殲神封神大戦⑦〜幽玄より迫る死者の声
●三皇
幽玄の門は開かれた。
『紫霄宫(しあいきゅう)』はいにしえの仙界。それに至る門が『南蛮門』である。
本来は不定期に現れる幽玄の門であるが、その揺らぐ門は大いなる力に寄って固定され、人界と繋がりを絶たれずにいる。
「『神農兀突骨』のために精気を奪うことが我々の使命」
ゆらりよ揺れるは額に貼られた護符。
本来、それは魂を封じた護符であるが、その護符に修められた魂は不完全なものであった。
魂を完全に封じることができず、不完全な魂だけが護符に込められている。
だからこそ、『キョンシーモドキ』。
不完全な僵尸たる彼女たちは次々と『南蛮門』より這い出て、人界へとなだれ込む。
「自然と農耕を司る山皇はこう、おっしゃられた」
「我等は二度死せる者。一度目は魂から肉体を。二度目は魂を殺された者。なればこそ、我等は新たなる生をもたらされた者」
「ゆえに、我等は生在る者全てを殺す。偉大なる三皇――『神農兀突骨』のために」
僵尸大行軍とも言うべき進撃は止まらない。
『南蛮門』より溢れるオブリビオンの数は尋常ではなく、存在し続けているだけで幽玄の門は自然の精気を吸い続けている。
このままでは人界の精気は底を尽き、滅びる。
人界と仙界をとつなぐ門。
本来固定されることのない門が固定されていることこそ、オブリビオンの策動である。
ゆえに猟兵たちは僵尸の大行軍を打倒し、溢れかえる大軍を撃破しなければならないのだ――。
●殲神封神大戦
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まりいただきありがとうございます。封神武侠界、その人界と仙界をつなぐ幽玄の門『南蛮門』が如何なる力によってか、固定され、開かれています」
ただそれだけであれば何の問題もないように思えただろう。
しかし、『南蛮門』から人界の自然の精気が仙界の何処かへと流れ込んでいるのだ。
人界の自然の精気が失われてしまえば、あらゆる植物は死に絶えるだろう。そうなっては人界は滅びてしまう。
一刻も早くこの原因を突き止め、解決しなければならないのだ。
「ですが、『南蛮門』より僵尸の大軍が溢れかえっているのです」
ナイアルテは、この地を占領することの難しさを告げる。
敵の数は膨大である上に、『僵尸化オブリビオン』である。『二度殺害する』ことによって生み出されたオブリビオンの軍団は恐るべき筋力と仙術に対する耐性を持っている。
ただの僵尸ではないということであるが、それならばユーベルコードでどうにかできないものかと猟兵たちは考える。
しかし、それをナイアルテは遮るようにして首を横に振る。
「その耐性は凄まじいものです。真っ向からユーベルコードを放ったとしても仙術に対して耐性をもつ『僵尸化オブリビオン』を打倒することは難しいようです」
彼女の予知で見えた『僵尸化オブリビオン』たちは『キョンシーモドキ』と呼ばれる魂を封じた護符に不完全な魂を宿した存在である。
生ある者全てを恨む彼女たちの衝動は凄まじいものであり、容易には撃破できないだろう。
「ですが、体のどこかに貼られた封魂符を剥がすことができれば、元の死体に戻ってしまうようです。すなわち、それこそが彼等のウィークポイント……どこに封魂符がそんざいしてるのかまでは私には見えませんでした……額に貼られた護符はおそらく本来の彼女たちが持っていた護符であり、剥がされても『僵尸化オブリビオン』としての力を減ずることはできないでしょう」
ややこしいことになっていることは百も承知である。
謂わば、額の護符はブラフとでも言うべきであろうか。
だが、その何処かに貼られた護符を剥がすことができれば、敵は恐れるに値するものではなくなるのだ。
「敵の軍勢を退けるためには、やはり封魂符を引き剥がすことが先決。元の死体に戻れば、一撃で倒すことも可能になるはずです」
人界の自然が絶えることを防ぐため、ナイアルテは猟兵たちを転移でもって送り届ける。
あらゆる強大な存在が未だ姿を表していない現状。
膨大な数の敵。
これまでの大きな戦い以上に敵の強大さを知ることとなった殲神封神大戦。
その戦いの趨勢は、猟兵たちの手によって委ねられたのであった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『殲神封神大戦』の戦争シナリオとなります。
突如として現れた『南蛮門』。
本来であれば幽玄の門であり、不定期に現れては消えるだけの門を何者かの大いなる力によって固定されてしまいました。
この門が開かれ続ければ、人界の自然の精気は吸い上げられ続けあらゆる動植物が死に絶えてしまうでしょう。
これを防ぐ為に、門より溢れる『僵尸化オブリビオン』の大軍を蹴散らすシナリオになります。
『僵尸化オブリビオン』は強靭な筋力と仙術に対する耐性を持っています。真っ向から打倒するには数が多すぎ、また能力も高いです。
これに対抗するには、体の何処かに貼られているという『封魂符』を引きはがし、元の死体へと戻すことが必要になります。
※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。
プレイングボーナス……敵の封魂符を剥がす。
それでは、仙界と人界を繋ぐ門を制圧し、オブリビオン・フォーミュラ座す仙界へと続く道を切り拓く皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
第1章 集団戦
『キョンシーモドキ』
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POW : 連撃
【分銅鎖】が命中した対象に対し、高威力高命中の【斬撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 分銅鎖
レベル分の1秒で【分銅鎖】を発射できる。
WIZ : 地の利
戦場の地形や壁、元から置かれた物品や建造物を利用して戦うと、【剣や分銅鎖】の威力と攻撃回数が3倍になる。
イラスト:にこなす
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
董・白
キョンシー…もどき…。ですか
僵尸である私が言えた義理ではありませんが、死を冒涜し、生を憎む彼女らの魂を解放し、元の死体へと還してあげましょう
ほんと、言えた義理は有りませんね…
封魂符…(自分の符を思わず手にして)
額以外にあるというのなら、まずはそれを探しませんといけませんね
宝貝「太極図」を発動させます
太極図で彼女らの封魂符『索敵』し、彼女らから『情報収集』
『世界知識』から僵尸の特徴を読み取り、収集した情報との相違から封魂符の位置を予測します
南蛮門へと流れていく精気を『龍脈使い』で利用して『道術』を強化
『破魔』と雷の『属性攻撃』を乗せた雷公鞭で封魂符へ攻撃し、封魂符をはがします
それでは、おやすみ…
いにしえの仙界『紫霄宫』へと至るための門こそが『南蛮門』である。
本来であれば、不定期に揺らぐ存在であるが、何者の大いなる力によって固定された『南蛮門』は常に開かれ、人界の自然の精気を吸い上げ続けている。
このまま行けば、人界の精気は枯れ果て、動植物は死に絶えるだろう。
その『南蛮門』より溢れ出るのはオブリビオン『キョンシーモドキ』である。
彼女たちは皆、額に札を張っているが、それは完全なる護符ではない。
僵尸とは本来額に貼り付けた札に魂を封じることによって、器となる肉体を動かす存在。
肉体に痛覚はなく、そして器であるからこそ、肉体の限界を超えた動きを可能とする。
「我等の魂は不完全なるもの。魂とも言えず、さりとて死せる者。ゆえに、我等はモドキと呼ばれる」
「偉大なる三王たる『兀突骨』は下知された。自然の精気全てを吸い上げ、我等は生ある者全てを憎むべきだと」
『キョンシーモドキ』たちが溢れ出し、次々と人界へとなだれ込んでいく。
その姿を見た董・白(尸解仙・f33242)は己もまた僵尸であるがゆえに如何なる思いで彼女たちと対峙するのであろうか。
「キョンシー……もどき……、ですか」
彼女の言葉は小さい。
つぶやきにも満たぬ言葉であった。
自身もまた一度死せる存在。
どうこう言えた義理ではない。けれど、『キョンシーモドキ』たちは二度の死によって生み出された僵尸である。
彼女たちを生み出した存在は死を冒涜し、生を憎む彼女らを見出したのだ。
「生への憎しみは、魂を縛る呪いと同じ……彼女らの魂を開放し、元の死体へと還してあげましょう」
彼女は己の額にある護符を手にする。
それは彼女の魂を封じたものであり、僵尸として存在するのならば傷つけられてはならぬものであったことだろう。
それは『キョンシーモドキ』である彼女たちも同様である。
しかし、彼女たちの体に貼り付けられた『封魂符』は何処にあるのかわからない。額にあるものはブラフであることがわかっているのならば、それ以外を探さねばならないのだ。
「それならば龍脈探査開始!」
彼女の手にした宝貝「太極図」(パオペエタイキョクズ)が展開される。
それは索敵の力を格段に跳ね上げ、一瞬で龍脈による精査を開始するのだ。彼女たちは『僵尸』。
モドキと名が付いてるのだとしても、彼女たちが『封魂符』によって『僵尸化オブリビオン』となっているのならば、必ずそれが存在している。
彼女たちは分銅投げ放ち、なだれ込んできている。
その攻撃を躱しながら、白は宝貝による解析を進める。
「彼女たちは、一度死んだのち、さらにもう一度殺されているというのならば」
白は彼女たちの姿を見る。
瞳に在るのは憎しみだけだ。世界をではない。生ある全てを憎んでいる。不完全に封じられた護符の中にある魂が、欠けたものを求めるように、生者を殺そうとしている。
「あなたも私達と同じはずだ。生を失い、二度目の生すらも偽り。それで何をなそうというのです」
その言葉は白に突き刺さることだろう。
嘗て在ったのは、全てを与えられた人生。全てを失ったからこそ、白は戦うのだ。
なにゆえ己が失わねばならなかったのかなど既にわかっている。
ならばこそ、己と同じ者たちを生み出してはならない。
「見えました! 私が為すべきことは、理不尽に命を奪う者たちを打倒すること――すなわち、あなたたちのような者から、人々を守ることです」
迫る『キョンシーモドキ』を見る。
彼女は龍脈からの力の流れを読み切る。大地より溢れる力は、精気となって『南蛮門』へと流れ込んでいるが、その精気は『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』を通じている。
ならば、その龍脈より流れる場所、その起点たる『キョンシーモドキ』の一箇所こそが『封魂符』の在り処。
それを見つけた白の瞳がユーベルコードに輝く。
「龍脈の流れはわかっています。ならば!」
わかっている。
自身が彼女たちのことをとやかく言う義理はないのだと。
けれど、それでも人界に混乱を齎すことはできない。誰かを守るためにこそ己の力があるのならば、それを振るうことに躊躇いはない。
迸る雷撃が宝貝よりはなたれ、その雷の一撃が『キョンシーモドキ』に貼られた『封魂符』を焼き尽くす。
残るはただの死体のみ。
白は、破魔の力宿りし雷撃で彼女たちを討ち滅ぼす。
「それでは、おやすみ……」
死した後において生への憎悪に駆られた者たちを、救うことができるのならば、永遠の眠りのみ。
器を破壊した白は、燃え尽きる『封魂符』が煤となって消えるのを見送るのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ連携歓迎!
二度殺し……なんとなくすごい雰囲気でありますな!
神農兀突骨、ただならぬ相手のようデース!
これ以上力を増強させぬためにも、そしてこの大地を守るためにも!
目の前の軍勢を防ぎマース!
筋力に優れるというなら接近戦は避けマショー! 数も多いデスシ!
キョンキーモドキたちの分銅鎖が届かない遠距離から攻撃させてもらいマース!(退きながら撃つ!)
どこに封魂符があるかわからないなら、当たるまで撃てばOKデース!
ヴァリアブル・ウェポン、展開!
火炎放射器で、ガトリングガンで、グレネードランチャーで!
攻撃回数を重視した一斉発射デース!
符が吹き飛べば元の死体に戻るはず……。グッナイ、であります!
『僵尸化オブリビオン』とは二度殺されることによって生み出される存在である。
いにしえの仙界である『紫霄宫』につながる門である『南蛮門』より溢れる彼等は一度死した『僵尸』であり、同時に二度目の生においても殺された存在。
ゆえに彼等の肉体は通常のオブリビオンよりも強固であり、同時に仙術に対する耐性を誇るのだ。
『キョンシーモドキ』たちの額に貼られた魂を封じた護符。
それはブラフでしかないことをバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は知っている。
彼女たちが何故、『僵尸化オブリビオン』となったのかはわからない。
されど、彼女たちの背後にある強大なオブリビオン『神農兀突骨』の力が『南蛮門』より吸い上げられる人界の精気でもって膨れ上がっていくことは避けなければならない。
「二度殺し……なんとなくすごい雰囲気でありますな! 『神農兀突骨』、ただならぬ相手のようデース!」
バルタンは戦場を駆け抜ける。
『南蛮門』より溢れる『僵尸化オブリビオン』は強力である。
このまま此の地を守られていれば、必ずや猟兵たちの戦いに巨大な障害となってしまうことは明らかであった。
「これ以上力を増強させぬためにも、そしてこの大地を守るためにも! 目の前の軍勢を防ぎマース!」
しかし、敵対する『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』は筋力に優れる。
彼女たちは既に死した存在。
肉体がもつ限界を等に越えている。骨が折れようが、肉が避けようが、彼女たちは己の持てる力を以て猟兵たちの未知を阻むであろう。
放たれる分銅鎖がバルタンを襲う。
この距離ではあちらに分があると判断したバルタンは引きながら弾丸を撃ち放つ。
どこに『封魂符』が存在しているのかわからない以上、牽制にしかなり得ない。
だが、バルタンは楽観的であった。
強固な肉体と仙術に対する耐性。
それを持った『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』たちはバルタンの攻撃が当たろうが当たるまいが、その牽制を踏み越えてなだれ込んでくる。
「無駄だ。我等の肉体は強固。兀突骨の力に寄って我等は二度の死を迎えた存在。その程度で」
「やられるわけがない。お前達生者の全てを鏖殺するまで我等は滅びないのだ」
彼女たちの生者に対する憎しみは歪み果てている。
正当性も、理由も、何処にもないのに、不完全な状態で残っている魂が、生者に対する憎しみだけを膨れ上がらせているのだ。
分銅鎖がバルタンを襲う。
しかし、彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
「ヴァリアブル・ウェポン、展開!」
サイボーグである彼女の体に内蔵された兵器が展開され、火炎放射器、ガトリングガン、グレネードランチャーでもって凄まじい勢いで炎や弾丸、爆風を巻き起こすのだ。
それはやけっぱちの攻撃のようにも思えたことだろう。
だが、その一斉射は、嵐のように『キョンシーモドキ』たちを飲み込んでいく。
彼女たちの弱点である『封魂符』が何処にあるのかわからない以上、バルタンは圧倒的な火力で持ってすべてを吹き飛ばすことに決めたのだ。
あまりにも乱暴なやり方。
しかし、それは何処にあるかわからない物を探すよりも手っ取り早いものであったことだろう。
「全部吹き飛ばせばいいのデース! ちまちまやるのは性に合わないのデース!」
彼女の内蔵兵器は膨大であった。
どれだけ放っても弾切れになることはなかった。
吹き荒れる爆風の嵐。
その最中に『キョンシーモドキ』たちの封魂符がふきとばされ、もしくは焼き切られ、次々とただの死体へと戻っていくのだ。
「馬鹿な、こんなでたらめなやり方で……!」
「火力で押す、数で圧するのは、あなた方の専売特許ではないのデース! グッナイ、であります!」
バルタンは背を向ける。
爆風が吹き荒れる嵐の中、『キョンシーモドキ』たちが霧消していくの見るまでもなく、バルタンは次なる戦場へと赴く。
彼女が守るべきは封神武侠界の人々である。
ならばこそ、一時も無駄にすることはできないのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
フィア・シュヴァルツ
「ほほう、チキン南蛮で出来た門から出てくる、がんもどき……」(じゅるり
神農といえば、農耕を司る神と聞く。
ならばこそ、チキン南蛮や、がんもどきを司ってもおかしくはあるまい。うむ。
「そして、我がチキン南蛮やがんもどきにたどり着く邪魔をするのが、あの額に紙切れを貼った変な奴らか……」
ふむ、いつでも食事ができるように紙ナプキンを常備しているとは、敵ながら見上げた心意気よ。
だが、我の前に立ちはだかるなら容赦はせぬ!
「【極寒地獄】よ、奴らが身につけている紙ナプキンを凍らせて砕くのだ!
我のチキン南蛮とがんもどきは、あんな奴らにはやらぬ!」
凍って砕けぬまでも、氷が溶けた水で濡れれば紙ナプキンも破けるであろう。
幽玄の門たる『南蛮門』。
それはいにしえの仙界である『紫霄宫』に通じる門であり、そこを攻略しなければ仙界に座す強大なオブリビオンに近づくこともできない。
同時に本来ならばゆらぎ、不定期に人界と通じるはずの仙界の門は大いなる力によって固定され、その力によって人界の自然にある精気を吸い上げ続けているのだ。
時間が経てば経つほどに人界の精気は吸い上げられ、動植物に死に至らしめるだろう。同時にこの大いなる力を手繰るであろう強大なオブリビオン『神農兀突骨』のちからもまた増していくのだ。
「ほほう、チキン南蛮で出来た門からでてくる、がんもどき……」
なんて?
シリアスな雰囲気など知ったことではない。
そこにあるのは食欲だけ。食欲だけが全てを制するものであり、生きる生命にとって最優先で行われるべきは食事であると言ってはばからぬのがフィア・シュヴァルツ(腹ペコぺったん番長魔女・f31665)である。
彼女の耳はあらゆる言葉が食事に関連するものに置き換えられる。
それは彼女の空腹の度合いがひどければひどいほどに簡単に置き換えられ、正されることはないのだ。
「神農といえば、農耕を司る神と聞く」
したり顔である。
きっと食事に関連していなかったのならば、農耕を濃厚と聞き間違えていたことであろう。多分。
「ならばこそ、チキン南蛮や、がんもどきを司ってもおかしくはあるまい。うむ」
いーや。おかしい。
どこからどう聞いてもおかしい。
しかし、フィアにとって大切なのは、己の食欲を邪魔する『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』の存在を排除せねばならぬということだけである。
「我がチキン南蛮やがんもどきに辿り着く邪魔をするのが、あの額に紙切れを張った変な奴等か……」
ふむ、とフィアは頷く。
若干関心している風なのはどういうことであろうか。
あっ、もしかして額に張った札をナプキンかなにかだと勘違いしていらっしゃる?
だから、中々気概のある連中だと、その心意気を認めているのだろうか?
「だが、我の前に立ち塞がるのならば、このフィア、容赦せぬ!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
どう考えてそうじゃないんだけど、『キョンシーモドキ』たちはフィアのただならぬ雰囲気に圧される。
食欲が絡んだときのフィアは大体こんな感じである。
有無を言わさぬ魔力量でもって彼女の詠唱が始まるのだ。
「我が魔力により、この世界に顕現せよ、極寒の地獄よ」
煌めくユーベルコードは氷壁となりて『キョンシーモドキ』たちを囲い込む。その氷壁は迷路であり、同時に強固なる力によって守られたものである。
破壊しようとしても破壊できるものではない。
如何に分銅や剣でもって攻撃を加えようとしても、極寒地獄(コキュートス)に捕らえられた彼女たちに出口などないのだ。
「奴等が身につけている紙ナプキンを凍らせて砕いてくれる!」
確かに彼女たち『キョンシーモドキ』は仙術に対する高い耐性を持っている。だが、彼女たちの『僵尸化オブリビオン』へと変える『封魂符』は違う。
全身を隈なく凍りつかせる冷気は、その体のどこかに存在する『封魂符』すらも凍りつかせて砕くのだ。
「我のチキン南蛮とがんもどきは、あんんた奴等にはやらぬ!」
フィアはじゅるりとよだれを拭う。
まじで滝のように流れそうであった。トロトロのタルタルソース。甘酢に付けた鳥の天ぷら。そんでもってお米があれば何も、もう言うことはあるまい。
がんもどきも出汁を吸い込んだホカホカのものを頂きたい。
フィアの心のなかを占めるのはそればかりであった。
『キョンシーモドキ』たちには申し訳ないが、フィアとはこういう猟兵である。
食欲で持って、膨大な魔力を投じ、それを邪魔するものを排斥するときにこそ彼女の力は満ちて、満ちて、そんでもって腹ペコになるのだ。
空腹こそがスパイスとは良く言ったものである。
「――え、チキン南蛮がない? がんもどきも? 何故だ!!」
戦いが終わった時、フィアは戦場に何も残らぬ事を嘆くだろう。最初からなにもないって言っているのに頭の中で自動翻訳したフィアが悪い。
そんなフィアの慟哭が『南蛮門』に響き渡る。
今後南蛮の名を聞くだけでパブロフの犬といった具合にヨダレが止まらぬ呪いを身に受けながら、フィアは溢れ出る『僵尸化オブリビオン』たちを氷漬けにして打倒するのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
テラ・ウィンディア
UC発動
神農ってお薬の神様だったかな?
色んな薬草を食べて効能を見出したんだっけ?
「この世界における医術の神ですね。立派な方だったといえるでしょうに…」(黒髪少女
【戦闘知識】
敵の動きと癖と性質を分析
更に符の位置の把握
【見切り・第六感・残像・空中機動・オーラ防御・武器受け】
高速で飛び回りながらも攻撃を全力で回避
避けきれないのはオーラで受け止め追加の斬撃は己の武器を当ててダメージ軽減
【二回攻撃・早業・串刺し】
剣で切り裂きつつ槍で突き刺し猛攻
ヘカテ
【属性攻撃・弾幕・貫通攻撃・遊撃】
ガンドライドとドリルビットで弾幕&ドリル攻撃
精霊魔術で精霊達を呼び己達の魔力で使役
符を剥がさせに掛かり
神聖魔術で浄化
『南蛮門』より人界にある自然の精気を吸い上げ続けているのは、幽玄なる門が固定されているからである。
本来であれば、ゆらぎによって仙界に通じる『南蛮門』は適宣に開閉するものだ。だが、今は違う。
大いなる力によって固定されているがために『神農兀突骨』へと人界の精気が流入し続けているのだ。
更には『南蛮門』より這い出る大量のオブリビオン――それも『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』によって門を閉ざすこともできない。
このままではいずれ人界の精気は吸いつくされ、多くの動植物が死に絶えるだろう。
「神農ってお薬の神様だったかな? いろんな薬草を食べて効能を見出したんだっけ?」
「この世界における医術の神ですね。りっぱな方だったといえるでしょうに……」
テラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)と彼女のスーパーロボットである『へカティア』の人型へと変身した姿、黒髪の少女が言葉を紡ぐ。
彼女たちが対峙する『キョンシーモドキ』は『僵尸化オブリビオン』である二度の死によって得たのは強靭な肉体と仙術に対する高い耐性である。
それゆえに彼女たちはこと戦いにおいては強敵と成り得るのだ。
しかし、『封魂符』と呼ばれる護符を剥がすことによって元の死体へと戻る。本来であれば、彼女たちの額に貼られたものがそうであるはずなのだが、あれはブラフである。
不完全な護符への魂の封印がきっかけで彼女たちは生者に対する憎しみだけが歪み膨れ上がっている。
「我等の敵は生者全て。生きとし生けるもの全てが我等の敵」
手にした分銅と剣をもってテラたちに迫る『キョンシーモドキ』たち。
彼女たちの動きは『僵尸化オブリビオン』として最大の力を発揮することだろう。
痛みも恐れも感じない彼女たちにとって戦いとは生者を憎む行動に他ならない。ならばこそ、テラは彼女たちを止めねばならないのだ。
「テラ!私に魔力を回してください!」
「了解だヘカテ!一つ連携と往こうか!」
二人の瞳がユーベルこーdに輝く。
展開されるガンドライドとドリルビットが弾幕を生み出し、精霊魔術でもって精霊たちを呼び出した『へカティア』の力がテラの瞳でもって見出した力の流れの流入点である『封魂符』を見つけ、引きはがしに掛かる。
「彼女たちの『封魂符』はそれぞれに異なるようですね。ですが、見つけられるのならば引き剥がせばいい」
「そのとおりだ。敵の攻撃は惹きつけるから、『へカティア』は符を引きはがしに掛かってくれ!」
テラは飛翔しながら、『キョンシーモドキ』たちを囲うようにして己の力を振るう。
迫る分銅鎖や剣を躱し、時に受け止めながらダメージを軽減しつつ彼女たちを自分にひきつけ続ける。
筋力の強化された『キョンシーモドキ』たちの攻撃は重たく鋭いものばかりであったが、その猛攻を剣で受け止め、槍で突き崩しながらテラは飛ぶ。
二人は己たちの役割を分担する。
テラと『へカティア』、そして精霊。
その三つの力による対人魔術戦闘機構『三叉路の女神』(ヘカテノマホウショウジョモード)は三位一体となって『南蛮門』より迫る『キョンシーモドキ』たちを尽く打倒していく。
「まだまだ敵は湧いてでてくる。けど!」
高速で飛翔しながら剣と槍、そして『へカティア』の放つガンドライドとドリルビットの弾幕が戦場と成った『南蛮門』にて乱舞ように明滅する。
生者を憎む者を止めることはできない。
彼女たちの憎しみは歪んでいるからだ。正しさも、正当性もない。
あるのは彼女たちが失ったという事実である。二度殺されたがゆえに『僵尸化オブリビオン』と化した彼女たちを止めることができるのは己達しかいない。
「これがみんなの為になるのなら!」
テラは己の持てる全霊でもって『キョンシーモドキ』たちの攻勢を受け止め、『へカティア』による浄化を以て彼女たちの侵攻食い止め続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
二度殺すとは……。オブリビオン相手とはいえ、死者に対する冒涜もここまで来るとは、って感じだ
こいつらは逃さず倒して……まあ、せめて解放してやるとするか
俺は術式に対する知識は持ち合わせてないし、外見から封魂符を探す事は出来ない
なら、俺に出来る手段でどうにか封魂符を探す所からだな
神刀の封印を解き、紫紺の神気を身に纏う。参の秘剣【紫電閃】により行動速度、攻撃速度を強化する
まずは一体……強化した速度を用いて撹乱しながら敵の身体部位の各所を攻撃
敵にとって封魂符は最大の弱点。幾ら防御力が高くとも、その近くを攻撃されれば無意識にでも反応する筈
それを見極めて、封魂符の場所を特定。一気に切り剥がしてやる
『二度殺す』ことによってオブリビオンは『僵尸化オブリビオン』へと変貌する。
その肉体は頑強にして、仙術への高い耐性すら備えた強力な個体へと変わるのだ。しかも、『封魂符』を剥がさぬ限り、その効果は続く。
そのために『二度殺す』必要があるのだ。
おおいなる力によって人界と仙界をつなぎ、古の仙界へと通じる門――『南蛮門』を開いた『神農兀突骨』は、『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』を解き放ち、人界の自然の精気を全て吸い上げんとしているのだ。
このままでは人界の自然にある精気は全て奪われ動植物は死に絶えるだろう。
「二度殺すとは……」
如何にオブリビオン相手とは言え、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)にとって、それはあまりにも惨い仕打ちであった。
死者に対する冒涜であるとさえ感じたことだろう。
此処まで来るとは、と己の価値観とオブリビオンの中にある欲望に対する考えとが噛み合わぬことに鏡介は頭を振る。
相対するは『南蛮門』。
次から次へと門を通じて現れる『キョンシーモドキ』たちは即座に鏡介の姿を認め、手にした分銅鎖を解き放つ。
その攻撃は重たく鋭いものであろう。
「こいつらは逃さず倒して……まあ、せめて開放してやるとするか」
「我等を開放すると言ったか、猟兵! 我等は兀突骨より与えられた第三の生命を生きている。それを!」
開放することはすなわち、元の死体に戻すということである。
鏡介は己が術式に対する知識が無いことを自覚していたし、外見から『封魂符』を探すことはできないと理解していた。
額に貼られた符はブラフであることを既に知っている。
ならばこそ、まともに打ち合うよりも、『封魂符』を己の出来る手段でもって探し、火剥がさなければならない。
手にした神刀の封印がほどかれ、紫紺の神気が身に纏われる。
「神刀解放。我が刃は刹那にて瞬く――参の秘剣【紫電閃】(サンノヒケン・シデンセン)」
煌めくはユーベルコード。
手にした神刀が光を解き放ち、鏡介は一瞬にして『キョンシーモドキ』たちの攻撃を躱し、凄まじい連撃でもってその体を打ち据える。
刀から伝わる感触はどれも岩のように硬いと思えるほどに手応えのないものであった。
これが僵尸化されたオブリビオンの頑強なる肉体である。
だが、鏡介は闇雲に刀を奮ったわけではない。一瞬の内に放たれる九連撃。
それは考えあっての斬撃であった。
「まずは一体……」
凄まじい速度の連撃は次々と『キョンシーモドキ』の肉体へと打ち込まれては、鈍い音を響かせる。
「馬鹿な……これだけの疾さ……! だと!?」
彼女たちは驚愕したことだろう。
己たちの肉体は強固なる鋼のようなもの。それに構わず斬撃を振るう鏡介は理解に苦しむ。
己たちの『封魂符』が剥がれぬ限り、勝ちは揺るがない。されど、凄まじい連撃は徐々に己たちの『封魂符』へと迫っているのだ。
とっさに『キョンシーモドキ』は己の腹……丹田を腕で隠すような素振りを見せた。
「そこか!」
鏡介は理解していたのだ。
彼女たちにとって『封魂符』は最大の弱点。
どれだけ他が強靭な防御を有するのであっても、その知覚を攻撃されれば無意識に庇うのだ。
その反応を引き出すための連撃。
そして、その庇う箇所さえわかれば鏡介にとって、それを引き剥がすことなど容易なことであった。
放つ剣閃が紫紺の神気と共に振るわれる。
それは一瞬で『キョンシーモドキ』の『封魂符』を切り裂き、引き剥がす。
「やはりあたりだったな……それがお前達の二度死した魂を封じる『封魂符』か。解放されるがいい。生者への憎しみを抱くのではなく、安らぎを求めて」
鏡介は構える。
位置はわかった。ならば、後は己の斬撃がそれを為すのだ。
神速の如き斬撃は、次々と『南蛮門』より這い出る『キョンシーモドキ』を打倒し、霧消させ続ける――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
人界と仙界を隔てる南蛮門。制圧させてもらいましょう。
「式神使い」の黒鴉召喚で戦場を俯瞰し、「失せ物探し」「仙術」「道術」を六壬式占盤で使って、キョンシーもどきに貼られた封魂符の場所を特定するわ。
呪符自体は、先に戦った猟兵が持っているのを譲ってもらえば、精度を上げられるわね。
全員同じ箇所に貼ってあるなら、楽でいいんだけど。
場所が分かれば、黒鴉達に命じて、封魂符を剥がさせましょう。さっと捕まらないように動かす。
呪符を取り除いてしまえば、ただの歩く死体。炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」で一掃する。
しかし、敵の尖兵は僵尸がやけに多い。屍術に通じた敵がいるのは間違いなさそうね。
怒りはそいつにぶつけましょ。
「人界と仙界を隔てる『南蛮門』ね」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》/黒鴉遣い・f01658)は、本来であれば揺らぎによって不定期に開閉するという幽玄の門を見やる。
いにしえの仙界に至るための門である『南蛮門』は今や多くの『僵尸化オブリビオン』、『キョンシーモドキ』が這い出る敵の拠点である。
そればかりか、固定された『南蛮門』は人界の自然の精気を吸い上げ続けている。
このままでは人界の動植物は精気を吸われて滅びるだろう。
それをさせぬために、そして、オブリビオン・フォーミュラである『張角』を打倒するために、この『南蛮門』は制圧しなければならないのだ。
「急急如律令! 汝は我が目、我が耳なり!」
黒鴉召喚(コクアショウカン)によってゆかりは、カラスに似た鳥形の式神を召喚する。
その鳥形の式神はゆかりの目となり、戦場を飛ぶ。
さらに仙術と道術でもって六壬式占盤を使用し、俯瞰した視界を得たゆかりは『キョンシーモドキ』に貼られた『僵尸化オブリビオン』である証、『封魂符』を探す。
確かに『僵尸化オブリビオン』は、強靭なる肉体と仙術に対する高い耐性を持っている。
しかし、『封魂符」さえ引きはがしてしまえば、元の死体に戻るのだ。
「呪符自体が残っていればおかったんだけど……」
どうやら『封魂符』は引きはがした時点で燃え尽きてしまっているようであった。『キョンシーモドキ』たちの額に張ってる符はブラフであることから、それ以外の場所に貼り付けられている可能性がある。
全て同じ場しょに張っているのならば楽でいいのだろうが、どうやらそうではないようである。
「精度を挙げられないのは仕方ない。なら、式神でもってつぶさに探すまで!」
ゆかりの視界とつながった黒鴉の式神たちは『キョンシーモドキ』たちに貼られた『封魂符』を探す。
あるものは腹部に、あるものは首の後ろに。
這い出る『キョンシーモドキ』たちには法則性はないようだ。
だが、確認できたのならば、極めて見つけにくい黒鴉たちが飛び、そのくちばしで持って『封魂符』を引き剥がすのだ。
「呪符を取り除いてしまえば、ただの歩く死体……!」
ゆかりは己の白紙のトラップから燃え盛る炎でもって『キョンシーモドキ』たちを燃やし尽くす。
元の死体に戻った彼女たちに炎を防ぐ手立てはない。
「しかし、敵の尖兵は僵尸がやけに多い……屍術に通じた敵がいるのは間違い無さそうね」
これまで戦ってきたオブリビオンは多くが僵尸と化している者たちであった。
死者の肉体を弄ぶ行いであることにゆかりは怒りを抱いているのだろう。
『キョンシーモドキ』である彼女たちの生前を知らぬ。
しかし、己が人間であるからかもしれないが、生理的な嫌悪を覚えてしまうのだろう。
生命を弄び、二度殺すことによって『僵尸化』するオブリビオン。
それがどんなにむごたらしい行いであるかをゆかりは知るからこそ、『南蛮門』の先に存在するであろう術者に対して怒りを抱くのだ。
「考えるのは後……怒りはそいつにぶつけましょ」
ゆかりは式神を手繰り、次々と『キョンシーモドキ』から『封魂符』を引きはがし、ただの死体へと戻った彼女たちを炎で持って浄化する。
燃えていく死体。
それは最早動くこともないだろう。
彼女たちの生者に対する憎しみは、炎と成って消えていく。
それを悲しむ暇すらないほどに殲神封神大戦は逼迫した事態である。ゆかりは己の中に燃え盛る怒りの炎を律しながら、その敵待つ仙界への一歩を踏み出すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
荒珠・檬果
ほうほう、なるほど?また厄介なことになってますね。
ですが、やりようはあるのです。
七色竜珠を全て合成、白日珠[ビーム竹簡形態]へ。
赤兎馬に乗って…遠目に布陣しますが、回避は任せましたよ?
赤兎『心得た』
では…【十二秘策・水】発動!
大水計ですからね、これで封魂符がどこにあろうと流されるでしょう?
流されなかったとしても、水がまとわりつくので…どっちにしろ、濡れて封魂符がぐしゃぐしゃになるでしょうね。
本当に、神農兀突骨も厄介なことをしてくれますね。負けませんけど!
仙界と人界を繋ぐ幽玄の門『南蛮門』をめぐる戦いは、這い出る『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』たちの出現によって混乱に至る。
彼女たちの肉体は強靭そのものである。
振るう分銅鎖による攻撃は、猟兵たちを容易に寄せ付けぬものであり、本来の魂を封じた符ではなく『二度殺す』ことによって実現した『封魂符』の所在を知ることができなければ、仙術にすら高い耐性を持つ体は、一体一体を強力なオブリビオンへと為さしめていた。
「ほうほう、なるほど?」
荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は『僵尸化オブリビオン』のやっかいな性質に舌を巻く。
面倒な事になっているのは言うまでもない。
しかし、『南蛮門』が開きっぱなしであるという現状を慮るのならば、それは避けては通れぬ障害であるといえるだろう。
「強靭な体。仙術にすら耐性を持つ敵……そして、その『封魂符』は体の何処かにあって、個体によっては別の場所にあると……ですが、やりようはあるのです」
彼女の手にある七色竜珠を掲げ、全ての色を合わせて白い光を放つ竹簡へと形を変える。
全ての色を掛け合わせることにより、白色へと変貌した輝きと共に檬果は『赤兎馬』と共に戦場を駆ける。
敵の攻撃を躱すために彼我の距離を離しているが、強靭なる肉体を持つ『キョンシーモドキ』たちを相手にするには心もとない。
それゆえに彼女は己の乗騎でもある『赤兎馬』の首を撫でるのだ。
「回避は任せましたよ?」
『心得た』
短いやり取りであるが、それだけで十分なのだ。
人馬一体となった彼女たちに言葉は不要である。僅かな言葉だけで相通じるものがあるからこそ、彼女たちは共に戦場を駆け抜けることができる。
「では……十二秘策・水(カヒノスイケイ)発動!」
彼女の瞳がユーベルコードに輝き、己の肉体に深密将『荀攸』を憑依させる。手にした竹簡となった白日珠より放たれるのは大量の凍えるほどの冷たき水の濁流であった。
それは大水計と呼ぶに相応しいものであった。
溢れる水は、一気に『キョンシーモドキ』たちを『南蛮門』まで押し流す。
ただ押し流すだけではない。
「これで『封魂符』がどこにあろうと流されるでしょう。剥がれなくても、この水はまとわりつくのです」
そう、凍えるほどの冷たさでありながら、凍らず『キョンシーモドキ』たちにまとわりつく水。
体中を弄るようにまとわりつく水は次々と彼女たちの肉体から『封魂符』を引きはがし、ぐしゃぐしゃにしていく。
「こんなっ、水如きで我等が、我等の『封魂符』が剥がされるなど!」
あってはならないと叫ぶ声も濁流の中に消えていく。
檬果は、その声を聞く。
されど、容赦はしない。
何のための水計であるかを彼女は理解している。どれだけ強靭な肉体も仙術に対する耐性も、全てを押し流す水の前には無意味も同然。
『封魂符』さえ引きはがしてしまえば、如何に『僵尸化オブリビオン』と言えど、ただの死体にほかならない。
彼女たちに三度目の死をもたらし、再び返り咲くことのないようにするこそが彼女の為すべきことだ。
「本当に『神農兀突骨』も厄介な事をしてくれますね」
檬果は『赤兎馬』の上から濁流に流されていく『キョンシーモドキ』たちを見送る。
ただの死体に戻った彼女たちは、再び『神農兀突骨』によって利用されることもないだろう。
恐るべき敵であることは承知の上。
それでも、彼女は拳を握る。
「負けませんけど!」
そう、戦いはまだ続く。
強大なオブリビオンが存在する限り、今日のような戦いが続くのであれば彼女は躊躇わず進むだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
朱鷺透・小枝子
南蛮門は危険、進め!オブリビオンは破壊しろ!!
敵の力の溜まり場、魂的な所を人工魔眼の超能力(と悪霊の)【第六感】で感じ取り、駆ける。
動体【視力】で分銅鎖を避けて【早業】騎兵刀で封魂符を【切断】
体も魂も殺されたなら今のお前達はなんなんだ!
塵でも詰められたのか!!
死体を斬り敵の刃の軌道を眼で【見切り】逆に封魂符を死体を斬って斬って斬って斬って捨て、包囲されて投げられる分銅鎖を、
そんな悼ましいモノに!
分銅鎖を、範囲内の封魂符を『咆哮破壊』で破壊。
殺されてなるものかぁアアアアアアッッ!!
放たれた破壊物質を【念動力】で操り、敵中へ吶喊。
破壊物質の波で纏めて封魂符を破壊し、死体も破壊していく。
人界の自然にありし精気を吸い上げ続ける幽玄の門、『南蛮門』は本来であれば不定期にゆらぐものである。
その影響は軽微なものであったが、今は違う。
大いなる力によって固定され、開きっぱなしなのである。
しかも、這い出る『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』たちは生者への憎しみに満ちている。
彼女たちは不完全な形で魂を符に封じた存在である。
欠けた魂を求めるように生者の生命を求める。
殺戮を求めるだけの器にしかならぬ存在である以上に、『二度殺される』ことによって完成した『封魂符』による強靭な肉体と仙術に対する高い耐性を持つのだ。
「『南蛮門』は危険、進め! オブリビオンは破壊しろ!!」
だが、そんな彼女たちを前に現れるのは破壊の申し子である。
燃える魔眼の煌きが戦場に軌跡を刻む。その魔眼を持つ朱鷺透・小枝子(亡国の戦塵・f29924)は本能とも言うべきものにしたがって戦場をひた走るのだ。
敵の力のたまり場。
すなわち自然の精気を吸い上げ、『南蛮門』に通じるものを見ているのだ。
『キョンシーモドキ』たちを操る存在『神農兀突骨』が仙界に存在するのであれば、その力の流れを見る魔眼が『封魂符』の所在を知るのだ。
「破壊させはしない。我等の三度目の生を、終わらせてなるものか」
『キョンシーモドキ』たちにとって、生者とは殺すべき存在である。
それだけしかない。
「体も魂も殺されたなら今のお前達はなんなんだ! 塵でも詰められたか!!」
小枝子の咆哮が迸る。
彼女の手にした騎兵刀が魔眼により導かれた『封魂符』を切り裂き、返す刃でもって『キョンシーモドキ』の肉体を切り裂き塵へと変えていく。
放たれる分銅鎖を躱し、圧倒的な速度で戦場を駆け抜けていく。
『キョンシーモドキ』の在り方は彼女にとって許しがたいものであったことだろう。生者への憎しみだけが彼女たちの原動力であった。
それ以外はない。
憎しみに駆られた器を前にして小枝子は咆哮する。
騎兵刀を振り回し、迫る『キョンシーモドキ』たちのことごとくを切り裂き、その『封魂符』を引きはがしていく。
鬼神の如き戦いぶりを見せる小枝子を取り囲む『キョンシーモドキ』たち。放たれる分銅鎖は彼女の体に絡みつき、その肉体をきしませるだろう。
「そんな悍ましいモノに!」
骨が軋む。皮膚が擦り切れ血が滲む。
されど、己の中にある衝動は変わらない。些かも揺らぐこともなければ、たじろぐこともない。
そこにあるのは破壊の意志のみ。
「アアアアアアッッ!!」
小枝子の瞳がユーベルコードに輝く。
周辺の物質を分解、破壊する霊物質が解き放たれ、『キョンシーモドキ』たちの『封魂符』を破壊する。
無差別なる破壊の力は、戦場に迸る。
理不尽だとオブリビオンは思うかもしれない。けれど、それでも彼女たちが齎す死の方が理不尽であると小枝子は知るからこそ、その咆哮破壊(カスラヴォイス)によって敵を吹き飛ばすのだ。
「殺されてなるものかぁアアアアアアッッ!!」
霊物質が燃堂力で持って小枝子の体を守る防壁となる。
だが、小枝子は守りに入らない。攻める。足を踏み出す。己の肉体がなんのためにあるのかを知っているからこそ、破壊物質を守りではなく攻勢の力に変えて突貫するのだ。
それは一つの弾丸の如し。
一直線にオブリビオンの軍勢へと飛び込んだ小枝子の後に残るのは、破壊のみ。
元の死体に戻った『キョンシーモドキ』たちが塵となってい消えていく。
二度の死を越えて、三度目の生を得たオブリビオンたち。
その歪なる道程に幕を下ろすのは悪霊。
彼女たちに破壊を齎すモノこそ猟兵であるというのならば、小枝子の魔眼は戦場にありて煌々と輝き続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
トリテレイア・ゼロナイン
人界に災い齎す門となった以上、南蛮門への何らかの対処は必須
その道を切り拓く役目こそ騎士の本懐
僵尸軍団など遅るるに足りません
UCを起動し疾風の如き機動力で敵陣へ切り込み
如何に筋力に優れようと捉え切れなくば意味が無し
瞬間思考力で放たれる攻撃を見切って、早回しの如き足捌きで躱しつつ封魂符の位置を特定
素早く剣を一閃し、又は格納銃器のスナイパー射撃で符を引き剥がし
只の屍と化した敵に止めを刺して次の敵へ
圧倒的高速近接戦闘で軍団を蹂躙
人界へのこれ以上の災いを防ぐ為…今一度、永久の眠りについて頂きます
電脳禁忌剣の電脳魔術で防具改造、駆動部を冷却し継戦能力を保ちつつ戦闘を継続してゆきます
『南蛮門』は人界と仙界を繋ぐゆらぎの門。
しかし、今は違う。
大いなる力によって固定され、開かれた門の向こうに流れ込む自然の精気は循環すること無く吸い上げ続けられている。
仙界に座す『神農兀突骨』へと至る道。
そして、その精気を元に『神農兀突骨』はより強大になっていくことだろう。
それはどのように言葉を取り繕うのだとしても、人界に災いを齎すものであったことだろう。
「人界に災い齎す門となった以上、『南蛮門』への何らかの対処は必須」
トリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は人界に有りて、その幽玄なる門の前に立つ。
しかして、その道を阻むのは膨大な数の『僵尸化オブリビオン』、『キョンシーモドキ』である。
彼女たちの肉体は強靭。
さらには仙術に対する高い耐性を持つ。それは全て彼女たちの肉体の何処かに貼り付けられている『封魂符』によってである。
それを引き剥がすことで元の死体に戻す事ができる。
「我等は『神農兀突骨』のためにある。猟兵の道を阻み、人界の精気全てを奪うその時まで」
彼女たちの中にあるのは生者への憎しみだけである。
不完全な魂の封。
そのために彼女たちは欠けたるものを求めるように生者の生命を求めるのだ。
「それを阻むために我等はあるのです。そして、その道を切り拓く役目こそ騎士の本懐。僵尸軍団など恐るるに足りません」
そのアイセンサーが煌めく。
これよりは戦機の時間(ウォーマシン・タイム)である。
白煙を上げるほどの駆動部への過負荷。軋む機体のフレーム。されど、トリテレイアの電脳は凄まじい速度で演算を為していく。
その加速は時間が止まったと思わせるほどであった。
しかし、時間は止まらない。逆巻くことはない。
トリテレイアの躯体が戦場を疾風のように駆け抜ける。それは人体のあらゆるものを総動員しても捕らえられぬ速度であった。
「――!?」
『キョンシーモドキ』たちは驚愕しただろう。目の前から機械騎士が消えたのだ。しかし、消えているわけではない。
トリテレイアはそれほどの速度で肉薄し、一瞬の刹那にあって『キョンシーモドキ』たちの肉体に貼られた『封魂符』の位置を把握し、素早く剣の一線で持って切り払うのだ。
さらに格納された銃器から弾丸がばらまかれる。
まるでハリネズミのように敵を寄せ付けず、されど的確に『封魂符』だけを引きはがしていくのだ。
「如何に筋力が優れようと捉えきれなければ意味がなし」
トリテレイアにとって、強靭な肉体は恐れるに足り得ないものである。
ただ一つだけが優れたる者などこれまで、いくらでも見てきたのだ。トリテレイアは『封魂符』を引き剥がされただの死体へと戻った『キョンシーモドキ』たちの肉体を剣で一閃し、走り抜ける。
彼女たちの成り立ちは同情すべきものであったかもしれない。
けれど、トリテレイアは立ち止まらない。
己の躊躇いが生み出す惨劇を知るからこそ、彼はオブリビオンの大軍勢を蹂躙していく。立ち止まることは生命が失われることである。
「人界へのこれ以上の災いを防ぐ為……今一度、永久の眠りについていただきます」
電脳禁忌剣を抜き払う。
輝くは電脳魔術。駆動部に掛かった過負荷を冷却し、白煙を上げながらトリテレイアは戦場を疾駆する。
戦いは終わらない。
始まった間ばりである殲神封神大戦。
ここで立ち止まるわけには行かぬのだ。己が定めた道は唯一。その先がどれだけ困難にまみれているのだとしても、己が開いた道より人々に安寧を齎すことができるのならばこそ、トリテレイアは一歩たりとて立ち止まることを、己に許さず。
白煙の中、彼は再びウォーマシンのみが到達せしめる時間の中へと飛び込むのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…まるで地獄の門が開いたかのような有り様ね
何処にあるのか分からない符を探すのは面倒だけど…
ダークセイヴァーの紋章が相手と思えば、対処法は幾らでもあるわ
事前に全身を残像のように存在感を消す呪詛のオーラで防御して闇に紛れ、
「精霊石の耳飾り」に生命の精霊を降霊して視力を借り受け、
敵の生命力の流れを暗視して封魂符の位置を索敵して見切り、
大鎌を武器改造して双剣に変型しつつ気配を消して敵陣に切り込みUCを発動
魔力を溜めた双剣から闇属性攻撃の魔刃を乱れ撃ち、
無数の斬撃波で敵群の符を切断してなぎ払っていくわ
…捉えた。そこね、摂理をねじ曲げている生命の源は…
…灰は灰に、塵は塵に。死者は死の国で眠るが良いわ
「……まるで地獄の門が開いたかのような有り様ね」
リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は眼前に揺らぐ『南蛮門』を見やり、そう評した。
幽玄の門たる『南蛮門』は人界と仙界とを繋ぐ門である。
それは猟兵達が仙界に存在するオブリビオンを打倒するために避けては通れぬ要所であった。
同時にオブリビオンが溢れ出す場所でもあったのだ。
埋め尽くすは『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』。
一度目の死を越え、二度目の死を得て強靭な肉体と仙術への高い耐性を得た群である。彼女たちの瞳に在るのは生者への憎しみだけであった。
『封魂符』によって得た三度目の生。
彼女たちを打倒することは容易ではない。しかし、その『封魂符』さえ剥がしてしまえば、元の死体に戻るのだ。
「何処に在るのかわからない符を探すのは面倒だけど……」
リーヴァルディにとって、それは幾度となく経験してきたことであっただろう。
常闇の世界においてオブリビオンが持つ紋章。
その力を経つために、これまでも何度と無く対処してきたのだ。他世界での戦いが、経験が、此処に活きてくるのだ。
『精霊石の耳飾り』に生命の精霊が宿る。
精霊の視界を借り受けたリーヴァルディが見つめるのは自然界から仙界に流れ込む精気の流れである。
それは『南蛮門』に向かって吸い上げられているが、この事態を引き起こしている『神農兀突骨』の力が『封魂符』であるというのならば、彼女たちを介在していることはあり得る話であった。
「……そこね」
リーヴァルディは大鎌を双剣へと分離させ、『キョンシーモドキ』の群れへと飛び込む。
その瞳がユーベルコードに輝き、吸血鬼狩りの業・乱舞の型(カーライル)が咲き乱れるようにして放たれる斬撃で持って魔刃が飛ぶ。
分銅鎖と剣が『キョンシーモドキ』たちから放たれ、迎撃するが、それらのことごとくが鮮血の花びらと共に弾かれていく。
「……捉えた。そこね、摂理を捻じ曲げている生命の源は……」
彼女の視界にあるのは精気の流れ。
本来であれば循環するもの。
それら全てを己がものにせんとする存在、それが『南蛮門』の先、仙界にあることをリーヴァルディは知る。
「……灰は灰に、塵は塵に」
彼女の瞳がユーベルコードに輝く。
残像のように揺らめくリーヴァルディの気配は、扇状にありて闇に紛れていく。
手にした双剣が『封魂符』を切り裂き、『キョンシーモドキ』たちを次々にただの死体へと戻していく。
それは旋風のようでもあり。
同時に彼女たちへの手向けの花でもあったことだろう。
三度目の死を迎えることに変わりはない。幾度となく繰り返す死に魂は摩耗していくことだろう。
だからこそ、リーヴァルディは思うのだ。
「死者は死の国で眠るが良いわ……」
『キョンシーモドキ』たちにとって、生は終わらぬ悪夢そのものであったことだろう。
憎しみだけが器に満ちる存在の憐れさを悼むようにリーヴァルディの双剣が放つ斬撃は、花弁を生み出し、三度眠る彼女たちの最早見ることのない悪夢を霧消させるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
ふーむ、何処にあるか分からない封魂符を剥がしてから攻撃…と
面倒臭い!
どうしたもんか…うーん…
…地道にやるしかないか
《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
そして【Code:M.C】起動
多目的小型マシンを展開、複数体で纏まって行動させてキョンシーモドキにまとわりついて動きを止めさせて封魂符の場所を探らせよう
見つけたらそのまま剥がして貰ってとどめを刺せるなら雷で攻撃してとどめ
私も順次動きを止めさせてるモドキに近づいて封魂符を剥がして剣で『串刺し』にして数を減らしていこう
こっちの対処能力以上の敵が近付いてきたなら、『斬撃波』で『吹き飛ばし』て時間を稼いで体制を整えようかな
『封魂符』――それは二度の死を経て生まれた『僵尸化オブリビオン』のちからの源である。
肉体は器。
魂は中身であるというのならば、『僵尸化オブリビオン』である『キョンシーモドキ』は三度目の生を得る。
だが、彼女たちの魂が封ぜられた符は不完全なものである。
欠けたものを求めるように彼女たちは生者への憎しみに膨れ上がった心でもって『南蛮門』より這い出る。
ただ生者を殺すために。
人界の精気全てを強大なオブリビオン『神農兀突骨』へと捧げるために。ただそれだけのために彼女たちは強靭な肉体と仙術に対する高い耐性でもって迫るのだ。
「ふーむ、何処にあるかわからない『封魂符』を剥がしてから攻撃……と」
月夜・玲(頂の探究者・f01605)は首を傾げるようにして顎に手をやる。
何かを考えるときの癖のようなものであろう。
ポクポクチーンと良い考えが浮かべばよかったのだが、残念なことに諸々考えている内に彼女が打ち出した答えはシンプルであった。
「面倒くさい!」
答えじゃないけれど。
けれど、それでも玲はなんとかしようと考えを巡らせたのだが、結局の所、地道にやるしかないのだと自身のユーベルコードを発現させる。
「それじゃまあ、いっといで」
Code:M.C(コード・マシン・クラフト)によって召喚されるは多目的小型マシンである。
雷の力を持つ小型マシンたちがわらわらと飛び出し、玲は模造神器を抜き払う。
指揮棒を振るうようにして蒼い刀身がきらめけば、従う小型マシンたちが『キョンシーモドキ』たちへと群がるのだ。
如何に強靭な肉体を持つのだとしても、それが死体であるというのならば、動かす力は生理的な電気の反応である。ゆえに雷の力を持つ多目的小型マシンたちは、その肉体に電極をぶっ刺し、感電で持って動きを鈍らせ、『封魂符』を探るのだ。
「個体によって場所を変えてあるところが更に面倒くさい!」
本当にもう、と玲はため息をつく。
こんなふうに面倒なことをするのがオブリビオンらしいと言えばらしいのだが、相対する身にもなってほしいものである。
玲は見つけた『封魂符』を多目的小型マシンたちに剥ぎ取らせ、元の死体へと戻った『キョンシーモドキ』たちを模造神器の一撃で持って霧消させる。
「我等の生は『神農兀突骨』のために。三度目の生は、生者を縊り殺すために」
憎しみは憎しみを生む。
生に執着するからこそ、他者の生を羨む。己たちに欠けたるものがあるからこそ、彼女たちはいびつな欲望を発露させる。
悪意に満ちた生は、あまりにも息苦しいものであろう。
憎しみが楽しさや嬉しさ、そういったポジティヴな感情を塗りつぶしている。他になにもないからこそ、己達が持たぬものを妬む。
それが人である。
ならばこそ、玲は己に迫る『キョンシーモドキ』たちを斬撃波でもって吹き飛ばす。
小型マシンたちが一斉に飛びかかり『封魂符』を引き剥がす。
「――誰かが楽しそうにしていると嬉しくなる。ただそれだけでよかったのにね。でも、君たちは違うんだよね。欠けているから憎む。それしかできない。だから、『モドキ』だっていうんだ」
彼女たちの欠けたるを人は理解することができるだろう。
けれど、欠けたるものを満たすことはできない。
『キョンシーモドキ』たちが生を求めれば求めるほどに憎しみはましていくのだから。
とめどなく溢れる憎しみはいつしか世界を破壊するものとなる。
それがオブリビオン。
ゆえに玲は己の手にした模造神器でもって『南蛮門』より這い出る最後の『キョンシーモドキ』の一体に蒼い刀身を突き立て、霧消させる。
彼女たちの瞳に光はない。
あるのは憎しみの器として歪み果てた存在のみ。
「これで悪い夢から覚めるといいね」
それが本当に救いになるのかはわからないけれど。
それでも玲は最後の一撃が掌に残ることをこそ惜しむだろう。
死して尚、生を憎む。
それが生命の理を捻じ曲げた結果であるというのならば、彼女たちが眠る骸の海にこそ、安らぎがあることを願わずにはいられないかもしれない。
蒼い刀身はユーベルコードに輝く。
玲が目指す先にあるであろう頂。
そのさきを照らす蒼光は、今も刀身に湛えられたまま――。
大成功
🔵🔵🔵