5
リア充爆破

#クロムキャバリア #お祭り2021 #クリスマス

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#クロムキャバリア
🔒
#お祭り2021
🔒
#クリスマス


0




 錆びた雪の世界を異形が走る。右に左にフラフラと揺れながら、二つの車輪を回転させ狂気の群れが行く。
 目指すは戦場。クリスマス休戦により全ての銃火が止まった、数少ない兵士の休息と平和の一時。家族、恋人、友人……親しい者たちとの再会を待ちわびる者たち。
 その尽くを塵にするため、異形の機体『パンジャンキャバリア』は突撃する。想いはだだ一つ――リア充爆発しろォ!!

●誰にも知られない戦争
 ワン・イーナ(シンギュラリティ・f30274)は猟兵たちが集まったことを確認すると、説明を始める。

「クロムキャバリア世界は戦乱と紛争が絶えない世界だが、年がら年中戦ってるわけじゃない。クリスマス休戦……いつ、誰が始めたのかわからないが、いつのまにやら慣習になっていた。全ての国がそうってわけじゃないが、クリスマスの今だけは、戦わないってな」

 明確に制定されたルールでは無い。だが、なんとなく守っている。クリスマス休戦とはそういうものだ。この日だけは、敵同士ですら酒を交わすこともあるという。

「だが、オブリビオンマシンにとっては絶好の機会だ。乱入して暴れれば、それだけで国家間の関係が悪化するからな。だから、今回の依頼は皆には進軍するオブリビオンマシンを撃破してほしい……誰にも知られず、だ」

 攻撃があったという情報だけで騒動になるのは間違いない。それを防ぐには道中に布陣して進軍を阻み、全滅させる必要がある。

「イイ感じの場所がある。戦場からは距離があって、両端は山と森。キャバリアでの戦闘に支障が無いし、接敵は正面に限定できる。懸念は雪だが、影響は無さそうだ。事前に待ち伏せて迎撃するんだ。接敵予定時刻は夕方頃、天気は緩やかな降雪になるだろう」

 ホログラムで地図を表示する。道幅はそれなり。両端は険しい山が並び、麓には雪の積もった森。普段は輸送に使われているのだろうか、道路そのものは平らであり、除雪がされている。

「んじゃ、敵の情報だ。一言で表せば自走爆弾だな。名称はパンジャンキャバリア。自動で突っ込んで爆発する無人量産型キャバリアだ。今回は……あー、『クリスマスの戦場ロマンスとか許せねえリア充爆破してやらぁ!』って感じで、うん、そういうことだ」

 オブリビオンマシン化した時にどのような汚染やデータ入力があったのか。クリスマス限定のリア充爆破キャバリアとなって走り回ってる、らしい。

「ま、そこはともかく、誰にも知られない都合上、今回の報酬は俺が出す。せっかくのクリスマスに仕事を振って申し訳ないが、お願いする。準備ができしだい、呼んでくれ」

 グッドラック、良きクリスマスを。


松六
 松六です。皆さま、メリークリスマス!
 いつのまにかクリスマスです。というわけでクリスマス依頼となります。
 リア充を吹き飛ばすべく突撃する、自走爆弾キャバリアを待ち伏せして撃破してください。
 一時の平和のために、誰にも知られない戦争を。というロマンのお話です。
 以上となります。それでは、皆さまの冒険の一助となりますように。
22




第1章 集団戦 『パンジャンキャバリア』

POW   :    パンジャンボマー
自身が戦闘不能となる事で、【転がった先にいる適当な】敵1体に大ダメージを与える。【皮肉】を語ると更にダメージ増。
SPD   :    パンジャンスカイ
全身を【勇ましいバグパイプの音色】で覆い、自身の【自爆力】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    パンジャンファランクス
【何時自爆し、何時暴走するか分からない】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【追加のパンジャンキャバリア】の協力があれば威力が倍増する。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大豪傑・麗刃
勘違いしないでほしいのだが、わたしはちょっと変わった人間と自負はしているが、普段はこんな事言わない。これはクリスマスの空気がわたしに言わせているのだ。

よし。やれ。
どんっどんやれ。わたしが許す。
彼女とかいらないし、持つとしてもゲーム終わる1年前ぐらいでいいと言いながら、やっぱりちょっと裏山鹿根なのだ。恋人持ちなどすべて●ぬべきなのだ!

……
で終わらせるわけにはいかんよなあ。

今回は吹き飛ばしに特化したバトルガントレット『なんでやねん』を装備。スーパー変態人を発動、そのパワーをもって敵を遠くに吹き飛ばし自爆に巻き込まれるのを防ぐのだ。

まったくどうしてリア充なんぞ助けなければならないのだ。
なんでやねん!



 広い道路の中央を、大豪傑・麗刃(23歳児・f01156)が行く。肩を怒らせ黒髪は逆立ち、ズンズンと地団駄を踏むように歩く様は、まさに私怒ってますというもの。

「勘違いしないでほしいのだが、わたしはちょっと変わった人間と自負はしているが、普段はこんな事言わない。これはクリスマスの空気がわたしに言わせているのだ」

 誰に向かって言っているのか。様々な感情が混ざり声は震えている。俯き気味の顔を上げ、まさに腹の底から言葉を絞り出す。
 オブリビオンマシン許すまじという怒りを……。

「よし。やれ」

 とかじゃなかった。

「どんっどんやれ。わたしが許す」

 それは他に表現できないくらい明確な感情。

「彼女とかいらないし、持つとしてもゲーム終わる1年前ぐらいでいいと言いながら、やっぱりちょっと裏山鹿根なのだ。恋人持ちなどすべて●ぬべきなのだ!」

 つまり嫉妬である。
 丹田から噴火するように吐き出された妬みが空しく山々に木霊する。遠目に見えるほど近づいていたパンジャンキャバリアが、思わず停止して聞き入るほどの悔しさ。
 オブリビオンマシンと猟兵に、共感が生まれ交わされる。

「……。……で終わらせるわけにはいかんよなあ」

 それはそれとして、麗刃は猟兵である。かなりダメ人間な彼でもちゃんと仕事はこなす。極稀にしか使われない、吹き飛ばしに特化したバトルガントレット『なんでやねん』を装備する。
 はっ、と我を取り戻してパンジャンキャバリアも成すべきを成すために再起動。突撃を再開。

「まったくどうしてリア充なんぞ助けなければならないのだ」

 麗刃がぐぐっと気合を込めれば黒い髪が剣山の如く逆立ち、金色のオーラ的なパワーが全身を光らせる。
 嫉妬か悔恨か判別できない涙を一筋流し、目前まで迫るパンジャンキャバリアに憤怒と自暴自棄とヤケクソのスマッシュパンチを打つ!

「なんでやねん!」

 それは見事に正中を打ちパンジャンキャバリアを吹き飛ばす。金属を叩く音が響くと同時にぶっとんだパンジャンキャバリアは後方の同型機たちに衝突、ボウリングのピンのように巻き込んでいき、最後に大爆発を起こしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノア・クレムリィ
 戦場で愛機や戦友と共に迎える、砲火が響くクリスマス。不思議な感覚ですが、悪いものではありませんね。祖国にいた頃を思い出します。しかし、あまり長居しては両国に迷惑でしょう。素早く、確実に仕留めます。

 【UC:アドバンテージ・アンサー】(WIZ)を発動、隠れやすい森林に入り、対機甲狙撃銃《ビュッサン》を構えて狙撃姿勢をとります。敵が射程に入ったら〈スナイパー〉開始、〈貫通攻撃〉で破壊を試みます。もし一発受けてなお動くなら、間髪入れずに〈2回攻撃〉です。

 随分とバランスが悪い様子、傷を受ければ自壊は必至でしょう。クリスマスの花火は、少々派手になりそうです。

(機体搭乗/アドリブ連携等々全て歓迎です)



 ノア・クレムリィ(海駆ける鋼鉄の竜騎兵・f30572)は親衛海軍工廠製 MCC-041 汎用装甲竜騎士《ガンド》を操り森の中を進む。積もった雪をキャバリアで踏み潰し、枝葉に肩が触れて雪がどさりと落ちる。
 紫水晶のような瞳がモニター越しに積雪を映し、すぐに前を向いた。

「戦場で愛機や戦友と共に迎える、砲火が響くクリスマス。不思議な感覚ですが、悪いものではありませんね。祖国にいた頃を思い出します」

 戦争の最中に祝う聖夜。安らかさとは無縁の組み合わせでありながら、だからこそ深まる絆や想いがあるのだろう。

「しかし、あまり長居しては両国に迷惑でしょう。素早く、確実に仕留めます」

 浸っていた意識を切り替え、ノアは手早くコンソールを操作する。
 親衛海軍工廠製 RS-XSR41 試作対機甲狙撃銃《ビュッサン》を、設置した三脚砲架にセット。中央の道路に対し垂直に、側面を狙える位置に布陣した彼女は武装の安全装置を解除して初弾を装填する。
 手元の地図と、ガンドのモニターをノアは金髪を揺らしながら交互に見て、敵の予想進路と到達予定時間をもとに索敵すれば、すぐにパンジャンキャバリアを発見する。

「随分とバランスが悪い様子……傷を受ければ自壊は必至でしょう」

 左右にブレながら走る敵を見て、情報を更新しながらガンドを操作しビュッサンを構える。
 機体が算出する敵の到達予測位置に砲口を合わせる。自身の心音でタイミングを計り、パンジャンキャバリアが通る瞬間にトリガーを押し込む。

「……発射ッ!」

 マズルフラッシュが瞬き、砲弾が放たれ爆音が木々を揺らす。完璧なタイミングの射撃は、狙い通りにパンジャンキャバリアの片輪の軸を穿ち、バランスを崩した敵は回転しながら地面を滑って後続と衝突する。
 残りのパンジャンキャバリアが脅威に対し進路変更して突進するが、戦術的有利に地の利をも利用するノアに近づくことはできず撃ち抜かれていく。

「クリスマスの花火は、少々派手になりそうです」

 ゴロンゴロンとぶつかり積み上がるパンジャンキャバリア。最後にノアの狙撃で起爆され、派手にクリスマスを彩るのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リオ・ウィンディア
◆姉のシル(f03964)と同行
・アドリブ歓迎
シルねぇがいなかったらこない世界だったわね
自爆暴走ってかなりやばいキャバリアだけれども
あ、私は無傷で帰ります、多分

WIZ
自身に向かってくるキャバリアを生身で受けるよ
【楽器演奏、歌唱、呪詛】のこもった【早業】による情熱的なフラメンゴギター
「Bienvenidos!」
UC発動して、徹底的に、無機質は変換してあげる
だから言ったでしょう、私には当たらない
全部嵐に変換させてあげるね

シルねぇの射撃が敵に的確に当たるように嵐をコントロール
敵を狙いやすい方向へ操作

なんだかシルねぇがイキイキしてます
最近一緒に戦えなかったから、嬉しいなぁ
連れてきてくれてありがとうね♪


シル・ウィンディア
妹のリオ(f24250)と一緒に

わたし、旦那様がいるけど狙われる?

リオ、クロムキャバリアは初めてだっけ?
一つだけ誤解ないように言うと…
あれ(パンジャンドラム)はトンデモ兵器だから
キャバリアはあれじゃないからね?

スラスターの平面移動でリオの前に出ながら射撃戦っ!

まずはミサイルランチャーを撃って出方を見るよ
何体かは落とせるかもだけど
越えてきたものは
ガトリング・ビームランチャー・ツインキャノンの一斉発射で落としにかかるよ!

敵の攻撃は全力のオーラ防御
リオをカバーするように展開していくよ

…さ、それじゃ、お待たせしました
全力魔法の限界突破で
ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト!

直線状に並べて撃ち抜くっ!



 パンジャンキャバリアも半数近く破壊されたはずだが、勢いは衰えない。新たに突っ込んでくる一団を迎撃すべく、リオ・ウィンディア(黄泉の国民的スタア・f24250)とシル・ウィンディア(青き閃光の精霊術士・f03964)の姉妹も降り立った。
 シルは海色の髪を払い、妹のリオに話しかける。

「リオ、クロムキャバリアは初めてだっけ?」
「ええ、シルねぇがいなかったらこない世界だったわね」

 珍し気に好奇心を金の瞳に宿して周囲を見るリオは、ふと残骸と化したパンジャンキャバリアを見つける。

「自爆暴走って、かなりやばいキャバリアだけれども……」
「リオ」

 突進して諸共爆発。単純だがゆえに古くから存在する戦術だ。その恐ろしさは歴史を紐解けばよくわかる。それはそれとして、シルはサファイアのように透き通る、いや透き通り過ぎてちょっと虚無ってる瞳をリオに向けて、力強く告げた。

「一つだけ誤解ないように言うと……あれ(パンジャンドラム)はトンデモ兵器だから。キャバリアはあれじゃないからね?」
「……そうなの?」
「そうだよ」

 認識は正しておかねばならない。いろいろと。
 そうこうしているうちに、パンジャンキャバリアの一団が遠くに見えだした。シルは精霊機アルジェント・リーゼを召喚すると即座に乗り込み、妹の前に出る。リオもクラシックギター式魔楽器・アーケオプテリクスを取り出し構える。
 いざ、開戦。という段階で、ふとシルが呟く。

「わたし、旦那様がいるけど狙われる?」

 パンジャンキャバリアが猛加速した。目標はシル・ウィンディア。視認できそうなほど強烈な嫉妬を燃料に一致団結して突進である。必ずぶっ殺してやると幻聴がしそうだ。
 わぁ……と引いてる姉に同情しつつも、リオは無傷で帰れそうと思うのだった。

「と、とりあえずメテオール発射!」

 牽制も兼ねて肩部のミサイルランチャーを発射。複数の小型誘導ミサイルがパンジャンキャバリアを破壊するが、敵の数が多すぎて抑えきれない。
 ならばと次の兵装を構えるが、姉にばかり任せはしないとリオが前に出る。

「Bienvenidos!」

 情熱的なフラメンコギター。雪に解けそうな白い髪を踊らせ、新雪のような肌を昂揚させてリオは演奏する。
 素晴らしく聞き入りそうな音を奏でるが、しかしそれは呪詛のこもった闇の歌『Etapa de oscuridad(エタパ・デ・オスクリダ)』射程に入ったパンジャンキャバリアが尽く『呪詛』のこもった闇の音の嵐に変換されていく。

「徹底的に、全部嵐に変換させてあげるね」

 人形のような愛らしさと艶やかさに、死霊のような冷たさを混ぜて、リオはパンジャンキャバリアを嵐に変えて進路を絞る。
 嵐を迂回して来た敵に、シルが砲火を叩きこむ。

「ありがとう! プルウィア、ブラースク改、テンペスタ、一斉発射!」

 蜂の巣にして破壊し、複数纏めて撃ち抜き、車輪を砕いて転倒させる。姉妹の息の合った連携が、パンジャンキャバリアの集団を押し止めていく。

(なんだかシルねぇがイキイキしてます)

 演奏しながらリオは姉を見る。最近は一緒に戦えていなかった。だから、嬉しさがこみ上げて、満面の笑みで彼女は告げた。

「連れてきてくれてありがとうね♪」

 シルもまた、花咲く笑みで応じるのだ。

「どういたしまして♪……さ、それじゃ、お待たせしました」

 シルの内側から練り上げられ、高まる魔力が六芒星を描き、六つの属性に光輝く。
 準備万端な姉を見て、リオは嵐を解除。もとに戻ったパンジャンキャバリアが山のように積み上がり、無事な後続とぶつかって絡み合う。
 
「全力魔法の限界突破で、ヘキサドライブ・エレメンタル・ブラスト!!」

 虹色に輝く巨大な魔力砲撃が、パンジャンキャバリアの爆発すら掻き消し、クリスマスの空を飾るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【WIZ】
※アドリブ連携絡み大歓迎、ギャグ可
※愛機【ナインス・ライン】搭乗

何さ、この時期に第二次スーパーパンジャン大戦(SPW2)?
(第一次:『P-DAY of シミャーズ』1章)

とはいえ前より全然戦い易い環境だし
アタシの方も手数が大きく増えてるからね
聖夜のお楽しみを探す為にもサクッとキメるよ♪

背部コンテナからDA29号【ストレンジ】を展開
専用ランチャーでエネルギー式パンジャンドラム(EPD)連射っ
でも真正面から潰し合うだけじゃ面白くないよね?

だから【マトリクス・メモリ】で『ワープ発生源』構築
一部EPDを山側からの側方奇襲用に転移させて
(インフラ被害等を避ける形の)軽い雪崩に偽装しつつ殲滅さ♪


アメリア・バーナード
※アドリブ連携OK!
クリスマス休戦……か。悪くないわね。
何があっても現場の兵士は戦うしかないから、こういう機会って本当に貴重なのよね。
早いところ終わらせましょ。

ビッグモールに搭乗して正面に出るわね。
迫ってくる敵にRS-Aアームショットガンを乱射するわ。
人型キャバリアじゃないのね? ちょっと珍しいかも。
何にせよ中にパイロットが居ないなら、思いっきり撃ち込めるわね。

ジリ貧になってきたら戦場の真ん中に移動して無敵城砦を発動。
そのままデコイになって敵の攻撃を受け切るわ。
耐えられる……わよね?

ディスポーザブルアーマーはダメになった時点で排出しましょう。



 はらはらと雪がまばらに降り始めるころ、聖夜も半ばを過ぎてこれからといった時刻。アメリア・バーナード(掴空・f14050)は量産型キャバリア、ビッグモールに搭乗した状態で待機していた。

「クリスマス休戦……か。悪くないわね」

 戦場の鉄火場を潜り抜けてきたからだろうか、実感の籠った呟きがコックピット内を漂う。

「何があっても現場の兵士は戦うしかないから、こういう機会って本当に貴重なのよね」

 かく言うアメリアも、クリスマスにこうして戦場に出ているわけで。猟兵も兵士も、戦う仕事は大変である。
 と、モニターに通信のコールが届き、彼女は手早く繋ぐ。

「やぁ、仕込みはオッケーだ。そろそろ敵も来るよ」

 通信相手はリーゼロッテ・ローデンヴァルト(リリー先生って呼んでよ・f30386)、準備があると言って山に行ったのだが、戻ってきたらしい。
 アメリアは待機していた機体の心臓に火を入れて、立ち上がらせる。日の照り返す荒野に似た色の瞳は正面を向き、好戦的に微笑む。

「了解。早いところ終わらせましょ」

 リーゼロッテも同様に、乗機MPC-RW9r-LEX ナインス・ラインをビッグモールの隣に並ばせると、背部のコンテナを展開して構える。

「じゃ、手筈通りに。聖夜のお楽しみを探す為にもサクッとキメるよ♪」

 かくして、準備が整ったところで最後のパンジャンキャバリアの一団が姿を現す。時折跳ねながら突っ込んでくる異形の群れに、アメリアは機体を前進させていく。
 徐々に距離を詰めながら安全装置を解除し、散弾銃と化している武器腕を構える。

「人型キャバリアじゃないのね? ちょっと珍しいかも」
「何さ、この時期に第二次スーパーパンジャン大戦(SPW2)?」

 資料としては見ているが、やはり直接見ればインパクトが違う。一体誰が作ったのか、謎ばかり……いや第一次があったことが驚きだ。いつか第三次が起こっちゃうのだろうか。

「何にせよ中にパイロットが居ないなら、思いっきり撃ち込めるわね!」

 アメリアは珍し気に視つつも、指はトリガーを引く。異形の見た目に無人機である、破壊するのに躊躇は要らない。
 RS-Aアームショットガンが火を噴き、束ねられた徹甲弾が拡散、敵の装甲に食い込み、衝撃で弾き、怯ませ、損傷させる。
 攻撃を受けたパンジャンキャバリアは、アメリアとビッグモールを脅威と認定し、突進を開始するが、それを阻むのはリーゼロッテだ。

「DA29号【ストレンジ】を展開。EPD、連続投射っ」

 ナインス・ラインの背部コンテナからキャノン砲型射出機が2門展開。EPDもとい、エネルギー式パンジャンドラムが次々と空中に発射されていく。
 大地に着地したEPDはそのまま疾走。パンジャンキャバリアに立ち向かっていく。
 ここに世にも奇妙なパンジャン対パンジャンが実現した。

「でも真正面から潰し合うだけじゃ面白くないよね?」
「もう十分面妖じゃないかしら」

 アメリアの発言は華麗にスルーして指を弾いて鳴らすリーゼロッテ。すると戦場を挟んだ左右の山に、マトリクス・メモリを用いて事前に仕込んだワープ発生源が構築され、EPDが吐き出されていく。
 インフラ被害等を避けるための、調査と調整のために山に行っていたようで。軽い雪崩を起こしつつEPDが駆け下るが、インフラへの影響は無いだろう。
 三方から迫るエネルギー式パンジャンドラム。アメリアに集中していたため囲まれる形になったパンジャンキャバリア。まだ渦中にいるビッグモール。

「耐えられる……わよね?」
「計算通りならね」

 それとなく不安になるが、アメリアはユーベルコード『無敵城塞』により超防御モードに移行。
 策は成った。アメリアを中心にあらゆるパンジャンが集い、衝突しあって起爆。続々と誘爆を繰り返し、聖夜を彩るには少々派手過ぎる大花火が咲き誇った。いや、咲き過ぎてちょっとやり過ぎな気もするが。
 爆発が収まると、巻き上がる粉塵の中、ビッグモールが固定具を炸裂させて追加装甲EPディスポーザブルアーマーを排出。無事に出てきた。

「終わったのよね?」
「殲滅完了さ♪」

 ふぅ、と肩の力を抜く。
 こうしてクリスマス休戦は密かに守られた。誰にも知られず、猟兵によって。
 例え一時の平和とて、すぐに戦いは再開されるとしても……決して、無駄ではないのだから。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年12月28日


挿絵イラスト