●歓楽街の裏通り
眠らない街、ネオン看板と艶やかな甘声の響く誘蛾灯の園、歓楽街。
一人の中年オヤジが春を求めて彷徨い歩いていた。
一寸先を照らすネオンの先にある闇に浮ついた瞳は気づかない。
チラリ。
裏路地から覗かせるのは魅惑的な生足。
中年オヤジにはネオンよりも眩い灯が其処に在る様にさえ感じられた。
そそくさと辺りを見回し…舌舐めずり、一匹の雄が生足の先を求めて歩み寄る。
路地裏に足を踏み込めばネオンの薄っすらとした光さえも吸い込む様な闇。
「お嬢さん、居るのでしょう?出てきて私と楽しみましょうじゃありませんか」
年若い娘をあやす様な中年オヤジの声が闇の先へと響いて…消える。
チラリ。
白い布地が闇の先へ舞い踊り誘う。
ハラリ。
桃色の蠢きを確かに感じた。
チラリチラリと覗かせるチラリズム。
中年オヤジが駆ける。
ハアハアハアハア。
希望を鼻先に、吊られた欲望が行き場なく、吐息が漏れては零れる。
その足取りは泥沼に嵌まるが如く闇を踏みしめ暗所に染まる。
気づけば見える世界は漆黒の夜闇、月にさえ見放された、照らしてはくれない。
「お嬢さん!もういいじゃあないですか、もう十分です、私にその実像を現して欲しいのです!」
ハッハッハッハッ。
鼻息荒く闇の中において叫ぶ。
「 気になるかね?」
無味乾燥な声色が闇の中から尋ねた。
「あぁ!お嬢さん!あぁ!お嬢さん!」
中年オヤジの切望が必死に乞う。
「 ならば魅せてくれないかね? キミのチラリズム」
チラリと覗かせた声が問う。
ハーハーハーハー。
躊躇いは無かった。
中年オヤジは全開であった。
己を見せてひけらかした。
「お嬢さん!!お嬢さん!!!!さぁ!!!!!!」
無音。
「 チラリズムとは」
「 見えそうで見えず、捉えられそうで捉えられず、届きそうで届かない」
「 |境界《チラリズム》だ」
ドスリ。
中年オヤジが己の腹を見た。
チラリ。
「あぁ…ああああ」
ズルリ。
力無く中年オヤジがその場にへたり込む。
赤に染まり桃色の臓が溢れ出す。
五寸釘。
「 キミのチラリズムに応じた チラリだ」
最期の気力を振り絞り中年オヤジが闇の先へと目を向けた。
桃色か、いやせめて肌色か、しかし赤か、揺れる視界には虚像をも掴めず。
あぁさようなら春よ。
散らり。
脂ぎった肉塊が物言えず夢半ば。
チラリ。
闇から現れたるはうら若き少女か。
いやオブリビオンである、そう|チラリズム《オブリビオン》である。
「 ボクのチラリズムに応えられる“チラリ”…見てみたいものだ」
そう独り言ちてチラリズムは。
スルリ。
何処からともなく人形を引き出す。
そして中年オヤジの骸からチラリ覗いた臓を抜き取り人形に詰める。
五寸釘の針山染みた人形から生の臓がチラリと。
なんとも悪趣味で悪辣な創造であったが…。
零れそうで零れず、可愛らしき人形に馴染まぬ様で馴染んでいる様で馴染まぬ臓の相対。
あぁ、アブノーマルで極まった、“チラリズム”。
「 次は」
チラリ。
「 キミが挑戦してはどうかな? ボクのチラリズムに」
チロリ。
悪戯な舌舐めずりでチラリズムはキミを見た。
チラリ。
路地裏に犇めいた無数の人形達もまた闇の中を覗くキミを見つめていた。
●グリモアベース
チラリ。
小さな影が物影から伸びる。
影は追えばその姿を小さく隠す、しかしもっとも大きな影はいつも背面に。
「チラ~リ…好き?」
影から目を離せば幼げな声色が耳元に響く。
振り返り見ればやはり影は影のまま。
「こちらだ、猟兵…認識の外、上の空では奴の意識を捉える事は出来ないだろう」
明瞭な声色、正面に目を戻せばいつの間にやら一人の少女が佇んでいる。
「それともぉ~最初から全部見たいのかなぁ~?」
右に傾いた彼女は見せつける様に猟兵の眼前で足を組んではチラリチラリと…。
「…依頼が来ている」
左に傾くやその足は即座に力強く踏みしめた。
目の前に現れたのはグリモア猟兵、コモフォ・グリード。
彼女は一人で二人の多重人格者である。
「ふふっチラッと見えるのがチラリズムだからねぇ~」
ニヤニヤとグリードは横目に見ながら笑う。
「今回の依頼はその名をチラリズムと称するオブリビオンが相手だ」
コモフォが堅物の様に言う。
「オブリビオンとしてのチラリズムはねぇ~境界(チラリズム)の性癖を司る存在でねぇ~」
グリードが境界を描く様な手付きで宙に指を動かしながら話す。
「性癖神コンプレークスの1柱でもあるんだよねぇ~」
グリードの指先は誘う様にも示唆する様にも、かと思えば閉ざす様に隠す様になぞり続ける。
「何かと○○しそう(しなさそう)で○○しない(する)というチラリズムをしてくる存在でねぇ~」
猟兵がグリードの指先を目で追い続ける内に気付けばその指先は猟兵へ辿り続く様に指されていた。
「一線(チラリズム)を越えた隙(チラリズム)だらけって奴だねぇ~」
指先の導く線を猟兵の視線へと指し向けてニヤリとグリードが笑い掛ける。
「要するにウザいムーブの変態オブリビオン相手という事だ」
一通りオブリビオンの素性を聞いていたコモフォが冷酷な物言いで纏めて言う。
「依頼内容についてだが予知を通してこのオブリビオンが歓楽街に潜伏していると判明した」
コモフォはグリモア猟兵としての力で手に入れた情報についてを説明し始める。
「オブリビオンはどうやらこの歓楽街を縄張りに暗躍している」
歓楽街の情報を猟兵に渡しながらコモフォが話を進める。
「表立って動く素振りは見せていないがどうやら路地裏等の人目に付かない範囲にうっかり近づいた者をターゲットにしている節がある」
コモフォが歓楽街の入り組んだ構造を地図上に現し指し示す。
「チラチラと見え隠れした方がワクワクするよねぇ~」
グリードは人差し指と中指を人の足の様に見立てて交互に動かしながら地図の上を歩かせる、その動きはあちこち飛び回る様に神出鬼没。
「猟兵としては厄介な動きだ、表立たないのもあって一般市民にこのオブリビオンの脅威は大きく浸透していない」
避難勧告が進んでおらず歓楽街の現地民は普段と変わらないで居る事をコモフォは示す。
「さらに悪い知らせだが予知によるとこのオブリビオンは歓楽街のあちこちに罠を仕掛けている」
コモフォの予知で判明している罠の範囲を見るに歓楽街への避難誘導は罠の存在によって不用意に近づけず難しい様だ。
「猟兵でなければオブリビオンの罠を搔い潜る事は難しいだろう、現地要員の突入対応は受動的に留まらせている」
コモフォの手配によると歓楽街の外に出れば現地機関の救出体制は整っている様だ。
「人的被害を増やさない為に街の外からも現地の政府機関等に封鎖を行ってもらっている」
コモフォが示す人員の配置資料は外部からの人の流入を防ぐ様に布陣されていて歓楽街はさながら陸の孤島の様だ。
「不幸中の幸いか現地民への混乱は広がっていない現状を逆手に取って歓楽街に恐慌が広まる前に秘密裏に猟兵を送り込み対処する」
グリモア猟兵が持つテレポートであれば可能な手段であるとコモフォは言う。
「それでは歓楽街に出現したオブリビオンの撃破をよろしく頼む」
コモフォが猟兵への挨拶を済ませる。
「ふふっチラリズムはねぇ~チラチラと見える範囲に在るからねぇ~」
猟兵はグリードの笑い声を聞きながら転移して行く。
狂傭欲音
まだまだ不慣れな新人マスター狂傭欲音です。
若輩者ですが滞り無く完結する事を目指します。
サポート優先にはしておりませんが場合によっては積極的にサポート採用が使われる予定です。
今回のシナリオは2章構成、⛺第1章:冒険 👑7 👿第2章:ボス戦 👑11で完結する戦闘シナリオになります。
基本的プレイング方針はフラグメントに沿うものです。
より詳細な第二章のものとして含む行動指針としましては、
POW 派手に曝け出して誘き出す。
SPD 隠れて秘密裏に罠を搔い潜る。
WIZ 自分なりのチラリズムで対抗する。
といった感じでしょうか。
これは一例であり、チラリズムをどう活用して進むかが重要になるでしょう。
第二章もボス戦である事を除けば重ね第一章と同様のギミックが使用可能です。
●ギミックについて
舞台は歓楽街でのみ完結した区域での活動になります。
歓楽街と検索して出てくる類の設備は大まかに存在するものと考えて構いません。
ただし歓楽街の至る所にチラリズムの罠が仕掛けられており非常に危険です。
対応次第では致命傷にもなりえます、そしてそれは時に“エロティック”なものも含まれるかもしれません。
猟兵がどういった類の罠と対面するか、様々な類の罠をどう搔い潜るかは猟兵次第になるでしょう。
歓楽街の現地住民にはオブリビオンの出現という脅威は広がっていない状況です。
外部では既に避難態勢は取れている為、その場の脅威さえ防げれば現地民の被害は最小限に抑えられます。
現地民との接触を行うか隠密に事を進めるかは猟兵次第になります。
オブリビオンの目的は“チラリズム”にある様ですが、オブリビオンの意に沿わない対応を取ると攻撃的な反応が返ってくるでしょう。
オブリビオンの関心を引く行動を取ればプレイングボーナスが得られ優位に動けます。
ただしオブリビオンは猟兵の対応の有無に関わらず本能的に周囲の人々に致命的な活動をします。
必ずしもオブリビオンの目的に沿う必要はありません。
その他、プレイングやマスター傾向等の情報は私のマスターページにて記載しているので、
詳細を確認したい場合はお手数ですがそちらでご確認してもらえればと思います。
此処まで確認して頂けた事に感謝します。
それでは皆様、何卒よろしくお願いいたします。
チラリチラリと垣間見るチラリズム。
どうぞごゆっくりとお愉しみ下さい。
第1章 冒険
『歓楽街を走れ!』
|
POW : 障害を突破する、妨害を排除する。
SPD : 裏路地を追跡する、闇夜を駆ける。
WIZ : 逃走経路を予測する、罠を張る。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●第一章 -歓楽街-
夜の帳が下りようとも歓楽街の灯りが変わる事は無い。
夜の街は常に輝きを欲している。
ドス黒くヘドロの如く纏わり付く闇が蔓延っている世界。
光から影が生まれるのならば闇が光を求めて影を伸ばすのは当然の摂理。
人々は悦楽の幸福に歓喜の産声を垣間見る。
猟兵がオブビリオンを狩り求める者ならば、歓楽街の人々もまた狩人であると言える。
誰もがこの街で一時の快楽を追い求め、己の為に他者を貪る。
刹那の世界では過去は顧みられず、ただ目の前の欲望に酔うだけだ。
グリモア猟兵のテレポートにより歓楽街の中心区へ直接降り立つ猟兵の姿が在った。
夜の闇は猟兵の姿を瞬く間に覆い隠す。
それはまるで猟兵自身が影の如く一寸先は闇。
それでも猟兵は光明を捜し歩く者、見通せば見えてくる。
下卑た明かりを灯すネオンの光に目を妬かれ背徳の空気が歓迎している事を知るのだ。
此処こそが歓楽街、流れ行く人々は皆誰もがこの空気の迎合者達。
露出であれ異形であれ些細な事だという様に多種多様な姿形が在る。
猟兵が現れたくらいでは殊更気に留められはしない。
歓楽街で関心を持たれる事というのはただ一つだけ、獲物であるか否か。
捕食者と被食者の構図は弱肉強食、しかしこの街ではどちらにも差異は無い。
まるで王の如く侍らす者と奴隷の如く媚び諂う者、搾取されるのはどちらか。
表面だけで判断している様では次の瞬間には寝首を掻かれるのがこの街の日常。
一見するだけではどちらが食い物にされた存在が分からない。
この闇に潜む影を見つけるのには猟兵の力無くしては成しえないだろう。
そうして猟兵が歩みだす…歓楽街へ。
-ようこそ背徳の街へ-。
ffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffffff
サク・ベルンカステル(サポート)
『斬るべき不条理な存在はどこだ?』
背に従えた魔剣(システム的には随行大剣)と共に強敵に斬り込みます。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。依頼の成功のためであれば、多少であれば公序良俗に反する行動をとることもありますが、大幅には公序良俗に反しません。
ちょい悪の前衛が欲しい時に使って頂けると幸いです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
嬌声が奏でる黒の世界に黒刃は相応しいか否か?。
幾本もの刃を背負いし者が歓楽街を行く。
戦場の姿は必ずしも血と剣が支配する場とは限らない。
この地に彼の様な者は一見不相応にも見えても、それは表面的な事でしかない。
誰も剣士の復讐を咎めはしないだろう。
この地は全ての欲望に寛容だ。
彼は異端の神を求め戦場を彷徨い渡る。
チラリ
喧噪の中で見せる暴力の影。
猟兵はそういった匂いに敏感だ。
サク・ベルンカステル、そう呼ばれた復讐者は歩み寄る。
既に息絶えた五寸釘で彩られた人形の姿が路地の闇に捨てられていた。
背に従えた魔剣が問いかける。
『斬るべき不条理な存在はどこだ?』
チラリ
嗤い掛ける骸の過去が刃に映り込む。
「 魅せてみなよ 闇に隠した復讐の血を」
姿の見えない闇の種族を前にサク・ベルンカステルが選んだ手段は明快だった。
『面倒だ、まとめて斬る』
その刃は空間という概念を斬る。
空間切断の先に見えたのは何処かに存在する娼館。
オブリビオンは其処に居る。
しかしそれはサク・ベルンカステルが求める仇の姿ではなかった。
『斬るべき不条理な存在はどこだ?』
彼の者は復讐を求めてその姿を求めて渡り歩く。
成功
🔵🔵🔴
日下・彼方(サポート)
人間のUDCエージェント × 月のエアライダーの女です
戦闘での役割はレガリアスシューズを使っての空中戦、
影の狼を使役して斥候・偵察ができます
武器は通常大型ナイフを使用しますが
強敵には太刀・槍を持ち出す事もあります
普段は(私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
機嫌が悪いと (私、~様、です、ます、でしょう、ですか?)
性格は受けた仕事はキッチリこなす仕事人のような感じです
仕事から抜けると一転惚けた風になります
ユーベルコードは必要に応じて、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
歓楽街にはいくつもの狼の群れが存在する。
その群れの一つに影の狼が暗躍していたとしても誰が気付けるだろうか?。
『ああ、バイトの時間だ。』
日下・彼方は傭兵団に属した猟兵だ。
仕事であればどのような闇へも赴く。
行き交う妖艶な人々の中に灰と共に消えた姉の姿は此処には無いが、それでも自然と目で追った。
『影狼群影(カゲロウグンエイ)』
影の狼達が歓楽街の闇を飛び跳ねる。
路地裏に散見された貪られた骸の行方を狼達は嗅ぎ分け見つけ出していく。
戦場で啄まれるのは敗者の遺骸だが、此処に在るのは哀れな狼の成り損ないに過ぎない。
チラリ
「 狼の影に実体が無い様に歓楽街の影の実態も見えないものだ、キミに見据えられるかな?」
狼の興味を誘う挑発的な声色が路地裏の影へと誘う。
『合図があるまで襲ったらダメだぞ。分かったな?』
しかし熟練した傭兵であれば噛み付く時は弁えている。
犇めき垣間見えるお誘いを潜り抜けて、影の狼達は一つの娼館を見つけ出す。
今回の仕事は此処までだ。
よくやったと影の狼達を撫でながら一仕事終えた追跡者はそのまま歓楽街に繰り出す。
遊び場はいくらでもあるものだ、戦いの中で休息を取る事も傭兵の流儀と言えるだろう。
成功
🔵🔵🔴
政木・朱鞠(サポート)
とりあえず、感覚共有した『忍法・繰り飯綱』を放ち【追跡】や【情報収集】で周囲を探って敵の分布や地形の情報を把握しておきたいね。
邪魔をする敵が湧くのなら、武器は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使い【傷口をえぐる】でダメージを与えたいね。
アドリブも連携もOK
狐に化かされるた者は狐につままれる。
歓楽街であればそれは日常茶飯事。
自ら狐に包まれたいと敢えて騙されに行く者は後を絶たず。
子狐達が歓楽街の狼達を手玉に取りながら件のオブリビオンの尻尾を伺っていた。
『忍法・繰り飯綱(ニンポウ・クリイヅナ)』を行使するのは政木・朱鞠。
狐龍の姫忍とも呼ばれる猟兵である。
子狐を路地裏に連れ込もうとした狼を連れ添い、影に下る。
チラリ
闇の中から歪な人形が降りて来て五寸釘を振るう。
じゃらり
蔓薔薇が巻き付く様に五寸釘人形へと絡みつき凶行を妨げる。
「『私を味見したい?』」
荊野鎖を操る朱鞠が妖艶な笑みを浮かべながら闇の影から姿を現す。
子狐に連れ添われた歓楽街の住人は突然の事態に尻尾を丸めた犬の如く逃げ出す。
チラリ
「 狐が化かすのは人だけではないんだね、しかしチラリとでも覗かせた以上は見逃さないよ」
まるで釣瓶落としの様に五寸釘人形が降り注ぎ獲物を捕らえようとする。
「『ちょっとの間だけ、大人しくしていてくれるかな…なるべく痛くしないから…。』」
待ったを掛ける様に朱鞠は荊野鎖を路地裏全体へ張り巡らす様に振るいその影を踏む。
踏まれた鎖の影の中から連鎖する様に金属鎖状の触手が飛び出して降り注いだ全ての五寸釘人形を拘束する。
『忍法・鋳薔薇姫(ニンポウ・イバラヒメ)』
その鎖は傷口を抉る様に五寸釘を引き抜き人形を無力化する。
後には呆気に取られてぺたりと座り込んだ矮小な住人と人形市と化した路地裏だけが残された。
朱鞠は悪戯を詫びる様な仕草の笑顔で住人を助け起こすとそのまま歓楽街の光に紛れ去る。
その後ろ姿を見送った一匹の犬は我に返ると、ふりふりともふもふとした尻尾を追いかけて路地裏を抜け出す。
煩悩の犬は追えども去らず。
成功
🔵🔵🔴
シン・クレスケンス(サポート)
「大抵のことはこなせますので、何でもお申し付けください」
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける
◆戦闘
詠唱銃(【破魔】の魔力を込めた銀の銃弾)、魔術による攻撃が主
トレーニングを欠かさない為運動も出来る
◆以前の経歴から、情報収集・操作や追跡、索敵が得意。料理好き
◆UDC『ツキ』
シンに取り憑いているUDC。闇色の狼の姿をしている
同じく追跡が得意(魂や魔力を嗅ぎ分けている)で、戦闘は鋭い牙や爪を用いて行う
◆口調
・シン
僕/相手はさん付け(使役は呼び捨て)
です、ます、ですか?等丁寧で穏やかな話し方
・ツキ
俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方
歓楽街でナンパされるのは何も女に限った話ではない。
今も一人の清潔な身なりの青年が若い女に言い寄られていた。
物腰柔らかな対応でようやっと説き伏せて帰らせた後、背後から声が掛かる。
「もう何匹の雌に声を掛けられたんだ?、俺はいい加減この街のすえた臭いとそれを覆い隠す香水の臭気には飽き飽きだぜ」
闇色の狼が路地裏の影から姿を見せて青年に言い放つ。
「もう少しですよ、もう少し」
青年は柔和な表情を崩さず闇色の狼へ答える。
青年の名はシン・クレスケンスという猟兵で闇色の狼は彼に取り憑いたツキというUDCだ。
歓楽街に潜むオブリビオンを追って彼らはその足取りを追っていた。
その時は不意にやって来る、路地裏の奥から鎖の擦れる様な音が響き渡る。
「ほら、来ましたね」
シンは冷静に詠唱銃を構えて闇の中からの来訪者を待ち構える。
闇から飛び出したのは一匹の梟の姿とそれを追い立てる五寸釘の人形。
「遅ぇじゃねぇかノクス、夜目が鈍ったかと思ったぜ!」
そう言うなりツキは路地裏の壁面を蹴り跳ねながら行動に移す。
梟の姿をした精霊ノクスもまたシンの同伴者の一羽だ。
チラリ
路地裏を低空飛行するノクスとその翼の寸前を掠める五寸釘。
シンの元へノクスが辿り着くと同時に銀の銃弾が五寸釘を撃ち落とす。
「予定通りですね、我が友、月と夜の精霊ノクス」
ノクスが羽を休めてシンの肩へ止まる。その眼光は路地裏の先を見据えている。
チラリ
「 誘われていたのはボクの方だった訳だ」
路地裏の闇の中からチラリと肌色覗く装束と異様な人形を手にした少女が姿を現す。
まさに待ち人であるオブリビオンであった。
そして逃げ道を防ぐ為に入り組んだ壁面を伝ってツキが背後に降り立つ。
「そういう事だ、いい加減待つのはうんざりだからな…狩らせてもらうぜ」
前門の梟、後門の狼といった布陣を前にして逃げ場はない。
一瞬の沈黙。
チラリ
チラリズムが手にした人形の糸を鎖鞭の様に振り抜く。
間髪入れずシンが魔力を込めた銃弾を放つ。
それに合わせてノクスが飛び立ち、人形の糸の先を惑わす。
視線誘導が振るう先への勢いを殺す、目移りした人形はノクスを逃す。
其処を突く様に『魔を撃ち抜く銃弾(シルバーバレット)』が人形を捉える。
五寸釘の先がシンに向かうが破魔の魔力を込めた銀の銃弾は切っ先ごと人形を撃ち抜く。
それと同時にツキが牙を振るう。
チラリズムはもう片方の手でもう一つの人形を振り当てて犠牲にする事で猛威から逃れる。
「 多勢に無勢、チラリズムもこれではモロリズムになる…仕方ない一旦退くとするよ」
クルリ
翻す様にチラリズムが舞うと一瞬にしてその姿は虚空に消える。
「チラチラと捉えどころのない奴だぜ」
ツキが虚空の先を見据えて言い捨てる。
「不可思議な神秘でしたが、僕の探す術とは異なる様ですね」
シンもまたツキと同じ見解の様であった。
「ですが、行き着く先は分かりますよ」
シンが述べるその先を見据える様にノクスもまた虚空の先を見つめていた。
そうして一人と一匹と一羽は新たな知見を探して次なる場所へと向かって行くのであった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『チラリズム』
|
POW : いいチラリズムだ
【チラリズム】で攻撃する。[チラリズム]に施された【ぎりぎりの境界】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD : これが当たりそうで当たらないチラリズムだ
【虚構を纏いて実体を捉えさせない立ち回りで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 気になるかね?(チラッチラッ)
【チラリズム】を披露した指定の全対象に【こいつウゼェという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:おき海苔
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠アイリス・ゴールド」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●第二章 -娼館-
チラリチラリ。
月の光が照らし出す。
入り組んだ路地裏の先にその娼館は存在する。
キラリキラリ。
輝いては消えゆく光の渦は歓楽街を迷宮めいた隠れ家の様。
チラリ。
月とネオンの光に違いはあるのか?
チラリ。
覗かせる裸体は双方の光に照らされて艶やかに移り映える。
「 さぁ、見極められるかな ボクの|境界《チラリズム》を」
チラリ
不敵な笑顔が薄明りに照らされた細やかな闇の中から誘う。
藤堂・こずゑ(サポート)
あまり見た目妖狐っぽくないけど、妖狐なの
右目を何とか見せない、見ない様に生きてるわ
妖狐な部分は出したくないから…
依頼に拘りは無いわ
誰とでも連携し、どんなのでも遂行してみせるわよ
日常パートはアンニュイな感じでクールに過ごすわ
一応喜怒哀楽はあるつもり
戦闘パートは古流剣術で挑むけど…
流派は忘れちゃった
マイナーだから廃れちゃったみたい
振るう刀は宵桜(ヨイザクラ)ね
可愛いでしょ
大気の流れを読んで攻撃したり避けたり、後の先を得意とするわ
UCはどれでも使用し、攻撃するUCばかりだけど…
他の猟兵との連携などで避けて敵を引き付ける必要がある時は『流水の動き』を使ってね
後はマスター様にお任せするわ
宜しくね
鳥居・祐介(サポート)
戦闘スタイルは所謂「タンク」タイプです。
武装はほとんどが収納可能もしくは不可避なため一見丸腰に見え気弱でおどおどした外見で油断を誘って敵を引きつけ味方の突破や攻撃のための囮になります。
攻撃に対しては【激痛耐性】で多少の攻撃には怯まず耐え必要とあらば【怪力】で押さえつけます。
こちらの意図や強さを見抜く的にはグレートソードを抜いて大振りな攻撃を仕掛け否が応でも意識せざるを得ない状況にします。
ダメージが蓄積し瀕死になったら『風魔神顕現(アウェイキング・フレスヴェルク)』にて高い戦闘力を待つ風が人の形を成したような魔神を召喚して敵を薙ぎ払います。
六代目・松座衛門(サポート)
ヤドリガミの人形遣い×UDCメカニック。人形を用いて異形(オブリビオン)を狩る人形操術「鬼猟流」の使い手です。
ヤドリガミの特徴である本体は、腰に付けている十字形の人形操作板です。
戦闘中は言い捨てを多用します。
UCは全て人形を介した物で、主に以下の装備アイテム「鬼猟流・戦闘用人形」で戦います。
・武器を仕込めるバランス型の「暁闇」
・身軽で敵の拘束に特化した「縛鎖」
・様々な遠距離攻撃が可能な「遠離」
ただし、操作対象の切り替えは素早くできますが、同時操作は基本的にできません。
他の猟兵と積極的に連携し、率先して誘導、時間稼ぎなどの支援を行います。
老若男女に異形に人外、何でもありの世界において歳の差異等など些細な事だ。
十歳かはたまた百歳か見た目だけで本質は見極められない。
そんな街だからこそ鳥居・祐介の様な少年、あるいは青年が娼館に訪れてもこの街では誰も注意はしない。
祐介は猟兵であるがそうは見えないほどにおどおどとした様子で娼館の扉を押し開く。
薄明りのみが妖しげな娼館にはボーイの姿も嬢の姿も見当たらない。
「あの、誰か居ませんでしょうか?」
チラリ。
娼館の奥から光が洩れる。
その先は見えそうで見えない僅かなものだが確実にその先には光が灯っている。
まるで誘うかの様に扉は開いているのだ。
誘われるままに祐介はその扉の先へと進む。
娼館らしく置かれた淫猥なベッドルーム。
外から見えた光とは裏腹に作られたかの様な光の加減は室内を暗室の様にしている。
そして其処には辛うじて見える何かの輪郭の影がベッド近くで佇んで居た。
「 キミは何を見に来たのかね?」
人型に見えるそれは祐介に問いかける様に言葉を投げかけた。
「えっと、そのぅ」
気弱な態度で祐介は口籠る。
「 それとも見せに来たのかね?」
影の輪郭は少しずつ祐介へと近づいて来る。
その影は丸腰の祐介にまるで合わせる様に自身の服をはだけさせる様に動いた。
「 どうする?」
挑発的な声色が響く。
祐介は誘われる様に近づいていく。
そしてその途上にある閉じられた窓辺で足を止める。
外から覗こうとする月光を恥じらう様に祐介は目を閉じて無防備に受け入れる様な仕草を取った。
チラリ。
月光の境界に踏み入れた影はオブリビオンの形、その名はチラリズム。
「 気になるかね? そんなにチラチラと …キミの味方が此処へ突破してくる瞬間が」
その一言と共に祐介はその場にしゃがみ込む。
同時に窓の外から弾が飛び込む月光を遮る影の様にチラリズムを襲う。
「 油断を見せる瞬間を待っていたのは分かっていたよ」
一瞬生まれた何も見えない暗室に紛れ込む様にチラリズムは姿を隠し奇襲を避ける。
娼館の外壁を丸ごと破壊する狙撃を行ったのは鬼猟流・戦闘用人形の遠離であった。
そしてその使い手は六代目・松座衛門を名乗り鬼猟流人形操術を受け継ぎし猟兵である。
「オブリビオンめ、あの一撃を避けるなんてな」
松座衛門は人形を操りながら祐介の無事に目を配る。
「ごめんなさい!囮の意図がバレてました!」
祐介が謝り外へ視線を移す。
「 余所見はしないで欲しいな ボクのチラリズムを見逃すぞ?」
チラリズムの冷徹な声が五寸釘と共に闇を切り裂き祐介の眼前へ迫る。
「問題ないわ、私の刀が護るもの」
遠離の攻撃によって開かれた娼館の外壁から刀を振るう妖剣士が飛び込み、五寸釘を切り落とし躱す。
その一閃を放つ女性の名は藤堂・こずゑという猟兵。
彼らはオブリビオンの潜伏先へと気取られない様に奇襲を掛けようとしていた。
もっとも此処がオブリビオンのテリトリーでもあることは百も承知でもあった。
故にリスクを承知の上で一撃を決めるアタッカーと引き付けるタンクそしてそのサポートと別れて作戦を立てていた。
「…今度はこちらから行くわ」
作戦を見破られている以上、もう隠れる事も無いとこずゑが突破を図る。
指の間に挟んだ五寸釘を挟んだチラリズムが鉤爪の様に振るい唾ぜり合う。
「 その髪に隠した片目 チラリとも見えない 中々のものだね」
チラリズムがこずゑのは髪で隠している眼、その髪の隙間を覗き込む様に五寸釘を握る手を強め刀を弾き押し込む。
「…見れれば良いってものでもないわ、喰われたいのでなければねっ!」
こずゑは窮地に陥る様に見せかけて逆にその衝動を利用する。
眼前にまで迫るチラリズムの五寸釘を弾かれた刀の反動を利用し背後で刀を左手に持ち替え突き出す。
「『これは…どう!?』」
古流剣術『廻し逆突き』がチラリズムを捉える。
「 いいチラリズムだ だがボクの境界には踏み込めない」
だが捉えたはずの刃はチラリズムの臓を割かない。
「なら踏み込める距離まで行きます!グレートソード・オブ・ウインドエレメント!」
祐介がチラリズムへ向き直り自身の腕輪に合言葉を唱えて大振りに大剣を振り下ろす。
「 これが当たりそうで当たらないチラリズムだ」
しかしチラリズムは虚構を纏いて実体を捉えさせない、その立ち回りに合わせてまたも祐介に五寸釘が投げられる。
「うわっ!」
祐介はその見た目にそぐわない程の怪力任せの挙動で大剣の軌道を強引に振り直し大剣の面で五寸釘を受け止める。
しかし無理な態勢によって衝撃が受け流せずそのまま後方に吹き飛ぶ。
「やらせるか!鬼猟流が相手になってやる!」
鬼猟流・戦闘用人形の縛鎖に操作対象を変えて松座衛門が駆けつける。
棺拷問の外観の縛鎖が跳ねる様に針金に分解、再構築しながらチラリズムに迫る。
「 人形操術の亡霊はどちらが相応しい?」
それをチラリズムもまた臓物散らしの人形を振るい出して双方の糸が絡み合いながら捕え合う。
「悪いが自分は人形操術については一家言あるんでね!」
糸の意図を読み合うのは人形操術使いならば容易い事。
「『鬼猟流 二ノ型「手繰り討ち」』」
最初に撃ち込まれた弾の先には事前に人形と対象や地点を繋ぐ糸が張り巡らされていた。
その糸を高速で巻き上げると絡みつかれた糸は距離を詰めた人形の牢獄と化す。
「逃がすものか!」
拮抗する様に見えた糸の操り合いを松座衛門が出し抜く。
「 しかしこの糸の密度ではボクに攻撃も出来ないだろう?」
糸の牢獄に囲まれてもまだチラリズムはその隙間を縫う様に立ち回る。
「…だったらこちら側の糸だけ潜ればいいわ」
こずゑが得意とする『流水の動き』が物体が動く時の大気の流れを読み取れる。
糸の動きも手に取る様に感じ取れていた。
「『…そこね…』」
こずゑの一太刀はチラリズムを糸の牢獄が解き放たないまま自分らの攻撃だけが通る最低限の糸を切り裂き道筋を作り出す。
「これなら!風が通ります!」
地面に叩きつけられた衝撃もものともせずに祐介が立ち上がり叫ぶ。
「僕に宿りし風魔神よ…契約に従い、今こそ力を貸してください!」
『風魔神顕現(アウェイキング・フレスヴェルク)』
暴風と共に魔神が現れ、その勢いを祐介に与える一陣の風となる。
大振りな一撃であってもまるでチラリズムまで一直線に伸びる導線の如く存在する松座衛門の糸の牢獄。
その道筋を護るこずゑの動き。
避ける事は出来ない。
「 あぁ見えるよ 散らりとね」
飛び込む大剣の一撃に切り裂かれながらチラリズムの姿は虚空に消える。
チラリ。
覗かせた不敵な笑みの後には臓物の零れた人形の残骸だけが残る。
チラリ散らり。
成功
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シン・クレスケンス(サポート)
「大抵のことはこなせますので、何でもお申し付けください」
◆人物像
落ち着いた雰囲気を持つ穏やかな青年。窮地でも動じず冷静な状況判断で切り抜ける
◆戦闘
詠唱銃(【破魔】の魔力を込めた銀の銃弾)、魔術による攻撃が主
トレーニングを欠かさない為運動も出来る
◆以前の経歴から、情報収集・操作や追跡、索敵が得意。料理好き
◆UDC『ツキ』
シンに取り憑いているUDC。闇色の狼の姿をしている
同じく追跡が得意(魂や魔力を嗅ぎ分けている)で、戦闘は鋭い牙や爪を用いて行う
◆口調
・シン
僕/相手はさん付け(使役は呼び捨て)
です、ます、ですか?等丁寧で穏やかな話し方
・ツキ
俺/お前、呼び捨て
だぜ、だろ、じゃないか?等男性的な話し方
日下・彼方(サポート)
人間のUDCエージェント × 月のエアライダーの女です
戦闘での役割はレガリアスシューズを使っての空中戦、
影の狼を使役して斥候・偵察ができます
武器は通常大型ナイフを使用しますが
強敵には太刀・槍を持ち出す事もあります
普段は(私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
機嫌が悪いと (私、~様、です、ます、でしょう、ですか?)
性格は受けた仕事はキッチリこなす仕事人のような感じです
仕事から抜けると一転惚けた風になります
ユーベルコードは必要に応じて、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。
SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
歓楽街の影を走り抜いた先に姿を見せた娼館。
そこに集う三人の猟兵。
シン・クレスケンス。
日下・彼方。
政木・朱鞠。
梟が飛び、狼が走り、狐が踊る。
歓楽街の包囲網はチラリとも見逃さない。
娼館の主の姿。
境界の支配者チラリズム。
「 流石にこれ以上チラチラと…はいかないかな? ならそろそろチラリと行こう」
娼館の看板ネオンが下から照らし月光がその姿を上か照らし出す。
チラリチラリ。
闇と影を行き交うその肌色は垣間見えていながらもその全体像は見えそうで見えず、捉えられそうで捉えられず、届きそうで届かない位置に居る。
「ふーん、やっと、お出ましか…」
朱鞠がチラリズムを見据えながら周囲に狐火を灯す。
「悦に入るために人達を手にかけて不安を撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ」
宣戦布告と共に狐火の炎がチラリズムに放たれる『フォックスファイア』。
「 チラチラと揺れ動く火炎の灯りは嫌いじゃないが…モロに当たるのはNGだ」
看板に鎮座していたチラリズムは狐火の周囲を当たりそうで当たらない角度で避けながら地面に降り立つ。
「受けた仕事はキッチリこなす」
それを待ち受けていた彼方と彼女に忠実な影狼達が即座に取り掛かる。
「待ては終わりだ」
その一言で影狼達は統率の取れた動きでチラリズムへと襲い掛かる。
クルリクルリ
チラリズムは虚構を纏いて実体を捉えさせない立ち回りでステップ一つの動作で飛び掛かりを躱す
「 チラチラと目配せしているのはお見通しだよ 案外むっつりって奴かな?」
余裕を見せる様なチラリズムの言動にその群れは一つの思いで団結する。
それは「こいつウゼェ」という感情であった。
「この動きは見ててウゼェ!、さっさと狩り取っちまおうぜシン!」
シンに取り憑いている闇色の狼ツキが吠えながら飛び込む。
「やれやれ物言いが乱暴ですよ、ツキ」
そういいながらもシンの手にした詠唱銃の弾丸は鋭く連射される。
「 チラリチラリ ぎりぎりを攻める それがボクの流儀」
銀の銃弾が首筋を掠める程の距離で躱しながらチラリズムは舞う。
そして同時に攻めるツキの飛び付きを跳び箱を跳ねる様な二段ジャンプで跳ね避ける。
「 これが当たりそうで当たらないチラリズムだ」
攻めあぐねる猟兵達の闘志が一致団結する様にチラリズムのその先へ進むという確固たる意志へと変わる。
「 どうやら派手に魅せたいと見える ならこちらもチラリ増量と行こうか」
そう言うやチラリズムは両手を引っ張り出すかの様に交差する。
チラリチラリチラリチラリチラリチラリ
あちらこちらから覗く視線は臓物チラリと零した成れ果て人形達の姿。
街中で暗躍し続けた人形達の全てがこの娼館の前へと集っていた。
「ならこっちもちょっと本気出しちゃおうかな」
包囲され返されている状況をものともせずに朱鞠は体と尻尾を揺らす。
楽観的な声色とは裏腹にその立ち振る舞いは相対する覚悟を感じさせる圧が在った。
「では私も全力を出しましょうか」
彼方もまたそれまでのぶっきらぼうな声色を慇懃無礼な程に改まった口調に変える。
彼女に呼応する様に影狼達もまた凛々しくそれでいて殺意に満ち溢れた姿勢を見せる。
「それではあの人形の群れは私達が引き受けるとしましょう…大抵のことはこなせますので」
シンの元に降り立つ梟の姿の精霊ノクスと寄り添う闇色の狼の姿のツキ。
シンのその言葉に噓偽りは無い、冷静な声色は|一頭と一羽《ふたり》を誰よりも信頼する事が伺える。
「独り占めはよくありません、私の影狼とどちらが先に片づけるか競争になります」
彼方がそう言うと影狼達が張り合う様にツキの前へ立つ。
「言ってくれるじゃねぇか!後で吠え声上げるなよ!」
ツキもまた率先して張り合う様に前へ出る。
「じゃあ早い者ガチでね?」
朱鞠もまた悪戯気に会話を交わすと全身に力を加えて本気である事を示す。
すると妖艶な出で立ちは粗々しいまでの野狐の如く変化する。
化け狐に相応しい雄叫び一声上げて朱鞠は先陣へと飛び込んでいく。
「おい!先駆けはずるいぞ!」
ツキは負けじと追い駆け、それに合わせてノクスも飛び立ち、影狼達も冷徹に行軍の如き侵攻を行う。
そうして娼館は一瞬にして乱戦会場の様相を示した。
牙が爪が切り裂き、五寸釘が飛び交う。
「あともう一押しですね」
飛び込んでくる五寸釘と人形達を撃ち落としながら悠然と戦況を俯瞰するシン。
シンが取った行動は単純明快。
一手指して一声。
「『神の威を借りし槍よ、我が命に従い、立ち塞がるモノを打ち倒せ!』」
『雷霆の槍の召喚(サモン・ケラウノス)』
革手袋の下に隠れた手から紋が浮かび上がり詠唱に合わせて魔法陣を展開した。
顕現した雷の槍は密集した環境でありながらも精密な魔力操作で敵にだけ降り注ぐ。
雷鳴が響き渡り人形の殆ど全てが消し炭となり、感光はチラリズムの姿をも鮮明に映す。
「 境界を見抜いたか」
チラリズムが一瞬の逡巡をチラリと垣間見せた、その瞬間を朱鞠は見逃さず突貫する。
「弐の太刀までは生かさない、この隙間をもって削り切る」
爛々と光るその眼は猛毒を宿すかの様な殺意に満ち溢れた猛進を見せて行く。
朱鞠の荊野鎖が藪から飛び出る蛇の如く猛烈に振るわれる。
チラリズムもまた自身に向かいくるのに合わせて手持ちの人形の糸を同様に振るって相殺を狙う。
絡まり完全に捕えられる荊野鎖。
しかし動きを止められたかの様に見えたそれはその程度では止まるものではなかった。
「『フォックスファイア』!」
絡まったのではなく、絡ませた荊野鎖。
朱鞠の体から湧き上がる情熱をそのまま火炎にした様に。
荊野鎖が導線となってチラリズムの人形の糸を介したその手から全体へ感染するかの様に狐火が包み込む。
「 今度は境界を捉えられたか」
火達磨になりながらもチラリズムは仕切りなおそうと猟兵達が届かない立ち位置を目指して飛び跳ねる。
「残念なお知らせを差し上げます…その位置は私の間合いです」
彼方の試製翔靴Managarmrは月を追う狼の様に宙を舞う。
彼方の真下に位置取ってしまったチラリズムに向けて月が照らす光が影を差し込む。
彼女の影から無尽蔵に生み出される内なる獣の影法師達がチラリズムを噛み捉える。
「 なるほどボクの境界に届くか」
その瞬間チラリズムは何処か愉し気に自身の最後を覗き込む様にその一撃に望む。
「『ーー行くぞ。』」
『日下流格闘術』は立体機動を活かした近接戦闘術。
この瞬間、もっとも有効な一撃。
重力そのままの垂直落下にて、純粋なまでに強烈な飛び蹴りがチラリズムを打ち捉える。
地表に落下した時、その凄まじい土煙の中から無事に表したのは猟兵唯一人であった。
歓楽街の あちらこちらに覗かせるチラリズム。
それはこの欲望の街が必要とする原動力だ。
生命の欲がある限りチラリチラリ。
それは生み出される。
それでも猟兵は狩り続ける。
チラリ散らり。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴