殲神封神大戦⑦〜瑞獣縛るに鎖はいらぬ
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「逃げたければ逃げてもよろしいのですよ? 別にわたくしは止めはしませんわ」
「だめだ……抗えない……」
「どうしました? ただ顔を上げ、目の前のものを蹴り飛ばす。それだけであなたは自由になれるのです」
「で、できない……! そんなこと……!」
「ああ、何と無様な姿なのでしょう。ただ立ち上がり離れる、それすらできないなんて」
「無理だ……だって、だって……!」
「だって、おいしいんだもん……!」
「さあ、もっともっと食べて肥え太りなさい! その姿がわたくしにさらなる力を与えますわ!」
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「………………」
物凄い仏頂面で何も言わずにグリモアベースに立つミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)のボディ花園・桃姫。猟兵たちは何事かと疑問に思うか、あるいは彼女を知る者ならこの時点で大体の事情は察せてしまうだろう。
「南蛮門をオブリビオンが守護してます。倒してきてください」
それだけ言ってグリモアを起動しようとする桃姫。いや待てもうちょっと説明しろ、そう猟兵たちが止めようとした所、突然桃姫は自ら転送を中止した。
「南蛮門はいにしえの仙界「紫霄宫(しあいきゅう)」に至る門です。敵はここから人界にオブリビオンを送り込み、かつこの門自体を周囲の自然の力を吸い上げる装置としています。ここを陥落させればそのままこれをこちらの仙界への入口として使うことができますし、奥に控える敵幹部に打撃を与えることができます」
突然冷静な早口で説明を始める桃姫。おそらくミルケン得意の緊急意識乗っ取りが使われたのだろう。
「もちろん、そのような場所なので敵の守備も固いです。ここでは瑞獣たちを拘束し、力を吸い上げるユーベルコードを与えられたオブリビオンが守護についています」
泣き所は裏を返せば最も固く守るべきところ。当然敵もそこに抜かりはない。
「敵は元々ボス級の強さがあるところに、さらに瑞獣から奪った力によってパワーアップしています。真正面から行ってはおよそ勝ち目はないでしょう。そこで皆さんには、捕らわれている瑞獣を助けた上で戦闘に持ち込んでいただきます」
人質救出と敵のパワーダウンを兼ねた行動をとったうえでの戦い。それをなさねば勝利は難しいという。
「ここで瑞獣を捕らえている絡繰ですが……ああ、なんで、私ばっかりこんな……! 無限料理提供器で……!」
あっ……という何かを察したような反応が一部猟兵から洩れた気がするのは気のせいだろうか。そして桃姫も慣れてきたのか洗脳の効きがだんだん悪くなっている気もする。
「敵は『『太喰拳開祖』ロウトゥ』という、太り、太らせることを喜びとするオブリビオンです。彼女は捕らえた瑞獣たちに彼らの好物を無限に提供し続けることで、自ら底に留まり肥え続けるよう仕向けて肥育パワーを吸収しているのです……! だからなんで……!」
特に逞しい者、痩せている者を醜く肥え太らせるとよりパワーが増すという。
「実の所この絡繰、物理的な拘束力は一切ありません。ただ、出てくる料理が着いたものの好物を自動で察知しそれを極上の味と爆盛りのカロリーで提供し続ける摩訶不思議な装置でして、一度食べたら食べ物の虜になってそのまま自ら装置にかかり続けてしまうのです」
どこからそんな装置を持ってきたのだとも思うが、それも仙界の神秘として無理矢理納得しておくしかないだろう。後ろに控える敵が自然と農耕を司るらしいので、畜産的な何かなのかもしれない。
「ですので、どうにかして瑞獣の皆さんをここから引きはがした上で戦闘してください。装置そのものは非常に頑丈で完全破壊は難しいので、無理矢理引っ張り出す、出てくる端から料理を分捕るなど手段を考えてください」
もちろんその間も敵は妨害しようとしてくるし、下手をすれば自分自身が装置にかかりかねない。やり方は慎重に選ぶべしということだ。
「ここを突破すれば瑞獣たちを味方につけたうえ仙界への道を開くことができますので、どうか……さっさと行ってこんな依頼終わらせてきてください! ほら早く!」
怒りでミルケンを引き剥がしつつ、桃姫は怒りと共に転移を開いて猟兵をその中へ放り込むのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス……絡繰を解き、瑞獣達を助ける』
今回は門の近くで瑞獣たちが食卓に着き、絡繰から無限に大好物を提供され肥育されてしまっています。どうにかして彼らを食卓から引きはがし、敵に肥育パワーを送るのを止めさせてください。物理的な拘束はされていませんが自発的に席を離れるのは精神的に困難なので、多少なりと強引な手段も必要でしょう。あるいは料理を食べられない状態にすれば一時的に正気を取り戻し、自分から離れてくれるかもしれません。ちなみに席に着けば猟兵にも大好物を無限に提供してくれます。もちろんその先にあるのは瑞獣達と同じ末路ですが……策があるならどうぞ。
敵は『『太喰拳開祖』ロウトゥ』というでっぷり太った女性型のオブリビオン。見た目通りスピードはないですが、あの手この手で相手を太らせた上でゆっくりとどめを刺しに来ます。痩せている者、逞しい者は特に醜く太らせようとします。瑞獣が囚われている限りそこから肥育パワーを得て極めて強力になっていますので、先に絡繰を対処しないと勝利は難しいでしょう。
まあ察せると思いますが些か特殊なネタ依頼です。よほど的外れな行動をとらなければまあ大体何とかなるんじゃないでしょうか。
それでは、おいしいプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『『太喰拳開祖』ロウトゥ』
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POW : 肉の悦び、教えてさしあげますわ!
【対象を瞬時に太らせる指先の刺突 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 肉に溺れなさい!
【捕縛中対象を太らし続ける網形のオーラ 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : すべては肉となりますわ!
自身からレベルm半径内の無機物を【触れると太る脂肪エネルギー 】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:スダチ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「エリット・エクサス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アノン・カノン
うわぁ、すっごいでっぷりしてるおばちゃんだー。
うーん、アノンもおやつ食べ過ぎるとあーなるのかな…気をつけよっと。
えっと、まずは瑞獣さん達に食べるのをやめさせないとダメなんだよね。
それなら、UC使って「ごはん食べるのやめてアノンと遊んで?」っておねだりしてみるよ。
(意識せずして思いっきり甘えた声+上目遣い+胸元強調の態勢になる)
テーブルから離れてくれた瑞獣さん達には一旦離れておいてもらって、アノンはおばちゃんと戦うよ。
ランスを振り回して脂肪エネルギーを吹っ飛ばしながら突撃!
もしエネルギーに触っちゃったら…全部おっぱいにいっちゃうかも?
メアリー・ベスレム
あは、なんて無様で醜いのかしら!
まるで肥え太らされたウシやブタ!
いいえ、アヒルやガチョウかしら?
次は自分たちの番だって言うのに、逃げる事すらできやしない!
いいわ、今回は人喰いとは違うけれど
メアリが殺してあげ……えっ?
食べないの?
ただ太らせるだけ?
……つまんないの!
テーブル上、見せつけるようお尻を乗せて
お行儀なんて知らないわ
ねえ、あなた。こちらは如何と【誘惑】を
僅かでも料理から意識が逸れたなら
【尻喰らえ】と突き飛ばし、引き剥がす!
荒っぽくてごめんなさいね?
敵の攻撃は敢えてお尻で受け止めながら
勢いそのまま普段より大きくなったお尻で圧し潰してあげるから!
……もう! お尻が重くてまともに動けやしない!
「おほほほほ! さあもっと肥え太って、わたくしの力になりなさい!」
人界といにしえの仙界を繋ぐ南蛮門。そこでは瑞獣たちが囚われ、力を吸い上げられて守護するオブリビオンの強化に使われていた。
そしてここにいるのは一つの……もとい一人の肉塊の如き女。その名は『『太喰拳開祖』ロウトゥ』だ。
「うわぁ、すっごいでっぷりしてるおばちゃんだー」
その姿を見たアノン・カノン(零の堕とし仔・f20149)は見たままの感想を何の衒いもなくそのまま口に出す。
「うーん、アノンもおやつ食べ過ぎるとあーなるのかな……気をつけよっと」
アノンがその豊満すぎる肢体を揺らしながら『いい子』な感想を述べる一方で、メアリー・ベスレム(WONDERLAND L/REAPER・f24749)は捕らわれた瑞獣の方へと意識を向けていた。
「あは、なんて無様で醜いのかしら! まるで肥え太らされたウシやブタ!」
囚われた瑞獣たちへの辛辣な言葉。だが、聞かされた瑞獣たちはそれに反論することもなく、目の前の机に顔を突っ伏しそこにある料理を貪り続けている。
「いいえ、アヒルやガチョウかしら? 次は自分たちの番だって言うのに、逃げる事すらできやしない!」
返事がないのでさらにメアリーはさらにヒートアップ。
「いや直接食べるわけではありませんわよ」
「いいわ、今回は人喰いとは違うけれどメアリが殺してあげ……えっ? 食べないの? ただ太らせるだけ? ……つまんないの!」
最早この哀れなる獣たちに垂れてやる慈悲など一つしかない……と言うところでロウトゥからツッコミが入った。
「まあともあれ、その獣たちは己の意志でここにいて太り続けているのです。あなたたちが何をしに来たか知りませんが、一緒に太るかさもなくば立ち去りなさい」
猟兵以上の力を得ているロウトゥは鷹揚に構えてまずは相手の好きなようにさせるつもりのようだ。
えっと、まずは瑞獣さん達に食べるのをやめさせないとダメなんだよね
ならば遠慮なくと、まずはアノンが最初の任務である瑞獣の解放へと向かった。
「ねぇねぇお願い、アノンと遊んでよぉ」
馬の後半身を持つ瑞獣の前に立ち、上目遣いにおねだりするアノン。最初は山盛りのニンジンを貪りそれを無視していた瑞獣だが、ふと目に入ったアノンの姿に食べるのを止める。
「お、おおお……」
その目に入るのは上目遣いに甘える仕草を見せるアノン。それだけではない、集めのその唇からは甘ったるい声が漏れ、さらに机に乗って余りある強調された豊かな胸が。アノンがもう一段身を寄せてより強くお願いすると、その巨大な胸が机の上でプリンのようにゆさっと揺れて、瑞獣に甘いデザートタイムを想起させる。
【アノンのおねがい】を叶える如く、最早食べるのも忘れてそこを食い入るように顔を近づける瑞獣。それを見て、対抗するようにメアリーも別の瑞獣が着く席に尻を乗せた。メアリーの体型は上半身こそ平坦だが、尻に関してはアノンも超える圧倒的サイズ。ただ乗せただけでも机の半分近くが占拠されてしまう程だ。
皿を押しのけるようにその巨大な尻をずいっと押しだし、兎の耳を持ったその瑞獣に見せつける。
「ねえ、あなた。こちらは如何?」
皿の代わりに出てきたその尻は、瑞獣の視界いっぱいに広がって他のものを見ることを許さない。その圧巻の尻に瑞獣がむしゃぶりつこうとしたその時。
「そんなにメアリのお尻を食べたかったの?」
【尻喰らえ】とばかりにその尻をメアリーが突き出した。瑞獣は本望とばかりにその尻を顔面に受け、至福の表情で席から転がり落ちる。
「荒っぽくてごめんなさいね?」
「おうまさんもこっちにどいておいてね。後でいっぱいあそんでね?」
その様子を見せつつ、アノンも自分の方の瑞獣を離席させた。その目はもう食事など見ておらず、揺れるアノンの胸に釘付けだ。
「そ……そんな馬鹿な!? わたくしの肥育力が!?」
太らされていた瑞獣が離れたことでロウトゥに注がれていた力も消えた。まさかこうなるとは思っていなかったロウトゥだが、これは一大事と侵入者を排除にかかる。
「その巨肉、あなたたちも素質十分と見ましたわ。さあ、お太りなさい!」
地面の石がエネルギーの塊になり、アノンへと襲い掛かった。
アノンはそのエネルギーを褐色のランス『DynamickDadick』を振り回して弾き飛ばしながら突進していくが、大きすぎるランスの動きは精密性を欠き細々と動いてくるエネルギーをさばき切るのは難しい。
「あっ……おっぱいがぁ……❤」
避けきれぬエネルギーがアノンを捕らえ、その体の一か所……胸に集まり底を一気に膨らませた。
一方メアリーは尻をまるで盾のように突き出し、今度は攻撃する気満々でロウトゥへ突進していく。
「わたくしに接近戦を挑もうとは愚かですわね!」
その尻を、ロウトゥは太い指を突き出し待ち構えた。その刺突がずぶりとメアリーの尻の肉にうずもれ、中に大量の力を注ぎ込む。
「……かかったわね!」
当然その尻は何倍もの大きさに膨れ上がるが、元より尻はメアリーの武器。即ち攻撃力が倍加したにも等しい。その尻が、ロウトゥの眼前に広がった。
「アノンも負けないもん!」
そしてアノンも、超巨大化した胸の重さを乗せてロウトゥにランスチャージをかける。自ら肥大化させた肉の重さが、4つ分纏めてロウトゥに叩きつけられた。
「そ、そんなぁっ!?」
肉で負けるという屈辱的な敗北に巨体を転がされ後退するロウトゥ。
「……もう! お尻が重くてまともに動けやしない!」
「持ってくれるの? 嬉しいな……❤」
その後に聳えるメアリーの尻とアノンの胸。最早持ち主すら動くこと能わなくなったそれを支えるように……あるいは味わうように、それぞれが助けた瑞獣たちが体を埋めて持ち上げるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
『頭が痛い』とはこのような状況を指すのでしょうね
……用途申請、戦域からの非戦闘員の救助
機能が解禁された電脳禁忌剣の切っ先をロウトゥの立つ“地面”へ向け素粒子干渉・変換
土砂を底なしの泥濘に変換して足止め
その隙に瑞獣達の食卓に並ぶ料理へと切っ先を向け素粒子干渉・変換
“炭”に一瞬で変換
さあ、食事の時間はお終いです!
このままではいい様に肥えさせられた挙句、搾取されてしまいますよ
…瑞獣達に恨まれるのは承知の上
力を振るった責任は騎士として甘んじて受け入れましょう
そして戦う覚悟無き者を戦場に連れ、力を奪うその外法
容赦はいたしません
再度、地面を泥濘化
動きを封じ、飛び出た頭部へ剣を振り降ろし
死絡・送
ノーブルバットに変身して参加、仲間達と協力して戦う。
まずは、絡繰を解き瑞獣達を助けるべく行動を開始する。
絡繰に近づき、仙術とハッキングを組みあわせてどういう代物か解析を試みる。
その結果を踏まえて、ノーブルアンカーで解体とこじ開け
を組み合わせて一時的にでも絡繰りの動力を絶とうと試す。
絡繰に関して得た情報は仲間達に提供、誰でも対処できるようにする。
上手く行ったら、仲間と協力して瑞獣達を逃がしてから戦闘開始。
オーラ防御で敵の攻撃をしのぎつつ戦い、プロミネンスバスターで
ボスを焼いて攻撃する。
ヴィリー・フランツ
Pow アドリブ・連携大歓迎
心情:ぼちぼち自力歩行出来なくなるくらいのデブだ、…なーんかデジャビュを感じるぜ。
手段:「お前さん、生き別れの姉妹とかいねぇよな?ブラッドルビーと言うか名前の」
取り敢えず力ずくでも良いとの事だ、装甲気密服を着用、エアタンクもフル充填だ。
そして瑞獣達の足元にガスグレネードを投擲、コイツは暴徒鎮圧用の非致死性化学ガス弾なんたが…催涙の他激しい嘔吐感も引き起こしてな、まぁ後は言わずもがな、可哀想だがこれでディナーから退席してもらう。
あのデカ女には【完全被甲弾】を装填したブルパップ小銃の銃撃をプレゼント、ついでにガスも吸っとくか?10年位毎日吸ったら痩せられるかもな。
「どうやら面倒な奴らが来るようですわね。こちらもそれなりの準備をしておもてなししますわ」
自身の肥育パワーに慢心し最初の襲撃に不覚を取った『太喰拳開祖』ロウトゥ。もう油断はせぬとさらなるパワーを瑞獣から抽出せんとするが、その方法は瑞獣を席につかせ絡繰から彼らの好物を無限に供給すること。
その状況に、トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は頭を抑えながらつぶやいた。
「『頭が痛い』とはこのような状況を指すのでしょうね」
これで行っているのが一般的な拷問や搾取なら怒りの滾らせようもあったろうが、ただとにかく太らせるだけ。そしてその太らせる行為によって自分を強化するというどういう原理かもわからない強化法。対処せねばならぬ敵と分かってはいるが、その電子頭脳が理解を拒んでしまうのも致し方ない事だ。
そしてヴィリー・フランツ(スペースノイドの傭兵・f27848)も相手の能力について深く考えることを避けつつ、その容姿を観察する。
「ぼちぼち自力歩行出来なくなるくらいのデブだ。……なーんかデジャビュを感じるぜ」
その脳裏に浮かぶのは、ほんの数カ月前見えたこれまた肥え太った女。その女に比べれば、自分で動いているのとただ太らせるだけで積極的に命までは奪っていない……あるいは死より悲惨な状態にしていないだけこちらの方がマシだろうか。
「お前さん、生き別れの姉妹とかいねぇよな? ブラッドルビーと言うか名前の」
「生憎と、太喰拳はわたくしが一人で編み出したものですわ。ですがわたくしを見て思い出したのならその者もそこそこの素質はある模様。事によっては門下に入れてあげてもよろしくてよ」
むしろオブリビオンとしてはあちらの方が格上だとは思われるが、今のロウトゥは一時的にその女にも匹敵する力となっている。まずは敵へそのエネルギーを供給している瑞獣たちを何とかせねば。
「……用途申請、戦域からの非戦闘員の救助」
トリテレイアは『電脳禁忌剣』の機能を解禁、その切っ先を地面に向け、そこを泥濘と変えた。ロウトゥの体重は見た目通りすさまじく、簡単にその泥に足を取られ沈んでいく。
「用途倫理判定……例外承認。申請者処刑機構……解除確認。不肖の騎士たる我が責において、貴女が怖れた事象を此処に」
そしてトリテレイアは剣を返し、こんどはそれを食卓に着く瑞獣たちへと向けた。まさか、文字通り元から断ってしまおうとでもいうのか。
その剣は振られる事すらなく、向けた先にあったものを一瞬にして炭へと変えた。その対象は、瑞獣たちの前にあった彼らの大好物。
「さあ、食事の時間はお終いです! このままではいい様に肥えさせられた挙句、搾取されてしまいますよ」
貪る者を失った瑞獣たちへ一喝。それに恨めし気に瑞獣たちは顔を上げるが、ロウトゥ自身は余裕の表情だ。
「甘いですわね。例え一つ失おうとすぐおかわりが来る、それがこの絡繰ですわ!」
そう、好物の無限提供こそがこの絡繰の神髄。一つ破壊したところで無駄だとロウトゥは得意になるが、そのおかわりがいつまでたっても出てこない。
「な、なんで……」
「全くややこしいな、だが少しはいけるぞ!」
訝しむロウトゥ。その答えは新たな男の声が告げた。絡繰の裏に取り付いた黒い影。真っ黒な衣装に身を包んだ死絡・送(ノーブルバット・f00528)は二人とは別行動し、隠れて絡繰の方に取り付いていたのだ。その目的は絡繰の方を停止させてしまうこと。
完全破壊は不可能と言われていたが、多少なりと機能を落とすことができればと彼は絡繰に取り付きその解析を行っていた。絡繰なのだから何がしかの機構があるはずだ。付け焼刃ながら学んだ仙術知識でそれを探り、そして何より壊せなくとも物理的に存在しているのだから、衝撃を与えてどうこうすることは出来ておかしくはない。
送は『ノーブルアンカー』を絡繰の継ぎ目に当て、そこをこじ開けて解体作業にかかる。目的は修理や改造ではない、とにかく機能を低下させることなのだ。隙間に異物を捻じ込み、装置同士の結合を緩め、正しい動作ができないように追い込んでいく。
結果として、詳しい原理は判明しなかったが機構部分を弄り回せば一時的にでも止めることができることは分かった。
料理の供給が止まることで多くの瑞獣たちが正気に戻っていくが、特に食欲が強いのか執念深いのか、炭になった食事にまで無理矢理かぶりつこうとする熊の瑞獣がまだ残っていた。
「取り敢えず力ずくでも良いとの事だ、装甲気密服を着用、エアタンクもフル充填だ」
その姿に、なら手荒に行くとヴィリーは自身を外気から遮断する装備を纏う。そしてその瑞獣の足元に、何かを放り投げた。
それを見た送が炭にかぶりついている者以外を退避させると、それと同時に投げられたものから大量のガスが噴出し辺りに充満した。
それを鼻と口から吸いこんだ瑞獣は炭から口を離し、涙や涎を垂らしてその場で転がりまわった。
「コイツは暴徒鎮圧用の非致死性化学ガス弾なんだが……催涙の他激しい嘔吐感も引き起こしてな、まぁ後は言わずもがな、可哀想だがこれでディナーから退席してもらう」
まさにいうことを聞かない相手を殺さず沈黙させるための武器。依頼説明の時点である程度の強引な手段は許可されているのだ。死ぬよりはましだと思ってもらうしかない。
未だ転げまわる熊をスーツのマスクで顔を覆っている送とウォーマシンゆえに生理現象を持たないトリテレイアが回収し、ガスの範囲外に引きずり出していく。
食事を破壊し、供給を止め、食いつくという行為すら不可能にする。こうまでされては最早瑞獣も食卓から離れるよりほかはないし戻ることもできない。
肥育パワーの供給源を完全に断たれたロウトゥは、怒りで泥濘から強引に体を引きずりだしながら怒りの声を上げた。
「なんということを……わたくしよりよほど悪辣、熱量を何と心得るのです!」
「……瑞獣達に恨まれるのは承知の上。力を振るった責任は騎士として甘んじて受け入れましょう」
その言葉をトリテレイアは真正面から受け止める。力を持って事に当たったのだ。例え結果がどうであれ、それに伴う責任は負って当然。その覚悟があるから、自分も仲間もこのような手段を取ったのだ。
そして、覚悟を問うのは相手にも。
「そして戦う覚悟無き者を戦場に連れ、力を奪うその外法、容赦はいたしません」
再度、ロウトゥの足元を泥濘に変えて行動を阻害するトリテレイア。なんでも、いくらでも好きに変換できる【銀河帝国未配備A式形相操作兵装】。自らに課した厳しい倫理判定を越えてユーベルコードとしてようやく使うことのできるこの力。もしこれが予定通り帝国一般兵全てに配備されていたらと思い恐怖を抱くのはこの力を使う度のこと。
巨体を揺らしばちゃばちゃと迫るロウトゥの頭を、剣を振り下ろしトリテレイアが押し返す。
「あのデカ女にゃいいプレゼントがあるぜ」
トリテレイアを下がらせ、代わってヴィリーが銃を構えて向かい合う。その距離は銃ならば近すぎる程だが、如何に巨躯とて人が手を伸ばして届く場所ではない。
何しろ相手は射程は短いが当たれば必殺の技を持っているのだ。それをさせぬ距離を保つのは勝利のための必定。その距離から、ヴィリーはゆっくりと相手の頭に狙いをつける。
「ただの弾じゃねぇ、当たると痛いじゃ済まないぜ!」
頭に当てるならこいつだと、ヴィリーは愛用のブルバップ小銃に【完全被甲弾】を装填。それをロウトゥの大きな頭に容赦なくぶっぱなした。暴れてるとはいえぬかるみでもがくだけでまともな防御態勢の取れないその頭部に、弾丸は容赦なく着弾しその体を揺らがせる。そして貫通力と破壊力を両立したユーベルコード製弾丸の威力を余すところなく受けたロウトゥに、ヴィリーはさらなるプレゼントをお見舞いした。
「ついでにガスも吸っとくか? 10年位毎日吸ったら痩せられるかもな」
熊の瑞獣に吸わせた鎮圧ガス。殺傷力こそないが苦しめるには十二分。お前のせいでこれを喰らった者がいるのだと、その涙と嘔吐感を持って相手に刻み込む。
だが、10年も待ってやるつもりは猟兵には無かった。一日ずつが勝負の殲神封神大戦。このようなふざけたオブリビオンには明日だって勿体ない。
送の怒りの力が、熱と光となって彼の周りに満ちていく。
「太陽の紅炎が一切の邪悪を焼き尽くす、プロミネンスバスター!」
【プロミネンスバスター】の光が地に埋まるロウトゥに照射され、消えない炎でその身を包んだ。
「あぁぁぁぁっ! わたくしの、わたくしの肉がぁぁぁぁっ!」
「そんなに食わせたければお前が焼豚にでもなっていろ! ……誰も食わんだろうがな!」
煮ても焼いても食えぬ肉は焼却処分に限ると、怒りの熱線がロウトゥを焼いていく。
長剣、銃、そして光線。遠距離から指突能わぬ力で太らせることもできず攻められ尽くしたロウトゥ。吸い取った力に胡坐をかいた巨女は、正しく力を持って当たった男たちの前に沈むのであった。
大成功
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グラディス・プロトワン
※アドリブ歓迎
おもむろに席に座り、俺の好物を出せるものなら出してみろと挑発
絡繰が想定外の相手に機能停止…しない?!
こ、これはE缶…!
思わぬモノを無限に提供され食事が止まらなく…
もっとだ、もっと寄こせ!
怪力で絡繰を揺さぶると誤作動を引き起こしてしまう
名状し難い何かが出現するようになり正気に戻る
瑞獣達も同様のようで、彼らが解放された事で敵の力も弱まっているはず
幸いにも機械が太ったりはしな…身体が太くなっているな?
確かに大食いはしたが、どういう仕組みなのだ…
不本意だが俺が肥育されてしまったか
だが奴との戦いで減量できるだろう
できるよな?
俺は人型ではあるが、ウォーマシンが太ったなど聞いた事が無いからな!
次に現れた猟兵は、またしてもメカニカルボディのウォーマシンの男。グラディス・プロトワン(黒の機甲騎士・f16655)は敵に何かをされる前に、まっすぐに絡繰に近づき空いている席におもむろに腰を下ろした。
そのまま堂々と腕組みをし、一切を恐れることなく宣言する。
「俺の好物を出せるものなら出してみろ」
外見に違わぬ重い声での宣言。その声には早くも勝利を確信したかの如き余裕すら見て取れた。
何しろ彼は見た目通りの機械仕掛け。当然その好物は通常の食物ではない。いかに仙界の秘宝とはいえたかだか3世紀の代物がウォーマシンの動力源を理解できるものか。理解できない命令を下されたプログラムはフリーズするしかない。そうすればもうこの絡繰は制したも同然である。
そう考える彼の前に、しかし青い何かがことりとさしだされた。それを見た瞬間、彼のカメラアイが赤い閃光を放つ。
「こ、これはE缶……!」
メタリックブルーの缶に太く描かれたEの一文字。缶の製造技術などないはずの封神武侠界に置いて、しかしそれはウォーマシンなら誰もが大好き、飲むだけでエネルギー漲る彼の大好物であった。
「おほほほほ、よく分かりませんが、大方あなたは哪吒太子の御同類でしょう? それならば既に我らの知った道ですわ」
今度はこちらが勝ち誇ったように言うロウトゥ。今回の有力敵の一人哪吒はオブリビオンマシンである。キャバリアかウォーマシンかの違いはあるが、封神武侠界に置いて機械技術は全く未知のものではなかったのだ。
だがもうグラディスはそんな話知ったことではない。目の前に出てきた大好物の誘惑に抗えず、それを一気飲みしていた。そして一缶空になれば、すぐさまおかわりが出現する。
本来一つで十分なそれを、次から次へと飲み干していくグラディス。あっという間にエネルギーはオーバーロード、最大を越えた過充電状態になっていく。時折MだのWだの別の文字が書かれた感が出て味変させてくるのがいやらしい所だ。
だが元よりグラディスは極端なまでにエネルギー吸収に特化した機体。絡繰の供給量を上回る勢いで缶をあけ、時折待ち時間さえできてしまう。
「もっとだ、もっと寄こせ!」
その数秒すら我慢できずに絡繰にしがみつき、全力で揺さぶりだしたグラディス。最早恥も外聞もあったものではない姿だが、大量摂取したエネルギーを全てそこにぶつけているだけあってその勢いは半端ではない。
やがて耐えかねたかのように何かが絡繰から吐き出される。だがそれは彼の望んだものでも、そして瑞獣たちのための食物でもなく、ただとにかう『名状し難い何か』としか言いようのないものであった。
恐らく規格外の振動をぶつけられたことで内部が誤作動を起こしたのだろう。だが各人の好物が出なかったとあって、グラディスも瑞獣も途端に正気に戻る。
「おっと、見苦しい所を見せたな。だが幸いにも機械が太ったりはしな……身体が太くなっているな?」
改めて体を見下ろすと、明らかに各所の装甲が太く厚くなっている。しかも触るとなんか柔らかい。
「確かに大食いはしたが、どういう仕組みなのだ……不本意だが俺が肥育されてしまったか」
元々くびれていたはずの胴部が胸部と同じくらいの太さになっていることに違和感を覚えつつも、グラディスはロウトゥに立ち向かう。
「ほほほ、例え装甲の体でも太らせることは可能! さあ、もっとお太りなさい!」
ロウトゥは周囲の無機物……グラディスが飲み散らかした空き缶を肥育エネルギーに変え、グラディスへとぶつけた。その攻撃を、グラディスは微動だにせずその身に受ける。
「遠慮なく吸わせてもらおうか!」
そのエネルギーは【アビス・アブソープション】の力でグラディスへと吸収された。エネルギーと名のつくものは全て力に変えることができる。無機物からエネルギーを作り出すロウトゥの技は、正に彼にとっては餌以外の何でもない。
敵の攻撃を受ける程にパワーアップという圧倒的優位。そこからの圧倒的な力で剣を振り回し、グラディスはそれをロウトゥに叩きつけた。それは単なるぶん回しであったが、それでも高まった戦闘力と重量によって必殺の一撃と呼ぶにふさわしい破壊力を持っていた。
その一撃で吹き飛ばされ、ごろごろと転がっていくロウトゥ。転がって入るがあの距離ならランニングホームランは固いだろう。
「だが奴との戦いで減量できるだろう……できるよな? 俺は人型ではあるが、ウォーマシンが太ったなど聞いた事が無いからな!」
その様子にいい運動をしたとばかりに心地よさげに言うグラディス。だが少し下に目をやれば、そもそも今まさに彼が太った人型ウォーマシンと化しているその現実を突きつける出っ張った腹部装甲が。
「……念のためもう一撃加えに行くか。念のため」
そう言って転がっていったロウトゥを追うグラディス。果たして帰ってきたとき彼の装甲が元に戻っているかは、まだ分からないことであった。
大成功
🔵🔵🔵
ベアトリス・ミラー
エルーゼ、ホークと行動
SPD
瑞獣たちを力尽くで退かす為に動く。
何とか動かそうとするが太っている相手を動かすのは容易ではないがなんとか動かそうとする。
「こ、これは動きが」
かばう形で受けてしまい太らされて動けなくなり。
武器を取ることもできないが創造した戦乙女を使って援護を行う。
エルーゼ・フーシェン
ミラー、ホークと行動
アドリブ・絡みOK
ミラーと共に瑞獣の移動を手伝う。
何とか移動するように言いながら力づくで移動させようとする。
「なんだか身体が重くなってきた」
同様に太っていき身動きが取れなくなるまでに。
動けなくなったらクロタを呼び出して代理で戦わせることに。
ホーク・スターゲイザー
エルーゼ、ミラーと行動
アドリブ・絡みOK
二人に遅れてくる。
黄龍の霊器を剣に形成、対となる陰狼の霊器を黒い刀に形成。
「捨我万有……心斎坐忘」
瞑想で集中力を高め第六感や野生の勘を強くし攻防一体の剣舞へと繋げる。
「胡蝶刃・七色舞踏」
六属性による三撃と無属性による一撃を繰り出し動きは醉人の如く不規則な乱れ撃ち。
魔力とダッシュを合せた縮地も使い翻弄したりもする。
猟兵によって何人もの瑞獣が救出されたが、まだまだ捕らわれている瑞獣は尽きない。なくなればおかわりを用意すればいいと言わんばかりに、次なる瑞獣が席につかされていた。
「ちょっと、前の人たちを見てなかったの? あなたも早く退いて」
エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)が瑞獣の説得にかかるが、やはり自身の好物に夢中になっている瑞獣はまるで聞く耳を持たない。
元々ここの食事には洗脳効果もあるのだ。食べれば食べる程にやめられなくなり、例え外から何を言われようと言葉だけで自発的に止めることは不可能に近い。
「これは駄目ですね、力ずくでやらないと」
その様子を見て、ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)も説得だけでは無駄だと悟る。仕方なく強引にどかそうと瑞獣の体に手をかけるが、肥育されたその体は重く、生半な力ではびくとも動かない。
「これは……重いわね……!」
「こ、これは……私の力では……」
二人とも力任せの戦いはそこまで得手というわけではないこともあり、簡単にひょいと運んでとはいかないようだ。
それでも何とか動かそうと努力を続ける二人だが、そんな状況を敵が黙って見ているはずもなく。
「無駄な努力はおやめなさいませ。あなた達も肉に溺れるがいいですわ!」
どしんと踏み込み、強烈な指先による刺突を見舞った。その指はベアトリスの体に食い込み、中に大威力の肥育パワーを送り込む。
「こ、これは動きが」
何とかエルーゼをかばうことには成功したが、射程が短い代わりに大威力の一撃をまともに受けてしまったのだ。そのパワーは瞬く間にベアトリスの体を侵していく。まるで風船を膨らませるように、その体はあっという間に瑞獣たちと同じような丸々とした肥満体形に変えられてしまった。
「せっかくかばったのに無駄でしたわね。それではあなたも太りなさい!」
続けて周囲の無機物を肥育エネルギーに変え改めてエルーゼにぶつけるロウトゥ。エルーゼは避けようとするがそうすれば瑞獣に当たりさらに彼らが肥育されてしまうこともあり、結局は何もできずにそれをその身に受けるしかなかった。
「なんだか身体が重くなってきた」
結局はエルーゼもまた肥育エネルギーを全身に受け、丸々と肥えた体になり果ててしまった。
「おほほほほ! それではあなた達もこれからたっぷり肥育してあげましょう! 何でも好きなものを……」
「……遅かったか」
勝ち誇り二人からも肥育パワーを吸収しようとするロウトゥ。だが、その後ろから別の男が現れた。
ホーク・スターゲイザー(六天道子・f32751)は既に手遅れなほどに太り切った二人を見てから、『黄龍の霊器』を剣に、対となる『陰狼の霊器』を黒い刀に形成しロウトゥへと切りかかった。
その斬撃はエルーゼとベアトリスに気を取られていたロウトゥの背を深く切り裂く。
「なっ……!? おのれ、もう一人いましたのね! わたくしの肉を傷つけた罪は重くてよ!」
そう怒りの声を上げながら、ロウトゥは背を反らしそこの肉を寄せる。押された脂肪がぴったりとくっつき、まるで止血帯のように血止めをしてさらに傷まで押し固めて塞いでしまった。
肉を力にする拳法というのは伊達ではないらしいと、ホークは改めて敵が強力なオブリビオンであることを認識する。
「捨我万有……心斎坐忘」
短時間に瞑想し、集中力を高め勘を研ぎ澄ますホーク。それを意に介さぬかのように、ロウトゥはまるで脂のような気を網上に練りあげそれをホークへと投げつけた。
囚われれば太らされる肥育の網。肥育パワーを吸収したロウトゥの力は絶大であり、いかに集中しているとはいえ躱し能うものではない。
だが、それが自らを捕らえる前、ホークはまさに網の目をすり抜けるかのように瞬時に動きその捕縛を躱した。
「なんと!?」
まさか。絡繰によって強化された自身の力は猟兵をも凌駕するはず。そう驚くロウトゥの視界の端に、またも別の者が映った。
「……このような下らん場所には二度と呼ぶな」
いらついたようにいう女。彼女はエルーゼが召喚した邪神クロタ。冷酷で傲慢なまさに邪神だが、ユーベルコードによる制御故か最低限の願いは聞き届けてくれることも多い頼れる存在でもある。そしてその後ろでは、別の女性たちがせっせと瑞獣たちを運び出していた。
こちらはベアトリスが【神世創造】で創造した戦乙女たち。召喚系を得意とする二人なら、例え自身が動けなくても瑞獣を絡繰から解き放ち、さらに呼んだものを自分の代わりに戦わせることもできた。
「ぬぅぅ、ならば、あなた達も太るがいいですわ!」
今度はクロタに向けて肥育エネルギーを放つが、それを戦乙女が受け止める。想像の続く限りは無敵である彼女たちは簡単には太らず、その後ろからクロタが反撃としてロウトゥに一撃を加えた。
「胡蝶刃・七色舞踏」
その一撃で揺らいだところに、挟み撃ちでホークの【胡蝶刃】が襲う。縮地で一瞬にして詰めた距離から、三属性の攻撃が放たれた。
「わたくしの肉……貫かせませんわよ!」
網のオーラでそれを受け止めるかのように防ぐが、まるで醉人かのような不規則な動きは読み辛くうまくは防ぎきれない。
そして網の隙間が広がった瞬間、まるで一瞬で瘴気に戻ったかの如く、属性を持たない突きがその隙間を抜きロウトゥの肉に突き刺さった。
「ぐぶぅ!?」
腹肉をへこませ、奇声を上げるロウトゥ。どうにか三属性の一つは凌いだらしく即死には至らないが、そのダメージは深く立ち上がることは出来ない。
「よし……後はあれだが……」
ホークはちらとエルーゼとベアトリスを見るが、やはり地力では動けないようだ。
「私はやらんぞ」
何か言う前にクロタからの拒絶宣言。こちらをどうするか、それはまだ課題として残されたままなのであった。
大成功
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夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
戦争中で空腹感が強いですし、有難いですぅ。
着席しつつ『FTS』で瑞獣さん達の食物を奪取、『FMS』のバリアで押出し瑞獣さん達を席から引離しましょう。
その際、[大食い]&[早食い]で大量の食物を頂き、私に注意を引きますねぇ。
救助完了したら【瀾粮】を発動、『三千符印』も重ね食事から『計40万倍以上のカロリー』を即時吸収可能にし、同様の速度(1kg増量分→400t以上増量)で体重を大増量、ロウトゥさんを下敷きにして[重量攻撃]で圧潰しますぅ。
まあ【瀾粮】には『消費する』効果が無い分、暫く食事と増量を続けることになりますが。
どこまで増量しますかねぇ?
『絡繰』も回収したいですぅ。
全会原・タイガ
アドリブ・絡みOK
瑞獣に食べるのを止めさせてぇが言うことを聞いてくれそうもねぇな……
……仕方ねぇ!瑞獣に出された料理を代わりにオレが食ってやらぁ!(ヤケクソ)【大食い】
食った料理と発動したUCの効果で食欲と体重が増えまくってパワーアップ!敵も太らせてくるだろうがその分強くなるから関係ねぇ!
たっぷり強化された肉体でありったけの一撃を食らわせてやる!【重量攻撃】
鮫兎・醒闇
「ふふ、そんな罠に釣られるとでも体が勝手にー!」(棒読み
満漢全席を希望するわ!ユーベルコード【暴飲暴食グラトニーモード】を発動して、無限に食べ続ければ無限に肥れるわね!瑞獣達たち?膨れ上がる私のお肉で押し出して場外にいってもらいましょう!どうせ今回もるこるちゃんとタイガちゃんも超絶肥満化するから!(笑
というかこの絡繰、私の鮫触手で丸飲みしちゃってもいいかしら!私にとっては夢の永久機関よ!
ロウトゥに送られる肥育エネルギーは激増してもむしろ増えすぎてオーバーロードさせる勢いで自己肥育しまくるわ!先に太れなくなったほうが押しつぶされる勝負よ!(ドヤァ…
「く……とうとう最後の瑞獣たちですわ。こいつらだけは、何としてでも肥やし尽くさねば……!」
ついに最後となったらしい囚われの瑞獣たち。だが、それだけにロウトゥも絡繰をフル稼働させ、完全に食べる以外の事を考えられないように仕向けていた。
その様子を、まずは離れた位置から全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)が観察する。
既に多くの猟兵が挑んだ故、何が効果があり、何が困難かはある程度分かっていた。
まず、言葉だけで説得するのは不可能。絡繰の方の破壊は不可能と言われており、一時的に機能を乱すことは出来るがそれにはかなり思い切った手段が必要。相応の腕力があれば物理的な強制退去は可能だが、当然敵が邪魔してくる。だが一方、敵は自身に肥育パワーを供給する元となるか、どうせ成功しないと見ればこちらの行動を邪魔しては来ない。
以上を踏まえタイガが出した答えは。
「……仕方ねぇ! 瑞獣に出された料理を代わりにオレが食ってやらぁ!」
ヤケクソ気味に飛び出し、瑞獣が食べている料理を奪い取って食べ始めた。
突然の乱入者にロウトゥも驚くが、瑞獣の食事を奪って食べるタイガの姿に余裕の声になる。
「ほほほ、どうやらまたも邪魔をしようとしているようですが、それではわたくしに力を送るだけですわ。三人纏めてわたくしの為に太りなさい」
(く……確かにうめぇ! このままじゃ席に着きたくなっちまう……ん? 三人?)
内心焦りを浮かべながらも食べ続けるタイガだが、最後の言葉に疑問を覚えて横を見る。そこには。
「ふふ、そんな罠に釣られるとでも体が勝手にー!」
「戦争中で空腹感が強いですし、有難いですぅ」
自ら席についている猟兵がいた。しかも二人も。
「満漢全席を希望するわ!」
鮫兎・醒闇(兎と鮫となんかの触手・f02122)は中華料理の最高峰、満漢全席を注文する。その注文に即座に応え眼前には大量の料理が並べられるが、それを瞬く間に食い尽くしそれに比例するように醒闇は膨れ上がっていく。
そしてその隣では夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)が、自らは動かず各種装備を飛ばして瑞獣たちの料理を奪い取り自分の口に運んでいた。全く動かない故にエネルギー消費は全くと言っていい程なく、料理に入っている超高カロリーが余すところなくその体に蓄積されている。
「ほほほほ、どうやら思い知ったようですわね。さあ、あなたも早く諦めて席に着きなさい!」
二人を見てがっくりきているタイガの姿を、味方の敗北に心折れたのだと思い勝ち誇ったようにロウトゥが笑う。
確かにタイガは色々絶望していた。だがそれは勝利を断たれたからではない。彼女の心を折ったのはそれと引き換えに失うものの方であり、勝利そのものはむしろ確信していると言ってもいいくらいであった。
「体脂肪はパワーよ!」
その言葉通り、醒闇は食べたものを体脂肪に即座に変え体に蓄えている。その体は見る間に膨れ上がり、隣の席の瑞獣さえ押しだしていくほどだ。だが、その押しだされた瑞獣たちより醒闇が食べる量の方が多い。結果として彼女は瑞獣数人分の肥育パワーを一人でロウトゥに送っていた。
一方るこるも、邪魔だと言わんばかりにバリアを当てて瑞獣を押しのけてその料理を奪い取っていく。転がり出ているのだから救助と言えなくもないが、傍から見れば邪魔者を押しのけ料理を独り占めしているようにしか見えない光景だ。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『暴食の加護』をお与え下さいませ」
その料理を【豊乳女神の加護・瀾粮】でわざわざカロリーを割り増しにしてまで食べていく。さらに体には摂取カロリーを増幅させる淫紋……もとい肉紋さえ浮かび上がっている。最早熱量の塊と化したそれは一口ごとに肉となり、まさに風船のようにその肉体は膨れ上がっていった。
「おおお……何という力! これさえあればもう瑞獣など必要ありませんわ! わたくしはこれで、肉世界の神となるのです!」
その規格外の肉エネルギーを受け、ロウトゥの体にも肉と生気がみなぎっていく。瑞獣たちから受けたパワーでも猟兵を凌駕する力を得られたのだ。その猟兵から力を得た今、彼女の実力はフォーミュラ級か、あるいはそれ以上では……
「さあ……太りなさい!」
指先の刺突が三人に突き出された。その圧巻のパワーはさらに三人を太らせ、もはや一体は肉の海と化した。
その肉は正に無限の力をロウトゥに与えていく。
「おーほほほほほ! 太喰拳は中華を、世界全てを喰らい尽くすのですわ!」
その力に酔うロウトゥ。だが、注がれる力は無限であっても、それを入れる器ははたしてどうか。
ぶちりと嫌な音がして、突如としてロウトゥの体から力が抜けていく。
「な、なんですの、これは……」
見ればロウトゥの巨肉にひび割れのようなものがで着ている。そしてそこから、吸収したはずの肥育パワーが漏れ出ていた。
「先に太れなくなったほうが押しつぶされる勝負よ!」
その姿に、醒闇が勝ち誇ったように言う。彼女はただ趣味で肥えていたわけではない。無限に太れる自身の体質を活かし、その肉に収まらないほどのエネルギーをロウトゥに送り内側からの崩壊を狙っていたのだ。
「どうせ今回もるこるちゃんとタイガちゃんも超絶肥満化するから!」
もちろんそこまで折り込み済み。案の定るこるもタイガも、最早どれがどこの肉だか分からないほどに膨れていた。
「まあ【瀾粮】には『消費する』効果が無い分、暫く食事と増量を続けることになりますが。どこまで増量しますかねぇ?」
割とのんびり言っているがそれ結構ヤバい状況じゃないのだろうか。しかしるこるはそんなこと気にしない。そのまま自身の重量が十分に育ったことを確認し、転がってロウトゥを下敷きにする重量攻撃をかけた。
「こ、この程度、わたくしの肉で!」
それを自身の圧倒的巨肉で押し返そうとするロウトゥ。流石にあれほどの肥育パワーを得ただけはあり一瞬は押しとどめることに成功するが、重さがかかったせいか体の罅から勢いよくパワーが抜け出し徐々に押し負けていく。
もう肉まみれで一切収集つかない状況だが、とにかくチャンスには違いない。タイガも色々折れっぱなしだった心を奮い立たせ、文字通りに転がるようにロウトゥへ向かった。
「たっぷり強化された肉体でありったけの一撃を食らわせてやる! やめられない! とまらない~~!!」
食べた食事の量と質、そしてそれによる増量全てを威力に変える【反愚理威毘異須斗】の一撃が、ついにロウトゥの肉を飲み込み、押し潰した。
「わたくしが……わたくしが肉で敗れるなんてぇぇぇぇぇ!!」
最も誇るものでの勝負に敗れた絶望と屈辱と共に、ロウトゥは肉の海……もとい骸の海に還っていった。
「というかこの絡繰、私の鮫触手で丸飲みしちゃってもいいかしら! 私にとっては夢の永久機関よ!」
「『絡繰』も回収したいですぅ」
敵が倒れて早々に絡繰の方へと興味を移す醒闇とるこる。その速さからしてもしかしたらこっちが本当の目的だったんじゃないかと思われるくらいだ。
確かに破壊できないとは言われているが、そもそもこれ自体がロウトゥがどこかから持ってきたもの。まるごと移動、回収は可能なはずだ。だが、絡繰自体は一つしかないわけで。
「まず戻る手段を考えろよ……」
誰が持ち帰るかの争奪戦が起きそうな予感がしつつも、タイガはそもそも色んな意味で『戻る』こと自体が困難なんじゃないかとある種いつも通りの結果に改めてうなだれるのであった。
大成功
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