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銀河帝国攻略戦⑱~母が腹にいるは奇妙なりや~

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「さぁさぁまたまた語ろうか。今回の舞台もスペースシップワールド、今回の物語は過去が過去を呼ぶ再生怪人軍団との決戦だ――!!」

●リトル・マザー
「母はどの世界も強いものだ。まぁ、これは比喩的な表現でしかないとは分かっているがね。突っ込むのも無粋というものだよ諸君」
 グリモア猟兵、スフィーエ・シエルフィートは壁に背をかけ、人差し指を一本立てて左右に振った。
 いつもの漂々とした調子で集まった猟兵に軽くマクラを語ると。
「今回君達に相手をして貰う奴も、勿論相当なものさ――覚悟しておいてくれたまえ?」
 悪戯っぽい笑顔を浮かべると、山と薬草の描かれた手帳を開き、周囲に浮かぶグリモアを輝かせ始めるのだった。

「さぁ語ろうか。今回の舞台はスペースシップワールド、諸君ら猟兵の活躍によって開かれた道に立ちはだかる、悪の天才科学者の戦艦を一つ落として貰いたい」

「さて、順を追って説明するとしよう。何も直接宇宙に出向いて戦艦と戦えなんて言ってるんじゃない。ある戦艦の内部に赴き、中枢を堕として貰いたいのさ」
 スフィーエのグリモアが映し出すのは宇宙の星々に浮かぶ艦隊の一隻。
 それこそは銀河帝国の科学者「ドクター・オロチ」の保有する「アマルテア情報艦隊」だ。
 続いて映し出される、黒い液体が満たされたような箱こそが、ブラックタールを元に生み出されたリキッドコンピューターなる装置。
 高度な情報処理能力を備え、これまでの帝国の秘密作戦の指揮を執ってきた諸悪の根源と呼べる戦艦だ。
「私はまず、そのリキッドコンピューターのある部屋へと送る。そこでそのコンピューターを破壊して貰いたいのだけれど……そうは問屋が卸さない。液体で再現された強力な敵で迎撃してくるだろう」
 そう言ってスフィーエはまた手帳を開き、グリモアを新たに輝かせると、戦艦とリキッドコンピューターの横に、もう一つの戦艦の像を映し出した。
 全長は分からないが、見るからに強力な兵器を抱えていそうだ。
「こいつは『帝国戦闘機母艦』 名の通り、本来は戦闘機の輸送や修理などを行う船なんだが、こいつもこいつで非常に強力だ」
 尤も、室内で戦う以上、全長2.5メートル程度に縮小されてはいるがね、と補足はして。
 だが保有する武装と攻撃は変わらず強力無比、しかもリキッドコンピューターの高度な情報処理によって強化されているから、苦戦は必至だろうとも告げた。
 唾を飲む猟兵達に、だが、と指を立てて。
「しかし、本体のリキッドコンピューターという弱点が近くにある。一撃二撃で破壊はできないだろうが……予想以上のダメージを与えたり、庇おうとして攻撃を中断させたり、なんてこともできるかもしれないね」
 尤も、それにかまけて敵の一撃を喰らっては本末転倒なので、狙える時にした方が無難だとも補足し。
 そうして一頻り語り終えた後、グラスに残ったミルクを飲み干し一息入れて。
 突如、ばっと頭を下げて数秒経った後に頭を上げると優雅に微笑んで。
「厳しい戦いにはなると思うが、君達なら何の心配は要らないと確信している。……戦艦の中で戦艦と戦う奇妙な戦いになると思うが、勝利は間違いなくつかんでくれると、信じているよ」


裏山薬草
●注意!!
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 どうも、裏山薬草です。
 三作目の戦争シナリオとなります。
 基本的には純戦シナリオです。
 ただ、敵は強力無比なので相応の判定はさせて頂きます。
 しかしOPでスフィーエが語った通り、リキッドコンピューターを上手く狙うプレイングがあればボーナスを発生させやすくなりますので、狙えたら狙ってみてください。
 それではプレイングお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 ボス戦 『帝国戦闘機母艦』

POW   :    サイキックファイア
【ビーム砲撃】が命中した対象を爆破し、更に互いを【サイキックエナジーの鎖】で繋ぐ。
SPD   :    インペリアルレギオン
レベル×5体の、小型の戦闘用【帝国式兵器】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
WIZ   :    リペアアーム
【修復用アーム】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

竹城・落葉
 ふむ、今回の敵も手強そうだな。しかし、我も全力を尽くせば良いだけだ。
 我は名物竹城を手に『支柱一閃』で切り伏せるとしよう。一応、無理のない範囲でリキッドコンピューターを狙うとしよう。まず、液体で再現された敵の攻撃を【残像】と【だまし討ち】で避ける。次に、恐らくは来るであろう追撃を【フェイント】で避ける。そして【早業】で一気にリキッドコンピューターへ接敵し、【2回攻撃】と【鎧無視攻撃】にて一度に大打撃を与えるぞ。
 戦闘中、我は冷酷な雰囲気を醸し出し、無表情で攻撃を仕掛けるとしよう。武将は過去のものとはいえ、その技術は今も健在。我の戦闘技術を受けて見よ!



●飛水断
 帝国軍の母艦から烈しい光の帯が発せられた。
 全長は凡そ2メートル半――所詮は防衛のための疑似的な液体による再現存在。
 屋内という場所で戦うために縮小された――とはいっても、その砲撃の規模は兎も角威力はオリジナルと同等、否、それ以上にもなろうか。
 頑丈さだけは折り紙付きの戦艦の床を容易く抉る熱量は深緑の着物を纏った女を蒸気に帰した――と思われたが。
「ふむ、今回の敵も手強そうだな」
 蒸気に消え去ったのは、光をも欺く速度を以て置いておいた残像――竹城・落葉(一般的な剣客……の筈だった・f00809)はその破壊力を見て、敵の実力を一瞬で推し量っていた。
「しかし、我も全力を尽くせば良いだけだ」
 その通り――単純だが、如何に強くても全力を尽くせば勝利は必ず見える……それをあざ笑うかのように、回避の影響でよろめいた落葉へ、母艦は母艦故の豊富なエネルギー量から、再び超電子の砲を彼女に向けて放つが。
「甘い」
 冷徹・無表情に――よろめく姿が囮であったと返すように、得物を床へ杖のように突き出し、その反動で場に残影を遺しながら壁へ足をつけ、そのまま走りぬいていく。
 まともにあの母艦とやりあうは愚策、狙うは示されていたように中枢格――壁走りで電光石火の早業で迫り。
「武将は過去のものなれど、その技術、今も健在」
 その手に構えられたのは名物竹城――どこをどう見ても剥がしの鈍器にしか見えないが、扱う姿は鋭き名刀の如く。
 光すら置いていく閃くが如き「斬撃」が中枢を断ち。
「――我の戦闘技術を受けて見よ」
 返す刀によって振るわれた、名物竹城の横薙ぎは、中枢から衝撃の円が一瞬浮かぶほどの斬撃として叩き込まれ。
 相応に丈夫な中枢の装甲すらも意味を為さず、内部に満たされた液が苦しみの声を挙げるように波打てば、母艦が白煙を噴き上げていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベスティア・クローヴェル
空母のクセに豊富な武装。セオリー無視もいいところ
情報を集められて先手を取られると厄介
そしてこのクラスの艦を生かしておくと後の戦闘に支障が出る
だからこそ、意地でもここで潰す

相手が攻撃を外せばリキッドコンピューターに当たるよう、
リキッドコンピューターを背に、正面に空母を捉えるように陣取る
相手の攻撃は回避出来るものは出来るだけ回避
危ないものは【武器受け2】で弾き、ダメージは【激痛耐性1】と気合で耐える

空母が攻撃を躊躇したり、少しでも隙を見せたら一気に近づいてパイルを構え、
【捨て身の一撃3】【串刺し1】とUC『炎巨神の一撃』を組み合わせて叩き込み、一気に決める



●害為す魔杖
「空母のクセに豊富な武装」
 砲口からの莫大な熱量を宿した烈しい光が艦船の床を削り、かの母艦が本来為すべき役目というのか――発進された数多の帝国式戦闘機の機銃の嵐を以て、その光の中へ追い込もうとしている姿を見て人狼は呟いた。
「セオリー無視もいいところ」
 人狼の少女ベスティア・クローヴェル(諦観の獣・f05323)は、機銃の雨をかいくぐり、大剣を振るい戦闘機を薙ぎ払い、彼女目掛けて放たれた光線を飛び越えるようにして躱すと母艦の横を狼の如く通り過ぎる。
 原則を無視して、それでも強力無比な兵器として運用できる母艦。
 そしてそれを強化再現できる技術力が、飽く迄一旦に過ぎない情報処理艦――先手を取られるのも、何よりその級を単純な戦力として残すわけにはいかない。
「だからこそ、意地でもここで潰す」
 残存する戦闘機数隻と、砲口に光を灯して向き直る母艦に、あるモノを背にしながら血の如き瞳を鋭く向けた。
 母艦は彼女の背にするモノ――黒い液体の満たされた箱状の物体、この艦船の中枢を為すリキッドコンピューターに気付き攻撃を中断した。
 このまま撃てば文字通り自爆行為――だが、母艦は砲の出力を下げ狙いをベスティアの足元に絞ると再び放つ。
 だが彼女はそれを容易く見切り、時に太陽の熱にも耐え得る大剣でなんとその光線を横殴りで弾く。
 業を煮やし、至近距離で上から光線を撃たんと距離を詰めていくが、それこそ彼女の真の狙い。
 全てを焼き払う魔剣の鞘と名付けられた籠手状の杭打機を構えると、捨て身の覚悟で、獲物に喰らい付く狼の如く踏み込み。
「太陽の如く焼き尽くせ」
 伝説の世界樹を灰に帰した魔剣の如き炎を纏った楔が、母艦の装甲を容易く溶かしながら突き刺さり、杭を介して流し込まれた炎が巨体を包み爆発を齎して。
 炎に包まれる巨木のように燃え上がる母艦を蹴って再び中枢を背にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

宇冠・由
お母様と参加(f00173)

母は強い。よく知っていますわ
そして子は、それ以上に強くなって、親を守らないといけないんですのよ!
(かつて目前で義父を殺された過去から)

私の身体全てが地獄の炎でできています。多少の熱や爆発には強く、欠損してもブレイズキャリバーの能力で元通り

故に、あえて「サイキックファイア」を全て受けますわ
【七草仏ノ座】を使用。室内サイズに応じて炎の身体と力を圧縮
相手を挑発、攻撃を此方に向けることで味方への攻撃をかばう盾となります

耐えて耐えて、時間経過で力が最高潮に達したとき、その怪力を持ってサイキックエナジーの鎖を振り回し、『帝国戦闘機母艦』をリキッドコンピューターへぶつけます


宇冠・龍
由(f01211)と参加

ふふっ、お腹の中にお母さんですか、なるほど旨い例えですね(傷ある腹部を撫でながら)
本当は傷ついて欲しくなどありませんが、由の頑張りを無駄にするのはもっと心苦しいです。母として、できうる限りの助力をしましょう

遠距離による攻撃は由が引き受けてくれます、ならば帝国式兵器の露払いと、由が反撃できうる時間稼ぎをするのみ

【談天雕竜】で悪霊の兵隊百人を、武器の銃と共に召喚
サムライエンパイアにある「三段撃ち」という戦術を実行しましょう。リロードの隙なく発射される百発の銃弾、どれほど防げましょうか
第一優先はリキッドコンピューター、次点で召喚された帝国式兵器とリペアアームを狙います



●母は強く、娘も強い
 戦場に並ぶ姿は、何処か異様といえば異様だった。
 というよりも――「娘」の方が異様だった、という方が正しいか。
「ふふっ、お腹の中にお母さんですか、なるほど上手い例えですね」
 母の方は、かつての傷を思い起こすように自らの腹部に残る――今は亡き我が子と己を繋ぐ痕跡を撫でた。
 成程、母艦が船の中に納まる姿の例えとはと感心する母こと、宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)に。
「そして母は強い。よく知っていますわ」
 その娘――母が竜人ならば、まるでその娘は髪も服もドレスも全てがそれで出来た炎の化身――ただ、頭部はリスのようなマスクが一際異彩を放つ。
 娘こと宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)は、隣に立つ母に転送前に聞いた言葉を改めるように言った。
「そして子は、それ以上に強くなって、親を守らないといけないんですのよ!!――手加減は、いたしませんよ」
 その決意は、母の愛した人を守れなかった後悔からか。
 身体を作る炎を激しく揺らし、由は帝国軍の母艦の前へと駈け出していく。
 本来は巨人となる技だが、奇しくも母艦と同じくその膨大な力を室内戦に圧縮したことで比べ物にならない業火の化身となり。
 その彼女に、名に冠していても情念など持ちようのない母艦は容赦なく光の中に飲み込もうと、砲口から高出力の光線を放つ。
 だがその光が由を消滅させることはなく、光線の熱量にも比肩する炎がそれを受け止めて――念力の鎖が炎を捉え引き千切らんとしても、地獄使いの彼女は自ら切り離し、不死鳥の如く身体を再生する。
 娘の文字通り命を燃やすように身を挺した炎の壁を見ながらも、龍は娘の言葉を想う――その為に、例えダメージは軽微だろうと傷つく姿は見たくないのも、それは母としての想い。
 だが――その想いもまた母ならば、娘の決意を応援するのもまた母の強さ。
「ならば母として、できうる限りの助力をしましょう――悪鬼百鬼と数えれば、七転八倒列を成す」
 母艦がエネルギーチャージの時間を稼がんと発進させた数多の戦闘機を一瞬で瓦礫に変えさせた鉄砲の怒涛。
 それは龍が己の悲しみを繰り返させぬ決意で目覚めた力で呼び出した悪霊の兵隊が放った銃弾。
 こちらはリロードの隙など与えない。
 第一の隊が銃弾を撃っている間に控える別の隊が銃弾を交代で込め直し、また交代で休む間の無い射撃を続ける――サムライエンパイアに於いて伝説とされる戦法、三段撃ち。
 それは母艦の生み出す援軍を払うどころか、今も着実に装甲を削っていくのだ。
 そんな母の奮戦を銃弾の轟音で感じれば、由はそれが背中を押してくれるようにも感じた。
「母様……」
 無粋な横槍を払い、その上で支えてくれる。
 ならば――もう一度来る光の大砲を、完全に受けきり――自分のできる最高の攻撃を叩き込むのが、親孝行だ。
 悪霊の銃弾で装甲を削りながらもチャージを終えて放たれる、先ほどよりも出力を増大させた光の帯を飲み込むように、彼女は炎を燃え上がらせて――その膨大な熱量を全て受けきり、取り込んだ。
 今度は、こちらの番――母艦と由の身体が念力の鎖で繋がれるが、今度は切り離さなくていい――何故ならば。
「これが……子の強さ、ですのよっ!!」
 極限まで怒りと力を溜め込んだ炎の剛力は、繋がれた筈の母艦を逆に振り回せるほどになっていて。
 有無を言わせず、室内サイズとはいえ巨体といえる母艦を盛大に――中枢へと叩きつける!!
 大質量がぶつかり、互いの損傷の相乗で全身から火花を散らし始める母艦だが、それを修復を行おうとする腕が伸びていく。
「そして、由の頑張りを無駄にすることは許しません」
 その傷を直すことを許さないと断固たる母の嗾けた銃弾が、修理腕を残さず撃ち落とすのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジンガ・ジンガ
さっすがスペースシップなんちゃらだわァ
エキサイティングゥ~

室内っていう【地形の利用】できねーかな
足場があれば素早く【クライミング】
速さと壁を利用して【ダッシュ】と【フェイント】で撹乱
相手の召喚した小型兵器は上手く【見切り】
【敵を盾にする】ことで数減らしながら迎撃したいトコロ

可能ならリキッドコンピューターちゃん狙ってみよっか
脱ぎ捨てたコートを囮に、そのまま加速
最高速度で【だまし討ち】シーブズ・ギャンビット【2回攻撃】

はァー、死にたくねェーッ!
死にたくねェからさァー!
先にテメェをブッ殺せばウチューも平和になるし
俺様ちゃんも諸々ヨッキュー充たされるしで
みんなハッピーのオールオッケーってヤツじゃんよ!



●疾風’sギャンビット
「さっすがスペースシップなんちゃらだわァ。エキサイティングゥ~」
 母艦より発進した戦闘機の機銃の嵐の中を掻い潜りながら、ジンガ・ジンガ(塵牙燼我・f06126)は寧ろ楽しんでいた。
 先程の中枢とのダメージの相乗効果で一時的に主砲が沈黙した母艦は、修復までの間、戦闘機で時間稼ぎを行うようだ。
 なりふり構わない数の暴力だが、流石に相手が悪すぎたというべきか――派手な髪色の羅刹は、銃弾の大雨の中を実によく躱していた。
 髪の毛一本も舞い上げず、逆に敢て待ち構えても緩く最低限の動きをするだけで躱したりもし。
 壁際に追い込み銃弾で飲み込もうとしても、
「ヤッベ、行き止まり……なんてェーッ!!」
 まるで地続きのように壁を垂直に駆け抜けて跳躍し、戦闘機の一体をひっつかむと、銃弾目掛けて投げつけ使い捨ての盾とする始末。
 流石に業を煮やした戦闘機は今度はハリネズミのようにドーム状に彼を取り囲み、一斉に機銃を向ける。
 流石にそれは不味いのか、ジンガは珍しく青ざめたように両手を振り。
「はァー、死にたくねェーッ!! 死にたくねェからさァー!!」
 その声も空しく、一斉に機銃が放たれ彼を挽肉よりも酷く――とは、ならなかった。
 機銃が飲み込んだのは、彼の上着だけ――機銃が放たれる瞬間、それを脱ぎ捨て囮としていたのだ。
「だからよ」
 彼がたどり着いたのは中枢。
 緩い笑顔の中に冷たい殺意を覗かせるようにダガーを抜き。
「先にテメェをブッ殺せばウチューも平和になるし、俺様ちゃんも諸々ヨッキュー充たされるしで」
 追おうとすることすら馬鹿げた、一瞬の――666の連閃が。
 中枢に幾重もの切り傷を残し、その傷目掛けて脚をゆっくりと挙げながら。
「みんなハッピーの、オールオッケーってヤツじゃん、よッ!!」
 曲げたままの脚を勢いよく突き出し強烈な蹴り――いわゆるヤクザキックを置き土産に、中枢へ打撃を与えながら離脱するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アメリア・イアハッター
敵が強力なら数で押すまでよね
いくら強くても手が届く範囲には限界があるってね!

・方針
再現した上でいくら強化されたとしても設計思想から変えることはできない筈
結局敵は母艦でしかなく何かを守るということが得意とは思えない
そこを突き只管に本体のリキッドコンピューターを攻撃することで敵の苦手な行動をとらせ続けよう

・行動
UC【マジック・ミサイル・ダンス】使用
戦艦は狙わず本体のみ只管攻撃し続ける
攻撃をしながら常に移動し同じ方向からの攻撃はせず、庇おうとする敵を動かさせ続ける
そうすれば敵の行動にも無理が出るだろうし、味方が突ける隙もできる筈

戦艦の砲撃には注意し緩急をつけた走りやジャンプによる3次元機動を行い回避


ベルリリー・ベルベット
リキッドコンピューター、積極的に狙ってやりたいところね
他の猟兵と協力して戦った方が狙いやすいかしら

というわけで、リリは敵の攻撃を自分の方に引きつけて
味方がリキッドコンピューターを狙えるように隙を作るわ

派手な『パフォーマンス』で目立つようにしながら
フック付きワイヤーを使って翻弄するように動き回りましょう
敵の攻撃は『見切り』でかわしてあげる

液体の敵なら凍らせてしまえばいいのよ
氷の『属性攻撃』を乗せた【早撃ちシンデレラ】で攻撃して
凍らせることで動きを鈍らせるわ

敵に隙ができたら味方にウィンクで合図を送って
自分でもリキッドコンピューターへ攻撃できそうなら、追撃しましょう



●宿神と半魔の踊り子たち
 決着は近かった。
 時に中枢へ、時に母艦へと着実に強力な一撃を叩き込み続けた結果、明らかに護衛の母艦は次第に形を保てずに液状に垂れ始めていた。
 だが搭載する武装と性能自体は決して変わらないとなれば、油断せずにトドメを刺す――その為の、奇しくもスカイダンサーの心得を持つ少女達が躍り出た。
「敵が強力なら数で押すまでよね。……二人だけだけど」
「ふふ……リリ達で十分だわ」
 アメリア・イアハッター(想空流・f01896)とベルリリー・ベルベット(ルーナフラウ・f01474)は互いに互いを横目で見やると、力強く頷いた。
 圧倒的とはいえ一体だけの強者と、協力し合える二人の強者は全く違う――ヤドリガミとダンピール、赤と青、星と花――違いはあれど、二人の美しきダンサー達による最後の戦いが始まった。
「おいでなさい」
 ベルリリーはその場で、白百合を思わせるようなドレスと耳に輝く薔薇水晶を輝かせながら舞い、掌を数度叩く。
 妖しくも美しい少女の魅力を感情無き機械に理解することが出来るはずもなかったが、母艦の目は彼女に向き、内部に残った最後の戦闘機群を嗾ける。
 度重なる損傷によってチャージ速度を大分落とされた以上、それで時間稼ぎをするつもりのようであった。
 一斉に放たれた機銃をベルリリーは鉤付きのワイヤーを天井に引っ掛けて跳躍し躱しと、振り子のように勢いよく空を翔け清らかな純白のブーツを戦闘機の群れへと走らせるように回し蹴りを放った。
 一体一体はそれなりに強くとも、一撃で落とされる脆い耐久性――数の利を突き返されても、そのドレスに一切の穴をあけぬほどに弾丸を見切り躱し。
 時に戦闘機の一体にワイヤーを投げつけ引っ掛けて、戦闘機と己の位置を入れ替えるようにも飛んだりすれば、哀れな替え玉は味方であったはずの機銃に無数の穴を穿たれる。
 そうしてベルリリーが翻弄し、時間を稼いでいる間にアメリアが紅蓮の疾風のようにフロアを翔け抜けて中枢へ向かっていく。
(いくら強化されたとしても設計思想から変えることはできない筈)
 帝国の超科学で原則無視の母艦といえど、自ら動き回って守ることは決して得意でない筈。
 出来ることはその豊富な武装で迎え撃つことだが、それの目は全て頼れる仲間の元に向かっている――ならば、自分は中枢を討つのみだ。
「いくら強くても手が届く範囲には限界があるってね!!」
 アメリアは自分の射程にその中枢を捉えれば、指と指の間に挟むように光り輝く矢を一気に生成する。
 放たれた八本の大きな矢は道中で百を超える数に分かたれ、その全てが中枢に突き刺さると激しい爆音を立ててひび割れていた身体の崩壊を更に進めていく。
 それに気づいた母艦が慌てて振り返り、八割ほどのチャージを終えていた主砲を破れかぶれにアメリアに放つが。
 緩急をつけることにより、軌道に残影を残し母艦の軌道計算を狂わせることで主砲の行き先をあさっての方向へ導くと、再び中枢に向き直ると、彼女はもう一度爆発を齎す無数の光の矢を放つ。
 流石にそれを通すわけにはいかないと残りの戦闘機を全て嗾けて無理針に盾とするが、それは自殺行為でしかなかった。
「ダメよ、目をそらしちゃ」
 母艦の身体にサテンのリボンが誂られたナイフが、急に生えて来たように突き立てられていた。
 飾られたリボンが風になびくと同時、ナイフを中点に黒を基調にした身体に白く霜がくだり始め、その巨体を氷の中へと閉じ込めていく。
 今よ、と告げるようにベルリリーがウインクをすると、アメリアは同じくウインクで返し。
「一緒に……踊ろうよ!!」
 微笑みながら天井に引っ掛けたワイヤーから、振り子のように跳躍するベルリリーを空中でキャッチして。
 ベルリリーは氷に閉ざされ動きを止めた母艦から引き抜いたナイフを、アメリアは光の矢を空中で構え。
 半魔のダンサーが放った氷のスローナイフが中枢を固め、ヤドリガミの放った光の矢が盛大に爆発を引き起こし、中枢を完全に破壊するのであった。

●さらば母なる船よ
 その後の顛末を少し記すとしよう。
 各々の――苦戦らしい苦戦もせずに、見事な奮戦の末に帝国母艦を打ち破った猟兵達。
 まともに戦えば苦戦は免れなかったであろう相手だったが、致命的な弱点があったが帝国の失敗だった。
 ある者は鋭い斬撃を、ある者は爆炎を、またある者は礫を中枢に叩き込み。
 時に一人でも強く戦い、またある者は二人で協力し合いながら。
 中枢を見事に破壊し、芋づる式に生み出された母艦も轟沈するのであった。
 そして、中枢を破壊され動力炉の制御を失い、暴走の末にこの船が崩壊することもそれは必然であり。
 グリモアの転移で猟兵達の脱出が終わった後、スペースシップワールドの宇宙(そら)にかつて情報艦であったモノの花火が輝く。
 それは悪の母体を一つ潰し、戦後の憂いを一つ断ち切った猟兵達への祝福の光のようだったという――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト