫の隙間や、かつて人が歩いていた道、色んな場所から進入出来るでしょう。
 その先は、円状の生垣を回りながら行く様に、点々と道が在る迷路。
 棘による攻撃は、花の影から素早く直線に串刺しのみですが、執拗に様々な場所から何度も狙ってきます。

 【第2章:ボス戦】『星空を詠む者』
 城跡地にて、復活した城主のオブリビオンと戦闘です。
 かなりの広さがある瓦礫地帯で、薔薇からの攻撃は心配ありません。
 既に理性は無く、妄執と狂気に取り憑かれている為、意志疎通は不可能。
 また、足場が悪い点と、城主が持つ『月と眼の紋章』、その『紋章から飛び出す棘鞭』への対策が必要です。
 (どちらかの対策をした方にはプレイングボーナスが発生します)

 【第3章:ボス戦】『???』
 『星空を詠む者』の打倒後、その背から羽化する様に現れます。
 恐らく、このオブリビオンが『月光城』と周辺都市を襲撃した『外敵』でしょう。
 羽化した瞬間、猟兵達を敵と認識して襲い掛かります。
 引き続き、足場や敵のユーベルコードに気を付けながらの戦闘です。

 ※2、3章のプレイングは、断章公開後から募集開始します!
 単章のみ、途中章からでもご参加歓迎しております。
 その他連絡事項は、タグやマスターページにてお知らせしますので、ご確認頂けると幸いです。
 それでは、皆様よろしくお願いします!!
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第1章 冒険 『血の薔薇園』

POW   :    大胆に行動

SPD   :    慎重に行動

WIZ   :    アイテムや特技を活用

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

東天・三千六

ふむ、本丸へ行くにはこの薔薇園を通らないと駄目なんですね

機嫌良く傘をくるりと回し、正面から道に沿って進みます
普段身を寄せている桃園とはまた違う趣で興味深いです
せっかくですし薔薇を楽しみながら……と思ったのですが、おや、棘が鬱陶しいですね
もう少しこの陰鬱な薔薇を愛でていたかったのですが、仕方ありません
龍へ姿を変え空でも飛んで避けて行きましょう【空中機動】

……ふふ、この姿の僕は少々大きいもので、うっかり暴れて薔薇たちを散らせてしまうかも【蹂躙】【暴力】
薔薇園の主は許してくださるでしょうか
あはは、申し訳ありませんねえ


アスカ・ユークレース
自我があるかのように振る舞う血を求める呪われた薔薇ですか……よし、燃やしましょう。古来より草とゴーストには炎と決まってます、視力をこらして交わしたり流体金属の盾でガードしつつUCによる祈りを込めた浄化の炎で返り討ちにしてやりましょう
照手紅を使えば怨念とか不死とかそういうのにも効きそうですね

迷路?そんなもの火炎放射(火の属性攻撃、砲撃、貫通攻撃、地形破壊)でぶち抜いてショートカットすればよろしい。(脳筋プレイ)ついでに薔薇の駆除も出来て一石二鳥ですしね?

アドリブ絡み歓迎



 地下世界とは思えない星空が暗く広がる『第5層』、東天・三千六(霹靂霊・f33681)とアスカ・ユークレース(電子の射手・f03928)が降り立ったテレポート先だ。
 その眼前、無人となって久しい旧市街の廃墟の終わりから広がる、赤黒い血色の薔薇園。
「ふむ、本丸へ行くにはこの薔薇園を通らないと駄目なんですね」
 機嫌良く傘をくるりと回し、三千六が薔薇園入口と思しき道を見渡した。
 近付き過ぎない距離で薔薇を観察したアスカは、少し考えながら呟く。
「自我があるかのように振る舞う、血を求める呪われた薔薇ですか……」
「普段身を寄せている桃園とはまた違う趣で興味深いです」
 一先ず、と話しながら正面の道に沿って歩き出した2人。

 薔薇園へ入った途端──。
 生垣の葉や薔薇の影から鋭利な棘が、三千六とアスカを串刺そうと高速で伸びて来た。
 それを、アスカの操作する流体金属の盾でアスカと三千六をガードする。
「アスカさん、ありがとうございます。それにしても、棘が鬱陶しいですね」
 傘を畳みながら三千六は礼を述べ、残念そうに薔薇を見遣る。
「……よし、燃やしましょう」
 盾の内側で、名案!という表情でアスカがユーベルコードを構え出す。
「もう少しこの陰鬱な薔薇を愛でていたかったのですが、仕方ありません」

 ざわり、と愛らしい少年の姿が揺らぎ、変化していく。
 【雲龍怒濤(ムサボル)】を発動させた三千六は瑞獣、大型馬程のサイズをした龍へ姿を変え、【瑞雲】を従えた空中機動で空を飛んだ。
 『赤く輝け、蠍の炎、その御霊燃やして我に道を示せ』
 アスカが祈りを込めて放つ【アンタレスフレイム】、真っ赤に美しく輝く蠍の毒の炎が、棘ごと薔薇を呑み込んでいく。
 瑞々しい生花をも燃やす眩い炎に、薔薇は黒く焼け焦げ、動きを鈍くしていった。

 未だ足掻き、アスカへと伸ばされる焦げた棘を、上から三千六が勢い良く踏み付け、焦げた花弁や灰を巻き上げ蹂躙する。
「ふふ、うっかり暴れて散らせてしまいましたか?薔薇園の主は許して下さるでしょうか。あはは、申し訳ありませんねぇ」
「ありがとうございます、三千六。呪われた薔薇の駆除です、仕方ありません」
 楽し気に笑いながら暴れ進む三千六の先、アスカが【聖弩:照手紅】に拡張デバイスを接続し、正面の生垣を破壊する。
「迷路?そんなもの、火炎放射でぶち抜いてショートカットすればよろしい」
 古来より草やゴーストには炎、これなら浄化の炎となります、とアスカは自信満々に突き進んだ。

 薔薇の生垣をアスカが焼き進み、三千六が飛び跳ね回り、2人の歩いた後は完全な沈黙と化す。
 その先、かつての面影など無い、瓦礫の荒野と化した月光城跡はもう目前。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴェルンド・ラスリス
咲き乱れる赤い薔薇園、俺には縁遠い場所ではあるが、害なすものなら絶やしておくべきか。

綺麗な薔薇には棘が付き物とは言うが、ここまで物騒だとどうしたものか…

血で赤く染まったというなら、俺も血を持って解決するとしよう。

迷路なんて関係ない!最短で最速で真っ直ぐをぶち抜く!

UCを発動させ、全身に蒼炎を纏うぞ。
いくら生木とは言え、俺の炎なら燃やせるだろう。


背に担ぐ大剣『黒焔』を抜き、薔薇の生垣を鎧と剣の効果で焼き払いながら真っ直ぐに目的地へと突っ込もう



「咲き乱れる赤い薔薇園、俺には縁遠い場所ではあるが、害あるものなら絶やしておくべきか」
 背に大剣を担いだヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)は、廃墟となっても尚瑞々しく血色に咲く薔薇を見渡す。
 テレポート前に聞いた情報の、道行く者へと襲い掛かる鋭い薔薇の棘。
「綺麗な薔薇には棘が付き物とは言うが、ここまで物騒だとどうしたものか……」
 葉や花の影に隠れた棘が、いつ生垣に次の養分──ヴェルンドが近寄るのかと待ち続けていた。

「血で赤く染まったというなら、俺も血をもって解決するとしよう」
 ヴェルンドが全身に蒼炎、【修羅の道を征く蒼鎧(フルリベンジアーマー)】を纏い、背の大剣『黒焔』を構える。
 そのまま真っ直ぐ薔薇園へと駆け出し、血を求めて棘を伸ばす薔薇へ『黒焔』を振り抜いた。

 生垣を、己が内側に滾る復讐心を糧に『黒焔』で焼き溶かす。
 身に纏う地獄の蒼炎が、襲い来る棘を爆炎で吹き飛ばす。

「迷路なんて関係ない!最短で最速で真っ直ぐぶち抜く!」
 焼け落ちてゆく薔薇園を振り返らず、ヴェルンドはただ真っ直ぐに、月光城跡地へと突き進んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『星空を詠む者』

POW   :    宵のしるべ
【魔剣・夜空の残り火】が命中した対象に対し、高威力高命中の【様々な高速剣技】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    夜半のおきて
【夜の美空ダーガグリース】【明星の遣いゲッケビルドー】【しじまの主オードゥーイ】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    暁のやくそく
自身の【亡くした信念と心】を代償に、【獣となって夜空の残り火に全身全霊】を籠めた一撃を放つ。自分にとって亡くした信念と心を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠タケミ・トードーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 月に呼応してその輝きを満ち欠けさせる『月光城』。
 今は無き城の主『星空を詠む者』は、瓦礫の荒野の中心で、ただずっと星空を見上げている。

 薔薇園を焼く光、灰と赤い薔薇の花弁、それらが『星空を詠む者』の視界を遮った。
 ようやく視線を下ろした先で、親しい者達と共に育てた薔薇園、過ごした城、全てが消え去っている。

「不敬な者共、よくも此の場所を穢したな。これ以上、私達の夜空を消させは……私"達"?彼等は誰、だったのか」

 オブリビオンが近くを見渡しても、誰も居ない。
 空ろな眼差しで、もう一度星空を見上げて囁く。

「此処は、何処?私は、誰だった?この夜空が、示してくれるのだろうか?」

 『星空を詠む者』は猟兵達へと、空っぽな表情と『月と眼の紋章』を向けた。


 皆様、長らく私事の為に中断してしまい、申し訳ありませんでした。
 ようやく再開出来る状態になりましたので、お待ち頂いた方々ありがとうございます。
 
●2章プレイングについて
  かなりの広さがある瓦礫地帯で、薔薇園からの薔薇の棘攻撃は心配ありません。
  既に理性は無く、妄執と狂気に取り憑かれている為、意志疎通は不可能。
  また、瓦礫が散乱している荒地な為、足場が悪い点と、城主が持つ『月と眼の紋章』、その『紋章から飛び出す棘鞭』への対策が必要です。
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。


コノカ・ハギリガワ(サポート)
『やるわ。私に任せなさい!』
 サイボーグの鎧装騎兵×戦巫女、18歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
出身世界:スペースシップワールド

性格:勇敢
戦場では積極的に前線に切り込み、敵の注意や攻撃を引き受けます

・戦闘
勇翠の薙刀を主に使って戦います
また、エメラルドアームから発生させた障壁で仲間を庇います

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 『星空を詠む者』が、大剣の切っ先と『月と眼の紋章』を指す先。
 勇翠の薙刀を構えたコノカ・ハギリガワ(勇を示す翠・f06389)は、隣に立つ風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)へと手短に尋ねた。

「私は先手を、あなたは?」
「ヴァンパイア専用の術式がある。俺は一瞬でも隙が欲しいのだが、『紋章』に気を付けろ」
「了解、私に任せなさい!」

 コノカが踏み込むと同時に、オブリビオンの持つ『月と眼の紋章』から棘鞭が、猟兵達を払う様に振るわれる。
 それに一瞬驚くも、すぐさまコノカは『エメラルドアーム』で防御、顕吉の持つ刀『ドラクリヤ』で受け流した。

「それが城主が持つという『月と眼の紋章』、中々に強力だな」

 受け流した際の衝撃が、その強力さを体感させる。
 接近出来たとしても、棘鞭に阻まれて思う様に行動は出来ないだろう。
 ならば、と顕吉は腕に装備した『吸血鬼殺しのパイルバンカー』を、見える様に構える。

「ヴァンパイアを弱める術式だ。記憶が無かろうと、その身で体験させてやる」

 『星空を詠む者』が顕吉のパイルバンカーをゆらりと見る。
 そして、夜空へ手招きする様に、大剣を持つ手を誰かに向けて揺らした。

「すこし暴れるわよ!」

 キャバリア『エメラルドナイト』の瞳が輝き、【翠機暴嵐(テンペストストライク)】を発動させたコノカが、注意を反らせたオブリビオンに突撃。
 翡翠色の線を描きながら、『月と眼の紋章』を構える腕を斬り上げた。
 顕吉のパイルバンカーを注視していた暗い眼が、接近して来る顕吉とコノカを視界の端に捕らえる。

「時に忘れ去られた者は、静かに滅びを受け入れろ」

 顕吉が放つ【吸血鬼封じ】の1つ、パイルバンカーから射出された『白木の杭』は、オブリビオンの振り下ろした大剣に阻まれて届かなかった。
 その大剣を更に振るおうとした刹那、コノカの斬撃が【夜半のおきて】を宿しているオブリビオンの身体を8度切り刻む。
 UC発動代償の毒が混ざった血が飛び散る中、『魔除けの香草』と『地獄の炎』を纏わせた顕吉の刀が、真新しい傷を抉った。

 発動した筈の超強化が弱体化した事に気付いた『星空を詠む者』は、煙と薔薇の花弁に紛らわせながら離脱する。
 それを見届けた顕吉は、コノカが最後に放った連撃の最中に、薙刀の柄で飛ばされた帽子を瓦礫から取り外し、被り直す。
 美しく微笑み、駆け寄りながら謝罪するコノカへと緩く手を振った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴェルンド・ラスリス
心を失い、自我までも放棄し、何の為に剣を振るうのか。それすらも忘れ、ただ闇雲に他者を傷つける暴力装置。

その凶刃が、また俺の大切なものを奪うというのなら、俺が悉くを焼き払い、斬り捨てよう。

足場は悪く、棘鞭は厄介。
『炎巣』を発動させ、相手の移動を縛り、棘鞭を振り回す空間も封じ込めよう。
『炎巣』を足場代わりにして、足場の悪さも回避し、大剣を振り下ろし、頭上からの奇襲を狙うとしよう。



 薔薇園を走り抜け、辿り着いたヴェルンド・ラスリス(獄炎の復讐鬼・f35125)の眼前に佇む『星空を詠む者』。
 星空を見上げ、何かを呟いたオブリビオンが、色を失った双眸と大剣、『月と眼の紋章』をヴェルンドへと向ける。

「心を失い、自我までも放棄し、何の為に剣を振るうのか。それすらも忘れ、ただ闇雲に他者を傷付ける暴力装置」

 自身を獣へと変貌させながら、大剣を振り抜こうと構えるオブリビオン。
 踏み込んだオブリビオンの身体を、ヴェルンドの全身から放たれた【炎巣(エンソウ)】が覆い捉えた。

「その凶刃が、また俺の大切なものを奪うというのなら、俺が悉くを焼き払い、斬り捨てよう」

 瓦礫の上に張り巡らせた地獄の炎を足場にして駆けるヴェルンドへと、オブリビオンは『月と眼の紋章』を向けようとする。
 だが、【炎巣】がオブリビオンの行動を阻み、『紋章』からの棘鞭をも焼き拒んだ。

「私が、奪う?否……私は、奪われた。何に、何を?」

 かつて多くの人々から命を奪った、その城主が奪われた何か。
 何かを思い出そうと星空を仰ぐが、それは蜘蛛の巣状に張り巡らされた地獄の炎に遮られた。
 今、『星空を詠む者』の星空を暁色に染めた者は、すぐ目の前に居る。

「捉えた!」

 見上げていた顔から血飛沫と、絶叫が撒き散らされる。
 その身を焼く炎から逃れるように、『星空を詠む者』は薔薇の花弁へと変わり、火の粉と灰の中へと身を隠した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーリア・ブラッドスノー(サポート)
 強化人間のアリスナイト×バロックメイカーの少女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、後輩の前では「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードはイマワシキキオクを使用し、怪我は厭わず積極的に行動します。
依頼成功の為には己の身体も道具にします。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

負傷描写は重め、多めな傾向が好み、NGは無いので瀕死や内臓がはみ出すくらいグロテスクな描写を好みます。
遠慮なくぶちまけてください。

ほかはお任せ。
よろしくお願いいたします。



 『月と眼の紋章』から棘鞭が、リーリア・ブラッドスノー(うつろなる幻想・f27329)へ向けて伸ばされる。
 その棘鞭がリーリアの腹を貫き、左脚を抉りながら絞める様子を、リーリアは一瞬痛みに顔を顰めた。

「貴様が私達を、此処を穢したのか」

「……狂えてしまえたなんて、貴女は幸せね」

 『星空を詠む者』の話す『月光城』を襲撃した者は、当然リーリアではない。
 オブリビオンとなって蘇った城主は、気が狂い、会話や意思疎通が不可能な状態だ。
 それを、リーリアは"幸せ"だと評する。

「既に狂った者が、更に狂う事は出来るのか。私の痛みに、貴女は耐えられる?」

 大剣を携えてリーリアへ向かって来るオブリビオンに見える様、取り出した解剖用メスで何かを裂く動き、【生体解剖疑似体験(イマワシキキオク)】を発動。

 リーリアの首を飛ばすべく薙ぎ払われかけた大剣は、オブリビオンが体勢を大きく崩したお陰で少し掠めた程度で済んだ。
 幻覚と幻痛に絶叫し、腹部や胸部からこぼれ出た何かを掻き戻そうともがく『星空を詠む者』は、棘鞭で絡めとったリーリアを投げ飛ばし、灰と薔薇の花弁に紛れて立ち去る。
 瓦礫の山から身を起こし、棘鞭の抜けた腹部からはズタズタになった腸が零れているが、それをリーリアは淡々と押さえ、立ち上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

キャロル・キャロライン
蘇生者:魔弾術士
UC指定:空中戦、結界術。エネルギー充填。全力魔法、召喚術、地形破壊

中途半端な状態で放り出された貴方。
完璧な状態で必要な都度呼び出される私。
どっちが幸せなのかしら。

ま、それを考えるのはこの仕事を終わらせた後ね。

まずは剣が届かない空中に退避。
伸びてくる棘鞭は、《魔導石》が周囲に構築した結界で防御。

《魔導書》を開き、魔力をチャージ。
幾百の流星を召喚し、この荒野ごと敵の身体を粉砕する。

貴方の好きな星々の煌めき。
その欠片で倒してあげる。

敵を倒せたなら、近くに着地。
掌に現出した《刻印》をもって吸収する。

無意味な貴方の生に意味を持たせてあげるわ。
私達の糧になりなさい。



「中途半端な状態で放り出された貴方、完璧な状態で必要な都度呼び出される私。どっちが幸せなのかしら」

 少し憂いた表情で月光城跡に立つキャロル・キャロライン(蘇生者・f27877)は、目の前で大剣を構えた『星空を詠む者』へと向き直る。
 UCによって新たな能力を【発現】させ、薙ぎ払われる大剣を空中へと飛び躱した。

「ま、それを考えるのはこの仕事を終わらせた後ね」

 空に浮いたキャロルを追う様に『月と眼の紋章』から伸びる無数の棘鞭。
 それらは『魔導石』が構築した結界により、弾かれる音と共に千切れ落ちて行く。
 届かない空にいるキャロルへと、幾度も棘鞭を伸ばし続けるオブリビオンに、開いた『魔導書』から魔力をチャージするキャロルが告げた。

「貴方の好きな星々の煌めき、その欠片で倒してあげる」

 膨大な魔力を用いて召喚したのは、幾百もの流星。
 燃え輝く星々が、月光城跡に降り注ぐ。

「あぁ、星空が、皆、また傍に……」

 手をのばす『星空を詠む者』の身体、散乱する城の瓦礫、全てが粉砕されていく。
 星が降り注いだ後の、何もない荒野に転がったオブリビオンの残骸、キャロルはその近くに着地した。

「無意味な貴方の生に意味を持たせてあげるわ。私達の糧になりなさい」

 キャロルの掌に現出した『刻印』をもって、その残骸から力を吸収する。

 『星空を詠む者』の背が異様な迄に膨れ、“何か”が羽化するまでは。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヴェリオラ』

POW   :    嘘鳥の導き
【虚空から突き出す鉄杭】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を鉄杭が織り成す鳥籠で封鎖し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    狂わしき箱庭
戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【猟兵を捕らえる鳥籠】を召喚し、その【鳥籠につけた条件を満たさないと出られぬ錠】によって敵全員の戦闘力を減らす。
WIZ   :    空ろ
自身が装備する【どこに合うか分からない黒い紐に繋がれた鍵】から【触れられたくない過去や記憶をこじ開ける力】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【放心】の状態異常を与える。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は奇鳥・カイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 『星空を詠む者』の背を内側から破り、黒い鳥籠の少女が姿を現す。
 そのオブリビオン『ヴェリオラ』こそ、此の月光城と市街地を破壊し、『星空を詠む者』とその従者達を蹂躙し尽くした『外敵』。

『すべて空っぽ、なにもかも』
『だれか満たして頂戴』

『ここは空っぽになってしまった』
『入れたみんなも空っぽになってしまった』
『彼女も空っぽになってしまった』

『満たせるだれかを探さなきゃ』
『満ちては欠けて、満たしては空っぽになってしまうの』

『籠から出たいのなら、貴方の【大切なもの】を置いて行って頂戴』
『少しでもわたしを満たしてね』

 微笑む鳥籠少女『ヴェリオラ』のものと思われる声が、更地になった荒野に響く。
 構える猟兵達の周囲に、3つの黒い大きな籠が出現した。


 3章ボス『ヴェリオラ』です。
 猟兵の皆様の活躍により、瓦礫は砕かれ、【戦い易い更地の荒野】になりました!
 ですが、ボスの先手である【黒い籠】の回避等々、引き続きオブリビオンのUCに注意して下さい。
 
リーリア・ブラッドスノー
穴の開いた器ですよ、あなたは
いくら満たそうとしても入れたそばから零れ落ちる欠陥品なんです
まぁ、もうわからないかもしれませんけどね

人のことは言えませんか…
今のあたしも腹を押さえていないと空っぽになりそうですし
手には生暖かいぬらっとした腸の感触

ヴェリオラにメスで攻撃
激しく動くと腸があふれ出してきますので難しいですが
口の中に血の味が

鍵が見えた、何か出す気でしょうか
いつの間にか白い壁の部屋、なぜ?
黒い籠だったはず

白衣を着た男たちがいつの間にかいてこちらに歩いてきている
…うそだ、みんなあたしが消したはず
これは嘘だ

口の中が乾く、舌が張り付いて声が出せない
手の中からメスが滑り落ち手がだらりと垂れ下がる
やめて、近づかないで

過去の記憶に縛られ動けない、記憶と現実が混濁して…

いつの間にか放心状態のあたしをヴェリオラが抱きしめている
ずるっと腸が引きずり出されあたしの中身で器を満たそうとしている
胸の中で痙攣するあたしの腹に手を入れられ違う臓物も顔を出す
ずるりっ…

恐怖と苦痛を依り代に破滅を与えるものが召喚された



 現れた外敵『ヴェリオラ』の放つ黒い籠が、零れそうな腸を押さえるリーリア・ブラッドスノー(うつろなる幻想・f27329)を囲み、その1つに押し込む。
 乱雑に黒い籠へ押し込まれ、先の戦いでの傷口から血液が流れ出す痛みに耐えながら、ゆっくりと手を伸ばしてくる『ヴェリオラ』をリーリアはメスで切り付けた。

「穴の開いた器ですよ、あなたは。いくら満たそうとしても、入れたそばから零れ落ちる欠陥品なんです」

 昏く空ろな微笑みを浮かべたままのオブリビオンには、もう解らない事。
 人の事は言えませんか……と、血の味がする口の端を歪め、リーリアは自身の腹部を押さえる手に力を籠めた。
 この押さえる手を離せば、生暖かく湿った物があふれ出て、眼前の空っぽなオブリビオンと似た状態になるだろう。

 リーリアの言葉には反応せず、攻撃された『ヴェリオラ』は【黒い紐に繋がれた鍵】を取り出し、リーリアを入れた黒い籠の扉に鍵を差し込む。
 カチャリ──。

 金属音の後、気付けばリーリアは白い壁の部屋に座り込んでいた。
 ふと、何人かの足音が聞こえる。
 戸惑うリーリアが周囲を見渡すと、白衣を着た男達がこちらに歩いて来る事に、恐怖と猜疑がリーリアを埋め尽くした。

「……うそだ、みんなあたしが消したはず。これは、うそ、だ」

 極度の緊張で口の中が乾き、舌が張り付いて上手く言葉にならない。
 握っていたメスが滑り落ち、だらりと両手が垂れ下がった。

「やめて、ちかづかないで……」

 過去の記憶に縛られて動けないリーリアを、いつの間にか『ヴェリオラ』が嬉しそうに抱き締めていた。
 そして、鳥籠である身体の隙間へ、腹から零れかけているリーリアの腸を引きずり出し、押し込んでいく。
 ぐちゃり、ぐじゅっ、という水音を立てながら、痙攣するリーリアの腹を更に掻き回し、別の臓物を引き摺り出した。

 嬉しそうにリーリアの身体を暴く『ヴェリオラ』、現実と記憶が混濁し、何かが重なる。
 リーリアの激しい恐怖と苦痛を依代に、破滅を与えるもの【バロックレギオン】が、黒い籠を内側から破壊した。
 臓物から手を離し、夥しい数の【バロックレギオン】の猛攻に、入れたばかり大切な物が『ヴェリオラ』から零れ落ちてゆく。

『大切にしてあげるのに、どうして?』

 忌まわしい過去から現実に戻ったリーリアは、荒野に大量の血液跡を残しながら這いずり、臓物を拾い集める。
 再び空っぽになった『ヴェリオラ』が、リーリアの入っていた壊れた黒い籠を抱き締め、身を隠す。
 『ヴェリオラ』が姿を消す間際に聞こえた声に、リーリアは自身の臓物を抱え込み、仰向けになって星空を見上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ラム・クリッパー(サポート)
力持ちな魔獣解体士、人族の女の子
口調は「子分チック(アタシ、アンタ、~っす、っすよ、っすか?)」

アタシは搦め手が好きじゃないっすから、正面切って前線に出るっす!

一応、解体士の端くれなんで、敵の壊せたり、解体できそうなところは狙うっすよ。
なので、武器はフーリガンツール(解体工具)を持ってるっす。

UCは指定されたものは、どれでも使用するっす。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしないっす。
公序良俗に反した行動はしないっす。
後は、お任せしますっす。


館野・敬輔(サポート)
※アドリブ、他者連携、派手な負傷描写OK
※NG:恋愛、性的要素、敵との交渉を行う依頼

『吸血鬼をこの世界から駆逐する。例外なく骸の海に還れ!』

ダークセイヴァー出身の、青赤オッドアイの青年黒騎士です。
吸血鬼に家族と故郷を奪われたため、吸血鬼やオブリビオンに強い憎悪を抱いており、憎悪を以て敵を冷酷に斬り捨てます。

直情な性格ですので、黒剣1本だけで真正面から叩き潰す戦術を好みます。
ボス戦では積極的に他猟兵を庇ったり、衝撃波や投擲用ナイフで牽制したり、他者連携を意識した戦い方もします。

ユーベルコードは指定されたものをどれでも使用。
迷惑行為や公序良俗に反する行動は、依頼成功のためであっても行いません。



 迫る3つの黒い籠を、ラム・クリッパー(力自慢の少女解体屋・f34847)の持つフーリガンツールによる怪力を込めた一撃で1つの籠に大穴を空けた。

「向かって来るだけの物なんて楽勝っすよ」
「僕も同意見だな」

 黒剣の2連撃を残った籠に叩き込み、館野・敬輔(人間の黒騎士・f14505)は『ヴェリオラ』に向けて2つの籠を吹き飛ばす。
 不思議そうな表情で、飛んで来た籠を躱した『ヴェリオラ』が、緩やかな動作でラムと敬輔へと手を伸ばした。
 虚空が歪み、幾本もの鉄杭が2人に真っ直ぐ襲い掛かる。

「これしきの攻撃で、俺を止められると思うなよ」

 腕や胴を鉄杭が掠めるのも気にせず、敬輔が『ヴェリオラ』に向けて突っ込んだ。
 その後を、鉄杭が巨大な鳥籠を構築するのを破壊しながらラムが駆け抜ける。

「アタシに掛かれば、こんな籠は即解体っす!」

 中空に浮かぶ『ヴェリオラ』の左脚を敬輔の黒剣で破壊し、ラムが解体して歪んだ鉄杭に着地。
 膝下で折れ曲がった左脚をさすり、オブリビオンが着地直後の敬輔へと鉄杭を集中させた。

『貴方も、大切なものも、みんな頂戴』

 ガンッ

 鈍い金属音がオブリビオンの折れた左脚から響き、大きく身体が揺れる。
 視界を覆ってゆく鉄杭の隙間、敬輔が投げた1本のナイフが当たった音だ。

「オブリビオンである貴様に与える物など、苦痛で充分だ」
「この一撃で壊す!」

 揺れる『ヴェリオラ』の背後から、ラムが【全力全開!フルスイング】で曲がった左脚を殴り飛ばす。
 飛んで行った脚が、何本かの鉄杭に当たりながら、地面に落ちた。

『どうして、わたしの事も壊すの?まだ何も貴方達から貰っていないのに』

 悲しそうに2人を見つめ、『ヴェリオラ』は始めにラム達が壊した籠を召喚して抱き締める。

「アタシ達の大切な物は、誰にも渡せないからっすよ」

 失った左脚部分を、壊れた籠を吸収して再生させながら、『ヴェリオラ』は一時撤退した。

 オブリビオンが消えた瞬間、落ちていた左脚や虚空から伸びた鉄杭が急速に風化していく。
 風化した鉄杭の中からラムは敬輔を掘り出し、笑い合って拳の背を合わせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リアン・ブリズヴェール
【ソロ希望】【アドリブ歓迎】
まずはオルタナティブ・ダブルでファムを召喚します
そして2人して戦いますが……【空ろ】を受けて洛陽の姫としての記憶と奴隷の記憶を思い出され放心してしまい、ファムも注意がそれてしまいます
そして2人揃って鳥籠に閉じ込められて、錠をされてしまいますが放心が回復できずに捕らわれたまま鉄杭の餌食となってしまいそうです



『貴女は、わたしを満たしてくれる?』

 空間を響かせる『ヴェリオラ』の声に少し肩を震わせたリアン・ブリズヴェール(微風の双姫・f24485)が、自身の周囲を取り囲む様に浮かぶ3つの黒い鳥籠を見渡す。

「ファ、ファム!一緒に頑張ろう!」

 すぐ【オルタナティブ・ダブル】でファムを召喚し、向かってきた鳥籠をリアン達は必死に突き飛ばした。
 懸命に戦うリアンとファムだが、相手は月光城と城下町一帯を滅ぼしたオブリビオン。
 『ヴェリオラ』の指先、黒い紐に繋がれた鍵が、リアンの背後で回された事に気付けなかった。

「ぇ、どう……して……?」

 リアンの視界が、かつて幸せな姫君から絶望の奴隷として連れ去られ、物同様に扱われ、売り飛ばされた記憶へと染まっていく。

「…ぁっ、あ…ぁ……」

 過去に囚われ、放心状態となったリアンに注意が逸れてしまったファムと共に、1つの鳥籠へと閉じ込められる。
 嬉しそうに微笑む『ヴェリオラ』が鳥籠に錠を付け、ガシャッという金属音を立てながら、虚空より伸びる鉄杭が彼女達の腕と脚を穿った。

『大切にするから、わたしを満たしてね』

 鳥籠からリアンとファムの血液が滴り落ちていく。
 力尽きたファムが消滅しても、放心したリアンは気付くことも出来ない。
 そして、1人消えた事を気にも留めないオブリビオンは、ただ嬉しそうに、鳥籠の中のリアンを撫でた。

 このまま、リアンはゆっくりと籠の鳥として、満たされる事の無い『ヴェリオラ』に愛でられ、精神がすり減り、力尽きるのが先か。
 或いは他の猟兵がリアンを見つけてくれるのが先だろうか。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

七詩野・兵衛(サポート)
『アルダワ魔法学園応援団『轟嵐会』団長 七詩野兵衛である!』
アドリブ他の猟兵との絡みとカオス?も歓迎
見方によってはギャグキャラ化する

怪我は厭わず積極的に行動する。
何らかの事情で必要がある場合以外は、
他の猟兵に迷惑をかける行為や公序良俗に反する行動はしない。

我輩の応援は森羅万象の全てが鼓舞する対象だ!
それは巻き込まれた一般人から士気の足りぬ者たち。
たとえ枯れ果てた森だろうと、
無念にも死んだ者たちの魂や死体であろうとも!
我輩の『気合』と『情熱』がこもった応援で
ありとあらゆるものを鼓舞するのだッ!
(というある種の狂人)

応援が必要ないなら普通に戦闘をする。
最近は団旗を槍投げで投擲するのがお気に入りだ。


葛城・時人(サポート)
※連携・キャラ性保つアドリブOK
※お色気・反社会的行動・反公序良俗行動・所謂R18やR18G系NG
※口調等ステシ参照希望

能力者から猟兵になった「運命の糸症候群」で若返った存在
常に依頼目的の達成、成功に向かい最大限の努力を払う性質

状況に応じ、範囲攻撃から単体攻撃まで幅広くこなし
設定UCは積極的に使用
オブリビオンは確殺の方向
非人道的行いには嫌悪と怒り、より強い意志を持ち
攻撃や行動
一般人などの救出対象がある場合、戦場からの
対象の離脱を最優先
「力無き者の盾となる」ことを常に念頭に戦う

使役する白燐蟲の名はククルカン
呼ぶと『きゅい!』と鳴き、命に従い行動する
(言葉も聴き分ける)

後はお任せだね。宜しくだよ!



『ねぇ、此処に入れた皆いなくなってしまったの。空っぽなのに、どうしてわたしに何もくれないの?』

 伽藍堂の胸元に手を当て、乾いた大量の血が付着した胴と細くなった左脚を歪に繋げた『ヴェリオラ』が、眼下の猟兵達を見詰めた。
 その先、七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)と葛城・時人(光望護花・f35294)の周囲を3つの黒い鳥籠が漂う。

「オブリビオンよ、かつて奪った者達の事を顧みず、無為に奪い続ける心算なら、俺は容赦しない」

 時人の敵意を合図に、3つの鳥籠が襲い掛かる。
 バサリと団旗がひるがえり、結界を張りながら兵衛が声を張り上げた。

「我輩と共に敵へ立ち向かう時人君達を鼓舞しようともッ!」

 風の音と静かに響く蟲笛の音、時人の周りを何匹もの『白燐蟲ククルカン』が飛び回り、きゅい!きゅい!と鳴いた。
 結界で一度弾かれた鳥籠へと、ククルカン達が時人の指示で次々噛み付き、叩き壊す。

『寂しい、虚しい、わたしを満たして』

 緩やかな動作で手を広げた『ヴェリオラ』、その周囲に今度は5つの鳥籠。
 最早、捕らえると言うより突進する勢いの鳥籠に、団旗を振り回し、気合の篭った声と共に殴り付ける。
 ククルカン達を手繰りながら、時人は満身創痍ながらも諦めないオブリビオンに顔を顰めた。

「時人君!オブリビオンがいつか何処かで満たされる事!その為に我輩は、此処でヴェリオラ嬢を討ち倒し、祈り、応援しようとも」

 時人の表情をどう捉えたのか、兵衛は大声で語り掛けて、振り回していた団旗に祈りを込め、槍の様に投擲。
 団旗は『ヴェリオラ』の腹部へ深々と突き刺さり、2人の周囲で猛威を振るう鳥籠が動きを止めた。

「そうだね、兵衛。その為にも、此処で必ず骸の海へと還そう。始まりの刻印よ、創世の光もて敵を討て!」

 黒い虚無の瞳に『輝く始まりの刻印』が映り込み、月光城跡地を創世の光が一瞬真白に埋め尽くす。
 時人が発動した【アークヘリオン】、その光がゆっくりと静まり、夜の闇が戻った時には、オブリビオンの身体は崩れ始めていた。
 骸の海へと還って往く『ヴェリオラ』が消滅した後、大地に突き刺さった団旗を兵衛が手に取り、夜空に向けて大きく振り、声を張り上げる。
 その応援に合わせる様に、時人の周りをククルカン達がふわふわと漂う。

 燃え尽き、黒く死に絶えた薔薇園だけを遺し、兵衛の鼓舞と時人が手繰る蟲笛の音が、月光城跡に大きく響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年07月04日


挿絵イラスト