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殲神封神大戦②〜樊城襲撃、百川学海の水攻め

#封神武侠界 #殲神封神大戦 #殲神封神大戦② #司馬炎

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「はあ、はあ……」
 樊城を防衛する兵士たちにも疲れが見え始めている。なにしろ、南蛮門から押し寄せるオブリビオンの軍勢は尽きる気配がまるでなかったからだ。
「はっはァ!! もっと楽しませろよ、無様に命乞いするのを嬲り殺すのが楽しいんだろうが、あァ!?」
 一際でかい声で叫ぶオブリビオンの名を『海乱鬼』といった。海賊のような風体のその男がメガリスを構えたので、兵士たちから悲鳴が上がる。
「逃げろ!!」
「ははははッ!!!!」
 それは水を自由に生み出せる巨大な楼船型のメガリスであった。津波のような大量の水が兵士を呑み込み、みるみるうちに窒息させて苦しみもがくさまを笑っている。

「水、ね……」
 麒・嵐(東方妖怪の冒険商人・f29276)は呟き、集まった猟兵たちに語りかける。
「相手が一般人の兵士となればかなりの脅威だろうね。しかも城攻めだ。兵士たちには逃げ場がなく、呑み込まれたら息もできずに――」
 皆まで言わず、嵐は黙り込んだ。
「まずは、敵の水から兵士を守るのが先かな。そうやって命を救ってやるだけでも、かなりの手助けになると思うよ」

 水を操るオブリビオンの名前は『海乱鬼』。
 メガリス『百川学海』と宝貝『霧露乾坤網』を自在に使いこなす海賊たちだ。他にも大量の奴隷を引き連れ、それらを戦力としてこき使う。
「つまり、言い訳の余地のない悪党ってこと。煮るも焼くもどうぞお好きなように。みんなの活躍に期待してるよ」


ツヅキ
 プレイング受付期間:OP公開後~👑の数だけ🔵が獲得されるまで。

 連携なし、成功に必要なプレイングのみを採用する短期決戦シナリオです。すぐに次のシナリオが出ますので、タイミングが合いましたらよろしくお願いします。

●第1章
 晋の皇帝『司馬炎」の軍勢が樊城にてオブリビオンの軍勢に襲われています。彼らと協力し、できるだけ長い時間を耐え抜くことに成功するとプレイングボーナスです。
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第1章 集団戦 『海乱鬼』

POW   :    宝貝「霧露乾坤網」
自身が装備する【霧露乾坤網】から【巨大な網状に変化させた水】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【溺水】【窒息】【ずぶ濡れ】【体温低下】の状態異常を与える。
SPD   :    メガリス『百川学海』
【コンキスタドールとの交易で手に入れた火器】で武装した【屈強な海賊】の幽霊をレベル×5体乗せた【水を自由に生み出す楼船型メガリス】を召喚する。
WIZ   :    奴隷船団
戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【奴隷仙人】【奴隷寵姫】【奴隷武侠】を召喚し、その【仙術】【篭絡術】【武術】【連携攻撃】によって敵全員の戦闘力を減らす。

イラスト:ひよこ三郎

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大豪傑・麗刃
わたしは剣士なので水だって斬ってみせるが、それはまた次の機会にしておこう。ということで

ボーナスを得るための方針:大水を冷気で凍らせて兵たちが飲み込まれるのを防ぐ

まずは味方の兵の一番前に出て、大水が来る前に先制攻撃で敵を大喝。

おい海乱鬼とやら!もう暴れるのも飽きた頃だろう!
そろそろおうちに帰らんか!

かいらんか!!

どうせ相手はわたしのおもしろい(<重要)ギャグが理解できない相手なので、戦場は氷河期と化し、海すら凍り付く大寒波が発生するのだ。相手は海賊の幽霊を呼び出すらしいが、海のない海賊などデクも同然。あとは全員刀で切り伏せるのみ。
おもしろいギャグが鼓舞となって味方の士気も上がることだろうたぶん。



「くそ、もう駄目だ……あんな水で攻められたら……ッ」
「来るぞ!!」
 兵士たちの顔に絶望が浮かんだ――凶悪な笑顔でメガリスを城へ差し向ける海乱鬼。その間に割って入ったのは真顔で立ち向かう大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)であった。
 正々堂々と仁王立ち、「おい」と腹の底から大声を張り上げる。
「海乱鬼とやら! そろそろ暴れるのも飽きたのではないか? そろそろおうちに帰らんか!」
「はッ、舐めたことを」
 物申す麗刃など構わずに攻撃を続けようとする海乱鬼であったが、麗刃の方こそ全く構わずにドドンと叫ぶ。
「かいらんか!!」
「は?」
「か・い・ら・ん・か!!」
 一瞬、戦場全ての音が消えたかのようであった。
 得意そうにドヤ顔しているのは麗刃だけで、敵どころか兵士たちまで凍り付いている。そう、凍り付いている……!
「ま……まさかとは思うが、駄洒落のつもりなのか? いったいなにが面白いんだが……ん? な――なんだ、こりゃあ?」
 メガリスから溢れ出した水がみるみるうちに凍結し、かちんこちんに固まってしまったのである。まさしく大寒波。まさしく寒いギャグの副産物よ。
「ふッ」
 滑ったことに自覚のない麗刃は、またつまらぬものを切ってしまったとばかりに独り言つ。
「わたしのおもしろいギャグを理解できないとは、哀れな……」
 凍り付いた波に乗ったまま、ぴくりとも動かない船上で幽霊たちがSOSの旗を振っている。麗刃は氷を足場に駆け上がり、見事な一閃で敵を仕留めた。
「ここは麗ちゃんに任せるのだ」
「え? あ、はいっ!?」
「大笑いして士気も上がっただろう?」
 ばちこんとウインクすると、兵士たちははっとして拳を握り、ぶんぶんと力強く頷いた。わざとらしいくらいに。
「はい! すばらしいギャグでした!!」
「ではゆくぞ!!」
「はい!!」

成功 🔵​🔵​🔴​

荒珠・檬果
OK、わかったこいつら私にも特効しやがった。
(三国志では于禁が最推し。精神ダメージ大)

オレンジライト・スピードキャバリア(O.L.S.C.)を利用した大型結界で、敵の水を遮りまして。
あと、単純にO.L.S.C.に掬ってもらうだけでも助けになりましょう。

というわけでですね、最推しといく樊城の戦いですよ。
七色竜珠を全て合成、白日珠へ。そしてUC発動!
的は奴隷たちではなく、海乱鬼にしてますから、水矢(病:鈍足)はそっち追尾しますし。
仙術は竜脈使って散らしまして。
すんませんねぇ、今、私の武は引けをとらないので。打ち払い。
最初に精神ダメージそちらから与えられたので、篭絡術は効きませんよ。いくもんか!



「樊城……氾濫ッ……」
 荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)は華奢な拳を握り締め、史実で氾濫による災害の前に晩節を汚した武将・于禁を連想させる状況に涙を呑んだ。
「于禁最推しの私に特効しやがったこと、後悔させてやりましょう!」
 檬果はオレンジ色のキャバリアに頼んで結界を張り、まるで堰のような形で溢れ出す大水を食い止める。既に流れ込んでしまった分の水はキャバリアが手のひらですくい出し、溺れる寸前だった兵士の命を助けた。
「最推しといく樊城の戦い、間違いなく今戦争におけるハイライトのひとつですね。盛り上げていきましょう!」
 檬果の持つ竜珠が全てひとつとなって呼び出す英霊・于禁の力を得た檬果の進撃は目を見張るものであった。
「でやあッ!!」
「なんの!」
 襲い来る奴隷武侠の剣を槍で払い除け、檬果はキリッと首謀者である海乱鬼だけを見据える。
「すんませんねぇ、今、私の武は引けをとらないので」
 勢いよく旋回させた槍の穂先より紡がれる水矢が敵を貫けば、侵す病が次々とその膝を折らせて屍を積み上げた。
「こいつ、追ってくるぞ!?」
「その通り! そう簡単に逃げられるもんですか」
 武においては于禁のそれが上回り、仙においては竜脈の助けを借りてその矛先を挿げ替える。連携攻撃は水矢の追尾で乱せば残るは篭絡術だがしかし。
「うふッ、私と遊んでいかなァい?」
「最推しと一緒なので間に合ってます!」
 ずばッとお断りする檬果と于禁を奴隷寵姫が悔しそうな顔で見送る。既に精神ダメージは最大まで入っているのでこれ以上のあれそれを受けたりする余地なんかあるもんか!
「さあさあ、どこからでもかかっていらしてくださいな。時間はいくらでもあるようですし、満足いくまでお相手いたしますよ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

チル・スケイル
大量の水を操る?そうですか、『凍らせてください』と言わんばかりの敵ですね
そうしましょうか

「私が相手になりますよ、海賊。ところであなた方は賞金首ですか?」
なとと挑発しながらどの兵士よりも前に出て、敵の前に堂々と立ちはだかります
巨大な水に対して大杖ラケート・ランティーロを構え、巨大な氷の魔法弾をぶちかまします

水の網をまとめて凍らせて、侵入を防ぐ氷の崖に変えます
こうなれば足を使おうが船を出そうが攻め込む事はできないでしょう
何なら海賊の足が凍りついているかも…
いずれにせよ私は空に上がり、右往左往する海賊どもにさらなる氷塊弾を撃ちまくるだけです

楽な仕事ですよ、まったく



「あれが、宝貝『霧露乾坤網』ですか」
 下がっていなさい、とチル・スケイル(氷鱗・f27327)は命を捨てて特攻しかけた兵士を制すると彼らの代わりに進み出た。
 そこは敵までの距離を阻むものは何もない、文字通りの最前線。
「私が相手になりますよ、海賊。ところであなた方は賞金首ですか?」
「あん? ははッ、どこかの国じゃ俺の似顔絵が貼り出されててもおかしくはねえだろうな。悪ィことならたくさんやってきたからよォ」
「そうですか。それなら、心置きなく成敗してやれますね」
 堂々と相対するチルを心配した兵士が叫んだ。
「あれは水の網を投げかけてくるんです。下がらないと危ないですよ!」
「平気です」
 大量の水を操る相手に対して、おそらくチルは相性がよい。その証拠をいまから見せよう。手にした大杖をかざし、紡いだ魔法は冴え冴えと透き通る巨大な氷の塊弾であった。
「な……」
 チルは颯爽とそれを擲つ。水の網はゴールネットよろしくそれを受け止めた場所から凍り付き、そのままの形で凝結していった。
「おいおい、これじゃあ……」
「俺たちが進めねえぞ!?」
 凍り付いた網はそれ自体が行く手を阻む崖のようなものだった。近寄れば自分たちも凍り付くに違いない――察した海乱鬼たちはごくりと喉を鳴らした。
「なんなら船で体当たりしてみやすかい?」
「やってみるか……」
 だが、試してみるよりも彼らの足元まで冷気が到達する方がよほど早かったようだ。
「親分!」
「くそっ!!」
 抜け出そうと足掻く敵の姿をチルは空から見下ろしている。
「無駄ですよ。その氷は解けません」
「あいつ、いつの間に空へ……!?」
「この後はどうなるか、説明しなくてもわかりますよね?」
 動けなくなった敵、氷塊、空。顔色を変える海乱鬼たちに向かって、チルは一斉にあらんかぎりの氷塊弾を降り注いだ。
「わああっ!!」
「ふう」
 軽く息をつき、チルは少しだけ呆れたように肩を竦める。そもそも、水攻めを決行した彼らの所業が今の状況を作り出したのだ。自業自得、因果応報である。
「楽な仕事ですよ、まったく」

成功 🔵​🔵​🔴​

仇死原・アンナ
アドリブ共闘歓迎

この桃源世界を救う為に…
悪しき者を討ち倒す為に…!
行くぞ…我はアンナ!処刑人が娘也ッ!

鉄塊剣を振るい地獄の炎を[範囲攻撃]で巻き散らし
【炎獄の大地】を造ろう

炎の道で足場を造り大量の水を蒸発させて兵士達を守ろう
炎の道を駆け抜け敵の船型メガリスに乗り込み
細剣を抜き振るい敵群へ[切り込み船上戦]を仕掛けよう

武器振り回し敵群を切り捨て[串刺し傷口をえぐり]
[怪力と功夫]による蹴りで蹴とばし船外へ[吹き飛ばし]
船上で地獄の炎を巻き散らし敵群を呑み込み[焼却]しよう

[継戦能力と戦闘知識]を発揮して兵士達と共に戦おう…!

逃げるなよ…命乞いする間もなく屠ってやるぞ…ッ!



「その水で、このアンナが炎に対抗するというのか。ふッ……面白い」
 仇死原・アンナ(処刑人 魔女 或いは焔の花嫁・f09978)の振るう鉄塊剣が唸りを上げて炎を渦巻き、海乱鬼たちの布陣する戦場を一挙に地獄もかくやの場所へと変えてしまった。
「あっつ!!」
「水、水だ!!」
 だが、アンナは彼らの放出する水の流れに被せるように炎を迸らせ、その上に飛び乗った。
「まさか――」
 海乱鬼が目を剥いた。
 アンナは炎を足場として駆けながら、同時に周囲に満ちる水を炙って大量の水蒸気へと変えてしまったのだ。
「た……助かった……」
 命拾いした兵士たちに片目を閉じて合図を送る。
「援護する。この桃源世界を救う為、悪しき者を討ち倒す為――処刑人が娘がいざ行くぞ!」
 遂に敵の船型を模した巨大メガリスへと乗り込んだアンナは着地と同時抜き払った細剣を翻して抵抗する幽霊船員たちを颯爽と斬り捨てる。突然切り込まれた方は指揮系統の混乱もあって、あっという間にアンナの乗船を許してしまった。
「わわッ!!」
 相手が火器を構える前に、アンナの突き出す剣が深々と突き刺さる。抉るように傷口を広げながら、別の敵には同時に蹴りをくれてやった。
「うわあッ」
 悲鳴を上げながら船外へ落下するもの、地獄の炎に掴まってもがきながら焼き尽くされるもの。アンナは自らが倒した者たちの残骸を背に髪をなびかせ、睥睨するような眼差しで兵士達を見下ろした。
「どうした? 敵は怯んでいる。攻め込むなら今だ!」
 船の縁に足を乗せ、勇ましく兵士達を鼓舞する。
「さあ、共に戦おう……!」
「あ……あぁ……!!」
 どっ、と喝采のような叫びが轟いた。
「親分、やばいっすよ。逃げるならいまのうち――」
「おっと」
 アンナの剣先が海乱鬼の眼前に突き刺さり、逃げ場を塞ぐ。黒い瞳が細まり、「逃げるなよ」と囁いた。
「た、たす――」
 皆まで言わせない。命乞いなど、処刑人にとっては雀の囀りよりも無意味な音の羅列でしかないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
これは……悠長に対処していると被害が膨大となりますね
用途申請、一般兵士の保護!

電脳禁忌剣を一振りし解禁されたUCを使用
兵士達に襲い掛かる水を任意の座標に出現させた盾状の電脳ゲートで受け止め呑み込む事で●かばい

……騎士として、これは使いたくなかったのですが
さあ、反撃させて頂きます

任意の座標に再設定する地点は呵々大笑する敵の“口元”
相手のUCを再現するゲートの出口を絞る事で膨大な量の水流の勢いを強化
直撃させる事で窒息どころか頭部を吹き飛ばし

水流は私が何度でも食い止めましょう
兵士の皆様は体勢を整え、反撃の準備を!

…“出来る”とはいえ、やはり好ましい戦法ではありません

(水流躱し瀕死の敵に剣で止め刺し)



「そこまでです!」
 事は急を要すると判断したトリテレイア・ゼロナイン(「誰かの為」の機械騎士・f04141)は能う限りの速度で敵と兵士の間に割り込み、アレクシアなる不壊の剣を振り抜いた。
「う……!?」
 死を覚悟した兵士たちはいつまでたってもその時が来ないのでおそるおそる顔を上げる。
「あ――」
 襲いかかる水を受け止めているのは盾状に開いた電脳ゲート。庇ってくれたのだ、助かったのだ。ほっと息をつく彼らをトリテレイアが叱咤する。
「いまのうちに体勢を整え、反撃の準備を!」
「あ、ああ!!」
 トリテレイアは彼らを守るように仁王立ち、覚悟を決めたように剣を構えた。これは騎士の行いとしては邪道に値するだろう。
「しかし、手段を選んではいられないようですからね。さあ、反撃させて頂きます」
 電脳回路が目まぐるしく計算を弾き、新たな座標を再設定する。
 その地点は――。
「はははッ、全部水に呑み込まれちまえよォ!! ――ん? げッ、が!!!?」
 ピッ、と照準が定まったのは大声を上げて呵々大笑する海乱鬼たちの“口元”であった。しかもゲートの出口をそんなに小さな領域に固定すれば、その分水流が絞られて急激に勢いを増すわけで――。
「ごがッ」
 破裂する。
 死に物狂いで戦う兵士を嘲笑った声ごと、喉ごと、頭ごと。
「反撃、いけます!」
 兵士がトリテレイアに駆け寄り、報告する。
「てぇ!!」
 一斉に矢の雨が降り注ぎ、頭を失ってもなお動くオブリビオンたちに最期の止めを刺してゆく。トリテレイアはそれを見つめながらほんの僅かに俯いた。
「うぐ……」
 そこにもまた、瀕死の敵が転がっている。
 トリテレイアは無造作に水流を躱し、逆手に持ち替えた剣で微かに上下する胸元を貫いた。ほんの少しだけ苦い味のする勝利である。“出来る”のとそれを“好む”のとには大きな隔たりがあるのだと思わざるを得ない戦いであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリン・フィニス
コンキスタドールめ、グリードオーシャン以外にもメガリスをばら撒いているとはな
ならば、何処であろうと戦う事に躊躇いはない

私が前に出て相手を引きつける。これでもグリードオーシャンの出、この程度の水で「溺れる」ほどやわではない。

その間にお供の鮫『サメット』に兵士たちを救助させる。鮫魔術の鮫だから水空どちらも泳げるぞ?加えて『アクアシールド』を大きめに出し、そのまま氷結させる事で足場にもしよう。

相手のUCに対してはこちらもUC【レテの波濤】をぶつけ、「道具」の使用それ自体…メガリスに宝貝、更には火器、ご自慢の道具を全て封じさせてもらう。
そうなれば後は満足に武器も振るえぬ悪漢を鎮圧するだけだ



「コンキスタドールめ、やってくれる……こんなところにまでメガリスをばら撒いているとはな」
 マリン・フィニス(蒼海の騎士・f26997)は舌を打ち、迸る水流をかき分けるようにして戦いの最前線へと身を躍らせた。全身を鎧に包んでいるせいで人となりはまるでわからない。ただ、まるで水流を手懐けるかのような身のこなしは一朝一夕で身につくものでないことだけは確かであった。
「す、すごい……まるで泳いでいるみたいだ」
 兵士たちが感嘆の声を漏らす。グリードオーシャン出身のマリンにとって、この程度の水で溺れるつもりなどさらさらないのだ。
「よし、いけ」
 サメットという名前のサメは水場だろうと空だろうと泳ぐ場所を選ばない。水を飲んで動けない兵士を跳ね上げて背に乗せると、その衝撃で口から大量の水が吐かれた。
「そのまま後方へつれていくんだ。丁重にな」
「こいつ!」
「――無駄だ」
 とっさに迸らせた水の壁が凍り付き、敵の吐き出す水をせき止めるための盾となる。
「これは便利な代物でな、こういう使い方もできる」
 マリンは足場ほどの大きさに展開したシールドを凍らせ、その上に飛び乗った。メガリスに乗った海乱鬼たちと目線が合う高さにまで近づいて言う。
「それはお前たちの手には余るものだ」
「ちッ、くらえよ!!」
 メガリスから放出する大量の水に対して、一体どう対処するのか。マリンの選んだ方法は逆転の発想に近いかもしれない。
 そもそも、使えなくしてしまえばよいのだ。
「あ?」
 ぽかんと海乱鬼が大口を開けて足元を見た。まるでなんだこれはと言わんばかりの呆けた表情である。まるで、その使い方ごと存在自体を忘れてしまったかのように。
「ご苦労だった」
 マリンは狼狽える相手を呆気なく剣で斬り捨て、制圧完了。迷いも惑いもない。たとえ戦場がどこであろうとも、コンキスタドールの齎した災厄とあらば戦うことに躊躇は要らないのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

菱川・彌三八
そんねェな水に大浪が負けるかよ

縦一閃、筆のひと振りで呼び出すなァ、網をも打ち消す水の壁
そら、気持ちで負けんじゃあねェ
も、ちいとの辛抱さ
俺が水を引き受ける間に、足軽共にゃ体温低下の策から取らせようか
あとァ任せた
俺ァ軍師サマじゃねェんで、如何すりゃ籠城出来るかなんざ知らねえからヨ

すれに、攻められっ放しはガラじゃねェ
攻撃は最大の…ってなァ誰の言葉かね

一閃、護りの水で網を砕く
二閃、更に高い大浪で奴等を飲み込む
水の上にあって、水に弱ェのも船だろう
ひっくり返しちやらあ
無様に命乞いでもしやがれ



「ハ、」
 菱川・彌三八(彌栄・f12195)は笑みを発した。侮りとも蔑みとも少し違う。おそらくそれは、己の描く大浪への自信と信頼の表れであったのだろう。
「新年の筆始めとしちや、先ず先ずかねェ……」
 たっぷりと墨を含んで膨らむ筆先を中空へと“押し付け”て、すうっと音もなく縦一文字に一閃した。
 壁。水の壁である。
「なに?」
 自らの投げかけた水の網が壁に呑み込まれ、押し流されるのを見た海乱鬼の口から驚きの声が漏れた。
 彌三八は膝をついた兵士の腕を引き上げ、喝を入れる。
「そら、気持ちで負けんじゃあねェ。も、ちいとの辛抱さ」
「あ、ああ……」
 ぐっと兵士が彌三八の肩を掴み返してくる。
「なあ、負けないよな? 樊城は……落ちないよな……!?」
「そいつァ手前の軍師サマに聞いてくんな。心配する暇があるならヨ、濡れた服を替えて体温を上げねェと」
 彌三八は声を張り上げ、後方から乾いた布を送らせるように指示する。その間にも水の壁が突破されないよう、時折は筆を上げて線を書き足した。
「如何すりゃ籠城出来るかなんざ、俺には判らねェ。だがな、此奴等を如何にかするのなら策があらあ」
 それから惚けるように空を仰いで曰く。
「攻撃は最大の……ってなァ誰の言葉だったかね。マ、そういう事よ」
 まずは先ほどと同じ一閃、縦に筆を滑らせて呼び出すのは水の壁だ。またしても水網の一投を阻まれた海乱鬼が悔しそうに臍を噛んだ。
「もっとだ、もっとおおきな網を寄越せ! 霧露乾坤網!!」
 だが、二閃。
 もう一筋の筆跡がもっと高い大浪を描き出して波濤の如くに最初の壁を乗り越える。青ざめたのはメガリスに乗っていた者たちだ。巨大な高波が船を目がけて襲いかかる、逃げ場はない。
「ひっくり返しちやらあ」
「わ……わああッ――!!」
 甲板になだれ込んだ波が船を振り子のように揺らがせた後で、おおきく横倒しに転がした。その上からも波が覆い被さる。
「助け、助――……」
「これまで、そうやって命乞いした者をどれだけ殺してきた?」
「あぶッ……」
 もがく指先が最後に白波の狭間へと消えてゆくのを見届ける。背後で歓声が上がった。彌三八は照れ隠しのように頭をかき、チと舌を鳴らす。
「攻められっ放しはガラじゃねェとは言ったが、こういうのも……なァ……?」

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2022年01月06日


挿絵イラスト