1
【猟書家】灯火の導き

#カクリヨファンタズム #猟書家の侵攻 #猟書家 #狗神使い弌 #神器遣い

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#カクリヨファンタズム
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#猟書家
🔒
#狗神使い弌
🔒
#神器遣い


0




「さぁて、どう炙り出してやろうかねぇ」
 狗神に乗ってそうボヤいた赤毛の男は、呪符をひらひらと遊ばせながら幽世を練り歩く。そこは古びた商店街のような場所だ。そんな場所を狗神に乗って移動しているので、周りの妖怪たちは一体何なのだろう? と顔を覗かせる。
「うーん、この辺りでいいかな……っと!」
 彼は商店街の中間地点辺りで、手に持っていた呪符を空に投げた。すると、それらはバラバラと辺りに広がり、宙に浮いたまま整列する。すると、それらにぼぅっと朱い焔が灯る。それらが急に遠くへと散らばっていくと、ゆっくりと辺りの空気を変えていく。
 その様子から、流石に商店街にいた妖怪たちも異変に気づいた。だが、もう逃げ出すことは不可能だった。
「た、助け……」
 一人の妖怪が男の足元に縋り付く。だが、彼はその妖怪を何の感情もなく蹴り上げる。
「足元にいると邪魔だよ〜。じゃ、オレはまだやることがあるから」
 男はそう言うと、そのまま商店街の奥へと走り去って行った。


「次はカクリヨファンタズム、ですか……」
 予知の内容を思い出しながら、ヒース・アーベル(胡散臭い掃除屋・f35538)は溜息を吐いた。どうやら、次の依頼はその世界らしい。「一体、どんな予知だったのか」と猟兵の一人がヒースに質問をした。すると、ヒースは「そうですね……」とゆっくりと口を開いた。
「カクリヨファンタズムで、猟書家の幹部の一人である狗神使い弌が現れました。既に呪術で清浄という概念を消し去り、カクリヨは穢土の世界となっています。実力のある皆さんでも、長く留まれば命の危険を伴うでしょう」
 その言葉に、猟兵たちがざわめく。長く留まれないというのに、どうやって敵を探し出せば良いのだろうか。そういった懸念が浮かぶのも当然である。ヒースはパンッと手を打つと、続きを話し始めた。
「静粛に。対策はちゃんと立てています。
 神器の加護があれば、呪詛の力を多少ではありますが打ち消すことができます。ですが、猟兵内に神器遣いはいません。が、現地の神器遣いの方が同行を申し出ています。その方と協力をして、問題の解決に努めてください」
 現地の神器遣いがいるなら心強い。猟兵たちの心の内に、希望が見えてきた。
「彼が潜んでいる場所は、ある商店街です。呪詛を伴う呪術が発動した際に、商店街にいた妖怪たちが骸魂に飲まれ、オブリビオン化しています。それらを倒すことで、妖怪たちを救出できます。ですので、そちらもよろしくお願いします」
 ヒースはグリモアを掲げると、猟兵たちに短く「健闘を祈ります」と伝えると、その背を見送った。


 猟兵たちが現場となる商店街前に到着すると、狸耳に狸尻尾の少女が手持ち提灯を持って立っていた。彼女が猟兵たちに気づくと、ぺこっと頭を下げた。
「はじめまして! 里狸・結(さとり・ゆい)と申します!
 あの商店街は私も良く通っていまして……ですから、猟兵の皆さん! 私からもお願いです! 皆を助けてください!」


萩野 千鳥
 はじめまして、こんにちは、こんばんは。萩野千鳥です。
 早速ですが簡単に説明致します。

『同行NPC』
 里狸・結(さとり・ゆい)
 少女の姿をした狸の妖怪です。手に持っている「手持ち提灯」が神器です。
 呪詛を弱める力を持っていますが、戦闘は全くできません。自分が(神器を扱えること以外は)無力であると自覚しているので、指示をすれば素直に従います。

『第一章:集団戦』
 骸魂に取り込まれた住人が、オブリビオン化した姿です。普通に倒せば救出できるので、遠慮なく倒してください。
 商店街内は薄暗いですが、各自発光しているので何処にいるかは分かり易いと思います。

『第二章:ボス戦』
 猟書家幹部、狗神使い弌との戦闘です。神器遣いを狙う可能性があります。その辺りに注意して頂ければ幸いです。

『断章について』
 今回は、第二章の前に入れる予定です。
 その際のプレイング受付時間等は、タグ上でお知らせ致します。

『他』
 アドリブ、共闘不可の場合は、その旨をお伝えください。
(例:ア×、共×、等)
 こちらは猟書家シナリオです。こちらもできるだけスピード完結を目指しているので、プレイング〆切は早めです。サポートも多めに採用します。

 どうぞ最後まで、よろしくお願い致します!
19




第1章 集団戦 『骸魂火』

POW   :    光の御返し
【発光している身体の一部】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、発光している身体の一部から何度でも発動できる。
SPD   :    光の御裾分け
【発光している身体の一部】を向けた対象に、【高熱を伴う光線】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ   :    この子は傷つけさせない
全身を【発光させ、防御力が極めて高い身体】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

月夜・玲(サポート)
『さてと、I.S.T起動。お仕事お仕事。』
口調 元気(私、~君、だね、だよ、だよね、なのかな? )


お仕事ついでに研究も出来るんだから、この仕事良いよねぇ
さあ、私の研究成果の実験台になってもらうよ

模造神器という独自の兵器開発を生き甲斐とする研究者
誰にでも気さくに砕けた口調で話しかける
戦いは全て研究の為、楽しみながら戦闘を行う
全ては研究の為、研究と戦闘を楽しめる猟兵生活は結構気に入っている
戦闘スタイルは4本の模造神器から2本を選び、二刀流で敵と戦う形です
UCで遠距離戦闘にも対応したSF剣士

日常ではのんびりと景色を楽しんだり風情を楽しんだり
冒険では考察しながらじっくり進む

あとはお任せ!


高階・茉莉(サポート)
『貴方も読書、いかがですか?』
 スペースノイドのウィザード×フォースナイトの女性です。
 普段の口調は「司書さん(私、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、時々「眠い(私、キミ、ですぅ、ますぅ、でしょ~、でしょお?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

読書と掃除が趣味で、おっとりとした性格の女性です。
戦闘では主に魔導書やロッドなど、魔法を使って戦う事が多いです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 結と共に商店街へと足を踏み入れた猟兵たちは、まず始めにその異様な景色が目に入った。迷宮化した商店街自体は暗い。だが、その中にぽつりぽつりと光が見えるのだ。
「あれは……オブリビオンでしょうか」
「ええ、そうみたいね」
 高階・茉莉(秘密の司書さん・f01985)と月夜・玲(頂の探究者・f01605)が、離れたところからそのオブリビオンを確認する。元々この商店街の住人だったのだろうか。オブリビオンたちは、様々な店の前に立っていた。
「あの、猟兵さん……皆は、元に戻るのでしょうか?」
 結は恐る恐る二人に尋ねる。彼女の話によると、店先に立っているオブリビオンには、その店の主人の面影があるらしい。助けたい、と思うのは当然だろう。それに、助ける方法が無いわけではない。茉莉は「勿論です」と笑顔で結に答える。
「あの方たちは、私たちが助けます」
「住人の救出も頼まれているからね。安心して」
 とはいえ、数が多い上に迷宮化している。猟兵たちは話し合い、各々別行動をすることにした。結果、茉莉と玲は二人で道中のオブリビオンを倒しながら、猟書家がいるであろう場所を目指すこととなった。
「お仕事ついでに、私の研究成果の実験台になってもらおうかな?」
「えっと、ほどほどにお願いしますね」
 そう言いながら、二人は光の方へと向かう。オブリビオンが彼女たちに気づくと、何故か悲しそうな表情を見せる。
「やめて、この身体を傷つけないで……!」
「えっ?」
 疑問に思っている間に、二人に発光している身体の一部が向けられる。これは、やばい。そう感じた二人は、寸でのところでそこから発せられた光線を避ける。
「悪いけど、その身体を返してもらうわ」
 玲はI.S.Tを起動させ、オブリビオンに斬りかかる。茉莉も、後ろからの支援に集中するために、AI搭載型戦術ドローンを召喚し、攻撃を避けられるように対策を打つ。
「はぁああ!」
「こ、こないでぇ……!」
 玲の攻撃に抵抗しようと、オブリビオンは再び光線を放とうとする。流石に、玲も攻撃中は避けきれない。相討ち覚悟で、そのまま避けずに突っ込もうとする。
「危ない!」
 茉莉が、魔法の矢でオブリビオンの攻撃の軌道を変える。そのお蔭で、光線は全く無関係の場所に飛んだ。オブリビオンが体勢を整えようと振り向いた瞬間、斬撃による衝撃波がオブリビオンを襲う。
「いやぁあああ!!」
 衝撃波が見事命中し、骸魂は住人の身体から離れていく。倒れそうになる住人を茉莉が受け止めると、住人は、はっと急に目が覚めたような反応を見せた。
「わ、私は一体……?」
「良かった、意識はあるようですね」
「ええっと……急に空が暗くなって、それで……?」
「骸魂に飲み込まれていたんだよ。外はまだ危ないから、部屋で待ってて欲しいな」
「わ、分かりました……! あ、あの……助けて頂き、有難うございます」
 住人は礼を言うと、二人の指示通りそそくさと部屋へ戻って行った。
 商店街にはまだ、ちかちかと光が瞬いている。同じようなオブリビオンがまだ沢山いるのだろう。
「よし、次に行こう!」
「はい!」
 二人は、その場から一番近い光の元へと駆けて行った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

黄泉川・宿儺
POWで挑むでござる ※アドリブ連携等歓迎です
わかったでござるよ、結殿。
小生が絶対に助けるでござるからね!

【UC:変異・人間道】を使用
思考を数千倍に加速し、危険個所にあたりをつけつつ
<第六感>で発光箇所を全力で警戒しながら<闇に紛れ>て攻撃

そのまま首筋に<不意打ち>のチョップ
トンッ─
突然でござるが少々眠ってもらうでござるよ

物音で気づき、こちらに近寄ってきた相手には
<フェイント>を織り交ぜつつ
<カウンター>のジャブを入れさせていただくでござるよ

適宜<怪力>によるチョークスリーパー等を行いつつ
商店街の面々を各個撃破させていただくでござる

周囲に漂う呪詛は結殿に弱めていただき、あとは<根性>で我慢!


真城・美衣子(サポート)
☆サポート&おまかせ専門
何を考えているかよくわからない猫っぽい少女

喋るペンダント『マキさん』

・UDCアース人や猟兵としての一般常識はある
・鋭い感覚、高い運動能力、強靭な肉体で頑張る
・ぼんやりしているけど動きは早い
・無表情で説明もないまま行動するので、奇行に見える事も多いが、本人は一生懸命

・マキさんは主に解説・交渉などの会話を担当
・PLが直接操作しない方針なので挙動はご自由に!

☆セリフ例
「にゃ」
『みーこさんは「こんにちは」と言っています』

「……すんすん」
『みーこさんはニオイを確認しているようです』

『お時間よろしいでしょうか、事件についてお話を……』
「にゃ」
『みーこさん、今は喋らないでください』



 迷宮と化した商店街を、黄泉川・宿儺(両面宿儺・f29475)と真城・美衣子(まっしろみーこ・f12199)は、結と共に攻略することになった。
「先程の猟兵たちも言ったでござるが、商店街の人たちは小生たちが絶対に助けるでござるからね!」
「にゃ!」
『みーこさんも「任せて」と言っています』
「有難うございます! 私は、これを扱うことしかできませんが……皆さんの邪魔にならないよう頑張ります!」
 二人の言葉に結は礼を述べると、手持ち提灯を掲げる。すると、ほんの少し提灯が光ったと思うと、重苦しい空気がすっと軽くなる。
「おお、助かるでござる!」
「にゃー!」
『みーこさんも嬉しそうです』
「うむ! では早速、住人の皆を助けに行くでござるよ」
 そう言うと、三人は猟書家の元へと向かうべく、歩を進めた。
 先程、他の猟兵たちが、あの光がオブリビオンではないかと言っていた。ならば、と宿儺は【変異・人間道】を発動する。
(考えろ……考えるでござるよ……)
 思考を巡らせ、どうすればより良く住人たちを骸魂を引き離せるか思案する。
「……よし。皆、こっちでござる」
 宿儺は皆の前に立ち、発光している場所を警戒しながら闇に紛れられそうな場所へ行く。そこから様子を伺うと、二体のオブリビオンが道の行く手を塞ぐ。
『これは……結さんはここで待っていた方が良いですね』
「にゃー」
「一体目は小生が何とかするでござる。もし二体目に気づかれたら、美衣子殿」
「にゃ」
『「分かった」と言っています』
 結も二人の指示に従って、灯りが漏れないように隠れた。美衣子も準備は整っているようだ。宿儺はそんな二人を確認すると、一体目の首筋に、不意打ちの手刀を放つ。オブリビオンは突然の攻撃に、何も抵抗できずに意識を失い、骸魂は離れて行った。だが、流石にその攻撃で、二体目には気づかれてしまった。
「やめてぇ……!」
 そう言いながら、宿儺に発光している身体の一部を向ける。しかし、その攻撃も不発に終わった。いつの間にか、ボクシンググローブ付きの衣装に着替えた美衣子が、オブリビオンに思い切りパンチをくらわせていたのだ。だが、一体目のように気絶させることはできず、体勢を崩しただけだった。
「助太刀するでござる!」
「いや、いやぁ……!」
 オブリビオンは、宿儺のパンチを発光している身体で防ごうと身構える。だが、予想していた衝撃は無かった。フェイントだったのだ。オブリビオンが気づいたときには、既に遅かった。
「残念だったでござるな」
「あぁあああ!!」
 宿儺は、全く防御がされていない部分にジャブを入れる。すると、二体目のオブリビオンもそのまま骸魂が離れていき、元の住人の姿に戻った。
「にゃ」
『みーこさんは「安全な場所に移した方が良い」と言っています』
「その通りでござるな。ふむ……」
 すぐ近くに店らしき場所があった。幸い、鍵などはかかっておらず、開いているようだった。二人は、その住人たちを店の中に入れ、すぐに結の元へと戻った。
「終わったでござるよ」
「お疲れ様です」
「にゃにゃにゃー」
『「まだこの先にも似たようなオブリビオンがいるから、住人を助けつつ、気を付けながら進もう」とみーこさんは言っています』
「はい!」
 結はその言葉に力強く頷くと、再び光の方へと進んでいった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第四『不動なる者』盾&まとめ役武士
一人称:わし 質実剛健古風
武器:黒曜山(刀形態)

助くことは『我ら』の総意なれば。よろしく頼む、結殿。

骸魂を祓うためにも、一度倒さねばならぬのよな。
【四天境地・山】。発光している部分を避けるように斬撃を置く。黒曜山で未来を覗ける以上、どの位置になるかはわかるしの。
万一コピーされたとて、黒曜山が必要なのよな、これ。

攻撃されてもな…四天霊障を用いた結界術を、内部三人が張っておるゆえ。わしはもちろん、結殿も傷つけさせんよ。
さらにいえば、呪詛は効かぬよ?悪霊であるしな(呪詛耐性)



 迷宮化してしまった商店街は広い。皆で固まって行動するより、解散して各々最奥を目指すこととなった。馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)もまた、一人で(正確には内に四人いるのだが)商店街の中を攻略していった。
(……あれは)
 今までに遭遇したオブリビオンたちが発する光とは異なった、ゆらりと揺れる淡い光。それは結の持つ手提げ提灯の光だ。どうやら、他の猟兵たちと行動していた結のグループと合流できそうだ。
「まさか、ここで合うとは」
「貴方も先程いらっしゃった……」
「猟兵の一人よ。ところで、貴殿らの方はどうだったか?」
 結と共にいた猟兵たちに尋ねる。どうやら、既に何体かのオブリビオンから住人を救出しているらしい。彼女たちがやってきた道をちらりと覗き見る。確かにオブリビオンが発していた光は無く、暗い道が続いているだけだった。
「あの、馬県さんの方は」
「ああ、こちらも既に何体かは。よければ、このまま合流しても?」
「勿論です! 一緒に皆さんを助けてください!」
「ああ。助くことは『我ら』の総意なれば。よろしく頼む、結殿」
 他の猟兵たちも、馬県・義透の提案に頷いた。どのみち、この先には一つの道しかない。故に、合流するしかない、とも言える。馬県・義透たちは、まだ光のある道の先へと向かった。
 しばらく進むと、複数のオブリビオンの元へと辿り着く。互いに離れてはいるようだが、駆けつけられない距離でもない。
「ふむ……では、私が手前の方の相手をしよう。貴殿らは、奥の方を。結殿は、私の側を離れすぎぬようにな」
「分かりました!」
 結の返事を聞くと、馬県・義透はすぐに結に結界を張った。その様子を見た他の猟兵たちも彼の提案を了承すると、すぐに奥の方にいるオブリビオンの元へと向かう。だが、オブリビオンの目も節穴ではない。彼女たちに気づいた手前のオブリビオンは、妨害しようと構える。だが、その妨害は失敗に終わった。 馬県・義透は、今表に出ている『不動なる者』の武器である黒曜山を、刀の形にするとオブリビオンに斬りかかった。
「貴殿の相手は私だ」
「っ! やめて……! この子を傷つけないで……!」
「傷つけておるのはどちらだ」
 馬県・義透が何度か戦った際に知ったことだが、どうもこのオブリビオンはあの発光している部分で攻撃をしたり、ユーベルコードのコピーを行ったりするらしい。ならば、その発光している部分を避けるように攻撃すればいい。
「父の技を、ここに再現せん」
 黒曜山を使い、未来を覗き見る。今のユーベルコードをコピーをされても痛手はないが、万が一に備えて発光していない部分に斬撃を置く。
「……? なに、を……!? あっ、ああああっ……!」
 表向きには見当違いなところに、刀を振ったように見えただろう。オブリビオンも、始めは不思議そうな顔をしていた。だが、その攻撃はその少し後にやってきたのだ。完全に不意を突かれたオブリビオンは、なす術もなく倒される。その結果、住人の元から骸魂が離れていく。
「だ、大丈夫でしょうか?」
 危険がないことを察知した結が、住人の元へと駆け寄る。
「そうさな。骸魂に憑かれ、今は気を失っているだけだ」
「そうでしたか……」
 結はほっとした表情を見せる。馬県・義透は結と共に、住人を安全な場所へと寝かせると、丁度他の猟兵たちもオブリビオンを倒し終えたらしい。そちらの住人も移動させると、後から別の猟兵たちが馬県・義透たちの元へと集まってくる。どうやら、この道が最終地点へと通ずる道だったようだ。
「狗神使い、か……」
 オブリビオンの発する光は既にない。ただ、暗い道が続いている。だがその奥に、怪しく光る灯火が在る。それは例の猟書家のものだろう。彼を倒すべく、猟兵たちは最奥への道を進んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『狗神使い弌』

POW   :    呪術『飢える西洋の鬼』
【無数の呪札 】から、戦場全体に「敵味方を識別する【札の嵐】」を放ち、ダメージと【出血】の状態異常を与える。
SPD   :    呪術『狗神憑き』
攻撃が命中した対象に【狗神の呪い 】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【追跡してくる狗神】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    呪術『狗神使い』
自身に【狗神の呪詛 】をまとい、高速移動と【お札による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ヒッツェシュライア・テスタメントです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 商店街から一つ、二つ、と光が消えていく。それに伴い、揺れる仄かな淡い光が、少しずつ着実にこちらへと向かってくる。狗神使い弌は、その光を持つ少女に話しかける。
「あらら、こんなに奥まで来ちゃって。まだ儀式は終わってないから後にしてくれないかなぁ?」
「それはできません。……あなたが、こも商店街を、皆を滅茶苦茶にした人ですか?」
「うーん……そうだ、って言ったら怒る?」
「……っ!」
「はは! 怒るよねぇ。でも、こっちにも事情があるんだよ。悪いけど、オレの邪魔はせずに、とっとと逝け」
 弌がそう言うと、呪札に灯した焔ごとを結に向かって投げる。だが、それは結に当たることはなかった。猟兵が結を守ったのだ。
「ああ、キミたちも居たんだねぇ。……面倒だな」
 一つ舌打ちをすると、懐から何枚もの呪札を取り出す。
「さぁて、止められるもんなら止めてみな」
 弌は、立ちはだかる猟兵たちを前ににぃっと笑みを浮かべた。
黄泉川・宿儺
POWで挑むでござる ※アドリブ連携等歓迎です
お望み通り止めてやるでござるよ、猟書家殿!
これ以上、商店街の方々を傷つけさせはしないでござる!

結殿が標的にならぬよう、小生が気を引き付けるでござる
札の嵐とそれに伴う出血を<根性>と<激痛耐性>で我慢しながら接敵
致命傷は<第六感>で<見切って>回避!

懐まで近づいたら【UC:絶壊拳撃】を使用
負傷と疲労を無視して猟書家殿の腹部に掌打を叩き込むでござる
これは内部に浸透する<貫通攻撃>
猟書家殿といえど臓器への手痛い損傷は免れぬでござろうな


春霞・遙(サポート)
UDC組織に所属して、UDC関連の一般病院に勤務している小児科医です。
行動の基本方針は困っている人が居るなら助けたい、人に害をなす存在があるなら退けたい。
戦う力はあまりないですけど、自分が傷を負うとしてもみなさんのお手伝いができれば嬉しいです。

基本的に補助に徹します。
「医術」「援護射撃」「情報収集」から、【仕掛け折り紙】【葬送花】での目くらましや演出、【生まれながらの光】【悪霊祓いのまじない】で照明や目印を付けるなども行えるかと思います。
攻撃は拳銃による射撃か杖術が基本で、その他はUCを使用します。
【悔恨の射手】【未来へ捧ぐ無償の愛】は基本的に使用しません。

シリアス以外ならいたずら好きの面も。



「お望み通り止めてやるでござるよ、猟書家殿! これ以上、商店街の方々を傷つけさせはしないでござる!」
 勢いよくそう言い放った宿儺は、真っ先に弌の元へ駆けた。弌が無数の呪札を周りにばら撒くと、それらが嵐のように巻き上がり猟兵たちを襲う。宿儺は結が札の嵐に巻き込まれないように、更に前へ出て弌の意識を自身に向けるように振る舞った。
「ほら、もうここまで来たでござるよ」
「そうだねぇ。はいはい、よくできました」
 弌は適当にそう返すと、札の嵐を思い切り宿儺へと仕向ける。これで良い。宿儺はにやりと笑うと、その嵐を避けずに受ける。呪札が宿儺の身体を斬り、至るところから出血する。だが、今ここで倒れるわけにはいかない。この程度なら、耐えられる。そのまま嵐を突破し、弌の元へと更に近づいた。
「はぁ~、そう来たか……じゃあ、これはどうかな?」
 弌が呪符を取りだし、投げる。すると、先程よりも規模の大きい札の嵐が巻き起こる。これは流石に避けなければまずい。そう判断した宿儺は、咄嗟にその嵐を回避した。
「ざーんねん」
 宿儺が嵐を回避した先に、焔を纏った呪札がずらりと並ぶ。今からでは避けきれない。宿儺はぐっと力を入れ、衝撃に備えた。
「死者を穿つ礫は天地に広く降り注げ」
 春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)がそう言うと、銃弾が雨のように宿儺を狙っていた呪札を撃ち抜く。
「宿儺さん、援護は任せてください!」
「かたじけない!」
 遙に援護され、宿儺は弌の懐に到達する。
「これで、終わりでござるよ!」
 傷ついた身体を無視した状態で拳に力を乗せ、弌の腹部に一発お見舞いする。
「ぐっ……!」
 まともにくらったからか、弌は酷く顔を歪ませた。だが、宿儺の攻撃を受けた後に弌の狗神が距離を取ると、弌は宿儺を狙って呪符を投げる。
「させません!!」
 遙は後方からスナイパーライフルで呪符を撃ち落とす。
「ホントはその程度じゃ落ちないんだけどねぇ……ああ、あれのせいか」
 弌が結に目をつけると、呪札を構えぼそりと「呪術『狗神憑き』」と呟いた。すると、札の嵐で使われた呪札の一部が結に向かって飛ぶ。
「遙殿!」
「問題ありません!」
 遙はスナイパーライフルを手放し、懐から拳銃を取り出し呪札を素早く撃ち抜いた。弾を撃ちきり装填すると、遙は弌に向かって発砲する。だが、それらは全て札で防がれてしまう。
「ふぅん……いつまで耐えられるか見物だなぁ」
 弌はニヤニヤしながら、再び呪札をばら撒いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

馬県・義透
ふむ、こうなるとわしより貴殿であろうよ。

人格交代
『不動なる者』→『静かなる者』
冷静沈着な霊力使いの武士
一人称:私 武器:白雪林

誰かの馴染みの場所を守る。それは四人の誓いなれば。
清浄概念がないのなら、天敵はこちらでしょう。

先制攻撃による【四更・林】。
ええ、この霊力矢には破魔属性を込めていますからね。呪術使いであるあなたには、痛手でしょうに。
逃げようにも、私が見ている限りは届きますので(有効範囲117^2m)

そして、あなたの攻撃は四天霊障による結界術で弾きます。
…私以外の三人が三重属性(風+炎+重力)で張っているのです、結殿にも届かせませんよ。

あなたはここから去りなさい。大切な場所なのですから。


虹川・朝霞(サポート)
二つの故郷(UDCアースとカクリヨファンタズム)をふらふらしていた竜神。救援要請あるところに行くように。
自分が電脳魔術士であることをよく忘れます。

基本は慈悲を持って接するため、口調は丁寧です。
怒りを持ったときのみ、『阿賢賀水神』に戻ります(口調『遥かなる水神』)
なお、装備品の鉄下駄はUDC圧縮体のため、超絶重いです。鉄って言い張ってるだけです。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はいたしません。
あとはおまかせします。よろしくおねがいします!



(ふむ、こうなるとわしより貴殿であろうよ)
 ばら撒かれる呪札を眺め、馬県・義透の内の不動なる者は静かなる者に呼びかけた。弌に清浄の概念がないのであれば、静かなる者は彼の天敵になりうる。そう判断したのだ。静かなる者はすぐに不動なる者と交代すると、黒曜山を自身の弓である白雪林に持ち替える。
 弌は他の猟兵たちの攻撃を見て、呪詛に対抗できる神器遣いである結が邪魔だと気付いてしまった。そのため、彼は積極的に結を狙うだろう。静かなる者を除いた内なる三人の手で、結に結界を張る。
「これで遠慮なく攻撃できるかと」
「分かりました。ならば……」
 虹川・朝霞(梅のくゆり・f30992)が小声で馬県・義透に何かを伝える。馬県・義透はそれに了承すると、朝霞は鉄下駄でカッと地面を蹴り弌の元へと駆ける。
「同じような手で来ても無駄だよ」
 そう言いながら、呪札で結を攻撃しようと構えた。だが、それよりも早く弌の肩を霊力矢が貫く。
「なっ……!」
 これはただの矢ではない。弌と相性の悪い破魔属性を纏っている。弌は肩から矢を抜くと、それが放たれた場所を確認する。そこには【四更・林】を発動させた馬県・義透が、もう一度弓を引こうと構えていた。
 このままでは、分が悪い。弌はもう一度「呪術『狗神憑き』」と呟くと、ばら撒いてあった呪札で無差別に攻撃をし始めた。馬県・義透は一度弓を下ろし、それらを避ける。
「闇雲に攻撃したところで、当たりませんよ」
「キミはそうだろうねぇ。でも……」
 鉄下駄の音が弌の背後から鳴る。二人が話している隙に、朝霞は弌に斬りかかった。だが、その斬撃は呪札によって阻まれる。それと同時に、朝霞に呪札の攻撃が当たる。
「っ!」
「オレがこの程度、予測できないとでも?」
 弌が朝霞の方へ振り返ると、にぃっと楽しげに笑う。その表情を朝霞は睨みつける。
「……余の故郷を穢した罪は重いぞ」
「あっそう。それがどうした」
 狗神の頭が、朝霞を狙う。朝霞は一旦後ろへ引くと、紫雲刀を再び構え【鉄雲】を発動する。
「鉄も雲も、余の思うままに」
 狗神はそんな言葉など気に留めずに朝霞に突っ込む。すると、朝霞はそれはスパッと斬り落とした。鉄雲の影響で、射程も威力も上がっているのだ。だが、斬られた部分を呪札が覆うと、それは元通りに戻る。
「はーい、残念」
「残念なのはどちらだろうな」
「はぁ?」
 弌は意味が分からない、と言いたげな表情をする。しかし、その理由はすぐに理解することになった。
「ぐ、あっ……!」
「油断は禁物、でしょう?」
 全ての呪札を射ち落とし終えた馬県・義透の一矢が、弌の背を貫く。そちらに気を取られている隙に、射程が伸びた朝霞の紫雲刀が弌を襲う。
「くそ!!」
 イラつきながらそう言うと、体勢を整える為に二人から更に距離を取る。そして、残った呪札に朱い焔を纏わせると、辺りを燃やしながら再び猟兵たちを攻撃し始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リオ・ウィンディア
呪詛にはなんとなく親近感
さてさて、助太刀以降じゃないの
私も呪詛使いだから、ある程度耐性はあると思うけれども、呪詛に呪詛をぶつけても、火に油
里狸さんの神器の力も借りれるならばそうしましょう

私はダガーロータスで戦うよ
【属性攻撃:風、水、浄化】さらにUC発動して威力を高めて、
呪符を清めながら切り裂いてしまいましょう
スピードで押して、里狸さんを狙う隙を与えさせないわ
【早業、2回攻撃、念動力、空中浮遊、恐怖を与える、精神攻撃】で勢いに乗って

さぁ、スピード勝負よ
鬼気迫る気迫で追い詰めてあげるわ

【浄化】それこそがあなたの【呪詛】になるでしょう
追い風はこちらに吹いてるわ


イングリット・イングラム
狗神使い弌。
閻魔王の所在を探るために呪詛で世界を蝕む猟書家、でしたか。
その悪行、ここで終わらせます。
いえ、ここでその報いを受けて貰います。

UCにより加護を発現。
技能は、不意打ち、マヒ攻撃、浄化、継続ダメージを指定。
遠間より聖弓を構え、敵がこちらに気付く前にその身体を射貫き、不随にします。

狗神使い。
貴方が猟書家で良かった。
お前が骸魂に飲まれたオブリビオンだったなら、このようなことはできないからな。

聖剣を突き刺し、その身体を内側から浄化の炎で灼きつくそう。
その飄々とした態度をいつまで果たして保つことができるのか、見せてもらいましょうか。

この地に来たことを後悔しながら、骸の海に還るのですね。



 迷宮の奥は開けていたとはいえ、元は商店街だ。弌の放った呪札に纏う焔は店を、猟兵たちの周りを燃やしていく。極めつけに、弌は残りの呪札でもう一度札の嵐を呼ぶ。
(これでは、攻撃もままならないわ)
 リオ・ウィンディア(黄泉の国民的スタア・f24250)は、普段は魔楽器の底に隠している暗器、ダガー・ロータスを取り出した。これは風と水の加護の力が宿っている。今の状況にはうってつけの武器だ。
「里狸さん、神器の力を強めることはできるかしら?」
「勿論です!」
 結は手持ち提灯を掲げると、暖かな光が強まる。リオは「ありがとう」と礼を言うと、ダガー・ロータスに浄化の力も上乗せする。
「そんな武器で、オレを倒せるとでも?」
「あら、やってみないと分からないわよ?」
 リオが挑発するように微笑む。その視線の先で、既に【発現】で自身の力が増したイングリット・イングラム(聖堂騎士・f35779)が聖弓を構え、放つ。矢が風を切る音でようやく気付いた弌は、その矢を避けようとするが既に遅かった。
「ぐ、あ、なん、だっ……?」
 矢は弌の腕に命中する。攻撃を受けた弌の身体に、常に電流が走っているような痺れが襲う。イングリットの矢には他の猟兵がしてきたように、浄化の力が込められていた。それと同時に、全身が痺れて簡単には身動きがとれないようにもなっていたのだ。
「さぁ、スピード勝負よ。この大空を駆け抜ける勇気を、この手に希望を。この背に翼を! 私はどこまでも怯まない!」
 リオは真っ白い両翼を持ち、同じように真っ白な衣を纏う少女に姿を変えると、彼女は空を飛んだ。弌の身動きがとれない隙に、襲ってくる札の嵐を避け、呪札を切り裂きながら弌と距離を詰める。弌も何とか対抗しようとするが、全く見切ることができない。
「くそ、くそっ!! こんなところで、終われるか……っ」
 弌は「呪術『狗神使い』」と呟くと、自身に狗神の呪詛を纏う。イングリットの矢の影響で痺れは未だに残っているが、本来ならば高速で移動できる力と相殺した。ようやく矢を抜くが、傷を貰った箇所は呪術を用いても直らない。弌は一つ舌打ちすると、辛うじて残っている呪札を集め衝撃波の放射準備に入る。
「浄化、それこそがあなたの呪詛になるでしょう」
 リオは真っ先に呪札を切り裂き、ダガー・ロータスを弌に向ける。
「はは、そう簡単に終わらせないよ」
「くっ……!」
 弌は隠し持っていた最後の一枚でから、衝撃波を放射する。リオは咄嗟に避けきれたが、そのせいでまた距離を取られてしまう。
「大丈夫です、リオさん。問題ありません」
 イングリットにすれ違いざまにそう耳打ちされる。
「狗神使い、貴方が猟書家で良かった。お前が骸魂に飲まれたオブリビオンだったなら、このようなことはできないからな」
 もう一度、矢を射る。まだ体力があったなら、弌も避けることはできたかもしれない。だが、既にダメージを負い過ぎていた。矢は胴体に命中し、再び痺れを残す。聖剣へと持ち替えたイングリットは、動けずにいる弌に近づき腹部に突き刺す。すると、弌の身体を、内側から浄化の炎が飲み込んでいく。
「がっ、ぁあああっ!!」
 飄々とした態度など見る影もなく、弌の身体は燃やされ、灰となり散り散りになっていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



 弌が討伐されると、瞬く間に迷宮化した商店街は元の姿に戻った。店を焼いていた焔も、弌がいなくなると同時に消えていた。先程まで重苦しく圧し掛かっていた空気も、今は清浄な物に戻っている。
「あ、あの……」
 これで役目は終わった。猟兵たちが各々戻ろうとしたところで、結はおずおずと皆に話しかけた。
「あの、本当に、本当に有難うございます! 私、あまり皆さんの力にはなれませんでしたが……」
 そんなことはない、と一人の猟兵が言った。その言葉に、周りの猟兵たちも頷いている。
「いえ、皆さんに比べれば微々たるものです。ですが……そうですね。そう言って頂けるのは嬉しいです。
 あの人を倒してくれて……皆を助けてくれて有難うございます。もしお時間があれば、またこの幽世にいらしてくださいね」
 結は手持ち提灯を持ちながら、照れを隠すように笑った。彼女の持つ提灯の光は、明るくなった今もなお、優しく仄かに揺れていた。

最終結果:成功

完成日:2021年12月09日


挿絵イラスト