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銀河帝国攻略戦⑱~超頭脳戦艦を迎撃せよ~

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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●リキッドコンピューター・ウィズ・バトルシップ
 その船は、ドクター・オロチ配下のアマルテア情報艦隊でも特に攻撃性能を重視した戦艦であった。
 リキッドコンピューターは艦橋部分に満載する形で搭載――そもそもの艦体制御をリキッドコンピューターの制御化へ入れることで、試験的に全自動運転を可能とした無人兵器。人的損失を気にせず、情報的損失もある程度まで防ぎ、いざという時は死なば諸共の特攻までできる。
 ――まさに、戦場に地獄を振りまくためだけに特化した超頭脳戦艦であった。

●宙間戦闘を制覇せよ
「――状況が進展。エンペラーズマインドを突破し、ガルベリオンを発見したお陰でドクター・オロチの艦隊に手が届いたわ」
 グリモアを展開し、ニコラはスペースシップワールドへの出撃に備えて集結した猟兵たちに、今回のターゲットを提示した……投影されるのは帝国宇宙戦艦。破壊、殲滅に特化した帝国の主力打撃艦である。その戦力は、1隻で他の艦船数隻をまとめてなぎ払えるようなものだと言う。
「リキッドコンピューターはご存じ? オロチがブラックタールから着想を得た超高性能な粘液コンピューターよ。情報処理能力に特化したそれを搭載した船が、今回のターゲットよ」
 ニコラが語るところによれば、そのリキッドコンピューターを搭載することにより全自動化を果たしたその戦艦は、いざという時には特攻兵器としても用いることができる超攻撃的兵器だという。ドクター・オロチを追うにしても、その火力は無視しては通れないものになりうるとも。
「――内部は完全自動化されているのもあって、転移による突入は困難。だから、転移先はこの宇宙戦艦のすぐ近くの空間となるわ――皆には宇宙空間で直接、この戦艦と戦ってもらうことになるわね」
 戦闘に際して必要なのは最低限として宇宙服。無重力空間での移動が必要であれば宇宙バイク等も視野に入れるべきだろう。飛行手段があれば、それを応用して宇宙空間を泳ぐことも可能だろう。
 転移ゲートからロケットブースターなどで飛び出してターゲットの戦艦に取りついてしまえば艦上で戦うこともできるが、戦艦からの攻撃を回避するのが困難になることも考えられる。
「とても困難な戦いになると思うけれど、どうかお願い。これを落とさないと、こちらがどんな被害を喰らうかわかったものではないの」
 もしこの戦艦を落とし損ねた場合の被害は、想像もつかないほど甚大になる予測がある。ニコラの言葉にも真剣さという熱がこもっている。
「――リキッドコンピューターに制御を頼っているのもあって、それの中枢を積載している艦橋部など、弱点になる場所もあることが推測されるわ。細かくは、現地で皆の発想に頼るしかないけれど、頭の隅に置いておいてちょうだい」
 最後にぐるりと集まった猟兵の顔を眺め――準備が整ったものからゲートへ、と短く〆るとニコラは転移ゲートの形成を開始した。


Reyo
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 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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 このシナリオが出ているということは、きっと私が締め切りに間に合ったと言う事なのでしょう。
 2本目の戦争シナリオとなります、Reyoです。どうぞよろしくお願いします。

 本シナリオで相手をしてもらうのは帝国宇宙戦艦……ただでさえ強力なオブリビオンが、リキッドコンピューターを積載することによってさらに強化されたものとなります。
 戦闘は宇宙空間で行われるため、宇宙バイクや小型宇宙艇、姿勢制御スラスターやアポジモーターなど、様々な方法で三次元的な動きをする必要が出てきます。特に記載が無くともペナルティはありませんが、なんらかの形でプレイングに「私は(○○な方法)で宇宙空間で戦う!」的な記載があればその内容の機転に応じて何らかのボーナスが生じるでしょう。
 また、ニコラも説明するように、リキッドコンピューターは搭載することで対象の戦闘能力を引き上げますが、同時に演算中枢としての弱点にもなります。本シナリオでは艦橋部分に搭載されているようですが、厚い装甲や対空装備が猟兵の接近を拒むことでしょう。ナイスな攻略の発想を募集いたします。
 それでは、どうぞ、よい戦いを、猟兵。
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第1章 ボス戦 『帝国宇宙戦艦』

POW   :    フルバースト・コズミック
【全砲一斉射撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    デストロイレーザー
【10秒間のエネルギーチャージ】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【主砲からのレーザー砲撃】で攻撃する。
WIZ   :    インペリアル・マカブル
【自身の稼働可能時間】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【帝国式鏖殺形態】に変化させ、殺傷力を増す。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

秋月・信子
@ SPD

迎撃すべく放たれたデストロイレーザーが宇宙バイクを掠める
しかし、彼女は臆することなく宇宙バイクを疾走らせながら心の中で数字を数えていた
(1、2、3…)
主砲が再びこちらを捉えようとすると宇宙バイクを乗り捨てる
(…8、9、10)
一筋の光が宇宙バイクを飲み込み蒸発させた
(やっぱり…撃つには10秒のタイムラグがあるのね)
既に発動させていた『千里眼撃ち』で主砲孔奥のレンズを目に捉える
ハンドガンと言えども宇宙の0Gならば弾は減衰されず初速のままの速さで突き進む
強化ガラスも貫く『鎧砕き』の徹甲弾が装填された
(主砲が撃たれる寸前、その時を狙って…)

銃を撃てば反動で後退するが、それは推力にもなるだろう


シキ・ジルモント
@
◆SPD
宇宙バイクに乗って参戦
ユーベルコードで性能を底上げしておく

狙うのは艦橋のリキッドコンピュータ
対空攻撃はバイクの小回りを活かして回避、艦橋に接近する
回避時の動きは加減速の他、急上昇・急降下などを織り交ぜ宇宙空間での『空中戦』である事を意識する

コンピュータを守る分厚い装甲は継ぎ目などの弱い部分を探し、同じ箇所に攻撃を重ねる事で破壊突破を狙う(『スナイパー』)
接近が難しければ同じ方法で対空装備の破壊を狙う
数が減ったら改めてコンピュータの破壊に移る

レーザーはエネルギーチャージの予備動作を見逃さないよう観察
射出方向とタイミングを『見切り』、バイクの性能と『騎乗』技術を併せて回避を試みる


ダビング・レコーズ
【SPD】
リキッドコンピューターの情報処理能力は大きな脅威です
しかし出力装置たる兵装無くしてはその能力も無意味でしょう
よって先ずは敵艦の砲門を破壊し攻撃機能を無力化させます

手段の第一段階として空間戦闘に対応する為SF-2エウロスに騎乗
更に騎乗状態で脚部サブ・スラスターを起動
当機自身をSF-2エウロスの追加ブースター兼ウェポンユニットとします(騎乗5ダッシュ8空中戦1)
増強した機動力で砲撃を掻い潜り有効射程内まで接近します

主兵装はプラズマ・バスターを選択
重火力兵器での一撃離脱を基本戦術とします(鎧砕き2鎧無視攻撃1)

敵艦砲はユーベルコードと運動性を以って回避
当たらなければどうと言う事はありません



●猟兵、出撃す
 真空の闇を駆ける光条が3つ。うち2つは宇宙バイク、のこる1つはカスタマイズされた空間戦闘機だ。騎乗するのはもちろんながらいずれも猟兵。高性能宇宙服を身に纏い、想定された戦闘空域へと駆けていく彼らの姿は地上での雄姿となんら変わりない。
 ――彼らの進行方向で、きらりと眩い何かが光った。
「軌道予測――来ます、回避運動を! 交差まで5秒!」
 先陣を切る空間戦闘機……SF-2エウロスを駆るダビング・レコーズ(RS‐01・f12341)が鋭い声で後方の猟兵2名へ忠告。ユーベルコードを応用した演算機能による攻撃予測は正確無比。宇宙バイクの車体を傾けるようにして散会する軌道を描いた2名の猟兵と、バレルロールで素早くZ軸方面へ回避運動を取ったダビングの間を2本のレーザー光線が猟兵に掠りもせず通りぬけた――帝国宇宙戦艦、その主砲からの遠距離射撃である。
「おいおい……まだ3km近く離れてるぞ? クソッ」
「それだけ、相手のほうが格上ってこと――カウント10、次が来るよ!」
 宇宙バイクは出撃後からほぼフルスロットル。時速換算で100km近い速度が出ていても、3kmという距離は2分近い時間を要する――猟兵側の射程は長くても500m足らず。一方的に攻撃される時間が決して短くないことにシキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は悪態を吐くが、秋月・信子(魔弾の射手・f00732)の忠告に続きを語る暇がないと悟れば舌打ちしながら再びの回避運動を取る。
 信子のカウント通り、リチャージされた戦艦の主砲が再び猟兵たちを襲った。レーザー1射ごとに狭まる距離は約300m……その分困難になる回避運動を、ダビングの軌道予測や宇宙バイクそのものの機動性でなんとかして成功させていく。
「役割分担は事前のブリーフィング通り、で?」
「おう、艦橋の装甲は俺に任せてくれ――後続のためにも意地でも剥がしてやるよ」
「主砲は私が――ダビングさんの対空火器回りが一番大変そうですが……カウント10!」
 再度の散会。乱数回避を宇宙バイクの制御機構に叩き込み、自動制御された戦艦の狙いを外すよう動いてはいるが――3人の中でも特に騎乗技術の薄い信子の回避にはやや危うさが残っている。
「問題ありません……次のレーザーを回避したら、自分が先に仕掛けましょう」
「ありがたい申し出だが……無理はするなよ、ダビング」
「ご安心を。当たらなければ、どうという事はありません――それではお先に」
 テンカウント。戦艦の3射目を回避したダビングは、シキとの会話を切り上げると巡航モードから一気に戦闘モードへ移行した。エウロスのブースターに加え、ダビングの脚部サブ・スラスターが起動。推力を一気に叩きあげることで急加速し、一番槍として超頭脳戦艦へと突撃する。
「プラズマ・バスター、システムオールグリーン。バレルオープン、射角固定――軌道予測……完了!」
 時速換算、およそ250kmの速度。戦艦主砲の狙いを一身に引きつけつつ、その加速力でもって一気に対空射撃の圏内へと飛びこんでいくダビングを一斉射撃が襲うが……脚部というサブ・スラスターを動かすことによって複雑に軌道を変えれば、先の「当たらなければ問題ない」を有言実行。その間にも自身の回避機動を計算に入れた運動予測でもって互いの相対位置を計算し――
「目標を……粉砕します!」
 ダビングがトリガーを引けば、プラズマ・バスターが巨大なプラズマ球を生成・射出。排熱と射撃の反動で方向転換し一撃離脱を図るダビングを狙う対空砲火を喰らい尽くしながらそのプラズマボールが戦艦左舷を直撃した。音こそ響かずとも、目に見えて融解する鋼の形は悲惨そのもの。一撃で左舷対空火器群を撃滅された戦艦の射程圏内へ――続く2名の猟兵が飛びこんでいく。
「注文以上の仕上がりだ、ダビング――俺も負けてられないな!」
「一撃離脱……大火力砲ならではですね」
 ダビングは超加速から減速せず、すれ違いの一撃を放ったが故にその姿は戦艦のはるか後方にある。距離的に数分は戦場への復帰が困難だろう。ならば、と――シキと信子はアイコンタクトで連携を取り、互いの狙いに向けて宇宙バイクのハンドルを切る。
 ――と、その瞬間。信子のバイクを戦艦の主砲が捉え、レーザーで貫いた。
「――おい、信子!?」
「問題ありません! ……狙いは、もう付いています!」
「そうかい――死ぬなよ!」
 通信は途絶せず。直撃の寸前にバイクを乗り捨てた信子は、今は慣性だけで宇宙空間を泳いでいた。自身が無事であることをシキへ答え、彼女が狙うは主砲の最奥、レーザー収束用の大型クリスタルだ。
「リキッドコンピューターさえ壊せば宇宙の藻屑なら……そこを狙うにきまってるだろう!」
 信子の通信を受けたシキもまた、己の狙いを思い返し――若干の減速を挟みながらフック付きワイヤーを戦艦艦橋部に向けて射出。手応えを得れば一気に巻き取り、バイクの進行方向を強引に変更しながら艦橋へと吶喊した。
「――カウント、9!」
「合わせるぜっ! シロガネの弾、全部持っていけ……!」
 宇宙空間に音は響かない。ただただ、引き金を引いた指の感触と、体に跳ね返る反動だけが攻撃の証。
 ――信子がレーザー収束ギリギリを見切って放った一発の貫通弾は、ユーベルコードによる補正もあり寸分の狂いなく大型クリスタルを破壊。暴発したレーザーが暴れ狂い、戦艦の主砲が自壊した。
 ――シキが放った連射は、艦橋を守る装甲、その一点を狙い澄まして重ねられたもの。ほぼゼロ距離からの精密射撃は、いかな分厚い守りとて貫く重ね撃ち。リキッドコンピューターを守る装甲がここに砕け散った。
 
 ――超頭脳戦艦、いまだ健在。されどその暴威は猟兵の手によって抑えられつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミスタリア・ミスタニア
ハハッ!鎧装騎兵による対艦戦も宇宙戦争の華だな!
オレらが宙間戦闘の主役だと教えてやるぜ!

『空中戦、ダッシュ、見切り、第六感』制宙権握った鎧装騎兵に対艦用の艦砲がそう当たるかよ!対空砲だって的が小さく運動性の高い鎧装騎兵を捉えるのには一苦労だろうよ!
その対空砲もアームドビット展開して順次潰していくぜ!
多少段幕が薄くなったら目立つレーダー波出すレーダービットを囮に砲撃をそっちに『おびき寄せ』て、その隙に『捨て身の一撃』で艦橋目指して突貫だ!
艦橋真ん前に飛び込んだら【対艦用パイルバイカー】『鎧砕き』で装甲をぶち抜いてやる!『串刺し』のまま『2回攻撃』で【グリュンシュトゥルム】に繋いでぶっ放してやる!


トルメンタ・アンゲルス
なるほど、随分と大物を引っ張り出してきましたねぇ。
上等!沈めてやりますよ!

行くぞ、NoChaser!
マキシマム!グッドスピィィィィド!!


鎧装を纏い、宇宙バイクに跨り始動。
「騎乗」「操縦」技術をフル活用し、敵の照準が追いつかないほどの「残像」が残るような速度で疾走。
先読み砲撃なども「第六感」で「見切り」、味方が暴れる「時間稼ぎ」をします。

程よく暴れた所で最接近。
鎧装のパワーをプラズマブレードに収束し、抜刀。
「鎧無視攻撃」出来るほどの火力と、派手にぶった切れるほどの長大な刀身と化したAureoleで、艦体を艦首から艦尾へと、バイクを猛スピードで走らせながら「なぎ払い」ます。


我に断てぬ物無し!!


虻須・志郎

ようやく復讐の時だ、相棒
随分と久しぶりな気がしちまうな

さて、俺は工兵だからな……誰か乗せてくれ
無理ならまあいい、勝手に付いてくわ
腕の内臓無限紡績兵装からアンカーとか出せるから
障害物を伝って立体機動で前進するぜ

超攻撃型の無人戦艦、ハッキングし甲斐のある対象だ
とにかく戦艦に取り付かなきゃな
対空砲火は耐える
覚悟を決めて捨て身で突撃だ
運良く取り付いたら鍵開けて中にお邪魔するぜ
んでそのままハッキング
対空砲火の無力化を最優先
それが終わった艦橋めがけて魚雷を召喚だ
UDCアースに次元接続
相棒こと万能航宙水雷艇ファルシオンの
光子魚雷を全弾喰らわせてやる!

外しても既に邪神の領域
埒外の暴力で艦橋をブン殴ってやる!



●宇宙戦の華
「対艦戦闘こそ、オレら鎧装騎兵の戦場――さぁ、宙間戦闘の主役って奴を教えてやるぜ!」
 共通チャンネルで気炎をあげるのはミスタリア・ミスタニア(宇宙を駆ける翠の疾風・f06878)である。そしてその宣言に違わぬ見事な動きで対空砲をひとつひとつ丁寧に潰していく。先陣を切った3人の猟兵が主砲や左舷対空火器を潰していたのもあって随分と楽な仕事だ、と思いつつ――今まさに戦場へと向かっている「工兵」の安全を考えれば手は抜けない。展開したアームドビットで戦艦相手に縦横無尽の働きを見せつけつつ、ミスタリアが待つのは工兵――虻須・志郎(第四の蜘蛛・f00103)の到着である。
 火器をひとつひとつ潰されても、重厚な装甲を破り、この船の本体であるリキッドコンピューターを潰さない限り、猟兵側の勝利とはいえない――インペリアル・マカブルによって稼働時間を犠牲に封印解除される艤装の数が知れない上に、最悪の場合、この戦艦は自爆特攻を仕掛けることもできるのだ。
「――行くぞ、No Chaserrrrrrr! マァアアアアアキシマム! グゥッドォ! スピィィィィィド!」
「おおおおおおお!?」
「……遅いぞ、というのもおかしいか。待ちかねたぞ、工兵!」
 そしてミスタリアが右舷対空火器を沈黙させた頃――その叫びが共通チャンネルにこだました。付属するのは、あまりの速度故か喋ることすらままならなさそうな志郎の声。ハイスピードな叫びは、志郎の運搬役を買って出たトルメンタ・アンゲルス(流星ライダー・f02253)の最高にハイな早口だ。
 ゴォン、とミスタリアが振動を感じて戦艦の艦首を見やれば、飛来する工兵の存在に脅威を覚えてか、ついに封印されていた砲塔がいくつか甲板へとせり出している。
「チッ、嫌なタイミングで……デコイ! レーダービット、行け!」
 砲塔が狙うはトルメンタ駆る宇宙バイク、No Chaserとそれにアンカーで牽引された志郎。妨害が間に合わぬタイミングでの砲塔出現に、ミスタリアはソフトキル・システムとしてレーダービットによるデコイ生成を試みる。しかしミスタリアのデコイに惹かれた攻撃が3割――残る7割はトルメンタへの直撃コースを保つ。
「なるほど随分と大物を引っ張り出してきたようですがこの世の理とは即ち速さ! つまりぃ! 極限まで加速した俺に対してはその程度の砲撃では――速さが足りないっ!」
 ――次に耳に飛び込むのは猟兵2名分の通信途絶音か。そう覚悟したミスタリアの耳に届いたのは……トルメンタのハイスピードな絶叫であった。見れば、宇宙空間に残るトルメンタの残像の数はおよそ6つ。攻撃の大半がその残像へと誘導され、結果的にトルメンタと志郎の2人は無傷で戦艦へとタッチダウンだ。
「あー……戦艦よりも余りの速さに死ぬかと思った」
「時間通りにお届けですよ、志郎さん。文句は言わないでください!」
「ああ、すまんな。でも、もしも次があったらもう少し安全運転で頼むぜ?」
「もう!」
「……2人とも、漫才はそれくらいにしておいてくれ。志郎――任せていいんだな?」
 漫才のようなやり取りを始めるトルメンタと志郎に、ミスタリアが割って入る。レーダービットで戦艦の砲撃を欺瞞しているとはいえ、それも長くは持たない……この戦艦を攻略できるかどうかが、いま到着した志郎に掛っているのだ。
「おう、任せろ――どこか、外部からアクセスできそうなところはあったか?」
「何ヶ所か、アタリは付けてある。オレたちは戦闘を続けるが――用意が出来たらすぐに連絡をくれ」
「なぁに……火器管制を分捕ったら、すぐにわかるさ」

●さらば、超頭脳戦艦
 ――そうやって志郎が自信たっぷりにハッキングを開始して数分。
「――攻撃が、止みました、ね」
「……なるほど、すぐに判るっていうわけだ」
 宇宙バイクでの陽動を行っていたトルメンタと、各種ビットを駆使しての妨害を続けていたミスタリアは身をもって志郎の技量を思い知ることとなった。つい数秒前まで雨のように打ち込まれていた艦砲やミサイルの類がぷっつりと途切れたのだ――まさか、ドクター・オロチも、リキッドコンピューターのコントロール下から火器管制システムを切り離されることは想定していなかったのだろう。トラップの類で自爆カウントが開始されるようなそぶりもない。志郎の手でリキッドコンピューターと艦艇のシステムを切り離されてしまえば、もはや戦艦側から猟兵に働きかけることは何もできない。
「――船のシステムは把握した! 今から特殊装甲をパージするから、その後、艦橋に一発ぶちあててやってくれ」
「了解、ならそれはオレに任せてもらおうか」
 沈黙した戦艦が、志郎の手によって艦橋にあるリキッドコンピューターを守る装甲を自ら脱がされていく。最終的に残ったのはごく一般的な人間用の艦橋と――そこに収められているリキッドコンピューターの水槽だ。
「パイルバンカーで隔壁を破る。いいんだな?」
「ああ――リキッドコンピューターは念のため、魚雷で爆破する」
「あ、なら起爆は俺に任せてくださいよ」
 ミスタリアが腰だめに構えたパイルバンカーで艦橋の隔壁を破り、リキッドコンピューターの水槽が真空へと晒される。
「よし、それじゃあ起爆は任せた――次元接続、発射管1番から8番まで装填……魚雷射出」
 そこへ持ち込まれるのは志郎がユーベルコードで召喚した万能航宙水雷艇ファルシオン由来の光子魚雷。都合8発が間近で爆発すれば、リキッドコンピューターは塵も残らないだろう。それらのセットを終えれば、あとは起爆を任せてというトルメンタの出番だ。 
「Aureole、出力最大――プラズマブレード、リミットフルリリース!」
 艦首でバイクに跨ったトルメンタがそう唱えれば――腕から引き抜いたプラズマソードが一気に刃を伸長させ、その幅をも太くする。その刀身は軽く十数メートルにも及び、幅は最も太いところで1m前後。人間サイズで振りまわすにはあまりにも大きすぎるそれを――
「――我に、断てぬ物、無し!」
 トルメンタは、バイクによる加速と併せて強引に切り払う形で運用した。艦首から艦尾まで、自慢のスピードで駆け抜けた彼女の背後で――超頭脳戦艦の最期を告げる派手な爆発が生じた。
 
 かくして、脅威と目されていた超頭脳戦艦はその姿を骸の海へと返す事となる。猟兵側の損害はゼロ――大勝利といっていい結果であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月13日


挿絵イラスト