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【サポート優先】生は最大の病である

#アポカリプスヘル #【Q】 #戦後

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#アポカリプスヘル
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#【Q】
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#戦後


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 これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)。

●闇医者は斯く語りき
「また、失敗か」
 大量の、全長150cmはあろうかというネズミが、巨大な水槽に沈み動かず、あるいは完全に浮かび上がってはゆらゆらと腹を見せている。
「あれだけ懇願して来たから、と。急拵えでも頑丈な個体に改造してやれば、病と事故からは克服できると思ったが」
 機械人形は呟いた――自分が一度破壊され、再稼働してから。己の音声機能から発せられる声と言葉は、まるで人間のように滑らかだ。

 しかし、それも今はどうでも良い事だと思われる。
 今、こうして蘇りし己には、病と錯覚しかねないほどの、激しいまでに焦がれる使命があるのだから。
 病を根絶すれば、死は遠のく。それでも、いつか死が訪れるのは避けられない。
 ならば、根絶と同時に研究を重ねねばならないのだ。

 生きていれば必ず死ぬ――その『生という最大の病』を滅し、同時にその先にある『死からの蘇生』を――。

●グリモアベース
「アポカリプスヘルのアメリカ北部にて、小さな拠点を経由し、ひとつの噂が広がっている」
 予知をしたグリモア猟兵、レスティア・ヴァーユは余程、相容れないものを見たとばかりの冷たい感情を抑えるように、一度目を閉じてから静かに状況を語り始めた。

「それは『死者を蘇らせる闇医者』――噂は拠点内に広がり、死をも克服できるならば、どんな病気も治せるであろうと信じた住民達が、己の死を悟ったボロボロの身体で。あるいは、そのような家族を背負い連れて、闇医者を求めて拠点を離れた。
 だが、戻って来た者はいない。
 皆――死者蘇生の為の実験体にされ、オブリビオン化された。そこに、生者は一人もいない」

 感情を凍らせた声で、予知をしたグリモア猟兵は告げる。
「闇医者の場所は特定した。その基地付近には『実験体兼防衛装置』として、姿すら人外と化した拠点の人間達がいる。
 言葉は通じない。戦闘は避けられないだろう。
 基地の奥には、確かに闇医者の存在を確認した。相手に逃げ場はないが、己を肉体改造しており、身体に追加部位を隠し持っている。
 戦闘となれば、それを己のユーベルコードと同等に利用してくる事になるだろう」

 一拍の沈黙。それから、予知者は何事もなかったかのように目的を告げた。
「今回の目的は、オブリビオンである闇医者の討伐。
 ……。せめて、今回の被害者が――安らかに眠れるように。どうかよろしく頼む」
 そう告げて。
 予知をした猟兵は静かに目を閉じて、集まっていた猟兵達に深く一礼した。


春待ち猫
 こんにちは、春待ち猫と申します。この度はどうか宜しくお願い致します。

 シナリオ状況は、オープニング内容と同一。今回はサポート様優先シナリオとなります。
 一般のプレイヤー様もお気に召していただけましたら、お気軽にご参加いただければと思われます。
 (※文字数は当方の他シナリオと比較し、短くなる予定です。予めご了承ください)。

 全てのプレイングは、誠意努力致しますものの、内容に問題が無くとも非常に流れやすくなっております。大変申し訳ございませんが、ご容赦の程をいただければと思われます。
 プレイング送信可能時の再送は、お気軽にいただければ幸いでございます。

 それでは、どうか何とぞ宜しくお願い致します。
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第1章 集団戦 『大砂ネズミの群れ』

POW   :    踏み荒らすネズミたち
【更に大量の大砂ネズミの群れ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    突進するネズミたち
【大量の大砂ネズミの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【もっと大量の群れ】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ   :    喰い荒らすネズミたち
戦闘中に食べた【物】の量と質に応じて【大砂ネズミたちの細胞が活性化し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

イラスト:カス

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 闇医者の居場所は、まるで何かの実験棟のようだった。
 建物内にトラップはないという判断の下、猟兵達が送られた場所は、最奥に扉が見える、途中幾つかの広間のような区画を残している通路。
 目に見えるそれらの中央には、巨大なオブジェが置かれているが、罠の様子は無く。戦うスペースとしては申し分ない。

 ――戦うスペース。そう、そこには。
 情報通り、元アポカリプスヘルの拠点に住んでいた人間達の成れの果て、巨大な体躯をしたオブリビオン『大砂ネズミの群れ』が集まっていた。
 既に理性も何も無い。人間であった実験体は、赤い瞳に『餌』という色を滲ませ猟兵達を見つめている――。
カツミ・イセ(サポート)
「僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
「僕に出来ることだからね」

神様に作られたミレナリィドール、勝ち気で大人びた僕娘。イメージは水。
口癖が「僕の神様は言ったよ」
『偽装皮膚』の影響で、球体関節が普通の関節に見えるよ。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。加護で治るから、大怪我しようと厭わず積極的に行動するよ。
遠距離は『水流燕刃刀』を伸ばすよ。
近接戦では『偽装皮膚』を水のような刃にして、咄嗟の一撃を放つことがあるよ。このときは球体関節が見えるんだ。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないんだ。
あとはおまかせするから、よろしくね!




「僕の神様は――」
 この、人間だったはずでありながら、人としての影も形も残していない大ネズミ達を見れば、自分の神様は何と言ったことだろう――。
 最前を駆け、広間の前で足を止めたカツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)は、眼前に広がる、まだ血も流れていないにも拘わらず既に惨劇としか呼べない状況を前にして、己の口癖に僅かな沈黙を落とした。
 ――人から、神となった存在。カツミはその神の手によって作られた。過去、人であった『彼女』は、その時代に起きた様々な人間の在り様を目の当たりにし、人形であるカツミに聞かせたものだ。
 しかし、この現状は。
 自分の神様は、己がこの光景を見たら一体何を、どう自分に伝えただろう――。

 ほんの一瞬止まったカツミの思考に、全長150センチはあろうかという、こちらよりも巨大なネズミの一匹が、その体躯からは想像もつかない早さで牙を剥き、こちらへと飛び掛かって来た。
「おっと」
 流麗簪の黄金に揺れる涼やかな光と音だけを残して、カツミは軽やかに背面に飛び退き、その一撃をかわす。
「僕の神様は言ったよ。油断は大敵だと」
 カツミは通路方面へと身を飛ばしながら、手に構え持った蛇腹剣である水流燕刃刀を打ち伸ばし、尚も追い縋ろうとする大砂ネズミの一匹を流れる水を思わせる流麗さで斬り裂いた。
 大ネズミ達は、元は拠点の人であったという。
 だが、それでも自分が餌になるわけにはいかず。そもそも神の子機であるこの身は硬質過ぎて、餌としてはあまりに不向きであろうと。

 カツミの斃した大ネズミの一匹が、通路と広間の境に倒れ込む。
 この様子であれば、後は一気に乱戦になるのみだ、と――そう思い、身構えたカツミの目の先で。
 大ネズミ達は、カツミに襲い掛からない。それどころか、絶命した一匹に群がり、その死体を貪り喰い始めたではないか。
「――」
 カツミも、先の一撃で退いてくれるなどとは思ってはいなかった。だが、まさか――共食いを始めるとは。
 これらも、元は人間であったはずなのに。

 大ネズミ達の活力が目に見えて跳ね上がるのが感じ取れる。共食いをした次の敵による攻撃は、間違いなく先の一撃を上回るだろう。
「……」
 己の感情を言葉にする間も無く。同じ存在を食い散らかした大ネズミは、今度こそカツミを敵と見なし一斉に襲い掛かるべく、こちらに距離を詰め始める。

「せめて――」
 その光景に、自然と心が決まる。
 カツミが手に持ち替えたものは、己が神より譲り受けた水の権能の具現にも近しい杖、波濤王笏。
 石突を床に叩き付ければ、その威により響いた音ひとつで、既に知性を無くした大ネズミ達はその動きを硬直させた。
 その隙を逃す理由は、無い。
 波濤王笏より瞬時、爆発的な勢いを以て鉄砲水の如く噴き出した海水――ユーベルコード【綿津見鉄砲(ワダツミデッポウ)】が、通路と広場の敵を、激しい水流で薙ぎ倒していく。残された海水を浴びた大ネズミ達も、海水を飲み込み、喉の渇きや身の不自由などに濁った鳴き声を上げた。

「これも……僕に出来ることだから」
 改めて、認識せざるを得なかった。
 カツミは再び武器を己の蛇腹剣へと持ち変えると、動揺している大ネズミ達の群れに、我が身を省みることなく飛び込む。
 これが、せめてもの――己に出来る事は、過去、確かに人間であった存在に、安らぎを与えることだけなのだと、理解して。

成功 🔵​🔵​🔴​

禍沼・黒絵(サポート)
『クロエと遊んでくれる?』
 人間の人形遣い×ビーストマスター、13歳の女の子です。
 普段の口調は「無感情(自分の愛称、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」、独り言は「ちょっと病んでる(自分の愛称、アナタ、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

一人称はクロエ、人からクロエと呼ばれると喜ぶ。
ちょっと暗い感じの無表情なキャラ
武器は装備している物を自由に使って構いません。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 ヂッ、と。オブリビオンと化した元人間達――『大砂ネズミの群れ』の無数に光る赤い瞳が、猟兵達の方を見る。
 右に左に、既に知性はなく、食い物を探し喰らう欲求しかない大ネズミ達。
 だが、その瞳は何とはなしに、しかし一斉に。視点の終着点を禍沼・黒絵(災禍の輩・f19241)へと定め留めた。

「……少し、大きなぬいぐるみ? でも、クロエと遊んでくれるの?」
 言葉に表情の色はなく。ただ僅かに、心の底に小さな泡の一粒として沸いた好奇の気持ちを伝えるように、小首が傾げられた事を、艶やかな漆黒の髪が揺れて示した。
 目の前にいるのが元人間であったかどうかは、地下世界に生まれた黒絵にとっては些事である。少なくとも、目の前にいるのは大きなネズミ――ぬいぐるみではないかもしれない。だが、黒絵と『遊んでくれるかも知れない存在』だ。それは、とても些細な問題であろう。

 黒絵は、そっと手にした妖獣の竪琴をつま弾き始める。動物との意思疎通を可能とする旋律は、人外の妖力を伴い大ネズミ達の元へと響き始めた。
『クロエと、遊んでくれる?』短くも黒絵の寂しさを埋めんとする願いを乗せた音色に対し、大ネズミ達からの返答は――『良く分からないもの』だった。
 それは怒りであるかも知れない。飢餓であるかも知れないし、もしくは溢れんばかりの絶望と悲しみであったかも知れない。だが――その全てに激しいノイズが走っており、どれひとつ取っても黒絵には理解できないものだった。
「――遊んで、くれないの?」
 問い掛けているのに、黒絵には向けられていない感情群。無表情に整えられている黒絵の貌に、わずか悲しみの色が差す。

 次の瞬間、大砂ネズミの群れが、救われない心の傷を再認識させられた事を怒るように、通路にいる黒絵に向かい突進し始めた。
 一匹が黒絵の身長を超える巨躯が、波のようにこちらに迫る。
「クロエと、遊んでくれる――?」
 日常から陰に潜んだ声が、薄らと明るい色に染まった。黒絵は、こちらを薙ぎ倒そうとする群れを、ゴシック服のフリルを揺らし両手を広げて抵抗せずに受け止める。
 茶黒の胴体と赤の瞳が黒絵を呑み込んだ――刹那、ユーベルコード【オペラツィオン・マカブル】が発動した。
 現れたのは、クロームと名付けられた黒いクマのぬいぐるみ。手には重量ある棘付きの鉄球に、足には爪状の鋼鉄の刃を備えたクロームは、黒絵の上を潰し通り抜けようとした大ネズミ達を、次々に棘を突き立て押し潰し、あるいは引き裂き弾き飛ばしていく。
 止まれない大ネズミ達の波を二つに割って。その中央に黒絵は無傷で立っていた。
 ――大ネズミ達は、今日はクロームとぬいぐるみ遊びをしてくれるのだと。思う心にかすかな喜びを携えて。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ

知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね

防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー

そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです


ジン・マキハラ(サポート)
サイボーグのゴッドハンド×ブレイズキャリバー

胸に永久機関を持つ

口調は「俺、呼び捨て、だ、だな」

標的に事情があるなら同情する事もあるが手加減はしない(できる限り殺さない様にする)ただの悪人とオブリビオンには一切容赦しない

戦闘スタイルは前衛型
一撃重視か広範囲の殲滅に長けている
武器は両手剣クロックヘイズとアサルトライフルのレイジングストームと蒼炎覇気を纏った格闘術

探索時には自身の視覚同調型演算機器による解析やハッキングツールによる情報収集を行う他使える物は全て使う

ユーベルコードは指定した物を使用する

公序良俗に反する行動はせず猟兵達との連携を重視する

アドリブOK
複数リプレイOK




「『森羅万象蝕む一切の穢れを斬り裂き、祓わん。
 神威抜刀――』」
 広場まで押し入った猟兵達に襲い来る『大砂ネズミの群れ』――元は、自分の、あるいは他者の命に救いを求めてここに訪れた人間達だと。そう耳にしていたジン・マキハラ(ブレイズ・オブ・マキナ・f36251)は『元は人間であった』その事実に微かな一縷の思いを伴い。集まる敵の中心を狙い、胸に収められた終焉炎獄式永久機関の蒼炎を纏う、無明剣クロックヘイズを振り払った。
 撃ち放たれたのはユーベルコード【神威抜刀・蒼覇燈楼(シンイバットウ・ソウハトウロウ)】――穢れを断つ覇気により、肉体に取り憑いた『様々な物質や現象、概念。本来あってはならない万物の穢れ』のみを攻撃するユーベルコード。
 夢想主義な訳ではない。生きている存在はいないと聞いた。だがそれでも、まだ『ひと』として立ち行ける存在であったとすれば。可能性があればその灯火を消したいとは思わなかった。
 しかし――大ネズミ達が攻撃を受けた時。肉体は先に、その穢れに因ってネズミの形を成していたと言わんばかりに、後にはバラバラと人間であった足、腕、胴体を辛うじて思わせる残滓が散り転がり落ちてくるばかり。

「あ……ぅ」
 それを見た、同じく猟兵のミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)が、小さく声を零し、息を呑んだ。
 ミスティも長く戦いを重ねてきた歴戦の猟兵だ。しかし、ここまで一般人が露骨に無惨な姿となる状態はあまりに目にするには例を見ない。
 その事実を受け、猟兵達へ走った衝撃は一瞬。しかし、それは好機とばかりに、一気に数を増やした大ネズミたちがその周囲を取り囲む。
 ジンは、丁度隣にいたミスティに目をやった。
 猟兵と言えど、まだ年端も行かないその姿に、無意識に己の立ち回りを思案したジンに、ミスティが即座に聡く気付いて訴える。
「みなさんのお邪魔にはならないのですーっ。
 道をひらいて、後方からの支援に回るのですっ。――『おいで、ひつじさん』!」
 小さな純白の羽根を広げ、ミスティはそのユーベルコード【サモン・シープ】により召喚された大柄な羊の背に飛び乗り、そのふわふわもふもふとした羊の羊毛から放たれた激しい電気攻撃で、数を増やして二人との間合いをじりじりと縮めていた、周囲の大ネズミ達を一斉に焼き払う。
 タンパク質の焦げた匂いが広がる中に、後方への隙を見出したミスティが、一気に羊と共にそこへと飛び込んだ。
「来ないでほしいのー!」
 攻撃に対する拒絶のエネルギーにてオーラによる結界を生み出し、追い縋ろうとする大ネズミ達を無意識に弾き飛ばして、無事にジンのバックアップに回るべく、己の力を最大限に発揮できる場所――中、後衛まで向かうことに成功する。
 ジンは、その後退を援護すべく、跳び掛かる無数の大ネズミ達を、青黒色に染め上げられた、己の炎以外の光を全て吸い込みそうな両手剣クロックヘイズによって、軽々と振り回し払い飛ばしていく。
 背後から、幼さ故の純粋さを感じ残させる、優しく柔らかな光がジンの身体を照らし出す。それはミスティが己の立ち位置に着いた合図だと判断した。

「――完全な、オブリビオンであれば」
 それが、この奥から出て来ない敵による、人体実験の結果なのだとしたら。
 もう、ここにいるのは――全て、救う事の叶わなかった存在なのだと。

「ならば」
 一瞬の瞑目と共にジンは呟いた。オブリビオンに慈悲はなく。
 せめて次の瞬間からは。人であったその苦しみが、一秒でも短くあるように。

 大量の大ネズミ達が、ジンと背後のミスティめがけて突進してくる。
 ここでジンが退けば、猟兵の戦線は崩壊するだろう。
 ジンは、クロックヘイズを収め己の得物の一つである武器機巧を稼働させる。
 大量のネズミ達が突進してくる、それらを前に蒼炎を纏ったアサルトライフル――B.V.Wレイジングストームが火を噴いた。
 それは自らに接続された、演算装置と連動する大口径の内蔵突撃銃。
 撃ち放つのは、全てを制圧せんと言わんばかりの、大ネズミ達の視界の全てにまき散らされた弾丸の雨。
 乱雑に見えて、命中率に遜色は無い。敵にかすり傷など許されないと、その一撃は確実に大ネズミ達の命を奪い、その突進の勢いを壊滅に近く導いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

数宮・多喜(サポート)
『アタシの力が入用かい?』
一人称:アタシ
三人称:通常は「○○さん」、素が出ると「○○(呼び捨て)」

基本は宇宙カブによる機動力を生かして行動します。
誰を同乗させても構いません。
なお、屋内などのカブが同行できない場所では機動力が落ちます。

探索ではテレパスを活用して周囲を探ります。

情報収集および戦闘ではたとえ敵が相手だとしても、
『コミュ力』を活用してコンタクトを取ろうとします。
そうして相手の行動原理を理解してから、
はじめて次の行動に入ります。
行動指針は、「事件を解決する」です。

戦闘では『グラップル』による接近戦も行いますが、
基本的には電撃の『マヒ攻撃』や『衝撃波』による
『援護射撃』を行います。




「チッ、コレじゃカブに乗るってのは難しいねぇ!」
 他の猟兵に制圧された広場の先、そこにはまだ長い通路と同じような構造の敷地が広がっている。
 それを目にした、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は、己のPSYエネルギーをテレパスの形として建物の全景を知るべくその力を奔らせた。
 区画は目に見える通路と拓けた広場、その先に――今回の、首魁が待ち構えている。
 だが、そこまで至るのに、完全阻害と言っても良いほどにあふれ返る『大砂ネズミの群れ』の数々に、多喜は思わず眉を顰めた。
 ――これらは全て『拠点から訪れた人間だった』等と聞いて、どうして信じられようか。

 愛機の宇宙カブJD-1725に乗れなければ、縦横無尽の行動力を手にするどころか、ライダーを名乗ることも侭ならない程に機動力は人並みへと落ちる。本来の全力で駆ける戦いは行えない。
 多喜は、他の猟兵の活躍によって拓けた広場を駆けながら、大ネズミ達の待つ次の通路へと走る。
 ――これらが、元人間であったなら、そこに意思疎通の余地があるのならば。
「……」
 多喜は、そこに一縷の望みを懸けて、己の交流力、意志の解析力の全てを以て、大ネズミ達に向けたテレパスを送る。
 心に直接響いたはずの声。しかし、返ってきた答えは。

 ――『くるしい』『餓えた』『全てを喰らい尽くしたい』――のみ。

 そこに、解決の為の会話が既に成立しないことを多喜は思い知る。
「……っ。こんな、酷い話があっていいもんかねぇ……!」
 彼らを救う。本当に、既にオブリビオンと化していた彼らを救う為に、出来ることはただ一つ。

 骸の海に、送る事。

 多喜のサイキックエナジーが、バッテリー変換により純粋な電撃の力を帯びる。
 そして手にしたSMG-MP5udcの弾丸に、稲妻の衝撃波を乗せて。
 多喜は一斉に無制限に充填される弾丸を、大ネズミ達へと撃ち払い、他の猟兵達への行く先として大きく弾き飛ばし。
 そこに、人間達をオブリビオンに変えた、悪魔とも言える首謀者への道を大きく拓き開けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

星川・杏梨(サポート)
『この剣に、私の誓いを込めて』
 人間のスーパーヒーロー×剣豪、女の子です。
 普段の口調は「聖なる剣士(私、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 時々「落ち着いた感じ(私、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格はクールで凛とした雰囲気です。
常に冷静さを念頭に置く様に努めており、
取り乱さない様に気を付けています。
戦闘は、剣・銃・魔法と一通りこなせます。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 これらが『縋り救いを求めた人々の末路』であると。一体どうして納得をすることが出来るだろうか。
 今、目の前には仲間の猟兵達の手によって、文字通り斬り拓かれた道がある。だが、それは僅か残った、過去に於いては人間だった存在――『大砂ネズミの群れ』が仲間を呼ぶことによって、あっという間に埋め尽くされようとしていた。
 自分達の姿を、身体を、精神を。全てを原形留めなく異形に変えた黒幕に恩義を感じている訳でもないだろう。
 これはあくまでも本能的に、それすらも後付けされた本能で道を塞ごうとしているのだと分かる。
「……」
 星川・杏梨(聖炎の剣士・f17737)は耳にはしていた光景を眼前に、一度無言でゆっくりとアメシストの瞳を閉じて、ニ秒、ゆっくりと瞼を上げた。
 そこにあるのは決意の色。胸に去来する、先入観にも近い感傷を追いやった硬い宝石色を伴って、杏梨は目の前の現実を見つめていた。

 敵は、仲間の呼び声に応え増える一方。ならば、仲間を呼べぬようにするしかない。
 杏梨は、大ネズミ達が最後の防波堤にも近く集まっている、この事件の黒幕が存在する最後の通路へ向けて、離れた距離から片膝をつく。
 身に着けていた、流れる星空の広がるマントが廊下に触れた。
 そして己の得物のひとつである、流星の輝きが走るライフル銃・シューティングスターの照準を通路の大ネズミ達の群れに向かい、最も塊にも近い位置に集まっている一点へと集中させる。
 シューティングスターが、星の光を瞬かせ銃口を煌めかせる。その気配を感じた大ネズミ達は、その時にしてやっと、杏梨がこちらを狙っている事に気付き、もつれながらもその場から離れ逃げ出そうとし始めた。
「私の狙撃からは、逃れられるとは思わない事ね!」
 杏梨の一声。同時に放たれる光を凝縮した流星の弾丸は、逃げ出す間もなく大ネズミ達の一点を貫くように潜り込んだ。

 刹那。
 弾丸がのめり込む、まさに大ネズミ達の中心で、雷の属性による大規模魔法が炸裂した。
 激しい雷の衝撃波により、大ネズミ達は一匹の例外もなく弾き飛ばされ、その殆どが壁に叩き付けられ動かなくなる。
 生きている敵もいるが、先の攻撃で神経の中枢が麻痺し、仲間を呼ぶことは叶わない。
「――先に、進むわよ」
 どのような状況下でも、冷静であり、冷徹であり。それを己の在り方としてきた。
 杏梨は、歩み始める。
 動揺することも、取り乱すことも許されはしない。この先には――文字通り、心を持たぬ悪鬼が待ち構えている。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『業病のジュピター』

POW   :    病勢のニーズヘッグ
【両手の砲身から放たれる医療用レーザー】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    病臥のラタトスク
【自動追尾麻酔ミサイル】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全対象を眠らせる。また、睡眠中の対象は負傷が回復する。
WIZ   :    病理のフレースヴェルグ
自身の身体部位ひとつを【対象の病魔根絶に適した形】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。

イラスト:ekm

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠トール・ペルクナスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 辿り着いた最奥の部屋。鍵もないが開きもしない、閉じられていた扉を猟兵が強引にこじ開け弾き飛ばすと、そこには『過去、生きていたはずの存在』が無数の培養カプセルの中にぷかぷかと揺らいでいる光景が一面に広がっていた。
 その中央には、一体の機械人形――それは、既にオブリビオンと表現すべきであろう存在が立ち尽くしていた。
「何故、邪魔をしようとする」
 過去は、別の何かであったであろう、機械人形は『過去の滲み』として――オブリビオンと化して猟兵達に向き直った。

「これは何よりも優先される医療なのだ」
 こちらに背を向けていた、機械人形『業病のジュピター』は語る。
「人間は、脆いものだ。
 姿形を変えても死ぬ。強化しても簡単に死ぬ。挙げ句の果てに、死は必定であるという認識すら定着している」
 猟兵達にゆっくりと向き合う機械人形は、元の素体に表情機能が豊かではなかったのか、その言葉だけに抑揚激しく言葉を紡ぐ。

「死は生きている限り、必ず訪れる。ならば【生こそが何よりの重篤な病である】と判断するのは容易に難くない。
 私は、それを乗り越える術を探している。
 実際に――ここに自ら足を運ぶ、拠点の人間達は『皆、助けようとして助けられなかった者の末路』なのだ」

 それがカプセルに浮かんでいる、人間であり、異形にも変化しつつある存在は、曰く――皆が死んでいるのだ、と。

「故に私は考えた。生が死を避けられない病であるのならば――その先にある死を克服すれば、医療の全てを覆すことが出来る。
 人は不死を手に入れ、再び世界に吐息を零し、生き続けることが出来るのだ、と」
 敵である機会人形に語られる、人間の歪な心理。それは、オブリビオン故に純粋であり、在り様は何よりも冒涜的に感じられた。

 人の生死ではない。その行いは、本来あるべき節理ではない。
 猟兵達の間で、目に映る人々が、あるいはその行いそのものは、禁忌であり、止めるべきものだと心が告げている。

 ――同意をすれば、いつか必ず世界が滅ぶ。
 何故ならこの機械人形も、既に過去の侵蝕に存在を浸した、オブリビオンであるのだから――。
桜井・乃愛(サポート)
 桜の精のパーラーメイド×咎人殺しの女の子です。
 普段の口調は「元気(私、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」、偉い人には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく天真爛漫で、少し天然ボケな感じの少女。
一番好きな花は桜で、その他の植物も好き。
強敵にも怖気づく事は少なく、果敢に挑む。
人と話す事も好きなので、アドリブ歓迎。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
 人間のマジックナイト×電脳魔術士、女の子です。
 普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




「――何という」
 ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)は、それ以上の言葉を紡ぐには、まるで喉に塊を呑み込んだかのように息を詰めずにはいられなかった。
 道中で合流した、互いに顔を知る桜井・乃愛(桜花剣舞・f23024)と死線を切り開いて、ようやくここまで辿り着いたが。
 広がる光景が『死ぬだけでは済まず、生きていたという尊厳すら無く、オブリビオン化されるまでいたぶられ続ける』というものであれば。それは到底、報われたものではないだろう。
 求めていたものは、決して、このような終わりではなかったはずであろうに。

「ひどい……」
 乃愛が言葉を零した光景は、もはや無惨としか言いようがなく。
 この場において、もはや猟兵に尚も出来ることがあるとするならば、それは仇討ち以外に他ならないのだと――二人は自然と険しくなった瞳を見合わせ頷き合った。

「猟兵ならば、もしや死を超越できるのか。
 首を刎ね、脳を破壊し。それでも尚元に戻るのであれば――それは死の超越への第一素体になり得るはずだ」
 敵の言葉が、実験体蒐集を意味していると即時判断し、ローズと乃愛は躊躇いなく臨戦態勢を取る。

「行きますわよ!」
 第一声。ローズが構えた真紅の銃身を持つ、薔薇を冠するに相応しい短銃から、魔力弾が放たれた。
 精霊の魔法力により、煙の代わりに紅に染め上げられた美しい花弁をまき散らしながら、威嚇として敵対する『業病のジュピター』へと迫る。
 互いに至近に迫るには遠すぎる距離。死の超越を願う機械人形――ジュピターは、即座に己の腕をチェンソーに変化させると、それらを全て弾き飛ばした。ローズとしてもこの程度が当たるとは思っていない。これは敵の出方を見る為の、単なる挨拶代わりだ。

「――生こそが、最大の病であれば」
「敵、来ます!」
 乃愛の声が、広くアポカリプスヘル特有の地獄を思わせる培養カプセルが並べられた空間へと響く。
 瞬間、敵が己の腕を可変させた近接武器と同様に、ジュピターの両足が高速回転するローラーへと変化し、ローズと乃愛に対する距離を一気に縮め迫り来る。
「『桜の花々よ、相手の精神を砕き、その全てを封じなさい!』」
 敵の行動に一つの手段を見出したのか、ローズの前に乃愛が飛び出した。
 同時に、手に掛けていた己の武器ブルーミング・ファイアでの追攻を狙う代わりに、乃愛は己のユーベルコードを発動させる。

 刹那――乃愛の宣告と共に。銃の形がまるで最初から花びらで構成されていたのではないかと思われる錯覚を伴って、薄紅色に崩れ始めた。
 バラバラにほつれ、それらが流れる花びらと化していく。敵に突き付けていた銃口が、銃身が、銃把にまで至る全てが、桜の花弁と化してジュピターの視界を覆い、その身までも包み込んだ。
 見た目には花嵐が吹き荒れているかのよう。しかし、それは相手の精神を破壊、崩壊させる、刃物とは比にならない凶悪な一片を集めた暴風。

「なん、だ。……こ、れ、は……」
 精神に直接与えられた目には見えない傷。切り傷でも、身を断絶された訳でもない。だが、オブリビオンの精神構造は、桜が舞い散るように零れ落ち。こちらに高速で迫らんとしていたジュピターは、紡ぐ事すら侭ならない言葉と共に動きを止めた。
 その身を包んでいた桜の嵐が、ジュピターの身から離れ、駆け抜けていく。
 花びらは乃愛の手に、再び拳銃の型を成して再構築された。
 そして、敵から詰められた間合いは、既に近接へと届く距離。

「流石ですわね。これならば狙えますわ!
 この機、逃しませんわよ!」
 ローズが、手にしていた拳銃プリンセス・ローズから、腰に当然の嗜みのように誂え装備していた、夕焼けを思わせる光を宿す一振りの剣を構える。
 そして、そこには恐れも何もなく。駆ける足運びには美麗さすら伴わせて、ローズはジュピターの懐へと飛び込んだ。
「――」
 呆然にも近く、まだ我を取り戻せない相手に、ローズの繰り出さんとする一撃は回避のしようも無い。

 そして、
 ローズの放った黄昏の閃光一筋は、激しい音を伴い、オブリビオンの胸元へと深々と突き立てられていた――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ロザリア・ムーンドロップ(サポート)
オブリビオンの脅威から戦後世界を守ることを主軸としてグリモア猟兵の活動をしているため、自らも機会があれば依頼に出向きたいと考えています。

「この事件を解決すれば、また一歩世界の平和に近づきますね!」
「せっかく取り戻した平和を脅かすなんて許せません!」

UCは全て設定しています。
技能・装備はご自由に。

基本的に頑張り屋。戦闘スタイルは魔法をメインに使いますが「困った時は殴ればOK」とも思ってます。
なので接近戦も案外こなすオールラウンダー。

ぷるぷるしたもの(スライムとか)はとても興味を示します。
葛藤しながらも事件解決のために我慢して攻撃するでしょう。
ただしエロ・グロ系はNGで。




「何だと……っ!?」
『業病のジュピター』が他の猟兵によって傷付けられた胸元を押さえる。僅かな煙と共に、機械人形に流れていた体液は赤色ではない事が理解出来る、緑の可動潤滑液が溢れ零れた。
「――こんな……こんな事が許されていいはずがありません!
 ここまでです! あなたを倒して、こんな酷い事件を終わらせますっ!!」
 残酷極まりない事件の首謀者に、ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は、己の手にぐっと、力強くクレセントブレイカーを握り締めた。

「……こうなれば皆殺しだ。まずは、猟兵達を皆殺しにした後、その上で完全なる『蘇生用実験体』として利用することにしよう」
 僅かな苦渋を滲ませた機械人形、ジュピターの頭部より伸びた羽の一部が鋭いメスへと変化しロザリアへと向けられる。
「『オーバーレイ・ムーンスタイル!』」
 羽から放たれた細いメスが、ロザリアのいた場所へと突き刺さる。しかし、ロザリアは既にユーベルコード【ムーンロザリア・スタイルチェンジ】により、流れ星の輝きを伴い上空へと飛翔しそれらを躱す。
 中空に、藍色のツインテールが揺れる。それを追撃するジュピターの更なるメスの攻撃を、ロザリアは風の属性を交えたクレセントブレイカーの衝撃波によって打ち払った。

「小賢しい……!」
 足の裏を反重力可動システムへと変化させたジュピターが、空を追い瞬時にロザリアへと迫る。
「近寄らないでくださいっ!」
 こちらに向かって中空下部より迫るジュピターに、ロザリアは一度大きく距離を取る。
 そして離れたと見せ掛けて、華麗に流星の光を残してターンを決めたロザリアは、無防備であった敵に急接近すると、その頭部に向けて、手にしていたクレセントブレイカーを全身全霊で振り下ろした。
「っグァ――っ!!」
 殴打武器を兼ねた仕様となっている、クレセントブレイカーの激しい一撃が頭に直撃すれば、流石のオブリビオンもただでは済まない。
「倒れてください!!」
 そのまま、よろけ、衝撃に耐えかねるように地面に墜ちるジュピターへの追撃として、ロザリアはありったけの魔力を込めた衝撃波を撃ち放ち、敵を完全に地面へと叩き付ける事に成功した。

成功 🔵​🔵​🔴​

七星・天華(サポート)
 羅刹のガンナーで元気娘。
 仲良しな人には優しく楽しく。

『一般人に過度な期待はしないでよね。』
自分は才能など無い平凡な存在だと思っているが実は天才。
二丁拳銃「白雷」と「黒雷」をメインにナイフ系も扱える。
二丁拳銃を使った近接戦闘もできる。
遠近両方の距離でも戦闘を成立させる。
装備の影響で帯電しているが自由自在に扱える。
世界を放浪して手に入れたアイテムで出来る事の幅が広い。
少々過酷程度の環境は即座に対応適応するサバイバル能力。
左肩に生まれつき痕がある。
美人な元気娘だが暗殺もするデンジャラスな一面も。
家族のみんなが好きだが特に姉が大好きで姉の一番のファン。
自分にもファンが居るとは微塵にも思っていない。




「お、おぉ……」
 猟兵の一撃により中空から叩き落とされ、硬質の床にめり込み罅を入れている機械人形『業病のジュピター』が、ギシギシとダメージを蓄積させながら立ち上がる。身体の各所には薄らと零れ落ちていく緑の疑似体液と共に、うっすらと機械の体から煙を上げていた。

「うわっ、頑丈ね!」
 その一連を目にしていた七星・天華(自覚無き天才・f36513)は、ジュピターがその状況から、尚も動くことに驚きを隠せない。
「蘇生の……為ならば、……このような程度で、壊れる訳には――」
 ギョロリと、その瞬間ジュピターのアイセンサーが、確かに天華を捉えた。
「え、ちょっと、こっち見た!?」
 思わず声を上げる天華に対して、返答代わりにジュピターの機械腕が変形し、無数の自動追尾麻酔ミサイルが射出されると、それらは一斉に天華へ向かい襲い掛かった。
「ちょっと、一般人に――!」
 無数の軌跡を描きこちらへと狙いを定め向かってくるミサイルに、天華は白雷と黒雷の二丁銃であるクロス・ジャッジメントをとっさに抜き放つと、ミサイル群を鮮やかに撃ち落とし、あるいは中空で爆発させる。
「一般人になんてもの向けるのよっ!」
 行動の軽やかさに対し、それはあまりにも自覚の伴わない台詞であったが、機械人形であるジュピターは躊躇いなく第二波の麻酔ミサイルを放つ。
「――っ!」
 これを何度も続けていては、あまりにも効率が悪い。天華は白雷と黒雷を構えたままミサイルを引き付けるように、風よりも速いスピードで走り始めた。
 この一撃を受けてしまえば、いくら己の才が味方をしようとも、麻酔で身動きを取るのは困難になるだろう。だが、一撃目で追尾麻酔ミサイルの速度は体感済みだ。
 それらを思案しながら天華はユーベルコード【ライトニング・スピード】でミサイルを引き付けながら走り続ける。そのまま、攻撃を受け続けて動きの鈍いジュピターの正面へと対峙すると、天華は勢いを止めずに敵の眼前まで全力で駆け寄った。
 そしてミサイルが己に被弾する直前、速度を全て体感で判断していた天華が、華麗に垂直近く跳躍すると敵の背面へと着地する。
 敵を壁としたミサイル回避。ミサイルは全て天華を追い切れずに、攻撃手であったジュピターに被弾した。
 麻酔の影響を受けないよう、天華は風の如くその場から距離を取る。
 爆音が響く。残されたものは、機械人形故に麻酔こそ効かないが、ミサイルの爆破衝撃波によって全身のパーツを焦がしたジュピターの姿であった。

「おのれ……猟兵なるものが、これ程までに『病巣深く』あったとは――。
 目的の為、何としても……何としても……!」
 重なる攻撃の嵐に、敵であるオブリビオンの瞳に、執念にも近い色が宿った。

成功 🔵​🔵​🔴​

大豪傑・麗刃(サポート)
一人称は『わたし』『麗ちゃん』

基本右サムライブレイド左フライングシャドウの二刀流+随行大剣
スーパー変態人2時右サムライブレイド+フライングシャドウ、左バスタードソード+ヒーローソードの四刀流
伝説のスーパー変態人時キャバリアソード
真・ガチ剣士モード時妖刀
なんらかの理由で上記を装備していない場合は適当に

で真っ向から行くだけなのだ。

ユーベルコードはお任せだが決まらなければ

ネタ可なら
ネタキャラとしての矜持>鬼殺し>変態的衝動>正々堂々真っ向勝負>爆発オチ>誰にでも苦手なものはある>わたしのネタを聞け>燃える男

ネタ不可なら
スーパー変態人2>伝説のスーパー変態人>真・ガチ剣士モード>達人の智慧>剣刃一閃




「なんじゃこりゃー!!」
 先の猟兵の攻防により起きた爆発から『業病のジュピター』の付近にいた大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)は、這々の体で逃げ出してきた。
 そして、何とか体勢を立て直す。しかし、命が無事だと分かれば、次の瞬間には、この場に迸るパトス的なギャグを全力で飛ばしたい――そんな心境衝動を、麗刃は半ば戦闘と同じくらいに必死になって抑えていた。
 当然、目の前に起こっているのは、命と人の想いを懸けて行われている戦闘である。しかし――彼の身に走っている生命が、存在意義が、魂が、全身全霊を以て叫んでいるのだ。

 ああ、一発ギャグを叫びたい。この上なく叫びたい。

 これは、彼の中に流れる血による非常に因縁深いものなのだが、非常に脳髄的に深刻なものでもある為、ここでは割愛させていただく。
 実際そのような事を考えている間にも、片腕を大鋏に変えたジュピターの攻撃を、自立型で敵を自動的に斬り捨てんとする随行大剣が、麗刃との間に割り込み既に激しい攻防を繰り広げているではないか。
「さ・け・び・た・い! お笑いに! お笑いにっ!!
 しかし――麗ちゃんとしても今回の件に関しては、看過はできないところでもあるのだ」
 麗刃がくわっと目を見開き、随行大剣越しに拮抗しているジュピターの様子を脳内に映し出す。
「この、すべてにおいてシリアスな世界で! お笑いが冒涜手前となってしまう葛藤を何と例えればいいのであるか!
 許すまじ――!
『わたしは超怒ったのだーーー!!!!!』」
 
『シリアスしか許されない世界で、ギャグを叫びたい』――その衝動に麗刃のユーベルコードが炸裂した。
 麗刃の全身を激しい稲妻が迸る。噴き上がる黄金のオーラには、言外に【早くシリアスを終わらせ、お笑いに走りたい精神】に満ち溢れていた。
 その条件はもちろん――目の前のオブリビオンを倒すこと。それしかない。

 激しいオーラを弾けさせながら、葛藤の分だけ攻撃力を跳ね上げた麗刃は、腰のサムライブレイドを抜き上げ構える。
 そして、ジュピターの攻撃に圧され始めた随行大剣を盾にして、側面からの攻撃を狙った麗刃の動きを悟っていたかのように、一端攻撃から退いた敵が、両腕を医療用レーザーの砲台へと変形させ、鋭くかつ高熱のレーザービームをこちらに向けた。
 そのまま強烈な光と共に放たれたレーザーは、激しく床を灼きこちらに迫るが、ユーベルコードによって目で追うのも難しい飛翔速度を手にした麗刃は、それを見事に躱しきる。
 しかし――室内戦に於いて、勢いのままにそのスピードを制御するのは極めて難しいことでもあった――。
「思った以上に狭いのだー!」
 麗刃はジュピター相手に、飛翔速度そのままに思い切り顔面から突っ込むと、相手に全力タックルして一緒に転がり倒れ込んだ。
「いたったたた!
 ――はっ、これは麗ちゃんチャーンス!!」
 顔面殴打の痛覚でもんどり打つ麗刃の目に入ったものは、至近に存在する敵の肩口。
 麗刃はその瞬間を、慌てふためきながらも逃さなかった。

『倒さなければ、ギャグを口にすることも侭ならない――』
 その、ある意味計り知れぬほどの強い意志を元に。
 麗刃は、手にした雷に反射し一際輝くサムライブレイドを、全力で相手の左肩に突き立て、そのまま真横に斬り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カツミ・イセ(サポート)
「僕の神様は言ったよ。郷に入りては郷に従えと」
「僕に出来ることだからね」

神様に作られたミレナリィドール、勝ち気で大人びた僕娘。イメージは水。
口癖が「僕の神様は言ったよ」
『偽装皮膚』の影響で、球体関節が普通の関節に見えるよ。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用。加護で治るから、大怪我しようと厭わず積極的に行動するよ。
遠距離は『水流燕刃刀』を伸ばすよ。
近接戦では『偽装皮膚』を水のような刃にして、咄嗟の一撃を放つことがあるよ。このときは球体関節が見えるんだ。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしないよ。
また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしないんだ。
あとはおまかせするから、よろしくね!




「ぐ、ぅ……おおぉ……」
 カツミ・イセ(神の子機たる人形・f31368)の目に、他の猟兵との戦いによって左肩を破壊され、その腕を落とした機械人形であるオブリビオン『業病のジュピター』の姿が目に入る。
 神によって模られたカツミとは比較にならない、尚も稼働する禍々しさにカツミは思わず凜々しく細い眉を寄せた。

 ――ここに来るまでに目撃してきたものがある。
 眼前の敵の手に掛かるまで。確かに人であったものへ与えられた、生きていても、死んでいても、決して許されることはないであろう冒涜。
 それらを目の当たりにして、カツミは考える。
「僕の神様は――」
 紡ぎ上げかけた口癖――自分を作り出した神様は、あれらの惨劇の根源を目の当たりにしたら、一体何を告げ、そして何を行うことだろう。

 少なくとも、人の生命を――その輝きを弄んだ、目の前の存在を決して赦しはしない。

「し、死者を、そせ、蘇生し……我らが――」
 敵は既に機能の不全が発生しているのか、言語もまともに残せないでいる状態。
「――ここまでだよ」
 ならば、自分に出来る事は、ひとつだけだ。

「『僕の神様、その根源となる力を』」
 創造主である神からカツミに分け与えられた水の権能【創造主の力:水刃手裏剣無影術(スイジンシュリケンムエイジュツ)】――それは、彼女の神が得手とした能力の写しのひとつ。

 一呼吸。その瞬間、カツミの中空に泡沫のような残影を見せ、それらは一斉に常に流動する手裏剣へと姿を変えた。
 百にも渡る手裏剣の一部が、機械人形ジュピターに狙いを定めて放たれる。それをジュピターは最大出力であろう、無数の麻酔ミサイルを撃ち放つことで相殺した。
 手裏剣が形を取りきれず弾け、水となって次々に砕け散っていく。一瞬、その水滴の影に呑まれ姿を消したカツミを、ジュピターは慌てて視野に入れようと周囲を探査した。

「見つけた、ぞ――!」
 見出したその位置は、ジュピターの死角にあたる斜め後方。カツミの姿に、右手を巨大なメスに変えて、オブリビオンは真上よりその頭頂から足元の床までを、力任せに叩き斬った。
 斬り裂かれるカツミの姿。だが、壊れかけにも近かったオブリビオンは、そのあまりの手応えの無さに気づく。
 同時に、既に壊れていると判断し無視していた、己の熱源センサーにも『確かに、そこに可動物の熱量など存在していなかった』事を、あまりにも遅く理解した。

 メスによりふたつに別ったはずの、カツミの姿が掻き消える。残されたのは、自分の攻撃でめり込んだ刃先と――並び、他の手裏剣によって生成された『時限爆弾』が。
 ジュピターが声にならない叫びを上げるのを、激しい爆破音と共に、巻き込まれぬよう離れた場に立っていたカツミは確かに耳にした。
 耳をつんざくような爆発音。残されたのは、羽根を模した機巧まで燃え尽き黒焦げとなった、人の命を弄び尽くした一体のオブリビオンの姿。

「お、おおぉ――。
 おお……栄光を――『眠れるフィールド・オブ・ナイン第5席に栄光あれ』!!」
 
 それが、敵の断末魔。
 気になる内容ではあるが、もはや情報を絞り出せる相手ではない。
 距離を取っていたカツミは、躊躇いなく己の周囲に取り巻く残りの水流手裏剣全てを、目の前のオブリビオンに叩き込んだ。

 斯くして、死者を蘇生すると云われた闇医者の存在はそこで途切れた。
 その事実を伝えた拠点の人々は、自分達が縋ろうとしていた考えに戦慄し、改めて己の存在する世界の恐ろしさを知ったのだ。
 だが、この世界の人間達は強い。拠点の人々もきっと、再び自分達の力のみでまた立ち上がれるに違いない――。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年04月03日


挿絵イラスト