●体は失い、心は狂い
「皆……どこ……どこなの……」
こっちだ、こっちだ。
「ねえ、僕も連れて行ってよ……」
こっちにいる。きちゃいけない。
「どうして僕だけ置いていこうとするの?」
お前だけは、お前だけが。
「ねえ、皆……」
キミたちが、私の夢海。
●それでも魂は穢されず
「皆さん、お疲れ様です……グリードオーシャンでの、依頼をします……」
アレクサンドラ・ヒュンディン(狗孤鈍狼・f25572)が集まった猟兵たちに頭を下げる。
「先日、ある船島がコンキスタドールの襲撃を受けて住民が皆殺しにされるという事件がありました。その際生き残りはいないと目されていたのですが、どうやら一人だけ助かった人がいたみたいです……」
アレクサンドラは一度猟兵をその船へと案内したが、それは死体漁りに来たコンキスタドールと猟書家を倒すため。予知には生存者の情報はなかったため完全に全滅したと思われていたが、そうではなかったらしい。
「ただその助かった理由というのがあまり喜べないものでして……海に落ちた際別の猟書家が作る特殊な海域に入り込んでしまったため、そのまま船上から隔離されたような状態になってしまったからのようなのです……」
襲撃はその猟書家が手引きしたのか、あるいはまた別の偶然でそこに居合わせただけなのかはわからない。ともあれ、別の不幸に飲まれることで不幸を逃れるという最悪の形で命を拾ってしまったらしい。
「猟書家の名は邪神『C』。邪神海域という自らの領域に船を誘い込み狂気に陥れることを喜びにする、その名の通りの邪神です……」
迷わせ、沈めることそれ自体を目的とする、海に住む者全ての敵。それが邪神『C』だ。
「邪神海域はCに合わせて移動します。それ故、放置すれば次はどこへ行って誰を飲み込むか予想もつきません。生存者の保護とCの討伐のため、皆様には邪神海域へと踏み込んでいただきます」
邪神海域があるということはそこに邪神『C』がいるということ。そこを乗り越えさえすれば、敵の元にたどり着くことができるのだ。
「邪神海域は狂気を誘う霧と水で満たされた海域で、正気を失わないまま正しいルートを進まないと抜けることは出来ません。生存者の方も今は狂気に囚われ、行く先を迷っている所です。ただ、これも幸か不幸か……殺された船の人たちの魂が彼の周囲を取り巻き、結果としてゴーストキャプテンの力を得てしまったようです……」
死者の声を聞くことで死者の力を借りるゴーストキャプテン。たった一人生き残った彼は、滅びた船全ての声を聞き、語る耳と口となってしまったということか。
「霊たちも何とか彼を邪神海域から連れ出そうとしていますが、彼らもまた狂気に侵されそれもままならない状態です。ですが、もし正気に戻れれば生身の存在よりも正確に正しいルートを見定めることができます……」
霊たちにとって生き残ったゴーストキャプテンは最後の希望。どうにかして彼を救おうとしている。
「攻略のための選択肢は三つ……一つは、彼にゴーストキャプテンとしての力を高めてもらい、霊たちを正しく使役してもらうこと。もう一つは霊の方に先に正気を取り戻させ、道案内をしてもらうこと。そして最後の一つは、彼に頼らず自力で海域を突破してしまうこと……好きなのを選んでください」
ただしどの手段を取るにせよ、時間と共に猟兵自身も狂気に侵されていく。何が最も己に適しているかを各々見極める必要があるだろう。
「突破できれば邪神『C』との決戦です。直接攻撃力はさほどでもありませんが、とにかく正気を削るような精神攻撃をかけてきます。戦いの最中ですら狂気や夢幻にのめり込むほどの精神汚染ですが……ゴーストキャプテンと幽霊たちが正気を取り戻していれば、彼らからも精神に働きかけ防衛を行ってくれます。頼んでみてはいかがでしょう……」
邪神『C』を倒さぬことには結局彼らとて邪神海域からは抜け出せぬのだ。協力は惜しまないだろう。
「邪神海域ギリギリまでは鉄甲船でお送りします。そこからは小さな船に乗り換えるか、自分で海を進む手段を持っている方はそれを使ってください。皆さんが無事帰ってくるのを、私は船の上でお待ちしています……」
万一を考え鉄甲船による邪神海域突入は出来ない。猟兵が海域を晴らしてくれることを祈りながら、アレクサンドラは鉄甲船を回頭させた。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。久しぶりに通常シナリオです。
今回のプレイングボーナスはこちら。
『プレイングボーナス(全章共通)……ゴーストキャプテンと協力する』
第一章では『邪神海域』を突破していただきます。霧に包まれたこの海域は、特定のルートを辿らない限り突破できない上時間が経つにつれ狂気に襲われていきます。この中で狂気に侵されながら彷徨っている幽霊とゴーストキャプテンがいるので、ゴーストキャプテンを正気に戻し力の使い方を教える、逆に霊の方に正気を取り戻させて案内させる、彼を引きずって自力で突破するなどお好みの方法をとってください。
第二章では猟書家『邪神『C』』とのボス戦です。直接戦闘よりも相手を狂気に染め上げる方法を好みます。ゴーストキャプテンと霊たちに頼めば良性の精神干渉を行い正気を守ってくれます。本来の目的や嗜好、大切な人の顔を思い出させたり、戦闘終了後の報酬やご褒美で気持ちを高ぶらせるなど色々考えてみてください。
以下ゴーストキャプテン詳細。
ディアーク・ガイスト(15歳、男) ダンピールのゴーストキャプテン×死霊術士
色白で真っ白な髪の細身の少年。滅ぼされた元ダークセイヴァーの戦艦島(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=38976 読む必要はなし)唯一の生き残り。元々はユーベルコードも使えない一般人だったが、強烈な体験と邪神海域への転落、島民の霊たちの支えによってゴーストキャプテンに覚醒する。
今は聞こえてくる声を追って邪神海域をうろうろしている状態。声の主はこちらも狂気に陥っている島民の霊のでたらめな導きと、邪神『C』の茶々入れ。
本来は素直な少年だが、事件のショックによってかなり情緒不安定。
ダンピールではあるが元のダークセイヴァーは知らず生粋のグリードオーシャン育ちなため、ヴァンパイアに対する知識や特別な感情は一切ない(両親もダンピールで『こういう種族』としか思っていない)。
それでは、正しい道を選び取るプレイングをお待ちしています。
第1章 冒険
『邪神海域を突破せよ』
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POW : 気合いでルートを総当りする / 情熱的に幽霊海賊達に呼びかける
SPD : 速度を活かし、高速で海域を突破する / 幽霊海賊達を正気に戻す
WIZ : 知恵を駆使して海域を突破する / 幽霊海賊の狂気を鎮める
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
霧深き海、まるで視界のきかないその洋上を右往左往する小さな影。
「そっち……そっちに行けばいいの?」
捉っていた板切れを押しまっすぐ進み。
「あぁ、待ってよ、僕を置いていかないで……!」
後ろを向いて手を離し、今までなかったはずの小舟に乗り込んで。
「そうか、そっちにいるんだね……分かった、今行くから……」
船から飛び降り、底の見えぬ海へ潜っていく。
何処かへ向かってはすぐにそれを忘れたように別の方向へ向かう白髪の少年。板も、船も、彼から離れた瞬間に掻き消えていた。
『こっちだ……こっちだ……』
そしてその声が導く方にはまた新しい何かが現れる。だがそれも、少年を正しい方向には決して連れていくことができない。
「早く、皆がいる方へ行って、ここから……」
『でなくていいのよ、ここは夢の海』
『違う、お前は、お前だけは……』
時折混ざる留めようとする声。それにすら素直に従ってしまう少年と、彼を導こうとして迷わせることしかできない声。
邪神海域に長くいた者は狂気に染め上げられて行く。それは強靭な精神を持つ猟兵すらも例外ではない。
だがこの狂気から捕らわれた者を救い出すこと、そしてこの狂気の主を倒すことは猟兵にしかできないことなのだ。
さあ、己に正気があるうちに、正しき道を選び邪神海域を乗り越えよ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
生存者がいたのですねぇ?
何とかしませんと。
『FAS』により飛行、[結界術]による『対狂気結界』を展開し、或る程度影響を軽減しましょう。
そして、ディアークさんに合流し【遷胡】を発動、『狂気』に含まれる『状態異常』としての性質を利用し私に移すことで、ディアークさんと幽霊さん達の『狂気』を軽減しますねぇ。
お話が出来る状況になれば、事情を説明した上で、『幽霊さん達の案内』も、彼らにディアークさんを教えて頂くことも可能ですぅ。
私自身は『加護』の力で『狂気』を『体型反動』に変換出来ますから、飛行しての移動は問題ありません。
途中の障害は強化した『攻撃回数』で排除、着実に進みましょう。
海賊の跋扈するグリードオーシャンでは、奪い合い、殺し合いは日常の事。ましてや七大海嘯が滅びてもコンキスタドールの跳梁止まぬ現状、それによって滅ぼされる島も当然のように存在する。
「生存者がいたのですねぇ? 何とかしませんと」
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もかつてそのような島に訪れたことがあったが、その生き残りがいると聞きこの邪神海域へとやって来た。
この海域内を満たす霧と水は全てを狂気に染め上げる。その中を狂気に耐える結界を張り飛行して進んでいくるこる。その状態でも、思考は少しずつぼやけていき、前後不覚に陥ってくる。防護策をとってこれなのだから、剥き出しでこの海域に投げ出された生存者の状態はどれほどか。
狂気に耐えつつ海域を飛び回るるこるの前に、同じ場所を回り続ける一人の少年が現れた。
「ああ、分かったよ、今そっちに行くから……」
何かに導かれる……あるいは惑わされるように動き回るその少年は、るこるが目の前に来てもまるで気づかず同じ行動をとり続ける。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『変幻の加護』をお与え下さいませ」
るこるは【豊乳女神の加護・遷胡】で少年の狂気を状態異常として自分に移した。その結果少年は無意味な動きを辞め、今気づいたとでもいうかのように彼女を方を見た。
「え、あ……あれ? あなた、は……?」
「気づきましたか? 私は猟兵です。あなたを救助に来ました」
少年……ディアーク・ガイストに自己紹介し、状況を説明するるこる。だがその間にも、彼女の体はすさまじい勢いで膨らんでいく。狂気を状態異常として体形膨張に変換しているが、邪神海域を満たす狂気はまさに無尽蔵。それを自分と相手、さらにはその周囲を取り巻く霊の分まで吸い込んだのだ。いつ限界が来てもおかしくはない。
だが一方でその凄まじい姿は相手を悲しみに浸らせる間も与えない。何よりもその姿を持って事の重大さと、彼の成すべきことをるこるはディアークに伝えた。
「僕が……ゴーストキャプテン……」
自分にその力が宿ったこと、それを理解した瞬間より鮮明に彼の耳に周囲の霊たちの声が届いた。
『お前が最後の希望だ』
『お前をここから連れ出したい』
『風上へ進め。狂気の元はそこにある』
こちらも狂気を取り除かれ、明確な先導ができるようになった霊たちの声。はっきりとそれを聞き取り、ディアークは目指すべき方向をるこるへ伝えた。
「分かりました、それではぁ」
絶え間なく膨らみ続ける巨体。それを彼の前に立ち、押し返そうとする風を自分でも遮るるこる。手を使わない兵装が幾度となく攻撃を繰り返し波をかき分け、道を作っていく。
『そっちにいってはだめ、辛い現実を見ることになる』
ディアークの耳にまた別の女の声が聞こえた。だが、彼はそれを黙殺する。これは自分を取り巻く仲間の声ではない。もっと奥の、狂気の根源から聞こえてくる声だと今ははっきりと分かっていた。幽霊船長はその甘言を無視し、本当に信ずべき者の声に従い風上を指す。
既にディアークの視界いっぱいを覆う球体の様になったるこる。その体は無限の狂気に作られたものだが、中の意思は未だ正気のまま。彼を導くため、その巨大な体を盾のようにしてゴーストキャプテンの示す方へ進みゆくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ホーク・スターゲイザー
ミラーと行動
アドリブ・絡みOK
浄化と属性攻撃による風を合せて邪気だけを取り除く浄化の風を起こす。
「この邪気に対抗できるにも猶予はない」
黄龍の霊器からも光の霊力を引き出して力に変換して結界術に転用するが長時間は難しい。
正気を取り戻すことに専念する。
ベアトリス・ミラー
ホークと行動
アドリブ・絡みOK
ゴーストキャプテンの少年と会って何とかできないか試してみましょう。
味方であると説明してみましょう。
なにがあったのか、それはこの目で見て終わらせたのでそのことは伝えるかは様子を見てからで。
魂は任せてこちらの方をなんとかして正気に戻せれば。
両者が正気に戻ればより心強い存在になると思われます。
広大な邪神海域。幸いにしてそこを彷徨うゴーストキャプテン、ディアーク・ガイストの所在は分かった。だが、彼もその使役する霊も力を得たばかりで未熟と呼ぶことすら憚られるレベルの存在。一度狂気から救い出されても、守りがなくなればまた容易に狂気に侵される。
「ゴーストキャプテンの少年と会って何とかできないか試してみましょう」
海域を抜けるまでは絶え間ない対処が必要だと、ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)は彼の元へと向かった。
「まっすぐ……風上へ……」
そこにいたのは、一度示された思考が固着されただ無暗に波に突っ込み続ける白髪の少年。彼の前に姿を見せて声をかけても、返事をすることはなくその目にはまるで何も見えていないかのようだ。
やはり常に狂気を払い続けていなければならない。ベアトリスと共に来たホーク・スターゲイザー(六天道子・f32751)は、浄化の力を風の属性に乗せあたりに吹き散らす。
風は霧を晴らして波をかき分け、二人はその隙に自分たちの乗ってきた船にディアークを引き上げた。
「あ、あ……僕、また……?」
自分が今まで狂気に捕らわれていたことを自覚したディアークは愕然とする。その彼に、ベアトリスはゆっくりと話しかけた。
「まずは落ち着いて。私たちは味方です」
彼を助けるため猟兵が動いているということを伝える。羅針盤戦争を乗り越えたこの世界ではすでに猟兵の名は各地に轟いているため、それは強い安心感となって彼の孤独な心を支えた。
その様子を見ながら、ベアトリスは言葉を選び続ける。
「あなたの故郷を見てきました。そしてそこに現れた者、それについては終わらせてきました」
滅ぼされたあの船島。そこの死体を漁りに来た者たちの撃退にはベアトリスとホークも参加していた。船の動力であり、また死者を辱める危険物ともなりかねないメガリスを奪われる事の阻止もその時に出来ている。大元となった襲撃者の正体は未だに分からないが、それの確認も含めて、ディアークの正気を保たせることと海域の奥にいる猟書家を問いただすことは必要だろう。
「この邪気に対抗できるにも猶予はない」
ゆっくりとディアークと話すベアトリスにホークが告げる。『黄龍の霊器』から光の力を引き出し周囲を照らし、それを結界として狂気の侵攻を防ぐがそれだけで万全とはとても思えない。
元より猟書家が己の領域として作り上げた場所なのだ、完全に遮断するなど如何に猟兵とはいえ不可能だろう。だからこそ、ホークは狂気の遮断に全ての力を注ぎ、ディアーク本人のケアはベアトリスに任せていた。
「わかりました。では、あなたを取り巻く霊たちはあなたの味方であることは分かりますね? ですが彼らもまた狂気に捕らわれてしまっています。そして今彼が言った通り、この狂気を私達だけで留めるには限界があります。ですので、霊たちを正気に戻すのはあなたにやっていただきたいのです」
たとえ悲劇の果て、望んでいない結果であったとしても彼はその力を得た。滅びた船島の者たちの霊を操るという一点に置いては、彼が誰よりも効果的になし得ることなのだ。魂は任せてこちらの方をなんとかして正気に戻せれば。そう考えベアトリスはディアークの心を保たせることに専念する。
「でも、どう、やれば……」
「身内だったのだろう。特別なことを言う必要はない。酔っぱらった知り合いに水をかけるくらいの気でやればいいんだ」
異常な狂気を打ち払うのは、取るに足りない平凡な日常。ホークに言われ、ディアークは自分の周りにいる霊に語り掛ける。
「どこに行けばいいの? ちゃんと言ってくれなきゃわからないよ。ほら、目を覚まして」
結界の中に放り込むように霊を操り、光に照らす。
『……ああ、すまない。無理に波に突っ込まなくてもいい。少し避けるくらいなら迷うことはないから、安全に行こう』
ディアークにだけ聞こえる声で、彼の中の霊が返事をした。それをディアークから聞き、猟兵たちは再び風上へと船を進めていく。
「長時間は難しい……だが、出来る限りは」
ホークはその道行が少しでも長く続くよう全力で狂気に抗い、ベアトリスもディアークに語り掛け、彼の理性を守ろうとする。
死の支配した場所で死を冒涜する者を倒した二人は、次は生と理性の冒涜者を討ち果たすため邪神海域を進むのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リオ・ウィンディア
生まれたてのゴーストキャプテン、ね
さて、先輩からの手解きといきましょうか
まずはしっかりと己を自覚すること
ディアークさんあなたは生身でまだ生きてるわ
そしてあなたが聞いている声は死者の声
よく聞き分けて
そして、よく心を通わせて
死者に対する【礼儀作法】なんだけれども、まぁ死んだことに対してきっちりと向き合うこと、割り切ること
私は死霊術師だから、利用させていただくけれども、共通目的があるからやってける、あと死者に対する敬愛
人生を生き切るってすごいことなの
だから、ディアークさん、あなたには生きて欲しい
今を生きて欲しい
死生観の狭間で揺れるかもしれないけれども、それは何よりも生きる糧になるものよ
滅びた戦艦島唯一の生き残り、ディアーク・ガイストは、経過はどうあれゴーストキャプテンの力を得ることとなった。彼はこれから生き続ける限り、否応なしにその力と共に生きていかなければならない。
「生まれたてのゴーストキャプテン、ね。さて、先輩からの手解きといきましょうか」
リオ・ウィンディア(黄泉の国民的スタア・f24250)は力を持ったばかりの少年の元へ、邪神海域を進み現れそう告げた。
「先……輩?」
突然現れた自分より年下の少女の言葉に戸惑うディアーク。だが、戸惑えるならまだその程度の理性は残っているということ。
「まずはしっかりと己を自覚すること。ディアークさんあなたは生身でまだ生きてるわ」
彼の意識が狂気に満たされ切る前に、その意識と力を確たるものにする必要がある。
「そしてあなたが聞いている声は死者の声。よく聞き分けて。そして、よく心を通わせて」
ゴーストキャプテン。その力の源は、死者の声を聞き、その力を使う所にある。それはリオの用いる死霊術と通じるところも多く、彼もまた補助的にとはいえその力も持っているはず。リオの言葉に従い、自身に囁き続ける声をじっと聞く。
『お前を先に』
『お前と先に』
『お前が生きていれば、お前の心に船は沈まない』
取り巻く霊たちは自分を支え、そして自分に縋ろうとする。それは支え合う、ある種対等な関係。だから。
『ここにいれば、ずっと声が聞こえる。見たいものも、見えてくる』
聞く価値のない邪魔者の声を聞き分け、無視することもできる。
「うん……分かった。僕が先で生きれば、皆も、消えない……」
死したる者の為に、自分ができること、すべきこと。それを理解したなら、後は術者としてどう向かい合うべきか。
「死者に対する【礼儀作法】なんだけれども、まぁ死んだことに対してきっちりと向き合うこと、割り切ること」
自身を取り巻く者の死、それを否定することはできない。何をしようと事実は覆らないし、眼を反らせばそれは相手を拒絶することにもつながる。
「私は死霊術師だから、利用させていただくけれども、共通目的があるからやってける、あと死者に対する敬愛」
そして、生者に対するのと同じように敬い、また同時に技術、業務的な対等な協力関係。
何ということはない。生きる相手と同じように接すればいいのだ。ましてや相手は少し前まで自分と同じ場所で同じように生きていた者。文化や慣習をすり合わせる必要すらない。
「ありがとう……皆、僕をこの先へ連れて行って。ここを出たら……その時考えよう。僕は生きるから、皆、その為に手を貸して」
リオに伝えられたことを実践するため、ディアークははっきりと周囲の霊たちに語り掛けた。その声は霊たちに確かに己を取り戻させ、狂気の霧を払い、波をかき分け、その先の道をはっきりと示させる。
その道を、リオとディアークを乗せた船はまっすぐ進んでいく。
「人生を生き切るってすごいことなの。だから、ディアークさん、あなたには生きて欲しい。今を生きて欲しい。死生観の狭間で揺れるかもしれないけれども、それは何よりも生きる糧になるものよ」
誰一人生き切ることができなかった戦艦島で、たった一人命を取り留めた少年。彼のこの先が平坦であるとはとても思えないし、死が身近にある生を送るということはそのはざまで常に揺れ続けることになる。
それでも、死を思うことは生を思うこと。何故なら自らがそうであるのだから。
喪服を纏い死骨を愛好する少女は、死者と共にあるものの先達としてその少年に対しそう思うのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『邪神『C』』
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POW : 奈落の海(良さそうなのを選んであげる)
自身が【敵や獲物とのやり取りを楽しんで】いる間、レベルm半径内の対象全てに【大海魔から溢れ出す暗澹たる瘴気の海】によるダメージか【代償に理性と正気を喪失する堕落の粘液の海】による治癒を与え続ける。
SPD : 快楽の楔(大丈夫、直ぐに快くなるから)
命中した【レベルの二乗kmまで届く奇怪な触手から】の【痛覚を持たない存在さえも感じる痛み】が【余人には理解できない悍ましい性癖】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ : 背徳の夢(うふふ、誰も咎めはしないわ)
攻撃が命中した対象に【術者の傍から離れ難くなる名状し難い衝動】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【夢を見ない存在さえも蹂躙する冒涜的な夢】による追加攻撃を与え続ける。
イラスト:moric
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「黒玻璃・ミコ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
死者の導に従い進んでいくと、やがて霧が薄くなってくる。
海域を抜けた、そう思われた瞬間、薄くなった霧と波の間にうねる大きな影が現れた。
「ああ残念、可愛そうな人。狂えば何も分からない、何も知らないまま沈んで行けたのに」
そう言うのは水着姿の痩身の少女。その目は大きく見開かれ、口は三日月のような形を作って笑っている。
そしてその体を乗せているのは、黒い体を持った巨大な烏賊のような化け物。その怪物もまた、人のような眼をぎょろつかせて来訪者の方を見ている。
「その声……僕たちを邪魔してきたのは君か?」
ディアークが少女を見据えていう。狂気の中にあっても自分を導こうとした霊たちの声の中、それを邪魔するように紛れ込んだ知らない声。猟兵たちの力添えによってそれを聞き分けられるようになった彼は、その耳障りな声をよく覚えていた。
「うふふ、僕たちなんて、すっかり一端のゴーストキャプテン気取り。折角かわいそうなあなたを幸せに沈めてあげようと思ったのに。そんな弱い力で生きていても苦しいだけ」
彼の身の上を知っているらしき少女が嘲るように笑い、それに合わせ烏賊のほうも嫌らしく目を細める。
「ああ、ああ、彼を残酷な現実に引きずり出したとっても悪い人たちがいるのね。私は神様だから、そんな人たちに罰を与えてあげましょう。狂うくらいに、気持ちよくて、悍ましい罰を」
神の名乗りの通り、彼女は邪神『C』。この邪神海域を作り出した猟書家である。少女と烏賊、どちらが本体というわけではない。二つ合わせて邪神『C』なのだ。
烏賊の触手、少女の言葉が心に不気味な衝動を起こさせる。それはディアークを容易く飲み込もうとするが、彼を守ろうとする霊たちが内側からそれを押し返し正気を保たせている。
「僕は、戦えない……でも、僕が生きるために、あの人たちを……」
自身の心を守る霊たちに、自身の体を守れる者を助けるよう命じるディアーク。
ここが狂気の海の中心だ。猟兵よ、海を汚染する狂気を払い、邪神『C』を討伐せよ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
或る種の幸せでは有るのでしょうが、望まない人にまで押し付けるのは許容出来ませんねぇ。
【炳輦】を発動し『防護結界』を形成、ディアークさんを内部で守ると共に、彼の援護をお願いしましょう。
更に『FMS』のバリアと[結界術]による『耐狂気結界』を重ね、『海』による攻撃は『速度』と『瞬間移動』で回避すれば、相手の攻撃は大きく防げますぅ。
後は『時空切断の嵐』に『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FBS』の斬撃、『FDS』の[爆撃]と『FGS』の重力波による[重量攻撃]も重ね、一気に叩きますねぇ。
攻撃開始後は『爆音』も有り『会話』は難しいでしょうから、更に[追撃]を重ねて押込みますぅ。
邪神海域を乗り越えた先、その大元となった邪神『C』。彼女は滅びた船のただ一人の生き残りを狂気に沈めることを幸せと称した。
「或る種の幸せでは有るのでしょうが、望まない人にまで押し付けるのは許容出来ませんねぇ」
その生き残り、ディアーク・ガイストと彼を取り巻く霊たちはその先へ行き、生き続けることを望んでいる。それを無視して狂気の海へと鎮めることはただの勝手な殺戮でしかない。そう宣言し、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はCに戦いを挑む。
「自分で選べないから私が選んであげるの。あなたにも、良さそうなのを選んであげる」
その前で、Cの体から暗澹たる瘴気が溢れ出しあたりを染め上げていく。それと同時に海水が粘性を増し、粘液の海へと変化した。それはまさに先ほどまで猟兵とディアークが進んできた邪神海域そのものであり、そしてその濃度は比較にならないほどに増している。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて典礼を捧げましょう」
それに対抗するため、るこるは【豊乳女神の加護・炳輦】を発動、防護結界にディアークを保護し、同時に彼からの援護を受けられるようにする。
「うふふ、それで身を守ったつもり?」
Cは嘲るように笑い、大海魔である烏賊の体を震わせて大きく瘴気を吐き出した。その瘴気は理性のみならず体をも直接侵し、傷つけるもの。気体という特性を生かして結界を乗り越え、呼吸と共に体内を破壊しようという陰湿な罠だ。
「ねえ、ほら、胸が苦しい? 喉が痛い? 大丈夫、私の海はとっても優しいの。甘くて、柔らかくて、あなたを包んでくれるわ」
ダメージがあったなら海へ入るようCが促す。その言葉自体には偽りはなく、彼女に汚染された海水は浸かる者の傷を癒す力を確かに持っていた。
だが、それは理性と正気を代償にする破滅の治癒。相手を殺さぬまま永遠に狂気に沈めるための、死より恐ろしいもう一つの罠だ。
それに誘うCに、るこるは答えを返す。それを語るのは言葉ではなく、浮遊兵装『FRS』『FSS』の砲撃と『FBS』の斬撃、『FDS』の爆撃と『FGS』の重力波。さらに時空切断の嵐を巻き起こすことによる、ありったけの攻撃によってCへの返答とした。
「うふふ、怖いのね? 怖いからそんなにむきになって攻撃してくるのね?」
並ならぬ攻撃に、烏賊の肌が炙られ触手が切り飛ばされる。なれど少女の方は語り掛けるのをやめない。
「ディアークさん、どうか」
「うん……皆、なんでもいい、話をして」
その語り掛けを無視するようにるこるはディアークに話を促し、彼もまた霊たちに応えるよう指示を出す。
『遥かなる昔、我らは船ではなく陸に暮らしていたという』
『我らはその時死することすら許されず、屍が朽ちるまで操られたという』
『我らがお前に憑いたのは必然だったのかもしれぬ』
語るのはまだ彼らがダークセイヴァーにいたころの暮らし。その昔話と共に、周囲の霧が薄れていく。
Cは遊びでずっと話しかけていたのではない。濃密な邪神海域の生成には対象とのやり取りが必要。そしてそれは友好的である必要はなく、拒絶や攻撃にまで範囲は及ぶ。
だから、ディアークの霊たちに心の中にまで話しかけさせ、相手とのやり取りを徹底的に遮断する。内容は何でもいい。心にすら相手の意思を届かせぬこと、それそのものが必要なのだ。
「うふふ、私も聞きたいわ。どうして……」
会話に割り込もうとするCの声を、るこるは大爆発を起こして遮る。そして一旦言葉が止まっても、なおも爆音は止めず滅多打ちに攻撃を続ける。
耳にも届かせず、相手の挙動にも反応しない。そして音を遮っても心を開けば霊とは語り合える。
つけ入る隙を破壊する猛攻の幕の中、るこるはディアークと共に霊たちの昔語りに心を傾け続けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リオ・ウィンディア
◆アドリブ絡み歓迎
あぁ、そんな強い力に溺れてしまってさちっぽけな優越感に浸ってるのね
あぁ、可哀想(棒読み
さて、その触手…なかなか素敵な容姿じゃない
結構私の好み
だから私もお気に入りで対抗しようと思うの
あなたが神様だっていうから
マルシュアスでキリエを【演奏・歌唱、浄化】してあげるわ
狂った神様に捧げるのってどうなるの?
少なくとも正常とはあなたにとっての【呪詛、恐怖を与える】になることでしょう
【第六感】で攻撃を避ける
当たればなんてことはないわね
さぁ、UC発動
飛翔力スピードを活かして一気に肉薄
【2回攻撃、早業】
喪服姿は私の舞台衣装
この姿も私の希望
死と生は隣り合わせ
似たもの同士
決して仲悪いわけじゃないのよ
邪神『C』は自らの海域に捕らえたものを狂わせ、沈めることを愉悦としている。そして同時に海域の中を狂気で満たし、そこで狂う相手に嘲るように囁きかけることも彼女は楽しんでいた。
「あぁ、そんな強い力に溺れてしまってさちっぽけな優越感に浸ってるのね。あぁ、可哀想」
その彼女の行為をリオ・ウィンディア(黄泉の国民的スタア・f24250)は、おおよそ感情の籠らぬ棒読みで否定した。Cが本心では哀れみなどなくただ犠牲者を弄ぶことを楽しんでいるのと同じように、彼女もまたCに対して可哀想などという感情は微塵も持ってはいなかった。
「優越感? そうね、この海は私の海。私は海の神様だから、この海に落ちたもの全てを包んであげるのが私の役目」
その言葉をCは否定せず、己の領域に入った者は全て自分の物、自分の玩具であるかのよう言う。それは自身が狂気を齎す側であり、圧倒的、超越的存在であるということの絶対の自信の表れか。
なれど、相手を玩弄せんとするはリオとて同じこと。その目は狂気じみた笑いを浮かべる少女ではなく、暗い色をした触手生物の方へと向けられていた。
「さて、その触手……なかなか素敵な容姿じゃない。結構私の好み。だから私もお気に入りで対抗しようと思うの」
猟書家なる存在には大いに興味がある。リオが見せるのは、大海原に持ち出すには似つかわしくない手回しオルガン。そこから奏でられるのは、哀れみを誘うようなミサ曲。
「その哀れみは誰のため? 私にはいらないわ、私は今のままで満たされているの」
その演奏を止めるかのように、大海魔が触手を振り回す。その触手を船を操り器用に避けながら、リオはなおもキリエを奏で続ける。
「あなたが神様だっていうから。でも狂った神様に捧げるのってどうなるの? 少なくとも正常とはあなたにとっての呪詛、恐怖になることでしょう」
狂気とは別の形の正気。それを正しいとする者にとっては賛歌は惨禍に、癒しは卑しに、そして祝いは呪いに。まさに意志ある者を狂気に乱さんとしたCにそっくりそれを返すかの如く、彼女のいやがりそうな讃美歌を演奏し続けた。
「当たればなんてことはないわね。さぁ、次の歌を」
リオが邪神に捧げる次の歌。それは。
「この大空を駆け抜ける勇気を、この手に希望を。この背に翼を! 私はどこまでも怯まない!」
真っ黒な喪服姿から白き両翼をもつ白き衣へと変じ、その【翼に追い風を】受けたかの如くリオは飛翔した。そしてオルガンの底から暗器のダガーを抜き放ち、一瞬にしてCの眼前へと詰め寄っていく。
「翼も、勇気も、希望もいらない。ただここにいるだけで夢は見られるわ」
触手を振り回しリオを叩き落とそうとするC。その言葉通り、その触手に打ち据えられれば精神、知性、魂、あるいは生物ではない死んだ脳や電子頭脳さえ侵食する冒涜的な夢に捕らわれることとなろう。
されどリオはその触手を掻い潜り、睡蓮の名を持つ刃で触手を切り落とし、忘我の実の名の刃で少女を切り裂いた。単純な殴り合いに置いて、Cの実力は猟書家としては低い部類に入る。攻撃を命中させねば使えぬ夢を与えるため、彼女は言を弄し、出会った者全てに狂気を振りまいてその動きを鈍らせるのだ。
追い風に心を震わされた翼の少女が、鋭く、素早く邪神を切り裂く。死に寄り添うかの如き彼女がまるで反転したようなその姿を、ディアークは何もできずにただ見つめていた。
「喪服姿は私の舞台衣装。この姿も私の希望」
その視線に気づいたか、うねる触手の間を掻い潜りながらリオが告げる。
「死と生は隣り合わせ、似たもの同士。決して仲悪いわけじゃないのよ」
彼もまた、死と共に生きていくことになる定めを負った者。されどそれは死を乞うでもまた遠ざけるでもなく、不可分な生をただ生きるのみであるというだけのこと。
死と共にあるが故の輝かしき生と希望に満ちた姿。その姿で、リオは先なき狂気を切り伏せていく。その姿、その戦いを持って、リオは死者と共にある先達としての教えを死と生き始めた若者に示すのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘×
グロ×
WIZ
幸福な夢の中で永遠の眠りに……
残念ですが、彼ら人間は生きる為に手段を選ばぬ生物。
神の慈悲が分かるほど利口ではないのです
守護霊の【ドーピング】で戦闘力増強。
強化した【念動力】で操るピスティス・ブラスターが
無数の【残像】で相手を包囲し
四方八方から【レーザー射撃・乱れ撃ち】
籠められた媚毒の【呪詛】で心身を快楽に染めて動きを鈍らせ
『挽歌・土蜘蛛魂縛陣』で【捕縛】
霊気の糸は相手のUCを封じる上に物理無効。
力での切断や粘液のぬめりでの脱出も不可
私はオブリビオンに永遠の救済を齎す神。
貴女の優しさには私が報います
UCでなくなった粘液をローションに
少女の全身を【慰め・生命力吸収】
寿命消費も相殺
どこまで本気かは分からぬが、狂わせ、沈めることを救いと称する邪神『C』。だがディアーク、そして彼の使役する霊たちはそれを拒絶した。例え行く先が苦難に満ちたものであろうとも、彼らは生き続けること、そしてそれを支え続けることを選択した。
「幸福な夢の中で永遠の眠りに……残念ですが、彼ら人間は生きる為に手段を選ばぬ生物。神の慈悲が分かるほど利口ではないのです」
ドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)はその姿勢を否定しつつも、己の体に守護霊を宿し周囲に髑髏を浮かべてCの前に立った。
「あらそう。ならばあなたは私の救いを受け入れるのね?」
その言葉を試してやるとでも言わんばかりに、Cはドゥルールに向けてゆっくりと触手を伸ばす。その触手は、髑髏から撃ちだされる光線で弾かれた。
「ああ、やはりそうはいっていても怖いのね。大丈夫よ。うふふ、誰も咎めはしないわ」
ならば本気だとばかりに、今度は複数の触手を早く動かし髑髏を叩き落とそうとするC。だが触手を叩きつけられたその髑髏は即座に掻き消え、そしてまた別の場所に現れた。
そこから光線を放つ髑髏を、その光線を浴びながらもCは強引に触手で殴りつける。だがその一撃はやはり空を切り、そしてまた別の場所へ髑髏が現れた。
種としては何のことはない、強化された念動力で髑髏を高速で動かし、残像を発生させながら多面攻撃をかけているだけのこと。だがCの戦闘力それそのものは決して高くないこともあり、長い職種でもそのスピードにはついていけていない。
「ああ、ふふ、あなたもそうしたいのね。私の真似?」
そしてその呪詛は、これもドゥルールが得意とする快楽の呪詛。体に走るその感覚をC自身は好ましく思いながらも、己が狂気と快感の邪神であるが故か、はたまた烏賊も含めた巨体ゆえ毒の周りは遅いのか、忘我に至るようなことはない。そして与えるのは自分であるというように、今度はドゥルール自身へと触手を向けた。
自身に注視し、そして触手が届くまでの僅かな間。その時こそがドゥルールが待った時間でもあった。
『巡り合う盟友、死して冥友』
『永劫なる契約(くさり)と抱擁(ぬくもり)の儘に』
詠唱に重なる声と共に現れたのは、片腕に巨大な篭手を着けた学生服の少女。だがその姿は、Cすらも超える程の冷たさと恐ろしさをはらんでいるようにも見える。
その少女が放った白い糸を触手で受け止めようとするが、まるで実体がないかの如く糸は触手をすり抜け、それでいてCの体を戒めた。
【挽歌・土蜘蛛魂縛陣】、かつて滅ぼされ15年の時を経て再び己が一族の覇権を窺う女王の切れぬ糸。
「ああ恐ろしい、恐ろしいわ。なんて執念なの。そんなもの、狂って忘れてしまえばいいのに」
その糸をCは殴りつけ、夢を見ぬ者すら魘される悪夢の世界に落とそうとする。だが、ユーベルコードであるその狂気は糸に巻かれた時点で封じられた。最早弱い力でもがくだけとなったCの少女部分に、ドゥルールは身を寄せる。
「私はオブリビオンに永遠の救済を齎す神。貴女の優しさには私が報います」
Cが嘲笑まじりに言った狂気の中の救済、それをドゥルールは愛と快楽に変えて実現せんとCを抱き寄せる。
「救済? 私はいらないわ、私はこの海の中に全てを……」
そう言うCの体に、烏賊の体から粘液をすくいあげそれを潤滑油に自分の体を擦り付けるドゥルール。そうして少女の体から生命力を吸い上げ、土蜘蛛の女王の力によって失った命を補填する。
「私の力を満たすのね? 内側から狂いたいのね?」
邪神の力を吸ってただで済むと思うな、狂気の技を封じられながらもCの弁舌だけは止まらない。
言葉通り封印効果が切れた後狂気の力が暴れ出すのか、それとも女王の糸にくるまれた者のように新たな存在へと変じるのか。その答えは、まだ狂気の海の向こうであった。
成功
🔵🔵🔴
ベアトリス・ミラー
ホークと行動
アドリブ・絡みOK
あの邪神を倒して終わりにしましょう。
瘴気からディアークさんたちを護りつつ援護してもらいましょう。
対抗するには浄化できる結界術を使える戦女神であるアフロディーテを創り出しサポートに回しましょう。
いままで使う機会が無かったのですが熾天使の眼差しをここで。
どれくらいの威力があるか分かりませんが相手の状態によっては倒せるかも?
ホーク・スターゲイザー
ミラーと行動
アドリブ・絡みOK
ダッシュと魔力による縮地で移動や回避をしつつ攻撃を仕掛ける。
明宵の明星を抜いて斬っては距離を取りを繰り返す。
動きにフェイントを混ぜて空振りを誘うなどより攻撃の機会を増やせるようにする。
「吾が生や涯り有りて、而して知や涯り無し。無為自然」
黄金の刀に形成した黄龍の霊器に切り替えそこから流れる様に片刃の双剣や薙刀、紫電で出来た鞭を振う。
ミラーの動きを見て敵の注意をこちらに引きつける役に回る。
言葉を弄し、海を粘液で、宙を霧で染め上げ狂気の世界へと変えた邪神『C』。その恐るべき存在はまさに海の全ての敵と言えるもの。それを前にした時、通常の者ならばどうすべきかすら分からず狂気の海へと沈められてしまうことだろう。
だが、冷静さを失わなければ何をすればいいかは明確に見えてくる。
「あの邪神を倒して終わりにしましょう」
そのたった一つ為すべきこと。それをベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)は力強く告げた。
その答えが分かっている限り、行動を迷うことはない。そしてその答えを見失わせることこそ敵の本領、それもまたはっきりしていることだ。
「これが私の力です」
その狂気の大元から守るべきを守るべく、ベアトリスは【神世創造】を使い浄化の女神アフロディーテを想像から創造する。
アフロディーテは指示通りに結界を張り、ゴーストキャプテンのディアーク・ガイストをその中に匿い、内側の空気を水を浄化し正常な空間に変えた。
「うふふ、そんなちっぽけな海があなたの世界なの? そんなところに閉じこもるなら、狂気の海に抱かれた方がずっと幸せよ」
Cの言う通り、結界に包まれた海は邪神海域に比べれば泉ほどに小さい。いかに狂気を防いだとて、その中に留まり続けるだけでは何にもならないのは本当だろう。
「いつ出ないと言った」
そして、そこに居続けるつもりなど誰にもなかった。ホーク・スターゲイザー(六天道子・f32751)は結界の外、邪神『C』の本体へと向けて水上をかけるが如き縮地で一瞬にして詰め寄った。
そのまま『明宵の明星』を抜いては切りつけ、そのまま一度距離を取っては再度接近してまた切りつける。光速の連続攻撃がCの体を切り刻むが、それに構わずCは大量の触手を持ち上げホークを捕らえにかかった。
「うふふ、この痛み、あなたに返してあげる。大丈夫、直ぐに快くなるから」
その触手が一気にホークへと殺到し、その身を戒め、突き刺そうとする。それらは大海魔から分泌される粘液に濡れており、内部からそれに侵されれば痛覚などないものさえ痛み、そしてそれを変換した快楽を注ぎ込み狂気に落とされることだろう。
狂気の直打ち、それは何としてでも避けねばならない。だが結界の外に出ていることでホークは周囲の満ちる邪神海域の狂気に外からも侵食されている。その証拠に意識は揺らぎ、混ぜようとするフェイントの動きがそのまま行き過ぎてしまうなどの彼らしからぬミスが目立つようになってきていた。
「援護して貰いましょう。その為の結界でもあります」
彼の様子を見ながら、ベアトリスはディアークへ視線を向けた。それを受け、彼は一度頷くと自身を取り巻く霊たちをホークの守りへ差し向ける。
「お願いだ、あの人を守って」
その言葉を受け、霊たちはホークの周りを取り巻き、彼を取り巻く霧と水をかき分けた。使役するディアーク自身が結界の中で浄化され続けることで、霊たちの汚染も軽度にする。そしてその霊が狂気の影響を押しのけることで、ホークの動きには鋭さが戻った。
「吾が生や涯り有りて、而して知や涯り無し。無為自然」
再び一気に距離を詰め、【因果律超越勘】で無数の触手の僅かな隙間を縫って繰り出される黄金の刀の一閃。さらにその『黄龍の霊器』を双剣に切り替えて大海魔の触手を連続で切り裂き、その悍ましい動きを止めていく。
「ああ酷い、なんてことをするのかしら」
それでも少女の方は余裕の口調を崩さない。芯からの感情を見せれば相手に自分を悟られ、それは正気を呼び起こしてしまう。自身の弱点を知るCは決してそれを見せぬよう振舞うが、姿勢を保つことで感情を左右する戦法は想像の力を駆使するベアトリスも使い、使われることの多いもの。
「いままで使う機会が無かったのですが」
ベアトリスの手にあるのは小型照射機『熾天使の眼差し』。新たなその武器を十全に使うには手順を明確にすることが不可欠。それを構えたのを見て、ホークは武器を鞭に変え少女の方を縛り上げる。
「ああ、痛い、痛いわ……うふふ、こういうの、好きなのね……」
縛られながらCはホークに笑いかけるが、この期に及んでそのようなパフォーマンスに効果はない。むしろ彼に語り掛けることで攻撃の準備をしているはずのベアトリスからすら意識を反らすという致命的な隙を曝すことにすらなる。あるいは少女と烏賊という体の二つあるCならばそれも隙にはならないのかもしれなかったが、生憎と烏賊の触手は全て切断済みだ。
「どれくらいの威力があるか分かりませんが……」
威力の確保のため、結界を出てCへと近づく。そしてベアトリスにもディアークの霊が取り付き、その身を狂気から守った。彼を結界の中に閉じ込めたのはただ守るためだけではない。その中からもう一つの守りを外に放つ、大事な戦力とするため。
全ては計算の内。理性と正気の上に積み上げられた一射が、熾天使の眼差しから放たれた。
「光で照らしても、影ができるだけ……暗い海の底で、私はいつでも、待っているわ……」
その光の中、笑顔を浮かべたままCは消滅した。見開かれた大海魔の目と変わることなかった少女の笑顔、どちらがその本心かは最早知る術はなかった。
Cの消滅に伴い、霧は晴れ海も元に戻る。邪神海域は消滅し、そこにはただ青く広い大海がどこまでも広がるだけであった。
「戻るぞ」
ホークがディアークに声をかけ、元来た方向へ船を進める。どこへ、故郷を失った彼にはそれさえも酷な言葉かもしれないと、ベアトリスはその一言も飲み込んだ。
だが戻る場所はなくとも、進む先はある。正気を保って顔を上げている限り、その向く先が前になるのだから。
大成功
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