2
銀河帝国攻略戦⑱~リキッド・カンタービレ!

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#スペースシップワールド
🔒
#戦争
🔒
#銀河帝国攻略戦


0




●リキッド・プール
 帝国が誇る大要塞『エンペラーズマインド』の一部が激しく吹き飛び、一隻の戦艦がその『目標』を捉える。
 帝国の執政官ドクター・オロチが潜む『実験戦艦ガルベリオン』とその護衛艦。その頂きへと猟兵達がたどり着く刻は近い。
 ――だが。
『敵反応多数、コレヨリ最終防衛システムヲ作動シマス』
 オロチへ至る最後の砦が、猟兵達のユーベルコードを察知し、迎撃へと動き出した……!

●迷うことなく突き進め
「ドクター・オロチが潜む実験戦艦ガルベリオンに乗り込む為の大作戦が開始されました!」
 星宮・亜希(双星の守護天使・f00558)が手早くグリモアを起動しながら猟兵達へと要件を手短に伝える。
「皆さんにはオロチを撃破するためにまずワープドライブでガルベリオンの周囲に存在する情報艦隊の護衛艦の内部に侵入し、その中枢部たるコンピューターを破壊してもらいます」
 コンピューターを破壊さえすればその船は制御を失い、猟兵達が離れた後に崩壊・自爆へと至るだろう。
 とはいえ、無策に突破できるというわけでもない。護衛艦とはいっても情報艦隊という事もあり銀河帝国の頭脳中枢がメインで武装自体は手薄、普通の戦艦を破壊するよりは余程楽な仕事である。それでもだ。
 問題はそのコンピュータ――スライム状でありながら自在に情報を蓄積・処理できるコンピューター『リキッドコンピュータ』が猟兵達の記憶から強敵を生成し、迎撃するという厄介な性質を持っているからだ。
「固くなったり、叩いたらスライムに戻ってばらけたり……めんどくさい敵と推測されます……それでも、みなさんなら……きっとなんとか倒してくれるはずです!」
 どうかオロチの下へたどり着くためにも……そう亜希は猟兵達に祈りを込めて、敵護衛艦の内部へと転送を始めるのであった。


糸こんにゃく
●注意
 このシナリオは、「戦争シナリオ ⑱アマルテア情報艦隊」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

●挨拶
 こんにちは、糸こんにゃくです。
 今回はドクター・オロチが制作した液体型処理装置『リキッドコンピューター』が再現・強化したボスと戦ってもらいます。
 非常に手ごわいですが、あくまで再現しているコンピューターを叩く手段があれば有効打となるでしょう。
 それでは、よろしくお願いします。
43




第1章 ボス戦 『人造生命体『マンティコア』』

POW   :    不可視の牙
【真空刃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    獣の雄叫び
【凄まじい大音量の咆哮 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    猛毒の棘
【蠍の尾 】を向けた対象に、【蠍の尾から放たれる針と猛毒】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はフルーネ・フローライトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●蠢く粘液
『コレヨリ、イレギュラーヲ排除シマス』
 護衛艦の内部の警備システムを破壊し突き進み、広い中枢部へとたどり着いた猟兵達が見た物は、警報を発しながら蠢き集まりだす桃色の粘液であった。
 粘液は盛り上がり姿を変え、人造生命体『マンティコア』の形を取ると猟兵達へと襲い掛かる――!
死之宮・謡
ん?中々面白いものを作るな…人造生命体には作り手の意志が籠る。だから、面白い、作られた存在から想いを感じ取れるなんてさ…。
まぁ良い、死ぬまで斬れば死ぬだろ?最高に頭悪い発言だけど良いよな?結局は殺さないといけない…遠慮する必要は無いよねぇ?
「呪詛」と「生命吸収」を掛けて「怪力」を使いながら「鎧砕き」の「二回攻撃」で「傷口を抉る」。遠慮するな?泣き叫べ、苦痛にのたうち回れ。此の私を愉しませてくれよ?
サァ、殺シ合イダ…私ハ貴様ノ命ヲ奪オウ…貴様モ私ノ命目掛ケテ突ッ込ンデ来イ!
【鬼神血統装具】展開…。




 未だ粘液状のままの桃色の髪をたなびかせオブリビオンは猟兵達の鼓膜を破壊しかねない程の巨大な咆哮を放つと、巨大な爪から凄まじいまでの衝撃波を複数放つ。決死の覚悟の猟兵達が容易くその攻撃を翻すと、戦艦の壁に深い爪痕が刻み込まれた。
「ナルホド……面白イ」
 死之宮・謡(狂い果てし王・情緒不安定の狂戦士・f13193)は肩についた切り傷と液状の身体が生み出した液状生命体の爪の強靭さに自らの闘争心が強く揺さぶられほくそ笑む。可憐な見た目から放たれる残酷なまでの威力、その兵器から醸し出される『製作者』の邪悪な意思を感じたのだ。――帝国に逆らう者を決して許さず、ただ滅ぼさんとする強い意思を。
「ナラソレニ乗ってヤロウジャナイカ……!」
 謡は狂気に満ちた笑みを見せると敢えて負傷したその肩から血を噴出させ、魔性の血をその身と自らが持つ禍々しい刀剣の数々に纏っていく。
「サァ、殺シ合イダ……私ハ貴様ノ命ヲ奪オウ……貴様モ私ノ命目掛ケテ突ッ込ンデ来イ!」
 謡は目を見開くと瞬く間にオブリビオンの懐に飛び込み、取り出した無数の曰くつきの剣と血の斬撃による高速の剣戟を繰り広げる。マンティコアの爪が圧し折れ肉が抉れ、再び粘液と戻り身体を修復し、そしてまたえぐり取られていく。その肉が無限に再生するならば、無限に斬り続けてやればいい。一見堂々巡りに見えるこの行為は、間違いなくリキッドコンピュータの持つエネルギーを浪費させ、その再生能力を徐々に落とし始めていた。
 謡はそれを察してかあるいは圧されながらも懲りずに向かってくる人造生命体を叩きのめす事に悦楽を感じてか、ただひたすらに、その桃色の塊を切り刻み続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​


「アアア……!」
 猟兵との競り合いに根負けしたのか別の効率の良い攻めを実行しようとしたのか。リキッド・コンピュータは苦しそうな咆哮をあげながら身を溶かしばらばらに別れると、離れた場所で再び一つの形を取り戻し、猟兵達へ反撃するべく再び戦闘態勢を取る。
ヴィルジニア・ビアジャンティ
半液体状のオブリビオンですか……正攻法では難しそうですね。
ですがあの種の手合いは急激な温度変化に弱いと映画で見たことがあります!
本来なら冷やし固めてから燃やすのが理想なのですが、あいにく温度を下げる攻撃は持ち合わせていませんのでここは只管に【ヴァリアブル・ウェポン】によって焼夷弾を撃ち込みましょう。こんなことなら液体窒素を詰めた榴弾でも作っておけば良かったのですが……。まあひたすらに温度を上げ続けるだけでもいずれ形を保つことが難しくなるかも知れませんし。試す価値はあるでしょう。



「半液体状のオブリビオンですか……正攻法では難しそうですね。ですが――」
 物理攻撃をほぼ受け流す変化自在の敵をどう討伐するか、ヴィルジニア・ビアジャンティ(要塞椅子令嬢・f08243)はじっと考えを練り、一つの名案に至る。
「あの種の手合いは急激な温度変化に弱いと映画で見たことがあります!」
 あらゆるものに耐性を持つ物質などほどんと存在しない、無敵の兵器にも必ずどこかに弱点があるはず。
 ヴィルジニアは自らが操る四足型の要塞椅子を起動すると、その内部よりグレネードランチャー『熊狩り』を露出させ、オブリビオンがとびかかるよりも先に無数の焼夷弾を打ち出した!
 オブリビオンはその攻撃を避け、眞空波で切り裂き、勝ち誇ったように咆哮する。だが、それは完全にヴィルジニアの狙い通りだった。
「本来ならここで液体窒素を詰めた榴弾で固めてしまえれば良かったのですが……」
 ヴィルジニアの言葉の直後、炸裂する焼夷弾の数々。彼女の狙いは初めから命中させる事よりも、その熱によってオブリビオンを蒸発させる事にあったのだ。
「これだけでも、かなりの被害にはなりそうですね」
『エラー、エラー、エラー……CPUの異常な発熱を確認……』
 内側より音声が鳴り響き、悶え、煮立ち、狼狽えるリキッドコンピュータ。いくら変化自在の液体兵器とは言え、気体に変えられてしまえば機能を維持する事は難しいだろう。
 マンティコアは内側から鳴り響く警報を打ち消すかのように怒りの咆哮をあげると、自らの身体の一部を切り離し、その液を以て急速に消火する。それでも尚逃がすまいとヴィルジニアは再び熊狩りを唸らせ、オブリビオンへと激しい炎を打ち出すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​


『ダメージ増加、ダメージ増加、損傷部位ヲをパージシまス……』
 燃え盛るマンティコアの内側から、コンピュータの警報音が止まる事なく鳴り響く。
 オブリビオンが熱と斬撃によるダメージを受けるたびに猟兵達の後方で爆発音が鳴り響き、戦艦自体が大きく揺れる。演算能力が低下し、針の上に立つような帝国戦艦のエネルギーバランスが崩壊し始めているのであろう。
『排除シマス、脅威を排除シマス……』
 燃え盛る炎の中から再び顔を見せたオブリビオンの姿は、マンティコアの姿を保ちつつも彩色機能が失われ、一様の桃色の粘液の姿となっていたリキッドコンピュータの姿であった。
ヒビキ・イーンヴァル
【翠苑】の皆と行動

あのスライムがコンピューターとか、これもう訳わかんねぇな
まあ、やることは決まっているんだが

絡新婦さんとザッフィーロさんが足止めをしてくれている間に、渾身の一撃をお見舞いする
『全力魔法』を乗せて『蒼き焔よ躍れ、嵐の如く』で攻撃
炎は全てばらばらに、様々な角度から当てて行こうか
そして『2回攻撃』で更に畳みかけよう
液体だろうが全部燃やし尽くしてやるよ。むしろ蒸発しろ
スコルと攻撃のタイミングを合わせるように動けると効果的だな

敵からの攻撃は避けたいが、剣で『武器受け』して防御も視野に入れて
なるべく戦場把握はしておく
危ない仲間がいたら、声かけしたりと協力して戦っていこう


ザッフィーロ・アドラツィオーネ
【翠苑】の皆で参加
スライム状になるコンピュータ、とな…
…良く分からんが、水分を蒸発させてしまえば動けんだろう、きっと、な
杼糸と共に俺はマンティコアを足止め
ヒビキとスコルにコンピュータを炎上させ叩いて貰う作戦だ
なのでヒビキとスコルがコンピュータに近づきやすい様
『高速詠唱』と『全力魔法』を使い俺は【穢れの影】でマンティコアを足止めしよう
攻撃が来たら『盾受け』をしつつ『カウンター』にて攻撃を受けつつ体力を削って行きたい所存
ヒビキとスコルの方に行きそうになった場合は『かばう』で前に出て注意を引き付けたい
コンピュータの方はヒビキとスコルが上手くやってくれるだろうからな。
…やはり仲間がいると心強い、な


杼糸・絡新婦
【翠苑】で参加
機械が液状なうえに別のもんになるとか便利やろうけど、厄介やなあ。

ザッフィーロと共に敵の足止めを行います。
ほな、行きましょか。
SPDで攻撃し、【フェイント】で隙きを作り出す。
敵の動きをよくみて向こうからの攻撃動作の合わせ力を抜き受け止め、
オペラツィオン・マカブルで返す。
吠えるか?サイギョウ。

広範囲・多対象・高威力、こりゃ時間はかけられんなあ。
皆さん大丈夫かい?

液状化したら【掃除】の要領で進行方向塞いで囲い込む。

そっちのやり方はお願いしますで。
足止めしている間にヒビキとスコルに属性系攻撃してもらい、
コンピューターを叩く。

こういう心強さがありがたいなあ。


スコル・カーバイト
チーム【翠苑】と連携で行くぞー。
やれやれ、スライムっぽいあいつがコンピューターとか、どーにもメンドーなやつと相手するとかよ。ま、その分退屈はしねー相手って事でもあるな。ククッ、ちったぁ楽しませろよ?

~行動~
絡新婦とザッフィーロが足止めしてくれるって言うから、俺はヒビキと連携して攻めていくぞ。相手が液体になるってんなら、理屈的に考えりゃ炎や雷とか効きそーだし、『ブレイズフレイム』や『属性攻撃』を駆使して攻めていこーかね
ま、基本の話だが、相手の動きをちゃんと読んでおいて、攻撃パターンはちゃんと把握しとかねーと、だな。



●燃え盛る戦艦の中で
 損傷し色が失われてもなお攻撃性能を保ち続け、猟兵達へと鋭い攻撃を放ち続けるリキッドコンピュータ。
 その蠢く桃色を眺めながら、杼糸・絡新婦(繰るモノ・f01494)が本体である鋼糸により戦闘人形であるサイギョウを巧みに動かしながらオブリビオンを追い詰めていく。
「機械が液状なうえに別のもんになるとか便利やろうけど」
 絡新婦はサイギョウによりオブリビオンの攻撃を上手く誘いこみ、時折その攻撃を反射し庵室の仲間達がそれぞれの射程距離へと突撃しやすい様に時間を稼いでいく。
 だが粘液の機械兵器は止まることなく生成した尾らしき器官より、絡新婦の死角より次々と毒針を射出していく。そこにザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)が割り込み、防具を構えるとその攻撃を押し返した。
「スライム状になるコンピュータ、とな……良く分からんが、水分を蒸発させてしまえば動けんだろう、きっと、な」
 弾かれた毒針が液状に戻り、本体へと戻っていく様を眺めながらザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)が呟く。絡新婦はザッフィーロに笑顔で礼の言葉を投げかけながらも厄介そうに話す。
「そうは言ってもこれは厄介やなあ、こりゃ時間はかけられんなあ」
「本当だな」
 言葉に応えるように、二人の猟兵がザッフィーロ達の前へと着地する。そのうちの一人、ヒビキ・イーンヴァル(蒼焔の紡ぎ手・f02482)が剣を鞘から引き抜きつつ、理解ができないといった様子でその粘液へと刃を向ける。
「あのスライムがコンピューターとか、これもう訳わかんねぇな」
「やれやれ、スライムっぽいあいつがコンピューターとか、どーにもメンドーなやつと相手するとかよ」
 スコル・カーバイト(ひねくれ灰狼・f06122)もまた、得物の斧を構えながらその異形に対し如何にも面倒くさいといった様子で相対するも、その声にはどこか期待感が混ざった様子であった。
 対してマンティコアは新たな敵を検知しつつも、動じる事無く分析し桃色の身体を戦闘に応じた形へと隆起させていく。
『演算完了、新タナ敵ノ排除ヲ開始シマス』
 演算に長けたこの兵器は撤退や降参を省みる事は決してない。それにあまり時間を与えすぎると猟兵達が対処する事がより困難な攻撃をする可能性がある――一刻も早くこの不可思議な機械兵器を焼き払わなければ。
「ほな、行きましょか」
 その絡新婦の言葉と共に彼とザッフィーロが二手に別れオブリビオンへと接近、攻撃を引き付ける。ザッフィーロが素早く術を唱えると、足元より影やもやと言ったような様子の穢れが噴き出しオブリビオンへと迫っていく。
「……逃がすか」
 ザッフィーロの穢れの影はオブリビオンの右足へと纏わりつくと、まるで染み込んで行くかのように纏わりついた部位を拘束、固めていく。対するオブリビオンはその部位を『切り離し』難を逃れようとするも、切り離された部位からはみ出た穢れに再び捕まってしまう。
 オブリビオンは長い髪を振り乱しながら暴れ、次の手段――術者を吹き飛ばすべく大音量の咆哮を放とうと大きく息を吸い込む。だが、オブリビオンの口元には既に絡新婦の放ったサイギョウがいた。
「吠えるか?サイギョウ」
 オブリビオンが吠える直前、絡新婦は指の力を抜きその咆哮を受け流し……サイギョウの口より更に強い音波として敵へとお見舞いする。
「――!」
 その表面が波打ち、動きが止まる半液体状の兵器。そこにヒビキとスコルが飛び出し、魔力と地獄、二つの炎をお見舞いする。
「ククッ、ちったぁ楽しませろよ?」
 スコルはトマホークで怯んだオブリビオンへと叩きつけると、飛び散った部位を的確に地獄の炎で焼き切っていく。その液状の身体から反撃のように露出する爪型の部位を的確に躱し、確実に、かつ素早く浪費させていく。
「液体だろうが全部燃やし尽くしてやるよ。むしろ蒸発しろ」
 スコルが距離を取るたびに、ヒビキは少し離れた場所で蒼剣を指揮棒のように振りかざし、自らの召喚した炎で牽制を兼ねた素早い一撃を加えていく。そしてヒビキの炎が離れれば、スコルが飛び出し再び斧の一撃をお見舞いする。
 弱点である炎と熱による執拗な攻めを受け、オブリビオンは咆哮し尾を振りただ暴れ回る。それと同時にザッフィーロの穢れが兵器の右半身を覆いこみ、ぴったりと固めていった。オブリビオンは残った左半身で猟兵達の急所を狙うも、絡新婦の操るサイギョウに跳ね返され更に体の一部が吹き飛んでいく。猟兵達の巧みなユーベルコードの連携に流石の液体兵器もなすすべなくその体積を縮め、哀れ地獄の業火を待つだけとなってしまう。
「いい感じに固まってきたぜ、あんた、そろそろどでかいの一発ぶっこんじまいな!」
 スコルが振り返り、ヒビキへ止めの一撃を促すと、ヒビキは頷き蒼剣を掲げ。
「それじゃあ、仕上げといこうか」
 マンティコアの周囲に滞在していた蒼の炎を全て集めると……一つの武器スコルのトマホークに纏わりつかせた。
「接近戦は苦手なんだ……俺はインドア派だからな」
 そして、援護はするから任せたとどこかしんどそうなヒビキの声。スコルはトマホークへ纏わりついた蒼い炎を眺めると、了解の意思を込めてにかっと笑い、燃え盛る液体兵器へと一気に詰め寄る。同時にスコル自身の地獄の炎もまた彼のトマホークへと集い、斧は二つの炎の力で燃え上がった。
「……わかったぜ、こいつをお見舞いしてやればいいんだな!」
 オブリビオンは蠢き、迫りくるそれを目視で確認するとそれを食い止めようと尾を動かし撃退しようとする……だが、既にザッフィーロの放った穢れに徹底的に纏わりつかれた今、間に合うはずもなく……スコルの全身全霊の一撃を叩きこまれる事となってしまう。
「とっとと消し飛びやがれ!」
 彼の放つ会心の斧が粘液へと食い込むと斧に纏わりついていた紅と蒼の炎がオブリビオンの中心で衝突、炸裂。
 そのまばゆいばかりの閃光と爆風は、粘液兵器の回路を全て焼き切った――!
『――――!』
 蒼の炎に包まれ半透明状のマンティコアは手を振り上げたまま硬直し、何かを叫んだまま燃え上がり次第に形を喪っていくと、ドロドロに崩れ落ち、縮み……そして、跡形もなく消滅した。

●脱出
「終わったか……やはり仲間がいると心強い、な」
 静まり返った戦場に、ザッフィーロの静かな声が響く。コンビネーションの結果に喜ぶスコルとヒビキを眺めながら、一息ついた絡新婦が微笑んだ。
「こういう心強さがありがたいなあ」
 一仕事終えたといった様子で呼吸を整える6人の猟兵達。だがいつまでものんびり過ごしていくわけにはいかない。
 辺り一面がやかましい警報音と非常事態を表す赤い光に包まれ、戦艦の装置が至る所で爆風と共に吹き飛びだしたのだ。戦艦の維持をするコンピューターが崩壊したため、最終プログラムである自爆装置が作動し始めたのだ。もうここに長居はする事は出来ない。
「……次の戦場が待ってる、急ごう」
 そんなヒビキの声に猟兵達はうなずくと、爆風と衝撃波の飛び交う要塞の中央部を脱出し、グリモアベースへと急ぎ脱出するのであった。

 無人となった護衛艦はそのまま自壊を続け宇宙へ激しい爆発と閃光を遺し、この世界から再び消滅した――

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月17日


挿絵イラスト