●覚醒
冬にしては、少しばかり暖かな日差しが街を照らしている昼下がり。
孤児院の裏庭を、一人の少女が駆けていた。何か、急ぎの用事でもあるのだろうか。あまりに慌てていたようで、足下に石が転がっているのにも気が付かず。
「……あっ!」
案の定、石に躓いて転んでしまった。咄嗟に、目の前に咲いていた花に手を伸ばして掴み、少女はなんとか受け身を取ったのだが。
「痛ぅ……って、あれ? なんともない?」
確かに酷く擦り剥いたような感じがしたのに、少女の肌には傷一つなかった。服が土で汚れてしまったが、それに比べて身体の方はなんともない。
「うわぁ、服が泥だらけ……。これ、お気に入りだったのに……」
服に着いた泥を軽く払い、少女はそのまま駆け出して行く。転んだ際、何気なく手にした花が、完全に干からび枯れ果てていたことにも気が付かず。
(「うふふ……。どうやら、あの子は『力』に覚醒したようね。決めたわ! 今度の実験には、あの子を使いましょう」)
そして、そんな少女を物陰から見つめる怪しい瞳。翌日、少女の姿は孤児院から忽然と消えてしまったが、誰もそのことに対して追求する者はいなかった。
●恐るべき邪神牧場
「身寄りのない子どもを集めて育ててくれる孤児院が、実は悪の巣窟だった……って、なんかこんな感じの漫画とか、最近多くない?」
だが、これから話すのは紛れもない現実。そう言って、パトリシア・パープル(スカンクレディ・f03038)は猟兵達に、UDCアースで新たに確認された『邪神の仔』についての話を始めた。
「実はね……自分は人間だと思っていたのに、その正体は『邪神の仔』っていうUDCが発見されたの。本人は、今までずっと人間だと思って生きてきたから、自分がUDCだなんて夢にも思っていないけどね」
そして、そんなUDCの候補を、孤児として集めている場所があるという。何を隠そう、その孤児院こそが邪神教団の作り上げた施設であり、集められた子ども達の中から『邪神の仔』の素養を持つ者を探しつつ、他の子ども達も教団員として育成、洗脳しているのだとか。
「……と、いうわけで、孤児院に乗り込んで、バーッと暴れて……って、わけにはいかないのよね、今回は」
パトリシアの話では、孤児院は表向き普通の施設として運営されており、職員の大半が邪神教団とは無関係な人間とのことだった。教団の工作員は中枢にいる院長と数名の職員だけであり、彼らは巧妙に正体を隠しつつ、日夜怪しい実験や儀式で子ども達の精神を少しずつ蝕んでいるようだ。
「下手に正面から突入したら、親玉に感づかれて逃げられちゃうかも。ここは一発、孤児院に潜入して、秘密の部屋を見つけて突入する他にないっしょ!」
潜入方法は自由だが、最終的には孤児院の地下に繋がる道を見つけ、その奥にある秘密の部屋まで行かねばならない。部屋の中には、既に『邪神の仔』の素養を持った少女が拘束されており、邪神として覚醒するよう、色々と酷い目に遭わされているらしい。
「捕まってるのは皐月・奈々(さつき・なな)っていう女の子ね。邪神としての能力は、エネルギードレイン……要するに、相手の生命力を吸収して、自分のものに変えちゃうってやつね」
加えて、奈々の力は地下室に続く道中にも怪奇現象を引き起こしており、本来は一本道でしかないはずの地下通路が、複雑に捻じれた迷路になっている。おまけに、中は意味不明な罠だらけなので、油断して捕まってしまったら大変だ。
「部屋の奥まで到着したら、後は教団の工作員をやっつけて、奈々さんを助け出すだけね。あ、でも、攻撃するときは奈々さんを傷つけないように気をつけて。彼女の力が暴走して、本物の邪神に覚醒しちゃったら、もう誰にも止められないから」
幸いなのは、部屋の奥に潜む敵が、個々の強さはそこまで高くはないことだろうか。教団幹部とはいえ、所詮は末端の施設を任される研究員。地位も実力も低いので、油断せず立ちまわれば、そこまで苦戦する敵ではない……はずである、たぶん。
「事件を解決したら、後は奈々さんと一緒に街に遊びにいってあげて。自分の正体が邪神だなんて知ったら大ショックだし、気分転換も必要よね」
そう言ってパトリシアが取り出したのは、遊園地のワンデーパスポート。これで自由に遊んだ後は、奈々の身柄をUDC組織に預ければ、記憶を操作して再び普通の女の子として過ごせるようにしてくれる。
「自分の正体が邪神だったなんて……そんな厨二病設定、漫画の中だけで十分っしょ!」
それこそ、悪趣味な箱庭も怪奇な地下室も、漫画やアニメの中だけにしてもらいたい。最後に、そんなことを口にしながら、パトリシアは猟兵達をUDCアースへと転送した。
雷紋寺音弥
こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。
UDCアースにて、『邪神の仔』の素養を持ちながら、一般人として生活しているUDCが発見されました。
彼女は既に邪神教団の手に落ちています。
早急に救出し、邪神として覚醒する前に確保してください。
●第一章(冒険)
邪神教団が運営している孤児院へ潜入します。
孤児院の地下には秘密の部屋がありますが、内部は怪奇現象の影響で、意味不明な罠が設置された不可解な迷宮と化しています。
●第二章(集団戦)
邪神教団の工作員達との集団戦になります。
個々の戦闘力はそこまで高くないようですが、『邪神の仔』を宿した少女が攻撃に巻き込まれてしまうと、邪神の力を暴走させたり、邪神への覚醒を促してしまったりするので注意してください。
●第三章(日常)
自身の正体を知ってしまった少女を慰めるべく、日常生活を通してケアを行ってください。
遊園地のワンデーパスを自由に使えるので、上手く利用しましょう。
少女のショックを取り除くことができれば、後はUDC組織の職員達が記憶処置を施した上で、安全で幸せな身分と生活を保証してくれます。
なお、猟兵達の多くが『邪神の仔処分すべし』という決定を下した場合、UDC組織の職員はそれに同意し、実行します。
●邪神の仔(皐月・奈々)
孤児院で暮らしている、どう見ても普通の少女です。
邪神として『他者から生命力を吸収する力』に目覚めつつあり、本人の意思とは関係なく、生存本能に従って接触している生物の生命力を吸収してしまいます。
第1章 冒険
『偽りのネバーランド』
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POW : 職員または孤児として潜入して調査
SPD : 警察等の外部機関として調査
WIZ : 外部から魔力や情報技術等を駆使し調査
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アレクシア・アークライト
邪神の仔――
あくまで超常の力を持つUDCであって、オブリビオンではないのね
それなら私達と同じようなもの
むしろ猟兵になる可能性すらあるかもしれないわ
一方、院長達の方は、予知に引っ掛かったということはオブリビオンの可能性が高いわね
必要な情報が得られたら、そっちは殲滅させてもらうわ
《力場》と《領域》とを展開し、周囲の空間に干渉
《力場》で姿や音を隠すとともに、《領域》で施設内の部屋や通路、罠を把握
念動力で罠の動作を停止させたり、空間の断裂で切断したりしながら奥へと進む
っていうか、意味不明な罠って何よ
罠には意味とか意図とかがあるものでしょ
構造を把握するのも面倒だから、派手にぶっ壊し……我慢、我慢
●What does it mean ?
(「邪神の仔……あくまで超常の力を持つUDCであって、オブリビオンではないのね」)
それならば、自分達猟兵と同じようなものであると、アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)は身を潜めながら考えた。いや、もしかすると、このような存在のUDCが、いずれは猟兵として覚醒する可能性も否定はできないと。
シャーマンズゴーストに始まり、UDC-Pなる存在も現れているのだ。UDCだからといって、必ずしも敵であるとは限らない。その一方で、グリモア猟兵の予知に引っ掛かった以上、この孤児院の院長達はアレクシアからしても完全に『黒』だが。
とりあえず、必要な情報だけ入手したら、邪神教団員の方は早急に殲滅してやろうとアレクシアは心に誓った。施設には地下室があるということで……あれこれ探し回っていると、いかにも怪しげな扉を見つけ、それを徐に開いてみれば。
(「地下へ続く怪談……大当たりね」)
恐らく、これが『邪神の仔』へと続く道なのだろう。ここから先は、常識の通用する世界ではない。慎重に歩を進め、ふと後ろを振り返ると……なんと、先程まであったはずの扉が消えていた。
「ちょっ……! なにこれ、聞いてないわよ!?」
念を凝らして周囲の様子を探るも、出口らしい場所は見当たらない。空間が歪むのに合わせ、扉も位置も孤児院の中に、ランダムで出現しているのかもしれない。
これは冗談抜きで油断できない状況だ。更に慎重に歩を進めて行けば……突然、足下が大きく歪み、アレクシアは咄嗟に身を翻して罠を避けた。
「……危なかったわね。こっちの干渉も受け付けないし、どうなってるのよ、この空間は?」
そこにあったのは、大きな穴。さしずめ、落とし穴といったところなのだろうが、穴の中を覗いてみると、なんと自分の頭が見えるではないか!
「うわ……いくら空間が歪んでるからって、よりにもよって、なんで穴の底が穴の上に繋がってるのよ……」
これでは落とし穴というよりも、無限ループ穴である。もっとも、ちょっと手を伸ばせば直ぐに穴の縁に届いてしまうので、無限ループから脱出するのも容易いだろうが。
「これ、落とし穴のつもりなの? 意味分かんないし……」
侵入者を防ぐにしては、あまりにお粗末な罠だった。恐らく、本来であれば何らかの意味を以て置かれた罠が、空間の歪みによっておかしな装置にされてしまったのだろう。
そのまま進んで行くと、その先にも様々な罠があったが、やはり意味不明な代物ばかり。わざわざ『猛毒注意』と書かれた毒入り飯が置かれていたり、いきなり矢が飛んで来たと思ったら玩具の矢だったり……こちらを殺したいのか、それとも単におちょくっているだけなのか、本当に意味が分からない。
「ああ、もう! 構造を把握するのも面倒だから、派手にぶっ壊し……我慢、我慢」
ついには我慢の限界を迎え、ブチ切れそうになるアレクシア。しかし、ここで下手に施設を壊し、邪神の仔の暴走を促しては拙い。なんとか心を静めると、もう何が起きても驚かないと誓いつつ、更に奥へ進んで行くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
黒沼・藍亜
人に迷惑を掛けないUDCと、人に迷惑しか掛けない人間だったらそりゃ迷う事無しに前者の味方っすよ
というか、……後者は下手な邪神なんかより余程嫌いっすからね
さて。目立たない事と忍び足ならそこそこ得意っすよ
とりあえず探るのは「特定の人しか入っちゃいけない場所」と「特定の人しか用がない場所」、身内にも隠してるんだから怪しいのはそういう所のハズ
可能なら落とし子『奈落這う黒群』を呼んで探らせるけど……バレそうなら通路侵入までは出さないっす
通路内の罠は、落とし穴の類なら『フックシューター』を放って、
それ以外は黒群の怪力を生かしたり情報収集させたり、運搬の能力でボク自身を運んでもらったりして対処してくっすよ
●行く手を阻むは嫌がらせ!?
人に迷惑をかけない異形の者と、他人に迷惑しかかけない人間。
黒沼・藍亜(人■のUDCエージェント・f26067)にとって、忌むべきは後者の方だった。否、多くの猟兵にとっても、それは同じだったであろう。
妖精、亜人、幻獣、機械……およそ、考え得る限りの様々な種族が共に戦っている状況で、種族により善悪を決めることなどナンセンスの極み。真に目を向けるべきは、その者の本質。即ち、心の内面であるといえるだろう。
(「さて……目立たない事と忍び足なら、そこそこ得意っすけど……」)
苦もなく孤児院に忍び込んだ藍亜であったが、問題なのは地下へと続く扉を探すことだった。
自分の操る邪神の落とし仔を使って捜索させれば、手っ取り早く見つけることができるだろう。だが、ここは敵地。おまけに、そもそもの相手が邪神教団ともなれば、UDCの扱いにおいては敵の方もまたプロなわけで。
(「とりあえず、『特定の人しか入っちゃいけない場所』を探してはみたっすけど……」)
さすがに、堂々と院長室などに入るわけにも行かず、随分と遠回りな探索となってしまった。それでも、なんとか怪しい扉を探して地下へと向かったが、その先に待っていたのは、複雑怪奇に入り組んだ迷宮の如き回廊だった。
「うわぁ……。こりゃ、どっちに進んだら良いのかも分からないっすね……」
元は、単なる一本道の廊下だったのに、それがこんな迷宮になってしまうとは。改めて、邪神の仔が覚醒した際の恐ろしさを感じる藍亜だったが、いつまでも躊躇しているわけにも行かない。
覚悟を決めて進んで行くと、最初に待ち構えていたのは落とし穴。が、しかし、フックシューターを使うまでもなく、その穴の深さは彼女の膝下程度のものだった。
「痛っ!? す、脛を打ったっす!!」
まあ、嫌がらせとしては十分な罠だったが、侵入者を抹殺するには程遠い。その後も、なにやら目的の不明な中途半端な罠ばかりが襲い掛かって来ては、藍亜の神経を逆撫でする。
「即死しないのはいいっすけど……地味に足止め食らうのが面倒っすね、これ」
もう、色々と考えながら進むのも億劫になり、藍亜は自らの操る邪神の落とし子を召喚し、それらを使って強引に迷宮を突破することにした。
「さーて、お仕事の時間っす。出てくるっすよー」
主の呼び声に応え、現れたのは黒い球体が連結した虫のような姿をしたUDC。それらは一斉に藍亜の下へと回り込むと、見た目からは想像もできない怪力で、藍亜のことを運び出した。
「いや~、やっぱりこっちの方が楽ちんっすね」
願わくは、即死級のトラップに引っ掛からないことを祈りつつ、藍亜は回廊の奥へと進んで行く。気が付けば、ぼんやりとした灯りに照らされた廊下の向こうに、なにやら蠢く人影が見えて来た。
大成功
🔵🔵🔵
藤原・桔梗
pow
レクス(f07818)と行動
【心情】
桔梗も孤児院兼養成所『スクール』で育った身です
もし、『スクール』が同じような組織であったのなら
奈々さんと同じようなことになっていたかもしれないんです
桔梗がお姉ちゃんに助けられたように、桔梗も奈々さんを助けます
【行動】
孤児の1人に紛れる形で潜入します
えへへ、実は明確なプランはないんですけど
「コミュ力」を活かして同じ孤児の子供たちに内部の詳細を聞いて回りましょう
後は「勇気」と「幸運」でどうにかします!
最悪でもレクスさんが細かいことはどうにかしてくれるはずです
桔梗は桔梗として出来ることをやります
奈々さん、待っていてくださいね
桔梗たちがバーンとぶち壊しますから
レクス・マグヌス
wiz
桔梗(f10098)と
【心情】
たしかに漫画ではよく見るパターンだな
だが、漫画で見るのと現実で見るのは別物
許せる所業じゃない
邪神教団とやらには、漫画のように滅んでもらうとしよう
※UDCアースの漫画が気に入ってよく読んでいる
【行動】
「高速詠唱」を用いて、蝙蝠・鼠・蛇などの使い魔を召喚
内部の偵察をさせる
邪神を宿した少女か
たしかに本来なら忌むべき力と言うべきだが
彼女が人としての生を望むなら救うだけだ
・内部の構造の把握
・問題の少女がどこにいるのかを確認
・中の敵の数を把握
可能なら中の敵の攻撃手段/弱点を調査
・人の少ないタイミングを調べる
桔梗さん
こういう時に行動力はあるな
何事もなければいいんだけど
●偽りの楽園
楽園だと思っていた箱庭が、実は地獄の一部であった。
そんな設定の漫画や小説は、ここ最近で随分と増えた。だが、それでもあくまでそれらはフィクション。現実に起きているとなれば、是が非でも阻止すべき大問題。
「たしかに漫画ではよく見るパターンだな。だが、漫画で見るのと現実で見るのは別物
許せる所業じゃない」
「桔梗も孤児院兼養成所『スクール』で育った身です。もし、『スクール』が同じような組織であったのなら、奈々さんと同じようなことになっていたかもしれないんです」
レクス・マグヌス(嵐をもたらすもの・f07818)と藤原・桔梗(四海の龍と共に征く・f10098)にとって、この孤児院で行われていることは、正に悪魔の所業であった。
行き場のない子ども達を集め、邪神の仔としての素養を見出し、人ならざる者へと変えてしまう。そして、その過程で失敗したり、あるいは素養のなかった者は……正直、想像するのも嫌になる。
「まずは、桔梗が潜入して情報を探りますね」
「頼んだぞ。その間に、こちらでも地下へと続く扉を探しておく」
孤児院に到着した桔梗とレクスは、それぞれ二手に分かれて調査を開始した。まずは桔梗が、院の庭で遊んでいた子ども達に何気なく声をかけ。
「初めまして! 私、桔梗っていうの。今日、初めてここに来たから、まだ分からないことが多くて……」
「え? ああ、新入生? だったら案内してあげるよ。どうせ、今日は学校もないし暇だからね」
とりあえず、孤児の中に紛れ込む形での潜入には成功したようだ。後は、彼らから少しでも有益な情報が得られれば良いのだが。
(「桔梗さん、こういう時に行動力はあるな。何事もなければいいんだけど……」)
万が一、正体がバレた場合、大変なことになるのではあるまいか。どうにも不安を隠しきれないレクスだったが、それでも今は桔梗を信じて行動する他にない。
自分にできることは、せめて桔梗が危険な目に遭わないようバックアップすることだ。そう考え、レクスは鼠や蝙蝠といった使い魔を召喚すると、それらを孤児院の中へと放つのであった。
●地獄の入口
孤児に紛れ込むことで、辛くも潜入を果たした桔梗。しかし、彼らと友人になることには成功したが、肝心の邪神教団に関しては、子ども達は何も知らないようだった。
(「これは困りましたね……。でも、本当に何も知らないみたいですし……」)
邪神教団の工作員達は、桔梗が想像していた以上に、この孤児院の内部に溶け込んでいるようだった。恐らく、院長やその取り巻きなどが工作員なのだろうが、少なくとも子ども達の前では決してボロを出していないようだ。あるいは、子ども達をゆっくりと時間をかけて洗脳することで、外の世界との違和感を持たないように育て上げているのかもしれない。
どちらにしろ、このままでは先に進めないのは確かだった。だが、彼女には心強い味方がいる。桔梗が院の中で動き回っているのとは別に、レクスの放った使い魔達が、懸命な捜索を続けているのだから。
(「あれは……レクスさんの使い魔?」)
こちらを誘うようにして物陰から様子を窺っている鼠を見つけ、桔梗は思わず後を追った。鼠に案内されるままに歩いて行くと、果たしてそこにあったのは、真っ黒に塗られたいかにも怪しげな雰囲気を放つ扉だった。
「どうやら、ここが入口のようだ。しかし……中に、何が待っているかも分からない。十分に、注意して進もう」
桔梗の後ろから、遅れて現れたレクスが言った。この扉の向こう側は、怪奇現象の巻き起こる未踏の領域。ランダムで道も変わる迷宮であり、使い魔の力を以てしても内部の構造を把握できない。
(「どんな相手が待っているのか、どんな罠があるのかも分からないままだ……。でも、行くしかない!」)
グリモア猟兵の言葉を信じるならば、この先に捕われている少女がいるはずだ。気まぐれの如く変わる道と罠が厄介だが、それでも少女を助けるためには先へ進むしかないわけで。
「奈々さん、待っていてくださいね。桔梗たちがバーンとぶち壊しますから」
障害の正体が分からずとも、全部気合いで乗り越えればいい。目の前に広がる地獄への入り口。それを盛大に解き放つと、桔梗は臆することなく地下へと続く階段を下って行った。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
神薙・佑紀
【POW判定】NGなしアドリブOK
邪神の仔の素養……本人が望んだものではないでしょうに。(邪神がらみの儀式に巻き込まれた過去を重ねてしまう)
新しく来た職員を装って潜入しましょう。恐らく普通の孤児院に必要のないものが運び込まれたり建物の構造に不自然な箇所があるでしょう。そこを調べましょう。疑われたら催眠術で、それでも見破られそうなら騙し討ちで気絶してもらいましょう
もしかしたらトラップ自体も子供たちに使っているものと同じかもしれませんね。今後の対策になるかもしれませんし、慎重に進みながらどんなのが使われているのか確認もしておきましょう
●望まぬ力を得て
ある日、唐突に自分が人外の存在であると告げられたら、果たして人はどうするだろうか。
神薙・佑紀(かつて邪神に捧げられし者・f29188)にとって、それは決して他人事ではなかった。彼女もまた、邪神の絡んだ儀式の生贄とされた際、人間としての姿を失ってしまったのだ。
(「邪神の仔の素養……本人が望んだものではないでしょうに」)
人の姿をしていながら、しかし人ならざる存在として産まれてしまった皐月・奈々。そんな彼女に、佑紀はかつての自分を重ねずにはいられなかった。
とりあえず、潜入のために新しく来た職員を装い、中へと入る。院長を始めとした邪神教団の工作員と接触すれば一発でバレてしまうだろうが、その時はその時だ。
元より、佑紀には孤児院の中にいる者達と不用意に接触するつもりはなかった。探すべきは、地下への通路。建物の構造上、地下室へと続く扉を設けられるような場所は限られる。
邪神の仔として目覚めつつある奈々の力によって、扉の位置は院内を転々としているようだった。それだけでも奇怪な事象だが、しかし佑紀は諦めることなく孤児院の裏手へと回り、ついに漆黒の闇色に塗られた扉を発見した。
「いかにも……と、いう感じの扉ね」
そっと、扉に手をかけようとした矢先、佑紀は誰かの気配を感じ取って振り返った。願わくは、孤児院にいる子どもであって欲しかったが、そこにいたのは職員の内の一人だった。
「おい、誰だ! そこで何をしている!!」
教団の関係者か、あるいは単に正義感の強い職員なのだろうか。ガタイの良い男が佑紀に訝しげな視線を向けたまま迫るが、その程度で怖気づく佑紀ではない。
「別に、何もしていませんよ。それより……君こそ、一緒に仕事をしている人間の顔を忘れたのかしら?」
相手の瞳をしっかりと見据え、催眠術で自身を仲間だと思わせる。これが邪神教団の工作員だったら、あるいはさしたる効果も発揮できなかったかもしれないが。
「……ん? なんだ、お前か。悪いな、不審者だと思ったよ」
佑紀の催眠術によって、男はコロっと騙されてしまった。どうやら彼は工作員などではなく、何も知らずに孤児院で働いている職員だったのだろう。
これで邪魔者はいなくなった。意を決し、改めて扉を開け放ち奥へと歩を進める佑紀。瞬間、何かが凄いスピードで飛んで来て、思わず首を横に傾けかわしたが。
「……っ!? なにこれ、水風船?」
高速で飛んで来たのは、石でもなければ矢でもない。水のたっぷり詰まった風船であり……確かに、当たれば全身が濡れてしまうが、はっきり言って子どもの悪戯レベルである。
「これが罠? なんだか拍子抜けね」
その後も奥へ進む度に意味不明な罠が佑紀を襲ったが、殺そうとしているのか、単なるコケ脅しなのか、どうにもはっきりしないものが多かった。
「子ども達の洗脳やお仕置きには、使えなさそうな罠ばかり……。いったい、何を考えているのかしら?」
もしかすると、これは邪神教団の意思ではなく、暴走しそうな奈々の無意識が、力として漏れ出た結果なのかもしれない。
現状、そこまで恐れることはなさそうだが、しかしいつ凶暴な罠が牙を剥くとも限らない。警戒は解かず、あくまで慎重に歩を進めながら、佑紀は奈々の捕らえられている地下室の奥へと歩を進めて行った。
成功
🔵🔵🔴
ティフティータ・トラーマ
アドリブ、連携OK SPD
「潜入といっても、いきなり職員にってのも難しいし…芸人の練習台(観客)をお願いしようかしら。」
慰問で入ると、衣装着替えで迷ったふりをして内部調査&地下侵入
「邪神とか善神とか言うけど、元がどっちでも本神の性格なのよね。アレ(自分の神)も一応善神のハズだけど、気紛れすぎて邪神扱いしたいし。」
逆に言えば、邪神の娘が邪神の力を使っても、用量用法を間違えなければいい結果にもなるだろうし。
「とか思ってる間に罠みたいだけど…コレはナニをしたいのかしら?本人(奈々)の意図なら悪戯、なんでしょうけど。」
意味不明な罠々を避けつつ、この程度で収まってる間に片付けたいわね、と奥へ向かいます。
●神の定義
邪神。それはUDCアースにおいて、古来より人々を苦しめてきた邪悪なる存在。
だが、そんな邪神もティフティータ・トラーマ(堕天使の剣舞暗殺者・f29283)にとっては、必ずしも邪悪なる神であるとは言い難いようだった。
(「邪神とか善神とか言うけど、元がどっちでも本神の性格なのよね」)
自分にとっての神もまた、気紛れ過ぎて邪神扱いしたくなるような存在だ。しかし、それはあくまで人間の常識を基準にしたもの。重要なのは神性であり、神としての種族がどうあるかではないのだと。
それは、裏を返せば皐月・奈々の存在が、必ずしも人に仇を成すものではないということも示していた。そんなわけで、何はともあれ、まずは潜入。ティフティータにとって、職員に変装するのは敷居が少し高かったので、彼女は全国の様々な施設を慰問して回っている、旅芸人という設定で孤児院へ入り込んだ。
「さすがに、この世界で旅芸人は無理があったかしら? でも、まあ……入れたんだから、それでいいわよね」
恐らくは、大成前の大道芸人ということで、そこまで名前が知られていなくても違和感を抱かれなかったのだろう。着替えのための部屋を探して迷ったふりをしながら院内を探索して行くと、黒い扉は直ぐに見つかった。
この先は、様々な罠の待っている危険な場所。それでも行かねばならないと、ティフティータは足を踏み入れたが。
「……とか思ってる間に罠みたいだけど……コレはナニをしたいのかしら?」
やたら高さの低い落とし穴に、殺傷能力のない飛び道具。子どもの悪戯としか思えない罠だったが、これは奈々の意思なのだろうか。
「……っ!?」
次の瞬間、壁から突如として謎の触手生物が現れた。どうやら、先程までの罠とは違い、邪神の眷属的な何かのようだが。
「今は、あなたに構ってる暇はないのよ」
捕まったと思われたところで、そこに残っていたのは上着のみ。するりと抜け出したティフティータは、お返しとばかりにナイフで斬り付け、触手が戸惑っている間に更に奥へと進んで行く。
「この程度で収まってる間に片付けたいわね。さあ、次は何が出て来るかしら?」
どのような罠であれば、本気で殺しに来ていないのは幸いだ。正体不明の化け物を軽くあしらい、ティフティータは奈々の捕らわれている、地下室の最深部を目指して歩き出した。
大成功
🔵🔵🔵
クロエ・アスティン
邪神教団……なんだか嫌な予感がするでありますが、
奈々様を邪神なんかに目覚めさせないためにも突入であります!
小柄な身体なのを利用して孤児として忍び込んだら、一気に地下通路を目指すであります。
万が一、罠が発動したら【無敵城塞】を発動してやりすごしてしまいます。
発動したのはエナジードレインの効果がある毒ガス?
奈々様の邪神としての力はエナジードレイン、でしたね。
通路からガスが拡散するまで【無敵城塞】でやりすごしましたが、
動いた瞬間に服がぼろぼろと崩れて下着姿に!?
ひっ、エナジードレイン以外にも何か効果があったでありますか!!?
※アドリブや連携も大歓迎
天堂・美亜
(ギャク調や快楽堕ちはNG
社会のレポート作成のための見学、として孤児院を見せてもらい、お手洗いと偽り地下への道を探索
地下では意味不明過ぎて警戒が意味を為さず、罠で磔にされたところを工作員に見つかってしまい……
動けない私は、工作員に胸を揉みしだかれ唇を奪われた後、力尽きるまで攻撃され続けます
明らかに手加減し、少しでも長く嬲る意図に気付いても、私はただ泣き叫び、衣服を剥かれ、恥辱に晒されるしかありません
力尽きた私は罠から解放されますが、そのまま工作員達に囚われてしまいます
自分達が飽きた後は邪神の仔を孕ませるのにでも使おう、という言葉に怯えながら、私は工作員達の情欲に貫かれ、欲望を注ぎ込まれます……
叢雲・黄泉
「邪神の仔――ですか……」
私を半吸血鬼にした邪神を殺すのが私の生きる目的……
その邪神とは別物ですが、もし少女が邪神に覚醒しそうになれば、この手で救済を下す必要もあるでしょう……
愛刀を手に孤児院に乗り込み、地下へと向かいます。
「たとえ、どのような罠があろうとも、半吸血鬼の身体能力を持った私には無意味です……」
壁を走り天井を蹴り、罠を回避しながら迷宮を駆け抜けますが……
「触手ですかっ、その程度っ!
にゃああっ!?」
伸びてきた触手(こんにゃくのような弾力)を【斬魔剣】で斬れず、そのまま触手に捕まってしまい……
そのまま触手に胸を弄られ、胎内を犯されて……
憎むべき邪神の力に屈して絶頂してしまうのでした。
●黒い扉の先へ
孤児院を隠れ蓑に、邪神の仔を覚醒させようと企む邪神教団。繰り返し、様々な猟兵が接触を試みた結果、怪しい場所も直ぐに割れ、もはや黒い扉を見つけるのは容易なこととなっていた。
「邪神教団……。なんだか嫌な予感がするでありますが……」
扉を前に、クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)は何やら嫌な既視感を覚えて足を止めた。が、しかし、この先で行われている非道な行為を考えると、ここで足を止めるわけには行かないわけで。
「邪神の仔、ですか……」
その一方で叢雲・黄泉(賞金稼ぎの邪神ハンター・f27086)は、何ら躊躇いなく扉の奥へと足を進めて行く。
彼女の目的は、全ての邪神を抹殺すること。故に、皐月・奈々が万が一にも邪神として覚醒するならば、その前に殺害することも躊躇わないだろう。
「これは……怯んでいる場合じゃなさそうね」
ただならぬ雰囲気を感じ取りながらも、天堂・美亜(人間の翔剣士・f33199)もまた扉の奥へと歩を進めた。
三者三様、それぞれの想いを胸に地下へと降りて行く猟兵達。その先で待っているおぞましい未来になど、この時点では彼女達は気付いていなかった。
●邪悪なる者達の歓待
邪神の仔の影響により、複雑に入り組んだ地下通路。本来は一本道のはずなのに、まるで空間の繋がりを無視したような、歪にねじれた道になっている。
そして、それ以上にやってられないのが、道中に仕掛けられた様々な罠だった。その大半は殺傷能力の低いものだったが、しかし一方で人の神経を逆撫でしたり、無駄に足を止めさせたりするものも多いわけで。
「うぅ……さっきから、変な罠ばっかりなのであります」
殆どギャグとしか思えない罠の数々に、クロエは早くも頭が痛くなっていた。まあ、それでも致命傷を負わせるような罠ではないので、その点だけは安心だが。
「あれ? なにかこっちに近づいて……」
そんな中、美亜が何かに気が付き前を指差すと、通路の奥から謎のオブジェが現れた。見たところ、子どもの落書きを実体化させたような形をしているが……恐らく、あれも罠なのだろう。
「ふん……くだらない」
何かされる前に始末するべく、黄泉が愛刀を片手に駆け出した。卓越した身体能力を駆使して天井を走り、飛来する矢を軽々と避け、擦れ違い様に謎のオブジェを一刀両断!
「たとえ、どのような罠があろうとも、半吸血鬼の身体能力を持った私には無意味です……」
正体不明のオブジェを斬り倒し、そのまま着地して刃を納める。だが、次の瞬間、オブジェの切断面から謎のガスが溢れ出し、周囲に充満し始めた。
「なっ……! こ、これは……!?」
「な、何が起きたの!?」
いきなりガスに飲まれ、慌てる美亜と黄泉。あまりに意味不明な罠過ぎて、警戒がまるで役に立たない。
「うっ……か、身体から……力が……」
「きゃぁっ! なにか壁から出て来て……ぁぁっ!!」
思わず黄泉が膝を突いたところで、今度は壁から飛び出した磔台に、美亜が拘束されてしまった。そのまま壁は反転し、美亜をいずこへか連れ去ってしまう。おまけに、今度は床下や天井から、謎の触手生物が出現したのだから堪らない。
「触手ですかっ、その程度っ! にゃああっ!?」
先程と同じように切断してやろうと斬り掛かる黄泉だったが、しかし彼女の振るった刃は弾性の強い触手によって弾かれてしまった。普段であれば、強引に断ち切ることができたかもしれない。だが、ガスの影響で力を奪われていた彼女の腕には、触手を断つだけの力が入らなかったのだ。
「うぅ……こ、この! 離しなさい!」
執拗に触手を斬り付ける黄泉だったが、効果はない。そのまま、彼女も床下へと連れ去られてしまい、後に残されたのはクロエだけ。
「あぁ……み、みんな、捕まってしまったであります……」
やがて、ガスが退いたところで、クロエは自分だけが残されたことに恐怖した。
エネルギードレイン。先程のガスの効果は、奈々の邪神としての力と同じ性質のものだった。クロエがそれに耐えられたのは、咄嗟にユーベルコードを使って無敵モードになっていたから。もっとも、肉体的には無敵でも、武器や防具はその限りではないわけで。
「ひっ、エネルギードレイン以外にも何か効果があったでありますか!?」
なんと、クロエが動いた瞬間、彼女の衣服がボロボロと崩れ落ちてしまったではないか!
どうやら、先程のガスには一部の繊維を破壊する効果もあったらしい。直ぐに捕まった美亜や黄泉はともかく、ガスを浴び続けてしまったクロエは完全に衣服を破壊され、彼女の身体には下着の欠片しか残っていなかった。
●暗黒触手の宴
奮戦及ばず、触手に捕まってしまった黄泉。彼女は床下に引き込まれた上で、触手による執拗な攻めを受けていた。
「くっ……! こ、この……」
必死に抵抗しようとするも、身体に力が入らない上、触手の数が多過ぎてどうにもならない。気が付けば、衣服をズタズタに破かれた上、胸を執拗に弄られて、全身を謎の粘液でベタベタにされていた。
「あぅっ! そ、そんなに胸ばっかり……ぁぁぁぁぁ!」
触手が黄泉の胸に巻き付き、絞るようにして先端を露出させる。その先に吸盤のような触手が張り付き、内部に仕込まれた細い触手や突起物が、黄泉の身体を抵抗の意思に反して敏感にして行く。
「ひっ! そ、そこは……はぁぁぁぁぁ💕」
相手は憎むべき邪神の眷属。そう、頭では分かっていても、触手の冒涜的な行為によって、どんどん肉体を開発されて行く。ついには触手が彼女の下半身に集結し、その足を大きく開かせて。
「だ、だめ……そこは……それだけはダメで……ひぐぅっ!!」
触手が下着を突き破り、強引に黄泉の中へと侵入して来た。内部で暴れ回る触手の動きに、だんだんと彼女の頭から理性が飛んで行き。
「あ……ぁぁ……んぅ💕 くぅ……や、やめ……んぐぅっ!?」
それでも懸命に抵抗しようとする黄泉の叫びに鬱陶しさを覚えたのか、触手は彼女の口の中にも強引に侵入し。
「んっ……💕 くふぅ……💕 んぶぅ……んんっ!? んぅぅぅぅぅっ💕💕💕」
胸と胎内、外と内を同時に蹂躙され続けたことで、ついに黄泉は邪神の力に屈し、そのまま昇天させられてしまった。
(「あ……あれ……は……」)
薄れ行く意識の中、黄泉の瞳に椅子のようなものに縛り付けられている少女の姿が飛び込んで来た。どうやら、触手に捕まったことで地下室の最深部には招待してもられたようだが、しかし要救助者を前にして、黄泉もまた捕らわれの身となってしまうのであった。
●羞恥の無限地獄
磔台に拘束され、そのまま連れ去られてしまった美亜。彼女もまた身動きが取れないまま、邪神教団の工作員たちによって、執拗な責め苦を与えられていた。
「んっ……ぷはぁ! も、もうやめ……んぅぅぅ!!」
強引に唇を奪われた状態で、乱暴に胸を揉みしだかれる。それでも心の折れない美亜に業を煮やしてか、工作員たちは次々と、彼女に攻撃を加え始めた。
「オラァ! 聞き分けの悪い雌ガキは、調教してやるぜぇ!」
「ここに入っちゃいけないって、院長に言われなかったのかぁ? 約束の守れないガキには、躾が必要だよなぁ!」
衣服を破られ、髪の毛を掴んで引っ張られ、何度も腹を殴られた。明らかに手加減している様子だったが、それは彼らが少しでも美亜を嬲って楽しむため。気を失ったふりをしても、冷水をかけられた上に頬を平手で叩かれて、それでも反応が鈍って来ると、彼らは自分の腰に巻いていた皮ベルトを外し、それを鞭代わりにして美亜を打ち据えた。
「あぅっ! い、痛……あぐぅっ!!」
もはや、抵抗する気力さえ失われたのか、美亜はされるがままだった。このまま、自分は殺されてしまうのか。そんな絶望的な考えが彼女の脳裏を掠めたところで、工作員たちを押し退けて、一人の女が現れた。
「そこまでにしておきなさい。あまりやり過ぎると、私が実験に使えなくなってしまうわ」
明らかに人間とは異なる雰囲気を醸し出す女。恐らく、彼女はオブリビオンだ。もっとも、それが分かったところで、今の美亜に何ができようか。
「まあ、とりあえず生かしておけば問題ないから。殺しさえしなければ好きにしていいから、もう少し考えて嬲りなさい」
なんとも恐ろしいことをサラリと言ってのけ、女は美亜の前から姿を消した。そして、その言葉を聞いた工作員達の顔に、再び邪悪な笑みが宿り。
「へっ……そういうことなら、もうやることは決まってるよなぁ?」
「ああ! どうせ邪神の仔を孕ませるのにでも使うんだろう? だったら、その前にせいぜい楽しませてもらうぜ」
美亜を磔台から外し、男達は強引に彼女の身体の中へ自らの欲望を押し込んで行く。前と後ろ、そして口にさえも情欲の塊を強引にねじ込み、そのまま乱暴に身体を動かし。
「んぐふっ! おぐっ! あぶぅ……んふぅぅぅっ!?」
己の本能が命じるままに美亜の身体を弄び、その中に自らの欲望を吐き出したのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 集団戦
『『パパ活邪神教団・研究員』SCバニー』
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POW : 新しいオモチャ、あなたも試してみませんか?❤
攻撃が命中した対象に【催淫とオモチャへの欲求衝動】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【対象によるオモチャの強制装着】による追加攻撃を与え続ける。
SPD : 試作品の無料配布中です、お試しください❤
いま戦っている対象に有効な【開発中の薬品(サプリ等に偽装済)】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 同意したらもっといいモノ、用意しますよ❤
【『名前を書きたくなる』呪い付き同意書】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
イラスト:えんご
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●冒涜的な発明者
一部の者達が犠牲になりながらも、猟兵達は孤児院の地下にある謎の部屋へと辿り着いた。
この中で、皐月・奈々を邪神の仔に覚醒させるおぞましい実験が行われている。意を決して奥へ進むと、果たしてそこにあったのは、想像を絶する冒涜的な光景だった。
「あぁ……んぅぅ……」
椅子に縛られた奈々の全身を、不気味な触手が蹂躙している。否、これは触手そのものが椅子を構築しているのか、あるいは椅子から触手が生えているのか。
「あら、お客さんが来たようね」
「うふふ……待っていましたよ。あなた達がここへ来るのを」
バニー服の上から白衣を羽織った、奇妙な女性達が姿を現す。見れば、彼女達の何人かは、孤児院の中で擦れ違った職員ではないか!
「この触手椅子と女の子、面白いでしょう? 私達の自信作ですよ」
「この子の中に眠る邪神の力は生命力吸収。でも、この触手椅子も、座った人間の生命力を吸収する……。つまり、互いに生命力を吸収し合うことで、永遠に稼働し続ける夢の永久機関! あぁ、素晴らし過ぎて、ゾクゾクします💕」
恍惚とした表情を浮かべ、イカれた発明品の説明を続ける女達。
そう、彼女達こそ、この孤児院を隠れ蓑に活動を続ける邪神教団の工作員でありオブリビオン。『パパ活邪神教団・研究員』SCバニーに他ならない! 孤児院を隠れ蓑に邪神の仔の素養を持った人間を探す一方で、素養のない子どもは歪んだ教育によって洗脳し、冒涜的なイケない行為で教団の資金源を確保させたり、あるいは誘惑と篭絡によって信者を確保させたりするのに利用していたのだ。
彼女達は、このふざけた永久機関とやらで、奈々に終わらない責め苦を与えて邪神としての覚醒を促そうとしている。放っておけば、奈々は遠からず触手椅子の力に屈し、完全に闇の存在と化してしまうだろう。
「この子が邪神として目覚めれば、邪神様の力を持った存在を、たくさん産ませることもできますけど……」
「それには、まだまだ実験が必要なんですよ。ですから……お手伝いいただけますか? あなた達の身体をモルモットとして御提供ください♪」
焦点の定まらない瞳のまま、頭のネジが外れた女達が一斉に襲い掛かって来た。
彼女達は研究員。その戦闘力は猟兵と比べて劣るものの、しかし決して油断してはならない。戦いが長引けば、それだけ奈々が邪神として覚醒する可能性も増し、加えてSCバニー達の用いる数々の発明品は、時に猟兵の精神でさえも揺さぶるだけの効果を持っているのだから。
クロエ・アスティン
や、やはりパパ活教団でありましたか!
丸見えの胸元は片手で隠し、戦乙女の槍を構えて睨みつけるであります。
流石にこのままでは戦えないと【戦女神に捧げる聖なる祈り】で戦乙女姿に変身。
まずは奈々様をあの不気味な椅子から解放するであります!
研究員の攻撃を耐えながら、戦乙女の槍を椅子に突き刺しますが、
伸びてきた触手に拘束されてしまいます。
なんとか振り払おうとするけれど、聖鎧の内側にまで潜り込んできて全身体の中までを弄ばれてしまい、
生命力を吸収されたせいでUCを維持できなくなり、とうとう全裸に。
せめて奈々様だけでも逃がさなきゃと意思だけで、なんとか同意書にサインするのだけは抵抗します。
※アドリブ・連携も歓迎
叢雲・黄泉
「くぅ……ここ……は……?」
白衣をまとった邪教徒たちの前で触手に責められているのは……
あれが邪神の仔ですか……
まだ覚醒前とはいえ、あれは危険な存在……
力に目覚める前に消えてもらいましょう……
【血統覚醒】で吸血鬼の力を解放して邪神の仔を滅しようとしますが……
「なっ、か、身体が動きません……!?」
自分の身体を見下ろせば、邪神の仔と同じように触手の椅子に座らされていて……!?
強制装着された触手が急に動いてきて身体中を這い回り……
私の身体も無意識にそれを求めてしまい……
「くっ、わ、私に何を……
ひゃあああっ」
またもや胸と胎内を蹂躙され、それを自分からも求めてしまい……
邪神の仔の前で果てるのでした。
神薙・佑紀
【WIZ判定】
まったく何が永久機関ですか!そんなたちの悪いもの、壊して奈々さんを助けます!
とは言いますが、もし彼女まで傷つけるとまずいですからね。このバニーを先に蹴散らしましょう。
身体を提供なんてする訳ないでしょう!同意書なんて破いてしまいますよ!(ユーベルコードを発動して黒い触手で相手が出す同意書を破壊してダメージを与える。しかし間に合わなかったものが命中してしまい)
……はっ、しまっ(気がついた時には名前を書いてしまっており、強化型と称される触手椅子に座らされていた)
う、ああっ(抵抗しようとするが、どんどん実験品を使用される)
●禁断の契約
孤児院を隠れ蓑に、邪悪な研究を続ける邪神教団。その正体が、またもや例の淫乱教団だったことに、クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)は何とも嫌な既視感を覚えていた。
「や、やはりパパ活教団でありましたか!」
もっとも、いくら槍を構えて相手を睨みつけたところで、殆ど素っ裸の状態では威厳もなにもあったものではない。さすがに、このままでは戦えないと、慌てて戦鎧を着用し。
「……ったく、何が永久機関ですか! そんなたちの悪いもの、壊して奈々さんを助けます!」
SCバニー達の暴挙に早くもブチ切れた神薙・佑紀(かつて邪神に捧げられし者・f29188)が、触手に捕らわれた奈々を助けるべく突っ込んで行く。
「あら? 私達と戦うつもりですか?」
「それよりも、私達の研究に協力していただけません?」
そんな佑紀に対し、謎の契約書を押し付けようとするSCバニー達。しかし、佑紀は怯まない。どうせ、碌でもない契約書に違いないので、内容さえ読まずに速攻で破棄だ。
「出でよ引き裂け黒き腕!」
漆黒の触手を呼び出して、佑紀は相手の放った契約書を次々に破り捨てていった。その間に、クロエが奈々を助けるべく触手椅子に槍を突き刺すが……ダメージを受けた触手椅子は、自らの生存本能を優先し、奈々から凄まじい速度で生命力を吸収し始めた。
「んっ!? んぅっ!! んんぅぅぅぅっ!!」
触手が激しく暴れ回り、奈々の胸元や、全身の穴という穴に入り込んで凌辱を開始した。その、あまりに酷過ぎる光景に、思わず怯んでしまった瞬間……クロエもまた、暴走する触手に捕まって、身動きが取れなくなってしまった。
「ひゃぁっ! こ、こんな触手なんて……触手……なん……て……」
全身の力が抜け、もはや槍を振るうことさえ適わない。気が付けば、戦鎧も解除されてしまい、クロエは奈々と一緒に生命力を奪われてしまい。
「うふふ……あなたの仲間を解放して欲しければ、この同意書にサインしなさい♪」
そんなクロエを人質にして、SCバニー達は佑紀にサインを迫る。それでも屈せず果敢に戦う佑紀であったが、しかし次の瞬間、SCバニー達が新たに奥から運んできた触手椅子を見て、思わず攻撃の手を止めてしまった。
「くぅ……ここ……は……?」
そこにいたのは、他でもない、迷宮内で捕らわれの身となってしまった叢雲・黄泉(賞金稼ぎの邪神ハンター・f27086)だった。彼女は既に触手椅子に座らされ、奈々と同じくSCバニー達の実験材料にされていたのだ。
「あ、あれは……はっ、しまっ!?」
捕まった仲間達の姿を見て動揺した隙を突かれ、佑紀もまた思わず契約書にサインしてしまう。その結果、先に待つのは他の者達と同じ末路。触手椅子に座らされ、哀れなモルモットとしてSCバニー達の玩具にされる未来しかないわけで。
「う、ああっ……!!」
抵抗を試みるも、エネルギーをどんどん吸われ、身体に力が入らない。そんな佑紀に、SCバニー達は更なる責め苦を与えるため、次々に実験品を投与して行く。
「これは、あなたの気持ちよさを1000倍にしてくれるお薬です。普通の人なら一発で気が狂ってしまうけれど……猟兵さんなら、耐えられますよね?」
「そして、こちらは私達の新製品です。あなたの身体を使って、その効果を試させてもらいますね」
謎の薬品を胸に注射され、果てはイケない玩具を全身に装着させられて、それらで一気に責められる。触手の責めも相俟って、もはや佑紀の意識は完全に彼岸の彼方へ跳ぶ寸前だ。
「あっ! んぐっ! おごっ!! んぐぅぅぅぅっ!!」
白目を剥いて痙攣する佑紀。強過ぎる快楽は、度を越せば精神を破壊する苦痛にしかならない。このままでは身体より先に心の方が壊されてしまうが、しかし今の彼女に抗う術はなく。
(「あれが邪神の仔ですか……」)
そんな中、拘束された状態でありながらも、黄泉は奈々を始末しようと、仕掛ける隙を狙っていた。
(「まだ覚醒前とはいえ、あれは危険な存在……。力に目覚める前に消えてもらいましょう……」)
邪神の仔は、自らの正体を知らずに生きてきたUDC。多くの者にとって、それは保護すべき対象かもしれないが、しかし黄泉にとっては違う。
彼女にとって、邪神は須らく抹殺すべき対象なのだ。だからこそ、危険を承知でこの任務に志願した。その結果、最終的に他の猟兵と敵対するのも辞さない覚悟で、己の身さえ顧みず戦うことを決めていた……までは、良かったのだが。
「なっ、か、身体が動きません……!?」
ここに来て、ようやく自分が触手椅子に拘束されていることに気が付いたようだ。慌てて脱出を試みるも、生命力を吸われ過ぎて、既に満足な力を入れられる状態ではなく。
「うふふ……ようやく、御目覚めですか?」
「くっ! わ、私に何を……ひゃあああっ!!」
突然、触手に全身を這い回られて、黄泉は思わず悲鳴を上げた。頭では拒絶しているのに、肉体が触手を求めてしまっている。拘束される前、SCバニー達に何かをされたのか、彼女の肉体は既に触手の虜だった。
「んっ! ぐぅっ! んぁっ! はぁ……💕」
だんだんと、快楽が脳内を支配し始め、もはや触手を求めること以外は考えられなくなってくる。胸元に吸いついた触手が細い先端を彼女の胸の先へと突き刺し、同時に口や下の穴も貫かれ。
「ふぐっ!? んぅぅ……くぅ……💕💕💕」
胸や口の中に異物を注ぎ込まれる感触。胎内の、人の手や指では届かない場所まで触手で蹂躙される感触。それら全てが、今の黄泉にとっては、脳をとろけさせるような快楽でしかない。
「あらあら、すっかり触手椅子の虜になりましたね」
「それじゃ、次はこの玩具を試してみましょうか。どこまで耐えられるか、実験開始♪」
もはや、完全に精神を快楽一色で染められてしまった黄泉に、ここぞとばかりにバニー達が実験を開始した。
「……ぷはぁ! は、はい……お、お願いしま……ひゃぁぁぁぁ💕💕💕」
全身を弄られながらも、ついには触手の魔力に屈服してしまう黄泉。佑紀と共に、彼女もまた触手椅子に捕まった状態で、哀れなモルモットにされてしまったのだ。
「さあ、後はあなただけですよ」
「あなたも、この同意書にサインすれば、苦しみから解放されますよ?」
未だ、触手に巻かれながらも抵抗を続けているクロエにも、SCバニー達が同意書を片手に迫って来た。それでも拒絶するクロエであったが、しかし触手に巻かれている状態では、それをするのが精一杯。
「あらあら、勿体ないことをしますね」
「そういう態度を取るのであれば……こちらにも、考えがありますよ?」
SCバニー達が軽く指を鳴らせば、それに反応して触手椅子も動き出す。奈々を拘束していたはずのそれは、一部がクロエを標的とし、全裸に等しい状態の彼女に襲い掛かって来たのである。
「ひゃぁっ! そ、そんな……そこはダメでありま……ひぎぃっ!!」
前と後ろ、そして上という全ての穴から触手に入り込まれ、果ては胸にも吸いつかれ、クロエは一気に生命力を奪われて行く。さすがに、この状態では意識を保つのも限界だったが……しかし、それもまたクロエの作戦だった。
(「うぅ……こ、これで、奈々様が邪神になるのは……遅らせられるのであります……」)
自らの肉体を代わりに差し出すことで、少しでも奈々の邪神覚醒を遅らせること。それが、今のクロエにできる精一杯であり、彼女は後のことを他の猟兵達に託したのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
アレクシア・アークライト
なるほど、あの教団の奴らだったのね
安心したわ
――何の躊躇いもなく叩き潰せるもの
まずは彼女を助けるのが先ね
大切な駒と考えているなら無下に扱うことはないだろうけど、いざとなれば人質にする可能性がある
それに、これから行うことは彼女に見せない方がいいでしょうしね
距離を取りつつ、《力場》で空間に干渉して触手や椅子を切断
念動力で皐月を引き寄せ、《力場》の結界に保護
催眠術で眠らせるとともに、その精神と身体とを浄化する
皐月を保護できたなら、念動力で敵を攻撃
敵の薬やオモチャを取り上げ、口や目、耳などの穴に突き刺し、身体を捻じ曲げて叩き潰す
貴方達御自慢の発明品
その身体で存分に味わってから骸の海に還るといいわ
●お前がモルモットになるんだよ!
パパ活邪神教団。今回の事件の黒幕を知って、アレクシア・アークライト(UDCエージェント・f11308)が思わず安堵の溜息を吐きながら笑みを浮かべた。
「なるほど、あの教団の奴らだったのね……安心したわ」
なぜなら、これで何の躊躇もなく叩き潰すことができるから。その教団名こそふざけている団体だが、しかし彼女達のやっていることは、人間の尊厳を穢し、女性の肉体を冒涜することに他ならない。
「あら、私達がお相手で、ご安心されましたか?」
「では……あなたも実験に協力してください」
何を勘違いしたのか、SCバニー達がアレクシアへ協力を依頼して来た。その手に握られているのは、ある意味で名伏し難きイケない玩具。正直、視界に入れるのも不快だったが、まともに突っ込んでいる暇はない。
(「まずは、彼女を助けるのが先ね」)
皐月・奈々の保護を優先し、アレクシアはバニー達ではなく触手椅子の方へ攻撃を仕掛けた。空間に干渉することで、触れずに触手を切断し、そのまま奈々を助け出そうと……そう、考えていたのだが。
「あぐっ! おごっ!! んぐぅぅぅっ!!」
先端を切断された瞬間、触手椅子は凄まじい速度で奈々からエネルギーを吸収し始めたではないか。おまけに、吸収した生命力を使って再生してしまうので、これではいつまで経っても奈々を助けることができない。
「い、いや……もうやめ……んぷぅっ!!」
ついには、両目、口、鼻の穴、そして胸の先やもっと口にできないような場所まで、奈々は触手に蹂躙されてしまった。およそ、粘膜と呼べる部分がある全ての箇所を触手に襲われ、そこから直に生命力を吸収されているのだ。
「あらあら、これはいけませんね。私達の最高傑作に、無粋なことはしないでください」
「まあ、それでも……こうして邪神への覚醒を速めていただけるなら、むしろ感謝すべきでしょうか?」
いやらしい笑みを浮かべながら、勝ち誇ったようにして告げるSCバニー達。このままではダメだ。まずは、あのバニー達を倒さねば、奈々を助け出そうにも敵に塩を送るだけになってしまう。
せめて、これ以上の苦痛を与えなくて済むよう、アレクシアは奈々を催眠術で眠らせて、精神と肉体を浄化した。ここから先の展開を見せるのは少々酷であると思われたので、今は眠ってもらった方が良い。
これで、先程の触手椅子による蹂躙の効果はチャラになったはず。それでも、奈々が未だ肉体を蹂躙されていることには変わらないわけで、時間を掛け過ぎるわけにはいかないのに変わりはないが。
「調子に乗るのも、そこまでよ。……解除」
冷徹な眼差しと共に、アレクシアはSCバニー達を念力で吹き飛ばして壁に叩きつけた。オブリビオンとはいえど、彼女達は所詮、研究員。アレクシアが本気で殺そうと思えば、いつでも始末できるような存在に過ぎない。
「あぁっ! わ、私達の発明品が!」
「か、返しなさ……んぐっ! ちょ、ちょっと! そういう返却の仕方じゃなくて……あぎぃぃぃぃっ!!」
念力で発明品を没収されたバニー達が抗議の声を上げるものの、アレクシアはそれに耳を貸すことなく、注射器やイケない玩具を敵の穴という穴へ突き刺して行く。その上で、身体を在り得ない方向に捻じ曲げて、執拗に壁や床へと叩きつけ。
「貴方達御自慢の発明品。その身体で存分に味わってから骸の海に還るといいわ!」
痛みと快楽が入り混じった状態で精神が崩壊して行くSCバニー達を、何度も叩きつけて抹殺した。気が付けば、後に残されていたのはよくわからない赤黒い塊。倒されたSCバニー達の哀れな成れの果てだけであり、それらもまた闇に溶けるようにして、骸の海へと消えてしまった。
成功
🔵🔵🔴
ティフティータ・トラーマ
アドリブ、連携OK SPDシーブズ
「その娘を邪神の力に覚醒させる?是非協力したいわね。」
邪神の意思を覚醒させるならマズいけど、依代でなく仔としての個があるならその娘の意思次第だし
「ソレで、協力させてくれるの?くれないの?」
襲ってくる研究員を伸し摺り抜けて椅子に近づくと
周囲の余波から護る様に翼を拡げ、触手と奈々の間に身体を捻じ込んで抱きしめて
「いい?ソレ(吸収とか)は『貴女の力』よ。怖がらずに、どうしたいのか教えてあげて。」
奈々に吸わせ、触手に吸収しあいながら弄られつつ
「コレが終わったら…一緒に遊びましょ。」
遊びたそうだった罠の様子から、奈々を慰めていマス
(触手に潜ると周りからは無防備に)
グラディス・プロトワン
アドリブ歓迎
この程度の敵を倒すのは容易いだろうが、少女の事を考えると下手に動けないな
だが敵は容赦なく攻撃してくるはず
おかしな発明品に襲われるがモルモットになる気はないので反撃する
少女が戦闘の巻き添えになる危険性も高いが…
やはりか…!
このままでは邪神の力が暴走してしまう
少女の手を取り、大丈夫だと落ち着かせよう
ぐ…想像以上だな、この力は…っ
今この手を離してしまったら、この少女は後戻りできなくなってしまうだろう
だからこそ俺は平然としていなければ
長時間触れ続けているのは危険だが、果たしてどうなるか
…落ち着いたか?
少女に心配されているようなら、俺は大丈夫だと答えておこう
恐らく大丈夫ではないと思うがな
●暴走する捕食者
狂気の発明品を駆使し、少女を邪神に覚醒させんと企むSCバニー。
だが、そんな彼女達とて、所詮は研究員に過ぎない。戦うためのマシンとして生まれたグラディス・プロトワン(黒の機甲騎士・f16655)にとって、彼女達を殲滅するのは造作もないことであるのだが。
(「この程度の敵を倒すのは容易いだろうが、少女の事を考えると下手に動けないな……」)
SCバニー達が少女を盾にする可能性。あるいは、謎の発明品で邪神の覚醒を促進させる可能性を考慮すると、迂闊に攻撃を仕掛けるわけにもいかない。
「うふふ……随分と逞しい方が現れましたね」
「斬っても突いても壊れない……。ああ……これは実験のし甲斐がありそうです♪」
だが、動けないグラディスとは反対に、SCバニー達は容赦なく攻撃を仕掛けてくる。彼女達の使用するのは媚薬やら興奮剤やら、果てはイケない玩具といったどうしようもない代物が大半だが、それでもユーベルコードで強化された上に、邪神によるチート機能も付けられているので油断はできない。
「悪いが……モルモットになるつもりはない!」
それら、下らない発明品諸共に、グラディスはSCバニー達を叩き斬った。元より、彼は戦うために作られた機械人形。人間用の媚薬やイケない玩具など、何の効果もないものだ。
「うぅ……な、なんて無粋な敵なの!」
「このままでは、やられてしまいますね。こうなったら……」
追い詰められたバニー達は、グラディスを無視して一斉に奈々へと矛先を向けた。彼女を盾にするつもりだろうか? 否、違う。その手にある様々な玩具を使って、奈々のさらなる邪神化を促進させるつもりだ。
「……っ! やはりか! このままでは邪神の力が暴走してしまう!」
慌ててバニー達を押しのけ、奈々の手を取るグラディス。しかし、生命の危機を感じた奈々は、もはや触れた存在のエネルギーを見境なく吸収するだけの存在だ。
(「ぐ……想像以上だな、この力は……!」)
自慢のパワーが一気にダウンするのを感じ、それでもグラディスは辛うじて気合いで持ちこたえた。が、しかし、このままでは触手椅子に絡め取られて身動きさえ取れず、やがては奈々に全てのエネルギーを奪われて、機能を停止してしまう。
だが、ここで手を放したが最後、奈々が後戻りできなくなるのは分かっていた。だからこそ、グラディスは決して手を離さず、最後まで奈々の側に在り続けようとしていた。
●其の力の使い方
暴走の兆しを見せ、近づく全ての存在から生命力を奪わんとする奈々。このままでは、本当に彼女が邪神として覚醒してしまう。唯一の頼みは猟兵による救済だけだが、大半の者は触手椅子に捕われてしまったか、あるいは奈々の暴走を抑えることで精一杯。
このまま彼女は邪神として目覚め、パパ活邪神教団の一員として、冒涜的な行いをする存在になってしまうのだろうか。気が付けば、生き残ったバニー達が、奈々の暴走を更に促進せんと、触手椅子を激しく暴れさせ始めている。
そんな中、ティフティータ・トラーマ(堕天使の剣舞暗殺者・f29283)は、敢えて仲間達を裏切るような行為に出た。
「その娘を邪神の力に覚醒させる? 是非、協力したいわね。」
もはや、奈々を救うのを諦めてしまったのか、それとも他に何らかの思惑があるのか。どうにも掴めないティフティータの言葉に、SCバニー達も訝しげに首を傾げている。
「ソレで、協力させてくれるの? くれないの?」
「協力? あなたがモルモットになれば、考えてあげますよ」
問い掛けるティフティータに対し、バニー達は謎のサプリメントを勧めて来た。しかし、ティフティータはそれをガン無視し、衣服を放り投げて走り出すと、一気に距離を詰めてバニー達を斬り伏せた。
「……っ!」
「は、速っ……!」
本気を出したティフティータのスピードには、研究員のバニー達では追い付けない。難なく敵陣を掻い潜り、触手椅子に近づくと、ティフティータは翼を広げて触手の間にねじ込み、そのまま奈々を優しく抱きしめた。
「いい? ソレは『貴女の力』よ。怖がらずに、どうしたいのか教えてあげて」
邪神の本能ではなく、奈々自身の意思で力を制御すること。そのための練習相手になろうというのだ。生存本能から、奈々はティフティータの生命力を吸収して行く。が、しかし、触手から切り離された今、それは徐々に穏やかな物へと変わって行き。
「コレが終わったら……一緒に遊びましょ」
そう、ティフティータが告げたところで、エネルギードレインが完全に止まった。
その正体が邪神の仔であっても、奈々の人格はあくまで無垢な一人の少女。生命の危機がなくなれば、正気を取り戻させることもできる。
もっとも、その代償として、ティフティータ自身は触手に巻かれ、あちこち弄られてしまっていたが、彼女は気にする様子もなかった。どれだけ命を吸われようと、本気で殺しに来ない相手など、恐れることはないからだ。
「う……な、なんとか……落ち着いたか?」
機能停止寸前の状態でありながら、グラディスもまた奈々に尋ねる。彼女からの返答はなく、彼自身も大丈夫と呼べる状態ではなかったが、それでもエネルギードレインを停止させたことは、奈々を救う上では大きな意味を持つものだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
黒沼・藍亜
…へぇそう。遺言は終わりっすか?
てかそういうの間に合ってるし、アンタらみたいなの心底大っ嫌いなんで
それじゃ、先手必勝
UCを使用して戦場にボクの中のUDCと同じ漆黒の粘液の海と、真っ白い空から成る異界を構築。
この海は粘度とか弾力は可変だから、味方の足は止めず、敵の動きは邪魔するっすよ
海は敵を触腕で捕らえ海の中に引き込んで「処理」。
……ああそうそう、この触腕も「触れた相手から生命力を吸える」んで。しかも任意で。
で、空は敵の行動の痕跡を塗り潰し抹消する雨で味方やあの子の回復を
そのアホみたいな椅子も消せるのなら遠慮なく雨で塗り潰し「抹消」
無理ならさっさと敵を無力化し、あの子の安全確保を優先するっすよ
●禁忌の世界を塗り替えて
猟兵達の捨て身の行いで、ついに奈々の邪神化は停止させられた。
だが、それで安心している場合ではない。元凶であるパパ活邪神教団の工作員、SCバニー達を一人残らず殲滅せねば、またどこかでイケない実験を始めないとも限らない。
「ああ、なんてこと! 私達の最高傑作が! 邪神様を、ようやく御迎えできると思っていたのに!
「こうなったら、この部屋にいる猟兵を、一人残らずモルモットにしてしまいましょう!」
計画を邪魔され、怒りに震えるバニー達。彼女達にとっては、あくまで実験を成功させることが最優先。それを妨害された以上、今度は猟兵達を新たなモルモットにしようと企むものの、そんな彼女達の言葉は、黒沼・藍亜(人■のUDCエージェント・f26067)を激怒させるには十分だった。
「……へぇ、そう。遺言は終わりっすか? ……てか、そういうの間に合ってるし、アンタらみたいなの心底大っ嫌いなんで!」
こんな連中に、これ以上の問答は不要だ。事態を収拾すべく、藍亜は戦場そのものを禁断の存在から成る世界へと塗り替えて行く。
「さ、楽しくない時限イベントの始まりっす。必死に逃げて? でないと……」
念のため、忠告はしておいた。もっとも、それでバニー達の運命が変わることはないのだが。
「……存在も痕跡も、何一つ残さず世界にさようならっすよ」
次の瞬間、漆黒の粘液の海が周囲に広がり、部屋の天井が純白の空へと塗り替わる。それはまさしく、異界の顕現。粘液の海から現れた触手がバニー達を取り込んで行き、その一方で降り注ぐ白い雨は、触手椅子を世界から消滅させて行く。
「……ああそうそう、この触腕も『触れた相手から生命力を吸える』んで。しかも任意で」
「ちょっ……! そ、そんなこと聞いてませ……あが……ごぼっ!!」
哀れ、触手に巻かれて漆黒の海に沈んで行くSCバニー達。降り注ぐ白い雨は彼女達の最高傑作である触手椅子も消滅させ、捕われていた猟兵達と、奈々の身体を解放させ。
「とりあえず、これでいいっすかね? なんか、しぶとく逃げてるのもいるみたいっすけど」
今は敵を追うよりも、奈々の安全確保の方が先決だ。解放された彼女が再び囚われの身にならないよう、藍亜は優しく抱き起こすのであった。
大成功
🔵🔵🔵
藤原・桔梗
pow
レクス(f07818)と行動
さあ、そこまでです!
【心情】
えっちなのはいけないと思います!
と言うか、奈々さんの年齢も考えてください
もうこの人たちに容赦はしません
全力でぶっ飛ばします!
【戦闘】
仲のいい男の子の前では絶対に喰らいたくない攻撃です
「結界術」で防御をしながら戦闘します
「桔梗で良いなら、お相手しましょう」
ユーベルコードは攻撃回数を優先に「一斉発射」「串刺し」で確実に潰していきます
「あなた方のモルモットになる気はありません。ここで終わらせます」
戦いが終わったら奈々さんを救助
代わりの服とか用意してあげた方がよさそうですね
安心してください、桔梗達が来たからにはもう大丈夫ですよ?
レクス・マグヌス
wiz
桔梗(f10098)と
【心情】
これはとんだ連中がいたものだ
最早一片の情けをかけるにも値しない
「聞け、外道共!我が名はレクス・マグヌス! 滅びし都の最後の王!」
【戦闘】
呪いのこもった契約書か
これを迂闊にもらうと、あの中に仲間入り
邪神の眷属と言うのも伊達ではない
だが、紙である以上、燃やせばなくなる
ウィザード・ミサイルで同意書を燃やす
その上で魔剣による「生命力吸収」、魔術による「属性攻撃」で攻撃を仕掛ける
念のため、「狂気耐性」による防御も行っておく
個人的な疑問だが、最終的に生命力は目減りしていくんじゃないのか?
もしそこすら解決しているのなら技術に一定の敬意は払うが…
所詮はオブリビオンの戯言だな
●怒りの審判
奈々の安全が確保されたことで、戦いにおける憂いはなくなった。
後は、残されたSCバニー達を、思う存分に殲滅するまでだ。今まで堪えに堪えていた怒りを爆発させて、藤原・桔梗(四海の龍と共に征く・f10098)とレクス・マグヌス(嵐をもたらすもの・f07818)は、SCバニー達を追い詰める。
「さあ、そこまでです!」
「聞け、外道共! 我が名はレクス・マグヌス! 滅びし都の最後の王!」
もはや、相手に逃げ場はない。だが、己のおかれた状況を理解してなお、SCバニー達もまた降伏の意思さえ見せることなく。
「くっ……! まだです! まだ、全滅したわけでは……」
この期に及んで、まだ抵抗を続けようというのだから頭が痛い。放っておけば、碌なことをしでかさないであろう彼女達を、ここで逃がすわけにはいかない。
「桔梗で良いなら、お相手しましょう」
最初に動いたのは桔梗だった。一見、無防備に突っ込んで来る彼女へ、SCバニー達はイケない玩具で攻撃しようと試みるが。
「そんな攻撃! 九頭竜、喰らいなさい!」
咄嗟に結界を張って媚薬による攻撃を回避すると、代わりにその姿を自在に変化させることのできるUDCを解き放つ。
「Guuuu……aaaaa!」
召喚されたのは、九つの頭を持った竜だった。だが、その頭は瞬く間に鋭い刺と化し、うねりを上げながらSCバニー達の身体を貫いて行く。
「ぎゃぁっ! い、痛い! 痛い! 痛ぃぃぃっ!!」
「そ、そんな……。こんな……ところ……で……」
あらゆる存在を貫く圧倒的な暴力。桔梗の怒りを体現するかの如く、九頭竜は刃や槍へと次々と姿を変え、目の前の敵を情け容赦なく地獄へ落とす。
「こ、この……! モルモット風情が……!」
碌な抵抗もできずに屠られて行く同僚の姿を見て、震えるバニーが契約書を取り出した。だが、その抵抗も今となっては虚しいだけ。相手の武器を冷静な判断力で見抜き、レクスがすかさず火矢を放つ。
「呪いのこもった契約書か。……だが、所詮は紙だ。燃やせば終わる」
最後の切り札も奪われて、もはやSCバニー達から戦う術は全て失われた。一人、また一人と九頭竜に屠られ、気が付けば生き残っているのは、院長に化けていたバニーだけだった。
「あぁ……お、お願い! 許してちょうだい! 見逃してくれたら、お礼に素敵な玩具をあげるから……」
ここに来て、まさかの命乞い。しかし、代わりにもらえる物がイケない玩具では、当然のことながら桔梗もレクスも首を縦に振るわけがない。
「要りません、そんなもの! えっちなのはいけないと思います! ……と言うか、奈々さんの年齢も考えてください」
差し出された玩具を、桔梗は何の躊躇いもなく払い除け。
「……個人的な疑問だが、あの触手椅子……最終的に生命力は目減りしていくんじゃないのか?」
代謝で失われている生命力の喪失を考えていない時点で、発明品としては失敗作。自慢の触手椅子さえレクスが散々に貶したところで、いよいよ最後のSCバニーにお仕置きだ!
「所詮はオブリビオンの戯言……まともに取り合うだけ、時間の無駄か」
「あなた方のモルモットになる気はありません。ここで終わらせます」
恐怖で動けないSCバニーへ、桔梗の九頭竜が変じた刺と、レクスの放った火矢が同時に襲い掛かった。全身を刺し貫かれ、そして焼き払われ、多くの孤児たちを実験の材料にして来た非道なオブリビオンは、怒れる二人の猟兵によって火刑に処され消えて行く。
「あぎゃぁぁぁぁっ! あ、熱い! 痛い! お、お願い、やめ……ひぎぃぃぃっ!!」
丸焼きにされながらも助命を願う姿は、もはや哀れを通り越して滑稽であった。
「ふざけるな、外道め! 貴様達が弄んで来た者達の痛みは、この程度ではなかったはずだぞ!」
「許しませんよ、絶対に。そのまま燃え尽きてください」
非情に徹するレクスと桔梗には、SCバニーの最後の願いさえも届かない。やがて、完全に敵が灰になってしまったところで、二人は改めて倒れている奈々を抱き起こし。
「う……ここ……は……?」
「安心してください、桔梗達が来たからにはもう大丈夫ですよ?」
生まれたばかりの姿を晒している彼女に毛布を被せ、替えの服を与えて保護するのであった。
大成功
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第3章 日常
『遊園地へ行こう!』
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POW : 王道の絶叫マシーンに挑戦!
SPD : ついつい買っちゃうショップ巡り
WIZ : パレードやショーを見に行く
👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●少女の道は?
孤児院を隠れ蓑に教団員を育て、邪神の仔を覚醒させようとしていたパパ活邪神教団の企みは阻止された。
UDC組織により健全な形で再建された孤児院は、昨日までの邪悪で如何わしい施設ではない。これからは、孤児達も教団の手先として背徳的な行いを強要されることもなく、それぞれの道を見つけるのだろうが。
「……皆さん、ありがとうございました」
そんな中、猟兵達に頭を下げる奈々の表情は暗かった。
自分が人間ではなかったこと。一歩間違えれば、この世界を破滅に導いていたかもしれない子と。そしてなにより、今もなお自分の中で渦巻く邪神の仔としての本能が、彼女の心に深い傷を負わせていた。
「私は……人間じゃ、なかったのね……」
これから自分がどうすべきなのか。奈々自身、迷っているところはあるのだろう。しかし、このままでは人間社会に戻れないのは明白だ。
彼女の心の中に残る暗い影。それが彼女を蝕み続ける以上、いずれは負の感情に押し潰され、邪神の仔として覚醒してしまうかもしれない。それを防ぐには、心の傷を癒しつつも最後は忌むべき記憶を封印するか、あるいは彼女を世界の敵として抹殺するかの、どちらかだ。
グリモア猟兵から渡された、遊園地のワンデーパスポート。結論は、これを使って彼女と交流を深めてから下しても、決して遅くはないだろう。
黒沼・藍亜
んー、とりあえず今は遊園地っすよ遊園地
……とはいえ、遊園地歴が小学校の遠足止まりのボクでは足手まといは確実。
(組織の)金に物をいわせて色々ショップで奢るぐらいしか……ところで当然経費っすよねこれ?
で、さ。
重要なのは「これからどうすべきか」じゃなく「これからどうしたいか、どう生きたいか」っす
あと人間じゃないから、とか危険な存在だから、とかそういう遠慮はなしっすよ?
人間じゃなくても人間社会とうまく付き合う事は出来るし、
力が問題なら制御するか封印するかって手もある
逆に、正真正銘ただのヒトが、心を無くし“化け物”になる事もある
だから、結局はアンタの気持ち次第だと思うっすよ
※アドリブ他歓迎です
クロエ・アスティン
うぅ、自分は奈々様のお役に立てたでありましょうか……。
いえ、落ち込んでいても仕方ありません。せめて、遊園地で楽しんでもらうであります!
パンフレットを片手に人気のじぇっとこーすたーなるものにチャレンジであります。
と勢い込んできたものの、身長制限で乗せてもらえずにショックでしたが、ジェットコースターの実物を見て乗らずにすんでほっとします。
万が一、邪神の力が暴走してエナジードレインが発生しそうになったら身を挺して自分がすべて引き受けるであります。
だ、大丈夫であります。自分、頑丈なのが取り柄でありますから。
落ち着いて、自分の意志で制御できるようになりましょう!
※アドリブ・連携も歓迎
神薙・佑紀
【POW判定】アドリブOK NGなし
あなたの気持ちは分かりますが、気分が落ち込んでいる時は一旦考えないようにしましょう。さあ、こっちへ(そう誘って遊園地へ向かう)
あなたがどうしたいか決める前に、一度思いっきり遊んでもいいと思いますよ。
(ひとしきり遊んでから、普通の地球人の姿のころの写真を見せる)
これ、誰か分かります?昔の私なんです。今はこんな姿ですけど。
元々普通の人間だと思ってたんです。でも邪神絡みの事件で今の姿になってしまった。あなたと私、似てると思いませんか?
ですから、邪神の仔だとしても、生きたかったら生きて良いんです。それに、もし力に我慢できなくなったら、お相手しますよ?
ティフティータ・トラーマ
アドリブ、連携OK WiZ
「ふふ。ソレを言ったら、今回助けてくれたヒトの殆どは人間じゃないわよ?」
私もね、と羽根で撫でつつ、種族よりも貴女がどうしたいかよ、と
「私のオススメはコッチ(知る人側)に来ちゃうコトかな。力の制御練習は必要だけど、それ以外は普通に生活できるしね。」
封印しても別の組織に狙われたり、偶々酷い怪我をして再覚醒したり、等と話しつつ見物廻り
「っと、ちょうどいい時間だし…よいしょっと。」
抱上げデレラ城的塔上へ飛侵入し、パレードを見下ろし乍ら
「どれを選んでも通るように協力するから、したいようにしていいのよ。」
むしろ本意に反する封や殺が邪神覚醒を起こしかねない、と本人には言わないが…。
●世界の真実
孤児院を隠れ蓑に邪神の仔を探し、それ以外の孤児達も、洗脳して信者に変えようとしていたパパ活邪神教団の野望は砕かれた。だが、救出こそされはしたものの、奈々の顔は暗いままだ。自分が人外の存在であると知ってしまった彼女は、自らの存在そのものに疑念を抱いてしまっていた。
「うぅ、自分は奈々様のお役に立てたでありましょうか……。いえ、落ち込んでいても仕方ありません。せめて、遊園地で楽しんでもらうであります!」
クロエ・アスティン(ハーフドワーフのロリ神官戦士・f19295)に誘われ、遊園地へやって来た奈々だったが、それでも彼女の顔は暗いままだ。自分が人間ではなかったという現実。それが彼女のことを縛っているようだったが、しかし様々な世界を巡っている猟兵達からすれば、それは些細なことだった。
「ふふ。ソレを言ったら、今回助けてくれたヒトの殆どは人間じゃないわよ?」
そう言って、ティフティータ・トラーマ(堕天使の剣舞暗殺者・f29283)は自分の翼を触らせた。これが一般人相手なら、あるいはティフティータの姿も普通の人間と変わらないように見えたかもしれないが。
「え……? なにこれ……翼?」
黒い翼を生やした人間が目の前に立っていることで、奈々はしばし戸惑った表情のまま固まっていた。邪神の仔である事実を認識した今、彼女は世界の理の外に触れ、猟兵達の姿を正しく認識できるようになっていた。
「んー、とりあえず今は遊園地っすよ遊園地」
「あなたの気持ちは分かりますが、気分が落ち込んでいる時は一旦考えないようにしましょう。さあ、こっちへ」
なにはともあれ、まずは沈んだ気分を吹き飛ばそうと、黒沼・藍亜(人■のUDCエージェント・f26067)と神薙・佑紀(かつて邪神に捧げられし者・f29188)もまた奈々を誘う。そんな彼女達の誘いを断り切れず、奈々もまた遊園地の入り口へと歩を進めた。
●自分らしい生き方
遊園地を巡りながら、奈々の気分を少しでも晴らそうとする猟兵達。どうやら、この遊園地には目玉のジェットコースターがあるようなのだが。
「あ、あれが……その、ジェットコースターでありますか……」
見上げる程の高さに設置されたレールと、それが幾度も円や螺旋を描いている様に、クロエは言葉を失っていた。
身長制限でコースターへの入場を拒否されたが、正直、乗らなくて正解だったと今になって思う。見れば、そこかしこで客の悲鳴が聞こえており、あんなものに無理して乗ったら失神間違いなしである。
「……で、さ。重要なのは『これからどうすべきか』じゃなく、『これからどうしたいか、どう生きたいか』っす」
ショップで買ってきたアイスクリームを手渡しながら、藍亜が奈々に言った。なお、人間ではないからという理由や、危険な存在だからという理由で、考えることを放棄してはいけないとも。
「私のオススメはコッチ側……知る人側に来ちゃうコトかな。力の制御練習は必要だけど、それ以外は普通に生活できるしね」
いっそのこと、UDC組織の特務隊員にでもなったらどうかとティフティータが勧めたが、しかし奈々は首を縦に振ろうとはしない。
まあ、それはそうだろう。なにしろ奈々は、昨日まで普通の少女として過ごしていたのだ。そんな彼女に、いきなり『世界の真実を知る側に来い』と言ったところで、そう簡単に覚悟など決められない。
「ありがとう……。でも、私はあなた達と違って……誰かの命を奪ってしまう、恐ろしい怪物なのよ……」
エネルギードレイン。その力が他者を傷つけるものだと、奈々は自覚しているようだった。少しでも制御を誤れば、身近にいる人間の多くを危険に晒してしまうことになる。そしてなにより、自分の姿がどのような醜い化け物に変わるかもわからない。
最悪、あの地下室に設置されていた、触手椅子のような存在になるかもしれないのだ。少しでも、そう考えてしまうと、なかなか前に進めないのも仕方がないことなのかもしれないが。
「……これ、誰か分かります? 昔の私なんです。今はこんな姿ですけど」
そんな奈々に、佑紀はかつての自分が写っている写真を見せた。どこからどう見ても人間にしか見えないが、しかし目の前にいる佑紀の姿は、二足歩行をして人語を話す竜である。
「元々、普通の人間だと思ってたんです。でも、邪神絡みの事件で今の姿になってしまった。あなたと私、似てると思いませんか?」
大切なのは、どのような存在なのかではない。自分が何をしたいかだ。その点は、猟兵達の中で一貫して共通する想いである。奈々の正体が邪神の仔であろうと、今まで人間として生きてきた事実がなくなるわけではないし、これからも人間として生きたいと思うのであれば、そうすれば良いだけのことなのだと。
「人間じゃなくても人間社会とうまく付き合う事は出来るし、力が問題なら制御するか封印するかって手もあるっす。逆に……正真正銘ただのヒトが、心を無くし『化け物』になる事もある……。だから、結局はアンタの気持ち次第だと思うっすよ」
シャーマンズゴーストを始め、この世には人類に友好的なUDCも多数存在しており、彼らは人間と問題なく交流しているのだと藍亜は告げた。その一方で、人が己の欲望の果てに道を外し、外道となって他者を苦しめることもあるのだと。
「邪神の仔だとしても、生きたかったら生きて良いんです。それに、もし力に我慢できなくなったら、お相手しますよ?」
「万が一、邪神の力が暴走してエナジードレインが発生しそうになったら、身を挺して自分がすべて引き受けるであります。落ち着いて、自分の意志で制御できるようになりましょう!」
それでも、どうしても内に秘めた力を恐れるのであれば、それを制御するための特訓には自分達が付き合うと佑紀やクロエが告げた。禁忌の力でも制御できるようになれば、人間としてこの世界で暮らす分には問題ない。
「……っと、ちょうどいい時間だし……よいしょっと」
そんな中、ティフティータは頃合いとばかりに奈々を抱き上げると、遊園地の中央に位置する城の搭上へ舞い上がり、下を通るパレードを指差しながら改めて問う。
「どれを選んでも通るように協力するから、したいようにしていいのよ。だって……」
本意に反する封や殺が、邪神覚醒を起こしかねない。その事実は敢えて伏せつつ、ティフティータは言った。見れば、二人の視線の先には、人々が営みを続ける街がどこまでも広がっている。
「だって……世界はこんなに広くて、これだけの人間が住んでいるんですもの。あなたや私みたいに、ちょっとくらい変わった力を持った人が、生きていたっていいじゃない?」
そう、世界は広い。この地球には、ざっと数えただけでも70億人近い人間が暮らしている。
彼らは互いに言葉も文化も、そして容姿も肌の色も異なっている。しかし、それらの垣根を乗り越えて暮らしている者達がいるのも事実。それならば、異能の力を持って生まれたところで、それが何の障害になるだろうか。
「……そうね。正直、ちょっとまだ実感ないけど……でも、この世界で、まだ私が生きていける場所があるなら……」
自分はそこで、人間として生きて行きたい。邪神の仔であったとしても、最後まで人の心を失わずにいたい。
己の正体を知ってしまった一人の少女にとって、それだけは変わらぬ願いであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
叢雲・黄泉
「邪神に覚醒する可能性がある以上、あの娘は抹殺します……
邪神殺しの名にかけて……」
遊園地へ行くというならちょうどいいですね。
人目がなくなったタイミングで引導を渡してあげましょう。
遊園地で奈々を尾行し、抹殺するタイミングをはかります。
「お化け屋敷ですか……
暗闇で暗殺するには最適ですね……
って、にゃあああっ!?」
くっ、お化けに驚いてチャンスを逃しました……
「次はミラーハウスですか……
そこですっ!」
ですが斬り裂いたのは鏡だけ……
「ならばジェットコースターの上で……!
ひゃあああっ!」
ジェットコースター上で立ち上がったら落下してしまい。
「くっ、抹殺するかは様子を見るとしましょう……」
(抹殺しません)
●邪神死すべし?
邪神の仔であろうと、人として生きてきたのであれば、最後まで人間として生きる資格がある。大半の猟兵がそう考えている中で、叢雲・黄泉(賞金稼ぎの邪神ハンター・f27086)だけは、頑なに邪神の抹殺だけを考えていた。
(「邪神に覚醒する可能性がある以上、あの娘は抹殺します……邪神殺しの名にかけて……」)
他の者達が遊園地で楽しんでいる中、黄泉は奈々を暗殺する機会を窺っていた。後で何を言われようと関係ない。彼女の中に渦巻く邪神への憎悪。それはどのような思想を持った存在かではなく、種族そのもので相手の生き死にを決定させてしまう程に、暗く深いところまで根付いていた。
そうこうしている内に、奈々はお化け屋敷へと入って行った。アトラクションの構造からして、多数で入るわけにもいかず、暗闇で単独行動となる場所だ。
「お化け屋敷ですか……暗闇で暗殺するには最適ですね……って、にゃあああっ!?」
もっとも、そこで黄泉が暗殺できるか否かは別の話。折角の機会を、お化けに驚いて逃してしまう辺り、彼女は暗殺者としては、まだまだ未熟。
「次はミラーハウスですか……そこですっ!」
その後も、ミラーハウスの中で暗殺しようとした結果、鏡を破壊して遊園地の係員に𠮟責を食らってしまったり。
「ならばジェットコースターの上で……! ひゃあああっ!」
ジェットコースター上で立ち上がったところ、今度は無理な体勢が災いし、そのまま転落する大事故に!
幸い、猟兵としての身体能力を生かして辛うじて死ぬことはなかったのだが……絶対安全を謳われていたジェットコースターでの転落事故となってしまい、警察まで来て大騒ぎになってしまった。
「くっ、抹殺するかは様子を見るとしましょう……」
半ば、負け惜しみのような台詞を呟きながら、撤退して行く黄泉。なお、彼女が自らセーフティーバーを外してコースターから転落するのを多くの者が見ていたため、その後しばらくは、危険行為をするヤバい女として、全国の遊園地から出禁状態になってしまったという。
大成功
🔵🔵🔵
レクス・マグヌス
pow
藤原・桔梗(f10098)と参加
桔梗に連れまわされる形で、絶叫マシーンマラソンを行う
【心情】
ジェットコースター
UDCアースの文化の中で理解できないものの一つだ
何故、このような悪意に満ちた道を、わざわざ高速で走らせる?
※普段の冷静さからは想像も出来ない悲鳴だったそうな
「……この程度、なんともない」
奈々さんが笑っていられるように、やせ我慢も王族の務めだ
【会話】
どこか落ち着いて話せるタイミングで
不安はあるでしょうが、桔梗さんが言う通り
貴女の力は十分折り合いを付けられるものです
いつの日か、僕が国を取り戻したら、貴女を国賓として呼びます
貴女がたとえ今日のことを覚えていなかったとしても
藤原・桔梗
pow
レクス・マグヌス(f07818)と参加
【行動】
ジェットコースターのような絶叫マシーンは大好物です♪
奈々さんを連れて、マシーン全制覇&周回で楽しんじゃいましょう!
あのスピードでぶっ飛ばせば、嫌なことなんて吹き飛んじゃいますから
「レクスさん、むしろこういうの大丈夫かと思っていたんですが…」
【会話】
クレープを片手に、飲み物を片手に
甘いものを奢りつつ
「奈々さん、年はおいくつでしたっけ?」
同い年か年下と思っていますが
桔梗も邪神の力を身に宿して育ちました
そのおかげで苦労もありましたが、得られたものもあります
きっと、悪いことばかりじゃありません
また困ったことがあったら呼んでください
力になりますから
●人として、友として
辛い現実を忘れるため、敢えて激しい乗り物に乗りまくる。藤原・桔梗(四海の龍と共に征く・f10098)の提案によって絶叫マシンめぐりが始まって、気が付けば時刻は既に夕方となっていた。
「レクスさん、むしろこういうの大丈夫かと思っていたんですが……」
真っ青な顔をして、やつれた表情になっているレクス・マグヌス(嵐をもたらすもの・f07818)へ、桔梗は心配そうに目をやった。
「……この程度、なんともない」
口ではそう言っているレクスだが、しかしそれが瘦せ我慢なのは明白だ。なにしろ、普段の冷静な彼からは想像もつかない程に、凄まじい悲鳴を上げまくっていたのだから。
「ふふっ……ご、ごめんなさい」
レクスの豹変ぶりを思い出したのだろうか。思わず笑ってしまった奈々に吊られ、桔梗もまた優しく微笑み返す。
「ようやく、笑ってくれましたね。ところで……奈々さん、年はおいくつでしたっけ?」
「え? 16歳よ。それがどうしたの?」
いきなり年齢を聞かれ、しばし目を丸くする奈々。とりあえず、こんなところで立ち話も無粋なので、まずは近くのベンチにでも座ることにし。
「それでは、桔梗の一つ下なんですね。あ……でも、誕生日次第では、学校の学年は同じでしょうか?」
クレープを片手に、桔梗はレクスも連れて近くのベンチへと腰を下ろした。奈々もそれに続く。詳しく話を聞いていると、どうやら奈々は5月生まれらしく、桔梗とは学年も重なっていなかった。
「あの孤児院に来る子は……生まれてから直ぐに捨てられて、名前がない子も多かったの。私は5月の7日に院へ拾われたから……」
「なるほど。それで『五月』の『七』……『皐月・奈々』ということか」
どこか納得した感じで、レクスが呟いた。先程までのやつれた表情は、既に彼の顔から消えていた。
「私の他にも似たような境遇の子はいたから、血も繋がっていないのに、同じ苗字や似たような名前の子も多かったわ。本当の兄弟みたいで……でも、それも全部嘘だったのよね」
今までの生活が虚構だったこと。その現実が再び奈々の背中に重く圧し掛かる。おまけに、彼女は人の姿をしていながら、実際は人でない存在なのだ。もう、あの日常に戻ることはできないと……そう、奈々が考えてしまうのも、無理のないことだったのかもしれない。
「……桔梗も、邪神の力を身に宿して育ちました。そのおかげで苦労もありましたが、得られたものもあります。きっと、悪いことばかりじゃありません」
「不安はあるでしょうが、桔梗さんが言う通り。貴女の力は十分折り合いを付けられるものです」
そんな奈々を、桔梗とレクスは代わる代わる励ました。彼女には、できれば人として生きて欲しい。人外の存在であったとしても、その心が人間である以上、彼女もまた人間として生を終える資格がある。そう、考えていたから。
「……ありがとう。こんな私でも……まだ、人間って呼んでくれるなら……」
そういう人が一人でもいれば、自分はまだ頑張れる。そう言って、奈々は静かに立ち上がる。
不安がないのかと問われれば、完全にないとは言い切れない。しかし、猟兵達との交流を通して、少なくとも奈々は自分の意思で人間として生きることを決意できた。
それが聞ければ、後は十分。彼女のことはUDC組織に任せておけば、悪いようにはならないだろう。
「また、困ったことがあったら呼んでください。力になりますから」
「いつの日か、僕が国を取り戻したら、貴女を国賓として呼びます。貴女がたとえ今日のことを覚えていなかったとしても」
今日、この瞬間の会話も、恐らくは記憶操作によって奈々は忘れさせられてしまう。彼女の中に残るのは、顔は思い出せないが親しい友人と、遊園地で楽しく遊んだかもしれないという、朧げな記憶だけである。
だが、それでも彼女が人として生きられるのであれば、桔梗とレクスはそれでよかった。UDC組織による保護観察処分であっても、彼女が邪神教団の手から逃れ、普通の女の子として生きる世界を見つけられたのであれば。
(「僕達の力が必要になれば……いつでも駆け付け付けますよ」)
(「その時は……また、『初めまして』の御挨拶になってしまうかもしれませんけれど……」)
帰り際、迎えに来たUDC組織の職員に連れられてゆく奈々の背を、レクスと桔梗は静かに見送る。世界の理から外れる形で生れ落ちてしまった少女。そんな彼女の人生が、これからも『人間』らしくあるよう願いながら。
大成功
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