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銀河帝国攻略戦⑲~オロチウイルス抗体開発作戦

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●グリモワベースにて
「皆さん、お忙しい最中に失礼します。緊急の依頼があるので、お手をお借り出来ないでしょうか」
 プルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)が、猟兵達の注目を引く様に片手を上げた。

 度重なる様々な戦いの結果、『解放軍』は難攻不落の帝国大要塞『エンペラーズマインド』と突破した。更には帝国執政官兼科学技術総監ドクター・オロチの乗る『実験戦艦ガルベリオン』の所在を突き止めるに至っている。

「今回は、このドクター・オロチの開発した『オロチウイルス』の抗体開発を手伝って欲しいんです」
 その理由は重要だ。
 ドクター・オロチはオロチウイルスを満載した突撃艇群を解放軍船へ一斉ワープさせ、自爆によりウイルスをばらまき、解放軍を抹殺しようとしているのだ。
 存在を隠蔽され、各所に散ったオロチウイルス突撃艦群を全て発見、撃破するのは不可能と判断されている。また、ワープしてくる敵を予測、撃破も現状では不可能だそうだ。
 つまり、自爆及びウイルスの拡散は止められない。

「『エンペラーズマインド・コア』のコアマシーンに踏み込んだ猟兵達が『オロチウイルス』のサンプルを持ち帰る事に成功してます。ミディアさんがヘロドトスの戦いで発見された『古代遺跡船』と科学の粋を集めて、総力を上げて抗体を研究してるんですが、奇跡でも起こらない限りは自爆作戦には間に合わない状況です。
 なので、皆さんでその『奇跡』を起こしましょう!」
 最後の台詞を言う時も口調は変わらず、猟兵達ならば当然出来るだろうと完全に信頼しきっているのが窺える。
「開発場所は古代遺跡船内の研究施設。多種多様の研究用機材が運ばれてますので、広大な研究エリア化しています。機材も好きに使って下さいね。
 開発の方法ですが……そうですね。敢えて感染して回復、防御系のユーベルコードを使用して抗体の進化を促すとか。分身して分身した人数分だけデータを収集解析する、電子情報を司る精霊を召喚して電気信号を与えて性質を調べるとか。オロチウイルスを死滅させて死骸を研究する……とか、でしょうか?」
 あくまでも一例であるので、自分が有効と考える開発方法を採ってくれればと付け加えられた。

「戦場で敵と相対するだけが戦争ではありません。倒すではなく救う為の抗体開発も立派な戦いです!」
 プルミエールは猟兵達に満面の笑みを向けるのだった。


山崎おさむ
 【重要】
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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第1章 冒険 『オロチウイルスの抗体を開発せよ!』

POW   :    オロチウイルスを摂取し、未完成の抗体とユーベルコードを駆使し、全力で耐え抜く事で抗体のヒントを得ます

SPD   :    圧倒的処理速度で演算を行なったり、肉眼では確認できないウイルスの動きを見切り、その特性を導き出します

WIZ   :    集積された膨大な情報を高速処理するなど、ユーベルコードを利用して開発に貢献する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

照崎・舞雪
ふふふ……うふふふっ……
さぁ!“研究開発(フェスティバル)”の始まりなのです!(超マッドスマイル)
世界の書の中の研究室から研究材料をたっぷりと持って来るのです!

さぁどう研究しましょうか
【蒸気式自動筆記魔道メモ】で得られた情報は全てまとめるとして
まずは既存ポーションや毒をはじめとする薬品との反応の様子を調べレポートしましょう
あ、人体と反応するのであれば体液もいいですね。ちょっと私の血液と反応させてみましょうか!
あ、今ちょっと面白い反応した気がするのです!れっつわんもあ!
あああ~、やっぱりこういう研究こそ魔法使いの花道なのですよ!

【情報収集4】
【学習力2】



●古代遺跡船~研究エリア~
 広大だと事前に言われた通り、あまりに非常識で無い限りは何をどのように研究するにも充分なスペースが保証されているだろうと思われる研究エリア内。そこに、不気味な笑い声が響いていた。

「ふふふ……うふふふっ……」
 立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花。
 そんな言葉を地で行くような大和撫子と言った外見の照崎・舞雪(未来照らし舞う雪の明かり・f05079)だったが、彼女を表現するには先程の諺に一言付け加えなければならないようだ。

 ――笑う姿はマッドサイエンティスト。

「さぁ! “研究開発”の始まりなのです!」
 研究開発と書いてフェスティバルと読む。そんな喜びに満ちた彼女は、小さな魔術書の表紙に手を触れる。世界の書と名付けられたこの魔導書の中には、ユーベルコード製の魔法の研究所があり、そこから研究材料をたっぷりと持って来る事が出来るのだ。
 獲得した情報を自動的に整理し記入するとの機能を持った持参の蒸気式自動筆記魔道メモを傍に置くと、興奮冷めやらぬ様子でオロチウイルスのサンプルを見る。
「さぁ、どう研究しましょうか」
 まずは基本を押さえるべきだろうかと、舞雪はポーションや毒物など、猟兵で無くとも入手出来る既存の薬品と反応させてみようと並べたシャーレに落として行く。
 これだけあれば良いだろうけれど何か物足りない――。
 そう感じていた舞雪だったが、ぱっと笑顔を浮かべて手を打った。
「あ、人体と反応するのであれば体液でも良いですね。ちょっと私の血液と反応させてみましょうか!」
 言ってからの準備が早い。舞雪は何の躊躇いもなく自分から採血すると、それもシャーレに落として、子供のようにわくわくとした顔でコロニーの状況を見比べて行く。楽しい、とても楽しい実験の時間だ。
「あ、今ちょっと面白い反応した気がするのです! れっつわんもあ!」
 一回の反応だけでは正確な実験とはならない。何度も繰り返して、正確な結果だと立証出来なければならないのだ。
 つまり、どんどん血液を使って再現実験を繰り返そう。結果を報告しに行くのは、その後だ。
「あああ~、やっぱりこういう研究こそ魔法使いの花道なのですよ!」
 採血用穿刺器具を片手に身悶える舞雪の姿を見た者がいたならば、取り敢えず針を持って悶えるのは止めてくださいと言われただろう。

成功 🔵​🔵​🔴​

狗飼・マリア
「未知の殺人的なウィルス……これを取り込んで抗体ができれば新たなメイド道具ができますわね」

「そう、それは【メイドワクチン】わたくしのチャレンジャー精神が作り出す新たな希望!!」

というわけで私はもだえ苦しんで周りを破壊したりしないようにあらかじめ、自分の道具である【アイテム:メイド投網】を自分にまきつけ、
そして無敵モードになるというからには毒にもがんばって抵抗できるように【UC:無敵城塞】をつかってから、レッツ!投与!!

「おぉぉ……ウィルスが入ってくる感覚がしてき……ぐぅっ!!」

「うぅーっ!!まだ、まだ死ぬわけにはいきませんわ」

「散り散りになったメイド長と他の11神将を見つけるまでは!」



「未知の殺人的なウィルス……これを取り込んで抗体ができれば新たなメイド道具ができますわね」
 殺人ウイルスを取り込んで作った抗体で出来るメイド道具とは――。
 そんな疑問を口にする者もいないまま、狗飼・マリア(人狼の剣豪・f09924)は、瞳に危険な光を宿して、オロチウイルスの入った試験管に似た保存容器を見詰めている。もう片手にはメイド投網がある。メイド投網とは何なのか。
「そう、それは【メイドワクチン】 わたくしのチャレンジャー精神が作り出す新たな希望!!」
 取り敢えず何でもメイドが付くのではないか。そんなご期待に添えるのがメイドなのだ。流石メイド、職種的な意味合いだけでなく名詞的な意味でも万能だ。
 先程のメイド投網を自分に巻き付けたマリアが、蓋を開けた保存容器を口に咥えてウイルスに対抗する為に無敵城塞を発動させる。
「れっふ! とうふぉ!!」
 無敵モードで動けなくなった自分の喉にウイルスの入った液体が流れ込んで来る。
 飲み切れずに唇の端から毀れた分は顎を伝い、細い首を辿って、ぎっちり自分を縛った投網の喰い込むメイドの白くたわわな胸、略して緊縛メイっぱいも汚して行く。
 オトナの小説なら、それはもうねっとりと表現されそうなワンシーンだったが――。
「おぉぉ……ウィルスが入ってくる感覚がしてき……ぐぅっ!!」
 本人が男らしい。身動ぎ出来ないまま震える姿はバイブレーションモードのスマホが如くだ。
「うぅーっ!! まだ、まだ死ぬわけにはいきませんわ」
 何故なら自分はメイドなのだ。メイドのメイドによるメイドの為の戦いの中、自分だけ倒れる訳にはいかない。
 薄れ行く意識の中で、川の向こうで自分を呼ぶおばあちゃんの姿が見えてきた。あれ、わたくしのおばあちゃんって生きてたっけ、死んでたっけ、と混乱してくるが些細な事だ。何故ならおばあちゃんの後ろに見えてきたものがある。
 ――あれは、メイドだ。
 戦いに散って行った数多のメイド達。数百、数千と並ぶ中で、中央に立つ一人のメイドがマリアを見ている。
 ――こんな所で遊んでんじゃねぇよ。皆がお前を待ってるんだろう。
 そう言ってニヒルな笑みを浮かべると背を向けた。その頼もしい背中は確か、あの日、あの時に見た――。かっとマリアの目が開く。
「散り散りになったメイド長と他の11神将を見つけるまでは!」
 なお、ここまで全部マリアの妄想です。
 びっくんびっくん震えるマリアがメイドワクチンを得る戦いは、もう暫く続きそうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

エミリオ・カリベ
オロチウイルスの抗体開発……
僕は本を読んだり調べものをしたりするのが好きだし、計算もそれなりに得意。
それにこれでもガジェッティアの端くれだからね?
奇跡はちょっと大袈裟な気もするけど、必ず抗体を間に合わせよう。
(肩に力が入り過ぎないよう、集った仲間にふんわりと微笑む)

まずは集積されたオロチウイルスの情報を確認。
それを各世界の……
集められる限りの情報と照合して類似した特徴のウイルスがないか探してみるよ。
突破口を切り開く糸口になるかも知れないしね?

あとは「ガジェットショータイム」を試してみるのも良いかも?
ウイルスに有効なガジェットを召喚出来れば……
ん、えと?こう……かな?(召喚したガジェットを弄る)



 時折、謎の寄声が聞こえる研究エリアの一角では、真剣な表情でコンソールを操作している中性的な少年がいた。
「これがオロチウイルスのデータだね」
 少年らしい涼やかな声でエミリオ・カリベ(星空と本の魔法使い・f07684)が、今までに集積されたオロチウイルスの情報に目を通していた。
 エミリオは本を読んだり、調べ物をしたりするのは好きだ。カジェッティアの端くれでもあるし、長時間資料を読む事になっても苦にはならない。
 けれど、普段は柔和さを湛える表情は今、薄らと曇っていた。
 情報を読めば読むほどドクター・オロチの悪意が感じられ、いくら知識欲が強いエミリオであっても、人を殺すのに特化したウイルスの存在に鉛を飲み込んだような重い気持ちになって来る。
 これでは駄目だとエミリオが頭を振った。こんな気持ちのまま挑んでは、上手く行くものも上手くいかなくなる。何度も深呼吸を繰り返して気持ちを落ち着かせながら、ふと思い出すのは、ここに来るまでに言われた言葉だ。
 ――皆さんで『奇跡』を起こしましょう!
 
「……奇跡はちょっと大袈裟な気もするけど、必ず抗体を間に合わせよう」
 自分達で奇跡を起こすだなんて言われると、胸がくすぐったくなる。でも、頑張ろうと肩の力を抜いたエミリオがふんわりと微笑んだ。
「各世界のウイルスの情報と照合して類似した特徴のウイルスがないか捜してみよう」
 たった一つの世界で考えるよりも。様々な世界を自由に渡る力がある猟兵だからこその視点で、エミリアは突破口を求めて他の世界にも手を伸ばす。
 まずは集められるだけ、けれどより多くの情報を。
 捜しては比較しを繰り返す時間はどれほど続いたのだろうか。集中力が切れたエミリオが、はぁと息を吐きながら顔を上げた。
 少しでも類似点があるとピックアップした情報は既に三桁に及んでいる。
「そうだ、休憩がてらガジェットショータイムを試してみようかな? ウイルスに有効なガジェットを召喚出来れば……」
 集中し過ぎた反動でぼんやりとするエミリオがユーベルコードを発動させる。
 現れた歯車やネジなどの部品はカチカチと音を立てながら組み上がって行き、最終的には何かを乗せられそうな平べったい形のタイヤ付き小型ガジェットが召喚された。
「ん、えと? こう……かな?」
 エミリオが後でミディアに纏めて届けようと思っていた資料の束を置いてみると、ガジェットは小さな煙突から蒸気を噴き上げ軽快に走り出して行った。
「い、いってらっしゃい……?」
 もしかして自分の代わりに届けに行ってくれたのだろうか。確かに抗体開発という戦い全体を俯瞰して見れば、自分の手を止める事無く、代わりに情報を即座に届けてくれるガジェットも有効と言えば有効なのだろう――……かな? とエミリオは小首を傾げたが、深く追求するのは止めた。
「あの子が頑張ってくれるなら、僕も頑張らないと」
 びっくりしたけれど良い気分転換にはなったと、エミリオはまだ他に類似したものはないか捜す作業に戻るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セシリア・サヴェージ
【POW】

これもまた人々を護るための戦いですね。
我が鎧の呪い…『暗黒』も私の力であると同時に私を蝕むウイルスのようなもの、と言えるでしょうか。
暗黒とオロチウイルス、どちらが勝つか試してみるとしましょう。

自ら毒と分かっているものを摂取するのはなかなか【勇気】がいるものですね…では意を決して…。
苦痛は【気合い】【激痛耐性】で耐えます…が、本番はここから。
UC【アンリーシュ】で鎧の力を最大解放します。
本来は戦闘能力の増大(肉体の強化)を目的としたUCですが、この状態ならばウイルスにも耐えられるはず…。
苦痛が収まったら私の血液を採取して研究に役立ててもらいましょう…私は、少し眠ることにします…。



 セシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)の指先が自分の纏う鎧を撫でた。
 闇を固めて作られたような暗黒の鎧は、『暗黒』の力を以てしてセシリアに強き力を齎す代償として肉体と精神を蝕む呪いを宿している。
 恐ろしくも忌まわしい鎧だが、セシリアがそれを脱ぐ事は無い。守るべき者のある限り、暗黒の力によってその守るべき者達から恐怖されようとも、我が身を暗き死の淵へと追い遣りながらも誇り高く戦い続けるのだ。

 そんなセシリアの手には今、オロチウイルスがあった。
「これもまた人々を護るための戦いですね」
 鎧の呪いは己を蝕むという点においてウイルスのようなもの、と言えるだろうか。ならば、暗黒とオロチウイルス、どちらが己を蝕む力として勝るか試してみよう。
 その挑戦はセシリアに根付く自己犠牲精神の発露とも言えたが、共にあり続ける呪いへの奇妙な信頼感があるのかもしれない。
 自ら死を招く毒を煽る事に恐れはあるが、それを強い勇気で押し込めて、意を決したセシリアがオロチウイルスを摂取した。
「はっ、あ……! ぐっ……!」
 途端に苦しみと痛みが襲い掛かってくる。常人ならば即座に心を挫かせそうなそれらに対し、セシリアはこれまでに得た激痛への耐性と負けはしないとの意志を強めて耐えながら、震える手で鎧に触れた。
「全てを、護ると、誓ったのだ……っ! そのためなら、どんな力でも受け入れよう!」
 セシリアの声に呼応するように鎧の色が全てを呑み込む暗黒へと変わる。究極の闇は光すら吸い込むように、セシリアの意思も闇へと覆われて行く。それに応じて引き出される戦闘能力の増大――肉体の強化は、オロチウイルスの死の手からセシリアを守ってくれるのではないか。そう期待して――。

 息が出来ない。視界が霞む。音が遠い。
 酷く寒い。
 四肢は石と化したのでは錯覚を抱く程に重く、指先一つ動かせない。
 自分の中で苦痛だけが渦巻いていく。
 寒い。

 ――ふっとセシリアの意識が浮上した。
 気付けば苦痛も治まり、床に倒れていた身を起こすと、軽く頭を振る。
「……採血しないといけませんね。それを届けて研究に役立ててもらいましょう」
 もし、今の自分がオロチウイルスに打ち勝った状態ならば血中には抗体の存在が認められるかもしれない。手配を終えたセシリアは、疲れた身を引き摺るようにして研究施設内のベッドまでやって来た。
「私は、少し眠ることにします……」
 そう言って静かに横たわったセシリアは目を閉じた。次に目を開いた時、抗体が完成したとの吉報が聞けると信じて。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルベル・ノウフィル
判定はpowで
UCは星守の杯

僕はあまり化学に詳しくないのです。
しかし、危険なウイルスをなんとかしたいわけでして、少しでもお力になれればと……

これって人体実験的な感じです?
い、いえ。よいのですが。
(耐える)
UC星守の杯を使用して回復をかけながら耐え…、
あっでもこれ、回復はするのですが僕に疲労が。

回復したような疲れたような。
回復したような疲れたような。

ウイルスと一進一退の攻防を静かに繰り広げるわけです
がんばれ、僕の体
肉体の限界を精神が凌駕するのです

全ては銀河の未来のためにっ

ご褒美は金平糖でお願いします
僕、金平糖を食べると体力全快するので!全然大丈夫です!
(実際は全快しない)



 ――僕はあまり化学には詳しくないのだけど。
 そんな自分でも抗体開発の役に立てるのだろうかと困惑するルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)だったが、危険なウイルスをなんとかしたいとの気持ちは強い。
 なので、少しでも力になろうと志願したのだが――。

「これって人体実験的な感じです? い、いえ。よいのですが」
 分析や調査以外にも協力出来る事はある。そう、被検体的な意味合いで。
 注射の針の痛みからオロチウイルスの投与まで、ぐっと目を瞑ってルベルは椅子に座ったままで耐える。
 眩む。正常な機能を狂わせ死滅させようとする異物に対して、拒絶反応を起こす身体は無意味に熱を上げて行く。
 気温と体温の差から激しい寒気を覚える中で、自分の身体を掻き抱きながらルベルが開くのも億劫な唇をゆっくりと動かした。
「杯を逆さに、高虚より降り注ぐは夢の星粒――」
 ぱらりと星の形をした金平糖が落ちてくる。触れると癒してくれる星粒が当たる度、ルベルの寒気も吸い取ってくれるようだったが。
「あっでもこれ、回復はするのですが僕に疲労が」
 忘れてた。そんな調子で言った端から疲労感がルベルの肩にのしかかってくる。ぐったりと椅子に凭れてしまうが、優しい星が消えるとウイルスによる諸症状がはしゃいだように舞い戻ってくる。
「うわぁ……」
 無理。これは無理とルベルはもう一度、自分の上から金平糖を降り注がせた。
 あとはもう、その繰り返しだ。

 回復したような疲れたような。
 回復したような疲れたような。

 ルベルとぁたしゎズッ友だょとばかりにべったり倦怠感が纏わり付き、その所為で一歩も椅子から動けなくなっている。
 傍から見れば星が降る以外は静かな様子だが、ルベルの中ではウイルスと自分とで一進一退の熱い攻防が繰り広げられているのだ。

 ――がんばれ、僕の身体。肉体の限界を精神が凌駕するのです。
 ――全ては銀河の未来のためにっ!

「ご褒美は……金平糖でお願いします……」
 口に入れるとかりっと、でも甘く溶けて行く金平糖。ぜぇはぁと荒い息の中で、ちょっと何処を見ているか解らないルベルは、こう語る。
「金平糖を食べると、体力全快するので……! 全然大丈夫です……!」
 これを乗り越えたら俺、金平糖を食べるんだ。
 ルベルは拳を握り締めた。もう暫く耐え抜く事が出来れば、この結果を報告として提出する事が出来る筈だ。

 なお、金平糖を食べても実際には全快しないという事をここに補足する。

成功 🔵​🔵​🔴​

蒼焔・赫煌
【POW】

ふんふん! オロチウィルスの研究! なになに、ほうほう!
つまり! 可愛いボクの身体にどんどん注入すればいいってわけだ!
おっけー、レッツカモン! 何故なら可愛いボクは正義の味方だからさ!

【降魔化身法】で可愛いボクの身体を超強化!
これでウィルスに耐えられる時間も増えるってもんさ! いや、むしろどんどん増やしちゃってー!
【勇気】と【覚悟】があればなんでもできる!
あははー! なになに、血が流れてる?
大丈夫、大丈夫! タダの仕様だから!
これくらいボクの腹ペコのお供、【ブラッドアンプル】を飲んでれば平気のへの字さ!

【アドリブ、他の方との絡みは歓迎】



 オロチウイルスの抗体開発が着々と進む中、新たに研究フロアにやって来たのは蒼焔・赫煌(ブレイズオブヒロイック・f00749)だ。
「ふんふん! オロチウィルスの研究! なになに、ほうほう!」
 輸血パックを持ち歩く赫煌は、他の者達のやっている事を興味深そうに覗き回ると、自分が何をやるべきか解ったとフロアの一角を借り受けた。
「つまり! 可愛いボクの身体にどんどん注入すればいいってわけだ!」
 準備したオロチウイルス投与セットを前に、自らの身体を使って抗体を開発する側に回ろうと決めた赫煌。投与の準備を進める手付きは妙に手慣れており、鼻歌混じりに注射器を腕に添える姿には、今から殺人ウイルスを身体に入れようという悲壮感は一切無い。
 何故なら――。
「おっけー、レッツカモン! 何故なら可愛いボクは正義の味方だからさ!」
 正義の味方だから、人を救う為なら怖くはない。勇気と覚悟があれば何でも出来るのだ。
 ぷつりと針が赫煌の腕に埋まり、ウイルスが彼女の身体に投与されていく。
「ここで可愛いボクの身体を超強化!」
 抵抗力を高めるとの意味も込め、赫煌はすかさず降魔化身法を使って自分の身体の強化に努める。
 これでウイルスに耐えられる時間が増えるというもの。
「いや、むしろどんどん増やしちゃってー! あははー!」
 ノリの軽い笑いを響かせる赫煌だが、椅子に座ったままでぱたぱたと動かした足がぬるりと滑ったのに気付いて視線を下ろした。改めて自分を見下ろせば身体の各所から血が伝っており、ふくらはぎから滲んだ血で足が滑ったようだ。
「オッケー、オッケー! いつものだね! タダの仕様!」
 降魔化身法を使用した反動で出血が起きているだけだと赫煌は特に気にも留めない。
 傍目には血を流しながら明るく笑う少女という、サイコホラーのワンシーンかなと言いたくなるような状況ではあったが、タダの仕様じゃあ仕方無いのだ。
「待ってる間どうしよっかな? ……あ、そうだ! ブラッドアンプルがあるじゃないか!」
 ウイルスの効果でゆらゆらと身体を揺らし始めながらも、赫煌は腹ペコのお供として持ち歩いているストロー付き小型ボトルに入った血液を取り出した。中には栄養剤も入っており、鉄分補給も出来ればエネルギー補給にも最適という一品だ。
「これを飲んでれば平気のへの字さ! 何にもしないって暇だからねー!」
 ぬるぬる滑る足元の感触を楽しみながら、赫煌はストローを口に咥えてブラッドアンプルを飲み始める。――けれど、ウイルスの効果は彼女を傍のデスクの上に突っ伏させて。 待って、症状だけでも書いておかなきゃ。赫煌は震える指先で報告に必要な事柄を書き出すと、ほっと身体から力を抜いて行った。

『ねむけ』

 元気な彼女だからこそ、反動のようにそんな症状が出たのではあるまいか――。
 流血とブラッドアンプルから毀れた血液の中で、睡眠の意味での眠りに落ちた彼女と血文字を見付けた研究者は、すわ殺人現場かと腰を抜かすかもしれないが。
 こうした賑やかな一場面もありながら、猟兵達の手にって着実に進められる抗体開発ははそう早くない内に結実するのだろう。
 それらが『奇跡』と呼ばれるのも、遠い事では無い筈で――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト