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切裂異人落涙譚

#サクラミラージュ #未・明の記憶探求録

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#サクラミラージュ
#未・明の記憶探求録


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 影は哭いた。
 愛しき影を抱いて哭いた。
 熱を失った肉、首に残った青い痣、そして瀟洒な服に染みる涙。
 自らが導き出した結末に青年は崩れ落ちる。
 だが、否、だから為さねばならぬ。
 霧と機械と欲望の都、街灯すらないその裏路地で、ありふれた誰かは霧雨降らす曇天に吼える。
 
 こうして恐怖が始まった。異国社会を恐怖のどん底に突き落とした、とある青年の復讐劇が。



「愛は人が保有する激烈な感情ですが、しかし激烈であるが故にいつも人は愛に眩む。薬も強すぎれば毒となるように、愛もまた然りと、そういうことなのでしょうね」

 未・明(東方妖怪のレトロウィザード・f28408)は溜息を吐いて、そう告げた。人間の屈折に呆れているのか、それとも嘆いているのか。杳として知れない表情だった。
 彼は手にしていた犯罪心理学の本を閉じる。

「さて、此度の事件はサクラミラージュで起きる事件です。事件の原因となるのはオブリビオンとして蘇った切り裂きジャック。ロンドンを恐怖のどん底に陥れた怪人です」

 切り裂きジャック。またの名をジャック・ザ・リッパ―。歴史に現れた数多くの怪人の中でも、最も有名な怪人だと誰もが認めることだろう。
 19世紀末、倫敦のスラム街で娼婦が立て続けに殺害される殺人事件が起きた。娼婦たちは腹を開かれ、内臓を取り出されていたという。それが人類史を代表する怪人の犯行、その全容だった。

「とはいえ、あの事件はあまりにも情報が交錯していて、この度現れたオブリビオンが切り裂きジャック本人なのか、あるいはそういう怪人のガワを被らされた何者かなのかはわかりませんが」

 あの頃、倫敦で起きた一連の殺人事件はホワイトチャペル殺人事件と総じて呼ばれている。発生した計11件の殺人事件の全てが切り裂きジャックの犯行というわけではない。そして当時の低質なメディアが面白おかしく騒ぎ立てせいで、切り裂きジャックの正体は煙に巻かれてしまったという経緯がある。
 故に『切り裂きジャック』というオブリビオンが現れたとしても果たしてそれが本物の切り裂きジャックなのかは断定できない。正体不明であるが故に誰もが成れる怪人。それが『切り裂きジャック』の名を与えられたオブリビオンの本質だ。だから今回の事件で現れた切り裂きジャックもオブリビオンに成る上で『切り裂きジャック』になってしまっただけの誰かなのかもしれなかった。

「まぁ、切り裂きジャックの真実など、今はどうでも良いでしょう。我々が見るべきは過去ではなく未来。これから起きる惨劇を回避することなのですから」

 閑話休題。未・明は話を戻す。

「此度の切り裂きジャックは――幸運にもまだ被害者は出ていませんが――帝都にて女性を、特にユーベルコヲド使いの女性を襲うオブリビオンと化しています。どうやら彼には何かしらの行動原理があるらしく、条件を満たさない人物を襲うことはありません。おそらく其処に此度の事件を解決する鍵があります」

 未・明は核心に近づく道筋を提示した。
 つまり切り裂きジャックの犯行理由を探ることこそがこの事件の収束に繋がる手段なのだろう。1つの都市を恐怖に陥れた殺人鬼、そのガワを借りた誰かの心を読み解かなければ、この事件の幕は下せない。

「まずは夢と現が入り混じる喫茶店にて情報を収集すると良いでしょう。オブリビオンや帝都での異変の情報、あるいは切り裂きジャックの情報も聞くことが出来るかもしれません」

 彼は此処で短く息を吐いた。短くも、深く重たい感情が込められた吐息だった。
 そして、導き手は視線を逸らしながら続ける。

「愛に眩んでいるならば眩み続ければ良かったのにと、そう思ってしまうのは第三者の傲慢でしょうかね」
 


MR2
 皆さん、どうもです。MR2です。今回はサクラミラージュでのシナリオを送りします。案はあったので先月やれば良かったかなと思ったり、思わなかったり。

第1章 日常『喫茶店にて夢を見る』
 情報収集パートです。本章ではインタビューによって情報収集をすることが出来ます。情報収集には〈現実〉と〈夢〉での情報収集があり、現実パートでは食事をしながら生きている人間から、〈夢〉では寝ている間に死人から情報を得ることが出来ます。ただし、死人は言葉を発することが出来ず、首の動きでイエス、ノーを伝えることしか出来ません。
 プレイングを提出する際には猟兵が〈現実〉と〈夢〉のどちらで情報収集をするかを明記し、聞く対象と聞く内容を記入するようにしてください。

第2章 集団戦
 切り裂きジャックの登場に呼応して現れたオブリビオンとの戦闘です。彼らは切り裂きジャックの精神性を反映されており、同じ行動原理に従って動きます。彼らを通して切り裂きジャックについて知ることが出来るでしょう。
 詳細は断章にて記載させていただきます。

第3章 ボス戦
 切り裂きジャックとの戦闘です。事件を起こす前の切り裂きジャックと戦闘を行い、その戦闘を通して切り裂きジャックとなってしまった彼の真実と向き合ってもらいたいと思います。
 詳細は断章にて記載させていただきます。
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第1章 日常 『喫茶店にて夢をみる』

POW   :    喫茶店で食事をする。

SPD   :    食事を楽しむ。

WIZ   :    夜に眠り、夢をみる。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

四王天・焔
〈現実〉
アドリブや他猟兵との連携歓迎

■心情
切り裂きジャックか、聞いたことならあるけど、恐ろしそうな怪人だね。
そんな殺人鬼を野放しにしておく訳にはいかないよ。

■行動
喫茶店で食事をしながら、情報収集を行うね。
折角だから、甘いパフェでも頂きながら話を伺おうかな。
「わぁ、このパフェとっても美味しいな、帝都の甘美は至高だね」

焔は、切り裂きジャックの目撃情報を主に聞きたいな。
「最近この辺りで、人が誰かに傷付けられたとか、そういう事件は無かったかな?」
手に入れた情報はメモしていき、纏めておくね。

「切り裂きジャック、絶対にその足取りを掴んでみせるよ!」



 四王天・焔(妖の薔薇・f04438)はパフェの生クリームをプリンごと木製スプーンで掬い取る。
「わぁ、このパフェとっても美味しいな、帝都の甘美は至高だね」
 舌の上に広がる濃厚な甘さに四王天は舌鼓を打つ。そんな彼女の前に座るのは眼鏡をかけたユーベルコヲド使いの女だった。
 彼女は湯気が立つコーヒーを啜ると問う。
「で、要件はなんでしたっけ? 猟兵さん」
「ん――っと、最近この辺りで、人が誰かに傷付けられたとか、そういう事件は無かったかな?」
 四王天は口に運んだパフェの欠片を飲み込むと本題を切り出す。
 此度の事件に現れるオブリビオン、切り裂きジャック。その足取りを掴もうと彼女はユーベルコヲド使いの女を喫茶店にて引き留めたのだった。
 四王天はメモとペンを取り出しながら重ねて続ける。
「例えば刃物を持った不審者に女性が襲われたとか、そういうの、ない?」
「そのような刃傷沙汰は耳にしませんね。ただ――」
「――ただ?」
「私の友人、つまりユーベルコヲド使いの女性の間で殺気と情念が籠った視線を誰かから向けられているなんて噂話が流れているくらいです」
 言い切ると、再び女はコーヒーを啜った。噂話程度と捉え、ユーベルコヲド使いの女は気にも留めていない。だが、四王天は1つの確かな情報を得ていた。
 切り裂きジャックはユーベルコヲド使いの女を襲う。ならばユーベルコヲド使いが集まる場所に切り裂きジャックがいる。そして帝都でユーベルコヲド使いが集まる場所と言えば、
「帝都桜學府だね」
 明確なヒントを得た四王天は音を立てて立ち上がると、握りこぶしを天に突き刺し意気込んだ。

「切り裂きジャック、絶対にその足取りを掴んでみせるよ!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

籠野・つぼみ
〈夢〉

まあ、不思議な喫茶店だわ。夢を見てしまうなんてね。もし夢でも食事が出来るのなら、少し甘いものが食べたいわ。そうね、ケーキ、とか。

愛。それはきっと、誰かにとっては大切なものだけれど、誰かにとっては歪んだ何かに変わってしまうのね。ええ、私はいつまでも大切にしたいけれど。皆がそうとは限らないのよね。

ひとまず、死者に話を聞いてみましょう。最近、変わったことがあったかとか、生者についてどう思うかを。死者の反応を見ながら、少しずつ質問を変えていきましょう。

それにしても、どうして切り裂きジャックになってしまったのかしらね。あなたの心をのぞいてみることができれば、あなたをすくうことができるのかしら。



 微睡みに沈み、落ちていく、落ちていく……

「まあ、不思議な喫茶店だわ。夢を見てしまうなんてね」
 籠野・つぼみ(いつか花開く・f34063)は我に返るとそう呟く。
 彼女の意識はいつの間にか日中に訪れた喫茶店の中にいた。木製の椅子に腰かけ、目の前のテーブルには籠野が昼に食べたショートケーキと紅茶が律儀に置いてある。
 湯気を立てる紅茶に息を吹きかけ、冷ますと一口含む。どうやら夢だというのに味も丁寧に再現してくれているらしい。昼に食べたものと全く同じ味だ。
「さて、それで、あなたは何処のどなたなのでしょう?」
 夢は籠野の記憶をほとんど寸分違わず再現したが、しかし相違点は確かにあった。
 籠野の目の前に現実にはいなかった洋装を来た異国の女が座っていた。
 女は籠野の問いには答えない。死者は肯定か、否定かしか答えることは出来ないのだ。
 籠野は口に運んだショートケーキを飲み込むと質問を変える。
「あなたは切り裂きジャックの被害者でしょうか?」
 女は首を縦に振った。
 では籠野はこう問わねばならないだろう。
「あなたはユーベルコヲド使いでしょうか?」
 オブリビオンと化した切り裂きジャックはユーベルコヲド使いを襲うと聞く。であるならば、生前の切り裂きジャックに殺された彼女もまた同じ力を持っているのではないか。そういう推測を込めた質問だった。
 問われた女は、
「――――」
 困った様子で眉を顰めた。
 質問の意味が解らない。というよりは答えかねている様子だった。
 首を縦にも横にも振らない女の様子を見て、籠野はこう考える。
(つまり目の前の女性はユーベルコヲド使いではありませんが、しかしそれに類する力を持っているということ、でしょうか……?)
 ショートケーキの最後の一片を籠野は口に運んだ。途端に目の前の女と喫茶店の風景がぐにゃりと歪み始める。
 夢が、終わるのだ。
 浮上するような感覚の中で籠野は思う。
(それにしても、どうして切り裂きジャックになってしまったのかしらね。あなたの心をのぞいてみることができれば、あなたをすくうことができるのかしら)
 優しい疑問の行先は未だ暗闇だ。
 重たい目覚めの感覚に身を預け、籠野の意識は現実へと浮上していく。
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

吉柳・祥華(サポート)
『妾の存在意義とは何ぞや?何ゆえに此処に在るのかぇ?』

旧き時代に祀られていた龍の化身で在ったが
護るべき国と民は既に無いのに何故…自身が現世の『神』として顕現したのかを思案と模索する戦巫女

物腰は柔らかく絶えず微笑を湛える優美な女性であるが
過去の出来事から人(他人)に対しては意外に辛辣…
優美に微笑を浮かべるが実は目が笑っていない

ユーベルは指定した物をどれでも使用
その辺はMSの采配に任せます(意外な使い方とか参考になるから)

基本、他の猟兵に迷惑をかける行為はしないが
必要なら悪乗りはする流れ(他の猟兵と同意と言う設定で)
まぁ…流石に依頼の成功の為と言えど公序良俗に反する行動はNG

連携アドリブ等はお任せ



 吉柳・祥華(吉祥龍彩華・f17147)は甘味に舌鼓を打つ。彼女が口にしているのはぜんざいだ。砂糖の少ない餡子のほのかな甘みが舌に優しかった。
 口に含んだあんこをとろかすと、吉柳は通りすがりの男を呼び止めた。
「おぬし、少々お時間をいただけますでしょうか」
「……? な、なんでしょうか?」
 黒縁眼鏡をかけた書生の男は怯えた様子で足を止める。女慣れをしていないその青年は突然吉柳から声を掛けられて、目を泳がせていた。
「情けなく怯えることはありません。ただ1つ、質問に答えてくださればよいのです」
「は、はぁ、なんでしょうか……」
「最近、この帝都で妙なことはありませんでしたか?」
 帝都に現れるオブリビオン、切り裂きジャック。その討伐のために訪れた吉柳は足取りを掴みたい。
 だが、期待に反して男は困った表情を浮かべる。
「さ、さぁ、私にはとんと心当たりが……」
「…………そうですか。申し訳ありませんでした、呼び止めてしまって」
 解放された青年は困惑顔で立ち去っていく。
 一人になった吉柳は「なるほど」と小さく呟く。
 男は帝都の異変を知らないと言った。つまり本当に切り裂きジャックはユーベルコヲド使いの女以外を襲わないということだ。いくら切り裂きジャックの被害が未だ発生してないとはいえ、もう既に異変は始まっているはずだ。にも関わらず、書生の男が異変を知らないということは切り裂きジャックはユーベルコヲドの女しか目にないらしい。標的以外には異変すら察知させないほどに関わりがないと考えられる。
「一体、何が彼をそこまで搔き立てるのでしょうか」
 吉柳はそんな疑問を温い茶と共に飲み込んだ。
 その答えが出るのは、きっとまだ先だ。 

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ(サポート)
私はハロ・シエラ。
戦う事以外は不得手です。
また、オブリビオンによる問題に対しては説得などより戦いで蹴りをつけるのを好みます。

口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)。
基本的には誰に対しても敬語です。
戦術としては【第六感】と【見切り】を駆使して勝機を見出し【カウンター】や【鎧無視攻撃】で敵を仕留めるスタイルです。
真面目に戦いますが、強敵が相手なら【毒使い】や【投擲】、【物を隠す】による【だまし討ち】も視野に入れましょう。

ユーベルコードは戦況に応じて何でも使用しますが、味方や一般人は巻き込まない様に努力します。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 微睡みに沈み、落ちていく、落ちていく……

 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)の意識が覚醒する。
「此処、は……?」
 脈絡のない出来事にハロは少しばかり困惑する。自分は確か宿で寝ていたはずだけど……?
 けれども、少し頭が回り始めると、はたと気づいた。
「なるほど。これが喫茶店の夢」
 ハロは今、自分が昼に訪れた喫茶店の中にいた。ご丁寧にハロが昼に頼んだものをテーブルに置いてある状態で、だ。
 そしてそんな彼女の目の前には學徒兵の少女がいる。
 ハロは内心、冷や汗を搔いていた。彼女は戦闘以外は不得手だったのだ。
 それでも折角の機会だ。有効に活用しない手はない。ハロは考えて、考えて、1つの問いかけをする。
「あなたの死因はなんですか?」
 その問いに少女は困ったように笑う。当然だ。死者はイエスか、ノーかでしか答えられない。
 それに思い至ったハロは居心地悪そうに赤面すると、質問を変える。
「えっと、あなたを殺したのは切り裂きジャックですか?」
 切り裂きジャックの被害者はまだ出ていないはず。しかし學徒兵の少女が死者として現れているということはもう切り裂きジャックの襲撃は始まっているということだろうか。
 問われた學徒兵の少女は首を横に振る。つまり、
「つまり、切り裂きジャック以外のオブリビオンが動き出したということっ?」
 静かに叫んだハロ。同時に喫茶店の光景がぐにゃりと歪み始める。
 現実への帰還が始まったのだ。歪む景色はハロの静止なぞ聞き入れない。やがてハロの意識もねじ曲がり、やがて、やがて、やがて……
「――ハッ」
 まるで溺れかけてから初めて空気を吸った時のように肺に空気を一気に吸い込む。荒れた息をそのままに、目覚めたハロは汗でぐっしょりと濡れた寝間着を脱ぎ捨て、戦闘着に着替えた。
「よし――」
 気合を入れる。それから愛剣をつかみ取ると、ハロは部屋を飛び出した。


 こうして事件が動き出す。一人の男の妄念が、帝都を、オブリビオンを逃れえない情念の渦へと巻き込んでいく。
 
 

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『紅き妖刀』

POW   :    人を喰らい、人を斬る
自身の【宿主の生命力】を代償に、【妖刀を装備し、身体能力を強化した宿主】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【達人級の剣術】で戦う。
SPD   :    心を喰らう呪い
自身に【忌まわしき呪いのオーラ】をまとい、高速移動と【精神を蝕む呪いの刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    奥義:紅刃十連撃
【宿主を操り、必殺の奥義】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。

イラスト:TFJ,

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 紅き妖刀に意志はない。
 紅き妖刀に記憶はない。
 紅き妖刀に感情はない。
 だから紅き妖刀が見ている夢は、紅き妖刀を目覚めさせた誰かの記憶……



 雨が降っていた。霧特別が付かないくらい細かな雨が、降っていた。
 路地裏に立つ青年は胸から血を流し、倒れ伏す女を見下ろしている。その右手には血が滴る銀のナイフを握っていた。
 ぽたぽたと滴った赤い血が湿った地面に染みる。血の一滴は地面の赤は濃さを増していき、跡となって残るだろう。

「これで良いはず、これで良いはずなんだ」

 青年は暗い響きの声色で呟く。
 彼は既に3人の標的を殺害していた。目的は着実に達成している。だが、その青年の表情は目的を達成している人間のそれではない。むしろ道しるべを失った旅人が如き表情だった。
 震える声で彼は既に亡い人に縋る。
 
「――教えてくれ、マリア。私は今正しい道にいるのだろうか?」




※第2章 連絡事項
集団戦 紅き妖刀
・オブリビオンについて
 紅き妖刀は刀身が紅い刀のオブリビオンです。短刀や脇差しなど刀の種類は多様です。刀を持った人間(以下、宿主)はオブリビオンによって操られており、達人級の剣技を振るいます。また紅き妖刀が破壊されれば、宿主は卓越した技量を失い、解放されます。
 現在、帝都で多くの紅き妖刀が発生しています。紅き妖刀は切り裂きジャックの影響を受けて現れており、切り裂きジャックの記憶や信念、行動原理を部分的に保有しています。そのため切り裂きジャックのことを問えば、断片的にではありますが切り裂きジャックのことを宿主を通じて情報を得ることが出来ます。
 

・プレイングについて
 プレイングボーナスとして「切り裂きジャックについて質問する」を設けます。切り裂きジャックについて聞きたいことがあれば、質問をプレイングに記載してください。
有栖川・莉出瑠(サポート)
 普段の口調は「無口(ワタシ、~様、ね、わ、~よ、~の?)」
 実際にはもっとカタコトで、助詞を抜いて読点をつけて喋るイメージです。
「私、戦う」「私、あなた、守る」など

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。

 基本武器はアリスランスです。突撃して相手に突き刺し、そのまま纏わりついて精気をむさぼるイメージです。
 基本的には和風メイド服を着ているのが標準スタイルです。

 ムゲン(f36307)を自身のパートナーとしており、恋愛的な意味で大好きで「アナタ」と呼びます。
 一緒になれたら連携して戦います。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 有栖川・莉出瑠(サキュバス・キュアのパーラーメイド・f36382)は紅い刀を持った男と路地裏にて対峙する。
(學徒兵、支援、なし)
 有栖川が男と対峙しているのは帝都桜學府付近。だが、帝都桜學府の方は未だ異常に気付いてないようだった。
「問題、ない」
 有栖川はアリスランスを引き抜く。そも學徒兵の力は猟兵に比べて劣っている。戦いに巻き込まなくて良かったと、そう思うべきだろう。
 彼女の敵である紅い刀を持った男――より正確に言えば紅い刀は自らが操っている男を戦闘態勢にさせた。
 オブリビオン、紅き妖刀。その力は自身を手にした者を刀の達人へと引き上げるというもの。
「――っ」
 わずかな呼吸と共に紅き妖刀から得たいの知れない呪いのオーラが噴出した。ユーベルコード『心を喰らう呪い』。それは宿主に精神を蝕む呪いの刃を射出する能力と高速移動を可能とさせるユーベルコード。
 どん、と宿主の男が右足を踏み込んだ。突貫する気なのだ。だが、それがなされる前に有栖川は力を込めて、地面を蹴った。
 だずん、なんて重たい音を響かせると宿主に向けて突貫した。
 槍の切っ先は宿主の心臓を正確に捉えていた。だが、紅き妖刀は防御の構えを取らない。オブリビオンにとって宿主の命なんてどうでもよいからだ。
 だけど、
「それ、一番、失敗」
 有栖川は槍を手放した。
 宿主の動揺から、紅き妖刀の焦りが透けて見える。
 有栖川の狙いはオブリビオンの紅き妖刀ただ1つ。彼女は握りこぶしの甲で紅き妖刀の腹に触れると自らの力を解放した。
 サキュバスとしての能力。紅き妖刀の精気を吸い取ったのだ。
 紅き妖刀は活動に必要な力を失い、ただの刀へと戻る。
 倒れそうになった宿主を支え、路地裏に寝転がせると槍をもって駆け出した。
「まだ、終わり、じゃない」
 そうだ。戦いはまだ始まったばかりなのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
 妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 帝都。その薄暗い路地裏にて。
「あら、こんにちは」
 スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)はおっとりとした様子で紅き妖刀を持った少女に声を掛けた。さも街角で知り合いに出会ったかのような調子でだ。
 紅き妖刀の宿主は間髪に入れずにスピネルにとびかかった。
 ユーベルコード『奥義:紅刃十連撃』。オブリビオンの力によって達人クラスの剣技を与えられた少女は刀を振るう。
 一歩踏み込む。それだけで少女は2人の距離をゼロにした。
 初めに少女は刀を横なぎに払った。スピネルは軽く大地を蹴り、背後に跳ぶことで刀身から逃れた。
 次に少女は刀を胸の前まで引き込むと重心を前方に傾け、宙を貫くほどの鋭い突きを繰り出した。スピネルは迫る刀身の腹を精霊樹の一枝で払い、上方へ切っ先を逃がす。
「危ない、危ない」
 穏やかにそう言ったスピネルは、しかし少女の隙を見逃さない。
「深く広く大いなる森よ、静寂の平穏を望むのならば……」
 ユーベルコード『森は静寂を望む(フォレストサイレント)』。それは自身が立つ場を森へと変えるユーベルコード。
 路地裏が瞬く間に緑あふれる地に変わる。そして生まれた樹木から蔦や根が伸びると少女の体を縛りあげた。そして刀を持つ右腕をひねりあげると痛みによって少女の手は紅き刀を取り落とした。
「これで良し。操られてるだけの宿主さんを傷つけるのはよくないですからねぇ」
 とはいえ、右腕に痛みが残りそうでちょっぴり不安だった。大丈夫、大丈夫ですよね?
「この怪物が……っ」
 縛り付けられた少女は気を失う前にそんな毒を吐いた。
 その言葉は敵オブリビオンが吐かせた言葉。そしてその言葉は紅き妖刀に影響を与えた切り裂きジャックの言葉と言える。
「化け物、化け物ですか……」
 切り裂きジャックはユーベルコヲド使いの女性を襲うという。
 であるならば、標的であるユーベルコヲド使いの女性を化け物と呼ぶ理由はなんなのだろうか。

成功 🔵​🔵​🔴​

凶月・陸井(サポート)
※連携・キャラを逸脱しないアドリブは歓迎
※お色気・公序良俗に反する行動、R18やR18Gの表現はNG
※口調等はステシ参照

元能力者で猟兵。仲間を大事にし、敵には容赦しない
基本的に自分から攻め込むタイプだが、戦闘の補佐や忍んで討つ戦闘も行う
仲間の動きや状況に応じて対応も可能

使用武器は武骨なガンナイフで中近の戦闘が得意
UCは一撃の威力を重視した攻撃か対複数戦を想定したものを使用
一般人等護るべき対象は身を挺してでも護り通す

「護」という一字を心に、弱き者を護る
あとはMS様にお任せします



 虚ろな目の幼い少年が表通りを歩く。着物に隠し持つのは小刀、紅い刀身を持った小刀だ。
 少年はおぼつかないようでいて、しかし確かな足取りで1人の少女の背を追っていた。その少女は帝都桜學府に所属する學徒兵、すなわちユーベルコヲド使いだった。
 たた、たた、と虚ろな様子の幼い少年は歩みを速めた。ぬらりとした鈍い光をたたえる紅い刀身を左手に握った。小刀を見えないように体で隠しながら、ほとんど駆け出すようになった幼い少年は少女の背に刃を突き立てんと体を少女にぶつけようとした。
 その時だった。
 突如得体のしれない靄が幼い少年の前に一瞬だけ現れる。
 やがて靄が消えるともう既に彼の手には紅い刀身の小刀はなく、彼は表通りに寝かされていた。
 表通りで寝ている幼い少年という不可思議に通りを歩く人々は心配そうに駆け寄る。
 そして、そんな様子をとある建物の屋上から見下ろす影があった。
「まったく物騒なことこの上ないな」
 凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は紅い刀身の小刀を持って、そうぼやく。
 先ほどの靄は彼のユーベルコード『水遁「霧影」』で生み出したものだ。自分自身を靄で覆うことで他人からの認識を阻害し、秘密裏に小刀を奪うことが出来たのだ。
 凶月は先ほどのようにして敵オブリビオン、紅き妖刀を宿主から奪って破壊してまわっていたのだが、如何せん、
「数が多い」
 幼い少年から小刀を取り上げるのが悲劇が起きる直前になったのは、幼い少年の前に別の宿主から紅き妖刀を奪い、破壊していたため。他猟兵も活躍しているとはいえ、手が回っていないのが事実だった。
「あんまりのんびりもしてられないな」
 凶月は手元にある小刀を破壊すると次の紅き妖刀を探して、跳ぶ。
 その最中にふと思った。

「さっきの少年が言っていた、『神の代わりに』という言葉はどういう意味なんだ?」

 

成功 🔵​🔵​🔴​

四王天・焔
アドリブや他猟兵との連携歓迎

●心情
紅き妖刀のオブリビオン、ここから切り裂きジャックに関しての情報が
何か掴めるはずだね。
このチャンスを逃す訳には行かないよ!

●行動
白狐召還符(UC)を使用して戦うね。
白狐様に騎乗して、白狐様による【属性攻撃】で強化された【ブレス攻撃】と
焔自身も白狐様の上からの【フローレ】を使っての【ランスチャージ】で
攻撃していくね。
敵の心を喰らう呪いに対しては、高速移動も【第六感】で探知するようにし
呪いも【呪詛耐性】で耐える様にするね。

●質問
切り裂きジャックさんは、どうして何も恨みの無い人々を傷つけるの?
貴方が人々を傷つける目的は何なの?



「ねぇ、切り裂きジャックさん? どうして何も恨みもない人々を傷つけるの?」
 四王天・焔(妖の薔薇・f04438)は薄暗い路地裏で深紅の刀を持つ女にそう疑問した。
「貴方が人々を傷つける目的は何なの?」
 オブリビオン、紅き妖刀。切り裂きジャックに呼応して現れたオブリビオンは断片的に切り裂きジャックの言葉を代弁する。
 操られる宿主の口を介して、切り裂きジャックの欠片は告げた。
「彼女を殺した。だから家族の無念を晴らさなければ」
「――? それはどういう……?」
 切り裂きジャックの言葉は文脈の乱れた言葉に四王天は感じられた。物事の前後関係が歪んでいるように思えた。
 紅き妖刀が保持するのは所詮、切り裂きジャックの断片だ。正確な答えは得るのが難しいというものだろう。
 そして悠長に会話していられる状態でもなかった。
「わっ」
 紅き妖刀を持った女が3ステップで四王天の懐に飛び込んできた。
 四王天は身を翻して、距離を取る。それから追撃を目論む敵オブリビオンの目の前に符を投げつけた。
「符よ、妖の郷への扉を開け。おいでませ白の御狐様」
 ユーベルコード『白狐召還符(サモン・フォックス)』。それは蒼い狐火を吐く白狐を召喚するユーベルコード。
 召喚の衝撃で女が吹き飛ばされる。その隙に四王天は白狐に跨った。
「行くよ」
 四王天がドラゴンランス【フローレ】を構えると、白狐が女に向けて疾駆する。
 女は跳躍した。背の高い建物の壁を蹴り、白狐に乗る四王天を直接狙う。
「――ッ!」
 裂帛の息遣いと共に女が忌まわしい呪いのオーラを纏った紅い刀を横なぎに振るった。瞬間、放たれる呪いの黒刃。オドロドロしい気配を纏う斬撃が四王天に迫る。
「白狐様――!」
 展開を予感した四王天が請うと白狐が答えた。尾を逆立てると蒼い炎のブレスを吐き出し、刃自体をかき消した。
 そして空中で無防備になった女を四王天が見逃すはずがない。
 四王天は跳んだ。白狐が力強く大地を蹴って跳んだ。
 フローレを持つ腕を引き絞る。重力に従い落下する女を、否、紅き妖刀を捉える。
 敵オブリビオンが槍の射程圏内に入る。四王天は引き絞った腕を解放する。
「や――ァ!」
 鋭い声と共に槍が振りぬかれた。
 パキッ、と破裂する深紅の刀。砕け散った紅い欠片の中、四王天は宿主の女を抱きとめる。
 四王天の胸の中で切り裂きジャックの残滓が宿主の口を借りて呟いた。

「すまない、愛しいマリア、君を殺して、すまなか、った」

 深い、深い悔いが込められたその言葉。こればっかりは確かなものだ、と。
 四王天はそう思った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ(サポート)
私はハロ・シエラ。
戦う事以外は不得手です。
また、オブリビオンによる問題に対しては説得などより戦いで蹴りをつけるのを好みます。

口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)。
基本的には誰に対しても敬語です。
戦術としては【第六感】と【見切り】を駆使して勝機を見出し【カウンター】や【鎧無視攻撃】で敵を仕留めるスタイルです。
真面目に戦いますが、強敵が相手なら【毒使い】や【投擲】、【物を隠す】による【だまし討ち】も視野に入れましょう。

ユーベルコードは戦況に応じて何でも使用しますが、味方や一般人は巻き込まない様に努力します。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「――ヘリオン」
 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は空中を蹴った。
 ユーベルコード『ヘリオン』。それは宙を跳ぶためのユーベルコード。
 ハロはユーベルコードの力を借りるとそのまま、空を駆けるようにして影の背を追った。
 帝都。その表通りを歩く人々の頭上で。紅い刀を持った男は背の高い建物の屋上をパルクールのような動きで跳びまわっている。
 追いかけっこをしては埒が明かない。そう思ったハロは足場の制限を取り払うことで制空権を得ると同時に男よりも自由な動きを得たのだ。
 だが、今回の戦いにおいて厄介なのは追いかけっこなどではなく、
「ユーベルコヲド使いを殺すオブリビオンがユーベルコヲド使いを宿主に選ぶなんて……っ!」
 ごうぉっという空気を焼く音と共に男の手のひらから火球が放たれる。男より高い位置を行くハロは空中を蹴り飛ばし、右に飛びのくことで回避した。
 ユーベルコードの能力自体はさして強力なものではない。だが、紅き妖刀の力によってその使い方が達人級に引き上げられたのが問題だった。いまや宿主は並の猟兵に匹敵するほどの実力者となり果てている。
(こちらの襲撃タイミングを読んだかのようなこの火球の投擲。少々無茶をするしかありませんかッ)
 ハロは前傾姿勢を取り、ぐっと右足に力を入れた。それから男の背に向かってレイピアを突き立てるように構え、宙を蹴った。
 男が再び火球を打ち放つ。それをハロは認めると、右足で急ブレーキを掛け、勢いのままに体を回転させた。
 火球が熱気が感じられるほどの傍を通り抜ける。ちりちりと髪の毛が火球に炙られた。だが、紙一重で回避したハロはそのまま左足で踏み込むと再度男に突貫した。
 男は火球の生成を急ぐも間に合わない。とある屋上のへりで立ち止まると、海に飛び込む海鳥が如きハロの急襲を回避する。
 だが、ハロは屋上よりもやや下の位置で左足を使いこらえると、そのまま力を利用して体を回転させて右足による横なぎの蹴りを男の腹に入れ、屋上にたたき伏せた。
「がふっ」
 男の肺から空気が吐き出された音がする。しかし止まらない宿主は紅き妖刀を上段に振りかぶると一息でハロに突進してきた。
 ハロは急な方向転換で筋が痛む体で、それでも迎え打つように愛剣リトルフォックスを構える。ハロの狙いは男の命ではなく、オブリビオンの紅き妖刀。振りかぶられた刀に標準を定め、冷静に刀の軌道を視る。
 男がハロの目前へと到達し、上段の刀が鈍い光と共に振り下ろされる。
 ハロは構えたリトルフォックスの腕を解き放ち、鋭い刺突音と共に振りぬいた。
 狙いは刃の付け根部分。真正面から刃を見据えるハロにとって最も狙い安い場所。
 刀身と切っ先がずれることなく交差する。
 きぃぃんと金属が震える音がした。そして直後に紅い刀身が付け根からぽっきりと折れた。
 砕けたオブリビオン、消えゆく残滓にハロは疑問する。
「どうしてユーベルコヲド使いを宿主に選んだのでしょうか?」
 消えゆく残滓は絞り出すようにしてこう答えたのだ。


「化け物を殺すには化け物に並び立つ力が必要だったんだ」
 
 
 

成功 🔵​🔵​🔴​

ソフィア・エーデルシュタイン(サポート)
わたくしは愛され望まれたからこそ生まれてきましたのよ
だからこそ、わたくしはこの世の全てが愛しいのですわ

狂気的な博愛精神の持ち主
命あるものは救われるべき
蘇った過去はあるべき場所に還るべき
果たすためならば手を下すことに躊躇う必要などないと胸を張る

主に【煌矢】を使用し、牽制や攻撃を行います
勿論、他のユーベルコードも必要があれば使いますわ
わたくしの愛するきょうだいである水晶髑髏は、盾にも刃にもなってくれますのよ

怪我など恐れる必要はありませんわ
わたくしが役に立てるのであればこの身が砕かれようとも構いませぬ
他の方の迷惑や公序良俗に反する事は致しません
それは、わたくしを愛してくれる人達への裏切りですもの



 ソフィア・エーデルシュタイン(煌珠・f14358)は路地裏を訪れていた。
「さて、これで終わりですの?」
 彼女の眼前には紅い刀身の太刀を持った少女とその背にある壁がある。つまり敵オブリビオンを彼女は追い詰めていたのだ。
「この化け物め。私の家族を奪った、マリアを奪った血吸いの鬼め!」
「あいにくと私はクリスタリアンでして、どなたかと勘違いしてるのではありませんこと?」
 紅き妖刀は断片でありながら、切り裂きジャックの記憶を有している。その発言は切り裂きジャックの言で間違いないのだが、しかし断片であるためにやや錯乱した物言いになっているのは事実だ。今わの際であれば、また別かもしれないが、今はまだその時ではない。 
 敵オブリビオンは健在だ。
「ほら、ほら!」
 ソフィアはユーベルコード『煌矢』を発動する。瞬間現れる数十を超える青い矢の群れ。これで場所を鑑みて力を抑えているのだから恐ろしい。
 彼女はまるで指揮者のように腕を振るうと矢を一斉に掃射した。
 跳ねる敵オブリビオン、その宿主の体。手にしている紅き妖刀を横なぎに振るうと風圧により矢を弾き飛ばした。
 しかしソフィアの猛攻は止まらない。
「まだ、ですわ」
 ソフィアが、ととん、とつま先で大地を蹴った。
 瞬間、展開される2つの魔法陣。そこから現れ出でたのは死霊騎士と死霊蛇竜。2体の下僕が同時に敵オブリビオンに食ってかかった。
 死霊騎士が剣を振り下ろすと敵オブリビオンの宿主は一息のうちに10の連撃を打ち放ち、死霊騎士を霧散させた。そして立て続けに襲い掛かってきた死霊蛇竜には開いた顎に刃を突き立て、頭を裂くようにして破壊する。
 死霊蛇竜が音を立てて倒れ落ちた。その様を見て、宿主の少女が、否、敵オブリビオンが笑う。
 それに答えるように、ソフィアもまた微笑んだ。配下を失ったものにあるまじき態度にたじろぐ敵オブリビオン。彼女はそれに向かって告げる。
「死霊が斬り殺された程度で止まると思いまして?」
 宿主の周囲に気配が満ちた。それはまごうことなく霊の気配。死を超えた者たちの背筋が凍るような不気味な気配だ。
 敵オブリビオンが焦ったように刀を構えるがもう遅い。騎士の剣と蛇竜の牙が刀身を捉え、そして叩き、砕き、切った。
 操り手を失い、気絶した少女の体を抱きとめ、ソフィアは思う。
「さて、切り裂きジャックに一体何があったというのでしょうね」
 オブリビオンになり果てるまでの執念。切り裂きジャックの底の底に一体何が渦巻いているのか。
 この事件を解決するためには、そこに目を向けなければならない。そんな予感がしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『切り裂きジャック』

POW   :    ジャック・ザ・リッパー
自身の【瞳】が輝く間、【刃物を使った攻撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
SPD   :    フロム・ヘル
【秘めたる狂気を解放する】事で【伝説の連続殺人鬼】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    霧の都の殺人鬼
自身に【辺りを覆い尽くす黒い霧】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。

イラスト:ヤマモハンペン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠守田・緋姫子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(第三章のプレイングは6月9日0時00分から募集します。サポートの方はこれより前に提出していただいてもかまいません)
 体が冷たくなっていくのを感じていた。
 降り続ける雨。重たい衣服。腹から流れ続ける血。
 雨と流血が徐々に青年から体温を奪っていくことを青年は自覚していた。
 浅く息を吐く。吐いた息はもう既に白に染まらなくなっている。
 彼は体を引き摺るようにして路地裏を歩き続ける。ちょうど殺しを完遂したところだった。姿を見られないうちに青年は路地裏から逃げ出せねばならなかった。
 だが、逃げ出したところで一体何がどうなるのだろう。この歩みの果てに何が残るのか、青年には見当がついていなかった。
 もう限界だったのだ。青年は殺しすぎた。青年の殺戮は怨敵の間に知られてしまっていた。もともとの種族差があるにも関わらず、対策までされてしまっては彼になすすべなどないのだった。
 青年が殺してきたのは吸血鬼。かつて青年の家族を殺した女吸血鬼を探して、殺しまわっていた。
 家族を殺した女吸血鬼が誰かなぞ、悲劇に間に合わなかった青年は知らない。だから家族を殺したのが誰なのかなんてどうでも良かった。女吸血鬼、だから殺した。ただそれだけに過ぎないのだ。
 巡礼のような終わりなき殺害。だから信仰を失ってしまえば、その足はもう進めない。
 青年はつまずき、受け身すら取れず倒れこむ。
 もう痛みすら感じなかった。血が流れすぎていた。
 雨は降りやまず、路地裏に光は差さない。
 切り裂きジャック。その伝説に組み込まれた青年はこうして死んだ。
 愛を見捨て、復讐の手を離した青年の寂れた終わりだった。
 復讐の道の途中で立ち止まった彼は今わの際に疑問する。

(私はどうすればよかったんだろうか。応えてくれないか、マリア)

 
 
※第3章 連絡事項
ボス戦 切り裂きジャック
・オブリビオンについて
 かつてロンドンの路地裏で何人もの女吸血鬼を殺害した青年がオブリビオンと化しました。復讐の理由は家族を女吸血鬼に殺されたからです。彼自身は偶然、外出していたために殺されずに済みました。
 彼の復讐の始まりは当時恋人であったマリアという女吸血鬼を殺したことです。恋人の殺害以降彼は執念で吸血鬼殺しの力を獲得し、女吸血鬼を殺し続けました。しかしながら最後は女吸血鬼の反撃に合い、死亡しました。
 オブリビオンと化した青年は会話が不可能となっており、猟兵たちに襲い掛かる獣と化しています。しかし慟哭の声だけは上げることが出来、怒り狂っているような悲しんでいるような様子で力を振るいます。

・プレイングボーナスについて
 切り裂きジャックとなってしまった青年に対して何かしらの声掛けを入れてくだされば、プレイングボーナスとして加算いたします。
赤星・緋色(サポート)
なんやかんやで事件を解決に導こうとします
フリーダムかつアグレッシブなアドリブも可

合わせ等も自由にどうぞ



 切り裂きジャックは路地裏を歩く。その身を影に溶かすようにして、ゆっくりと、ゆっくりと。
 彼がその目に写すのは倒錯した復讐の激情。かつての彼の仇敵、女吸血鬼と誤認したユーベルコヲド使いの女を狙い、帝都の陰をさまよっていた。
 そんな切り裂きジャックを天より見下ろす猟兵がいる。
 赤星・緋色(サンプルキャラクター・f03675)。空白ばかりの少年は呟く。
「愛とか、復讐とか、持ってる人は大変だね」
 切り裂きジャックの在り方は持ってないものが多い少年には共感できない在り方だった。
 だからこそ少年は情を介さず、切り裂きジャックを滅しにかかる。
 赤星は空中を蹴った。そして薔薇の花弁を漂わせると、ジャックに向けて突貫した。
 ユーベルコード『薔薇の剣戟』。薔薇の花弁が4度当たれば死をもたらす攻撃でもって赤星は地上に食って掛かる。
 切り裂きジャックは上空からほとんど飛来と言ってよい勢いで現れた赤星を捉えた。
 そして――消える。
「何――?!」
 動揺する赤星は左方向に暗い影を捉えた。
 切り裂きジャックだ。ユーベルコード『フロム・ヘル』の力によって高速機動を可能とした彼が建物の壁を駆けあがったのだ。
「ま、っず」
 空中では防御が間に合わない。切り裂きジャックはその代名詞たる短刀で赤星の胴を抉りにかかってくる。
 赤星は展開した花弁を切り裂きジャックへがむしゃらに差し向ける。
 瞬間、散りきざまれる花弁。だが目くらましとしては機能した。
 刃が赤星を掠める。外れたと理解した切り裂きジャックはすぐさま赤星の服を掴み、彼方へと放り投げたのだ。
 ほんの少しばかり宙を飛び、赤星はある建物の屋上にたたきつけられる。
「――げふっ」
 痛みに赤星は咽る。口の中を切ったのか、口の端から垂れた血をぬぐうと彼はむくりと起き上がる。
「追ってはこないようだね」
 どうやら切り裂きジャックは本当に女のユーベルコヲド使いにしか興味がないらしい。追撃はないようだった。
 しかし、
「これが持ってる人と持ってない人の違いなのかな?」
 赤星の疑問に答えはない。そして答えもまた彼には導き出せなかった。
 サンプルキャラクターたる彼はその答えを導き出すための全てを持ちえないのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 切り裂きジャックはナイフを持って疾駆した。
 昏い炎を宿す瞳は既に彼の敵を見据えていた。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――っ」
 慟哭と共に狙うは心臓。突き出された刃物は致死へ至る線をなぞるように真っすぐに突き出された。
「――ぅ、っ」
 高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)は体を俄かにずらすことで紙一重でそれを回避する。
 だが切り裂きジャックは止まらなかった。伸びた手を雑に振り回すと、その勢いのまま回転し、高階の腹に回し蹴りを食らわせた。
「げ……ふっ」
 蹴り飛ばされた高階は腹を抑えてうずくまる。
(予想よりも行動が機敏ですね)
 しかし、何らかの能力を使っているという気色ではない。どちらかといえば真剣味が増したといった感じだ。
「私が女性でユーベルコードを使えるからですかね?」
 切り裂きジャックの標的として条件を高階は満たしていた。だからこそ切り裂きジャックは感情が揺さぶられ、力を大きく発揮できたのだろう。
 となると接近戦を得意としない高階には長い戦闘はやや不利か。手負いであるためにここは一度撤退するのが吉だろう。
 高階は宇宙魔術古代書を取り出すと自らの力を解放した。
「我が呼び起こすは炎の記憶。さぁ、燃え尽きなさい!」
 ユーベルコード『詩篇・炎の記憶』。それは本の文章を具現化するユーベルコード。炎について記された文章が魔導書から浮かび上がると、炎熱を伴って波打つように切り裂きジャックへ襲い掛かる。
 対する切り裂きジャックは自身の瞳を輝かせた。ユーベルコード『ジャック・ザ・リッパ―』。自らの攻撃能力を著しく向上させるユーベルコードだ。
 切り裂きジャックは大地を蹴った。燃え盛る文字列をよけるようなことをせずに真っすぐ突っ込んだ。
 そして、ひん、という冷たい空気の音が9度なった。
 切り裂きジャックの斬撃の音だ。
 彼が振るうナイフが文字列を切り裂いた音だった。
 だが、
「弾けてっ」
 高階が文字列たちに命じる。途端に閃光と共にはじけ飛ぶ炎の文字列。それは炎熱と伴う光線となって、切り裂きジャックを焼く。
「おぉぉぉ――!」
 憎悪の籠った絹を裂くような怒声を尻目に高階は離脱する。
 切り裂きジャックの基本性質。女のユーベルコードを使える誰かを襲うという性質の恐ろしさを思い知った一幕だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ(サポート)
私はハロ・シエラ。
戦う事以外は不得手です。
また、オブリビオンによる問題に対しては説得などより戦いで蹴りをつけるのを好みます。

口調は(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)。
基本的には誰に対しても敬語です。
戦術としては【第六感】と【見切り】を駆使して勝機を見出し【カウンター】や【鎧無視攻撃】で敵を仕留めるスタイルです。
真面目に戦いますが、強敵が相手なら【毒使い】や【投擲】、【物を隠す】による【だまし討ち】も視野に入れましょう。

ユーベルコードは戦況に応じて何でも使用しますが、味方や一般人は巻き込まない様に努力します。

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は路地裏にて敵オブリビオンと相対していた。
 敵の名は切り裂きジャック。かつて倒錯した復讐に魂を削った青年の成れの果てだ。
「…………」
 ハロは言葉を発しなかった。これは彼女の気質によるものではあるが、しかしただそれだけではなかった。
 余裕がないのだ。油断すると命を持っていかれる。そういう確信に近い予感があった。
(私が彼の標的であるからでしょうか。気迫が籠っています)
 そう思いながら、ハロは自らの武器を変質させた。
 ユーベルコード『サベイジ』。それは彼女が持つ短刀、サーペントベインを伸縮自在の三叉槍へと変ずるユーベルコード。
 そして武器が完全に三叉槍に成った時が戦いの始まりの合図だった。
「ぉぉぉぉッ」
 切り裂きジャックが慟哭の声を上げ、地面を蹴った。
 ハロは距離を詰められる前に槍を突き出し、そして伸ばした。
 一呼吸の間に切り裂きジャックの目前へと槍先が迫る。
 切り裂きジャックはすぐさま反応し、迫る槍先を上へ打ち払った。 
 槍先が払われたことを知覚するとハロはすぐさま柄を叩きつけるようにして殴りつける。
 切り裂きジャックは叩きつけられるそれを体をかがめることで回避する。それから音を立てて力強く大地を踏み込んだ。
「――ッ」
 ハロは短く息を吐く。追撃を止め、槍の長さを元に戻して槍先を下に構えなおす。
 そして構え終わると同時に切り裂きジャックがハロの懐に潜り込んだ。
 心臓に迫る凶刃。ハロは反射的に腕ではなく胴を貫くように槍を突き出す。だがその切っ先は左に跳ねた切り裂きジャックによって避けられた。
 ジャックは跳ねた先で足に力を溜めこむと再度踏み込み、ハロの心臓を狙う。
 鋭い一突きをハロは柄で受け止めた。それから体を半身に開き、右後ろに切り裂きジャックを受け流す。
 無防備になる背中。その一瞬の隙を逃さず、ハロは右足を軸に振り向き、一息のうちに槍を切り裂きジャックに突き立てる。
 刹那、切り裂きジャックは力強く足を踏み込んだ。逃走を図ったのだ。故にハロの槍の切っ先は狙いがそれ、切り裂きジャックの脇腹を掠めるに至った。
「おぉぉぉぉぉッ!」
 絶叫をあげながら、しかし切り裂きジャックは止まらない。彼はそのまま駆け出すと、路地裏の闇に溶けるように消え去っていった。
 敵オブリビオンの気配が完全に消えるとハロはようやく重たい疲れの籠った息を一つ吐き出した。
(気の休まらない相手でした)
 息の詰まるような戦いだったとハロは先ほどの攻防を振り返る。
 極度の緊張の理由は切り裂きジャックの気迫が原因だ。ハロを殺す、否、それ以上の滅するという意志が彼女の精神を殴りつけてくるような、そんな気迫だった。 
「そこまで強い思いを抱くほどの復讐はきっと身を焼くようなものだったのでしょうね」
 彼の結末が、どうか良いものでありますように、と。そんな思いで呟いて、ハロはその場に座り込むのだった。 
 
 
 
 
 

成功 🔵​🔵​🔴​

夕闇霧・空音(サポート)
『私の可愛い妹のため…ここはさっさと終わらせるわよ』
 サイボーグの咎人殺し×竜騎士、17歳の女です。
 普段の口調は「クール(私、あなた、~さん、ね、よ、なの、かしら?)」、覚醒時は「残虐(俺、お前、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。

基本クールだが、妹のことになると色々見境がなくなる。妹ラブ。戦闘時にも強気で戦います。
冷気属性で戦う。
苦戦バトルもOK
真の姿に発動可能であれば使用可。
真の姿発動時は口調が荒くなり、一人称が「俺」になる。
妹の天音はある意味弱点になる。



 薄暗い路地裏にてセーラー服が躍る。
 キンッ、という鋭い音が立て続けに鳴り、2つの影がぶつかり合う。
「まったく、いくらなんでも熱くなりすぎじゃないかしら?」
 激しい格闘戦の末に、夕闇霧・空音(凶風・f00424)は息をやや詰まらせながらそう呟いた。
 敵オブリビオン、切り裂きジャック。標的がユーベルコード使いの女ということで、標的そのものである夕闇霧相手にはあまりにも強い殺意と共にその刃を向けてきていた。
 切り裂きジャックはそんな夕闇霧の苦言なぞ気にも留めない。容赦なく踏み込むと刃を突き出し、心臓を抉りに来る。
「そう簡単にやらせるほど甘くはないの」
 夕闇霧はアブソリュートゼロの爪で切り裂きジャックのナイフを弾く。
 だが、ジャックはナイフを持った手とは逆の手で夕闇霧の首を掴みにかかる。
 花を乱暴に手折るかのような動作に夕闇霧は臆することなく切り裂きジャックの懐に潜り込む。突き出すはアブソリュートゼロの爪。冷気を宿す冷たい氷爪は切り裂きジャックの胸部に迫る。
「――――っ?」
 夕闇霧は刹那のうちに疑問した。
 切り裂きジャックが、まるでビデオを倍速にした時のような動きになり、夕闇霧の爪が切り裂きジャックの心臓に届く前に腹に蹴りを打ち込んだのだ。
 既に攻撃動作に入っていた夕闇霧にその蹴りを避ける術はない。だから考える前に自らの力を解放する。
 ユーベルコード『絶対防御氷壁「コキュートスウォール」』。切り裂きジャックの蹴りと夕闇霧の間に氷の壁が一枚現れた。切り裂きジャックの蹴りはその氷壁に叩き込まれ、その威力を相殺する。
 揺らぐ切り裂きジャックの体。その体勢を崩した体に夕闇霧の爪が突き刺さる。
「ぅぉぉぉぉぉ――――!」
 絶叫。耳をつんざくような号哭を上げる切り裂きジャックの胸――正確には左肺の位置を夕闇霧の爪が見事に抉り取っていた。
 切り裂きジャックは苦しみの元凶たる氷の爪を取り外そうと夕闇霧の腕を切り落とさんとナイフを振り上げる。
 夕闇霧は急ぎ氷爪を引き抜き、後退した。それから応じるように切り裂きジャックも後退し、路地裏の闇へと姿を消す。
 夕闇霧はその場に腰を落とした。
「先の猟兵が削っていてくれていなければ危なかったかもしれないわね」
 切り裂きジャックのナイフ使いとしての腕、そしてその格闘術は相当な熟練度だった。人間でありながら吸血鬼殺しを成し遂げたという実績に納得がいくくらいには。
「それにしても――」
 夕闇霧は天を仰ぐ。
「――愛する者がいるなら、その愛を信じていれば、愛だけを信じていればそれだけで良かったと、そう思うのだけどね」
 眠るように目を瞑る。そうした時に浮かぶ愛しい誰かのために戦う。
 それ以上のことなんてなくて、それだけで良かったんだ。
 切り裂きジャック。愛に惑った復讐者。彼の目に浮かぶ誰かは一体誰なんだろうか。

成功 🔵​🔵​🔴​

杼糸・絡新婦(サポート)
関西弁口調。
とある忍者が使っていた武器・鋼糸【絡新婦】のヤドリガミ。
白い女物の着物を着用しているが、
名前沿った姿なだけで、オネエとかではなく中身はれっきとした男。

子供や親子中心に一般人には愛想よく接するが、
敵とみなしたら容赦なく叩く。
日常でも戦場でも自分のペースを崩さず、
フェイントや挑発、相手の動きを拘束するように阻害したり、
あえて誘い出してこちらに攻撃を仕向け、
自他へのすきを作り出したりする、戦闘スタイル。
また使えるものはなんでも使う。
元の持ち主の影響で、忍者らしい動きも見せる。

所持する黒い狩衣を着た狐獣人の姿をしたからくり人形は、
かつての主人が作ったものを模したもの、名前はサイギョウ。



「おや、あなた、そんなに急いで何処へ行くんやろか?」
 飄々とした声色に傷だらけの切り裂きジャックは振り向いた。
「なんや、ぼろぼろやな。一体何があったらそんなことになるんや?」
 声の主は杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)。彼は不自然に指先を動かしながら切り裂きジャックに問うていた。
「事件にでも巻き込まれたか? あるいは事故とか。うーん、でも、その風体を見る限りただのトラブルって感じもしいへんなぁ」
 現れ出でた謎の男に切り裂きジャックは躊躇わなかった。
 傷だらけの体で、しかし傷をものともしない様子で切り裂きジャックは一歩踏み込んだ。
「おぉっと、物騒なやっちゃな」
 杼糸は鴛鴦を重ねると切り裂きジャックのナイフを受け止める。
 切り裂きジャックの一刀は力強い断撃だった。思わずよろめく杼糸。だがその足使いは軽やかで、ととんと跳ねるようにして体勢を立て直す。
 切り裂きジャックはさらに追撃を開始した。大きく深い斬撃ではなく、小さく浅い斬撃を何度も何度も繰り返し、杼糸を追っていく。
 しかし杼糸もまた、同様に切り裂きジャックの攻撃を軽やかに避けていた。とん、ととん。リズミカルに攻撃をいなし、戦いをこなしていた。
 そうするには理由があった。
 杼糸が不自然に右腕を振り上げた。切り裂きジャックがその不可思議に疑問を挟む前に切り裂きジャックは異変を察した。
 空気が割断される音がする。
「縛り上げや、『蜘蛛の巣み家』」
 ユーベルコード『蜘蛛の巣み家』。それは鋼糸・絡新婦で蜘蛛の巣を形成するユーベルコード。最初の無為な会話の最中に杼糸が仕込んでおいたのだ。
 からめとるように鋼糸が切り裂きジャックに迫る。
 切り裂きジャックの動きは機敏だった。ユーベルコード『フロム・ヘル』を発動し、ナイフを振るう。
 ひぃん、とであった。空気が裂かれる音がして、鋼の蜘蛛の巣が瓦解する。
 だが、
「読んどったで」
 入り乱れる鋼糸を縫って杼糸が切り裂きジャックに肉薄する。
 振り上げる鴛鴦。鋼糸を切ることに終始していた切り裂きジャックは虚を突かれた形でそれを見上げていた。
 けれども、切り裂きジャックは強化した反応速度で動き出す。とん、ととん。そんなリズムで鴛鴦の振り下ろしを後方へと跳び、回避した。
 そのまま切り裂きジャックは力まかせにその場を離脱する。
 杼糸は闇に消えた切り裂きジャックを追わなかった。
「相手さん、自分の技術を真似しおった」
 とん、ととん、という歩法。切り裂きジャックはそれをあの短い交戦の中で模倣した。恐るべき学習能力。これ以上の交戦は後の猟兵のデメリットになるとそう判断したが故の結論だった。
「しっかし、そこまでの力量を鍛え上げた果てに何も得られんとはなぁ」
 復讐。その果てに死んだ切り裂きジャックの手には何も残らず、ただ虚しさだけがあった。
 100年使われた器物の化身たるヤドリガミとしては、それがどうしようもなく哀しくなるのだった。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

キャロル・キャロライン
蘇生者:魔剣士
UC取得:ダッシュ。見切り、決闘。不意打ち

家族を吸血鬼に殺された
犯人の身元は分からない
だから、吸血鬼は全て殺す

そんな選択をして、愛する人も自分自身も失ったのが貴方

そして今度は、UC使いを吸血鬼と誤認しての無差別殺傷
生前も死後も間違いだらけね

同じ死に戻りとして
死後の痛苦はここで終わらせてあげる

《強化刻印》で高めた身体能力をもって接近
動きを見切りつつ、両手に創出した影の剣で攻撃
剣を弾かれた場合は、すぐさま次の剣を創出して対応

意識を剣に向けさせたところで、《影の手》で敵の影に干渉
隙を突き、弾かれた剣を操り、身体を貫く

悪いけど、貴方に同情はできない
むしろ貴方に殺された吸血鬼に同情するわ



 死と埃と黴臭さが匂い立つ帝都の路地裏に不思議と人を惹きつける花のような女が黒い影と舞う。
 金属音ではない音を響かせて、両者は路地裏で剣を振るい合っていた。
 キャロル・キャロライン(蘇生者・f27877)。彼女は敵オブリビオン、切り裂きジャックと剣戟を結びながら言い放つ。
「生前も死後も間違いだらけね、貴方」
 家族を吸血鬼に殺された。だから犯人の身元も分からないまま全ての吸血鬼を殺すなんて復讐を行った。
 そんな選択をして、愛する人も自分自身も失ったのが切り裂きジャックというオブリビオン。挙句の果てにユーベルコヲド使いを吸血鬼と誤認して襲う始末。キャロルはそんな身勝手なあり方と結末に一切同情しなかった。どちらかといえば被害者となった吸血鬼の方に同情できる。何せ彼女らは理不尽な通り魔に襲われたようなものなのだから。
 キャロルは切り裂きジャックを突き放すと、影の剣を構えて告げた。 
「同じ死に戻りとして、死後の痛苦はここで終わらせてあげる」
 強化刻印を起動する。身体能力を跳ね上げて、キャロルは切り裂きジャックの懐へと踏み込んだ。
「――――ぉぉぉぉ!」
 対する切り裂きジャックはただの一振りのうちに9つの斬撃をキャロルの剣へ繰り出した。
 砕け散る影の剣。だが、関係ない。キャロルは両の手に二振りを創出すると、そのまま食らいついた。
 切り裂きジャックは、とん、ととんと特徴的な歩法でキャロルからわずかばかりの距離を取る。剣を警戒しての行動に、しかしキャロルは笑う。
「突き崩せっ、シャドウハンド……!」
 キャロルの影から2本の腕が切り裂きジャックの影に伸びる。回避行動をとっていた切り裂きジャックの、その間隙を突いた形で放たれたその腕は切り裂きジャックの影を掴んだ。
 影と実体は照応する。切り裂きジャックの影をキャロルのシャドウハンドが引っ張ると、切り裂きジャック自身も引っ張られたように姿勢が崩された。
 そしてキャロルはその隙を逃さない。
「は――ァ!」
 裂帛。その気合を込めた真っすぐな一撃。防御なんて許さない。間違いのない絶死の一突きが切り裂きジャックの心臓を貫いた。
「――ァ」
 切り裂きジャックの慟哭が、切り裂きジャックの吐息が乾いた口から漏れる。
 キャロルは切り裂きジャックから剣を引き抜いた。力なく切り裂きジャックの体は地面に倒れ落ちる。
 崩れ落ちるはずだった。
「ぉぉぉぉおおおおおおっ!」
 切り裂きジャックが両の脚を踏ん張る。キャロルはすかさず距離を取った。
「まだ動けるのっ?」
 驚きを隠せない女猟兵に、しかし切り裂きジャックは何も応えなかった。
 逃げ出すように、あるいは突き動かされるようにジャックは走り出すと、キャロルが追えないほどの速さであてどもない路地裏の闇に溶け消えていった。
 もう体はぼろぼろで、存在すらも保つのに必死だ。あぁ、そうだ。キャロル・キャロラインの一撃は確かに切り裂きジャックを滅ぼすのに十分だった。
 けれども、けれども未だ彼は消えるわけにはいかなかった。
 だって、また彼は答えを得ていないのだから。
 生前に抱いた、胸を焦がすような疑問の答えを見つけられないまま、またこの世を去るわけにはいかなかった。
 
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・焔
アドリブや他猟兵との連携歓迎

■心情
ロンドンの地で殺戮を繰り返してきた切り裂きジャックか、
彼もまた復讐の為にその手を血に染めて来たんだね。
でも、これ以上悲劇は繰り返させないよ!

■行動
白狐召還符(UC)を使用して戦うね。
白狐様に騎乗して、敵のスピードにも対応できるようにするね。
【第六感】で敵の反応速度も察知する様にしつつ
【属性攻撃】で狐火属性を強化して狐火を放って攻撃するね。

焔自身も、白狐様の上から【フローレ】を使って
【ランスチャージ】で突撃攻撃するよ。

■声掛け
切り裂きジャックさん、家族を殺された無念は良く分かるけど
復讐は悲しみの連鎖しか生み出さないよ。
焔が、負の連鎖を断ち切ってあげる!



 切り裂きジャックは肩で息をしながら、路地裏の陰を歩いていた。
 否、本当は息をするなんて機能は今の体は備わっていなかった。これは誤認だ。切り裂きジャックは生前の記憶と照らし合わせて、今を誤認していた。
 身体は今にも壊れそうで、気は遠くなりそうで、体が冷えていく感触だけが確かだった。
 あの死に際と今があまりに似ていたから、思わず重ねてしまっていた。
「――――」
 切り裂きジャックが足を止める。彼の目の前にとある女猟兵を認めたからだ。
 四王天・焔(妖の薔薇・f04438)。少女は毅然とした表情で立つ。
「切り裂きジャックさん、家族を殺された無念は良く分かるけど復讐は悲しみの連鎖しか生み出さないよ」
 知ったような口を聞く。あぁ、そうかもしれないな。
 矛盾した2つの思いが切り裂きジャックの胸の内に去来する。
「焔が、負の連鎖を断ち切ってあげる!」
 出来るのだろうか。出来ないだろうか。
 己に対する宣言なのに、切り裂きジャックにはもう分からなくなっていた。
 だから胸を内側から搔きむしるような衝動に従って切り裂きジャックは刃を振るう。
「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」
 絶叫。焦燥が籠る咆哮と共に切り裂きジャックはいつものように力強く一歩踏み込んだ。
 応じるように四王天は符を前方に投げつける。
「符よ妖の郷への扉を開け。おいでませ白の御狐様!」
 召喚される白狐。切り裂きジャックはとびかかる獣を無視して、四王天の懐に飛び込んだ。
「白狐様!」
 四王天は白狐を呼んだ。呼応する白狐は切り裂きジャックを横に殴り飛ばす。
 建物の壁に切り裂きジャックはめり込んだ。そんな敵オブリビオンの様子に優勢にも関わらず四王天は面食らった。
 端的に言えば弱すぎた。こんなありきたりな一撃なんて、切り裂きジャックだったら避けられるとそう思っていた。だからフローレを取り出し、迎撃の準備もしていた、のに。
 反面、切り裂きジャックからすれば当然の結末だった。もう死に体だった。ユーベルコードを使う余裕なんてなくて、戦うことすらもう覚束なかった。
 ただそれでも、この体は立ち上がれと言っている。
 何の、ために?
「――っ」
 四王天は白狐の背中に飛び乗り、切り裂きジャックから距離を取る。
 視線の先では切り裂きジャックが今にもくずおれそうな体で立ち上がろうとしていた。
 四王天は思わず尋ねる。
「どうして、そんなになってまで戦おうとするの?」
 さぁ、どうしてだろう。
 切り裂きジャックは不思議と冴えた思考で、疑問する。
 目の前の彼女が女吸血鬼じゃないことなんてわかってた。今まで殺してきた女吸血鬼が家族の仇じゃないなんてわかってた。それでも殺そうと、そういう思いが止まらないのは一体どうしてなのか。
 猟兵の少女が恐る恐るといった様子で尋ねる。
「もしかして自分が許せなかったからじゃないのかな?」
 自分が許せなかった?
「恋人さんを殺してしまった自分自身を許せなかった。だから復讐を続けることで恋人さんの死に報いようと思ったんだよ。恋人さんの死が無意味なものじゃなかったって、そう主張するために復讐を完遂しようとしたの」
 あぁ、その思いには何となく覚えがある。
 初めて女吸血鬼を殺した時――マリアを殺した時、この胸が矛盾した激情に塗りつぶされる前にそんな思いを抱いていた、そんな気がする。 
 だとしたら、だとしたら、間違っているとか間違ってないとか、そんなこと論じるまでもなかったではないか。
 そこに思い至った時、切り裂きジャックの顔から黒が剥がれ落ちる。
「切り裂きジャックさん……顔が!」
 四王天が見たのは切り裂きジャックを覆っていた黒い仮面の奥にある顔、切り裂きジャックの伝説のガワを被った誰かの素顔だった。
 それから切り裂きジャックだった誰かは呟いた。
「教えてくれないか、マリアじゃない誰か。私はどうすれば良かったんだろうか」
 四王天は答える。
「復讐なんてほっぽり出しちゃって、恋人さんと死ぬまで一緒にいればよかったんだよ!」
 あぁ、そうだ、そうだった。無邪気な少女の答えに気づかされる。復讐の理由を、復讐の意味を彼女に求めるくらいなら、それほどまでに彼女を殺したことを悔やんでいたのなら、悔やむほどに愛していたのなら、過去の愛に執着せずにあの日の愛を優先するべきだった。
 突きつけられた答えに素顔の誰かは浮かび上がるような心地を得た。終わりが来たのだ。自分自身を構成する全てが光の粒となって霧散していく、その様を切り裂きジャックではない誰かは穏やかな心地で見ていた。
「逝くんだね」
 四王天が微笑みながら言う。
「あぁ、逝くよ。今度は安らかに」
 かつて路地裏で疑問を胸に死んだ青年は笑う。あれだけの無実の命を奪っておいて、それでも一切合切を無視して笑う。
 やがて自分を取り戻した誰かは光の粒となって霧散した。空へ飛んでいく暖かな光は太陽の光に塗りつぶされて、見えなくなる。
 四王天は天を仰ぎ、空に向かって願う。

「どうか2人が幸せでありますように!」
 
 それはもう意味のない願い。叶うはずのない絵空事。手遅れすぎる祈り。だけど、それでも願いたいとそう四王天は思う。
 太陽が天頂に昇り、路地裏に光が差す。薄暗さを祓った暖かな陽光は冷たい雨と死と悲しみが居た場所を優しく照らしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年06月15日


挿絵イラスト