【サポート優先】アカリのヒロアス紀行・汚染編
これはサポート参加者を優先的に採用するシナリオです(通常参加者を採用する場合もあります)
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ヒーローズアース、そこには「知られざる文明」というものがある。海洋都市、宇宙基地、地下世界……SF小説に幾度となく描かれた世界が地球のそこかしこに実在する、それが英雄の世界のもう一つの顔だ。
その世界はアースクライシスで侵略を受け、戦場となることで地上の人々の前にその姿を露にした。結果としてどの文明も深く傷ついたが、戦乱を乗り越えた世界は共に手を取り合い復興への道を歩み始めた。皮肉にも悪が起こした大戦が文明同士の絆を深く繋いだのだ。
それから二年、今知られざる文明はどうなっているのか……
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「つーわけで、戦争終結から二年したんで改めて知られざる文明について勉強してみたっす」
そう言うのはミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)のボディの一人、アカリ・ゴールド。ヒーローズアース出身でありアースクライシスを機にミルケンのボディとなった彼女だが、その時までは一般人であったこともあり知られざる文明に詳しいとは言えなかった。
知られざる文明との交流促進のための予知を積極的に行い、付け焼刃ながら知識を増やしたアカリ。そして各世界の今が分かったなら次はそれを脅かす相手について知らねばならない。
「ヒーローズアースは猟書家が侵攻してる世界なんすけど、知られざる文明にも各世界毎に猟書家が来てるっす」
倒された者もいるが、そういう所には後任が次々と発生している。ある種どの世界でも変わらない話だ。
「今回行ってもらうのはダストブロンクスっす。ここの担当は『ケイオス・スナーク』ってやつで自分の体から高濃度の汚染物質を出して凶悪なバイオモンスターを作り、それを喰らって『超生物スナークの創造』をしようとしてた奴っす。まあ、こいつはもう倒されてるんすけどね」
ダストブロンクスの汚染とバイオモンスター発生を人為的に起こし、それを糧に自らを『スナーク』にしようとしていた恐るべき粘液生命体であった。
「で、その力を受け継いだのが『ロンリーオンリー・リオ』ってヴィランっす。溺愛していた弟の死体と融合したら動き出したのをきっかけに、世界全てを一つにすれば幸福に満たされると考えて目に付く者全てと融合しようと考え始めた奴っす」
融合した者の能力を自在に操ることができるという。あるいは彼女ほどケイオス・スナークの跡目を継ぐに相応しい力と思想を持つ者もそういないだろう。
「こいつはダストブロンクスの下層で周囲の生命を汚染し無生物は腐食させる液体を撒き散らして周囲の生命を融合しようとしてるっす。下手に触れば猟兵でも同化されちゃうんすけど、ダストブロンクスの環境に慣れてるバイオモンスターの人ならこの液体に耐えられるっす。幸い開発推進派のバイオモンスターが協力してくれるので、この人に手伝ってもらってくださいっす」
汚染を力にしようとするケイオス・スナークとその後継者は、ダストブロンクスに新しい空気を入れようとする者にとってはまさに大敵。喜んで協力を申し出てくれるだろう。
「この人の案内で最下層に行けば、まずは粘液に囚われリオの一部になった『呪法骸操士ネウィとデッドボディバタリオン』という巨大ゾンビとネクロマンサーが出てくるっす。ネウィは利用しようとしてリオに近づいたみたいだけど、融合されて自分が使われる側になっちゃったみたいっすね」
彼女自身半ば溶けたような姿となり、ゾンビがゾンビを使役するような状態になっているという。
「で、そいつを越えたらリオ本体との戦闘っす。汚染液を撒き散らしながら攻撃してくるんで、バイオモンスターの人に盾になって貰ったり喰らわない位置取りを教えて貰ったりしてうまくやってくださいっす」
蛇の道は蛇。毒を以て毒を制す。ダストブロンクスの為ならば文字通りの汚れ仕事も厭うまい。
「せっかく勉強したんだし、知られざる文明の発展や交流を邪魔されたくないっす。ヒーローズアース全体のためにも、皆さんどうかよろしくお願いしますっす!」
最後に体育会系らしく大声で言うと、アカリは地下迷宮へ猟兵たちを送り出した。
鳴声海矢
鳴声海矢です。個人的ヒーローズアース強化月間第二部。
『注意!』
今回はサポート優先シナリオとして、基本的にプレイングを各章少数しか募集していません。
なるべく早い完結を目標に、サポートフル活用、文字数少な目で執筆の予定です。
プレイングを頂いてもリプレイは非常に短くなります。送る場合はご了承の上でお願いします。
『プレイングボーナス(全章共通)……バイオモンスターと共に戦う、もしくは猟兵組織「秘密結社スナーク」の一員であると名乗る(敵がスナークの名の元に恐怖を集める企みを妨害します)』
第一章では『呪法骸操士ネウィとデッドボディバタリオン』との集団戦。多数のゾンビを一人のネクロマンサーが使役していますが、すでにボスに吸収されておりネウィ自身の意思は曖昧です。
第二章では『ヴィラン『ロンリーオンリー・リオ』』とのボス戦。融合した者たちの能力を使ってくる他、あらゆるものを汚染し吸収する汚染液をばらまいてきます。
敵の汚染物質には現地のバイオモンスターが盾になる、あるいは喰らわず接近する位置取りを教えてくれるので協力してください。以下詳細。
“ラッパ吹きの”ステントル バイオモンスターのミュータントヒーロー×白燐蟲使い(20歳、男) ダストブロンクスで生まれ育ったバイオモンスター。開発推進派で他文明との交流を持ってダストブロンクスの環境を少しでも改善したいと思っている。一方他文明の下に入らないよう力を見せることも必要と考え、時に威圧的な態度をあえてとることもあるが、本来は無意味な暴力は好まない(ただし無意味でなくなるラインは割と低め)。シルエットは逆三角体形の大男だが、実は多細胞生物化したラッパムシ。二つ名も本来はそこから来ている。
それでは、よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『呪法骸操士ネウィとデッドボディバタリオン』
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POW : ネクロマンサーズ・カウンターアタック
全身を【呪詛の瘴気】で覆い、自身が敵から受けた【ゾンビ軍団の損害】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : デッド・ストリーム・アタック
【巨人型ゾンビ兵の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のゾンビ兵達】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ : サクリファイス・エスケープ
【雑兵ゾンビを捨て駒にして】対象の攻撃を予想し、回避する。
イラスト:つばき
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
此処も大変なことになっておりますねぇ。
何とかやってみますぅ。
まずは『スナーク所属』を名乗りステントルさんに接触、協力をお願いしますねぇ。
『FAS』で飛行して移動しますので『汚染液の吹出す位置』を教えて頂けましたら。
交戦開始と共に【搾薢】を発動し『Lv本の蔓』を形成、ゾンビの群れやネウィさんを拘束しましょう。
倒さず拘束するなら、最小限の強化状態で妨害なく主を叩けますし、ネウィさん自身を狙った『蔓』で『瘴気』の存在を内側から吸収しても良いですぅ。
後は『FRS』『FSS』の[砲撃]に『FDS』の[爆撃]も併せ[範囲攻撃]、強化条件を満たし辛い様、主を中心に纏めて叩きますねぇ。
下水迷宮ダストブロンクス。そこはいわばニューヨーク地下全体に広がるスラムであり、危険が日常に満ちた世界だ。だがそんな世界でも、看過できぬ危険はある。猟書家『ケイオス・スナーク』とその後継者はその中の一つであった。
「此処も大変なことになっておりますねぇ。何とかやってみますぅ」
その発生の予知を受けた夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はダストブロンクスへ赴き、その対処への協力を依頼するため現地のものへと接触した。
「失礼します、“ラッパ吹きの”ステントルさんで?」
「あ? そうだが……ん? あんた……この前来なかったか?」
ダストブロンクス浅層にいたるこるより1メートル以上身長の高いコートの男。その男がグリモア猟兵から協力者として指名されていたバイオモンスター“ラッパ吹きの”ステントルであった。
「はい。今回は『スナーク所属』の猟兵として協力をお願いしに参りました」
「スナーク……何か知らんが、今回は面倒くさいことの解決に来たってことか?」
幸いにしてヒーローズアースは猟書家の跳梁は抑えられている方であり、スナークが恐怖の対象として広まることも防げている。元々荒事の多い場所柄か彼もすんなり話を飲み込み、依頼に従いるこるを下層へと案内した。
そして辿り着いたのは、ほとんど住民のいない下層の汚染領域。そこは異臭を放つ粘液がそこかしこから噴き出し、辺りを黒く染めていた。
「なんだ……ここまで汚くはなかったはずだが……」
そう言うステントルの前で粘液が盛り上がる。それは彼の身長すら遥かに超える巨大な人型となって立ち上がった。
「……なるほど、こういうことか」
汚物を媒介にしたオブリビオン発生。アースクライシスやそれ以前から度々あったことである。
「はい。下の方は何とかなりますので、上や横から液体が噴き出しそうな場所を教えて頂ければ」
そういってるこるは『FAS』で浮遊し、巨大な粘液ゾンビへと向かって行く。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『魔樹の加護』をお与え下さいませ」
【豊乳女神の加護・搾薢】を発動し、白い蔓を辺りにはりめぐらせる。それは粘液ゾンビたちを絡めとりその栄養を吸収し始めるが、元より組成が汚染物質のゾンビ、あまり吸収しない方がよさそうなものが蔓に入ってくる。
それを見越して拘束のみにとどめゾンビたちの間をすり抜けていくが、一体のゾンビの横を通り抜けた時にそれが崩れ、中から一人の少女が飛び出してきた。
「アアアアアハハハハハ、ワタシノ、ワタシノ、オモチャニナッテヨ! ネエ、リオチャン!」
体の半ばが溶け崩れた少女。『呪法骸操士ネウィとデッドボディバタリオン』の行動の核であるネウィの、猟書家後継者を利用しようとした成れの果ての姿だ。
ゾンビの被害に応じ強化されるその体はエネルギー吸収を抑えたことで強化具合は低いが、触れただけで彼女の仲間入りをさせられそうなその体は直接触れることをためらわせる。
一歩引きながら蔓を出しネウィも拘束しようとするが、そこにステントルからの警告が飛んだ。
「上のバルブが開けられてる、そこに行くな!」
とっさにさらにずれると、今までいた場所に大量の腐食粘液が落ちてきた。それがかかるだけで蔓の一部が腐ったのを見ると、まともに浴びればただでは済まないだろう。
遠距離から仕留めるべく、ネウィに再度蔓を絡め兵装を差し向け攻撃する。だが周囲からは拘束されなおゾンビたちは強引に攻めかかってこようとしていた。
「こいつで少し我慢しといてくれ」
そこにステントルが何かを投げつけてくる。それはるこるの体に取り付き、ゾンビに殴られるとその部分の汚液を逆に浸食しはじめた。
恐らくは浄化能力を持つラッパムシを【白燐奏甲】のように飛ばしたのだろう。拘束された弱い攻撃ならこれで当面は耐えられる。
「分かりました。それではぁ」
そのまま耐えられるうちにと一気にネウィを仕留めにかかるるこる。大量の兵装にいたぶられ、それでもなおネウィは笑いながら体を崩していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
満月・双葉(サポート)
敵の攻撃を別の敵に当たるようにするなど、攪乱して敵の自滅を誘い効率的に数を減らすなど知略を得意とする
攻撃は【野生の堪】で察知して避け、避け切れなかったものは痛覚を遮断し(【激痛耐性】)で痛みを無視して動く
戦闘における立ち位置は主戦力になりそうな人を見極め、その人が動きやすいようサポート
【読心術】で敵味方共に心理を読み、敵の隙は付け込み(深追いはしない)、味方の動揺は素早く鎮める
戦闘が円滑に進み、仕事を完遂させるためなら手段は問わない冷酷さを持つ
アリス・セカンドカラー(サポート)
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい♡
サポートとして狂言回し。あると嬉しい舞台装置、デウス・エクス・マーキナー。どんな混沌な状況も『その時不思議なことが起こった』で解決よ♡
シリアスパートなら神様っぽい何かが。
ギャグパートならタライの落下や爆発オチが。
お色気パートならT○L○VEる的ななんやかんやが。
KENNZENパートならKENNZENなアレやコレが。
純戦なら青春技能での学園ジュブナイル的なオサレバトルで。
事件を解決に導くでしょう。
ダストブロンクス、そこに明確な統治機構はない。同じ場所に住んでいるものが自然に寄り集まってコミュニティを作り、影響力のある者がリーダーとなる。場所によっては国の真似事をしている場所もあるが、あくまでそれは独自のルールを布いて勝手にそう言い張っている集落の一つというだけである。今回の他文明との交流、発展ですらあくまで望む者が多くいて、彼らがダストブロンクスの代表者の如く振舞っているに過ぎないのだ。
そんな世界だから、ここに明文化された法はない。暗黙のルール、共通認識に従って動いているだけであり、それすらも力のある者は平然と破り、塗り替える。
つまり、この世界に置いて排除されるべき絶対の『悪』など存在しないのだ。
「僕は希望を拒絶する」
だから人に類される者全てに敵せんとする満月・双葉(時に紡がれた人喰星・f01681)も、ここでは決して拒絶されない。
「汝が為したいように為すがよい♡」
そして、刹那の快楽を至上とし36世界全てからはみ出さんとするアリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗のケイオト艶魔少女・f05202)もまた。
その恐るべき狂気に、ネウィはゾンビたちを差し向ける。
「アハアハハハハハ、リオチャン、ワタシノゾンビニナッテヨ!」
彼女もまた最早自分が何を考えているのかも判然としてはいない。猟書家の力を持つ者を自らの傀儡としようとした挙句のこの姿。人の心を読んで自滅させてくれようとする双葉も、もはや狂いきったその心に利用価値はないと断ずる。
だが、何も考えていないということは動きは単調。少し立ち位置を変えれば勝手にゾンビは玉突き事故を起こし、そのまま腐りかけの体を崩れさせていく。
双葉はちらと隣のアリスを見る。彼女の視線はネウィだけに注がれており、しかもその目にあるのはどう見ても戦意ではなく情欲。
だがそれならば自分にとってはむしろ好都合。
「美しい物には毒がある、よ」
配下を自分に引き寄せ【美華呪】の炎で崩壊を誘い、守りのなくなったボスを叩かせるための『サポート』に双葉は徹した。
そうして曝け出されたネウィにアリスは平然と近寄っていく。敵の接近を、ネウィは崩れたゾンビの分だけ瘴気と汚水を纏い平然と待ち構えた。
「あると嬉しい舞台装置。ハッピーエンドを目指して物語をうまく回しましょう」
アリスの声に、裸体の女神が現れる。それはネウィの腐りかけの体を躊躇なく抱きしめ、その体を文字通りに『かき回した』。
ぐちゅぐちゅと湿った音を立てるネウィの体。それでかき回されているのは液状化しかけた肌や零れる臓腑。瘴気を浴びせ逆に生命を吸い取ろうとするが、女神はそれを一切位にかけない。
【デウス・エクス・マキーナー】は疑問を感じない限り無敵。己が36世界の外、上にあると確信するアリスにとって、たかが1世界のゴミ溜めで腐り果てた肉が抵抗し得るなど夢にも思わない。
自身も肌を曝し、ネウィに重なりその肉と『混ざり合う』アリス。それはネウィにとってはダメージでしかなく、苦悶に表情を歪ませる。
燃え落ちるゾンビの向こうのその姿に、双葉はなにも表情を変えない。ああ、やはり人は滅ぶべきだ。常考えているそれをただ思うだけで、何も特別なことはない。
腐肉の混ざる音が聞こえるダストブロンクス最奥に、正義も正気も一かけらもありはしなかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ノエル・フィッシャー(サポート)
『例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない』
・雑な扱いでもいいのでどんどん採用してくれると嬉しいな。
・【コミュ力】を有効活用出来そうな状況ならばそれを使うよ。なくても目的達成のために最善を尽くすよ。
・ユーベルコードは所持してるものからいい感じのを使うよ。
・他の猟兵との絡みも歓迎だよ。共闘するのなら、ボクは補助に回っても構わないよ。
・もし男なのか女なのか問われたら「見ての通り」と答えるよ。モニターの前のキミにも、ね。
・他の猟兵に迷惑をかける行為、公序良俗に反する行動はしないよ。
あとはお任せ。好きに使ってね。
厳・範(サポート)
長年の修行で誘惑に強いお爺です。
食べ物に制限はありません。
話し方は古風です。
亡き親友との約束(世界を守る)で、封神武侠界のみで活動していましたが、『仁獣』性質と親友の幻影の後押しで決意し、他世界でも活動し始めました。
「放っておけぬのよ」
動きとしては、主にサポートに回ります。
【使令法:~】では、麻雀牌を利用して、対象生物を呼び出します。
【豹貓】は睡魔を呼ぶ、【胡蜂】は恨みの毒(理由は秘密の設定にて)という感じです。
また、半人半獣もしくは本性の麒麟形態だと、背に人を乗せることがあります。
なお、武侠の血が騒ぐと足技が出ます。
依頼達成のためとはいえ公序良俗に反する行為はしません。
あとはお任せします。
自業自得とはいえ、猟書家後継に吸収され自らもその一部同然と化した呪法骸操士ネウィ。
「例え全ては救えずとも、誰一人として見捨てはしない」
例え悪たる相手だろうとも、腐りかけたその身を救うことに繋がるのならここに相手を討ち果たすべきであると、ノエル・フィッシャー(イケメン王子様・f19578)はネウィとゾンビたちへと向かい合う。
「これは、わしと親友の約束ごとよ」
そして厳・範(老當益壮・f32809)は、『世界』を守るという亡き親友との約束を果たすためここにあった。
その友が言う世界とは封神武侠界の事を指す故、本来はそこ以外で活動するつもりはなかった。だが仁獣としての性質と友の幻影に背を押されたことで決意を新たにした彼は、36倍に広がった『世界』を守ることとしたのだ。
「ネエリオチャン、ワタシヲダシテクレル? カワリヲアゲルカラ、ネエネエ!」
そのような二人の気高い意思、決意など腐り果てたその身に理解できるはずもない。叶わぬ望みを口走りながら、ネウィはゾンビを二人へと差し向けた。
「瑞獣たる意味を教えよう」
それに範は本来の姿たる黒麒麟となり、その口から焔を吐き出した。麒麟が戦うとき、その声は炎となって敵を焼くと行く。だがその燃える声を範は、まずは敵ではなく味方に焼かぬよう向けた。
「乗られるかね、王子殿」
「謹んで、瑞獣殿」
その誘いにノエルはひらりとその背に跨り自らの剣を抜いた。聖なる獣に跨る王子様。汚れた下水には余りにも似つかわしくないその姿に、後ろから見るステントルはまるで自分の方が場違いな存在になったかのようにすら錯覚してしまう。
「俺がなんか言っちゃまずいのかもしれないけどよ……こいつの液はあたりのパイプにも詰まってる。その綺麗な体を汚したくなきゃ配管は傷つけるなよ」
自分もまた廃液で変化したミュータントであるステントルの気おくれしたような言葉。それに二人は笑顔で頷くと、下水をはね駆け出した。
「アハハハハハ! ダシテ! コロシテヨ! アタシハリオチャンジャナインダ!」
傷つけられたことで結合が緩んでいるのか狂ったように言いながらゾンビをけしかけるネウィ。だがそれは、黒麒麟のたった一言に散らされた。
「去ね」
聖なる獣からのたった二文字の命令。その【声焔】が群がるゾンビたちを焼き清めていく。
ゾンビが崩れ、溢れた瘴気はネウィに纏われる。それは自らを守るためか、あるいは一つとなった存在を離さぬという猟書家後継の意思を自ら遂行してしまっているのか。
「駆け抜けてくれ。僕が切り離す」
「承知」
ノエルの頼みを受け、範が真っすぐにネウィに進んでいく。そしてそのスピードのまま横を駆け抜ける一瞬に。
「この想いが折れない限り――ボクは、無敵だぁぁぁぁ!!」
【光溢るる夢幻の剣】が、瘴気諸共ネウィの体を両断した。想いある限り無敵の剣に切り裂かれた体は、そのまま全ての結合が緩みどろどろの粘液になって崩れていく。
走り抜けた先で範が転回すると同時に、術者の魔力が切れた故かゾンビたちもまた粘液となって消えていった。
「感謝するぜ。こんな汚い場所のためによ」
「放っておけぬのよ」
「それに、まだお礼には早いね」
後ろの配管が破れ、ネウィだった粘液に継ぎ足されるようにさらなる汚液があふれ出る。そしてそこから立ち上がるのは、異形を背負った少女……
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『ヴィラン『ロンリーオンリー・リオ』』
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POW : ウィー・ニード・ユー
【孤独や寂しさ】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【髪に潜む数多の目玉】から、高命中力の【血肉を吸収する肉管】を飛ばす。
SPD : オーディナリー・マイ・ワールド
【融合した魔術師の力】を籠めた【林檎型の魔具から放たれる光】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【“一つ”になることへの嫌悪や恐怖心】のみを攻撃する。
WIZ : カム・アンダーン
【悪魔の如き角と翼を持つ、幼く凶暴な弟】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
イラスト:もりさわともひろ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「デュラン・ダグラス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
この方が主犯ですねぇ。
それでは、対処をしましょうかぁ。
『FMS』のバリアで全身を覆うと共に、【翰匱】を発動して『超重力結界』を纏い飛行しますねぇ。
『汚染液』も『物質』である以上『超重力』の影響は受けますので、これでの着弾が遅れている間に、『速度』を活かして範囲外まで退避すれば、対処可能でしょう。
『寂しさ』を起点とする能力も『加護』の発動で、常に『女神様の存在』を近くに感じられている以上、問題無く防げますぅ。
後は『超重力結界』で防ぎ辛い、上からの『廃液』への対処や助言をステントルさんにお願いした上で、可能な限り『反動』も許容した『激突』を繰返し、確実に叩いて参りましょう。
大量の粘液の中から立ち上がった少女が、冷たい無表情で来訪者たちの方を見る。
「こんにちは。リオ達と一つになりに来てくれたのですね。世界は一つになることで誰もが幸福になるのです。ケイオス・スナークさんはリオ達にそのための力を与えてくれました」
穏やかに、丁寧に話しかける少女。ケイオス・スナークが彼女を哀れんだり共感したとは思い難く、元々自分の能力や目的と合致した猟書家の力を継いだだけのことを都合よく解釈しているのだろう。
「この方が主犯ですねぇ。それでは、対処をしましょうかぁ」
そんな『ヴィラン『ロンリーオンリー・リオ』』に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は変わらぬ調子で向かう。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて唐櫃を捧げましょう」
【豊乳女神の加護・翰匱】で超重力結界を纏い突っ込んでいくるこる。だが、リオの纏う粘液は触れたものを全て同化吸収する。リオ本来の力と猟書家の力が合わさった結果か、その吸収力は他のオブリビオン……ネウィさえ自分の一部としてしまったほどだ。
「嬉しいです。リオ達と一つになりに来てくれるのですね」
その粘液を纏い、避けることもせず待ち受けるリオ。粘液を超重力でかき分けながらの体当たりと交差し、その体は大きく揺らいだ。
「ああ、あの人は、孤独を理解していません。一つになることを拒むのがどれだけ寂しいか、リオ達が教えてあげます」
体制が揺らいでかき分けられた髪の中から、無数の目玉がのぞく。これはかつてリオに吸収された者たちの目であり、それがまるで仲間を求めるかのようにじっとるこるを見つめた。
「別に、何も感じませんねぇ」
加護の力があることで己の使える女神を傍に感じ、孤独を防ぐるこる。元より激しい情動とは一部の例外除き無縁な気質であることもあり、感情を切っ掛けとする能力は通じ難い。
一方でこの場にいる他の者はそこまで不動の精神を持っているわけではない。それ故に、そちらの役目を与えることで余計な感情を抱かせないようにする。
「この力は上を塞ぎ辛いので、どうかそこを手伝ってくださいませぇ」
後ろに控えるステントルに、吸収粘液の対処を依頼するるこる。実際重力で強引にかき分けている関係上上から降ってくるものには無防備になりやすく、体当たりという攻撃手段から下手をすれば自分から粘液に突っ込んでいくことにもなりかねない。
「分かったよ。そこのガキ、悪いがお前のままごとに付き合ってるほどこっちは暇じゃねぇんだ!」
【バイオミック・オーバーロード】で巨大化し、体で天井を塞いで自身が屋根となるステントル。さらに怒りの感情で心を満たすことでリオが与えてくる孤独をも防ぎ、相手の手を封じる防壁となる。
そしてるこるは、体を膨れ上がらせながら何度となく前に向かって体当たりを繰り返した。
「どうして、一つになればそんなことしなくてもいいのに。あなたたちは真の幸福を知らないのですね。わかりました、いくらでも待ちましょう」
粘液をさらに体にまとい、体当たりを受け続けるリオ。彼女にとっては個が巨大化し続けるその姿は同化の幸福を知らぬ哀れなものにでも見えるのだろうか。
その気になればいつでも受け入れるとばかりに、体から粘液を滴らせ目玉から肉管をのたうたせて立ち続けるリオ。それにるこるはその機は永劫ないと、拒絶の体当たりをリオの体が崩れ落ちるまで何度でも叩き付けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
セシル・ローズキャット(サポート)
『神様なんていないわ』
『あなたみたいな人、嫌いよ。だからここで終わらせるの』
ヴァンパイアの父と修道女の母に大切に育てられた、ダンピールの少女です。
母が同じ人間に迫害されてきたため神を信じず人間嫌いな性格ですが、猟兵としての仕事には真剣に臨みます。
普段の口調はやや大人びた感じですが、親しみを覚えた仲間に対しては「ね、よ、なの、なの?」といった子供らしい口調で話します。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、依頼の成功を目指して積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはマスターさんにおまかせします!
オンリーロンリー・リオ。彼女はヴィランではあるものの、弟の死と融合による再生を機に世界を一つにするという幸福のための活動を始めた。そしてケイオス・スナークの力を継いだ彼女はその活動をより推し進め、超生物さえもその体から生み出すことさえできるようになった。
「世界が一つになればリオ達は神様にだってなれるんですよ」
「神様なんていないわ」
世界の全てを飲み込むことを夢見るリオの言葉を、セシル・ローズキャット(ダンピールの人形遣い・f09510)ははっきりと否定する。
「奇遇だな、俺もそう思う」
その言葉に、後ろからステントルも同意の意を示した。望まれず、望まずして生まれた彼にとっては創造主としての神などいて欲しくもないし、もしいたとしたら真っ先に殴りに行くことだろう。
あるいはリオもそのように神に捨てられた存在であり、それだからこそ神にも等しい存在になろうとしているのか。
だがどうであろうと、今のリオは猟兵として倒すべき敵。それを胸に向かい合うセシルを前に、リオは背に負う大切なものに優しく語り掛けた。
「ねえ、あの人たちに教えてあげてアンダーン。リオ達がどんなに幸せか」
その声に従うように、リオがずっと背負っていた悪魔のような異形の肉塊がもぞもぞと動き、リオから分離した。
「GYAAAAAAAAAA!!」
およそ人とは思えぬ声を上げ、その肉塊……リオの弟アンダーンが汚水を巻き上げ四つ足でセシルに猛進してきた。そのままボロボロの被膜の翼を広げて飛び掛かり、赤子にあるまじき牙だらけの口を開けての噛みつこうとするアンダーンをセシルは躱す。
「ああ、そういう……」
まるで知性を感じさせぬその動きにセシルはグリモア猟兵の言葉を思い出す。彼女は言っていた。弟はリオと融合したことで『動き出した』と。彼は人として『生き返った』わけではないのだ。
「やっぱり、神様なんていない、なれないのね」
諦めたような言葉を聞く様子もなく、アンダーンは再度セシルに飛び掛かる。その動きを、巨大な腕が掴んで止めた。
「独り言なら後にしな」
ステントルがアンダーンの頭を掴んで止めていた。だが小柄ながらアンダーンの力は強く、ステントルの腕を強引に捻じ曲げ、さらにそのまま引きちぎった。
「美味しい? そう、よかったね、アンダーン」
リオが愛おし気にちぎった腕を貪るアンダーンに言う。そのリオにまるで向こうを張るかの如く、冷たい口調でセシルはステントルに聞いた。
「じゃああなたに聞くわ。彼女たちは幸せだと思う?」
「知るかよ。俺には関係ねぇ」
ステントルがそう答えると、ちぎられた彼の腕が盛り上がり、再びその姿を現した。
「気が合いそう。今の私の役目はこれ。あなたにお願いするわ」
そのまま朗々と、神を、救いを、奇跡を否定する歌を歌うセシル。その歌を背にリオへと向かうステントルだが、まるで姉を守るかの如く……あるいは大きな獲物に食らいつくかの如く、その背にアンダーンが飛び掛かる。
「は、いい歌だなおい!」
背中を齧られ、破れた服から半透明の体が露になる。まるでゼリーのようにむしり取られるその肉体は、だが奪われる端から次々盛り上がって再生した。
【シンフォニック・キュア】の歌がステントルの肉体を再生し、負傷を無視してリオへと一直線に彼を向かわせていく。
「だめよ、あなたもリオ達と一緒になるのです」
吸収粘液を飛ばすが、ステントルの体にそれは効かない。そして彼を破壊できるアンダーンも、食う端からセシルの歌によって再生するその体を貪り続けて離れない。
猟兵ではあるが直接の戦闘力にはやや欠けるセシルが、猟兵でなくとも巨躯を誇り力は強いステントルをひたすら回復し攻撃を任せる役割分担。方向は違えど共に最低の環境を知り、神を信じぬ者同士、共感を原動力にする癒しの歌は互いにのみ作用し、リオ達には一切届くことはなかった。
「……お願い」
「了解だ。神様ごっこは二人だけでやってな!」
ステントルが自分を喰らうアンダーンを体の一部事引き剥がし、【ジェットミューテーション】の勢いを乗せてリオに叩きつけた。そのまま互いに潰れあい、下水に沈むリオ達。
「助かったぜ。女神様……とか呼んでほしいか?」
「やめて、悍ましい」
最後に抉れたステントルの背中が盛り上がり元に戻る。その姿を見て、セシルはこの下水でも自分の生まれた場所よりはよほど美しいと思うのであった。
成功
🔵🔵🔴
メイリン・コスモロード(サポート)
『一緒に頑張りましょうね。』
人間の竜騎士×黒騎士の女の子です。
普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「対人恐怖症(ワタシ、アナタ、デス、マス、デショウ、デスカ?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
人と話すのに慣れていなくて
「えっと……」とか「あの……」とか多様します。
戦闘ではドラゴンランスを使う事が多い。
その他、キャラの台詞はアドリブ等も歓迎です。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
レナ・ストリーム(サポート)
「そんなつまらないことしてないで、あたしと遊びましょうよ。
あたし?あたしは魔女のレナよ。レナちゃんって呼んでいいわよ。遊ばないならあなたの服装もっとよく見せて。その服の拘りはどんなとこなの?」
オシャレ魔女を目指している。色々と成長途中。
口調だけはいっぱしで、ペラペラとそりゃもう喋る。
魔女とは刹那的で楽しさを追求するべきものだと思っている。ので、そのように振る舞おうと努力中。
とはいえひどいことをするのは好きじゃないし、そんなことより皆のファッションが気になる。
味方だけじゃなく敵の服装にも興味津々。
ユーベルコードを使うのは楽しいので、積極的に使っていきたい。
他はお任せ。
シホ・エーデルワイス(サポート)
助太刀します!
人柄
普段は物静かで儚げな雰囲気ですが
戦闘時は仲間が活躍しやすい様
積極的に支援します
心情
仲間と力を合わせる事で
どんな困難にも乗り越えられると信じています
基本行動
味方や救助対象が危険に晒されたら身の危険を顧みず庇い
疲労を気にせず治療します
一見自殺行為に見える事もあるかもしれませんが
誰も悲しませたくないと思っており
UCや技能を駆使して生き残ろうとします
またUC【贖罪】により楽には死ねません
ですが
心配させない様
苦しくても明るく振る舞います
戦闘
味方がいれば回復と支援に専念します
攻撃は主に聖銃二丁を使用
戦後
オブリビオンに憎悪等は感じず
悪逆非道な敵でも倒したら
命を頂いた事に弔いの祈りを捧げます
ダストブロンクスの下層。日の光など望むべくもないその場所にあるのは、長きにわたり不法投棄され続けたあらゆる汚染物質の凝縮された粘液だまり。だがそこにはヒーローズアースの崩壊を企てる恐るべき猟書家が潜み、そしてそれが倒された後も世界全てを己と一つにせんとする者がそこで遺志を継いでいた。
「リオ達は世界を幸せにできます。大切なすべてと一つになれる永遠の幸福です」
リオはヴィランを名乗ってこそいるが、その行動理念はあくまで善意。だがそれは、相手の意思や多様性をすべて無視した独りよがりの善意でしかない。
「そんなつまらないことしてないで、あたしと遊びましょうよ。あたし? あたしは魔女のレナよ。レナちゃんって呼んでいいわよ。遊ばないならあなたの服装もっとよく見せて。その服の拘りはどんなとこなの?」
そんな自分だけの幸せに全てを巻き込もうとするリオに、レナ・ストリーム(魔女っ子・f34922)はぐいぐいと何の遠慮もなく迫っていった。
「うんうん、スタンダードな黒ドレスね。あたしもそういうのよく着てたわー。でもここはもうちょっとハジけてみない? それに弟君も、素っ裸じゃかわいそうだって! ここは赤肌に合わせて対照的にブルー系で決めてみるとかどう?」
姉弟の負った悲愴な運命や境遇などどうでもいい、ただ二人に似合うファッションを一緒に考えようと迫るレナにリオも流石に一瞬困惑するが、それも吸収してしまえば関係ないと粘液をレナに向けてぶちまけた。
「助太刀します!」
その粘液がかかる一瞬前、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)がその体を引っ張って粘液の直撃を避けさせる。
「お気持ちは分かります。でも、彼女たちを救う手立てはこれしか……」
シホもまた手が届く限りの存在は【助けたい】と思っている。だが、リオとその弟、そして吸収された者にとって救いとは即ちその身を滅ぼし、この世界から解放することに他ならないのだ。
「どうか安らかな眠りを……」
彼女たちが残酷な運命、孤独な幸福から解き放たれるよう、仲間と共に立ち向かわんとするシホ。
「一緒に頑張りましょうね」
メイリン・コスモロード(飛竜の鉾・f13235)もそのために力を貸そうと、二人の隣に立った。
対人恐怖症を患うメイリンにとって、全ての他者を己と同化させようとするリオの考えは理解できないが、同時に全てを己として受け入れられるその度量がある種羨ましくすらもある。
もし、彼女がもっと正しい道を歩めていたら。詮無い考えだと分かって入るが、想像せずにはいられなかった。
「あなたたちはたくさん、たくさん考えているのですね。大丈夫、リオ達と一緒になれば何も考えなくてよくなります。ねえ、アンダーン」
リオの呼びかけに、異形の肉体がその身から離れて少女達へと迫った。
「SHAAAAAAAA!!」
奇声を上げて飛び掛かるアンダーン。その早い動きを三人はめいめいに動いて回避する。その三人の中で、アンダーンはまずメイリンを追った。
「えっと……ごめんなさい、やはりこうしかできない……!」
開かれた大口にドラゴンランスを突っ込んで噛みつきを躱すメイリン。恐らく彼女を追ったのは、たまたま一番近かったとかその程度の理由だろう。だが実のところ三人の中ではメイリンが最も腕力に関しては強い。高い知能を持たず狂暴性と衝動に任せて攻めかかるアンダーン相手でも、メイリンは一切揺らぐことなく力比べを挑んで行けた。
「こちらも!」
その力比べに、シホは聖銃を撃ちかけることで横槍を入れる。仲間一人に全てを任せておけない。自らの危険も顧みないその行動に、アンダーンは槍から口を離しシホの方へと牙をむいた。
「弟君のプロデュースはあたしにまかせて。二人をお姉ちゃんを……ね」
さらにその前にレナが割って入り、シホとメイリンにリオへ向かうよう言う。その手には、アンダーンの肌と同じように赤いリンゴが。
「まずはこれでも食べて……それから、似合う服を考えよう? 君を美しく飾る服がきっとある」
そのリンゴを口に押し込むと、アンダーンはそれをうまそうにがりがりと食べ尽くした。それから程なくまるで眠るように目を閉じ、そしてそのまま動かなくなる。
「アンダーン!」
【ウィッチクラフト】の毒リンゴが、姉の一部となって動き続ける赤子を眠らせた。その姿に、リオは今までにないほどの嘆きと驚愕の表情となって叫ぶ。
「アンダーン! アンダーン! 起きて、起きてよぉぉぉぉ!!」
誰も悲しませたくないし、ひどいことはしたくない。それは三人ともに通じる思いであった。だが、今この一瞬だけでもそれをしなければ本当の終わりは迎えられない。
「竜の力よ、目覚めなさい!」
リオを再び弟に会わせるため、一秒も早く彼女を骸の海に送らねば。メイリンは113秒間だけの【飛竜の覚醒】をその身に纏い、その時間内に全てを決さんと限界以上の力を持ってリオに向かう。
「援護します!」
そのメイリンを、【華霞】儚きエーデルワイスの嵐で後押しするシホ。メイリンの後ろから吹き荒れる銀色のエーデルワイスがリオを取り巻きその感覚を鈍らせていく。
「誤魔化しにしかならなくても……」
それは相手の反撃や防御を阻むためであり、同時に視界を晦ませリオが弟の骸を少しでも見ずに済むようにするため。
その鈍った感覚の中でも、リオはたった一つ持つ、自分が弟を救う手段を懸命に撒き散らす。
「戻ってきてアンダーン。リオのところに!」
同化粘液を撒き散らし、弟を回収しようとするリオ。今まで自分を『リオ達』と呼んでいた彼女が自分の名だけを口にした。
「戻るんじゃねぇよ、お前が行くんだよ」
その粘液を、ステントルが割り込んでその体で全て受け止めた。彼にはリオの意思は理解できないし、汲んでやるつもりもさほどない。だが、倒してやるのが全てにとって最良だということは理解できるし、その為に自分しかできないことがあるのはもう分かっているのだ。
「どうか、二人で、幸せに……!」
ステントルの巨体の後ろからメイリンが飛び出し、ドラゴンランスを力いっぱいに突き出した。
その剛腕はリオの胸を貫き、その勢いのまま奥の壁へと貼り付けにした。飛竜のオーラで強化されたその力は並ぶものないほどに圧倒的でありながらこの上なく精密で、苦痛なく、だが一切の隙も乱れもなくリオの急所を完全に貫き破壊していた。
「カム・アン、ダーン……」
最後に僅かに弟に向けて手を伸ばし、リオの体は全て粘液となって崩れ去った。それと同時に、レナの前で目を閉じていたアンダーンも同じ様に溶け崩れる。
異臭と汚水に満ちる下水道で、シホは清らかな祈りを深く長く捧げる。そしてメイリンが「えっと……」の一言も誰にもかけられないのは、もう間もなくユーベルコードの代償として意識が途切れるせいだけではないだろう。
その重い沈黙を破ったのは、魔女の明るい声。
「あー、おじさん、背中やぶれちゃってんじゃん!」
「お、おじさん!? 俺か!?」
戦いの中破れたステントルの服の背中を叩き、レナがわざとらしいくらい大げさに言う。
「そうだよ。新しい服買いに行かなきゃ。大体こんな地味なの着てるから老けて見られるんだよ。外の世界知りたいんでしょ? ならファッションの勉強もしなきゃ!」
元々はそのために猟兵はここに来たのだ。異文化の服を纏えば己を失わぬまま混ざり合える。もちろんいうほど単純ではないが、そんなやり方で一つになったっていいだろう。
骸の海の果てであの姉弟もそんな風にしていられたら。それを想像するくらいは許されるだろうとシホとメイリンも小さく笑い合い、そして四人は上層へと戻っていくのであった。
成功
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