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銀河帝国攻略戦⑲~奇跡とは確定させるもの

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「銀河帝国攻略戦への参戦に感謝します。リムは現在の戦況を報告します」
 グリモアベースに集った猟塀たちの前で、リミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「ジャミング装置の破壊が進んだことで、ドクター・オロチ方面軍、及び帝国軍本陣に向けた更なる侵攻が可能となりました」
 ここからは敵も強大さを増すだけではなく、よりオブリビオンらしい悪辣な手段に打って出てくることが想定される。
「その"悪辣な手段"の一つが、既に解放軍に迫っています。リムは『オロチウイルス突撃艇群』撃破作戦を提示します」

 オロチウイルスとは、帝国執政官兼科学技術総監ドクター・オロチが開発した、恐るべき殺人ウイルスである。
 その致死性は猟兵であっても数秒耐えるのが限界という凄まじいものだ。無論、常人であればひとたまりもない。
 そんなオロチウイルスを満載した小型の突撃艇がこちらへと向かっている。これを一斉に解放軍の艦艇にワープさせた上で自爆させ、ウイルスで解放軍を抹殺しようというのがドクター・オロチの作戦なのだ。

 このような作戦を許すわけにはいかない。しかし事態は深刻である。
 存在を隠蔽され、各所に散ったオロチウイルス突撃艇群全てを発見、撃破するのは不可能であり、ワープしてくる敵を予測して、その全てを撃破する事も現状では不可能だ。
「ですが、希望はあります。『エンペラーズマインド』に踏み込んだ猟兵たちが、コアマシンルームに充満していたオロチウイルスのサンプルを持ち帰ることに成功しました」
 現在、ワープドライブの使い手であるミディア・スターゲイザーは、ヘロドトスの戦いで発見された『古代遺跡船』に、スペースシップワールドの科学技術の粋を結集し、抗体作成の研究を進めている。
 しかし、その総力を挙げても通常の方法でオロチウイルスの抗体を期限内に完成させることは不可能だ。――そう、奇跡でも無い限り。

「『奇跡』が無ければ起こせばいいのです。そのための力が、リムたち猟兵には備わっている」
 軌跡の力――それはすなわち『ユーベルコード』。
 世界法則さえも覆すユーベルコードの力を駆使すれば、常識を超えた速度でオロチウイルスの抗体を完成させることも可能である。
「この作戦の成功確率は不明です。奇跡を数字で語ることはできません」
 一見すれば無謀な作戦にすら思える。しかしリミティアの表情に不安の色はない。
「数字で語れないならばこう語りましょう。この作戦の成功は『確定事項』であると」
 揺らぎない猟兵たちへの信頼をその眼差しに宿し、彼女は古代遺跡船の研究施設へと繋がる転送ゲートを開く。
「作戦説明は以上です。リムは吉報を待っています」



 こんにちは、戌です。
 本シナリオの攻略対象は「⑲オロチウイルス突撃艇群」になります。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 というわけでウイルスの抗体作成です。
 皆様の自慢のユーベルコードを駆使してトンチキ……失礼、独創的な実験や研究を行ってみてください。
 奇跡は確定事項です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『オロチウイルスの抗体を開発せよ!』

POW   :    オロチウイルスを摂取し、未完成の抗体とユーベルコードを駆使し、全力で耐え抜く事で抗体のヒントを得ます

SPD   :    圧倒的処理速度で演算を行なったり、肉眼では確認できないウイルスの動きを見切り、その特性を導き出します

WIZ   :    集積された膨大な情報を高速処理するなど、ユーベルコードを利用して開発に貢献する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レクシア・ノーレッド
抗体を作るの!?うぇ、辛いなぁ…
…でも私なりに、皆の手助けに…被検体に、なろうかな!

【SPD】

複数に分裂できる、という点を活かすよ!
2~30体程度に分裂して、3体を除き全部にウイルスを摂取させる!
思考能力は共有してるから、動きや特性は全部感覚で掴みにかかるよ!

被検体が足りないなら【ロリシアちゃん】も召喚してさらに接種させて、経過が見たい人とかが居るならそっちにも回して、試行回数でどんどん試していこう!
1回や2回じゃ分からない事も、何十回と試せる私なら、だんだん掴めるはず!

…きっと私は苦しいけど、大丈夫!薬の被検体になるのは、慣れてるから!

【アドリブ・連携歓迎】


シャルファ・ルイエ
今の状況だと不謹慎かもしれませんけど、奇跡が無ければ起こせば良いっていうのは、何だか少しわくわくしてしまいますね。

ユーベルコードで何かが出来るなら、サンプルを一つ借りて色々と試してみます。
【星を呼ぶ歌】は攻撃の意思を持って歌った対象に星を降らせるユーベルコードですから、オロチウイルスを攻撃する様に『祈り』を込めてサンプルに対して歌ってみましょうか。
あ、ちゃんと研究所とかサンプルに流れ星を落としてしまわない様には気を付けますよ。
後は、オロチウイルスに人が持っている細胞が負けない様に、【シンフォニック・キュア】の癒しの力も付加出来ないか試してみるとか。
他だと、オロチってお酒に弱かったんでしたよね?



「抗体を作るの!? うぇ、辛いなぁ……」
「……でも私なりに、皆の手助けに……」
「被検体に、なろうかな!」
 研究施設にやってきた"3体"のレクシア・ノーレッド(ひとりうちゅうせんそう・f01101)はそう宣言する。
 いや、3体だけではない。分裂能力を持つ彼女の現在の総数は、実に20体以上。
 彼女"達"と共にオロチウイルスの研究に取り組むのはシャルファ・ルイエ(謳う小鳥・f04245)。
「今の状況だと不謹慎かもしれませんけど、奇跡が無ければ起こせば良いっていうのは、何だか少しわくわくしてしまいますね」
「それはどうかなぁ……でも、やるしかないよね!」
 一刻も早く抗体を完成させなければ、解放軍の人々への被害は未曾有の規模に上る。
 忍耐と知性とひらめき、そしてユーベルコードの力を以って、二人は悪魔のウイルスに挑む。

「それじゃあ、いくよ!」
 レクシアは3体を除いた自身の分裂体にウイルスを摂取させる。
 彼女の分裂体はその思考を共有している。ウイルスが体内で暴れまわる感覚も、その症状も、はっきりと全個体に伝わる。
「っ、ぐぅ……っ!」
 物凄い勢いで自身の一部が"死んでいく"感覚に、レクシアの額から脂汗が流れる。
 だが弱音は吐かない。感覚で掴んだウイルスの特性を報告すると、すぐまた次の分裂体をウイルスに感染させる。

 一方のシャルファはレクシアの体内のウイルスに、自身のユーベルコードの歌で働きかける。
 オロチウイルスへの攻撃の意思と祈りを込めた星を呼ぶ歌によって、抗体の発生を促せないか試みる。
「どうですか?」
「少し、症状の進行が遅くなった、かも?」
 経過を観察しながら、次に歌うのはシンフォニック・キュア。
 癒しの歌で生物の細胞が持つ免疫力を活性化させ、オロチウイルスに負けない抗体の生成を狙う。
「今度はちょっと具合が良くなったかも」
 やはりユーベルコードの力がオロチウイルスにも有効であることは間違いない。
 問題はそれを、どうやって大勢の人々に適用できる抗体の開発に繋げるか。

 抗体の完成には、やはり大量のサンプルと被験者が必要なのは間違いなかった。
 1回でも多くの試行回数を稼ぐために、レクシアは次々と分裂体を作っていく。当然ながら、その消耗と負担は激しい。
「大丈夫ですか? 少し休まれても……」
「大丈夫! 薬の被検体になるのは、慣れてるから!」
 心配するシャルファに対し、レクシアは笑顔を作って答える。
 立ち止まっている時間はない。一歩一歩、着実に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

遠呂智・景明
POW
【寂れた診療所チーム】として芦屋と参加。

俺自身におろちういるすを投与して、芦屋に研究してもらう。
ヤドリガミだし、このヒトの身体にも多少無茶は効く。
念のためにUC【風林火陰山雷 山の如く】を使用。防御は固めておくか。

あとは芦屋の研究、治療が終わるまで気合いで耐えるぞ。
腕がいいってことは知ってるし信頼してるからな!

名前が似てるのも気に食わねぇし、さっさと対策ねってぶん殴りに行こうぜ。


芦屋・晴久
【WIZ】何処かにある寂れた診療所と連携

抗体の精製ですか
本来時間を必要とする物ですがそうとも言って居られない様ですね、オロチ君、協力をお願い致します。
ここまで得た【医術】の知識を総動員して【情報収集】、準備が整い次第オロチ君を被験者としてウイルスの動き、細胞の免疫反応を見ましょう。
事前に【八咫五封陣】を敷き、オロチ君に四神創奏で戦闘力…即ち細胞の活性化を促して置きます

殺人ウイルスね、何ともセンスが無いものを使用するでは無いですか。
しかしこのウイルスの遺伝子情報が判明すれば後の研究資料としては良い物になりますね。

オロチ君、私は貴方の生命力を信じます
貴方は私の腕を信じてください
行くとしましょう



「抗体の精製ですか。本来時間を必要とする物ですが、そうとも言って居られない様ですね」
 医師である芦屋・晴久(謎に包まれた怪しき医師・f00321)は、その経験と知識の元で非常の判断を下す。
「オロチ君、協力をお願い致します」
「ああ。名前が似てるのも気に食わねぇし、さっさと対策ねってぶん殴りに行こうぜ」
 答えたのは遠呂智・景明(さむらいおろち・f00220)。
 寂れた診療所チームの二人は医者と被験者として、この未知のウイルスに立ち向かう。

 まずは準備を念入りに。晴久は自らの医術の知識を総動員して診察の体制を整える。
 景明が横たわる診察台の周囲には治癒の力を持つ八咫五封陣を敷き、さらに三之式・四神創奏によって被験者の細胞を活性化させる。
「オロチ君、私は貴方の生命力を信じます。貴方は私の腕を信じてください」
「いいぜ、やってくれ。腕がいいってことは知ってるし信頼してるからな!」
 景明が力強く頷くのを見てから、晴久は彼の体内にオロチウイルスのサンプルを注入した。
「行くとしましょう」

「っ、が……ぁ!!!」
 ヤドリガミである景明のヒトとしての身体は仮初のもの。それゆえ多少の無茶も効く。
 だがそれでもなお、無機物の種族さえ殺戮せしめるオロチウイルスの致死性は尋常ではなかった。
 景明は歯を食いしばりながら防御のユーベルコード【風林火陰山雷 山の如く】を発動。ウイルスの侵蝕に全力で抵抗する。

(殺人ウイルスね、何ともセンスが無いものを使用するでは無いですか。しかしこのウイルスの遺伝子情報が判明すれば、後の研究資料としては良い物になりますね)
 苦痛に悶える景明を前に、晴久はあくまでも冷静だった。
 信頼もある。何より患者を前に取り乱すようでは医師として失格。
 落ち着いた眼差しで被験者の容態を確認し、症例や反応を記録。それに対応した適切な処方を行っていく。
 景明の体内でオロチウイルスはどのように動き、それに細胞はどう反応するのか。
 そのウイルスと免疫のメカニズムにこそ、抗体完成のカギがある。

 やがて、景明の生命力と晴久の適切な処方により、景明の体内のオロチウイルスは死滅する。
 得られたデータは貴重だが、抗体の完成にはまだ足りない。他の研究データとも照らし合わせ多角的な検証や更なる実験が必要になる。
「オロチ君、まだいけますね? 少し休んだらもう一度です」
「容赦ねえなぁ……」
 苦笑いを浮かべながらも景明に否の言葉はない。
 診療所の灯はまだ消えない。悪夢のウイルスに完全勝利を収めるまで。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

駆爛・由貴
ボアネル(f07146)と出撃

SPD

殺人ウイルスとかまたトンチキなモンを出してきやがったな
だけど一番頭がいてぇのはボアネルの野郎だ
よりによってそのウイルスを自分に注入するとか言いだしやがった
ったく何考えてんだアイツは
しゃーねぇ、あのバカが死なないように俺も気合い入れるか
【万能機械】で喚び出す自律ポッドは治療にも使える
俺の【ホムラⅣ】と接続させて体内をスキャン
反応を解析するぜ
体内に入ったら細菌に対する免疫反応が出るはずだ
その中で細菌を駆除するために一番最適な免疫システムを見つけ出す
体力が低下したら即座にポッドで回復させてやる
気張れよボアネル
こんなくだらねぇ事で死んだら地獄までぶん殴りに行くからな


ボアネル・ゼブダイ
駆爛(f14107)と共に出撃

POW

細菌兵器とはな
帝国もなりふり構わなくなってきたと言うことか

今ここで我らが止めねば、被害は甚大なものになるだろう
なんとしてでも阻止しなければ

今回は相棒の駆爛と協力する
まずは私の身体に細菌を注入
内部での動きを駆爛に見てもらい抗体の開発に尽力して貰おう
注入する前に人工血液セットから吸血し、血呪解放を発動
状態異常力を上げ、一秒でも長く細菌に耐えられるようにする
体力の低下からの回復は駆爛に任せよう
私は耐え抜くことだけに集中すればいい
付き合いは未だ短いが、奴の腕は確かだと信じているからな

心配せずとも私は死なんよ駆爛
お前に貸した金も返して貰わんといけないからな



「殺人ウイルスとかまたトンチキなモンを出してきやがったな」
 研究施設の一角で、駆爛・由貴(ストリート系エルフ・f14107)は悪態を吐く。
「だけど一番頭がいてぇのはお前だよボアネル、この野郎」
 苦虫を噛み潰したような顔で彼が睨み付ける相手は、ボアネル・ゼブダイ(Livin' on a prayer・f07146)。
「よりによってそのウイルスを自分に注入するとか、ったく何考えてんだ」
「細菌兵器まで出してくるとは、帝国もなりふり構わなくなってきたと言うことだ」
 語調を荒げる由貴に対して、ボアネルはあくまで冷静に答える。
「今ここで我らが止めねば、被害は甚大なものになるだろう。なんとしてでも阻止しなければ」
「……チッ。しゃーねぇ、俺も気合入れるか」
 決断を変える気がないと分かった由貴は、舌打ちしつつ自らも覚悟を決める。
 このバカな相棒を死なせないために。

「仕事だぞ! 働けお前ら!」
 由貴が喚び出したのはユーベルコード【万能機械】による自律ポッドの群れ。
 戦闘、軽作業、そして治療にと多目的な用途を持つそれらと自身の電脳ゴーグル「ホムラⅣ」を接続し、被験者――ボアネルの体内をスキャンする準備を整える。
 一方のボアネルは携帯している人工血液セットから血液を補充すると、【血呪解放】を発動。
 自身の状態異常力を高め、一秒でも長くオロチウイルスに耐えられる備えを取る。

「準備できたぞ」
「ああ、ではやろう」
 互いの用意が整ったのを確認すると、ボアネルはオロチウイルスのサンプルを自らの体内に注入する。
 即座に感染者の肉体を殺戮すべく暴れだすウイルス。ボアネルは瞳を閉じ、呼吸を整え、ただその苦痛に耐え抜くことだけに集中する。
 由貴は即座に体内スキャンを開始。ウイルスに侵入された体が引き起こす免疫反応を解析する。
 無数の反応の中から、オロチウイルスに最も有効な免疫システムはどれか。それを見つけ出せれば、抗体の完成に大きく近付く。

 解析中、不意に自律ポッドからアラーム音が鳴る。被験者の体力が危険域まで低下した警告だ。
 由貴は即座にポッドにボアネルの回復を指示しながら、彼に呼びかける。
「気張れよボアネル。こんなくだらねぇ事で死んだら地獄までぶん殴りに行くからな」
 ぶっきらぼうではあるが、その言葉には不器用な励ましと心配の気持ちが込められていた。
 脂汗を浮かべながら歯を食いしばっていたボアネルは、少しだけ口元を緩めて答える。
「心配せずとも私は死なんよ駆爛。お前に貸した金も返して貰わんといけないからな」
「そんな余計なことは忘れて、生き延びることに集中しやがれ!」
 相棒からの冗談に由貴は悪態を返しながらも、どこか安堵したようで。
 必ず克って、抗体を作ってみせる。この相棒と一緒ならそれが可能だと、二人は言葉もなく確信していた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
オロチウィルス…ウォーマシンやVCなど非生物にとっても危険な謎多き存在です

抗体の開発には臨床試験が不可欠でしょう。肉の身体を持たない場合のサンプルとして私の身を検体として提供します

任務で常々やっていますが、仲間を「かばう」ことぐらいしか能の無い私ですが、その分耐久力には自信があります
「防具改造」でモニタ装置を取り付け研究に貢献しましょう

このウィルスは猟兵にとっても、一般人にとっても危険な存在。騎士として、その脅威を防ぐための盾となりましょう。

UCで身体能力を上げて、連続した生体研究を可能にします

この作戦の成功は確定事項、私はメンテが終わり次第、次の戦場に向かいます



「オロチウイルス……ウォーマシンやバーチャルキャラクターなど非生物にとっても危険な謎多き存在です」
 そう語るのはトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)。
「抗体の開発には臨床試験が不可欠でしょう。ウイルスの特性も鑑みれば、肉の身体を持たない場合のサンプルも必要なはず」
 そのために自らの身を検体として提供することを、彼は望んでいた。

「仲間をかばうことぐらいしか能の無い私ですが、その分耐久力には自信があります」
 敵の刃や銃弾から仲間を庇うことが常の役割ならば。ウイルスの脅威を防ぐためその身を捧げるのも同じく騎士の役目に他ならない。
 トリテレイアは自身の防具に体内の反応をモニターするための装置を取り付けると、スペースシップワールドの研究員たちにその身を任せる。
「このウイルスは猟兵にとっても、一般人にとっても危険な存在。騎士として、その脅威を防ぐための盾となりましょう」

 そしてオロチウイルスが彼の身体に投与される。
 その鋼のボディさえも肉の身体と同様に蝕んでいくウイルスに対し、しかしトリテレイアは微動だにしない。
 守護騎士たらんと希う、トリテレイアの尊き誓いがユーベルコードとなって、彼の身体能力を増大させているのだ。
 活性化された彼の免疫プログラムは、オロチウイルスの侵蝕にも耐え抜く。

 やがて実験が終了すると、トリテレイアはモニター装置を外し、そのデータを研究員たちに渡して立ち上がる。
「あとは任せました」
 どこへ行くのか、と問う研究員に対し、トリテレイアは当然のように答える。次の戦場に向かいます、と。
 ウイルスの侵蝕に耐え抜いたとはいえ、彼にかかった負荷は絶大。まだ絶対安静だと慌てる研究員に、トリテレイアはあくまで冷静です。
「メンテは受けますので問題ありません。安静にしている暇はないので」
 何故ならば、この作戦の成功は確定事項だから。ならば当然、次の戦場が彼を待っている。
 機械仕掛けの守護騎士は、まだここで立ち止まるわけにはいかなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィサラ・ヴァイン
霊薬の素材になる『ゴルゴンの血』なら、オロチウイルスにも効果あるので血をドバドバ提供します。『異形生まれの血清』もどうぞどうぞ
【霊薬の雨】で霊薬も作ります
適当にウイルスのサンプルと混ぜて抗体を作ります
ウイルスとか多分毒と同じなので[毒使い24]の私なら扱えます!
何ならウイルスを少量体内に入れて、体内で抗体を作ります。蛇の血清と同じ作り方ですね! [毒耐性14]で耐えます!
私の力は『神秘のヴェール』に包まれてるので、理論とか超えて神秘の力で何とかなります!根拠はないですけど
「ヤバいです、ウイルス体内にキメたらテンションが変な事に……」
その姿は、ある意味すべての敵に[恐怖を与える27]
アドリブ歓迎



「ウイルスとか多分毒と同じなので、毒使いの私なら扱えます!」
 スペースシップワールドの研究員たちを前に、そう豪語したのはヴィサラ・ヴァイン(人見知りなゴルゴン少女・f00702)。
 根拠の無い自信ではない。彼女にとって毒と薬は最も身近な――そう、その身の一部なのだから。

「霊薬の素材になる私の血なら、オロチウイルスにも効果あります。血清もどうぞどうぞ」
 そう言ってヴィサラは躊躇うことなく自分の手を切り、ドバドバと溢れる血を研究員たちに提供していく。
 大丈夫なんですか?! と慌てる研究員にも彼女は笑顔。
「霊薬ですぐ治せますから、大丈夫です」
 ヴィサラ自身の血液から精製される霊薬の効き目は、他ならぬ彼女自身が証明している。
 さらにヴィサラはその霊薬にウイルスのサンプルを混ぜ込み、抗体の作成を試みる。
「完成です! 効き目は私が保証します!」
 なぜそんなに自信たっぷりなのか問う研究員に、やはり彼女は笑顔で。
「さっきウイルスを私の体内に入れて、体内で抗体を作りましたから」
 大丈夫なんですか?! と二度目のツッコミが飛んだ。
「蛇の血清と同じ作り方ですよ! 私は毒耐性もあるので大丈夫です!」
 おそらく、それで大丈夫なのは彼女以外にはごく僅かだろう。

 ヴィサラの力は神秘のヴェールに包まれている。それは理論を超えて根拠も無く神秘の力で結果を引き寄せる、ある意味奇跡そのものの力だ。
 ……が、確かに今は奇跡が必要とされているとはいえ、奇跡すぎてもちょっと困る。神秘的すぎて他の人間には理解も複製もできないのである。
 まさか全宇宙船の人間に抗体が行き渡るだけの血液をヴィサラから搾り取るわけにもいかず。
 彼女の血液と血清、そして体内で精製された抗体は重要な資料として研究されることになる。

 というか、本当の本当に大丈夫なんですか? と念を押すように聞く研究員に対し、ヴィサラは笑顔で――。
「大丈夫で……あれ、ヤバいです、ウイルス体内にキメたらテンションが変な事に……」
 ようやくその事を自覚したヴィサラは、ぱたん、と糸が切れたようにその場に倒れた。
 原因は貧血と霊薬精製による疲労、そしてやはり耐えたとはいえガッツリ彼女を蝕んでいたオロチウイルスである。
 ――その後彼女が医務室に緊急搬送されたのは言うまでもない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユース・アルビトラートル
 ボク自身は、集まってくれた研究者の方々の能力は信用に値する……とは考えているんだ。奇跡さえ起これば可能ではあるんだから。その確率が奇跡が必要な程度に「極めて低い」とすると、そうなる要因があると考えざるを得ない。それを排除してみよう。

 その上でボク、ある可能性を考えたんだよ。そもそもオロチウイルスは、ブリーフィングの通りならあまりに危険だから扱い方すら確立していないんじゃないかと。だったら多少のミスは「無かったこと」に出来ちゃうボクの出番じゃないかい?

 ユーベルコード相手にも使っている「遡及的無効化魔法」を以て、彼らの実験を根底から支えるよ。まずは行動、失敗したら無かったことにしてあげるのさ!



 オロチウイルスの抗体作成のため奔走する人々の様子を眺めながら、ユース・アルビトラートル(法の声の代弁者・f03058)はあることを考えていた。
(ここに集まってくれた研究員の方々の能力は信用に値する……それは間違いない)
 解放軍に参入した宇宙船中から結集された、科学者や医療関係者、最新の設備とデータベース。それは間違いなくスペースシップワールドの科学技術の粋と呼べるものだ。
(時間内に抗体を作ることも、奇跡さえ起これば可能ではあるんだから。その確率が奇跡が必要な程度に「極めて低い」とすると、そうなる要因があると考えざるを得ない)
 ならばそれを排除してみようと、フェアリーの裁判官は笑う。

 前提を踏まえた上で、ユースはある可能性を考えていた。
 そもそもオロチウイルスはこれまで完全に未知だったうえ、あまりにも危険すぎる致死性を持つ病原体だ。
 研究以前に、まずはその基本的な扱い方さえ確立されていない。
 一歩間違えれば、この研究施設がオロチウイルスの温床となり、ワープドライブの使い手たるミディアや猟兵を含めた貴重な人材が丸ごと犠牲になる可能性もあるのだ――その扱いには慎重にもなろう。
 だが、その慎重さが今は逆に、研究の遅延を招いているのではないか?

「だったらボクの出番だ。ボクなら多少のミスは『無かったこと』に出来ちゃうからね」
 ユースは研究員たちに説明する。自身のユーベルコード【取消し】にも使用されている「遡及的無効化魔法」について。
 言葉通りその魔法は、特定の事象を遡及的に無効化――要するに「最初からなかったこと」にする、脅威の魔法だ。
 その力は万能でこそないが絶大。なにせ本来はオブリビオンのユーベルコードを相殺するために使われる魔法である。
 常識の範疇で起こりうる少々のミス程度であれば、余裕で「無かったこと」にできるだろう。

 猟兵の底知れぬ力に驚嘆する研究員たち。彼らを前にしてユースは言う。
「ボクの魔法を以って、キミたちの実験を根底から支えるよ。まずは行動、失敗したら無かったことにしてあげるから!」
 重要なのは失敗を恐れぬこと。トライ&エラーはあらゆる結果の根底にある。
 致命的なエラーを引き起こすリスクが削減されたことで、研究チームの研究は大いに加速していく。

成功 🔵​🔵​🔴​

メンカル・プルモーサ
……オロチウィルス…本当にウィルスかどうかから考えないとかも……
ひとまず、古代遺跡船にあるパソコンのソフトウェアを解析に最適化……
医術術式【ノーデンス】の力を借りて魔術的にも解析する……

…【尽きる事なき暴食の大火】で延焼設定を細かく制御する事で指定した物だけを焼く(もしくは残す)高性能フィルタとして機能させる……
最終的にオロチウィルスの抗体だけを取り出す必要があるし…ウィルスだけを取り出したい事もあるし…
……まさか、ね……と思いつつ解析した情報をもって【崩壊せし邪悪なる符号】をオロチウィルスに放ち、Dr.オロチのUC由来の物であるかも確認…通じたら分解した情報が手がかりになる…



「……オロチウイルス……本当にウイルスかどうかから考えないとかも……」
 三つの世界の技術を修め、科学と魔法の双方に精通するメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、独自の観点から研究を進めていた。
 まずは古代遺跡船のコンピュータのソフトウェアを解析用に最適化。
 同時に医療術式【ノーデンス】を起動し、魔術的な方面からもウイルスの解析を行う。

 彼女の元に集められたサンプルを前に、メンカルが発動させるのは【尽きる事なき暴食の大火】。
 その白炎にとって、万物を焼くも焼かぬも術者の意思次第。メンカルは炎の延焼設定を極微レベルで細かく制御し、この炎を指定した物だけを焼く――もしくは残す、高性能フィルタとして機能させる。
 サンプルから未完成のウイルスの抗体、あるいはウイルスそのものだけを抽出。【ノーデンス】の分析にかける。
 それは恐ろしく集中力を要する作業だったが、表情も変えず彼女は実現してみせる。

 ウイルスの解析を進めていたメンカルは、やがてある推測に辿り着く。
「……まさか、ね……」
 そう思いながらも彼女は解析した情報を元に、【崩壊せし邪悪なる符号】をオロチウイルスに放つ。
 それは対象のユーベルコードを分解し相殺する魔術。奇跡――ユーベルコードを以ってしなければ対処できないウイルスもまた、ユーベルコードに由来するものではないか、というのが彼女の推測だった。
 確かに、機械や器物由来の種族さえ無差別に殺戮するオロチウイルスの性質は、世界の法則を逸脱していると言っても過言ではないだろう。

 メンカルの魔術がオロチウイルスの情報を分解する。しかしその結果は――
「……失敗、ね……」
 分解は成らなかった。原因は情報不足。これまで完全に未知だったウイルスをこの短時間で解析し、初見で分解するのは、メンカルの叡智を以ってしても困難だった。
 だが、失敗もまた貴重なデータである。それにこのウイルスがユーベルコードに由来する可能性も消えたわけではない。
 もしそうであれば、このウイルスを生成するユーベルコードの主は、間違いなく――ドクター・オロチ。

 このオロチウイルスの研究は人々を救うだけではなく、ドクター・オロチ攻略の鍵にもなるかもしれない。
 推測に確かな答えを得るために、メンカルはウイルスの研究を続けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

桜雨・カイ
「オペラツィオン・マカブル」はユーベルコードを「無効化」して排出します。今回はウイルスですが、体内に入れば同様に無効化しようと働きかけるかもしれません。そのデータを取って下さい。

脱力状態が条件なので、【催眠術】と【祈り】で自分に暗示
大丈夫、大丈夫。苦しくない。
ここで抗体ができなければ、苦しむ人が大勢出る。
人の苦しむ姿を見るくらいなら、こんなもの全然苦しくない
みんなを助けられるのなら、この身をギリギリまで使って下さい。



「私のユーベルコード『オペラツィオン・マカブル』はユーベルコードを『無効化』して排出します」
 スペースシップワールドの研究員に、桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は自分がこれから行う実験について伝える。
「今回はウイルスですが、体内に入れば同様に無効化しようと働きかけるかもしれません。そのデータを取って下さい」
 危険ではないのですか、と問う研究員に、カイは答える。
 危険はある。しかし、誰かがやらねばならぬことだと。

 オペラツィオン・マカブルの発動には完全な脱力状態が条件となる。
 その状態を満たすために、カイは自らに催眠と暗示をかける。
「大丈夫、大丈夫。苦しくない」
 繰り返し呟く言葉は、まるで祈りのようでもあった。
 ――オペラツィオン・マカブルには条件と同時にリスクもある。もしも発動に失敗すれば、受ける被害は2倍となって本人に降りかかる。
 半端に無防備な状態で倍化したオロチウイルスに蝕まれれば、たとえ猟兵でも即死すら在り得るだろう。

 それでもカイは躊躇わなかった。
「みんなを助けられるのなら、この身をギリギリまで使って下さい」
 危険な兆候が見られても、限界寸前までデータの採取を続けるようにと。
 その覚悟を受け止めた研究員が、オロチウイルスを彼の体内に注入する。
 ――死のウイルスが全身を巡り蝕んでいく感覚。思わず身構えそうになるのをカイは堪える。
(ここで抗体ができなければ、苦しむ人が大勢出る。人の苦しむ姿を見るくらいなら、こんなもの全然苦しくない)
 ヤドリガミとなった今でも、その本質は「人形」であり、人のために自分はある――それがカイの信念であり、矜持。
 すぅと息を吐き、完全な脱力状態へ。
 ウイルスは見事に無毒化され、もう一人のカイ自身であるからくり人形から排出された。

 成功だ。にわかに研究員たちが沸き立つ。
 カイの体内でウイルスが無毒化されるプロセスのデータ、そして排出された無毒化ウイルスの結晶体は、研究の大きな助けとなる。
 口々にカイの勇気を讃え感謝する言葉を浴びて、彼は照れたように小さく笑みを浮かべるのだった。

 ――こうして、猟兵たちの"奇跡"と"努力"の積み重ねによって、ウイルスの研究は劇的に加速する。
 オロチウイルスが根絶される時は、既に「確定事項」となっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月14日


挿絵イラスト