●予知:君の名は、董卓!
封神武侠界、建業近郊。
かつて、巨大なオブリビオンマシン『哪吒』が暴れた痕跡が残りつつも復興を進めている平穏な土地を、一人の男が供を連れて悠々と歩いていた。
その手に酒と肉を持ち、摂食しながら歩く男。
後漢末期の武将であり、かつて宮廷で政治の実権を掌握した悪逆非道の権化。
相国『董卓』である。
「義父上。そろそろお聞かせくれませんか? どこに向かっているのです?」
「んぐ、んぐ……。ぷはぁ!
かかっ、そう焦るでない、布よ。もうすぐだ。わしにはわかる」
腰に佩くは武将『項羽』が用いたとされる宝剣。
供に従えるは亡霊赤兎馬に騎乗した猛将『呂布』の亡霊。
酔いどれていようとも、本人の武勇に優れた武器、強力な義理の息子の霊に加え、韓信大将軍の配下となったことで賜った『神器』【水銀の渦】を油断なく蔓延させて、万難を排した様子で青空のもとを散歩をするように歩んでいた。
董卓が歩いた後には、草木が枯れはて鳥獣が息絶えている。
【水銀の渦】により汚染され、死に絶えているのだ。
「……ほうれ、見よ。見えてきたぞ」
「ふむ……? ……あれは、あの方は……! まさか!?」
董卓が指差した先、丘の上には配下を従えて立つ人物がいた。
その男こそ、かつてその欲望で覇を唱えた豪傑。
好色、強欲、暴虐の限りを尽くし、宮廷を支配した猛者。
今はコンキスタドールから略奪したメガリスと、韓信大将軍から得た【紫煙龍】を身に纏う。
難攻不落の要塞と化したビル『万歳大厦』に拠点を置き、銃火器で武装した配下の租界マフィアを従える巨体の主。
黒幇老大『董卓』である。
丘の上にいる董卓とその配下たちも、近づいて来る董卓と呂布に気づく。
「老大! あ、あそこにいるのは、老大じゃないですか!?」
「義父上、あそこにいるのは、義父上ではありませんか!?」
二人の董卓を前にして、視線を右往左往させる配下たち。
その様を気に留めることなく、董卓と董卓は笑みを浮かべて近づいていく。
「会いたかったぞ、わしよ。なんとまあ、随分と肥えておるな?」
「言うではないか、わしよ。そちらこそ酒の匂いがぷんぷんしておるわい」
歩み寄った董卓と董卓が、笑顔で抱擁を交わす。
その直後、二人の身体が眩く光り出す。
「老大!?」「義父上!?」
「我ら、董卓!」「かつての姿は一つの宝貝、『九竜神火罩』!」
「亡き『哪吒』の遺志を継ぎ、再びここに一つとなりて、天へと至ろう!」
「前世の本懐を果たすべく! この地のすべてを淘汰するために!」
「「我ら、スーパー董卓として新生せん!」」
一つに融合した董卓たちが、輝きながら青空へと射出されていく。
呆然と見送る配下たちを置き去りに、スーパー董卓が封神武侠界の宇宙(そら)へと飛び立っていく……。
●招集:前世、彼奴等は一つでした。
「ハーイ、お疲れ様でありますエブリワン!
封神武侠界でデンジャラスなミッションが発生デース!」
バルタン・ノーヴェが居合わせた猟兵たちに呼びかける。
殲神封神大戦が終結しておよそ一月が経過しながらも、韓信大将軍の侵略により予断を許さない状況にある封神武侠界。
そこで、非常に危険な予知を見たという。
「今回の目標は、董卓!
戦争で猛威を振るったオブリビオンマシン『哪吒』が打ち上げようとした殲禍炎剣の衛星型宝貝『九竜神火罩(きゅうりゅうしんかとう)』の残骸から発生した二体のオブリビオンが、融合して本来の性能を発揮しようとしておりマース!
そうなると、封神武侠界の宇宙から地表へと無限にレーザーが放たれる、恐るべき情勢に陥ってしまうのであります!」
なるほど、そのような事態は、防がなければならない。
では、そのオブリビオンは董卓と……。もう一体は? と居合わせた猟兵が問う。
「董卓デース!」 だから、董卓と?
「董卓であります!」 董卓はわかったから。
「デスカラ、今回のオブリビオンは、二体とも董卓なのであります!
董卓&董卓! ダブル董卓! ツインテッドワンダフル董卓であります!」
ポチっとなと、起動したプロジェクターから写される二人の男。
董卓と董卓だった。
一人の董卓が水銀を撒き散らしながら原っぱを歩き、丘の上で待つ紫煙龍を纏わせた董卓と目を合わせ、おもむろに近づいて抱き合う光景が投影される。
そして光り輝く二人が一つになり、空高くへと射出されていく。
はい。
「おわかりいただけマシタカ? そういう訳で、皆様には董卓たちが接触する前に倒してもらわないといけないのであります!」
猟兵たちのリアクションを置き去りに、バルタンは敵のデータを説明し始める。
まずは、酒杯を手にした赤ら顔の董卓のデータを開示する。
「最初に皆様がエンカウントできる方の董卓、相国『董卓』!
こちらは飲酒飲食をすると戦闘力が増加し、宝剣による斬撃波や呂布の亡霊を従えて戦う、油断ならぬ武人デース!
更には韓信から『神器』【水銀の渦】という、始皇帝由来の凶悪な無差別攻撃能力を有しておりマース!」
そして、画面を切り替え、膨よかではちきれんばかりの黒いスーツを着込んだ大男の董卓のデータを開示する。
「そしてこちら、待ち構えている方の董卓が、黒幇老大『董卓』!
重量級の巨体を活かした素早い一撃! メガリスを遠慮なく用いた強力な一撃!
更には戦場に難攻不落の要塞と化したビル『万歳大厦』を出現させて、部下に戦わせるという戦法まで行ううえに!
韓信からユーベルコードを捕食する、編笠に由来する『神器』【紫煙龍】を従えて防御も十分という強敵であります!」
どちらの董卓も、それぞれ韓信の配下となって『神器』を得ているという。
そして、融合すれば衛星軌道上から無限に炎を放つ災厄と化すのだという。
そうなれば……甚大な被害は避けられまい。
絵面はともかく。
「ご理解いただけたようで。
特に、相国『董卓』は黒幇老大『董卓』との合流を優先することが予期されマース!
無理に撃破にこだわらず、消耗させて合流直前に油断したところを撃破! とするのがベターな手だと思われマース!」
合流出来れば董卓の勝ちとなるならば、奴は猟兵と戦わずに逃げに徹することだろう。
融合する間際に目の前で董卓を討たれれば、董卓も冷静さを失うかもしれない。
「それではエブリワン! 董卓ハンティング、よろしくお願いしマース!」
バルタンはそう叫び、グリモアを起動する。
猟兵たちを董卓の元へ送り出すために、テレポートのゲートを開いて銅鑼を鳴らすのだった。
リバーソン
こんにちは。リバーソンです。
マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。
今回の舞台は封神武侠界。建業近郊の日中の原っぱが戦場となります。
破壊された筈の殲禍炎剣の衛星型宝貝『九竜神火罩(きゅうりゅうしんかとう)』の破片から発生した二体のオブリビオン、『相国『董卓』』と『黒幇老大『董卓』を撃破することが目的です。
どちらの董卓も韓信大将軍の配下であり、特記された『神器』を使用します。ご注意ください。
第一章:『相国『董卓』』との戦闘です。
神器【水銀の渦】を所持しており、戦場全体に水銀の渦を発生させながら行動しています。
水銀の渦が存在する間、敵には内臓破壊ダメージを与え続け、自身は水銀を纏って戦闘力強化します。
相国『董卓』は黒幇老大『董卓』との合流を最優先するため、猟兵から全力で逃げます。そのため、この章で撃破することは困難でしょう。
しかしここで大きく消耗させることができれば、第二章での戦闘が優位になります。
プレイングボーナスは、『【水銀の渦】に対策しつつ奇襲攻撃を仕掛ける』です。
第二章:『黒幇老大『董卓』』との戦闘です。
神器【紫煙龍】を所持しており、常に煙でできた「紫煙龍」1体を引き連れています。
これは敵の放つユーベルコードを捕食する性質を持つため、無防備なユーベルコードは打ち消される危険性があります。
第一章で『相国『董卓』』が逃げ切った場合、相国『董卓』も戦闘に参加します。
ただし相国『董卓』は黒幇老大『董卓』と合流することに専念するため、【水銀の渦】以外のユーベルコードは使用しません。
二体のオブリビオンが接触すれば融合の儀式が直ちに行われ、合体した『スーパー董卓』が宇宙に飛んでいきシナリオ失敗となります。ご注意ください。
プレイングボーナスは、『【水銀の渦】と【紫煙龍】に対策する』です。
今回はオープニング公開後の断章はありません。
プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
皆様、よろしくお願いいたします。
第1章 ボス戦
『🌗相国『董卓』』
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POW : 酸鼻凄惨の杯
戦闘中に食べた【酒と肉】の量と質に応じて【鋼鉄が如き強靭な肉体と怪力を宿し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD : 覇王の宝剣
自身が装備する【武将『項羽』が用いた宝剣】から【鋼鉄を容易く切断するレベル数の斬撃波】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【流血】の状態異常を与える。
WIZ : 猛将の亡霊
【亡霊赤兎馬に騎乗した猛将『呂布』の亡霊】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:荒雲ニンザ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「仇死原・アンナ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
天御鏡・百々
二人の董卓とは何と面妖な……
ともあれ、九竜神火罩の復活は阻止せねばなるまい
急ぎ、相国『董卓』を撃破せねばならぬな
下手に近づいても水銀の渦に巻き込まれそうだな
ここは距離を取って狙撃するとしよう
天之浄魔弓(武器:弓)に光の矢をつがえて
逃げる董卓目掛けて、『清浄の矢』を射るぞ
(誘導弾、鎧無視攻撃、スナイパー)
如何に鋼鉄のような肉体になろうとも、魂の穢れを射抜くこの矢には無意味だ
穢れしその魂、浄化してくれようぞ!
距離を取っても水銀が届くようであれば
神通力(武器)の障壁(オーラ防御)にて防御するぞ
●神鏡のヤドリガミ
●本体の神鏡へのダメージ描写NG
●アドリブ、連携歓迎
●破魔の光矢にて追い立てる。
良く晴れた空の下、陽の光を浴びながら原っぱを進むオブリビオン、相国『董卓』。
董卓は機嫌よく酒杯を傾け、酒を浴びるように口にしながら悠々と歩いている。
隙だらけに見えるその姿だが、周囲に神器【水銀の渦】による水銀毒を漂わせ、襲撃に備えて警戒する老獪さは隠せるものではない。
……その水銀の毒により、通り過ぎる道の草が枯れ、近くの鳥獣の命が潰えていることにも、何の頓着も見せていない。
先陣を切り駆け付けた猟兵、とある神社にて御神体として祀られていた破魔の神鏡のヤドリガミ、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は同じ草原の遠く離れた位置に立ち、董卓を見つめていた。
「二人の董卓とは何と面妖な……。
……なんとも、惨い真似をするものだ」
予知で見た二人の董卓という奇妙な事態にも狼狽することなく、百々は毅然とした態度で一人目の董卓である『相国』を見定める。
距離が離れているが故にかなり軽減されているとはいえ、戦場全体に漂う【水銀の渦】の毒は百々のいる場所にまで届いていた。
微量とはいえ、蓄積されれば内臓にダメージを受けてしまう。そのため、百々は事前にその身に宿す神々の力、すなわち『神通力』によりオーラの障壁を展開し、身を守っていた。
神力の効果は絶大であり、百々の周囲の草花もまた、余力の浄化作用で保護されていた。
「ともあれ、九竜神火罩の復活は阻止せねばなるまい。
急ぎ、相国『董卓』を撃破せねばならぬな」
距離を開けている利を活かすべく、董卓を見定めた百々は弓を手に取る。
神力による光の矢を放つことのできる神弓『天之浄魔弓』に光の矢をつがえ、董卓に狙いを定めた。
放たれるは、神聖なる祈りを籠めた光の矢による一撃。
矢は狙い違わず、董卓の胸に突き刺さる。
「ぐおぉ!? な、何じゃあ!? これはっ!?」
矢の衝撃と激痛にもんどり打って倒れる董卓は、胸に突き刺さる光の矢を見て猟兵による攻撃だと理解した。
百々が二の矢をつがえている間に、立ち上がった董卓は矢を放った百々に気づき……わき目も振らず方向を変えて走り出す。
戦うことなく、逃げの一手を打つ。
「む……! 逃げるか、董卓!」
「逃げるわ、猟兵め! ここまで来て、討たれてたまるものかっ!
ごくっごくっ! わしは、わしと共に! はぐっ! 天に至るのじゃあ!」
百々に背を見せて逃げ出した董卓は、走りながら手にした酒を飲み、肉を食らう。
ユーベルコード《酸鼻凄惨の杯》は、摂食した酒と肉の質と量に応じて董卓の戦闘力を強化する。
鋼鉄が如き強靭な肉体をその身に宿し、董卓は汚れた口元を袖で拭いながら高らかに笑う。
「がはははは! 小娘よ、その不意打ちは見事なりぃ!
妙な矢ではあったが、【水銀の渦】と《酸鼻凄惨の杯》で強化されたわしのこの剛力の身体に二度と刺さると痛ぁ!?」
だが、それは何の意味もなさなかった。
なぜならば、百々の放つ矢は《清浄の矢》。
対象の肉体は傷つけることなく、対象の魂の穢れのみを攻撃するユーベルコードである。
どれほど防御力を、戦闘力を高めようとも、その腐敗した魂は守れない。
第二矢が董卓の背に刺さり、その魂を清めんと焦がしていく。
「如何に鋼鉄のような肉体になろうとも、魂の穢れを射抜くこの矢には無意味だ。
穢れしその魂、浄化してくれようぞ!」
「な、貴様、神仙の類だというのか……!? あ、相手にできるかっ……!」
血相を変えて、這う這うの体で逃げる董卓。
百々は三度、四度と光の矢をつがえ、董卓を追いかけながら光矢を射る。
董卓が董卓と合流する前に、できる限りの矢を撃ち込んで董卓の魂を浄化し続けて行く。
大成功
🔵🔵🔵
董・白
董…卓…ですか(そっと目を逸らしつつ)
ああ、うん。
そう来ましたか…。
うん。さっさとしばき倒しましょう。
まずは水銀の渦を持ったおじいさ…もとい董卓ですね。
あの水銀の渦は中々厄介です。
宝貝「霧露乾坤網」を発動します。
この宝貝の力で水銀からのダメージを抑えつつ戦います。
『道術』で黒幇老大の幻影を作り、それで『おびき寄せ』逃走の邪魔を行います。
貴方も三国武将に名を連ねるなら、武人らしく戦いなさい。
あと呂布…あの獣()は絶対許しません。とりあえず死ねー(注:すでに亡霊)
『破魔』の術と雷の『属性攻撃』を付与した雷公鞭を呂布とおじい…もとい董卓に叩きこみます。
※アドリブ変更や他の猟兵との連携は歓迎です
●董の血筋に縁る者。
「うおおおお! こんなところでぇ! 諦めぬぞぉぉぉぉ!!」
猟兵に追い立てられ、逃げる先を誘導された相国『董卓』。
その逃げる先で、とある猟兵が道術を駆使して幻により身を隠し、待ち構えていた。
彼女こそ、僵尸として過ごして幾星霜。
崑崙の竜吉公主の元で仙人修行を修めた不老の仙女。
董・白(尸解仙・f33242)である。
「董……卓……ですか」
白は必死の形相で原っぱを駆ける董卓を見つめ、そっと視線を逸らした。
その董という家名が示すように……白は、かつて暴虐と贅の限りを尽くした暴君、董卓の孫娘である。
眼前にいる董卓は彼女の知る祖父とは異なる存在であろうとも、浅からぬ縁はある存在である。
白も、董卓の名を持つオブリビオンと出会う覚悟はしていたのかもしれないが……よもや『九竜神火罩』の破片から二体の董卓が顕れるなどとは、予想だにしていないだろう。
天を仰ぎ、数秒の沈黙。
「ああ、うん。そう、来ましたか……。
うん。おじいさ……あの董卓をさっさとしばき倒しましょう」
逸らした目の前の現実を直視するべく、白は敵へと視線を戻す。
神器【水銀の渦】が戦場を渦巻く中、董卓は《猛将の亡霊》を用いて呂布を召喚し、伴って現れた赤兎馬の背に相乗りしようとしていた。
徒歩での逃走で疲弊した身体を休めるためか、はたまた赤兎馬の機動力で一気に猟兵たちから距離を取るという算段か。
いずれにせよ、赤兎馬の自由を許せば追撃は難しくなるだろう。
董卓は呂布の腰に手を回し、呂布は義理の父である董卓を守るために手綱を握って赤兎馬を駆けさせる。
「……呂布。どの面下げてと、文句を言いたいところですが……」
呼び出された呂布もまた、白の知らない呂布なのだが……自然と、呂布を見る白の視線に力がこもっている。
白は私情を抑え、董卓が董卓と合流しないように、為すべきことを為すべく宝貝を開帳する。
「この水銀の渦は中々厄介です。お師様、お力お借りします」
起動するは、水を操る《宝貝「霧露乾坤網」(ムロケンコンモウ)》。
白の全身を清らかな水の結界で覆い、白が敵から受けたダメージを回復するとともに負傷に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る宝貝だ。
浸食する神器【水銀の渦】の毒牙が白の身を蝕むも、立ちどころに傷が癒え、癒える度に白を強化していく。
時間が経過するほどに、白は英気を養っていく。
「それでは……こちらですよ、と」
完全に防備を固めた白は、道術を駆使して幻影を作り出す。
それはグリモア猟兵の予知で見知っていた、この後に現れるもう一人の董卓の姿。
黒幇老大『董卓』である。
白自身は幻影で身を隠したまま、原っぱの中に黒幇老大を立たせて大きく手を振らせる。
目立つ董卓の存在に、赤兎馬を操る呂布が気づく。
「お、あれは……義父上! 義父上が求めておられる義父上があそこにいますぞ!」
「な、何っ!? いつの間にここまで来て……いや、おかしいぞ? あれは……?」
幻影に違和感を覚え首をかしげる董卓であったが、召喚された亡霊である呂布には初めてみる董卓の真贋など、区別がつくはずもなく。
嬉々とした様子で進路を変え、呂布が黒幇老大の幻影に向けて赤兎馬を走らせる。
そして白の間合いに踏み入れた。
「……ま、待て、布よ! あれは、あれはわしではない!」
「とりあえず死ねー」
気づいた董卓の静止は間に合わず、呂布への殺意を抑えきれぬ白の『雷公鞭』が炸裂する。
呂布も董卓も不意の攻撃に身構えることもできずに、迸る雷が着弾する。
赤兎馬ごと、二人の男を破魔の術を付与した雷撃で打ち据える。
「ぐわああああ!?」「ぎゃあああああ!?」
呂布に対する思いが込められているのだろうか。普段よりも激しい威力に思われる。
いつもより長めに雷撃をお送りしております。
痙攣する赤兎馬が泡を吹き、脚を折ってその場に跪く。
「ああ、うおおお!!」「おおおおおっ!!」
「あっ」
呂布が董卓の襟首をつかみ、赤兎馬の上から投げ捨てる。
宙を舞う董卓は受け身を取り、そのまま呂布を置き去りにして逃走に移る。
董卓を追おうとする白の前に、赤兎馬から降りた呂布が息も絶え絶えながら立ち塞がる。
「よくやった、布よ! その猟兵を抑えよ、わしが逃げる猶予を稼ぐのだ!」
「ぜぇ、ぜぇ……承知……!」
「董卓、貴方も三国武将に名を連ねるなら、武人らしく戦いなさい」
「将が戦略的勝利を前にして、雑兵と切り結んでたまるかっー!」
「如何にも! 貴様の相手はこの俺だ、猟兵っ!」
方天画戟を構える呂布が白へと斬りかかる。
大きく薙ぎ払われる一撃を、白は軽やかに宙返りして回避して、その手の雷公鞭を呂布の頭へ叩きつける。
「邪魔ですケダモノー」「ぐわああああ!!」
天下無双の豪傑である呂布といえど、一人のオブリビオンではなく使役される亡霊として呼び出された身の上では、そして雷公鞭の直撃を受けた状態では、真価は発揮できない。
白が呂布の亡霊を消し炭にしている間に、董卓は結構遠くまで逃げ延びていた。
「むう……急いで追いかけなければ」
呂布と共に消えて行く赤兎馬の亡霊を一瞥し、白は董卓への追撃に参入する。
成功
🔵🔵🔴
雪代・桜花(サポート)
桜の精の仙人×パーラーメイド、17歳の女です。
普段の口調は女性的(私、~様、です、ます、でしょう、ですか?)
サクラミラージュの山奥で生じた桜の精で、普段は『帝都桜學府』に通いながら色んなアルバイトをしている猟兵です。
UCによる技能強化で他参加者の文字通りのサポート役(戦闘支援の他、一般人相手の情報収集や敵地の偵察、給仕など)が理想です。
UCの『オールワークス!』で状況や目的に応じた手持ちの防具に着替え、その初期技能を上昇させ【情報収集】や【破魔】などでサポートします。あるいは軽機関銃と素の【援護射撃】や【制圧射撃】で戦闘をサポート。
その他、桜の精として影朧の転生やUCによる回復も可能。
●幻朧桜より武侠界へ。
「ぜぇ、ぜぇ……! おのれ、猟兵共め!
わしは、必ずや、スーパー董卓となるっ! これしきの、ことでっ!」
神器【水銀の渦】による毒が充満する原っぱを、相国『董卓』が必死に走っている。
再び呂布を呼び出すまでの、ユーベルコードのクールタイム。
《猛将の亡霊》を再使用できるまでのしばし時間、董卓は自分自身のみで逃げ延びなければならない。
酒杯も食肉も投げ捨てた今、董卓の持つ《覇王の宝剣》だけが頼りの綱であった。
鞘から宝剣を抜いて握りしめ、いつ猟兵の奇襲が来るかと警戒しながら走っている。
そんな董卓は前後左右に気を払うことに精いっぱいで、頭上に注意を向ける余裕はない。
大地を走る董卓を、空中に漂う猟兵が見下ろしている。
「まあ……元気に走っておられるのですね。
……その懸命な想いを、人の為に向けることができれば……」
上空から走る董卓の背を見下ろしているのは、山奥に生まれた儚い桜の精の仙人。
仙境桜に佇む天女、雪代・桜花(桜仙・f23148)。
董卓と董卓の融合を妨げるために駆け付けた猟兵だ。
桜花はユーベルコード《オールワークス!》にて状況や目的に応じた防具に着替え、味方の支援や情報収集活動を得意とする帝都桜學府のアルバイト猟兵だ。
今回は『桜學府制服』に身を包み、『軽機関銃』を構えての奇襲による援護射撃の構えだ。
「……今は、あの方の足を止めることが最優先ですね。では」
桜花は戦場全体に存在する神器【水銀の渦】の悪影響を持ち前の破魔と浄化の力で抑え込み、『軽機関銃』の銃口を眼下と董卓へと向ける。
100レベルに拡張された【戦闘知識】技能から董卓の《覇王の宝剣》の間合いを見定めて、桜花は上空から制圧射撃を開始する。
大量の銃弾が射出され、原っぱに突き刺さり土煙を上げる。
そのうちのいくつかが、董卓の背中に着弾している。
「ぐおおおお!? そ、空から、攻撃を!?
飛んでいる、仙女かっ! ええい、食らえっ!」
生前には見たこともないだろう銃火、それも頭上から降り注ぐ乱れ撃ちに、董卓は気が動転する。
董卓は慌ててながらも宝剣を構え、鋼鉄を容易く切断する斬撃波を放つ。
だが、高度と距離を維持している桜花に届く前に霧散する。
「ふざっ、ふざけっ! 仙人が多すぎやしないか!? わしが何をしたというのだ!!」
「これからあなたが為すことは、地上を炎で焼こうという所業は、到底見過ごせないのです。
董卓様、どうか考え直してはいただけないでしょうか?」
投降を勧告しつつも、桜花は銃撃を止めることなく、董卓の逃げる先を封じている。
そうして時間を稼げば、他の猟兵たちによる包囲がかなうことだろう。
それを理解している董卓は歯噛み、被弾を覚悟して銃撃の雨の中を突っ切って逃げて行く。
桜花が《覇王の宝剣》から逃れるために距離を取っていることで、銃撃のダメージが低下しているがゆえに強行できた様子だ。
それが悪いということではない。近すぎれば、董卓の剣の餌食になっていたかもしれないからだ。
「わしは! 死なぬわぁ! 今行くぞ、もう一人のわしぃ!」
「……この世界を生きる人たちのためにも。このまま逃す訳には参りません。
何卒、御覚悟を」
逃げる董卓の背を追って、桜花は『軽機関銃』の銃口を向けたまま青空を滑空して行く。
成功
🔵🔵🔴
カーバンクル・スカルン
……あれ? 確か董卓ってあの馬に乗ってる呂布とかいう奴に殺されたんじゃなかったっけ。……なら仲間割れを引き起こして足止めをするとしましょう。
すでに別の人が攻撃してくれているおかげで董卓は「殺されるかもしれない」という恐怖を覚えているはず。ならば私が前に出ずとも【集団心理】を発動する条件は成立している!
目前に広がるは、自分の暗殺計画を相談している配下達の幻影。その中には当然、過去の呂布の姿も映っているはず。
これで激怒して有無を言わせずに呂布を攻撃してくれれば最高。もし踏み止まれたとしても、自分を殺すための話し合いをしていた相手に背中を預けることはもう出来ないでしょう?
●因果応報の幻を。
「ぜひっ、ぜひっ……ふぅ! もう少し、あと少しで、わしと合流が叶う……!
急げ、布よ! これ以上、わしを傷つけさせるな!」
「御意に、義父上!」
再び《猛将の亡霊》を用いて召喚し直した呂布と赤兎馬の亡霊に守られながら、相国『董卓』が懸命に逃げ続けている。
董卓は猟兵たちの攻撃から逃れる道中に《覇王の宝剣》は取りこぼし、神器【水銀の渦】による自己強化でかろうじて存在を保っている状態である。
その様子を、渦巻く水銀の毒の中で激痛に耐えながら、身を潜めて見つめている猟兵がいる。
血塗られたジャンクパーツのお嬢様。様々な拷問器具めいた武器を使って暴れ回るお転婆娘。
カーバンクル・スカルン(クリスタリアンのスクラップビルダー?・f12355)が原っぱの草葉の陰(※死んではいません)から董卓を観察し、呟く。
「……あれ? 確か董卓ってあの馬に乗ってる呂布とかいう奴に殺されたんじゃなかったっけ」
カーバンクルの学んだ記憶のように、多くの世界の史実で董卓は呂布に裏切られて死ぬという結末が多い。
封神武侠界でもそうだった可能性が高いだろう。
ならばと、カーバンクルはそこを突く。
「……なら仲間割れを引き起こして足止めをするとしましょう」
キランと目を光らせて、カーバンクルはユーベルコードを静かに起動する。
これまでの猟兵たちの度重なる奇襲を受けたことで、董卓は殺されるかもしれないという恐怖を抱いている。
それ故に、《集団心理(ミンナデワタレバコワクナイ)》の、あらゆる攻撃に対する恐怖の感情を与えている対象に作用するという発動条件は成立している。
草原に広がったユーベルコードにより現れる幻が、董卓へと群がっていく。
「む……ぬぅっ!? またしても敵かっ……数が多いぞ、おい!?」
「義父上、ここは私にお任せを! ハァッ!」
疲弊する董卓の前に大量の人影が見え、狼狽える董卓を守るように呂布が前に出る。
猟兵に回り込まれたかと警戒して下馬した董卓をその場に残し、呂布と赤兎馬が先行する。
方天画戟を振り回す呂布の攻撃が幻影を捉え、そして当たることなくすり抜けて。
呂布を通り過ぎて、大量の群衆が董卓へと駆け寄っていく。
「なにっ、手ごたえがない……!? これは、いったい!?」
「む……呂布の一撃も、水銀の渦も効かぬとなると、これは幻か……? ならば気にせず突っ切れば何の問題も……」
「まったく、董卓の僻心には参ったものよ」「帝の陵まで暴くとは、とても人とは思えぬ」
「……!?」
董卓が取り囲む幻影を突破しようと足を踏み出すが、囁かれた言葉を耳にして動きが止まる。
《集団心理》の効果により召喚された幻影たちが、董卓への罵声の幻聴を撒き散らし始める。
「見よ、あの赤ら顔、あの醜態を。どうすればあそこまで厚顔無恥で居られるのか」
「帝を傀儡として、太后を弑して……おお、何たる奸臣の鑑か」
「き、貴様ら……あれほど目をかけてやった恩を、よくも……!」
董卓の記憶にある、生前に見覚えのある臣下や同僚たちの幻影。
彼らが口にするのは、董卓への不満、愚痴、そして暗殺計画の相談。
董卓の腹にふつふつと沸き上がる、生前の恨み。裏切りの恨み。
勅命があるという大義名分を振りかざし、如何にして董卓を討つかと話している中には、今まさに董卓を守っている男の姿もあった。
「奴は……」
「天下無双の呂布殿が力添えしてくださるならば心強い。あの悪漢董卓に天罰が下ることは間違いありますまい」
「ははは。あのような下衆の養子となって槍を振るっていたことこそ、俺の人生の不名誉よ。
この恥辱は、あの男の血で拭わねばな」
呂布が董卓を殺すと宣う幻影が、董卓の心に突き刺さった。
オブリビオンである董卓の魂に刻まれた、呂布に殺されたという逸話が、董卓の疑心を掻き立てる。
「……布……貴様。……そうだったな……貴様は、わしを裏切った……」
「義父上! 耳を貸してはなりませぬ! 私は貴方の御味方です!」
「……」
幻影を払おうと武器を振るっていた呂布が、董卓に駆け寄ろうと踵を返す。
その呂布へと視線を向けた董卓は、言葉ではなく攻撃を与えた。
すなわち、神器【水銀の渦】の対象に、呂布と赤兎馬を加えたのだ。
猟兵たちの度重なる攻勢に疲弊した董卓の心に、幻影の言葉がトドメを刺した。
董卓は自らのユーベルコードで召喚した協力者でさえ、信じれないほどに追い詰められていた。
「ち、ち……董卓、様……! 私は、俺は……!」
「もうよい。もはや、信じられるのはわしのみよ」
水銀に侵され朽ちて逝く呂布を顧みることなく、董卓は一人草原を走り逃げる。
その様をゆっくりと眺めていたカーバンクルは、うまく行ったと一人笑う。
「いやあ、うまく行ったうまくいった。
そりゃあ、自覚してるくらい好き放題してきたんだしね?
私が手を下さなくてもいいくらい、あなたは怨まれているんですよ」
草むらに身を潜めたまま、カーバンクルは董卓と呂布の分断に成功した。
その後、水銀の毒を現場にいる他の猟兵に浄化してもらって、カーバンクルは固まった身体を解して追討に加わるのであった。
―――相国『董卓』の消耗は著しい。
黒幇老大『董卓』が姿を見せた時に、一気呵成に攻め立てれば、撃破できるはずだ。
大成功
🔵🔵🔵
スピネル・クローバルド(サポート)
『お姉ちゃんに任せておいてね♪』
妖狐のクレリック×アーチャーの女の子です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、兄弟姉妹には「優しい(私、~君、ね、よ、なの、なの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は温厚で人に対して友好的な態度をとります。
滅多に怒る事はなく、穏やかです。
怖そうな敵にも、勇気を持って果敢に挑む一面もあります。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●優しき狙撃手の鋭い矢。
時を少し戻して。
相国『董卓』がまだ《覇王の宝剣》を手放さず、一人で原っぱを駆け抜けていた時のこと。
猟兵たちの遠距離攻撃を浴び続けたことで周囲への警戒心が高まり、後方や頭上の空にも気を払うようになった董卓。
その怯え様を、金髪の妖狐が見つめていた。
「よくも、このわしを……! 猟兵共めぇ……!」
「来ましたね、董卓」
短く呟いたのは、スピネル・クローバルド(家族想いな女の子・f07667)。
おっとりとした少女であるが、平和のためならば弓を手に戦うことを辞さない勇気ある猟兵だ。
「神器は手放さないようですが……マフィアな董卓と合流する前に、その武器だけでも奪っておきましょう」
スピネルは全身にオーラ防御を張ることで、戦場全体に広がる神器【水銀の渦】による毒に耐えて董卓の到着を待っていた。
先行した猟兵たちの行動から董卓の行く手を予測し、地形を利用して回り込んでいた。
今。スピネルは、隠れることなく堂々と草原に立っている。
フリル付きの若草色の『新緑の羽衣』を身に纏い、聖なる力を持つとされる樹木から作られた大きな弓『聖樹の大弓』を構え、静かに董卓の右腕に狙いを定める。
何故か董卓は、草原に自然体で佇むスピネルの存在に気づかない。気づけない。
それこそ、スピネルの使用するユーベルコード、《反逆の狙撃手(アヴェンジ・スナイプ)》によるものだ。
認識阻害の魔術をスピネルに施すことで、彼女の存在を敵の意識から逸らし、万全の態勢で弓での狙撃を可能とするユーベルコードだ。
そして、放たれる矢の威力は……スピネルや仲間たち猟兵の戦いの成果に比例して、強まる。
弓に込められた魔力は―――すでに十分、貯まっている。
「さて……ここですね」
勢いよく放たれた魔力の矢が、的確に董卓の右腕を貫いた。
董卓が飛来する魔力の塊に気づいた時には、すでに攻撃は命中していた。
【水銀の渦】による戦闘力強化により腕そのものを失うことは免れたものの、《覇王の宝剣》を握り続ける力は維持できなくなったようで、自慢の宝剣をその場に落としてしまう。
遅れて来る激痛に、董卓が右腕を押さえて叫び声を上げる。
「なっ、がっ、ああああ!? ま、また、見えぬ矢か!?
どこから、どこから撃ってきた!? どこだぁ猟兵ぃ!」
矢の飛んできた方角に視線を配る董卓だが、《反逆の狙撃手》による認識阻害と持ち前の迷彩能力により原っぱの草と同化しているスピネルを見つけることはできない。
狼狽える董卓に向けて、スピネルは第二の矢を番えて追い打ちをかける。
「あなたは誰に撃たれているかもわからないでしょう。
欲に目が眩んでいるあなたには、私を見つけることはできませんよ」
二の矢、三の矢と、度重なる攻撃を浴びて、董卓は悲鳴を上げながら再び逃げていく。
その場に取り残された《覇王の宝剣》に一瞥して、スピネルは董卓を追跡するのだった。
―――相国『董卓』の消耗は著しい。
黒幇老大『董卓』が姿を見せた時に、一気呵成に攻め立てれば、撃破できるはずだ。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『🌗黒幇老大『董卓』』
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POW : 暴于七海
自身の【コンキスタドールから略奪したメガリス】を代償に、【強欲である程に自身が強化される破壊効果】を籠めた一撃を放つ。自分にとってコンキスタドールから略奪したメガリスを失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 脂龍急襲
【脂肪の下に確かな筋肉を宿した重量級の巨体】による素早い一撃を放つ。また、【葉巻の煙から具現化した「紫煙龍」との連携】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 万歳大厦
【難攻不落の要塞と化したビル「万歳大厦」】から【銃火器で武装した配下の租界マフィア】を放ち、【自身は要塞内で守りを固める。配下達は銃撃】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「黄・於菟」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●断章:やっと会えた二人の董卓。
原っぱが戦場と化して、数分、あるいは数十分が経過した。
浅からぬ傷を負いながらも、そのオブリビオンは健在であった。
戦場全体を今なお覆う水銀の靄の中、相国『董卓』はなりふり構わず猟兵たちの手から逃れ続けて、ようやくその場所に到達した。
そう、グリモア猟兵の予知にあった、董卓と董卓が接触した場所である。
「はぁ、はぁ、はぁ!」
酒杯も宝剣もすでに無く、供である亡霊は董卓自身の意志によって斬り捨てた。
もはや神器【水銀の渦】しか頼れる力はなく、信じられるものは己のみ。
すなわち―――董卓のみ。
「おーい! 董卓ぅー!」「おおっ! 董卓っ!」
そこへ、追い詰められた董卓のもとへ、丘の向こうからスーツに身を包んだ董卓が姿を見せる。
黒幇老大『董卓』である。
神器【紫煙龍】を引き連れ、おのれのユーベルコードを駆使して董卓に接触するべく全力で走っている。
巨体に似合わず、機敏である。
「わしぃ! 大丈夫かっ! 今、行くぞぉ!」「おお! おお! わし、わしよっ!」
董卓と董卓が駆け寄ろうと、疾駆する。
もし、このまま二人が触れ合えば、その瞬間に『スーパー董卓』が顕現することになる。
だが、もうすぐ野望が成就するという目の前で董卓が討たれれば、趨勢は一気に傾くことだろう。
猟兵たちよ……神器の脅威を乗り越え、董卓たちを撃破せよ!
※相国『董卓』が逃げ切ったため、この第二章でも相国『董卓』は登場します。
相国『董卓』及び黒幇老大『董卓』を撃破することが目的となります。
二体のオブリビオンが接触すれば融合の儀式が直ちに行われ、合体した『スーパー董卓』が宇宙に飛んでいきシナリオ失敗となります。ご注意ください。
プレイングボーナスは、『【水銀の渦】と【紫煙龍】に対策する』です。
シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
因みにトランプを使った手品が得意で、必要に応じて皆を楽しませます。
あとはお任せします。宜しくお願いします。
綺咲・ノア(サポート)
探偵騎士の少年です!
皆が幸せになる解決法を提示したり、事件が起こる前に解決できるような"名探偵"を目指しています。
同時に騎士なので人々を守りたい気持ちも強いです。
ユーベルコード【探偵儀式】か【此の世に不可思議など有り得ない】による推理をいい感じに行います!
絶対では無いですが推理の前に
『─さて、』
からはじめてもらえると少し嬉しいです。無理ならいいです。
必要に応じて直接戦闘も行います。複合護身術(バリツ)の使い手です。
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●董卓融合事件! 九竜神火罩の謎!
猟兵たちの追撃をくぐり抜けて出会い、融合を果たそうとする二体のオブリビオン。
相国『董卓』と黒幇老大『董卓』。
それぞれ韓信大将軍から与えられた神器を携え、合体しようと距離を縮めていく。
丘を駆け降りる董卓と、駆け上がる董卓。
そこへ、二人の董卓の間にへと、小銃による威嚇射撃が撃ち込まれる。
董卓たちが足を止めたその隙を縫って、白い馬が割って跳び込む。
「なっ、何奴……! 猟兵か!?」
「なにィ!? さっき連中がもう追いついたのか……!?」
前後に分断された董卓たちを馬上より見下ろすのは、グリモアベースより駆け付けた新たな猟兵たち。
「今回の事件、謎はすべて解けた!」
「この楽しい世界を淘汰するなんて、ひどいことさせないわ!」
白馬『ノアズアルカ』の手綱を握るのは、次世代の探偵騎士。
綺咲・ノア(人間の探偵騎士・f35956)。
その後ろに同乗させてもらっているのは、自由奔放なエルフのプリンセス。
シフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)。
董卓を討ち果たすために集合しつつある仲間たちが追いつくまでの猶予を稼ぐべく、加勢に訪れた二人の若き騎士とナイトである。
「……はっ。小僧に、小娘か。配下を放つまでもないわ!
行くぞ、わしよっ! 我らの神器を合わせるのだ!」
「おお、やってしまおうぞ、わしよっ! 行け、【水銀の渦】!」
相国『董卓』の声援と【水銀の渦】の支援を受け、黒幇老大『董卓』がノアとシフォンに襲い掛かる。
董卓が【紫煙龍】と連携して、ユーベルコード《脂龍急襲》による攻撃を放つ。
脂肪の下に確かな筋肉を宿した重量級の巨体による素早い一撃は、葉巻の煙から具現化した紫煙龍との連携等で身軽になれば、更に加速する強力な攻撃となる。
戦場に広がる水銀の毒と紫煙龍の顎、そして剛力により引き出された大きな拳が、ノアとシフォンに迫り来る。
「死ねぇ! 《脂龍急襲》!」
「こうなる事は予測済み、その攻撃は当たらないわよ!」
シフォンは風水術や占星術の知識により、神器【水銀の渦】の漂う濃淡の分布を予想した。
合わせるユーベルコードは《運命の導き》。
自らの幸運すらも駆使して回避を行うユーベルコードだ。
毒の流れも董卓の拳も予想して、その恩恵を寄りそうノアへともたらした。
「大丈夫! 私が見てるわ、ノアさん!」
「ありがとうございます、シフォンさん!」
シフォンの導きを得て、ノアは踊るように『ノアズアルカ』を走らせる。
紫煙龍の牙も、当たらなければユーベルコードは奪われない。
巧みな手綱さばきで回避を行い、充満する水銀の毒も、紫煙龍と董卓も、ノアとシフォンに触れることができずにいた。
攻勢が落ち着き、一拍呼吸を整えるために董卓が足を止める。
「ぬぅ……! この、ちょこまかと……!」
「─――さて、董卓。
貴方たちの正体は、『哪吒』が放とうとした『九竜神火罩』の破片だ」
董卓と紫煙龍を見つめ、ノアが推理を披露する。
それは、グリモア猟兵の予知から得られた情報を整理して得られた、事件の真相。
「くっ、わしたちの素性が見抜かれていたというのか……!」
「それは、噂のグリモアによる予知なのでは……?」
「さる殲神封神大戦の際、『哪吒』は衛星軌道上に『九竜神火罩』を打ち上げようとした。
何故か? それは、衛星軌道上から無限にレーザーを放つという、恐るべき計画。
炎の破滅(カタストロフ)をもたらそうとしていたからだ」
その通りである。だが、その企みは数多くの猟兵たちの活躍によって防がれた。
『哪吒』は倒され、『九竜神火罩』は破壊され、その計画はとん挫した……はずだった。
「だが、破壊された『九竜神火罩』は殲禍炎剣の宝貝。
クロムキャバリアにおいて殲禍炎剣は高速飛翔体を無差別砲撃する暴走衛星だ。
―――機械であるキャバリアがオブリビオンとして蘇るのならば、『九竜神火罩』もオブリビオンとして蘇るのも不自然ではない!」
「ぐぅっ……! よもやそこまで見通しているとは……!」
「いや、だから、それがどうしたというのだ!?」
とぼける董卓だが、彼らの犯行の動機も予知されている。
ノアは仙界で創り出したメモリ型の宝貝『ディティクティブメモリ』から、グリモア猟兵の予知で得た記憶を……董卓と董卓が合体して、射出される光景を映し出す。
「これが証拠の映像だ。
お前たち二人は、合体することで『九竜神火罩』として蘇ろうとしている。
これまでの先輩たちの戦いで、水銀を用いる方の董卓の端々から零れた単語からも明らかだ」
この後に及んでは、探偵の前で隠し立てることも誤魔化すこともかなわない。
董卓たちは今、真実を突きつけられる。
「今回の事件の【犯人】は、董卓! お前たちだっ!」
《探偵儀式》により、二人の董卓は【犯人】となった。
「ぐ、ぐぅぅぅ……!」
「……それで、それが何だというのだ!?
犯人? 知ったことではないわ!
わしよ、ここでこいつらを始末して、疾く融合を果たそうぞ!」
「はっ。つい、空気に飲まれておったわ……!」
気を取り直した董卓が、紫煙龍を傍らに再び拳を構える。
だが、ノアとシフォンの目的はこれにて達成された。
「どうするか、ですって? あとは、みんなにお任せよ!」
「はい、犯人は特定して……包囲する時間は稼げました。
みなさん! あとはよろしくおねがいします!」
董卓たちの攻撃を回避しながら、『ノアズアルカ』を走らせてノアとシフォンは戦場を駆け抜けていく。
戦線を離れていく猟兵たちに気を取られた董卓たちは、……追いついた三人の猟兵に気づくことが遅れていた。
当初の目的通り、十分に時間を稼ぐことに成功したため、ノアとシフォンは離脱したのだ。
これ以上逃がさないと、董卓たちを接触させないと。
万全に準備を整えた猟兵たちの攻撃が始まる。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
董・白
2人の董卓が出会ってしまいましたか…
2人の董卓…パワーワード過ぎるでしょう…。。
引き続き、【水銀の渦】対策に宝貝「霧露乾坤網」を発動させます。
【紫煙龍】はまずは近づけないことが肝要だと思います。
この太極符印で風の『属性攻撃』で突風を引き起こして、『吹き飛ばし』て近づけませんよ。
それにして…なんというか…武将というより…マフィア?
長安より香港租界に似合いそうな装いで…(遠い目)
まあ、それは兎も角…。
『道術』で強化した『結界術』で銃撃を防ぎつつ、『破魔』の『仙術』による『範囲攻撃』で迎撃します。
董卓…もう時代は貴方を求めていません。天誅!1
打神鞭の『精神攻撃』を二人の董卓に直接叩きつけます。
天御鏡・百々
先ずは合流の阻止こそが最優先か
『惑いの封魔鏡』にて二体の董卓を迷宮に封じ込めよう
これで時間は稼げるはずだ
黒幇老大『董卓』は要塞内に籠城するようであるし
狙うべきはダメージの蓄積している相国『董卓』の方だな
鏡の迷宮で迷っている間に仕留めてしまうとしよう
真朱神楽(武器:薙刀)の薙ぎ払いで租界マフィアを蹴散らし
相国『董卓』へと斬り掛かっていくぞ
医術の心得はある。多少の水銀の毒は無視して
紫煙龍がこちらに来る前に、短期決戦を狙っていくぞ!
敵の隙を作るため、本体の神鏡から放つ光で目潰しし、致命傷を狙う
●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ・連携歓迎
●本体の神鏡へのダメージ描写NG
カーバンクル・スカルン
げっ、逃げられた!? ……けど触れられなければまだ間に合うはず!
【置酒高会】を展開して董卓の間に巨大な壁を建設してそのまま閉じ込める! そして閉じ込め終わったところに5体の機械仕掛けのワニを突撃させる! 機械にいくら水銀を吹きかけても何の意味もないぜー?
そして私の質問に答えるか、ワニ全体を壊さない限りこの包囲網は突破されない。
ちなみに答えてもらう質問は「九竜神火罩の完全なる破壊方法」! もし教えてくれたら速攻で共有して実行に移させてもらうわ!
断ってもワニが噛み付いて、地面を引きずり回して、高圧電流を流し込むだけだけどね?
●スーパー董卓デラックス。
「げっ、逃げられた!? ……けど、触れられなければまだ間に合うはず!」
「うむ! まだ間に合う。短期決戦を狙っていくぞ!」
「2人の董卓が出会ってしまいましたか……。
2人の董卓……パワーワード過ぎるでしょう……」
カーバンクル・スカルン、天御鏡・百々、そして董・白。
彼女たち三人は、相国『董卓』を追い回して大きく消耗させてきた猟兵たちである。
先遣として向かった猟兵たちが時間を稼いでいる間に、三人は董卓たちを逃がさないように、そして接触させないように。
分断させる手筈を調え、万全に準備を整えた。
立ち去っていく二人の後に収まるように董卓たちの間に割り込んで、三人は油断なく董卓たちににらみを利かせる。
あとは、仕留めるだけである。
「あっ! 彼奴等は! わしを痛めつけた猟兵だ!
わしよ、この者共を討ち果たしてくれぇ!」
「わしらの間を引き裂こうとは、不逞の輩よ!
よかろう! 行くぞ、【紫煙龍】! 猟兵共を血祭りにあげるのだ!」
《脂龍急襲》により、紫煙龍と連携して三人の猟兵に駆け寄る黒幇老大『董卓』。
だが、その素早い一撃が放たれるよりも早く、白が準備していた術を起動させる。
「まずは、紫煙龍を近づけないことが肝要です」
先頭に立つ白は【水銀の渦】による毒を浴びながら、『太極符印』を高くかざす。
元素を操作し、多種の結界を生み出すことができるバスケットボールサイズの宝珠から、突風を引き起こして迫る紫煙龍を吹き飛ばした。
ユーベルコードに頼らない白自身が培った術により紫煙龍を遠ざけて、そうして風の結界を張り巡らせる。
「ぐぬぅ! 面妖な術を使いよる!」
「おじい……いえ、董卓。貴方は、私たちに触れることもできないでしょう」
暴風を受けて董卓はたたらを踏み、白までその手は届かない。
百々とカーバンクルを結界の内側にて守りつつ、白はユーベルコードによる陣を敷く。
「お師様、再びお力お借りします」
白が再度振るうは《宝貝「霧露乾坤網」(パオペエムロケンコンモウ)》。
風と水の属性による清らかな結界が、三人の猟兵を覆い水銀の魔の手から護る。
白も、傷ついた身体が回復して戦闘力を増強させていく。
「くっ、厄介な……! わしよ! 奴等を仕留めるのは後だ!
スーパー董卓になればわしらの勝ちぞ、融合を優先するぞ!」
黒幇老大『董卓』がユーベルコード《万歳大厦》を発動させる。
それは、難攻不落の要塞と化したビル『万歳大厦』が出現し、董卓は要塞内で守りを固めつつ銃火器で武装した租界マフィアの配下を放つというものである。
紫煙龍が防がれる状況、身の安全と避難先を用意するという董卓の判断であったが……その選択は、悪手であった。
「老大! 手を!」「俺たちが、ビルにいる老大のもとまでお連れします!」
「おお……董卓の配下、か。……ああ、ご苦労……だな……」
大勢の、黒幇老大『董卓』の配下たちが相国『董卓』の元に集まっていく。
だが先程の襲撃に折、カーバンクルの《集団心理》の効果で董卓以外への猜疑心が強化されている相国『董卓』にとって、黒幇老大『董卓』の配下もまた信じることはできずにいた。
取り囲む配下を警戒し、動きが鈍る相国『董卓』。
そして、黒幇老大『董卓』自らはビルの中に籠るという行動制限が、致命的な隙となった。
「今のうちです、百々様、カーバンクル様」
水銀の毒も紫煙龍の牙も、董卓の拳も届かぬ今。百々とカーバンクルを妨げるものは、いない。
白に守られる中、百々とカーバンクルは息を合わせてユーベルコードを発動させる。
董卓と租界マフィアの配下たちを見据えて、ユーベルコードで捕縛する。
「うむ! 先ずは、合流の阻止こそが最優先か」
「オッケー、それなら檻の中に閉じ込めよう」
二人が選んだのは、異なる二種の隔離技。
董卓と董卓を隔離するべく、現れた配下諸共まとめて封じ込める。
配下の手が相国『董卓』に触れる前に、董卓たちを閉じ込める。
「鏡よ鏡、邪なる者を惑わし、封じ込めよ。
《惑いの封魔鏡(マドイノフウマキョウ)》!」
「さぁ、あなたは何分耐えられる?
《置酒高会(ソーシャブル・インズ・ショータイム)》!」
戦場全体に出現したのは、鏡で出来た迷路と堅牢強固な壁。
悪しき者の方向感覚を狂わせ、召喚された機械仕掛けのワニを倒すまで脱出不可能な監獄が組み合わさって作られた。
「な、なんだ、これは!」「鏡の迷路、だとぉ!?」
「如何にも。董卓よ、鏡の迷宮で存分に惑うが良い」
迷路の中に囚われた董卓たちは、戸惑い、慄き、狼狽えている。
水銀の渦が広がるが、中にいる機械仕掛けのワニには通用しない。
紫煙龍が迷路を捕食しようと噛みつくが、かなりの硬度を持つ鏡は砕けない。
「老大! どこですか、老大!」「あっちだ、いやこれ鏡か!」「こっちだ!」
「はやく、うわぁ! ワ、和邇だ!?」「ま、待て、やめ、ぎぇっ!!」
「何をしている! はやく、わしをここに連れてこい! オイ、そっちじゃない!」
分断された配下たちは、董卓の姿を鏡越しに見て、合流しようと走り回る。
鏡に翻弄され、ぶつかり、右往左往する途中で機械仕掛けのワニに倒されていく。
『万歳大厦』の窓から顔を出した董卓が叱咤するが、鏡で覆われた迷路ではうまく誘導することはできない。
その様を、カーバンクルたち三人が見つめている。
《置酒高会》の副産物として同時に出現した酒場を模した高台から、気を抜くことなくその光景を見下ろしている。
「はっはっは。私の質問に答えるか、ワニ全体を壊さない限りこの包囲網は突破されない。
ちなみに答えてもらう質問は、『九竜神火罩の完全なる破壊方法』だからね!」
「それは良い問いだな。教えてもらえれば直ちにぐりもあべーすにて共有しようぞ」
「でも、答えるつもりはなさそうですね。
……あ、見てください。水銀の方の董卓が、追い詰められて…」
猟兵たちが観覧する眼下にて、機械仕掛けのワニが相国『董卓』に迫っている。
そのことに気づいた黒幇老大『董卓』が身を乗り出して声を張り上げるが、間に合わない。
「逃げろ、わしっ! 諦めるな、わしぃ!」
「ぐぇぇ……! む、無念! わしらの、スーパー董卓の夢が、こんな……。
ぎゃあああああああ!?」
「待て、わしっ! 死ぬな、わしぃぃぃ!!」
武器もなく、水銀が効かない以上、相国『董卓』になすすべはない。
ワニが董卓の脚を噛み、地面を引きずり回して、高圧電流を流し込んだ。
断末魔を上げて、董卓の一人がワニに蹂躙され、見るも無残に撃破される。
片割れである相国『董卓』を失い、『スーパー董卓』という野望を打ち砕かれた黒幇老大『董卓』が、悲痛な叫びを上げる。
「おお、おおおお……! 董卓、董卓ぅ……! なぜ、どうして……!」
ビルの窓辺から迷路を見下ろし、董卓の死に慟哭する董卓。
そこに向けて、その精神的動揺の隙をついて、白と百々が高台から跳びかかる。
風の結界の応用で空中機動を可能とした白が打ち据えることで敵の精神にダメージを与える『打神鞭』を掲げ、その結界に力を合わせて同乗する百々が朱色に塗られた薙刀『真朱神楽』を構えて、身を乗り出している董卓へと強襲を仕掛ける。
「老大! 危ない!」「くそ、やらせるかぁ!」
鏡の迷路の中から、ワニに襲われながらも頭上に銃を向ける租界マフィアの配下たち。
銃撃により一時的にでも猟兵の動きを封じようと、我が身を顧みない発砲を行う。
しかしそれら微かな抵抗は、百々の神鏡から放たれる光で妨げられ、白の道術で強化した結界で防がれる。
【水銀の渦】が機能を停止した今、【紫煙龍】だけでは二人の猟兵を押さえることはできず突風で吹き飛ばされる。
誰も白と百々の動きを止めることが出来ず、はっとした董卓が慌てて拳を握り締めるも、一手間に合わない。
「董卓……もう時代は貴方を求めていません。天誅!!」
「観念せよ、汝の野望はここに潰えるのだ!」
『打神鞭』の殴打を頭部に受けて精神が揺さぶられ、『真朱神楽』の薙ぎ払いで袈裟切りに斬り伏せられ、黒幇老大『董卓』が致命傷を負う。
「もう少し、もう少しだったのに……! わしらが、この天下、をぉ……!」
董卓はぐらりと体勢を崩し、巨体がビルの窓から転落する。
地上の檻の迷路に叩きつけられ、黒幇老大『董卓』が消滅する。
頭目の撃破に合わせ、付き従っていた配下たちも次々に消えていく。
―――建業近郊の平地に、静寂が戻ってきた。
百々とカーバンクルがユーベルコードを解除した後、残されたのは二つの大きな破片。
董卓たちを生み出した元凶、『九竜神火罩』の破片であった。
白と百々が、破片の前で手を合わせ、祈る。
「……董卓。……」
「……安らかに眠られよ」
董卓融合による『九竜神火罩』の再稼働を未然に防ぎ、猟兵たちはこの世界の平穏を維持したのであった。
「……ところでこれ、持って帰ったら何かわかるかな?」
「それは……」「ふむ……」
そしてその後、破片の残骸がどうなったのか。それは各々の判断に委ねられる。
大成功
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