銀河帝国攻略戦⑱~リフレクト・アナライザー
●グリモアベースにて
「皆様、ようこそおいでくださいました。皆様を召集する事態。即ち、オブリビオンによる事件……普段ならば。
既にお聞き及びの事とは存じますが、遂にオブリビオン:フォーミュラーが姿を現しました。
舞台はスペースシップワールド。復活した銀河帝国の脅威にさらされる宇宙世界。
そして、その銀河帝国の皇帝が現れたのです」
スキエンティアは、そこで一度言葉を区切る。
表情筋など存在しないのではないかと思わせる程にピクリともしない表情でありながら、強い意思を湛えた眼差しで猟兵達を見回して。
「ここまでお伝えすれば、聡明な皆様の事ですから何をすべきかは分かって戴けたものと思います。
えぇ。オブリビオンをメッタメタのギタギタに叩きのめし、銀河帝国を崩壊に導く……のは最終目的。その為にもまず皆様には、帝国の執政官兼科学技術総監ドクター・オロチが乗る『実験戦艦ガルベリオン』、その配下のアマルテア情報艦隊を攻撃して戴きたいのです」
表情は相変わらず変わりなく、ただ声音と視線にとても冗談とは思えないような真剣さを込めながらも、スキエンティアは続けた。
「しかしながら。アマルテア情報艦隊には、ドクター・オロチがブラックタールから着想を得て開発したという『リキッドコンピューター』が搭載されており、こちらの動向をすでに掴まれているようなのです。
このリキッドコンピューターを処理しなければ今後もこちらの動向を把握されてしまいかねません。
そこで、皆様には艦内に転移突入しての白兵戦で、リキッドコンピューターごと艦艇を沈めて頂きたいのです。
しかし、リキッドコンピューターは銀河帝国に所属する強敵を、液体で強化再現した液体存在を迎撃に回し、皆様の前に立ち塞がる事でしょう」
そこで言葉を区切り、スキエンティアは再度猟兵達を見回す。
「皆様に突入して戴く艦隊に再現された強敵は、『アナリシス』と呼称される存在。
ドクター・オロチが、ユーベルコードを研究するために実験体として造り上げた、金属生命体で、猟兵のユーベルコードを解析し、逆に利用して来るという、防衛戦向きの厄介な能力を持っています。
元より手強い相手がリキッドコンピューターによって強化された存在ですが、逆説的に、本体のリキッドコンピューターという弱点を抱えていますので、その辺りを突けば、楽に倒すこともできるかもしれません。
本来は艦内のいずれかに存在する粘性の液体が満ちた広いプール空間で、情報の処理を行っているリキッドコンピューターですが、皆様への迎撃に処理を割くため、その防衛にも隙が生じるはず。
皆様であれば、その対処法も思い至るやもしれません。
どうぞ、よろしくお願いいたします」
そう告げて、スキエンティアは再度、深々と頭を下げた。
氷川 仁
大規模作戦、銀河帝国攻略戦、第四段となります。 氷川 仁(ひかわ じん)です。
今回はドクターオロチの実験戦艦、ガルベリオンを護衛するアマルテア情報艦隊への攻撃となります。
本シナリオの攻略対象は「⑱アマルテア情報艦隊」です。
皆様の多彩なプレイング、お待ちしております。
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●戦場について
艦隊内部に存在する、二十メートル四方ほどの広間です。
障害物はなく、人工重力によって地に足を着けて戦うことが可能です。
第1章 ボス戦
『アナリシス』
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POW : アナライズ&コードテイカー
【ダメージのない解析ビーム 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象のユーベルコードを借用した攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : カウンターコード
【近くで使われたユーベルコードを解析する事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【そのユーベルコードのコピーを使用する事】で攻撃する。
WIZ : ミラーフォーム
対象の攻撃を軽減する【対象と鏡映しの姿(ミラーフォーム) 】に変身しつつ、【対象が所持するユーベルコードを借用する事】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠鏡繰・くるる」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イデアール・モラクス
ユーベルコードをコピーするだと…アッハッハ!凄いじゃないか!
なら存分にコピーして見せるがいい!
・行動
「コピーしてイイぞ?
ただし、バカスカ撃ったら艦がどうなるかの保証はせぬがなぁ!」
UC【隕石招来】に『範囲攻撃』で着弾範囲を広げ、『全力魔法』で隕石を更に巨大化させ威力を高め『属性攻撃』で炎を纏わせた上で『高速詠唱』を用いて唱え、敵に打撃を与えつつ艦を破壊。
「ユーベルコードだけが攻撃だと思うなよ?」
そして着弾地点の更地の上に立ち戦闘力を上昇させた上で【広範囲に稲妻を放つ超高威力の攻撃魔法】の術式を『範囲攻撃・全力魔法・属性攻撃・高速詠唱』により構築して放ち、敵を一網打尽にする。
「アッハッハ!」
◎
ゼイル・パックルード
再現体ね、強化されてるったって弱点があるなら本末転倒だろうに。
ま、大事なコンピュータ壊されて、自分等が負けるのを徐々に悟っていきな。
右手に刀を持ち、左手にユーベルコード用のダガー
処理を割くことで隙ができるってんなら高速で【残像】発生させる。
その上でできそうならヒット&アウェイと【2回攻撃】でじわじわ攻撃していくか。
時折攻撃しないなどの【フェイント】も使って回避に専念し、相手の攻撃を【見切り】していく。
それができたらユーベルコードで攻撃する。コピーされたくはないし一気に畳み掛けたいね。
回りのやつらと同時にやれればできなくはないかね。
純粋に戦いたいとも思うが、戦争だからね。
アロンソ・ピノ
……真似しか出来ねえんなら一撃必殺でぶっ潰した方が速いべな。
POWでゴリ押す。他の戦い方を知らんし。
オレの戦い方は刀の特徴―抜刀する度に変形可能な家伝の刀を使った抜刀術(世間的に抜刀術と呼ぶかは知らん)だ。
んで、問題は敵がどこまでオレの戦法を真似するかなんだが…刀そのものが無いからただ変形する武器で切って来る場合はただ正面から鍔迫り合いするだけだな。望み薄だが刀の特徴…抜く度変形するが、鞘に納めないと変形できないからオレが毎度毎度指で刀身折ってるとこまで真似しちまうなら、隙も生まれるんじゃ無いか?
とりあえずは望み薄な希望的観測は考えず、最大火力で殴る。
春夏秋冬流、参る。
ジョン・ブラウン
「コピー……か」
「ウィスパー、最初は様子見を……」
<警告>
「……ウィスパー?」
<個体識別名”アナリシス”に警告します>
<本機のユーベルコードの解析及び使用の中止を推奨します>
<該当ユーベルコードを利用するには個体識別名”アナリシス”はスペック不足です>
<いいえ、足りません>
<必須ドライバである――――”愛と勇気”が欠如しています>
<警告は以上>
<――――アクセス>
「……ヒュウ」
「ああ、そうさそうだった」
「誰かの涙を止めたいってこの思いは」
<ユーベルコード、起動します>
「誰がなんて言ったって、僕の心だ!」
<声なき声に耳を傾けますか?>
「真似できるもんならしてみせろ!」
<――戦果を期待します>
●丸く、四角く、三角
実験戦艦ガルベリオン、その護衛艦隊であるアマルテア情報艦隊、その一隻の内部に、空間の揺らぎが生じ。
その中から四人の猟兵が現れる。
この艦に配備された液体強化オブリビオン、『アナリシス』はユーベルコードを模倣して借用、それで以って攻撃してくるという厄介な性質を持つ。
それ故、必要最低限の人数が絞られ、この艦へと転移されたのだった。
そして、事前に聞いていた艦の弱点にして中枢、コアマシンへと進む猟兵たちの前に、開けた空間が現れ。
そこに足を踏み入れたと同時、天井からぼたり、と銀色の液体が零れ落ちて来る。
それは、徐々に人の形を成していき。
「侵入者、確認。これヨリ防衛行動へと移行シます」
肉声と機械音とが混ざったような声を発したのは、銀の髪、銀の肌を黒衣で包んだ女性。
否、人の形をすれども人に非ず。
それこそが、金属生命体『アナリシス』の基本形態だった。
勿論、このアナリシスはリキッドコンピューターによる再現体。
しかし、元より液体金属で構成されたアナリシスと、リキッドコンピューターによる液体強化の相性は抜群。
対象を解析する事で能力を発揮するアナリシス。
宇宙屈指の情報処理性能を誇るリキッドコンピューター。
この組み合わせは類を見ない程の相性でもあった。
「コピー、か。ウィスパー、最初は様子見を……」
勿論、その事に思い当たらない猟兵たちではない。
迂闊にユーベルコードを使用すれば、それをそのまま返される、または迂闊に接敵すれば解析され、所有するユーベルコードを借用される可能性もある。
故に、必殺の一撃まで様子を見つつ、ユーベルコードを温存しようとしたジョン・ブラウン(ワンダーギーク・f00430)。
しかし。
<警告>
ジョンのヘッドホン型音声サポートデバイス、ウィスパーが周囲に音声を響かせる。
ジョンに対してのものではない。それならば、ここまでの怨霊は必要ないのだから。
<個体識別名”アナリシス”に警告します>
「ウィスパー?」
その対象は、対峙するオブリビオン、アナリシスに対してのもの。
その発言を情報と感知したリキッドコンピューター、アナリシスは動きを止め、ジョンへと注視し。
<本機のユーベルコードの解析及び使用の中止を推奨します>
<該当ユーベルコードを利用するには個体識別名”アナリシス”はスペック不足です>
それは、アナリシス、延いてはリキッドコンピューターに対する、サポートデバイスであるウィスパーからの、通告だった。
「……否定。再現体アナリシスのスペックは最上。再現不可能なユーベルコードの存在ヲ否定シます。
スペックは十全デあるト判断シます」
そして、それを受け入れるリキッドコンピューターではない。
元より、ドクターオロチの製造したアナリシス、そしてリキッドコンピューターはこの宇宙でも最高峰に位置する技術を以って製作されている。
その自分たちが、スペック不足である等と、受け入れられる筈もない。
<いいえ、足りません>
<必須ドライバである――――”愛と勇気”が欠如しています>
それは、機械から発せられるには余りにも有機的な内容。
しかし、そう、しかし。それこそが。
<警告は以上>
<――――アクセス>
「……ああ、そうさそうだった」
ヒュゥ、と軽く吹かれたジョンの口笛に合わせ、猟兵たちは各々構えを取る。
「誰かの涙を止めたいってこの思いは」
<ユーベルコード、起動します>
「誰がなんて言ったって、僕の心だ!」
<声なき声に耳を傾けますか?>
「真似できるもんならしてみせろ!」
<――戦果を期待します>
先陣を切ったのは、勿論ジョン。
ウィスパーが捕捉した、希望を求める人々の集合的無意識をその身に宿し、その声に応えられるだけの力を得て、しかし、その負荷に耐えきれず血を流しながらアナリシスへと駆け出していく。
「対象ユーベルコード解析完了。コード:イリーガル・アクセス起動」
そして、ジョンのユーベルコードが使用された事で、アナリシスの本領が発揮される。
ジョンと同じく、リキッドコンピューターが捕捉した、希望を求める人々の集合的無意識をその身に宿し、その声に応えられるだけの力を得て、しかし血は流さず、希望と相反する絶望をも宿したことでダメージを受けながら、ジョンへと相対する。
交錯したのは拳。
純粋にして単純な力と力の激突は。
「……馬鹿ナ」
弾け飛んだアナリシスの拳が勝敗を物語っていた。
確かにアナリシスはジョンのユーベルコードを解析していた。
その解析にミスはない。完全に、十全に、解析したユーベルコード。
しかし。使用者が異なる。
「はっ、そう言う事かよ」
ジョンの後ろから駆け出していたゼイル・パックルード(火裂・f02162)は、その口角を薄く上げながら、左手に耐炎ダガーを、右手にサムライブレイド、冥夜を構え、高速に移動する事で生み出す残像に紛れてその距離を詰め。
「結局は使い手次第って事だろ。解析されようが、借用されようが。
使うのはお前だ。俺らじゃない」
そう。アナリシスが解析し、借用するのはユーベルコード。技能ではない。
ゼイルの振るったダガーの鋭い一撃を、アナリシスは同じくダガーへと変化させた手刀の一撃で迎え撃ち。
「……ッ!」
続けざまに繰り出された二撃目を受けきれずに、その手刀が弾かれる。
鋭い一撃を放つユーベルコードを借用しても、それを二連撃とする技能が無い。
「成程な、じゃあ、こういうのもいけるって事だ……春夏秋冬流、参る」
追いついた後続、アロンソ・ピノ(一花咲かせに・f07826)が鞘から抜き放ったサムライブレイド、瞬化襲刀がアナリシスに振るわれる。
先端を超巨大な鉄球へと変えた瞬化襲刀の一撃、春夏秋冬流・夏の型 壱の太刀 夏月。
「……! 対象解析、コード:春夏秋冬流・冬の型 壱の太刀 冬花」
それを、アロンソ自身を解析するビームを放つ事で、読み取ったユーベルコードを借用し受けるアナリシス。
後の先を取る受け太刀によって、春夏秋冬流・夏の型 壱の太刀 夏月を相殺しようとするアナリシスだったが。
「それ、初見の技受けれるもんじゃねぇぜ?」
そう。相殺する事が出来るユーベルコードではある。だが、事前に見ていない攻撃をタイミングよく防げるユーベルコードではない。
使い慣れた使用者でもなければ、そんな事は出来ない。
受けたはずのアナリシスの腕が、瞬化襲刀の鉄球に叩き潰され、液体となって飛散する。
両腕を失った形となったアナリシスだったが、元より液体金属生命体。
体を構成する液体金属を腕に回し、補おうとする。
「器用だな。私のユーベルコードもコピーしてイイぞ?」
両腕の構築を終え、顔を上げたアナリシスに、そんな声が届く。
それは、足元に巨大な魔法陣を展開したイデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)の声。
魔法陣が展開されているのはイデアールの足元だけではない。
天井付近に展開された魔法陣、その中心から現れたのは、広間を埋めんばかりの超巨大隕石。
炎熱を纏ったその隕石がもし着弾すれば、避けたとしても船体に無視しきれないダメージが発生する。
そうなればリキッドコンピューターにも影響が出ると判断したアナリシスは、隕石を破壊せんと、イデアールと似た姿へと変身する。
銀の姿で作られたイデアールの鏡像、その背後には無数の魔方陣が浮かび。
「対象解析、コード:鏖殺魔剣陣。発動シます」
それは、視線を向けた対象へ魔法陣から魔力の剣を射出するユーベルコード。
他ならぬイデアールのユーベルコードで以って、飛来する隕石を打ち砕かんとするアナリシス。
「アッハッハ! 涙ぐましい努力だなぁ! 無駄無駄ぁ!」
哄笑するイデアールの台詞の通り。幾本も隕石へと突き立つ魔力剣だったが、全力で発動された隕石の質量を砕くことは叶わず。
「………………解析……不能……不足要素………………不明」
隕石に押しつぶされる瞬間。アナリシス、リキッドコンピューターは自身の敗因を検索する。しかし、その理由は不明のまま。
ユーベルコードを解析する事に特化したアナリシスへ最適化されたこの艦のリキッドコンピューターには、永遠に理解出来なかっただろう。
そして、その機会も最早与えられる事はない。
イデアールの隕石は、広間のみならずその床を砕き、艦そのもののフレームをも砕き。
軋む船体はコアマシンルームにも影響を及ぼした。
そのエネルギーを伝達するパイプの断裂は、コアマシンルームへ膨大な熱量を呼び込み。
緊急転移によって猟兵たちが脱出した後、宇宙に一輪の花が咲く。
真空に音は響かない。ただ広がる破片と塵の花弁が、暫く宇宙空間に漂い、いずれ散っていった。
その花の名は、アマルテア情報艦隊、その一隻。
大成功
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