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殲神封神大戦⑰〜■■様式 鴻鈞道人

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑰ #渾沌氏『鴻鈞道人』

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#渾沌氏『鴻鈞道人』


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●予知:絡繰侍女、再孵化。
 仙界の最深部、いまだ形定まらぬ『渾沌の地』。
 そこに降り立ったメイド―――グリモア猟兵バルタン・ノーヴェは、今まさに『渾沌』によって汚染されていた。

(この娘は……素晴らしい。まさに、私の依代となるために誂えたかのようだ)

 そして、どことも知れぬ声が響き渡る。
 思念による言葉が、その場にいる猟兵たちの頭に直接響いて届く。
 その声の主こそ、渾沌氏『鴻鈞道人』。
 オブリビオン・フォーミュラ、『張角』に封神台を破壊させ、此度の殲神封神大戦の元凶となった、【骸の海】を名乗る存在。
 鴻鈞道人はバルタンの体内に潜り込み、融合を果たしていた。

(実にいい。よく馴染む。グリモアのついでと思ったが、思わぬ拾い物となった。
 猟兵たち。この者をここまで連れて来たこと、誉めてやろう。
 褒美にいと速やかに、土くれの元へ還ることを許そう」

 いつしか、バルタンの口を使い発声するようになった鴻鈞道人。
 バルタンと共にこの地に駆け付けた猟兵たちは、すでに予知の事情を聞いている。
 覚悟の上で、戦う意思を示している。

「そうか。それもまたよし。
 相争い、私の左目に炎の破滅を、カタストロフを見せてもらおう。
 ……そのための戦力は、ここにある」

 バルタン、否。鴻鈞道人が彼女の持つ剣を抜き、メイド服の上から軍装を纏う。
 そして、右手を振りかざし、その力を振るう。

「骸式兵装展開。再孵化せよ、この娘が集めしオブリビオンの影共よ」

 現れる、五つの人影。それはいずれも、バルタンである。
 本体のバルタンと異なるのは、全員が異なる装束に身を包み……オブリビオンのユーベルコードを再現して身に着けているという点であった。

「七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍。コンキスタドールの猟書家『メリー・バーミリオン』」
 ピサロ将軍とメリー・バーミリオンを模した姿のバルタンが、虚無の表情のままそれぞれ剣を抜く。

「オウガ・フォーミュラ『大天使ブラキエル』」
 岩の鎧を身に纏い、一対の岩翼と二対の岩腕で武装したバルタンが拳を握り、翼を広げる。

「フィールド・オブ・ナイン。第1席『プレジデント』第2席『マザー・コンピュータ』」
 不敵に微笑むスーツ姿のバルタンと、コンプライアンス上ボディスーツを着ているバルタンが、それぞれの権能を展開する。

「さあ。【骸の海】(私)の力を振るうこの娘の手で、死に果てるがいい」
 六人のバルタンが、猟兵たちへと襲い掛かる。

●招集:バルタン・ノーヴェを撃破せよ!
「……。ハイ、という訳であります」

 上記の予知映像をプロジェクターで投影したバルタン・ノーヴェを、猟兵たちが物申したいという目つきで見つめている。
 言いたいことはわかりマスと、バルタンがステイクールを呼び掛ける。

「ソーリー、ソーリー、恐縮であります。
 しかし、もう中断できないといいマスカ……この予知を見たあたりで、何かこう、融合カウントダウンみたいなのが始まってるので、現地に向かわないとデンジャラス、ヘイ、ステイ、プリーズ! 落ち着いてくだサーイ!」

 バルタンの処遇はさておき。
 どのみち放っておいていい事態ではない。
 打開するためには、バルタンの望み通りに転移先で向かうのが最善手なのだろう。

「ということで!
 今回の目標は『鴻鈞道人』が入り込んだワタシ、バルタン・ノーヴェの撃破となりマース!
 あの状態のワタシは意識皆無なので、全力で攻撃してきマース!
 というか鴻鈞道人の洗脳が強すぎて、絆の力とか友情パワーで撥ね退けられない状態。
 物理的にワタシを叩き潰してもらうしかないのであります!」

「そして、例によって先制攻撃ユーベルコードも使用してきマスガ、これは先ほど上映した五体の《骸式兵装》が該当しマース!
 流石に本体以外は自我のない人形のようなものなので、普段よりは弱体化しているデショー!」

 先制攻撃ユーベルコードへの対処法を猟兵たちへ説明するために、バルタンはスライドを回していく。

「①バルタン・フランシスカ! 羅針盤戦争で活躍した七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍のユーベルコード、八艘飛びを模倣した高速機動の飛翔能力と白兵戦闘能力を発揮しマース!
 デスガ、機能制限により遠距離攻撃手段は持ち合わせていマセーン! 遠くからの攻撃には防戦一方となると予想できマース!」

「②バルタン・バーミリオン! 羅針盤戦争の後、グリードオーシャンの猟書家に転職したメリー・バーミリオンのユーベルコード、元の木阿弥大津波を模倣した津波による範囲攻撃を行いマース!
 オリジナルにちょっと手を加えており、この津波では肉体的ダメージは負いマセンガ、接触するとやる気や戦闘意欲といった積極性が損なわれるので注意してくだサーイ!」

「③バルタン・ブラキエル! アックス&ウィザーズで猛威を振るった猟書家のオウガ・フォーミュラ、大天使ブラキエルのユーベルコード、岩腕を模倣した堅固な防御力による物理戦闘を繰り出しマース!
 とはいえ、絶対物質ブラキオンほどの防御性能は再現できなかったため、突破することは不可能ではないデショー!」

「④バルタン・プレジデント! アポカリプス・ランページのフィールド・オブ・ナインの一角、プレジデントの演説や説得を用いたソーシャル・ネットワークを模倣しておりマース!
 それにより他のバルタンたちとリアルタイムでの連携を中継して、死角を失くす面倒なポジションであります!
 ただ、個体としての戦闘能力は皆無なので攻撃が届けば倒せマース!」

「⑤バルタン・マザー・コンピュータ! アポカリプス・ランページのフィールド・オブ・ナインの一角、マザー・コンピュータのユーベルコード、戦闘機械都市を模倣しており、ワタシの所有するロボットマシーンたちと合体して……およそ25mに巨大化しマース! 後方からの射撃、爆撃、砲撃をぶっ放してくるデショー!」

 順番に簡素な説明を済ませ、バルタンは改めてプロジェクターのスライドを予知の場面へと戻す。
 前衛に三体、後衛に二体。そして鴻鈞道人が後衛と共に控えつつ、《渾沌の諸相》と称される謎のユーベルコードを行使してバルタンたちに対処している猟兵たちを攻撃してくるだろう。
 非常に苛烈な戦いとなることだろう。

「ワタシの猟兵活動至上、最大の危機でありますが、ワタシのことはお気になさらず!
 記憶領域はバックアップデータ保存してマスシ、報告書も『自動化』の記憶メモリを動かしておくのでちゃんと提出できる、はずデース!
 まー、残骸が残ってたら後で修理してもらえればセーフであります!
 サイボーグでありますゆえ! 首が飛ぶくらいなら大丈夫デース! ―――たぶん」

 快活に笑い親指を立てるバルタン。
 いくら大部分が機械の身体とは言え、流石に脳みそを損なっては死は間逃れまい。
 それでも、手加減するにはあまりにも危険すぎる。
 戦闘の余波で、生き残ることを運に頼るしかないだろう。

「それでは準備が整いマシタラ、転移を行いマース!
 ……OK? それでは行きマース!
 よろしくお願いしマース、エブリワン! ―――良いバトルを!」

 最後まで笑い続けたバルタンがグリモアを起動して、猟兵たちと共にテレポートしていく。
 その行き先は仙界の最深部。いまだ形定まらぬ『渾沌の地』。
 事前に予知で見せられていた通りの光景が、待ち受けることであろう。


リバーソン
 こんにちは。リバーソンです。
 マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。

 今回のシナリオは一章構成です。封神武侠界の戦争シナリオとなります。
 バルタン・ノーヴェごと『鴻鈞道人』を撃破にすることが目的です。
 バルタンの生死は不確定ですが、手加減は無用です。
 むしろ、全力で攻撃することが推奨されております。
 参加される猟兵は皆、シナリオ開始時点で既に転移されていたものとして扱います。
 都合上、参加者合同のリプレイとなることが予測されます。

 プレイングボーナスは、『グリモア猟兵と融合した鴻鈞道人の先制攻撃ユーベルコードに対処する』です。
  内容としては、下記ユーベルコードのうちいずれかに一つに対処してください。
  すべてを網羅する必要はありません。

 難易度の高い戦いとなります。十分に気を付けてください。
 オープニング公開後、断章を公開します。
 プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
 皆様、よろしくお願いいたします。

●以下、先制攻撃ユーベルコードの説明です。プレイングの参考にご活用ください。
 ①バルタン・フランシスカ。略号、「バルF」。【七大海嘯『邪剣』ピサロ将軍を模した姿】に変形し、自身の【投擲を含めたすべての射撃攻撃の使用不可】を代償に、自身の【白兵戦闘能力】と、飛翔能力を伴う【機動力】を強化する。

 ②バルタン・バーミリオン。略号、「バルV」。【メリー・バーミリオンを模した姿】で【気合】を籠めた【ファルシオン】から放つ【大津波】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【やる気】や【欲望】といった【積極性】のみを攻撃する。

 ③バルタン・ブラキエル。略号、「バルB」。【大天使ブラキエルを模した姿に変形する機能】を使用する事で、【頑強だが飛翔能力はない岩翼と二対の岩腕】を生やした、自身の身長の3倍の【ブラキオンの鎧に似た岩鎧を装備した姿】に変身する。

 ④バルタン・プレジデント。略号、「バルP」。演説や説得を行い、同意した全ての対象(非戦闘員も含む)に、対象の戦闘力を増加する【『プレジデント』】の拳と【大統領魂】を与える。

 ⑤バルタン・マザー・コンピュータ。略号、「バルM」。自身と仲間達の【キャバリアや乗り物などの戦闘機械】が合体する。[キャバリアや乗り物などの戦闘機械]の大きさは合体数×1倍となり、全員の合計レベルに応じた強化を得る。
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第1章 ボス戦 『渾沌氏『鴻鈞道人』inグリモア猟兵』

POW   :    肉を喰らい貫く渾沌の諸相
自身の【融合したグリモア猟兵の部位】を代償に、【代償とした部位が異形化する『渾沌の諸相』】を籠めた一撃を放つ。自分にとって融合したグリモア猟兵の部位を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    肉を破り現れる渾沌の諸相
【白き天使の翼】【白きおぞましき触手】【白き殺戮する刃】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    流れる血に嗤う渾沌の諸相
敵より【多く血を流している】場合、敵に対する命中率・回避率・ダメージが3倍になる。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章:それはまるでパーティのように。

 バルタン・フランシスカが攻撃手として、高速機動で切りかかる。
 バルタン・バーミリオンが遊撃手として、津波を起こして攪乱する。
 バルタン・ブラキエルが守備役として、岩腕岩翼を伸ばして他のバルタンを庇う。
 バルタン・プレジデントが司令塔として、全体の統率を行う。
 バルタン・マザー・コンピュータが砲撃手として、戦場に射撃攻撃を降り注がせる。
 役割を全うする自我なきバルタンたちが、一つの生き物のように連携して動く。

 そうして、生み出したバルタンたちを駒として扱う『鴻鈞道人』が、バルタン・ノーヴェの身体を繰って、ファルシオンを振るう。
 チェーンソードを振るう。チェインハンマーを振るう。パイルバンカーを打つ。
 グレネードランチャーを、ガトリングガンを、火炎放射器を撃ってくる。
 肉を千切り、腹を食い破り、血を溢れさせて、《渾沌の諸相》を行使する。

 バルタン・ノーヴェの顔をした『鴻鈞道人』が嗤う。

「罪深き刃(ユーベルコード)を刻まれし者達よ。炎の破滅(カタストロフ)見せてくれ」

 猟兵たちを見て、嗤っている。
アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

リミッター解除、限界突破、オーバーロード!真の姿解放(封印を解く)。
先制対策のためにUCと見分けがつかないほどに鍛え上げた多重詠唱結界術よ、存分に味わって?バルタンズ(F、V、B、P、M)はまとめて時間質量の檻(結界術)に閉じ込め時間停止(マヒ攻撃、気絶攻撃)して動きを阻害しましょ。
更にトラップ魔術(罠使い、結界術)で渾沌氏が流血する度に傷口を焼き止血(医術、暗殺)するトラップも仕掛けましょ。血なんて流させないわよ?
先制攻撃を凌げたら死がふたりを分かつまでノーヴェと繋がるわ。そして、化術肉体改造で融合よ。結界術でノーヴェと渾沌氏の境界を分け融合を絶ちながら、ノーヴェの肉体から渾沌氏を締め出しましょ。私と赤い糸で繋がったノーヴェは継戦能力も生存能力(サバイバル)も共有されてるから、融合を無理矢理引き剥がすダメージにきっと耐えられるはず。
締め出した渾沌氏は結界術で生と死の境界を分かち、骸の海まで道案内して差し上げ巣というか本体にお帰り願うわね。


バロ・ヴァッハ
●WIZ
●アドリブ・連携〇

バルタンがー!
おのれ〜…やい!なんとか道人!バルタンを返せー!

バルタンの先制攻撃は「第六感」「空中機動」で「受け流し」で対処するよ!

そして僕のUCでバルタンの行動を制限しながら僕と前に一緒に見た星空を見て「慰め」で心を取り戻してやる!

出てきたなんちゃら道人はアイテム「トゥインクルロッド」で「魔力溜め」をして怒りの「属性攻撃」の「弾幕」だー!

バルタンは僕の友達!なんちゃら道人みたいなやつに好きにさせないぞ!


シャイニー・デュール
アドリブ、連携歓迎
POW
バルV

直にお話したことはござらぬが機人の誼、五行島でのご恩返しをここに!

キャバリア『ブロッケン』に搭乗し開戦
敵の大津波は機体を操縦し空中機動にて飛んで交わし、避けきれぬ分は機体そのものでの武器受けに

その間内部の拙者は自身にエネルギー充填しておき申す

鴻鈞道人のUCによる強化もあります故第一波で恐らく機体はやる気消失…機能停止しましょう
最後に脱出口を自ら切り裂き開け、飛び出しながら【指定UC】を使用
こちらも理性はなくなりますが、代わりにやる気消失とも無縁、自動操作モードでござる!

全ての搭載兵器を限界突破させ、一斉発射の乱れ撃ちにします!

鴻鈞道人、お命頂戴仕る!


空桐・清導
POWで挑む

「この状況は、流石に冗談だろうがよぉ!」
思わず叫び、バルBの拳に拳を叩き付けて迎撃
こんなことをしながらも静かに動きを観察
(ある程度の規則はある。次で決める!
罠かもしれないけど、そこは[気合い]で押し通す!)
迫る岩拳に転送したディゾンネイターを叩き付けて[衝撃波]で弾く
振るった勢いのままボルケーノ・クラッシャーを転送
「ぶち抜けええ!」
岩鎧に[貫通攻撃]を打ち込み、バルBを撃波

そのまま本体に接近
渾沌の諸相を[オーラ防御]で防ぎながら
鴻鈞道人を[怪力]で掴む
そのまま[力を溜める]
「オレはオレのやり方でテメエを倒す!」
UC発動
鴻鈞道人本体の姿を捉え、
ラッシュと共に光焔を叩き込んで引き剥がす


朱鷺透・小枝子
バルタン殿…行きます!

外殻ユニット装着ディスポーザブル03【操縦】⑤バルMに対抗。
バリアと超能力シールドの【ニ重オーラ防御】で射撃攻撃を防ぎ、
負けじと内蔵ビーム砲台を、ミサイルをありったけ【一斉発射】
【瞬間思考力】味方を巻き込まないように、他のバルタンを巻き込むように【範囲攻撃】

自分は殺す為じゃない!壊す為だ!オブリビオンを!!お前をだッッ!!!

【念動力】でサーベルユニット4基を上空から【重量攻撃】
【追撃】外殻ユニットの10指のハイペリオンランチャー【収束砲撃】

断じてバルタン殿を、殺す事など容認できるものかぁあああああ!!!!!

何としてでも鴻鈞道人を壊しバルタン殿を殺さない!
【敵壊装】2機目の外殻ユニット装着ディスポーザブル03を生成
『鴻鈞道人』バルタン殿を呑み込む、2射目の10指ハイペリオンランチャー収束砲撃の一撃を放つ!

敵を壊せ!鴻鈞道人を壊せ!!壊せぇええええぇええぇえぇええ!!!!!

【呪詛】超巨大荷電粒子ビームでバルタン殿と融合している敵・鴻鈞道人の存在のみ崩壊させ【焼却】する。


地籠・凌牙
【アドリブ連携歓迎】
バルタンの骸式兵装……味方にすると頼もしいが敵に回るとコレほど厄介なモンはねえな……だがそんなもん覚悟の上だ!
仲間を取り戻す為にそんなことで四の五の言ってられっかよ!!

『穢れを喰らう黒き竜性』を使う1
"バルタンが乗っ取られ続ける不運"と"バルタンが仲間を傷つける不運"を喰らうぜ!
そうして不運を集めた状態で【おびき寄せ】、【第六感】【見切り】で死にもの狂いで回避しながら【ダッシュ】でも何でも使って移動してバルPめがけて突貫!
穢れを喰らいすぎた状態だと他人も巻き込むからな、それを利用してバルPを俺ごとフレンドリーファイアでぶっ叩いてUC阻害を試みるぜ!
【激痛耐性】【継戦能力】【気合】で意地でも立っててやるさ!

バルPの効果が切れ敵の先制攻撃が終わったら即座に【カウンター】で【指定UC】の【範囲攻撃】!
さっきまでたくさん食った穢れをお見舞いだ!
いくら骸の海が乗り移ってるとはいえ、こんだけの穢れの蓄積にはそう簡単には耐えられねえだろ!
【怪力】全開で【重量攻撃】【貫通攻撃】だ!!


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※アドリブ・装備活用歓迎
※軽薄だが無慈悲
※愛機搭乗

アタシ以上の有力な『継承者』だし馴染む筈さ
でも当然渡さないよ
バルたん、後で直したげる♡

◆先制:バルMたん
【瞬間思考力】で弾道を読み【クリュザンテーメ】の飛翔で回避
【セレス】の転移や【スケイプ・セル】の防御も駆使

◆攻撃
アンタは猟兵をナメ過ぎたのさ
【コデアンフィニ・アヴニール】編纂

記憶媒体に変じた【8】をコンパネへ挿入
融合した愛機の性能が『円環』の様に反復強化

更に『根源』の光は過去に抗う力を齎す
平時の120倍位かな?

後は環状ビット6基で錐の様に収束・増幅した
『終極』の閃光…EN徹甲弾が渾沌氏を貫く
連携や【瞬間思考力】も駆使して確実に狙うよ


兎乃・零時
アドリブ絡み歓迎!

バルタンお前、骸式めっちゃ利用されてんな!?
ったく、鴻鈞道人もふざけた真似をするもんだ

勿論、手加減はしない
…だが、倒す敵は俺様が決める!
俺さまが目指しているのは、全世界最強最高の魔術師だからな!

来いよ、鴻鈞道人
バルタンは助けるし、お前は倒すぜ!

何時もの魔術と更に追加で使うは桜魔呪術式が二つ
参途《禍津神楽・櫻繚乱舞》
一つずつ、順に舞い神の加護を降ろしていく事で力の段階を上げる
魔術による付与でも強化しつつ
舞の動きで近場の敵の攻撃に対応
体内に持ちうる魔力含めた全部の力を限界まで高める!
陸路《邪伐神櫻・万物斬華》で広範囲に広がる神櫻の花弁を放って敵に対応!
超克の力と神威の加護も乗った今の俺様は誰にも止められねぇ!

溜めた力で藍玉の杖を媒体に花弁を纏め櫻刀錬成

バルタンがくれた媒体に関する魔導書には、媒体の覚醒の術式もあった

創る櫻刀を覚醒し
一刀に全部込めて斬る!
狙うはバルタンの中の鴻鈞道人!
これは、斬りたいものしか斬らない力
斬るのはそう、骸の海、テメェだけだ!

極器覚醒・櫻刀、一閃ッ!


リーヴァルディ・カーライル
…まったく。よく分からない物をやたらめったら取り込むからこうなる

…どれから相手をすべきか悩むけど、一先ずは頭を先に潰しておきましょうか

聖痕を宿す左眼に肉体改造を施し顕現した「時間王の瞳」でバルPを暗視し、
過去の存在を支配する呪詛の視線で敵を捕縛し集団戦術を乱して体勢を崩し、
強化された動体視力で敵UCの軌道を見切り攻撃を回避し、
直撃弾は「怪力の呪詛」のオーラで防御して受け流しUCを発動

…今度は此方の番よ。望み通り全力で撃ち込むから、怨まないで成仏しなさい

原子の繋がりを切断して物質を塵にする魔力を溜めた大鎌の刃から、
限界突破した巨大な黄昏属性攻撃の斬撃波を乱れ撃ち敵陣をなぎ払う


シャルロット・ゴッドハンド

『わーい♪たのしそー!しゃぅと、たくさんあそぼー!』

UC対策【怪力と防御力に任せ、とにかく片っ端から破壊しまくる】
パワーフードを食べて技能:怪力を増強し、超怪力を発揮
極めて強靭な妖精の体の防御力と超頑強な体のハイパーアーマーで前衛からの妨害等を無視し、幼精翔翅の暴風で吹き飛ばしながら瞬速で一番の大物に突撃直行

ついでにバルVの大津波に巻き込まれても超健康な体の精神攻撃耐性で平気

超破壊の体の大地と大山を砕き崩す拳・大海と天雲を割り断つ蹴りで範囲攻撃
相手の防御は、万物を穿ち貫き斬り裂く指による攻撃で突破

本体には手加減なしのUCを
さらに怪力を増強して放つ
食事しているので威力アップ



●チームプレイ。

 バルタンたちに立ち向かう猟兵たちの士気は十全であった。

「あらあら? 随分と面白いことになってるわね」
「わーい♪ たのしそー! しゃぅと、たくさんあそぼー!」

 アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)が居並ぶバルタンたちを見やって、妖艶に微笑み、
 シャルロット・ゴッドハンド(全裸幼精の力持ち×力任せによるただの拳伝承者・f32042)は無邪気に笑っている。

「バルタンがー! おのれ~……やい! なんとか道人! バルタンを返せー!」
「この状況は、流石に冗談だろうがよぉ!」

 バロ・ヴァッハ(「星」を司る小さな聖神・f34828)は怒り心頭に声を張り上げ、
 空桐・清導(ブレイザイン・f28542)は思わず叫び拳を手のひらに打ち付ける。

「直にお話したことはござらぬが……機人の誼、五行島でのご恩返しをここに!」
「バルタン殿……行きます!」

 シャイニー・デュール(シャイニングサムライ・f00386)はかつてグリードオーシャンでの依頼でバルタンと紡いだ縁を元に馳せ参じ、
 朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は羅針盤戦争以来幾度も戦場を駆けた戦友の元へ駆け付けた。

「バルタンの骸式兵装……! 味方にすると頼もしいが、敵に回るとコレほど厄介なモンはねえな。
 ……だがそんなもん覚悟の上だ!」
「アタシ以上の有力な『継承者』だし馴染む筈さ。―――でも当然、渡さないよ」

 地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)とリーゼロッテ・ローデンヴァルト(マッド&セクシーなリリー先生・f30386)は、日頃から交流のある仲間のために万全の備えをして来ていた。

「バルタンお前、骸式めっちゃ利用されてんな!?
 ったく、鴻鈞道人もふざけた真似をするもんだ」
「……まったく。よく分からない物をやたらめったら取り込むからこうなる」

 兎乃・零時(其は断崖を駆けあがるもの・f00283)は驚きつつも、鴻鈞道人への憤懣を露わに気合を見せ、
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は大鎌を構えてあきれたように呟いた。ごもっともであります、ぐうの音も出ません。

 連携して迫り来る五体のバルタンに対して、猟兵たちは各々の持てる能力を発揮して応戦を開始する。


●初手アリスの先制。

「さて、まずは先制対策よ」

 リミッター解除。限界突破。真の姿を解放する、オーバーロード。
 混沌魔術の実践者が、バルタンたちに向けて多重詠唱による結界の展開を行う。
 その展開速度は、先制攻撃ユーベルコードよりもさらに早く―――。

「っ!」「!?」「……!」「ほう?」「……ッ」

 張り巡らされた時間質量の檻がバルタンたちを拘束し、動きを阻害する。
 一気呵成に攻勢に打って出ようとするバルタンたちを、アリスは一瞬で足止めする。

「存分に味わって? バルタンズ」

 アリスの、ユーベルコードに引けを取らない技量による術により、それぞれ超一級のオブリビオンを模倣したバルタンたちがバッドステータスにより、弱体化する。

「バックアップは任せてちょうだい。みんな、為したいように為すがよい」

 小悪魔のような笑顔で、アリスが猟兵たちに発破をかけた。
 ―――そして、五か所で同時に戦いが展開される。


●対バルタン・フランシスカ。

「空中戦なら僕の得意分野だ! 行くぞ~!」
「俺さまも行くぜ!」

 バロと零時が、空へと飛び立つ。
 制空権を抑えられる訳にはいかないと、プレジデントの指示の下フランシスカが二人を追った。
 三人のドッグファイトが幕を開ける。

 ブルーアルカディアの夜空を司る星神であるバロは、子どものような振舞いからは想像できない機動力でフランシスカを翻弄する。
 アクアマリンのクリスタリアンである魔術師・零時も、ターボジェットエンジンが搭載された魔導機械箒『クリスタル』に載って空を疾駆する。

 投擲を含めたすべての射撃攻撃の使用不可を代償に、自身の白兵戦闘能力と飛翔能力を伴う機動力を強化するユーベルコード、《模倣様式・八艘飛び》。
 常ならば圧倒的な機動力で敵を切り裂いていくフランシスカであるが、アリスの結界により動きが鈍っていることを差し引いても、一騎で宙を舞う二人を狙うのは難しい様子であった。
 だからといって片方を狙えば、もう片方が攻撃を放つ。

「どこを見てるの~? 僕はこっちだよ!」

 バロの持つ星の輝きを宿した杖『トゥインクルロッド』から放たれる聖星術の弾幕がフランシスカの身体を撃ち叩く。

「俺様から目を逸らしていいのか! 隙だらけだぜ!」

 零時の自然と故郷の技巧が混在した杖『藍玉の杖』から放たれる光属性の光線魔術がフランシスカの身体を撃ち貫く。

 二兎を追う略奪者は、その手に握るファルシオンを投げることすら許されない。
 空中を、上へ下へ、右へ左へと翻弄する二人の連携を前に、フランシスカは四方八方から魔術の十字砲火を浴びる。
 そして戦場の流れ弾を背中に受けてフランシスカの態勢が崩れた好機を見逃さず、二人は魔力をチャージする。
 溜め込まれた魔力による二人の全力の魔法が、勢いよく振るわれる。

「僕を怒らせると怖いんだぞ~! え~い!」
「勿論、手加減はしない。……だが、倒す敵は俺様が決める!
 俺様が目指しているのは、全世界最強最高の魔術師だからな!」

 バロと零時のクロスファイアにより、バルタン・フランシスカが撃破される。


●対バルタン・バーミリオン。

「お相手仕る、バルタン殿!」

 シャイニーは愛機『ブロッケン』に搭乗し、バーミリオンと戦闘を開始する。
 シャイニー自身をそのまま巨大化させたようなキャバリア『ブロッケン』は、バーミリオンを正面叩き潰すべく突進していく。
 迫るシャイニーを見上げ、バーミリオンは受けて立つようにファルシオンを構える。

「……!」
「む!」

 バーミリオンが気合を籠めて、その手にしたファルシオンから朱い津波を打ち放つ。
 《模倣様式・木阿弥大津波》。
 そのユーベルコードは、気合を籠めたファルシオンから放つ大津波による一撃で、肉体を傷つけずに対象のやる気や欲望といった積極性のみを攻撃する。
 その狙いはシャイニーのみならず、地上を走る他の猟兵たちをも巻き込もうとする範囲攻撃であった。
 当たれば戦意喪失とはいかずとも、幾らか不調に陥ることは避けられない。

「なんのっ! くぅ……!」

 その津波を、シャイニーは『ブロッケン』の腕を広げて受け止める。
 瞬く間に『ブロッケン』の積極性、すなわち機能出力が低下していく。
 しかし、シャイニーが押し留めた猶予をアリスが有効に活用する。

「アリス殿! 頼みます!」
「ええ。バックアップは任せてと言ったものね」

 アリスが詠唱を重ね、結界術を張り巡らせる。
 生み出すのは大津波を防ぐ壁ではなく、地面への空間を広げて水を流し込む落とし穴。
 トラップ魔術により、朱い津波が戦場に広がることを防いだ。
 いくらか残された飛沫は、猟兵たちの動きを阻害するほどの量ではない。

「さ。まだ戦えるでしょう。力を貸してあげるから頑張ってちょうだい」

 アリスが『ブロッケン』の肩に近づき、手を触れる。
 アリスの青春エネルギーを、魔王としてのエネルギーを充填させ、再び『ブロッケン』の機能を回復させる。

「かたじけない! 参ります、第二波は撃たせません!」

 『ブロッケン』を操縦し、大地を踏み蹴って跳び上がり、空中機動でバーミリオンに向かうシャイニー。
 技後硬直とでもいうのか。
 足取り覚束なく動きが鈍っていたバーミリオンは再びファルシオンを振り上げていたが、シャイニーの接近を見て慌てて回避行動を試みる。
 だが、間に合わない。
 振り上げた『無銘斬艦刀』による、幹竹割。

「!?」
「ちぇすとー!」

 シャイニーの大地をも割る一撃により、バルタン・バーミリオンが撃破される。


●対バルタン・ブラキエル。

「よそ見はさせねぇ! 速攻で叩く!」
「はーい♪ あむあむっ♪」

 清導が走る。機械鎧『"超鋼真紅" ブレイザイン』を身に纏い、まっすぐに駆ける。
 シャルロットが飛ぶ。小さな翅を動かして、『パワーフード』を食べながら清導に追従していく。
 その狙いは、およそ5mの巨大な岩鎧を着込んだバルタン、ブラキエルである。

 《模倣様式・絶対岩腕》。
 絶大な防御能力を有するユーベルコードであるこのバルタンを野放しにすれば、非常に厄介な連携を取られることになる。
 フランシスカやバーミリオンとの攻防一体、プレジデントやマザーへの専属警護。
 どちらをとっても、猟兵にとって好ましくない事態となるだろう。

 アリスの結界で足を止めたブラキエルが、プレジデントの指示を受けて仲間と合流しようと首を巡らせる。
 そうはさせじと、清導がブラキエルに向かって拳を振り上げて殴り掛かる。

「うおおお!」
「……」

 頑強だが飛翔能力はない岩翼と、二対の岩腕が振り回される。
 計六本の岩の塊が、清導を叩き潰そうを暴威を振るう。

 清導の拳がブラキエルの拳をぶつかる。
 次々と繰り出される巨大なラッシュを、勇気を振るわせて迎撃していく。
 そして、清導は闇雲に殴り合っている訳ではない。

「やっぱりな……自我がない以上、ある程度の規則はある!」
「……」

 ブラキエルの動きを観察した清導は、気合を入れて、覚悟を決める。
 罠だったなら、フェイントだったなら……そうした弱気の考えを振り捨てて。

「次で決める!」

 迫る岩腕の拳を、転送し装備した巨大なハンマ『ディゾンネイタ―』で叩き弾く。
 振るった勢いのまま、超高熱の杭を超高速で放つ超兵器『ボルケーノ・クラッシャー』を転送して装備する。
 狙いは、空いた胴体への攻撃だ。

 そうはさせじと、ブラキエルが岩翼を動かす。
 『ディゾンネイタ―』を振り抜いた清導の頭を叩き割ろうと、振り下ろそうとする。
 だが、岩翼はピクリとも動くことはなかった。
 岩翼だけでなく……ブラキエル自身が、空に抑え込まれていた。

「おなかいっぱいでげんきいっぱい♪ それじゃあ、しゃぅと、しょーぶだよ♪」

 岩の双翼を掴んでいるのは、シャルロットであった。
 右手と左手で、片手で岩翼を細指で摘むように、ひびが入るほど強く握っていた。

 それもそのはず。シャルロットはパワーフードを食べるほど怪力を増強させる、力持ちである。
 超怪力を発揮するシャルロットは、小さな姿から想像できない埒外の怪力の持ち主であった。
 一糸纏わず素手で巨大な化物を薙ぎ倒し、彼方まで吹っ飛ばす極小幼女。
 その看板に偽りないとばかりに、ブラキエルの岩翼をフワフワと浮いたまま、一寸の余地も許さず拘束していた。

 なお、それまでに岩翼に殴られているのだが、シャルロットは無傷である。
 『極めて強靭な妖精の体』は、『超頑強な体』は、多少のダメージをものともしないのだ。やべぇ。

「せいどうちゃん、しょーぶ、しょーぶ! どっちがさきにこわせるかなー?」
「ハッ! いいぜ、やってやる! ぶち抜けええ! ボルケーノ・クラッシャー!!!」

 鋼真紅ブレイザインが岩の鎧を貫通させる杭を叩き込む。
 シャルロットが岩翼を引き千切り、岩の鎧を蹴り砕く。

 清導とシャルロットの前後攻撃に挟まれて、バルタン・ブラキエルが撃破される。


●対バルタン・プレジデント。

 他のバルタンたちの戦闘力を増加させているプレジデントは、堂々とした仁王立ちで近づいて来る猟兵たちを見つめていた。
 司令塔であるプレジデントを討つ為に向かったのは、凌牙とリーヴァルディである。
 拳と大鎌を構えて駆け寄って来る二人に、プレジデントが笑いかける。

「はっはっはっ。相変わらず見事なチームワークだ、猟兵諸君」
「……!? お前、喋ンの!? 自我がないんじゃなかったっけ!?
 っていうか、その口調、バルタンでも鴻鈞道人でもねぇよな……!?」

 凌牙のツッコミにプレジデントが爽やかに応える。

「さて、どうだろうね? 再孵化した『プレジデント』なのかもしれない。
 ミス・バルタンの人格が洗脳されているのかもね?
 いや、鴻鈞道人のロールプレイという可能性もあるだろう」
「あー? ……そうか。テメェ、時間を稼ぐために喋ってんだな?」

 プレジデントは笑うだけで、答えない。それが答えてだった。
 プレジデントが口を開くのは、AIによる自動応答、機械的な反応に近い。
 こうして対峙している数秒間、他のバルタンたちの戦闘力を向上させ続けている。
 プレジデントの役割は猟兵と戦うことではなく、他のバルタンが猟兵を倒す支援を行うこと。
 アリスの結界で動きが、思考が鈍ろうとも、プレジデントがいる限りリカバリーが効いてしまうだろう。

「……どれから相手をすべきか悩んだけれど」

 リーヴァルディが左目に手を当てて、右目でプレジデントを睨みつける。

「やはり、一先ずは頭を先に潰しておきましょう」
「同感だ」
「やれやれもう少し会話を楽しむゆとりをもってはどうかね? こんな風に!」

 プレジデントのソーシャルディーヴァとしての権能。
 それは演説や説得を行い、同意した対象の戦闘力を増加する『プレジデント』の拳と【大統領魂】を与えるという能力である。
 《模倣様式・合衆国大統領》により、拳こそ付随していないものの、今まさに他のバルタンたちが猟兵たちを相手に鋭い攻撃を繰り出しつつある。
 二手に分かれる飛翔する猟兵たちの攻撃を見切り、津波を防ごうとする魔王の動きを見抜き、背後に回ろうとする妖精の捕えようと岩翼を動かす―――。
 そして、プレジデントは自分に凌牙とリーヴァルディの意識を向けさせて、マザー・コンピュータによる支援砲撃を撃たせて吹き飛ばす……。
 そんな魂胆であった。

「仲間を取り戻す為にそんなことで四の五の言ってられっかよ!!」

 駆け出した凌牙が、黒い靄を纏っていく。
 『《穢れを喰らう黒き竜性(ファウルネシヴォア・ネグロドラゴン)》』という、凌牙の固有能力がある。
 不運や呪いの原因になる穢れを喰い、自らの力にするという呪いのような能力だ。
 それが今、見事に効果を発揮していた。

 フランシスカの背中にキャバリアの流れ弾が当たる。
 バーミリオンの足元に聖星術の弾幕がかすめ、一拍動きが止まる。
 ブラキエルの岩翼にわずかな朱い津波の飛沫が付着し、勢いを削がれた翼が逆に掴まれる。
 プレジデントを経由して、”不運”がバルタンたちに伝播していた。
 体勢を崩したバルタンたちが、次々に猟兵たちに迫られていく。

「バルタンが乗っ取られ続ける不運! バルタンが仲間を傷つける不運!
 俺が喰らって不運を集めてやったぜうおおおお!」

 そして凌牙は死にもの狂いで流れ弾を回避しながら、プレジデントへとダッシュで迫る。
 カウンターとして迎撃するためにバルタンたちに指示を出そうとするプレジデントだが、しかしそこでリーヴァルディの目が光る。

「……ダメよ」
「……なんと」

 リーヴァルディの左眼が、施された改造によって『代行者の羈束・時間王の瞳』を顕現させる。
 聖痕を宿すその左眼が、視線にて過去の存在を呪縛する呪宝珠が、プレジデントを捉えている。
 身動きを捕縛された過去の存在(オブリビオン)であるプレジデントが、集団戦術を―――ソーシャル・ネットワークを乱される。
 指示を飛ばすことができない中、プレジデントと凌牙の距離がゼロになる。

 凌牙は棒立ちのプレジデントを殴りつつ、プレジデントと密着する。
 穢れを喰らいすぎた状態だと他人も巻き込む―――その性質を利用した。
 運悪く、各地の戦場の流れ弾が凌牙に殺到する。
 それは、凌牙と密着しているプレジデントにも当然降り注ぐこととなる。

「凌牙」
「安心しな! まだ本命が残ってんだ、意地でも立っててやるさ!」
「―――見事だ」

 リーヴァルディが見守る中、凌牙と共に吹き飛んだバルタン・プレジデントが撃破される。
 凌牙は立ち上がった。


●対バルタン・マザー・コンピュータ。

「自分は殺す為じゃない! 壊す為だ! オブリビオンを!! お前をだッッ!!!」
「いい動きだよ、小枝子さん! アタシが合わせるから、思う存分やっちゃえ!」

 小枝子とリリー先生は、共に愛機に搭乗して出撃していた。
 小枝子の『【スーパーロボット】無限軌道ディスポーザブル03』。両腕にビーム砲、各所にミサイルコンテナ、下部に無限軌道を装着したキャバリアは、バリア発生器を備えた浮遊する『【超重装甲】巨大外殻ユニット』を装着して右回りにマザー・コンピュータへと迫っていく。

 小枝子の動きに合わせて、リリー先生の『MPC-RW9r-LEX ナインス・ライン』。重量級量産型キャバリアを独自に改造し、生半可な量ではない多機能性を有しているキャバリアが、背部に搭載している大型可変翼『EP-B-749TD-LEX クリュザンテーメ』を活用して左回りに飛翔する。

 地と空、右と左の両面に挟まれる形となったマザー・コンピュータは、カメラアイを光らせて両手を広げる。
 バルタン自身と、仲間達のキャバリアや乗り物などの戦闘機械が合体するユーベルコード、《模倣様式・戦闘機械都市》。
 持ち込んだガトリングガンや火炎放射器といった内蔵式武器、パイルバンカーやチェインハンマーといった換装式武器。

 何よりバルタン自身の所有するキャバリア『スコール』と合体したことで、25mに巨大化した大型のバルタン型キャバリアと言えるソレが、両手から銃火器―――重火器を乱射させる。
 機関銃の弾幕が、榴弾の爆撃が、火炎放射の灼熱が。戦闘機械都市の名を冠するに恥じない火力が、小枝子とリリー先生に降り注ぐ。

「ああああ!! この程度のハズがないだろうッ!!! バルタンがああ!!」
「お手本みたいな正確射撃だね。だからこそ、防ぎやすい」

 小枝子はバリアと『BXサイキックシールド』、二重のオーラ防御を発生させて射撃攻撃を防いでいく。物量を正面から押しのける、力技である。
 リリー先生は『クリュザンテーメ』の機動性で榴弾を避け、銃弾を極短距離の空間跳躍を可能とする特殊スラスター『EP-333EW-LEX 緊急転移用ジャンプ・ドライブ『セレス』』や、特殊粒子による防壁展開・各種砲撃・高速推進が可能なキャバリア用二連可変防盾『EP-S-667SB-LEX アーク・ファランクス』によって、躱し、防ぎ、立ち回っている。

 二人ともに共通するのは、アンサーヒューマンとしての卓越した瞬間思考力による弾道計算だ。
 自我なく、最適な効率の攻撃しか行わないマザー・コンピュータは、優れた知性を有する小枝子とリリー先生にとっては訓練用シミュレーターに等しい。
 ただ手数が多いだけの攻撃など、二人は容易に対処できる。

 リリー先生が、『アーク・ファランクス』を利用した砲撃に合わせて、両肩に内蔵した小型多弾頭ミサイル『RS-S-310IM-LEX シリウス・マイン』を射出する。
 爆撃とミサイルの弾幕がマザー・コンピュータの半身を飲み込んでいく。

 リリー先生に負けじと、小枝子は『BS-B内蔵ビーム砲台』を、各種ミサイルを詰め込んだ『RS-ASBシージュ』を、ありったけ一斉発射する。
 単騎であっても軍勢を飲み込めるであろう、範囲攻撃がマザー・コンピュータを包み込む。

 マザー・コンピュータの弱点。二人と違い、防御性能のある戦闘武装を用意しなかったことが露呈される。
 白兵用の武装も、近づかずに機動射撃に専念する『ディスポーザブル03』と『ナインス・ライン』には届かない。
 接近しようにも、無理な合体によって膨れ上がった戦闘機械都市は機動力が二機に劣る。
 弾幕の厚さが接戦しようとも、為すすべなく受け続けるマザー・コンピュータと、シールドで防ぎ機動力で回避する二人では、消耗度は一目瞭然となる。

 そうしているうちに、プレジデントが討ち果たされる。
 プレジデントの戦闘力増加効果が失われ、アリスの結界による行動阻害の影響を強くなる。
 徐々に散発的となる、マザー・コンピュータの攻勢。
 それでも、小枝子は攻撃の手を緩めない。
 小枝子が4基の超大質量巨大サーベル刃型随行大剣『RS-Fサーベルユニット』を射出する。
 念動力で上空から、マザー・コンピュータめがけてその重量で叩き貫く。

「壊す! 壊れろ!! オブリビオンッッ!!!」

 追撃に、小枝子は外殻ユニットの十指から放たれるハイペリオンランチャーを収束し、砲撃する。
 文字通り蜂の巣のように撃ち貫かれ砕かれ焼かれ、吹き飛ぶマザー・コンピュータ。

「おおおおおおおおお!!!」
「たーまやー♪ さて……いよいよ、お仕置きの時間さね?」

 キャバリアの一斉射撃を浴びて、バルタン・マザー・コンピュータが撃破される。


●対鴻鈞道人。一番手、アリス。

「とくと見させてもらった。六番目の猟兵たち」

 バルタンたちが戦う中、バルタン・ノーヴェに入り込んだ鴻鈞道人は、加勢することもなく立っていた。
 左手に握ったファルシオンでバルタンの身体の血肉を削り、異形化する白い『渾沌の諸相』を周りに幾つも並べていた。
 流血していることにより、鴻鈞道人自身の戦闘能力も増大している。
 鴻鈞道人はバルタンたちを用いて得た時間で、十分な戦闘態勢を整えていた。

「お前達がどれだけ罪深い存在か、把握した。
 もはや、私が……渾沌氏である【骸の海】が、」

 だが。

「みぎょ」
「ふふふ。そう。頑張ったのね、いい子いい子❤ けど、もういいわ。十分よ」

 五体のバルタンに向けていたアリスの多重詠唱結界術が、鴻鈞道人に注がれる。
 そして動きを抑えた一瞬の隙を突いて、接近したアリスのユーベルコードがバルタン・ノーヴェに突き刺さる。

「重ねた想いは一つに。紡いだ絆は何より強固。
 わたし達が一緒なら不可能なことなどなにもないわ。ねぇ……バルタン♥️」
「なん……だと……?」

 ずもももも……と、アリスの身体がバルタン・ノーヴェと重なり、融合していく。
 まるで鴻鈞道人がバルタンに潜り込んだように、アリスもまたバルタンと繋がろうとしていた。

 《死がふたりを分かつまで(ツムガレルアイハエイエンニ)》。
 自身と対象1体を、最大で120mまで伸びる赤い糸で繋ぎ、繋がれた両者が同時に死なない限り死ななくなるというタイプのユーベルコードだ。。
 だが、アリスの糸は、技能を1200レベルで共有する固い絆の赤い糸。
 私と赤い糸で繋がったノーヴェは継戦能力も生存能力も共有されるため、かなりしぶとくなる。

「馬鹿な、渾沌に、ただの猟兵が……!」
「はい、二人の間に割って入らなーい❤」
「ぐう……!?」

 化術による肉体改造での強制融合から、結界術でノーヴェと鴻鈞道人の境界を分け隔て、無理矢理に強引に融合を引き離す。
 なんという荒業か。
 なんとなく、バルタンが死ぬほどの激痛に悶え苦しんでいる様子が脳裏に浮かぶが、きっと気のせいであろう。

「さあ、みんな」

 バルタンの中から、アリスがとてもいい表情で、その場の猟兵たちに笑いかける。

「もう一度言うわね、天丼よ。
 ―――為したいように為すがよい」

 スチャっと、猟兵たちがユーベルコードを起動する。


●二番手、シャルロット。

「はーい!」

 アリスの言葉に真っ先に応じたのは、シャルロットだった。
 幼精翔翅の暴風で瞬速一番に鴻鈞道人へと突撃直行。
 眼前に迫ったフェアリーを見て、バルタンの顔を通して鴻鈞道人が目をしばたたかせる。

「いくよー♪ えい♪」
「!!?」

 悪寒を感じたのか、瞬時に『渾沌の諸相』を前面に展開した鴻鈞道人。
 次の瞬間、『渾沌の諸相』が木端微塵に消し飛び、鴻鈞道人が頸椎骨折どころか頭部が吹き飛ぶのではないかというほどの勢いでのけぞっていた。
 これこそ、手加減なしのシャルロットのユーベルコード。

 《ただのでこぴん(タダノデコピン)》 TADANO DEKPIN である。

 爆裂衝撃波伴う超光速かつ超極大威力の暴力。
 相手を星の彼方へ吹き飛ばし、全身粉砕の激痛に包み継続ダメージを与えるだけの、ただのでこぴんである。
 シャルロットの怪力の10倍。さらに『パワーフード』を食べていると、威力はさらに100倍となる。
 アリスがセーフティーネットを用意していなければ死んでいただろう。

 大地と大山を砕き崩す拳。大海と天雲を割り断つ蹴り脚。そして万物を穿ち貫き斬り裂く細指。
 それが、シャルロットの武器である。

「っ、こ、の、……!」

 頭を押さえ、痛みに堪える鴻鈞道人の目には、楽しそうに離脱するシャルロットと、次の猟兵が映っていた。
 戦いは、まだ始まったばかりだ。

●三番手、リーヴァルディ。

「……今度は此方の番よ。望み通り全力で撃ち込むから、怨まないで成仏しなさい」
「くっ、猟兵っ!」

 態勢を崩した鴻鈞道人目掛けて、リーヴァルディが駆け寄る。
 その手には大鎌が握られており、ユーベルコードが起動している。

 鴻鈞道人がバルタンの血肉を代償にして生み出した、異形化する白い『渾沌の諸相』を放つ。
 勢いよく飛来する不気味な肉片の攻撃を、その軌道を見切り『怪力の呪詛』で防ぐ。
 リーヴァルディの魔力で全身を覆い板金鎧並の防御力を得る基礎的な術式によって、愚直にまっすぐ向かって来る攻撃など容易く受け流した。
 回避行動すら必要はないと、射程距離まで踏み込んだリーヴァルディが大鎌を振るう。
 その大鎌の刃には、原子の繋がりを切断して物質を塵にする魔力が溜められている。
 その力……《吸血鬼狩りの業・黄昏の型(カーライル)》を纏わせた大鎌が振り下ろされる。

「……万物を消滅させる浄光を此処に」
「おおおお!」

 Disintegrate.
 あらゆる物質を分解して塵にする巨大な黄昏属性攻撃の斬撃刃が、鴻鈞道人を袈裟切りに引き裂いた。


●四番手、凌牙。

「はは。ありがてぇ、元から手加減する気はなかったが、遠慮なくぶっ飛ばせる!」

 急ぎ塵にされた部位を代償として切り離し、鴻鈞道人がふらついたまま声のする方向へと『渾沌の諸相』を振るう。
 その先にいたのは、多少焦げがついているものの健在である、凌牙であった。
 『渾沌の諸相』の一撃を食らい、凌牙が不敵に笑みを深める。

「"穢れ"の追加、ありがとよ」

 そして、凌牙は"穢れ"を喰う度に纏う黒いモノ『喰穢の黒き淀み(ファウルネシヴォア・スティグネイション)』を纏いながら、真の姿を開放する。
 オーバーロードにより、白い髪色が黒く染まっていく。
 竜の要素が増幅され、鱗と、尾と、竜の爪牙を身に宿す。

「"穢れ"は放っておけばどんどん"精気"を淀ませ、次々と不運や呪いを引き寄せる。
 ―――気づいた時には、もう遅いかもな?」
「……これは……」

 《【喰穢】天より注ぐ厄災の黒靄(ファウルネシヴォア・カタストロフィ)》
 戦場の敵全てに、弱いが際限なく累積する弱体化効果のある黒い靄を放つユーベルコード。
 プレジデントと共に、大量に喰らった"穢れ"をお見舞いだと、鴻鈞道人を包み込む。

「いくら骸の海が乗り移ってるとはいえ、こんだけの穢れの蓄積にはそう簡単には耐えられねえだろ!」
「ぐっ……! これは、この要素は……! よもや、お前は……!?」
「ごちゃごちゃ語りに付き合う気はねぇ!」
「ごふっ……!」

 凌牙の手から、『黒竜の爪牙』から渾身の右ストレートが放たれる。
 怪力全開の、全体重を乗せた拳が鴻鈞道人のレバーを打ち据えた。


●五番手、清導。

「鴻鈞道人! オレはオレのやり方でテメエを倒す!」

 凌牙に殴り飛ばされた先に、清導がいた。
 力を溜め、気合を込め、オーラを噴出して身を固めている。
 鴻鈞道人がバルタンの血肉を代償に放つ『渾沌の諸相』も、規模が小さくなってきている。
 異形化した『渾沌の諸相』の攻撃を意に介さず、突っ切って来た清導は左手で鴻鈞道人の首を掴んだ。

「ぬっ、ぐっ……!」

 抵抗する鴻鈞道人がファルシオンを清導へ斬りつけるが、清導はブレイザイン腕部に取り付けられた凄まじい切れ味を誇る伸縮自在なブレード型超兵器『ブレイジング・レザー』で防がれる。
 刃と刃が鎬を削る中、清導は熱く吼える。

「オレは誰かを助けるヒーローだ! だから、バルタン! アンタを今、解放する!」

 放たれるのは、右手によるラッシュ。そして、光焔。
 《“無敵”のヒーロー(セイヴァーズ・フレイム)》。
 願いや誓いを籠めた一撃は、肉体を傷つけずに対象の幸せを妨げるものや悪意のみを攻撃する。
 支配されているバルタンの肉体は傷つかず、拳が打ち込まれるたびに鴻鈞道人だけがその炎に焼かれていく。

 一緒に融合しているアリスが楽し気にコールを始めている。こちらは悪意なく幸せを妨げている訳でもないので対象外です。

「吹っ飛べ、鴻鈞道人!」
「おお……! おおおおお!!」

 アリスの結界、シャルロットのデコピンにリーヴァルディの破壊。
 《【喰穢】天より注ぐ厄災の黒靄》の弱体化の影響も受けて、鴻鈞道人の、もといバルタンの力が低下の一途をたどっている。
 逃れること適わず、清導のラッシュを浴び続ける鴻鈞道人。
 そうして、零時の準備が整うまで、清導は存分に鴻鈞道人の精神を焼き続けた。


●六番手、零時。

「来いよ、鴻鈞道人。バルタンは助けるし、お前は倒すぜ!」

 零時が藍玉の杖を構えていた。
 起動する通常魔術のほかに、展開する術式が二つ。

 事前の段階として起動するのが、《禍津神楽・櫻繚乱舞《練式》(マガツカグラ・オウリョウランブ・レンシキ)》。
 複数のユーベルコードの並列起動という荒業を、零時はこなそうとしていた。

「始まりて礎源固舞、繋げるは伝加護舞、巡り狭間の華開顕舞、間際視えるは暢力樹舞。
 ……我が身に纏うは終極練舞ッ! 極り到るは禍津神楽ッ!」

 友たる神を想いて舞いて、その身に降ろすは加護。
 一つずつ順に禍津神楽を舞って、舞い神の加護を降ろしていく。
 降ろした禍津の神威と合体することで、力の段階を上げていく。
 体内に持ちうる魔力含めた全部の力を限界まで高めていく。
 併せて魔術による付与強化を行いつつ、舞を続ける。

「此れなるは、あらゆる敵を切り裂き、邪なる一切を祓う神櫻の花弁。
 ……さぁ! 今此処に咲き誇り荒れ狂え! 運命斬り拓く力を、此処に示せッ!」

 《邪伐神櫻・万物斬華(ジャバツシンオウ・バンブツザンカ)》。
 任意に対象や概念選び、広範囲に広がる神櫻の花弁を放つユーベルコード。
 厄災を齎す、禍津神の加護を宿す神櫻の花弁で敵を包み継続ダメージを与える能力が、今。零時の周りを取り囲む。

「―――超克の力と神威の加護も乗った今の俺様は誰にも止められねぇ!」

 オーバーロードにより、零時は全身を輝かせていた。
 魔力の奔流が、零時の身体中から溢れて光を齎していた。

「(バルタンがくれた媒体に関する魔導書には、媒体の覚醒の術式もあった……。
  なら、こうすれば!)」

 零時は、溜めた力を収束する。
 藍玉の杖を媒体に、神櫻の花弁を纏め上げ、刀身を形成する。
 ―――櫻刀錬成。

「狙うはバルタンの中の鴻鈞道人! これは、斬りたいものしか斬らない力!
 斬るのはそう、骸の海、テメェだけだ!」

 清導に焼かれる鴻鈞道人が、ファルシオンでバルタンの身を削り、『渾沌の諸相』を送り出す。
 《流れる血に嗤う渾沌の諸相》により効果が上昇している『渾沌の諸相』の一撃諸共、零時は二つのユーベルコードに威力が向上している一刀に全部の想いを込めて、斬る。

「極器覚醒・櫻刀、一閃ッ!」

 任意の対象や概念選び、斬り裂く神櫻の花弁。
 それにて創られた刃は、零時の望むものだけを斬る。

「お、おおおっ……!」

 清導の手からようやく離れた鴻鈞道人が、苦悶にのたうち回る。
 バルタンも、アリスも、そして清導にもダメージは見られない。

 そして、複数起動の代償か。
 零時は精魂尽き果てた様子でその場に座り込んだ。


●七番手、バロ。

「バルタンは僕の友達! なんちゃら道人みたいなやつに好きにさせないぞ!」

 ふわりと鴻鈞道人の頭上を浮遊するバロが、『トゥインクルロッド』を振りかざす。

「僕と前に一緒に見た星空を見て! バルタンの心を取り戻してやる!」

 バロのユーベルコードが、仄かな明かりしかなかった祠の中に夜空を作り出した。
 《星屑の宇宙(ホシクズノウチュウ)》。
 星の雨を降らせる事で、戦場全体が輝く星が散りばめられた宇宙と同じ環境に変化する。
 サイボーグであるバルタンも、魔王であるアリスも、骸の海として宇宙の記憶を有している鴻鈞道人も、適応しているのだろうが……。
 綺麗な星々を見上げて、鴻鈞道人が消耗の回復を図ろうとしている。

「……ああ、綺麗だナ。正気に戻ってきたヨ」
「そんな演技じゃ騙されないからなー! バルタンを解放しろー!」
「慣れぬことをするものではないな」

 バロが『トゥインクルロッド』を振り下ろし、星の雨が鴻鈞道人に降り注ぐ。
 星属性のエネルギー弾幕が、鴻鈞道人を撃っていく。
 流血することのない魔力によるダメージを蓄積しながらも、鴻鈞道人はガトリングガンを展開してバロへと反撃する。

 ひらひらと宙を舞うバロと、地上をふらつく鴻鈞道人。
 頭上に意識を奪われた鴻鈞道人へ向けて、鉄騎が銃口を開いた。


●八番手、シャイニー。

「バロ殿は上空、零時殿は……清導殿が保護なされましたか。ならば後顧の憂いなし!」

 シャイニーは、『ブロッケン』に補充されたエネルギーを自分自身へと充填した。
 シャイニーはウォーマシン、少女型機械人形である。
 キャバリアから、自身にエネルギーを供給することで、オーバースペックの出力を発揮できるようにしたのだ。

「自動操作モードでござる! 鴻鈞道人、お命頂戴仕る!」

 『ブロッケン』から飛び出して、シャイニーはユーベルコードを使用する。

「総員へ警告。これより最終殲滅モードへ変形します。
 本機体の感知範囲より速やかに離脱してください。
 解除コード入力します……『光あれ』」

 ユーベルコード《最終殲滅形態:レットゼアビーライト》。
 シャイニーの全搭載兵器を解放し、無限連射可能な殲滅形態に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る破壊に特化した能力だ。
 ただし理性を失い、速く動く物を無差別に攻撃し続ける。
 搭載兵器が増える程強力になっていくが、誤射時の危険も増すため、敵味方が入り乱れる戦闘中には難があるものの、眼前に鴻鈞道人のみであるこの状況ならば、問題はない。
 輝く星が散りばめられた宇宙空間に適応しているバロであれば、誤射が来る前に退避することに成功するであろう。

「っ!」

 シャイニーに気づいた鴻鈞道人がファルシオンを構えるが、時すでに遅し。 
 様々な射撃兵器が、シャイニーのボディから展開され、放たれる。
 レーザーガンが、ガトリングガンが、ロケットランチャーが、スナイパーライフルが、高圧水流の放水砲が、火炎放射器が、そしてなぜか非殺傷用のライオットガンが、鴻鈞道人に集中砲火を浴びせかける。
 貫かれ、撃たれ、吹き飛び穿たれ、水をかけられ火で炙られ、ゴム弾を顎に受けて、鴻鈞道人が膝をつく。

「う、ぐっ……」

 出力の限界を突破した一斉発射の乱れ撃ちを叩き込み、シャイニーは攻撃を止める。
 弾薬が尽きたのではない。
 決定打を浴びせかける二人の邪魔にならぬよう、停止設定を入れていたがために。

「……さて、後はお任せ致します」

●九番手、リーゼロッテ。

「随分とボロボロになったもんだねぇ。バルたん、後で直したげる♡」

 『ナインス・ライン』に搭乗したまま、リリー先生が鴻鈞道人に語り掛けつつ、ユーベルコードを展開する。
 鴻鈞道人はファルシオンを杖代わりに、かろうじて立っているという有様だ。
 周囲に撒き散らされた肉片が、異形の『渾沌の諸相』と化して鴻鈞道人の命を待っている。

「鴻鈞道人、アンタは猟兵をナメ過ぎたのさ」
「……ナメる? 侮る? 違うな。私は」

 鴻鈞道人の語りを聞き届けることなく。
 リリー先生は《Op.NULL:C.INFINI [AV](コデアンフィニ・アヴニール)》の編纂を開始する。
 意思を持つ預言書型メガリス『PRP/MR:DrLiLY-14019u 『8(ユイ)』』と融合した存在から大幅に強化した装備や能力を召喚するというユーベルコードだ。
 司る事象は『根源・円環・終極』等、詳細はその都度決定でき、変形合体から概念一体化まで、様々な形の融合で『8』の高位魔術書的側面を引き出すことが可能である。

 今回は、『ナインス・ライン』のコントロールパネルへと挿入し、『円環』の様に反復強化されていく。
 大幅に強化された力は、『根源』の光は過去の集積体に抗う力を齎す。

「今だと、平時の120倍位かな?」
「なに?」

 小悪魔のように微笑んだリリー先生が、《コデアンフィニ・アヴニール》の効果によって選出されたキャバリア用環状斬撃ビット群『BXS-F-731LB-LEX オウレット・アイズ』を展開させる。
 大2基、小4基の無線式オールレンジ兵器が錐の様に収束・増幅し、『終極』の閃光を纏って射出される。

 《コデアンフィニ・アヴニール》にて増幅された高エネルギー徹甲弾が、鴻鈞道人を貫く。
 オブリビオンや骸の海に特に効果のある攻撃に触れたことで、鴻鈞道人が絶句する。

「……!!」
「《終極は円環の涯に非ず、根源は未来を欲す故に》。つまり……。
 過去と停滞だけのアンタらは、結局イレギュラーなのさ」


●十番手、小枝子

「断じてバルタン殿を、殺す事など容認できるものかぁあああああ!!!!!」

 そして、たたらを踏む鴻鈞道人に向けて、『ディスポーザブル03』の中から声を張り上げた小枝子が、ユーベルコードを起動する。
 その力の名は、《敵壊装(テッカイソウ)》。
 攻撃が命中した相手に崩壊の呪詛を籠めた武装に変換した『戦塵霊物質』による一撃で、肉体を傷つけずに対象の小枝子が敵と見做したモノのみを攻撃する。
 すなわち。

「何としてでも鴻鈞道人を壊し、バルタン殿を殺さない!」
「……どこまでも、貴様たちは……!」

 二射目の十指ハイペリオンランチャーの集束砲撃が放たれる。
 鴻鈞道人から放たれた『渾沌の諸相』が光に包まれ消失する。
 光の奔流はそのまま、バルタンとアリスごと鴻鈞道人を飲み込んでいく。
 呪詛を籠められた超巨大荷電粒子ビームに『戦塵霊物質』が纏わり、鴻鈞道人を焼いていく。

 ―――『戦塵霊物質』。
 悪霊を構成し、悪霊が操る霊物質。
 戦場ある限り尽きず、悪霊は幾度でも蘇り、終われない。
 小枝子のエンジンとでもいうのだろうか、このエネルギーが、鴻鈞道人の存在のみ崩壊させ、焼却していく。

「敵を壊せ! 鴻鈞道人を壊せ!! 壊せぇええええぇええぇえぇええ!!!!!」
「―――度し難い」

 ありとあらゆる手段をもって、攻撃された鴻鈞道人がついに、倒れ伏す。
 正確には、融合させられているバルタン・ノーヴェが倒れ伏す。
 猟兵たちは油断なく、バルタン・ノーヴェを取り囲んでいた。


●終結、骸の海。

「……鼓動よし。バルタンの生存確認❤ 鴻鈞道人ももういないわよ」
「おぉ……」

 鴻鈞道人は自身の権能を振るうことも、バルタンの武装を十全に活かすことなく、猟兵たちに蹂躙された。
 アリスとの融合により、バルタンは死ぬほどの激痛を受けながらも生存を維持していた。死にそうなほどの激痛を受けているが。
 アリスが元気に親指を立てているため、二人とも無事である。
 よくぞ。と、一同が安堵したその時。

(何度でも)
「えっ!?」

 零時が、再び聞こえてきた思念の声、渾沌氏『鴻鈞道人』の声に反応する。

(私は姿を晒すだろう。私は渾沌氏……すなわち【骸の海】であるがゆえに)
「渾沌氏……!」「……まだ滅ぼせてはいない、のね」

 清導とリーヴァルディが虚空を見やる。
 目に見えるものではないが、まだどこかに鴻鈞道人がいるのだと、警戒を解かずにいる。

(今回は、私は撤退しよう。だが、『よく』見させてもらった。
 罪深き刃(ユーベルコード)を刻まれし者達が相争う様子を)
「……何かさ、最初から偵察するつもりでしたって風に言い訳してない?」

 リリー先生の言葉に、鴻鈞道人は応えない。
 いや、元より猟兵たちの言葉が、鴻鈞道人に届いているのかも定かではないのかもしれない。

(私はお前達が生きるために踏みしめてきた、全ての過去である。
 故に。ここでこの私が殺されようと、何度でも私は姿を晒すだろう)
「だったら、僕たちが何度でも倒してやるー!」「うん! しゃぅも、がんばるからね♪」

 元気よく意気込むバロとシャルロットの声に、猟兵たちも肯く。
 何度でも出てくるというのならば、何度でも倒せば良いのだと。

「鴻鈞道人。お前は敵であります、ゆえに必ず壊す」「拙者たちは決して諦めないであります」

 小枝子とシャイニーの決意表明が伝わったのか、それとも消滅しつつある鴻鈞道人の限界が来たのか。
 その声が薄く、小さくなり、消えて行く。

(私の左目に炎の破滅(カタストロフ)を見せるのは……次の刻を待つとしよう)
「俺たちがいる限り、カタストロフは見れねぇよ。おとといきやがれ!」

 凌牙の叫びを最後に、渾沌の地から神秘的な力が消え、猟兵たちだけが残された。
 もはや、この地に鴻鈞道人の力は残っていないのだろう。
 猟兵たちは、無事に鴻鈞道人を討ち果たし、バルタンを助け出すことに成功したのだった。

「……ところで。いつになったら目覚めるのかしら」

 しばらく気を失ったままであったが、目を覚ました後無事に皆を送還するバルタンであった。

 ミッション、コンプリート!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月30日


挿絵イラスト