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とある地方都市の遊園地。
ツムジという少女が、楽しげに周囲を見回していた。
ツムジは高校一年生。
彼女は遊園地がとても好きだ。乗り物はどれも――ジェットコースターもメリーゴーラウンドも、何十回乗っても飽きない。お化け屋敷で騒ぐのも、広場でまったりするのも大好きだ。
今日も一人で遊園地を満喫するためにやってきたツムジ。そのツムジが、ふと足を止める。さっきから、みんなが自分を見ている気がしたのだ。
すぐ横のベンチに座るカップルが自分を見つめている。前方にいる親子連れも、風船を手にしたスタッフも、ただ立ち止まって自分をじぃっと見ている。
子供も、大人も、男も、女も、スタッフも客も、みながみな、ツムジを凝視しているのだ。
彼らが一斉に声をあげた。
「「ツムジ様、万歳!」」
名前を知りもしないはずの、初対面の人間達が。ツムジは絶句し、立ちすくんでしまう。
「ツムジ様万歳」「ツムジ様万歳」
声をあげながら、彼らはツムジを取り囲み、近づき、手を伸ばし、そして体を掴んで持ち上げた。
「な、なに?! なにがおこってるの?」
ツムジはなすすべなく、群衆に担がれ、遊園地の隅へ運ばれていく。
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グリモアベースで。グリモア猟兵のベッキー・ウッドが皆に話を切り出した。
「はろー、皆。UDCアースのとある遊園地で、ツムジさんという女の子が、事件に遭遇するのを確認したよ」
ツムジは実は恐るべき『邪神の仔』としての素質を持つUDCだ。だが、そんな自分に気が付かず、普通の人間として生活している。
そんなツムジを覚醒させるべく、UDC怪物がツムジに接触したのだ。
ツムジが自分の本来の性質と能力を自覚し、UDCとして目覚めてしまえば、周囲に――いや、世界に大きな被害を与えるだろう。
「そうなる前に、ツムジに接触しようとしているUDC怪物たちを退治してほしいんだ」
ツムジは今、遊園地の隅の倉庫に閉じ込められている。そこにはUDC怪物の群れもいるのだ。
「この倉庫に行くのは簡単だけど――」
けれど遊園地内の一般人たちはスタッフも客も、大人も子供も全員が催眠状態にあり、UDC怪物のために動こうとする。
彼らを放置したまま戦闘に入れば、一般人たちがUDC怪物を庇おうとするため、危険だ。
「だからまず、遊園地内のあちこちにいる一般人たちを拘束したり気絶させたりして無力化してほしい」
一般人たちは猟兵たちをみると、外に追い出そうとしてくるが、あくまで一般人、戦闘力では猟兵たちに及ばない。
「でも、大きな怪我をさせたりしないように気を付けて。UDC怪物を倒せば、彼らは操られていた時の記憶をなくして正気に戻るんだから」
一般人の無力化に成功すれば、次は倉庫内にいるUDC怪物との戦いになる。
「ツムジさんは邪神の仔の素質を持っているけど、今は遊園地が好きな普通の女の子。
ツムジさんのこと、どうか助けてあげて!」
支倉みかん
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支倉みかんです。ご閲覧ありがとうございます。
今回の舞台はUDCアースの遊園地。
『邪神の仔』の素質を持つ少女ツムジが、UDC怪物に遊園地の隅の倉庫に閉じ込められてしまいました。
どうか彼女を助け出してください。
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第一章では、遊園地のあちこちにいる一般人を無力化することが目的となります。
園内の一般人たちは現在催眠状態にあり、UDC怪物のために動こうとします。
猟兵たちを見ると、遊園地の外に追い出すために暴力をふるおうとします。
彼らに大きな怪我を与えないように、拘束したり気絶させたりしてください。
第一章ではUDC怪物は現れません。一般人の対処に力を注いでください。
第二章でUDC怪物を撃破すれば、一般人たちは操られていた時の記憶を失い、正気を取り戻します。
第二章はUDC怪物の群れとの戦い、第三章は日常シナリオでのツムジのケアとなります。
皆様の個性と力を発揮しシナリオを成功に導いてください。
よろしくお願いします。
第1章 冒険
『操られた人たち』
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POW : ややこしいのでぶん殴って気絶させる。
SPD : 遠回りをしたり、素早く走って逃げる。
WIZ : 操られている仲間のフリをしたり、交渉を試みる。
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
尾守・夜野
「んー夏に遊ぶ時にでも使おうと思ってたんだがなぁ
一足先に遊べるんだ
お前さんらは幸運だぜ」
見つからないように隠れてUC発動するぜ
「あそこだけは除外してくれ
それ以外は遊び相手にしてくれて構わんよ」
手短に呼び出した演出担当者と状況はすり合わせ作戦開始
まぁ…死人は出ないようになってるが
UCとして呼んでるからか普段見られない奴らもこう…な?
テンション上がってるから
デビキンの悪魔さん達が清涼剤だなー
目立つ皆を囮に潜んで拘束してくぜ
あ、洗脳されてて反応薄いからどんどんエスカレート…
事故物件にはならないよう記録からは削除するから…
見なかったことに
「?!ぎゃー!」
なお、例外は…だけなので俺も被害に合う
●
尾守・夜野は遊園地への侵入を果たしていた。今は建物の陰に隠れ、園内を伺っている。
園内の人間は、大人も子供も、身動き一つせず立っていた。彼らは操られているのだ。
夜野は呪具を取り出す。
「夏に遊ぶときにでも使おうと思ってたんだがなぁ。一足先に遊べるんだ、お前さんらは幸運だぜ」
宙に禍々しいメッセージを紡ぎ、【千選恐々】を行使。悪魔や妖怪といった異形たちを出現させた。
夜野は園内の一部を指し、
「あそこだけは除外してくれ。それ以外は遊び相手にして構わんよ」
夜野の言葉に、はしゃぎ頷く異形たち。
異形たちは作戦を開始。悪魔たちが一般人の前へ飛び出、顔の前でクラッカーをパン。妖怪たちは宙で人魂を旋回させた。
人間達は洗脳されているが故に無表情の顔を異形たちにむけ、追い出そうと体を動かす。
その隙を突き、夜野は足音を忍ばせ移動。一般人のうち、中年男性の背後に回り、手にした縄をくるりと巻き付け、縛る。
「一丁あがりっと。じゃあ次はあいつを……」
異形たちを囮に使うことで、夜野は操られた一般人たちを手際よく次々に拘束していった。
一方。異形たちの行動はどんどんとエスカレート。一体が巨大化し地面をどすんと揺らしさらに口から火を噴き出す。
夜野の傍にいた悪魔も、大張り切りで巨大な爆弾を持ち上げていた。その悪魔が夜野に体を向ける。
「お前、なぜ俺を見て――」
悪魔は夜野が言い終えるのを待たず、ヒャッハーと叫び爆弾を投擲。
「あっ、俺を攻撃するなと言い忘――ぎゃーーっ!」
夜野の悲鳴と爆音がこだまする。
大成功
🔵🔵🔵
姫神・咲夜(サポート)
桜の精の死霊術士×悪魔召喚士、女性です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、
片思いの人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
清楚で女流階級風の口調で、お淑やかな性格です。
基本的に平和的な解決を望みますが
戦わざるを得ない時は果敢に戦いに向かう勇敢さを持っています。
あとはおまかせです。よろしくおねがいします!
レイン・ファリエル(サポート)
『さぁ、貴方の本気を見せて下さい』
人間のサイキッカー×ダークヒーローの女の子です。
普段の口調は「クールで丁寧(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、機嫌が悪いと「無口(私、アナタ、ね、よ、なの、かしら?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は落ち着いてクールな感じのミステリアスな少女です。
人と話すのも好きなので、様々なアドリブ会話描写も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
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姫神・咲夜とレイン・ファリエルは、遊園地の入り口付近で作戦を打ち合わせていた。
彼女たちがこれからするべきは、操られた一般人の無力化。
「一般人の方には罪はありませんが、彼らを戦いに巻き込むわけにはいきません。心苦しくとも躊躇ってはいけませんね」
「そうですね。やるべきことは速やかに終わらせましょう。――姫神さん、初手はお願いします」
二人はピンクと青の瞳で視線を交わし、頷き合い、作戦を遂行するため動き出す。
咲夜は建物と建物の間の細い通路へと移動。
白桜の魔杖の柄を強く握り、目を閉じ精神を集中。数秒後目を開き、【悪魔召喚「アスモデウス」】を発動。
呼び出された悪魔は火球を発生させ、その球を破裂させた。ズドン!! 地を揺らさんばかりに響く爆音。
咲夜は手をメガホン代わりにして叫ぶ。
「大変です。侵入者がここに! 侵入者がここに!」
数秒待たずに、複数の足音が聞こえた。操られた一般人たちが炎と声におびき寄せられ、近づいてきているのだ。
「侵入者はこちらです」
咲夜の声に反応し、一般人たちは通路へと入り込んでくる。
「侵入者を追い出せ!」「ツムジ様のために追い出せ!」
叫びながら、アスモデウスへ突進する一般人達。
咲夜は、視線を上方、屋根の上へ向ける。声に出さず、唇だけを動かした。
「お願いします、レインさん……!」
レインは建物の屋根の上に潜んでいた。気配は完璧に消している。一般人たちを操る非道への怒りによって【アサシン・ソウル】を発動し、隠密能力にたけた暗殺者に変身しているのだ。
レインは屋根の下に目を向ける。一般人たちが咲夜に誘き出されたのを視認し、一般人たちの背後へ降りたった。ウェーブのかかった紫髪がふわりと揺れた。
レインの着地は無音、故に一般人たちはレインに気付かない。
「申し訳ありませんが、拘束させていただきます」
レインはサイレントナイトメアを使い、エナジーを増幅させ放つ。一般人たちの足を掬い上げ転倒させた。
彼らが立ち上がるより早く、レインは彼らに駆け寄る。仲間より借りたロープで彼らの腕と足を縛る。無駄のない動きで、拘束。
「事件が解決するまで、どうか大人しくしていてくださいね」
深々と一礼するレイン。
二人の活躍によって、操られた一般人の多くは行動不能に。二人は園内を走り、他の一般人たちを探す。
「早く終わらせてツムジさんを助けに行かないといけませんね」
「ええ。一刻も早く。オブリビオンと同じ場所で、辛い思いをなさっているでしょうから」
一秒でも早く事件を解決するために、咲夜とレインは脚を速める。二人の瞳に決意の色。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鳶沢・成美
やれやれ、一般の方々の相手とは骨が折れますね
怪我をさせない様に対処するには……
よし【精霊助力ノ法】でいきましょうか
こんな状況では、遊園地の精霊さんたちも困っているでしょうから
力を貸してくれるでしょう
精霊さんたちに頼んで操られた一般人たちを建物の中に誘導
ベンチやなんやらでバリケードを作って、出入口を塞いで閉じ込めてしまいましょう
ああ、この立体迷路ビルなんていいですね、しばらく閉じ込めておくのにちょうどいい
ふう、〔元気ガンガンドリンク〕で疲れを癒してもうひと踏ん張りですね
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鳶沢・成美は、遊園地内を見回し、大きく肩をすくめた。
「やれやれ、一般の方々の相手とは骨が折れますね。この場合の対処は……」
陰陽師入門を取り出しパラパラとページを捲る。指を止め、
「精霊さん、精霊さん、ちょっと助ていただきませんか?」
【精霊助力ノ法】にて遊園地の精霊たちを召喚。
おねがいします、と成美が顔の前で手を合わせると、精霊たちは微笑しふわふわ園内を飛び回りだした。
はたして操られた一般人たちが精霊たちに気づき、精霊たちを追いかけだす。
精霊たちは一般人が追い付けぬ速度で飛び、園内の一角の建物「立体迷路ビル」へ彼らを誘導。
成美は建物入口付近の茂みに隠れていた。一般人たちが精霊を追い建物内に入ったのを確認。
「うまくいきましたね。精霊さんたちが快く協力してくれて助かりました。この状況だから精霊さんたちも困ってたんでしょう……さて」
茂みから出ると、近くに設置してあったベンチや備品を「よいしょっ」と担ぐ。それらを立体迷路ビルの出入口の前に積み上げ封鎖。そして内部へ声をかける。大声で、でもどこか飄々と。
「悪いけど、しばらく迷路で遊んでてくださいね? 事件が終わったら出れますからー」
その後、成美は園内を回り、一般人を全員無力化できたのを確認。
成美は協力してくれた精霊たちに軽くお辞儀した。成美の額にうっすらと汗。精霊の力を使った故に消耗している。
成美は顔をあげ、元気ガンガンドリンクに口をつける。そして深呼吸。
「さーて、もうひと踏ん張りですね」
成美は遊園地隅の倉庫へ向かう。あくまで普段通りの表情で、けれども足早に。オブリビオンに囚われた少女を救うため。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『繋ぎ合わされし者たち』
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POW : オ、オマエハ……俺ノ、餌ダ!
【飢えを抑えられず、リミッターの外れた姿】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 俺ノ身体ハ……モウ、長クナイ
【猟犬の嗅覚と反射神経】【虎の腕力と家猫のしなやかさ】【狐と狸の狡猾さと馬の脚力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 死ヌ前ニ、オマエタチダケ、ハ……!
自身に【決死の覚悟】をまとい、高速移動と【身体の継ぎ目から吹き出す、血の斬撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
イラスト:白狼印けい
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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操られた一般人の無力化に成功した猟兵たちは、倉庫内に足を踏み入れた。
そこはほとんど物がないだだっ広い空間。その中央に、長髪の少女――ツムジが座っていた。
「いや……なに、何が起こってるの?」
座り込み目に涙をうかべるツムジを、人型をした存在達が取り囲んでいる。
人間の体をベースに犬や虎や狐、さまざまな動物の部位を繋ぎ合わされた者たち。
彼らは、ツムジに語り掛けている。
「ツムジ様、助ケテ……」
「ツムジ様、ツムジ様」
「助ケテ、ツムジ様」
同じ言葉を何度も何度も。目に涙をためながら。救いを懇願し続ける。
ツムジは怯え、
「なんなの、私は遊園地に遊びに来ただけなのに、今日も楽しもうって思ってただけなのに――もういやああ」
ぽろぽろと涙を流した。
ツムジは邪神の仔としての素質を持つ。このまま放置しておけば、恐怖の中、ツムジは自らの素質に目覚め、大惨事を起こすだろう。
その前に、ツムジの覚醒を促そうとするオブリビオン共を退治しなくてはならない。
ただし、ツムジが傷つけば、己の素質に覚醒し暴走してしまう可能性もある。攻撃の際はツムジを巻き込まないよう注意が必要だ。
猟兵たちは、ツムジを救うべく、オブリビオンを倒すべく、それぞれ武器を構える!
尾守・夜野
…これ以上恐怖を与えるのは愚策か
「何やらお声が…お客様!?
何故…次回パレードの練習で今日は閉鎖してた筈…否
今はそれどころじゃ
どうかされまし…って
すいません
開発中の機材が何かしてしまい
すぐにどけますので少々お待ち下さい
企業秘密な物ですから可能でしたら目と耳を塞いで下さると幸いです
こちらの布をよろしければお使いください」
従業員っぽい格好、言動で黒纏、布止め用に身代わりの宝珠を貸しだそう
「…はぁ…だからロボット導入するのは嫌だったんだ
動作の安定性も確保出来てないし見た目もこれじゃマスコットにならないよ」
ぶつくさ愚痴を溢し何か言われても誰か音声データ変えたとか誤魔化す
敵は投げ飛ばし兎に角守るの優先
●
作業員に扮した尾守・夜野は倉庫に入るなり、
「お客様?! 何故……今日は遊園地は閉鎖してた筈……否、それよりどうされまし……」
慌てた声をあげ駆ける。オブリビオンたちを押しのけ、倉庫中央のツムジの前へ。
「邪魔スルナ!」
オブリビオン一体が、腕を巨大化させ殴りかかってきた。夜野はその敵の腕を両手で掴み、壁へ放り投げる!
そして何もなかったように、ツムジへ微笑。
「すいません。開発中の機材が何かしてしまい。すぐどけますのでお待ち下さい」
ツムジの恐怖を和らげるべく、夜野は嘘をつく。己は遊園地の作業員で、周りにいるのは機材だと。
ツムジは混乱した顔で、
「機材? えぇ? でも私の名前を……」
「おや。お客様は、次のイベントのヒロインと同じ名前ですか。凄い偶然ですね。それと――」
夜野はツムジに考える余裕を与えぬよう滑らかに答え、
「あの機材は企業秘密な物ですから、可能でしたら撤去完了まで目と耳を塞いで下さると幸いです。よろしければこちらの布を」
黒纏と身代わりの宝珠を渡す。ツムジは未だ怯え困惑しつつも、夜野の笑顔と声に従い布で顔を覆ってくれた。
「はぁ……だからロボットの導入は嫌だったんだ。動作の安定性も確保できてないし……」
ツムジを安心させるため演技を続けつつ、夜野は敵どもを睨む。
敵どもは夜野に拳を叩きつけようとするが、夜野は腕を振る。攻撃を払いガード。逆に敵の服を取り今度は床へ投げつける!
夜野は仲間に赤い瞳を向けた。自分がツムジを守るから皆は攻撃に集中を――と視線で告げた。
大成功
🔵🔵🔵
キング・ノーライフ
ふむ、窮地に間に合ったようだな。どうやら崇めるというより苦しみ続ける状態に救いを求めたという感じか。ならば解放してやるのが神の務めか。
ノーライフの【誘導弾】を撃ちまくって【王への供物】発動、当たれば皆美少年であれ美女であれ人の姿形になる。これで飢えも苦しみも一時的に無くせるのではないか?
そして「辛かったな、苦しかったな、もう苦しまないで良いのだぞ」と【誘惑】しながら抱きしめたり、撫でてやりながら二撃目の生命力吸収と【浄化】をして出来るだけ無痛で眠らせるように退治する。
派手に戦うのもいいが、覚醒の引き金になっても悪手だ。
それにこやつ等は被害者のなれの果てのような存在。
救いを施しても悪くあるまい。
●
キング・ノーライフは倉庫入口に凛と立つ。
「窮地に間に合ったようだな。派手に戦うのもいいが、少女の覚醒の引き金になっても悪手だ。ならば――」
オブリビオン数体がキングの存在に気づき、突進してくる。
「ア、アア、体ガ、イタムゥ……ッ!!」
口をから苦悶の声を目から涙を零しつつ、殴り掛かってくるオブリビオンども。
キングは腕を振る。王の籠手で敵どもの拳を払いのけると、後ろへ跳ぶ。
キングは一丁の銃・ノーライフを構えた。
「汝らの体は、常時苦痛を感じるようにされてしまったのだな。誘拐したのは、崇拝というより救済を求めたからか――ならば我が神の務めを果たそう」
【王への供物】を発動し連続で発砲。弾丸がオブリビオンたちに命中。銃撃を受けた者たちの体が光りだす。彼らの体は脈打ち、美しき人の姿へと変貌。
「?! 痛ミ、消エ……」
戸惑った声をあげるオブリビオンをキングは抱きしめた。
「辛かったな、苦しかったな。もう苦しまなくていいのだぞ」
金の瞳に相手への共感の色を浮かべるキング。オブリビオンは抵抗せず、
「苦シマナクテ……イイ?」
「ああ、神たる我が保証する。もう大丈夫だ。何も考えず目を閉じると良い」
キングは頷きつつ銃口を相手の背に宛がう。二発目の銃弾を発射。キングは、苦痛のない、眠りに落ちるかのような死を、彼に与えた。
一体一体に言葉をかけ、抱擁し、終わらせていくキング。オブリビオンの数は着実に減ってゆく。
キングは残る者たちにも『救い』を与えるべく、銃の引き金に再び指をかけた。
大成功
🔵🔵🔵
銀花・甘雪(サポート)
雪女の戦巫女×白虎拳士、17歳の女です。
普段の口調は「元気」(わたし、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )、機嫌が良いと 「間延びした声」(わたしぃ、~さん、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)です。
非常に寒がりなので、常に寒冷適応や氷結耐性を使っています。
ユーベルコードは相手を倒すためであれば自身が戦闘不能になってでも、シチュエーションに適した物を使用します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせです、よろしくおねがいします!
御門・儚(サポート)
人間の神器遣い×スピリットヒーロー、29歳の男です。
普段の口調ぽややん(オレ、君、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな? )
真剣な時は クール(俺、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)です。
シルバーレイン世界で後輩を見守りつつ、こっそり手助けしています。「目立つのは嫌なのであくまでもこっそりで内緒内緒だよ?」
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
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分厚い防寒着を纏った銀花・甘雪は、倉庫内にいるオブリビオンたちを青い瞳で睨む。
「女の子を誘拐し、自分のために利用しようなんて、許せない! その企み、私が阻止してみせるよっ」
甘雪の声を聞いたか。オブリビオンたちが殺意を向けてきた。目に決死の覚悟を浮かべ、甘雪へ駆けてくる。
「死ヌ前ニ殺ス……!」
「わたしは殺されるわけにはいかないの!」
断固とした口調で言い返す甘雪。甘雪は白魔扇を一振り。吹雪を発生させる。氷と冷気で敵の動きを鈍らせた。
敵はそれでもなお、甘雪を殴ろうとするが、甘雪は舞うような所作で右に左に体をずらし、凍える敵の攻撃のことごとくを避ける。そしてさらなる吹雪を敵に浴びせかけた!
御門・儚は緑色の瞳で仲間の奮戦を観察していた。
甘雪はその能力と動きで敵を翻弄していたが、敵数は多い。一体が甘雪の死角から攻撃しようとしているのに、儚は気付く。
儚は床を蹴り、駆ける。黒のしっぽ髪と葬送用戦闘服【シロカニペ】の裾をなびかせ。
「残念だけど、君の思い通りにはならないよ」
儚は不意を打とうとしていた一体の側面を取り、手甲に付いた鉤爪で敵の喉を裂く!
「さて。目立つのは嫌なので、できるだけ素早く決めてしまわないとねぇ」
ぽやっとした声で言いながら、けれど儚は機敏に動く。
自分たちを囲もうとするオブリビオンたちに、不如帰を投げ牽制。そして跳躍。敵どもの前に着地し、鉤爪を振り回す!
「オマエタチダケハ、コロスゥゥ……!」
怨嗟のこもった声をあげるオブリビオンたち。その体の継ぎ目から、大量の血が噴き出した。血はたちまちに凝固。鋭いナイフのように体を切り裂かんと、二人めがけ飛んでくる。
甘雪と儚はアイコンタクトをとり、呼吸を合わせ行動。
「尻尾から出てくる分身達よ! 雪女の力、存分に振るいなさい!」
甘雪が行使したのは【雪花流・雪像分身】。モフモフの尻尾から飛び出した分身九体が、飛んでくる血のナイフへ、氷と雪を投げつける
「殺すなんて威勢のいい言葉は、これを凌いでから言いなよ!」
儚は宙に不如帰を大量に放り上げた。その暗器たちが白い花弁や蝶に姿を変え、不規則な動きで宙を舞う。【雪華蝶乱舞】!
甘雪と分身の放った氷と、儚の花弁が、血液のナイフを破壊。さらに氷は敵の体を凍らせ、花弁が肌を切り裂く!
二人の連携攻撃に、ばたりばたり、倒れていくオブリビオンたち。
「かなり敵は倒したけど、まだ残ってるね」
「ああ……まだまだやる気みたいだねぇ。最後まで手を抜かないでいこっか」
甘雪は白魔扇を振り、儚は不如帰の投擲を続行。勝利を得るべく、二人は力を使い続ける!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
鳶沢・成美
さて、どうしたものかな? あんまり血とか出ない方向性でいくとして
一気に範囲攻撃って事で【氷雪竜巻】でいきますかね
これちゃんと指定すれば敵だけ当たるんですよね、自分でやっておきながら不思議なもんです
そういえば敵は飢えてるんでしたっけ?
じゃあ餌だなんだって言ってるし〔贈答用缶詰セット〕を幾つか開封して
見せびらかしてみますか、こっちに引き付けられるかもしれないし
彼らもかわいそうな存在かもしれませんが、邪神の覚醒は防がないと……
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鳶沢・成美は倉庫内を素早く見回す。
オブリビオンたちの数は既に激減。残った者たちが奥のツムジに顔を向け、
「助ケテ……!」懇願の声をあげた。ツムジは、猟兵の一人に与えられた布で顔を覆ったまま、震える。
成美は、
「こっちです!」
声をあげ、缶詰の蓋を開け床に並べた。漂う肉や魚の香り。敵の注意をツムジからそらすための行動。
「邪魔スル、ナ……!」
オブリビオンたちは成美に顔を向けた。成美が攻撃してくると思ったか、牙を剥き出し飛び掛かってくる。
(彼らもかわいそうな存在かもしれませんが、邪神の覚醒は防がないと……)
成美は口の中で言いながら、嵐と慈雨の神の加護を持つもの――バールの如きそれで、飛んできた敵をはたき落とす!
「このまま普通に戦えば、ツムジさんを怖がらせてしまう……なら」
成美は両手を前に突き出す。
「舞え、氷の龍よ、アイストルネード……なんちゃって」
真面目な顔で詠唱すると見せかけ、最後にはおどけたように肩を竦める成美。その成美の周囲に無数の氷の粒が無数に現れる。【氷雪竜巻】!
成美はオブリビオンたちの体に氷を降り注がせた。その寒さと痛みに悲鳴を上げるオブリビオン。
オブリビオンは己の体を変化させ、攻撃に耐えようとするが――
「そうはさせません」
成美は精神を集中、さらに大量の氷の粒を生成。敵が変身を終えるより早く、数多の氷の粒で敵の体力を削り切る!
オブリビオンたちのもがきと悲鳴は徐々に小さくなり――そしてオブリビオンたちは、永遠に沈黙した。
オブリビオンたちの体は消滅した。倉庫内に残ったのは猟兵たちと、そして少女ツムジ。
「布をどけて目を開けてくださって大丈夫ですよ。怖いことはもう何もありませんから」
優しく声をかけ、手を差し出す成美。
ツムジは布をどけ猟兵たちを見る。表情には怯えと混乱が残っていた。まだ上手く喋ることもままならないようだ。それでも猟兵たちの優しさに安心したのか、差し出した手を受け取った。
猟兵たちは、救出に成功した少女ツムジをUDC組織に保護してもらうため、彼女を連れ倉庫を出るのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 日常
『遊園地デート』
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POW : とりあえず広場でおいかけっこする!?
SPD : 射的で好きな景品をとってあげる!?
WIZ : リアル脱出ゲームのアトラクションで、大活躍?!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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『邪神の仔』の素質を持つ少女、ツムジ。
猟兵たちはオブリビオンに囚われていた彼女を無事に救うことに成功。
猟兵たちはツムジをUDC組織に預け、彼女は無事UDC組織の保護下に入った。
UDC組織はツムジに事情を説明し、提案。
「記憶処置を受け、今回のことを忘れたうえで日常生活に戻ってほしい。彼女の生活が安全なものになるよう、組織が秘密裏にバックアップするから」と。
ツムジは概ね同意したが――一つお願いをしてきた。
記憶を消す前に「遊園地で遊びたい」と。
「正直、遊園地で事件に巻き込まれたから、遊園地がまだ少し怖いんです。
記憶を消した後も、万が一、大好きな遊園地を怖がる気持ちが少しでも残ったら嫌。だから、今、怖がる気持ちを忘れるくらい遊園地を楽しんでおきたいって思うの」
そこで、猟兵たちが、ツムジと一緒に遊園地で遊ぶことになった。
そして事件から数日後。遊園地の入り口にツムジと猟兵たちは立っていた。ツムジは精一杯おめかしした姿。お気に入りのポシェットの紐を握り、僅かに緊張した面持ち。
猟兵たちに顔をむけ、「この間は助けてくれてありがとうございます!」と頭を深く下げた。
ツムジの中には遊園地を怖がる気持ちも残っている。けれど、猟兵たちと一緒なら、安心して遊ぶことができるだろう。
16歳の女の子、ツムジと遊園地を巡り、精一杯楽しんでもらおう!
【MSより】
第三章では、ツムジとともに遊園地で遊び、一緒に楽しんでください。
遊園地は地方都市にある中規模のものですが、メリーゴーラウンド、ジェットコースター、お化け屋敷……様々なアトラクションが存在します。
上記以外にも様々なアトラクションがあります。プレイングに上記にないアトラクションや施設を登場させても構いません。(よほど突飛なものや登場させられないものは、採用できないことがあります)
ツムジは遊園地にあるもの全般が大好きです。皆さんが一緒に楽しむなら、より楽しい時間を過ごせるでしょう。
東海林・馨(サポート)
日常は主に武術の鍛錬を主として行動しています。
次に多いのは冒険で採取した食材をもとにしたレポート整理です。アルダワ迷宮で活動することが多かったため、地形を利用した武術の考案や動植物にまつわるレポートをまとめて論文作成に勤しんでいます。
その他はお任せです。
最近書いた論文は「キノコとは何か?」です。
武術の探求とフィールドワークに勤しみすぎて朴念仁と呼ばれることは多いです。
酒はワインだけ飲めます。それ以外は下戸です。
子供は嫌いではないです。
ソフィア・エーデルシュタイン(サポート)
わたくしは愛され望まれたからこそ生まれてきましたのよ
だからこそ、わたくしはこの世の全てが愛しいのですわ
狂気的な博愛精神の持ち主
命あるものは救われるべき
蘇った過去はあるべき場所に還るべき
果たすためならば手を下すことに躊躇う必要などないと胸を張る
主に【煌矢】を使用し、牽制や攻撃を行います
勿論、他のユーベルコードも必要があれば使いますわ
わたくしの愛するきょうだいである水晶髑髏は、盾にも刃にもなってくれますのよ
怪我など恐れる必要はありませんわ
わたくしが役に立てるのであればこの身が砕かれようとも構いませぬ
他の方の迷惑や公序良俗に反する事は致しません
それは、わたくしを愛してくれる人達への裏切りですもの
燈夜・偽葉(サポート)
★これはお任せプレイングです★
『ぶった斬ってあげます!』
妖狐の剣豪 × スカイダンサー
年齢 13歳 女
外見 黄昏色の瞳 白い髪
特徴 長髪 とんでもない甘党 柔和な表情 いつも笑顔 胸が大きい
口調 元気な少女妖狐(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、でしょうか?)
性格:
天真爛漫年下系ムードメーカー(あざとい)
武器:
刀9本
黄昏の太刀(サムライブレイド)を手に持ち
場合によっては念動力で残り8本を同時に操る
ユーベルコードはどれでもいい感じで使います
敵の動きは見切りや第六感を生かして回避
避けられなければ武器受けで対処します
多彩な技能を持っていて、問題に対していい感じで組み合わせて対処します
●
遊園地の広場で。クリスタリアンのソフィア・エーデルシュタインは、目の前を歩く少女ツムジを見ていた。
彼女は猟兵たちがオブリビオンとの戦いのすえに救出した少女。今は彼女の心のケアを兼ねて、ともに遊園地に来ている。
「わわ、ソフィアさん! 見てください! 熊さんですよー」
ツムジが、前方を指さした。この遊園地のマスコットキャラ――白い熊の着ぐるみが、こちらに近づいて来ている。
はしゃぐツムジに、ソフィアは青い瞳の目を細めた。
「愛らしい熊さんですわね。ツムジさん、熊さんと一緒の記念写真を撮っておきませんか? よろしければ、わたくしが撮影しますけれど、いかがでしょうか?」
仲間から借りたカメラを手に、そう提案するソフィア。
燈夜・偽葉はソフィアの言葉を聞き、
「じゃあ、私も一緒に写りたいです!」
片手を大きく上げて意思表示。偽葉の長くて白い髪がふわりと揺れた。
「ツムジさんもいいですか?」
偽葉がいつも通りの元気な口調で尋ねると、ツムジはにっこり笑って、頷いた。偽葉はツムジの手をとり、弾んだ足取りで着ぐるみに並ぶ。
「じゃあ、ソフィアさん、お願いします!」
Vサインしながら、ツムジや着ぐるみと一緒の写真を撮ってもらう偽葉。
偽葉は着ぐるみと手を繋いだり、前に回ったりして、いろんな角度で写真を撮ってもらった後、
「次はソフィアさんも写りましょうよ!」
と明るく声をかける。
東海林・馨は眼鏡越しに仲間とツムジを見ながら待機していたが、
「なら今度は俺が撮ろう」
と申し出る。
カメラのファインダーに仲間とツムジの姿を収め、馨は口の中で小さく呟く。
(ツムジが元気そうでよかった。ツムジは遊園地で事件に巻き込まれたらしいが、今日でトラウマを払拭できればいいんだが)
ぱしゃりと笑顔のツムジや仲間を撮影し、馨はふと、ツムジや仲間に合わせてポーズをとってくれる着ぐるみに目をやる。
「……着ぐるみか。動きを見る限りでは武術をやっているわけではなさそうだが、いい動きだ。これだけ体に負荷をかけて動き回れば、良い鍛錬になるのかもしれない」
大真面目な顔の馨。その声が聞こえたか、仲間の数人が思わず吹き出す。
猟兵とツムジたちは、遊園地のアトラクションを巡り始める。今は、皆でジェットコースターに乗っていた。
ツムジの隣には、馨が座っている。馨はあくまで冷静な顔。コースターがどれだけ激しく回転しようと眉一つ動かさない。
(この速度、回転の角度……バランス感覚が鍛えられそうだぜ。いや、実戦に活かすことを考えれば、速度はもっと早い方がいいのか?)など真剣に考察。
馨は隣にいるツムジを目にやる。ツムジは手すりを強く握りながら、「きゃーっ」と悲鳴と歓声の混じった声をあげていた。ジェットコースターを満喫している。
(ツムジが楽しそうで何よりだ。今日は他のアトラクションにも乗って、もっともっと楽しんでもらわないとな)
馨の口元に小さく笑みが浮かんだ。
その後も一行はいくつかのアトラクションを体験。そして、遊園地内のカフェで休憩することに。
偽葉がカフェで注文したのは、このカフェ一番人気の特製パフェ。生クリームやさくらんぼやパイナップルなどの果物がふんだんに盛り付けられている。
偽葉は匙でクリームを掬うと、
「ん~! これ、とっても美味しいです!」
聴いているものを幸せにさせる声をあげた。ツムジもくすくす、と笑い声を漏らしてから、
「燈夜さん、もしよかったら、私が頼んだワッフルも半分食べます?」
「いいんですか?! ありがとうございます!!」
偽葉は黄昏色の瞳を輝かせる。
ソフィアは微笑ましげに二人を見守っていた。優雅な所作で、珈琲の入ったカップに口づけ、
「お二人とも、あまり急いで食べられては、クリームがお顔に付きますわ。まだ時間はありますもの。ゆっくり召し上がってくださいね」
そう言ってから、ソフィアは園内を見回すように首を動かし、
「愛らしいマスコットに、趣深い造形のアトラクション……遊園地とはなかなか興味深いものですわね」
「ソフィアさんや皆さんにも、興味を持ってもらえたなら、とても嬉しいです。私、遊園地のことが昔から大好きだから」
喜び溢れた声での返事。
猟兵たちとツムジは、アトラクションの感想を述べ合い、或いはカフェを出た後どこにいくか話し合う。皆の間に流れるのは、ゆったりとして幸せな時間。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
尾守・夜野
POW
「この間は騙してすまんかったな
怪我とかなかったか?」
とりあえず雑談したり、貸してたのを返して貰いつつ動こうか
「お前さんどういうアトラクションが好きなんだ?」
正直俺は記憶ないから何見ても新鮮だし遊園地のキャラクター模した耳とか帽子とか被ったりキャラクターと撮影したりグリーティングしたりするの結構好きではある
つまり
めっちゃ俺も決め込んでる
首にポップコーン下げてるしな
対象年齢もっと下だろうと気にしないぜ
園内ぐるーっと回れる乗り物…ジェットコースターかね?
とか乗ったり気負わずに満喫するぜ
気使うのは何か違うだろうしな
全力で楽しんでますって人がいても楽しいが伝播していいんでね?
●
遊園地の小道で。尾守・夜野にツムジが話しかけてきた。
ツムジは救出への感謝を述べ、そして黒纏と身代わりの宝珠を返してくれた。
「この間は騙してすまんかったな」
夜野が言うと、ツムジは首を左右する。それが自分を安心させ助けるための行動だったと、理解していると。再度お礼を言おうとするツムジを夜野は遮った。
「ともかく今日は楽しもうぜ。お前さん、どういうアトラクションが好きなんだ?」
ツムジはしばらく考えた後、ジェットコースターの方角を指した。先ほど乗ったのだが、もう一度乗りたいと。夜野はぐっと親指を立てて賛同。
ジェットコースターの乗り場へ歩きつつ、夜野は何度も足を止める。
通りがかった店では、マスコットキャラのうさ耳を購入。装着したうさ耳をひくひく動かしつつ、今度はキャラメライゼされたポップコーンを購入。
さらにマスコットキャラの兎さんを見つけ、駆け寄りハイタッチ。「一緒に写ろうぜ!」とツムジを誘う。
遊園地を満喫する夜野の姿に、ツムジの笑顔も明るく元気なものになっていく。
少しの時間が経ち。夜野たちが乗ったジェットコースターは遊園地内を一周する物。
「上から見たら遊園地ってこうなってるんだな……お、あれはお化け屋敷か? 後で行かないか?」
「はい、是非! 私もパンフレットを見て気になってたんです」
眼下に見える遊園地内の光景にはしゃぐ夜野。隣の席でこくこく頷くツムジ。
やがてコースターはぐるりと回転をし始めた。
「うおおおおおっ!」「きゃあああああっ!」
夜野とツムジ二人の歓声が重なる。
今日が終われば、ツムジは記憶処理をうけ、事件に関する記憶――オブリビオンたちに監禁されたという記憶は失われてしまう。
けれど「困ったときに自分を助けてくれた人たちと、一緒に遊園地で遊んだ」記憶は残るらしい。
今日こうして猟兵たちとともに遊園地で遊んだ記憶は、きっと彼女の宝物になるに違いない。
今、ツムジは夜野たち猟兵とジェットコースターに乗りながら、目をキラキラと輝かせていた。
大成功
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