殲神封神大戦④〜幻惑の煙燻る都市~
●それは魅惑にして蠱惑の蟻地獄
「せっかくの正月なのに、協力してもらってすまない」
地籠・陵也(心壊無穢の白き竜・f27047)は集まってくれた猟兵たちに深く頭を下げ、次の予知についての概要を語る。
「封神武侠界の人界南部には有数の都市がいくつかあるんだが――そのうちの一つがコンキスタドールたちによって阿片の煙をばらまかれてしまったんだ。
阿片っていうのが何なのかは、多分俺よりもみんなの方がもっと知っているだろう」
所謂麻薬の一種であり、芥子の実の果汁を乾燥させて作ったものが阿片だ。
その作用は鎮痛、陶酔……また高用量の摂取では昏睡や呼吸抑制を引き起こし、人体に害を及ぼす危険物質。
それと同時に、かつてのUDCアースにおける海上貿易における重要な資金源とも成り得たり、それこそ紀元前から存在が確認されたり等、人類とは中々切っても切れない縁をもつ代物でもある。
そんなものを煙らせて人界の都市にばらまけばどうなるか、説明せずとも猟兵諸君は容易に察することができるだろう。
それを、『香港祖界』からコンキスタドールたちが持ち込んだというのだ。
「幸い、街の一角にだけ広がっている状態だから都市全体がそうなっているワケじゃないのが救いといったところだろう。
だが、そこで暮らしている人たちが阿片の煙を吸ってしまって正気じゃなくなってしまっている。これを野放しにすれば暴動が煙と共に広がって、都市中が混乱に陥ってしまうのは間違いない。
……それに何より、そこに暮らす人々を巻き込むなんてあってはならないことだ。絶対に許せない」
これ以上、オブリビオンに何の罪もない人々が蹂躙されるのはまっぴらごめんだ、と陵也は口調を強くする。
「住民たちを決して傷つけないようにしつつ、煙の発生源を特定して止めて欲しい。
もちろん、煙が発生している中に飛び込むことになるから、対策を何もしなければ阿片の煙を吸って幻覚を始めとした様々な症状が襲ってくる。準備はしっかりしていってくれ」
煙の発生源に近づくに連れて煙が濃くなる為、根気強く探せば特定自体は難しくはないだろう。
症状に耐えうるだけの備えをした上で、住民たちを傷つけず解決しなくてはならない。
例え、どんな幻が猟兵たちを襲ってこようとも、だ。
御巫咲絢
こんにちはこんばんはあるいはおはようございます、初めましての方は初めまして御巫咲絢です。
当シナリオをご覧頂きありがとうございます!御巫のシナリオが初めてだよって方はお手数ですがMSページもご一読くださると幸いです。
というワケで戦争シナリオ2本目をお送り致します。
幻覚の内容につきましてはプレイング内容にご記載いただければ反映させて頂きます。シリアスなネタでもよし、ギャグでも良し。公序良俗に反しない範囲で描写できる限り描写させて頂くつもりです。
街の住民の方々はくれぐれも傷つけないようお願いします。
●当シナリオについて
当シナリオは『戦争シナリオ』です。1章で完結する特殊なシナリオとなっています。
また、当シナリオには以下のプレイングボーナスが存在しています。
●プレイングボーナス
煙のもたらす幻覚に耐える/住民達を傷付けず無力化する。
●プレイング受付について
断章なし、OP承認時から受付を開始致しますが、少人数進行になる可能性が高いです。予めご了承ください。
それでは、皆様のプレイングをお待ち致しております!
第1章 冒険
『幻惑の煙』
|
POW : 気合と体力で煙に耐える
SPD : 煙の濃い方向へ素早く進む
WIZ : 魔術や薬品で煙の効果を弱める
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セラフィール・キュベルト
人心狂わす魔性の薬…なんと恐ろしいものでしょうか。
暴れておられる方々も内心は苦しんでおられることでしょう。
一刻も早く、原因を取り除きませんと。
【オーラ防御】に【属性攻撃】を併せ、自身を包むような気流を纏って煙を遮断の上で、発生源を探索に向かいます。
煙が何処から流れてくるか…を見つつ、煙の濃い区域へと向かっていこうかと。
暴徒と化した住民の方々に対しては、【結界術】と【浄化】を併せて煙の影響を受けない結界の内へ隔離の上、指定UCにて精神への影響の浄化を試みます。
皆様に罪はございません、これは只々、悪しき夢なのです――
正気を取り戻されたようなら、結界内なら煙の影響は無いとお伝えした上で捜索再開です。
●癒し願う聖女の聖輝
幻惑誘う阿片の煙が燻る都市は阿鼻叫喚の有様であった。
ある者は目の前のあらゆるものを虫が這っているように見え、またある者は巨大な猛獣が街の中に迷い込んできたと錯覚し。
住民同士で殴り合いを発生させていることに気づかないまま、暴動を引き起こしていた。
真っ先に駆けつけてその様相を目の当たりにしたセラフィール・キュベルト(癒し願う聖女・f00816)は心を痛めずにはいられなかった。
「人心狂わす魔性の薬……なんと恐ろしいものでしょうか」
麻薬物質というものの恐ろしさを実感すると共に、暴動を起こしている人々が皆一様に怯え、苦しみ、悶えるかのような表情を浮かべていることがよりセラフィールの心を痛みに苛む。
彼らが暴れる一方で内心助けを求めるかのように苦しんでいるのがより強く伝わってくる程だ。
一刻も早く原因を取り除かなければならない。だが、その前に目の前の彼らを助けなければ。
セラフィールは風属性の魔術とオーラによる防御障壁を複合し、気流の障壁を己が身に纏って暴徒たちが暴れるその真っ只中にたった一人で舞い降りる。
「な、なんだ!?空から巨大な蜂が……っ!?」
「ひぃっ!く、くるな!こないでくれえ!!」
当然、幻覚症状に陥っている暴徒たちにはセラフィールの姿を正しく認識できてはいない。
怯える様に怖気づくことなく、セラフィールはにこりと微笑んで優しく声をかける。
「大丈夫です――だから"どうか恐れないで”」
優しい声音と共に浮かび上がる頭上の光輪、それから放たれる光の波動が当たりを照らす。
「”どうか怯えないで。私の光を、私の声を。荒ぶる刃を、今はお収めください――”」
【聖輝光輪・心恨浄化(キュリオ・メンティス)】。
セラフィールの頭上に戴いた光の輪から放たれる優しい光が、暴徒たちからあらゆる恐怖と苦しみを取り除いていく。
その上で、セラフィールは彼らを煙から隔離するように浄化の魔力を練り上げたドーム状の障壁を構築。
隔絶されたこの結界内を、まるで彼らを癒すかのように澄んだ空気が漂う――。
「な、何だ……?息が、しやすいぞ……?」
「あ、あれ?俺は今まで何をしてたんだ……?それにこの優しい光は……」
すっかり毒気が抜け、暴徒から住民に戻った街の人々は一斉に光が放たれている方向を見れば、セラフィールは安堵したように柔らかく笑って。
「よかった、正気を取り戻されたのですね」
「あ、あんたが俺たちを助けてくれたのか……?すまない、迷惑をかけなかっただろうか?」
「とんでもございません。皆様に罪はなく、只々悪しき夢を見ていただけなのですから」
「な、何という慈悲深い御言葉……!」
「これが神の使いだろうか……その慈しみの心に感謝します……!」
頭上に光を戴き、翼を広げて微笑むその姿はまさしく聖女と言っても過言ではない。
すっかり街の人々は毒気が抜けたどころか、セラフィールの優しさに思わず崇める姿勢を取り始めた。
ただ当然のことをしただけなのだが、大袈裟にも思える姿勢が見えると少しばかり戸惑ってしまうのだが、それをそっと心の中にしまってセラフィールはその場を離れるべくふわりと浮かぶ。
「こちらの結界の内であれば、煙の影響はございません。
私たちが煙を取り除くまではこちらから出ないようお願い致します」
「わかりました!聖女様!!」
「お気をつけて!戻られたら是非お礼をさせてください!」
住民たちの声援を受けながら、セラフィールは煙が立ち込める街の中へと引き続き足を踏み入れる。
煙の流れを注意深く観察し、より濃いところへ、霧をかき分けるように――。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・怜悧
詠唱:改変・省略可
人格:ロキ
陶酔感のある薬物はあまり好きではないのですが、仕方ありませんね
風属性の触手で周囲の人間や建物に被害が無い程度に風を起こして煙を吹き飛ばし、毒属性の触手で多少なりとも中和する薬品を撒きましょう
住民に襲われた場合は雷属性の触手で、スタンガンの要領で気絶させます
煙は吸わないよう注意し、毒耐性もありますが、万一効いてしまった場合は左手の皮膚を食い破り這い出る虫の幻覚が見えます
感触に多少眉を顰めますが、遠い昔に慣れてしまいましたので気にしません
煙を一度飛ばしてしまえば、発生している場所を確認するのは容易いでしょう
機械類であればメカニック技術で分解させていただきます
●触手と蛆の幻覚と
少しずつ猟兵たちが煙を中和する手立てを取ることで安全区域が増えていくが、それでもまだ煙は濃く立ち込める。
その中で水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)――その人格の一つであるロキは少しばかり眉を顰めながら煙の流れを注意深く観察しながら愛用の銃型魔導兵器『オムニバス』を構えていた。
「(陶酔感のある薬物はあまり好きではないのですが……」」
ロキの耳に聞こえてくる、皮膚を食い破るような音。
左手から虫が這い出て、腕を通って体中を這い回ろうとしている――彼は今、その感触に眉を顰めたのだ。
とはいえ、遠い昔に何度も見て慣れたことだ。何度も味わいたいものではないのは事実であるし、これが幻覚であることもロキははっきりと自覚している。
煙はなるべく吸わないように心がけ、多少の毒への耐性も持ち得る彼であるが、ここまで濃く煙が立ち込めていると流石に多少は効いてしまうようだ。
その上煙はまるで濃霧のように辺りを包み、最早どこから煙が漂ってくるか方向を見定めるのも困難な程になりつつある。
「(仕方有りませんね、ここは一度飛ばしてしまいましょう)」
オムニバスにいくつか属性を設定して銃口を上空に定め、引鉄を引く。
ばん、と音がすれば飛び出すのはにゅるんとした触手――その数にして580本。
ユーベルコード【触手式魔導兵器-シンフォニア】は設定した属性の力を得た触手により様々な現象を引き起こすものだ。
風属性を纏った緑色の触手たちが勢いよく風を放って煙を瞬く間に吹き飛ばし、その次に毒々しい色の通りの毒属性を帯びた触手たちが阿片の効能を相殺できる薬物を分泌し散布することで、煙の影響を可能な限り抑制していく。
当然街の建物や住民たちに被害のない程度の規模を維持しつつ、一度視界を鮮明にしてしまえば煙の出処を特定するのは容易になるというものだ。
ロキの想定通り、発生源である方向から煙が漂い、散布した薬物に中和されている光景が見える。
自身にも同じ薬物を投与して幻覚作用を相殺し、早速進もうとしたのだが――
「うわあああああああああ!!!!」
「おっと」
突如煙の向こう側から住民が飛びかかってくるではないか。
咄嗟に躱して被害は免れたが、住民はそのままうずくまって身体中をかきむしり始めロキのことは全く眼中にない様子。
もう既に何度もかきむしっていたようで、身体のあちこちから血がにじみ出ている……
「痒いっ、痒い痒い痒い痒い痒い!!いくらかいても蛆っ、蛆がっ、あああああああああ!」
「(これは特に症状が酷いですね……)落ち着いてください。今から取り除き――」
「うわああああああああああでかい蛆だああああああああああ!?!?」
先程の触手で分泌した薬物を投与するつもりで近づけば、ロキの姿も蛆に見えるようで住民は大暴れ。
「やれやれ、仕方ありませんね」
バチン――という音と共に住民がばたりと気絶する。
いざ住民に襲われた時の為に無力化の一手として、雷属性の触手をスタンガン代わりに備えていたのだ。
気絶したのを確認し、ロキは阿片の成分を中和する薬品を住民に投与し、なるべく煙の影響を受けにくい位置で寝かせてやり煙の立ち込める先へと向かう。
何人か同じように住民が襲いかかってくるが皆同様に気絶させて薬物を投与し、を繰り返した為少しばかり時間はかかったが、無事煙の発生源の一つを見つけることができた。
見たところ機械のようで、コンキスタドール故に用いる器具にはやはり世界文化等は問わぬ物が多いのだろう。
とはいえ封神武侠界では全く見ないような代物でも猟兵からしたら見飽きる程に見たことのあるものも多く、現にこの機械もロキのメカニック技術で問題なく分解できる範疇の性能であった。
「まずは一つですね。さて、あといくつあるやら」
街の一角、そのさらに一部は煙の影響をこうして取り除かれた。
とはいえ、まだ煙は漂っている。あと最低でも二つ程はあると想定し、ロキは引き続き発生源の特定に向かう――。
大成功
🔵🔵🔵
荒珠・檬果
そういえば、UDCアースだと阿片でかの国は大変なことになってましたね。
そして、よく考えたらです。司馬炎が張りきって前線にいる以上、『彼』が黙ってるはずがなかった。
そう、私の呼び出せる者の中でも現時点で一番、縁深き者である司馬朗(司馬懿の兄)が…!
てことで、彼の力を活かせるここに。UCは癒し方向にしまして。
ええ、阿片の幻覚も『病』と見なせますのでね…今回。対象は住民と私です。
…UC名が意図せずぴったりな件。
万一、襲いかかられても長剣形態にした白日珠にて気絶攻撃しておきます。
醒ましの結界も張っておきますね。
発生源にたどり着いたら、とっとと壊すか消すかしましょう。
長くあるのも、よくないですからね!
●禍の煙燻る地、降り注ぐは慈狼の薬雨
「そういえば、UDCアースだと阿片でかの国は大変なことになってましたね」
ふと思い出したように呟く荒珠・檬果(アーケードに突っ伏す鳥・f02802)。
阿片戦争なんてものがありましたもんね。日本の歴史の教科書に乗るレベルでのでかい案件でしたからね……
「そして、よく考えたらです。
……司馬炎が張り切って前線にいる以上、『彼』が黙ってるハズがなかった」
現在の檬果には今既にある三国武将が既に憑依済であった。
慈狼将『司馬朗』――司馬炎の祖父である司馬懿の兄、つまり司馬炎の大叔父に当たり、彼女が呼び出せる三国武将の中で最も司馬炎との縁が深い者である。
血縁者の危機とあらば黙ってはいないだろう、弟の孫……つまり又甥の危機であるのだから。
「ってことで、彼の力を活かせるここにやってきたワケですよ。ええ、阿片の幻覚も『病』とみなせますのでね……対象は住民と私です。さあ推しの力借りていーきまーすよー!!!」
司馬朗と同調し発動されるユーベルコード、銘を【禍は大気に満ちれども、恵雨あり(イツクシミノアカシ)】。
意図せずしてあまりにも状況にぴったりすぎて使用した檬果自身がびっくりしているが筆者もびっくりだよ。ここまで状況に一致したユーベルコード名も早々ないよ?
ともあれ、そのユーベルコードによりもたらされるのはあらゆる病を癒す甘き薬液の雨。
サアア、と降り注ぐ雨は檬果の半径112m以内に発生している阿片の煙を中和していく。
「な、何だ!?雨……うわ甘ッ」
「……あれ?私は今まで何を?」
雨を浴びた範囲内の暴徒たちは症状を中和されたことにより沈静化し、首を傾げたり雨の甘さに驚いたり。
とはいえ、このままでは檬果が立ち去った後に同じことになってしまうため、醒ましの結界を張って煙が消えるまではその場にいてもらうことにした。
たまーに雨で取り除ききれなくて襲いかかってくる人もいるのだが、それは長剣状態に変えた『白日珠』でごんっと刀背打ちして気絶させておく。
結界内で眠っているうちに完全に阿片の症状が緩和され正気に戻ることだろう。
「くれぐれも煙が収まるまでそこにいてくださいねー」
「ありがとうございます、仙人様……!」
「(仙人じゃないんですけどまあいいか)」
まあ、天から癒しの雨を降らせて住民たちを次々に治療していけば封神武侠界の人々からは仙人と勘違いされても無理はないだろう。
ユーベルコードによる癒しの薬雨を展開しながら煙の濃くなる方へと檬果は進む。
煙が濃くなればなる程その分暴徒の暴動っぷりも悪化していくが、片っ端から薬で弱らせ刀背打ちで気絶させ、結界を貼って寝かせてやり。
それを繰り返していくことで煙はまだ発生していながらも暴徒の数は目に見えて減少させることができていた。
「あ、見っけた。アレですね」
そうして地道ながらも着実に進み続け、やっと発生源の一つを発見した。
機械のような様相をしたそれは今も尚もくもくと煙を放っているので、さっと雨で煙を撃ち消して長剣に変えた『白日珠』を叩きつけて破壊する。
「長くあるのもよくないですからね!」
そも機械は得てして水に弱いもの。
それを叩き壊し、中の精密機械部分も水にひたしてしまえばあっという間に機能は停止する。
また一つ発生源が破壊され、街を漂う煙は明らかに薄くなりつつあった。
大成功
🔵🔵🔵
栗花落・澪
自身の周りに風魔法を混ぜた【オーラ防御】を纏い
風の流れを作ることで極力煙を払う作戦
万一全てを防ぎきれなかった時のために
手には【破魔】を宿した★お守りを持って
いざという時は【浄化】で心を沈める【狂気耐性】
住民達は【指定UC】の香りで眠らせたい
ほんの少しだけ時間はかかるけれど癒しも与えられるから
トラブルを避けるため物陰に身を潜め
落ち着いた頃に煙のより多い方を探って移動
【聞き耳】を立てておき、眠りが浅い、または届かなかった住民がいれば
【催眠術】を乗せた【歌唱】の上掛けで寝かせて
無事元凶を発見したら水魔法で処理
※幻覚:襲われる故郷と敵の男らしき影。本人が現場を見ていないため内容ifとしてお任せで可
●記憶にあって記憶にない記憶の幻
「うわあああ!こっちくるなああああ!」
「お前はあの時の!今ここであの時の恨みを晴らしてやる!」
煙の影響が少しずつ減っているが、まだ特に煙の濃かった区域にいた人々は幻覚に暴れ狂っている。
最早殺し合いが始まりかねない程の荒れっぷりを見せるそんな中、暴徒と化した住民たちの真上、上空から優しく甘い匂いが香り立ち込める。
「な、何だこの匂いは……あ、あれ、何、眠……」
その香りと舞い踊る花吹雪は強い眠りを誘い、人が次々にばたりと倒れて寝息を立て始める。
「おやすみなさい、良い夢を。ほんの少しだけ時間はかかるけれどきっと良くなるよ」
そう言ってそっと地面に降り立ったのは栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。
今の現象は彼が発動したユーベルコードによるもので、甘い香りがする花吹雪を放つことで澪の半径119m内にいる指定した対象を眠らせることができる。
これにより住民たちを眠らせ、その間に作用する治療効果で阿片の煙の効果も取り除くことができるのだ。
澪自身は風の魔法とオーラの防御膜を複合した気流の障壁を展開することにより可能な限り影響を避けている。
「街の人たちが目を覚ます前に、事態を収束させたいね……」
そうすれば確実に住民たちにこれ以上の悪影響はない。
早速発生源を探しに澪は煙の立ち込める方向へと歩を進めていく――が。
「……っ!?」
ある程度進んでから、一瞬だけ澪の眼の前に全く別の景色を移す。
悲鳴を上げ逃げ惑う人々。燃え盛る家々、そしてにたりと笑って一人の男がこちらに武器を振り上げて――
「……っ!」
そこで光景は途切れた。
思わず息を止めていたようで少しだけ荒く呼吸を繰り返す。
「幻覚……か……」
そんな自分を落ち着かせるように、澪は手にしたお守り――母からもらった桃色兎の魔除けのお守りを強く握り締める。
恐らく、アレは自分の故郷が襲われた時の光景……なのかも、しれない。
澪自身が現場を目撃していない為、実際の光景と一致しているかはわからないし、それを確かめるつもりもない。
街を今も燻る阿片の煙は、話に聞いただけの光景をこうもリアリティある幻覚として見せてくるようだ。これでは住民たちが暴徒化してしまうのも納得が行く。
お守りを握りしめ、呼吸を落ち着かせて幻覚の症状を浄化の力と持ち得る狂気耐性で抑え込んでから再び澪は先へ進む。
なるべくトラブルを避ける為に物陰に身を潜めて様子を伺い、落ち着いた頃に移動するように最新の注意を払いつつ、あらゆる箇所に聞き耳を立てる。
聞こえてくる呼吸から眠りの深さというものは測れるものだ。もし眠りが浅く苦しそうな人がいればそっと子守唄を奏でて寝かせてやる。
もし先程のユーベルコードが届かず暴れている者がいれば、同じ様にそっと寝かせてから先へ、先へ。
甘い香りが、阿片の煙をかき消すかのように澪の辿った道筋に残っていく。
「あった」
そうして見つけた発生源。
先に向かった猟兵たちの話によると機械と聞いていたが、澪が見かけたのはごく普通の――それこそ封神武侠界ではよく見受けられるであろう形をした香炉だった。
「なんでこっちは香炉……?まあ、気にする必要はないかな」
どの道さっさと壊してしまうことに変わりはないのだから。
紡いだ水魔法の激流が、香炉をあっという間に飲み込み流していく。
先程の幻覚を見たという事実ごと流してしまうかのような、荒々しい流れで。
大成功
🔵🔵🔵
黒木・摩那
阿片の煙をばらまくとは、オブリビオン達はまた随分と大胆な手を打ってきました。
後先考えていない短期決戦狙い、というところでしょうか。
とにかく早々に決着付けないといけませんね。
阿片対策はSSW製の外見がらしくない便利な宇宙服を着ていきます。
暴れる市民は【功夫】で【気絶攻撃】でおとなしくなってもらうとして。
問題の煙はスマートグラスのセンサーで濃度を分析していけば辿れそうです。
しかし、オブリビオンも何らかの対策はしてそうです。浸透性が高い阿片とか?
そういえば、さっきからモーラット達がやけに騒いでますね。
この町はモーラットがたくさんいるんですね……
元をたどれたら、指定UCで凍らせて処理します。
●炭鉱の金糸雀もとい、路地裏のモーラット
「(阿片の煙をばらまくとは、また随分と大胆な手を打ってきましたね……)」
此度のオブリビオン達の手が、黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)には全く後先考えていないように見えていた。
短期決戦狙いである可能性を視野に入れながら煙の発生源を探していく。
現在の彼女はスペースシップワールド製の宇宙服――見た目はどう見ても普通のカジュアルな衣装に見えるが――を纏うことで阿片の煙の影響を完全遮断していた。
実に合理的な対処法と言えるだろう。
暴徒化した人々を功夫で気絶させては安全なところに寝かせてやりつつ、愛用のスマートグラス『ガリレオ』で煙の濃度を分析して進めていく……が。
「ふむ……浸透性が高いみたいですね」
どうやらオブリビオン側も何らかの対策はしているようで、摩那が駆けつけた頃には大分阿片の影響を取り除けていたのもあるが、浸透性により煙に含まれる阿片の濃度が押しなべて均一な状態となっている。
濃度が一定水準であるならば分析しつつその中でも煙が濃い方へと歩を進めていく。
そんな中、摩那が特に気になったのは。
「きゅー!きゅー!」
「きゅ~~~~~!」
やたらと先程からモーラットたちが騒いでいることである。
恐らく彼(彼女?)らも阿片の煙を吸って幻覚症状に苛まされているのかもしれにが、やたらモーラットが多い。
「この街はモーラットがたくさんいるんですね……」
「きゅー!きゅきゅー!!!きゅ―――――!!」
「わわわ」
その内の一匹が摩那にタックル!しがみついて宇宙服をがじがじと噛んできた。
「こらこら、それは食べ物じゃありませんよ」
流石にモーラット相手に功夫をするのは躊躇われる為、念動力を使ってそっと引き剥がす。
モーラットはぐるぐるとした目できゅー!と鳴きながらその場を去っていく。
しかしその一匹だけではなく、二匹目、三匹目とモーラットたちが次々ぐるぐるなおめめで摩那に襲いかかってくる!
「……これはもしや」
念動力でやんわーりと対処しつつ、そのままモーラットがやってくる方向へと摩那は足を進めてみることにした。
もし彼らも煙にやられてこちらにきているのだとしたら、モーラットがやってくる方向を辿れば見つけることができるのではなかろうかと踏んだのである。
そしてその読みは当たっていたようで、モーラットがやってきた先へ行く度行く度、浸透性の高く均一的な濃度しか算出できなかった阿片の濃度が目に見えて上がってきた。
「ここが特に濃いですね……」
そうしてたどり着いたのは裏路地にぽっかりと空いた小さな洞穴。
煙があからさまな発生のし方をしており、覗いて見ればそこには洞穴に丁度入るサイズの香炉がもくもくと阿片を煙に変えてばらまいていた。
摩那はユーベルコード【トリニティ・エンハンス】を用い、風と水の魔力を増強させて香炉を凍らせて摘出し破壊。
破壊した香炉の破片も念入りに凍らせた上で念には念をと厚手のビニール袋を何重にも重ねて放り込む。
「きゅー」
長後、数匹のモーラットが物陰から恐る恐る顔を出す。
どうやら元々彼(彼女?)らの巣であったのだろう。香炉を置かれたことで巣から出ざるを得ず、煙を処する術もなく途方に暮れていたのかもしれない。
「お家に帰れなくて大変でしたね。もう大丈夫ですよ」
「きゅー!」
モーラットたちは喜んで巣に帰って行く。
その鳴き声はどことなく「ありがとー!」と言っているようにも聞こえる気がして、摩那は微笑ましくその様子を見つめていた。
大成功
🔵🔵🔵
グラディス・プロトワン
アドリブ歓迎
ウォーマシンなので煙の影響は少ないだろうが、注意するに越した事はない
住民との遭遇は極力避けたいが、そうも言ってられまい
襲撃されるようならば加減した吸収機構で無力化させる
だが何度も吸収機構を使用すれば煙も一緒に取り込んでしまう可能性が高い
その結果は幻覚として現れるだろう
囲まれている…?
この世界にこれ程ウォーマシンがいるとは驚きだ
丁度良い、腹ごしらえをさせてもらおうか
手近な距離に居るウォーマシンに掴みかかり、嬉々として吸収機構を起動
同種族で好相性の貴重なエネルギーを存分に味わう…事はできず
出力を上げても無駄なので幻覚だと気付けるだろう
残念な気分だが、住民相手ではなく幻覚だったのは幸いだ
●同族にして食糧の幻
猟兵たちによって煙の発生源の特定・破壊が繰り替えされ、いよいよもって町並みがまともに見える程度には阿片の煙は薄くなりつつあった。
だが、尚更こそここで気を緩めぬよう進めなければならない。
グラディス・プロトワン(黒の機甲騎士・f16655)は周囲を注意深く観察しながら歩を進めていく。
ウォーマシン故に煙の影響は生身の種族と比べると少ないであろうが、それでも注意するに越したことは無い。
「(住民との遭遇は極力避けたいが……そうも言ってはいられまいな)」
極力避けられているような展開になっているならそもそもとして住民は暴徒化していないのである。
「~~~~~~!!!!!」
噂をすれば何とやら、最早声にならない雄叫びのような何かを上げてやってくる。
その手には明らかな凶器が握られており、左右もロクにわかっていない状態でぶんぶんとそれを振り回してはあらゆるものを壊していく。
「やはりこうなるか……やむを得まい」
グラディスの持つエネルギー吸収機構が起動され、暴れ狂う暴徒からエネルギーを奪い取る。
力を奪われた暴徒はぴたりと止まったかのようにおとなしくなり、そのままばたんと倒れ込む――当然、死んではいない。
可能な限り最低の出力で命に支障はないが体力が尽きた程度に陥る程度のエネルギーを頂戴しただけ、グラディスなりに最も住民に優しい方法を取っただけに過ぎないのである。
だが暴徒はそれでもまだ尚数人残っている。
どうやら特に煙を吸い込んだ人たちだろう、これまで遭遇した人々で、操られていた者たちの中では最も正気ではないと言っても過言ではない目をしていたのだ。
そしてみんな揃いに揃って暴動を眼前で引き起こしている。
全くキリがない、かといって放置するワケにもいかずグラディスは引き続きエネルギーを最低限だけ吸収して気絶させていくのだが……
「囲まれている……?」
住民たちを気絶させた後に敵意を感じ振り向けば、ウォーマシンの群れがグラディスを取り囲んでいた。
「この世界にこれ程ウォーマシンがいるとは……」
グラディスは少しばかり驚きに目を丸くしつつ、先程から起動していた吸収機構の出力を上げる。
吸収機構が活発化して上がる音はまるで空腹を覚えた獣の唸りのようにも聞こえる中、手頃な距離にいるウォーマシンをその圧倒的な膂力で引っ掴んだ。
「丁度良い。腹ごしらえをさせてもらおうか」
吸収機構――『試作型E.Dシステム』が、グラディスがひっつかんでいるウォーマシンからエネルギー吸収を開始する。
先程住民に対しての気絶させる程度など生温いどころではない程の勢いをユーベルコードとして発動し、ウォーマシンの目から光が消えていく。
だが。
「……??」
おかしい。
空腹が満たされない。
ウォーマシンは同種族で相性が良く、それは甘美な味がするものだが、その味もしない。
出力をいくら上げようとも1%どころか0.5%すら得られない。
何故――と思った矢先にある発想に至る。……そう、これは幻覚だと。
自分が掴んでいるのはウォーマシンではなく、暴徒化したことによって機能を停止している食事処の看板だった。
出力を一旦停止させ、グラディスははあ、と少しだけ溜息をついた。
幻覚に魅せられてしまったのは未熟であるなと思いつつも、同時に非常に残念な気分になりつつも。
「……まあ、幻覚だったのは幸いだ」
仮に住民をこのまま幻覚で吸収していれば取り返しのつかないことになっていただろう。
それに比べたら、しばらく空腹のままでいることも苦痛ではあれどまだマシかもしれない。
そんなことを思いながら、グラディスは引き続き住民たちをやんわりとあしらいながら最後の発生源を探してついに特定する。
街の中でも得に高い建物の屋上、そこからもくもくと溢れ出す煙。
「……なかなか上手そうだが、また幻覚を視るワケにはいかんな」
恐らく先程の幻覚は人々からエネルギーを吸収すると同時に阿片を体内に入れたが故に起きたことであろう。
ならばこれを吸い取れは先程より危険なことになりかねない。
グラディスは先程の幻覚を名残惜しく思いながらも、最後の発生源を破壊した――。
◆
かくして、街にはびこる阿片の煙は取り払われた。
住民たちも猟兵各位の治療や応急処置による若干の差はあれど、概ね快方に向かう時間はそうかからなかったという。
再び彼らが阿片の煙に包まれて夢を視ることのないよう、これ以上のオブリビオンによる蹂躙を止めるべく、猟兵たちは次なる戦場へと向かう――。
大成功
🔵🔵🔵