殲神封神大戦⑩〜火炎焱燚
「殲禍炎剣だと……!?」
オブリビオンマシン、哪吒。
封神武侠界の有力敵であるはずのその存在が口にした名に、ムルヘルベル・アーキロギアは震撼した。
「彼奴は張角を討つためには避けて通れぬ敵。だが……どうやらそれ以前に、是が非でも倒さねばならんようだ」
ムルヘルベルがグリモアを通して得た予知。
それは、奴の言葉が嘘でないという証明――カタストロフの危機だった。
九竜神火罩。それは、哪吒の生みの親とされる太乙真人が持つ宝貝だ。
もちろん、封神武侠界においては違う。この世界における九竜神火罩とは、すなわち。
「端的に言えば、すさまじく強力な衛星兵器のようだ。
一度打ち上げられれば最後、無限に放たれるレーザーが地表を焼き尽くすであろう」
まるで、殲禍炎剣そのもの。対象を限定しないぶんそれよりタチが悪い。
「打ち上げられてしまえば終わりである。そして彼奴は、すでに準備を始めておる。
いますぐ彼奴のもとへ向かい、これを阻止せねば、張角どころの話ではないのだ。
……しかも哪吒は、おそらく他の有力敵と比べてさえ、途轍もなく強い。
不幸中の幸いなのは、彼奴が九竜神火罩を守ろうとしていることであるが……」
逆に言えば、付け入る隙はそこにしかない。
建業の都は、哪吒と同じ姿の量産型軍団に占領されているからだ!
「言うまでもなく、彼奴はあらゆるユーベルコードに対して先制を取るであろう。
ユーベルコードでなしに、あれを傷つけることは……極めて難しいと言わざるを得ぬ。
正直、どう攻略したものか、ワガハイには解らぬ。まさしく伏兵であるな……」
ベルセルクドラゴン然り、ただ「強い」という純然はある意味でもっとも脅威だ。
ムルヘルベルは顰め面ながら、嘆息し本を閉じた。
「オヌシらに託すほかない。どうか頼むぞ、この世界を守ってくれ」
敵は哪吒、極めて強力。
破滅の先触れを、いかにして打ち崩すか……!?
唐揚げ
今回の判定は(やや難の範囲で)限りなく厳しめに判定します。
シナリオが失敗すると……どうなるんでしょうね、恐ろしいですね!
第1章 ボス戦
『オブリビオンマシン『哪吒』』
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POW : RX金蛟剪(きんこうせん)
【二刃一対のハサミ型刀剣兵器】が命中した敵から剥ぎ取った部位を喰らう事で、敵の弱点に対応した形状の【新型オブリビオンマシン】に変身する。
SPD : EP風火輪(ふうかりん)
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両足の火炎車輪型フロートユニット】から【火炎竜巻】を放つ。
WIZ : RXS-A乾坤圏(けんこんけん)
【腕】を向けた対象に、【空飛ぶロケットパンチ】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:雲間陽子
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
フィッダ・ヨクセム
規模がでかすぎてだな……まあいいか
四足の獣型オブリビオンマシン、黒豹で向かう
UCは全力魔法を限界突破して使用
揃える獣数を多くをぶつけてやるのがいいな
どうせ此処は炎の波だらけ、いッそ燃えてようが痛かねーだろ
消えない魔炎だ、護りにいかねーと延焼していくぞ、と挑発しよう
マシンのオブリビオンとは気が合いそうな気もするが
魔力をつぎ込んで援護する
運転なら自信があるが、マシンのオブリビオン任せだ
てめェがムカつくモンを俊敏さを生かして薙ぎ払え
コイツが5Mもの大きさでファイアフォックス化して俺様の代理で暴れたらどうする?んなもん簡単だ
ノーガードで九竜神火罩を狙って燃やして獣のように荒らして食らいつくまでさ
●一の激突:フィッダ・ヨクセム
四足の獣型オブリビオンマシン、『黒豹』が吠える。
荒ぶる獣性は、目の前の『哪吒』を同類でありながら相容れないモノと瞬時に認め、一切の守りを捨てて飛びかかったのだ。
「消えない魔炎だ、護りにいかねーと延焼していくぞ!」
その機体に搭乗する――といっても、彼はオブリビオンマシンの制御を手放し、魔力による援護のみに集中している――フィッダは、哪吒に向かって叫んだ。
猛烈な勢いで燃え上がる魔炎は、命中すれば消えずに敵を責め苛む。たしかにそれを放置しておけば、あるいは九竜神火罩に手が及ぶ可能性もあるだろう。
可能性は、あった。
だが残念ながら、哪吒はあらゆるユーベルコードに対して先制攻撃を打つ。
それはつまり、魔術で作り上げたハイエナの群れが自身に命中するよりも早く、いや、それどころか放たれた瞬間に、金蛟剪の名を与えられた恐るべき近接兵器で敵を抉ることが出来るのだ!
「っぐ!?」
その俊敏さを活かす暇すらなく、黒豹の前脚はばつん、と切断された。
哪吒は切断したそれを掴み取り、体勢を崩した黒豹を投げ飛ばすと、おぞましき方法によって黒豹の一部を取り込んでしまう!
「吾の進化を見るがいい。六番目の猟兵よ」
めき、めきめき……と不気味な生物的異音を立てて、哪吒の身体が変貌する。
遅れて魔術で生まれた炎の獣が飛びかかるが、猛進を止めるには至らない。
いわんや、九竜神火罩への延焼など、届くはずもなかった。
「その弱点、捉えた」
「……俺様が弱点だとでも言いたいのか? あ?」
然り。オブリビオンマシンは、通常はパイロットなしには活動できない。
自立型オブリビオンマシンである哪吒は、一種の例外だ。
魔力を注ぎ込むフィッダさえ仕留めれば黒豹は止まる。弱点とはまさにそれか!
食らいつく炎のハイエナを力技でねじ伏せ、哪吒が貫手を放った。
バキバキ! と音を立てて黒豹は貫かれる。フィッダは……死んでいない。
「ムカつくよなあ……ムカつくだろ! だったら、薙ぎ払え!!」
ギリギリのところで黒豹が身を捩り、コクピットを守ったのだ。
無傷ではない。それでもフィッダは魔力を、己の命を魔獣に託す。
注ぎ込まれた魔力で前脚が仮初に回復し、黒豹本体が哪吒に噛み付いた!
その体が燃え上がり、己そのものが炎と化して爪を立てる!
「これが、六番目の猟兵の底力か……!」
九竜神火罩を守らねばならぬ以上、哪吒は長期戦を継続しがたい。
二撃目でとどめを刺すプランを棄却し、黒豹ごとフィッダを投げ捨てる。
今度こそ前脚は完全に砕け、黒豹は不快げに唸りながら動作を停止した。
その内部、衝撃をまともに受けたフィッダは、頭から流れた血を苛立たしげに拭う。
「やっぱり気が合うな、俺様たちはよ」
怒りがある。燃えるような怒りだ。
その怒りに呼応するかのように燃えるハイエナがまた一匹、生まれ、哪吒に飛びかかった。
苦戦
🔵🔴🔴
メサイア・エルネイジェ
こちらの哪吒は単機ですけどすんげぇ強いんですわね
正直おっかねぇですけど…ヴリちゃんが居れば平気ですわ!
早速ロケパンが来ましたわ
速いし追尾するしで回避は難しそうですわね
ここはガンフューラーユニットのビームガン、二連装砲、ミサイルをフルに使って撃ち落として対抗しますわ
でも迎撃ばかりでは勝てませんわ
強力な一撃をぶつけませんと…
ヴリちゃん、滅亡の光のチャージを始めるのですわ
わたくしは撃ち合いを続けて時間を稼ぎますわ
回避は考えずにロケパンを撃ち落とす事に専念しますわよ
チャージの時間は多くかけるほど良いですわ
最短でも弾切れまでは粘りましょう
後は発射するだけですわ
ロケパン諸共本体をぶっ飛ばしてさしあげますわ
●二の激突:メサイア・エルネイジェ
ロケットパンチ、ようは飛来物だ。
それを弾幕で迎撃し、敵の弾切れまで粘る。
そしてその間に、十分な時間をかけて充填した『ヴリトラ・ガンフューラー』の極大荷電粒子砲を叩き込む。
言うは易く行うは難し。だが、ヴリトラにはそれを可能としうるだけの豊富な銃火器武装が積み込まれている。
回避を考えず、ひたすらに迎撃を続ければ、耐えることは出来たかもしれない。
だが残念ながら、メサイアはひとつ読み違えていた。
それは……迎撃よりもなお、哪吒の先制攻撃は疾かったということだ。
そもそも、豊富な銃火器類の弾幕が展開されるよりも早く、乾坤圏の名を持つロケットパンチは叩き込まれていた!
「きゃあああっ!?」
幸いだったのは、弾幕の初動がロケットパンチに命中し、その破滅的な勢いと致命的箇所への狙いをわずかにずらしていたことだろう。
それでも直撃には等しく、ヴリトラの巨体は轟音を立てて転倒する。
哪吒は追撃を仕掛けない。九竜神火罩を守らねばならない以上、攻め一辺倒に回ることは出来ないのだ。
「武装解析。その荷電粒子砲を破壊する」
加えて哪吒は冷徹だ。チャージの時間さえも与えぬ追撃!
「ヴリちゃん! いまチャージしているぶんでいいですわ、撃って!」
メサイアの判断は、結果的に彼女と彼女の乗機を救った。
哪吒を撃つには足りないが、全出力を注いで放たれた『滅亡の光(ジェノサイドバスター・エクシード)』は、今度こそロケットパンチを迎撃。
「今度こそ、撃ち落としてみせますわ……!!」
メサイアはさらに、全弾を発射! ロケットパンチは空中で爆砕し、減衰しながらも爆煙を貫いた熱雷の光が哪吒の装甲を焼き焦がす!
「命中、だと……!?」
哪吒にとって、この反撃は計算にない一撃だった。
メサイアが最初に意図していたダメージに比べれば、規模ははるかに小さい。だが彼女とヴリトラの意地は、たしかに強大なるオブリビオンマシンに一撃をもたらしたのである。
苦戦
🔵🔴🔴
シズホ・トヒソズマ
やばい相手ですが、ヒーローとしてそんな衛星打ち上げさせる訳にはいかないですからね!
からくり人形は◆早業で◆操縦
まずはインドラで衛星向けて電撃を放射
最初は大した電流ではないので敵も私の焦り等と判断するでしょう
敵の炎はクロスリベルで上げた反応速度で
デザイアキメラの◆火炎耐性◆オーラ防御やガオによる熱エネルギーの◆捕食
王劾で召喚した炎の獣たちの◆焼却による相殺で防御
時間を稼ぐ間にインドラの電撃放射は増幅し衛星へ
私への攻撃をし続けては先に衛星が電気でイカれますよ
と相手が電撃の妨害に向かった隙にUC発動
スーパー戦車の力を使用
戦場全体への戦車砲による砲弾雨の攻撃で
衛星を守ろうと動き回ろうと戦車砲を当てます
●三の激突:シズホ・トヒソズマ
複数の人形を同時に操縦し、かつそれぞれの性能を最大限に引き出すシズホの人形遣いとしての腕前は、超一流といっていい。
事実、彼女はそうして数多のオブリビオン・フォーミュラと有力敵を倒し、その力を己のものとしてきた。
しかし、今回ばかりはそうもいかなかった。
巨腕型強襲人形『クロスリベル』のもたらす反応速度上昇、
デザイア・キメラ(三欲の獣)が展開した火炎耐性特化バリア、
エネルギー捕食変換人形『ガオ』のオールイーター炉の出力全開捕食、
加えて炎獣牙剣『王劾』から召喚された200体以上の炎の獣。
そのすべてが、火炎竜巻に飲まれた。そしてシズホ本体もまた同じく。
「これだけ布陣を万全にしても、まだ足りませんか……!!」
そもそも、インドラによる電撃放射すら許さぬ速度の先制攻撃だ。
シズホ本体のダメージは戦闘可能なレベルにかろうじて抑えることが出来たものの、電撃放射のために展開されていたインドラは火炎竜巻のダメージに耐えきれず、機能停止。九竜神火罩には、電撃一筋とて届かなかった。
「やばい相手だとはわかっていましたが、ここまでとなると少し困りますね……!」
「六番目の猟兵よ、終わりだ。このまま吾はお前を滅殺する」
「さすがにそれは無理でしょう、そちらが全力で来ればまだしもですが!」
全人形、全武装がすべての力を振り絞り、数秒の間隙を生む。
インドラが機能停止した以上、衛星への攻撃をブラフとした反撃は不可能。
ならば物量で圧倒するほかなし。スーパー戦車の力を宿した砲撃の雨が降り注ぐ!
「さあ、この砲撃の雨のなか、それを守り抜いてなお私を殺せますか!?」
哪吒の判断は合理的かつ疾かった。火炎竜巻は攻撃から防御に転ずる。
すさまじい量の弾雨を受け止め燃やす竜巻は、衛星へ出力を充填。
それゆえに、哪吒本体には攻撃が届く。シズホの狙いはそこにある!
「応報を以て因果を制す! これが、己の科学力で滅びた世界の兵器の力ですよ」
KA-DOOOM!! 戦車砲、命中! 哪吒の巨体がぐらりと傾ぎ、着地!
「命中、だと……この状況を逆手に取り、なおも諦めぬとは……」
哪吒へのダメージは確実に入っている。だが九竜神火罩のカウントダウンは着実に進んでいる。
はたして猟兵たちの猛攻は、破滅の刻に間に合うことができるか……!?
苦戦
🔵🔴🔴
シャルロッテ・ヴェイロン
九竜城塞の次はキャバリアときましたか。(世界的に)オーバーテックもいいとこですね!
ホワイトラビットを【操縦】して参戦、【ダッシュ】で接近しつつ敵の【先制攻撃】の軌道を【野生の勘・第六感】で【見切り、残像】を残しつつ回避していきましょう。
敵があの衛星を守っているというなら、UCの内7割を「破壊」属性で、残り3割を「対オブリビオン」属性(割合は状況に応じて調整)で攻撃していきましょう(【誘導弾・2回攻撃・一斉発射・乱れ撃ち・制圧射撃・属性攻撃・レーザー射撃】)。
あとは隙を見せたところで急接近し、ビームソードで【切断・部位破壊】といきましょうか。
※アドリブ・連携歓迎
●四の激突:シャルロッテ・ヴェイロン
攻撃を躱す。
哪吒という根本から強大なオブリビオンマシンを相手には、ただ「回避する」という動作ひとつですら命懸けとなる。
シャルロッテは、優れた猟兵だ。彼女は現実に何体もの強力なオブリビオンを打ち倒してきたし、ひとつひとつの戦いで培った経験と技量を併せ持つ。
同時に油断や驕慢もなく、敵の性能を把握し、警戒した上で戦っていた。
ホワイトラビットの性能についても折り紙付きだ。だが、しかし!
「……ッ!!」
ボディをかすめたロケットパンチは、直撃こそしなかったものの駆動系に甚大なダメージを与えた。
文字通り兎めいて飛び跳ね近づこうとしていたホワイトラビットは、きりもみ回転しながら建業の街へと堕ちていく。
無数のエラーメッセージとレッドアラートが、けたたましくコクピットを鳴らす。機体のダメージは大きい。だが、まだ、動ける。
(「してやられましたね、これでも粘ったつもりですよ……!」)
生きている。そして、動ける。その2点を守り抜いた時点で、シャルロッテが一流の猟兵であることは証明されているだろう。
彼女に一縷とて油断があれば、あの鋼の拳はホワイトラビットを直撃し、コクピットをぶち抜くか機体ごと爆散せしめていたのだから。
そして生き延びた以上、イニシアチブはシャルロッテに映った。
名前からは想像も出来ぬほどに不格好に着地したホワイトラビットは、架空攻撃武装を展開、すべての出力を注ぎ込んで解き放つ!
「守らざるを得ませんよね、その衛星を……!」
「……!」
然り。哪吒の大目的は衛星の打ち上げ。それゆえに、『ATTACK COMMAND』の大部分を防御せざるを得ない。動きが止まる。
致死的追撃に一秒の猶予が生まれる。1フレームの世界に生きるシャルロッテにはそれで十分!
「隙を! 見せましたね!」
ホワイトラビットは無事なバーニアで加速、ほとんど捨て身のビームソードを叩きつけた!
哪吒の装甲がバターめいて切り裂かれ、スパーク! ダメージが入ったのだ!
「六番目の猟兵……!」
感情なき機械に生まれたもの、それは困惑と驚愕、そして……殺意。
破滅の使命を与えられたものは、いまもってようやく理解した。
猟兵こそ、残骸(われら)の天敵。
けして見過ごすこと出来ぬ、そして油断できぬ仇敵にして強敵なのだと。
破滅をもたらすには、これを退けずして達成は果たせぬのだと!
苦戦
🔵🔴🔴
ユーザリア・シン
【POW】対策:自身が装備している吸血騎のデバイス・キー(ワイズマンユニット【インカーナダイン】)を身代わりにし、わざと剥ぎ取らせ、食わせる
キャバリアの弱点は「強力だが、稼働時間が短い」「キャバリアがなければ変身して出現できない」なので
「一定時間、どんな攻撃も防ぐ」「周囲のキャバリアをすべて破壊する」という形状に相手を変身させる
この状態だとオブリビオンマシンは自身の外部に対して性能を割り振っているため、内部に対する防御が弱い
なので食われたインカーナダイン中枢体が内部からオブリビオンマシンそのものをハックし、ヴァンパイア・ザ・インカーナダインに変身
全力で暴れ「寿命」を削り切る
『狂っています』
それはあっちの事であろう
『作戦の成功率を計算したくはありませんね』
数字は捨てよ、最初が肝心だ
『当騎は貴女が存在する限り、本質的に消滅しません。しかし』
妾も逃げ回る事には慣れている。祈る事もな
離れていても、エネルギーは通ずる。そなたは自身の機能を最大限発揮せよ
『了解。ユー・ハブ』
アイ・ハブ。
では、征くか…
●五の激突:ユーザリア・シン、あるいはヴァンパイア・ザ・インカーナダイン
結論からいえば、それまでのすべての猟兵の攻撃に意味があった。
哪吒の計算上、そもそも自身が攻撃を喰らうはずはなかったのだ。
衛星を護りながらでも、いかなる敵をすら撃滅できるという確信があった。
だが、現実は違った。
消えぬ魔炎の傷はその機体を今もなお蝕み、
滅亡の銘を冠した光芒は槍めいて突き刺さり、
黄昏の世界より飛来した砲撃は駆動系を痛め、
光の剣は深くに食い込み、その動きを鈍らせていた。
そして哪吒は、猟兵を『六番目の猟兵』ではなく、『敵』と認識した。
使命達成を至上とする哪吒の思考に、いわばノイズが生まれていた。
脅威度の再計算。合理的な言い方をすればそうなるだろう。
むろん、使命は放棄しない。そのためにこそ哪吒はこの世界に来たのだ。
代行者としての使命。炎の破滅。それは義務ではなく必然としてもたらされる。
だが、いや、それゆえに、この敵は見過ごしてはならぬと、奴は考えていた。
ゆえに、奴は――『護りながらでも食えた』ゆえに……ユーザリアの肉体の一部ごと、そのデバイス・キーを喰った。
魔鍵インカーナダイン。吸血騎の中枢。けして渡してはならぬモノ。
「喰ったな」
おびただしい血を流れるに任せ、ユーザリアは嗤った。
次の瞬間、彼女は消し飛ぶ――はず、だった。
そうはならなかった。
そうはならなかったのだ。
「これ、は……機能異常……!?」
めき、めきめき……生物的異音が響く。変異を終えたはずの哪吒から、さらに。
そして、花開いた。血の如き鋼の華! 吸血騎のボディが!
『やはり、狂っています』
インカーナダインは言った。
「だが、成功はしたぞ」
『代償が大きすぎました』
「いずれは治るさ」
『そういう問題ではありません』
「祈るのに、支障はない」
ユーザリアは仰向けに倒れた。頭上、燃える視界の中に赤がふたつ。
かたや破滅の炎を纏い、己より『生まれた』吸血騎を襲うオブリビオンマシン。
かたや捨身の紅を纏い、オブリビオンマシンをハックすることで現出した吸血騎。
ユーザリアの心臓は動く。まだ生きている。ならば、それでいい。
「綺麗だな。ああ、とても綺麗だ」
きっと死ぬ時に見る光景は、こんなものなのだろうと彼女は思った。
いや、そうであればいいと願った。女には所詮、祈ることしか出来ぬ。
祈りは結実した。猟兵たちの奮戦を糧として、その一撃はついに届いた。
カウントダウンは続く。だがこの瞬間、哪吒の命運は、それより一秒早くだけ時計の針を進めた。
成功
🔵🔵🔴
ダビング・レコーズ
これより戦闘行動を開始します
ソリッドステート形態のアークレイズで出撃
九竜神火罩へ高速接近
進路を阻まれた上に金蛟剪での迎撃を受ける事態を想定
EMフィールドで威力を減衰させ回避可能の有無を問わず敢えて被弾
ただし意図した被弾は掠める程度に留める
敵は航空機の弱点である誘導弾を使用可能な形態に変異すると予想
直後に旋回性能及び運動性に優れ誘導弾への対処能力が高いキャバリア形態に変形
迎撃は行わず回避機動で引き付け九竜神火罩近辺に軌道を誘導
哪吒自身の強力な攻撃手段を以て九竜神火罩に損傷を与える
敵が庇いに入った場合はルナライトより荷電粒子榴弾を発射
目標は発射台
敵を巻き込みつつ九竜神火罩の打ち上げ阻止を試みる
●六の激突:ダビング・レコーズ
高速近接戦闘型クロムキャバリア、『アークレイズ』。
可変機構を持つこの機体は、その性能を発揮することで空間戦闘機形態へと瞬時に変化する。
瞬時に。形状記憶合金の応用による変形は、もはや「変化」と呼ぶのが適当だ。
かつ、この形態――すなわち『ソリッドステート』と"化した"アークレイズは、並の戦闘機が相手にならぬほどの超高機動を発揮しうる。
それが、全速力で、まっすぐに接近する。
並のオブリビオンマシンでは、対処どころか接近を知覚出来るかも危うい。
哪吒は、並ではない。ゆえに知覚したし、接近に対処をすらした。
奴にとって誤算だったのは、ダビングがそれを織り込んでいたことだろう。
ある意味で「無垢」な戦闘機構に逡巡や躊躇は存在せず、それゆえに自身の被弾を前提とした狂気的な作戦をすら遺憾なく決行した。
RX金蛟剪の二刃がめきめきと装甲に噛みつき、抉り、引きちぎる。
ダビングにとって誤算だったのは、その被弾が掠める程度には留まらなかったこと。飛行性能が大幅に減衰する……だがまだ飛べる。
そして両者にとって誤算だったのは、『飛行能力が減衰したこと』である。
高速機動を可能とする機体が、その機動力を失う。これは紛れもない『弱点』だ。
それゆえに哪吒の取った形態は、ダビングの予想以上に誘導弾射出、および空対空攻撃に特化した形態だった。
「キャバリア形態、変化」
ここからが仕込みの開陳だ。ダビングはまず、堕ちながらアークレイズを再変化。
誘導弾を頭上すれすれに躱し、近づくと見えて弾道を引きつける。
「……九竜神火罩を盾にするか」
哪吒はその狙いを瞬時に読んだ。必然、誘導弾は逸れざるを得ない。
ここまで、現実においてはコンマ秒ほどの経過。これこそが超高速のドッグファイト!
「プラズマリアクター、最大出力――発射」
BX-Aルナライト出力全開、荷電粒子榴弾、射出!
迎撃の誘導弾は届かない。この形態はそれを可能としていない!
「被弾……!?」
九竜神火罩を庇いに入った哪吒は、プラズマグレネードの直撃を受けた。
電光がその巨体を包み、噴血じみてそこかしこからスパークを零す。
紛れもない直撃。趨勢は、再び均衡を得たのだ!
成功
🔵🔵🔴
深山・鴇
【逢魔ヶ時】
あれを何とかするのが仕事だからね、何とかしてみようか
さて、山ほどいるがどうしたもんか……ここから一気に九竜神火罩を狙ってもいいかもしれんが
……逢真君?
逢真君が妙に静かなのが気になるところだが、かみさまの考えることは突飛だから――って、君!
ああクソッ、俺はかみさまとしての君を信じちゃいるが、これは貸しだからな!
(影の中に問答無用で沈められた、文句を言おうにも届いているかどうかがわからない)
影の中から跳ね上げられれば見渡す限りの朱い羽根、マジで貸しだからな、と心の中で毒づいて加護の力を振るう
逢真君が量産型の動きをなんとかしてくれている間に、この目に映る哪吒の全てを斬ってやろう
距離も質量もでかさも知ったことか、少々八つ当たりなのは自覚しているがね!
朱い羽根の舞う戦場を量産型を斬り伏せながら駆けよう、うちのかみさまに後を任されたからにはそれっくらいはしてみせなくちゃ、男が廃るってものさ
あわよくば九竜神火罩も叩き落してやろう、この加護の力を甘く見て貰っちゃ困るんでね!
朱酉・逢真
【逢魔ヶ時】
心情)頼むと請われりゃ応えよう。そいつがどンな無理難題でも、俺ァそのため生まれた神だ。信徒どのが付き合ってくれるそうだから、その光(*いのち)だけはなんとか守ってみせよう。いつだって、未来を切り開くのはヒトだからな。神は道具、いのちの踏み台。景気よく跳ね上げてやっから跳び越えて見せな。
行動)〈黯(*影)〉に沈めて先制を回避。俺じゃないぜ。深山の旦那をさ。ひとり分の影にふたりは沈めン、俺は攻撃を食らうよ。ふたり分な。幾重にも毒の結界を張り、防がず逸らす。アタマがミリでも残るようにな。ロケットパンチと刀剣の威力はとんでもねェ、逸らしたって当たるだろう。形も残るまい。だがイイさ、一瞬でも…一刹那でも意識を残せれば発動する。ぱァんと景気よく朱い羽根。断末魔ってヤツさ…直後に俺はくたばり、旦那は影から開放される。少しの間《過去》同士に同士討ち、なにより打ち上げ装置をバグらせる。その隙に旦那、任せたよ。命中・威力は上げてある。切り拓けよ生命、影は汝が地に立つ証さ!
●神頼み
神とは強大だが、おそらくこの世でもっとも不自由なモノだ。
力を持つがゆえに、ただ身動ぎするだけでも世界に影響を与えてしまう。
存在格が高ければ、在るだけでも物事が波及し、人はそこから意を汲もうとする。
神が人を、いのちを愛していればいるほど、自縄自縛に陥る。
哀れなものだ。そこに自由意志など存在しないのだ。
憐憫さえも、所詮は人が人に向けるための感情でしかないが。
「逢真君?」
深山・鴇は、いつになく押し黙る朱酉・逢真の様子に気付いた。
表情は変わらぬ。切羽詰まっているというわけでもない。
ただこういうとき……妙に口数が少ないとき、逢真はろくなことをしない。
ろくなことをしないのはいつもの話だが、それにかけてもさらに「ろくでもないこと」をする。そういう直感が、信徒(かれ)にはある。
(「いや、気にしてもしょうがないか。かみさまの考えることは突飛――」)
「神は道具、いのちの踏み台さ」
「は?」
鴇は我が目を疑った。
逢真が、前に出たからだ。
"あれ"は、自らのことをか弱いとかクソザコとか抜かす。
事実、物理的にはそうかもしれないが、存在格は神の中においてさえ強大だろう。
よくも言うものだ、と思うが、とにかくそれを理由に、あれは前に出ない。
そもそも向いていないのだ。そこは、鴇も認めるところである。
その逢真が、前に出た。しかも強制されたわけでもなく、自ら。
哪吒がその存在を反応し、鴇が声を発するよりも疾く反応した。
絶対先制という有利。巨大な鉄塊が、ずん、と逢真を吹き飛ばす。
といっても、鴇はその瞬間を目視したわけではない。
間違いなくそうなる、という寸前の映像を見ただけで、その瞬間自体はフィルムを切り取ったように抜け落ちていた。
次に彼の視界が回復したとき、そこにあったのは逢真ではなく、朱い羽根だった。
何が起きたのか。鴇は言語でも視覚情報でもなく、本能で理解する。
影だ。暗がりは神の領域であり、そこに自らを沈ませ、そして回避させたのだ。
ただひとり。影はそれゆえに、ふたりを取り込むことは出来ない。
そして、自らが受けた。哪吒が自由であれば、おそらく鴇さえも逃さなかったろう。
打ち上げ装置を腐らそうという逢真の害意――これも彼にとっては非常に珍しい。逢真は他者を害そうとすることはほとんどないからだ――に反応し、攻撃した。
衛星を護りながらでは、ふたりは殺せぬ。だがひとりは殺せる。
逢真はそのひとりとなった。この朱い羽根が、その証明だ。
「ああクソッ!」
鴇は駆け出していた。言葉を吐き捨てる暇すら惜しい。
これは貸しだ。かみさまとしての彼を信じてはいるが、これは、貸しだ。
逢真にとっては、宿を壊す程度、なんてことはないのだろう。
すぐに創り出すことが出来るのだろう。だが、これは、貸しだ!
「八つ当たりを! させてもらうぞ!」
「裁断する」
刀剣兵器が鴇の肉を削ぐ! だが浅い! 初撃は影がやり過ごしたからだ!
腐り崩れゆく量産型の残骸(しかばね)を踏み越え、鴇は跳躍!
そう、跳んだ。影を、屍を、死を、朱い羽根を踏みつけて、人は、跳んだ。
(「切り拓けよ生命、影は汝が地に立つ証さ」)
頼む、と言われた。
ならば、応える。それが神だ。
そのために生まれた神(もの)であり、そのために死んでいくのだ。
どんな無理難題でも、荒唐無稽でも、人が願ったのであればそれに応える。
愛でも義務でも呪縛でも契約でもない、そういう存在として。
――未来を切り開けるのは、ヒトだけなのだから。
そして、斬撃が、咲いた。
「何……!?」
哪吒は驚愕した。攻撃を避けられ、あまつさえ反撃。
その身を衛星の盾にしたがゆえに、直撃を受けた哪吒は爆炎を咲かせる。
「うちのかみさまに後を任されたんだ、このくらいはしてみせなくちゃ、男が廃るってものさ」
鴇は苛立ちまじりに吐き捨てた。色男が台無しだ。
刀が映す男の相貌は、怒りに染まる。朱い羽根が雪めいて散る。
腐敗の匂いがそこかしこに漂う。その中でヒトは、清廉で、苛烈で、瑞々しかった。
成功
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アイオライト・セプテンバー
――殲禍炎剣!
その名前を、この世界で聞くことになるなんてね
私はずっと、私の世界をその名前から解放するために戦ってきた
あの攻撃衛星を他の世界にも浮かべるですって?
あの窮屈な空をクロムキャバリア以外にも作るですって?
冗談じゃない
ここは、クロムキャバリアの猟兵も立ち上がらないと嘘でしょう
私の愛機、【リベルタス】は高機動型、空中戦のスペシャリスト
敵の力が強大だからこそ、得意分野の【SPD】勝負で行きましょう
先制攻撃に対しては、とにかく第一撃の回避を試みる
オーバーロードを使っての機体の【リミッター解除】、このリベルタスの真の姿を最初から解放
この機体の強力な【推力移動】能力
私が培ってきた【空中戦】の経験と【操縦】技能
経験と技術を生かして奴の攻撃を【見切り】、回避から攻撃に映るタイミングを図る
躱し切れるとは限らない
腕に装備したビームバリアも念のために展開
強敵だものね、出し惜しみはしない
好機がきたら、搭載火力を奴の脚に集中、仲間のためにあの機動力を絶つ!
絶対に
絶対に
この世界の空までは汚させない!
●火炎焱燚
殲禍炎剣。
それは、クロムキャバリアの発展を阻害する疫病神であり、
空に君臨してすべてを薙ぎ払う暴君であり、
アイオライト・セプテンバーの、いや、人類の夢を阻む敵である。
忌まわしいその名を、この世界で耳にした。
それだけで、アイオライトが命を懸けるには十分すぎる。
「私はずっと、私の世界をその名前から解放するために戦ってきた」
操縦桿を強く握りしめる。
「あの攻撃衛星を、他の世界に浮かべるですって?」
強く、強く握りしめる。
「あの窮屈な空を、クロムキャバリア以外にも作るですって?」
映像越しに、敵を睨む。
「……冗談じゃない」
「冗談などではない」
斬撃痕からスパークを漏らし、哪吒は冷徹に言った。
「いいえ、冗談にするわ。あなたの存在も、それも、何もかもを!」
そんな終末は必要ない。あってはいけない。
限られた地上のパイを奪い合う不毛な戦乱が、ふたつある必要はない。
ゆえに、アイオライトは戦う。
その思いに、リベルタスが応えた。
初手からのリミッター解放。それはいわば、崖から飛び降りるようなもの。
R.ISE-R01・LIB:ERT-AS、コードネーム"リベルタス"。
超高度並列予知演算システム"エクスブレイン"を搭載したこの機体は、
アイオライトが普段駆るブルーバード・エクスとは比較にならない機動性を有する。
重力から解き放たれたような機動力。逆に言えばそれはパイロットを殺す重力の嵐(ストーム)だ。
運用のためのコストも含め、兵器としては欠陥品、試験機としては過十分、取り回しの難も加えれば動かすこと自体が狂っていると言ってもいい。
そのリミッターを解除するとなれば、アイオライトは死ぬつもりなのだ。
光の翼が不可解な輝きを帯びる。リベルタスはあらゆる枷から解き放たれた。
「今日は、死ぬのに一番いい日だ」
アイオライトは詩を口ずさむ。
あまりの加速Gで、コクピットの中にいるのに内側に風が生じ、長い青髪をなびかせた。
「ああ、今日は! 死ぬのにとてもいい日だ!」
ビームバリア、展開――腕ごと破砕。リベルタスは体勢を崩す。
アイオライトがそれすらも先読みした軌道を取っていなければきりもみ回転を起こし、自らの回転圧で空中爆砕していただろう。
落ちながら体勢を取り戻したリベルタスがV字を描く。片足が火炎竜巻のもたらす超熱量により融解、爆散しながら吹き飛んだ。
「今日は、死ぬのにとてもいい日だ!!」
リベルタスが、金色を放つ。輝きが空を劈く!
「なんだ、これは」
哪吒は識らぬ。その輝きを識らぬ。生命が生み出す力を識らぬ!
「絶対に、この世界の空までは汚させない」
ERT-EX301/BS"サンダーバード"、
ERT-EX307/BS-S2コカトリス"、
ERT-EX308/BS-F"フレスベルク"、
いずれも過負荷により爆砕。火炎竜巻がリベルタスを呑む。
金色が炎を切り裂く。
「絶対に、お前は落としてみせるわ」
哪吒は見上げた。空に君臨する王を。
プラズマエネルギーブレードの斬撃光が遅れて哪吒の全身に走り、爆散せしめる。
「六番目の、猟兵……これほど、とは……」
これまでのすべての被弾、すべての戦闘、すべての負荷。
それらが結実し、そしていま、最後の一撃が最期をもたらした。
血反吐を吐いたアイオライトが意識を失う前。
最後に見たのは、爆発四散し、粉々に滅する哪吒の姿だった。
成功
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