Do'nt die. with you
●サクラミラージュにて
帝都の中にある、今とっても流行っているカフェーの店内。ガラス張りのオープンカフェーには寒い日にもかかわらず、穏やかで温かい日差しが差し込んでいる。
そんなカフェ店内の一角に座って。緋薙・冬香(針入り水晶・f05538)はゆっくりとコーヒーカップを口元に運ぶ。
「申し訳ない。お待たせして」
どうやら待ち人が来たようだ。知っている仲なのだが、人目を気にして他人行儀だったので。冬香の心に悪戯心が沸き起こる。
「女性を待たせるなんて……悪い人ね」
と声の主に冬香が非難の声と流し目を送れば。
「いや、冬香さん。その流し目やめて」
「あら、失礼。りん狐さんに殺されちゃうものね?」
くすくすと楽しそうに笑いながら、冬香は向かいに座った男性――木村・鈴彦(きむら・すずひこ)に問いかける。
「おかげさまで。まだ一緒に住むことになってませんが、順調なので」
無表情の鈴彦的には『はよその話は終われ』と思っているらしい。その意を汲んだ冬香がカップを置いて話し出す。
「最近は大きな事件もない感じだったけど、何かあったの?」
「何かあったというか、何かありそうというか……」
冬香と鈴彦は定期的に情報を交換している。冬香はサクラミラージュの各地で活躍する猟兵たちの動向をそれとなく伝え、鈴彦は自身の生業――記者として取材の中で仕入れた情報を渡しているのだ。だが今日はその定期外の呼び出し。
「それは……琴里ちゃんに関係あるのかしら?」
冬香がそう言って、鈴彦のすぐ隣に座っている車椅子の少女に視線を遣る。水口・琴里(みなぐち・ことり)、鈴彦が預かっている影朧から転生した少女である。
「……そうなんです。あの、助けてもらえませんか?」
琴里はとても困った表情で冬香に助けを求めるのであった。
●グリモアベースにて
「影朧が出たわ」
グリモアベースに戻って協力してくれる猟兵たちを募った冬香は、開口一番そう告げた。
「場所は帝都から離れた、別の都市。現れる影朧は成金の影朧よ」
その成金の影朧は、この街を拠点として商売をしていた悪徳商人の成れの果てだという。
「ちなみに一般的な成金のイメージでオッケーよ。人生の顛末もね」
そこから察するに、事業に失敗して落ちぶれ、その後、悲惨な末路を辿って死んだらしい。そこから影朧になった……ようだが。
「それだけなら學徒兵に任せるんだけど、今回はちょっと事が複雑で」
ふぅ、とため息をつきながら冬香が続ける。
「その成金の影朧ね。『正義執行人』を名乗って、『悪を成した商人を成敗する』って予告を出しているの」
怪盗か、と言いたくなる所業だが、その予告は殺人予告だ。それが対象の家、本人たちに届いている。
「その街に今も続く華族の家系、名士・水口家。今の当主・高雄(たかお)さんとその奥さん・小夜子(さよこ)さんに殺人予告ってわけ」
もちろん何も手を打っていないわけではない。街に駐在している警察が総動員されて一斉捜査も行われたし、影朧の存在を疑って帝都の桜學府からも學徒兵たちが派遣され、調査を行っている。ついでに街の人々も皆『何か情報が無いか』と日夜協力しているのだ。
それでもなお、一切の痕跡が出てこない。
「どうも『その時』まで完全に身を潜めているみたい」
冬香も琴里から話を聞いてなければ、情報(インプット)が足りなくて予知を得ることができなかっただろう。それくらい徹底して身を潜めているのだ。
「私の予知で見えた部分も、二人を襲撃する瞬間しかなくてね」
肩をすくめる冬香。対処としてはそのタイミングで迎撃するしかないらしい。
ならば他に得ている情報はないのか、というと。
「どうも、直接の関係者みたいなのよね」
予知で見えた『高雄が殺される』瞬間の会話。そこから察するに、高雄と成金は顔見知り……というより商売敵だったらしい。
「おそらく、過去に水口の家が仕掛けた一大事業の時に衝突したのね」
10年ほど前。没落していた家を立て直すために高雄は新規かつ一世一代の事業を仕掛けていた。水口の総力を注力したその事業は年月をかけて成功し、水口は再び街の名士として名を馳せている。
「その過程でやり合った相手なんでしょう。その復讐をするっていうのが成金の主張みたい」
つまり、そこで負けていなければ自分は死んでおらず、『自分が死んだのは水口のせいだ』という理論だ。
「実際、水口のやり方も清廉潔白ってわけでも無いみたい」
もちろん、あくどい手段のみで今の地位を築いたわけではない。そんなことをしていたならば、おそらく悪評が立っていて、今回の件でも街の人々がここまで善意の協力をしたりしないだろう。
ただ、綺麗事だけで事業は成り立たないのも事実だ。何らかの悪いことを行っていた可能性はある。
「でもだからといって、殺されて当然とはいかないわ」
それはただの私刑だ。ましてや、『不正義』を正す正義ではない。
そういったことを防ぐために法があって、法を越えての死刑は許されない。そんな当然のことも影朧となった成金には理解できなくなっている。
だから、それを阻止してほしい。
「たとえ悪人であろうとも、影朧が誰かを殺してしまう前に」
そして誰かが理不尽に悲しむことがないように。
「お願いね」
冬香はそう言って、猟兵たちに頭を下げるのであった。
●再びサクラミラージュにて
今日は『桜献菓祭(さくらけんかさい)』の日。幻朧桜に感謝を捧げるお祭りで、半年に一度、お菓子を幻朧桜の前に並べる献菓でそれを顕す。
それに合わせて、この街のお菓子自慢たる店が屋台を連ねる『お菓子の日』でもある。和菓子洋菓子問わず、人気商品から新作まで。各店が『これは』と思うラインナップを並べる。
このお祭りでやってはいけないことは2つだけ。『幻朧桜を傷つける』ことと『お菓子を否定する』こと。もちろん、お菓子は好みもあるし、口に合う合わないもある。それに基づく評価は全然構わない。ただ、口に合わないからと言って貶めることをしてはいけない。
そんな、幻朧桜とお菓子を楽しむだけのお祭り。
「さて、祭りの段取りは問題ないが……どうしたものか」
桜献菓祭の主催、水口・高雄は深く嘆息を吐く。祭りの会場たる桜広場は既に人が溢れて、祭りが盛況であることを彼に伝えてくれている。
――これで殺人予告が今日でなければ。
そんな想いが先の嘆息に含まれている。
「あなた。ここまで来たら覚悟を決めるしかありません」
「小夜子……」
高雄が傍らに立つ妻を見る。
「それに私たちは……殺されるわけにはいかないでしょう?」
「……そうだ。そうだったな」
妻の言葉に高雄もまた覚悟を決める。生き抜く覚悟を。
「私たちを殺す権利を持つのは、あの子だけ」
「ええ、何があっても。その権利だけは守らないといけないのです」
二人が手を握り合い、前だけを見据える。
『正義執行人』たる『成金影朧』の襲撃は、もうすぐそこまで迫っていた。
るちる
まいどです。いつもありがとうございます、るちるです。
ひっさりぶりのサクミラだよー。オープニング長くてすみません(汗)
●全体
3章構成の通常シナリオです。
1章でお祭りを楽しみつつ、情報収集。2章で成金影朧に雇われた(?)影朧たちとの集団戦。そして3章で成金影朧との戦闘となります。
物語の舞台となるのは桜広場という街の真ん中にある円形の広場です。ど真ん中に大きな幻朧桜があってそれを中心に広い範囲が広場になっています。
お祭りの時は、幻朧桜を中心に2重~3重の同心円で屋台が並び、その間を人々が通るという構造です。
2章~3章の戦闘の際、一般人は桜広場から避難します。人的被害を考えなくてもオッケーです(物的被害は戦闘の仕方で変わりますが、広場ごと破壊するような行動でなければ特に問題ありません)
●水口家
拠点となる街を含めた付近一帯の『砂糖』を扱う大商人にして、街の名士。
砂糖商人として名を馳せる水口家ですが、その事業は10年ほど前から手掛けて、6年前から軌道に乗った大事業の成果です。
元々、この街はお菓子作りが盛んな街で、砂糖の需要は非常に高く。一部の商人がそのシェアを牛耳って高騰させていました。そこに風穴を開けたのが水口家。結果、シェアが分散し、良いことも悪いことも起こっています。その成果に対して街全体の反応としては概ね『歓迎』です。
当主は高雄。正妻は小夜子。跡継ぎを生ませるという目的で正妻公認の愛妾が2人ほど(小夜子との仲は良好)。2年ほど前に跡継ぎ(小夜子の子)が生まれました。
琴里は6年前に死んだ高雄と小夜子の実の娘です(裏事情を知っている人は口外しないようにお願いします)
●成金影朧
水口家が台頭してくる以前に、街を牛耳っていた大商人の成れの果て。結構あくどいこともしていたようですが、力を持っていたのでその辺もねじ伏せていたようです。
ちなみに判明している生前の死因は刺殺。自分の息子に刺されました。
●
普段ここに書いている説明等は、各章開始前の断章にぶっこみます。参考にしてください。断章追加後、プレ受付開始で。
プレ受付開始や状況なども含めて、タグでお知らせします。毎度ですが、1日の執筆人数が多いと採用できない人が出るかも?
それでは皆さんの参加をお待ちしていまーす!
第1章 日常
『幻朧桜に祝福を!』
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POW : 御輿担ぎや屋台の組み立てから全力で参加する。
SPD : 裏方仕事や雑用も大事だ、器用に参加する。
WIZ : 立案や、現場の様子をみて改善したり、賢く参加する。
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●水口・高雄の独白
今年も『桜献菓祭』も盛況だ。このお祭りを色んな人の協力を得ながら開催するようになって、この街はより『お菓子の街』として発展しているように思う。
ここに至るまでに苦労が無かったとはとても言えない。決して順調な道のりではなかったし、失うものもあった。誠実に歩んできたつもりだが、正攻法では通れない道ならば道を外れてでも突き進んできたのは事実だ。
この街は元々、お菓子作りが盛んでステータスだった。お菓子作りの店ならば、店の人気がそのまま、街の中での『力』の強さとなり。消費する側がその人気のお菓子をいかに手に入れるかが人脈や権威に繋がっていく。
そのため、お菓子を作る際の砂糖はとても重要なものであった。各店のステータスを支える砂糖の品質が、商人の中でステータスと稼ぎに繋がる。
結果、発生したのが談合であった。
砂糖の値段の釣り上げ。あるいは特定の店にしか卸さない。街の流通は完全に掌握されていて、一部の店だけが優遇された。つまり、金の出せる店が。
美味しいお菓子はより美味しくなり、その影でたくさんのお店が潰れていった。
私は、私たちはそれが悲しかった。
談合を潰すために私たちがしたことは単純で、砂糖をピンからキリまで揃えただけ。最上級はないが、それなりのものは何とか揃う。品質によって値段を違う。そんな商売。
当然、出回っている最上級の砂糖には品質で適うはずもない。しかし、店を潰すくらいなら、と水口の砂糖を使ってくれる店が徐々に増えていった。どうにかお店のクオリティーを落とさずに頑張れる、そんなお店が。
そして、お菓子の売り上げの、砂糖の取り扱いのシェアが変わっていった。以来、老舗の砂糖商人と水口は競り合い続けてきている。今もなお。
これは必要な戦いだ。この街が発展していくための。
競り合いの中では正攻法ではないやり方もした。金を積んで買収したり、特定の店にだけ赤字になるほどの値下げをしたり。シェアをこちらに引き込むにはなり振り構っていられなかったのだ。
向こうにも家族があって生きるために商売をしているのは重々承知だが、私たちはそれでも負けるわけにはいかなかった。
娘を失っても、歩みを止めなかったのだ。成功の程度の差はあれ、失敗などありえない。それが私と小夜子の認識であった。
●そして猟兵が訪れる
「あの……」
「……ん。ああ、すまない」
桜献菓祭の実行委員会で桜広場の案内所を兼ねている、広場入り口に設置されたテント。その中で高雄は声をかけられ、我に返った。
「何かあったかね?」
「それが……猟兵と名乗る人たちが高雄様に会わせて欲しいと」
「…………えー……」
『猟兵』という単語を聞いた瞬間、高雄がげんなりとした表情を見せる。
「あなたっ」
「ごふっ?! あ、ああ、すまない。好きなタイミングで来てもらって構わないと伝えてくれ」
横から小夜子に肘打ちされて吹っ飛びかけつつも、平静を装う(?)高雄。
「超弩級戦力と称される彼らにも、この祭りはぜひ楽しんでもらいたいからね」
そう言って、盛況な桜広場を見遣る高雄。
今はまだ、戦いの気配はなく。ただただ、賑わいを見せる桜広場と桜献菓祭であった。
※シナリオ補足※
この章ではお祭りを楽しみつつ、ターゲットとされている高雄や小夜子に接触してみてください。
高雄の反応は個人的な感情による、しかも嫉妬の類なので、接触したことでなんか不利になるということはありません。求めたことには誠実に対応してくれる紳士です。
●お菓子
和菓子洋菓子問わず、たくさんの種類があります。和菓子だと饅頭、あん餅、練り切り、せんべいなどなど。洋菓子だとケーキ、チョコレヰトなどなど。大正風味なサクミラですが、現代日本のお菓子があってもいいと思います。
資金はグリモア猟兵から潤沢に支給されていますので思う存分食べて。
●接触
雑談から殺人予告まで、聞いたことは誠実に答えてくれます。人払いが必要な場合は場所を移すかもしれません。ただし、墓まで持っていくと決めている秘密は絶対に話しません(秘密は今回の依頼とは120%関係のない事項です)
今回の殺人予告に関する心当たりなども答えてくれます。その話を聞いて、どう対応するかはお任せします(2章のプレの際に対応を教えてください)
仮にもし、聞いた話の内容が本当に『不正義』ならば、官憲に引き渡す等の手段を取っていただいても構いません。
●POW/SPD/WIZ
準備段階の項目になっていますが、気にしなくて大丈夫です。もちろん、お祭りの実行委員会のお手伝いでも参加できます。
お手伝いをする場合。
人混みがすごいことになっています。毎年、人の流れに飲まれてけが人が出ているようです。並んでいる屋台も急ぎで建てたものは建付けが甘かったりして時折崩れることもあるようで。裏方や雑用のお仕事もいっぱいあります。
※追記※
接触できる人物は、テントの中にいる高雄と小夜子。そして、こっそりお祭りに忍び込んでいる鈴彦と琴里です。
徳川・家光(サポート)
基本的に、必要性が無い限りあまり目立たないようにしています。でも頼られると嫌と言えず、人前に出ることにめちゃくちゃなれているので、必要になればそこそこの「コミュ力」技能でそつなく対応します。
土木系の力仕事は「羅刹大伽藍」、スピード勝負なら騎乗技能+名馬「火産霊丸」を召喚し、活用します。
異世界の文化が好きで、自分なりに色々調べており詳しいのですが、ときどき基本的な知識が抜けていたりします。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。また、エンパイアの偉い人には会いません(話がややこしくなるので)。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせ。よろしくです!
●上様お忍び
『桜献菓祭』――幻朧桜に感謝を捧げるお祭りにして、お菓子を称えるお祭り。半年に一度、大変な賑わいを見せる桜広場は、今、同心円状の、美味しそうなバームクーヘンのような形をしていた。屋台がいっぱい並んでいるからである。
そんな中を。
「ふむ、なるほど。これは……美味」
猟兵たちのアイドル……じゃなくて上様こと徳川・家光(江戸幕府将軍・f04430)はゆるりと歩いていた。どちらかというと、導線に従って食べ歩いていた。その手には定番の桜饅頭に、桜スイートポテトに落雁。さっき口の中に放り込んでいたのは落雁である。ほろりと口の中で溶ける甘さがとても良い。
だがまだ桜広場の1/3も攻略していない。ここにはどれだけの屋台があるというのか。
そんな感じでお祭りの雰囲気を楽しんでいる家光を流れてきた風が包み込む。幻朧桜の花びらを含んだ風が家光の白いマフラーを靡かせて……風の行く先にふと視線をやる家光。視界の片隅に入ってきたのは最初に訪れた実行委員会のテントだ。
(まぁ……ありがちな、と言いますか)
どうやら最初に訪れて、さくっと話を聞いて来た上様。コミュ力お化けってこういう人を言うんだと思います。
水口家の事業について聞いてきたわけだが、その歴史もつまびらかに話してくれた高雄。どうやら談合をしていた競合相手の勢力を完全に奪うために、かなり強引な囲い込みを行っていたことようだ。客観的に見れば、敵対的買収と言われても不思議ではない事実。場合によっては『お前のせいで首を吊った』と言われる可能性は否定できない。
(これをどう判断するかは、他の方の意見も聞いた方が良さそうですね)
そんなわけで判断はとりあえず横に置いておいて。
「さて、次は……おぉ、氷菓ですね」
まだまだたくさんお菓子はあるので、まずはそちらを堪能しないとね。
成功
🔵🔵🔴
平坂・火乃華
アドリブ等歓迎
正義執行人ねぇ、何も祭りに乗り込んでくる必要はねぇな、空気を読んでくれってんだ。
俺は屋台の設営を手伝いつつ、高雄氏に接触を図るとするか。
そしたら、今回の予告に関する心当たりを単刀直入に聞くぜ。
商人相手に回りくどい立ち回りしてもかえって警戒されそうだしな、それにだ、どんな世界にも暗部ってのは存在するし、金が絡んでくる商売の世界ともなると猶更だろ?だから、後ろ暗い事情があろうが今回は糾弾しないってのも言っておくか。
ま、そういう事やるんなら、噂すら立たないよううまく立ち回れって話だがな
それと、最後にうまい煎餅の店とかでも聞いておくか、せっかくの祭りだしな、ある程度は楽しまなきゃ損だろ?
●
幻朧桜の桜吹雪が風に乗って『桜献菓祭』の会場に降り注ぐ。その桜の雨の中、紫色の和服に長羽織、そして長い銀髪をなびかせて。
平坂・火乃華(さすらいの銀狼・f35951)は桜献菓祭の会場にとても馴染んでいた。
(正義執行人ねぇ……)
屋台の設営を手伝う手は止めず、火乃華は周囲に注意を巡らせる。今のところ、特に何か起こる気配はない。
(何も祭りに乗り込んでくる必要はねぇな、空気を読んでくれってんだ)
と心の中で嘆息をひとつ吐く相手は、もちろんこの場に乗り込んでくるであろう、成金の影朧だ。屋台の設営を手伝いながら、会場全体を渡り歩いていたわけだが、祭りそのものは平和にして盛況である。
「それじゃ、まぁ……高雄氏に接触を図るとするか」
祭りの様子を窺うためか、会場を歩いている水口・高雄を視認して、火乃華はゆっくりと近づいていくのであった。
●
「まぁ、今時点でパニックを発生させるわけにはいかんのでね」
猟兵と名乗った火乃華に対して、一瞬、逡巡の表情をした高雄は、しかしすっと表情を戻して、実行委員会のテントまで彼を案内した。理由はこういうことらしい。
「単刀直入に聞くぜ。今回の予告に関する心当たりは?」
火乃華も火乃華で冷静沈着に事を進める。
(商人相手に回りくどい立ち回りしてもかえって警戒されそうだしな)
というのが理由だ。そしてもうひとつ。
(……どんな世界にも暗部ってのは存在するし、な)
ましてや、金が絡んでくる商売の世界ともなると猶更。だからこそ、火乃華はこう告げる。
「ああ。後ろ暗い事情があろうが今回は糾弾しないから安心してくれ」
「いきなり何を言い出すのか。別に犯罪行為はしてないぞ?」
火乃華の言葉にそう断って、高雄が話し出す。
「そうだな。心当たりはある。結果として、だが」
曰く。
敵対していた勢力――談合勢力に対して、その流通路を力技で封じたり、あるいは納入業者を金でこちらに抱きこんだり。『人としてどうなんだ?』と言われれば確かに否定できないが、犯罪ではない。
「その結果として、ひとり首を吊ったとは聞いた。商売が立ち行かなくてな」
ただ、『攻撃』を仕掛けていた相手は談合をしていた人々で、菓子店や一般人には被害は出ていない……はずだ。
「正義執行人が商人だというのなら、その首を吊ったヤツだろう。名前は……利根・蔵人(とね・くらひと)だったか」
あっさりと出てきた情報に火乃華はため息をつく。
「ま、そういう事やるんなら、噂すら立たないよううまく立ち回れって話だがな」
「こんな狭い街の中で大きな商人が首を吊れば、何をどうやっても目立つものだよ」
火乃華のため息に、高雄が肩をすくめて返す。
「まぁ、かん口令でも敷けば誰も何も言わないかもしれないが……それでは彼らとやっていることが一緒になってしまう」
それでは意味がないのだ、と。力で支配されることに反発したのが水口の家なのだから。
「というか、殺されかけたのは我が家だし。飲み水に水銀はダメだろう。うちは娘死んだんだぞ」
「……」
さらっと出てきた事実に、火乃華は『ヤバい』と感じる。これは放っておくと語り出すパターンだ。話を切るしかない。
「助かった。ああ、もうひとつ」
「何だね?」
話し足りないのか、不満そうに問う高雄に火乃華が話を続ける。
「うまい煎餅の店、知らないか?」
「……ほう」
火乃華の問いかけに、高雄の目が明るく輝く。
「せっかくの祭りだしな、ある程度は楽しまなきゃ損だろ?」
「それに関しては諸手を挙げての大賛成だ。よしよし、私のおススメは、砂糖醤油を使った煎餅だ。この屋台に行くといい」
笑顔で案内図をすっと渡す高雄。それを受け取って火乃華はテントの外に出る。
「さて、時間まで楽しませてもらうとするか」
そういって、桜吹雪舞う会場の中へ歩いていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『紅き妖刀』
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POW : 人を喰らい、人を斬る
自身の【宿主の生命力】を代償に、【妖刀を装備し、身体能力を強化した宿主】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【達人級の剣術】で戦う。
SPD : 心を喰らう呪い
自身に【忌まわしき呪いのオーラ】をまとい、高速移動と【精神を蝕む呪いの刃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : 奥義:紅刃十連撃
【宿主を操り、必殺の奥義】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
イラスト:TFJ,
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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ゆるやかに、華やかに。幻朧桜の花びらが『桜献菓祭』を彩っている。流れる桜色に混じって、菓子の甘い香りが漂う、祭りの中。
ざわり、と殺気が風を押し変えていく。
桜広場の北東、比較的人の少ないその場所から『にじみ出る』ように現れる影朧の群れ。人の姿をした影朧たちは1体違わず、『紅き妖刀』を抜き身で携えている。
ゆらり、と、ゆっくりと。その紅い刀身にさらなる血を吸わせようと、祭り会場にいる人々に迫る影朧。
しかし、この祭りの実行委員会は『こういう不測の事態』も想定している。ましてや、今回は主催に殺人予告が出ているのだから。
「こちらです! はやく!」
会場の中で散らばっていた委員会の人々が、事前に決められたルートを指定して人々を避難誘導していく。会場に残されるのは屋台とわずかばかりのお菓子たちの他……標的となっている水口・高雄と小夜子。
「ひっひっひ……やぁっとお前を始末できる時が来た……」
紅き妖刀の影朧たちの背後から、こちらもまたにじみ出るように現れる金色のスーツに身を包んだ成金の影朧。
「さぁいけ! いって殺せ! 水口を殺したら、後は好きなだけ暴れるといい!!」
成金の合図で一斉に駆け出す影朧たち。
それを遮るように、猟兵たちが割り込む。
水口・琴里(ことり)から依頼。それは『両親の命を守って欲しい』というもの。それはグリモア猟兵からの依頼と言う形で伝えられ、そしてこの場に猟兵たちがいる。
事ここに至って、紅き妖刀の影朧たちに遠慮する必要はない。
猟兵たちもまた戦闘態勢を整えるのであった。
※シナリオ補足※
紅き妖刀を持つ人の姿をしている方も影朧です。
猟兵たちの背後に、高雄と小夜子がいますが、猟兵たちを出し抜いて紅き妖刀たちがそちらに迫ることはありません。真正面から倒していけばオーケー。
会場の中には他に一般人はいません(鈴彦と琴里は戦況を知りたいので近くにいますが、高雄たちよりさらに後ろにいるので巻き込まれる可能性はゼロです)
屋台は放置されていますが、戦闘で壊しても怒られません。お菓子も拾い食いしても怒られません。
ミスティ・ストレルカ(サポート)
基本方針は専守防衛・他者フォローです
サポート故、連携重視のお任せ
知らない人にはどうにも気後れしてしまうけど
それでも他の人が怪我するのも嫌なので押すところは押すのですよ
主にサモン・シープ等攻撃系のUCで他者行動の隙を消す様に立ち回るのです
中遠距離をとり全体を掴む感じですね
防御系の技能で時間稼ぎも行けますので
生まれながらの光での前線維持、魔力性防御障壁の囮役も…ちょっと怖いけど
でもでも、みんなの居場所を守るのですよー
そうそう、えっちなのはいけないと思います。
興味がない…訳ではないですがひつじさんが怖い雰囲気纏って凄い勢いで止めにツッコんでくるのです
年齢制限がどうとか、らしいです
●
成金の影朧の号令に、『紅き妖刀』を携えた影朧たちが一斉に地を蹴って駆け出す。狙いはこの祭りの主催、水口・高雄とその妻・小夜子。
だが紅き妖刀たちの前に滑り込む小さな影がひとつ。
「おいで、ひつじさん」
ミスティ・ストレルカ(白羽に願う・f10486)が呼びかければ、空中に『ぽんっ☆』とコミカルに出現するデフォルメ調の白羊。
「ひつじさん、お願いなのですっ」
とミスティが告げれば、彼女が指さした方向へ向かって、ひつじさんが猛ダッシュ。こちらに向かってきていた紅き妖刀たちの集団に突っ込んで、体当たりで吹っ飛ばす。
『……』
ひつじさんを敵とみなした紅き妖刀が素早く刃を繰り出す。奥義:紅刃十連撃――紅い軌跡を描いてひつじさんを斬り刻まんとする斬撃が放たれるが。
『……!』
ひつじさん、電気スパーク。目くらましと同時に電撃によるダメージで紅き妖刀の手元を狂わせれば、そのままするっと回避する。
(よかったのですよー)
ひつじさんの無事を確認してほっとするミスティ。
ミスティと紅き妖刀たちの間に在るのはひつじさんのみ。肌に感じる、紅き妖刀たちのチリチリとした殺気が怖くないといえば嘘になる。
「……それでも他の人が怪我するのも嫌なのですよ」
小さく呟くミスティ。ここは『押すところ』だ。だから退かない。
「トリさん、ゴーなのですっ」
新たに呼び出したデフォルメ調のにわとり(ニワ子さんって言うらしい)を紅き妖刀たちの群れに突撃させるミスティ。
「みんなの居場所を守るのですよー」
確固たる意志を持って、紅き妖刀たちと祭り会場の間に立つミスティ。
ひつじさんとニワ子さんが大暴れする活躍で、紅き妖刀たちはその数を着実に減らしていくのであった。
成功
🔵🔵🔴
大歩危・しがら
「落ちているお菓子……拾い食いしたくなるが……フードファイターでもないし、事を終らせてからですね。さぁ、影朧達よ!オレが相手だ!こっち来い!」
【トリプルどろんチェンジ】を使用
巨大狸で戦闘をしつつ、物的被害が出そうなら一反木綿に変身し、飛んで広いところに戦闘場所を移します。
戦闘で屋台を壊しても怒られないとは言われても、すぐに祭りに戻れるように多少は抑えようとします。
●
水口・高雄と小夜子を狙った成金の影朧の殺人計画。その手下となっている『紅き妖刀』たちと猟兵たちの戦闘は幕が切って落とされた。
その前線に向かおうとするひとりの猟兵、大歩危・しがら(化け狸の學徒兵・f36647)はタヌキである。いや、比喩表現とかじゃなくて、見た目からタヌキです。賢い動物なのだね。そしてどろんバケラーにして學徒兵でもあった。
そんなしがらがサクラミラージュの事件に駆けつけるのは何も不思議ではない。
「落ちているお菓子……拾い食いしたくなるが……フードファイターでもないし、事を終らせてからですね」
……雑念があるようだが、とりあえず顔というか視線は紅き妖刀たちに向いた。
「さぁ、影朧達よ! オレが相手だ! こっち来い!」
しがらが張り上げた声に反応して、紅き妖刀たちが殺到する。呪いのオーラを纏って戦闘能力を上げた紅き妖刀たちが、しがら向けて一斉に心を喰らう呪いを放ってくる。
「おっと」
すかさず【トリプルどろんチェンジ】。一反木綿に姿を変えたしがらは空に飛びあがって呪いの放射を回避する。そして空で再度【トリプルどろんチェンジ】、今度は巨大狸に変身して、空の上から紅き妖刀たちの群れの上に落下する。
腕を振り回して間近にいる紅き妖刀たちを吹き飛ばすしがら。
(屋台を壊しても怒られないとは言われてるが……)
壊したら壊したで、祭りを再開するに時間がかかる。
(すぐに祭りに戻れるようにしないとな)
紅き妖刀たちを吹き飛ばす方向も少し加減して屋台に被害が行かないように。
物的被害を避けつつ。しがらは巨大狸の腕力で妖刀の刀身をへし折って、紅き妖刀たちを仕留めていく。
紅き妖刀たちの頭数は有限。着実に数を減らしていく作戦は紅き妖刀たちに焦りを与えていくのであった。
なお、お祭りが再開した時にお菓子はもらえました。
成功
🔵🔵🔴
平坂・火乃華
アドリブ等歓迎◎
妖刀ね、いざ尋常にって感じじゃねぇな、この数は
数には数で対抗するぜ、【凍獣銀牙】を発動、獣達を主力に据えとするか。
確か、ここは屋台が円状に二重三重と配置されてたな、なら、それを利用させてもらうとするか、広場側に入ってきた敵に獣をけしかけ、応戦している隙を突き、【極彩】で奇襲を仕掛ける、数が多いが屋台の屋根を【軽業】で伝っていけばすぐだろう。
この一件、俺たち猟兵の知りえない、裏の事情、があるのは間違いねぇだろうな、実際、引っかかるところもあるしな。
それにだ、俺に店を教えてくれた時の高雄氏の目、あれは嘘偽りのない目だった、せめてあの目だけは信じねぇとな。
●
『桜献菓祭』の会場を圧し潰すかのように『紅き妖刀』たちが迫りくる。忌まわしき呪いのオーラを纏い、尋常ならざる速度で道中にあるものを蹂躙しようとするその姿は紅色の悪夢とも言えよう。
「妖刀ね、いざ尋常にって感じじゃねぇな、この数は」
その様子を見て、平坂・火乃華(さすらいの銀狼・f35951)は言葉をこぼす。困惑とも諦観とも違うその声音は単純に対策を練っているようだ。まずは数をどうにかせねばなるまい。
「数には数で対抗するぜ」
火乃華の呟きと同時に彼の周辺の温度が下がる。桜の花びらを巻き込んだ冷気が吹き抜けた後、その場に居たのは氷で精製された獣たち。火乃華が生命力と体温を代償とする【凍獣銀牙】で呼び出したものだ。
火乃華の合図で氷の獣たちが紅き妖刀たちに襲い掛かる。
(確か、ここは屋台が円状に二重三重と配置されてたな)
紅き妖刀から注意は逸らさず、周囲をぐるりと見渡す火乃華。幸いにして、紅き妖刀たちも屋台を壊しながら突き進むといったことはしていないらしい。お祭り会場としての構造はまだ保たれている。
「なら、それを利用させてもらうとするか」
屋台の上に飛び乗る火乃華。紅き妖刀たちの攻撃は氷の獣たちに集中している。
生命力と体温を代償に捧げたことで動きが多少鈍っていようとも上から狙う程度ならば。獣たちが応戦しているその隙をついて、極彩で奇襲を仕掛ける火乃華。
敵の数が多いのが難点だが、屋台の屋根を軽業のごとく渡っていくことで距離の問題は解決。
紅き妖刀たちを攻撃しつつ、火乃華はちらりと後方を見遣る。その方向にいるのは水口・高雄と小夜子。まだそこに至っている紅き妖刀たちはいない。
(この一件、俺たち猟兵の知りえない、裏の事情、があるのは間違いねぇだろうな)
実際、火乃華としても引っかかるところもある。もしかしたら問いかければ答えてくれるのかもしれないが。
それに、だ。
(俺に店を教えてくれた時の高雄氏の目、あれは嘘偽りのない目だった)
高雄とのやり取りを思い出す火乃華。
「せめてあの目だけは信じねぇとな」
そう呟きながら。火乃華は成金の影朧配下である紅き妖刀たちを排除していく。
大成功
🔵🔵🔵
シフィル・エルドラド(サポート)
『皆に元気を分け与えにやって来たよ!』
ハイカラさんの勇者×国民的スタアの女の子。
普段の口調:明るい(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)
嬉しい時の口調:ハイテンション(あたし、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
元気一杯で天真爛漫な性格をしていて、ポジティブな思考の持ち主。
困っている人や危機に陥っている人は放ってはおけず
積極的に助ける主義です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
幻朧桜に感謝を捧げるお祭り――『桜献菓祭』。この会場に並ぶお菓子たちは幻朧桜に捧げるものであり、また街の人々が買い求める娯楽である。
だが今、この会場は影朧の襲撃によって、その本来の目的を果たせなくなっている。
そこへ空から降る一人の少女。
「皆に元気を分け与えにやって来たよ!」
グリモア猟兵の転送から一転、戦闘態勢に入ったシフィル・エルドラド(ハイカラさんの勇者・f32945)は『聖剣エデン』を抜き放って構える。勇者にして歌って戦えるスタアのシフィルが纏うのは圧倒的なカリスマ的オーラ。もし、『紅き妖刀』たちに多少なりとも理性が残っていたならば、シフィルの容姿に気を取られて動きを止めたであろう。そんな輝きを持つ少女が助力に馳せ参じてくれた。
対して紅き妖刀たちはその刀身を妖しく紅い色に染め上げる。同時に妖刀を持っている人型の目が紅く光り……次の瞬間、紅き妖刀たちが一斉に地を蹴る。
狙いはもちろん、シフィル。
「……っ!?」
一瞬、気が逸れた瞬間を狙われたのか、シフィルの動きが遅れる。咄嗟に回避行動を取ったシフィルに紅き妖刀の切っ先がシフィルの頬に、腕に赤い筋を刻む。だが致命傷には程遠い。
急いで距離を取ったシフィルは剣を掲げて叫ぶ。
「目覚めよ、勇者シフィルの底力よ!」
シフィルが高らかに宣言したならば、後光が輝く。その光に包まれたシフィルが覚醒する。その姿は正義の為に戦う勇者。爆発的に戦闘力を引き上げたシフィルが紅き妖刀たちの群れに突撃する!
今度は妖刀の太刀筋を受け流しながら、素早く人型の懐まで踏み込んだシフィルが剣を一閃。さすがに妖刀は断ち切れないらしい。だが、それが逆に仇となる。
『斬れないがゆえに』剣はその速度と重量を叩きつけることになる。結果、ひっくり返されるようにして地面に叩きつけられる紅き妖刀。シフィルはそのまま流れるように妖刀を持っている腕を強かに叩き、手を放させた後に、妖刀だけを叩き折る。
「この調子でなぎ倒していけば大丈夫ね!」
紅き妖刀を倒すコツがわかってきたらしい。踏み込み、剣を振るい、そして妖刀のみを始末していく。
「もう少し……!」
そう言って目の前の紅き妖刀を一刀両断するシフィル。
そう、もう少しで紅き妖刀たちがいなくなり、その背後に物理的に隠れていた成金の影朧が見える。
その想いで距離を詰めていくシフィル。この事件を引き起こした張本人と相まみえるまで、あと十数体……!
成功
🔵🔵🔴
天王寺・あいる(サポート)
ご機嫌よう、我輩はサクラミラージュの敏腕探偵天王寺あいるであります
事件を察知してどのような現場にも勇んで参ります
インドア派と侮るなかれ自宅警備で鍛え上げた白虎拳でどのような相手にも柔軟に対応可能であります
規律を守り猟兵の職務を全うして参りますのでどうぞ宜しくお願い致します
●
ゆるやかに、華やかに。幻朧桜の花びらが降る。本来ならばその花吹雪は、幻朧桜に感謝を捧げる『桜献菓祭』を彩るもの。しかし今は影朧の殺気を和らげる緩衝材にして、この世を儚む雪のよう。
そんな幻朧桜の導きか、天王寺・あいる(脳筋探偵・f36076)は会場に足を踏み入れる。いや、駆け付けたが正しい。
「ご機嫌よう、我輩はサクラミラージュの敏腕探偵天王寺あいるであります」
立ち止まり、『紅き妖刀』たちの群れに名を告げるあいる。その容姿は鹿撃ち帽にブラウンのインバネスコートという、まさしく探偵といった出で立ち。この場が推理で片付く現場なら瞬く間に犯人がみつかったであろう。
しかし、この事件の犯人は既に分かっており、後は追い詰めるだけ。そのためにはまず眼前の紅き妖刀たちを突破せねばならない。
紅き妖刀たちは自身を影朧に持たせることでその身体能力を強化し、その身体能力を以て、あいるに襲い掛かる。
――もし。
あいるが安楽椅子探偵を推理スタイルとしていたならば、紅き妖刀たちの猛攻に耐えられなかっただろう。だが、彼女はインドア派ではあるが田舎育ち。畑仕事のお陰で体力と力には自信がある……っていうか、得意技は『最後は力業』だ! 誰だよ脳筋探偵っていったの、失礼でしょ!!
「というわけで、【白虎絶命拳】であります!」
近づいて来た紅き妖刀に対してカウンター気味に懐に踏み込むあいる。その動作と同時に彼女の指先が紅き妖刀に触れる。
どんっ。
直後、呼気により練り上げられた『気』が流し込まれ、紅き妖刀の人型を内部から破壊する。破壊の衝撃で肉体が吹っ飛び、後続の紅き妖刀たちごと薙ぎ倒す。
「インドア派と侮るなかれ、自宅警備で鍛え上げた白虎拳でどのような相手にも柔軟に対応可能であります」
どこからツッコむべきか悩んでしまいそうな決め台詞に反して、彼女の【白虎絶命拳】は一撃ごとに確実に紅き妖刀を屠っていく。本体の刀身であろうと、人型であろうと、あいるの指先が触れたならばそこで終わり。圧倒的な推理力(ぶつり)が紅き妖刀たちを論破(ぶつり)していく。
程なくして、あいるは動きを止める。周辺で動いている影が仲間たち――猟兵たちだけになったからだ。
後に残すは、この襲撃&殺人事件(これから)の首謀者、成金の影朧のみ。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『成金影朧』
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POW : 其れが欲しいなら呉れて遣るぞ?
【自身が所有物と認識する金品】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD : ほうら、拾え!拾え!
【高額紙幣のばら撒き】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : どうだ明るくなったろう?
【懐から取り出した札束】が命中した対象を燃やす。放たれた【大尽の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「八乙女・櫻子」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●それは誰にとっても想定外で
「な、なにが……何が起こってるんだぁぁぁぁ!!」
全身を金色のスーツに包んだ成金の影朧――その名も『成金影朧』が叫ぶ。
作戦は問題なかったハズだ。
『桜献菓祭』という、水口が絶対逃げることのできないシチュエーションで配下の影朧を投入して数で攻める。万が一、その襲撃から逃れたとしても無傷ではあるまい。そこを自分が殺せばいいと考えていた。
だが、今目の前に広がっている光景はどうだ?
配下の影朧たちは全滅し、むしろ自分が追い込まれている状況。当の水口は傷ひとつすらついていない。
「水口ぃぃぃぃ!! 貴様、商売に學徒兵を頼るほどに堕ちたかっ!!」
「私だって、知らんわっ!! 大商人とはいえ、帝都桜學府の超弩級戦力を護衛に使うなんてできるかぁぁぁ!!」
水口・高雄(みなぐち・たかお)と成金影朧が叫び合う。この光景をみるに、やはり正義執行人の正体は、過去、商売権力抗争で死んだ利根・蔵人(とね・くらひと)なのだろう。
そして、成金影朧にとっても、高雄たちにとっても、猟兵の活躍は想定外だったらしい。
「だいたい、影朧が出たら學徒兵を呼ぶのは普通だろうが!」
「あぁん……? 商売敵が邪魔だからって直接殺す刀を持ち込むってか、水口ぃぃ……それはダメだろ?」
下卑た笑いを浮かべながら成金影朧が笑う。本当に愉快そうに、それでいて高雄を見下すように。
その様子に怒りを顕わにしていた高雄の表情がすっと冷める。表情は無表情に近く、しかしその内にこれまでと比較にならないほどの怒りが込められている。
「……その、商売の権力抗争で私の家族を毒殺しようとしてくれたのはどこのどいつだ?」
「知らんなぁ……そんなひどい輩もいたものか。こわいこわい」
あくまで証拠はないと、成金影朧はのらりくらり。高雄がぎりっと歯を食いしばる。
「まぁ、商売の縄張りも守れんヤツは殺されても仕方ないわなぁ……おっと、死んだのは娘だけだったか」
「貴様っ!!」
「あなたっ!!」
成金影朧の挑発に殴りかかろうとする高雄を妻の小夜子(さよこ)がビンタして止める。
「痛いんだけど?!」
「頭に血が上りすぎです。それに……あの子は戻って来たでしょう?」
小夜子が振り返る。その視線の先にいたのは、娘の琴里(ことり)とその保護者、木村・鈴彦(きむら・すずひこ)。
「超弩級戦力……猟兵の皆さんは私がお願いしました」
琴里が告げる。
「別に私としてはお父様が死んでも問題ないのですけど、一応殺してあげるなら私がと思っているので」
「扱いが酷い……!」
琴里の告白に崩れ落ちる高雄。
そんな様子を成金影朧は呆然として見つめる。
「……何故だ……何故生きている? 子供には致死量の水銀だったはずだぞ……?」
思わず零れる言葉。
その言葉に片眉をあげて琴里が突っ込む。
「あら? どうして私が水銀で死んだことをご存じで? 私は流行り病で死んだとなっているはずですが?」
「……!」
しまった、という成金影朧の顔。それは自白以外の何物でもない。
「ちゃんと死にましたよ。でも貴方と違って、私は影朧から転生しましたので」
琴里の言葉は事の次第を端的に告げるものにして、明確に成金影朧を拒絶するもの。
「クッ……! だがワシが死んだのは水口のせいだ! それは変わりない!」
「確かに一家心中するほどに追い込んだのは私だが、そもそもはお前の商売が汚いからだろ」
成金影朧の言葉に高雄が冷静に突き返す。
切欠は高雄の取った施策だ。それに同調する人が増えて、相容れない利根の商売は追い込まれていった。形勢不利を悟ると周りも手を引いていった。それだけの話。
「それにお前の死因は刺殺だろ? 金が無くなったって息子に刺されたんだってな?」
全てを知る高雄が胸の内に秘めておいた事実をつらつらと突きつける。せっかく隠しておいてあげたのに、という嘆息とともに高雄が成金影朧の言葉をひっくり返す。
「うるさいうるさいうるさいぃぃぃぃぃ!! とにかく水口しねぇぇぇぇ!!」
そう言って高雄に襲い掛かろうとする成金影朧。
「……! 皆さんすみません! あともう少しだけ、お願いします!!」
その様子を見て、成金影朧と高雄の間に割り込みながら、琴里が叫ぶ。
お願いの相手はもちろん猟兵たち。
桜献菓祭の会場を舞台にした影朧事件は最後の幕が上がったのである。
※シナリオ補足※
引き続き、桜献菓祭の会場での戦闘です。
水口一家と鈴彦は後方に撤退するので戦闘に巻き込まれません、ご安心ください。
ちなみに、この正義執行人に関わる情報はほぼ全て出ました(過去の事細かな内容とか具体的な施策の内容とかは除く)
ニコリネ・ユーリカ(サポート)
あらあら、盛り上がってるわねぇ
お忙しい所、お邪魔しまーす!
新しい販路を求めてやってきた花屋です
宜しくお願いしまーす(ぺこりんこ)
~なの、~なのねぇ、~かしら? そっかぁ
時々語尾がユルくなる柔かい口調
商魂たくましく、がめつい
参考科白
んンッ、あなたって手強いのねぇ
えっあっヤダヤダ圧し潰……ギャー!
私も気合入れて働くわよー!
悪い子にはお仕置きしないとねぇ
さぁお尻出しなさい! 思いっきり叩いてあげる!
乗り物を召喚して切り抜けるサポート派
技能は「運転、操縦、運搬」を駆使します
広域では営業車『Floral Fallal』に乗り込みドリフト系UCを使用
狭域では魔法攻撃や『シャッター棒』をブンブンして戦います
●それは疾風(かぜ)のように駆け抜けた?
サクラミラージュ。とある都市で行われている幻朧桜に感謝を捧げる『桜献菓祭り』の会場は、突如現れた――あるいは予告通りに現れた影朧の襲撃によって賑やかな喧噪を砕かれ、緊迫した空気をはらんでいた。
一触即発どころか、敵意満々で襲い掛かってくる『成金影朧』。
「しねぇぇぇぇ!! 水口ぃぃぃぃ!!」
恨みを込めた叫びとともに、かろうじて残っていた配下の紅き妖刀たちをけしかける成金影朧の前に。
ぎゅるるるるるっ、ギャギャギャギーッ!!!
広場の石畳、タイヤを切りつける音が全てを吹っ飛ばす。具体的には屋台が並ぶその間を軽やかに走ってきたトラックがドリフト走行で突っ込んできた。しかも成金影朧がいる辺りでターンする動き。
それ、花を売る車の動きじゃないですよね? ね?
そんなツッコミを入れる暇を与えることなく、紅き妖刀たちごと成金影朧にひき逃げアタックをかましていく移動販売車(5MT4WD)。ターンの時にふわりと花の香りを漂わせつつ、猟兵側で停車した。
「なんなんだ一体!?」
ひき逃げアタックをどうにか耐えた成金影朧が叫ぶ。その声に応じるがごとく、ばんっ、と運転席側のドアが開いて降りてくる女性がひとり。
「お忙しい所、お邪魔しまーす! 新しい販路を求めてやってきた花屋です、宜しくお願いしまーす」
ぺこりんこ。
緊迫した空気を和やかに切り裂いて、ニコリネ・ユーリカ(花屋・f02123)は笑顔を見せるのであった。
●お花屋さんの本気をお見せしましょう?
「花屋が菓子販売の現場に乗り込んでくるんじゃないっ!!」
「えー、だってどこに商機があるかわからないじゃないですかー」
成金影朧の叫ぶをゆるっと受け流すニコリネ。どこにでも顔を出して人脈を作るのって営業にはとっても大切なのだ。なので乗り込んできました。
「ええいっ、新米が邪魔するな! 此れを呉れて遣るから消えろっ!」
因縁の戦いを完全に割り込まれて、イライラしている成金影朧が札束をニコリネに対して投げつける。ぱしっ、とニコリネの体に当たって地面に落ちる札束。
「えっ、これだけもらっても……んンッ」
どうやらユーベルコードだったらしい。べしっと額を叩かれたようにのけぞるニコリネ。困るほどのダメージではないが、痛い。
「もうっ。お金じゃなくて人脈をよこしなさーい!」
交渉決裂。だが、ここでタダで帰るほどもったいないことはない。何かを持ち帰るのが営業なのだ。だからとりあえず成金影朧の人脈を狙うニコリネ。
そんなこんなしている内に、よろよろとではあるが紅き妖刀たちも復帰してきた。
「新米の花屋さんに対して、多勢に無勢とは卑怯な……」
事態を打開すべく、再度、営業車『Floral Fallal』に乗り込むニコリネ。ニコリネの両足がアクセルとクラッチを絶妙に操作しながら、左手がギアをバックに入れる。
まずはバックでもう一度突撃! それ新米の動きじゃない。
「うおぉぉぉぉっ!?」
横に飛んでそれを回避する成金影朧と紅き妖刀たち。
バックで大きく下がった『Floral Fallal』の運転席でブレーキを踏み込みつつ、ニコリネがギアを軽やかに入れ直していく。流れるように1stまで戻したニコリネの視界に映る『ライン』と狙うべき敵たち。
「いっくわよー!」
アクセルを踏み込みながらギアを次々と入れ替えて、再度突撃するニコリネ&『Floral Fallal』。猛スピードで突っ込んでいるように見えるその動きは、実は精密にコントロールされている。進入角度からアクセルを緩めるタイミング、さらには踏み込み直すタイミング。車体を流すためにハンドルを切る速度と量。
「これがドリフトの基本よ!」
「貴様本当に花屋か!?」
ニコリネの言葉にツッコミを返しつつ、しかしニコリネの【自走車輌定常円旋回】が直撃する! 移動販売車の超高速スピンに吹っ飛ばされる成金影朧。こんな光景、なかなか見れないと思います。
成功
🔵🔵🔴
陽環・柳火(サポート)
東方妖怪のグールドライバー×戦巫女です。
悪い奴らはぶっ潰す。そんな感じにシンプルに考えています。
戦闘では炎系の属性攻撃を交えた武器や護符による攻撃が多い。
正面からのぶつかり合いを好みますが、護符を化け術で変化させて操作したりなどの小技も使えます。
全力魔法使用後の魔力枯渇はにゃんジュール等の補給で補います
名刀『マタタビ丸』は量産品なので、もしも壊れても予備があります。
ユーベルコードは指定した物を使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動し他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●
猟兵の攻撃を受けて、何の比喩表現でもなく空へと吹っ飛んだ『成金影朧』。放物線を描いて地面に激突した成金影朧はよろよろと立ち上がる。ダメージはあるものの、いまだ健在。胸の内に抱く激情のままに、足元に転がっていた木材を手にターゲットである水口の者を狙って駆け出す。
「水口ぃぃぃぃ!!」
「おぉっと、そうはさせねえぜ!!」
その進路上に割り込んだ影が叫びながら手にした棒状のものをフルスイング。
「ぶべっ?!」
クロスカウンターのように炸裂した一閃に、自分の勢いで突っ込んだ成金影朧が後頭部からすっころぶ。
「てめぇをぶっ飛ばせばいいんだろ?」
そう言って、名刀『マタタビ丸』を肩に担ぐのは陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)。ネコミミとネコマタ尻尾をもつ東方妖怪であるもふもふ。
「なんで次から次へと邪魔が湧いてくるんだ!」
「そりゃ頼まれてるからなぁ」
成金影朧の叫びに、柳火は事も無げに返す。助っ人としてグリモア猟兵に頼まれて送り込まれてきた以上、成金影朧の目的を阻むのは当然の流れ。
「つーわけで、てめぇはぶっ潰す」
柳火の意志に応じて、妖怪の力が猛る。ぐっ、と力を込めた両足に地獄の焔が灯り、燃え盛る足具が形成される。
「ええいっ、此れを呉れて遣るっ! さっさと去ね!」
柳火に向けて札束を投げつける成金影朧。
「いらねぇっ痛っぁっ……よっ!!」
それに対して柳火は右足で焔の回し蹴りを放つ。途中、成金影朧のユーベルコードによるダメージが強烈に襲い掛かってきたがそれを気合と根性で抑え込み、そのまま焔で札束を燃やし尽くす柳火。
「悪ぃな。ちぃーっと足癖が悪いんだわ」
体を回転させながら右足で着地……と同時に今度は左足で後ろ回し蹴りを放つ。先の回し蹴りの軌道上に残っていた地獄の焔をトレースする動きで左足の焔を重ね合わせて。
「くらいやがれっ!!」
柳火が必殺の【黒猫獄焔牢】を叩き込む!
「ぐおぉぉぉぉっ!?」
成金影朧の、一張羅の金のスーツが燃え上がっていく。
「けっ。さっさと倒れやがれ」
成金影朧が焔に飲み込まれていく様子に柳火はそう吐き捨てるのであった。
成功
🔵🔵🔴
音駆螺・鬱詐偽(サポート)
世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん
ただいま参上。
・・・って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ。
うう、これも番組の為なのね。
自身の命綱である番組の為、多少の苦難や困難は仕方なく行います。
むしろ持ち前の不運によりおいしい場面を呼び込んでくれるかと思います。
ただし、ネガティブとはいえアイドルですのでマイナスイメージとなる仕事はすべて却下でお願いします。
ユーベルコードや技能はご自由に使わせてください。
どうぞ、当番組のネガティブアイドルをお役立てください。
プロデューサーより
●
サクラミラージュのとある都市。幻朧桜に感謝を捧げる『桜献菓祭』の会場は華やかな雰囲気から、あり得ないくらい慌ただしいというか激しい雰囲気に変わってきた。
何故かと言うと、この祭りの主催者を狙って影朧たちが襲撃してきたというのもあるが、その迎撃を行っている猟兵たちの攻撃がとにかく激しいというのが大きい。
なお、特に問題は発生していない。
「おのれおのれおのれーーーーっ!!」
だが襲撃の首謀者、『成金影朧』の目的はいまだ潰えていない。叩きつけられていた地面からがばっと立ち上がって、己が殺そうとしている水口がいる方向を睨みつける。
……の視線上に。
ウサミミのゴシックな女性が佇んでいた。
「……うう……」
もう帰りたいって表情が言っている。しかし、引き下がれない何かがあるのか、メランコリーな瞳を健気に上げて、成金影朧を見据える女性。
「世界に蔓延る悪を懲らしめるネガティブアイドル鬱詐偽さん、ただいま参上」
まさかの前口上だった。しかも詰まることなく言った。よっぽど練習してきたに違いない。音駆螺・鬱詐偽(帰ってきたネガティブアイドル・f25431)が自身の存在感をこれでもかと……。
「……って、どうしてこんな恥ずかしいセリフを言わないといけないのよ」
いや、なんか言わされてた。え、誰にってプロデューサーにである。
「うう、これも番組の為なのね」
悲し気に目を伏せる鬱詐偽。
そう、彼女はバーチャルキャラクター。『鬱るな!鬱詐偽さん』という番組のメインである。なので自身の命綱である番組のためなら、多少の苦難や困難は仕方なく行うのだ。
だが落ち着いて欲しい。
陰湿な復讐というか逆恨みの激しく逆巻く現場に現れたネガティブアイドルの図とか、もう完全に巻き込まれ事故の様相である。そりゃ鬱詐偽さん帰りたくもなる。
でももしかしたら化学反応で視聴率が取れるかもしれない。そう思うと引き下がるわけにもいかない。
「貴様も邪魔をするのか! 邪魔するなら燃えてしまえ!!」
『どうだ明るくなったろう?』と言わんばかりに、懐から取り出した札束に着火して鬱詐偽に投げつける成金影朧。お大尽ファイヤーである。
「ひぅっ……!?」
番組の趣旨とか企画とか説明する前に、いきなり攻撃を受けてしまい、身を竦ませる鬱詐偽。思わず悲鳴が漏れる程度には恐怖を感じたようで。
次の瞬間、鬱詐偽の前の空間が歪む。その歪みから滲み出すように現れるバロックレギオンたち。図らずも【リアライズ・バロック】が発動してしまったらしい。
バロックレギオンたちは定められた性質に従って、成金影朧に群がるようにして襲い掛かる!
「うおぉぉぉぉーーーっ!?」
火のついた札束を投げつけて迎撃する成金影朧。だが数が多い。恐れを知らず、成金影朧まで突き進んでくるバロックレギオンの群れを止めきれず、その波に飲み込まれていく成金影朧。
「……え? あれ? あの……?」
まだ番組始まってないんですけど。もう終わりましたもしかして?
そんな困惑を見せる鬱詐偽。ここで視聴率が取れなかったら、というか番組撮影できなかったら何のためにここまで来たのか。これたぶん放送事故になる。
「うう……どうして……」
自身の不幸体質に哀しみを感じながらその場に崩れ落ちる鬱詐偽でした。
成功
🔵🔵🔴
平坂・火乃華
◎
相手は完全に黒か、成程なら、やるべき事は一つだ。
【ノーザンウルフ】による【一斉射撃】で牽制、【残像】で攻撃を避けつつ奴の背後に回る。
そして、【始銀零剣】を使用、因果応報、目には目をって奴だ。
商売の事はよくわからないが、汚い手を使ってこのザマだ、どう見たって、アンタの完全敗北って奴だろ?
俺が思うにアンタは死線を見極められなかったんだ、ま、引き際を見誤ったって奴だな。
だから、こんな事になってるし、息子にも背後から刺されるんだ。
それにだ、祭りをぶち壊したのは良くなかったな。
ま、墓の下で大人しくしててくれや。
●
『桜献菓祭』は『そういう』お祭りではないはずだが、しかし祭りの最後は派手になるらしい。
猟兵たちの激しい攻撃に加えて、自身のお大尽ファイヤーで物理的に燃え上がる『成金影朧』。これがキネマの中の話なら笑って見ていられる内容だろう。だが現実に成金影朧は水口・高雄の命を狙っていて、放っておけばそれを遂行する。何度押し戻されようとも、いまだこの世界に実体がある成金影朧はやはり水口・高雄を狙って突っ込んでくる。
その足元を。
バンッ!
銃声が響くと同時に地面をえぐり取る銃弾。
「相手は完全に黒か、成程。なら、やるべき事は一つだ」
銀のハンドガン『ノーザンウルフ』を構えた平坂・火乃華(さすらいの銀狼・f35951)が間に割り込み、成金影朧に有無を言わせる前に制圧射撃を仕掛ける。
「うぉぉぉぉぉ!?」
影朧とはいえ、元はただの成金商人。荒事に直面することには慣れていないらしく、足元で跳ねる銃弾で足を止めて、あわあわっとたたらを踏む成金影朧。
その隙を逃さず、火乃華が一気に距離を詰める。ノーザンウルフは威力と引き換えに装弾数と連射力が強化されている。その性能にモノを言わせて、成金影朧の動きを封じながら迫る火乃華。
「く、くるなぁぁぁ!!」
成金影朧が札束を投げつける。それがヒットすれば『来るな』という言葉がそのままダメージになるが、当たらなければどうと言うことはない。大量に投げつけられる札束を大きく迂回するように回避した火乃華はそのまま動きを止めず、成金影朧の背後へ回り込む!
成金影朧の視界から火乃華が消えたその瞬間。火乃華の手に生まれる凍気を纏った水銀の短剣――【始銀零剣】。
「因果応報、目には目をって奴だ」
成金影朧が振り返るよりも早く、火乃華が【始銀零剣】を一閃すれば、成金影朧の背中から脇腹が派手に裂ける。
「ぐぁぁぁっ!?」
「商売の事はよくわからないが」
火乃華からのプレッシャーに尻餅をつきながら後ずさる成金影朧。それに対して火乃華はゆっくりと歩を詰める。
「汚い手を使ってこのザマだ、どう見たって、アンタの完全敗北って奴だろ?」
「違う! ワシはまだ負けていない!」
『敗北』という単語がよほど嫌いなのか。火乃華の言葉に反応して、立ち上がる成金影朧。
「俺が思うにアンタは死線を見極められなかったんだ、ま、引き際を見誤ったって奴だな」
だがその気概を挫くように、再び火乃華が【始銀零剣】を横薙ぎに一閃する。今度は成金影朧の右腕が斬り飛ばされる。
「だから、こんな事になってるし、息子にも背後から刺されるんだ」
「違う! ちがうちがう! これは全て水口のせいだっ!!」
だから死刑を行うのだ、と成金影朧は奮起する。
――だが。
火乃華が先に告げた。『黒なら、やるべき事は一つだ』と。
(それに、だ)
もうひとつ、火乃華には看過できないことがある。
転がっていた妖刀を手に突っ込んでくる成金影朧。その攻撃を回避しつつ、火乃華は【始銀零剣】で妖刀を上に跳ね上げる。
「祭りをぶち壊したのは良くなかったな。ま、墓の下で大人しくしててくれや」
無防備になった懐へ一歩踏み込みつつ、【始銀零剣】を振り抜く火乃華。鋭い一撃が成金影朧の体を斬り裂くのであった。
大成功
🔵🔵🔵
バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』
年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?
下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も
アドリブ、連携歓迎
●
己の私怨を薪にして、過去にしてやられた商売敵をこの世から消さんとこの世に戻ってきた影朧『成金影朧』。
その目論見は襲撃のタイミングまでは完全に成功して、しかし猟兵の介入によって襲撃そのものは完全に阻止されていた。
配下もほぼ全滅し、自身も右腕を失い、その上に悪徳を溜め込んだと思しき腹を大きく斬り裂かれている。斬られた断面から霧散していくように形が崩れていく成金影朧。
だがまだ。
彼の怨みは形を保っている。
「ここまで! ここまで来て!」
「……っ!」
蹲りながらも怨嗟の声を放つ成金影朧。どこまでこびりつく毒のような怨みは距離を保って見ていた水口・高雄に息を飲ませる。だが高雄の前へ気丈にふるまう娘の琴里が割り込み、その怨嗟を断ち切らんとする。
「邪魔するなっ! 燃えろ! 燃えてしまえ!」
成金の成金たる余裕すら奪われた成金影朧は懐に仕舞い込んでいたありったけの札束を投げつける。命中した対象を燃やすお大尽ファイヤー。最後の全力と言わんばかりに、空から札束が降り注ぐ。
――が。
札束が落下するよりも早く、深い緑色をした円錐状の槍が空を貫く。その数500本以上、無造作に放たれたその槍たちは成金影朧の札束を空中で細切れの紙くずに変えていく。
「大丈夫!?」
その声は水口の一家がいた位置からさらに遠くより。皆がそちらを向けばその場にいたのは見た目麗しい白衣の女性。ただ、他の人と少し違うのは下半身が蛇になっていることだろうか。物語の中やファンタジーの世界であれば、彼女は『ラミア』と呼ばれるであろう。そんな見た目にもかかわらず、クールながらも穏やかな雰囲気を纏って、バジル・サラザール(猛毒系女史・f01544)はちらりと水口の一家へ視線を遣る。
「少し遅れちゃったわね」
そう言いながら、成金影朧と相対するバジル。
成金影朧の襲撃に対してこの会場から一般人が退避したわけだが、バジルはその際に転んで怪我をした人たちの手当てを行っていたのだ。それがひと段落して、戦況も終わっているかと思えばクライマックスだったという展開。
「医者か! 金なら出す、薬をよこせッ!!」
バジルの様相に成金影朧が速攻で買収しようと試みるが。
「んー……傍目からみたら、そっちのほうが大怪我しているけども……」
『怪我した人をほおっておけない一面もある』との噂のバジルさんだが、さすがにこの状況、そしてグリモア猟兵から事前に聞いていた話と合わせて、敵に薬を送るようなことはしない。
「……それに私、『こっち』の扱いの方が得意なのよね」
誰にも聞こえないようにぽつっと呟いて、手をかざすバジル。掌の前に先ほど空を埋め尽くした深い緑色の槍の大群が再び形成される。
「薬がご所望なら、これをどうぞ?」
そう言いながらバジルが腕を真横に振るう。同時に緑の槍たちが成金影朧目掛けて飛翔する。
「き、きさまっ! この色で薬とかあり得ないだろう!?」
「……薬も過ぎれば毒となる。たっぷりと味わいなさい」
そう言ってクールに微笑むバジル。ちなみに『元々毒だけど』とは言わない。そういうところやぞ。
深い緑色の槍は【ポイズン・スピア】――バジルの研究成果、尋常ならざる毒に形を与えたモノ。『致死量なんて知らない』と言わんばかりに、大量に放った槍のことごとくが成金影朧を貫いて毒で浸食していく。同じ色だからといって毒の種類まで一緒かといえばそんなことはない。だが色濃いのは蛇の毒だろうか。バジルがその身に宿しているというバジリスク型UDC。その力の影響を受けた猛毒は成金影朧の体組織を破壊して強制的に出血させていく。
「あ……が……」
そして神経毒。成金影朧の動きが止まる。
「……あ」
そこで唐突に思い出したようにバジルが声を上げる。間髪を入れずに腕を振るえばそこから放たれるのは即効性の催眠ガス。ギャラリーにして今回狙われたターゲット、水口の一家を眠りにへと誘う。
「あんまりグロテスクなものをお見せするわけにもいかないしね」
そう言って振り返る視線の先。成金影朧が血塗れになりながら、喉を掻きむしって全身を痙攣させている。
その様子をつぶさに観察しながら、バジルは手元のカルテに病状を書き込んでいく……いや、毒の効果を。
「毒を盛って毒で制す、なんてね」
おどけて言っている風に見えて、目は真剣に『実験の結果』を追いかけて。
「せっかくの機会だもの。じっくり観察させてもらうわ」
そう言って。
毒に蝕まれた成金影朧が骸の海に還るまで、バジルは目の前の成果を記録し続けていた。
成功
🔵🔵🔴
●すべてが終わり、日常が帰ってくる
「……う、何が……」
水口・高雄(みなぐち・たかお)が目を覚ましたのは、その体を優しく揺らされたからだ。気が付けば、自身と妻の小夜子(さよこ)を狙っていた『成金影朧』とその配下『紅き妖刀』たちはその欠片すら残っておらず。
どうやら猟兵たちが退治していったらしい。
「琴里(ことり)は……いないか」
自分の元に戻ってきてくれたのかと思ったがそうでもないらしい。
そもそも影朧から転生した後、彼女は高雄たちとは別の場所で暮らしている。縁を切ったとかではないが、関わりをもたない生活を送っているのだから。
どちらかといえば、今日の襲撃に対して、助力を送ってきたこと自体が驚きというか。
それはさておき。猟兵のことも放っておいていいだろう。
(次に会った時にでも礼をせねば……)
気に入らない存在ではあるが、そこらを混同すると良い事がない。そもそも気に入らないのも、琴里が猟兵に憧れているからという、些細な、しかし親としては看過できない嫉妬からだし。
「高雄さま……?」
「あ。ああ、すまない。急いで会場に危険が残ってないか調べてくれ」
百面相をしていたのだろう、『桜献菓祭』の実行委員から怪訝な目を送られた。生温かい視線を遮って指示を出す高雄。
「何も無ければ、桜献菓祭を続けよう。まだ今日は終わっていないのだからね」
今回の襲撃は身から出た錆。最悪死んだとしても仕方ないと思っていた。
しかし命永らえたのならばこの命は街のために、そして娘のために費やしていくのが使命だ。
そう考えながら、本来の仕事へ没入していく高雄。
そして桜献菓祭は再び賑わいを見せるのであった。
こうして、桜献菓祭とその場に居た人たちに平和が戻ってきたのである。その影に猟兵たちの活躍があったことは公然の秘密、というものです。