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殲神封神大戦⑬〜汝、毒を食して毒を制さん~

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑬

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●綺麗な花には毒がある、美味しい食事にもごくたまーに毒がある
「あってたまるかって話だけどな」

 溜息をつきながら、地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)は予知の内容が記されたグリモア入りの白紙の本をぱらぱらとめくる。

「みんなのおかげで仙界『紫霄宫』へ乗り込めるようになっただろ?
 その中に『桃月桃源郷』っつーとこがあってな、そこで仙人たちが敵の妖力を弱める為に宴を催してるらしいんだわ」

 陰と陽の概念において、戦場の血なまぐさい雰囲気や人々が絶望し惑うような光景を陰とするなら、何かを祝うような宴や、人々が談笑し合う和やかで平和な雰囲気を陽とする。
 ネガティブに捉えるよりポジティブに捉えて騒いでいれば自然と陽の気が高まり、陰の気――此度の戦争を引き起こした張角率いるオブリビオンたちの妖力が弱まっていくというワケだ。

「だが、この桃月桃源郷にオブリビオン共の間者が紛れ込んでやがってよ。
 そいつらは宴に使われる食事や飲み物に毒を盛って仙人たちを皆殺しにしようとしているんだ。
 胸糞悪いったらありゃしねえ。貴重な食い物に毒を盛るなんざ万死に値する行為にも程がある!」

 貧しい孤児院出身である凌牙としては、食事に毒を盛るという行為そのものが許せないようで先程から定期的にぴき、と青筋を浮き上がらせている。
 食事の恨みとは恐ろしいものである。

「だが幸いにもこの毒、俺たち猟兵からしたら死ぬ程の毒じゃねえらしい。
 すり替えが間に合えばいいがそうもいかねえ奴もあるだろう。
 そんな時はその毒入り料理を喰ってでも仙人たちを護ってくれ」

 もちろん、食べなくて済むに越したことはないが、もう既に宴の場に持ち込まれているなら食す方が宴の空気を壊すことはないだろう。
 当然、猟兵は死に至ることのないであろう毒とはいえ、調子に影響は出るだろうが、大勢の仙人たちが犠牲になるよりはまだマシだろう。

「でも無理しろってワケじゃねえぞ?
 毒が回ってヤバいと思ったらすぐに戻ってこい。俺の方でその毒を穢れとして喰ってやっから」

 凌牙が行ければよかったが、グリモア猟兵が現場に向かうことは非常に致命的である。
 この前のアポカリプス・ランページのような事態に陥らない限りはグリモアベースでただ座して皆の帰還を待つのみなのだ。

「ま、毒入り料理云々はあるだろうが宴自体は楽しいものだろうからよ。全部終わったらのんびりしていくのもいいと思うぜ?」

 そう言って、穢れを喰らう黒竜は転移陣を開いた。


御巫咲絢
 ほら、すり替えようと思ってもワンチャン間に合わないのはあるあるなんですよ。
 ついでに言うとそういう毒が入ってる奴程おいしかったりするんですよ。
 おはようございますこんにちはこんばんは、初めましての方は初めまして御巫咲絢です。
 当シナリオ閲覧ありがとうございます!御巫のシナリオが初めての方はお手数ですがMSページもご一読くださいますと幸いです。

 戦争シナリオ3本目をお届けします。
 とにかく食え!!!!!でもいいしひたすらこっそりすり替えるでもいいし、逆に自分たちが料理を振る舞う側になって食べながら宴に参加するもよし。
 食事プレイングで飯テロを狙うもよし(?)!
 毒入り料理さえなければ多分体力めっちゃ回復しそうな宴だと思います。

●当シナリオについて
 当シナリオは「戦争シナリオ」です。1章で完結する特殊なシナリオとなっています。
 また、当シナリオには以下のプレイングボーナスが存在します。

●プレイングボーナス
 毒入りの料理を見つけ出し、何食わぬ顔で食べる。
 当シナリオでは食べずともすり替えたりとかして頂いても上記のプレイングボーナスを満たしたものとさせて頂きます。
 また、当シナリオでは追加プレイングボーナスとして「宴を楽しむ」をご用意しております。

●プレイング受付について
 断章なし、承認時から受付予定です。
 MSのリアル仕事の都合もあり1日に1人2人返せるかどうかぐらいのハイパーローペースでの進行となりますので、少数受付になる可能性が非常に高いです。
 あらかじめご了承頂きますようお願い致します。

 それでは、皆様のプレイングをお待ち致しております!
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第1章 日常 『毒酒の宴』

POW   :    頑健さに任せ、多くの毒入り料理を食べる。

SPD   :    仙人達の前に並んだ毒入り料理を無害なものにすり替える。

WIZ   :    仙術や霊薬で毒の作用を中和しながら料理を食べる。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

土御門・泰花
※アドリブ連携歓迎

まぁ!?宴に毒を……!?
ええ、食の恨みは何とやら。
ましてかように陰湿な手立て等、悪質が過ぎます。

折角の仙界の宴。装いは、はろうぃんにて纏いし仙女の姿。

【暗殺】の心得のある私がその要領とUCで「暗殺するならこれに毒を盛る」と見抜き追跡を。
【第六感/聞き耳】で一際美味しそうな飲食物にも注意。

疑わしい物を仙人が手に取ればさり気なく【早業】で近づき声を掛け拱手、「私も手に取ってみてもよろしいでしょうか?」と断ってさりげなく譲り受けます。

毒入りなら完飲食後「これは失礼を。あまりに美味で」と【礼儀作法】に則りお詫び。
毒は【覚悟/呪詛耐性】で耐え、表に出さず。

無毒なら途中で共に飲食し談笑。



●ロシアン饅頭
「まぁ!?宴に毒を……!?」

 信じられない、と言った様子で口元に手を当てる土御門・泰花(風待月に芽吹いた菫は夜長月に咲く・f10833)。
 楽しい宴にそのような無粋な手立てを用いてくる等許してはならない。

「ええ、食の恨みは何とやら。ましてかように陰湿な手立て等、悪質が過ぎます」

 とはいえ、だからといって宴の空気を壊すワケにはいかない。
 こういうものは形からかくあるべしと、泰花はハロウィンパーティーで仮装に用いた仙女の衣装を取り出しそれを身に纏って桃月桃源郷の宴に参加する。

「おお、新しく宴に入られる方が」
「ようこそおいでくださいました。今この時だけでも戦を忘れ、くつろいでくださいね」
「ありがとうございます。御言葉に甘えさせて頂きますね」

 仙人たちは暖かく泰花を迎え入れた。
 他の世界であればもしかしたら不謹慎だ何だと言われたかもしれないが、これも戦争における戦略の一つであり、和やかな雰囲気こそ陰の気を弱めるというもの。
 毒物を特定する為に完全に気を緩めるワケにはいかないが、暖かい受け入れと和やかな時を過ごせることのありがたさに感謝しながら泰花は宴の輪に入る。

 ――泰花はサムライエンパイアでも有数の陰陽師の家、土御門家の当主である。
 それがどういうことを意味するかというと、権力争いの実際のあるなしはともかくとして、万一の事態の標的に自らが狙われるかもしれないことがあるのだ。
 そしてそれに対処するには、自らがその術を学び、心得ておくことは最善手の一つと言える。
 ……そう、彼女は暗殺の術に明るいのだ。
 その暗殺に携わる知識に見識があるが故に、彼女は宴に振る舞われている食事のどれに毒が仕込まれやすい傾向にあるか漠然とわかる。
 そこにさらにユーベルコード【探求の篝火(ミチビクモノ)】による対象追尾効果も合わされば、何が毒を仕込まれているかはほぼ確実に特定できると言っていい。
一枚の符から呼び出された篝火は、舞うように飛んで丁度今宴に持ち込まれた蒸したてほやほやの饅頭の周りでふわふわと漂った。

「おお~饅頭、蒸したての饅頭はたまらないんだよなあ」

 仙人の一人がそう言って饅頭を手に取ったところに、すかさず誰にも疑われない程度の速さで泰花はすっと歩み寄る。

「失礼致します。私も手に取ってみてもよろしいでしょうか?」
「おお、もちろん!まだまだたくさんあるから好きなだけお食べ」

 仙人は朗らかに笑って泰花に自分の取った饅頭を手渡してくれた。
 泰花は感謝を告げると、まじまじと見つめてから一口ぱくり。

「(……これは、確かにかなり強力な毒ですね)」

 恐らく仙人の持つ仙力・妖力に直接作用する効能のある毒を調合したのだろうと推察する。
 陰陽師として呪いも取り扱うからこそ呪い返しへの対策として呪詛への耐性を備えてきた泰花であるからこそある程度耐えられるが、これをただの仙人が食せばたちまち毒が回っていたことだろう。
 ……しかし、味はそれはそれはとても美味であった。
 自然に宴に紛れ込ませる為、味は損なわぬようにしたのだろう。そして敢えて全部の食事に盛らないのも恐らく敢えて盛っているものと盛っていないものと混ぜることでより自然さを醸し出そうとした魂胆だとすれば納得がいく。
 現に篝火は泰花がこの饅頭を完食すると、別の毒入り料理を探すべくまたふわふわと飛んでいったのだ。

「もしかしてここの饅頭を食べるのは初めてか?」
「ああ、これは失礼を。あまりに美味で思わずお話も忘れてしまいました」
「ははは、気にしなくとも良い良い!美味しい料理に遭遇すれば人も仙人も皆こうなるものだ」
「ふふふ。ええ、本当においしゅうございます」

 毒が回っている様子を一切見せることなく、泰花はにこやかに談笑してから篝火が向かった先へとゆるやかに移動した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
えー、毒入りの食事をそのまま食べろ、ですって!

いくら猟兵が頑丈だからといって、なかなかの無茶振りです。
しかし、仙人さんに毒食べてもらうのもなー。

ここはこの身を呈して、毒を制しましょう。

いでよ! マイ・コレクション!
今こそ各世界から取り寄せたり、買い集めた香辛料の出番です。
これらの香辛料で毒の成分を抑えましょう、というか抑えられるといいなー。

宴会料理に、辛味成分マシマシします。
こうすれば、毒の味なんて全然だし、辛味度UPでかえって元気出る!……といいなぁ。



●カプサイシンの偶然なる毒素分解作用
 えー、と黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は思わず声を上げた。

「毒入りの食事をそのまま食べろ、ですって!いくら猟兵が頑丈だからといって中々の無茶振りですよ」

 それはそう。本当にそう。
 でも仕方ないんだよ、どうしてもすり替えが間に合わない時ってあるじゃない?ね?
 そういう時は身を挺してどうにかこうにかするしかないじゃないですか?ということなのだ。

「しかし、仙人さんに毒食べてもらうのもなー……よし。ここはこの身を呈して毒を制しましょう。今こそ各世界から取り寄せ買い集めたコレの出番です」

 ――出でよ、マイ・コレクション!

 意気揚々と摩那が取り出したのはスパイスケース、それも最早種類が多すぎて並べたら軽く人一人を包み込める布程の規模になる程の数々だった!
 そう、彼女は大の辛党。食べる前にはこのスパイスたちをたっぷりとかけて食べるのが彼女流の食の楽しみ方の一つ。
 猟兵としてあらゆる世界を渡り歩きながら見かけた美味しそうかつ見たことのない香辛料を購入し、はたまた取り寄せてはその日にかけるスパイスを何にしようかと悩むその瞬間もまた楽しいのだ。

「これらの香辛料で毒の成分を抑えましょう。というか抑えられるといいなー……」

カプサイシンは体脂肪を燃焼させることでエネルギー消費を促し、肥満防止や胃腸を正常にする等の効果が見込まれている。
 香辛料によるデトックス効果でいざ食べきろう――!と。

「やあいらっしゃい。今おいしい麻婆豆腐が出来上がったところだよ」
「わあ、ありがとうございます。ありがたく頂きますね」

 そして早速宴にて料理を受け取る摩那。
 サイキッカーの優れた第六感と、スマートグラス『ガリレオ』による分析結果が間違いなく毒入りだと示している。
 ごくりと唾を飲み込む摩那。これは緊張というよりこの時点で既に辛くておいしそうなのが伝わってくる方がでかい。
 そしてそれに愛用のスパイスたちをたっぷりとふりかけ、一口。

「(おいしい……毒入りだなんて信じられないぐらいおいしい……!!)」

 思わず次々と摩那はその麻婆豆腐を食べ進めていく。
 そのカプサイシンパワーたるや恐るべし。確かに毒が回っている感覚はあれど、同時に鯛脂肪燃焼と共に燃焼されている……ような、気がする。
食中毒等の毒素というものは得てして熱に弱いものではあるが、加熱調理に含まれた毒をも昇華してしまう程カプサイシンが効いているのか。
それともたまたま偶然一定量のカプサイシンと共に摂取することで毒素を分解し切ってしまうのか。

「おお、どう見ても辛そうなのに辛そうなのを大量に突っ込んだのをぺろりと平らげている……!」
「凄い胃袋の持ち主だ……!」

 やがてはその明らかに人が食べるものじゃない程に真っ赤に染まったそれをもぐもぐと食べる摩那の周りに集まっていく。

「ふう、とてもおいしいですね!おかわりってまだありますか?」
「おお、まだ食べるのかい?もちろんだとも、たんとお食べ」

 仙人たちは毒を盛られているとはいざ知らず、再び毒入り麻婆豆腐を摩那の皿によそう。
 だがスパイスパワーにより一時的に毒素分解パワーを手にした摩那は最早完全にグルメを楽しむ気分で様々なスパイスをかけてはその味に舌鼓を打ったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
確かに、許される所業では有りませんねぇ。
頑張ってみますぅ。

『FTS』から食材を出し【到爨】を発動、『毒』や『ダメージ』を治療する様々な[料理]を御用意してお持ちしますねぇ。
そして、仙人さん達には其方を振舞いつつ、『[宴会]芸』の一種として『用意された料理を使った大食いショー』を提案しますぅ。
[大食い]には相応の自信が有りますし、それでも量的に厳しくなりそうなら【豊饒佳饌】を使えば問題ありません。
途中で『持ち込んだ品』を頂けば『毒』も解除出来ますので、後は順に食べ尽くしましょう。

足りなくなったの『宴会料理』は、『持ち込んだ品』に加え『ショー』の後でお作りして補填しますぅ。



●美味しいもの程総じて身体には不健康なことがままありまして
「"大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、偉大なる導きの恩寵を此処に”――」

 自らが信奉する豊穣の女神に祈りを捧げる夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。
 彼女は今宴の調理場にて、祭器の一つである『FTS』で持ち込んだ食材を調理していた。
 ユーベルコード【豊乳女神の加護・到爨(ジュウゼンタルメグミ)】により調理される料理は現状存在し得るあらゆる毒を治療することのできる、まさに神が与え給うた生命の水の如き効果を保有していた。
 10秒であっというまに119品目の中華料理を作り上げ、仙人たちの机に運んでいく。
 穏やかに微笑んで料理を配っていくるこるの姿は、まさにメイドの鑑とも言っても良い振る舞いである。

「お待たせ致しましたぁ」
「おお、追加か。ありがとう……凄いな!この料理から神気を感じるぞ……!」

 その表現は大袈裟ではなかろうか仙人さん。
 とは思ったが、手作りした料理をおいしく食してもらえるというのは嬉しいものである。
 後はこの密かにすり替え続けていた毒料理の数々をうまいこと消化するだけ……そこで、るこるは宴を盛り上げる一貫としてこの毒料理共を利用することにした。

「ところで……せっかくの宴ですので、何かしら芸の一つを披露してもよろしいでしょうかぁ?」
「おお!宴といえばただ食べる飲むだけでなく芸を催すのも大事だからな!何をするんだ?」
「大食いショー、というのは如何でしょうか?」
「ほほう!おもしろそうだ!正直作りすぎているのではないかというぐらいに作っているからな!是非やるといいぞ!」
「ありがとうございますぅ」

 無事許可をもらい、るこるは早速簡易ステージ代わりに一つの円卓を拝借。
 そこにあらゆる毒料理のと、自身が持ち込み調理した品をどどん、と載せていく。
 その数はあきらかに人一人どころか仙人が10人ぐらい集まっても食べられるものではないとんでもない量だ。
 こんな量を少女一人で食すのか!?と仙人たちはびっくりして卓の周りにぞろぞろ集まってくる。
「皆さん、私がこの料理を完食できましたら、拍手をお願いしますぅ。では……いただきます」

 食事とは生命を頂くこと、古事記にもそう書かれている。
バーチャルキャラクターであっても生命に対する礼儀の挨拶は欠かしてはならない。
そして早速一番の手元に近い位置にあった点心(もちろん毒入り)からぱくりと一口。

「(毒は無味無臭で料理の味に紛れるもののようですねぇ……とてもおいしいですぅ)」

 例えるならは、味がとても飲みやすいカクテルをおいしいからとうっかりついついおかわりして飲んでしまい悪酔いをするようなモノだろうか――るこるは未成年である為、人づてに聞いた話でしかないが――。
 まさに静かなる暗殺者と言うべきか。料理としての質を完全に損なわぬ毒とは、オブリビオンの戦術は日に日に厄介になっていくものだと実感させられる。
 が、るこるは毒が回るのを気にせずに次々に料理を平らげていく。
 点心の次はフカヒレ、かに玉、青椒肉絲、回鍋肉、炒飯、ありとあらゆる中華料理たちがるこるの胃の中に収まっていく。

「す、凄いな!いったいどれだけ食べれば腹が膨れるというんだ……!」
「いい食べっぷりだわ~!」

 仙人たちはその少女らしくお行儀良さを残しながらもとんでもな量を平らげていくその姿を大絶賛。
 毒料理を優先的に食べながら、時々自らが持ち込んだ品を食すことで定期的に解毒を行い、一品ずつ確実に片付けていくるこる。
 とはいえ中華料理というものは得てして油を多く使うものであり、ここまで食べていると胃もたれ不可避――故に、るこるは毒料理をこの卓に集める前に女神より【豊饒佳饌(ホウジョウノウタゲ)】の加護を受けることで全体的な自らの食事におけるキャパシティを大幅に強化しておりぬかりはない。
味に飽きを感じさせないルーチンで見事に食べ切ってみせる――!

「ごちそうさまでした」

 今日頂いた全ての生命に感謝を告げるるこるを称える拍手が響き渡る。
 その後改めて料理を振る舞い、共に楽しく食しながらるこるは束の間の穏やかな時間を過ごしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェイミィ・ブラッディバック
(孤独なグルメロボがふらりと登場)

食事というのはね
誰にも邪魔されず
自由で
何というか救われてなきゃあダメなんです
独りで静かで豊かで…
あ、このラーメン頂いても?

(食べる瞬間は謎の光源が差し込み見えない)

ふむ
スクルドシステムの分析ではこのラーメン食べると消化器官に不調を来たす毒が混入している?
…関係ありませんな!
私に消化器官はありません!
食べたもの全部動力炉でエネルギーに変換されるだけですので!

あ、この油淋鶏いいですな
唐揚げも頂きましょう
中国の唐揚げってデカいんですよ
む、油淋鶏と唐揚げで鳥が被ってしまった
それはそうと銀シャリおかわりください

(無心に食事、エレキギターの旋律がどこからともなく鳴り響く)



●ロンリーグルメウォーマシン
「食事というのはね、誰にも邪魔されず
 自由でなんというか救われてなきゃあダメなんです。
 一人で静かで豊かで…」

ジェイミィ・ブラッディバック(脱サラの傭兵/開発コード[Michael]・f29697)はとにかく食べる。一人で。
 時間や社会に捕らわれず幸福に空腹を満たす時、束の間、人は自分勝手になり自由になる。
 誰にも邪魔をされず、気も遣わない孤高の行為。これこそが現代ウォーマシンに与えられた最高の癒しなのである。

 ……え?ウォーマシンってそも食事できるのかって?できますよ。
 できるからこうして彼は宴にやってきたんですからね。

「あ、このラーメン頂いても?」
「おお、もちろんだとも。たくさん食べておくれ」

 振る舞われたラーメンを、感謝を告げてから一人で静かにすするジェイミィ。
 食べる瞬間は謎の光源が差し込み決して誰にも見えない。
もちろん、いったいどうやって食べてるのかと聞いても「企業秘密です」という回答が帰ってくる。
ああ、ウォーマシンとはかくも未知なる種族なりや――

「そうそうこういうのでいいんですこういうので……ん?」

 一人すするラーメンを満喫していれば、ジェイミィに搭載されているスクルドシステムがアラートを鳴らす。

「ふむ。スクルドシステムの分析ではこのラーメンを食べると消化器官に不調をきたす毒が混入している?」

 スクルドシステムはジェイミィの前職であった株式会社UAI製のAIシステムであり、羅針盤戦争にて白騎士のAIをも取得してそれはお前それホントに企業が作ったAIか???と言わんばかりのハイパースペックを発揮するスグレモノである。
 そのスクルドシステムが分析結果でアラートを提示した、ということは間違いなく人体に取ってはとてつもなく毒であるということは確実と言っても差し支えはないのだ。

「…………関係ありませんな!私に消化器官はありません!!」

 だがその一言ですぱっと切り捨て、ジェイミィは引き続きラーメンを心のままに食すッ!!
 まあ、ウォーマシンなんで実際に消化器官ないから影響もへったくれもないんですよね。
 食べたものは全部動力炉でエネルギー変換されるので、毒もさぞや良きエネルギー源になるのだろう。
 え、でもそれどこで消化してエネルギーにしてんのって?それは聴くのは野暮ってもんですよ奥さん。
 これが仮にコンピュータウィルスのような毒であれば危なかったかもしれないが、”人体にとって有害なモノであるだけ”の毒が猟兵、ましてやウォーマシンという機械ロボットに効く道理は当然ないのである。
 というワケでスクルドシステムの警告を完全蒸しして、、ジェイミィは孤独なグルメを堪能。
鼻歌すら口ずさみたくなるようなご機嫌っぷりで次々と毒入り料理を食べていく。

「あ、この油淋鶏いいですな……唐揚げも頂きましょう。中国の唐揚げってデカいんですよ」

 正確には恐らく「大鶏排(ダージーパイ)」と呼ばれる台湾風唐揚げのことであろう。
 大鶏排はとにかく鶏むね肉を叩いて伸ばした後に下味をつけ、キャッサバいも――タピオカの原料として遣われているものだと言えばご理解頂けるだろうか――を粗挽きした粉とスパイスをまぶして油でからりと揚げる料理だ。
 実に説明をするだけでも飯テロになりかねん恐ろしい料理なのである!

「む、鶏が被ってしまった」

 意図せずして被ってしまったことに油淋鶏を食べながら今更気づくが、まあうまいから気にするこたーねえな!とジェイミィは次々に食事を発光して見えない口の中に放り込んではもっしゃもっしゃと幸せそうに食べ続ける。
背後から、どこからともなく流れる哀愁とコミカル漂うエレキギターの音を耳にしながら……

「それはそうと銀シャリおかわりください」

 大盛りでいっすか?かしこまー。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アノルルイ・ブラエニオン
何食わぬ顔だな
解った
私は何食わぬ顔をして…

UCで召喚した『ユニコーン』を解き放つぞ
「大変だ私の愛馬が!!!」
ユニコーンは暴走して食卓に突撃する
…しかし実のところ私の制御下にあるため決して料理を駄目にしたり人を傷つける事はない

ユニコーンの角には水を浄化し、毒を中和するという不思議な特性があるという
暴れ回るふりをして角で料理に触れてもらうことで
毒を中和できるかもしれない!
仙人の料理に優先的に触れてもらおう

触れ終わったら離れたところまで連れていってUCを解除し戻ってきて
それから飯を食う

中華料理はアースやキマフュで時々食べている
麻婆豆腐が好きだな
適度に辛いものがよい
白米との組み合わせは最高だ



●君のユニコーンがずきゅんどきゅん走り出す
「なる程、何食わぬ顔だな?解った」

 と言ってアノルルイ・ブラエニオン(変なエルフの吟遊詩人・f05107)は早速宴の場へと向かい――

「大変だ!!私の愛馬が!!!!!!!!!」

 何食わぬ顔をしてユーベルコードで呼び出したユニコーンを解き放った結果爆走して宴に突撃して言った。
 何食わぬ顔で何しとんねんお前!!!!!とツッコミを入れたくなるだろうが少し待って頂きたい。
 ユニコーンというのは本来獰猛な性質であり、敵とみなしあ相手には猛然と攻撃を仕掛ける気性の荒い動物なのである。ただし清らかな乙女相手は別とする。そんな動物なのだ。
 七つの大罪における憤怒を司る幻獣であることも言われている程の動物がいきなり飛び出さないワケがないのである。

「おお!?一角馬が何か走り回ってるぞ!?」
「あらあら、料理に当たらないようにしなきゃ」

 仙人たちは驚きつつもすぐに適応し料理の机をユニコーンがぶつからないように移動させている。適応力高いのはさすが長年修練を積んでいるからか。
 しかしいざ卓の眼前にきたらきれ―――――――に急ブレーキをかけて90度曲がって直進していく。何て器用なんだ。

「こらこら待て待て!」

 と、慌てた様子で追いかけるアノルルイであるが、実はここまで完全な演技である。
 いや綺麗に直角カーブをキメているのが暴走してないワケがなかろうと言われたらそうなのだが。
 ユニコーンの角には水を浄化し、毒を中和するという特性が秘められており、相当高級な治療薬の材料として槍玉に上がる程の代物である。
 暴れまわる振りをして角で料理に触れてもらうことで毒を中和することも可能なのではないか?そう思い立ったアノルルイはユニコーンを敢えてけしかけ、その角で料理を触れさせることでそもそもの毒料理そのものをただの無害な料理に変えてやろうと思い一芝居を打ったというワケだ。
 仙人が存外驚かなかったのは少し驚きであるが。

「よ――――し捕まえたぞ!!宴が楽しそうなのはわかるが落ち着け!」

 と、一区切りついた頃でユニコーンを捕まえ――た振りをしてユニコーンと合流――たアノルルイは一旦宴の場を離れ、ユニコーンを還して再び宴の場へ。

「すまない、うちの馬が失礼を」
「ははは、気にしなさんな。元気な馬じゃあないか」
「瑞獣ではないのよね?ああいう角の生えた馬もいるのねえ」

 徳を積んでいるだけあって寛容な心の持ち主な仙人たちは快くアノルルイを受け入れ、さあお食べと食事を差し出してくれる。
 好きなものを食べて良いというのでアノルルイは御言葉に甘えて麻婆豆腐を頂くことにした。
 早速レンゲを手に一口食べて。

「うんうん、この適度に辛いものが良いなあ」

 白米との組み合わせは最高である。これと米だけで腹いっぱい食べられる。
 この宴から毒が消えれば後はただの楽しい宴となるだけ。
 せっかくだし、この麻婆豆腐を食べ終えたら吟遊詩人として一曲披露でもしようか、と考えながらアノルルイは適度な辛味に舌鼓を打ったのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シルヴィア・ジェノス
美味しいご飯!ご飯大好き!宴も好き!そんな宴に毒入り料理で水を差そうったってそうはいかないわ、そんなもの【大食い】な私がぜーんぶ食べ尽くしてやるんだから!
ぱぱっと毒入り料理を見分けつつ、ささっととってどんどん食べていくわ!毒は入っているけれど、でもどれもおいしーい!あれも!これも!全部、おいしそーう!とどんどんとって食べていくわね
【料理】も大得意!なので紅い食卓を用いて作った小籠包や麻婆豆腐、カニ玉を仙人の方達に食べて頂くわ。時々自分もちゃっかり食べて、毒を中和してっと…

綺麗に美味しく、常に笑顔で宴を満喫するわ



●紅い食卓に福来る
 宴に向かうシルヴィア・ジェノス(月の雫・f00384)の足取りは実に勇む軍人のそれであった。
 それは何故か?

「宴に毒入りで水を刺そうったってそうはいかないわ!
 そんなものぜ―――――――――――んぶ食べ尽くしてやるんだから!!」

 美味しいご飯!ご飯大好き!宴も好き!
 三度の飯より、否、三度の飯が何よりも好きなシルヴィアにとって、毒料理で宴の席に水を差すなどと得手勝手にして極悪非道の言語道断!!
 決して許してはならない。
 ましてやその毒料理をうっかり仙人が食べてばたり!となるなんて決してあってはならない!
 故に全ての毒料理はこの手で駆逐してやる、この胃袋でな!!という意気込みで宴に乗り込んだのである。
 どれが毒か全くわからぬ程の美味しそうな匂い。食卓に並ぶ美味しそうな料理の数々にシルヴィアはその怒りすら忘れかねない程に目を輝かせる。

「お、お嬢さんも食べにきたのかい?」
「遠慮せずにたんと食べてね。美味しいものを食べれば自然と気も上向きになるのよ」
「ありがとう!頂くわね!」

 手をあわせていただきますの感謝を込め、あらゆる美味しいご飯を食べ続けてきたシルヴィアの直感が、何が毒料理なのかを即座に見極める。
 そして迷わず手にとったのは餃子。まずはかじった時の皮のぱりっとした音を楽しみ、後に口の中へ入れてよく噛んで咀嚼し、その味をじっくりと堪能して――

「ん~~~~~~!!とってもおいしーい!」

 毒が入っているとは到底思えない程香ばしい皮、肉汁たっぷりの具材。
 これは毒が入っていても何倍でも食べられる!
 あっという間に完食して次は北京ダック。これもまたとんでもなく美味しい。
 次はフカヒレ炒飯、そして次はかに玉……次々にぱくぱくもぐもぐと幸せそうにシルヴィアは食べる食べる、食べ続ける!

「今回の宴はよく食べる客がくるなあ!いいことだ!」
「飲み物もあるからゆっくりしていってくださいね。外に出たら戦争なのですから」
「はーい!」

 頂いた茉莉花茶を飲みながらもペースは崩れることなく、毒のダメージを受けている様子も微塵も見せず、幸せそうな表情で食べるシルヴィアの姿に仙人たちも思わずにっこりである。
 そうして毒料理を一気に平らげたシルヴィアだが、毒料理を全て食べきったということはその分比例して宴の席で振る舞われる料理は減るということでもあった。

「とてもおいしかったわ!私からもお礼に料理を振る舞わせて?」
「おお、それなら御言葉に甘えようか」

 そうして厨房に案内してもらったシルヴィアはユーベルコード【紅い食卓】を用いて厨房にある材料を使ってあらゆる中華料理を作る。
 小籠包、麻婆豆腐、かに玉etc……自らが食べた食品を振る舞うのは言わずもがな、中華料理にまぎれても違和感のない自らの得意料理等など。
 先程まで中華一色に染まっていた卓に、ほんの少し洋風な色が合わさった洋中折衷の食卓に。
 先に味見と称して小籠包のうち一皿分ぐらいは自らの毒の治療にと食べつつ、実に90品目の料理を卓に運んでいる。

「よかったら召し上がれ!」
「おお、見たこと無い汁物だ。どれどれ……」

 中華料理の中にひっそりと紛れ込んでいたコンソメスープをすすり、仙人は目を輝かせる。

「お、おお……!これはすごい、今までに食べたことのない味だ!しっかりしているのにあっさりしていて……」
「よかった!喜んでもらえて」
「よ、よければおかわりを頂いてもいいかい!?」
「もちろん!」

 こうしてシルヴィアの手作り料理は瞬く間に話題になり、仙人たちの中には彼女にレシピを聞く者もいたとかどうとか。
 そしてことごとく作戦を打ち砕かれたオブリビオンの間者はいつの間にか姿を消しており。
 終ぞ宴の楽しく和やかな雰囲気が壊れることはなく、笑顔で宴を満喫し切ったのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月13日


挿絵イラスト