2
銀河帝国攻略戦⑱~再来の地獄宇宙人

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦争
🔒
#銀河帝国攻略戦


0




●脅威の液体コンピュータ
 猟兵達の活躍もあり、『解放軍』は難攻不落の帝国大要塞である「エンペラーズマインド」を突破した。帝国の執政官帝国の執政官兼科学技術総監でもあるドクター・オロチの乗艦、『実験戦艦ガルベリオン』の所在も判明したが、その行く手にはドクター・オロチが率いる艦隊が立ち塞がる。
「……そういうわけで、あなた達にはドクター・オロチが率いている、アマルテア情報艦隊と戦って欲しいのよね」
 集まった猟兵達に、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は告げる。この艦隊を突破すれば、『解放軍』の勝利が、また一歩近づくことになると。
「情報艦隊っていうだけあって、アマルテア艦隊の戦闘力は、通常艦隊と比べると大したことないわ。ただ、その中にあるコンピュータは、随分と厄介な代物なんだけどね」
 艦隊に所属する戦艦には、その全てにドクター・オロチがブラックタールから着想を得て開発したという『リキッドコンピューター』が搭載されている。これは、艦内に粘性の液体で満たした広いプール空間を作り、この液体自体に情報を蓄積、処理するコンピュータとしての役割を持たせたものだ。
 その情報処理性能は、宇宙屈指。帝国工作員達が宇宙各地で収集する多種多様な情報を集積し、最適な作戦計画を立案して来たという。
「このコンピュータは、当然のことながら、あなた達の出現にも反応して対応策を繰り出してくるわ。帝国の戦力になっている兵器や兵士の中でも、特に高い戦闘力を持ったものを、液体で強化再現することでね」
 出現する敵は1体だけだが、単体でも猟兵の集団を纏めて相手にできる実力を持つ。パトリシアの予知によれば、今回の任務で向かう戦艦が繰り出して来るのは、アビ星人という宇宙人。遥か昔、帝国が星々を脅かしていた時代に、暗躍したと言われる邪悪な侵略宇宙人だ。
 銀河帝国の協力者でもあり、策謀に長け、将兵としても優秀。本来の役割はスパイ活動がメインだが、戦闘になると巧みな体術と短距離の瞬間移動を繰り返して相手を翻弄し、超高温のプラズマ弾で敵を纏めて焼き払うなど、恐るべき能力を持っている。
「今回の戦いは、艦内に転移突入しての白兵戦になるわ。正直言って、正面から1対1で挑んで勝てるような相手じゃないわね、この異星人……。でも、いくら強いとはいっても、所詮はリキッドコンピュータによって再現された模倣品よ」
 本体は、あくまでリキッドコンピュータ。その弱点を突けば、あるいは少しばかり有利に戦えるかもしれない。最後に、それだけ言って、パトリシアは猟兵達を敵艦の内部へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 今回の任務は、リキッドコンピュータを搭載したアマルテア艦隊に所属する戦艦の内の1隻を撃沈することです。
 戦闘は、艦内にワープしてからの白兵戦。
 リキッドコンピュータの繰り出す「地獄宇宙人アビ星人」の模造体を撃破すれば、シナリオ成功となります。
190




第1章 ボス戦 『地獄宇宙人アビ星人』

POW   :    宇宙地獄近接格闘術
単純で重い【宇宙マーシャルアーツ 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    宇宙地獄超次元殺法
【短距離テレポートを駆使した近接格闘術 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【超高速連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    宇宙地獄プラズマ弾
【掌から100,000,000℃の光弾 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠砲撃怪獣・ガンドドンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ルビィ・リオネッタ
相棒にして恋人の六道紫音(f01807)と共闘する

連戦してきたもの
体力の消耗は抑えたいわね
アビ星人に見つからないように隠密して、プールを直接狙ってみましょうか

『不可視の女王』でアタシとシオンの姿を消すわ
足音を立てないよう【空中戦】で
UCで疲れ過ぎないように【ダッシュ】でプールを目指す
【目立たない】ように【暗殺】は得意なの

アビ星人が気付いたらアタシが足止めして、相棒は破壊に集中して貰う

「シオンの元には行かせないわ」

光弾を撃たれる前に【先制攻撃・早業】の【マヒ攻撃】で敵の動きを邪魔するわ
撃たれたら【ダッシュ・逃げ足】で退避
妖精の盾の【盾受け】でダメージを減らしてみるわ

「プールをお願い!シオン!」


六道・紫音
相棒にして恋人のルビィ(f01944)と共闘

勝利目標を達成する為なら無用な交戦を避ける、これもまた兵法だ。
ルビィと協力して密かにプールへ接近し、破壊する。

ルビィのUCで姿を消したら『忍び足』で足音を殺し『第六感』と『見切り』で敵がこちらに気づいていないかを慎重に察知しながら移動。
気づかれたら対応はルビィに任せ『ダッシュ』で目的地へ。
「ルビィ、任せるぞ!」

プールをまず『属性攻撃』で凍結力を高めた【伍之太刀《氷牙》】で凍らせ、更に『捨て身の一撃』により全神経を攻撃に集中して『鎧無視効果』と『怪力』を発揮した高威力の【伍之太刀《氷牙》】を叩き込み跡形も無く粉砕する。
「任された!……はぁぁぁ、絶!」



●絶対零度、不可視の一撃
 アマルテア艦隊。情報戦を専門とする、帝国秘蔵の特殊部隊。
 その驚異的な情報網がある限り、帝国は敵対する者を排除するための、あらゆる作戦を立案できる。それも、人の頭脳が考えるよりも早く、そして多くの最適解を、一瞬にして導き出すことも可能である。
 こんなものを放置しておけば、こちらがいかに作戦を練ろうとも、その全てを先読みされてしまうことだろう。だからこそ、ここで叩かねばならない。後続の憂いを断ち、銀河皇帝との決戦を、少しでも有利にするために。
「さて、ここまでは、なんとか無事に辿り着けたが……」
 巨大な液体が満たされた部屋。艦の中枢でもあるリキッドコンピュータが存在する部屋を前にして、六道・紫音(剣聖・f01807)は敢えて部屋の入口の前に残り、突入する隙を伺っていた。
「連戦してきたもの。体力の消耗は抑えたいわね」
 紫音の周りを飛び回りつつ、ルビィ・リオネッタ(小さな暗殺蝶・f01944)が頷いた。
 正直、ここに来るまでに艦内で戦った防衛用のアンドロイドなど、猟兵にとっては物の数ではない。が、この部屋に待つ相手は別格だ。過去のデータより生み出されし模倣品とはいえ、その戦闘力は、下手をすればオリジナルと互角が、それ以上。
 見れば、部屋の中では既に数人の猟兵達が、奇怪な頭部を持つ異星人と激しい戦闘を繰り広げている。数の上では猟兵達に分があるが、異星人は彼らの攻撃を難なくいなし、強烈なカウンターによって確実に追い詰めていた。
「……やはり、正面から戦って勝てる相手ではなさそうだな。頼んだぞ、ルビィ」
「ええ、任せて。目立たないように動くのは、得意だからね」
 大事なものは目に見えない。ユーべルコードの力で透明となった紫音とルビィは、足音を殺しつつ部屋の中へ足を踏み入れる。
「Fa、Fa、Fa、Fa……」
 時折、耳障りな嘲笑を浮かべながら、異星人が他の猟兵達を翻弄しているのが目に留まった。本当であれば、一刻も早く助けに向かいたいところだが、今は我慢だ。ここで慌てて気付かれたが最後、こちらの勝機は確実になくなる。
 そっと足音を忍ばせ、二人は液状の物体が納められているプールへと近づいて行った。だが、後一歩で到達できると思った瞬間、凄まじい光と熱の奔流がアビ星人を中心として放たれ、周囲の物を飲み込んだ。
「……っ!」
 間近で受ければ鋼鉄でさえも飴の如く溶かし、果ては蒸発させるだけの凄まじい威力。衝撃に吹き飛ばされ、巻き込まれた紫音とルビィが足元を見ると、今のダメージによるショックで透明化が解除されてしまっていた。
「プールをお願い! シオン!」
「任された! そっちは頼んだぞ、ルビィ!」
 こちらに気付いたアビ星人に背を向けて、紫音は真っ直ぐプール目掛けて疾走する。後ろを振り向くことは、敢えてしない。ここで足を止めてしまったら、今までの行動の全てが無駄になる。
「シオンの元には行かせないわ」
 アビ星人の周りを飛び回り、撹乱するルビィ。星人は鬱陶しそうに首を傾けると、そのまま高々と跳躍して空中で回転し、踵落としによる凄まじい一撃を繰り出して来た。
「……きゃぁっ!!」
 艦の床をも抉る一撃が炸裂し、衝撃でルビィが吹き飛ばされた。だが、直撃を受けなかったことは幸いだ。プールを破壊するのであれば、この機会を除いて他にない。
「凍らせてやろう……! ……はぁぁぁ、絶!」
 絶対零度の凍気を纏った紫音の太刀が、プールの中の液体に炸裂する。形を持たない液体でありながら、切断面から凍りついたそれは、明らかに不可解な挙動を示し始め。
「Fa!! Folalalalala!!」
 突然、アビ星人が頭を押さえ、その場で膝を突いて苦しみ始めた。
 やはり、この液状コンピュータが弱点だったか。凍結して機能を失いつつある謎の液体を背に、紫音もまた最後の仕上げをすべく、アビ星人へと向かって行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

峰谷・恵
「まあ、コンピューター破壊すれば勝ちなんでしょ?」

血統覚醒を使用。常にMCフォートをリキッドコンピューターに照準、回避行動を取る時以外はMCフォートの連射(誘導弾)をリキッドコンピューターへ発射し続けることで敵の動きを制限し、他の猟兵が攻撃しやすい状況を作る。
敵がリキッドコンピューターを庇ったらMCフォートに加えアームドフォートの砲撃(鎧無視攻撃、鎧砕き、2回攻撃)を叩き込む。
敵の攻撃は極力回避。テレポートからの近接攻撃はダークミストシールド(盾受け)で受け流して遅すぎた収穫期で突き刺し(串刺し、傷口を抉る、カウンター)、アームドフォートゼロ距離射撃を叩き込む。


佐久間・嶺滋
……模倣体……偽物か。ならば余計な心配は要らないな。

【第六感】を活かし【残像】で回避しつつ
打撃応酬においては全てに【マヒ攻撃】【呪詛】【生命力吸収】を併用。
【目潰し】も重ねて命中精度と機動力を下げていき、
隙に【暗殺】で『影の武具』の攻撃をねじ込む。
うまく当てられたならば【冥婚の花嫁】の抱擁により捕縛し、締め上げる。

ここまでくれば本体へ隙も出来るのではなかろうか。
液体コンピュータへはより強く【マヒ攻撃】を流し込む。

「偽物だろうと関係ない。お前だって彼女は『愛して』くれる」
「……死ぬまでな」

※ユーベルコード補記
『影の武具』はアイテム説明に『影の武具』と書かれている武器のみ該当します


触叢・アン
仲間らが戦ってるのを確認し、忍び足6・暗殺2・騎乗6・操縦8を駆使し、敵の脇腹目がけ鎧無視攻撃8っ、で宇宙原付ど~~~ん!
「ほれ、ど~~~ん」
その弾みで…騎乗6、操縦8、逃げ足5、ジャンプ、地形の利用、等と機体に付いたワイヤーを活用しそのまま高い場所に移動

「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ!(タンクトップ破り捨て)」
ミリオンライドアタック(+鎧無視攻撃8)、それは宇宙エネルギーをその身に吸収し体内生成した幻影分身を放出…つまり露出が多いほど分身が増えその威力が増すのだ!
「とぉ! ふぅらっしゅ!Ah~~~♪」
敵目がけ降り注ぐ無数の原付サーフィン乗りセクシーネーチャン、それが1点に集束し蹴り貫く!



●嘲笑する地獄の使者
 リキッドコンピュータの生み出した、地獄宇宙人アビ星人。模倣体とはいえ、その高い戦闘力を前にして、真正面から挑んだ猟兵達は苦戦を強いられていた。
「まあ、コンピューター破壊すれば勝ちなんでしょ? だったら……」
 敵を発見するや否や、砲塔をプールへと向けて照準を定める峰谷・恵(神葬騎・f03180)。しかし、その程度のことは、敵も想定済みだったのだろう。
「……え?」
「……Fa、Fa、Fa、Fa!」
 一瞬、アビ星人の姿が視界から消えたと思った瞬間、真横から不気味な笑い声がした。慌てて振り向こうとするも、それよりも早く繰り出された脚によって、恵の身体は部屋の奥まで蹴り飛ばされた。
「痛ぅ……」
 腕だけでなく、背中にも鈍痛が走る。間一髪、盾で防いで衝撃を殺したが、壁に叩きつけられた際のダメージだけでも相当なもの。腕に至っては、盾で防いだにも関わらず、あまりの衝撃に指先まで痺れて感覚がない。
「やるな……だが、所詮は模倣体……偽物だ」
 ならば、自分が接近戦で抑え込んでやろうと仕掛ける佐久間・嶺滋(想葬の黒影・f00774)だったが、アビ星人は彼の繰り出す拳や斬撃を、悉く片手で捌いて行く。
「Fa、Fa、Fa……Fa、Fa、Fa、Fa!!」
「くそっ! ヘラヘラ笑いやがって……馬鹿にしてんのか!?」
 残像を駆使して相手のカウンターを避ける嶺滋だったが、それだけではアビ星人に対する決定打とはならない。軟体動物を思わせる、およそ地球人やスペースノイドには不可能な動きから繰り出されるマーシャルアーツは、軌道が読めないだけに厄介だ。
 せめて、一発でも当てることができれば、戦いの主導権を握れるのだが。一進一退の攻防を繰り広げつつも、嶺滋が苦無型を握り締めた時だった。
「……Fa!?」
「ほれ、ど~~~ん!」
 突然、真横から飛んで来た宇宙バイクが、アビ星人の脇腹に直撃したのだ。
「隙だらけなんなぁ。このまま一気に決めちゃるかぁ?」
 バイクが衝突する寸前、触叢・アン(銀河疾風・f01011)は颯爽と飛び降り、空中で身を翻して着地する。しかし、あれだけの質量を高速で叩きつけられたにも関わらず、アビ星人は何ら動じていなかった。
「Haaaa……Foaa!!」
 宇宙バイクを放り投げ、アビ星人は掌に輝く光の球体を生成して行く。その輝きが持つ熱量に、周囲の床や壁でさえも、白い煙を上げ始め。
「あれは……」
「やべぇ! 離れろ!!」
 ようやく起き上がった恵みが口を開き、嶺滋が警告するが、時既に遅し。放たれた凄まじい閃光は、あらゆる物体を焼き尽くす光と熱の奔流となり、猟兵達を飲み込んだ。

●起死回生
 かつて、帝国が星々を侵略していた時代に暗躍したとされる、地獄異名を持った宇宙人。
 圧倒的な身体能力と超絶的な火力を持ったプラズマの力は、確かに驚異的なものだった。現に、プラズマによる攻撃を受けた猟兵達は、その大半が決して浅くないダメージを負わされていた。
「やってくれたね……。正直、ここまでとは思ってなかったよ」
 火傷の跡を庇いつつ、立ち上がる恵。血の力を覚醒させていなかったら、こんなものでは済まなかった。
「ああ、マジでヤベェな、こいつは。だが、それでも……どうやら、俺達の勝ちのようだぜ」
 嶺滋がにやりと笑う。見れば、戦いの混乱に乗じて部屋に忍び込んだ他の仲間達が、リキッドコンピュータへと向かっている。
「……Fa!?」
 異変に気付き、瞬間移動をしようとするアビ星人だったが、それよりも速く、桃色の髪をした妖精が、星人に纏わり付いて邪魔をした。
「シオンの元には行かせないわ」
 ここから先へは行かせない。ほんの数秒であれ、足止めできればそれで良いとばかりに、妖精は捨て身でアビ星人の周りを飛び回り。
「……きゃぁっ!!」
 彼女を排除しようと、アビ星人が空中から蹴りを繰り出したが、それは悪手にしかならなかった。
「Fa!! Folalalalala!!」
 突然、両手で頭を押さえ、崩れ落ちるアビ星人。見れば、両断されたリキッドコンピュータは切断面から凍り付き、明らかのその機能を低下させていたのだ。
「終わりだな。創造元さえ断てば、お前は所詮、紛い物だ」
 先程の返礼とばかりに、嶺滋は拳と斬撃のラッシュでアビ星人を追い詰めて行く。本体を攻撃され、力を失ったからだろうか。アビ星人も懸命に捌こうとするが、先のような華麗さは既になく。
「ほんならまぁ、ここで決めちゃらぁ!」
 タンクトップ破り捨て、アンの晒した素肌から、宇宙に溢れる神秘のエネルギーが放たれる。それは彼女の似姿をした多数の分身となって、堪らず、距離を取った星人の真上から襲い掛かり。
「とぉ! ふぅらっしゅ! Ah~~~♪」
 原付サーフィンに乗った無数のアンが、次々に星人を蹴り抜いた。前後左右、あらゆる個所を蹴り抜かれ、最後の一撃が背中から星人を蹴り倒し。
「……Foooo」
 満身創痍の星人が、よろめきながら立ち上がる。が、足元に違和感を覚えて視線を下に向ければ、そこには既に嶺滋の投げた苦無型が刺さっていた。 
「彼女は選り好みしない性格なんでな。ああ、……お前だって愛してくれるさ」
 そう、嶺滋が告げると同時に、影の中より溢れ出る黒衣の花嫁。それは足元から縋るようにしてアビ星人に掴みかかり、そのまま羽交い締めにして離さない。
「もう、逃げられないよね? これで終わりにしてあげるよ」
 花嫁からの拘束から抜け出そうともがくアビ星人に、恵が己の装備している全ての砲塔を向け、終わりの時を宣告する。無数の砲塔から放たれる一斉射撃が非情にも動けない星人に降り注ぐが、その光景を真横にいる嶺滋は冷めた様子で見つめており。
「偽物だろうと関係ない。お前だって彼女は『愛して』くれる……死ぬまでな」
 黒き花嫁の腕に抱かれ、過去の地獄は現世より消えろ。恵の砲塔が止めの一発を放ったところで、嶺滋は爆炎の中に飲み込まれるアビ星人を背にして呟いた。

●情報艦の最後
 リキッドコンピュータにより生み出された、アビ星人の模倣体。それを片付け、果てはリキッドコンピュータさえも破壊されたところで、崩壊は唐突に始まった。
 これ以上は、艦が持たない。頃合いを見て猟兵達が脱出した後に残されたのは、かつてはアビ星人だったものの哀れな物体。黒き液体と化し溶けてしまった、物言わぬ残滓だけだった。
 漆黒の宇宙を、アマルテア艦隊の戦艦が爆発する光が煌々と染めて行く。猟兵達の活躍により、ここにまた『解放軍』の作戦が、一歩前身した瞬間だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト