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殲神封神大戦⑦〜その声は我が友と言える筈もなく~

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦⑦

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●その声は……
「おお、その声が我が仲間の猟兵達ではないか」
 グリモアの奇々怪々な映像の渦巻く世に、やってきた猟兵達を迎えてグリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは己が手を打ち合わせた。
 一体何を言っているのかという、冷めた視線に耐えかね、何事も無かったかのように合わせた両手を離し。
「……オーケー、ただの冗談だ。気にしないでくれたまえ。いいね?」
 手に取った羽根ペン型のグリモアが映し出す世界の色を変える――。

「さぁ語ろうか。舞台は吃驚仙術勢揃い、僵尸飛び交う封神武侠界だ。君達には強力な死の軍勢を倒しに行って貰いたい」

 古の仙界「紫霄宮」に続く南蛮門――普段は不定期に現れるその場所だが、大いなる力によって固定されている。
 だが現在は自然の精気を吸い上げながら、無数のオブリビオン達を輩出し続けており、その対処に当たって欲しいのだとスフィーエは語る。
「今回の相手はこいつだ」
 そう言うとグリモアが映し出すは、立派な体躯を持つ猫科動物、今年の干支にもなる虎――確かに脅威も知られている相手だ。
 とはいえ数で押してくる種類の相手である以上、そう苦戦は無いと思われるが……。

「普通ならば苦も無く戦える相手だろう。だが彼等は、二度殺害されることで恐るべき力を手にしてしまっている」
 僵尸(きょうし)化――馴染みの在る言葉で言えばキョンシーであり、そうなることで恐るべき筋力と仙術耐性を持っているという。
 即ち、集団で相手取る相手としては異例の個々の力を持っているとのことだ。
「真面に戦えば恐らくボス格か、それに準ずる力を持っている。当然、それが大群で襲いかかってくる訳だ……考えたくもないだろう」
 無論真っ向から戦えば、の話であり、対処法はあるのだろうという猟兵の問いかけに対し、スフィーエは一つ頷いてみせた。
「その通り。この封魂符が力の源だ。この辺りに封魂符が貼られている。それを剥がせば元の死体に戻り、大幅に弱体化するだろう」
 そう言うとスフィーエは自身の項、そして映像で映し出す虎の首の後ろの辺りに貼られた符を示した。
 それを剥がせば敵は大幅に弱体化し、一撃で倒せる領域までになるという。
 だがそれは相手も分かっていることであり、単純に首の後ろに回り込もうと思っても易々と許してはくれないだろう。
 その辺りを上手く工夫して符を剥がすか、苦戦を承知で叩きのめすか――試される時だとスフィーエは語った。

「過去が死を経るというのも、またまた妙なものであるがね」
 一通りを語り終え、二度の死を経て……ましてオブリビオンという身に重なるそれに溜息を漏らしつつも、待ち受ける脅威に辟易しつつ。
 改めて、と気を取り直すようにグリモアを輝かせ戦場へと続く門を、薄金色のグリモアがゆっくりと形作っていき。
「何はともあれ、本当の死を与え眠らせてやってくれ。頼んだよ」
 描いた扉が開き、その先に濃密な死の匂いが立ち込める戦場へ続く道へと、猟兵達を促すのだった。


裏山薬草
 どうも、裏山薬草です。
 その声は我が友……なんだっけと答えて食べられてしまうのもまた一興。
 虎といえばもうすっかりおなじみのネタになりましたね。

 さて今回は南蛮門から溢れ出した大量のオブリビオンとの戦いになります。
 敵は封魂符と呼ばれる符を張り付け、凄い攻撃力と防御力を得ておりますので、真面に戦えば苦戦は免れません。
 ですが剥がすことで大幅に弱体化し、一撃で倒せるようになります。
 符の在る所は首の後ろとなっておりますが、当然、普通に真正面から剥がそうとすれば返り討ちに遭うでしょう。
 上手い所剥がす工夫があればボーナスとなります。

●プレイングボーナス
 敵の封魂符を剥がす。

 プレイングの受付状況に関しては、タグにてお知らせします。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
 裏山薬草でした。
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第1章 集団戦 『虎』

POW   :    虎視眈眈
予め【敵を睨みつけて唸る】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    猛虎幻翼
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    三回攻撃
【爪・爪・牙の連続攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:史牙空兎虎

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

川谷・茉莉
臆病な自尊心って本当、面倒なものよね…
って、まあこの虎ほ最初から虎だと思うけど。
それじゃ、一つ虎狩り頑張ってみましょうか。

でも、数も多いし皆強そうね。まともに戦ったら勝てる気がしないし、封魂符狙いでいきましょうか。

怪異召喚「美術室の石膏像」。
石膏像の皆に虎へ絡みついて貰って、手足を石化させて動きを制限して貰うわ。
その隙に、封魂符を剥がしちゃおうかと。
一体あたり何体の石膏像が必要か分からないし、最初は余裕をもった数をけしかけるとするわね。

元々自然に生きてた虎達なら、その生に良し悪しは無かっただろうし。
せめて、真っ当な来世に生まれ変われれば良いのだけれど。



●溺れるものは何かを掴むか
 古の仙界に繋がる門の中より、現れ出でるは獣の中でも上位に位置する黄と黒の縞模様。
「臆病な自尊心って本当、面倒なものよね……」
 虎に身を変えた男の逸話を思い返しながら、黄色の通学帽子を目深に川谷・茉莉(n番目の花子さん・f32951)は独り言ちた。
「っと、まあ最初からこれはこれだと思うけれど」
 そんな逸話もさておくとして、目の前の虎は元々――とはいっても、過去の亡霊として、そして亡者として新たに強化復活を遂げた存在で。
(まともに戦ったら勝てる気しないわね。確か……)
 見れば見る程に、発せられる闘気、強化された筋肉の盛り上がりは可愛い“猫パンチ”の一発だけで人を肉塊に変えてしまいそうだった。
 無論、見た目こそ只の少女に近くも、中身は妖怪と称される存在であり、それなりの戦いを経た猟兵でもある茉莉だが、アレに真っ向から立ち向かうには――尤も彼女で無くともではあるが――厳しいものがある。故に。
「あれを捕まえて頂戴な。逃がしちゃダメよ?」
 呼びつけるは茉莉の――怪異が怪異を呼ぶかの如き、美術室の悍ましい石膏像の再現。
 呼びつけられたそれは、一斉に虎という虎に絡みつき、見た目からは――否、ある意味丈夫そうな見た目通りに、強く確りと掌で虎の筋肉を捕らえ押さえつけながら、触れた箇所を介して流し込まれる呪いが虎の肉体を徐々に石と変えていく。
 宛らそれは黄泉返りを果たさんとしていた亡者を、再び死の沼に引きずり下ろそうとする亡者の腕にも似ていた。
「流石に……一匹に最低十体は必要ね」
 実力が如何な程かは分からず、念を入れて一体に対して多めに嗾けておいたが、それは正解のようで、強力な仙術への耐性によって捕らえるのも難儀していた。
 されど無理は禁物――欲張らず、確実に捉えた虎へと彼女は駆け出し。
「よっと」
 軽やかに、石膏の手が虎の脚を捕らえ石と化している間に、後ろに回り込んでは次々と張りつけられた符を剥がしていく。
 こうなれば最早消化試合というものであり、符を剥がした虎の頭に、ぽこん、と可愛らしい音が響くような雰囲気に伝説の聖剣<雨傘>を打ち下ろす。
 軽い一撃で容易くに倒れ、その身体を塵と消えていく虎の何とも言えぬ表情を見下ろしながら彼女は口を閉ざす。
「…………」
 良い子は守る。悪い子はお仕置きする――この虎は生前も、ただただ自然と本能に任せて生きてきた存在であり、そこに善悪は存在もしなければ唯々、哀れに思えて。
「せめて、真っ当な来世で生きれると良いわね」
 ――偽善かもしれないけれど、普通の虎として。空に消えた虎の灰を静かに見守り帽子の鍔を茉莉は下げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

待鳥・鎬
初めて創った魔弾
「花香」とは長い付き合いだけど、漸くガジェットらしい使い方をしてあげられそうだ

「山吹」の光学迷彩を纏って
鼻が利くから完全に隠れるのは無理だろうけど、間合いを狂わせるくらいは出来るはず

作戦はシンプル
敵の間合いに入る前にUCで動きを封じ、封魂符を剥がして、斬る
杞柳、剥がすの手伝ってもらって良い?
危なそうな奴は僕が行くから無理はしないでね

そういえば、虎骨は薬としても使われたっけ
虎の頭蓋骨は鬼も殺すって迷信もあるくらいだ
君達の大将に、虎の首を奉納してみるというのはどうかな? かなぁ?

……え、普段とキャラが違う?
……敬愛する神農様を歪んだオブリビオンにされて、今、とっても気分悪いんだよね



●信仰の侮辱への対価
 ――いつもと違う。そんな指摘は自分が良く分かっている。
 分かっていても、この胸に湧き上がるものはいかんともし難く、同時に長き付き合いになる回転式弾倉に【らしい】役割を与えてやれる不思議な達成感もあり。
「…………」
 隠れ蓑に身を隠しながら、待鳥・鎬(草径の探究者・f25865)は慎重に待ち構える虎の群れへと慎重に距離を取っていた。
 敵は猛獣、鼻は利く以上見た目だけを隠していたとしても、文字通りの虎視眈々とした眼差しが向けられるも、姿が見えぬことは大きく、飛び掛かるに当たり距離感を測りあぐねているようにも見えて。
 作戦は単純、間合いに入る前に――
「下手に動くと危ないよ」
 虎達が地面を踏みしめ、飛び掛からんとしたその刹那、鎬は回転式弾倉の銃より特製の魔弾を解き放つ。
 そしてそれは次々と虎の元へと打ち込まれ飛び掛かろうとした動きの機先を制するや否や。
 一瞬の内に、植え付けた弾丸という名の種子が発芽し藤蔓が音を立てて絡み伸びていき――虎の身体を苗床としながら急速な成長を遂げ、大木とまでになった藤蔓が屈強な虎の身体を締め上げ、軋ませていく。
 尤も二度の死を経た身体に備わった耐性や剛力で、今にも内側から破られようともしているが――
「っと、長時間は無理そうだね。今の内に……杞柳、剥がすの手伝ってもらって良い?」
 彼女の言葉に柔らかな羽毛を持った蛇が短く答え、羽ばたき虎の元へと――首の後ろに回り込むと、器用に符を咥え引き剥がしていく。
「危なそうなのは僕が行くから、無理しないでね」
 蛇の使い魔が獰猛な虎の視線から外れ、回り込み剥がしている姿に軽く微笑みながら、鎬もまた同様に捉われた虎の首から符を外していきつつ。
「そういえば、虎骨は薬としても使われたっけ」
 ――不意に何かを思い出したかのように、鎬はそれはそれはとても良い笑顔を見せながら、薬匙を斬った逸話もある刀を抜き放つ。薬の話題を出しながら、かの逸話を持つ刃が妖しく輝き。
「虎の頭蓋骨は鬼も殺すって迷信もあるくらいだ。君達の大将に、虎の首を奉納してみるというのはどうかな? かなぁ?」
 虎は答えない。何故ならば答える種類の知性は持ち合わせていないから――されど、最早大幅に力を減じた虎は悉く、強引に叩き潰し切り伏せていくかのような、やや乱暴な斬撃により首を刎ねられ、そのまま死体は土へと還っていくのだった。

 ――ああ、そうだよ。普段とは違って当たり前だよ。だって、敬愛する神農様をオブリビオンにされて、今、とっても気分悪いんだよね。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベロニカ・サインボード
敵が絶えないし、早くも言う事がなくなってきたわ
『希望を奪うオウガは許さない』なんてのは前提だし

首の後ろが弱点なのね。しかし、後ろにまわる必要なんてないわ

ワーニン・フォレスト、虎の顔面を殴れ!
触れる事で、触れた物に看板をつける能力が発動する
首の後ろに看板をつけた 伸びる看板は封魂符を押し出して引き剥がす…そして!虎は死体に戻るッ!

このまま片っ端から叩きのめすわ、ワーニン・フォレスト!オラオラオラオラァーッ!!!



●ラッシング決闘
 思えば実に敵は絶えぬもので、こうして封神武侠の世にも幾許かの戦いを経て、思う所も語るものも無くなりどうしたものかと彼女は唸る。
「うーん……」
 人々の希望、命を奪う鬼(オウガ)、即ちオブリビオンを許せないのは前提であるし――さりとて語ることが無くとも、戦うことに変わりはなく。
 改めて彼女は――ベロニカ・サインボード(時計ウサギの道しるべ・f35983)は遅い掛かろうとしている虎を赤茶色の瞳に映した。
「まぁ、でも……首が弱点なのよね?」
 敵は屈強な虎、対するベロニカは兎の獣人――捕食者と被捕食者の関係と普通ならば見えるかもしれない。
 されど敵の弱点は首の後ろにある符――それをどう剥がすかが試されるとは、先に語られたことであるが、ベロニカは強気に一歩を踏み出すと。
「しかし、後ろに回る必要はないわ。ワーニン・フォレストッ!」
 高らかな宣言と共にベロニカの近くに、エネルギーによって出来たヴィジョン――狼女の姿を象るそれが彼女の傍に立つ。
「虎の顔面を殴れ!」
 鈍い音を立て、狼女の拳が虎の顔面に真っ向から突き刺さる。次々と、猛攻に続く猛攻で数多くの虎を殴りつけていく。
 されど二度の死によって強化されたそれは、微動だにせず、何か虫でも止まったのかと言わんばかりに殴られた後を虎は爪で掻いた。
 真っ向勝負で叩き潰すのは大変に苦労すると、グリモアベースで言われていたにも関わらず――否。そんなことは承知の上だとベロニカは狼女のヴィジョンを一旦下がらせ、口の端を釣り上げた。
「ワーニン・フォレストの『能力』……それは『看板』をつけること」
 ぼこりと。
 殴られた虎の頸椎に当たる場所で、何かが浮かび上がっていく――それは無造作な看板、猫科動物としての特徴を列記した看板が、【虎の頸椎から生えていた】のだ。
「伸びる看板は符を押し出して引き剥がす……そして、虎は死体に戻るッ!」
 その言葉通り、生えた看板の先にあるものは超強化された虎の、力の源と言って等しい符であった。
 そう、正に回り込む必要はない――何故ならば符を引き剥がすという手段は、回り込まずとも実行に移せれば問題は、ない。
「ワーニン・フォレスト!」
 引き剥がされれば捕食者と被捕食者の関係は一気に逆転する。
 ベロニカが叫び、狼女が如きエネルギー体が走り、その拳に力を入れ――
「オラオラオラオラァーッ!!!」
 殴る、殴る、引き裂く、殴る、引き裂く、殴る。
 最早目で追うことも叶わないラッシュが、宛ら脆い砂糖細工を木っ端微塵にしていくかのように、容赦ない拳の乱打が虎を塵と変えていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…二度も死んで世界を滅ぼす為に利用されるなんて、獣とはいえ流石に同情するわ

…まあ、だからといって手加減をする気は無いけどね
…速やかに再殺する事が私からのせめてもの憐憫と知りなさい

肉体改造術式を施して強化した動体視力で敵の空中機動を暗視して見切りUCを発動
円の動きによる流れるような早業で敵の怪力を受け流して懐に切り込み、
体勢を崩した敵の首裏に勢いを乗せた大鎌をなぎ払い封魂符を切断して回る

…流水、水鏡、止水。連なり重なりて封陣と為す
ただの力押しが徹るほど私の御業は甘くはない

…普通の武器なら首の後ろに攻撃を届かせるのは難しいけどね

…この大鎌なら何も問題は無いわ。頸を刈り獲る形をしているもの



●死神の鎌は迷える虎を送るか
 虎は自然界にありて、それが亡霊(オブリビオン)という形でまず一つ、そして此度の僵尸に辺りの二度の死を経て世界の為に利用される――元々が善悪の無い単なる獣なれば猶更であり。
「……その境遇には、流石に獣とはいえ同情するわ」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は相対する獣の境遇に憐憫の念を抱きながらも、冷徹に大鎌の柄を握り構える。
 紫と虎の紅による視線が冷たい火花を散らす如く睨み合いが僅かに行われれば、リーヴァルディは改めて宣言する。例え言葉が彼等に届き理解に到らずとも――
「……速やかに再殺する事が私からのせめてもの憐憫と知りなさい」
 彼女の言葉に戦意を感じたか、虎が一斉に吼え、地を蹴った。
 その勢いで脚を出し、何も無い虚空を踏みつけ、四方八方を自在に飛び交いながら向かっていく。
「……為虎添翼、ね」
 強き者がより強くなる逸話を彷彿とさせる、自在に空を翔ける機動力。
 大木を捩じったかのような豪腕を、その機動力と共に繰り出すのならば確かに恐ろしいモノがある――虎の一体がリーヴァルディに迫り、爪を振り翳し打ち下ろす、が。
 平然と鎌の柄を伸ばされた前脚を横殴りにするように引っ掛け、向かう力の方向へ助長させる勢いで受け流し、そのまま円を描くように鎌を躍らせ――閃く刃が、虚空に二つに割れた符を舞わせていた。
 また別の虎が空を蹴り、再び爪で叩き潰そうと振り下ろしを放っても、その出鼻を文字通り挫くように、突撃に合わせて虎の鼻っ柱に鎌の柄を突き出して痛打を与え。
 怯んだその隙に水の流れるように密やかに、滑らかに踊り込み大鎌を振るっていく。
「……流水、水鏡、止水。連なり重なりて封陣と為す……ただの力押しが徹るほど私の御業は甘くはない」
 単純な力押しに過ぎぬ力となれば、如何な数を揃え押そうとも水の流れは柔軟に如何様にも形を変え、緩やかに力を受け流し返しの刃は宛ら激流の勢いで首へ斬り込んでいく。
 刃が弧月を描く閃く軌跡を残し、華麗なる活躍を称えるかのように二つに割れた符が紙吹雪のように降り注ぐ中で。
「……お前に、この構えを破る事はできない」
 静かに刃を照らした彼女の得物は大鎌――西洋にて死神の得物として名高き、歪曲した刃はすんなりと首を引っ掛け刎ねるに適した形。
 故に――大鎌の刃、その切っ先にもまた突き刺さった符が、数瞬遅れて両断し儚く風に消え行けば、虎は力と勢いを失い地に倒れ伏し。
 ゆっくりと、そのまま鎌を手に向き直るや否や、再び水の流れるかのように滑らかに斬り込み、踊る刃が次々と首を刎ねていき、哀れな虎に死の解放を与えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
ああ、何かしらの事情で虎になってしまった人の物語だろ。聞いたことがある
あれは人間と動物の間に本当の友情が成立するのか否かという話……じゃないのは分かる。いや、実は読んだ事ないんだが
まあ、その辺りがどうあれ今回は、恐ろしく強い虎を倒してこいという話だな

神刀を抜き、神気を纏う事で自身の身体能力を強化しつつ、弐の型【朧月】の構え
今回の場合、積極的に攻撃を仕掛ける利点はさほどないだろう
囲まれないように注意しつつ、攻撃を凌ぎカウンターで狙う方向で
敵も強いが此方も能力を強化している
上手く敵の力をいなすか、回避して隙を作り、首の後ろに向かって刀を振るう事で封魂符を切り剥がし、更にもう一閃で止めだ



●その声が我が友
 ――ああ、確か何かしらの事情で虎になってしまった人の話だろ。聞いたことがある。あれは人間と動物の間に本当に友情が成立するかどうかを問う話……じゃないのは分かる。
 なぜならば読んだことが無いから。
 夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は虎に変わった人間の有名な古典の話をどうだったか思いつつも、戦場に踏み入れた際に変わる空気に肌に嫌なモノが張り詰めていくのを感じていた。
「ま、その辺りがどうあれ……この恐ろしく強い虎を倒してこい、という話だな」
 ちらりと目を行かせれば、唸り声を挙げのっそのっそと足を踏み出していく姿。
 元々が大きな体躯であるものの、二度の死を経たことによる筋肉の量は更に増し、しなやかにして強靭な筋肉の鎧が見るからに強力な気配を放っていた。
「…………」
 しばしば忘れそうになるが、自然界に於いても必然的に上位種に位置する虎、それが更に強化されているだけあって侮れないのは確かだった。
 虎達の唸り声も微かに聞こえる中、鏡介は刀を静かに鞘から刀身を顕にしては、神気を身体に張り巡らせる。
 条件は同じ――後は優位をどう活かすか。鏡介が神気を身体に張り巡らせ、己の力を高めると同時、虎が駆け出し飛び掛かっていく。
 何も無い虚空を足場に、駆ける地を選ばぬ勢いで四次元的な、多角的な攻めを可能とする虎に対し神経を研ぎ澄まし待ち構える。
 迂闊に攻撃を仕掛けるよりは待ち、そして返すのがこの場は正しいと――
「――見切った」
 前方に一体、側面から二体、後方から更に一体が取り囲み圧さんとしているのが気配で分かる――なればと飛び掛かる一体、上方から斬り込んできた前方の虎を目掛けて一歩を踏み出し、鏡介は虎の爪に合わせ刀を振るった。
「弐の型【朧月】」
 甲高い金属音を立て、虎の爪と刀が打ち合い火花を散らす――生物の爪と思えぬ硬質化したそれと刀が押し合い、削れ合う火花を一時散らし。
 力と力が押し合うか、虎が前脚に力を入れると同時、機を合わせ鏡介は身体を横に移動させ、打ち合ったままの刀を巧みにずらし力の方向を誘導させる。
 そのまま流れ行くようにしなやかに身を翻しては、弧を描くように巧みに、かつ鋭い刃が首を刈るかのように閃いた。
 頸椎に貼られた符が綺麗に剥がれ両断され――続く刀の一撃が痛みも何も与えぬように、疾く首を刎ね虎の身を塵と還し。
 時間にして極々僅か、されど高度な打ち合いを制した鏡介はそのまま、攻撃を空振り着地したばかりの虎の元へ駆け、首元へ刃を躍らせていき。
 符を断ち、その勢いで返す刃が次々と虎の首を刎ねていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルパート・ブラックスミス
たまには猫を相手に戯れるのも良いだろう。行くぞ。

青く燃える鉛の翼を展開。
短剣【投擲】しつつ【空中機動】【ダッシュ】で真正面から黄金魔剣で【切り込み】。
効かなくとも構わん。攻めては離れて、ヒット&アウェイの【空中戦】で敵を【挑発】する。

敵UCの特性もあって敵の動きは【見切り】易い。
此方に仕掛けてきたタイミングでUC【黒と青の舞刀曲】、先程投げた短剣を【誘導弾】として操作し後方から敵の首の封魂符に【串刺し】【部位破壊】。
弱体化したところを黄金魔剣で【なぎ払い】だ。

お遊びの時間は終いだ。永久に眠るがいい。



●白く無き虎に襲うは黒き巌
 青々とした翼の広がる様は何処か美しく、されど放たれる鈍くも溶け落ちそうな熱気は恐ろしく。
 煌めく翼をはためかせ空を翔ける黒鎧は、短剣を取り出すや否や、虎の群れに向かってそれを投げ放った。
「たまには猫を相手に戯れるのも良いだろう。行くぞ」
 黒鎧ことルパート・ブラックスミス(独り歩きする黒騎士の鎧・f10937)は、投げ放った短剣に虎が飛び退くと同時、その手に黄金の剣を携え斬りかかる。
 されど頑強な虎はその剣を爪で受け止め弾き、後退しながらもルパートは短剣を投げ放ち牽制を続け。
 攻めては離れ、牽制し――と繰り返しながら、虎に向けて言い放つ。
「もっと遊んでやろう。来るがいい」
 誘うようなルパートの手に、虎達は苛立ちを隠さずに爪で地を踏みしめ、唸り声を挙げていく。それに伴い、虎から発せられる闘気の質に警戒を崩さず、ルパートもまた待ち構え――やがて虎が勢いよく、盛り上がり捩じれた筋肉を持った豪腕を、黒鉄を叩き潰し得る剛力を叩き付けに掛かっていった。
(来るか……)
 だが、見切りやすい。散々に唸ってくれたおかげで大分強くなっていると見えるが、その分だけ動きは単調になってもいる。
 単調になった分の動きを補うように速く駆けているようだが、関係ない。真っ直ぐに向かってくる虎を見据えルパートは低い声で言い放つ。
「じゃれ合うのは楽しかったか? 自分は……」
 敢てその答えは言わない。
 兜の格子に青白い熱を孕んだ揺らめきを一つ、格子からはみ出させるように盛らせては、彼は仕込みを発動させた。
「我が名に栄光はもはやなく――されど、我が剣の輝きは未だ鈍らず!」
 虎がルパートにその豪腕を叩き付けようと前脚が降り上がったその瞬間、虎の動きは脚を振り上げたまま硬直していた。
 何故ならば、虎の鉄すらも引き裂き砕く剛力の源、頸椎に貼りつけられていた筈の封魂符が【短剣に突き刺さった状態】で剥がされていた。
 牽制に投げ放っていた短剣は仕込み、虎の吶喊に合わせて発動した妙技により短剣を手繰り、導かれるように正確に符へと短剣を吸い込ませ虎から引き剥がしていたのだ。
 こうなれば虎の一撃は最早殆ど意味を成さず、大きな前脚がルパートに叩き付けられたとしても、猫が軽く触れる程度の攻撃にしかならず。
 黒鉄の大鎧は揺らぐことなく、虚しく力の抜け落ちた虎の爪を弾きながら、ルパートは黄金に輝く大剣をその手に握り。
「お遊びの時間は終いだ。永久に眠るがいい」
 与えられる黄金の大剣による剣閃は、たったの一つ。
 ただそれだけで、単純にして鋭く重たい剛の一撃は、文字通りに萎えた虎を再び土に還すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四季乃・瑠璃
煙幕式ボム(鼻を潰す為の臭気毒入り)で姿を隠し、敵の攻撃を避けつつ、
UCによる時間停止で札を剥がしつつ敵の首を大鎌で刈り落としたり、片方が時間逆行で敵を数秒前の位置に強制的に巻き戻し、もう片方がその位置に待機してタイミングを合わせて首裏の札を剥がす、といった形で時間を操る事で敵を翻弄して対処。
また、時間操作に頼らず、煙幕式ボムで姿を隠してる間に感知凍結式ボム【属性攻撃、範囲攻撃、爆撃】を煙幕に紛れ込ませる事で地雷の様に敵の足元で炸裂させ、身動きを封じて首(の札)を刈る等の作戦も実行。
一体ずつ狩り尽くすよ

緋瑪「干支だからって容赦はしないよー」
瑠璃「一度死んでるわけだしね。もう一度眠らせてあげる」



●死を再び与える者達
 春節の祝いの花火としてはそれは轟音に過ぎ、また齎される熱と衝撃も多大なものであった。
「干支だからって容赦はしないよー」
「一度死んでるわけだしね。もう一度眠らせてあげる」
 四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)と半身の緋瑪、一つの肉体に存在する二つの魂を二つの肉体に分けた彼女達は、戦場に着くや否や爆弾を投げ打った。
 頭部をガスマスクで覆い、立ち込める黒き煙が彼女達の姿を覆い隠し、視界の優位性を奪いつつ――
「効果覿面って奴だね」
「獣にはやっぱりこれだよね~」
 聞くに堪えない唸り声の響き渡るは、虎が煙の中でもんどりうっているから。
 ガスマスクで守るのも当然、立ち込める煙には鼻を衝くような凄まじい臭気が込められており、獣の鋭い嗅覚を的確に突き刺し、臭いという衝撃が脳を叩き虎の知覚を著しく鈍らせていた。
「行くよ、緋瑪」
「行こう、瑠璃!」
「「今こそ殺戮の『時』。我が敵全てに死を与えよう」」
 マスク越しに顔を突き合わせ、彼女達は発動する――時空すらも制し、自在に操る神々の領域にも至りかねぬ御業を。
 煙の中悶える虎の周囲に、ゼンマイ仕掛けの時計のような幻影が浮かび、針の歩みが止まる。
 すると悶え続けていた虎が――毛の一本のざわめきすらも、時を停めて硬直する。
 時を停められた虎に対し、ほぼ一方的に殺人姫達は手を伸ばし、符を剥がしながら時の捕縛を解けば。
 流れた時に従い、死体に戻された虎へと、彼女達は大鎌を仕込まれた炸薬を爆ぜさせ、加速をつけながら斬り伏せていく。
 されど時の捕縛を逃れた虎が晴れつつある煙の中、臭気を斬り捨て襲い掛かろうと、瑠璃は慌てず掌を翳し。 
「残念だけど巻き戻って貰うよ。秒まで掛からないかな?」
 時計が巻き戻るかのような幻影が産み出され、飛び掛かっていた虎は飛び掛かる前の地点に巻き戻されて。
「は~い♪ ようこそ♪」
 ――其処には既に、大鎌を振り上げた緋瑪の姿があった。
 彼女の行動は早く、虎が振り向くより先に伸びた手が符を引き剥がし、その勢いで翻された身と共に振るわれた大鎌が首を刎ね虎を塵と帰す。
 それでも怒涛の如く押し寄せる虎が来ようとも――既に煙幕の中、仕込んでいた地雷が爆ぜ、解き放たれた極低温が虎の脚を次々と捉え身体に霜を下し時の停止に頼らぬままに動きを止めさせた。
「大成功~! やったね瑠璃!」
「時間停止だけが全てじゃないからね、緋瑪」
「可哀想だけどわたし達に出来るのは殺すだけ」
「苦しまないように送ってあげるよ」
 ――その先は敢て語ることなく。凍てついた虎にも等しく、殺しという救済が訪れていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
封魂符の位置が首の後ろという予知が齎されたのは僥倖でしたね
他の位置……例えば腹の下にあれば他の手段を講じる必要がありましたので…

UCを装着し戦場を飛翔
マルチセンサーでの情報収集と瞬間思考力で瞬時に戦場の敵に照準合わせ、ロックオンレーザーを乱れ撃ち
キャノンの重力波を上から解放
飛び掛かる虎共を地に叩き付け拘束

流石は僵尸化、圧壊する事無く耐えているようですね

尤も、その硬直を見逃しはいたしませんが

頭部、肩部、腕部格納銃器を展開
首の後ろの封魂符を射撃で剥がし

怪物退治は騎士の務め、手抜かりはいたしませんとも
(チラ、と出番無き背の盾と剣を見)

…此度は大規模戦闘、求められるのは殲滅速度なのです…



●騎士の悲哀に虎は鳴かず
 数多の世界を渡る猟兵達にその表現は野暮なのかもしれないが、仙境と武侠の悠久なる大地に飛来してきた其れは聊か場違いにも見えた。
 轟音を響かせ噴き出す気流により、重厚感溢るる身を飛ばし、
「……最早、騎士と名乗るのも烏滸がましい姿ですね」
 背負った大型の推進器に二門の砲型の銃――曰く『置く』ので砲に非ず――のそれに、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は自嘲し。
 生物的な騎士の理念、誇りへの慚愧もそこそこに、戦う機械の正確さは時に無慈悲に、地を踏みしめる虎達に照準を定め。
「――発射(ファイア)」
 トリテレイアの接近に気付いた虎が、空を踏みしめ駆け上ろうとした刹那、彼は背の銃を放った。
 戦場に光が降り注ぐという光景も幻想的に、駆けのぼる虎に注ぎ――そして。
 注いだ光が大地の引き寄せる力、即ち重力を痛烈に与え、空を翔けた虎を再び地面に叩き付け、圧し掛かる不可視の力場は地面にめり込ませる勢いで虎の群れを押していく。
「流石は僵尸化、圧壊する事無く耐えているようですね」
 並の相手ならばそのまま滅ぼせたかもしれないが、そこはそれ、二度の死を経た頑強さは恐るべきものがある。
 されど壊せずとも動きは此処に、完全に地に縫い付けられたのならばと、トリテレイアの照準は冷たく、緑の眼が鋭く煌めき虎達の力の根源に定められる。
「尤も、見逃しはいたしませんが」
 ――幸いにして符の位置が首の後ろという、上部に位置しているというのは僥倖だった。故に空から圧し、撃つことが出来る。
 頭に、肩に、腕に――仕込まれた銃器が開き、一斉に火を吹き、圧され続ける虎の首を撃ち抜き、符の結合を引き剥がし。
 絶え間なく注ぐ弾丸という弾丸が、符を失い死体に等しき身体と成り果てた虎をそのまま撃ち抜き、完全な滅びを与えていく。
「怪物退治は騎士の務め、手抜かりはいたしませんとも」
 ここでふと、背に置いたままの剣と盾を見る。装いが騎士と言えなくなりがちだった上に、欠片も出番の無かったそれの無言の抗議が聞こえてくるような――
「……此度は大規模戦闘、求められるのは殲滅速度なのです……」
 誰も聞くこともない、ましてや責められる謂れもなくも言い訳めいた言葉は、虎の吼え土に帰る音と、今もこれからもけたたましく響き渡る銃撃音の中に密かに紛れこんでいき。
 やがては他の猟兵諸々含め、二度の死を経た虎も全て土に帰った中、地に降り立ったトリテレイアは再び眠った虎を弔うように、剣を手に騎士の祈りを捧げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2022年01月09日


挿絵イラスト