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ツキシロク

#ダークセイヴァー #【Q】 #月光城 #月の眼の紋章

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#ダークセイヴァー
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#【Q】
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#月の眼の紋章


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●ツキアカク
「皆様、お待ちしておりました。今回はダークセイヴァーに存在する『月光城』に関する調査をお願いしたいのです」
 かの世界では以前から月光城の調査が行われていたが、今回もその一件だと虹目・カイ(その瞳は虹を模した・f36455)は言う。
「ご存知の方も多いでしょうが、改めて。そもそも、ダークセイヴァーは第四層と呼ばれる地下世界であることが判明しています。現在では上層の調査も進められていますが、皆様に向かっていただく月光城は、更に下層に存在する城塞です」
 月の満ち欠けに呼応して輝くとされるその城塞は、地下世界であるはずのダークセイヴァーに浮かぶ月と、何らかの関連性があるのではないか――その秘密を解き明かすべく、今も調査が行われているのは、ここに集った猟兵たちにとっても周知の事実だ。
 そしてその城には、月光城の主と呼ばれる、第五の貴族の干渉すら阻む強大な力を有した支配者が君臨することも。
 一度その領域へと踏み入れば、主を守る強化オブリビオンと、部屋に設置された罠によって、その行く手を遮られることになるだろう。これを突破、然る後に主の待つ玄室へと乗り込み、これを討ち果たすという作戦なのだが。
「……少々間の悪いことに。少女がひとり、迷い込んでしまっているのですよね」
 どうやって配下の目を潜り抜けたのか、或いは主によって通すよう命じられたのか、少女は玄室へと続く画廊まで進んでしまっている。その哀れな少女の不運は二点。
 第一に、迷い込んだその先は、画廊は画廊でも人間たちが生きながら作品へと変えられ、展示された『人間画廊(ギャラリア)』であること。
「この画廊は薔薇園も兼ねているようで、それはもう見事な赤薔薇が咲くのだとか。少女も、その花を一目見たかったのかも知れません」
 そして、そこに展示された作品とは、フラワーアート。
 花や緑で形作られたアーチやオブジェ。その美しさを保っているのは、人間の血だ。
「作品……と称するのもおぞましいですが。ともあれ、それらの中には人間が、上半身を敢えて露出させる形で取り込まれています。絡みつく植物を引きちぎるなりして救出できれば、被害者たちは救われるでしょう」
 だが、人命救助の他にも、怯えながら迷う少女の追跡と保護も忘れてはいけない。
 何故なら、少女の第二の不運は――。

「この少女ね、美少女なんですよ」

 ――なんて?
「いえ、真面目な話です。髪は金糸の如く煌めきながら柔らかくうねり、瞳はダークセイヴァーの住人が見たこともない清らかな晴れ空の色。肌は真珠のように白く繊細で、まるで物語のお姫様もかくや、と言うほどの欧州系美少女なんですが」
 それのどこが真面目な話なのか。猟兵たちの目がじっとりとカイを見つめる。
「最後まで聞いてくださいって。これが原因で、彼女が予知の通りに迷い続けていると、見目麗しく清らかな乙女を好む領主によって攫われ、あらゆる意味で慰み物にされてしまうのです」
 血を啜られるだけであれば、嘘のようだがまだ楽な方で。最悪の場合はそれだけで済まされず、その身をも汚されることになるだろうと。
 配下の強化オブリビオンたちも、元はと言えば彼に弄ばれ命を落とした乙女たちの末路だと言う。
「城主もですね、見た目だけなら中性的な顔立ちの美少年なんですが。実際はかなりの高齢で、その年相応に老獪です」
 加えて厄介なことに、この(見た目だけなら)美少年城主は、その身に戦闘力を66倍にも増幅させる『月の眼の紋章』を宿している。とてもまともに戦って勝てる相手ではない、が。
「先にお伝えしました、人間画廊の被害者たちを救出することによって、紋章の力は弱体化するようなのです。そうですね、その生死にかかわらず、全体の半分も救出できれば、強化は完全に解除されるでしょう。とは言え、それでも紋章から飛び出す棘鞭による攻撃は無効化できないようなので、そちらへの対処は必要ですが」
 何かとやることが多い依頼ですが、よろしくお願いいたしますねと。
 カイも少し疲れたような苦笑を猟兵たちへと向けたのだった。


絵琥れあ
 お世話になっております、絵琥れあと申します。
 金髪碧眼の美男美女は いいぞ。
 尤も、今回のボスは赤眼ですが。

 後半少々、いやかなりグダりましたが、内容はちゃんと真面目です。
 流れと詳細は以下の通りになります。

 第1章:集団戦『残影』
 第2章:冒険『薔薇の檻』
 第3章:ボス戦『ヴァンパイア・ノゥブル』

 第1章では、月光城の主に仕える強化オブリビオンとなった『残影』の集団と戦っていただきます。
 なお、彼女たちの待つ部屋には天井から下がった斧が振り子のように揺れるペンデュラムの罠が等間隔で複数個、設置されています。
 これらに対処するだけでなく、逆に利用し上手く立回らなければ、苦戦を強いられるでしょう。

 第2章では、迷い込み、城主に目をつけられた少女が攫われる前に追跡し、身柄の確保を試みていただきます。
 もちろん、人命救助と敵の弱体化も兼ねた、薔薇園もとい人間画廊の被害者の救助も忘れてはいけません。
 無事に少女と被害者たちを救出できたら、近くにガゼボがありますので、そこに誘導できれば安全です。

 第3章では、いよいよ玄室へと乗り込み、城主である『ヴァンパイア・ノゥブル』との決戦を行います!
 グリモア猟兵の説明通り、紋章による強化を打ち消せていれば勝てない相手ではありません!
 もちろん、通常の攻撃とは別に、紋章からの棘鞭による攻撃への対処もお忘れなく!

 第1章開始前に、断章を執筆予定です。
 戦闘パートの地形などの追加情報も、断章での描写という形で公開させていただきます。
 断章公開後、プレイング受付開始日をタグにて告知させていただきますので、ご縁がありましたらどうぞよろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『残影』

POW   :    怨恨の炎
レベル×1個の【復讐に燃える炎の魂】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
SPD   :    同化への意思
【憐憫】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【異形の肉塊】から、高命中力の【絡みつく傷だらけの手】を飛ばす。
WIZ   :    潰えた希望の果て
【悲観に満ちた絶叫】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。

イラスト:透人

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ツキガヒカル
 一歩城へと踏み入れば、既にそこは魔の領域。
 空を斬り裂く刃の音が途切れない。
 来客を見つめる無数の目、目、目。
 感じたのは嫌悪か恐怖か、或いは。
 いずれにしても、ここを越えねば何も始まらないのだ。
 もう一歩、踏み出す。背後で扉がゆっくりと、軋み、閉じられる。
 振り返る必要も、引き返す必要もない。
 踏破するために、ここに来たのだから。

 恐怖と屈辱のままに命を落とした亡霊は、相対する猟兵たちが何者かも、自分たちが縛られているものが何かも理解できぬまま、招かれざる客へ迫らんとする。
 ――今こそ解放するのだ、その哀しき魂を。
フォルク・リア
「こんな所は少なくとも偶然迷い込む場所ではないとは思うけど。」
少女の行方を案じつつ目の前の敵と罠に目をやると。
「先ずは彼女らか。……此処で冥府に送らせて貰う。」
領主の犠牲になったと言う彼女達の心情に思いを馳せ。

真羅天掌を発動。真空属性の旋風を発生させる。
真空の【衝撃波】で攻撃し、
密集状態では敵の絶叫での同士討ちも狙いつつ
真空を自分の周囲に展開する事で絶叫も遮断する。
攻撃、防御を行いつつ罠の作動タイミング、範囲を【見切り】
基本的にその範囲外で戦うが敵が接近してきた場合
罠にかかる直前でその動作を一瞬【念動力】で停止して
敵を掴みつつその先に抜け、敵の身体を斧の軌道上に置いて
念動力を解除、罠にかける。



●ツキトオドル
「こんな所は少なくとも偶然迷い込む場所ではないとは思うけど」
 ぽつり、フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は目の前に広がる光景に静かに零す。
 悲運の乙女たちの無数の目。その背後で幾重にも踊る鈍色の刃。
 グリモア猟兵はああ言っていたが、やはり城主によって『敢えて』通されたのだろうなと確信に近く推測する。そうでなければ、抗う力を持たない少女はここで果てていただろう。
 いずれにせよ、急がなければ少女の身が危ない。その行方を案じつつ、フォルクは改めて前を見据える。
「先ずは彼女らか。……此処で冥府に送らせて貰う」
 戯れに汚され、殺され。
 その無念は、怨嗟は、如何ばかりか。
 フォルクにできることは、終わらせることだけだ。迷いは、ない。
 今となっては向けるべき相手もわからなくなった憎悪の照準を、乙女の亡霊たちはフォルクに定めた。
 瞬間、幾重にも重なる慟哭のように耳を劈く悲鳴は――しかし、フォルクへと辿り着く前に、響きを失い掻き消えた。

「大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯――」

 彼は今、目に見えぬ真空の砦に護られていた。
 いや、そればかりではない。
「世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ」
 喚ぶ掌に風が集う。収縮と膨張を繰り返し、吹き荒れる。
 生み出された旋風は、放つ衝撃波に真空の恩恵を与え、風の刃となって、負の感情で形作られた身体を裂き、魂を解放する。
 罠の届かぬ範囲を見切り、熟知しているかのような立ち回りは、まるで乙女たちと踊るかのように。
 その舞踏によって絶叫の矛先を逸らされ、味方を失った最後の乙女が今度こそフォルクに迫る――が。
「……せめて、いつか安らかにと、――」
 それだけ告げて、フォルクはただ一歩下がった。
 その場に飛び込んだ乙女の身体は、再び動き出した鈍色に貫かれた。
 息を吐く。念動力で一瞬だけ止めた凶刃の前に、最良のタイミングで敵をおびき寄せる必要があった。
 果たして策は成り、この地に縛られた魂の残滓は、黄泉へと導かれてゆく。
 フォルクは既に、画廊へと向かう道へと歩を進めていた。振り返ることはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
○アドリブ絡みOK

こんな所に迷い人?
調査に来たんだけど、それどころじゃなさそうだね
嫌な気配と匂いがするの…(狼の嗅覚)

月光城に入ったら、まずは壁に触れて魔力を流して【ハッキング】
回廊への最短路を検索
同時に、その最短路をUCで外見を変えずに書換、支配権を一時的に奪うの
仕掛けるものは、ペンデュラムに【浄化】の魔力を乗せる事
経路上の【索敵】なの
あとは真っ直ぐ走るよ

残影に遭遇したら、絶叫には、魔力を乗せた狼の咆哮をぶつけて相殺する【結界術】で対抗して、掌握したペンデュラムに巻き込んで絶望を断ちきって上げるの

もう悲しまないで、ゆっくり、おやすみなの
迷い人の足取り、検索に引っ掛かってくれてないかな?



●ツキニホエル
(「こんな所に迷い人?」)
 彷徨う乙女の亡霊。幾重もの刃の振子。
 異様な様相に、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)のあどけない表情も思わず歪む。
「嫌な気配と匂いがするの……」
 すん、と鼻を鳴らしてロランは更に眉をひそめる。
 彼の得た狼の嗅覚は、この地に根づく悪意を敏感に察知していた。
 急がねばならない。こうしている間にも、先を行く少女に危険が迫っているかもしれないのだから。
 ロランの手が壁を撫で、そして、掌全てで触れた、瞬間。
「展開空間読み取り、定義完了。ラビリンスマップ、作成完了。広域錬成式、描画――ラビリンス、錬成開始」
 淡々と、機械的に呟く。
 同時に、魔力によるハッキングで城の地形把握を。更に画廊への道を自らの領域へ――迷い込んだ者の力を吸い上げ続ける迷宮へと創り変えてゆく。
 道を阻むペンデュラムの支配権を奪うと共に浄化の魔力を乗せる。
 あとは最短距離で、まっすぐ走るだけ。
「――!」
 だが、曲がり角からその行く手を阻まんと、黒き影へと変えられた乙女たちがロランに縋りつこうとする!
 それを受けたロランは――顔色ひとつ、変えてはいなかった。
 彼は最初から、経路上に索敵をかけていたのだ。敵が来ると事前に把握できていれば、対処も容易い。
 かつて受けた痛みを、苦しみを悲鳴に乗せて乙女たちは絶叫する。
 しかし、月に届かんばかりの狼の咆哮に魔力を乗せてぶつければ、彼女たちの声は相殺され、消えてなくなる。
(「こんな風に、助けを求めていたのかな」)
 彼女たちを生み出してしまうほどに、城主によって死を与えられてきた者たちは。
 ならば、ここに遺されてしまった絶望だけでも、目に見える負の感情だけでも――!
「断ちきってあげるの!」
 狼の結界を纏って駆け抜け続けたロランが、出口へと続く通路に向かって飛び込み、転がる。
 追撃の手を緩めずその後を追った影たちは――今や浄化の刃へと変じたペンデュラムの一閃で、塵となった。
「もう悲しまないで、ゆっくり、おやすみなの」
 手向けの言葉、ひとつ。
 それからロランは、未だ迷う少女の足取りを追うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大倉・新月(サポート)
アドリブ・連携歓迎
キャラ解釈幅広くどうぞ!
噛ませ展開も歓迎です

スカルロードの満月(ミヅキ)ちゃんを溺愛しています
新月→満月の一方的なヤンデレですが連携はきちっとこなしていきます
主に脳筋な行動で何とかしますが、知ってそうなことは出し惜しみしないタイプです

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動や性的な絡みはしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●ツキガミチル
(「城主は、見目麗しく清らかな乙女を好む」)
 大倉・新月(トータルエクリプス・f35688)は、この先に待ち受けているであろうその存在について思案した。
(「なら、満月ちゃんも狙われてしまうかもしれない。そんなこと、許すわけにはいかないわ……」)
 因みに、彼女の傍らに寄り添う華奢な骨格のスカルロードが満月ちゃん、新月の姉である。
 ……城主の好みがスカルロードにまで及ぶかは未知数であるし、先に入り込んだ少女のことを忘れかけている気がしないでもないが、新月は姉が大好きすぎて、それゆえ心配でたまらないのだ。
 だから仕方ないことなのだ。仕方ないことなのだ!
 ……ちょっと満月ちゃんが困惑の空気を醸し出している気がしないでもないけれど!
 ともあれ、今は遅い来る乙女の姿の敵から姉を守――もとい、一刻も早くこの危険地帯を突破しなければ。
「大丈夫、満月ちゃん。ずうっと一緒よ」
 愛しい姉へと微笑みかける。
 死してなお共にあることを許された姉妹の小指が、赤い糸で結ばれた。
 もう二度と、愛する姉を死なせはしない――その思いが、敵へと立ち向かう意志をより強くする!
 折れてなお切れ味を失わない新月の剣が、飛来する炎をも斬り裂いてその主を討つ。満月も鎌を振るい、愛は重いが健気で守るべき妹に迫る敵を斬り払う。
 天井から揺れ動き迫る刃も、姉妹でフォローを続け片割れがその凶刃に倒れることがないように。
 そして、ついに彼女たちへと敵意を向けていた最後の影が、力を失い消えてゆく。
「あなたたちのような存在は、もう二度と生み出させない」
 最後に、乙女たちの絶望の残滓に希望ある別れの言葉を――、
「満月ちゃんのためにも」
 デスヨネー。

成功 🔵​🔵​🔴​

シキ・ジルモント
まずペンデュラムの回避と位置や揺れるタイミングの把握に専念する
絶叫での攻撃は距離を取って威力の軽減を試みる
無駄な弾は使わず温存、周囲の状況を確認したい

周囲を観察してペンデュラムの情報を得た後、銃によるユーベルコードで反撃に出る
銃弾がペンデュラムに当たるように撃ち出して跳弾を発生させる
普通に撃つより跳弾は軌道が読みにくい、強化オブリビオンでも回避は至難だろう
もちろん跳弾が敵に命中する事は偶然ではない
跳弾が狙った方向に曲がるように、先に確認しておいたペンデュラムの位置とその揺れを利用させてもらう

件の少女も気掛かりだが、死してなお城主に縛られる亡霊達も放置は出来ない
来ると良い、この場で終わらせてやる



●ツキカクレ
 満月では、ない。
 であれば、何の問題もない。シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は短く頷いた。
 一歩、足を踏み入れる。死を呼ぶペンデュラムが揺れる。その合間から、人ならざる乙女たちがするりするりと滑るように迫り来る。
 一瞬で、シキは最善を判断する。まずは、ペンデュラムの位置や刃の変位を把握することに専念する。
 その思考を阻もうと、幾重もの絶叫がシキを引き裂こうとするも、彼が冷静さを失うことはない。ひたすら距離を取り、回避に専念する。
 来たるべきその時のために、弾は未だ、マガジンの中に。
 猛攻を凌ぎ、ペンデュラムの観察が完了した――瞬間。

「――この軌道だ」

 反撃の道筋が見えた。
 ついにその銃口が、影を捕らえた。
 一条の細い流星のように敵へと向かうその弾丸は、しかしその実直さゆえに、尋常ならざる力を得た乙女にはひらりと躱されてしまう。
 いや、違う。
 回避するまでもなかった。
 弾は、独りでに直角に曲がったのだ。向かう先は――無感情に左右へと揺れ続ける、刃の側面。
 阻まれ、跳ねた弾が更に壁へ、別の刃へ、縦横無尽に踊り、そして。
 やがて貫いたのは、全く別の、離れた場所で声を上げていた影だった。
 勿論、偶然ではない。
 ペンデュラムの動きを理解し、逆手に取り、敢えて軌道の読みにくい跳弾を発生させることで、一発必中とも呼べる一撃を編み出すことが叶ったのだ。
 これこそが彼のユーベルコード。
 シュアヒット・リコシェの真髄。その静かなる奇術はまさに、魔弾の域。
 休むことなく、理解不能な軌跡で影だけを狙う弾丸の雨を降らせれば、ひとつ、またひとつと魂の残滓が闇に溶けて消えてゆく。
(「件の少女も気掛かりだが、死してなお城主に縛られる亡霊達も放置は出来ない」)
 彼女たちをこの地に遺して逝った乙女たちもまた、人を人とも思わぬ悪しき戯れの犠牲者なのだ。
 絶望をひとつの芯とした、負の感情ばかり詰め込まれて生まれてしまった、哀しき過去の象徴なのだ。
 今を生きる者たちからも、もう犠牲者など出さない。だが、過去の檻に囚われたままの者たちにも、救いはあっていいはずだ。
 だからシキは躊躇わず、銃を向けるのだ。
「――来ると良い、この場で終わらせてやる」

大成功 🔵​🔵​🔵​

津崎・要明
犠牲者が更なる犠牲を求めるというのか。
それは当人たちの意思なのか、それともオブリビオン化の際に「骸の海」から何らかのコントロールを受けた為なのか、いずれにせよ気持ちの良いものじゃないな。

ペンデュラムの動きを見切って、振り切るポイントを特定。
UCにて最高点の少し手前に転送ゲートを設置(効果は3倍の方で)
転送先は倒すべき相手がいる場所

これでペンデュラムが往復する度に自動で敵が倒れてくれるんじゃないかな?
ちょっと痛そうだけど・・・もう一度骸の海に戻って、今度は妨げられずに眠れると良いね。

さて、こんな危険な罠があるのに女の子とやらは何処まで進んでった事だろうな。城主に捕まる前になる早で保護しないと。



●ツキヘトオクル
 ――彷徨う乙女たちも、かつては哀しき犠牲者だったはずだ。
 津崎・要明(ブラックタールのUDCメカニック・f32793)はその事実の成れの果てを前に、僅かに眉をひそめた。
(「犠牲者が更なる犠牲を求めるというのか」)
 それは、当人たちの意思なのか。
 それともオブリビオン化の際に骸の海から何らかのコントロールを受けた為なのか。
 可能性は次々思考の泉から浮かび上がる。だが、真実がどうであれ――、
(「いずれにせよ気持ちの良いものじゃないな」)
 それだけは、確かだ。
 けれど今は、哀れと思う心を振り切る。
 乙女の残滓たちは慈悲を求め啜り泣くけれど、聞き入れてしまえばきっと、彼女たちの望むところまで引きずり込まれてしまうだろうから。
 要明はその声を意識的に遮断した。代わりにその目で、生命なくとも悠々と宙を往く刃の群れを、その動きを見定めることに注力する。
 重要なのは振り切るポイント。そこを正確に見定めて――結び、繋げる!
「そこだ。Open the gateway――」
 現れたのは、半径1mを僅かに超える転送ゲート。
 最高点に達した刃の先端が、その中心に吸い込まれてゆく。繋がったその、先は。

「確かにお届けしましたよ、っと」

 ――ぐずりと、乙女の影がひとつ傾いで、揺らぐ。
 それは彼女の背後へと突き刺さっていた。ほんの、一瞬。
 それでも、ゲートを通ることで運動エネルギーを三倍にも増幅された刺突の一撃は、従属により彼女たちに与えられた力を遥かに凌駕した。
(「……ふう。これでペンデュラムが往復する度に自動で敵が倒れてくれるはずだ」)
 要明は、計算が正しかったことを確信した。その間にも、刃は別の影を貫き穿つ。
 憐憫を誘う泣き声が、断末魔の悲鳴へ。ひとつ、またひとつ。
「ちょっと痛そうだけど……もう一度骸の海に戻って、今度は妨げられずに眠れると良いね」
 要明の優しさに付け入ろうとする闇は、もうなかった。
 だから今は、彼女たちの安息を願ってもいいだろう。

 ――そして、今はまだ悲劇の役者になる前の少女を追うために、歩き出す。
 こんな危険地帯をどうやって抜けて、どこまで進んだのか。或いは、城主が敢えて――考えは尽きないが。
(「城主に捕まる前になる早で保護しないと」)

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『薔薇の檻』

POW   :    気合とパワーで追跡する

SPD   :    スピード重視で追跡する

WIZ   :    賢く効率的に追跡する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ツルキカガヒ
 猟兵たちは、玄室へと続く中庭に出る。
 そこには、夜の帳の中にあっても煌々と輝く城塞の白い光に照らされ、鮮やかに咲く真紅の薔薇園が広がっていた。
 だが、忘れてはならない。ここは世にも悍しい『人間画廊』。
 出迎えのアーチにすら、数人の男女が囚えられていた。
 彼らは衰弱し切り、救いを求める声すら上げることもできずにいる。既に、命のない者もいるようだ。
 猟兵たちは再認識する。この哀れな被害者たちを救い、犠牲者たちを解放しなければならないと。
 幸い、この薔薇たちは生き血を啜るが、自ら獲物を捕らえるべく自由に動くなどということはできないようだ。救出した者は、一旦安全な場所に避難させ、城主を倒した後に脱出させるのが最善だと思える。
 顔を上げれば、壁となって阻む薔薇の生垣のお陰で屋根しか見えないが、この中庭の中央にガゼボが建っているようだと解る。あの場所に集めるのがいいだろう。
 そして――忘れてはならないのが、予知にあったという少女だ。
 特徴は、金髪碧眼に白い肌。そして整った顔立ちをしている、と。
 とは言えそもそも、動く者は猟兵たちと彼女の他にいないのだ。健常な生命の気配があれば、間違いなく彼女だと思っていいだろう。
 迷路のように幾つもの道に分岐し、曲がりくねりながら広がる、人喰いの薔薇園。
 少女は城主の、被害者たちは死神の迎えが来る前に――救い出すのだ。
フォルク・リア
「これが人間画廊。悪趣味と言うのも生温い。
早く救い出さなくては、息のある人間が命を落とすのに
そう時間は掛からないだろう。」
フレイムテイルの炎を人を傷つけない【範囲攻撃】で
薔薇を焼き切り。
ホーリーフロウを発動し左腕を流水に変化させて
人々を流水で受け止め。癒しの力で回復させる。
薔薇から解放する事を第一に人々を順に
自らと影狼【ハイド】の背に乗せてガゼボに運びながら
話の出来る人には迷い込んだ少女の特徴を伝え、
見かけなかったか確認。
救出しながらファントムレギオンの死霊を周囲に放ち
【式神使い】で【偵察】させ
少女の捜索と薔薇園の構造の把握、
囚われている人の位置の確認をさせて
効率的に人々や少女の救出を行う。



●ツトキルドオ
 見事な赤薔薇、と評されたそれは鮮血の色。
 茨を纏った蔓は壁やアーチの支柱のみならず、無辜の人々にまで絡みつき、生を謳歌している。
(「これが人間画廊。悪趣味と言うのも生温い」)
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)の表情は、クロークのフードに隠れて窺い知れない。だがその胸中には、確かな不快感を募らせていた。
「早く救い出さなくては、息のある人間が命を落とすのにそう時間は掛からないだろう」
 静かに零すと、フォルクは右手をアーチへと伸ばす。掴んだ荊棘がその手を傷つける――ことはなかった。
 黒手袋から、僅かに炎が溢れる。炎の魔力を有する女怪を封じた魔本から作り出されたそれは、フォルクの意のまま、体温を避けて赤と緑だけを焼き切ってゆく。
 その炎の中に、今度はフォルクの左手が躊躇いなく差し込まれた。だが、炎が主であるその手を焼くことはない。
「清き流れよ。清浄さを以って邪を払う聖なる泉よ。その姿を現し、我が道を遮る全てを浄土の果てに押し流せ」
 唱える言葉に応え、左腕は聖なる力を宿す流水の根源となる。
 流れる水は人々を包み込み、そっと地面に降ろした。荊棘によって受けた身体の傷も、徐々に塞がってゆく。
 これでひとまず、息のある者は一命を取り留めただろう。だが、まだ安心はできない。
 フォルクの影が、意思を持って蠢く。やがてそれは黒い狼の姿になり、倒れ伏したままの人々をその背に乗せる。フォルク自身も年若い青年を背負うと、ガゼボに向かい歩き出した。
 道中、意識のある者に少女の特徴を伝え、見かけた者はいないか聞いたが、消耗が激しく通る者に気を掛ける余裕はなかった者がほとんどだった。
 だが、不意にフォルクのすぐ背後から、すらりと腕が伸びる。今まさに背負っている青年のものだ。
 その手は城を指している。向かった、ということだろうか。
(「……拙いな」)
 城主との距離が縮まってしまう。急がなければ。
 人命救助中の少女の捜索と庭園の偵察は、事前に解き放っていた死霊たちに任せている。その内の一体が、要救助者を確認して報告に戻ってきた。
(「この調子で、少女の視認があればいいけれど」)
 フォルクは城付近の更なる偵察を死霊たちに任じると、助けを求める人々の元へと、駆けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜奏・光花
お手伝いできればと思い来てみましたが…本当に酷いですね。
急がないと。

囚われた人達を助けながら例の少女ももちろん探しますが、あくまでわたしは人命救助を優先です。

薔薇は大鎌で排除です。
まずは薔薇から引き離す事が最優先。
本当は重傷者はすぐに治療をしたいですけど…仕方ありません。
やはりわたし1人では助けられる人数に限りがあるでしょうから。

わたしと一緒に薔薇を掃除する係と救出した人をガゼボに運ぶ係で分けます。
素早く、でも人は傷つけないよう気をつけて。

はい、生きてる方も、もう無くなってしまった方も分け隔てなくです。
こんな所に残して置けませんから…。


ロラン・ヒュッテンブレナー
○アドリブ絡みOK

う、これは…?
こんな、ひどい…
手近の人たちに声を掛けるね
大丈夫?
ぼくが見える?

薔薇に触れて、魔力を接続、【ハッキング】して【情報収集】なの
吸い上げるだけ、なんだね、この薔薇は
でも、吸い上げてるって事は、除去にちょっと工夫が要りそうだね

満月の魔力を言葉に乗せて、ぼくの声を届けるの
UC発動、【優しく】みんなに語りかけて、生きる望みと、魔術回路の鎧による止血と、少しばかりの体力回復を施すよ

みんな、きっと助けるから、希望を捨てないで?
また会いたい人、これからやりたい事、思い出して

蔓や茎の部分を狙って、炎【属性攻撃】魔術を【多重詠唱】で【乱れ撃ち】
薔薇を除去して安全な場所へ誘導するの



●ツウキオヲ、ツルキエルホ
「う、これは……?」
 目の前に広がる、あまりに凄惨な光景に、ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)は思わず目を疑った。
 生きながら、人が捕らえられ、その血を花の養分とされている。ゆっくりと、死に至るその時まで、ずっと。
「こんな、ひどい……」
「……お手伝いできればと思い来てみましたが……本当に酷いですね」
 ロランから少し遅れて中庭に到達した夜奏・光花(闇に咲く光・f13758)も、戸惑いと嫌悪を隠し切れずにいた。
 このような、人を人とも思わぬ暴虐が、許されていいはずがない――!
「急がないと。……少女ももちろん探しますが、あくまでわたしは人命救助を優先したいと思っています。よろしいでしょうか?」
「うん……ぼくも、放っておけないの」
 光花がその意志を告げれば、ロランも静かに頷いて。彼はそのまま、まだ息のある女性の前に進み出た。
「大丈夫? ぼくが見える?」
 返事の代わりに、呻き声。誰かがいる、語りかけてきている、ということは、理解はできているようだ。
「衰弱具合にもよるかもしれないけど……これなら」
 得心がいったような表情のロランは、荊棘を避けて薔薇に触れた。その魔力を解析し、性質を特定する。
「吸い上げるだけ、なんだね、この薔薇は。でも、吸い上げてるって事は、除去にちょっと工夫が要りそうだね」
「と、言いますと?」
「少しだけ、待っていて」
 首を傾げる光花に短く頷いて見せて。
「ぼくの声を聴いて。心に勇気を、手に理想を、一歩踏み出す決断を。それが、運命を変える力なの」
 月の魔力を言霊に。優しく、けれど奮い立たせるように、ロランは生ある者に語りかける。
「みんな、きっと助けるから、希望を捨てないで?
 また会いたい人、これからやりたい事、思い出して……意志を力に変える奇跡を、信じて」
 生きたい。
 死にたくない。生きて日常に帰りたい。
 その思いを強くしてくれれば、彼らの身体の中から荊棘にも、その魔力をも拒絶する力を分け与えられる――!
「よし……! 今なの!」
 手応えは感じられた。ロランはすかさず、人肌を避けて薔薇の蔓を無数の炎で焼き切った。
「こちらはお任せください。急いで引き剥がします」
 ロランの考えが実を結んだことを悟った光花も、すかさず捕らわれた人は傷つけないよう、茎や蔓を斬り払う白銀の刃を振るう。
 桃色の飾りが揺れるたび、この大鎌を贈ってくれた父が見守ってくれているような気がした。それに胸を張れる自分でありたいと、光花は思った。
 二人がかりで薔薇を除去した結果、付近の被害者たちの救助は手間取らずに終えることができた、が。
(「本当は重傷者はすぐに治療をしたいですけど……仕方ありません」)
 光花のみならず、猟兵ひとりひとりが助けられる人数には限りがある。その分、動ける人間が動かなければ。時間は少しも無駄にできない。
「皆さん、お仕事です。……では、お願いします」
 光花はフットマン、メイドを呼び出すと、救出した被害者たちの避難を任せるべく、彼らに的確に役割を与えてゆく。光花とともに薔薇の掃除をする者、救助した者をガゼボまで運搬する者など。
 救助したのは生者も死者も、分け隔てなく。
「こんな所に残して置けませんから……」
 人間画廊、人が人として扱われぬ場所。囚われた者には、恐怖と絶望を根深く、植えつけるその場所。
 生きていようと、死していようと、このような場所に留まり続けては、心も休まらないだろうと思えて。
「うん。わかるの」
 ロランも、辛うじて動けそうな者を支えながら、人々を誘導してゆく。
 少女も、まだ息のある被害者たちも、そして仲間たちも――無事であってほしいとふたり、祈りながら。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シキ・ジルモント
嫌な場所だ
長居はしたいと思わないが…しかし、被害者の救助の為にはそうも言っていられない

少女の痕跡の捜索、追跡を行う
足跡や足音、所持品等が残っていれば手掛かりとする
同時に薔薇に捕らわれた者は救助、ガゼボへ運ぶ
ユーベルコードの効果も併せて五感を研ぎ澄ませ、両者の捜索に利用

被害者を捕らえる薔薇はナイフで断ち切って引き離す
外傷があれば止血等の応急処置をしておく
必ず助ける、後少し辛抱してくれ

犠牲者も丁重に運ぶ
彼らにしてやれる事は何も無いが、捕らわれたままよりは良いだろうと
…助けられず、すまなかった

探している少女も探すが、まだ捕らわれていなくても安心は出来ない
引き続き、油断なく痕跡を探しながら救助を進める



●ツカキレク
 この城には、負の念が集まりすぎている。
 それを、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は本能で感じ取っていた。
(「嫌な場所だ。長居はしたいと思わないが……」)
 だが、助けを求める者がいる。
 無下になど、できるわけがない。
 一歩踏み出す。どんな些細な物音も聞き漏らさぬよう、耳をそばだてる。
 獣の因子を象徴するような自身の身体的特徴を、シキは疎んでいる。隠せないものは仕方がないと割り切りつつも、好意的に受け入れられるものでもなかった。
 だが、今は。狼としての野生を、研ぎ澄まされた五感を全て我が物として、少女と被害者たちの救出に注力する。
 その視覚で足跡などの痕跡を、聴覚で足音などの気配を、嗅覚で動物の放つ空気を、辿る。
 ――呻き声が、聞こえる。
 右側の壁に、生い茂る生け垣の中に、人々が囚われていた。
 息のある者も、ない者もいた。
 ナイフを抜く。荊棘を断ち切る。そこに生死の別はなく、シキはそこにいる全てを解放した。
「必ず助ける、後少し辛抱してくれ」
 浅く呼吸を繰り返しながら、全身から血を流しながら、それでも生きようと藻掻く哀れな被害者たちに止血を施して、ガゼボへと運び込む。
 そして――既に事切れた、犠牲者たちも。
 命ある内に、救うことは叶わなかった。今、死者である彼らに、シキがしてやれることは何もない。それでも、ここで捕らわれたまま作品として朽ち果てるより、人として安らかに眠れるようにしてやりたいと。
 彼らの死は、シキたち猟兵による探索が始まる前、いや、グリモア猟兵の予知にかかる前に、もたらされたものだ。シキたちの力が及ばなかった、などということは決してない。
 だが、それでも――何とか彼らが力尽きる前に、駆けつけられていればと。
 シキは、考えずにはいられなかった。
「……助けられず、すまなかった」
 せめて今は、哀悼を。

(「……さて」)
 感傷に浸ってばかりもいられない。この庭には、まだ救うべき被害者たちと、少女がいるのだ。
 おもむろに、立ち上がり、周囲を見渡す。
(「まだ捕らわれてはいないようだが、安心は出来ない」)
 少女の悲鳴もないが、同時に捜索に向かった猟兵たちが彼女を保護した様子もない。
 引き続き、油断なく、捜索を進める。紅い月と薔薇の魔手から、人々を救うのだ。

 ――少女が保護されたのは、この少し後のこと。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ヴァンパイア・ノゥブル』

POW   :    封印魔眼
【封じられし魔眼から放たれる、魅了の視線】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    従魔召喚
【レベル分の数、使い魔の吸血蝙蝠や人喰い狼】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    肉体変化
対象の攻撃を軽減する【魔力で出来た霧状の肉体】に変身しつつ、【時折実体化し、腰に佩いた剣や調教用の鞭】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:壱ル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアルル・アークライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●カキヒルツガ
「た、助けていただいてありがとうございます。逃げなきゃ、と思った時には帰り道がわからなくなって……」
 色素の薄い金髪に碧眼、乳白の肌。人形のように整った顔立ちに、繊細な身体を覆い煌めく淡いグリーンのワンピース。
 確かに美少女だ。話を聞く分にも、彼女が迷い込んだ少女に間違いないだろう。
 ひとまずはガゼボで待っているよう猟兵たちが促すと、少女はこくこくと頷いた。
 ――後は、決着をつけるのみ。

 猟兵たちが最大限警戒しながら、玄室へと続く重厚な扉を開ける。
 広々とした空間だ。壁際には棺が並んでいるが、邪魔にはならないだろう。
 観察が叶ったのは、伏兵も、妨害もなかったからだ。この城の主は暢気なのか――それとも、余裕の表れなのか。
「ようこそ。招待した覚えはないが客は客だ。歓迎するよ」
 カツ、と軽やかに靴音を立てて現れたのは、高貴な出で立ちの、白皙の美少年だった。
 先程の少女と並べば、さぞかし絵になっただろう。無論、そんなことを許すわけにはいかないが。
「ああ、けれどね。本来招いていた『客』を追い返したのはいただけないね。少々手荒な歓迎になるけれど――覚悟の上だろう?」
 その薄い唇が、緩く弧を描く。
 ――瞬間、その身体から生えた荊棘が、鞭のようにしなり大理石の床を叩く。
 月の眼の紋章の、本来の力は失われているはずだ。人間画廊の囚われ人たちは、悉く解放されたのだから。
 それでも、残る棘鞭は変わらず力を貸すようだ。加えて、紋章による強化がなくとも元来持ち合わせる力もまた、相当なものだろう。
 だが、負けるわけにはいかない。猟兵たちを待つ少女や生存者たちのためにも。これ以上の悲劇を生まないためにも。
 ――さあ、悪逆を、狩りとれ!
厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。

亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」

動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。

また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。

なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。

依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。


響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです



●ウチツカニキ、ノキルニイツ
 猟兵たちの眼前に悠然と佇むのは、無垢な少年などではない。
 罪なき人々を自己満足のために贄とし、汚れなき乙女を欲望のままに喰らう、少年の姿をした『災害』だ。
「斯様な悪逆の徒、捨て置くわけにはゆかぬ」
「ええ。彼はとうの昔に、越えてはいけない一線を越えてしまったのでしょう。同情の余地はございません」
 亡き親友との約束と誓いを胸に抱き、故郷以外の世界も守ることを決意した厳・範(老當益壮・f32809)。仁を重んじ義に篤い、そんな彼が、この暴虐の主を許せるはずもなく。
 彼の言葉には、響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)もごくゆっくりと頷いた。本来、討つべきオブリビオンに対しても、せめてその心に寄り添いたいと考える彼女だが、今回は割り切らなければならないと、凛と倒すべき敵を見据えて。
「血気盛んな客人だ。ならば盛大に饗そうじゃないか」
「――望むところ」
 城主の宣言と同時に飛来する棘鞭。だが、範は泰然と構え、自身とリズを覆うよう、結界を展開。機先を制するべく放たれた一撃を、弾く。
 けれど同時に、少年の姿は掻き消えた。否、注視すれば、霧へと姿を変え、猟兵たちの目を欺こうとしているのがわかる。
 範もリズも、注意深く流れる霧を、その気配を追おうとする。が、どこからともなく現れた蝙蝠の群れが、それを阻もうと纏わりついてくる。
 負けじと藩も牌を放ち、睡魔を招く豹貓を喚んだ。にゃあんと一鳴きすれば、蝙蝠たちは気を失い、ばたばたと地に墜ちる。
 しかしそれは、あくまで目眩まし。
「!」
 リズの正面、手を伸ばせば届く距離に、少年の姿をした災厄が迫っている!
「貴女はここにいる客の中でも、一際美しいね。僕のものにならないか? 快楽で虜にしてあげるよ」
 少年とは思えぬ妖艶な微笑み。だが、答えは是としか認めないとでも言わんばかりに、その手には細身の鞭が握られている――!
「お断りいたします」
 だが、リズは、ぴしゃりとそれを拒絶した。
 生来、彼女は庇護欲が強く、特に幼い少年少女などにはそれが顕著で、平素ならこのような時でも優しく諭しながら辞退するような、そんな女性だが。
 如何に美しい少年の姿であろうと、人々を喰い物にするような、明確な『悪』であるならば、話は別だ!
「あなたには、この先は許しません」
「――! これは……!」
 少年の身体が、渦巻く白薔薇の花弁に包まれる。
 それは庇護の対象には、害をなす者のいない安息の地へと送り届ける風となるが――招かれざる客には、拒絶の、そして浄化の光の嵐となって、その身を灼く!
「く……っ」
 堪らず、少年は白薔薇の竜巻を振り払いながら、リズと距離を取る。その白い頬の一部が、花弁の形に焦げていた。
「大事ないか」
「ええ、お気遣いいただきありがとうございます」
 範の目にも、リズが傷つけられた様子はない。
 再び少年を見遣れば、彼は初めてその柳眉をひそめていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

津崎・要明
使い魔か、拡散されると厄介だ。移動範囲を考えるとガゼボに避難させた人たちを危険に晒す可能性もある。
ならば、移動される前に大元諸共叩くしか無い。

バリア【結界】を腕・脚に纏わせ【見切り・受け流し】つつ「ツルガー」で棘を【焼却】
使い魔は「手裏剣型サイコビット」で【一斉発射・範囲攻撃】及び「Falster」で迎撃しながら出来るだけ素早くヴァンパイアに接近

最も近づいた瞬間、自身を目標に【リミッター解除】でUC

たとえ姿を変える事ができようとも逃しはしはしない!
アクシオンに灼かれること自体が君の罪の証となる。死んで償うといい。それでもまだ払いが足りないが。

普通の男の子の恋なら応援してあげられたのに残念だよ。



●ルキヘクツオト
 津崎・要明(ブラックタールのUDCメカニック・f32793)は冷静に、蝙蝠を喚び使役する敵の姿を観察していた。
(「使い魔か、拡散されると厄介だ」)
 群れで行動している内はいいが、玄室全体に広がられると対処に手を割かれる。その間に、討ち漏らした一群が外にでも出られたら厄介だ。救助した者たちにも魔の手が及びかねない。
 加えて、今はまだ蝙蝠のみのようだが、事前に聞いた話では人を喰らう狼を喚ぶこともあると言う。それも未然に阻止しなければ。
(「移動される前に大元諸共叩くしかない」)
 判断してからは早かった。四肢に結界を展開し、敵の元へと駆ける。
「――ん?」
 接近の気配に気づいた少年は、平然と棘鞭を差し向けるが。要明はそれを腕で弾き、受け流した。結界が、バリアの役割を担っているのだ。
 宙に投げ出された棘鞭を、すかさず未来の戦艦たる加利ツルガーで焼き切ると、群がる蝙蝠たちも手裏剣型サイコビットで掃射して。撃墜できなかった個体は、その運動エネルギーを文字通りエネルギー弾へと変換。迎撃しながら更に距離を詰める。
「ち。しぶとい……」
「きみは、人を侮るべきではなかったよ」
 リミッター、解除。
 ほぼ零距離に肉薄、その瞬間に。今の要明の全力を以て、この悪夢を終わらせる、その決意と共に。
 次の手を打つ、敵にその猶予を与える前に!
「たとえ姿を変えることができようとも、逃しはしない!」
 照準は既に、敵の薄い胸を捉えている。
 一秒よりも遥かに速く。反応速度すら超えて。
 太陽より生まれ宇宙の多くを構成するとされるアクシオン――収束させたそれを光の弾丸へ、即ちレーザーへと返還して、悪しき存在を灼く浄化の炎として、偽りの姿を貫き穿つ!
「あ゛、あぁ……っ!!」
 整った顔立ちが、苦悶に歪む。
 それでも生温いとばかりに、断罪の炎は燃え上がる。
「アクシオンに灼かれること自体が君の罪の証となる。死んで償うといい。それでもまだ払いが足りないが――」
 辱められた乙女たち、虐げられた民たち。
 積もり積もった絶望を思えば、その罪は許しがたい。
 それでも。
(「普通の男の子の恋なら応援してあげられたのに、残念だよ」)
 彼は、無垢と呼ぶには汚れすぎた。
 心のままに振る舞い身を滅ぼす、少年の皮を被った怪物に、要明はもう一瞥もくれなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ジルモント
少女を救助した事を知っていてこの余裕とは
俺達を“歓迎”した後で彼女を奪い返すつもりなのかもしれない
ならば尚更、奴はこの場で倒さなくては

棘鞭と使い魔は単体ならともかく、合わせて使われると厄介だ
まずは回避を主体に交戦、相手を観察し両者をどう使うのかを見極めたい
パターンが読めるようになれば反撃の隙も視えてくるかもしれない
焦って攻めても使い魔に足止めされ、更に鞭を叩き込まれても面倒だ

相手の行動パターンを捉え次第、真の姿を解放する(月光に似た淡い光を纏う。犬歯が牙のように変化、瞳は夜の獣のように鋭く光る)
その上で、ユーベルコードを発動
二つの強化で速度を瞬時に数段引き上げて、先に確認した隙を突いて使い魔の包囲を突破したい
鞭と包囲を抜けて射線を通せば、後はいつも通り照準を合わせて、引き金を引くだけだ

真の姿を晒すのはあまり好まないが、そうも言っていられない
長引けば少女達生存者も不安になるだろう
それに戦闘後は彼女達を安全な場所へと送り届ける他に、犠牲者を弔う必要もある
これ以上ゆっくり相手をしている暇は無い



●レキクツカ
(「少女を救助したことを知っていてこの余裕とは」)
 美しい少年のかたちをした、老獪な魔物――そう評された怪物、或いは災厄を前に、シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は静かに短く息を吐く。
(「俺達を『歓迎』した後で彼女を奪い返すつもりなのかもしれない。ならば尚更――」)
 ここで、仕留めなければ。
 シキが身構えると同時――蝙蝠の群れが四方から飛来する。
 嬲り殺すつもりか、別の企てがあるのか。いずれにせよ、今のシキには判断材料がない。ゆえに、彼はその身で敵の思惑に触れ、読み取るべく、回避行動に徹する。
(「棘鞭と使い魔は単体ならともかく、合わせて使われると厄介だ」)
 反撃の隙を与えぬように動かれれば、突破そのものが難しくなる。けれどその動きを読み、その法則を見つけることさえできれば、こちらが攻めに転じる糸口も、見えてくるはずだ。
 今はその機が巡るのを信じて、耐える。焦りは禁物だ。冷静さを欠けば、敵に付け入る隙を与えることになる。そうなれば、一瞬の内にこちらが不利になってしまうだろう。
 それを理解しているから、シキは慎重に動く。
 蝙蝠の猛攻を掻い潜り、逃れたところに棘鞭が振り下ろされる。咄嗟に見切り、跳躍するように駆け出して難を逃れたが、なるほどやはり、蝙蝠をけしかけ、逃れることも想定して棘鞭での追撃を行うパターンかと、シキは確信を持つ。同時に賢しい性質であることに間違いないと、その身で思い知った。
(「真の姿を晒すのはあまり好まないが、そうも言っていられない――」)
 狼の特徴は、理性なき獣性の象徴だ。
 それを曝すことは、どうしても憚られた。
 ――このような事態でなければ。
 戦いが長引けば、迎えに行くと中庭に残してきた少女や生存者たちに不安が広がりかねない。そして万が一、使い魔たちを外に出されたら厄介だ。そうなる前に、ここで押し留め、討ち果たさなければならない。
 目の前の敵を倒して終わり、ではないのだ。少女たち生存者を安全な場所まで送り届け、犠牲者たちを在るべき場所で弔うまで、やり遂げると決めたのだ。
 だから。

「――これ以上、ゆっくり相手をしている暇はない」

 瞳が、爛々と輝く。
 鋭い眼光はまさしく、獲物を求める夜の獣。
 犬歯は牙のように鋭利に尖り、その身には淡い月の色宿す光を纏って。
 抑えた獣性を解放したシキは、凶暴なまでの闘争本能を宿した戦いの申し子と化す。平素の彼が、曝すことを厭う反転した己の姿だ。
 冷たく蒼く輝く瞳が、喰らうべき獲物の姿を捉える。瞬間、シキが地を蹴ったのと、その姿が消えたのは、ほぼ同時。
 真の姿の解放に加え、極限まで研ぎ澄まされた野生の身体能力が、あらゆる生を置き去りにするほどの速度を与えたのだ。
 迫りくる蝙蝠よりも、その合間を縫って振るわれる棘鞭の一撃よりも――!
「ッ! 速い……!」
 射線を通せば、小さな顔に浮かんだ赤い月が見開かれるのが見えた。
 言葉は不要。そんな次元はとうに過ぎ去ってしまったのだ。
 後はいつも通り照準を合わせて、引き金を引くだけ――!

「あ」

 破裂音、ひとつ。
 その胸からは、乙女たちから啜り、我がものとしたのだろう血が、確かに滴る。
 だが、これでは足りない。
 奪われたものが、あまりにも多すぎた。
 ――シキは再び、狩るべき獲物を逃さぬよう、静かに銃口を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「本来の『客』だと。
それは招いたのではなく誘き寄せたと言うんだろう。」
「歓迎してくれるなら、お前も歓迎してもらうと良い。
これから向かう冥府の悪魔にね。」

闇討ちの法陣を発動し十分なダメージを与えられる
威力になるまで詠唱を続ける。
その間は霧に変化した敵を惑わす為に【残像】を
発生させつつ移動。
霧のある箇所を見極めて極力近づかず。
攻撃を受けないために部屋中を動き続けると共に
フレイムテイルの炎で【範囲攻撃】その炎を目晦ましとして
ファントムレギオンの死霊を放ち
死霊に魂を狙った攻撃をさせる。
「如何な姿になろうとも魂があるならば。
その在処を死霊が見逃す道理はない。」

詠唱が完成したら死霊が襲っている霧に向け
拘鎖塞牢を放ち力を封じる。
「死霊はあくまでお前の魂の在処を探るため。
後はその力を封じ。」
闇討ちの法陣を発動し。
「仕留める。」

真の姿を解放。血煙の様なオーラを纏った姿となる。
銀の弾丸を撃ち込んで隙を作り、封魔の骸布で包み込み拘束。
血喰い釘で包囲攻撃し刺し貫き。
蒼炎で包まれた白銀の剣を振り下ろして切り裂く。



●ルキドオツト
「本来の『客』だと――」
 あまりにも、自分本位の物言い。
 唾棄すべきその思考回路に、フードの下から僅かに覗くフォルク・リア(黄泉への導・f05375)の口元から、熱が引くように笑みが消え失せた。
「それは招いたのではなく、誘き寄せたと言うんだろう」
 美しい花の噂で乙女たちを呼び、罠も番人も素通りさせて、逃げられぬところまで誘い込んで。
 なんて狡猾で、残忍。頭の天辺から爪先に至るまでもが天使の如く美しい少年の皮の中には、どれほどまでにどす黒い本性が隠されていると言うのか。
 そのような悪意の塊を送り届けるのは、昏く冷たい冥府が相応しい――!

「歓迎してくれるなら、お前も歓迎してもらうと良い。これから向かう冥府の悪魔にね」

 ふわりとクロークの裾が揺れる。
 展開されるのは、長き年月が彼に授けた吸血鬼を滅ぼすための蒼炎を纏う、聖別された武器の数々。
 即ち、銀の弾丸、封魔の骸布、血喰い釘、白銀の剣。
 其はまさしく闇討ちの法陣。
「撃ち抜け、破魔の銀礫。その手管を包み封じよ静謐なる織布。邪なる赤き流れを食い荒らせ、呪いの鉄針。暁の剣よ終わりなき夜に終止符を――」
 唱える。聖句に等しき詠唱を幾重にも。
 彼の魔を討つに足る力を宿すまで。
「悪戯でも企んでいるのかな?」
 しかし、そうはさせぬと言わんばかりに棘鞭がフォルクの身体を割ろうと力強く振るわれ――!
「……何……?」
 だが、既にそこにフォルクの姿はない。
 詠唱を重ねつつも、彼はそこに残像を置いて、体のいい的にならぬよう、移動を開始していたのだ。
「ち――」
 敵も既に無傷ではなく、場数を踏んできたゆえの余裕も、徐々に失われつつある。
 霧と化して不意討ちを狙う魂胆も、霧散時から注視し、漂う霧に常に気を配り、移動を止めないことで無に返し。
「如何な姿になろうとも魂があるならば。その在処を死霊が見逃す道理はない」
 霧へと手を向け、魔本に封じられた女怪の炎を黒手袋から広範囲に放てば、気体に紛れようともその熱の壁を越えることは叶わず。
 加えて死霊たちに足止めを命じれば、追撃の手はフォルクに向かず、その正確な位置を知ることも可能になる。
 機は、熟した。
 一息に、畳み掛ける!
「死霊はあくまでお前の魂の在処を探るため。後はその力を封じ――」
 棺桶が、霧を喰らった。
 それは刹那の内に消え失せるが、冥府の悪魔を誘う目印は刻み込んだ。
 霧は少年の姿へと戻り、その動きを止める。
 さあ、断罪の時間だ。

「仕留める」

 白を纏っていたはずのフォルクの姿が、赤黒く染まってゆく。
 否、彼の身体から血煙が立ち昇っているのだ。
 詠唱に詠唱を重ねて成った法陣を、更に強化するために解放された、フォルクの真の姿。
 確実に、悪逆の魂を冥府の悪魔に捧げるべく。
 なおも不可視の封印を解かんと藻掻く小さな身体に、銀の弾丸を撃ち込む。怯んだその身体を、続けて封魔の骸布で拘束を重ね。
 最後の仕上げに、決して逃げられぬよう、無数の血喰い釘でその身を縫い止めて、そして。
「迷わず、逝け。冥府への導きを得て――」
 振り上げた白銀の剣は、纏った魔を滅ぼす蒼き炎を更に燃え上がらせて。
 言葉を紡ぐ暇も与えず、少年のかたちの悪逆の主を、両断した。

大成功 🔵​🔵​🔵​


●月、白く
 静けさが、城内を支配する。
 それでも、地の底に閉ざされたはずの世界で煌々と輝き、その存在を主張する月の謎は、未だ解けない。
 まだまだ、調査は必要になるようだ。
 月光城の主を倒し続けることも。最近報告された、主なき城の探索に乗り出すことも。その全てが実を結ぶまで。
 だが、今は。

「ありがとうございます。何とお礼を言ったらいいか……」

 ここにいる、少女や人間画廊の生存者たち。
 そして、その命の灯火こそ潰えてしまったものの、美しくもおぞましき血薔薇の檻から解放することができた、犠牲者たち。
 猟兵たちはその命を、或いは魂を、悪逆無道な城主の魔手から救うことが叶ったのだ。
 確かな成果と、いずれ実を結ぶであろう希望を、手にすることができたのだ。それは、目には見えずとも大きな一歩。
 さあ、彼らを送り届けて、帰ろう。
 狂気の手を振り払って、日常へ。

最終結果:成功

完成日:2022年03月21日


挿絵イラスト